JP2010073470A - 画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子放出素子を有する画像表示装置において、帯電防止膜などを用いずに、基板上の絶縁面の電位上昇を抑えて電子放出素子の劣化を防止する。
【解決手段】基板上に露出した絶縁面の任意の点から基板上の導電部材までの最短距離L[μm]と、上記任意の点の表面抵抗率Rs[Ω/□]とが、Rs×L2<4.2×1022[Ω×μm2]を満たす。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子放出素子を用いた画像表示装置に関する。
電界放出型電子放出素子を用いた画像表示装置(FED)は、電子を蛍光体などの発光部材に照射させて発光させる。この様な画像表示装置では、一般に、特許文献1の図3等に開示される様に、複数の電子放出素子を配置した基板であるリアプレート1に、蛍光体などの発光層32を配置した基板であるフェースプレート31を対向配置して構成される。そして、実用的な輝度などの所定の表示特性を得るため、発光層32のリアプレート1側に、メタルバックと呼ばれる導電性膜33が配置される。
図13は、典型的なスピント型の電界放出型電子放出素子を用いたFEDのリアプレートを示す模式図である。図13(a)はその平面模式図であり、(b)は(a)のA−A’断面模式図である。図中、131はゲートであり、132は電子放出部(スピント型エミッタ)であり、133は絶縁層であり、134はカソードであり、135は絶縁性基板であり、136は開口(ホール)である。
図13で示した例は、スピント型の電界放出型電子放出素子が、マトリクス配線された形態(走査信号が印加される配線と変調信号が印加される配線が交差する形態)である。
絶縁面(絶縁層133や絶縁性基板135などの絶縁部材の表面)は、導電性膜などで覆われない限り、不図示のフェースプレートに対して露出する。そして、露出した絶縁面の表面抵抗率が高い場合、リアプレートの構成によっては、画像表示装置の駆動中に上記絶縁面の電位が上昇する。その結果、絶縁面と電子放出素子の間や絶縁面とゲートとの間などで、放電が生じ、電子放出素子を劣化させる場合がある。
特許文献1、2では、絶縁面の電位が上昇するのを抑制するための膜(帯電防止膜)を、リアプレート上に設けることが開示されている。また、非特許文献1には、絶縁面の電位上昇に影響する二次電子放出効率について開示されている。
特開平09‐063516号公報 特開平10‐134701号公報 ジェラルド・エフ・ディオン(Gerald F.Dionne)著,「Origin of secondary−electron−emission yield−curve parameters」,ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Journal of Applied Physics),1975年8月,第46巻,第8号,p.3347―3351
FEDでは、電子放出素子と発光層の間(リアプレートとフェースプレートの間)に、高い電圧(例えば10kV以上)が印加される。この場合、電子放出素子から放出された電子が、高い(例えば10keV以上の)エネルギーを持って、フェースプレートに入射されることになる。そして、例えば、10keV以上のエネルギーを持った電子が、フェースプレートに入射された場合、10keV以下のエネルギーを持ったX線(フェースプレートを構成する元素(特には発光層やメタルバック)の特性X線)が発生する。
上記X線を主成分とする光子線がリアプレート上の絶縁面に照射されると、光電効果によって電荷が生じ、前述した絶縁面の電位が上昇することがわかった。当該現象は、理論的には、フェースプレートから絶縁面に向けて放射される全てのX線が遮蔽される状態であれば生じない。
ここで、「全てのX線が遮蔽される状態」とは、絶縁面が、遮蔽物で覆われる場合に実現される。そして、「遮蔽物で覆われる場合」とは、絶縁面上の任意の点と、フェースプレート上の任意のX線放出点と、を結ぶ全ての直線の線分上にX線を遮蔽する遮蔽物が存在する場合である。
上記遮蔽物としては、リアプレート上に配置される電極或いは配線といった、導電部材がなり得る。また、フェースプレートとリアプレートの間に配置される構造体も、上記遮蔽物になり得る。ここで言う「構造体」とは、フェースプレートとリアプレートの間に配置されるスペーサ、或いは、電子軌道を制御するための電極などである。そして、上記構造体は、上記、直線の線分に沿った上記構造体中における長さが、X線減衰長以上の長さを持つ場合に、遮蔽物になり得る。
さらに、絶縁面には、上記X線の他に、画像表示装置の駆動中において、電子放出素子から放出された電子の一部が到達し、その結果、電子放出素子近辺の絶縁面で二次電子放出が起こる場合がある。
ここで、電子放出素子から放出されて絶縁面に入射した電子の個数に対する絶縁面から出射される電子の個数の比をδとする。前述したX線による絶縁面の電位上昇によって電子放出素子のカソードと絶縁面との電位差が広がった場合、δが1を超える場合があることが分かった。δが1を超える場合、電子放出素子からの放出電子の絶縁面への入射は絶縁面に正の電荷を生じさせ続けるため、絶縁面の電位の一層の上昇がなされる。
以上のように、絶縁面の表面抵抗率が高い場合、画像表示装置の駆動中に、X線(を主成分とする光子線)が絶縁面へ入射することで、絶縁面の電位が上昇し続ける場合がある。その結果、絶縁面と電子放出素子の間、或いは、絶縁面と配線等の導電部材との間で放電が生じ、電子放出素子を劣化させる場合があった。
このような問題を回避するためには、特許文献1、2のように、表面抵抗率の高い絶縁面を表面抵抗率の低い膜で覆うことによって、絶縁面の電位上昇を抑えることができる。しかしながら、上記方法では、表面抵抗率の低い膜で絶縁面を覆う工程が必要なため、製造コストが大幅に上昇してしまうという課題がある。さらに表面抵抗率の低い膜で絶縁面を覆う場合、電子放出特性に影響を与えてしまうという課題もある。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、良好な表示特性を有し、放電による電子放出素子の劣化を抑制し、低コストで製造できる、画像表示装置を提案するものである。
本発明は、表面が絶縁性の基板と、該基板上に形成された電子放出素子と、該電子放出素子に接続された配線とを有する第1基板と、
前記電子放出素子と対向するアノードと該電子放出素子から放出された電子の照射によって発光する発光部材とを有し、上記第1基板に対して対向配置された第2基板と、
を備えた画像表示装置であって、
前記基板の表面の露出面及び基板上に設けられた絶縁部材の露出面の任意の点から、基板上の導電部材までの最短距離L[μm]と、上記任意の点の表面抵抗率Rs[Ω/□]とが、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
Rs×L2<4.2×1022[Ω×μm2] (1)
本発明において好ましくは、前記LとRsとが、下記式(2)を満たす。
Rs×L2<1.8×1021[Ω×μm2] (2)
また、本発明において好ましくは、前記第1基板の絶縁性の表面が酸化ケイ素を主成分とし、表面抵抗率が1×1016Ω/□以上である。
本発明によれば、絶縁面の電位上昇が電子放出に影響を及ぼさない程度に抑えられるため、良好な表示特性を有し、放電による電子放出素子の劣化を抑制でき、低コストで製造できる画像表示装置が提供できる。
図1,図2を用いて本発明の実施形態の一例を示す。図1は、基板11上に、多数の電子放出素子をマトリクス配線して設けた電子源(第1基板、リアプレート)の一部の平面模式図である。図2は、図1のリアプレートにフェースプレート(第2基板)を対向配置した画像表示装置の断面模式図であり、図1のA−A’断面に相当する。
図1,図2では、電子放出素子として表面伝導型電子放出素子を用いた例を示す。しかしながら、本発明では、スピント型やBSD型やMIM型などの電界放出型電子放出素子や、カーボンナノチューブ等のカーボンファイバーを用いた電界放出型電子放出素子なども用いることができる。
図1,図2において、1は第1配線(行方向配線)、2は絶縁層、10は基体、3は絶縁コート層、4は第2配線(列方向配線)、11は基板である。また、表面伝導型電子放出素子は、電極5,6と、間隙8で離間された一対の導電性膜7a,7bで構成され、電極5,6と導電性膜7a,7bはそれぞれ電気的に接続されている。
行方向配線1は、絶縁層2上に配置され、絶縁層2に設けられた不図示のコンタクトホール(開口)で第1電極6と接続されている。絶縁層2は、行方向配線4上の一部の上を覆っている。列方向配線4は、第2電極5の一部の上に積層され、第2電極5と接続されている。第1電極6と第2電極5の間に、配線1,4を介して、駆動電圧Vfを与えることで、間隙8付近から電子が放出される。
図2では、基体10と絶縁コート層3とで、基板11が構成されているが、基体10の表面が絶縁面であれば、基体11に別途絶縁コート層3を設けなくても、基体10単体で基板11を構成することもできる。
また、図1,図2で示した形態では、3を絶縁コート層とし、2を絶縁層としているが、絶縁コート層3及び絶縁層2のいずれの表面も絶縁面を有していることに変わりはない。尚、「絶縁面」とは、導電部材と導電部材との間(例えば電極5と6の間や配線1と4の間)等の様に、導電部材で覆われていない露出面であり、導電部材と導電部材とを電気的に十分に絶縁する絶縁部材の表面である。
そして、本発明においては、上記絶縁面上の任意の点と、導電部材上の当該任意の点に最も近い点と、を結ぶ距離(最短距離)L[μm]と、上記任意の点における表面抵抗率Rs[Ω/□]とが、下記式(1)を満たす。
Rs×L2<4.2×1022[Ω×μm2] (1)
また、好ましくは下記式(2)を満たす。
Rs×L2<1.8×1021[Ω×μm2] (2)
基板11の表面、即ち、絶縁コート層3又は基体10の表面が酸化ケイ素を主成分とする場合、その表面抵抗率Rsは1×1016(Ω/□)以上であることが好ましい。
上記式(1)を満たすことで、従来必要としていた帯電防止膜を用いずに、X線による絶縁面の帯電に起因した放電などによる、電子放出素子の劣化を抑制することができる。その結果、画像表示装置においては、安定な表示画像を長期に渡って得ることができる。
フェースプレートは、電子放出素子と対向するアノードと、電子放出素子から放出された電子の照射によって発光する発光部材を備えている。図2においては、基板12がガラスなどの透明な材料からなり、電子放出素子側に蛍光体(発光部材)14とブラックマトリクスなどの黒色部材からなる遮光層15とを有する蛍光膜が積層されている。さらに、発光層の電子放出素子側には1000Å乃至2000Å厚のアルミニウム膜などの導電性膜からなるメタルバック(アノード)13と、ゲッター16とが積層されている。リアプレートとフェースプレートの間隔は、0.5mm以上5mm以下とされる。
アノード13と電子放出素子との間に電位差Vaを印加することで、間隙8近傍から放出された電子は、アノード13を透過し蛍光体14に照射される。実用的な表示特性を得るため、電子放出素子とアノード13の間(典型的には第1電極6とアノード13の間)に与える電位差(Va)は、数kVから数十kVであり、典型的には10kV以上である。また、実用的な表示特性を得るためには、電子放出素子から放出され蛍光体114に到達する電子(放出電流Ie)は、蛍光体14に照射される時点において1.5μA≦Ie≦4.5μAであることが必要である。
尚、本発明の画像表示装置では、従来公知の板状のスペーサが、行方向配線1のいくつかの上、または、行方向配線1の全ての上に、行方向配線1に沿って設けられることが好ましい。
以下に、上記リアプレートの製造方法について図3−1乃至図3−3を用いて簡単に説明する。
先ず、絶縁性の表面を備える基板11上に第1電極5と第2電極6を形成する(図3−1(a))。絶縁性の表面を備える基板11としては、本例のように、基体10上に絶縁コート層3を設けることで構成することができる。勿論、基板の表面が後述する十分な表面抵抗率を備えていれば、絶縁コート層3を設けずに、基体10の表面上に電極5と電極6を形成することができる。絶縁コート層3は酸化シリコンを主成分とする絶縁膜を用いることが好ましい。
基体10としては、石英ガラス、高歪点ガラス、青板ガラスなどのガラスが好ましく使用される。絶縁コート層3は、基体10を、洗剤、純水及び有機溶剤により十分に洗浄した後、スパッタリング法、CVD法などの公知の成膜方法によって形成することができる。
用いる電子放出素子が表面伝導型電子放出素子の場合は、後述する「通電フォーミング処理」や「活性化処理」を良好に行うために、絶縁コート層3の表面抵抗率は、実用的には、1×1016Ω/□以上であることが望ましい。また、絶縁コート層3の表面抵抗率は、その他の電子放出素子(特には電界放出型電子放出素子)を用いた場合においても、同様に、実用的には、1×1016Ω/□以上であることが望ましい。
電極5、6は、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法等で成膜した後にリソグラフィ法でパターニングしてエッチングする方法等を選択することができる。電極5,6の材料としては導電性を有するものであればどのようなものでもかまわない。例えば、Ni、Cr、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等の金属或いは合金等が挙げられる。第1電極5と第2電極6のパターンは、図3−1(a)の形状に限られるものではない。
次に、電極5と接続する列方向配線4を設ける(図3−1(b))。列方向配線4は、例えば導電性ペーストを印刷し、焼成することで形成することができる。この時、列方向配線4は電極5と接続するように形成する。本例では、電極5の一部の上に列方向配線4を設けることで、電極5と列方向配線4とを接続した。配線は膜厚が厚いほうが電気抵抗を低減できるため有利であるため、印刷法、特にスクリーン印刷法を用いるのが好ましく、銀、金、銅、ニッケル等の金属粒子を含むペースト(導電性ペースト)を用いることが好ましい。より高精細なパターンの配線を形成する場合には、感光性成分を加えた導電性ペーストを用い、これを印刷法によって基板上に成膜した後に、露光、現像することによって配線4を形成することができる。尚、所定のパターンを形成した後にはペースト中のビヒクル成分を除去するために、そのペースト、使用する基板の熱特性に応じた温度(400乃至650℃)で焼成される。
次に、絶縁層2を設ける(図3−2(c))。図3−2(c)は、絶縁コート層3、電極5、電極6、列方向配線4上に、絶縁層2が形成された状態を示す図である。絶縁層2を構成する主成分としては、例えば、実用上、酸化シリコン(典型的にはSiO2)が選ばれる。厚さは、絶縁性を確保されるために必要な厚さであればよい。絶縁層2は、スパッタリング、或いは、CVDによって形成される。2aは絶縁層2に形成された開口部であり、電極6が配置される場所を含む領域に通じている。
図3−2(d)、(e)は、絶縁層2、電極6、絶縁コート層3上に、行方向配線1が形成された状態を示す図であり、図3−2(d)が平面図であり、図3−2(e)は、(d)におけるA−A’断面図である。
行方向配線1も電気抵抗を低減したほうが有利であるため、膜厚を厚く形成できる厚膜印刷法を用いるのが好適である。そこで列方向配線4の形成と同じようにしてスクリーン印刷法で導電ペーストを用い、配線を形成した後焼成する。
図3−2(e)に示すように、行方向配線1は、絶縁層2の開口部2aを経て、電極6上に配置される。行方向配線1は、電極6に電気的に接続される一方、列方向配線4、電極5とは、絶縁層2によって電気的に非接続となる。
図3−3は、導電性膜7a,7bが、電極5、電極6、絶縁コート層3上に形成され、間隙8が、導電性膜7aと7bとの間に形成された状態を示す図である。間隙8の形成は、例えば、導電性膜で接続された電極5と電極6との間に電圧を印加することにより、電極5と電極6とを接続していた導電性膜の一部に間隙8を形成することにより行うことができる。また、従来公知の通電フォーミング処理と通電活性化処理とを行うことによって間隙8を形成することもできる。
以下、前述した式(1)を満たすことで、本発明の効果を奏する理由について説明する。
先ず、絶縁面の電位について説明する。
絶縁面上に、電子線が入射、或いは、光子線が照射されると、二次電子放出或いは光電効果が生じる。二次電子放出によって絶縁面に生じる電荷量は、絶縁面の二次電子放出係数δによって定まる。δは入射電子の個数に対する二次電子の個数の比である。δは絶縁面に到達する入射電子のエネルギーEの関数である。図4は、δとEの関係を示す図である。図4において、E1とE2はδ=1となるEである。
E1を、第1クロスオーバーエネルギーと呼び、E2を、第2クロスオーバーエネルギーと呼ぶ。
絶縁面への入射電子としては、電子放出素子からの放出電子、即ち、電子放出素子の負極と絶縁面の間の電位差に依存するエネルギーを持った電子が考えられる。
入射電子が負極から、絶縁面に到達するとき、Eは負極と絶縁面の電位差ΔVに依存する。
負極から絶縁面への入射電子のエネルギーEにおいて、E=E1となるようなΔVをVE1、E=E2となるようなΔVをVE2とする。負極の電位は固定されているので、ΔVは絶縁面の電位Vによって定まる。
E1近傍を考える。E<E1であるようなΔVである時、δ<1である。二次電子の個数は入射電子の個数よりも少なく、電荷量は負の方向に変化する。従って、ΔVは小さくなり、δも小さくなる。
一方E>E1であるようなΔVである時、δ>1である。二次電子の個数は入射電子の個数よりも多く、電荷量は正の方向に変化する。従って、ΔVは大きくなり、δも大きくなる。このサイクルは、ΔV=VE2、即ち、E=E2となるようなΔVとなるまで続く。E>E2においては、δ<1となり、電荷量は負の方向に変化するため、ΔVの増加は抑えられる。そのために、ΔVの増加はΔV=VE2にて落ち着く。
非特許文献1によれば、絶縁面がSiO2である場合は、TABLE1からE1=44eVであり、Fig.4からEmax≒200eV、δmax≒1.63である。上記E1の値は、入射電子の入射角度が0°の場合の値である。即ち、入射電子の、絶縁面近傍における、軌道と、絶縁面の方向(絶縁面内の方向と垂直の方向)とのなす角度が0°の場合の値である。
E1は入射角度に依存する。入射角度が大きくなるとE1は小さくなる。
非特許文献1では、EmaxとδmaxからE2を求めることが示されている。そしてE2は、上記SiO2のEmaxとδmaxの値より数keVと見積もられる。このことは非特許文献1の理論式からも推定できる。
絶縁面がSiO2であり、電子が絶縁面に入射される場合、負極と絶縁面の電位差ΔVがVE1よりも小さければ、二次電子放出はΔVを小さくするように働く。一方、ΔVがVE1よりも大きければ、二次電子放出はΔVを大きくするように働き、VE2、即ち、数kVまで上昇させようとする。
上記の絶縁面の電位の変化は、負極から絶縁面に到達する電子による二次電子放出によって生じるものである。その一方で、フェースプレートから絶縁面に到達する光子による光電効果によって生じる絶縁面の電位の変化がある。
電子放出素子を用いた画像表示装置の駆動中において、電子放出素子を構成する絶縁面には、X線を主体とする光子線が照射される。該X線は、電子放出素子からの放出電子が、電子放出素子とアノード間に印加された数kV乃至数十kVといった電圧Vaによって加速され、フェースプレートに入射することで生じる。
X線は、フェースプレートを構成する材料に特徴的なエネルギースペクトルを持ち、X線の照射により、絶縁面において光電効果が生じる。これにより、絶縁面に正電荷が生じ、絶縁面の電位が上昇する。
二次電子放出による電位上昇が、負極と絶縁面の電位差ΔVがVE1を超えない限り起こらないのに対して、光子線による電位上昇は、光電効果を生じさせるエネルギーを持った光子が照射されれば起こる。一方、電位差ΔVがVE1を超えて二次電子放出による電位上昇が起こると、負極と絶縁面の電位差ΔVはVE2まで上昇してしまい、導電部材と絶縁面の間で放電が生じる可能性が高くなる。従って、駆動中において、光子線による絶縁面の電位上昇をVE1以下に抑えるようにリアプレートを構成する必要がある。
また、上記電子と光子を原因とする絶縁面の電位上昇の他に、イオンを原因とする電位上昇が可能性としてあり得る。これは、画像表示装置の駆動中において、リアプレートとフェースプレートの間に存在する、残留ガスを構成する分子或いは原子がイオン化し、絶縁面に到達することによる電位上昇である。しかしながら、上記イオンを原因とする絶縁面の電位上昇は、表面伝導型電子放出素子や電界放出型電子放出素子を用いたディスプレイで必要とされる10-6Pa以上の真空度を有する雰囲気中においては、実質的な問題にならない。
アノードと負極(カソード)の2極で構成された単一の電子放出素子などを除けば、電子線ディスプレイでは、通常、配線間或いは電極間の絶縁のために絶縁部材を用いる必要がある。絶縁部材を用いる場合、絶縁部材の表面を覆う低抵抗部材などを用いない限りは、絶縁部材の表面が露出され、その露出面である絶縁面に、駆動時に電子或いは光子が照射される。そして、電子線或いは光子線が絶縁面に照射されることで、上述した理由により、二次電子放出或いは光電効果が生じ、正電荷が絶縁面に生じる。
正電荷が絶縁面に生じる場合、絶縁面は高い表面抵抗率を有しているので、電子放出素子の構成によっては、電子放出素子から放出される電子の軌道に影響を与える程度の電位の上昇が絶縁面において生じる場合がある。
また、高精細ディスプレイ等に用いる電子放出素子においては、実用上、電子放出素子は10μm乃至500μmといった小さなサイズである必要がある。そのような電子放出素子をマトリクス状に配置する場合、配線間、電極間の間隔は狭くならざるをえない。そのため、複数の配線や複数の電極における互いの絶縁を確保するためには、より高い表面抵抗率を持つ絶縁面を用いる必要がある。
従って、このような電子放出素子において、絶縁面が露出している場合、電子放出素子の構成によっては、導電部材と絶縁面の間において大きな電位差が数μmから数十μmといった短い長さで生じる場合がある。その場合、絶縁面と導電部材の間で放電が起こり、電子放出素子が劣化する場合がある。
負極(カソード)と絶縁面の電位差ΔVがVE1を超えると、絶縁面に入射する電子による二次電子放出により、負極と絶縁面の電位差ΔVはVE2、即ち、数kVの電位まで上昇し、絶縁面と導電部材の間で放電を起こす可能性が大きくなる。
光子線の照射による絶縁面の電位を見積もるために、絶縁面上の電荷が絶縁面上を絶縁面に接する導電部材へ向かって流れる場合を考える。
先ず、一つの電子放出素子の絶縁面の電位について考える。
上記絶縁面は、周囲が導電部材で囲まれる、任意の形状の絶縁面である。任意の形状の絶縁面の任意の点において、その点から導電部材までの絶縁面上の最短距離の値を考える。この時、絶縁面上の任意の各々の点に対して、上記最短距離の値が各々対応する。絶縁面上の全ての点に対する上記最短距離の値の集合を考え、その集合の内の最大の値をLとする。
絶縁面の形状が円である場合にはLは半径であり、絶縁面の形状が正方形である場合にはLは一辺の長さの半分の長さであり、絶縁面の形状が長方形である場合にはLは短い一辺の長さの半分の長さである。また、上記最短距離の値の集合におけるLをとる絶縁面上の点は、絶縁面の形状が円である場合には円の中心であり、絶縁面の形状が正方形である場合には正方形の中心である。また、絶縁面の形状が長方形である場合には2本の短い一辺のそれぞれの中点を結ぶ線分の両端からLを切り取った線分上の点の集合である。
例えば、図1においては、上記導電部材とは、電極5,6、行方向配線1、列方向配線4であり、上記絶縁面とは、絶縁コート層3、絶縁層2の露出した表面である。
絶縁層2は、列方向配線4とその上方に配線される行方向配線1の間において、列方向配線4と行方向配線1の間を絶縁するために配置されるものである。従って、絶縁コート層3の表面である絶縁面が略平面の形状であるのに対して、絶縁層2の表面である絶縁面は曲面を含む形状を有する。
上記Lは、上記絶縁コート層3の略平面の絶縁面上と、上記絶縁層2の曲面を含む絶縁面上における距離であり、必ずしも直線の線分の距離ではない。
次に、絶縁面への光子線の照射による絶縁面の電位の変化について記す。
絶縁面への光子線の照射による光電効果によって生じる、単位面積当たり及び単位時間当たりの電荷の変化量(以下、「単位面積・時間当たりの電荷量」と記す。)をiとする。後述するように、iは光子線の放出点と絶縁面上の点の間の距離に依存する。また、光子線は、画像表示装置の駆動中においてフェースプレートから発生する、フェースプレートの構成材料に由来する特性X線を主成分としている。以下、「X線」という場合は「X線を主成分とする光子線」のことを意味する。
画像表示装置において、一つの電子放出素子中の絶縁面内でとりうる長さに対して、前記絶縁面と前記光子線の放出点との間の距離は充分に長い。従ってiは、一つの電子放出素子の絶縁面上の全ての場所で実質的に同一であると考えることができる。iによって縁面の電位は変化する。
今、初期状態としてi=0において、絶縁面の電位が絶縁面上のいたるところで0であるとする。この場合において、iの増加によって生じる絶縁面の電位の変化について考える。
絶縁面の表面抵抗率をRsとすると、Rsは一つの電子放出素子の絶縁面上の全ての場所で実質的に同一である。
図5は、絶縁面上の電位について説明する図である。図5(a)は、絶縁面の形状が円形である場合の図であり、絶縁面31の周囲が導電部材32で囲まれる場合を示す図である。この形状においては、絶縁面31の円の中心における電位が最大となり、その電位Vは以下の式(3)で表される。
V=(Rs×i×L2)/4 (3)
図5(b)は、絶縁面の形状が、一定の幅で無限遠方まで続く形状である場合の図であり、絶縁面31が、ある一定の幅で無限遠方まで導電部材32で挟まれる場合を示す図である。この形態においては、上記幅の中点の集合による直線上の電位が最大となり、その電位は以下の式(4)で表される。
V=(Rs×i×L2)/2 (4)
次に、あるLにおいてとりうる、あらゆる絶縁面の形状の集合において、その各々の形状におけるVを考える。この時、Vの最大値は図5(b)で示される形状において得られ、Vの最小値は図5(a)で示される形状において得られる。従って、周囲が導電部材で囲まれる任意の形状の絶縁面上の任意の点における電位の集合の内の最大の電位Vは、以下の式(5)で表される。
(Rs×i×L2)/4≦V≦(Rs×i×L2)/2 (5)
上記任意の形状の絶縁面とは、平面だけでなく曲面でもよい。後述するように、iは絶縁面へのX線の入射角度θに依存せず、ただ、X線放出点と絶縁面との距離rにのみ依存する。電子放出素子を用いたディスプレイの一般的な構造においては、リアプレート上における一つの電子放出素子中の絶縁面が占める領域中の長さは、前記絶縁面とX線放出点との距離と比較すると非常に短い。従って、一つの電子放出素子における絶縁面における全ての点において、上記rは一様とみなせる。
従って、一つの電子放出素子中の絶縁面においては、X線の入射角度が90°以上、即ち、絶縁面に対し裏側から入射するような入射角度にならない限り、どんな曲面であっても、iは一様(定数)であると考えることができる。
尚、Vは必ずしも絶縁面上の点の集合内の、その点から導電部材までの最短距離がLである点の集合内の全ての点においてとられる電位ではなく、前記Lである点の集合内の一部においてとられる電位である場合もある。
リアプレート上における一つの電子放出素子中の絶縁面における、上記任意の形状とは、導電部材によって複数の領域に分断されている形状も含まれる。そのような形状の絶縁面においては、分断された各々の領域において、前記各々の領域に対応するLのより大きいLが全体の絶縁面におけるLとなる。
上記式(5)において、絶縁面の形状に由来する物理量はLのみである。即ち、絶縁面の電位Vは、Lによって上式(5)の範囲内で特徴づけられる。
従って、Lの値を制御することによって、絶縁面の電位Vを、上式(5)の範囲内で制御でき、絶縁面と導電部材の間の電位差を制御できる。その結果、絶縁面と導電部材の間で起こる、電子放出素子を劣化させる放電を抑えることができる。
本発明の効果を示すために、図1に示すリアプレートを作製した。画像表示装置の駆動特性とLの関係を見出すために、図1におけるL1の値を、L1=10μm、15μm、20μm、40μm、57.5μmの5種類の形態例を用意した。また、図1におけるL2、L3においては、いずれの形態例も、L2=10μm、L3=652.5μmとした。また、図1における、L2は、L2≦L1を満たす。
また、行方向配線1に覆われていない、絶縁層2の露出した絶縁面において、行方向配線1と、電極5、電極6、列方向配線4によって挟まれる、絶縁面上に沿った間隔は、L1、L2よりも非常に短い。また、絶縁層2は、行方向配線1と列方向配線4を上下方向に絶縁するため膜厚を持っているが、該膜厚はL1、L2よりも非常に薄い。従って、L1の半分が、この形態例の絶縁面のLに相当する。即ち、この形態例におけるLは、L=L1/2である。
尚、図1における、絶縁面21の領域と、絶縁面22の領域は、絶縁層2の表面を介して、つながっているため、上記2つの領域は、導電部材によって分断されてはいない。従って、図1における絶縁面の電位VはL1に依存する。また、L3は、L1と比較して10倍以上長い。従って、リアプレートの絶縁面の電位Vは、図5(b)に示す形状の絶縁面の電位として近似的に扱えると考えられる。
以上のように、絶縁面に照射される光子線によって定まる絶縁面の電位は、iとRsとLとによって定まる。その中で、絶縁面の形状に由来する量はLのみであり、与えられたi及びRsに対してLを定めることで、絶縁面の電位Vを制御することができる。
しかしながら、絶縁面の形状によっては、画像表示装置の駆動中において、下記のような影響を考慮しなければならない場合がある。
画像表示装置の駆動中においては、電極5と電極6との間には、駆動電圧Vfが印加され、アノード13にはアノード電圧Vaが印加される。
上記駆動電圧Vf及びアノード電圧Vaは、画像表示装置内において、空間電位分布を形成する。
一つの電子放出素子内の絶縁面が、上記空間電位分布における電位の空間的な変化を無視できない形状を持つ場合には、絶縁面の電位Vは、必ずしもiとRsとLのみによって定まらない。この場合には、上記、絶縁面に照射される光子線によって定まる、絶縁面上の各点における電位と、駆動電圧Vfとアノード電圧Vaの印加によって生じる空間電位との和が絶縁面上の電位分布となる。
次にiの定量化について記す。
上記iは、前述したように、光子線の絶縁面への照射による光電効果によって生じる、絶縁面の電荷量の単位面積・時間当たりの変化量である。さらに、上記光子線が、電子放出素子から放出された電子がフェースプレートに入射されることによって発生する、フェースプレートからの光子線であるとする。該光子線の主成分は、フェースプレートを構成する材料に依存する、特性X線である。
前記X線の放出箇所は、複数の電子放出素子の中の、駆動されている各々の電子放出素子のほぼ直上における、フェースプレートの蛍光体などの発光部材が配置された各々の放出電子入射箇所である。
この時、iは、以下の式(6)を満たす。
i=Σ(Φ/(2×π))×δxe×δex×Ie (6)
ここで、
Φ:X線の各放出点から絶縁面への単位面積当たりの立体角
δxe:絶縁面における光子から電子への変換効率
δex:フェースプレートにおける電子から光子への変換効率
Ie:電子放出素子からの放出電流
和は、X線放出箇所の全てについてとる。(2×π)は、平面形状のフェースプレートで仕切られた片側の空間に対する全立体角であり、X線は、その全立体角に対し、実質的に均一に放射されることを示す。即ち、(Φ/(2×π))の因子は、フェースプレート上のX線放出点から放出される全X線量に対する、注目する電子放出素子の絶縁面における単位面積に届くX線量の比を示す。
フェースプレートのδexは以下のように測定することで調べることができる。
フェースプレートと同一の構成を持つ試料を準備し、その試料において蛍光体が配置されている箇所に電子線を入射することで特性X線を放出させる。尚、試料表面と電子放出源との間に加速電圧Vaを印加することで電子線は試料表面に入射される。放出された特性X線を受光器によって受け取ることで、フェースプレートから放出される光子の数のうちの一部をカウントする。受光器の受光部の面積と、受光部とX線放出点の間の距離によって決まる、X線放出点からみた受光部の立体角をωとする。そして、フェースプレートから放出される光子数をNx、受光部が受け取る光子数をnx、フェースプレートに入射される電子数をNeとして、δexは次式(7)で示される。
δex=Nx/Ne=(nx×((2×π)/ω))/Ne (7)
特性X線のエネルギースペクトルは、フェースプレートを構成する材料に特徴づけられるピークを持つ。
発光部材として用いられる蛍光体の構成元素は、Zn、S、Al、Cu、Ag、Y、O、Eu、Ca、Si、N、Ga、Srなどを含む。例えば、蛍光体としては、3原色のP22蛍光体(青:ZnS:Ag、緑:ZnS:CuAl、赤:Y22SiO2:Eu)から構成されていてもよい。
上記元素を組み合わせることによって構成された、様々な蛍光体材料の各々を用いたフェースプレートの箇所に対して電子を入射する。
フェースプレートから放出されたX線のエネルギースペクトルにおいて、アノード13の材料であるAlの、特性X線からの寄与が最も大きい。
δexとVaの関係は、上記元素を組み合わせることによって構成された、様々な蛍光体材料の各々を用いた、フェースプレート上の電子が入射される箇所に対して、ほぼ同一であった。
図6は、この測定における、電子線の加速電圧Vaとδexの関係を示す図である。図6に示されるように、δexはフェースプレートに入射する電子の加速電圧Vaに対して、ほぼ比例していた。
図6に示されるように、
Va=6kVである場合、δex=3.54×10-4であった。
Va=10kVである場合、δex=5.90×10-4であった。
図1に示す、絶縁コート層3及び絶縁層2といった絶縁部材は、実用的には酸化シリコン(典型的にはSiO2)を主成分とする。
δxeは、上記絶縁面へのX線の入射角に依存する。絶縁面のδxeは、以下のようにすることで調べることができる。
画像表示装置の駆動中におけるフェースプレートから発生される光子線のエネルギースペクトルと、略同一のエネルギースペクトルを持つ光子線を、酸化シリコンを主成分とする絶縁部材の表面(絶縁面)に照射し、絶縁面から光電子を放出させる。該絶縁部材は、絶縁部材に電子を供給するための電子供給電極の上に成膜され、その表面近傍には、前記電子供給電極に対して正の電位を持つ光電子捕獲電極を設けておく。絶縁面から放出される光電子は光電子捕獲電極に誘導される。尚、絶縁部材の膜厚は、酸化シリコン中の電子の飛程以下にする。光電子の放出によって生じた絶縁部材中の正の電荷に対して、電子供給電極から供給される電子の個数を測定することにより、絶縁面に照射されたフォトン1個あたりの光電子の発生数、即ち、δxeが測定される。
絶縁面の向きと、絶縁面に入射するX線の光路とのなす角度が0°の場合(絶縁面に垂直にX線を入射した場合)、絶縁部材の表面におけるδxeは1×10-4であった。
電子放出素子の製造工程、画像表示装置の製造工程を経た場合、絶縁部材の表面抵抗率Rsは、実用的な範囲として、1×1016(Ω/□)以上であることが好ましく、1×1019Ω/□以上3×1020Ω/□以下の値であることがより好ましい。尚、本発明における、絶縁部材を構成する材料は、酸化シリコンにのみ限定されるものではない。
また、本発明における、絶縁面の表面抵抗率Rsは、1×1019Ω/□以上3×1020Ω/□以下に、限定されるものではない。電極間、配線間、電極と配線の間のいずれかにおいて、画像表示装置が正常に駆動されるような絶縁が実現されるRsであればよい。
絶縁部材の表面抵抗率Rsは、例えば、以下のようにして測定することができる。
即ち、画像表示装置の製造工程と同様の工程を経た絶縁部材の表面に、その表面の一部が、間隔数μm、長さ数十mmに渡って露出するように、一対の電極を配置した試料を真空容器中に配置する。尚、一対の電極の間隔(一対の電極が対向する幅)及び全長は、1×1019Ω/□以上3×1020Ω/□以下の表面抵抗率Rsが測定できる値であればよい。そして、該試料を真空中300℃で12時間加熱し、絶縁部材の表面上の水分等を取り除いた後、室温に戻し、一対の電極間に電位差を0Vから100Vまで与え、一対の電極間に流れる電流を0.1pAの精度で測定できる電流計によって測定する。
上記測定は、ある電位差を与えた後、数十分程度その電位差を固定し、その後、数十分から数時間程度の間、数秒毎に電流値を読み取って、その平均値をとる。これを、数V毎に繰り返すことにより、電位差と電流値の関係を得ることができる。
上記測定における上記時間は、充分な測定精度を得るために必要であるが、その時間については、真空容器や試料や電流計などの測定系に依存する。上記測定は、外部の影響に敏感であるので、可能な限り外部の影響を遮断した環境下で行うことが望ましい。
本発明の効果を検証するため、行方向に80個、列方向に80個の電子放出素子を配置した図1,図2の構成の試験画像表示装置を構成し、任意の行に接続する全ての電子放出素子(80個の電子放出素子)を同時に駆動した。
行方向に互いに隣り合った80個の電子放出素子を同時に駆動する理由を、以下に説明する。
行方向に互いに隣り合った80個の電子放出素子を同時駆動する駆動方法においては、各電子放出素子の絶縁面に対して、複数の電子放出素子に対応するX線放出点からのX線の照射が行われる。これにより、1個の素子を駆動する駆動方法と比較して、X線照射による光電子の発生量が増える。
ある電子放出素子の周囲の絶縁面に対するX線の照射による、光電子の発生による単位時間・面積当たりの電荷量iは、前述した式(6)で示される。
ここで示す例では、和(式(6)の右辺)は、各々の駆動される電子放出素子に対応するX線放出点の場所の全てについてとる。前述の80個の電子放出素子の駆動においては、駆動される80個の電子放出素子に対応するX線放出点の場所の全てについて和をとる。
δexとIeは、注目している絶縁面の場所と、各々の駆動される電子放出素子に対応するX線放出点の場所の関係には依存しない量である。
また、本例においては、複数の電子放出素子においてVa及びVfが同一であれば、各々の電子放出素子においてIeはほとんど同一である。δexは上述したように、Vaに略比例するとともに、各々の電子放出素子から放出される電子のフェースプレート上における入射箇所における、フェースプレートを構成する材料の組成に依存する。しかしながら、フェースプレートを構成する材料の組成が、各々の電子放出素子から放出される電子のフェースプレート上における入射箇所において、大きく異なることはない。
また、本例においては、アノード13は画像表示装置内の全ての電子放出素子の直上で一体であるため、各々の電子放出素子とアノード13の間の電位差であるVaは、各々の電子放出素子について同一である。従ってこの場合、Ie、δexは実質的に各々の電子放出素子に依存しない。
従って、式(6)のiは下記式(8)のように書き直すことができる。
i=(δex×Ie/(2×π))Σ(Φ×δxe) (8)
式(8)によれば、iはδexとIeに比例する。また、前述したように、δexはVaに比例する。
複数の駆動方法において、VaとVfが等しい場合においては、前記複数の駆動方法において、δex及びIeが等しい。この場合、Σ(Φ×δxe)によって、注目する電子放出素子の絶縁面における、iの様々な駆動方法における相対関係を見積もることができる。即ち、Σ(Φ×δxe)によって、iの、1個の電子放出素子のみの駆動方法と80個の電子放出素子の駆動方法の相対関係や、画像表示装置中の全電子放出素子の駆動方法との相対関係が分かる。さらには、様々な間隔で配置された複数の電子放出素子を持つ画像表示装置の駆動方法との相関関係が得られる。
今、複数の駆動方法における各々において、Va及びVfが各々で等しい場合を考える。
Σ(Φ×δxe)において、δxeは概算で以下に示す式(9)に従う。
δxe〜R/(4×μ×cosθ) (9)
ここで、Rは電子の飛程であり、μはX線の減衰長であり、θは絶縁面の方向とX線の光路とのなす角である。
図7は上式を説明するための図である。図7(a)は、X線が絶縁面に対し垂直に入射した場合(即ちθ=0)であり、図7(b)は、X線が絶縁面に対し斜入射した場合を示している。式(9)中の「μ×cosθ」は、X線の、絶縁面に対し垂直方向における減衰長に相当する。
一方、X線放出点からの各素子の絶縁面上の単位面積に対する立体角Φは以下に示す式(10)に従う。
Φ=(cosθ/r2) (10)
ここで、rはX線の発生箇所と絶縁面との距離である。
Rとμは、絶縁面の材料に依存するので、画像表示装置の各電子放出素子における絶縁面の物性が実質的に同一である場合、電子放出素子に依存しない。従って、Σ(Φ×δxe)は、Σ1/r2に比例する。
注目する電子放出素子の絶縁面と、駆動される電子放出素子に対応するX線放出点との距離が遠くなると、寄与が1/r2で小さくなる。
ここで説明する例において作製したリアプレートでは、隣合う電子放出素子間の間隔は行方向には205μmである。また、フェースプレートと電子放出素子(絶縁面)の間隔は1.6mmである。
図8は行方向に並べられた80個の電子放出素子を同時に駆動した際における絶縁面上の光電子の発生による単位面積・時間当たりの電荷量iの、1個の電子放出素子の駆動に対する比を、80個の各電子放出素子について示した図である。
図8に示されるように、80個の電子放出素子のうち、中央の電子放出素子はrの短いX線放出点からのX線照射の寄与が大きく、最もX線が照射されるため、iの比が最も大きくなる。
1個の電子放出素子のみを駆動する駆動方法の駆動時における、その電子放出素子の周囲の絶縁面における、光電子の発生による単位面積・時間当たりの電荷量をi1dとする。また、行方向に80個並べられた電子放出素子の駆動時における、80個の各々の駆動される電子放出素子の絶縁面において、光電子の発生による単位面積・時間当たりの電荷量iの、最も大きな絶縁面における値をi80dとする。i80dのi1dに対する比、(i80d/i1d)は、
(i80d/i1d
=(Σ(1/r2))/(1/r2
=(1/(16002)+2/(2052+16002)+2/((2×205)2+16002)+2/((3×205)2+16002)+・・・・・
+2/((39×205)2+16002)+1/((40×205)2+16002))/(1/(16002))
≒21.5
55インチサイズの画像表示装置において、各画素が3つの電子放出素子からなる、総数1920個の画素を行方向に配列し、そのように配列された一行を列方向に1080個配列する。このような構成において、電子放出素子間の間隔が行方向には205μmであり、列方向には615μmであり、フェースプレートと電子放出素子の間隔が1.6mmである場合を考える。
上記55インチサイズの画像表示装置において、全電子放出素子を駆動する場合を考える。全電子放出素子の各々に対応するX線放出点からのX線が、各々の電子放出素子の絶縁面に照射される場合における、全電子放出素子の絶縁面のうち、光電子の発生による単位面積・時間当たりの電荷量の最も大きな値をi55inとする。
この時、i55inは、全てのX線放出点からのX線が遮蔽されなければ、行方向に5760個、列方向に1080個、マトリクス状に配列された電子放出素子のうちの中央に位置する電子放出素子の周辺の絶縁面において与えられる。この時、(i55in/i1d)の値は、行方向についてだけでなく、列方向にも配置される全ての電子放出素子についての和を、上記と同じように計算することで、次のようになる。
(i55in/i1d
=(Σ(1/r2))/(1/r2
=(1/(16002
+2/(2052+16002
+2/((2×205)2+16002)
+・・・・・
+2/((5759×205)2+16002
+1/((5760×205)2+16002

+2(1/(6152+16002
+2/(2052+6152+16002
+2/((2×205)2+6152+16002
+・・・・・
+2/((5759×205)2+6152+16002
+1/((5760×205)2+6152+16002))
+2(1/((2×615)2+16002
+2/(2052+(2×615)2+16002
+2/((2×205)2+(2×615)2+16002
+・・・・・
+2/((5759×205)2+(2×615)2+16002
+1/((5760×205)2+(2×615)2+16002))
+・・・・・
+2(1/((539×615)2+16002
+2/(2052+(539×615)2+16002
+2/((2×205)2+(539×615)2+16002
+・・・・・
+2/((5759×205)2+(539×615)2+16002
+1/((5760×205)2+(539×615)2+16002))
+1/((540×615)2+16002
+2/(2052+(540×615)2+16002
+2/((2×205)2+(540×615)2+16002
+・・・・・
+2/((5759×205)2+(540×615)2+16002
+1/((5760×205)2+(540×615)2+16002))
/(1/(16002))
≒748
即ち、(i55in/i1d)は、次の値をとる。
(i55in/i1d)≒748
しかしながら、実際の画像表示装置においては、画像表示装置の内部が高真空に保持される。そのため、画像表示装置の外部と内部との圧力差によって、リアプレートとフェースプレートの変形或いは破壊が生じる可能性がある。これを防止するために、リアプレートとフェースプレートの間にスペーサを設ける場合がある。そこで、上記55インチサイズの画像表示装置において、行方向の端から端まで伸びた形状(板状)のスペーサを列方向に30列間隔で行方向配線上に配置した場合を考える。
10keVのエネルギーを持つX線が上記スペーサに照射される場合、前記X線のスペーサ内部における減衰長は300μm以下である。Va=10kVで電子放出素子を駆動した場合、電子は、10keV程度のエネルギーを持って、フェースプレートに入射される。その際、10keV以下のエネルギーの領域における、フェースプレートを構成する材料組成に対応した特性X線が放出される。該特性X線は、フェースプレートにおける電子が入射される箇所における材料組成(例えば、アノード、蛍光体、ゲッター)からの特性X線が含まれる。しかしながら、前述したように、フェースプレートから放出されるX線のスペクトルは、アノードの構成材料であるAlの特性X線からの寄与が最も大きくなる。
上記スペーサの列方向の厚さが300μmの場合、即ち、X線減衰長よりも厚い場合においては、X線はスペーサを越えて絶縁面に到達することはできない。よって、注目する電子放出素子の絶縁面の場所と、X線放出点の場所との間にスペーサが配置されている場合、上式の和において、そのX線放出点については和から除外する必要がある。上記、55インチサイズの画像表示装置にスペーサが配置されている場合、上記を考慮すると、i55inは行方向に5760個、列方向に30個、マトリクス状に配列された複数の電子放出素子のうちの中央の電子放出素子の周辺の絶縁面において与えられる。そして(i55in/i1d)の値は次のようになる。
(i55in/i1d)≒317
これは、スペーサの存在によって光電子の発生が減じられることを示している。即ち、スペーサの配置の仕方によって、電子放出素子の絶縁面のX線照射による電位上昇を制御できることを示している。
しかしながら、前述の試験用画像表示装置における行方向に並べられた80個の電子放出素子の駆動においては、板状のスペーサは行方向に延在して配置されているので、80個の素子の間にはスペーサによるX線の遮蔽はない。従って、上記(i80d/i1d)の、スペーサの存在による減少はない。
実際の画像表示装置においては、リアプレート上に配置された配線などが数μmから数十μm程度の高さを持っている場合もあり、それらによってX線放出点と絶縁面の間の光路が遮られる場合がある。この場合においては、注目する絶縁面からより遠いX線放出点からのX線の光路はより遮られやすくなる。これは、リアプレート上の構造体によって、光電子の発生が減じられることを示している。即ち、リアプレート上の構造体の配置の仕方によって、電子放出素子の絶縁面のX線照射による電位上昇を制御できることを示している。このことは、フェースプレート上の構造体についても同様のことが言える。さらに、フェースプレートとリアプレートの間に配置される、主に電子の軌道を制御するための、電極或いは該電極を含む第3の基板についても同様のことが言える。
マトリクス状(行列状)に配列された電子放出素子を備えた画像表示装置を駆動する場合、複数の行方向配線のうちの一つと、その行に接続されている複数の電子放出素子のうち、駆動すべき電子放出素子に接続する列方向配線とに所定の電圧を印加する。これを、順次、全ての行方向配線に対して行うことで1つの画像を表示し、これを繰り返すことにより動画像を表示させることができる。このように、行方向配線を順次選択する駆動方法をスクロール駆動と呼ぶ。スクロール駆動の1周期(即ち1フレーム)は、ある行(典型的には一番上に位置する行)から駆動を開始して、全ての行(典型的には一番下に位置する行)を駆動し終えるまでに要する時間のことをいう。
各電子放出素子では、各電子放出素子を構成する負極(カソード)と正極(ゲート)の間に、電子放出を開始するために必要な電圧(閾電圧)を超える電圧Vfが印加されることによって電子放出される。
今、上記55インチサイズの画像表示装置のスクロール駆動における、あるVa、Vfにおけるiの最大値を求める。そのため、ある行方向配線に電圧が印加された時に、その行方向配線に接続された全ての電子放出素子の、負極と正極の間に電圧Vfが印加される場合を考える。
即ち、スクロール駆動中に、ある行方向配線に電圧が印加される時、その行方向配線に接続される全ての電子放出素子がVfで駆動される場合を考える。この時、各々の電子放出素子の負極と正極の間に印加される電圧波形は矩形波である場合を考える。この時、各々の電子放出素子に印加される電圧の最大値はVf、最小値は列方向配線に印加される電圧となる。
周期的な矩形波において、1周期(1フレーム)に対する1つの電子放出素子から電子が放出されているVfが印加されている期間(選択期間)の比を、デューティー比と呼ぶ。
各電子放出素子からの電子放出量を制御する方法には、Vfによって制御する方法と、Vfは固定し、矩形波においてVfが印加されている時間によって制御する方法、即ち、デューティー比によって制御する方法と、これら2つの方法を併用する方法がある。
Vfを固定する場合、画像表示装置を構成する電子放出素子の絶縁面における、光電子の発生による単位面積・時間当たりの電荷量の最大値は、各電子放出素子においてVfが印加されている時間を可能な限り長くする場合に得られる。
前記55インチサイズの画像表示装置をスクロール駆動する場合において、各電子放出素子においてVfが印加されている時間が最も長い駆動では、スクロール駆動の1周期に対するVfが印加されている時間の比が1対行数、即ち、1対1080の比となる。即ち、この場合、デューティー比1/1080となる。この駆動においては、画像表示装置中のいずれかの1行における全ての電子放出素子が、どの瞬間においても常にVfで駆動されている。この駆動は、画像表示装置における、あるVa、Vfにおける可能な限りの最大輝度で全画素を駆動する場合に対応する。
本例の効果を示すための、前述した試験用画像表示装置における任意の行に接続する全ての電子放出素子(80個)を同時に駆動する駆動方法における、iの時間平均を上記55インチサイズの画像表示装置における上記駆動のiの時間平均と比較する。
この場合、Va、Ie、デューティー比を、考慮する必要がある。
iの時間平均は、以下に示す式(11)で与えられる。
iの時間平均=(δex×Ie×D/(2×π))Σ(Φ×δxe) (11)
上式(11)中のDは、デューティー比である。前述したように、δexはVaにほぼ比例する。上記55インチサイズの画像表示装置において、アノード電圧Vaとして10kVを印加し、各電子放出素子のIeが4.5μAであり、一行の全電子放出素子をスクロール駆動で、デューティー比1/1080で駆動する場合を考える。Σ(Φ×δxe)における、上記駆動の1個の電子放出素子の駆動に対する比は、前述したようにおよそ317である。
上記試験用画像表示装置においては、Vaとして6kVを印加する。その場合において、Vfを印加した場合のIeは2.3μAであった。さらに、デューティー比は1/10とする。Σ(Φ×δxe)における、上記駆動の1個の電子放出素子の駆動に対する比は、前述したようにおよそ21.5である。
試験用画像表示装置のiの時間平均をiav、55インチサイズの画像表示装置のiの時間平均をiav55inとすると、iavのiav55inに対する比(iav/iav55in)は以下のようになる。
(iav/iav55in
≒(6/10)×(2.3/4.5)×((1/10)/(1/1080))×(21.5/317)
≒2.25
即ち、55インチの装置を最大輝度で全画素駆動する際の、絶縁面の単位面積・時間当たりの電荷量の最大値よりも2倍以上の大きな電荷量を、上記試験用画像表示装置における80個の素子の駆動においては生じせしめることができる。
実際の画像表示装置における駆動においては、全ての駆動時間において最大輝度で全画素を駆動することはなく、所望の画像を表示させるために適度に抑えられた輝度において各々の電子放出素子を駆動する。従って、実際の光電子の発生による単位面積・時間当たりの電荷量は、大抵は、上記iav55inよりも非常に小さくなると考えられ、実際の(iav/iav55in)は上記値よりも大きくなると考えられる。よって、上記iavを得る、上記試験用画像表示装置における80個の電子放出素子の駆動は、X線の絶縁面への照射による絶縁面の電位上昇を、実際よりも非常に厳しい環境下で試験される駆動方法といえる。
画像表示装置の将来を鑑みれば、より高精細のFEDが開発されることが期待される。
FEDがより高精細になる場合、リアプレート上に配置される電子放出素子の単位面積当たりの個数はより大きくなる。その場合、Σ(Φ×δxe)がより大きくなる。その場合において、蛍光体材料によっては良好な表示特性を得るために必要なIe、Vaが低く抑えられる可能性もある。しかしながら、Ie、Va、D、δexを固定した場合には、Σ(Φ×δxe)が大きくなる分だけiは大きくなると予想される。そのような予想があるために、上記試験用画像表示装置の駆動におけるiをより大きくした条件である、より絶縁面の電位が上昇しやすい厳しい条件下において、電子放出素子の劣化或いは表示特性の異常の有無を確認することが望ましい。
電極6とアノード13の間にアノード電圧Va=6kVを印加し、電極6と電極5の間に周期T=10ms、電圧印加時間P=1msの矩形波で、振幅(駆動電圧)Vf=16.8Vを印加する。この矩形波をパルスと呼ぶことにし、矩形波の1周期分が電子放出素子に入力される時、パルス1個分が入力される、と言うことにする。駆動時において、間隙8から放出される電子による電流をIf、そのうちアノード13に流れる電子による電流をIeとする。この時、効率ηを次式とする。
η=Ie/If
表面抵抗率Rsの絶縁面において電荷が生じることによる絶縁面の電位分布は、画像表示装置内の空間の電位分布とそれによって決まる電子軌道に影響を与える。また、電子軌道はηに影響を与え、絶縁面の電位における最大電位Vによってηは変化していく。
上記試験用画像表示装置においては、図1に示すL1として、L1=10μm、15μm、20μm、40μm、57.5μmとした電子放出素子を作製した。
図9は、電子軌道計算による(η−ηV=0)/ηV=0とVの関係を示す図である。該電子軌道計算は、前述の試験用画像表示装置の駆動と同等のモデル下において、表面抵抗率Rsの絶縁面の各点において、一様にiが与えられた場合において計算される。即ち、該場合において形成される、表面上の電流分布による電位分布と、該電位分布を境界条件とした該装置内における空間中の電位分布と、該電位分布における電子放出部から放出される電子の軌道を計算したものである。
図9においては、L1=10μm、15μm、20μm、40μm、57.5μmの各電子放出素子における計算結果が示されている。図9において、ηV=0とは、V=0のときのηを意味する。従って縦軸(η−ηV=0)/ηV=0はηのVに対する変化率を示す。これを効率変化率と呼ぶことにする。
駆動中における画像表示装置内の絶縁面の電位を測定する方法として、IeとIfを測定することによりηを求め、図9に示すηとVの関係から絶縁面の電位Vを導く方法を用いることができる。
図10は、試験画像表示装置を駆動した際のηの振る舞いの測定結果を示す図である。図10においては、L1=10μm、15μm、20μm、40μm、57.5μmの各電子放出素子における測定結果が示されている。
図10において、nは電子放出素子の電極(正極)5と電極(負極)6の間に印加される電位差Vfを持つ矩形波のパルスの入力数、即ち、パルス数である。図10には、nの増加、即ち、パルス数の増加に伴って(η−ηV=0)/ηV=0が増大していく様子が示されている。
If及びIeは、パルスを入力して、電子放出素子を駆動することにより、測定される。
n=1、即ち、最初の入力パルスにおけるIeはおよそ2.3μAであり、Ifはおよそ0.6mAであった。これは、複数の電子放出素子の全てにおいて、だいたい同じであった。
n=1000、即ち、入力パルス数が1000発の時には、L1=57.5μmの電子放出素子においては(η−ηV=0)/ηV=0は0.3であり、L1=10μmの電子放出素子においては(η−ηV=0)/ηV=0は0.05であった。
n>1000における(η−ηV=0)/ηV=0においては、いずれのL1の電子放出素子においても、n=1000における(η−ηV=0)/ηV=0から殆ど変化はなかった。
図9に示す電子軌道計算の結果を用いた場合、図10におけるn≧1000での絶縁面の最大電位Vは、
L1=57.5μmの電子放出素子においては、350Vであり、
L1=40μmの電子放出素子においては、230Vであり、
L1=20μmの電子放出素子においては、65Vであり、
L1=15μmの電子放出素子においては、35Vであり、
L1=10μmの電子放出素子においては、30Vであった。
L1が増大すると絶縁面の電位が増大するものの、上記各々の電子放出素子においても、24時間の駆動において電子放出素子を劣化する程度の放電は生じなかった。
しかしながら、前述したように、負極と絶縁面の電位差ΔVがΔV=VE1を超える時、電子の絶縁面への入射によって生ずる二次電子放出によって、負極と絶縁面の電位差はΔV=VE2まで上昇する。しかしながら、これは、絶縁面に入射する電子として負極から放出された放出電子のみに限定して考えた場合の結論である。実際には、絶縁面に入射する電子として、絶縁面から放出された二次電子も含まれる場合がある。二次電子が絶縁面から放出された時点における二次電子のエネルギーは数eVである。
絶縁面の周囲に導電部材があり、その導電部材の電位によっては絶縁面の電位上昇が形成する電場分布は、例えアノードに電圧Vaが印加されていても、絶縁面から放出された二次電子を絶縁面に引き戻すように二次電子に働きかける場合がある。この場合において、絶縁面のある場所から放出され、絶縁面のある場所に入射する二次電子の前記入射時のエネルギーは、絶縁面上の電位分布と、前記放出の場所と前記入射の場所の関係によっては極めて小さい場合がある。
その場合においては、絶縁面に入射する二次電子による二次電子放出係数は1未満となる。従って、絶縁面に入射する二次電子は、絶縁面に負電荷を生じさせることにより絶縁面の電位を低下させるように働く。
このような絶縁面の電位を低下させる効果は、絶縁面と電極、或いは、絶縁面と配線の間の電位差を放電が発生する電位差にまでに高めさせないように働くと考えられる。
実際には、アノード電圧Vaの印加時において、絶縁面の周囲に配置される導電部材に印加される電子放出素子の駆動のための電位よりも、絶縁面の電位Vが大きくなる場合に、絶縁面とアノードの間において電位分布の谷が生じる。これにより、絶縁面から放出された二次電子が絶縁面に戻りやすい電界分布となる。さらに、その電界分布は、絶縁面の電位Vが大きくなればなるほど、より二次電子が絶縁面に戻りやすい電界分布となる。
このことは、絶縁面の周囲に配置される導電部材に印加される電子放出素子の駆動のための電位と絶縁面の電位、アノードの電位との相対関係を適当に選択することによって、絶縁面から放出される二次電子の向かってゆく方向を制御できることを意味している。
上記をまとめると、負極から絶縁面に入射される電子の二次電子放出係数が1以上となる絶縁面の電位の領域おいて、その絶縁面の電位が比較的低い場合には、絶縁面から放出される二次電子は絶縁面にトラップされずにアノードに向かってゆく。即ち、負極と絶縁面の電位差ΔVがΔV>VE1である領域である。その結果、絶縁面には正の電荷が残ることにより、絶縁面の電位を上昇させるように働く。しかしながら、上記の絶縁面の電位の上昇が進むと、絶縁面から放出される二次電子が絶縁面にトラップされるような電界分布が絶縁面近傍の空間に形成される。その結果、二次電子は絶縁面に戻って、絶縁面の正の電荷を打ち消すことにより、絶縁面の電位を低下させるように働く。
このようにして、二次電子放出による電位の上昇と低下を伴う電位変化が、X線による電位上昇で定まる電位の近傍で生じていると考えられる。
このような二次電子放出による電位の上昇と低下を伴う電位変化の存在は、電子放出素子の駆動を不安定にする要因になりうる可能性を生じせしめるおそれがあり、望ましくはない。例え上記のように、二次電子放出による電位の上昇と低下を伴う電位変化がX線による電位上昇で定まる電位の近傍で生じており、電位を上昇させ続けて電子放出素子が劣化する程度の大きさの放電を生じさせないとしても、である。
従って、絶縁面の電位VにおけるX線による電位上昇は、負極と絶縁面の電位差がΔV=VE1より低く抑えられることが望ましい。
前述したように、絶縁コート層3は好ましくはSiO2を主成分とする。SiO2のVE1におけるE1は、非特許文献1によると44eVである。前述した試験用画像表示装置における駆動において、負極には−8.4Vが印加されている。電子が上記負極の電位から放出した時点で該電子のエネルギーが0であるとすれば、該電子が絶縁面に到達した時に持つエネルギーがE1=44eVであるためには、絶縁面の電位Vは、
44[V]−8.4[V]=35.6[V]
である。
従って、ΔV<VE1であるためにはV<35.6[V]でなければならない。
前記試験用画像表示装置における駆動において、L1が15μm以下の電子放出素子においては、絶縁面の電位が35Vに抑えられている。従って、ΔV<VE1を満たしており、本発明の画像表示装置としては、前記試験用画像表示装置におけるL1がL1≦15μmであることが最も望ましい。
しかしながら、24時間の駆動において、試験用画像表示装置におけるいずれのL1の電子放出素子においても、実際に電子放出素子が劣化する程度の大きな放電が生じなかった。よって、係る実験事実の観点から鑑みれば、L1>15μmの電子放出素子においても実用できる可能性は充分にあると考えられる。
一方、試験用画像表示装置のL1=57.5μmの素子では、初期のηから30%程度もηが変動している上、図10に示すように、ηの上昇過程においてL1=40μm以下の電子放出素子には見られないηの上昇の急激な加速が見られることが分かっている。
電子放出素子を画像表示装置に用いる場合、このようなηの上昇の急激な加速は輝度の急激な加速を引き起こすため、視覚的に不快感をもたらす可能性があり、例え、電子放出素子が劣化する程度の大きさの放電が生じないとしても、実用的には望ましくない。よって、試験用画像表示装置におけるL1=57.5μmの電子放出素子は、本発明の画像表示装置としては望ましいものではない。
従って、本発明の画像表示装置としては、前記試験用画像表示装置においてL1≦40μmであることが望ましい。
上記、試験用画像表示装置を用いた駆動における、図10に示されるn≧1000のL1とVの関係は、前述の、図5(b)に示す絶縁面の形状におけるLとVの関係である次式の関係式に、ほぼ従っている。
V=(Rs×i×L2)/2
L=L1/2
ここで、上式のiは下式で示されるiの時間平均である。
iの時間平均
=(δex×Ie×D/(2×π))Σ(Φ×δxe)
=(δex×Ie×D/(2×π))(i80d/i1d)(Ω×δxe)1d
≒1.1×10-20[A/μm2
上記iの時間平均は、前述したように、実際の画像表示装置の駆動で生じるiの時間平均と比較すると非常に大きいと考えられ、X線の絶縁面への照射による絶縁面の電位上昇がより容易な状況であると言える。
上式内のそれぞれの物理量は、試験用画像表示装置における前述した値をとる。
上式の(Φ×δxe)1dは1個の電子放出素子の駆動における、その電子放出素子の絶縁面におけるΦとδxeの積である。
(Φ×δxe)1dにおけるΦは、リアプレートとフェースプレートの間の距離が1.6mmであることから次の値である。
Φ=cos(0)/r2≒3.91×10-7[sr/μm2
(Φ×δxe)1dにおけるδxeは、絶縁面の向きと、絶縁面に入射するX線の光路とのなす角度が0°の場合のδxeであり、それは前述したように次の値である。
δxe=1×10-4
また、Va=6kVであるので、
δex=3.54×10-4であり、
D=1/10であり、
Ie=2.3μAであり、
(i80d/i1d)≒21.5であり、
Rsは、1×1019Ω/□乃至3×1020Ω/□である。
上記のことは、図10におけるn≧1000のL1とVの関係を決定づけている、絶縁面の電位上昇はX線による電位上昇が主要因であること、を示している。
前述したように、負極と絶縁面の電位差ΔVはVE1より低く抑えられることが望ましい。従って、負極の電位をVneとする時、
(Rs×i×L2)/2−Vne<VE1
となるように、RsとiとLが定められることが望ましい。
前述したように、試験用画像表示装置における、図1のL1とL3の大小関係については、L3がL1の10倍以上である。従って、試験用画像表示装置における絶縁面の形状の駆動中に形成する電位が、図5(b)に示す形状の駆動中に形成する電位と近似的に同一であると考えられることから、上記試験用画像表示装置の駆動の結果を表現するために上式が用いられる。
前述したように、任意の形状の絶縁面において、Vは、次式に従う。
(Rs×i×L2)/4≦V≦(Rs×i×L2)/2
任意の形状の絶縁面において、
最もVが低くなるのは、図5(a)に示すような円形の絶縁面であり、
最もVが高くなるのは、図5(b)に示すような形状の絶縁面であり、
それによって、上式のVの下限と上限が定まる。
従って、任意の形状の絶縁面において、負極と絶縁面の電位差がΔV<VE1であるためには、
(Rs×i×L2)/2−Vne<VE1
が成立するような、RsとiとLであれば最もよいが、絶縁面の形状によっては、上記RsとiとLとに課せられる条件は緩くなる。円形の絶縁面の形状における条件が最も緩い条件であり、RsとiとLは、
(Rs×i×L2)/4−Vne<VE1
まで、とりうる値が許される。
以下は最も厳しい条件である下式について考える。
(Rs×i×L2)/2−Vne<VE1
上式におけるi、即ち電子放出素子の絶縁面において単位面積・時間当たりの光電子の発生による電荷量においては、δxeを除くと、Ie、δexやデューティー比Dといった、絶縁面の形状或いは材料に依存しない物理量が含まれている。それらの物理量は、画像表示装置において良好な表示特性を得るために必要とされるVaや、フェースプレートを構成する材料や、駆動方法に依存しており、絶縁面の形状或いは材料には依存しない。従って、良好な表示特性を得るための絶縁面の形状を定める際にはiを固定して考えることにする。
iとしては、前述の試験用画像表示装置における80個の電子放出素子の駆動におけるiとする場合を考える。このiは、前述したように、実際の55インチサイズの画像表示装置における、最大輝度で全画素を駆動する駆動におけるiを上回っており、絶縁面がより電位上昇しやすい。従って、このiを用いて絶縁面の形状を定める時、上式において、絶縁面の抵抗がRsである時のLに課せられる条件は現実より厳しいものとなる。
絶縁面の部材としてSiO2である場合を考えて、E1=44eVであることを考慮する。また、上記値は、絶縁面への入射電子の入射角度に対して最も高い値であり、実際には様々な入射角度の入射電子が考えられる。また、負極に印加する電圧は、マイナス数Vからマイナス数十V程度の電圧が印加される場合がある。
上記を考慮して、上式は、概算として、次のように書き直すことが妥当である。
(Rs×i×L2)/2<10[V]
この時、iの時間平均=1.1×10-20[A/μm2]とすると、
Rs×L2<1.8×1021[Ω×μm2
電子放出素子の絶縁面の表面抵抗率がRsである場合、上式のLによって絶縁面の形状が定められると、X線の絶縁面の照射による絶縁面の電位上昇は、絶縁面上の電荷の移動によって、VE1より小さく抑えられる。従って、上式のような、Lによって電子放出素子の絶縁面の形状が定められることによって、絶縁面上に抵抗膜などを成膜すること無く、絶縁面の電位上昇を抑え、電子放出素子を劣化させる放電を抑止することができる。
しかしながら、前述したように、前述の試験用画像表示装置における80個の電子放出素子の駆動においては、L1=40μmの電子放出素子においても、電子放出素子を劣化させる程度の大きさの放電は生じず、画像表示装置として実用できる可能性がある。L1=40μmにおける電子放出素子の絶縁面の電位は、前述したように、前述の試験用画像表示装置における80個の電子放出素子の駆動において、230Vまで上昇している。従って、230V以下の絶縁面の電位においては、画像表示装置として実用できる可能性が実験的に示されているといえる。
この時、上式のRsに対してLに課せられる制限は、次式のように緩められる。
(Rs×i×L2)/2<230[V]
この時、iの時間平均=1.1×10-20[A/μm2]とすると、
Rs×L2<4.2×1022[Ω×μm2
尚、ここまで、Lの定義は、絶縁面上の点と導電部材との最短距離の、全ての絶縁面上の点についての集合における最大値であるとした。該最大値に対応する絶縁面上の点以外の絶縁面上の点については、導電部材との最短距離がLより小さくなる。従って、Lを絶縁面上の任意の点と導電部材との最短距離として定義し直した場合、絶縁面上の全ての点について上式が成り立つ。従って、簡単のため、Lを絶縁面上の点と導電部材とを結ぶ最短距離と定義し直した場合、絶縁面上の全ての点について上式を満たす、という条件が付加される。
〔実施例1〕
本例においては、図11に平面模式図を示すフェースプレートと、図2に示す画像表示装置のフェースプレートとを組み合わせて画像表示装置を作製した。
図11中、101はスペーサであり、図1と同じ部材には同じ符号を付した。尚、図11では記載の便宜上、行数3、列数3のマトリクスとなっているが、実際には、電子放出素子を行数5760、列数1080のマトリクスに配置した。また、スペーサ101は、マトリクスの行方向の一端から一端へ伸びた形状で、1行目、31行目、61行目、91行目、・・・・・、1021行目、1051行目、1080行目の行方向配線1上に配置した。各電子放出素子の配置の間隔は、列方向には615μm、行方向には205μmである。
本例において、絶縁コート層3は、SiO2からなり、その表面抵抗率Rsはおよそ4×1019(Ω/□)である。フェースプレート側の基板12は厚さ2.8mmのガラスである。また、アノード13はAlからなる。
蛍光体14は、3原色のP22蛍光体(青:ZnS:Ag、緑:ZnS:CuAl、赤:Y22SiO2:Eu)から構成され、遮光層15は、カーボンを含有する黒色の樹脂材料からなるブラックマトリクスである。ゲッター16はTiとBaからなる。
また、フェースプレートとリアプレートの間の距離は1.6mmである。
本例における画像表示装置は、図3−1乃至図3−3に沿った工程で作製した。
絶縁コート層3は、SiO2からなり、スパッタリングによって形成した。次いで、該絶縁コート層3上に、密着層として膜厚約5nmのチタンが配置され、その上に膜厚約20nmの白金をスパッタリング法によって形成した。その後、リソグラフィ法でパターニングしてドライエッチングすることによって、電極5,6を形成した〔図3−1(a)〕。
次に、列方向配線4を銀ペーストを用いてスクリーン印刷法で印刷し焼成することによって、電極5上に形成した〔図3−1(b)〕。絶縁層2はSiO2からなり、スパッタリングによって形成した。該絶縁層2には、その上に配置される行方向配線1が電極6に電気的に接続されるように、開口部2aが設けられている〔図3−2(c)〕。行方向配線1は銀ペーストを用いてスクリーン印刷法で印刷し、420℃で焼成することによって形成した〔図3−2(d)、(e)〕。尚、図3−2(e)は図3−2(d)中のA−A’断面図である。
導電性膜7a,7bは、Pd錯体溶液を電極5,6に接触する形状で、インクジェット方式により塗布し、空気中で塗布膜を焼成することによって形成した。この時、導電性膜は酸化パラジウムを主成分とするPdO膜となっており、こうして形成されたPdO膜の直径の、複数の電子放出素子における平均は66.3μmであった。
次に、以下のようにPdO膜にフォーミング処理を行った。
行方向配線1と列方向配線4に電圧を印加するための取り出し電極を残して、後述の真空外囲器の封止を行い、該電子放出素子の全てにおける雰囲気を若干の水素を含む真空雰囲気とした。この雰囲気下で行方向配線1と列方向配線4に電圧を印加することによってPdO膜を還元してPd膜とした。
フォーミング処理に用いた波形は三角波で、波高を0.1Vステップ程度ずつ増加させた。この処理によって、Pd膜の一部に間隙8を形成し、該間隙8を介して配置する導電性膜7a,7bを形成した〔図3−3〕。
次に、上記フォーミング処理後の電子放出素子の全てを、トルニトリルを含む雰囲気に晒した状態で、行方向配線1と列方向配線4に電圧を印加することによって、間隙8近傍にカーボンを堆積させた(活性化処理)。
こうして作製されたリアプレートに対して、図1,図2に示すように、1.6mmの間隔をあけて、フェースプレートを支持枠9とスペーサ11を介して配置した。
フェースプレート側の基板12、支持枠9、リアプレート側基板11の接合部にフリットガラスを塗布し、大気中で焼成することにより、画像表示装置内部を封着した。
画像表示装置内部は、不図示の排気管を通じて真空ポンプによって排気した後、該排気管を溶着し、画像表示装置の封止を行った。
図11に示される、一つの電子放出素子における絶縁面の形状を定める長さである、L4、L5、L6は、以下の値をとる。
L4=10μm
L5=40μm
L6=145μm
本例におけるLは、L=L6/2=20μmである。
この時、
Rs×L2=1.6×1022[Ω×μm2
であるため、
Rs×L2<4.2×1022[Ω×μm2
を満たしている。
本例における画像表示装置を下記条件で駆動した。
Va=10kV
Vf=16.8V
D=1/1080
駆動は、スクロール駆動にて行い、常時いずれかの一行中の全ての電子放出素子が駆動されている状態とした。これは、上記画像表示装置における駆動方法において、絶縁面上における単位面積・時間当たりの光電子発生量の最大値を与える駆動方法である。
リアプレートにおけるδxeは、δxe=1×10-4であり、
フェースプレートにおけるδexは、δex=5.90×10-4であり、
Ie=4.5μAであった。
この場合におけるiは、下記のように計算できる。尚、本例の装置の駆動時の、行方向の電子放出素子の絶縁面において、光電子の発生による単位面積・時間当たりの電荷の変化量iの、最も大きな絶縁面における値をiex1とする。
i=(δex×Ie×D/(2×π))Σ(Φ×δxe)
=(δex×Ie×D/(2×π))(iex1/i1d)(Φ×δxe)1d
≒4.9×10-21[A/μm2
上式において、下記2式を用いた。
(iex1/i1d)=317
(Φ×δxe)1d=3.91×10-7[sr/μm2]×1×10-4
=3.91×10-11[sr/μm2
本例においては、上記のような、絶縁面上における、光電子の発生による単位面積・時間当たりの電荷量iが駆動中に与えられている。上記駆動中において、絶縁面上の最大の電位Vは下記値まで上昇していると見積もられる。
V=(Rs×i×L2)/2≒39(V)
上記駆動中においては、電子放出素子の劣化、及び、輝度の急激な変化といった視覚的な不快感を与える表示特性は見られなかった。
〔実施例2〕
本例では、図12に示す電子放出素子が1個のリアプレートを作製した。図12において(a)は平面模式図、(b)は(a)のA−A’断面模式図である。図中、121は電極(負極)であり、122は電極(正極)であり、123は電子放出部であって、カーボンナノチューブの集合体からなる。124は電極(電極121と同電位)であり、125は絶縁性の基板であり、126は絶縁層である。
絶縁性の基板125はSiO2を主成分とする基板であり、絶縁層126はSiO2からなる。絶縁性の基板125及び絶縁層126における表面抵抗率Rsは、およそ4×1019(Ω/□)である。
以下に本例のリアプレートの製造方法を簡単に述べる。
絶縁性の基板125上にTiNを100nmスパッタリング後、メタルマスクによってホール構造の底に位置する場所に、カーボンナノチューブの触媒金属として平均で10nm厚のCoを成膜した。その後、前記TiNをフォトリソグラフィ技術によってパターニングし、ドライエッチングにより電極111を形成した。
その後、プラズマCVDにより厚さ3μmのSiO2を成膜し、さらに厚さ100nmのTiNをスパッタリング成膜し、フォトリソグラフィ技術によってパターニングし、ドライエッチングとウェットエッチングにより絶縁層126と電極122を形成した。
その後、熱CVDにより、前記触媒金属からカーボンナノチューブ123を形成した。該熱CVDは、室温にて、炉内を1×10-5Paまで排気した後、窒素で2%まで希釈された水素ガスによって、大気圧まで炉内を満たした後、350℃まで昇温させ、その後、窒素で1%まで希釈されたエチレンガスを、3時間、炉内に流入させ続けた。
上記の工程により、電子放出素子が1個のリアプレートを作製し、実施例1と同様の構成のフェースプレートを対向配置させた。リアプレートとフェースプレートとの間隔は1.6mmとし、リアプレートとフェースプレートとの間の雰囲気は1×10-6Pa以下に保った。
上記のようにして構成した、カーボンナノチューブを用いたFEDにおいて、電極(負極)121と電極(正極)122との間にVfを印加し、電極(負極)121とアノード(不図示)との間にVaを印加することによって駆動した。Vaは10kV、Vfは10Vとした。また、駆動は、10msの周期に対する1msのパルス幅で行った。従って、デューティーDは1/10である。
この時、カーボンナノチューブからアノードへの電流IeはIe≒30μAであった。
また、リアプレートにおけるδxeは、δxe=1×10-4であり、
フェースプレートにおけるδexは、δex=5.90×10-4であった。
また、本例では電子放出素子は一つのみであるので、
Σ(Φ×δxe)=(Φ×δxe)1d
≒3.91×10-11[sr/μm2
である。
この時、iは次式のように見積もられる。
i=(δex×Ie×D/(2×π))Σ(Φ×δxe)
≒1.0×10-20[A/μm2
本例の電子放出素子において、図12におけるL7及びL8は、
L7=60μm
L8=3μm
である。
L7で定められる形状の絶縁面と、L8で定められる形状の絶縁面は、電極(負極)121で分離されている。この場合L7>L8であるので、この電子放出素子の絶縁面のLはL7によって定まり、下式となる。
L=L7/2=30μm
Rsは前記したように、4×1019[Ω/□]である。従って、
Rs×L2=3.6×1022[Ω×μm2
であるため、
Rs×L2<4.2×1022[Ω×μm2
を満たしている。
また、この時の絶縁面の電位は、
V=(Rs×i×L2)/2≒185(V)
と見積もられる。
上記駆動中においては、電子放出素子の劣化、及び、輝度の急激な変化といった視覚的な不快感を与える表示特性は見られなかった。
本発明の画像表示装置の一例のリアプレートの構成を示す平面模式図である。 本発明の画像表示装置の一例の断面模式図である。 図1のリアプレートの製造工程を示す平面模式図である。 図1のリアプレートの製造工程を示す平面模式図である。 図1のリアプレートの製造工程を示す平面模式図である。 本発明に係る絶縁面の二次電子放出係数δと、絶縁面に到達する入射電子のエネルギーEとの関係を示す図である。 本発明において、絶縁面の形状と電位との関係を説明するための図である。 本発明に係る試験画像表示装置における、電子線の加速電圧Vaと、フェースプレートにおける、電子から光子への変換効率δexとの関係を示す図である。 本発明において、フェースプレートから放射されたX線がリアプレートの絶縁面に入射した際のX線の入射角と減衰長との関係を示す図である。 本発明に係る試験画像表示装置におけるi80d/i1dを示す図である。 本発明に係る電子軌道計算による(η−ηV=0)/ηV=0とVの関係を示す図である。 本発明に係る試験画像表示装置を駆動した際のηの振る舞いの測定結果を示す図である。 本発明の実施例1のリアプレートの平面模式図である。 本発明の実施例2のリアプレートの模式図である。 従来のFEDからなる画像表示装置のリアプレートの模式図である。
符号の説明
1 行方向配線
2 絶縁層
3 絶縁コート層
4 列方向配線
5,6 電極
7a,7b 導電性膜
8 間隙
9 支持枠
10 基体
11 基板
12 透明基板
13 メタルバック(アノード)
14 蛍光体
15 遮光層
16 ゲッター

Claims (3)

  1. 表面が絶縁性の基板と、該基板上に形成された電子放出素子と、該電子放出素子に接続された配線とを有する第1基板と、
    前記電子放出素子と対向するアノードと該電子放出素子から放出された電子の照射によって発光する発光部材とを有し、上記第1基板に対して対向配置された第2基板と、
    を備えた画像表示装置であって、
    前記基板の表面の露出面及び基板上に設けられた絶縁部材の露出面の任意の点から、基板上の導電部材までの最短距離L[μm]と、上記任意の点の表面抵抗率Rs[Ω/□]とが、下記式(1)を満たすことを特徴とする画像表示装置。
    Rs×L2<4.2×1022[Ω×μm2] (1)
  2. 前記LとRsとが、下記式(2)を満たす請求項1に記載の画像表示装置。
    Rs×L2<1.8×1021[Ω×μm2] (2)
  3. 前記第1基板の絶縁性の表面が酸化ケイ素を主成分とし、表面抵抗率が1×1016Ω/□以上である請求項1又は2に記載の画像表示装置。
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