JP5318513B2 - 複層吸音材 - Google Patents
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Description
本発明の複層吸音材は、繊維形成性樹脂からなる芯部の表面の少なくとも一部に略全長にわたって低融点樹脂が被覆されてなる熱接着繊維を含む層を少なくとも1層有する複層吸音材であって、前記低融点樹脂は前記繊維形成性樹脂よりも融点かつ/または軟化点が40℃以上低く、前記熱接着性繊維を70〜100質量%含み厚さ方向に略均一に繊維接着点を有し、厚さ方向表面付近、中央部、そして反対表面付近の、各領域における繊維接着率がそれぞれ10〜45%であり、密度0.07〜0.3g/cm3の硬質層と、前記熱接着繊維を0〜70質量%含むとともに0.01〜0.15g/cm3の密度を有する軟質層とをそれぞれ各一層以上積層してなり、前記硬質層に対する前記軟質層の密度差が0.02g/cm 3 以上0.25g/cm 3 以下であるとともに、軽量性を有し、従来の吸音材では実現できなかった、低周波数から高周波数に及ぶ広い音域において優れた吸音性能を有するとともに、硬質層により、優れた剛性と過大な荷重を受けても急激に折れ難いという形態保持性を有し、非常に軽量でありながら、尚且つ優れた断熱性と通気性を併せ持つことを特徴とする複層吸音材である。
また、軟質層を構成する繊維は、非熱接着性繊維を主体とし、更に密度を低く保つために捲縮繊維を主成分とすることで、軽量かつ優れた吸音性を確保する。
そして、硬質層と軟質層とをそれぞれ一層ずつ有することで、低周波数から高周波数までの広い音域において優れた吸音性を発現することができる。
〔熱接着性繊維〕
本発明の主に硬質層において主体となる熱接着性繊維は、該熱接着繊維同士かつ/又はこの層に混合された他の繊維と接着可能な繊維であれば特に限定されないが、好ましくは熱接着性繊維の芯成分の融点より低温で軟化して自己接着または他の繊維に接着する樹脂成分が好ましく、例えば、変性ポリエステル、変性ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−オクテン共重合体など、あるいは、同様に比較的低温で変形して接着機能を発現可能な、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、スチレン系エラストマー樹脂なども含まれる。これら樹脂成分が、熱接着繊維の一部において概ね全面にわたって表面に存在する事が好ましく、これが長さ方向に向かって連続的に存在する繊維であることがより好ましい。
また、これら熱接着性繊維は、その断面において、円形に限らず、中空、楕円、星型等、各種異形断面形状であってもよい。
このような形態を有する繊維は、熱収縮率の異なる複数の樹脂で層構造が形成された複合繊維を熱処理し、より収縮率の高い層をより収縮させる事で繊維が円形状或いはコイル状の形態になる特性を有する繊維を用いる事が好ましい。そしてこの繊維に円形状或いはコイル状の捲縮を発現させる段階としては、この繊維を含むウェブを形成する前に繊維単独で発現させても良いし、ウェブ形成時或いはその後に発現させてもよい。
変性ポリアルキレンアリレート系樹脂(b)は、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸成分、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのポリオール成分などを併用して分岐させても良い。
コイル状に捲縮した複合繊維において、コイルの平均ピッチは、例えば、0.03〜0.5mm、好ましくは0.03〜0.3mm、更に好ましくは0.05〜0.2mm程度である。
本発明の複層吸音材には、硬質層及び/または軟質層において、種々の繊維を含んでいてもよい。この繊維の例としては、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維などの芳香族ポリエステル繊維など)、ポリアミド系繊維(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610などの脂肪族ポリアミド系繊維、半芳香族ポリアミド系繊維、ポリフェニレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリp−フェニレンテレフタルアミドなどの芳香族ポリアミド系繊維など)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなどのC2−4オレフィン繊維など)、アクリル系繊維(アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体などのアクリロニトリル単位を有するアクリロニトリル系繊維など)、ポリビニル系繊維(ポリビニルアセタール系繊維など)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体の繊維など)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体などの繊維)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、セルロース系繊維(例えば、レーヨン繊維、アセテート繊維など)が挙げられる。これらの繊維は単独で又は二種以上組み合わせて、本発明の複層吸音材における硬質層及び/または軟質層を構成する繊維として使用でき、最終的な吸音材の設計に応じて適宜選択して使用できる。
本発明の複層吸音材のうち、主に形態と自立性を確保し、更に吸音性を担う硬質層は、その剛性と形態安定性を実現するために、繊維ウェブを構成する繊維の配列状態および接着状態を適度に調整する必要がある。すなわち、構成繊維が概ね不織布シート面に対して平行に配列しさらにこれら繊維同士をできるだけそれらの交点において接着させることが重要である。特に、繊維同士が「スクラム」を組んだような構造を有し、かかる構造が厚さ方向に沿って均一に分布するような形態とすることが望ましい。これは、厚さ方向(シート面に対し垂直方向)に沿って配向している繊維が多く存在すると周辺に繊維配列の乱れが生じて不織布内に不要な空隙を生じ、シートの硬さを低減させてしまうからである。従って、できるだけこの空隙を少なくすることが必要であり、このために繊維を可能な限りシート面に対して平行に配列させることが望ましい。
なお、ここでいう「概ねシート面に対し平行に配列している」とは、例えばニードルパンチ不織布のように、局部的に多数の繊維が厚さ方向に沿って配列している部分が繰り返し存在するようなことがない状態を示す。より具体的には、不織布における任意の断面を顕微鏡観察した際に、その面方向に対して概ね垂直に、表から裏まで連続して延びる繊維の存在割合が10%以下である状態をいう。
なお、本発明にいう繊維接着率は後述する方法により測定する。
厚さが3mmに満たないと、硬質層が十分な吸音性能を保持しないため、複層吸音材としたときに充分な吸音性と自立性を発現する事が難しい。特に1000Hz未満の低周波音域の吸音性が低くなるため、低周波音域と高周波音域の吸音性を両立する事が難しくなる。
また、30mmを超えると、自立性は十分になるが、その分、重量が増すことになり、軽量性を確保できなくなる。更に、高周波音域の吸音性を確保することが難しくなり、吸音性確保のためには厚さを厚くすることが必要となるため、重量および体積が増してしまい好ましくない。
本発明の複層吸音材において、先に説明した硬質層とともに、この複層吸音材の低周波領域における高い吸音率を発現すると共に、高周波領域においても高い吸音率を維持する特性を発現するためには、該硬質層とともに軟質層が積層されている事が肝要である。これら両者は、各々別々に存在し、重なり合っているだけでもその性能を発現するが、吸音材としての取扱性を考慮すると、両者は接着している事が好ましい。この接着包方に関しては、汎用の手法が使用可能であるが、接着時に両者の間の通気性を維持する方法で接着する事が必要である。この通気性が無くなるような積層の仕方では、目的とするような低周波数から高周波数まで高い吸音率を維持することが困難になるためであり、両者の接着には例えば、後に述べるような高温蒸気により繊維の表面を軟化させて積層する方法やホットメルト不織布を用いて熱接着する方法などが挙げられる。
これら本発明の複層吸音材を構成する各繊維層の製造法と複層吸音材の製法について説明する。
本発明の複層吸音材における各繊維層の製造方法では、まず、湿熱接着性繊維あるいは湿熱接着性樹脂を一成分とする複合繊維をウェブ化し、このウェブの繊維を固定して目的のシート状蝶番とするのであるが、ウェブ形成に関しては、特に限定される事は無く、スパンボンド法、メルトブロー法のような直接法を用いてもよいし、ステープル繊維を用いてカード法、エアレイ法などの乾式法を用いてウェブを形成してもよい。ステープル繊維ウェブとしては、ランダムウェブ、セミランダムウェブ、パラレルウェブ、クロスラップウェブ等が好ましく用いられる。
この高温蒸気は、気流であるため被処理体であるウェブ中の繊維を(水流絡合処理や、ニードルパンチ処理の様に)大きく移動させることなく、ウェブ内部へ進入する。このウェブ中への蒸気流の進入作用および湿熱作用によって、蒸気流がウェブ内に存在する各繊維の表面を湿熱状態で効率的に覆い、均一な熱接着が可能になると考えられる。また、この処理は高速気流下で極めて短時間に行われるため、蒸気の繊維表面への熱伝導は速いが、繊維内部への熱伝導はさほど速くなく、そのため過熱蒸気の圧力や熱により、処理されるウェブ自体の厚みが損われるような変形も起こりにくい。その結果、ウェブを潰すことなく、表面および厚さ方向における接着の程度が概ね均一になるように湿熱接着される。
このとき、ウェブを挟んでノズルと反対側のエンドレスベルトの裏側をステンレス板等にし、蒸気が通過できない構造とすれば、被処理体であるウェブを通過した蒸気がここで反射するので、蒸気の保温効果によってより強固に接着される。逆に軽度の接着が必要な場合には、サクションボックスを配置し、余分な水蒸気を室外へ排出してもよい。
また、圧力が弱すぎる場合は、繊維の融着に必要な熱量を被処理物に与えることができなくなったり、水蒸気がウェブを貫通できず、厚さ方向に繊維融着斑を生ずる等の問題が発生したり、ノズルからの蒸気の均一噴出の制御が困難になる等の不具合が発生しやすくなる。
また、他の資材と積層したり、成型加工により希望の形態とすることも可能である。
この硬さの範囲として、発泡スポンジの硬さを測定するデュロメータを用いるのであるが、通常、柔らかいサンプルの硬さを測定する場合には、デュロメータをサンプルに押し付ける力の違いにより測定値が変化してしまい、正確な測定が難しい。そこでこれを置き針式とすることにより測定可能にした。デュロメータを用いて硬さの範囲を表すと、硬質層側において、70以上であることが好ましい。より好ましくは70〜95であり、更に好ましくは80〜90である。この値が70より小さい場合は充分な剛性を確保することが難くなるケースが出てくる。
一方で、軟質層に関しては、3〜70であることが好ましい。より好ましくは5〜60であり、更に好ましくは、8〜50であり、最も好ましくは9〜35である。この値が、70を超えるような軟質層はその硬さのため充分な吸音性が発現しにくくなり、特に低周波数領域において高い吸音性能が得られない。また、この値が3未満では、軟質層が柔らかすぎて形態安定性が確保できず、その取扱いが難しいばかりか、他の物との接触等により、容易に潰れて充分な吸音性能を確保しにくくなる。
250Hzにおける垂直入射法吸音率が0.10以上、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.2以上である事が好ましい。また、500Hzにおける垂直入射法吸音率としては、0.3以上、好ましくは0.35以上、より好ましくは0.40以上である事が好ましく、かつ2000〜6000Hzにおいて、最小吸音率が0.5以上、好ましくは0.55以上、より好ましくは0.60以上であり、0.65以上であることが最も好ましい。
熱伝導率が0.1より高いと優れた断熱性を有しているといえず好ましくない。
通気度が0.1cm3/(cm2・秒)より小さい場合には、吸音材として使用したときに、所定の周波数は吸音するものの、広い範囲で音を反射してしまうため好ましくない。一方、通気度が高すぎると、本発明の硬質層と軟質層とからなる吸音材において特に低周波領域における吸音性能が確保できない。
更には、自動車や道路、トンネル内など、各種吸音用途に応用可能である。
JIS K6760に準じて、190℃、21.2N荷重の条件下、メルトインデクサーを用いて測定した。
JIS L1913「一般短繊維不織試験方法」に準じて測定した。
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて厚さを測定し、この値と目付の値とから見掛密度を算出した。
また、積層後の各層の厚さ、見掛け密度については、両層を剥離分離可能な場合は、形態を壊さないように分離した後、同じくJIS L1913に準じて測定し算出した。また、軟質層が柔らかすぎて形態保ったままの分離が困難な場合は、軟質層を剥離後の硬質層の厚さを積層体の厚さから減ずることで求めた。
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法」(8.12.1)に準じて評価した。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、成形体断面を100倍に拡大した写真を撮影した。撮影した成形体の厚さ方向における断面写真を厚さ方向に三等分し、三等分した各領域(表面、内部(中央)、裏面)において、そこに見出せる繊維切断面(繊維端面)の数に対して繊維同士が接着している切断面の数の割合を求めた。各領域に見出せる全繊維切断面数のうち、2本以上の繊維が接着した状態の断面の数の占める割合を以下の式に基づいて百分率で表した。なお、繊維同士が接触する部分には、融着することなく単に接触している部分と、融着により接着している部分とがある。但し、顕微鏡撮影のために成形体を切断する事により成形体の切断面においては、各繊維が有する応力によって、単に接触している繊維同士は分離する。したがって、断面写真において、接触している繊維同士は接着していると判断できる。
繊維接着率(%)=(2本以上接着した繊維の断面数)/(全繊維断面数)×100
但し、各写真について、断面の見える繊維は全て計数し、繊維断面数100以下の場合は、観察する写真を追加して全繊維断面数が100を超えるようにした。なお、三等分した各領域についてそれぞれ繊維接着率を求め、その最大値に対する最小値の割合も併せて求めた。
JIS K7017に記載の方法のうちA法(3点曲げ法)に準じて測定した。この時、測定サンプルは30mm×200mm長のサンプルを用い、支点間を160mmとし、試験速度を2mm/分として測定を行った。本発明では、この測定結果チャートにおける最大荷重(ピーク荷重)を最大曲げ荷重とした。なお、曲げ応力の測定は、MD方向及びCD方向について測定した。ここで、MD方向とは、測定サンプルの長辺に対しウェブ流れ方向(MD)が平行となるように測定サンプルを採取した状態をいい、一方、CD方向とは、測定サンプルの長辺に対しウェブ幅方向(CD)が平行となるように測定サンプルを採取した状態をいう。
曲げ荷重の測定において、最大曲げ荷重(ピーク荷重)を示す曲げ量(変位)を超え、さらにその変位の1.5倍の変位まで曲げつづけた時の荷重を1.5倍変位荷重とした。
JIS R2616 「耐火断熱れんがの熱線法による熱伝導率の試験方法」に準じて、非定常熱線法によって測定した。
但し、本願においては、軟質層の測定においては、軟質層がプローブの重さにより圧縮されて密度が変わることのないように、プローブを上下反対に置き、裏返しになった測定面上にサンプルをのせて測定した。
JIS L1096に準じ、フラジール形法にて測定した。
JIS K6400−2「軟質発泡材料−物理特性の求め方−第2部:硬さ及び圧縮たわみ」(7.3)圧縮たわみ測定 B法 に順じて、40mmΦの円形加圧板を100mm/分の速度で動かし、30mmΦの円柱状サンプルについて、最初の厚さの50%まで圧縮した後、すぐに同じ速度で戻した時(同じ速度で負荷を取り除いた時)の力―たわみ曲線を記録し、この曲線から、25%圧縮応力、50%圧縮応力、25%戻り応力を読み取り、この値およびこの値から算出した値を用いた。
JIS K6253に準じ、デュロメータ硬さ試験により測定した。測定はタイプFO(テクロック社製、「GS−744G」)を使用した。
音響インピーダンス管を用いた吸音率測定システム(ブリューエル&ケア社製、2マイクロフォンインピーダンス管4206型の大型測定管)を用いて、JIS A−1405法に準じて垂直入射吸音率を測定した。
湿熱接着繊維として、芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点263℃)、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量44モル%、ケン化度98.4モル%、融点158℃)である芯鞘型複合ステープル繊維(クラレ(株)製、「ソフィスタ S220」、繊度3.3dtex、繊維長51mm、芯鞘質量比=50/50、捲縮数21個/25mm、捲縮率13.5%)を準備した。
軟質層を構成する繊維比率を湿熱接着繊維/潜在捲縮性複合繊維=70/30の質量比としたこと以外は実施例と同様にして実施例2の複層吸音材を得た。実施例2の複層吸音材においても軟質層と硬質層と一体化しており、良好な吸音性を示した。
この実施例2の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
軟質層を構成する繊維として、実施例1に記載の(株)クラレ製、「PN−780」の代わりに、ポリエチレンテレフタレート樹脂と変性ポリエチレンテレフタレート樹脂とで構成されたサイドバイサイド型複合繊維であり、約700ミクロン径のループ状捲縮繊維(東レ(株)社製、「T−12」、5.6dtex×58mm長)を用い、その繊維比率を湿熱接着繊維/ループ状捲縮繊維=50/50とし、また硬質層上に軟質層を形成する際の上下コンベア間隔を30mmとした事以外は実施例1と同様にして、実施例3の複層吸音材を製造した。この複層吸音材も自立性のある硬さと、充分な吸音性を示していた。
実施例3の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
硬質層上に軟質層を形成する際に上下コンベア間隔を40mmとした事以外は、実施例3と同様にして実施例4の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例4の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
硬質層上に軟質層を形成する際のウェブを8層重ねとしたこと以外は実施例4と同様な方法で実施例5の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例5の複層軽量吸音材の評価結果を表1に示す。
硬質層を構成する繊維として、低融点変性ポリエステルを鞘成分とする芯鞘型繊維(帝人ファイバー社製、TJ04C、2.2dtex、51mm、鞘成分融点110℃)を用い、硬質層形成時の高温水蒸気の圧力を0.8MPaとした事以外、実施例5と同様にして実施例6の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例6の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
硬質層を構成するカードウェブの繊維構成において、実施例1の湿熱接着繊維とポリエチレンテレフタレート繊維とを、湿熱接着繊維/ポリエチレンテレフタレート繊維=80/20の質量比で混綿したこと以外は、実施例4と同様にして、実施例7の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例7の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
硬質層を製造する際の、上下コンベア間隔を5mmとし、そして硬質層上に軟質層を形成する際の上下コンベア間隔を35mmしたこと以外は実施例4と同様にして、実施例8の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例8の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
硬質層を構成する湿熱接着繊維からなるカードウェブを15層重ねとし、目付約2100g/m2としたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例9の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例9の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
軟質層の繊維混率を、湿熱接着繊維/ループ状捲縮繊維=50/50とした事以外、実施例5と同様にして実施例10の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例10の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
硬質層を形成する際のカードウェブの積層枚数を15枚とし、上下コンベア間隔を20mmとすると共に高温水蒸気の圧力を0.6MPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして目付約2000g/m2、厚さ約20mmの硬質層を得た。この硬質層上に軟質層を形成する際に積層するウェブを3層とし、この時の上下コンベア間隔を35mmとした事以外は実施例1と同様にして、実施例11の複層吸音材を得た。この吸音材も自立性および吸音性良好であった。
実施例11の複層吸音材の評価結果を表1に示す。
硬質層上に軟質層を形成する際に、軟質層のウェブを1層とし、上下コンベア間隔を15mmとした事以外は実施例1と同様にして、比較例1の積層体を得た。このものは、軟質層の厚さが薄いため、吸音性の劣るものであった。
この比較例1の積層体の評価結果を表1に示す。
実施例1の硬質層上に、この硬質層を形成したのと同じ湿熱接着繊維からなる目付約120g/m2のカードウェブを7層積層し、今度は上下コンベア間隔を20mmとすると共に高温水蒸気を圧力0.4MPaとして再処理することにより、比較例2の積層体を得た。このものは、充分な自立性を示したものの、吸音性におとるものであった。
この比較例2の積層体の評価を表1に示す。
実施例3の軟質層を形成する繊維ウェブ(繊維比率を湿熱接着繊維/ループ状捲縮繊維=50/50)を用い、硬質層を重ねることなくこのウェブ単独を、上下コンベア間隔40mm、高温水蒸気圧0.1MPaとして、実施例1の軟質層形成と同様に処理して、湿熱接着繊維の融着により形態を保持した単一構造の比較例3の繊維層を得た。このものは低周波領域の吸音性に劣るものであった。
この繊維層の評価結果を表1に示す。
Claims (7)
- 繊維形成性樹脂からなる芯部の表面の少なくとも一部に略全長にわたって低融点樹脂が被覆されてなる熱接着性繊維を含む層を少なくとも1層有する複層吸音材であって、前記低融点樹脂は前記繊維形成性樹脂よりも融点かつ/または軟化点が40℃以上低く、前記熱接着性繊維を70〜100質量%含み厚さ方向に略均一に繊維接着点を有し、厚さ方向表面付近、中央部、そして反対表面付近の、各領域における繊維接着率がそれぞれ10〜45%であり、密度0.07〜0.3g/cm3の硬質層と、0.01〜0.15g/cm3の密度かつ厚さ5mm以上の軟質層とをそれぞれ各一層以上積層してなり、前記硬質層に対する前記軟質層の密度差が0.02g/cm3以上0.25g/cm 3 以下であることを特徴とする複層吸音材。
- 複層吸音材の少なくとも一方向における最大曲げ荷重が、吸音材30mm幅あたり1.0N幅以上である事を特徴とする請求項1に記載の複層吸音材。
- 軟質層が15質量%以上の捲縮繊維を含んでいる事を特徴とする請求項1または2に記載の複層吸音材。
- 軟質層および/または硬質層に少なくとも1種以上の湿熱接着性繊維を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の複層吸音材。
- 15mm以上75mm以下の厚さであると共に、自立性を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の複層吸音材。
- 周波数500Hzの音の吸音率が30%以上であると共に周波数1000〜6000Hzの音の吸音率が60%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の複層吸音材。
- 0.1W/(m・K)以下の熱伝導率を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の複層吸音材。
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