本発明の具体的実施形態について、以下に説明する。
第1実施形態に係る軸重測定装置は、図1に示すように、車両100が走行する直線状の走行路200に配置される計量部10と、この計量部10を構成する軸重計12,左側輪重計14および右側輪重計16のそれぞれが接続される指示計50と、を備えている。なお、図1において、車両100は、白矢印300で示される方向に走行し、つまり左側から右側に向かって走行する。また、図1からは分からないが、走行路100の路面は、水平である。このような軸重測定装置は、例えば高速道路の料金所ゲートに適用される。
計量部10を構成する軸重計12,左側輪重計14および右側輪重計16のうち軸重計12は、走行路200の特定位置としての第1測定位置P1に配置されており、当該走行路200を走行する車両100のそれぞれの軸ごとに軸重wXを測定し、厳密には自身に印加された荷重の大きさを表すアナログ荷重信号を出力する。そして、左側輪重計14は、走行路200の第1測定位置P1とは異なる位置、例えば当該第1測定位置P1から車両100の走行方向300に向かって所定の距離L12を置いた左側輪重測定位置としての第2測定位置P2、に配置されており、当該車両100のそれぞれの軸ごとに左側の輪重wLを測定し、厳密には自身に印加された荷重の大きさを表すアナログ荷重信号を出力する。そして、右側輪重計16は、走行路200の第1測定位置P1および第2測定位置P2のそれぞれとはさらに異なる位置、例えば当該第2測定位置P2から車両100の走行方向300に向かって所定の距離L23を置いた右側輪重測定位置としての第3測定位置P3、に配置されており、当該車両100のそれぞれの軸ごとに右側の輪重wRを測定し、厳密には自身に印加された荷重の大きさを表すアナログ荷重信号を出力する。なお、第1測定位置P1および第2測定位置P2の相互間距離L12と、第2測定位置P2および第3測定位置P3の相互間距離L23とは、互いに同じ(L12=L23)であってもよいし、相違(L12≠L23)してもよい。
この計量部10を構成する軸重計12,左側輪重計14および右側輪重計16のそれぞれは、上述の如く指示計50に接続され、詳しくは当該指示計50内の増幅部52に接続される。増幅部52は、軸重計12,左側輪重計14および右側輪重計16のそれぞれに対応する図示しない増幅回路を有しており、これらの増幅回路によって、当該軸重計12,左側輪重計14および右側輪重計16からの各アナログ荷重信号を増幅する。そして、この増幅部52(各増幅回路)による増幅後の各アナログ荷重信号は、A/D変換部54に入力される。なお、増幅部52の入力側または出力側に、当該増幅部52への入力信号または当該増幅部52の出力信号である各アナログ荷重信号のそれぞれに含まれる比較的に高い周波数(例えば100[Hz]以上)のノイズ成分を減衰させるためのフィルタ回路が設けられてもよい。
A/D変換部54は、軸重計12,左側輪重計14および右側輪重計16のそれぞれに対応する図示しないA/D変換回路を有しており、これらのA/D変換回路によって、増幅部52からの各アナログ荷重信号をデジタル荷重信号に変換する。そして、このA/D変換部54(各A/D変換回路)による変換後の各デジタル荷重信号は、軸重演算手段としての演算部56に入力される。
演算部56は、A/D変換部54からの各デジタル荷重信号のそれぞれに対して当該各デジタル荷重信号のそれぞれに含まれる比較的に低い周波数(例えば数十[Hz]程度)のノイズ成分を減衰させるための移動平均処理等の適当なデジタルフィルタリング処理を施す。その上で、演算部56は、このデジタルフィルタリング処理後のデジタル荷重信号に基づいて、後述する如く軸重wXの最終的な測定値WXを求める。
なお、この軸重最終測定値WXの演算を含む演算部56による演算は、当該演算部56が有する図示しないCPU(Central
Processing Unit)が担う。そして、このCPUの動作は、当該演算部56が有する図示しないメモリに記憶されている制御プログラムによって制御される。また、演算部56には、これに各種命令を入力するための命令入力手段としての操作部58と、当該演算部56による制御に応じて各種情報を表示する情報出力手段としての表示部60と、が接続されている。これらの操作部58と表示部60とは、互いに一体化されたものであってもよく、例えばタッチスクリーンであってもよい。そして当然であるが、第1測定位置P1に配置された軸重計12と、第2測定位置P2に配置された左側輪重計14と、第3測定位置P3に配置された右側輪重計16と、のそれぞれについては、事前にゼロ調整およびスパン調整が適切に成されているものとする。
さて、本第1実施形態において、車両100が走行路200を走行すると、当該車両100のそれぞれの車軸ごとに、まず、左側の車輪110および右側の車輪120の両方が第1測定位置P1に配置された軸重計12上を同時に通過する。続いて、左側車輪110が第2測定位置P2に配置された左側輪重計14上を通過し、その後、右側車輪120が第3測定位置P3に配置された右側輪重計16上を通過する。そして、次のような要領で軸重最終測定値WXが求められる。
即ち、左右両車輪110および120が同時に軸重計12上を通過したときの当該軸重計12に対応する上述のデジタルフィルタリング処理後のデジタル荷重信号に基づいて、当該軸重計12による軸重wXの測定値W1Xが求められる。そして、左側車輪110が左側輪重計14上を通過したときの当該左側輪重計14に対応する上述のデジタルフィルタリング処理後のデジタル荷重信号に基づいて、当該左側輪重計14による左側輪重wLの測定値W2Lが求められる。さらに、右側車輪120が右側輪重計16上を通過したときの当該右側輪重計16に対応する上述のデジタルフィルタリング処理後のデジタル荷重信号に基づいて、当該右側輪重計16による右側輪重wRの測定値W3Rが求められる。
その上で例えば、第2測定位置P2に配置された左側輪重計14による左側輪重測定値W2Lと、第3測定位置P3に配置された右側輪重計16による右側輪重測定値W3Rと、の和によって、つまり第2測定位置P2に右側輪重計が配置されていないことに代えて当該第3測定位置P3に配置された右側輪重計16による右側輪重測定値W3Rを利用する次の式23に基づいて、第2測定位置P2における軸重値W2Xが推定される。
《式23》
W2X=W2L+W3R
これと同様に、第3測定位置P3に左側輪重計が配置された右側輪重計16による右側輪重測定値W3Rと、第2測定位置P2に配置された左側輪重計14による左側輪重測定値W2Lと、の和によって、つまり第3測定位置P3に左側輪重計が配置されていないことに代えて当該第2測定位置P2に配置された左側輪重計14による左側輪重測定値W2Lを利用する次の式24に基づいて、第3測定位置P3における軸重値W3Xが推定される。
《式24》
W3X=W2L+W3R
そして、第1測定位置P1における軸重計12による軸重測定値W1Xと、式23に基づく第2測定位置P2における軸重推定値W2Xと、式24に基づく第3測定位置P3における軸重推定値W3Xと、の平均によって、つまり次の式25に基づいて、軸重最終測定値WXが求められる。求められた軸重最終測定値WXは、表示部60に表示される。
《式25》
WX=(W1X+W2X+W3X)/3
=(W1X+2・W2L+2・W3R)/3
この式25によって表される本第1実施形態における軸重最終測定値WXの演算式は、一見すると、上述の式8によって表される従来技術における軸重最終測定値WXの演算式と共通するように思われる。しかしながら、本第1実施形態によれば、上述の各配分値R1およびR2を用いる従来技術とは異なり、当該各配分値R1およびR2を用いることなく軸重最終測定値WXが求められる。従って、本第1実施形態によれば、当該各配分値R1およびR2に含まれる誤差e1およびe2の影響を受ける従来技術に比べて、より精確な軸重最終測定値WXが得られ、つまり走行状態にある車両100の軸重wXのより精確な測定が実現される。
なお、式25を展開すると、次の式26のようになる。
《式26》
WX=(1/3)・W1X+(2/3)・W2L+(2/3)・W3R
この式26から分かるように、本第1実施形態における軸重最終測定値WXの演算においては、左側輪重計14による左側輪重wLの実測値である左側輪重測定値W2Lに対して2/3という重み付けが成されると共に、右側輪重計16による右側輪重wRの実測値である右側輪重測定値W3Rに対しても当該左側輪重測定値W2Lに対するのと同じ2/3という重み付けが成され、さらに、軸重計12による軸重wXの実測値である軸重測定値W1Xに対して1/3という重み付けが成され、その上で、これらの重み付けの結果の総和が軸重最終測定値WXとされる。即ち、軸重最終測定値WXのうちの2/3は、左側輪重測定値W2Lと右側輪重測定値W3Rとに基づき、当該軸重最終測定値WXのうちの残りの1/3は、軸重測定値W1Xに基づく。このように本第1実施形態によれば、軸重測定値W1X,左側輪重測定値W2Lおよび右側輪重測定値W3Rというそれぞれの実測値に対していわゆる有理数による重み付けが成され、この重み付けが成された結果の総和が軸重最終測定値WXとされるので、上述の如く各配分値R1およびR2を用いる従来技術に比べて、つまり当該各配分値R1およびR2に含まれる誤差e1およびe2の影響を受ける従来技術に比べて、より精確な当該軸重最終測定値WXが得られる。
ところで、本第1実施形態における軸重最終測定値WXは、上述の振動力の影響が抑制された精確なものである。これは、第1測定位置P1,第2測定位置P2および第3測定位置P3という互いに異なる位置で得られた軸重測定値W1X,左側輪重測定値W2Lおよび右側輪重測定値W2Rに基づいて、当該軸重最終測定値WXが求められることによる。そこで、本第1実施形態による振動力の影響の抑制効果について、検証する。
まず、比較対照用として、第1測定位置P1,第2測定位置P2および第3測定位置P3のそれぞれに(第1測定位置P1に配置されたのと同様の)軸重計が配置されると共に、これら各軸重計による軸重測定値W1X,W2XおよびW3Xの平均によって、つまり次の式27に基づいて、軸重最終測定値WXが求められる構成を、仮想する。
《式27》
WX=(W1X+W2X+W3X)/3
そして例えば、左右両車輪110および120のそれぞれに加わる振動力によるノイズがa・sin(ω・t)である、とすると、各軸重計による軸重測定値W1X,W2XおよびW3Xは、次の式28,式29および式30のように表される。なお、式28におけるt1は、第1測定位置P1に配置された軸重計による軸重wXの測定タイミングtである。また、式29におけるt2は、第2測定位置P2に配置された軸重計による軸重wXの測定タイミングtであり、式30におけるt3は、第3測定位置P3に配置された軸重計による軸重wXの測定タイミングtである。
《式28》
W1X={wL+a・sin(ω・t1)}+{wR+a・sin(ω・t1)}
=wL+wR+2・a・sin(ω・t1)
《式29》
W2X={wL+a・sin(ω・t2)}+{wR+a・sin(ω・t2)}
=wL+wR+2・a・sin(ω・t2)
《式30》
W3X={wL+a・sin(ω・t3)}+{wR+a・sin(ω・t3)}
=wL+wR+2・a・sin(ω・t3)
そうすると、式27に基づく軸重最終測定値WXは、次の式31にように表される。
《式31》
WX=[{wL+wR+2・a・sin(ω・t1)}+{wL+wR+2・a・sin(ω・t2)}+{wL+wR+2・a・sin(ω・t3)}]/3
=(wL+wR)+{2・a・sin(ω・t1)+2・a・sin(ω・t2)+2・a・sin(ω・t3)}/3
ここで仮に、振動力ノイズa・sin(ω・t)の周波数f(=ω/(2・π))が一定である、としても、走行路200を走行する車両100の速度Vによって、それぞれの軸重計に加わる当該振動力ノイズa・sin(ω・t)の位相が変わり、つまり第1測定位置P1における軸重測定値W1X(式28)に含まれる振動力ノイズ成分2・a・sin(ω・t1),第2測定位置P2における軸重測定値W2X(式29)に含まれる振動力ノイズ成分2・a・sin(ω・t2)および第3測定位置P3における軸重測定値W3X(式30)に含まれる振動力ノイズ成分2・a・sin(ω・t3)のそれぞれの大きさが変わる。また例えば、上述した高速道路の料金所ゲートへの適用においては、車両100の速度Vは数[km/h]〜数十[km/h](100[km/h]付近)という比較的に広範囲に及ぶ。これらのことを鑑みると、当該振動力ノイズa・sin(ω・t)は、一種のランダムノイズである、と見なすことができる。
その上で例えば、左右両車輪110および120のそれぞれに加わる振動力ノイズa・sin(ω・t)のバラツキ量nbの標準偏差σがσ=2・αである、とすると、式31(式27)に基づく軸重最終測定値WXの当該振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbは、次の式32の如くNb≒2.309・αとなる。
《式32》
Nb=[{2・(2・α)}2+{2・(2・α)}2+{2・(2・α)}2]1/2/3≒2.309・α
これは即ち、1つ1つの軸重計については、それぞれの軸重測定値W1X,W2XおよびW3Xに含まれる振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量NbがNb=2・(2・α)=4・αであるところ、これら各軸重測定値W1X,W2XおよびW3Xの平均が軸重最終測定値WXとされることで、当該軸重最終測定値WXの振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量NbがNb≒2.309・αにまで抑制されること、つまり比較対照用の構成によれば振動力の影響に対してそれだけの抑制効果が得られること、を意味する。
このことを踏まえて、本第1実施形態における軸重最終測定値WXの演算式である上述の式25に注目すると、この式25に含まれる第1測定位置P1における軸重測定値W1Xは、式28と同様、次の式33のように表される。なお、この式33において、t1は、第1測定位置P1に配置された軸重計12による軸重wXの測定タイミングtである。
《式33》
W1X={wL+a・sin(ω・t1)}+{wR+a・sin(ω・t1)}
=wL+wR+2・a・sin(ω・t1)
そして、式25に含まれる第2測定位置P2における左側輪重測定値W2Lは、次の式34のように表される。なお、この式34におけるt2は、第2測定位置P2に配置された左側輪重計14による左側輪重wLの測定タイミングtである。
《式34》
W2L=wL+a・sin(ω・t2)
さらに、式25に含まれる第3測定位置P3における右側輪重測定値W3Rは、次の式35のように表される。なお、この式35におけるt3は、第3測定位置P3に配置された右側輪重計16による右側輪重wRの測定タイミングtである。
《式35》
W3R=wR+a・sin(ω・t3)
そうすると、式25に基づく軸重最終測定値WXは、次の式36のように表される。
《式36》
WX=[{wL+wR+2・a・sin(ω・t1)}+2・{wL+a・sin(ω・t2)}+2・{wR+a・sin(ω・t3)}]/3
=(wL+wR)+{2・a・sin(ω・t1)+2・a・sin(ω・t2)+2・a・sin(ω・t3)}/3
この式36は、上述の式31によって表される比較対照用の構成の軸重最終測定値WXと同じ結果となる。従って、この式36(式25)に基づく本第1実施形態の軸重最終測定値WXの振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbは、比較対照用の構成におけるのと同様のNb≒2.309・αとなる。即ち、本第1実施形態によれば、振動力の影響に対して比較対照用の構成によるのと同等の抑制効果が得られる。しかも、本第1実施形態によれば、3つの軸重計を備える比較対照用の構成に比べて、装置全体の構成が簡素であり、その分、当該装置全体の低コスト化が図られる。要するに、本第1実施形態によれば、比較対照用の構成よりも装置全体の構成の簡素化および低コスト化を図りつつ、振動力の影響に対して当該比較対照用の構成によるのと同等の抑制効果を発揮することができる。
因みに、上述した従来技術においても、軸重最終測定値WXの振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbは、本第1実施形態におけるのと同じNb≒2.309・αとなる。ただし、当該従来技術では、上述の如く各配分値R1およびR2に含まれる誤差e1およびe2の影響を受けるため、このバラツキ量Nbとは別の次元で軸重最終測定値Wxが不精確なものとなり、軸重wXの測定精度が低下する。ゆえに、本第1実施形態によれば、従来技術よりも精確な軸重wXの測定が実現される。
なお例えば、第1測定位置P1に配置される軸重計12としては、図2に示すように、車両100の走行方向300における車輪載置面(上面)の寸法Lmが当該車両100の各車輪110および120それぞれの接地長Laよりも短い言わば動的測定方式のものが、採用されてもよい。この動的測定方式の軸重計12によれば、各車輪110および120のそれぞれが走行路200の路面から離れることがないので、軸重wXの測定に際しては、車両100が走行状態にあることが必要とされる。その一方で、図示は省略するが、車両100の走行方向300における車輪載置面の寸法が各車輪110および120のそれぞれの接地長Laよりも長い言わば任意測定方式のものに比べて、この動的測定方式の軸重計12は、廉価である。従って、この廉価な動的測定方式の軸重計12が採用されることによって、当該軸重計12を含む装置全体の低コスト化が図られる。この動的測定方式の軸重計12による軸重wXの具体的な測定要領については、例えば特開2010−216828号公報の明細書の第0033段落に開示されており、公知であるので、ここでは、その説明を省略する。また、任意測定方式のものによる軸重wXの具体的な測定要領についても、当該特開2010−216828号公報の明細書の第0025段落〜第0030段落に開示されており、公知であるので、ここでの説明を省略する。この任意測定方式のものによれば、車両100が停止状態にある場合や極めて低速で走行している場合にも対応することができる。
このことは、第2測定位置P2に配置される左側輪重計14および第3測定位置P3に配置される右側輪重計16のそれぞれについても、同様である。即ち、これら左側輪重計14および右側輪重計16のそれぞれについても、例えば動的測定方式のものが採用されることによって、当該左側輪重計14および右側輪重計16のそれぞれを含む軸重測定装置全体の低コスト化が図られる。一方、当該左側輪重計14および右側輪重計16のそれぞれについて、任意測定方式のものが採用されれば、車両100が停止(静止)状態にある場合や極めて低速で走行している場合にも対応することができる。
また例えば、第2測定位置P2に注目すると、この第2測定位置P2においては、右側輪重計が配置されていないので、もし、当該第2測定位置P2に配置された左側輪重計14の車輪載置面の高さと、この左側輪重計14の右横方における走行路200の路面の高さとが、互いに一致しておらず、相違すると、当該左側輪重計14による左側輪重測定値W2Lにいわゆる偏荷重の影響が現れる。この偏荷重の影響を排除するべく、次のような要領で左側輪重計14の車輪載置面の高さ調整が行われてもよい。
まず、静止状態で左右両輪重wLおよびwRが互いに等価(wL=wR)になるように設定されたテスト用の車両100が用意される。また、このテスト用車両100について、上述の振動力ノイズa・sin(ω・t)の周期T(=1/f=2・π/ω)が適当な方法で測定される。加えて、このテスト用車両100が第1測定位置P1から第2測定位置P2に移動するのに要する時間が振動力ノイズa・sin(ω・t)の周期Tと等価になるような当該テスト用車両100の速度V(=L12/T)が求められる。その上で、テスト用車両100が当該速度Vで走行路200を走行し、このときの第2測定位置P2に配置された左側輪重計14による左側輪重測定値W2Lが第1測定位置P1に配置された軸重計12による軸重測定値W1Xの1/2と等価(W2L=W1X/2)になるように、当該左側輪重計14の車輪載置面の高さが調整される。この高さ調整は、例えば左側輪重計14の基礎部(土台部)の高さが調整されることによって実現される。これに代えて、左側輪重計14の右横方における走行路200の路面の高さが調整されてもよい。
これと同じ要領で、第3測定位置P3に配置された右側輪重計16についても、その車輪載置面の高さ調整が行われてもよい。即ち、テスト用車両100が第1測定位置P1から第3測定位置P3に移動するのに要する時間が振動力ノイズa・sin(ω・t)の周期Tと等価になるような当該テスト用車両100の速度V(=(L12+L23)/T)が求められる。その上で、テスト用車両100が当該速度Vで走行路200を走行し、このときの第3測定位置P3に配置された右側輪重計16による右側輪重測定値W3Rが第1測定位置P1に配置された軸重計12による軸重測定値W1Xの1/2と等価(W3R=W1X/2)になるように、当該右側輪重計16の車輪載置面の高さが調整され、または、当該右側輪重計16の左横方における走行路200の路面の高さが調整される。
本第1実施形態においては、第1測定位置P1に軸重計12が配置され、第2測定位置P2に左側輪重計14が配置され、第3測定位置P3に右側輪重計16が配置されたが、これに限らない。即ち、これら軸重計12,左側輪重計14および右側輪重計16の配置順は、図1に示した順番に限らず、適宜に定められてもよい。
また、軸重計12,左側輪重計14および右側輪重計16については、それぞれの荷重検出部にロードセルが設けられたものが適当であるが、これ以外のもの、例えば当該荷重検出部に上述の従来技術におけるのと同様の水晶圧電式センサが設けられたものが、採用されもよい。
次に、本発明の第2実施形態について、説明する。
本第2実施形態に係る軸重測定装置は、図3に示すように、図1に示した第1実施形態における軸重計12に代えて、第2測定位置に配置されたのと同様の左側輪重計20と、第3測定位置P3に配置されたのと同様の右側輪重計22とが、第1測定位置P1に配置されたものである。なお、これら左側輪重計20および右側輪重計22もまた、指示計50に接続され、詳しくは当該指示計50内の増幅部52に接続される。増幅部52は、これら左側輪重計20および右側輪重計22のそれぞれに対応する図示しない増幅回路を有しており、A/D変換部54もまた、当該左側輪重計20および右側輪重計22のそれぞれに対応する図示しないA/D変換回路を有している。そして、A/D変換部54による変換後の当該左側輪重計20および右側輪重計22のそれぞれに対応するデジタル荷重信号に対しても、上述したのと同様のデジタルフィルタリング処理が施され、このデジタルフィルタリング処理後の当該左側輪重計20および右側輪重計22のそれぞれに対応するデジタル荷重信号が、軸重最終測定値WXの演算に供される。
本第2実施形態によれば、車両100が走行路200を走行すると、当該車両100のそれぞれの車軸ごとに、まず、左側車輪110が第1測定位置P1に配置された左側輪重計20上を通過し、これと同時に、右側車輪120が当該第1測定位置P1に配置された右側輪重計22上を通過する。続いて、左側車輪110が第2測定位置P2に配置された左側輪重計14上を通過し、その後、右側車輪120が第3測定位置P3に配置された右側輪重計16上を通過する。そして、次の要領で軸重最終測定値WXが求められる。
即ち、左側車輪110が第1測定位置P1に配置された左側輪重計20上を通過したときの当該左側輪重計20に対応するデジタルフィルタリング処理後のデジタル荷重信号に基づいて、当該左側輪重計20による左側輪重wLの測定値W1Lが求められる。併せて、右側車輪120が第1測定位置P1に配置された右側輪重計22上を通過したときの当該右側輪重計22に対応するデジタルフィルタリング処理後のデジタル荷重信号に基づいて、当該右側輪重計22による右側輪重wRの測定値W1Rが求められる。そして、左側車輪110が第2測定位置P2に配置された左側輪重計14上を通過したときの当該左側輪重計14に対応する上述のデジタルフィルタリング処理後のデジタル荷重信号に基づいて、当該左側輪重計14による左側輪重wLの測定値W2Lが求められる。さらに、右側車輪120が第3測定位置P3に配置された右側輪重計16上を通過したときの当該右側輪重計16に対応する上述のデジタルフィルタリング処理後のデジタル荷重信号に基づいて、当該右側輪重計16による右側輪重wRの測定値W3Rが求められる。
その上で、第1測定位置P1に配置された左側輪重計20による左側輪重測定値W1Lと、当該第1測定位置P1に配置された右側輪重計22による右側輪重測定値W1Rと、の和によって、つまり次の式37に基づいて、当該第1測定位置P1における軸重wXの測定値W1Xが求められる。なお、この式37は、上述の従来技術における第1測定位置P1での軸重測定値W1Xの演算式である式5と共通する。
《式37》
W1X=W1L+W1R
そして、第1実施形態と同様、上述の式23に基づいて、第2測定位置P2における軸重値W2Xが推定される。併せて、上述の式23に基づいて、第3測定位置P3における軸重値W3Xが推定される。そして、上述の式25に準拠する次の式38に基づいて、軸重最終測定値WXが求められる。求められた軸重最終測定値WXは、表示部60に表示される。
《式38》
WX=(W1X+W2X+W3X)/3
=(W1L+W1R+2・W2L+2・W3R)/3
この式38から分かるように、本第2実施形態においても、上述の従来技術とは異なり、各配分値R1およびR2を用いることなく軸重最終測定値WXが求められる。従って、本第2実施形態によれば、当該従来技術よりも精確な軸重wXの測定が実現される。
なお、式38を展開すると、次の式39のようになる。
《式39》
WX=(1/3)・W1L+(1/3)・W1R+(2/3)・W2L+(2/3)・W3R
この式39から分かるように、本第2実施形態における軸重最終測定値WXの演算においては、第1測定位置P1に配置された左側輪重計20による左側輪重wLの実測値である左側輪重測定値W1Lに対して1/3という重み付けが成されると共に、第2測定位置P2に配置された左側輪重計14による左側輪重wLの実測値である左側輪重測定値W2Lに対して2/3という重み付けが成され、つまり全ての左側輪重測定値W1LおよびW2Lに対して総合的に1という重み付けが成される。一方、第1測定位置P1に配置された右側輪重計22による右側輪重wRの実測値である右側輪重測定値W1Rに対して1/3という重み付けが成されると共に、第3測定位置P3に配置された右側輪重計16による右側輪重wRの実測値である右側輪重測定値W3Rに対して2/3という重み付けが成され、つまり全ての右側輪重測定値W1RおよびW3Rに対しても全ての左側輪重測定値W1LおよびW2Lに対するのと同じ総合的に1という重み付けが成される。そして、これら総合的な重み付けが成された結果の総和が軸重最終測定値WXとされる。即ち、軸重最終測定値WXのうちの1/2は、左側輪重測定値W1LおよびW2Lに基づき、当該軸重最終測定値WXのうちの残りの1/2は、右側輪重測定値W1RおよびW3Rに基づく。このように本第2実施形態によれば、全ての左側輪重測定値W1LおよびW2Lならびに全ての右側輪重測定値W1RおよびW3Rというそれぞれの実測値に対して有理数による重み付けが成され、この重み付けが成された結果の総和が軸重最終測定値WXとされるので、上述の各配分値R1およびR2を用いる従来技術に比べて、より精確な当該軸重最終測定値WXが得られる。
また、本第2実施形態によれば、振動力の影響に対して第1実施形態と同等の抑制効果が得られる。
即ち、本第2実施形態における第1測定位置P1に配置された左側輪重計20による左側輪重測定値W1Lは、次の式40のように表される。この式40において、t1は、当該第1測定位置P1に配置された左側輪重計20による左側輪重wLの測定タイミングtである。
《式40》
W1L=wL+a・sin(ω・t1)
これと同様に、第1測定位置P1に配置された右側輪重計22による右側輪重測定値W1Rは、次の式41のように表される。この式41におけるt1は、式40におけるのと同じであるが、厳密には第1測定位置P1に配置された右側輪重計22による右側輪重wRの測定タイミングtである。
《式41》
W1R=wR+a・sin(ω・t1)
そうすると、式38に基づく軸重最終測定値WXは、上述の式33および式34をも参酌して、次の式42のように表される。
《式42》
WX=[{wL+a・sin(ω・t1)}+{wR+・a・sin(ω・t1)}+2・{wL+a・sin(ω・t2)}+2・{wR+a・sin(ω・t3)}]/3
=(wL+wR)+{2・a・sin(ω・t1)+2・a・sin(ω・t2)+2・a・sin(ω・t3)}/3
この式42は、上述の式36によって表される第1実施形態の軸重最終測定値WXと同じ結果になる。従って、この式42(式38)に基づく本第2実施形態の軸重最終測定値WXの振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbは、第1実施形態と同様のNb≒2.309・αとなる。ゆえに、本第2実施形態においても、上述の如く振動力の影響に対して第1実施形態と同等の抑制効果が得られる。
また、本第2実施形態においても、第2測定位置P2に配置された左側輪重計14および第3測定位置P3に配置された右側輪重計16のそれぞれの車輪載置面の高さを調整することができる。それに先立って、第1測定位置P1に配置された左側輪重計20および右側輪重計22のそれぞれの車輪載置面の高さが調整される。
具体的には、まず、第1実施形態におけるのと同様のテスト用車両100が用意される。そして、このテスト用車両100が適当な速度Vで走行路200を走行する。或いは、テスト用車両100が停止された状態で、その適当な車軸の左側車輪110が第1測定位置P1の左側輪重計20上に載置されると共に、同じ車軸の右側車輪120が当該第1測定位置P1の右側輪重計22に載置される。そして、このときに得られる左側輪重計20による左側輪重測定値W1Lと右側輪重計22による右側輪重測定値W1Rとが互いに等価(W1L=W1R)になるように、当該左側輪重計20および右側輪重計22の一方または両方の車輪載置面の高さが調整される。
このようにして第1測定位置P1の左側輪重計20および右側輪重計22のそれぞれの車両載置面高さが調整された後、続いて、第2測定位置P2の左側輪重計14の車両載置面高さを調整するべく、テスト用車両100が第1測定位置P1から第2測定位置P2に移動するのに要する時間が振動力ノイズa・sin(ω・t)の周期Tと等価になるような当該テスト用車両100の速度V(=L12/T)が求められる。その上で、テスト用車両100が当該速度Vで走行路200を走行し、このときの第2測定位置P2の左側輪重計14による左側輪重測定値W2Lが第1測定位置P1の左側輪重計20による左側輪重測定値W1Lと等価(W2L=W1L)になるように、当該第2測定位置P2の左側輪重計14の車輪載置面高さが調整され、または、当該左側輪重計14の右横方における走行路200の路面の高さが調整される。
これと同じ要領で、第3測定位置P3の右側輪重計16の車輪載置面高さが調整される。即ち、テスト用車両100が第1測定位置P1から第3測定位置P3に移動するのに要する時間が振動力ノイズa・sin(ω・t)の周期Tと等価になるような当該テスト用車両100の速度V(=(L12+L23)/T)が求められる。その上で、テスト用車両100が当該速度Vで走行路200を走行し、このときの第3測定位置P3の右側輪重計16による右側輪重測定値W3Rが第1測定位置P1の右側輪重計22による右側輪重測定値W1Rと等価(W3R=W1R)になるように、当該第3測定位置P3の右側輪重計16の車輪載置面高さが調整され、または、当該右側輪重計16の左横方における走行路200の路面の高さが調整される。
さらに、本第2実施形態において、第1測定位置P1の左側輪重計20および右側輪重計22は、上述した動的測定方式のものであっても、任意測定方式のものであってもよい。ただし、当該左側輪重計20および右側輪重計22としては、互いに同じ仕様のものが採用される。
次に、本発明の第1の参考例について、説明する。
本第1の参考例に係る軸重測定装置は、ハードウェア構成としては、図3に示した第2実施形態におけるのと同じであるが、上述の制御プログラムに従うソフトウェア構成が、とりわけ軸重最終測定値WXの演算要領が、当該第2実施形態におけるのと異なる。
即ち、本第1の参考例においては、第1測定位置P1の左側輪重計20による左側輪重測定値W1Lと、第2測定位置P2の左側輪重計14による左側輪重測定値W2Lと、の平均によって、つまり次の式43の如く全ての左側輪重測定値W1LおよびW2Lの平均によって、左側輪重平均測定値WLが求められる。
《式43》
WL=(W1L+W2L)/2
そして、第1測定位置P1の右側輪重計22による右側輪重測定値W1Rと、第3測定位置P3の右側輪重計16による右側輪重測定値W3Rと、の平均によって、つまり次の式44の如く全ての右側輪重測定値W1RおよびW3Rの平均によって、右側輪重平均測定値WRが求められる。
《式44》
WR=(W1R+W3R)/2
その上で、式43に基づく左側輪重平均測定値WLと、式44に基づく右側輪重平均測定値WRと、の和によって、つまり次の式45に基づいて、軸重最終測定値WXが求められる。求められた軸重最終測定値WXは、表示部60に表示される。
《式45》
WX=WL+WR
このように本第1の参考例においても、上述の従来技術とは異なり、各配分値R1およびR2を用いることなく軸重最終測定値WXが求められる。従って、本第1の参考例によれば、当該従来技術よりも精確な軸重wXの測定が実現される。
なお、式43および式44を含む式45を展開すると、次の式46のようになる。
《式46》
WX=(1/2)・W1L+(1/2)・W2L+(1/2)・W1R+(1/2)・W3R
この式46から分かるように、本第1の参考例における軸重最終測定値WXの演算においては、第1測定位置P1に配置された左側輪重計20による左側輪重wLの実測値である左側輪重測定値W1Lに対して1/2という重み付けが成されると共に、第2測定位置P2に配置された左側輪重計14による左側輪重wLの実測値である左側輪重測定値W2Lに対して1/2という重み付けが成され、つまり全ての左側輪重測定値W1LおよびW2Lに対して総合的に1という重み付けが成される。一方、第1測定位置P1に配置された右側輪重計22による右側輪重wRの実測値である右側輪重測定値W1Rに対して1/2という重み付けが成されると共に、第3測定位置P3に配置された右側輪重計16による右側輪重wRの実測値である右側輪重測定値W3Rに対して1/2という重み付けが成され、つまり全ての右側輪重測定値W1RおよびW3Rに対しても全ての左側輪重測定値W1LおよびW2Lに対するのと同じ総合的に1という重み付けが成される。そして、これら総合的な重み付けが成された結果の総和が軸重最終測定値WXとされる。即ち、軸重最終測定値WXのうちの1/2は、左側輪重測定値W1LおよびW2Lに基づき、当該軸重最終測定値WXのうちの残りの1/2は、右側輪重測定値W1RおよびW3Rに基づく。このことは、上述の第2実施形態と共通する。このように本第3実施形態によれば、第2実施形態と同様、全ての左側輪重測定値W1LおよびW2Lならびに全ての右側輪重測定値W1RおよびW3Rというそれぞれの実測値に対して有理数による重み付けが成され、この重み付けが成された結果の総和が軸重最終測定値WXとされるので、上述の各配分値R1およびR2を用いる従来技術に比べて、より精確な当該軸重最終測定値WXが得られる。
そして、本第1の参考例における軸重最終測定値WXの上述した振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbは、Nb≒2.450・αとなる。
具体的には、式45に基づく軸重最終測定値WXは、上述の式34,式35,式40および式41を参酌して、次の式47のように表される。
《式47》
WX=[{wL+a・sin(ω・t1)}+{wL+a・sin(ω・t2)}]/2+[{wR+a・sin(ω・t1)}+{wR+a・sin(ω・t3)}]/2
=(wL+wR)+a・sin(ω・t1)+{a・sin(ω・t2)}/2+{a・sin(ω・t3)}/2
この式47から、当該式47(式45)に基づく軸重最終測定値WXの振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbは、次の式48の如くNb≒2.450・αとなる。
《式48》
Nb={(2・α)2+α2+α2}1/2≒2.450・α
このように本第1の参考例によれば、第1実施形態および第2実施形態(Nb=2.309・α)に比べて、軸重最終測定値WXの振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbは僅かに大きいが、当該振動力の影響に対して十分な抑制効果が得られる。
次に、本発明の第3実施形態について、説明する。
本第3実施形態に係る軸重測定装置は、図4に示すように、図1に示した第1実施形態における計量部10に対して、さらにもう1つ左側軸重計30が設けられたものである。具体的には、当該左側輪重計30は、走行路200の第3測定位置P3から車両100の走行方向300に向かって所定の距離L34を置いた第4測定位置P4に配置されている。そして、この左側輪重計30は、車両100のそれぞれの軸ごとに左側輪重wLを測定し、厳密には自身に印加された荷重の大きさを表すアナログ荷重信号を出力する。なお、第3測定位置P3および第4測定位置P4の相互間距離L34は、第1測定位置P1および第2測定位置P2の相互間距離L12と、第2測定位置P2および第3測定位置P3の相互間距離L23と、のいずれかと同じ(L34=L12またはL34=L23)であってもよいし、いずれとも相違(L34≠L12およびL34≠L23)してもよい。また、この左側輪重計30も、指示計50に接続され、詳しくは当該指示計50内の増幅部52に接続される。増幅部52は、この左側輪重計30に対応する図示しない増幅回路を有しており、A/D変換部54もまた、当該左側輪重計30に対応する図示しないA/D変換回路を有している。そして、A/D変換部54による変換後の当該左側輪重計30に対応するデジタル荷重信号に対しても、上述したのと同様のデジタルフィルタリング処理が施され、このデジタルフィルタリング処理後の当該左側輪重計30に対応するデジタル荷重信号は、軸重最終測定値WXの演算に供される。
本第3実施形態によれば、車両100が走行路200を走行して、当該車両100のそれぞれの車軸ごとに、右側車輪120が第3測定位置P3の右側輪重計16上を通過した後、さらに、左側車輪110が第4測定位置P4の左側輪重計30上を通過する。そして、この左側車輪110が第4測定位置P4の左側輪重計30上を通過したときの当該左側輪重計30に対応する上述のデジタルフィルタリング処理後のデジタル荷重信号に基づいて、当該左側輪重計30による左側輪重wLの測定値W4Lが求められる。
《式49》
WX={W1X+(W2L+W4L)/2+W3R}/2
即ち、この式49によれば、まず、第2測定位置P2の左側輪重計14による左側輪重測定値W2Lと、第4測定位置P4の左側輪重計30による左側輪重測定値W4Lと、の平均によって、つまり全ての左側輪重測定値W2LおよびW4Lの平均によって、左側輪重wLの平均測定値(=(W2L+W4L)/2)が求められる。そして、この左側輪重平均測定値と、第3測定位置P3の右側輪重計16による右側輪重測定値W3Rと、の和(=(W2L+W4L)/2+W3R)によって、軸重wXが推定される。さらに、この軸重推定値と、第1測定位置P1の軸重計12による軸重測定値W1Xと、の平均(={W1X+(W2L+W4L)/2+W3R}/2)によって、軸重最終測定値WXが求められる。求められた軸重最終測定値WXは、表示部60に表示される。
このように本第3実施形態においても、上述の従来技術とは異なり、各配分値R1およびR2を用いることなく軸重最終測定値WXが求められる。従って、本第3実施形態によれば、当該従来技術よりも精確な軸重wXの測定が実現される。
なお、式49を展開すると、次の式50のようになる。
《式50》
WX=(1/2)・W1X+(1/4)・W2L+(1/4)・W4L+(1/2)・W3R
この式50から分かるように、本第3実施形態における軸重最終測定値WXの演算においては、第2測定位置P2に配置された左側輪重計14による左側輪重wLの実測値である左側輪重測定値W2Lに対して1/4という重み付けが成されると共に、第4測定位置P4に配置された左側輪重計30による左側輪重wLの実測値である左側輪重測定値W4Lに対して1/4という重み付けが成され、つまり全ての左側輪重測定値W2LおよびW4Lに対して総合的に1/2という重み付けが成される。そして、第3測定位置P3に配置された右側輪重計16による右側輪重wRの実測値である右側輪重測定値W3Rに対して1/2という重み付けが成され、つまり全ての右側輪重測定値W3Rに対して当該1/2という重み付けが成される。さらに、軸重計12による軸重wXの実測値である軸重測定値W1Xに対して1/2という重み付けが成され、その上で、これらの重み付けの結果の総和が軸重最終測定値WXとされる。即ち、軸重最終測定値WXのうちの1/2は、全ての左側輪重測定値W2LおよびW4Lと右側輪重測定値W3Rとに基づき、当該軸重最終測定値WXのうちの残りの1/2は、軸重測定値W1Xに基づく。このように本第4実施形態によれば、全ての実測値W1X,W2L,W3RおよびW4Lに対して有理数による重み付けが成され、この重み付けが成された結果の総和が軸重最終測定値WXとされるので、上述の各配分値R1およびR2を用いる従来技術に比べて、より精確な当該軸重最終測定値WXが得られる。
そして、本第3実施形態における軸重最終測定値WXの上述した振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbは、Nb≒2.345・αとなる。
具体的には、第4測定位置P4に配置された左側輪重計30による左側輪重値W4Lは、次の式51のように表される。この式51において、t4は、当該第4測定位置P4に配置された左側輪重計30による左側輪重wLの測定タイミングtである。
《式51》
W4L=wL+a・sin(ω・t4)
そうすると、式49に基づく軸重最終測定値WXは、上述の式33,式34および式35をも参酌して、次の式52のように表される。
《式52》
WX=[{wL+wR+2・a・sin(ω・t1)}+[{wL+a・sin(ω・t2)}+{wL+a・sin(ω・t4)}]/2+{wR+a・sin(ω・t3)}]/2
=(wL+wR)+a・sin(ω・t1)+{a・sin(ω・t2)}/4+{a・sin(ω・t4)}/4+{a・sin(ω・t3)}/2
この式53から、当該式53(式49)に基づく軸重最終測定値WXの振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbは、次の式53の如くNb≒2.345・αとなる。
《式53》
Nb={(2・α)2+(α/2)2+(α/2)2+α2}1/2≒2.345・α
このように本第3実施形態によれば、第1実施形態および第2実施形態(Nb≒2.309・α)に比べて、軸重最終測定値WXの振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbは僅かに大きいが、第1の参考例(Nb≒2.450・α)に比べて、当該バラツキ量Nbは小さく、つまり振動力の影響に対して十分な抑制効果が得られる。
なお、第4測定位置P4の左側輪重計30は、上述した動的測定方式のものであっても、任意測定方式のものであってもよい。また、当該第4測定位置P4の左側輪重計30についても、上述したのと同じ要領で、その車輪載置面の高さを調整し、または、当該左側輪重計30の右横方における走行路200の高さを調整することができる。
次に、本発明の第4実施形態について、説明する。
本第4実施形態に係る軸重測定装置は、図5に示すように、図4に示した第3実施形態における軸重計12に代えて、図3に示した第2実施形態におけるのと同様の一対の左側輪重計20および右側輪重計22が、第1測定位置P1に配置されたものである。言い換えれば、図3に示した第2実施形態における計量部10に対して、図4に示した第3実施形態におけるのと同様のさらにもう1つの左側輪重計30が、第4測定位置P4に設けられたものである。
本第4実施形態によれば、第1参考例と同様、全ての左側輪重計20、14および30による左側輪重測定値W1L,W2LおよびW4Lの平均によって、つまり次の式54に基づいて、左側輪重平均測定位置WLが求められる。
《式54》
WL=(W1L+W2L+W4L)/3
そして、全ての右側輪重計22および16による右側輪重測定値W1RおよびW3Rの平均によって、つまり上述の式44と同様の次の式55に基づいて、右側輪重平均測定値WRが求められる。
《式55》
WR=(W1R+W3R)/2
その上で、式54に基づく左側輪重平均測定値WLと、式55に基づく右側輪重平均測定値WRと、の和によって、つまり上述の式45と同様の次の式56に基づいて、軸重最終測定値WXが求められる。求められた軸重最終測定値WXは、表示部60に表示される。
《式56》
WX=WL+WR
このように本第4実施形態においても、上述の従来技術とは異なり、各配分値R1およびR2を用いることなく軸重最終測定値WXが求められる。従って、本第4実施形態によれば、当該従来技術よりも精確な軸重wXの測定が実現される。
なお、式54および式55を含む式56を展開すると、次の式57のようになる。
《式57》
WX=(1/3)・W1L+(1/3)・W2L+(1/3)・W4L+(1/2)・W1R+(1/2)・W3R
この式57から分かるように、本第4実施形態における軸重最終測定値WXの演算においては、第1測定位置P1に配置された左側輪重計20による左側輪重wLの実測値である左側輪重測定値W1Lに対して1/3という重み付けが成されると共に、第2測定位置P2に配置された左側輪重計14による左側輪重wLの実測値である左側輪重測定値W2Lに対して1/3という重み付けが成され、さらに、第4測定位置P4に配置された左側輪重計30による左側輪重wLの実測値である左側輪重測定値W4Lに対して1/3という重み付けが成され、つまり全ての左側輪重測定値W1L,W2LおよびW4Lに対して総合的に1という重み付けが成される。一方、第1測定位置P1に配置された右側輪重計22による右側輪重wRの実測値である右側輪重測定値W1Rに対して1/2という重み付けが成されると共に、第3測定位置P3に配置された右側輪重計16による右側輪重wRの実測値である右側輪重測定値W3Rに対して1/2という重み付けが成され、つまり全ての右側輪重測定値W1RおよびW3Rに対しても総合的に1という重み付けが成される。そして、これら総合的な重み付けが成された結果の総和が軸重最終測定値WXとされる。即ち、軸重最終測定値WXのうちの1/2は、左側輪重測定値W1L,W2LおよびW4Lに基づき、当該軸重最終測定値WXのうちの残りの1/2は、右側輪重測定値W1RおよびW3Rに基づく。このことは、第1の参考例と共通する。このように本第4実施形態によれば、第1の参考例と同様、全ての左側輪重測定値W1L,W2LおよびW4Lならびに全ての右側輪重測定値W1RおよびW3Rというそれぞれの実測値に対して有理数による重み付けが成され、この重み付けが成された結果の総和が軸重最終測定値WXとされるので、上述の各配分値R1およびR2を用いる従来技術に比べて、より精確な当該軸重最終測定値WXが得られる。
そして、本第4実施形態における軸重最終測定値WXの上述した振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbは、Nb≒1.826・αとなる。
具体的には、式56に基づく軸重最終測定値WXは、上述の式34,式35,式40,式41および式51を参酌して、次の式58のように表される。
《式58》
WX=[{wL+a・sin(ω・t1)}+{wL+a・sin(ω・t2)}+{wL+a・sin(ω・t4)}]/3+[{wR+a・sin(ω・t1)}+{wR+a・sin(ω・t3)}]/2
=(wL+wR)+{a・sin(ω・t1)}/3+{a・sin(ω・t2)}/3+{a・sin(ω・t4)}/3+{a・sin(ω・t1)}/2+{a・sin(ω・t3)}/2
この式58から、当該式58(式56)に基づく軸重最終測定値WXの振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbは、次の式59の如くNb≒1.826・αとなる。
《式59》
Nb={(2・α/3)2+(2・α/3)2+(2・α/3)2+α2+α2}1/2≒1.826・α
このように本第4実施形態によれば、第1〜第3の全ての実施形態に比べて、軸重最終測定値WXの振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbがさらに小さく、つまり振動力の影響に対して極めて顕著な抑制効果が得られる。
次に、本発明の第5実施形態について、説明する。
本第5実施形態に係る軸重測定装置は、ハードウェア構成としては、図3に示した第2実施形態におけるのと同じであるが、ソフトウェア構成が、とりわけ軸重最終測定値WXの演算要領が、当該第2実施形におけるのと異なる。
具体的には、本第5実施形態においては、第2実施形態における上述の式37に基づいて、つまり第1測定位置P1に配置された左側輪重計20による左側輪重測定値W1Lと、当該第1測定位置P1に配置された右側輪重計22による右側輪重測定値W1Rと、の和によって、当該第1測定位置P1における軸重測定値W1Xが求められる。
その一方で、第1測定位置P1に配置された左側輪重計20による左側輪重測定値W1Lと、当該第1測定位置P1に配置された右側輪重計22による右側輪重測定値W1Rと、の相互差Wdが、次の式60の如く求められる。
《式60》
Wd=W1L−W1R
この式60に基づく相互差Wdは、上述の式40および式41を参酌して、次の式61のように表される。即ち、この式61から分かるように、当該相互差Wdは、振動力ノイズa・sin(ω・t)の影響が排除された言わば真の左側軸重wLと真の右側軸重wRとの真の相互差(=wL−wR)である。
《式61》
Wd={wL+a・sin(ω・t1)}−{wR+a・sin(ω・t1)}
=wL−wR
そして、この式61を含む次の式62に基づいて、第2測定位置P2における軸重値W2Xが推定される。
《式62》
W2X=2・W2L−Wd
これと同様に、式61を含む次の式63に基づいて、第3測定位置P3における軸重値W3Xが推定される。
《式63》
W3X=2・W3R+Wd
その上で、上述の式37に基づく第1測定位置P1における軸重測定値W1Xと、式62に基づく第2測定位置P2における軸重推定値W2Xと、式63に基づく第3測定位置P3における軸重推定値W3Xと、の平均によって、つまり結果的に上述の第2実施形態における式38と同様の次の式64に基づいて、軸重最終測定値WXが求められる。求められた軸重最終測定値WXは、表示部60に表示される。
《式64》
WX=(W1X+W2X+W3X)/3
=(W1L+W1R+2・W2L+2・W3R)/3
このように本第5実施形態においても、上述の従来技術とは異なり、各配分値R1およびR2を用いることなく軸重最終測定値WXが求められる。従って、本第5実施形態によれば、当該従来技術よりも、精確な軸重wXの測定が実現される。
なお、式64を展開すると、上述の式39と同様の次の式65のようになる。
《式65》
WX=(1/3)・W1L+(1/3)・W1R+(2/3)・W2L+(2/3)・W3R
この式65から分かるように、本第5実施形態によれば、全ての左側輪重測定値W1LおよびW2Lに対して総合的に1という重み付けが成されると共に、全ての右側輪重測定値W1RおよびW3Rに対しても総合的に1という重み付けが成され、この重み付けが成された結果の総和が軸重最終測定値WXとされる。従って、上述の各配分値R1およびR2を用いる従来技術に比べて、より精確な軸重最終測定値WXが得られる。
また、本第5実施形態によれば、上述の如く軸重最終測定値WXの演算式である式64(式65)が第2実施形態における式38(式39)と同様であることから、当該軸重最終測定値WXの振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbもまた、第2実施形態におけるのと同様のNb=2.309・αとなる。このNb=2.309・αというバラツキ量Nbは、第1実施形態におけるのと等価でもある。
次に、本発明の第2の参考例について、説明する。
本第2の参考例に係る軸重測定装置は、ハードウェア構成としては、図5に示した第4実施形態におけるのと同じであるが、ソフトウェア構成が、とりわけ軸重最終測定値WXの演算要領が、当該第4実施形態におけるのと異なる。
具体的には、本第2の参考例においては、第5実施形態と同様の要領で、軸重最終測定値WXが求められる。即ち、第5実施形態における上述の式62に倣って、次の式66に基づいて、第4測定位置P4における軸重値W4Xが推定される。
《式66》
W4X=2・W4L−Wd
そして、上述の式37に基づく第1測定位置P1における軸重測定値W1Xと、式62に基づく第2測定位置P2における軸重推定値W2Xと、式63に基づく第3測定位置P3における軸重推定値W3Xと、式66に基づく第4測定位置P4における軸重推定値W4Xと、の平均によって、つまり次の式67に基づいて、軸重最終測定値WXが求められる。求められた軸重最終測定値WXは、表示部60に表示される。
《式67》
WX=(W1X+W2X+W3X+W4X)/4
=(W1L+W1R+2・W2L+2・W3R+2・W4L−Wd)/4
このように本第2の参考例においても、上述の従来技術とは異なり、各配分値R1およびR2を用いることなく軸重最終測定値WXが求められる。従って、本第2の参考例によれば、当該従来技術よりも、精確な軸重wXの測定が実現される。
なお、式67を展開すると、次の式68のようになる。
《式68》
WX=(1/4)・W1L+(1/4)・W1R+(2/4)・W2L+(2/4)・W3R+(2/4)・W4L−(1/4)・Wd
=(1/4)・W1L+(1/4)・W1R+(1/2)・W2L+(1/2)・W3R+(1/2)・W4L−(1/4)・W1L+(1/4)・W1R
=(1/2)・W1R+(1/2)・W2L+(1/2)・W3R+(1/2)・W4L
この式68から分かるように、本第7実施形態によれば、第1測定位置P1における左側輪重測定値W1Lについては、結果的に軸重最終測定値WXの演算に供されないが、これ以外の全ての左側輪重測定値W2LおよびW4Lに対して総合的に1という重み付けが成されると共に、全ての右側輪重測定値W1RおよびW3Rに対しても総合的に1という重み付けが成され、これらの重み付けが成された結果の総和が軸重最終測定値WXとされる。従って、上述の各配分値R1およびR2を用いる従来技術に比べて、より精確な軸重最終測定値WXが得られる。
そして、本第2の参考例における軸重最終測定値WXの上述した振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbは、Nb=2・αとなる。
即ち、当該式68(式67)に基づく軸重最終測定値WXは、上述の式34,式35,式41および式51を参酌して、次の式69のように表される。
《式69》
WX=[{wR+a・sin(ω・t1)}+{wL+a・sin(ω・t2)}+{wR+a・sin(ω・t3)}+{wL+a・sin(ω・t4)}]/2
=(wL+wR)+{a・sin(ω・t1)+a・sin(ω・t2)+a・sin(ω・t3)+a・sin(ω・t4)}/2
この式69から、当該式69(式67)に基づく軸重最終測定値WXの振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbは、次の式70の如くNb=2・αとなる。
《式70》
Nb={(2・α)2+(2・α)2+(2・α)2+(2・α)2}1/2/2=2・α
このように本第2の参考例によれば、第4実施形態(Nb≒1.826・α)に比べると、軸重最終測定値WXの振動力ノイズa・sin(ω・t)によるバラツキ量Nbは僅かに大きいが、それ以外の第1〜第3および第5の実施形態に比べて、当該バラツキ量Nbは小さく、つまり当該振動力の影響に対して十分な抑制効果が得られる。
なお、以上の第1〜第5の各実施形態は、飽くまでも本発明を実現するための具体例であり、本発明の範囲を限定するものではない。
例えば、第1実施形態および第3実施形態の如く第1測定位置P1に軸重計12が配置された構成においては、当該第1測定位置P1に配置されたのと同様の軸重計がさらに1以上設けられてもよい。また、第2、第4、第5の各実施形態の如く第1測定位置P1に一対の輪重計20および22が配置された構成においては、当該第1測定位置P1に配置されたのと同様の一対の輪重計がさらに1以上設けられてもよい。加えて、第2測定位置P2(または第4測定位置P4)に配置されたのと同様の左側輪重計がさらに適当数設けられてもよいし、第3測定位置P3に配置されたのと同様の右側輪重計がさらに適当数設けられてもよい。いずれにしても、用途や状況等に応じて適宜の構成とされるのが、望ましい。