JP5272511B2 - ポリブチレンテレフタレートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた品質のポリブチレンテレフタレートを直接エステル化し、連続的に製造する方法に関する。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は優れた物理的、化学的性質を有するため、繊維、フィルム、その他多くの成形品など、種々の用途に広く用いられている。また、強度や弾性率等の機械特性、耐熱性等が優れているため、特にエンジニアリングプラスチックとして広く用いられている。
このようなポリブチレンテレフタレート樹脂の製造方法の中で、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとのエステル化反応によりビスヒドロキシブチルテレフタレートおよびその低重合物を得るエステル化工程とビスヒドロキシブチルテレフタレートおよびその低重合物を高温、高真空下で過剰の1,4−ブタンジオールを留出させつつ高重合度ポリブチレンテレフタレートを得る重縮合工程とからなる直接連続重合を用いた製造方法は、従来の生産性を著しく向上させる技術として、現在主流に成りつつある。この製造方法では、触媒にチタン化合物やスズ化合物を用いた反応促進を行い、かつ分解抑制剤にリン化合物などを添加剤として用いる技術が好適に用いられている。特にチタン化合物は、原料の1,4−ブタンジオールが分解して副生するテトラヒドロフランの発生量を低減し、高粘度品を得る場合の重合反応を効率化できるため、添加量の増加が望まれる。
しかし、触媒や添加剤の利用は凝集物の原因となり、これが原因とみられる製品への異物混入が増加するため、生成したポリブチレンテレフタレート樹脂を濾過した際に、濾圧の上昇、ゲル化率、さらにはヘイズ上昇等を発生させて、最終的には引張破断強度の低下、フィルムとした際の表面異物の増加といった、成型品とした時の物性低下を引き起こす。
特許文献1では、反応槽間の移液配管にフィルターを設置する提案がされているが、この方法ではフィルターの目開きに相当した大きさの異物しか除去出来ず、フィルターの目開きをより小さくすると、濾圧が上昇し、目詰まりやフィルター交換の頻度増加となる。さらに、反応で発生したポリブチレンテレフタレートのゲル異物は、三次元構造をとっていて比較的柔らかく、フィルターの目開きを通過するといった問題がある。
特許文献2では、異物発生を抑制する方法として、エステル化反応槽の撹拌動力を上げ、槽内をできるだけ均一化し異常滞留を抑制することで、チタン化合物由来の異物発生を抑制する方法が提案されているが、反応槽の気相部に付着した反応液の飛沫、および凝縮液が長時間過熱されて熱変性を受け、この結果異物化するといった問題は解決されない。
特許文献3では、重縮合反応を行う反応槽の上部に設置された減圧溜去配管内壁及び/または該反応槽内の気相部と接する壁面を一定の温度以下に制御することで、壁面に付着した物質の加熱による変質を抑制できることが開示されている。しかし、エステル化反応槽内の気相部での反応液の飛沫や蒸発によって内壁に長時間付着して加熱されることで生じたチタンカルボン酸塩の異物が、濾過工程で捕集され、濾圧やヘイズの上昇やゲル異物の問題については改善がなされていない。
近年では、エステル化反応槽の気相部壁面を槽内接液部の壁面と同等の温度で保温制御することで、槽内気相部の飛沫付着または凝縮付着した反応液の固化を防止する検討がなされているが、依然として問題が解決されていないばかりか、逆に壁面で加熱乾固した異物が粗大化し、これが反応槽内に落下するなどの、新たな問題まで指摘されるに至っている。
特開2000−336162号公報 特開2005−29581号公報 特開2002−194072号公報
本発明の目的は、生産性や反応効率、さらには品質安定を目的に用いている添加剤や触媒、かかる高効率なエステル化反応によって生じたオリゴマーなどが反応槽の気相部に付着固化し、これが反応液中に落下、混入することで生じる問題を、生産性に影響を与えること無く解消することで、機械的強度や色調に優れ、ヘイズや異物が低減され、成形品、フィルム、モノフィラメント、繊維等に好適に使用することができる高品位のポリブチレンテレフタレート樹脂を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールとを連続式にて、エステル化反応させた後、次いで重縮合反応させてポリブチレンテレフタレートを製造する方法に際して、エステル化反応槽で、有機チタン化合物との存在下でエステル化する際の圧力に対して、ビスヒドロキシブチルテレフタレートの融点と1,4−ブタンジオールの沸点の差に着目し、エステル化反応槽内の気相と接している壁面の温度を、該反応槽内の気相圧力における1,4−ブタンジオールの沸点以下、エステル化反応により得られるビスヒドロキシブチルテレフタレートおよび低重合物の融点以上とすることを特徴とすることで、1,4−ブタンジオール蒸気を反応槽内の気相と接する壁面全体が一様な1,4−ブタンジオールの液膜として継続的に表面を更新させることができ、飛沫同伴したオリゴマーや蒸発したチタンカルボン酸塩が長時間加熱付着し、熱変性を受け異物化することを防止することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールとを、エステル化反応槽内において連続式にてエステル化反応させた後、次いで重縮合反応させてポリブチレンテレフタレートを製造するに際して、前記エステル化反応槽内の気相と接している壁面の温度を、該反応槽内の気相圧力における1,4−ブタンジオールの沸点以下、エステル化反応により得られるビスヒドロキシブチルテレフタレートおよび低重合物の融点以上とし、前記エステル化反応槽内の気相と接している壁面全体に1,4−ブタンジオールを主成分とする液膜を形成しかつ該液膜を継続的に更新することを特徴とするポリブチレンテレフタレートの製造方法である。
本発明によれば、製品段階で問題となる異物の発生を抑制し、生産性を落とすこと無く、機械的強度や色調に優れ、ヘイズや異物が低減されたポリブチレンテレフタレート樹脂を生産することが可能となる。さらに、濾過した際の圧力が低下することによるフィルターの交換頻度を低減し、有機チタン化合物由来の粗大異物、ゲル異物が原因となっていた送液ポンプ詰まりなど、多くの工程トラブルを原因から解消するにとどまらず、機械的強度や色調に優れ、ヘイズや異物が低減され、成形品、フィルム、モノフィラメント、繊維等に好適に使用することができる高品位のポリブチレンテレフタレート樹脂を安定して得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において製造されるポリブチレンテレフタレート樹脂とは、酸成分にテレフタル酸を、ジオール成分に1,4−ブタンジオールを用いた重合反応によって得られた、主鎖にエステル結合を有する高分子量の熱可塑性ポリエステルである。他の酸成分および/または他のジオール成分を共重合成分として一部用いる事もできる。この場合、酸成分の例としてイソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸等が、ジオール成分の例としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールなどがあげられる。これらの共重合成分はそれぞれテレフタル酸または1,4−ブタンジオールに対して40モル%以下であることが好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂は直列連続槽型反応器を用いて連続的に重合することで好ましく製造される。具体的にはジオール成分とジカルボン酸成分を主体とする原料をスラリー調整し、そのスラリーをエステル化反応槽に供給し、エステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物であるオリゴマーを予備重縮合反応槽及び最終重合機を経て重縮合反応させることができる。得られたポリブチレンテレフタレートは、最終重合機の底部よりダイを経てストランド状に抜き出し、冷却水にて水冷した後、ペレタイザーでカッティングし、ペレット状などの粒状体とすることが好ましい。
本発明の好ましい形態としては、ジカルボン酸成分に対するジオール成分の仕込みモル比は1.4〜2.0が好ましく、1.6〜1.8がより好ましい。
本発明に用いるエステル化反応槽の型式としては特に限定されるものではないが、例えば、縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、棚段型反応槽などを用いることができ、複数の反応槽を用いる場合はこれら同種または異種の複数基の槽を直列する複数槽とすることができる。本発明においては、好ましくは縦型撹拌完全混合槽である。
エステル化反応槽の留出口には精留塔をつけることが好ましく、精留塔により留出物中の水及びテトラヒドロフランと1,4−ブタンジオールを分離することができる。精留塔の塔頂からは水及びテトラヒドロフランを主成分とする留出物が留出され、コンデンサーで凝縮され、回収工程へ送液される。1,4−ブタンジオールを主成分とする留出物は精留塔の底部で凝縮し、エステル化反応槽へ返送される。また、その際に、エステル化反応槽中でのモル比を調整するため、エステル化反応槽へ返送される1,4−ブタンジオールの一部を系外へ留出させてもよい。この場合、留出させた1,4−ブタンジオールを主成分とする留出物は再度、原料として用いることができ、精留して使用してもよいし、そのまま使用してもよい。
本発明で用いられる好ましいエステル化反応触媒としては有機チタン化合物が用いられる。本発明で好ましく用いられる有機チタン化合物は、次式
(RO)Ti(OR4−n
(ただし、R、Rは炭素数1〜10の脂肪族、脂環族または芳香族の炭化水素基、nは0〜4の数字(小数含む)である。)
で表されるチタン酸エステルおよび縮合物で代表される。
本発明に用いる有機チタン化合物は具体的には、チタン酸のメチルエステル、テトラ−n−プロピルエステル、テトライソプロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソブチルエステル、テトラ−tert−ブチルエステル、テトラ−2エチルヘキシルエステル、テトラオクチルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、トリルエステルあるいはこれらの混合エステルなどがある。これらの中でも安価に入手できることからチタン酸のテトラ−n−プロピルエステル(テトラ−n−プロピルチタネート)、テトライソプロピルエステル(テトラ−イソプロピルチタネート)、テトラ−n−ブチルエステル(テトラ−n−ブチルチタネート)が好ましく、チタン酸のテトラ−n−ブチルエステル(テトラ−n−ブチルチタネート)が特に好ましく用いられる。これらの有機チタン化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することができる。また、エステル化反応および重縮合時に同一種を用いてもよく、異種の有機チタン化合物を用いてもよい。
上記、有機チタン化合物は通常、有機溶媒と一緒に添加される。この場合の有機溶媒としてはイソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどが挙げられるが、品質面の影響等を考慮すると1,4−ブタンジオールが好ましく用いられる。
有機チタン化合物の有機溶媒中の濃度は、20重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。20重量%より高い場合は、粘度が高くなり安定的に添加できないだけでなく、有機チタン化合物/1,4−ブタンジオールを添加する際、添加ライン等で工程の熱負荷を受け反応し、異物化する可能性があるため好ましくない。また、有機チタン化合物の濃度の下限値については、3重量%以上である。3重量%未満の場合は、添加する量が多くなり反応槽の温度が下がるなどする場合がある。
この有機チタン化合物をエステル化反応槽へ添加する量は、Ti原子換算でポリマー総重量に対して25〜75ppmであることが好ましく、30〜70ppmがより好ましい。添加量が25ppmよりも少ないとエステル化速度が遅くなり、テトラヒドロフランの副生が多くなる場合があり、また、75ppmよりも多くなるとポリマーのヘイズが高くなる等の問題が発生する場合がある。
また、特に高粘度品を生産する際、重合効率を上げるために、予備重縮合反応槽にも有機チタン化合物を添加する必要があり、その添加量はエステル化同様25〜75ppm追添加することが好ましく、30〜70ppmがより好ましい。エステル化反応槽のみに有機チタン化合物の量を増やし一括添加した際には、ヘイズや濾過圧力上昇速度が上昇する場合がある。
また、有機チタン化合物を添加する場合、ジカルボン酸成分のエステル化反応率を95〜98%でエステル化反応槽に添加することが好ましく、より好ましくは96〜97%である。また、その後さらに予備重縮合反応槽に有機チタン化合物を追加添加することが好ましい。エステル化反応槽に添加する際、ジカルボン酸成分のエステル化反応率が95%未満で重合触媒を添加するとテレフタル酸の残存が多く、また、98%以上で添加すると、テレフタル酸の残存と有機チタン化合物が反応し、ポリマーの溶液ヘイズが高くなる等の問題が発生し好ましくない。
本発明におけるエステル化反応は有機チタン化合物の存在下で、反応温度は好ましくは210〜260℃、より好ましくは220〜250℃で、圧力は好ましくは13.3〜93kPa以下、より好ましくは、67〜87kPaの減圧下で行うことが好ましい条件として挙げられる。
本発明におけるエステル化反応は有機チタン化合物の存在下で、反応温度は好ましくは210〜260℃、より好ましくは220〜250℃で、圧力は好ましくは13.3〜93kPa、より好ましくは、67〜87kPaの減圧下で行うことが好ましい条件として挙げられる。
エステル化反応槽内の気相と接している壁面温度は、壁面全体に1,4−ブタンジオールを主成分とする液膜が形成され、かつ前記液膜を継続的に更新させるために、エステル化反応槽内の気相と接している壁面温度は該反応槽内の気相圧力における1,4−ブタンジオールの沸点よりも低くすることが好ましい。また、エステル化反応によって得られるビスヒドロキシブチルテレフタレートおよび低重合物の融点よりも高くすることが好ましい。エステル化反応槽内の気相と接している壁面温度が該反応槽内の気相圧力における1,4−ブタンジオールの沸点より高い場合や、ビスヒドロキシブチルテレフタレートおよび低重合物の融点より低い場合は、エステル化反応槽内の気相と接している壁面全体に、1,4−ブタンジオールを主成分とする液膜を形成し継続的に更新することができない場合がある。
本発明で言う液膜とは、エステル化反応槽内の1,4−ブタンジオールを主成分とする蒸気が、前記反応槽内の気相と接している壁面で凝縮することによって形成される。また、更新とは前記壁面への凝縮液付着と流下によって行われる。
なお、液膜を継続的に形成させ更新させるための該壁面温度は、反応槽内気相部圧力における、1,4−ブタンジオールの沸点との温度差は、5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。これは、温度差が5℃以下では液膜形成が不十分となる場合があるが、温度差が十分あると液膜形成が十分に行われるためである。
また、凝縮液には1,4−ブタンジオールの他にオリゴマーやチタンカルボン酸塩を含んでいるため、これらが析出しないか、液膜の更新によって前記壁面に付着すること無く流下する程度に析出量を抑える必要がある。具体的にはエステル化反応によって得られるビスヒドロキシブチルテレフタレートおよび低重合物が析出しない程度とすることが好ましいが、液膜の形成が十分であれば、その更新によって反応液中に流下するため問題とならない。また、該反応槽内の気相部壁面温度をビスヒドロキシブチルテレフタレートおよび低重合物の融点以下とした場合は、液膜の形成が出来ないばかりか、飛沫した該反応物が気相部壁面にて固化し、撹拌トラブルの原因となるため好ましくない。そのため、ビスヒドロキシブチルテレフタレートおよび低重合物の融点との温度差は5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。これは、温度差が5℃以下では該反応物と融点とが近いため、液膜形成が不十分となったり、撹拌負荷の上昇につながったりするためである。この温度差が十分あると液膜の形成と更新が十分にできることで、該反応物が固化することなく安定して撹拌させエステル化反応を行うことができるためである。
具体的な壁面温度としては、気相圧力によって異なるが、65〜90kPaにおいて、170〜220℃が好ましく、より好ましくは、65〜90kPaにおいて、175〜215℃である。さらに好ましくは、壁面温度は、67〜87kPaにおいて、175〜210℃であり、さらにより好ましくは、75〜85kPaにおいて、175〜210℃である。
本発明において使用する予備重縮合反応槽について、その型式は特に制限されるものではないが、例えば、縦型攪拌重合槽、横型攪拌重合槽、薄膜蒸発式重合槽などを用いることができる。
予備重縮合反応槽は1基または同種または異種の複数基の槽を直列する複数槽とすることができる。予備重縮合反応の反応温度は好ましくは210〜270℃、より好ましくは220〜260℃で圧力は好ましくは7kPa以下、より好ましくは1〜6kPaの減圧下で行うことが好ましい条件として挙げられる。
本発明において最終重合機を用いる場合、その型式は特に制限されるものではないが、例えば、横型1軸反応機、横型2軸反応機などを用いることができる。
最終重合機の反応温度は、好ましくは、220〜260℃、より好ましくは、230〜250℃で圧力は、好ましくは、1.3kPa以下、より好ましくは、0.67kPa以下の減圧下で行うことが好ましい条件として挙げられる。
かくして重合して得られたポリブチレンテレフタレートは、ヘイズが10%以下となり、さらに8%以下、6%以下とすることができる。ヘイズが10%より高い場合は、ポリマー中に異物が多いこと意味し、成形品やフィルムにした際に、強度や表面性で問題になる。
かくして、本発明では、重合時の濾過圧力上昇速度は、2.0kg/cm/時間以下となり、さらに1.0kg/cm/時間以下とすることができる。濾過圧力上昇速度が2.0kg/cm/時間以下であるため、工程内のポリマーフィルターの濾圧上昇が遅く、交換頻度を低減できるので、品質も安定し、運転面と品質面の両方において優れる。
かくして得られたポリブチレンテレフタレート樹脂のゲル化率は、0.5%となり、さらに0.3%以下とすることができる。0.5%よりゲル化率が高い場合は、ポリマーのゲルが多く、最終製品である成型品やフィルムにした際に、強度不足や表面性の悪化の原因になる。
通常、ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造工程で発生する異物としては、反応槽内で発生するスケールや炭化物等の黒色の異物、高融点化物等の白灰色異物等がある。これらの異物は、大半がエステル化反応槽内気相部で加熱滞留することで異物化していることを本発明者らは見出した。ここでいう異物は、溶解液を濾過面積2.0cmの10μm焼結繊維フィルター、吐出量6.8g/minの条件下で濾過した際に焼結繊維フィルターに付着したポリマーをo−クロロフェノールで加熱溶解後、50μmのメンブレンフィルターで濾過し、濾液をさらに5μmのメンブレンフィルターで濾過して回収される濾上物である。その濾上物を赤外分光法で測定したところ、金属塩カルボン酸塩に由来する特定吸収(1400cmおよび1525cm)が観測され、かつ、走査型電子顕微鏡でチタン元素が検出されたことから、異物はチタン触媒に由来するチタンカルボン酸塩を含んでいることが判明した。また、チタンカルボン酸塩を含む異物の大きさの分布としては、5〜20μmまたは50〜150μmのものが回収される。また、2つの分布を持つ理由は定かではないが、5〜20μmの異物については、触媒の反応槽内での異常滞留等で発生したもの、50〜150μmの異物については触媒添加時気相部等で加熱濃縮され異物化したものがポリマー中へ添加されたものと考えられる。本発明においては、ポリブチレンテレフタレート樹脂の溶解液を濾過して回収されるチタンカルボン酸塩を含む異物含有量は、生成するポリマーに対して20ppm以下となり、さらに10ppmとすることができる。20ppm以下となるため、濾圧上昇もなく、ヘイズも小さく、最終製品の品質も優れる。
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、各測定値は下記のとおり求めた。
(1)色調(色座標b値)
スガ試験機社製”カラーテスターSC−3−CH”型を用いて、反射法によりJIS Z 8730の参考1に記載されるLab表色系におけるハンターの色差式の色座標b値を測定した。測定は電源投入後4時間以上放置し、予め装置を十分安定させた後、内径60mm、深さ30mm、受光部が石英ガラス製である測定セルに試料ペレットをすり切り位置まで充填し、測定セルの向きを90度ずつ4方向変えて測定し、その平均値をもって値とした。
(2)固有粘度
ウベローデ型粘度計を用い、25℃において、ポリブチレンテレフタレートのo−クロロフェノール溶液について濃度1.0dl/g、0.5dl/g及び0.25dl/gの溶液粘度を測定し、粘度数を濃度0に外挿し求めた。
(3)濾過圧力上昇速度
チップを150℃で4時間乾燥後、富士フィルター製”フジメルトスピニングテスター”(MST−C400)で温度255℃〜265℃、濾過面積2.0cmの10μm焼結繊維フィルター、吐出量6.8g/minの条件下測定し、4時間濾過圧力の上昇速度を測定し、1時間あたりの圧力上昇速度に換算した。
(4)ヘイズ
試料ポリマー5.4gをフェノール/四塩化エタン(60:40wt%)の混合溶媒40mlに100℃で2時間加熱溶解し、この溶液を光路長30mmのセルに入れて積分式ヘーズメーター(スガ試験機:HZ−2)でヘイズを測定した。
(5)異物含有量
濾過圧力上昇速度測定終了後のポリマーが付着した焼結繊維フィルターを取り出し、o−クロロフェノール20ml、100℃で2時間撹拌・溶解させ、それを50μmのミリポア社製”テフロン(登録商標)メンブレンフィルター”で濾過した。更にその濾液を5μmのミリポア社製の”テフロン(登録商標)メンブレンフィルター”で再濾過し、それらを50℃で一晩真空乾燥した後、重量を測定し、フィルター濾上物の重量を濾過したポリマー量で割ることで異物含有量を算出した。また、異物の大きさについては、上記単離した異物をキーエンス社製SEM(VE−8800)を用いて観察し、得られた画像をイメージアナライザーを用いて画像処理し、異物の粒径の分布を測定した。
(6)ゲル化率
チップ1gを300℃、2.5時間、大気下で加熱後、o−クロロフェノール50mlで150℃で1時間溶解後、3G3のガラスフィルターで濾過して濾上物を塩化メチレンで洗浄する。洗浄後フィルターを50℃で一晩真空乾燥機で乾燥後、重量を測って、チップ1g中のフィルター残存物量の重量比をゲル化率とした。
実施例1
スラリー化槽、スラリー貯槽、エステル化反応槽1基、予備重合槽1基、最終重合機1基、ペレタイザーを直列に配した製造装置を用いた。該製造装置を用いて、まず、テレフタル酸754重量部に対して1,4−ブタンジオール692重量部の割合で両原料をスラリー化槽に供給し、攪拌混合を行い、スラリーを調整した後、50℃の定温にしたスラリー貯槽に移し、スラリー貯槽からスラリーをポンプにより1446重量部/時の一定速度で精留塔を有する完全混合槽型エステル化反応槽に供給し、併せて10%濃度テトラ−n−ブチルチタネート(TBT)の1,4ブタンジオール溶液を4重量部/時でエステル化反応槽に連続的に供給した。TBTの添加量はTi原子換算でポリマー総重量に対して56ppmである。
このエステル化反応槽は、内部へ熱媒コイルと熱媒ジャケットを上部と下部へ設ける構造となっており、反応条件は内部液温度230℃にてコイル入り熱媒量を制御させ、熱媒ジャケットは下部を225℃にて加熱し、上部ジャケット温度を195℃とし、エステル化反応物の融点以上でかつ槽内気相部壁面全体が一様な1,4−ブタンジオールを主成分とする液膜で形成され継続的に更新するようにした。圧力は78kPaに維持し、滞留時間1.8時間とし、精留塔塔頂からはテトラヒドロフラン及び水を留出させ、1,4−ブタンジオールについては精留塔塔底から還流させた。また、このエステル化反応槽においてジカルボン酸成分の反応率96%のオリゴマーを得た。
引き続いてこのオリゴマーをギヤポンプにて予備重合槽に供給し、10%濃度TBTの1,4−ブタンジオール溶液を4重量部/時で添加した(TBTの添加量はTi原子換算でポリマー総重量に対して56ppm)。温度245℃、圧力3.3kPaで維持し、滞留時間2時間で反応させ、ジカルボン酸成分の反応率99.2%、固有粘度0.30dl/gのオリゴマーを得た。
このオリゴマーは最終重合機(横型2軸反応機)に供給され、温度240℃、圧力200Pa、滞留時間1.5時間反応させ、ポリマーを得た。このポリマーはギヤポンプによりダイを経て系外にストランド状に吐出され、冷却水により冷却され、ペレタイザーによりペレット化した。
上記条件にて得られたペレットは固有粘度1.0dl/g、末端カルボキシル基濃度10eq/t、ヘイズ3%、b値5、チタンカルボン酸塩を含有する異物(粒径10μm、100μmにピークを有する)含有量5ppm、濾過圧力上昇速度0.5kg/cm/h、ゲル化率0.2%と成型品やフィルムに適したポリマーであった。その結果を表1に示す。
実施例2
エステル化反応槽の上部ジャケット温度を200℃にて加熱したこと以外は、実施例1と同様の方法にて行った。若干異物が確認され、ヘイズも増加したが使用できる範囲のものであった。その結果を表1に示す。
実施例3
エステル化反応槽の上部ジャケット温度を180℃にて加熱したこと以外は、実施例1と同様の方法にて行った。ゲル化率が若干上昇したが、ヘイズも同等であり使用できる範囲のものであった。その結果を表1に示す。
比較例1
エステル化反応槽の上部ジャケット温度を165℃にて加熱したこと以外は、実施例1と同様の方法にて行った。低重合物ならびに有機チタン化合物が析出し異物化したことで、ヘイズや濾過圧力上昇速度、ゲル化率等品質の著しい悪化を招いた。結果を表1に示す。
比較例2
エステル化反応槽の上部ジャケット温度を225℃にて加熱したこと以外は、実施例1と同様の方法にて行った。有機チタン化合物が異物化し、ヘイズや濾過圧力上昇速度、ゲル化率等品質の著しい悪化を招いた。結果を表1に示す。
比較例3
エステル化反応槽の上部ジャケット温度を235℃にて加熱したこと以外は、実施例1と同様の方法にて行った。多量の異物による急激な濾圧上昇と色調も悪化し、品質も悪い結果であった。結果を表1に示す。
比較例4
エステル化反応槽の上部ジャケット温度を245℃にて加熱したこと以外は、実施例1と同様の方法にて行った。濾圧上昇は早く、粗大異物も確認されヘイズ、色調が上昇し、品質の悪いペレットとなった。結果を表1に示す。
Figure 0005272511
本発明法によりPBTを製造した場合には異物量を少なくすることができ、洗浄周期を長くすることができるため生産性を向上させ、品質の優れたPBTを得ることができる。本発明で得られたPBTは品質に優れるので各種の自動車部品や電気・電子部品などに有用に用いることができる。

Claims (5)

  1. テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールとを、エステル化反応槽内において連続式にてエステル化反応させた後、次いで重縮合反応させてポリブチレンテレフタレートを製造するに際して、前記エステル化反応槽内の気相と接している壁面の温度を、該反応槽内の気相圧力における1,4−ブタンジオールの沸点以下、エステル化反応により得られるビスヒドロキシブチルテレフタレートおよび低重合物の融点以上とし、前記エステル化反応槽内の気相と接している壁面全体に1,4−ブタンジオールを主成分とする液膜を形成しかつ該液膜を継続的に更新することを特徴とするポリブチレンテレフタレートの製造方法。
  2. エステル化反応を、反応触媒として有機チタン化合物の存在下に行うことを特徴とする請求項1記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
  3. 有機チタン化合物が、テトラブトキシチタンであることを特徴とする請求項2記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
  4. エステル化反応を、反応温度、210〜260℃、圧力、13.3〜93kPaで行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
  5. エステル化反応槽内の気相と接している壁面の温度を、65〜90kPaにおいて、170〜220℃とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
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