JP2010083948A - ポリブチレンテレフタレートの製造方法 - Google Patents

ポリブチレンテレフタレートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
異物の原因となる化合物を生成することなく、安定して連続的に供給できるため、機械的強度に優れる高品質のポリブチレンテレフタレートを安定して製造する方法を提供する。
【解決手段】
テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールとを、エステル化反応させた後、次いで重縮合反応させてポリブチレンテレフタレートを製造する方法であって、エステル化反応槽へ添加する有機チタン化合物中のジオール化合物含有量が5重量%以下であるポリブチレンテレフタレートの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、安定して優れた品質を維持し、ポリブチレンテレフタレートを生産性よく直接エステル化し、かつ、重縮合することができるポリブチレンテレフタレートの製造方法に関するものである。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、優れた物理的、化学的性質を有するため、繊維、フィルム、その他の成形品など、種々の用途に広く用いられている。また、強度や弾性率等の機械特性、耐熱性等に優れているため、特にエンジニアリングプラスチックとして広く用いられている。
このようなポリブチレンテレフタレート樹脂の製造方法の中で、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとのエステル化反応によりビスヒドロキシブチルテレフタレートおよびその低重合物を得るエステル化工程と、ビスヒドロキシブチルテレフタレートおよびその低重合物を高温、高真空下で過剰の1,4−ブタンジオールを留出させつつ高重合度ポリブチレンテレフタレートを得る重縮合工程とからなる直接連続重合を用いた製造方法は、従来の生産性を著しく向上させる技術として、現在主流に成りつつある。この製造方法では、触媒にチタン化合物やスズ化合物を用いた反応促進を行い、かつ分解抑制剤にリン化合物などを添加剤として用いる技術が好適に用いられている。特にチタン化合物は、原料の1,4−ブタンジオールが分解して副生するテトラヒドロフランの発生量を低減し、高粘度品を得る場合の重合反応を効率化できるため、この観点からは、添加量の増加が望まれる。
しかし、チタン化合物は、過剰に添加すると異物の原因となり物性を悪くするため、精度良く添加する必要がある。精度良く添加させるためには、直接チタン化合物を少量添加するより、溶媒を用いて希釈または溶解した調整溶液として一定量を添加することが一般的に用いられている。
チタン化合物は触媒として調整する際、調整条件によっては、不溶化して白濁化する場合があり、仕込みラインが閉塞し仕込み精度が悪くなり、不溶化したことにより白濁化した異物が反応系内へ供給されると、ヘイズ(溶融ポリマーの濁りを表す指標)の上昇原因となり、最終的には引張破断強度の低下、フィルムとした際の表面異物の増加といった、成型品とした時の物性低下を引き起こす。
また、有機チタン化合物を1,4−ブタンジオールにて調整した場合、調整溶液を貯留している間にエステル交換反応が起き、有機チタンと1,4−ブタンジオールの化合物が生成し、該化合物がエステル化反応槽へ仕込まれた場合、原料であるジカルボン酸と反応し異物化するため、設備ならびに品質トラブルの原因となっていた。
特許文献1では、触媒調整する任意の段階で水を添加し白濁化を防止することが記載されているが、この方法では水が反応速度を遅延させる原因となり、反応槽が増え経済性を損ねるため、反応槽内の滞留時間や、温度が高くなることにより副反応速度も上昇し、末端二重結合の増加や、色調の悪化、更には粘度低下など、問題が生じることがあった。また、水を添加しているため、チタン化合物の一部は失活し、酸化チタンとなり異物の原因となっていた。その他、溶媒により調整した場合、貯留している間に有機チタンと1,4−ブタンジオールの化合物が生成し、該化合物が核となってカルボン酸と反応し異物化するため、濾過した場合、濾圧上昇によりフィルター詰まりを誘発させ、トラブルの原因となることもあった。特許文献1に記載の方法は、失活した一部の触媒が原因となり、ヘイズが上昇するため、引張破断強度の低下や、フィルムとした際の表面異物の増加といった、成型品とした時に物性低下を引き起こす問題も指摘されている。
特許文献2では、チタン化合物を調整した溶液中に、ヒンダードフェノール系化合物を加熱溶解させる方法が記載されているが、この方法は、ヒンダードフェノールの取扱が煩雑となり、連続にて定量供給した場合、供給する配管内やフィルターまたは、圧力調節弁などに一部の不溶解物が堆積し閉塞することで、安定して連続的に供給することが出来なくなるため、設備ならびに品質トラブルの原因となっていた。また、加熱することでエステル交換反応は促進され、有機チタンと1,4−ブタンジオールの化合物は大量に生成し、エステル化槽内でジカルボン酸と反応し大量の異物が発生していた。
特許文献3では、チタン化合物と有機酸から選ばれる金属塩とを1,4−ブタンジオール溶液として調整し、出発原料へ添加し反応させることが記載されているが、これも金属塩の取扱が煩雑となる。また、金属塩を添加することで重合反応を著しく遅延させ、目標とする粘度を得ることが出来なくなり、添加した金属塩が核となる異物や、有機チタンと1,4−ブタンジオールの化合物がジカルボン酸と反応し異物化することが同様に起き、ギヤポンプ詰まりや品質トラブルなどの原因となる新たな問題まで指摘されるに至っている。
特許文献4では、テトラブチル−o−チタネートの4重量%1,4−ブタンジオール溶液を、約80℃に加熱して調整することが記載されているが、この方法も、テトラブチル−o−チタネートと1,4−ブタンジオール溶液のエステル交換反応が起き、チタンと1,4−ブタンジオールの化合物が生成する。調整溶液は80℃に加熱され、該化合物の融点以上であるが、大量の異物は同様に発生し、フィルター詰まりやギヤポンプのトリップ、更には品質トラブルを繰り返し起こしている。
特開昭58−206625号公報 特開平3−153731号公報 特開平5−230201号公報 特公平7−100734号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果、達成されたものである。その目的とするところは、異物生成が減り、設備トラブルを無くし品質に優れたPBTを効率的に製造することで、機械的強度や色調に優れ、ヘイズや、成型品、フィルム、モノフィラメント、繊維等に好適に使用することができる高品位のポリブチレンテレフタレート樹脂を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、
(1)テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールとを、エステル化反応させた後、次いで重縮合反応させてポリブチレンテレフタレートを製造する方法であって、エステル化反応槽へ添加する有機チタン化合物中のジオール化合物含有量が5重量%以下であるポリブチレンテレフタレートの製造方法、
(2)エステル化反応槽へ添加する有機チタン化合物を、ジカルボン酸とジオールとのスラリー中及び/またはエステル化反応槽付属の精留塔底部から還流されるジオール中へ添加する(1)記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法、
(3)有機チタン化合物中のジオールが、1,4−ブタンジオールである(1)または(2)に記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法、
(4)有機チタン化合物がテトラ−n−ブチルチタネートである(1)から(3)のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法でポリブチレンテレフタレートを製造した場合、従来の方法で製造した場合よりも、触媒活性が高く、低い反応温度で生産できる。
本発明の製造方法は、エステル化反応槽での異物発生が無くなるため、ギヤポンプやフィルター詰まりを減少させ、設備トラブルが無くなり、品質の優れたポリブチレンテレフタレートを得ることができる。
本発明の製造方法は、機械的強度や色調に優れ、ヘイズや異物を少なく生産でき、成形品、フィルム、モノフィラメント、繊維等に好適に使用することができる高品位のポリブチレンテレフタレート樹脂を安定して得る事ができる。
本発明で得られたポリブチレンテレフタレートは、品質に優れるので、各種の自動車部品や電気・電子部品などに有用に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において製造されるポリブチレンテレフタレート樹脂とは、酸性分にテレフタル酸を、ジオール成分に1,4−ブタンジオールを用いた重合反応によって得られた、主鎖にエステル結合を有する高分子量の熱可塑性ポリエステルである。
本発明において製造されるポリブチレンテレフタレート樹脂は、他の酸成分および/または他のジオール成分を共重合成分として一部用いることもできる。この場合、酸性分の例として、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸等があげられる。また、ジオール成分の例としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールなどがあげられる。これらの共重合成分は、それぞれ、テレフタル酸または1,4−ブタンジオールに対して40モル%以下であることが好ましい。
本発明では、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールとを、エステル化反応させる。
本発明の好ましい形態としては、ジカルボン酸成分に対するジオール成分の仕込みモル比は、1.4〜2.0が好ましく、1.6〜1.9がより好ましい。
本発明に用いるエステル化反応槽の型式は、例えば、縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、棚段型反応槽などを用いることができ、複数の反応槽を用いる場合はこれら同種または異種の複数基の槽を直列する複数槽とすることができる。本発明においては、エステル化反応槽は、好ましくは、縦型撹拌完全混合槽である。
本発明では、エステル化反応槽へ有機チタン化合物が添加される。有機チタン化合物は、エステル化反応触媒として作用する。
本発明で好ましく用いられる有機チタン化合物は、
(RO)nTi(OR4−n
(ただし、R、Rは炭素数1〜10の脂肪族、脂環族または芳香族の炭化水素基、nは0〜4の数字(小数含む)である。)で表されるチタン酸エステルおよび縮合物である。
本発明に用いる有機チタン化合物は、具体的には、チタン酸のメチルエステル、テトラ−n−プロピルエステル、テトライソプロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソブチルエステル、テトラ−tert−ブチルエステル、テトラ−2エチルヘキシルエステル、テトラオクチルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、トリルエステルあるいはこれらの混合エステルなどがある。これらの中でも安価に入手できることからチタン酸のテトラ−n−プロピルエステル(テトラ−n−プロピルチタネート)、テトライソプロピルエステル(テトラ−イソプロピルチタネート)、テトラ−n−ブチルエステル(テトラ−n−ブチルチタネート)が好ましく、チタン酸のテトラ−n−ブチルエステル(テトラ−n−ブチルチタネート)が特に好ましく用いられる。これらの有機チタン化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することができる。
エステル化反応槽へ添加される有機チタン化合物は、ジオール化合物含有量が5重量%以下である。エステル化反応槽へ添加される有機チタン化合物は、必要に応じて、ジオール化合物にて希釈または溶解し添加することができる。ジオール化合物としては、1,4−ブタンジオールが好ましい。エステル化反応槽へ添加される有機チタン化合物は、好ましくは、ジオール化合物を含まない有機チタン化合物である。本発明において、ジオール化合物含有量が0重量%とは、ジオール化合物を含まない有機チタン化合物であることを示す。また、本発明において、有機チタン化合物中のジオール化合物含有量が1重量%とは、ジオール化合物が1重量%、有機チタン化合物が99重量%であることを示す。
本発明において、エステル化反応槽へ添加される有機チタン化合物は、好ましくは、ジオール化合物含有量が1重量%以下である。
エステル化反応槽への有機チタン化合物の添加方法としては、原料となるジカルボン酸とジオールとのスラリー中及び/またはエステル化反応槽付属の精留塔底部から還流されるジオール中、あるいは有機チタン化合物とジオール化合物をラインで混合して添加するなど、間接的にエステル化反応槽へ添加する方法がある。その他、直接エステル化反応槽へ添加することもできる。
エステル化反応槽への有機チタン化合物の添加方法は、好ましくは、エステル化反応槽へ添加する有機チタン化合物を、ジカルボン酸とジオールとのスラリー中、及び/または、エステル化反応槽付属の精留塔底部から還流されるジオール中へ添加する。
有機チタン化合物をエステル化反応槽に添加する場合、ジカルボン酸成分のエステル化反応率を95〜98%でエステル化反応槽に添加することが好ましく、より好ましくは96〜97%である。エステル化反応槽に添加する際、ジカルボン酸成分のエステル化反応率が95〜98%であると、ポリマーの溶液ヘイズが高くなる等の問題が発生しない。
本発明におけるエステル化反応は、好ましくは、反応温度が210〜260℃、より好ましくは、220〜250℃であり、圧力は、好ましくは、13.3〜93kPa以下、より好ましくは、20〜87kPaの減圧下で行う。
エステル化反応槽の留出口には精留塔をつけることが好ましく、精留塔により留出する水及びテトラヒドロフランと1,4−ブタンジオールを分離することができる。精留塔の塔頂からは、好ましくは、水及びテトラヒドロフランを主成分とする留出物が留出され、コンデンサーで凝縮され、回収工程へ送液される。1,4−ブタンジオールを主成分とする留出物は、好ましくは、精留塔の底部で凝縮し、エステル化反応槽へ返送される。また、その際、エステル化反応槽中でのモル比を調整するため、エステル化反応槽へ返送される1,4−ブタンジオールの一部を系外へ留出させてもよい。この場合、留出させた1,4−ブタンジオールを主成分とする留出物は、再度、原料として用いることができ、精留して使用してもよいし、そのまま使用してもよい。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂の製造方法では、好ましくは、直列連続槽型反応器を用いて連続的に重合して製造される。具体的には、ジオール成分とジカルボン酸成分を主体とする原料をスラリー調整し、そのスラリーをエステル化反応槽に供給しエステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物であるオリゴマーを予備重縮合反応槽及び最終重合機を経て重縮合反応させることができる。得られたポリブチレンテレフタレートは、好ましくは、最終重合機の底部よりダイを経てストランド状に抜き出し、冷却水にて水冷した後、ペレタイザーでカッティングし、ペレット状などの粒状体とすることが好ましい。
本発明において好ましく使用される予備重縮合反応槽について、例えば、縦型攪拌重合槽、横型攪拌重合槽、薄膜蒸発式重合槽などを用いることができる。
予備重縮合反応槽は、1基または同種または異種の複数基の槽を直列する複数槽とすることができる。予備重縮合反応の反応温度は、好ましくは、210〜270℃、より好ましくは、220〜260℃であり、予備重縮合反応の反応圧力は、好ましくは、7kPa以下、より好ましくは、1〜6kPaの減圧下で行うことが好ましい条件として挙げられる。
本発明において最終重合機を用いる場合、その型式は、例えば、横型1軸反応機、横型2軸反応機などを用いることができる。
最終重合機の反応温度は、好ましくは、220〜260℃、より好ましくは、230〜250℃であり、最終重合機での反応圧力は、好ましくは、1.3kPa以下、より好ましくは、0.67kPa以下の減圧下で行うことが好ましい条件として挙げられる。
また、本発明において、予備重合槽及び/または最終重合機から留出されるジオール成分を主成分とする留出物は、好ましくは、コンデンサーあるいはスクラバー(湿式コンデンサー)で凝縮させた後、精留することなく原料として用いることができる。また、スクラバーから一部排出される液も精留することなく原料として用いることができる。
本発明においては、好ましくは、予備重合槽及び/または最終重合機に、有機チタン化合物を添加する。予備重合槽及び/または最終重合機に添加する有機チタン化合物は、好ましくは、チタン酸のメチルエステル、テトラ−n−プロピルエステル、テトライソプロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソブチルエステル、テトラ−tert−ブチルエステル、テトラ−2エチルヘキシルエステル、テトラオクチルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、トリルエステルあるいはこれらの混合エステルなどがある。これらの中でも安価に入手できることからチタン酸のテトラ−n−プロピルエステル(テトラ−n−プロピルチタネート)、テトライソプロピルエステル(テトラ−イソプロピルチタネート)、テトラ−n−ブチルエステル(テトラ−n−ブチルチタネート)が好ましく、チタン酸のテトラ−n−ブチルエステル(テトラ−n−ブチルチタネート)が特に好ましく用いられる。これらの有機チタン化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することができる。
エステル化反応槽、予備重合槽、最終重合機にて減圧下で反応させる場合、減圧装置が必要であるが、減圧装置としては、具体的には真空ポンプ、エゼクターなどが挙げられるが、エゼクターとしてはスチームエゼクター、エチレングリコールエゼクター、1,4−ブタンジオールエゼクターが好ましく用いられる。1,4−ブタンジオールエゼクターを使用する場合、エゼクターに使用した1,4−ブタンジオールは、本発明のポリブチレンテレフタレートの原料としてそのまま使用することもできる。
また、本発明において、各反応槽を結ぶ配管あるいは最終重合機から吐出口までの間の配管には、好ましくは、ポリマー中の異物を濾過する目的で、フィルターを1基あるいは複数基取り付けることができ、好ましいフィルターの設置位置としては、予備重合槽間の配管、予備重合槽と最終重合機との間の配管、最終重合機から吐出口までの間の配管が挙げられる。また、フィルターの形式としては、プリーツ型円筒タイプ、フラット型円筒タイプ、チューブタイプ、バケットタイプなどが挙げられ、目開きは1〜100μmのものが好ましく、2〜50μmのものがより好ましく用いられる。また、フィルターは、交換の容易さから1カ所あたり、2基以上並列に取り付けることが好ましい。
本発明の方法でポリブチレンテレフタレートを製造するに際し、本発明の目的を損なわない範囲で、通常の添加剤、例えば紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、離型剤、染料および顔料を含む着色剤などの1種または2種以上を添加することができる。
本製造方法でポリブチレンテレフタレートを製造した場合、従来の方法で製造した場合よりも、色調、滞留安定性に優れ、靱性が高い成型品が得られるので各種の自動車部品や電気・電子部品などに有用に用いることができる。
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中、各測定値は下記のとおり求めた。
(1)色調(色座標b値)
反射法によりスガ試験機社製カラーテスターSC−3−CH型を用いて、JIS Z 8730(1970年3月1日制定)の参考1に記載されるLab表色系におけるハンターの色差式の色座標b値を測定した。測定は、電源投入後4時間以上放置し、予め装置を十分安定させた後、内径60mm、深さ30mm、受光部が石英ガラス製である測定セルに試料ペレットをすり切り位置まで充填し、測定セルの向きを90度ずつ4方向変えて測定し、その平均値をもって値とした。
(2)固有粘度
ウベローデ型粘度計とo−クロロフェノールを用い、25℃において、ポリブチレンテレフタレートの濃度1.0dl/g、0.5dl/g及び0.25dl/gの溶液粘度を測定し、粘度数を濃度0に外挿し求めた。
(3)カルボキシル末端基
反応物2.0gをo−クレゾール/クロロホルム溶媒(2/1)50mlに加熱溶解し、冷却後、クロロホルム30mlを加え、さらに、12%メタノール性塩化リチウム溶液を5ml添加する。得られた溶液をエタノール性水酸化カリウムで電位差滴定を行い、カルボキシル末端量(eq/t)を得た。
(4)溶液ヘイズ
試料ポリマー5.4gをフェノール/四塩化エタン(60:40wt%)の混合溶媒40mlに100℃で2時間加熱溶解し、この溶液を光路長30mmのセルに入れて積分式ヘーズメーター(スガ試験機:HZ−2)でヘイズを測定した。
(5)異物含有量
濾過試験終了後のポリマーが付着した焼結繊維フィルターを取り出し、O−クロロフェノール20ml、100℃で2時間撹拌・溶解させ、それを50μmのミリポア社製テフロン(登録商標)メンブレンフィルターで濾過した。更にその濾液を5μmのミリポア社製のテフロン(登録商標)メンブレンフィルターで再濾過し、それらを50℃で一晩真空乾燥した後、重量を測定し、フィルター濾上物の重量を濾過したポリマー量で割ることで異物含有量を算出した。また、異物の大きさについては、上記単離した異物をSEM観察して、得られた画像はイメージアナライザーを用いて、異物の粒径分布を測定した。SEMには、キーエンス社製(VE−8800)を用いた。
実施例1
スラリー化槽、スラリー貯槽、エステル化反応槽1基、予備重合槽1基、最終重合機1基、ペレタイザーを直列に配した製造装置を用いた。
該製造装置を用いて、まず、テレフタル酸754重量部に対して1,4−ブタンジオール736重量部の割合で両原料をスラリー化槽に供給し、攪拌混合を行い、スラリーを調整した後、50℃の定温にしたスラリー貯槽に移し、スラリー貯槽からスラリーをポンプにより1490重量部/時の一定速度で精留塔を有する完全混合槽型エステル化反応槽に供給し、併せて1,4−ブタンジオールが含まれていないテトラ−n−ブチルチタネート(TBT)溶液を0.400重量部/時でエステル化反応槽に付属の精留塔から還流する1,4−ブタンジオール550重量部/時へ連続的に供給した。
エステル化反応槽の反応条件は、温度230℃、圧力78kPaに維持し、滞留時間1.8hrとし、精留塔の塔頂からはテトラヒドロフラン及び水を留出させ、1,4−ブタンジオールについては精留塔の塔底から還流させた。また、このエステル化反応槽においてジカルボン酸成分の反応率96%のオリゴマーを得た。
引き続いて、このオリゴマーをギヤポンプにて予備重合槽に供給し、反応温度245℃、圧力3.3kPaで維持し、滞留時間2hrで反応させ、ジカルボン酸成分の反応率99.2%、固有粘度0.30のオリゴマーを得た。
このオリゴマーは、最終重合機(横型2軸反応機)に供給され、温度240℃、圧力200Pa、滞留時間1.5時間反応させ、ポリマーを得た。このポリマーはギヤポンプによりポリマーフィルターならびにダイを経て系外にストランド状に吐出され、冷却水により冷却され、ペレタイザーによりペレット化した。
上記条件にて得られたペレットは固有粘度1.0dl/g、末端カルボキシル基濃度15eq/t、溶液ヘイズ1%、b値5、チタンカルボン酸塩を含有する異物(粒径10μm、100μmにピークを有する)含有量5ppmと成型品やフィルムに適したポリマーであった。ポリマーフィルターは圧力損出の上昇に伴い交換を12日間で実施した。その結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、エステル化反応へ用いた触媒は、1,4−ブタンジオール化合物の含有量が1重量%であり、触媒添加温度が40℃で、エステル化反応へ用いた触媒を原料スラリーラインへ0.404重量部/時で添加したこと以外は、実施例1と同様に行った。その結果、ポリマーフィルターの交換周期は、11日間であり、十分長かった。
実施例3
実施例1において、エステル化反応へ用いた触媒は、1,4−ブタンジオール化合物の含有量が5重量%であり、触媒添加温度が60℃で、エステル化反応へ用いた触媒を0.421重量部/時でエステル化反応槽へ添加したこと以外は、実施例1と同様に行った。その結果、ポリマーフィルターの交換周期は、9日間であり、十分長かった。製造されたポリブチレンテレフタレートの品質は良好であった。
比較例1
実施例1において、エステル化反応へ用いた触媒は、1,4−ブタンジオール化合物の含有量が90重量%であり、触媒添加温度が110℃で、エステル化反応へ用いた触媒を4.000重量部/時でエステル化反応槽付属の還流ラインへ添加したこと以外は実施例1と同様に行った。その結果、ポリマーフィルターの交換周期が5日間と短くなり、ペレット中の異物含有量も増加する結果となった。
比較例2
実施例1において、エステル化反応へ用いた触媒は、1,4−ブタンジオール化合物の含有量が80重量%であり、触媒添加温度が110℃で、エステル化反応へ用いた触媒を2.000重量部/時で原料スラリーラインへ添加したこと以外は実施例1と同様に行った。その結果、ポリマーフィルターの交換周期は1日間と短くなり、ペレット中の異物含有量も更に増加する結果であった。
比較例3
実施例1において、エステル化反応へ用いた触媒は、1,4−ブタンジオール化合物の含有量が20重量%であり、触媒添加温度が80℃で、エステル化反応へ用いた触媒を0.500重量部/時でエステル化反応槽へ添加したこと以外は実施例1と同様に行った。その結果、ポリマーフィルターの交換周期は1日間となり、短い結果であり、ペレット中の異物含有量も高い結果であった。
比較例4
実施例1において、エステル化反応へ用いた触媒は、1,4−ブタンジオール化合物の含有量が94重量%であり、触媒添加温度が60℃で、エステル化反応へ用いた触媒を6.667重量部/時でエステル化反応槽付属の還流ラインへ添加したこと以外は実施例1と同様に行った。その結果、ポリマーフィルターの交換周期は1日間となり、大量の異物がフィルターに付着していることが確認され、ペレット中の異物も非常に多い結果であった。
比較例5
実施例1において、エステル化反応へ用いた触媒は、1,4−ブタンジオール化合物の含有量が6重量%であり、触媒添加温度が60℃で、エステル化反応へ用いた触媒を0.426重量部/時で原料スラリーラインへ添加したこと以外は実施例1と同様に行った。その結果、ポリマーフィルターの交換周期は5日間となり、ポリマーフィルターの交換周期は短く、異物含有量も高めであった。
比較例6
実施例1において、エステル化反応へ用いた触媒は、1,4−ブタンジオール化合物の含有量が10重量%であり、触媒添加温度が100℃で、エステル化反応へ用いた触媒を0.444重量部/時でエステル化反応槽へ添加したこと以外は実施例1と同様に行った。その結果、ポリマーフィルターの交換周期は3日間であり、異物含有量も多く、品質の改善は見られない結果であった。
Figure 2010083948

Claims (4)

  1. テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールとを、エステル化反応させた後、次いで重縮合反応させてポリブチレンテレフタレートを製造する方法であって、エステル化反応槽へ添加する有機チタン化合物中のジオール化合物含有量が5重量%以下であるポリブチレンテレフタレートの製造方法。
  2. エステル化反応槽へ添加する有機チタン化合物を、ジカルボン酸とジオールとのスラリー中、及び/または、エステル化反応槽付属の精留塔底部から還流されるジオール中へ添加する請求項1記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
  3. 有機チタン化合物中のジオールが、1,4−ブタンジオールである請求項1または請求項2に記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
  4. 有機チタン化合物が、テトラ−n−ブチルチタネートである請求項1から請求項3のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
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