JP2010095247A - 燃料遮断弁 - Google Patents

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Abstract


【課題】フロートが上昇下降の際に発生する衝撃音を低減することができる燃料遮断弁を提供する。
【解決手段】燃料遮断弁1は、弁室42を形成するケース本体部23、ケース本体部の上側に配置され弁室に突出して接続通路41を形成する筒部24、及び筒部の下部に設けられたシール部25を有するケーシング2と、弁室に収容され弁室内を昇降するフロート3と、フロートの上に配置され、シール部に離接するシート部52をもち、フロートとともに弁室を昇降してシート部がシール部に離接することで接続通路を開閉する衝撃吸収部材5とを備える。 衝撃吸収部材は、シート部の径方向外側に突設され弾性を有する第1アーム部54、第1アーム部又はシート部から突設されて先端が自由端であり弾性を有する第2アーム部53、第2アーム部の先端に設けられフロートに当接する当接部53a、及び第1アーム部の先端に設けられ最下位に位置するときにケース本体部に係止される係止部54cを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両の燃料タンクに取り付けられる燃料遮断弁に関する。
燃料タンク内には、燃料が蒸発して発生するガスを排気するとともに、排気口から燃料が流出するのを遮断する燃料遮断弁が設けられている。例えば、図10に示すように、燃料遮断弁9は、燃料タンク91の上部に取り付けられ、燃料満タン検知器等に接続される接続通路92を上部に設けたケーシング93と、ケーシング93の弁室に流入した燃料の液位Lの昇降によって浮力を増減することで昇降するフロート94とを有する。フロート94の上部には、接続通路92を形成する上筒部95が配置されている。フロート94は、フロート94が昇降することで上筒部95の下端に形成されたシール部96に離接する。弁室内の燃料液位が上昇してフロート94が上昇すると、フロート94の上壁がシール部96に接して、接続通路92を閉止する。図11に示すように、弁室内の燃料液位が下降してフロート94が下降すると、フロート94の上壁がシール部96から離れて、接続通路92を開く。フロート94の側壁には、爪部97が突出しており、爪部97は、ケーシング93の側壁に開口するガイド穴98に昇降自在に係止されている。爪部97がガイド穴98にガイドされながら昇降する。爪部97が穴部98の下端98aに当接することで、フロート94の下降が規制される。
ところで、フロート94が上昇してケーシング93のシール部96に当接するとき、及びフロート94が下降してケーシング93のガイド穴98の下端98aに当接するときには、衝撃音が発生する。この衝撃音は、車室内に聞こえることがある。
そこで、従来、フロートがケーシングに当接するときに発生する衝撃音を低減するために、特許文献1,2に開示されているように、ケーシングの底部にゴム台座や弾性アームを設けていた。
しかしながら、特許文献1,2では、フロート下降時に発生する衝撃音の低減をしているにすぎず、フロート上昇時の衝撃音を低減するものではない。また、ケーシングにゴム台座や弾性アームを設置するには、ケーシングに床板を設ける必要がある。このため、燃料遮断弁の構造が複雑なものとなる。
特開平7−35255号公報 特開2002−21665号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、フロートが上昇下降の際に発生する衝撃音を低減することができる燃料遮断弁を提供することを課題とする。
(1)第1の発明は、燃料タンクの上部に装着され、該燃料タンクの内部と外部とを接続する接続通路を開閉することで前記燃料タンクの内部と外部とを連通遮断する燃料遮断弁において、前記接続通路と前記燃料タンクの内部とを連通する弁室と、該弁室を形成するケース本体部、該ケース本体部の上側に配置され前記弁室に突出して前記接続通路を形成する筒部、及び該筒部の下部に設けられたシール部、を有するケーシングと,前記弁室に収容され前記弁室内の燃料液位により浮力を増減して昇降するフロートと、前記シール部と前記フロートとの間に配置され、少なくとも前記フロートが下降するときに該フロートに係合する係合部及び前記シール部に離接するシート部をもち、前記フロートとともに前記弁室を昇降して前記シート部が前記シール部に離接することで前記接続通路を開閉する衝撃吸収部材と、を備え、該衝撃吸収部材は、前記シート部を径方向の中心部に配置しているとともに該シート部から径方向外側に前記係合部を設けており、前記シート部の径方向外側に突設され弾性を有する第1アーム部、前記第1アーム部又は前記シート部から突設されて先端が自由端であり弾性を有する第2アーム部、前記第2アーム部の前記先端に設けられ上昇する前記フロートに当接する当接部、及び前記第1アーム部の径方向外側の先端に設けられ前記弁室で最下位に位置するときに前記ケース本体部に係止される係止部、を有することを特徴とする(請求項1)。
上記構成によれば、燃料遮断弁は、燃料タンク内の燃料液位よりも上側に取り付けられる。燃料の揺動、給油などの原因により燃料遮断弁内の弁室の燃料液位が上昇すると、フロートは、浮力が増加して上昇する。フロートは、衝撃吸収部材の当接部に当接しながら衝撃吸収部材とともに上昇する。やがて、衝撃吸収部材のシート部が、ケーシングのシール部に当接して、接続通路を閉止する。
ここで、当接部とシート部との間には、弾性をもつ第2アーム部が設けられている。このため、シート部がシール部に当接すると、第2アーム部が弾性変形して、当接時の衝撃が吸収される。ゆえに、シート部がシール部に当接するときに発生する衝撃音が軽減される。
次に、燃料の揺動、燃料消費などの原因により弁室の燃料液位が下降すると、フロートは、浮力が減少して下降する。これにより、シート部は、シール部から離間して接続通路を開放する。また、フロートは、係合部で、衝撃吸収部材に係合しながら衝撃吸収部材とともに弁室内を下降する。やがて、衝撃吸収部材が、弁室で最下位に位置したとき、衝撃吸収部材に設けられた係止部が、ケ−シングのケース本体部に当接する。係止部は、第1アーム部の先端に設けられているため、ケース本体部に当接するときに、第1アーム部が弾性変形して、当接時の衝撃が吸収される。ゆえに、係止部がケース本体部に係止するときに発生する衝撃音が軽減される。
以上のように、第1の発明によれば、フロートの上昇時及び下降時の双方でケーシングに当接するときに発生する衝撃音を軽減することができる。
(2)前記衝撃吸収部材に形成された上壁は、該上壁の上面に設けられた前記シート部、該上壁の下面に突設された前記当接部、前記フロート上昇時に前記フロートが前記当接部に当接したときに上方に弾性変形する前記第2アーム部、及び前記フロート下降時に前記係止部が前記ケース本体部に係止されたときに下方に弾性変形する前記第1アーム部をもつことが好ましい(請求項2)。
この場合には、フロート上昇時にフロートが当接部に当接したときに、第2アーム部が上方に弾性変形する。フロート下降時に係止部がケース本体部に係止されたときに、第1アーム部が下方に弾性変形する。このため、フロートの昇降時に生じる衝撃音を軽減することができる。
(3)前記第1アーム部は、先端に前記係止部をもち、前記ケース本体部に形成された側壁は、前記係止部の昇降をガイドするガイド穴をもち、前記係止部は、前記衝撃吸収部材が前記弁室で最下位に位置するときに前記ガイド穴の下端に係止されることが好ましい(請求項3)。
この場合には、衝撃吸収部材の係止部が、ケーシングに設けられたガイド穴にガイドされながら昇降する。ゆえに、衝撃吸収部材を弁室の正確な位置に維持することができる。
(4)前記第1アーム部は、先端に前記係止部をもち、前記ケース本体部に形成された側壁は、前記係止部を係止する穴部をもつことが好ましい(請求項6)。この場合には、衝撃吸収部材をケース本体に安定に保持することができる。
(5)前記第1アーム部は前記シート部の径方向外側に枠状に突設され、前記第2アーム部はスリットを介して前記第1アーム部に囲まれていることが好ましい(請求項7)。この場合には、第1アーム部と第2アーム部とが別々のタイミングで撓むことができる。即ち、フロート上昇時に当接部がフロートに当接して第2アーム部が撓みやすくなり、また、フロート下降時に係合部がフロートに係合されることで、第1アーム部が撓みやすくなる。また、第1アーム部と第2アーム部とを小スペースに効率よく配置することができる。
(6)前記第1アーム部は、前記ケース本体部に対向して前記衝撃吸収部材の昇降方向に延びる延長部をもち、該延長部の基端は、前記衝撃吸収部材の前記上壁に設けられた前記第1アーム部の径方向外側の端部に連結され、該延長部の先端は、自由端であって、前記係止部が配設されていることが好ましい(請求項8)。この場合には、フロート下降時に第1アーム部が撓みやすくなる。
(7)前記第2アーム部は、前記シート部に連結され径方向外側に延びていることが好ましい(請求項9)。この場合には、フロート上昇時に第2アーム部が撓みやすくなる。
(8)第2の発明は、燃料タンクの上部に装着され、該燃料タンクの内部と外部とを接続する接続通路を開閉することで前記燃料タンクの内部と外部とを連通遮断する燃料遮断弁において、前記接続通路と前記燃料タンクの内部とを連通する弁室と、該弁室を形成するケース本体部、該ケース本体部の上側に配置され前記弁室に突出して前記接続通路を形成する筒部、及び該筒部の下部に設けられたシール部、を有するケーシングと,前記シール部に離接するシート部をもち、前記弁室に収容され該弁室内の燃料液位により浮力を増減して昇降することで、前記シート部が前記シール部に離接して上記接続通路を開閉するフロートと、前記シール部と前記フロートとの間に配置され前記ケース本体部に保持された衝撃吸収部材と、を備え、前記衝撃吸収部材は、径方向の中心部に開口して前記シート部を進退可能にする貫通穴、該貫通穴の周縁から径方向外側に突設され弾性を有する第1アーム部、前記第1アーム部又は前記シート部から突設されて先端が自由端であり弾性を有する第2アーム部、前記第2アーム部の前記先端に設けられ前記フロートに離接する当接部、前記第1アーム部の径方向外側の先端に設けられ前記ケース本体部に係止された係止部、及び前記貫通穴の周縁から径方向外側に設けられ前記フロートに離接する係合部、を有することを特徴とする(請求項4)。
上記構成によれば、弁室の燃料液位が上昇すると、フロートは、浮力の増加により上昇して、衝撃吸収部材の当接部に当接する。当接部は、第2アーム部の先端に設けられているため,第2アーム部が弾性変形して、フロートに当接するときの衝撃が第2アーム部に吸収される。
フロートは、第2アーム部を更に弾性変形させながら、上昇する。フロートは、第2アーム部の復元力により速度を抑えられながら上昇する。やがて、フロートのシート部が、ケーシングのシール部に当接して、接続通路を閉止する。シート部は、速度を抑えてシール部に当接するため、シール部に当接するときに生じる衝撃音を、第2アーム部がない場合に比べて、軽減することができる。
次に、弁室の燃料液位が下降すると、フロートは、浮力減少により下降する。これにより、シート部は、シール部から離間して接続通路を開放する。やがて、フロートが、衝撃吸収部材の係合部に係合する。このため、第1アーム部は、下降するフロートによって係合部が押圧されると、第1アーム部が弾性変形する。この第1アーム部の弾性変形により、係合部が衝撃吸収部材に係合するときの衝撃が吸収される。このため、フロート降下時に生じる衝撃音を軽減することができる。
以上のように、第2の発明によれば、フロートの上昇時及び下降時の双方でケーシングに当接するときに発生する衝撃音を軽減することができる。
(9)前記衝撃吸収部材に形成された上壁は、該上壁の下面に突設されて前記フロートに離接する前記当接部、前記フロート上昇時に前記フロートが前記当接部に当接したときに上方に弾性変形する前記第2アーム部、及び前記フロート下降時に前記係合部が前記フロートに係合したときに下方に弾性変形する前記第1アーム部をもつことが好ましい(請求項5)。
この場合には、フロート上昇時に、フロートが当接部に当接したときに第2アーム部は上方に弾性変形する。このため、フロートは、第2アーム部の下方への復元力によって上昇速度が制限された状態で、シール部に当接する。したがって、フロートのシート部は、シール部に当接するときの衝撃が軽減される。
また、フロート下降時に係合部がフロートに係合したときに、第1アーム部は、下方に弾性変形する。このため、フロート下降時に衝撃吸収部材との間で生ずる衝撃音を軽減することができる。
また、第2の発明においても、第1の発明の(4)〜(7)と同様の構成及び効果をもつことができる。
本発明の燃料遮断弁によれば、衝撃吸収部材に、フロートの上昇時に弾性変形する第2アーム部と、下降時に弾性変形する第1アーム部とを設けているため,フロートが上昇下降の際に発生する衝撃音を低減することができる。
第1の実施形態に係る、上昇状態の燃料遮断弁であって、図2のA−A矢視線断面図である。 第1の実施形態に係る、衝撃吸収部材及びフロートの平面図である。 第1の実施形態に係る、下降状態の燃料遮断弁であって、図2のA−A矢視線断面図である。 第2の実施形態に係る、フロートが当接部に当接したときの燃料遮断弁であって、図5のB−B矢視線断面図である。 第2の実施形態に係る、衝撃吸収部材及びフロートの平面図である。 第2の実施形態に係る、上昇状態の燃料遮断弁であって、図5のB−B矢視線断面図である。 第2の実施形態に係る、下降状態の燃料遮断弁であって、図5のB−B矢視線断面図である。 第3の実施形態における衝撃吸収部材及びフロートの平面図である。 第4の実施形態における衝撃吸収部材及びフロートの平面図である。 従来例に係る、上昇状態の燃料遮断弁の断面図である。 従来例に係る、下降状態の燃料遮断弁の断面図である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る燃料遮断弁について、図面を参照にしつつ具体的に説明する。図1に示すように、燃料遮断弁1は、燃料タンク8の上部に装着されている。燃料タンク8の上壁81には、取付穴82が形成されている。燃料遮断弁1は、取付穴82に挿着され、取付穴82の周縁の上壁81に固定されている。燃料遮断弁1の上部には、燃料満タン検知器83が設けられている。燃料遮断弁1は、燃料タンク8の内部と燃料満タン検知器83とを接続する接続通路41をもつ。燃料満タン検知器83は、その通路83aを通じて外部のキャニスタなどに接続される。車両の傾斜、揺動などにより燃料タンク8に貯留されている燃料の液位Lが所定レベルまで上昇したときに、燃料遮断弁1は、接続通路41を閉止して、燃料タンク8の外部に装着されているキャニスタなどに燃料が流出を規制する。
燃料遮断弁1は、ケーシング2と、フロート3と、衝撃吸収部材5とを有する。ケーシング2、フロート3、及び衝撃吸収部材5は、いずれも樹脂材料を射出成形して形成される。
ケーシング2は、円筒状の側壁部材21と,側壁部材21の上部を覆う蓋部材22とからなる。側壁部材21と蓋部材22とはケース本体部23を構成している。ケース本体部23により囲まれた空間には、弁室42が形成されている。側壁部材21は、周方向の4ヶ所に等間隔に開口するガイド穴26と、燃料タンク8と弁室42とを連通させる通気穴27とをもつ。ガイド゛穴26は、側壁部材21の上下方向に延びる長穴である。
蓋部材22の上には、燃料満タン検知器83が配置されている。蓋部材22の中央部は、開口しており、この開口29の周縁からは筒部24が下方に突出している。筒部24の内部には接続通路41が形成されている。接続通路41は、燃料満タン検知器83に連通している。筒部24の下方先端には、周方向全体にシール部25が設けられている。接続通路41は、シール部25を通じて弁室42と連通している。弁室42の下部は、開口しており、燃料タンク8の内部と連通している。従って、弁室42には、燃料タンク8に貯留されている燃料が流入している。
図1,図2に示すように、フロート3は、有底の二重円筒体であり、中心部及び外周部にそれぞれ浮力を発生させる中心側空間部31及び外周側空間部32が形成されている。フロート3の上壁33における外周側空間部32の上部に、2つの凹所33aが形成されている。各凹所33aには、先端に鉤部34をもつ突起部35が突設されている。
衝撃吸収部材5は、ケーシング2の蓋部材22と対向する上壁51をもつ。図2に示すように、上壁51の中央部は、接続通路41に対向する平板状部分であり、その周縁にはケーシング2のシール部25に離接するシート部52をもつ。上壁51は、シート部52から径方向外側に放射状に突設された4つの長腕部51a及び4つの短腕部51bをもつ。4つの長腕部51aは、互いに等間隔で配置されている。4つの短腕部51bは、長腕部51aの間の中央に配置されている。
各長腕部51aは、シート部52から径方向外側に突設されて先端が自由端である第2アーム部53と、第2アーム部53を囲むようにシート部52から径方向外側に突設された第1アーム部54とをもつ。第2アーム部53と第1アーム部54との間には、スリット50が介在しており、第2アーム部53と第1アーム部54とは互いに非接触である。
第1アーム部54は、径方向に延び互いに対向する第1の一対の直線部分54dと、直線部分54dの径方向外側に連結され周方向に延びる第2の直線部分54eとからなる。第1アーム部54は、シート部52とともに四角形に開口する枠状部を形成している。第2アーム部53は、枠状の第1アーム部54に囲まれている。第2アーム部53の基端は、シート部52に連結されている。第2アーム部53は、基端から径方向外側に向かって、第1アーム部54の第1の直線部分54dと平行に直線状に延びている。
第2アーム部53は、基端がシート部52に連結されており、先端が自由端であるため、第2アーム部53全体は、上下方向に弾性変形する板ばねをなす。第2アーム部53の先端の下面には、フロート3の上壁33に当接する当接部53aが突設されている。
図1,図2に示すように、第1アーム部54は、フロート3の外縁部まで延びる上壁部54aと、上壁部54aの先端から屈曲してフロート3の側壁34に沿って下方に延びる側壁部54bとをもつ。上壁部54aは、上下方向に弾性変形する板ばねをなし、基端がシート部52に連結され、先端が側壁部54bに連結されている。側壁部54bは、本願発明の延長部に相当し、ケース本体部23の側壁に対向して、衝撃吸収部材5の昇降方向に延びている。側壁部54bの基端部である上部は、上壁部54aに連結され、側壁部54bの下方の先端である下部は自由端である。側壁部54bは上下方向に移動し、この側壁部54bの移動によって、上壁部54aは上下方向に弾性変形する。側壁部54bの外周面には、ケーシング2のケース本体部23のガイド穴26に係止される爪状の係止部54cが突設している。係止部54cは、ガイド穴26の中を上下方向に移動可能であり、ガイド穴26の下端26aに係止されることで、衝撃吸収部材5の最下位の位置を規定している。第2アーム部53と第1アーム部54は、シート部52から径方向外側に突設された弾性をもつ張出し部を構成している。
4つの短腕部51bには、それぞれ開口55が形成されている。4つの短腕部51bに形成された4つの開口55のうち、相対する位置に配置されている2つの開口55は、フロート3の上壁33から突出する鉤部34が係合する係合部である。衝撃吸収部材5は、フロート3の上壁33との間に隙間30を設けている。フロート上昇時に当接部53aがフロート3の上壁33へ当接したとき、及びフロート下降時に鉤部34が開口55へ係合したときのいずれも、衝撃吸収部材5とフロート3の上壁33との間には隙間30が確保されている。
次に、燃料遮断弁1の作動について説明する。図1に示すように、燃料タンク8の燃料の揺動、給油などの原因により燃料遮断弁1の弁室42に流入している燃料の液位Lが上昇すると、フロート3の中心側空間部31及び外周側空間部32は燃料蒸気で満たされているため、フロート3の浮力が増加する。フロート3の浮力が増加すると、フロート3は、その上に配置された衝撃吸収部材5の当接部53aに当接して、衝撃吸収部材5とともに弁室42の中を上昇する。やがて、衝撃吸収部材5のシート部52が、ケーシング2の筒部24の下方先端に形成されたシール部25に当接して、接続通路41を閉止する。
ここで、当接部53aは、弾性をもつ第2アーム部53の先端に設けられており、第2アーム部53の基端側には、シート部52が配置されている。このため、フロート上昇時にフロート3が当接部53aに当接して、第2アーム部53を上方に弾性変形させる。したがって、第2アーム部53によって、シール部25のシート部52への当接時の衝撃が吸収され、衝撃音が軽減される。
次に、図3に示すように、燃料の揺動、減量などの原因により弁室42内の燃料の液位Lが下降すると、フロート3の浮力が減少する。これにより、フロート3は、弁室42内を下降する。フロート3は、鉤部34で衝撃吸収部材5の開口55に係合して、衝撃吸収部材5とともに下降する。衝撃吸収部材5に設けられているシート部52は、ケーシング2のシール部25から離れ、接続通路41を開放させる。
更に、衝撃吸収部材5がフロート3とともに弁室42内を下降すると、衝撃吸収部材5の第1アーム部54の先端に設けられている係止部54cが、ケーシング2の側壁部材21に開口するガイド穴26の下端部26aに係止される。これにより、衝撃吸収部材5の下降が停止し、また、衝撃吸収部材5に固定されているフロート3の下降も停止する。
ここで、係止部54cは、弾性を有する第1アーム部54の先端の側壁部54bに設けられており、第1アーム部54の基端側であり上壁51には、フロート3の鉤部34に係合している開口55を有している短腕部51bが設けられている。このため、第1アーム部54は、下降するフロート3の鉤部34によって開口55周縁が下方に押圧されることにより下方に弾性変形する。この第1アーム部54の弾性変形により、係止部54cがガイド穴26の下端部26aに当接したときの衝撃が吸収される。ゆえに、係止部54cがガイド穴26の下端26aに係止するときに発生する衝撃音が軽減される。
以上のように、第1の実施形態においては、衝撃吸収部材5に、フロート3の上昇時に弾性変形する第2アーム部53と、下降時に弾性変形する第1アーム部54とを設けているため,フロート3が上昇下降の際に発生する衝撃音を低減することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、図4に示すように、衝撃吸収部材5が、ケーシング2に保持されている点が、第1の実施形態と相違する。
衝撃吸収部材5は、第1の実施形態と同様に、第2アーム部53、当接部53a、第1アーム部54、係止部54c、及び開口55をもつ。図4、図5に示すように、係止部54cは、ケース本体部23の側壁部材21に形成された穴部28に係止されている。この穴部28は、第1の実施形態のガイド穴とは異なり、係止部54cを上下動させることなく係止部54cを係止保持している。また、開口55には、フロート3の上壁33から突出した突起部35が上下動可能に挿入されている。突起部35の先端に形成されている鉤部34は、フロート3が下降して最下位に位置するときに開口55に係止する。
衝撃吸収部材5の上壁51の中央部には、貫通穴56が形成されている。貫通穴56は、フロート3の上壁33に若干突出したシート部36を進退させるように、シート部36よりも若干大きく開口している。
第2の実施形態に係る燃料遮断弁1の作動について説明する。図4に示すように、弁室42の燃料の液位Lが上昇すると、フロート3は、上昇して、衝撃吸収部材5の当接部53aに当接する。このとき、衝撃吸収部材5の第2アーム部53とフロート3の上壁33との間には、隙間30が介在している。当接部53aは、弾性をもつ第2アーム部53の先端に設けられているため,フロート3に当接するときの衝撃は、第2アーム部53に吸収される。
図6に示すように、フロート3は、第2アーム部53を更に上方に弾性変形させながら、上昇する。フロート3は、第2アーム部53の復元力により速度を抑えながら上昇する。やがて、フロート3のシート部36が、ケーシング2のシール部25に当接して、接続通路41を閉止する。シート部36は、速度を抑えながらシール部25に当接するため、第2アーム部53がない場合とは異なって、シール部25への当接時の衝撃音は軽減される。
次に、図7に示すように、弁室42の燃料の液位Lが下降すると、フロート3は、下降する。これにより、シート部36は、シール部25から離間して接続通路41を開放する。やがて、フロート3から突出した鉤部34が、衝撃吸収部材5の開口55周縁に係合して、フロート3の下降が停止する。開口55は、第1アーム部54とともに貫通穴56の周縁から突設されている。開口55と係止部54cとの間には、弾性をもつ第1アーム部54が設けられており、第1アーム部54は、下降するフロート3によって開口55周縁が下方に押圧されることにより下方に弾性変形する。この第1アーム部54の弾性変形により、開口55に鉤部34が係合するときの衝撃が吸収される。このため、フロート3降下時に生じる衝撃音を軽減することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態においては、図8に示すように、第2アーム部53の配置が、第1実施形態と相違する。第2アーム部53の基端は、第1アーム部54の内側面におけるケース本体部23の側壁に近接する部分に連結されている。即ち、第1アーム部54は、径方向に延び互いに対向する第1の一対の直線部分54dと、直線部分54dの径方向外側に連結され周方向に延びる第2の直線部分54eとからなる。第1アーム部54は、シート部52とともに四角形に開口する枠状部を形成している。第2アーム部53の基端は、第2の直線部分54eに連結されている。第2アーム部53は、基端から径方向内側に向かって直線状に延びている。第2アーム部53の先端は、自由端であり、その下面に当接部53aが突設されている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
第3の実施形態の第2アーム部53は、第1実施形態の第2アーム部53と同様に、フロート上昇時に、フロート3に衝撃吸収部材5の当接部53aが当接して、第2アーム部53を上方に弾性変形させる。これにより、衝撃吸収部材5のシート部52がシール部25に当接するときの衝撃音が緩和される。
(第4の実施形態)
第4の実施形態においては、図9に示すように、第2アーム部53の配置が、第1の実施形態と相違する。即ち、第1アーム部54は、径方向に延び互いに対向する第1の一対の直線部分54dと、直線部分54dの径方向外側に連結され周方向に延びる第2の直線部分54eとからなる。第1アーム部54は、シート部52とともに四角形に開口する枠状部を形成している。第2アーム部53の基端は、四角形枠状の第1アーム部54の内側面であって、径方向に延びる一対の第1の直線部分54dのうちの一方の中央部に連結されている。第2アーム部53は、この基端から、径方向と直交する方向、即ち周方向に直線状に延びている。即ち、第2アーム部54は、第1アーム部54の枠状部における第2の直線部分54eの延び方向と平行に延びている。第2アーム部53の延び方向の先端は、自由端であり、その下面に当接部53aが突設されている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
第4の実施形態においても、第3実施形態と同様に、フロート3の上昇時に、第2アーム部53が上方に弾性変形する。
前記第3及び第4の実施形態の第2アーム部53の配置は、第1の実施形態の燃料遮断弁に適用されるだけでなく、第2の実施形態の燃料遮断弁に適用することもできる。この場合には、第2アーム部は、第2の実施形態の第2アーム部と同様に、フロート上昇時に上方に弾性変形して、フロートやシール部に当接したときの衝撃音を緩和する。
前記第1及び第2の実施形態においては、第2アーム部53が枠状の第1アーム部54により囲まれているが、第1アーム部54の外側に配置されていて第1アーム部54により囲まれていなくても良い。例えば、第2アーム部53は、シート部52における第1アーム部54とは周方向の位置が異なる部位に連結されていてもよい。また、第1アーム部5は、枠状でなくても良く、例えば、径方向外側に直線状に延びていてもよい。
前記第1乃至第4の実施形態においては、衝撃吸収部材5の第2アーム部53に設けた当接部53aは、下方に突出して、フロート3の平坦な上壁33に当接しているが、当接部53aは平坦であり、フロート3の上壁33に凸状部を設けて、平坦な当接部53aをフロート3の凸状部に当接させてもよい。
前記第1乃至第4の実施形態においては、衝撃吸収部材5の第1アーム部54の先端に設けた係止部54cは径方向外側に向かって爪状に突出して、ケーシング2に設けたガイド穴26又は穴部28に係止しているが、衝撃吸収部材5の第1アーム部54の先端に係止部としてのガイド穴又は穴部を形成し、ケーシング2に径方向内側に突出する爪部を形成して、該爪部をガイド穴又は穴部に係止してもよい。
前記第1乃至第4の実施形態においては、衝撃吸収部材5には係合部としての開口55が形成されており、開口55には、フロート3から突出する鉤部34が係合しているが、衝撃吸収部材5に下方に突出する突起部の先端に係合部としての鉤部を設け、フロート3の上壁33には開口を設けて、該開口に鉤部を係合してもよい。
1:燃料遮断弁、2:ケーシング、3:フロート、5:衝撃吸収部材、8:燃料タンク、21:側壁部材、22:蓋部材、23:ケース本体部、24:筒部、25:シール部、26:ガイド穴、28:穴部、33:上壁、34:鉤部、35:突起部、36:シート部、41:接続通路、42:弁室、50:スリット、51:上壁、52:シート部、51a:長腕部、51b:短腕部、52:シート部、53:第2アーム部、53a:当接部、54:第1アーム部、54a:上壁部、54b:側壁部、54c:係止部、55:開口(係合部)、L:燃料の液位。

Claims (9)

  1. 燃料タンクの上部に装着され、該燃料タンクの内部と外部とを接続する接続通路を開閉することで前記燃料タンクの内部と外部とを連通遮断する燃料遮断弁において、
    前記接続通路と前記燃料タンクの内部とを連通する弁室と、
    該弁室を形成するケース本体部、該ケース本体部の上側に配置され前記弁室に突出して前記接続通路を形成する筒部、及び該筒部の下部に設けられたシール部、を有するケーシングと,
    前記弁室に収容され前記弁室内の燃料液位により浮力を増減して昇降するフロートと、
    前記シール部と前記フロートとの間に配置され、少なくとも前記フロートが下降するときに該フロートに係合する係合部及び前記シール部に離接するシート部をもち、前記フロートとともに前記弁室を昇降して前記シート部が前記シール部に離接することで前記接続通路を開閉する衝撃吸収部材と、を備え、
    該衝撃吸収部材は、前記シート部を径方向の中心部に配置しているとともに該シート部から径方向外側に前記係合部を設けており、前記シート部の径方向外側に突設され弾性を有する第1アーム部、前記第1アーム部又は前記シート部から突設されて先端が自由端であり弾性を有する第2アーム部、前記第2アーム部の前記先端に設けられ上昇する前記フロートに当接する当接部、及び前記第1アーム部の径方向外側の先端に設けられ前記弁室で最下位に位置するときに前記ケース本体部に係止される係止部、を有することを特徴とする燃料遮断弁。
  2. 前記衝撃吸収部材に形成された上壁は、該上壁の上面に設けられた前記シート部、該上壁の下面に突設された前記当接部、前記フロート上昇時に前記フロートが前記当接部に当接したときに上方に弾性変形する前記第2アーム部、及び前記フロート下降時に前記係止部が前記ケース本体部に係止されたときに下方に弾性変形する前記第1アーム部をもつ請求項1記載の燃料遮断弁。
  3. 前記第1アーム部は、先端に前記係止部をもち、
    前記ケース本体部に形成された側壁は、前記係止部の昇降をガイドするガイド穴をもち、前記係止部は、前記衝撃吸収部材が前記弁室で最下位に位置するときに前記ガイド穴の下端に係止される請求項1又は2に記載の燃料遮断弁。
  4. 燃料タンクの上部に装着され、該燃料タンクの内部と外部とを接続する接続通路を開閉することで前記燃料タンクの内部と外部とを連通遮断する燃料遮断弁において、
    前記接続通路と前記燃料タンクの内部とを連通する弁室と、
    該弁室を形成するケース本体部、該ケース本体部の上側に配置され前記弁室に突出して前記接続通路を形成する筒部、及び該筒部の下部に設けられたシール部、を有するケーシングと,
    前記シール部に離接するシート部をもち、前記弁室に収容され該弁室内の燃料液位により浮力を増減して昇降することで、前記シート部が前記シール部に離接して上記接続通路を開閉するフロートと、
    前記シール部と前記フロートとの間に配置され前記ケース本体部に保持された衝撃吸収部材と、
    を備え、
    前記衝撃吸収部材は、径方向の中心部に開口して前記シート部を進退可能にする貫通穴、該貫通穴の周縁から径方向外側に突設され弾性を有する第1アーム部、前記第1アーム部又は前記シート部から突設されて先端が自由端であり弾性を有する第2アーム部、前記第2アーム部の前記先端に設けられ前記フロートに離接する当接部、前記第1アーム部の径方向外側の先端に設けられ前記ケース本体部に係止された係止部、及び前記貫通穴の周縁から径方向外側に設けられ前記フロートに離接する係合部、を有することを特徴とする燃料遮断弁。
  5. 前記衝撃吸収部材に形成された上壁は、該上壁の下面に突設されて前記フロートに離接する前記当接部、前記フロート上昇時に前記フロートが前記当接部に当接したときに上方に弾性変形する前記第2アーム部、及び前記フロート下降時に前記係合部が前記フロートに係合したときに下方に弾性変形する前記第1アーム部をもつ請求項4記載の燃料遮断弁。
  6. 前記第1アーム部は、先端に前記係止部をもち、
    前記ケース本体部に形成された側壁は、前記係止部を係止する穴部をもつ請求項1乃至5のいずれか一項に記載の燃料遮断弁。
  7. 前記第1アーム部は前記シート部の径方向外側に枠状に突設され、前記第2アーム部はスリットを介して前記第1アーム部に囲まれている請求項1乃至6のいずれか一項に記載の燃料遮断弁。
  8. 前記第1アーム部は、前記ケース本体部に対向して前記衝撃吸収部材の昇降方向に延びる延長部をもち、該延長部の基端は、前記衝撃吸収部材の前記上壁に設けられた前記第1アーム部の径方向外側の端部に連結され、該延長部の先端は、自由端であって、前記係止部が配設されている請求項1乃至7のいずれか一項に記載の燃料遮断弁。
  9. 前記第2アーム部は、前記シート部に連結され径方向外側に延びている請求項1乃至8のいずれか一項に記載の燃料遮断弁。
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