JP2001018314A - 不織布積層体及び自動車用内装材 - Google Patents

不織布積層体及び自動車用内装材

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JP2001018314A
JP2001018314A JP11198264A JP19826499A JP2001018314A JP 2001018314 A JP2001018314 A JP 2001018314A JP 11198264 A JP11198264 A JP 11198264A JP 19826499 A JP19826499 A JP 19826499A JP 2001018314 A JP2001018314 A JP 2001018314A
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fiber
fibers
layer
rigid
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Akira Uchiumi
章 内海
Masaki Kobayashi
正樹 小林
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Japan Vilene Co Ltd
Original Assignee
Japan Vilene Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量かつ剛性を有する不織布積層体、及びこ
れを成形した自動車用内装材を提供すること。 【解決手段】 本発明の不織布積層体は、構成繊維が熱
可塑性樹脂バインダーにより接着固定された不織布から
なる剛性層と、前記剛性層よりも見掛密度の低い不織布
からなる嵩高層とが隣接して配置しており、前記剛性層
と前記嵩高層とは前記剛性層及び/又は嵩高層を構成す
る熱融着性繊維の融着により、前記剛性層と前記嵩高層
との剥離強度が2N/5cm幅以上であるように融着一
体化したものである。本発明の自動車用内装材は上記の
不織布積層体が所望形状に成形されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は不織布積層体及び自
動車用内装材に関する。特には、天井材、リアパッケー
ジトレイ、ドアトリム、フロアインシュレータ、トラン
クトリム、ダッシュインシュレータなどの自動車用内装
材に成形可能な不織布積層体、及びこれを成形した自動
車用内装材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車用内装材の素材として、例
えば、プラスチック板、プラスチックフォーム、熱硬化
性樹脂からなるレジンフェルト、段ボール、或いは熱硬
化性樹脂に木粉や古紙が添加されたハードボードやペー
パーボードなどが用いられていた。しかしながら、プラ
スチック板は重くて硬く、しかも吸音性がないものであ
った。また、プラスチックフォームは吸音性がなく、割
れやすいものであり、また深絞り成形できないものであ
った。そして、レジンフェルトは重く、また基材を成形
するのに要する加熱時間が長く、1段成形では表皮材を
損傷する場合があるため、基材を成形した後に表皮材を
重ねて成形する、いわゆる2段成形を施す必要があり、
成形作業性の悪いものであった。また、レジンフェルト
は剛性が小さく、得られる基材は機械的強度が小さいも
のであった。更に、段ボール、ハードボード或いはペー
パーボードは、深絞り成形を施すことができないばかり
でなく、2段成形によって成形する必要があり、またハ
ードボードは重いものであった。
【0003】このような状況下において、特開平7−359
9号公報には、2種類の特定繊度の高軟化点繊維と特定
繊度の低軟化点繊維との配合比を規定した高剛性吸音材
が開示され、また、特開平8−108810号公報に
は、特定繊度の高軟化点繊維と特定の低軟化点繊維との
配合比を規定した自動車用内装材が開示され、特開平8
−156161号公報には、低密度不織布からなる融着
性層と、この融着性層の両側に配設された高密度不織布
からなる剛性層と、最上層に配設された表皮層とを有す
る不織布積層体が開示され、特開平10−60763号
公報には、有機繊維不織布からなる芯材不織布層の片面
又は両面に、この芯材不織布層と密度の異なる有機繊維
不織布からなる表皮不織布層を積層した繊維積層成形体
が開示されている。
【0004】上記のような公報に開示されているものは、あ
る程度の効果(例えば、吸音性、剛性、軽量など)を発
揮するものの、未だ不十分なものであった。特に、近年
の環境保護の観点から、リサイクルできる素材としてポ
リエステル系繊維のみから自動車用内装材を構成する場
合、軽くて剛性のあるものは未だ存在していなかった。
つまり、剛性を上げるためにはある程度の重量が必要で
あり、軽量化すると剛性がなくなるため、実際には使用
することができないものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
を解決するためになされたものであり、軽量かつ剛性を
有する不織布積層体、及びこれを成形した自動車用内装
材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の不織布積層体
は、構成繊維が熱可塑性樹脂バインダーにより接着固定
された不織布からなる剛性層と、前記剛性層よりも見掛
密度の低い不織布からなる嵩高層とが隣接して配置して
おり、前記剛性層と前記嵩高層とは前記剛性層及び/又
は嵩高層を構成する熱融着性繊維の融着により、前記剛
性層と前記嵩高層との剥離強度が2N/5cm幅以上で
あるように融着一体化したものである。本発明者らは軽
量化するために見掛密度の低い不織布(嵩高層)を使用
し、剛性を付与するために熱可塑性樹脂バインダーによ
り接着固定された不織布(剛性層)を使用したが、軽量
かつ剛性を有する不織布積層体を得ることができなかっ
たため、その原因を追求した結果、いくら剛性のある不
織布を積層したとしても、見掛密度の低い不織布と剛性
のある不織布とが強固に一体化していないと、剛性のあ
る不織布積層体を得ることができない、という結論に達
した。つまり、剛性層と嵩高層との剥離強度が2N/5
cm幅以上であるように融着一体化した不織布積層体は
軽量かつ剛性に優れることを見い出したのである。
【0007】本発明の自動車用内装材は上記の不織布積層体
が所望形状に成形されたものであるため、軽量かつ剛性
の優れるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の不織布積層体は剛性を付
与するために、熱可塑性樹脂バインダーにより接着固定
された不織布(以下、「剛性不織布」という)からなる
剛性層を備えている。なお、この熱可塑性樹脂バインダ
ーによって防音性が向上するという効果も奏する。この
熱可塑性樹脂バインダーとしては、例えば、スチレン−
アクリル酸共重合体、スチレン・アクリル酸エステル−
アクリロニトリル共重合体、スチレン・アクリロニトリ
ル・ブタジエン、スチレン・ブタジエンゴム(SBR
系)、スチレン・アクリル酸エステル共重合体などを使
用することができる。なお、熱可塑性樹脂バインダーの
ガラス転移温度が低いと、耐熱性に劣る場合があるた
め、熱可塑性樹脂バインダーのガラス転移温度(JIS
K 7121に規定されている方法により得られる
値)は80℃以上であるのが好ましい。この熱可塑性樹
脂バインダー量は剛性不織布全体の20〜70mass
%を占めているのが好ましく、30〜70mass%を
占めているのがより好ましい。
【0009】この熱可塑性樹脂バインダーによる接着固定方
法としては、例えば、エマルジョン状又はラテックス状
の熱可塑性樹脂バインダーを、繊維ウエブ又は結合繊維
ウエブに散布した後に乾燥する方法、繊維ウエブ又は結
合繊維ウエブにエマルジョン状又はラテックス状の熱可
塑性樹脂バインダーをコーティングした後に乾燥する方
法、或いは繊維ウエブ又は結合繊維ウエブを熱可塑性樹
脂バインダー浴中に浸漬した後に乾燥する方法などがあ
る。
【0010】このような熱可塑性樹脂バインダーによる接着
固定は、嵩高層を構成する不織布(以下、「嵩高不織
布」という)に、繊維ウエブ又は結合繊維ウエブを積層
する前及び/又は積層した後に実施することができる。
なお、熱可塑性樹脂バインダーによる接着固定を嵩高不
織布に積層する前及び積層後に実施する場合には、熱可
塑性樹脂バインダーの種類、接着固定方法、接着量など
は同じであっても異なっていても良い。前者のように剛
性不織布を形成した後に嵩高不織布に積層する場合、熱
可塑性樹脂バインダーにより繊維ウエブ又は結合繊維ウ
エブ全体を接着固定すると、剛性不織布と嵩高不織布と
の融着一体化が不十分になる傾向があるため、少なくと
も片面近傍は熱可塑性樹脂バインダーにより接着固定さ
れていない剛性不織布を形成するのが好ましい。より具
体的には、繊維ウエブをニードルにより絡合すると同時
に片面を毛羽立たせた場合、毛羽立たせた面近傍は熱可
塑性樹脂バインダーにより接着固定されないように、熱
可塑性樹脂バインダーにより接着固定するのが好まし
い。このように熱可塑性樹脂バインダーにより部分的に
接着固定するには、例えば、熱可塑性樹脂バインダー
(例えば、エマルジョンやラテックスなど)の粘度を調
整したり、熱可塑性樹脂バインダー(例えば、エマルジ
ョンやラテックスなど)を泡立ててコーティングした
り、熱可塑性樹脂バインダー(例えば、エマルジョンや
ラテックスなど)の量を調節する、などの方法がある。
【0011】この剛性不織布(剛性層)の面密度は、50〜
300g/m2であるのが好ましく、80〜200g/
2であるのがより好ましい。また、厚さは0.3〜5
mmであるのが好ましく、0.5〜3mmであるのがよ
り好ましい。
【0012】この剛性不織布を構成する繊維としては、特に
限定するものではないが、熱融着性繊維が含まれている
と、熱融着性繊維が融着していることによって、剛性不
織布の剛性を向上させることができる、嵩高不織布との
融着一体化を強固なものとすることができる、などの効
果を奏するため好適である。この熱融着性繊維として
は、全融着型の熱融着性繊維であっても一部融着型の熱
融着性繊維であっても使用することができるが、融着し
ない樹脂成分(非融着成分)によって繊維形状を維持で
き、剛性の低下のより少ない一部融着型の熱融着性繊維
を使用するのが好ましい。この好適である一部融着型の
熱融着性繊維は、融着成分と融着成分の融点では融着し
ない非融着成分とからなり、融着成分は非融着成分より
も10℃以上(好ましくは20℃以上)低い融点を有す
る樹脂からなるのが好ましい。また、剛性不織布を構成
する繊維として、熱融着性繊維以外の繊維を含んでいる
場合には、熱融着性繊維の融着成分は剛性不織布を構成
する熱融着性繊維以外の繊維の最も低い融点よりも10
℃以上(好ましくは20℃以上)低い融点を有する樹脂
からなるのが好ましい。この好適な一部融着型の熱融着
性繊維の断面形状としては、例えば、芯鞘状、偏芯状、
海島状、貼り合わせ状、オレンジ状、多重バイメタル状
であることができる。これらの中でも、融着成分が繊維
表面全体を占めることができ、融着力に優れている芯鞘
状、偏芯状或いは海島状であるのが好ましい。なお、熱
融着性繊維として未延伸繊維を使用することもできる。
【0013】この熱融着性繊維を構成する樹脂としては、例
えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプ
ロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂など)など
があり、これら樹脂の1種類以上から構成することがで
きる。これらの中でも、リサイクル性の点からポリエス
テル系樹脂のみからなる熱融着性繊維を好適に使用する
ことができる。なお、この熱融着性繊維における融着成
分の結晶性が低いと、高温時において融着力が低下する
傾向があるため、結晶性が高いのが好ましい。つまり、
融解熱が8J/g以上であるのが好ましく、12J/g
以上であるのがより好ましい。
【0014】本発明における「融点」は、示差走査熱量計を
用い、昇温速度10℃/分で、室温から昇温して得られ
る融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。なお、極
大値が2つ以上ある場合には、最も高温の極大値を融点
とする。また、本発明における「融解熱」は、示差走査
熱量計を用い、昇温速度10℃/分で、室温から昇温し
て得られる融解吸熱曲線から得られる値をいう。
【0015】この熱融着性繊維の繊度は特に限定するもので
はないが、嵩高不織布との融着点が多くなるようにある
程度細いのが好ましく、具体的には1〜30デニールで
あるのが好ましく、1〜20デニールであるのがより好
ましい。この熱融着性繊維は嵩高不織布中に存在してい
れば(極端な場合、剛性不織布中に存在していなくて
も)、剛性不織布と嵩高不織布とを強固に融着一体化で
きるが、剛性不織布の剛性が向上するように、またより
強固に融着一体化できるように、剛性不織布を構成する
繊維中、5〜100mass%含まれているのが好まし
い。
【0016】本発明の剛性不織布は前述のような熱融着性繊
維以外に、異形断面繊維及び/又は中空繊維を含んでい
ることができる。前者の異形断面繊維を使用することに
より剛性をより高くすることができ、後者の中空繊維を
使用することにより軽量化することができる。この異形
断面繊維とは繊維断面形状が非円形の繊維をいい、例え
ば、楕円状、長円状、アルファベット形状(例えば、T
状、Y状など)、プラス(+)状、多角形状(例えば、
三角形、四角形、六角形など)などの繊維断面形状を有
する繊維を使用できる。また、中空繊維とは繊維の内部
において樹脂の存在していない領域を有する繊維をい
い、その樹脂の存在していない領域が繊維の長さ方向に
連続しているのが好ましい。なお、中空繊維の断面を観
察した際に、樹脂の存在していない領域が繊維断面の中
心部に存在している必要はない。更には、中空繊維の断
面を観察した際に、樹脂の存在していない領域の形状は
円形である必要はなく、アルファベット形状(例えば、
T状、Y状など)、プラス(+)状、多角形状(例え
ば、三角形、四角形、六角形など)などの非円形であっ
ても良い。
【0017】この異形断面繊維又は中空繊維を構成する樹脂
としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系
樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系
樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹
脂)などがあり、これらの樹脂1種類から、又は2種類
以上の樹脂を組み合わせたもの(例えば、繊維断面形状
が芯鞘状、偏芯状、海島状、貼り合わせ状、オレンジ
状、多重バイメタル状のもの)を使用することができ
る。これらの中でも、異形断面繊維又は中空繊維はリサ
イクル性の点からポリエステル系樹脂のみからなるのが
好ましい。なお、異形断面繊維又は中空繊維は巻縮を発
現したり、分割されて細い繊維を発生可能であっても良
い。更に、異形断面かつ中空の繊維も使用することがで
きる。この異形断面繊維又は中空繊維の繊度は特に限定
するものではないが、前述のような熱融着性繊維よりも
太いものを使用して、剛性をより高めるのが好ましい。具
体的には、繊度1〜90デニールの異形断面繊維及び/
又は中空繊維を使用することができ、1〜60デニール
であるのがより好ましい。
【0018】本発明の剛性不織布を構成する更に別の繊維と
しては、繊維断面形状が円形で、繊維断面において樹脂
の存在していない領域のない繊維、例えば、(1)ガラ
ス繊維や炭素繊維などの無機繊維、(2)絹、羊毛、
綿、麻などの天然繊維、(3)レーヨン繊維などの再生
繊維、(4)アセテート繊維などの半合成繊維、(5)
ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール繊維、アクリ
ル繊維、ポリエステル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、
ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチ
レン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリメチルペンテ
ン系繊維、芳香族ポリアミド繊維、又は2種類以上の樹
脂からなる巻縮発現性又は分割性を有する複合繊維など
の合成繊維、を使用することができる。これら繊維の中
でもポリエステル系繊維はリサイクル性に優れているた
め好適に使用できる。これら繊維の繊度は特に限定する
ものではないが、剛性を高めることができるように前述
のような熱融着性繊維よりも太いのが好ましく、具体的
には繊度1〜90デニールであるのが好ましく、1〜6
0デニールであるのがより好ましい。
【0019】なお、剛性不織布を構成するいずれの繊維も繊
維長20〜160mm程度の短繊維からなると、繊維の
自由度が高く、成形性に優れているため好適である。
【0020】本発明の剛性不織布は前述のように繊維ウエブ
又は結合繊維ウエブを熱可塑性樹脂バインダーにより接
着固定した不織布からなる。この繊維ウエブとしては、
乾式法(例えば、カード法、エアレイ法、スパンボンド
法、メルトブロー法など)、又は湿式法により形成した
ものがある。これら繊維ウエブの形成方法の中でも、剛
性のより優れる剛性不織布を製造しやすい乾式法により
繊維ウエブを形成するのが好ましく、嵩高不織布との融
着点を多くすることのできるカード法又はエアレイ法に
より形成するのがより好ましい。
【0021】他方、結合繊維ウエブの態様としては、繊維ウ
エブが、例えば、流体流による絡合、ニードルによる絡
合、熱融着性繊維の融着の中から選ばれる少なくとも1
つの手段により結合されたものであることができる。こ
れらの少なくとも1つの手段により形成された結合繊維
ウエブから製造された剛性不織布は嵩高不織布との融着
性に優れていたり、剛性に優れている。より具体的な態
様としては、(1)繊維ウエブを流体流により絡合した
結合繊維ウエブ、(2)繊維ウエブを流体流により絡合
及び熱融着性繊維を融着した結合繊維ウエブ、(3)繊
維ウエブをニードルにより絡合した結合繊維ウエブ、
(4)繊維ウエブをニードルにより絡合及び熱融着性繊
維を融着した結合繊維ウエブ、(5)熱融着性繊維を部
分的に又は全面的に融着した結合繊維ウエブ、などがあ
る。このような結合繊維ウエブは、前述のようにして形
成した繊維ウエブに対して、流体流による絡合、ニード
ルによる絡合、熱融着性繊維の融着の中から選ばれる少
なくとも1つの手段を施すことによって得ることができ
る。
【0022】繊維ウエブの流体流による絡合方法としては、
取り扱いやすい水により実施するのが好ましい。なお、
繊維ウエブの流体流による絡合は絡合後の繊維ウエブ
(以下、「絡合繊維ウエブ」という)の引張り強さ(た
て方向及びよこ方向の平均)が150N/50mm幅以
上(好ましくは160〜500N/50mm幅、より好
ましくは170〜500N/50mm幅、更に好ましく
は180〜500N/50mm幅、最も好ましくは19
0〜500N/50mm幅)となるまで実施するのが好
ましい。この絡合繊維ウエブの引張り強さ(たて方向及
びよこ方向の平均)が150N/50mm幅以上である
ということは、それだけ繊維同士の絡合の程度が高いと
いうことであるため、より剛性が優れていることを意味
する。この引張り強さは、幅50mmに裁断した絡合繊
維ウエブの両端を、引張強さ試験機(オリエンテック
製、テンシロンUCT−500)のチャックに固定(チ
ャック間距離:100mm)し、速度200mm/分で
引張った時における、破断に要する力をいう。なお、こ
の引張り強さは絡合繊維ウエブのたて方向及びよこ方向
について、それぞれ5箇所づつ測定し、その測定値を平
均した値をいう。また、絡合繊維ウエブのたて方向とは
絡合繊維ウエブを製造する際の流れ方向をいい、よこ方
向とはたて方向と直交する方向をいう。
【0023】前述のような引張り強さをもつ絡合繊維ウエブ
は、例えば次のようにして製造することができる。ノズ
ル径をR(単位:mm)、ノズルの内圧をP(単位:M
Pa)とした時に、(式)E=R×P2から導き出され
るE値が6以上(好ましいE値は8以上、より好ましい
E値は10以上、最も好ましいE値は12以上)の流体
流を、繊維ウエブに対して少なくとも1回作用させるこ
とにより、前述のような引張り強さをもつ絡合繊維ウエ
ブを製造することができる。この(式)は、運動エネル
ギーは質量と速度の二乗に比例するため、ノズル径が大
きければ大きいほど噴出されて作用する流体の質量が大
きくなること、及びノズルの内圧が高ければ高いほど噴
出される流体の速度が速くなることから、流体流の運動
エネルギーを疑似的に表現したものである。
【0024】その他の流体流噴出条件としては、例えば、直
径が0.05〜0.3mm、ピッチが0.2〜3mm
で、1列以上にノズルが配列したノズルプレートを使用
し、内圧5MPa〜30MPa程度で流体を噴出する。
また、流体流の噴出は繊維ウエブの片面のみに対して行
うと、繊維ウエブの片面に微細な毛羽立ちを形成し、こ
の微細な毛羽立ちによって嵩高不織布と強固に融着一体
化することができ、繊維ウエブの両面に対して流体流を
噴出すると、絡合度合いをより高くすることができるた
め、引張り強さを高くすることができ、結果として剛性
を高めることができる。なお、流体流の噴出は1回では
なく、2回以上噴出することにより、絡合度合いをより
高くすることができる(つまり、引張り強さを高くする
ことができ、剛性を高めることができる)。好ましく
は、前述のE値の合計が12以上(好ましくは16以
上、より好ましくは20)となるように流体流を2回以
上作用させる。
【0025】なお、絡合繊維ウエブを構成する繊維の配向方
向が偏っていることによって、絡合繊維ウエブのたて方
向とよこ方向との間における剛性のバランスが悪いよう
な場合には、繊維配向方向の相違する繊維ウエブを積層
した後に、上述のような流体流を作用させることによ
り、たて方向とよこ方向との間における剛性のバランス
を調整することができる。例えば、繊維が一方向に配向
した繊維ウエブA上に、繊維が一方向に配向した繊維ウ
エブBを、繊維ウエブAの繊維配向方向に対して10°
以上の角度を有するように積層した後に、前述のような
流体流を作用させることにより、たて方向とよこ方向と
の間における剛性のバランスを調整することができる。
【0026】本発明の結合繊維ウエブを製造するために、繊
維ウエブをニードルにより絡合する方法としては、特に
限定するものではないが、繊維同士の絡合が十分に進行
して、剛性を高くすることができるように、針密度15
0本/cm2以上で実施するのが好ましい。また、ニー
ドルにより絡合すると同時に、繊維ウエブの片面を毛羽
立たせて、後述の嵩高不織布と強固に融着一体化できる
ようにするのが好ましい。このような繊維ウエブの片面
における毛羽立ちは、例えば、ニードルは繊維ウエブの
片面のみから作用させたり、ニードルのバーブが繊維ウ
エブを貫通するように作用させたり、フォークニードル
を使用することにより形成することができる。
【0027】本発明の結合繊維ウエブを製造するために熱融
着性繊維を融着させる場合には、無圧下で行なっても良
いし、加熱と同時に加圧しても良いし、加熱した後に加
圧しても良い。また、熱融着性繊維の融着は後述のよう
な嵩高不織布と積層する前に実施することもできるし、
嵩高不織布と積層した後に実施することもできる。な
お、嵩高不織布と積層する前に熱融着性繊維を融着させ
る場合には、剛性を高めることができるように、加熱と
同時に加圧するか、加熱した後に加圧するのが好まし
い。他方、嵩高不織布と積層した後に熱融着性繊維を融
着させる場合には、嵩高不織布の嵩高性を低下させない
ように、無圧下或いは厚さを調整できる程度の低い圧力
で実施するのが好ましい。
【0028】なお、加熱と同時に加圧して熱融着性繊維を融
着する場合には、熱融着性繊維の融着成分の軟化点から
融点までの範囲内の温度の熱を作用させるのが好まし
く、加熱後に加圧する場合又は無圧下で熱を作用させる
場合には、熱融着性繊維の融着成分の軟化点から融点よ
りも50℃程度高い温度までの範囲内の温度の熱を作用
させるのが好ましい。また、加圧する場合には、いずれ
の場合も線圧力5〜30N/cm程度で実施するのが好
ましい。更に、加圧する場合には、繊維ウエブを全面的
に加圧することもできるし、部分的に加圧することもで
きるが、剛性の点から全面的に加圧するのがより好まし
い。
【0029】本発明における「軟化点」は、示差走査熱量計
を用い、昇温速度10℃/分で室温から昇温して得られ
る融解吸熱曲線の開始点を与える温度をいう。
【0030】本発明の不織布積層体は上述のような剛性層に
隣接して、剛性層よりも見掛密度の低い不織布(嵩高不
織布)からなる嵩高層を配置することによって、軽量化
を達成している。また、この嵩高不織布(嵩高層)によ
って断熱性や防音性も向上する。前述の剛性層(剛性不
織布)の見掛密度は0.07g/cm3程度以上である
ため、嵩高不織布(嵩高層)の見掛密度は0.07g/
cm3程度未満であり、より好ましくは0.02〜0.
06g/cm3程度である。この「見掛密度」は不織布
(例えば、剛性不織布、嵩高不織布など)の面密度をそ
れぞれの不織布の厚さで除した値をいい、不織布の「厚
さ」は1cm2あたり20g荷重時の値をいう。
【0031】このような嵩高不織布は、例えば、ニードルパ
ンチ法、熱融着性繊維を融着させるファイバーボンド
法、バインダーにより接着させるバインダーボンド法、
或いはエアレイ法やカード法などにより単に繊維を開繊
する方法、などにより製造することができる。これらの
中でも、エアレイ法やカード法などにより単に繊維を開
繊する方法であると、剛性不織布との融着性に優れてい
るため好適である。
【0032】この嵩高不織布を構成する繊維として、剛性不
織布を構成する熱融着性繊維と同様の熱融着性繊維が含
まれており、この熱融着性繊維が融着していると、積層
不織布の形態安定性が向上するため好ましい態様であ
る。この熱融着性繊維としては、嵩高不織布を構成する
他の繊維の融点よりも10℃以上(好ましくは20℃以
上)低い融点をもつ樹脂を融着成分とする熱融着性繊維
を使用することができる。この熱融着性繊維は融着成分
よりも融点が10℃以上(好ましくは20℃以上)高い
非融着樹脂を含む、繊維断面形状が芯鞘状、偏芯状、海
島状、貼り合わせ状、オレンジ状、多重バイメタル状
(芯鞘状、偏芯状、海島状であるのが好ましい)の一部
融着型の熱融着性繊維を好適に使用できる。
【0033】この熱融着性繊維を構成する樹脂としては、例
えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプ
ロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂)などがあ
り、これら樹脂の1種類以上から構成することができ
る。これら樹脂の中でも、リサイクル性の点からポリエ
ステル系樹脂のみからなる熱融着性繊維を好適に使用す
ることができる。また、この熱融着性繊維の融着成分の
融解熱が8J/g以上であるのが好ましく、12J/g
以上であるのがより好ましい。また、この熱融着性繊維
の繊度は1〜30デニールであるのが好ましく、1〜2
0デニールであるのがより好ましい。この熱融着性繊維
は嵩高不織布の嵩高性を維持できるように、嵩高不織布
中、5〜50mass%含まれているのが好ましく、1
0〜45mass%含まれているのがより好ましい。な
お、剛性不織布と嵩高不織布とを強固に融着一体化でき
るように、隣接する剛性不織布と嵩高不織布を構成する
繊維全量の30mass%以上が熱融着性繊維からなる
のが好ましい。
【0034】本発明の嵩高不織布を構成する熱融着性繊維の
融着成分を融着させる場合には、その嵩高性を維持でき
るように、無圧下又は嵩高性を維持できる程度の低い圧
力下で行うのが好ましい。この場合、融着成分の軟化点
から融点よりも50℃程度高い温度までの範囲内の温度
で熱を作用させて融着するのが好ましい。なお、この熱
融着性繊維の融着は嵩高不織布を剛性不織布と積層する
前、或いは剛性不織布と積層した後に剛性不織布と融着
一体化すると同時又は別に実施することができる。
【0035】本発明の嵩高不織布を構成する熱融着性繊維以
外の繊維として、剛性層を構成できる異形断面繊維や中
空繊維と同様の異形断面繊維及び/又は中空繊維を使用
することができる。これら繊維が嵩高不織布に含まれて
いることによって剛性を向上させることができたり、軽
量化することができる。この異形断面繊維及び/又は中
空繊維は嵩高不織布の10mass%以上を占めている
のが好ましい。
【0036】この異形断面繊維及び/又は中空繊維を構成す
る樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエス
テル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチ
レン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテ
ン系樹脂)などがあり、これら樹脂を1種類、又は2種
類以上組み合わせた繊維(断面形状が、例えば、芯鞘
状、偏芯状、海島状、貼り合わせ状、オレンジ状、多重
バイメタル状のもの)を使用することができる。なお、
異形断面繊維及び/又は中空繊維は巻縮を発現したり、
分割されて細い繊維を発生可能なものであっても良い。
これらの中でも、リサイクル性の点からポリエステル系
樹脂のみからなる異形断面繊維及び/又は中空繊維を好
適に使用することができる。更に、異形断面かつ中空の
繊維を使用することもできる。この異形断面繊維又は中
空繊維の繊度は熱融着性繊維よりも太いのが好ましく、
具体的には1〜90デニールであるのが好ましく、1〜
60デニールであるのがより好ましい。
【0037】また、嵩高不織布(嵩高層)を構成する繊維と
して、立体的な巻縮を有する繊維が含まれていると、こ
の繊維によって嵩高性を維持することができるため好適
である。このような立体的な巻縮を有する繊維は、例え
ば、熱収縮性の異なる2種類以上の樹脂からなる貼り合
わせ状又は偏芯状の複合繊維に熱を作用させることによ
り得ることができる。なお、この立体的な巻縮を有する
繊維が異形断面繊維又は中空繊維であると、嵩高性と同
時に剛性又は軽量化することができる。この立体的な巻
縮を有する繊維としては、例えば、ポリアミド系樹脂、
ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、
ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチ
ルペンテン系樹脂)など、熱収縮性の異なる2種類以上
の樹脂を組み合わせたものを使用することができる。こ
れらの中でも、リサイクル性の点からポリエステル系樹
脂のみからなる立体的な巻縮を有する繊維を好適に使用
することができる。この立体的な巻縮を有する繊維も前
述のような熱融着性繊維よりも太いのが好ましく、具体
的には繊度1〜90デニールであるのが好ましく、1〜
60デニールであるのがより好ましい。
【0038】なお、本発明の嵩高不織布(嵩高層)は上述の
ような熱融着性繊維、異形断面繊維、中空繊維及び立体
的な巻縮を有する繊維以外に、断面形状が円形で、樹脂
の存在していない部分のない、剛性不織布を構成する繊
維と同様の繊維を使用できる。この断面形状が円形で、
樹脂の存在していない部分のない繊維の中でも、ポリエ
ステル系繊維はリサイクル性に優れているため好適であ
る。この繊維の繊度は特に限定するものではないが、前
述のような熱融着性繊維よりも太いのが好ましく、具体
的には1〜90デニールであるのが好ましく、1〜60
デニールであるのがより好ましい。
【0039】上述のような本発明の嵩高不織布(嵩高層)の
面密度は、形態安定性に優れるように、又軽量であるよ
うに、50〜1000g/m2であるのが好ましく、1
00〜900g/m2であるのがより好ましい。また、
厚さは2〜50mmであるのが好ましく、5〜30mm
であるのがより好ましい。なお、嵩高不織布(嵩高層)
を構成する繊維が繊維長20〜160mm程度の短繊維
からなると、繊維の自由度が高く、成形性に優れている
ため好適である。
【0040】なお、嵩高不織布に対して、剛性不織布に適用
している熱可塑性樹脂バインダーと同様の熱可塑性樹脂
バインダーを適用して繊維を接着固定することにより、
不織布積層体の剛性を更に向上させることができる。な
お、この熱可塑性バインダーは嵩高不織布の繊維質量に
対して、5〜50mass%使用して接着固定すること
ができる。なお、熱可塑性樹脂バインダーにより嵩高不
織布全体を接着固定すると、剛性不織布と強固に融着一
体化できない場合があるため、嵩高不織布の剛性不織布
と融着一体化する面近傍は熱可塑性樹脂バインダーによ
り接着固定されていないのが好ましい。このように熱可
塑性樹脂バインダーにより部分的に接着固定するため
に、例えば、熱可塑性樹脂バインダー(例えば、エマル
ジョンやラテックスなど)の粘度を調整したり、熱可塑
性樹脂バインダー(例えば、エマルジョンやラテックス
など)を泡立ててコーティングしたり、熱可塑性樹脂バ
インダー(例えば、エマルジョンやラテックスなど)の
量を調節する。
【0041】本発明の不織布積層体は前述のような剛性不織
布と嵩高不織布とが隣接して配置し、剛性不織布及び/
又は嵩高不織布を構成する熱融着性繊維の融着(好まし
くは剛性不織布及び嵩高不織布を構成する熱融着性繊維
の融着)により融着一体化しているため、軽量かつ優れ
た剛性を有するものである。本発明の不織布積層体は剛
性層と嵩高層とが隣接している限り、剛性層及び嵩高層
の数や積層状態などは特に限定されるものではない。例
えば、剛性層1層と嵩高層1層とが隣接して配置された
状態、嵩高層の両側に剛性層が配置された状態、剛性層
の両側に嵩高層が配置された状態、嵩高層2層以上と剛
性層2層以上とが交互に積層された状態などがある。こ
れらの中でも、嵩高層の両側に剛性層が配置された状態
であると、軽量かつ剛性に優れているため好適である。
なお、後述のような表皮層も積層されている場合、嵩高
層の片面に剛性層が隣接して配置され、嵩高層の反対面
に表皮層が配置されているのが、同様の理由から好まし
い。
【0042】なお、剛性不織布を構成する繊維の配向方向
と、嵩高不織布を構成する繊維の配向方向とが相違する
ように積層することにより、不織布積層体のたて方向と
よこ方向との間における剛性のバランスを調整すること
ができる。例えば、剛性不織布を構成する繊維の配向方
向と直交する方向に、嵩高不織布を構成する繊維が配向
しているように積層すると、たて方向とよこ方向との間
における剛性のバランスの優れる不織布積層体とするこ
とができる。なお、後述のような表皮層を積層する場合
も同様である。
【0043】本発明の不織布積層体を構成する剛性層(剛性
不織布)及び嵩高層(嵩高不織布)を構成する繊維のい
ずれもがポリエステル系繊維のみからなると、リサイク
ル性に優れているため特に好適である。なお、後述のよ
うな表皮層を積層する場合には、剛性層、嵩高層及び表
皮層を構成する繊維のいずれもがポリエステル系繊維の
みからなると、リサイクル性に優れているため好適であ
る。
【0044】本発明の不織布積層体は隣接する剛性層と嵩高
層とが、剛性層及び/又は嵩高層を構成する熱融着性繊
維の融着により、剛性層と嵩高層との剥離強度が2N/
5cm幅以上(好ましくは3N/5cm幅以上、より好
ましくは5N/5cm幅以上)であるように融着一体化
していることにより、剛性(特に高温下における)に優
れるものである。なお、剛性層と嵩高層とは実質的に熱
融着性繊維の融着によってのみ融着している。そのた
め、これら層の界面がフィルム状となり、防音性や防汚
性に優れたものとなる。
【0045】この「剥離強度」は次のようにして得られる値
をいう。まず、幅50mm、長さ150mmに裁断した
不織布積層体(長さ方向が不織布積層体のたて方向と一
致)を採取し、不織布積層体の一方の短辺から長さ方向
へ50mmだけ剥がして剛性層と嵩高層とを分離させ
る。次いで、この分離させた剛性層と嵩高層とをそれぞ
れ引張強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUC
T−500)のチャックに固定(チャック間距離:10
0mm)し、速度200mm/分で、長さ方向に60m
mだけ剥離させ、その剥離に要する力を測定する。な
お、この剥離強度は積層不織布のたて方向について、3
箇所づつ測定し、その測定値を平均した値をいう。
【0046】このように、剛性層と嵩高層とを熱融着性繊維
の融着により強固に融着一体化するために、例えば、
(1)剛性不織布(剛性層)が、繊維ウエブを流体流又
はニードルにより絡合した後に、熱可塑性樹脂バインダ
ーにより接着固定して製造したものである場合には、流
体流又はニードルを繊維ウエブの片面のみから作用させ
て、繊維ウエブの片面に毛羽立ちを形成し、この毛羽立
ちを形成した面近傍に熱可塑性樹脂バインダーが存在し
ないように剛性不織布を製造した後、この剛性不織布の
毛羽立った面が嵩高不織布(嵩高層)と接触するように
積層し、熱融着性繊維を融着させたり、(2)剛性不織
布(剛性層)が、繊維ウエブを加熱加圧することにより
熱融着性繊維を融着させた後に、熱可塑性樹脂バインダ
ーにより接着固定して製造したものである場合には、繊
維ウエブの片面は加熱するものの、他面は加熱せず、加
熱していない面近傍における熱融着性繊維の融着を抑え
て熱融着性繊維を融着させた後に、熱融着性繊維の融着
を抑えた面近傍に熱可塑性樹脂バインダーが存在しない
ように剛性不織布を製造した後、この融着を抑えた面が
嵩高不織布(嵩高層)と接触するように積層し、熱融着
性繊維を融着させたり、(3)エアレイ法やカード法な
どにより形成したままの毛羽立った繊維ウエブを嵩高不
織布として使用し、剛性不織布と積層した後、熱融着性
繊維を融着させたり、(4)剛性不織布と嵩高不織布と
を融着一体化する際に、剛性不織布と嵩高不織布との界
面に存在する熱融着性繊維が十分に融着するように、熱
風を循環させたり、(5)多孔性のホットメルトシート
を剛性不織布と嵩高不織布との間に介在させたり、
(6)ホットメルト粉末を剛性不織布と嵩高不織布との
間に介在させたり、或いは(7)これらを併用する、の
が好ましい。
【0047】この剛性不織布と嵩高不織布との融着一体化方
法は、嵩高不織布の嵩高性を減じることがないように、
無圧下又は嵩高性を維持できる程度の低い圧力下で行う
のが好ましい。この場合、熱融着性繊維の融着成分の軟
化点から融点よりも50℃程度高い温度までの範囲内の
温度で熱を作用させて融着するのが好ましい。
【0048】本発明においては前述のような剛性層や嵩高層
以外に、表皮層を含んでいることができる。この表皮層
は文字どおり不織布積層体の表面を構成する位置に配置
される。例えば、表皮層を配置した不織布積層体は順
に、剛性層−嵩高層−剛性層−表皮層の4層構造や、剛
性層−嵩高層−表皮層の3層構造を有する。この表皮層
は、例えば、天然皮革、人工皮革、合成皮革、織物、編
物、不織布(例えば、スパンボンド不織布など)、フィ
ルムなどから構成することができる。これら表皮層の中
でも深絞り成形に適している不織布からなるのが好まし
い。
【0049】この好適である表皮層を構成する不織布(以
下、「表皮不織布」という)としては、例えば、スパン
ボンド法、ニードルパンチ法、流体流絡合法、熱融着性
繊維を融着させるファイバーボンド法、或いはエマルジ
ョンやラテックスなどのバインダーにより接着させるバ
インダーボンド法により製造した不織布から構成するこ
とができる。これらの中でも意匠性に優れるニードルパ
ンチ法により製造した不織布が好適である。この好適で
あるニードルパンチ法により絡合した不織布は、例え
ば、繊維ウエブを針密度300〜500本/cm2でニ
ードルパンチして製造することができる。また、不織布
積層体がより剛性を必要とする場合には、流体流絡合法
により製造した表皮不織布を使用するのが好ましい。
【0050】この表皮不織布(表皮層)を構成する繊維とし
て、剛性不織布(剛性層)を構成することのできる熱融
着性繊維と同様の熱融着性繊維が含まれており、この熱
融着性繊維が融着していると、不織布積層体の形態安定
性を向上させることができるため好適である。つまり、
表皮不織布を構成する熱融着性繊維以外の繊維の融点よ
りも10℃以上(好ましくは20℃以上)低い融点をも
つ樹脂を融着成分とする熱融着性繊維を使用することが
できる。この熱融着性繊維は融着成分よりも融点が10
℃以上(好ましくは20℃以上)高い樹脂を含み、繊維
断面形状が芯鞘状、偏芯状、海島状、貼り合わせ状、オ
レンジ状、多重バイメタル状(芯鞘状、偏芯状、海島状
であるのが好ましい)である一部融着型であるのが好ま
しい。
【0051】この熱融着性繊維を構成する樹脂としては、例
えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプ
ロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂)などがあ
り、これら樹脂1種類以上から構成することができる。
これらの中でも、リサイクル性の点からポリエステル系
樹脂のみからなる熱融着性繊維を好適に使用することが
できる。また、この熱融着性繊維における融着成分の融
解熱が8J/g以上であるのが好ましく、12J/g以
上であるのがより好ましい。また、この熱融着性繊維の
繊度は1〜30デニールであるのが好ましく、1〜20
デニールであるのがより好ましい。この熱融着性繊維は
表皮不織布の触感を損なわないように、表皮不織布中、
50mass%以下であるのが好ましく、30mass
%以下であるのがより好ましい。なお、形態安定性に優
れているように、5mass%以上含まれているのが好
ましい。このように表皮不織布(表皮層)中に熱融着性
繊維が含まれており、熱融着性繊維が融着されているこ
とによって剛性を向上させることができるため、剛性層
と同様の効果も奏する。なお、表皮不織布(表皮層)を
嵩高不織布に隣接して配置する場合には、嵩高不織布
(嵩高層)と表皮不織布(表皮層)との剥離強度が2N
/5cm幅以上(好ましくは3N/5cm幅以上、より
好ましくは5N/5cm幅以上)となるように一体化す
るのが好ましい。
【0052】本発明の表皮不織布(表皮層)に熱融着性繊維
が含まれている場合、熱融着性繊維の融着成分の融着は
触感などの風合いを損なわないように、無圧下又は風合
いを維持できる程度の低い圧力で行うのが好ましい。こ
の場合、熱融着性繊維の融着成分の軟化点から融点より
も50℃程度高い温度までの範囲内の温度の熱を作用さ
せて融着するのが好ましい。
【0053】この表皮不織布(表皮層)を構成する熱融着性
繊維以外の繊維としては、前述の剛性不織布を構成する
繊維と同様のものを使用できる。つまり、異形断面繊
維、中空繊維、断面形状が円形で繊維断面において樹脂
成分の存在していない部分のない繊維(巻縮発現性又は
分割性を有する繊維を含む)を使用できる。剛性層及び
嵩高層と同様に、表皮層(表皮不織布)を構成する繊維
もポリエステル系繊維のみからなると、リサイクル性に
優れているため好適である。なお、表皮不織布を構成す
る繊維は触感など風合いを損なわないように、繊度が1
〜20デニールであるのが好ましく、2〜10デニール
であるのがより好ましい。
【0054】なお、この表皮不織布(表皮層)は人の目に触
れる所に位置するため、意匠性を高めることができるよ
うに、表皮不織布を構成する繊維(例えば、熱融着性繊
維、異形断面繊維、中空繊維、断面形状が円形で繊維断
面において樹脂成分の存在していない部分のない繊維
(巻縮発現性又は分割性を有する繊維を含む)など)は
染色されていたり、原着されているなど、白色以外の色
のある繊維であるのが好ましい。
【0055】このような表皮不織布(表皮層)の面密度は3
0〜300g/m2であるのが好ましく、50〜200
g/m2であるのがより好ましい。また、厚さは0.5
〜10mmであるのが好ましく、1〜5mmであるのが
より好ましい。なお、表皮不織布(表皮層)を構成する
繊維が繊維長20〜160mm程度の短繊維からなる
と、繊維の自由度が高く、成形性に優れているため好適
である。
【0056】このような表皮不織布(表皮層)と剛性不織布
(剛性層)又は嵩高不織布(嵩高層)との一体化は、例
えば、ニードルパンチ法、流体流絡合法、バインダーに
より接着するバインダーボンド法、繊維シート(例え
ば、ナイロンフィルムなど)の両面にポリオレフィン樹
脂を塗布した3層構造シートなどの熱接着性シートを介
在させて接着する方法、或いは剛性不織布、嵩高不織布
或いは表皮不織布を構成する熱融着性繊維を融着させる
ファイバーボンド法、などにより実施することができ
る。
【0057】このように剛性層及び嵩高層(場合により表皮
層)とが融着一体化した本発明の積層不織布は、厚さ3
〜40mm、好ましくは5〜30mmの嵩のあるもので
ある。したがって、剛性層(場合によっては表皮層を含
む)の作用ばかりでなく、厚さがあることによっても剛
性の優れるものである。また、積層不織布全体の面密度
は軽量化のために1200g/m2以下であるのが好ま
しい。
【0058】本発明の自動車用内装材は前述のような不織布
積層体を所望形状(例えば、天井材、リアパッケージト
レイ、ドアトリム、フロアインシュレータ、トランクト
リム、ダッシュインシュレータなどの形状)に成形した
ものであるため、軽量かつ剛性のあるものである。な
お、成形方法としては、従来と同様の方法を採用するこ
とができ、例えば、一対の型により加熱加圧成形する方
法、不織布積層体を加熱(例えば、熱風循環熱処理機、
遠赤外線加熱装置など)した後に、室温程度の一対の型
により加圧成形する方法などがある。本発明の不織布積
層体は嵩高層を含んでいるため、深絞り成形しやすい成
形性に優れたものである。また、剛性層及び嵩高層(場
合により表皮層)を構成する繊維が短繊維からなる場合
には、繊維の自由度が高いため、より成形性に優れるも
のである。
【0059】以下に、本発明の実施例を記載するが、以下の
実施例に限定されるものではない。
【0060】
【実施例】(実施例1)共重合ポリエステル(融点:2
45℃以上)とポリエチレンテレフタレートとからな
り、繊維断面において、これらの樹脂が貼り合わせかつ
繊維の長さ方向に連続して中心部に樹脂が存在しない
(樹脂の存在しない領域の断面形状:円形)、立体的な
巻縮を発現可能な中空ポリエステル系繊維(繊度13デ
ニール、繊維長51mm、断面形状:円形)50mas
s%と、共重合ポリエステル融着鞘成分(融点:160
℃、融解熱:15J/g)とポリエチレンテレフタレー
ト非融着芯成分(融点:260℃)からなる芯鞘型のポ
リエステル系熱融着性繊維(繊度4デニール、繊維長5
1mm)50mass%とを混綿した後、カード機によ
り開繊して一方向性繊維ウエブを形成した。次いで、こ
の一方向性繊維ウエブをクロスレイヤーにより、繊維ウ
エブの流れ方向に対して交差させて、交差繊維ウエブを
形成した。
【0061】次いで、この交差繊維ウエブを目の開きが0.
175mmの平織ネットに載置し、径0.13mm、ピ
ッチ0.8mmで一列にノズルが配列した、内圧10M
Paのノズルプレートから、交差繊維ウエブに対して水
流を噴出(E=13)し、次いで、交差繊維ウエブの同
じ面に対して、同様のノズルプレートから内圧7MPa
で水流を噴出(E=6.4)し、更に、交差繊維ウエブ
の同じ面に対して、同様のノズルプレートから内圧7M
Paで水流を噴出(E=6.4)して繊維を絡合し、面
密度60g/m2、厚さ1mm、見掛密度0.06g/
cm3の絡合繊維ウエブを製造した。この絡合繊維ウエ
ブの引張り強さ(たて方向及びよこ方向の平均)は18
0N/50mm幅であった。
【0062】次いで、この絡合繊維ウエブの水流を作用させ
た面に対して、アクリル−スチレン共重合体エマルジョ
ンバインダー(ガラス転移温度:130℃)をコーティ
ングし、一対のロール間を通した後に乾燥して、アクリ
ル−スチレン共重合体により繊維を接着固定(60g/
2)して、面密度120g/m2、厚さ1mm、見掛密
度0.12g/cm3の剛性不織布を製造した。この剛
性不織布の水流を作用させていない面近傍は、アクリル
−スチレン共重合体によりほとんど接着固定されていな
かった。
【0063】他方、上記剛性不織布を構成する立体的な巻縮
を発現可能な中空ポリエステル系繊維と同じ立体的な巻
縮を発現可能な中空ポリエステル系繊維65mass%
と、上記剛性不織布を構成する芯鞘型のポリエステル系
熱融着性繊維と同じ芯鞘型のポリエステル系熱融着性繊
維35mass%とを混綿した後、カード機により開繊
して一方向性繊維ウエブを形成した。次いで、この一方
向性繊維ウエブをクロスレイヤーにより、繊維ウエブの
流れ方向に対して交差させて、面密度760g/m2
厚さ18mm、見掛密度0.042g/cm3の交差嵩
高不織布を製造した。
【0064】次いで、上記交差嵩高不織布の両面に上記剛性
不織布を、各剛性不織布の水流を作用させていない面が
交差嵩高不織布と接触するように積層した後、この積層
シートを温度190℃に設定された熱風循環熱処理機に
より、剛性不織布及び交差嵩高不織布を構成する中空ポ
リエステル系繊維の巻縮を発現させると同時に、ポリエ
ステル系熱融着性繊維を融着させて、交差嵩高不織布と
剛性不織布とが融着一体化した不織布積層体(面密度:
1000g/m2、厚さ:20mm)を製造した。この
交差嵩高不織布と剛性不織布との剥離強度は6.4N/
5cm幅であった。
【0065】(実施例2)実施例1の剛性不織布のもととな
った交差繊維ウエブと同じ交差繊維ウエブを形成した。
次いで、この交差繊維ウエブに対して針密度400本/
cm2でニードルパンチを実施して繊維同士を絡合する
と同時に、交差繊維ウエブの片面を毛羽立たせて、面密
度70g/m2、厚さ2mm、見掛密度0.035g/
cm3の絡合繊維ウエブを製造した。
【0066】次いで、この絡合繊維ウエブの毛羽立っていな
い面に対して、アクリル−スチレン共重合体エマルジョ
ンバインダー(ガラス転移温度:130℃)をコーティ
ングし、一対のロール間を通した後に乾燥して、アクリ
ル−スチレン共重合体により繊維を接着固定(70g/
2)して、面密度140g/m2、厚さ2mm、見掛密
度0.07g/cm3の剛性不織布を製造した。この剛
性不織布の毛羽立った面近傍は、アクリル−スチレン共
重合体によりほとんど接着固定されていなかった。
【0067】他方、実施例1と同じ立体的な巻縮を発現可能
な中空ポリエステル系繊維65mass%と、実施例1
と同じ芯鞘型のポリエステル系熱融着性繊維35mas
s%とを混綿した後、カード機により開繊し、クロスレ
イヤーにより交差させて、面密度720g/m2、厚さ
16mm、見掛密度0.045g/cm3の交差嵩高不
織布を製造した。
【0068】次いで、上記交差嵩高不織布の両側に上記剛性
不織布を、各剛性不織布の毛羽立った面が交差嵩高不織
布と接触するように積層した後、この積層シートを温度
190℃に設定された熱風循環熱処理機により、剛性不
織布及び交差嵩高不織布を構成する中空ポリエステル系
繊維の巻縮を発現させると同時に、ポリエステル系熱融
着性繊維を融着させて、交差嵩高不織布と剛性不織布と
が融着一体化した不織布積層体(面密度:1000g/
2、厚さ:20mm)を製造した。この交差嵩高不織
布と剛性不織布との剥離強度は5.4N/5cm幅であ
った。
【0069】(比較例1)実施例2と全く同様にして剛性不
織布及び交差嵩高不織布を製造した。次いで、交差嵩高
不織布の両側に剛性不織布を、各剛性不織布の毛羽立っ
ていない面が交差嵩高不織布と接触するように積層した
後、この積層シートを温度190℃に設定された熱風循
環熱処理機により、剛性不織布及び交差嵩高不織布を構
成する中空ポリエステル系繊維の巻縮を発現させると同
時に、ポリエステル系熱融着性繊維を融着させて、交差
嵩高不織布と剛性不織布とが融着一体化した不織布積層
体(面密度:1000g/m2、厚さ:20mm)を製
造した。この交差嵩高不織布と剛性不織布との剥離強度
は0.8N/5cm幅であった。
【0070】(比較例2)実施例2と全く同じ剛性不織布の
もととなった絡合繊維ウエブを製造した。次いで、この
絡合繊維ウエブの毛羽立っている面に対して、アクリル
−スチレン共重合体エマルジョンバインダー(ガラス転
移温度:130℃)をコーティングし、一対のロール間
を通した後に乾燥して、アクリル−スチレン共重合体に
より繊維を接着固定(70g/m2)して、面密度14
0g/m2、厚さ2mm、見掛密度0.07g/cm3
剛性不織布を製造した。この剛性不織布の毛羽立ってい
ない面近傍は、アクリル−スチレン共重合体によりほと
んど接着固定されていなかった。また、実施例2と同じ
交差嵩高不織布を製造した。
【0071】次いで、上記交差嵩高不織布の両側に上記剛性
不織布を、各剛性不織布の毛羽立っていない面が交差嵩
高不織布と接触するように積層した後、この積層シート
を温度190℃に設定された熱風循環熱処理機により、
剛性不織布及び交差嵩高不織布を構成する中空ポリエス
テル系繊維の巻縮を発現させると同時に、ポリエステル
系熱融着性繊維を融着させて、交差嵩高不織布と剛性不
織布とが融着一体化した不織布積層体(面密度:100
0g/m2、厚さ:20mm)を製造した。この交差嵩
高不織布と剛性不織布との剥離強度は1.8N/5cm
幅であった。
【0072】(比較例3)実施例1の剛性不織布のもととな
った交差繊維ウエブと同じ交差繊維ウエブを形成した。
次いで、この交差繊維ウエブに対して針密度400本/
cm2でニードルパンチを実施して繊維同士を絡合する
と同時に、交差繊維ウエブの片面を毛羽立たせて、面密
度100g/m2、厚さ1.4mm、見掛密度0.07
g/cm3の絡合繊維ウエブを製造した。
【0073】他方、実施例1と同じ立体的な巻縮を発現可能
な中空ポリエステル系繊維65mass%と、実施例1
と同じ芯鞘型のポリエステル系熱融着性繊維35mas
s%とを混綿した後、カード機により開繊して、面密度
800g/m2、厚さ17mm、見掛密度0.047g
/cm3の交差嵩高不織布を製造した。
【0074】次いで、上記交差嵩高不織布の両側に上記絡合
繊維ウエブを、各絡合繊維ウエブの毛羽立った面が交差
嵩高不織布と接触するように積層した後、この積層シー
トを温度190℃に設定された熱風循環熱処理機によ
り、絡合繊維ウエブ及び交差嵩高不織布を構成する中空
ポリエステル系繊維の巻縮を発現させると同時に、ポリ
エステル系熱融着性繊維を融着させて、交差嵩高不織布
と絡合繊維ウエブとが融着一体化した不織布積層体(面
密度:1000g/m2、厚さ:20mm)を製造し
た。この交差嵩高不織布と絡合繊維ウエブとの剥離強度
は8.3N/5cm幅であった。
【0075】(最大点荷重の評価)まず、実施例1、2及び
比較例1〜3のそれぞれの不織布積層体を、240℃で
3分間加熱した後、冷間プレス機により加圧して15m
mの厚さに調整した。次いで、この加圧した不織布積層
体を、それぞれたて方向が150mmで、よこ方向が2
5mmの短冊状に裁断して、試験片を作成した。次い
で、この試験片を間隔100mmで配置された2つの支
持台間にまたがるように配置し、次いで、この支持台間
の中央部分(支持台から50mmの部分)を加圧くさび
により、速度20mm/分で加圧した。この加圧状況を
引張試験機(オリエンテック製、テンシロンUCT−5
00)により感知し、荷重が最大となる点の荷重(最大
点荷重)を計測し、記録した。この結果は表1に示す通
りであった。この表1の結果から本発明の不織布積層体
は剛性の優れていることがわかった。
【0076】
【表1】
【0077】(高温時における剛性の評価)まず、実施例
1、2及び比較例1〜3のそれぞれの不織布積層体を、
240℃で3分間加熱した後、冷間プレス機により加圧
して15mmの厚さに調整した。次いで、この加圧した
不織布積層体を、それぞれたて方向が300mmで、よ
こ方向50mmの短冊状に裁断して、試験片を作成し
た。次いで、作成した試験片の一端から70mmまでの
領域を直方体の台の上にそれぞれ固定し、残りの230
mmの領域を直方体の台から突出させた。次いで、この
状態を維持させたまま温度90℃の恒温槽に4時間放置
し、直方体の台から突出させた領域の垂れ下がり量を測
定した。この結果は表1に示す通りであった。この表1
から、本発明の不織布積層体は高温であっても剛性のあ
るものであることがわかった。また、剛性層と嵩高層と
の剥離強度が2N/5cm幅以上あれば、高温時におけ
る剛性の優れていることもわかった。このように本発明
の不織布積層体は高温であっても剛性があるため、高温
になることのある自動車用の内装材として使用しても問
題のないこともわかった。
【0078】
【発明の効果】本発明の不織布積層体は軽量かつ剛性に
優れるものである。また、本発明の自動車用内装材は軽
量かつ剛性の優れるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK01A AK12 AK12G AK12J AK25 AK25G AK25J AK41 AK41A AK41B AK41J AK42 AL01 AL01G AT00C BA02 BA03 BA04 BA07 BA10A BA10C DG01A DG01B DG06A DG15A DG15B DG20 GB33 JA13B JA20A JA20B JB16A JK01A JK06 JL03 JL12A JL12B YY00 YY00A YY00B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成繊維が熱可塑性樹脂バインダーによ
    り接着固定された不織布からなる剛性層と、前記剛性層
    よりも見掛密度の低い不織布からなる嵩高層とが隣接し
    て配置しており、前記剛性層と前記嵩高層とは前記剛性
    層及び/又は嵩高層を構成する熱融着性繊維の融着によ
    り、前記剛性層と前記嵩高層との剥離強度が2N/5c
    m幅以上であるように融着一体化していることを特徴と
    する不織布積層体。
  2. 【請求項2】 前記剛性層が、流体流による絡合、ニー
    ドルによる絡合、熱融着性繊維の融着の中から選ばれる
    少なくとも1つの手段により形成された結合繊維ウエブ
    が、熱可塑性樹脂バインダーにより接着固定された不織
    布からなることを特徴とする、請求項1記載の不織布積
    層体。
  3. 【請求項3】 熱融着性繊維の繊度が1〜30デニール
    であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載
    の不織布積層体。
  4. 【請求項4】 前記剛性層を構成する繊維と前記嵩高層
    を構成する繊維とが、ポリエステル系繊維のみからなる
    ことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記
    載の不織布積層体。
  5. 【請求項5】 表皮層が更に積層されていることを特徴
    とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の不織布
    積層体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の
    不織布積層体が所望形状に成形されていることを特徴と
    する自動車用内装材。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006336167A (ja) * 2005-06-03 2006-12-14 Toyota Motor Corp 繊維構成体、防音材料及びその製造方法
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WO2022153751A1 (ja) * 2021-01-18 2022-07-21 東洋紡株式会社 加飾成形体およびその製造方法

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