JP2010085873A - 複層吸音材 - Google Patents

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Abstract


【課題】 自立性と成形性を有し、かつ容易に移動できるような軽量性を有し、更には低周波数から高周波数までの広い周波数の領域において、良好な吸音性能を示す複層吸音材を提供する。
【解決手段】繊維形成性樹脂からなる芯部の表面の少なくとも一部に略全長にわたって低融点樹脂が被覆されてなる熱接着繊維を含む層を少なくとも1層有する複層吸音材であって、前記低融点樹脂は前記繊維形成性樹脂よりも融点かつ/または軟化点が40℃以上低く、前記熱接着性繊維を70〜100質量%含み厚さ方向に略均一に繊維接着点を有する密度0.07〜0.3g/cmの硬質層と、0.01〜0.15g/cmの密度かつ厚さ5mm以上の軟質層とをそれぞれ各一層以上積層してなり、前記硬質層に対する前記軟質層の密度差が0.02g/cm以上であるとともに、複層吸音材設置時の底部単位面積あたりの重量が5kg以下であることを特徴とし、周波数500Hzの音の吸音率が30%以上であると共に周波数1000〜6000Hzの音の吸音率が60%以上である複層吸音材を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬質層と軟質層とをそれぞれ各一層以上積層した複層吸音材であり、例えば建物の部屋間を仕切るとともに音の伝播を防止するために用いられ、さらにはこれが必要に応じて容易に移動できるように軽量性を確保した防音間仕切として使用可能な複層吸音材に関する。
一般的に、吸音には多孔質吸音材、すなわち、グラスウールやロックウール、あるいは連続気泡を有するポリウレタンフォームなどが知られている。しかしながら、グラスウールやロックウールは、硬く脆い繊維からできており、外力により破損した繊維が脱落し易いため表面を保護する必要がある。あるいは表面が平滑でないため、建物の壁面に設置する等の理由で、平滑な表面を必要とする場合には、表面に化粧板を取付ける等する必要が生ずる。また、ポリウレタンフォームにおいても、非常に柔軟であり、外力によって容易に変形するため、形状維持、意匠性の目的で、表面に化粧板等が必要となる。特に、近年は、優れた吸音性能を有した上で、より広い空間を確保することが求められており、これら吸音材もより薄い状態で使用されるケースが増えている。このため、使用する吸音材単体では、形状が維持できず、他の剛性を有する形状保持材が必要とされるのが通常である。
例えば、特許文献1には、多密度構成のフェルト吸音材であり、表側部および裏側部をニードルパンチングによって高密度化し且つ中間部がラップ状のままである上方マットと相対的に肉厚で中密度である下方マットとからなり、両マットを所定の温度で加熱圧着する事によって全体を一体化した吸音材が提案されている。しかしながら、この吸音材は、表面部と裏面部がニードルパンチにより高密度化された上方マットの中間部がラップ状態のままであると言う事から、この上方マットは厚さ方向に均一な繊維接着層を有することなく、表面から、あるいは裏面から中央部に向かって徐々に密度が低下している構造を有するため、充分な剛性を得る事ができない。また、特許文献1の吸音材の吸音性能は、高周波領域(数千Hz領域)で高い値を示しているものの、低周波領域(500Hz以下)における吸音率は0.4未満と低いレベルにある。
また、特許文献2には、多孔質材料の厚さや空気層を増やさないで、500〜1kHzの音域の吸音率を改善する方法が提案されている。この発明は、多孔質吸音材に、網目構造体でサンドイッチした膜あるいは薄板を複合した形態を有し、特に膜或いは薄板を網目構造体でサンドイッチした層が音響入射エネルギーにより励振される事で音響エネルギーが熱エネルギーに変換され、吸音の効果が得られる。このような原理で吸音性を発揮する場合、膜或いは薄板を網目構造体でサンドイッチした層のサイズにより共振する音の周波数が変化するため、吸音しようとする音の周波数によって形態が制限される恐れがある。また、この発明の形態において自立可能な剛性を確保するためには、網目構造体の剛性を高いものにする必要が生じ、結果的に軽量な吸音ボードとすることが困難になる。
更には特許文献3には電磁波防護性能、吸音性能、および適度な曲げ強さに優れ建築材料や家具の最表材や芯材などに用いられる複合ボードが提案されている。しかしながらこの発明のボードは、低周波音における吸音性能において、例えば500Hzにおける吸音率で0.47という高い吸音率を示しているものの、1600Hz及び2000Hzの吸音性能は各々0.38、および0.32と非常に低い吸音率になっている。
特開2004−232162号公報 特開2006−153926号公報 特開2008−105412号公報
以上の背景技術を鑑みて,本発明が解決しようとする課題は,この吸音材が自立性と成形性を有するものであり、例えば建物の部屋間を仕切るとともに音の伝播を防止するために用いられ、さらにはこれが必要に応じて容易に移動できるような軽量性を有し、更には低周波数から高周波数までの広い周波数の領域において、良好な吸音性能を示す複層吸音材を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するに当たり鋭意検討した結果、繊維が熱接着性繊維が厚さ方向に略均一に繊維接着点を有する硬質層とこれよりも低い密度の軟質層との積層体を吸音材として用いる事で、適度な硬さと自立性を有すると共に低周波数から高周波数にわたり、優れた吸音性を有し、更には優れた断熱性を有する事を見出し、本発明に至った。
本発明の請求項1に記載の発明は、繊維形成性樹脂からなる芯部の表面の少なくとも一部に略全長にわたって低融点樹脂が被覆されてなる熱接着繊維を含む層を少なくとも1層有する複層吸音材であって、前記低融点樹脂は前記繊維形成性樹脂よりも融点かつ/または軟化点が40℃以上低く、前記熱接着性繊維を70〜100質量%含み厚さ方向に略均一に繊維接着点を有する密度0.07〜0.3g/cmの硬質層と、0.01〜0.15g/cmの密度かつ厚さ5mm以上の軟質層とをそれぞれ各一層以上積層してなり、前記硬質層に対する前記軟質層の密度差が0.02以上であるとともに、複層吸音材設置時の底部単位面積あたりの重量が5kg以下であることを特徴とする複層吸音材である。
本発明の請求項2に記載の発明は、複層吸音材の少なくとも一方向における最大曲げ荷重が吸音材30mm幅あたり1.0N以上である事を特徴とする請求項1に記載の複層吸音材である。
本発明の請求項3に記載の発明は、軟質層が15質量%以上の捲縮繊維を含んでいる事を特徴とする請求項1または2に記載の複層吸音材である。
本発明の請求項4に記載の発明は、軟質層および/または硬質層に少なくとも1種以上の湿熱接着性繊維を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の複層吸音材である。
本発明の請求項5に記載の発明は、15以上75mm以下の厚さであると共に、自立性を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の複層吸音材である。
本発明の請求項6に記載の発明は、周波数500Hzの音の吸音率が30%以上であると共に周波数1000〜6000Hzの音の吸音率が60%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の複層吸音材である。
本発明の請求項7に記載の発明は、0.1W/(m・K)以下の熱伝導率を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の複層吸音材である。
本発明の複層吸音材は、高密度で剛性のある硬質層と低密度の軟質層からなる積層体であって、一つの吸音材でありながら低周波数から高周波数まで広い範囲にわたる周波数の音に対して良好な吸音性を示すと共に、自立性を有する事で建物の間仕切や壁材等に有用であると共に、優れた軽量性を有するため、その取扱性に優れた複層吸音材である。
〔複層吸音材〕
本発明の複層吸音材は、繊維形成性樹脂からなる芯部の表面の少なくとも一部に略全長にわたって低融点樹脂が被覆されてなる熱接着繊維を含む層を少なくとも1層有する複層吸音材であって、前記低融点樹脂は前記繊維形成性樹脂よりも融点かつ/または軟化点が40℃以上低く、前記熱接着性繊維を70〜100質量%含み厚さ方向に略均一に繊維接着点を有する密度0.07〜0.3g/cmの硬質層と、前記熱接着繊維を0〜70質量%含むとともに0.01〜0.15g/cmの密度を有する軟質層とをそれぞれ各一層以上積層してなり、前記硬質層に対する前記軟質層の密度差が0.02以上であるとともに、複層吸音材設置時の底部単位面積あたりの重量が5kg以下という軽量性を有し、従来の吸音材では実現できなかった、低周波数から高周波数に及ぶ広い音域において優れた吸音性能を有するとともに、硬質層により、優れた剛性と過大な荷重を受けても急激に折れ難いという形態保持性を有し、非常に軽量でありながら、尚且つ優れた断熱性と通気性を併せ持つことを特徴とする複層吸音材である。
このうち硬質層を構成する繊維は、その70質量%以上が熱接着性を有し、この熱接着性繊維が、他の熱接着性繊維或いは混在する他の繊維と厚さ方向に均一に接着する事で低密度ながら高い剛性を発現することで吸音性と自立性を確保する。
また、軟質層を構成する繊維は、非熱接着性繊維を主体とし、更に密度を低く保つために捲縮繊維を主成分とすることで、軽量かつ優れた吸音性を確保する。
そして、硬質層と柔軟層とをそれぞれ一層ずつ有することで、低周波数から高周波数までの広い音域において優れた吸音性を発現することができる。
〔構成繊維〕
〔熱接着性繊維〕
本発明の主に硬質層において主体となる熱接着性繊維は、該熱接着繊維同士かつ/又はこの層に混合された他の繊維と接着可能な繊維であれば特に限定されないが、好ましくは熱接着性繊維の芯成分の融点より低温で軟化して自己接着または他の繊維に接着する樹脂成分が好ましく、例えば、変性ポリエステル、変性ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−オクテン共重合体など、あるいは、同様に比較的低温で変形して接着機能を発現可能な、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、スチレン系エラストマー樹脂なども含まれる。これら樹脂成分が、熱接着繊維の一部において概ね全面にわたって表面に存在する事が好ましく、これが長さ方向に向かって連続的に存在する繊維であることがより好ましい。
この熱接着性繊維は、繊維そのものおよびこれらから構成される繊維構造体の取扱性、強度保持そして形態安定性の点において、非熱接着性樹脂からなり繊維の強度と形態安定性を確保した成分と熱接着性を有する成分とからなる複合繊維であることが好ましい。この形態としては、非熱接着樹脂からなる芯成分と熱接着性樹脂からなる鞘成分とからなる芯鞘複合繊維であることが好ましく、また、この各成分の中心が一致していない形のいわゆる偏芯芯鞘繊維、あるいは芯成分に対して三日月状にその表面半周以上を覆った形の偏芯芯鞘繊維でもよい。更に、両成分がその断面においてお互いに半円ずつを形成しているサイドバイサイド型繊維でも良い。
また、これら熱接着性繊維は、その断面において、円形に限らず、中空、楕円、星型等、各種異形断面形状であってもよい。
熱接着性繊維は湿熱接着性繊維であってもよく、この熱接着性繊維の表面を被覆する湿熱接着性の低融点樹脂としては、約95〜100℃の熱水で軟化して自己接着または他の繊維に接着する樹脂成分が好ましく、例えば、アクリルアミドを一成分とする共重合体、ポリ乳酸、エチレン−ビニルアルコール系共重合体などが挙げられる。
ここで、湿熱接着性樹脂として好ましく用いられるエチレン−ビニルアルコール系共重合体として、ポリビニルアルコールにエチレン単位が10〜60モル%共重合されたものが用いられる。特にエチレン単位が30〜50モル%共重合されたものが、不織布の加工性を確保する上で好ましい。また、ビニルアルコール部分は95モル%以上の鹸化度を有するものが好ましい。エチレン単位が10〜60モル%共重合されたエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、湿熱接着性を有するが、熱水溶解性はないという特異な性質が得られる。重合度は必要に応じて選択できるが、通常は400〜1500程度である。
エチレン単位の含有量が10モル%未満の場合、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が、低温の水で容易に膨潤・ゲル化してしまい、水に一度濡れると形態が変わってしまう場合がある。また、60モル%を超えると吸湿性が低下し、湿熱による繊維融着が発現しにくくなるため、実用性のある硬度を確保できなくなる場合がある。
本発明の熱接着性樹脂に被覆される繊維を構成する樹脂としては、本発明の目的に適合する繊維を形成可能な樹脂であれば特に限定されるものではないが、その造り易さ、コストの面から、汎用の繊維を形成する樹脂である事が好ましく、例えば、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系などが挙げられ、このうち、特に、ポリエステル系あるいはポリオレフィン系が好ましい。
本発明の熱接着性樹脂に被覆されるポリエステル系繊維としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、フタル酸、α,β−(4−カルボフェノキシ)エタン、4,4−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオールからなる繊維形成性のポリエステルを挙げることができ、構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることが好ましい。
本発明の熱接着性樹脂に被覆されるポリオレフィン系繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、或いはこれらの共重合体からなる繊維をもちいることができる。このうちポリプロピレン樹脂からなる繊維が最も好ましい。
一方、湿度変化に対する形態安定性を重視する場合には、吸湿性の低い疎水性繊維を使用するのが好ましい。これらの繊維は、湿度による形態変化が非常に少ないので、より安定した形態を確保できる。
本発明の硬質層において、熱接着性繊維の混率は、70質量%以上であり、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上である。熱接着性繊維の割合が多いほど、後の繊維固定処理で硬質層を形成し易いと共に、より高い密度およびこれに伴う高い剛性を確保することが容易になる。しかしながら、この繊維が70質量%未満になると、繊維固定処理で自立性を有するのに十分な程度に繊維を固定することが困難となり、たとえば自立性を有する吸音材として使用する事が困難になるため好ましくない。
ここで、本発明の複層吸音材が自立性を有するとは、50cm角の大きさの本発明の複層吸音材をその長さ方向が垂直に向くように立てた状態で、その最下端から上方へ10cm以内において両端を固定した時に、自重で屈曲または湾曲してその上端が高さ25cm以下にまで到達しない状態を言う。
本発明の熱接着性繊維は、熱接着性樹脂とこの熱接着性樹脂よりも高い融点かつ/または軟化点を有する繊維形成性樹脂であるポリエステル系樹脂あるいはポリオレフィン系樹脂とで構成された複合繊維であり、これらの樹脂の割合(質量比)は熱接着性繊維の構造(例えば、芯鞘型構造)に応じて選択でき、熱接着性樹脂が表面に存在すれば特に限定されないが、例えば、熱接着性樹脂/非熱接着性樹脂=90/10〜10/90(例えば60/40〜10/90)、好ましくは80/20〜15/85、更に好ましくは60/40〜20/80程度である。熱接着樹脂の割合が少なすぎると、繊維表面の長さ方向に連続して熱接着性樹脂を存在させる事が困難となり、熱接着性が低下する。また、熱接着樹脂の割合が大きすぎると、繊維を紡糸するときに繊維形状を安定に確保することが困難となり、安定に製造できなくなるため好ましくない。
更に、熱接着性繊維の平均繊度は、実際に使用する用途や必要な強度等に応じて、例えば、1〜10dtexの範囲から選択でき、好ましくは2〜8dtexであり、更に好ましくは2〜7dtexである。繊維径が1dtexに満たない場合には、必要な強度を確保することが困難になる可能性が生ずる。一方で、繊維が太すぎると、今度は繊維の融着点数を充分に確保することができなくなり、やはり、必要な強度を確保することが困難になる可能性がある。
一方、軟質層を構成する主な繊維としては、この層を低密度に維持すると共に、既に述べた硬質層に積層することが可能な繊維であれば特に制限されるものではないが、本発明の複層吸音材における軟質層においては、容易に層の密度を低く保つことで層の柔軟性を確保できるように、円形状あるいはコイル状の形態を有している繊維が含まれていることが好ましい。構成繊維の中にこのようなの形態の繊維が含まれている事により、軟質層の繊維間空隙を大きく保つと共に、繊維同士が複雑かつ立体的に交絡することで、より低い密度と優れた形態安定性を両立しやすくなるためである。
このような形態を有する繊維は、熱収縮率の異なる複数の樹脂で層構造が形成された複合繊維を熱処理し、より収縮率の高い層をより収縮させる事で繊維が円形状或いはコイル状の形態になる特性を有する繊維を用いる事が好ましい。そしてこの繊維に円形状或いはコイル状の捲縮を発現させる段階としては、この繊維を含むウェブを形成する前に繊維単独で発現させても良いし、ウェブ形成時或いはその後に発現させてもよい。
更に、この軟質層においては、できるだけ低い密度を確保しながら、同時により高い形態安定性を確保するために、この層の70質量%以下の割合で、既に述べた熱接着性繊維を混合していても良い。これは、軟質層において、少ない接点で効率良く繊維同士を固定し、この層の形態安定性を確保するために有効である。すなわち、軟質層の密度を低く保つためには、繊維相互の接触を可能な限り低く保つ事が必要であるが、このうような構造においては極めて効率良く交絡する繊維形状かつ/または繊維配列状態を作り出してやらなければ、構成する繊維同士の相互作用が少ないため形態安定性が無く、弱い外力でも形態が崩れたり、繊維が脱落するなどの現象が生じて好ましくないからである。
捲縮性複合繊維は、複数の樹脂の熱収縮率(又は熱膨張率)の違いに起因して、加熱により捲縮を生じる非対称又は層状(いわゆるバイメタル)構造を有する繊維である。複数の樹脂は、通常、軟化点又は融点が異なる。
複数の樹脂は、例えば、前記湿熱接着性繊維の項で例示した非湿熱接着性樹脂が適用できる。中でも、高温水蒸気で加熱処理しても溶融又は軟化して繊維が融着しない点から、軟化点および/又は融点が100℃以上の非湿熱接着性樹脂(または耐熱性疎水性樹脂または非水性樹脂)、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましく、特に耐熱性や繊維形成性などのバランスに優れる点から、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましい。本発明では、高温水蒸気で処理しても捲縮性複合繊維による融着が起こらないように、捲縮性複合繊維の表面に露出する樹脂は非湿熱接着性繊維であることが好ましい。
捲縮性複合繊維を構成する複数の樹脂は熱収縮性が異なっていれば良く、同系統の樹脂の組合せであっても、異種の樹脂の組合せであっても良いが、樹脂同士の密着性の点から、同系統の樹脂の組合せで構成されるのが好ましい。同系統の樹脂の組み合わせの場合、通常、単独重合体(必須成分)を形成する成分(A)と、変性重合体(共重合体)を形成する成分(B)との組み合わせが用いられる。すなわち、必須成分である単独重合体に対して、例えば、結晶化度や融点又は軟化点などを低下させる共重合性単量体を共重合させて変性する事により、単独重合体よりも結晶化度を低下させるか、非晶性とし、単独重合体よりも融点又は軟化点などを低下させてもよい。このように、結晶性、融点又は軟化点を変化させる事により、熱収縮率に差異を設けても良い。融点又は軟化点の差は、例えば、5〜150℃、好ましくは50〜130℃、更に好ましくは70〜120℃程度であってもよい。変性に用いられる共重合性単量体の割合は、全単量体に対して、例えば、1〜50モル%、好ましくは2〜40モル%、更に好ましくは3〜30モル%、最も好ましくは5〜20モル%程度である。単独重合体を形成する成分と、変性重合体を形成する成分との複合比率(質量比)は、繊維の構造に応じて選択できるが、例えば、単独重合体成分(A)/変性重合体成分(B)=90/10〜10/90、好ましくは70/30〜30/70、更に好ましくは60/40〜40/60程度である。
本発明では捲縮性複合繊維を製造しやすい点から、複合繊維は芳香族ポリエステル系樹脂の組み合わせ、特にポリアルキレンアリレート系樹脂(a)と変性ポリアルキレンアリレート(b)との組合せであってもよい。
アルキレンアリレート系樹脂(a)は、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリC2−4アルキレンテレフタレート系樹脂などが使用され、通常、固有粘度0.6〜0.7程度の一般的なPET繊維に用いられるPET樹脂が使用される。
一方、変性ポリアルキレンアリレート系樹脂(b)では、必須成分である前記ポリアルキレンアリレート系樹脂(a)の融点又は軟化点、結晶化度を低下させる共重合体成分、例えば、非対称型芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族カルボン酸などのジカルボン酸成分や、ポリアルキレンアリレート系樹脂(a)のアルカンジオールよりも鎖長の長いアルカンジオール成分及び/又はエーテル結合含有ジオール成分が使用できる。これらの共重合成分は単独で又は二種以上の組合せで使用できる。これらの成分のうち、時カルボン酸成分として、非対称型芳香族カルボン酸(イソフタル酸、フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸など)、脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸などのC6−12脂肪族ジカルボン酸)などが汎用され、ジオール成分として、アルカンジオール(1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどC3−6アルカンジオールなど)、(ポリ)オキシアルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシC2−4アルキレングリコールなど)などが汎用される。これらのうち、イソフタル酸などの非対称型芳香族ジカルボン酸、ジエチレングリコールなどのポリオキシC2−4アルキレングリコールなどが好ましい。さらに、変性ポリアルキレンアリレート系樹脂(b)はC2−4アルキレンアリレート(エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレートなど)をハードセグメントとし、(ポリ)オキシアルキレングリコールなどをソフトセグメントととするエラストマーであっても良い。
変性ポリアルキレンアリレート樹脂(b)において、ジカルボン酸成分として、融点又は軟化点を低下させるためのジカルボン酸成分、例えばイソフタル酸などの割合は、ジカルボン酸成分の全量に対して、例えば、1〜50モル%、好ましくは5〜50モル%、さらに好ましくは15〜40モル%程度である。ジオール成分として、融点又は軟化点を低下させるためのジオール成分、例えばジエチレングリコールなどの割合は、ジオール成分の全量に対して、例えば、30モル%以下、好ましくは10モル%以下、更に好ましくは0.1〜10モル%程度である。共重合成分の割合が低すぎると、充分な捲縮が発現せず、捲縮発現後の不織繊維構造体の形態安定性と低い密度を確保することが難しくなる。一方割合が高すぎると捲縮発現性は高くなるが、安定して紡糸することが困難となる。
変性ポリアルキレンアリレート系樹脂(b)は、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸成分、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのポリオール成分などを併用して分岐させても良い。
捲縮性複合繊維の横断面形状(繊維の長さ方向に垂直な断面形状)は、一般的な中実断面である丸型断面や異型断面(扁平状、楕円状、多角形状、3〜14葉状、T字状、H字状、V字状、ドッグボーン(I字状)など)に限定されず、中空断面等であっても良いが、通常、丸型断面である。
捲縮性複合繊維の横断面構造としては、複数の樹脂に形成された相構造、例えば、芯鞘型、海島型、ブレンド型、並列型(サイドバイサイド型又は多層貼合型)、放射型(放射状貼合型)、中空放射型、ブロック型、ランダム複合型などの構造が挙げられる。これらの横断面構造のうち、加熱により自発捲縮を発現させ易い点から、相部分が隣り合う構造(いわゆるバイメタル構造や、相構造が非対称である構造、例えば、偏芯芯鞘型、並列構造が好ましい。
なお、捲縮性複合繊維が偏芯芯鞘型などの芯鞘型である場合、表面に位置する鞘部の非湿熱接着性樹脂と熱収縮差を有し捲縮可能であれば、芯部は湿熱接着性樹脂(例えばエチレンービニルアルコール共重合体やポリビニルアルコールなどのビニルアルコール系重合体など)や、低い融点又は軟化点を有する熱可塑性樹脂(例えば、ポリスチレンや低密度ポリエチレンなど)で構成されていてもよい。
捲縮性複合繊維の平均繊度は例えば、0.1〜50dtex程度の範囲から選択でき、好ましくは0.5〜10dtex、更に好ましくは1〜8dtex、最も好ましくは1.5〜3dtex程度である。繊度が低すぎると繊維そのものが製造しにくくなることに加え、繊維強度を確保しにくい。また、捲縮を発現させる工程において、繊維同士の交絡が不十分となり、強度及び空隙の確保が困難となる。また、繊維長が長すぎると、均一な目付の繊維ウェブを形成する事が難しくなることに加え、ウェブ形成時点で繊維同士の交絡が多く発現し、捲縮を発現する際にお互いに妨害し合って柔軟性の発現が困難となる。
この捲縮性複合繊維は、そのループ状あるいはコイル状の形状を有することにより、軟質層において適度な繊維空隙を確保すると共に、本発明の軟質層として厚さ、密度等の形態を継続的かつ安定的に長時間維持するのに必要な形態安定性を実現可能なレベルの繊維交絡を実現するものである。この捲縮繊維のループ或いはコイルで形成される円の曲率半径は、例えば、50〜1500μmが好ましく、より好ましくは150〜1000μm、更に好ましくは150〜900μm、最も好ましくは160〜850μm程度である。ここで、曲率半径とは、捲縮繊維のループ、あるいはコイルにより形成される円の平均的半径、または繊維の形成するループ形状に合った円周をあてはめた場合の円の半径であり、捲縮繊維の形成するループあるいはコイルの大きさを表す指標であり、この値が大きい場合は、大きな繊維空隙を形成しやすくなり、より低密度な層を形成しやすくなるが、一方で形成されたウェブ内の繊維が動きやすくなるため、繊維接着による補強が必要になる。逆に、平均曲率半径が小さすぎるコイル状捲縮を発現させた場合には、繊維同士の交絡が充分行われず、ウェブ強度を確保することが困難となるばかりか、このような捲縮を発現する潜在捲縮性複合繊維の製造も非常に難しくなる。
コイル状に捲縮した複合繊維において、コイルの平均ピッチは、例えば、0.03〜0.5mm、好ましくは0.03〜0.3mm、更に好ましくは0.05〜0.2mm程度である。
軟質繊維層における熱接着性繊維と非熱接着繊維との割合(質量比)も、吸音材の種類や用途に応じて、熱接着繊維/非熱接着繊維=30/70〜0/100、好ましくは20/80〜10/90程度の範囲から選択できる。両者の割合は、熱接着繊維の割合が多くなると、接着点が増加するため、低密度層の密度が高くなり、複層吸音材としての低周波数(例えば500Hz)における吸音性が低下してしまう。また、非熱接着繊維の割合が多くなると、既に述べたように低密度繊維層の形態安定性が確保できなくなる危険性がある。
さらには、抗菌性、消臭性有する繊維を混合して機能性を付与したり、あるいは着色繊維を混合して色や意匠性を付与するなど、必要に応じて他の繊維を混合してもよいが、非湿熱接着性繊維の平均繊度及び平均繊維長は、湿熱接着性繊維と同様である。
〔他の繊維〕
本発明の複層吸音材には、硬質層及び/または軟質層において、種々の繊維を含んでいてもよい。この繊維の例としては、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維などの芳香族ポリエステル繊維など)、ポリアミド系繊維(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610などの脂肪族ポリアミド系繊維、半芳香族ポリアミド系繊維、ポリフェニレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリp−フェニレンテレフタルアミドなどの芳香族ポリアミド系繊維など)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなどのC2−4オレフィン繊維など)、アクリル系繊維(アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体などのアクリロニトリル単位を有するアクリロニトリル系繊維など)、ポリビニル系繊維(ポリビニルアセタール系繊維など)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体の繊維など)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体などの繊維)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、セルロース系繊維(例えば、レーヨン繊維、アセテート繊維など)が挙げられる。これらの繊維は単独で又は二種以上組み合わせて、本発明の複層吸音材における硬質層及び/または軟質層を構成する繊維として使用でき、最終的な吸音材の設計に応じて適宜選択して使用できる。
〔硬質層〕
本発明の複層吸音材のうち、主に形態と自立性を確保し、更に吸音性を担う硬質層は、その剛性と形態安定性を実現するために、繊維ウェブを構成する繊維の配列状態および接着状態を適度に調整する必要がある。すなわち、構成繊維が概ね不織布シート面に対して平行に配列しさらにこれら繊維同士をできるだけそれらの交点において接着させることが重要である。特に、繊維同士が「スクラム」を組んだような構造を有し、かかる構造が厚さ方向に沿って均一に分布するような形態とすることが望ましい。これは、厚さ方向(シート面に対し垂直方向)に沿って配向している繊維が多く存在すると周辺に繊維配列の乱れが生じて不織布内に不要な空隙を生じ、シートの硬さを低減させてしまうからである。従って、できるだけこの空隙を少なくすることが必要であり、このために繊維を可能な限りシート面に対して平行に配列させることが望ましい。
なお、ここでいう「概ねシート面に対し平行に配列している」とは、例えばニードルパンチ不織布のように、局部的に多数の繊維が厚さ方向に沿って配列している部分が繰り返し存在するようなことがない状態を示す。より具体的には、不織布における任意の断面を顕微鏡観察した際に、その面方向に対して概ね垂直に、表から裏まで連続して延びる繊維の存在割合が10%以下である状態をいう。
本発明において、繊維が融着している程度を反映する指標として不織繊維構造体の断面(厚さ方向の断面)における全繊維の断面数に対して、2本以上接着した繊維の断面数の割合、すなわち、繊維接着率を用いることができる。更に、これら構成繊維の繊維接着率は該構造体の厚さ方向表面付近、中央部、そして反対表面付近の、各領域における繊維接着率はそれぞれ10〜45%であり、かつ該繊維接着率の最大値と最小値の比(最小値/最大値)(繊維接着率が最大の領域に対する最小の領域の比率)が例えば50〜100%、好ましくは55〜99%、更に好ましくは60〜98%、最も好ましくは70〜97%程度である。本発明では、この繊維接着率が厚さ方向においてこのような均一性を有しているため、極めて少ない接着点数で大きな曲げ荷重と最大曲げ荷重以上の荷重に対しても簡単に破壊されることなく応力を維持できるため、屈曲に対する優れた耐久性を発現するのである。そして、このような少ない繊維接着率で高い構成を確保する構造により、より多くの不織布内空隙と通気性を実現することで高い吸音性能を発現する事が可能になるのである。
すなわち、例えば、ニードルパンチ不織布のように厚さ方向に配列する繊維による交絡により繊維形態を保つような構造では、本発明のような充分な剛性と曲げ挙動と吸音性を一度に実現する事は困難である。更に、単に熱融着繊維を混綿してウェブ化した後、熱処理により繊維接着発現させることで形態安定性および剛性を発現させることも可能であるが、通常の方法、例えば熱プレス法では繊維ウェブの表面ばかりが熱融着し、ウェブ内部の繊維融着がなかなか進まず、剛性が得られない、その上、更に熱を加える事により表面がフィルム化してしまい、吸音性能が低下する恐れがある。また、熱風方式で加熱し繊維融着させようとしても、剛性を得るためにはウェブを圧縮した状態で加熱することが必要であるため、その緻密さのために熱風がウェブ内に入り込めず、やはり厚さ方向に均一な繊維接着を実現する事が困難であり、本発明のように、剛性と曲げ挙動と吸音性をバランス良く高次元に保つ事が困難である。
なお、本発明にいう繊維接着率は後述する方法により測定する。
本発明の硬質層は、本発明の複層吸音材の硬さと軽量性とによって得られる形態安定性あるいは自立性を有する事が特徴の一つであり、この硬さと軽量性とのバランスを良好に保つためには、0.07〜0.3g/cmの範囲の密度を有することが好ましい。より好ましくは、0.08〜0.25g/cm、さらに好ましくは0.09〜0.2g/cm、そして最も好ましくは0.09〜0.15g/cmの範囲にあることである。見かけ密度が低すぎると、硬質層と該硬質層を構成として得られる複層吸音材とを軽量にする事ができるものの、剛性が確保できず、自立性が得られなくなるという問題が生ずる。また、逆に見かけ密度が高すぎると、硬質層の剛性は確保できるため、複層吸音材においても剛性および自立性を得る事が可能になるものの、重量が重くなるという問題点がある。
一方、本発明の硬質層は、適度な軽量性と剛性を両立するために、ある程度の厚さを有している事が必要である。したがって、3〜30mmの厚さを有する事が好ましく、より好ましくは5〜25mm、更に好ましくは5〜20mmである。
厚さが3mmに満たないと、硬質層が十分な吸音性能を保持しないため、複層吸音材としたときに充分な吸音性と自立性を発現する事が難しい。特に1000Hz未満の低周波音域の吸音性が低くなるため、低周波音域と高周波音域の吸音性を両立する事が難しくなる。
また、30mmを超えると、自立性は十分になるが、その分、重量が増すことになり、軽量性を確保できなくなる。更に、高周波音域の吸音性を確保することが難しくなり、吸音性確保のためには厚さを厚くすることが必要となるため、重量および体積が増してしまい好ましくない。
〔軟質層〕
本発明の複層吸音材において、先に説明した硬質層とともに、この複層吸音材の低周波領域における高い吸音率を発現すると共に、高周波領域においても高い吸音率を維持する特性を発現するためには、該硬質層とともに軟質層が積層されている事が肝要である。これら両者は、各々別々に存在し、重なり合っているだけでもその性能を発現するが、吸音材としての取扱性を考慮すると、両者は接着している事が好ましい。この接着包方に関しては、汎用の手法が使用可能であるが、接着時に両者の間の通気性を維持する方法で接着する事が必要である。この通気性が無くなるような積層の仕方では、目的とするような低周波数から高周波数まで高い吸音率を維持することが困難になるためであり、両者の接着には例えば、後に述べるような高温蒸気により繊維の表面を軟化させて積層する方法やホットメルト不織布を用いて熱接着する方法などが挙げられる。
このように、軟質層は、層内に充分な空隙を確保し、非常に低密度である事が好ましく、複層吸音材の目的とする低周波領域における吸音率を確保するためには、積層相手の硬質層との間の密度の違いが大きい事が好ましく、例えば、その差が0.02g/cm以上あることが好ましい。そしてこの差はより好ましくは0.02g/cm以上0.25g/cm以下であり、更に好ましくは0.03g/cm以上0.25g/cm以下であり、最も好ましくは0.04g/cm以上0.20g/cm以下の密度差を有する事が好ましい。この差が0.02g/cm以下の場合には、密度差による低周波数域の吸音率の向上が発現し難くなり好ましくない。一方で、極端に大きな密度差を設けた場合、複層吸音材としての剛性が不足する、あるいは重量が重くなるなどの不都合を生ずる可能性が高くなるため好ましくない。
軟質層の見かけ密度としては、概ね0.01〜0.15g/cm程度の密度である事が好ましく、より好ましくは0.02〜0.13g/cm、更に好ましくは0.02〜0.12g/cm、最も好ましくは0.02〜0.11g/cmである。見かけ密度が0.01g/cm未満になると、外力により容易に軟質層が変形し、潰れてしてしまい、これにより充分な吸音性能が得られなくなる。また、吸音材として設備に取付けたり、建物の中に施工したりする場合に、このような外力が働かないように取付けあるいは施工する事が必要になり、非常に取り扱い難くなるため好ましくない。一方で、0.2g/cmを超える密度になると、表面の硬質層との密度差が小さくなるため、両層の相乗効果による主に1000Hz以上の高周波数領域において高い吸音性が確保しにくくなるため好ましくない。
また、軟質層の厚さは、同じく硬質層との相乗効果による低周波領域の吸音率を高く保つためには、5mm以上の厚さであることが必要である。この厚さは、好ましくは10〜72mmであり、より好ましくは10〜60mmであり、更に好ましくは15〜40mmであり、最も好ましくは20〜35mmである。軟質層の厚さが10mmに満たない場合には、硬質層との相乗効果である低周波数における高い吸音性実現する事が困難になるため好ましくない。一方で72mmを超えると、その厚さのため、使用範囲が制限されることとなり好ましくない。例えば、この吸音材を用いた吸音パーティションとした場合には非常に厚いパーティションとなってしまい、その分余計な空間を取ってしまう。また、建物の吸音材として施工する場合においても、建物の中に必要な空間を設けることが必要となり、貴重な空間を無駄にしてしまう可能性があるため好ましくない。
この軟質層は、以上のような低い密度や厚さを実現するために、その構造においては、主に繊維の交絡でその形態を維持し、必要に応じて熱接着性繊維により補強する形態であることが好ましい。そしてこの繊維交絡及び熱接着繊維の接着状態は、軟質層内において厚さ方向にほぼ均一である事が必要である。このような形態の軟質層を厚さ方向に徐々に密度差が存在する状態にすると、このような形態を再現する事が難しく、再現性のある安定した吸音性能を有した状態で製造することが困難になるとともに、その形態も再現する事が難しくなるからである。
この軟質層は、例えば、非常に緻密な繊維交絡を利用する場合には、熱接着繊維を必要としない形態とする事も可能である。この場合には、構成繊維を、熱によりコイル状の緻密な捲縮を発現するタイプのものを主体として繊維ウェブを形成し、このウェブに熱を加えて繊維に捲縮を発現させる事で、充分な形態安定性を確保した繊維同士の強固な交絡を作り出すことが可能になる。ここで、本発明の目的とする軟質層を形成するためには、この層における捲縮繊維の割合を15〜100質量%とすることが好ましく、より好ましくは30〜100質量%、更に好ましくは50〜100質量%、そして最も好ましくは70〜100質量%である。捲縮繊維の割合が15%未満では、長時間放置した場合に、軟質層の形態がその自重で変化する可能性が大きいため好ましくない。
一方で、熱処理により発現する捲縮が大きく、コイル状を形成せずループ状に留まるような捲縮繊維を用いる場合やすでに捲縮を発現済みの繊維を用いてウェブ形成する場合には、繊維同士の充分な交絡が発現し難いため、これらの形状安定化のために、熱接着繊維を混綿することも可能である。熱接着繊維の混綿比率は、この軟質層において、0〜70質量%程度である事が好ましく、より好ましくは5〜60質量%、更に好ましくは10〜50質量%、そして最も好ましくは15〜40質量%である。熱接着繊維の割合が70質量%を超えると、繊維同士の接着点数が非常に多くなるため、繊維が固定されてしまい、充分な吸音性を発現する事が困難になる。
これら硬質層と軟質層は密着状態にあれば接着していなくとも良いが、長期にわたる形態安定性を確保するためには、層間が接着している事が好ましい。接着していないと、単独で自立させて使用するときに両者を別々に取り扱う事になり、取扱性が悪かったり、施工し難くなったりすることが考えられる。また、接着せずに使用した場合には、長時間使用し続けた場合に、軟質層のみが徐々に変形してしまい、目的とする機能を発現できなくなる可能性がある。例えば、壁材のように縦長に立った状態で設置するような方法で使用すると、軟質層は、重力により徐々に沈みこんで行ってしまい、結果として複層吸音材の性能が低下してしまう可能性がある。
〔製法〕
これら本発明の複層吸音材を構成する各繊維層の製造法と複層吸音材の製法について説明する。
本発明の複層吸音材における各繊維層の製造方法では、まず、湿熱接着性繊維あるいは湿熱接着性樹脂を一成分とする複合繊維をウェブ化し、このウェブの繊維を固定して目的のシート状蝶番とするのであるが、ウェブ形成に関しては、特に限定される事は無く、スパンボンド法、メルトブロー法のような直接法を用いてもよいし、ステープル繊維を用いてカード法、エアレイ法などの乾式法を用いてウェブを形成してもよい。ステープル繊維ウェブとしては、ランダムウェブ、セミランダムウェブ、パラレルウェブ、クロスラップウェブ等が好ましく用いられる。
次に得られた繊維ウェブは、ベルトコンベアにより次工程へ送られ、次いで過熱蒸気(高圧スチーム)流に晒されることで、本発明の硬質層および軟質層が得られる。ここで使用するベルトコンベアは、基本的には加工に用いる繊維ウェブをその形態を乱すことなく運搬できるものであれば特に限定はないが、エンドレスコンベアが好適に用いられる。もちろん一般的な単独のベルトコンベアであってもよいし、必要に応じてもう一台のベルトコンベアを用意し、両コンベアの間にウェブを挟むようにして運搬する方法でもよい。このようにすることでウェブを処理する際に、処理に用いる水、高温蒸気あるいはコンベアの振動などの外力により、運搬してきたウェブの形態が変形するのを抑えるのである。また、処理後の不織布の密度や厚さをこのベルトの間隔を調整することにより制御することも可能になる。
ウェブに蒸気を供給するための蒸気噴射装置は、一方のコンベア内に装着され、コンベアネットを通してウェブに蒸気を供給する。反対側のコンベアには、サクションボックスを装着してもよい。この場合には、ウェブを通過した過剰の蒸気を吸引排出することができる。さらには、ウェブの表と裏を一度に蒸気処理してしまうために、蒸気噴射装置を設置してあったコンベアの下流側にサクションボックスを装着し、反対側のコンベア内に蒸気噴射装置を設置してもよい。下流部の蒸気噴射装置とサクションボックスがない場合、不織布の表と裏を蒸気処理したければ、一度処理した不織布の表裏を反転させて再度処理装置内を通過させることで代用できる。
コンベアに用いるエンドレスベルトは、ウェブの運搬や高温蒸気処理の妨げにならなければ、特に限定されるものではない。ただし、高温蒸気処理をした場合、その条件により不織布表面にベルトの表面形状が転写される場合が生ずるので、場合に応じて適宜選択する。特に、表面の平坦な不織布を得たい場合は、メッシュの細かいネットを使用すればよい。この場合、90メッシュ程度が上限である。これ以上のメッシュの細かなものは、通気性が低く、高温蒸気が通過し難くなり好ましくない。また、ベルト材質は、蒸気処理に対する耐熱性等の観点より、金属、耐熱処理したポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、あるいはポリアリレートや全芳香族系ポリエステル等の耐熱性樹脂よりなるメッシュベルトが好ましく用いられる。
次に、このウェブはコンベアにより運搬され、ノズルから噴出される高速高温蒸気流の中を通過する際、吹き付けられた高温蒸気により繊維同士の3次元的接着が行なわれる。
この高温蒸気は、気流であるため被処理体であるウェブ中の繊維を(水流絡合処理や、ニードルパンチ処理の様に)大きく移動させることなく、ウェブ内部へ進入する。このウェブ中への蒸気流の進入作用および湿熱作用によって、蒸気流がウェブ内に存在する各繊維の表面を湿熱状態で効率的に覆い、均一な熱接着が可能になると考えられる。また、この処理は高速気流下で極めて短時間に行われるため、蒸気の繊維表面への熱伝導は速いが、繊維内部への熱伝導はさほど速くなく、そのため過熱蒸気の圧力や熱により、処理されるウェブ自体の厚みが損われるような変形も起こりにくい。その結果、ウェブを潰すことなく、表面および厚さ方向における接着の程度が概ね均一になるように湿熱接着される。
このとき、ウェブを挟んでノズルと反対側のエンドレスベルトの裏側をステンレス板等にし、蒸気が通過できない構造とすれば、被処理体であるウェブを通過した蒸気がここで反射するので、蒸気の保温効果によってより強固に接着される。逆に軽度の接着が必要な場合には、サクションボックスを配置し、余分な水蒸気を室外へ排出してもよい。
水蒸気を噴射するためのノズルは、所定のオリフィスが幅方向に連続的に並んだプレートやダイスを用い、これを供給されるウェブの幅方向にオリフィスが並ぶように配置すればよい。この時、オリフィス列は1列以上あればよく、複数列が並行した配列であってもよい。もちろん、一列のオリフィス列を有するノズルダイを複数台並列に設置しても構わない。
例えば、プレートにオリフィスを開けたタイプのノズルを使用する場合、プレートの厚さは、0.5〜1.0mm程度のものが主に用いられる。この場合には、オリフィスの径やピッチに関しては、目的とする繊維固定ができる条件であれば特に制限はないが、通常、直径0.05〜2.0mmのものを使用するケースが多く、好ましくは0.1〜1.0mm、より好ましくは0.2〜0.5mmである。一方、オリフィスのピッチについては、通常0.5〜3.0mmで使用するケースが多いが、好ましくは1.0〜2.5mm、より好ましくは1.0〜1.5mmである。
オリフィスの径が0.05mmより小さい場合には、ノズルの加工精度が低くなり、加工が困難になるという設備的な問題点と、目詰まりを起こしやすくなるという運転上の問題点が生じるため好ましくない。逆に、2.0mmを超える場合には、十分な水蒸気噴射力を得ることが難しくなってしまうため好ましくない。一方、ピッチが0.5mm未満の場合は、ノズル孔が密になりすぎるため、ノズルそのものの強度が低下してしまい好ましくない。一方で、ピッチが3mmを超えるような場合には、過熱蒸気がウェブに十分当らなくなるケースが出てくるため、十分なウェブ強度を確保しにくいという問題点がある。
また、繊維接着に使用する高温蒸気についても、目的とする繊維固定が実現できれば特に限定はなく、使用する繊維の材質や形態により設定すればよいが、圧力0.1MPa〜2.0MPaの蒸気を用いることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5MPaであり、さらに好ましくは0.3〜1.0MPaである。例えば、蒸気の圧力が高すぎたり、強すぎる場合には、ウェブを形成する繊維が動いてしまい、地合の乱れを生じたり、繊維が溶融しすぎて部分的に繊維形状を保持できなくなるという問題を生ずる可能性がある。
また、圧力が弱すぎる場合は、繊維の融着に必要な熱量を被処理物に与えることができなくなったり、水蒸気がウェブを貫通できず、厚さ方向に繊維融着斑を生ずる等の問題が発生したり、ノズルからの蒸気の均一噴出の制御が困難になる等の不具合が発生しやすくなる。
必要であれば、コンベアベルトに所定の凹凸柄や文字や絵等を付与しておき、これらを転写させることで得られる製品に意匠性を付与することも可能である。
また、他の資材と積層したり、成型加工により希望の形態とすることも可能である。
このようにして繊維ウェブの繊維を部分的に湿熱接着した後、不織布に水分が残留する場合があるので、必要に応じてウェブを乾燥しなければならない。乾燥に関しては、乾燥用加熱体に接触した不織布表面が、乾燥後にフィルム化せずに繊維形態を維持していることが必要であり、これが達成できるのであれば特に方法は問わない。従って、従来から不織布の乾燥に使用されるシリンダー乾燥機やテンターのような大掛かりな乾燥設備を使用しても構わないが、残留している水分は微量であるケースが多く、比較的軽度な乾燥手段により乾燥可能なレベルである際には、遠赤外線照射、マイクロ波照射、あるいは電子線照射等の非接触法や熱風を吹きつける方法等が好ましい。
そしてこれら繊維構造体から複層吸音材とするためには、得られた、硬質層および軟質層を重ね、コンベア間隔を目的の厚さに調整した上で、既に述べた各層の製造方法と同じ方法で湿熱処理する事で積層体を得る事が可能である。
これまで述べてきた方法により、硬質層及び軟質層を各々別々に作成し、この両者を重ねた状態で、この重ねた繊維層の厚さの和と大旨同じクリアランスを設けた上で、同じく高温スチーム処理してやる事により、積層する事が可能である。
このようにして得られた、本発明の複層吸音材は10〜75mmの厚さを有する事が好ましい。より好ましくは15〜65mmであり、最も好ましくは、20〜50mmである。複層吸音材の厚さが10mm以下であると、非常に軽量な上に薄い吸音材として狭い場所や複雑な場所への使用が期待できるものの、充分な剛性および吸音性を確保することが困難となる。一方、75mmを超えると充分な吸音性能が期待できるものの、吸音材として使用する場合に、その厚さのため設置場所が限定されたり、必要以上に空間を使ってしまう事になり好ましくない。
また、このようにして得られた本発明の複層吸音材は、軽量で、設置するときの取扱性が良好であり、また、設置しているときも、複層吸音材設置時の底部単位面積あたりの重量が5kg以下であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜5kg/mであり、更に好ましくは1〜4kg/mであり、最も好ましくは、1.5〜3kg/mである。この重量が5kg/mを超えると、例えば建材として、3インチ×6インチのサイズで取り扱う場合など、その重量は約9kgとなり、非常に重く、取り扱い難い。また、この複層吸音材を取付けた部位にかかる荷重が大きいと、これを支えるための部材も大きくなり、これが広い範囲にわたるなどした場合に、かかる荷重が嵩み、他の部材に負荷がかかるため好ましくない。
更に、本発明においては、その厚さにおいて、硬質層と軟質層の厚さにおいて、その比が1:15〜1:1の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1:12〜1:2、更に好ましくは1:10〜1:4、最も好ましくは1:9〜1:5である。この比が1:15〜1:1の範囲から外れると、たとえば、1:20などとした場合には、硬質層が機能しなくなり、低周波領域での充分な吸音性能を確保できなくなるとともに、充分な剛性を確保しにくくなる。また、逆に、たとえば1:0.5などとした場合には軟質層の厚さが薄すぎて、高周波領域での充分な吸音性を発現できなくなるとともに、充分な吸音性を得ようと厚みを増した場合には密度の高い硬質層の高い比率のため重い吸音材となってしまう。
本発明の複層吸音材においては、その硬質層および軟質層において、その硬さにおいても、所定の範囲内にあることが好ましい。
この硬さの範囲として、発泡スポンジの硬さを測定するデュロメータを用いるのであるが、通常、柔らかいサンプルの硬さを測定する場合には、デュロメータをサンプルに押し付ける力の違いにより測定値が変化してしまい、正確な測定が難しい。そこでこれを置き針式とすることにより測定可能にした。デュロメータを用いて硬さの範囲を表すと、硬質層側において、70以上であることが好ましい。より好ましくは70〜95であり、更に好ましくは80〜90である。この値が70より小さい場合は充分な剛性を確保することが難くなるケースが出てくる。
一方で、軟質層に関しては、3〜70であることが好ましい。より好ましくは5〜60であり、更に好ましくは、8〜50であり、最も好ましくは9〜35である。この値が、70を超えるような軟質層はその硬さのため充分な吸音性が発現しにくくなり、特に低周波数領域において高い吸音性能が得られない。また、この値が3未満では、軟質層が柔らかすぎて形態安定性が確保できず、その取扱いが難しいばかりか、他の物との接触等により、容易に潰れて充分な吸音性能を確保しにくくなる。
このような繊維接着構造により、本発明の複層吸音材は、その使用においてかかる様々な力に耐えることが可能となるために、充分な曲げ応力を有している事が重要であり、主に硬質層の厚さや密度のバランスをとることにより、使用目的に合わせた、適度な剛性を実現することが可能であるが、その目安として、0.05N/30mm幅以上(例えば0.05〜50N/30mm幅)の曲げ応力を有している事が好ましく、より好ましくは0.1〜30N/30mm幅である、更に好ましくは0.2〜20N/30mm幅程度であってもよい。この最大曲げ応力が小さすぎると、自重やわずかな荷重により簡単に折れやすいため、複層吸音材として、壁材やパーティション材として使用する場合に十分な剛性、形態安定性が確保しにくく自立性を確保することが難しい。一方で最大曲げ応力が20N/30mm幅を超えるような場合には、軟質層の密度を高くする事が必要になり、結果としてできる複層吸音材の高周波領域の吸音性が低下してしまうとともに重量も重くなってしまうため、好ましくない。
またこのような繊維接着構造により、本発明の複層吸音材は、その使用においてかかる様々な力に耐えることが可能となるために、充分な耐久性を有している事が重要であり、この意味で、一度曲げ応力のピークを超えてから更に曲げつづけ、応力ピーク時の曲げたわみ量の1.5倍のたわみ量における曲げ応力がピーク応力の30%以上である事が好ましい。この応力が40%以上であればより好ましく、50%以上であれば更に好ましく、60%以上である事が最も好ましい。このような特性を有している事で、最大曲げ応力を超えた力がかかったときに、簡単に破壊されてしまうことなく、徐々に形態を崩されながらも、ある程度形態を維持することが可能である。
本発明の複層吸音材は低周波数領域から高周波数領域までの広い音域において優れた吸音性を発現することに特徴を有している。
250Hzにおける垂直入射法吸音率が0.10以上、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.2以上である事が好ましい。また、500Hzにおける垂直入射法吸音率としては、0.3以上、好ましくは0.35以上、より好ましくは0.40以上である事が好ましく、かつ2000〜6000Hzにおいて、最小吸音率が0.5以上、好ましくは0.55以上、より好ましくは0.60以上であり、0.65以上であることが最も好ましい。
本発明の複層吸音材は、その構造の中に多くの空気を保持しているため、優れた断熱性をも有している。これは、例えば建材として使用するときなど、より広い用途において簡便にその使用効果を実現できる。たとえば、壁材やパーティションなどに用いた場合、その吸音性により部屋の静かさを向上させると共に、冷暖房の効率をも向上させる効果が期待できる。この優れた断熱性を有している複層吸音材の熱伝導率は0.1W/m・K以下であり、例えば0.03〜0.07W/m・K、好ましくは0.03〜0.08W/m・K(特に0.03〜0.06W/m・K)程度である。
熱伝導率が0.1より高いと優れた断熱性を有しているといえず好ましくない。
本発明の複層吸音材は硬質層と軟質層が積層一体化された吸音材であり、各繊維層同士が接着し、固定されている事が好ましい。この層の間の剥離強度は0.5N/5cm幅以上である事が好ましい。より好ましくは、1N/5cm以上、更に好ましくは、3N/5cm以上である事が好ましい。この剥離強度が0.5g/5cmより低い状態では、使用時に簡単な外力により相間剥離が生じ好ましくない。
本発明の複層吸音材は、基本的に繊維のみからなる構造体であるため、通気性を有している。具体的には、フラジール形法による通気度が0.1cm/(cm・秒)以上(たとえば、1〜300、好ましくは0.5〜200(例えば、1〜200)、更に好ましくは5〜150程度である。
通気度が0.1cm/(cm・秒)より小さい場合には、吸音材として使用したときに、所定の周波数は吸音するものの、広い範囲で音を反射してしまうため好ましくない。一方、通気度が高すぎると、本発明の硬質層と軟質層とからなる吸音材において特に低周波領域における吸音性能が確保できない。
更に、本発明の複層吸音材は、その吸音性を確保できさえすれば、用途に適したあるいは設置形状にあわせて成形したり、表面処理による後加工を加えたり、表面等外観に意匠を付与する事も可能である。
本発明の複層吸音材は、一般の繊維性吸音材と異なり、剛性を有し自立性があるため、このまま壁材、間仕切、パーティション、或いは吸音装飾材として壁面に飾るなど、多様な用途に使用可能である。これらに使用する場合は、その吸音性を維持できる範囲で必要に応じて表面装飾、フレームによる補強など行う事は可能である。
更には、自動車や道路、トンネル内など、各種吸音用途に応用可能である。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例における各物性値は、以下に示す方法により測定した。なお、実施例中の「部」及び「%」は断りのない限り、質量基準である。
(1)エチレン−ビニルアルコール系共重合体のメルトインデックス(MI)
JIS K6760に準じて、190℃、21.2N荷重の条件下、メルトインデクサーを用いて測定した。
(2)目付(g/m
JIS L1913「一般短繊維不織試験方法」に準じて測定した。
(3)厚さ(mm)、見掛け密度(g/cm
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて厚さを測定し、この値と目付の値とから見掛密度を算出した。
また、積層後の各層の厚さ、見掛け密度については、両層を剥離分離可能な場合は、形態を壊さないように分離した後、同じくJIS L1913に準じて測定し算出した。また、軟質層が柔らかすぎて形態保ったままの分離が困難な場合は、軟質層を剥離後の硬質層の厚さを積層体の厚さから減ずることで求めた。
(4)捲縮数
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法」(8.12.1)に準じて評価した。
(5)繊維接着率
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、成形体断面を100倍に拡大した写真を撮影した。撮影した成形体の厚さ方向における断面写真を厚さ方向に三等分し、三等分した各領域(表面、内部(中央)、裏面)において、そこに見出せる繊維切断面(繊維端面)の数に対して繊維同士が接着している切断面の数の割合を求めた。各領域に見出せる全繊維切断面数のうち、2本以上の繊維が接着した状態の断面の数の占める割合を以下の式に基づいて百分率で表した。なお、繊維同士が接触する部分には、融着することなく単に接触している部分と、融着により接着している部分とがある。但し、顕微鏡撮影のために成形体を切断する事により成形体の切断面においては、各繊維が有する応力によって、単に接触している繊維同士は分離する。したがって、断面写真において、接触している繊維同士は接着していると判断できる。
繊維接着率(%)=(2本以上接着した繊維の断面数)/(全繊維断面数)×100
但し、各写真について、断面の見える繊維は全て計数し、繊維断面数100以下の場合は、観察する写真を追加して全繊維断面数が100を超えるようにした。なお、三等分した各領域についてそれぞれ繊維接着率を求め、その最大値に対する最小値の割合も併せて求めた。
(6)曲げ荷重
JIS K7017に記載の方法のうちA法(3点曲げ法)に準じて測定した。この時、測定サンプルは30mm×200mm長のサンプルを用い、支点間を160mmとし、試験速度を2mm/分として測定を行った。本発明では、この測定結果チャートにおける最大荷重(ピーク荷重)を最大曲げ荷重とした。なお、曲げ応力の測定は、MD方向及びCD方向について測定した。ここで、MD方向とは、測定サンプルの長辺に対しウェブ流れ方向(MD)が平行となるように測定サンプルを採取した状態をいい、一方、CD方向とは、測定サンプルの長辺に対しウェブ幅方向(CD)が平行となるように測定サンプルを採取した状態をいう。
(7)1.5倍曲げ荷重
曲げ荷重の測定において、最大曲げ荷重(ピーク荷重)を示す曲げ量(変位)を超え、さらにその変位の1.5倍の変位まで曲げつづけた時の荷重を1.5倍変位荷重とした。
熱伝導率
JIS R2616 「耐火断熱れんがの熱線法による熱伝導率の試験方法」に準じて、非定常熱線法によって測定した。
但し、本願においては、軟質層の測定においては、軟質層がプローブの重さにより圧縮されて密度が変わることのないように、プローブを上下反対に置き、裏返しになった測定面上にサンプルをのせて測定した。
(9)通気度
JIS L1096に準じ、フラジール形法にて測定した。
(10)25%圧縮応力、50%圧縮応力、25%回復/圧縮応力比
JIS K6400−2「軟質発泡材料−物理特性の求め方−第2部:硬さ及び圧縮たわみ」(7.3)圧縮たわみ測定 B法 に順じて、40mmΦの円形加圧板を100mm/分の速度で動かし、30mmΦの円柱状サンプルについて、最初の厚さの50%まで圧縮した後、すぐに同じ速度で戻した時(同じ速度で負荷を取り除いた時)の力―たわみ曲線を記録し、この曲線から、25%圧縮応力、50%圧縮応力、25%戻り応力を読み取り、この値およびこの値から算出した値を用いた。
(11)デュロメータ硬さ
JIS K6253に準じ、デュロメータ硬さ試験により測定した。測定はタイプFO(テクロック社製、「GS−744G」)を使用した。
(12)吸音率
音響インピーダンス管を用いた吸音率測定システム(ブリューエル&ケア社製、2マイクロフォンインピーダンス管4206型の大型測定管)を用いて、JIS A−1405法に準じて垂直入射吸音率を測定した。
実施例1
湿熱接着繊維として、芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点263℃)、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量44モル%、ケン化度98.4モル%、融点158℃)である芯鞘型複合ステープル繊維(クラレ(株)製、「ソフィスタ S220」、繊度3.3dtex、繊維長51mm、芯鞘質量比=50/50、捲縮数21個/25mm、捲縮率13.5%)を準備した。
この芯鞘型複合ステープル繊維を用いて、カード法により目付約140g/mのカードウェブを作成し、このウェブを7枚重ねて合計目付1000g/mのカードウェブとした。このカードウェブを50メッシュ、幅500mmのステンレス製エンドレスネットを装備したベルトコンベアに移送した。尚、このベルトコンベアの金網の上部には同じ金網を有するベルトコンベアが装備されており、それぞれが同じ速度で同方向に回転し、これら量金網の間隔を任意に調整可能なベルトコンベアを使用した。
次いで、下側コンベアに備えられた水蒸気噴射装置へカードウェブを導入し、この装置から0.4MPaの高温水蒸気をカードウェブの厚さ方向に向けて通過するように(垂直に)噴出して水蒸気処理を施し、不織繊維構造を有する成形体を得た。この水蒸気噴射装置は、下側のコンベア内に、コンベアネットを介して高温水蒸気をウェブに向かって吹き付けるようにノズルが設置され、上側のコンベアにサクション装置が設置されていた。また、この噴射装置のウェブ進行方向における下流側には、ノズルとサクション装置との配置が逆転した組合せである噴射装置がもう一台設置されており、ウェブの表裏両面に対して蒸気処理を施した。
なお、水蒸気噴射ノズルの孔径は0.3mmであり、ノズルがコンベアの幅方向に沿って1mmピッチで一列に並べられた蒸気噴射装置を使用した。加工速度は3m/分であり、ノズル側とサクション側の上下コンベアベルト間の間隔(距離)は10mmとした。ノズルはコンベアベルトの裏側にベルトとほぼ接するように配置した。
このようにして得られた硬質層は10mmの厚さ有するボード状の形態を有し、自立性を有するに充分な硬さを有し、中央部を持って面方向を重力と交差する方向に向けても先端が重力方向に曲がる事はなかった。
更に、軟質層を構成する繊維として、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート樹脂(単独重合体を形成する成分A)とイソフタル酸20モル%及びジエチレングリコール5モル%を共重合した変性ポリエチレンテレフタレート樹脂(変性重合体を形成する成分B)とで構成されたサイドバイサイド型複合ステープル繊維((株)クラレ製、「PN−780」、1.7dtex×51mm長、機械捲縮数12個/25mm、130℃×1分熱処理後における捲縮数62個/25m)を準備し、湿熱接着繊維として、芯鞘型複合ステープル繊維((株)クラレ製、「ソフィスタ:S−220」)と、潜在捲縮性複合繊維としてこのサイドバイサイド型複合ステープル繊維とを、質量比30/70で混綿して目付120g/mカードウェブを作成し、このウェブを既に作成したボード状成形体の上に5層重ねた状態で、上下コンベア間隔を40mm、スチーム噴射圧力を0.1MPaとした水蒸気噴射装置に導入し、硬質層上に軟質層を形成することにより実施例1の複層吸音材を製造した。
この実施例1の複層吸音材の評価結果を表1に示す。この複層吸音材は、積層体としても自立性有する充分な硬さを有すると共に、積層した軟質層は硬質層と一体化しており、低周波領域から高周波数の音まで良好な吸音性を示した。
実施例2
軟質層を構成する繊維比率を湿熱接着繊維/潜在捲縮性複合繊維=70/30の質量比としたこと以外は実施例と同様にして実施例2の複層吸音材を得た。実施例2の複層吸音材においても軟質層と硬質層と一体化しており、良好な吸音性を示した。
この実施例2の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
実施例3
軟質層を構成する繊維として、実施例1に記載の(株)クラレ製、「PN−780」の代わりに、ポリエチレンテレフタレート樹脂と変性ポリエチレンテレフタレート樹脂とで構成されたサイドバイサイド型複合繊維であり、約700ミクロン径のループ状捲縮繊維(東レ(株)社製、「T−12」、5.6dtex×58mm長)を用い、その繊維比率を湿熱接着繊維/ループ状捲縮繊維=50/50とし、また硬質層上に軟質層を形成する際の上下コンベア間隔を30mmとした事以外は実施例1と同様にして、実施例3の複層吸音材を製造した。この複層吸音材も自立性のある硬さと、充分な吸音性を示していた。
実施例3の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
実施例4
硬質層上に軟質層を形成する際に上下コンベア間隔を40mmとした事以外は、実施例3と同様にして実施例4の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例4の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
実施例5
硬質層上に軟質層を形成する際のウェブを8層重ねとしたこと以外は実施例4と同様な方法で実施例5の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例5の複層軽量吸音材の評価結果を表1に示す。
実施例6
硬質層を構成する繊維として、低融点変性ポリエステルを鞘成分とする芯鞘型繊維(帝人ファイバー社製、TJ04C、2.2dtex、51mm、鞘成分融点110℃)を用い、硬質層形成時の高温水蒸気の圧力を0.8MPaとした事以外、実施例5と同様にして実施例6の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例6の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
実施例7
硬質層を構成するカードウェブの繊維構成において、実施例1の湿熱接着繊維とポリエチレンテレフタレート繊維とを、湿熱接着繊維/ポリエチレンテレフタレート繊維=80/20の質量比で混綿したこと以外は、実施例4と同様にして、実施例7の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例7の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
実施例8
硬質層を製造する際の、上下コンベア間隔を5mmとし、そして硬質層上に軟質層を形成する際の上下コンベア間隔を35mmしたこと以外は実施例4と同様にして、実施例8の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例8の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
実施例9
硬質層を構成する湿熱接着繊維からなるカードウェブを15層重ねとし、目付約2100g/mとしたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例9の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例9の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
実施例10
軟質層の繊維混率を、湿熱接着繊維/ループ状捲縮繊維=50/50とした事以外、実施例5と同様にして実施例10の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例10の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
実施例11
硬質層を形成する際のカードウェブの積層枚数を15枚とし、上下コンベア間隔を20mmとすると共に高温水蒸気の圧力を0.6MPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして目付約2000g/m、厚さ約20mmの硬質層を得た。この硬質層上に軟質層を形成する際に積層するウェブを3層とし、この時の上下コンベア間隔を35mmとした事以外は実施例1と同様にして、実施例11の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例11の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
比較例1
硬質層上に軟質層を形成する際に、軟質層のウェブを1層とし、上下コンベア間隔を15mmとした事以外は実施例1と同様にして、比較例1の積層体を得た。このものは、軟質層の厚さが薄いため、吸音性の劣るものであった。
この比較例1の積層体の評価結果を表1に示す。
比較例2
実施例1の硬質層上に、この硬質層を形成したのと同じ湿熱接着繊維からなる目付約120g/mのカードウェブを7層積層し、今度は上下コンベア間隔を20mmとすると共に高温水蒸気を圧力0.4MPaとして再処理することにより、比較例2の積層体を得た。このものは、充分な自立性を示したものの、吸音性におとるものであった。
この比較例2の積層体の評価を表1に示す。
比較例3
実施例3の軟質層を形成する繊維ウェブ(繊維比率を湿熱接着繊維/ループ状捲縮繊維=50/50)を用い、硬質層を重ねることなくこのウェブ単独を、上下コンベア間隔40mm、高温水蒸気圧0.1MPaとして、実施例1の軟質層形成と同様に処理して、湿熱接着繊維の融着により形態を保持した単一構造の比較例3の繊維層を得た。このものは低周波領域の吸音性に劣るものであった。
この繊維層の評価結果を表1に示す。
Figure 2010085873

Claims (7)

  1. 繊維形成性樹脂からなる芯部の表面の少なくとも一部に略全長にわたって低融点樹脂が被覆されてなる熱接着性繊維を含む層を少なくとも1層有する複層吸音材であって、前記低融点樹脂は前記繊維形成性樹脂よりも融点かつ/または軟化点が40℃以上低く、前記熱接着性繊維を70〜100質量%含み厚さ方向に略均一に繊維接着点を有する密度0.07〜0.3g/cmの硬質層と、0.01〜0.15g/cmの密度かつ厚さ5mm以上の軟質層とをそれぞれ各一層以上積層してなり、前記硬質層に対する前記軟質層の密度差が0.02g/cm以上であるとともに、複層吸音材設置時の底部単位面積あたりの重量が5kg以下であることを特徴とする複層吸音材。
  2. 複層吸音材の少なくとも一方向における最大曲げ荷重が、吸音材30mm幅あたり1.0N幅以上である事を特徴とする請求項1に記載の複層吸音材。
  3. 軟質層が15質量%以上の捲縮繊維を含んでいる事を特徴とする請求項1または2に記載の複層吸音材。
  4. 軟質層および/または硬質層に少なくとも1種以上の湿熱接着性繊維を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の複層吸音材。
  5. 15mm以上75mm以下の厚さであると共に、自立性を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の複層吸音材。
  6. 周波数500Hzの音の吸音率が30%以上であると共に周波数1000〜6000Hzの音の吸音率が60%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の複層吸音材。
  7. 0.1W/(m・K)以下の熱伝導率を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の複層吸音材。
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