JP2010091372A - 車輪・車軸重量測定システム - Google Patents

車輪・車軸重量測定システム Download PDF

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Abstract

【課題】 車両の速度がどのような速度であっても、高精度に車輪や車軸の重量を測定する。
【解決手段】 計量器4は、車両の進行方向にそれのタイヤ9の接地面の長さよりも長い寸法の計量台6を有し、タイヤ9の接地面が道路面2と非接触状態において車両の車輪または車軸重量を測定する。なくとも1台の第2の計量器16が車両の進行方向にタイヤ9の接地面の長さよりも短い寸法の計量台24を有し、タイヤ9の接地面が道路面2と接触状態において車両の車輪または車軸重量を測定する。演算回路14は、車両の速度が予め定めた第1の速度よりも速いとき、少なくとも第2の計量器16の重量測定値によって車輪または車軸重量を算出し、車両の速度が第1の速度よりも遅いとき、第1の計量器4の測定値によって車輪または車軸重量を測定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両の車輪重量や車軸重量を測定する車輪・車軸重量測定システムに関する。
従来、車輪の重量測定システムには、荷重センサを設けた計量台を道路面に埋め込み、計量台上にタイヤが載るタイミングで車輪重量を測定している。具体的には、特許文献1や2に開示されたものがある。特許文献1の技術は、計量台の長さを車輪進行方向についてタイヤの接地面長さよりも充分に長く設定し、計量台を複数個のロードセルで支持し、道路面にタイヤが接触していない状態で車輪の重量を測定するものである。特許文献2の技術は、タイヤの進行方向における計量台の長さタイヤの接地面長さよりも短く設定し、タイヤ接地面が常に道路面に接触しながら車輪の重量を測定するものである。
特公昭53−23099号公報 特開昭63−286724号公報
特許文献1の技術によれば、計量台の長さをタイヤの接地面長さよりも長く、そのため、複数個のロードセルで計量台を支持しなければならないので、1つの計量台に対して多くのロードセルを使用しなければならない。そのため、製品コストが高く、道路面に1台だけ設置することが多い。そのため、低周期ノイズを除去できない。即ち、通常、走行車両の車輪重量信号には道路面の凹凸やサスペンションのバネに起因する長い周期のノイズ信号が重畳されている。車両の速度が少し大きい場合には、重量測定データの取得期間がノイズ信号の1周期未満となることがあり、この場合、荷重信号をサンプリングした重量測定値として取得する区間において平均しても、効果的にノイズを除去することができない。
特許文献2の技術によって重量測定値を得るには、車両の速度を検出する必要があり、計量記事を車両が通過する際に速度が変化すると、測定精度が大きく低下する。車輪の重量測定システムは、料金徴収ゲート近くに設けられることが多く、車両が減速中であったり、渋滞することがある。このように車両が計量台上で停止したり、速度が計量台付近で大きく変化すると、計量台上での通過速度が正しく得られず、多くの車両に対して重量測定値を正確に求めることができない。
また、特許文献2の技術では、計量時にタイヤの接地面が道路面にも接触しており、荷重が計量台の他に道路面にも分割されるので、計量台近傍の道路面の高低の影響を受けやすく、測定精度が低い。
本発明は、計量台上を通過する車両の速度が零から任意の大きさの範囲に対して常に一定以上の精度を持つ車輪・車軸重量測定システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様の車輪・車軸重量測定システムは、第1の計量器と少なくとも1台の第2の計量器とを具備している。第1の計量器は、車両の進行方向に、前記車両のタイヤの接地面の長さよりも長い寸法の第1の計量台を有している。更に、第1の計量器は、前記タイヤの接地面が道路面と非接触状態において前記車両の車輪または車軸重量を測定する。第2の計量器は、前記車両の進行方向に、前記タイヤの接地面の長さよりも短い寸法の第2の計量台を有している。第2の計量器は、前記タイヤの接地面が前記道路面と接触状態において前記車両の車輪または車軸重量を測定する。前記第1及び第2の計量台は、前記車両の進行方向に沿って配列されている。前記車両の速度が予め定めた第1の速度よりも速いとき、少なくとも第2の計量器の重量測定値によって前記車輪または車軸重量を算出し、前記車両の速度が第1の速度よりも小さいとき、第1の計量器の測定値によって車輪または車軸重量を測定するように、第1及び第2の計量器の重量測定値を処理する処理手段が設けられている。
このように構成された車輪・車軸重量測定システムでは、第1の計量器は、車両のタイヤの接地面の長さよりも長い寸法の第1の計量台を有しているので、車両が停止状態や低速状態で高精度で重量測定が可能であるが、第1の計量器が1台のみでは車両が高速走行時には車両自身が持つ振動ノイズやランダムノイズの影響を充分に減衰させることができず、高精度に重量測定できない。これらノイズを減衰させるには、第1の計量器を複数台設置し、第1の計量器での重量測定値を演算処理することが考えられるが、第1の計量器は、車両のタイヤの接地面の長さよりも長い寸法の第1の計量台を有している関係上、複数のロードセルのような荷重検出手段を設置しなければならず、高コストとなる。この欠点を補うために、少なくとも1台の第2の計量器を設置している。第2の計量器は、タイヤの接地面の長さよりも短い寸法の第2の計量台を有しているので、荷重検出手段の数が少なくてすみ、低コストである。但し、車両速度が一定でない場合には、高精度に重量を測定することができない。そこで、処理手段において、車両の速度が第1の速度よりも速いときには、第2の計量器の重量測定値を使用して、車輪や車軸の重量を測定し、第1の速度よりも車両の速度が遅いときには、第1の計量器の重量測定値を使用して、車輪や車軸の重量を測定している。これによって、車両の速度が零から任意の大きさの範囲に対して常に一定以上の精度で、車輪や車軸の重量を測定できる。
前記車両の速度が第1の速度よりも遅く、前記車両が第1の計量器上を予め定めた時間よりも短い時間で通過したとき、前記処理手段は、第1の計量器の測定値を動的重量測定モードで処理し、前記車両の速度が第1の速度よりも遅く、前記車両が第1の計量器上を通過する前に前記予め定めた時間が経過したとき、前記処理手段は、第1の計量器の測定値を静的重量測定モードで処理することができる。動的重量測定モードは、例えば、タイヤが道路面に非接触状態で第1の計量台上に乗った位置から、第1の計量台上をタイヤが進行し、これよりも進行すると道路面ともタイヤが接触する第1の計量台上の位置までタイヤが進行する間に得られた第1の計量器の測定値を処理、例えば平均して、車輪や車軸の重量を測定するものである。静的重量測定モードは、例えば、第1の重量値測定手段の測定値に低周波ノイズが重畳されていても、処理、例えば平均化することによって、この低周波ノイズを充分に減衰させることができる時間、例えば上記予め定めた時間にわたって得られた第1の計量器の測定値を、上述したように処理、例えば平均化するものである。
このように第1の計量器において動的重量測定モードと静的重量測定モードとを、車両の速度に応じて切り換えて使用するので、高精度に車輪または車軸の重量を測定することができる。
前記処理手段は、前記車両の速度が予め定めた第1の速度よりも速いとき、第1及び第2の重量値測定手段の重量測定値によって前記車輪または車軸重量を算出することもできる。
第2の計量器の測定値は、タイヤが道路面に接触している状態での測定値であるので、第2の計量器の測定値のみを利用するよりも、タイヤが道路面に非接触の状態での測定値である第1の計量器の測定値も使用した方が、高精度に車輪または車軸の重量を測定することができる。また、車両のタイヤは、第1及び第2の計量器の計量台上を通過しており、その際にランダムノイズが第1及び第2の計量器の測定値に重畳されるが、これら測定値を処理手段で例えば平均化するように処理することによって、ランダムノイズを軽減することができる。
更に、前記第2の計量器は、複数台が前記車両の進行方向に配置されているものとすることができる。この場合、前記各第2の計量器に対する前記車両の速度の検出手段が設けられている。また、前記第2の重量値測定手段は、前記車両の速度を基に前記測定値を出力する。前記車両の速度の検出手段によって検出された前記各第2の計量器に対する車両の速度の変化率が予め定めた許容範囲外である第2の計量器の第2の重量値測定手段の測定値を除外して、前記処理手段が前記車輪または車軸重量を算出する。
第2の計量器の第2の重量値測定手段は、車両の速度を使用して測定値を出力している。従って、各第2の計量器に対する車両の速度が変化している場合、高精度な測定値を得ることができない。そこで、車両の速度の変化率が許容範囲外であるものを除去して、測定値を得て、高精度に車輪や車軸の重量を測定できるようにしている。
以上のように、本発明によれば、車両の速度がどのような速度であっても、高精度に車輪や車軸の重量を測定することができる。
本発明の1実施形態の車輪・車軸重量測定システムでは、図1に示すように、道路面2上を図示していない車両が矢印方向に走行することを前提とする。この道路面2に、第1の計量器4が設置されている。この計量器4は、図2(a)に示すように計量台6を有し、この計量台6の下面の車両の乗り込み側を複数台、例えば2台の第1の重量値測定手段、例えばロードセル8aが支持し、計量台6の下面の車両の降り口側を、例えば2台の第1の重量値測定手段、例えばロードセル8bが支持している。この計量台6は、車両の同一の軸に取り付けられている2つの車輪の重量をそれぞれ個別に測定するために、道路面2の幅方向に2台設けられている。なお、第1の計量器4によって車両の1軸に取り付けられている2つの車輪の重量を同時に測定する場合には、道路面2の幅方向の2つの車輪が同時に載る幅寸法を持つ1台の計量台6を使用する。これら計量台6は、図2(a)に示すように車両のタイヤ9の道路面2へ接地面における車両進行方向の長さL’よりも大きな長さ寸法Lを車両の進行方向に有している。
ロードセル8a、8bの出力信号は、増幅器10によって増幅され、A/D変換部12によってデジタル変換され、処理手段、例えば演算回路14に供給される。演算回路14は、例えばCPU、メモリ、入出力回路等から構成されている。
第1の計量器4から車両の進行方向に離れた道路面2には、複数、例えば2台の第2の計量器16、18が間隔をおいて設けられている。第2の計量器16、18は、同一構造のものであり、第2の計量器16についてのみ説明する。第2の計量器16は、図3(a)乃至(c)に示すように、車両の進行方向の長さがL2以下で、道路面2の幅方向の長さがL2’の起歪体20からなる第2の重量値測定手段、例えばロードセル22a、22b、22c、22dを道路面2の幅方向に4台並べ、これらロードセル22a乃至22d上に、車両の進行方向に沿う長さがL2の計量台24を配置したものである。L2は、タイヤ9の接地面の車両進行方向の長さL’よりも短く設定されている。そのため、タイヤ9の接地面が計量台24上に乗り込んだ状態であっても、タイヤ9の全荷重は、或る比率で道路面2と計量台24とに分割して負荷される。
なお、第1の計量器4と第2の計量器16とに跨ってタイヤ9が存在しないように、両者の間隔は設定されているし、第2の計量器16、18間に跨ってタイヤ9が存在しないように、両者の間隔が設定されている。
車両の1つの軸に設けられている2つの車輪の重量を個別に測定する場合には、1つの車輪用にロードセル22a、22bの出力を合成し、他の1つの車輪用にロードセル22c、22dの出力を合成する。これらロードセル22a乃至22dの出力信号は、増幅器10によって増幅され、A/D変換部12によってデジタル変換され、演算回路14に供給される。
演算回路14において行う第1の計量器4の出力信号の処理について図2(a)、(b)を参照して説明する。図2の荷重信号は、タイヤ中心位置の移動に対応するロードセル8a、8bの出力信号とする。なお、以下の説明は、1つの車輪の重量を測定する場合であるが、以下の説明を基に、1つの軸に設けられている2つの車輪の重量(軸重)を測定することは、当業者には自明である。第1の計量器4では、動的重量測定モードと、静的重量測定モードとの2つのモードで測定可能である。
これら両モードで測定するために、計量台6上にタイヤ9が完全に乗り込み、タイヤ9の接地面と道路面2との接触が無くなった直後の位置p1と、計量台6上に乗り込んだタイヤ9が計量台6上を前進して、これよりも進行すると道路面2と接触する位置p2とを、ロードセル8a、8bの出力信号上で定める。位置p1、p2間の距離をL11とすると、タイヤ9が計量台6上のL11区間に滞在する時間が長く継続でき、次に計量台6に進んでくるタイヤの接地面が計量台6に触れる前に、L11からタイヤ9が離れるように計量台6の長さL1と、位置p1、p2が設定されている。
位置p1、p2はロードセル8a、8bの出力信号の比率と予め定めた一定値との間に定めた条件が成立する位置として定義されている。すなわち、ロードセル8aの出力信号をw1、ロードセル8bの出力信号をw2とし、これらは時間間隔Tで同じタイミングでサンプリングされ、サンプリング重量測定値としてw1(k)、w2(k)を得るものとすると、比率Rwはw1(k)/w2(k)によって求められる。そして、位置p1にあるときのw1(k)をw11(k)、同w2(k)をw21(k)として、予め定めた値をw11(k)/w21(k)=f1として定め、比率Rwがf1より大きくなり、次にf1より減少したとき、位置p1に到達したと決定する。
同様に、位置p2におけるw1(k)をw12(k)、w2(k)をw22(k)とし、w22(k)/w12(k)=f2として定め、位置p1が決定された後、Rwがf2より大きくなった時点を位置p2と到達した時点とする。
このようにw1(k)、w2(k)の比率によって位置p1、p2を定義すれば、これらの位置は、車輪重量の大きさに影響を受けない。
位置p1乃至p2間におけるw1(k)、w2(k)を求めることによって、タイヤ9のサンプリング重量値wiは、
wi=w1(k)+w2(k)
によって求められ、位置p1乃至p2間のサンプリング重量値の個数をNとすると、タイヤ9の重量測定値W1dは
W1d=Σwi/N
によって求められる。このようにしてW1dを求めることを動的重力測定モードという。
また、上記の動的重量測定モードは、車両が円滑に計量台6上を通過することを前提としている。しかし、タイヤ9が計量台6上にある状態で車両が停止したり、極めて低速でタイヤ9が計量台6上を通過するように車両が走行することがある。こまた、サンプリング時間間隔Tは、w1(k)、w2(k)に重畳されたノイズを減衰させたり、Rwを感度よく正確に測定するために、数m秒の短い時間間隔で設定することが多い。そのため、上述したような場合、ΣWiは極めて大きい値になる。そこで、位置p1が検出された時点から計時するために、カウンタ動作を開始させ、サンプリング時間間隔TごとにインクリメントするタイマT1を設け、このタイマのカウント値Tsが予め定めたNm以上になったとき、wiの累算を注し、重量測定値W1sとして、
W1s=ΣWi/Nm
によって求める。このようにしてW1sを求めることを静的重量測定モードという。
なお、Nmは、w1(k)、w2(k)に低周波ノイズ信号が重畳されていても、上述したように平均化することによって充分に減衰させることができる値に設定してある。
上記の説明から明らかなように、第1の計量器4での重量測定モードは、車両の走行速度状態に応じて、自動的に切り換えられる。
演算回路14において行う第2の計量器16、18の出力信号の処理について説明する。以下の説明は、1つの車輪の重量を測定する場合であるが、以下の説明を基に1つの軸に設けられている2つの車輪の重量(軸重)を測定することは、当業者には自明である。図4(a)は、タイヤ9の接地面を表しており、タイヤ9の接地幅をAi、タイヤ9がサンプリング時間間隔Tごとに移動する距離をDi、タイヤ9の単位面積当たりの荷重をP、接地面積をSとすると、タイヤ9の接地面の全荷重Wは、
W=P*S=P*Σ(Ai*Di)
である。サンプリング時間間隔Tごとにタイヤ9が移動する距離Diは、車速がVであるとすると、図4(a)において
Di=V*T
である。タイヤ9の接地長さL’は、第2の計量器16、18の計量台の長さL2よりも長いので、上述したように、タイヤ接地面全体の荷重はL2部と道路面2とに分割負荷され、タイヤ9の接地面全体の荷重Wに対して、第2の計量器16、18の計量台の長さL2の部分が荷重を受けるとすると、第2の計量器16、18がタイヤ9から受ける荷重の測定値、すなわち第2の計量器16、18の出力信号をサンプリングした重量測定値Wiは、図4(b)より、
Wi=P*Ai*L2
で表される。これを変形すると、
P*Ai=Wi/L2
となり、上記タイヤ接地面の全荷重Wの式、移動距離Diの式、P*Aiの式から、タイヤ9の重量であるタイヤ接地面の全荷重Wは、
W=P*S=P*Σ(Ai*Di)=Σ(P*Ai*Di)=Σ(P*Ai*V*T)
=Σ[(Wi*V*T)/L2]=(V*T/L2)ΣWi
の式で、求められる。第2の計量器16、18の出力信号をw3とし、この出力信号を時間間隔Tごとにサンプリングした重量測定値をw3(k)とすると、
W2d=(V*T/L2)Σw3(k)
と表される。この測定は、車両が一定の速度Vで進行しているときのみタイヤ9の重量を正確に測定可能であり、このようにしてW2dを求めることを第2の計量器における動的重量測定モードという。
上記のようにして、W2dを演算するには、ΣW3(k)の開始タイミング(図2(b)に示す位置p3、p4)を決定する必要がある。p3、p4は、第2の計量器16、18の出力信号w3(k)に対して荷重負荷の方向に予め境界重量Wfを定め、位置p2を決定後に、w3(k)がwfを超えた時点をp3とし、位置p3を決定後であって、w3(k)が零点に戻った後、初めてw3(k)がwfを超えた時点をp4とする。
第2の計量器16、18上にタイヤ9が存在する状態で車両が停止したり、極めて低速でタイヤが計量台上を通過するように車両が進行すると、Σw3(k)の値が膨大になる。そこで、タイマカウンタT4、T5を設け、p3点またはp4点を検出したときからサンプリング時間間隔TごとにT4、T5にカウントさせ、カウント値が予め定めた値Nm1、Nm2を超えると、重量測定値の加算を停止させ、第2の計量器16、18での動的重量測定を停止させる。
第2の計量器16、18での動的重量測定には、第2の計量器16、18を通過する車両の速度が必要である。また、後述するように、第1の計量器4での測定と第2の計量器16、18での測定とを切り換えるために、第2の計量器4を車両が通過する速度を使用する。そのために、演算回路14では、これらの速度測定が行われている。
まず、第1の計量器4上を通過する速度V1の検出について述べる。第1の計量器4において、ロードセル8a、8bが計量台6を支持している点を、図2(a)に示すようにqa、qb点とし、点qa、qb間の距離をAとすると、ロードセル8aの出力信号上の位置p1に対応する位置q1とqa点との距離A1は、点qa、qbでのロードセル8a、8bの出力信号がピークであり、かつ等しいと近似した上で、上述したf1を利用することによって、近似的に
A1≒(1/f1)*A
によって求められる。同様にしてロードセル8bの出力信号上の位置p2に対応する位置q2とqb点との距離もf2とAとによって近似的に求められる。従って、ロードセル8a、8b間の距離Aと、f1、f2を演算回路14に設定することによって、図2(b)に示すL11(位置p1、p2の距離)を自動的に算出する。そして、位置p1からタイマカウンタT1でのカウントを開始し、位置p2でカウントを停止して、カウント値C1が得られると、車速V1は、
V1=L11/C1
によって算出される。
第2の計量器16上を通過する速度V3の検出について述べる。速度V3として、第1の計量器4の計量台6の中央q0から第2の計量器16の入力端q3までを車両が通過する速度を使用する。第2の計量器16の計量台上にタイヤ9が載る直前に速度が急速に変化する可能性は少ないからである。q0点にタイヤ9が到達したとき、ロードセル8a、8bの出力信号w1(k)とw2(k)とは等しくなる。そこで、w1(k)≦w2(k)が始めて成立した時点をq0点とする。また、第2の計量器16の入力端q3にタイヤ9が到達した時点は、位置p3とほぼ一致する。そこで、位置p0からタイマカウンタT3でカウントを開始し、上述した位置p3に到達したときのカウント値C3と、予め設定しておいたq0、q3間の距離L31とを用いて、V3を
V3=L31/(C3*T)
として検出する。Tは上述したサンプリング時間間隔である。
第2の計量器16上を通過する速度V4の検出について述べる。タイマカウンタT3において、位置P4が検出されるまでカウントを継続する。そして、予め設定しておいたq3、q4間の距離L41とし、位置P4でのカウント値をC4とすると、V4は、
V4=L41/[(C4−C3)*T]
によって検出できる。
第1の計量器4に対して車両が停止またはそれに近い状態になることや、遅い場合や、速い場合がある。
車両が停止またはそれに近い状態では、車両の速度を検出するよりも車両が第1の計量台6上に滞在する時間を検出するようにし、滞在時間が上述したNm*Tを超える場合には、上述した静的重量測定モードによる重量測定値W1sを車輪重量測定値とする。静的重量測定モードでの重量測定値W1sは、車両がほぼ停止状態であって、基本的に第1及び第2のロードセル8a、8bの出力信号に含まれる各種ノイズ信号の振幅は小さい上に、ノイズ信号があっても、充分に長いサンプリング測定時間(Nm*T)によってノイズ信号を平滑することができるので、第2の計量器16、18による重量測定値を使用する必要がない。
第1の計量器4に対して車両の速度が遅い場合、車両が走行状態であっても、低速であれば、第1の計量器4では、タイヤ9が道路面2に非接触の状態で或る程度の長さの重量測定時間がとれるので、良好な重量測定値W1dを得ることができる。また測定中に変速しても、1回のサンプリング重量測定値がタイヤ9の荷重を表すので、測定原理上誤差を生じない。
また、第1の計量器4に対して車両の速度が速い場合、第1の計量器4のロードセル8a、8bの出力信号には、車両のバネによる低周波ノイズ信号などによる誤差成分や衝撃荷重によるランダム成分があるが、上述したように車両の速度が速い場合には、測定時間(位置p1からp2を通過する時間)が短くなって、サンプリング数が少なくなるので、ノイズ平滑処理能力が低くなる。従って、第1の計量器4の重量測定値のみを使用すると、誤差が大きくなるので、第1の計量器4の重量測定値に加えて、第2の計量器16、18の重量測定値W2dも使用して、重量測定値を得る。
車両の速度が速くなると、次第にランダムノイズや振動ノイズの振幅が大きくなり、車両の速度が遅い場合に第1の計量器4が持っている高精度という特徴が失われるので、第2の計量器16、18の重量測定値のみを使用することも可能である。但し、車両の速度が速い場合でも、第1の計量器4は、タイヤ9が道路面2に非接触の状態で測定を行っているので、第2の計量器16、18よりも精度が高い場合もあるので、第1及び第2の計量器4、16、18に基づいて重量測定を、この実施形態では行っている。
第1及び第2の計量器4、16、18の重量測定値を使用する場合、各重量測定値の平均値を求めることによって、誤差を相殺することができる。また、低周波ノイズ信号については、計量器の台数が多いほど、周期ノイズ信号の種々の位相点における正負振幅を加算することができるので、ノイズ信号の減衰を大きくできる。ランダムノイズ信号についても、代数が多ければ多いほど、その標準偏差を小さくすることができる。
この第1の計量器4の重量測定値のみを使用するか、第1及び第2の計量器4、16、18の重量測定値を使用するかを決定するために、上記のように求めた車両の速度V1が、予め定めた速度Vh2よりも速いか遅いかを判定する。なお、第2の計量器16に対する車両の速度V3とVh2とを比較することによって、いずれを使用するか決定することも可能である。
第2の計量器16、18での重量測定する際には、上述した測定原理から明らかなように車両の速度が変化すると、重量測定が正確に行えない。また、速度V3、V4として測定した速度と、実際に第2の計量器16、18をタイヤ9が通過する際の速度とが、異なっている場合も同様である。そこで、速度を変化しているかどうか確認するために、速度V1とV2との比率が予め定めた速度変化率の上限境界値Ruと下限境界値Rlとの間に存在するか判定し、第2の計量器16に向かう車両の速度が変化しているか否か判断する。速度V3とV4とについても同様に判断して、第2の計量器18に向かう車両の速度が変化しているか判断する。すなわち、前段の計量器に対する速度に比較して速度の変化率が基準範囲内にあるか判断する。上限境界値Ruと下限境界値Rlとしては、例えば1.05と0.95とを使用することができる。なお、速度の変化率が上限境界値Ruと下限境界値Rlとで規定される範囲外の場合には、その重量測定値は、無効とされる。
なお、第1及び第2の計量器4、16、18の重量測定値を用いて、車輪重量等を測定すると、ランダムノイズを大きく低減することができる。すなわち、第1及び第2の計量器4、16、18の重量測定値をW1d、W2d、W3dとすると、これらはいずれも同一車輪に対する重量測定値であるので、重量測定値W1、W2、W3にそれぞれ標準偏差σ1、σ2、σ3の互いに独立なランダムノイズが重畳していた場合、車輪の重量測定値Wを、
W=(W1d+W2d+W3d)/3
によって平均値を求めることによって得ると、Wとしての標準偏差σは、
σ=(σ1+σ2+σ31/2/3
となるので、仮にσ1、σ2、σ3が全てσ1に等しいとすると、
σ=σ1/31/2
となり、ランダムノイズの減衰に効果をもたらす。従って、第2の計量器の台数が多いほど、ランダムノイズの減衰を大きくすることができる。
この車輪・車軸重量測定システムでの動作を表にして表すと下記のようになる。但し、V1>Vh2の場合において、第2の計量器16、18のうち車両の速度V3、V4の変化率が上限境界値Ruと下限境界値Rlとで規定される範囲外の場合には、その重量測定値は、無効とされ、Wの算出には利用されない。
Figure 2010091372
図5乃至図7に、演算回路14が行う処理のフローチャートを示す。なお、以下の説明で使用する各種カウンタは当初リセットされている。まず、図5に示すように、ロードセル8a、8bの出力信号をデジタル化したw1(k)、w2(k)を基に位置p1にタイヤ9が到達したか判断する(ステップS2)。位置p1の求め方については上述したので説明を省略する。このステップS2の判断の答えがイエスになるまで、ステップS2を繰り返す。この判断の答えがイエスになると、タイマカウンタT1とサンプリング数カウンタNとをそれぞれインクリメントする(ステップS4)。次に、w1(k)、w2(k)を加算してWiを求め(ステップS6)、これを累積カウンタΣWiで累積する(ステップS8)。
次に、位置p0をタイヤが通過したか上述したようにw1(k)、w2(k)を用いて判定する(ステップS10)。この答えがイエスの場合、V3測定用のタイマカウンタT3をインクリメントする(ステップS12)。
ステップS12に続いて、或いはステップS10の判断の答えがノーの場合、w1(k)、w2(k)を基に位置p2にタイヤ9が到達したか判断する(ステップS14)。位置p2の求め方は上述したので説明は省略する。この判断の答えがノーの場合、タイマカウンタT1のカウント値が予め定めたNm以上であるか判断する(ステップS16)。この判断の答えがノーの場合、ステップS4から再び実行する。
ステップS16の答えがイエスの場合、位置p2にタイヤ9が到達する前に、タイマカウンタT1の値がNm以上となっているので、車両は停止しているかそれに近い状態であるので、静的重量測定モードとして累積カウンタΣWiの累積値をNmで除算して測定値W1sを得て、1つの車輪の重量が得られ、この処理を終了する(ステップS18)。
ステップS14の判断の答えがイエスになると、車両の速度V1を、そのときのタイマカウンタT1のカウント値T1と、サンプリング間隔Tと、上述したように予め設定してあるL11とを用いて算出する(ステップS20)。次に、ステップS14の判断の答えがイエスであることにより、第1の計量器4は動的重量測定モードであるので、累積カウンタΣWiの累積値を、サンプリング数カウンタNのカウント値で除算して動的重量W1dを算出する(ステップS22)。
次に、ステップS20で算出した速度V1が予め定めた速度Vh2以下であるか判断し(ステップS24)、この判断の答えがノーの場合、車両の速度は遅いと判断できるので、ステップS22で算出したW1dをそのまま使用して車輪重量が算出され、この処理を終了する。ステップS24の判断の答えがイエスの場合、車両の速度は速いので、W1dのみでは車輪または車軸重量が算出できないので、W1dを記憶する(ステップS26)。
図6に示すように、ステップS26に続いて、タイヤ9が位置p3に到達したか判断する(ステップS28)。この到達したか否かの判断手法は上述したので、説明は省略する。この判断の答えがイエスになるまでステップS28を繰り返し、答えがイエスになると、上述したように予め設定したL31とそのときのタイマカウンタT3のカウント値C3と、サンプリング間隔Tとを用いて、第2の計量器16に向かう車両の速度V2を測定する(ステップS30)。
次に、第2の計量器16での重量測定を終了させるためのカウンタT4をインクリメントし(ステップS32)、ロードセル24a、24bの出力をデジタル化したw3(k)を累積カウンタΣW3で累積する(ステップS34)。そして、タイマカウンタT4のカウント値が予め定めた値Nm1以上であるか判断し(ステップS36)。この判断の答えがノーの場合、ステップS32から繰り返す。
ステップS36の判断の答えがイエスになると、第2の計量器16での動的重量W2dを、ステップS30で算出したV3、サンプリング間隔T、予め設定したL3、累積カウンタΣW3の累積値を用いて算出する(ステップS38)。ステップS38に示す式によってW2dが算出できることについては上述したので、説明は省略する。
次に、タイヤ9が位置p4に到達しか判断する(ステップS40)。この判断手法は上述したので、説明は省略する。ステップS40の判断の答えがイエスになるまでステップS40を繰り返す。ステップS40の判断の答えがイエスになると、上述したようにカウントを継続していたタイマT1のそのときのカウント値C4と、先のカウント値C3と、サンプリング間隔Tと、予め設定したL41とを用いて、第2の計量器18に向かう車両の速度V4を算出する(ステップS42)。
次に、第2の計量器18での重量測定を終了させるためのカウンタT5をインクリメントし(ステップS44)、第2の計量器18のロードセルの出力をデジタル化したw4(k)を累積カウンタΣW4で累積する(ステップS46)。そして、タイマカウンタT5のカウント値が予め定めた値Nm2以上であるか判断し(ステップS48)。この判断の答えがノーの場合、ステップS44から繰り返す。
ステップS48の判断の答えがイエスになると、第2の計量器18での動的重量W3dを、ステップS42で算出したV4、サンプリング間隔T、予め設定したL2、累積カウンタΣW4の累積値を用いて算出する(ステップS50)。ステップS50に示す式によってW3dが算出できることについては上述したので、説明は省略する。
次に、図7に示すように、先に測定した速度V3とV1との比が予め定めた上限境界値Ruと下限境界値Rlとで規定される範囲内にあるか判断する(ステップS52)。この判断の答えがイエスであると、W2dは使用可能な精度を持っているので、W2dを記憶する(ステップS54)。ステップS52の判断の答えがノーの場合にはW2dを記憶しない。ステップS54に続いてまたはステップS52の判断の答えがノーの場合、先に測定した速度V4とV3との比が予め定めた上限境界値Ruと下限境界値Rlとで規定される範囲内にあるか判断する(ステップS56)。この判断の答えがイエスであると、W3dは使用可能な精度を持っているので、W3dを記憶する(ステップS58)。ステップS56の判断の答えがノーの場合にはW3dを記憶しない。ステップS58に続いてまたはステップS56の判断の答えがノーの場合、W1d、W2d、W3dのうち記憶されているものの平均を算出し、車輪の重量を測定する(ステップS60)。
このようにして測定された車輪の重量等は、図1に示す表示器40に表示される。また、上述したL1等のデータは操作部42をユーザが操作することによって演算回路14に設定される。
上記の実施形態では、2台の第2の計量器16、18を使用したが、3台以上の第2の計量器を使用することもできる。第2の計量器の台数を増加させれば増加させるほど、ランダムノイズの影響を軽減することができる。また、第2の計量器の速度の変化率は、前段の計量器に対する速度との比によって算出したが、前段の計量器に対する速度との差の絶対値を算出し、差の絶対値が予め定めた基準値Vd以下であれば、対象としている計量器の測定重量値を車輪の重量を測定するのに使用し、基準値Vdよりも大きければ、対象としている計量器の測定重量値を無効として、車輪の重量を測定するのに使用しないようにすることもできる。但し、基準値Vdの値はそれぞれ速度によって異ならせる。例えば比率Rを1より小さく、例えば0.05と設定しておき、対象とする計量器の速度が例えばV3であるとすると、V3*Rによって基準値Vdを決定し、V3とV1との差の絶対値がVd以上であるか否かを判定する。これは、第2の計量器での測定原理上、速度の誤差率が測定値の誤差率となるからである。
本発明の1実施形態の車輪・車軸重量測定システムのブロック図である。 図1の車輪・車軸重量測定システムの計量器上をタイヤが通過するに連れての各計量器の出力信号の変化を示す図である。 図1の車輪・車軸重量測定システムの第2の計量器の構成を示す正面図、平面図及び側面図である。 図1の車輪・車軸重量測定システムの第2の計量器での計量原理の説明図である。 図1の車輪・車軸重量測定システムのフローチャートの一部を示す図である。 図5のフローチャートに続くフローチャートを示す図である。 図6のフローチャートに続くフローチャートを示す図である。
符号の説明
2 道路面
4 第1の計量器
14 演算回路(処理手段、第1及び第2の重量値測定手段)
16 18 第2の計量器

Claims (4)

  1. 車両の進行方向に、前記車両のタイヤの接地面の長さよりも長い寸法の第1の計量台を有し、前記タイヤの接地面が道路面と非接触状態において前記車両の車輪または車軸重量を測定する第1の計量器と、
    前記車両の進行方向に、前記タイヤの接地面の長さよりも短い寸法の第2の計量台を有し、前記タイヤの接地面が前記道路面と接触状態において前記車両の車輪または車軸重量を測定する少なくとも1台の第2の計量器とを、
    具備し、前記第1及び第2の計量台が前記車両の進行方向に沿って配列され、
    前記車両の速度が予め定めた第1の速度よりも速いとき、少なくとも第2の計量器の重量測定値によって前記車輪または車軸重量を算出し、前記車両の速度が第1の速度よりも遅いとき、第1の計量器の測定値によって車輪または車軸重量を測定するように、第1及び第2の計量器の測定値を処理する処理手段を、有する車輪・車軸重量測定システム。
  2. 請求項1記載の車輪・車軸重量測定システムにおいて、前記車両の速度が第1の速度よりも遅く、前記タイヤが第1の計量器上を予め定めた時間よりも短い時間で通過したとき、前記処理手段は、第1の計量器の測定値を動的重量測定モードで処理し、前記車両の速度が第1の速度よりも遅く、前記車両が第1の計量器上を通過する前に前記予め定めた時間が経過したとき、前記処理手段は、第1の計量器の測定値を静的重量測定モードで処理する車輪・車軸重量測定システム。
  3. 請求項1記載の車輪・車軸重量測定システムにおいて、前記処理手段は、前記車両の速度が予め定めた第1の速度よりも速いとき、第2の計量器の測定値に第1の計量器の測定値も加えて、前記車輪または車軸重量を算出する車輪・車軸重量測定システム。
  4. 請求項3記載の車輪・車軸重量測定システムにおいて、前記第2の計量器は、複数台が前記車両の進行方向に配置され、前記各第2の計量器に対する前記車両の速度の検出手段が設けられ、前記第2の計量器は、前記車両の速度を用いて測定値を出力し、前記車両の速度の検出手段によって検出された前記各第2の計量器に対する車両の速度の変化率が予め定めた許容範囲外である第2の計量器の第2の重量値測定手段の測定値を除外して、前記処理手段が前記車輪または車軸重量を算出する車輪・車軸重量測定システム。
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