JP2010070635A - 多孔フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多孔フィルムの孔のサイズや配列ピッチの変更を簡単に行う方法を提供する。
【解決手段】ポリマ及び疎水性溶剤を含む塗布液を支持体12上に塗布し塗布膜35aを形成する。第1ゾーン61にて、塗布膜35aの表面温度をTsとしたときに、Tsよりも高い第1露点Td1となる雰囲気下に、前記塗布膜35aをおく高加湿処理工程を行う。これに続けて、塗布膜35aの表面温度Tsよりも高く且つ第1露点Td1よりも低い第2露点Td2となる雰囲気下に、塗布膜35aをおく低加湿処理工程を行う。これらの処理により塗布膜35aに結露により微小水滴60を形成する。この後、塗布膜35aを乾燥し、微小水滴60を鋳型とする複数の孔を形成し、多孔フィルム10とする。短時間の高加湿処理に続けて低加湿処理を行うことで、微小水滴60の成長を止めることができ、微小な孔からなる多孔フィルムが得られる。
【選択図】図5

Description

本発明は、多孔フィルムの製造方法に関するものである。
今日、光学分野や電子分野では、集積度の向上や情報量の高密度化、画像情報の高精細化といった要求がますます大きくなっている。そのため、それら分野に用いられるフィルムに対しては、より微細な構造をもつことが強く求められている。また、微細構造をもつフィルムは、医療分野等でも求められている。医療分野で求められるフィルムとしては、細胞培養の場となるフィルムや、血液ろ過膜、癒着防止膜として利用するフィルムがある。
微細構造をもつフィルムとしては、μmレベルの微細な孔が多数形成されたハニカム構造を有するフィルム(多孔フィルム)がある。このような多孔フィルムを製造する方法としては、所定のポリマが溶剤に溶けている溶液を支持体に塗布し、その溶剤を蒸発させると同時に、塗布された液の表面で結露させ、結露により生じた微小な水滴を蒸発させる方法がある(例えば、特許文献1、2参照)。このような方法で製造されるフィルムは、微細構造の形成挙動から自己組織化膜とも言われる。
特開2006−070254号公報 特開2001−157574号公報
従来、多孔構造の鋳型となる液滴(主に水滴)の供給は、加湿風による結露現象を利用していた。この結露は自然現象であるため、積極的な制御が困難であり、しかも均一に結露を生じさせるために微妙な温度制御が必要であり、改善が望まれていた。また、所望の径の孔を形成する場合や、孔の配列ピッチなどを変更することは、膨大な実験を行って条件出しをする必要があり、簡単に孔のサイズや配列ピッチを変更することが困難であった。
そこで、本発明は、孔のサイズや配列ピッチを簡単に変更することができるようにした多孔フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の多孔フィルムの製造方法は、ポリマ及び疎水性溶剤を含む塗布液を支持体上に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記塗布膜の表面温度をTsとしたときに、前記Tsよりも高い第1露点Td1(Td1>Ts)となる雰囲気下に、前記塗布膜をおく高加湿処理工程、この高加湿処理工程に続けて、前記塗布膜の表面温度Tsよりも高く且つ前記第1露点Td1よりも低い第2露点Td2(Td1>Td2>Ts)となる雰囲気下に、前記塗布膜をおく低加湿処理工程からなる結露工程と、前記結露工程を経た塗布膜を乾燥し、前記水滴を鋳型とする複数の孔を形成して多孔フィルムとする乾燥工程とを有することを特徴とする。
本発明は、前記第1露点Td1及び前記第2露点Td2の関係が(Td1−Td2)>1℃以上であることを特徴とする。また、本発明は、前記高加湿処理工程における前記塗布膜の滞留時間をt1、前記低加湿処理工程における前記塗布膜の滞留時間をt2としたときに、t1<t2であることを特徴とする。
前記高加湿処理工程における前記塗布膜の滞留時間t1が0.1秒以上60秒以下であることを特徴とする。また、前記塗布膜のウェット膜厚が500μm以下であることを特徴とする。また、前記塗布液の粘度が1×10−4Pa・s以上1×10−1Pa・s以下であることを特徴とする。
本発明によれば、微小な孔からなる多孔フィルムの孔のサイズ及び配列ピッチを簡単に変更することができる。
図1に示すように、本発明の多孔フィルム10は、多数の孔15が形成された多孔層11と、この多孔層11を支持する支持体12とを備える。孔15は、本実施形態では、独立した孔となっているが、これは各孔15が連通したものであってもよい。図2に示すように、孔15の形状は略円形とされ、これら孔15が密に形成されることにより、全体がハニカム状になっている。
多孔層11に形成される孔15は図1に示すように、膜厚方向に貫通した孔となっているが、これは、図3(A)に示すように浅い孔(窪み)16や、図3(B)に示す貫通していない深い孔17であってもよい。これら孔15〜17は、後に詳しく説明するように、水滴の形成工程を制御することにより、多孔層11,18,19に形成される。例えば、水滴の成長を早期に止めて水滴の乾燥を早めると浅い孔16が得られ、水滴を成長させて乾燥を遅らせると、孔がそれに応じて深くなり、深い孔17や貫通孔15が得られる。また、図3(C)に示すように、多孔層11及び支持体12の間に、内部層13を形成してもよい。なお、図3に示す多孔フィルム20,21,22において、図1と同一構成部材には同一符号が付してある。
多孔層11は、第1ポリマを含む第1塗布液35(図4参照)により形成される。支持体12及び内部層13は、本発明では必須の構成要件ではなく、必要に応じて設けられる。例えば、図1,図3(A)、(B)に示すような、多孔層11、支持体12の2層構造や、図3(C)に示すような多孔層11、内部層13、支持体12の3層構造の他に、製膜段階や使用段階において、支持体12や内部層13は省略してもよく、また、支持体12や内部層13から多孔層11を剥離してもよく、この場合には、多孔層11のみや、多孔層11と内部層13の2層構造となる。
内部層13は支持体12付きの多孔層11の場合に望ましい形態であり、また、支持体12から剥離して多孔層11と内部層13との2層構造とする場合にも多孔層11を支持し保護する機能を有するため、有効である。この内部層13は第1ポリマと同じ材質であっても異なる材質であってもよい。内部層13を多孔層11と同じ材質とすることにより、多孔フィルムの厚みを大きくして、自己支持性を持たせることができる。また、内部層13を第1ポリマと異なる材質とする場合には、第1塗布液35に対して、溶解性はあっても無くてもよい。なお、内部層13は1層に限られず、必要に応じて多層化してもよい。この内部層13は、例えば第2ポリマを含む第2塗布液を塗布することにより形成される。
支持体12は製膜時には必要であり、この他に、製品形態時において、多孔層11が自己支持性を備えている場合を除き、必要である。この支持体12は、製膜時からの支持体を最終形態時にも用いてもよく、または、製膜時には専用の支持体(製膜時支持体)を用いてもよい。製膜時支持体としては、連続製造時には、ステンレス製のエンドレスバンドやドラム、その他のポリマ製フィルムが用いられる。また、カットシートタイプを用いた製造時にはステンレス製やガラス製、さらにはポリマ製の板材が用いられる。これら板材の場合にも、製膜時のみならず、そのまま製品時支持体として用いてもよい。
多孔層11は、疎水性の高分子化合物と両親媒性の化合物とからなる。これにより、後述の製造方法において水滴をより均一な形状及び大きさに形成することができる。内部層13は、高分子化合物であることが特に好ましいが、必ずしも高分子化合物でなくてもよく、例えば、モノマー、オリゴマー等の各種有機化合物や、TiO等の無機化合物であってもよい。
なお、支持体12を高分子化合物からなるフィルムから構成することにより、多孔フィルム10として可撓性が有り、ガラス上に多孔層が設けられた多孔材料とは異なり、フィルム単体でも取り扱い性に優れ、かつ、使用時における形状の自由度があるという効果がある。使用時における形状の自由度があるとは、平面状態、湾曲状態、所定形状に裁断した状態などの各種態様が容易にとれることを意味する。これにより、傷口を保護するための傷口保護膜や経皮吸収剤、癒着防止膜等に用いることができる。
第1ポリマとともに多孔層11に用いる両親媒性の化合物は、(親水基の数):(疎水基の数)は0.1:9.9〜4.5:5.5であることがより好ましい。これにより、より細かな水滴をより密に、第1塗布膜の上に形成することができる。上記親水基の比率が上がると、(親水基の数):(疎水基の数)の比が上記範囲よりも小さい場合には、多孔層に形成される孔の大きさが大きくばらつき、すなわち不均一になることがある。この不均一さの程度は、具体的には、{(孔の径の標準偏差)/(孔の平均値)}×100で求める孔径変動係数(単位;%)が10%以上である。また、(親水基の数):(疎水基の数)の比が上記範囲よりも大きい場合には、孔の配列が不規則となる傾向がある。
なお、両親媒性の化合物として、互いに異なる2種以上の化合物を用いることができる。2種類以上の化合物を用いることにより、後述する製造方法において、水滴の大きさと水滴を形成する位置とをより精度よく、制御することができる。また、多孔層11の高分子化合物成分として、複数の化合物を用いることにより、同様の効果を得ることができる。
第1ポリマ及び第2ポリマとして好ましい例は、ビニル重合ポリマ(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロペン、ポリビニルエーテル、ポリビニルカルバゾール、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等)、ポリラクトン(例えばポリカプロラクトンなど)、セルロースアセテート、ポリアミド又はポリイミド(例えば、ナイロンやポリアミド酸など)、ポリウレタン、ポリウレア、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアロマティックス、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリシロキサン誘導体等である。
なお、第2ポリマの代わりに内部層13として、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸ナトリウム等を用いてもよい。この場合には、傷口保護膜や経皮吸収剤に多孔フィルム10を用いる場合であっても毒性がなく、かつ支持体12のもつフレキシビリティを内部層13によって損なうことがなく、多孔フィルム10が取り扱い性と使用時における形状の自由度とに優れるものとなる。
支持体として用いるポリマは、第1ポリマとして好ましい上記の化合物を挙げることができるが、支持体12を厚くしてかつフレキシビリティを多孔フィルム10にもたせる観点からは、例えば、セルロースアセテート、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリブタジエン等が挙げられる。これらを用いることにより、支持体12を厚くしてもコストが抑えられるとともに、また、破れにくく使用時における形状の自由度のある多孔フィルム10となる。
第1塗布液35の溶媒となる溶剤は、疎水性かつ高分子化合物を溶解させるものであれば、特に限定されない。例としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼン、四塩化炭素、1−ブロモプロパンなど)、シクロヘキサン、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。これらのうち複数の化合物が溶媒として併用されてもよい。また、これらの化合物の単体又は混合物に、アルコールやケトン、エーテル類等の親水性溶剤を20%以下程度の少量添加されたものを用いてもよい。
また、環境に対する影響を最小限に抑えることを目的に、ジクロロメタンを使用しない場合には、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル、1−ブロモプロパン等の臭素系炭化水素等が好ましく用いられる。これらは、互いに混合して用いられてもよい。例えば、酢酸メチル、アセトン、エタノール、n−ブタノールの混合有機溶媒が挙げられる。これらのエーテル、ケトン、エステル及びアルコールは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン、エステル及びアルコールの官能基(すなわち、−O−,−CO−,−COO−及び−OH)のいずれかを2つ以上有する化合物も、溶媒として用いることができる。
溶剤として互いに異なる2種以上の化合物を用い、その割合を適宜変更することにより、後述の水滴の形成速度、及び後述の塗布膜への水滴の入り込みの深さ等を制御することができる。
第1塗布液35については、有機溶剤100重量部に対し第1ポリマが0.02重量部以上30重量部以下とすることが好ましい。これにより、生産性良く高品質の多孔層11を形成することができる。有機溶剤100重量部に対し第1ポリマが0.02重量部未満であると、溶液における溶媒割合が大きすぎて蒸発に要する時間が長くなるので、多孔フィルム10の生産性が悪くなり、一方、30重量%を超えると、結露で発生した水滴が塗布膜を構成する第1塗布液35を変形させることができず、そのため不均一な凹凸が形成された多孔層11になってしまうことがある。
図4に示すように、本発明を実施した多孔フィルム製造装置30は、支持体送出部31、塗布室32、及び製品カット部33から構成されている。支持体送出部31は、支持体ロール34から支持体12を引き出して、これを塗布室32に送る。塗布室32は、支持体12の上に第1塗布液35を塗布して乾燥させることにより、多孔フィルム10を製造する。製品カット部33は、得られた多孔フィルム10を所定のサイズに切断し、中間製品とする。この中間製品に対し各種加工を施すことで、最終製品が得られる。
支持体送出部31、製品カット部33は、連続的に大量に多孔フィルム10を製造する場合に用いられるものであり、製造規模に応じて適宜省略してもよい。また、少量生産の場合には、支持体ロール34を用いる代わりに、支持体12がシート状に切断されたカットシートを用いてもよい。
塗布室32は、支持体走行方向の上流側から順に、第1室41、第2室42、第3室43、及び第4室44に区画されている。第1室41には、塗布ダイ51が設けられている。塗布ダイ51は、支持体12の上に第1塗布液35を塗布し、塗布膜35a(図5参照)を形成する。この塗布膜35aのウェット厚みは、500μm以下であり、好ましくは10μm以上450μm以下であり、より好ましくは50μm以上400μm以下である。このように、塗布膜35aのウェット膜厚を小さくするときには、乾燥までの時間が短いため、支持体を乾燥することで結露制御を行うことは困難となり、以下に説明するような雰囲気露点制御によって、ウェット膜厚を維持しながら、水滴の形成を行うことができる。また、塗布液の粘度は、1×10−4Pa・s以上1×10−1Pa・s以下であり、好ましくは3×10−4Pa・s以上5×10−3Pa・s以下であり、特に好ましくは、5×10−4Pa・s以上1×10−3Pa・s以下である。後に説明するように、結露時間が短いため、微小水滴を塗布膜中に浸漬させるためには、塗布液の粘度が低いことが必要である。
第2室42には、第1〜第3の加湿風供給ユニット52〜54が支持体12の送り方向に順に設けられている。第1加湿風供給ユニット52による加湿風の供給によって、図5に示すように、第1塗布液35の塗布膜35aの表面に対し、高加湿雰囲気の第1ゾーン61が形成される。また、第2加湿風供給ユニット53による加湿風の供給によって、図5に示すように、塗布膜35aの表面に対し、第1ゾーン61よりも露点温度が低い低加湿雰囲気の第2ゾーン62が形成される。また、第3加湿風供給ユニット54による加湿風の供給によって、図5に示すように、塗布膜35aの表面に対し、第2ゾーン62と同じ露点または少し異なる露点とした第3ゾーン63が形成される。
これら各加湿風供給ユニット52〜54からの加湿風の露点や風速を制御することで、第1ゾーン61では微小水滴60の形成が迅速に行われ、第2ゾーン62では第1ゾーン61で形成した微小水滴60をあまり成長させることなく最密に配列させることができ、第3ゾーン63では第2ゾーン62で水滴60の直径やその配列ピッチの調節が不充分な場合に露点及び風速が調節された加湿風を送ることで、再調節する。これら第1〜第3加湿風供給ユニット52〜54の配置個数は、1個に限られず、それぞれ複数個配置してもよい。また、第3加湿風供給ユニット54による第3ゾーン63は、厳密な再調節を必要としない場合には省略してもよい。
図4に示すように、第1加湿風供給ユニット52は、送風口52a及び吸気口52bを有するダクト52cと送風部52dとを備える。送風部52dは、送風口52aから送り出す加湿空気の温度、露点、湿度を制御し、吸気口52bから塗布膜の周辺気体を吸排気し、循環させる。また、送風部52dには加湿空気の塵埃を除去するフィルタが設けられている。他の第2及び第3加湿風供給ユニット53,54も同様に構成されており、送風口及び吸気口を有するダクト53c,54cと送風部53d,54dとを備える。
第1加湿風供給ユニット52の送風部52dによる送風及び吸気により、図5に示すように、支持体12の塗布膜35aの表面に高加湿空気56が供給され、塗布膜35aの表面に結露が生じる。この結露によって、例えばμmオーダーの直径を有する極めて小さな水滴60が塗布膜35a上に多数個形成される。第1加湿風供給ユニット52による加湿風の供給によって、塗布膜35aに対して、高加湿雰囲気の第1ゾーン61が形成される。この第1ゾーン61を塗布膜35aが通過する時間(滞留時間)t1は、所望とする孔径に応じて決定される。この第1ゾーン61の塗布膜の滞留時間t1は、例えば0.1秒以上60秒以下であり、好ましくは1秒以上50秒以下であり、より好ましくは5秒以上40秒以下である。
また、第1ゾーン61における雰囲気露点をTd1、塗布膜の表面温度をTsとしたときに、Td1−Tsで求められる値ΔT1を0より大きい値とする。好ましくは、ΔT1は5℃以上30℃以下である。このようにΔT1を大きい値に設定することにより、高加湿風を塗布膜35aに供給することができ、塗膜の表面を十分結露させることができる。
第2ゾーン62における雰囲気露点をTd2、塗布膜の表面温度をTsとしたときに、Td2−Tsで求められる値ΔT2を0より大きい値とする。好ましくは、ΔT2は5℃以上30℃以下であり、且つΔT1よりも少なくとも1℃以上小さい値に設定する。このようにΔT2をΔT1よりも小さくすることにより、第1ゾーン61で形成された微小な水滴60を微小なままで成長を抑えつつ配列規則性を向上させて最密配列することができる。
また、第1ゾーン61の雰囲気露点Td1と第2ゾーン62の雰囲気露点Td2との差ΔT12(=(Td1−Td2))は、1℃以上であり、より好ましくは、3℃以上である。また、第2ゾーン62の塗布膜の通過時間(滞留時間)t2は、例えば60秒以上1000秒以下であり、好ましくは100秒以上600秒以下である。そして、t1<t2とされる。このように、第1ゾーン61の通過時間t1よりも第2ゾーン62の通過時間t2を長く設定することで、第1ゾーン61で形成された微小な水滴60を微小なままで成長を抑えつつ配列規則性を向上させて最密配列することができる。また、第2ゾーン62の雰囲気露点Td2と第3ゾーン63の雰囲気露点Td3との差ΔT23(=(Td2−Td3))は、より大きな値であり、より好ましくは、1℃以上10℃以下である。このように、多段化することで生産性と規則性を両立することができる。
第3室43では、第1溶剤を蒸発させる。このため、第1〜第3送風吸引ユニット71〜73が配置されている。これら第1〜第3送風吸引ユニット71〜73は、第1加湿風供給ユニット52と同様に構成されており、送風口及び吸気口を有するダクト71c,72c,73cと送風部71d,72d,73dとを備える。送風部71d〜73dは、送風口から送り出す乾燥風の温度、湿度を制御し、吸気口から塗布膜の周辺気体を吸排気し、循環させる。これにより、第3室43では、塗布膜中の第1溶剤を蒸発させて、微小水滴60による鋳型を形成する。
第4室44には、第1〜第4送風吸引ユニット83〜86が設けられており、微小水滴60の蒸発が行われる。この蒸発により塗布膜内に微小な孔が多数形成されて、多孔フィルム10が得られる。第1〜第4送風吸引ユニット83〜86は、送風吸引ユニット71〜73と同様に構成されており、詳細な説明は省略する。
以上のように第1室41〜第4室44を支持体12が通過することで、支持体12上に多孔層11が形成される。先ず、第1室41で塗布膜35aが支持体12上に塗布される。次に、図5に示すように、第2室42の第1ゾーン61で、塗布膜35aに対して結露が形成される。結露はその後、第2室42の第2ゾーン62及び第3ゾーン63で成長が抑制されて微小水滴60となり、この微小水滴60が密に配列された最密状態になる。第3室43では、この最密状態の微小水滴60が形成された塗布膜35aから溶剤を乾燥することで、微小水滴60による鋳型が形成される。そして、第4室44で、微小水滴60を溶剤とともに蒸発させて乾燥させることにより、微小水滴を鋳型とした多数の孔15が形成される。なお、図5において、微小水滴60を図示する必要から、水滴60、塗布膜35aなどは誇大に表示してある。
各ユニット52〜54,71〜73,83〜86から送り出す空気の風速は、支持体12の移動速度に応じて、設定することが好ましい。例えば、支持体12の走行速度との相対速度が0.02m/秒以上〜2m/秒以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.05m/秒以上〜1.5m/秒以下の範囲であり、最も好ましくは0.1m/秒以上〜0.5m/秒以下の範囲である。前記相対速度が0.02m/秒未満であると、水滴が最密に配列して形成されないうちに、塗布膜が第4室44に導入されてしまうことがある。一方、前記相対速度が2m/秒を超えると、塗布膜の露出面が乱れたり、結露が充分に進行しなかったりするおそれがある。支持体12の移動速度は、例えば10mm/分以上10000mm/分以下であり、好ましくは20mm/分以上2000mm/分以下である。
各室41〜44内には、適宜ピッチで複数のローラ90が設けられている。ローラ90は主要なもののみ図示し、その他は省略している。このローラ90は、駆動ローラとフリーローラとから構成されている。駆動ローラが適宜ピッチで配置されることにより、各室41〜44内で支持体12が一定速度で搬送される。また、各ローラ90は、図示しない温度コントローラにより各室毎に温度制御されており、塗布膜乾燥、結露、水滴成長、孔形成などの各工程が最適条件で行われる。また、各ローラ90の間で、支持体に近接して塗布面とは反対側に、図示しない温度制御板が配置されている。温度制御板は、支持体の温度が所定の温度になるように温度制御されている。
塗布室32の各室41〜44には図示しない溶剤回収装置が設けられており、各室41〜44内の溶剤を回収する。回収した溶剤は、図示しない再生装置で再生されて再利用される。
次に、本実施形態の作用を説明する。図4に示すように、第1室41では、塗布ダイ51から第1塗布液35が流延されて、図5に示すように支持体12の上に第1塗布液35からなる塗布膜35aが形成される。乾燥される前の塗布膜35aの厚み(ウェット膜厚)は、0.01mm以上1mm以下の範囲の所定厚みとされる。なお、塗布膜の厚みが0.01mm以上1mm以下の範囲であっても、厚みが変動していると、均一な水滴を形成することができない場合がある。また、塗布膜厚が0.01mm未満であると、塗布膜自体を均一に形成することができず、支持体12の上で第1塗布液35が部分的にはじかれて支持体12を塗布膜で覆うことができなくなることがある。一方、塗布膜が1mmを越えると、乾燥に要する時間が長くなり生産効率が低下する場合がある。
第2室42における結露工程では、第1ゾーン61において、加湿風供給ユニット52の送風口52aから塗布膜に向けて、加湿空気56が送られる。また、吸気口52bから塗布膜35aの周辺気体が吸われて排気される。ここで、送風口52aからの加湿風の露点をTd1、塗布膜の表面温度をTs、Td1−Tsで求められる値をΔT1とするときに、ΔT1が3℃以上30℃以下となるように、表面温度Tsと露点Td1との少なくとも一方が制御される。塗布膜の表面温度Tsは、例えば、市販される赤外式温度計等の非接触式温度測定手段を塗布膜の走行路の近傍に設けて測定することができる。なお、ΔT1が3℃未満であると、微小水滴が発生しにくくなる。また、ΔT1が30℃を越えると水滴が急激に発生してしまい、微小水滴の大きさが不均一になったり、微小水滴が2次元、つまり平面に並ばずに3次元に重なってしまったりすることがある。
第1ゾーン61を塗布膜35aの表面が所定の短時間t1で通過することで、結露により形成される微小水滴は直径が例えば50nmから5μm程度の小さなものとなる。したがって、この微小水滴を鋳型として第3室43による溶剤乾燥工程、及び第4室44による水滴乾燥工程で塗布膜面を乾燥させることにより、孔径が50nm以上5μm以下の微小な孔からなる多孔フィルムが得られる。
第2室42において、塗布膜35aの表面が第1ゾーン61から第2ゾーン62に移動することで、ΔT1が支持体走行方向において、大きな値から小さい値に変化する。図6はこの状態を説明するために、横軸に塗布膜の厚み、縦軸に微小水滴の径を取って、雰囲気露点Tdから塗布膜表面温度Tsを引いたΔTを変化させたときのグラフを示している。曲線C1は、第1ゾーン61における高加湿処理でそのまま微小水滴60を形成するときの塗布膜厚みと微小水滴径との関係を示しており、曲線C2は第2ゾーン62における低加湿処理でそのまま微小水滴60を形成するときの塗布膜厚みと微小水滴との関係を示している。曲線C3は、第1ゾーン61における高加湿処理で微小水滴60を短時間で形成した後に、これに続いて第2ゾーン62の低加湿処理で、微小水滴60の発生を抑制した場合ときの本実施形態における塗布膜厚みと微小水滴との関係を示している。
本実施形態では、曲線C1の下部とこれに交差する曲線C3となるため、微小水滴60を早期に形成した後、この微小水滴60の成長を止めることができるため、従来のものに比較して微小水滴60の形成を容易に行うことができる。また、第1ゾーン61と第2ゾーン62との切替タイミングを適宜変更することで、微小水滴径を適宜設定することができる。また、第2ゾーン62及び第3ゾーン63の低加湿風の供給時間及び雰囲気露点を制御することで、形成した微小水滴60の密度を変えることができる。これにより、従来製法よりも、微小な水滴を均一にしかも所望の密度で形成することができる。
第2室42では、塗布膜の表面温度Tsは、ローラ90の温度を調節することにより調節されるが、これに代えて又は加えて、支持体12に対向して塗布面とは反対側で支持体12に近接して配された温度制御板(図示なし)を用いて塗布膜の表面温度Tsを制御してもよい。また、露点Tdは、加湿風供給ユニット52〜54から出される加湿空気の条件を変えることにより、制御される。
第3室43では、3つの送風吸引ユニット71〜73により、第2室42で結露により形成された水滴を維持した状態で、塗布膜35aの溶剤が乾燥される。なお、送風吸引ユニット71〜73の数は3個に限定されず、1以上であればよい。送風吸引ユニット71〜73は、加湿風供給ユニット52と同じものとしているが、これに限定されない。この送風吸引ユニット71〜73では、例えば送風温度を25℃とし、風速を0.3m/sとして、塗布膜中の微小水滴を維持した状態で塗布膜内の溶媒を蒸発させて、塗布膜の乾燥を促進する。
第4室44では、4つの送風吸引ユニット83〜86を用いて、表面温度Tsまたは露点Tdのいずれか一方を制御し、表面温度Tsが露点Tdよりも高くなるようにする。表面温度Tsの制御は、温度制御板によりなされる。また、露点Tdの制御は送風口からの乾燥空気の条件制御によりなされる。表面温度Tsは上記と同様な温度測定手段を塗布膜の近傍に設けて測定する。表面温度Tsを露点Tdよりも高く設定することにより、水滴の成長を止めて蒸発させ、均一な孔をもつ多孔フィルムを製造することができる。なお、Ts≦Td1とすると、水滴の上にさらに結露して、形成された多孔構造を破壊してしまうことがあり、好ましくない。
第4室44では、水滴の蒸発を主たる目的としているが、第4室44に至るまでに蒸発しきれなかった溶媒も蒸発させる。
第4室44における水滴の蒸発工程では、送風吸引ユニット83〜86に代えて減圧乾燥装置や、いわゆる2Dノズルを用いてもよい。減圧乾燥を行うことで、溶媒と水滴との蒸発速度をそれぞれ調整することが容易になる。これにより、有機溶媒の蒸発と水滴の蒸発とをより良好にし、水滴を良好に塗布膜の内部に形成することができるので、前記水滴が存在する位置に、大きさ、形状が制御された孔を形成することができる。2Dノズルとは、風を出す送風ノズル部材と、塗布膜近傍の空気を吸い込んで排気する排気口が支持体走行方向に複数交互に配置されたものである。
第1塗布液35の支持体12への各塗布の方法としては、静置した支持体上に各塗布液を載せて塗り広げる方法と、インクジェット塗布ユニットにより塗布する方法と、走行する支持体上に塗布液を塗布ダイから流出する方法と、その他の塗布方法例えばディップ塗布方法などがあり、本発明ではいずれの方法も用いることができる。塗り広げる方法やインクジェット塗布方法は少ない生産量で多品種つくる場合、すなわち少量多品種生産の場合に一般には適する。また、塗布ダイやディップ塗布を用いる方法は大量生産に一般には適する。いずれの方法でも、連続的に塗布液を流出すると長尺の多孔フィルムが得られ、断続的に塗布液を塗布すると、所定長さの多孔フィルムが得られる。
図4に示すような帯状の連続した支持体12を用いる代わりに、カットシート状の支持体を用いる場合には、連続支持体と同様に支持体を第1室41から第4室44へと順次移動させることにより多孔フィルムが得られる。また、カットシート状の支持体を用いる場合には、塗布室を一つとして、この塗布室内で、多孔層用の第1塗布液の塗布、少なくとも第1ゾーン及び第2ゾーンを有する結露処理、乾燥処理を行ってもよい。
[実施例1]
次に本発明の実施例について説明する。実施例1では、図4に示すような多孔フィルム製造装置30において、結露工程を3つの加湿風供給ユニット52〜54を用いて、それぞれ雰囲気露点及び加湿風の風速を変えた3つのゾーン61〜63で微小水滴60を形成した。支持体としてはPETフィルムを用い、塗布液としては、以下のものを用い、塗布膜厚を300μとして塗布した。平均分子量20万のポリスチレンと化1に示す両親媒性ポリアクリルアミドとを、10:1の重量比で混合して高分子溶液の溶質とした。溶媒にはジクロロメタンを用いた。高分子化合物の濃度が0.2重量%となるように第1塗布液35を調製した。塗布液35はタンクにて、略15℃になるように保持した。使用する支持体温度は、ペルチェユニットにより、表面温度が10℃になるように設定した。
Figure 2010070635
先ず、第1ゾーン61において第1加湿風供給ユニット52にて、雰囲気露点Td1が22℃で風速が0.1m/sとなるように、各種パラメータを変化させた。この第1ゾーン61における塗布膜の滞留時間t1は5秒とした。次に、第2ゾーン62において、第2加湿風供給ユニット53にて、雰囲気露点Td2が14℃で風速が0.1m/sとなるように、各種パラメータを変化させた。第2ゾーン62における塗布膜35aの滞留時間t2は35秒とした。最後に、第3ゾーン63において、第3加湿風供給ユニット54を用いて、雰囲気露点Td3が12℃で風速が0.3m/sとなるように、各種パラメータを変化させた。また、第3ゾーン63における塗布膜35aの滞留時間t3は95秒とした。また、第1ゾーン61と第2ゾーン62との雰囲気露点の温度差ΔT12は8℃とした。
このときの各ゾーンにおける露点条件、滞留時間の一覧表を表1に示す。このようにして、第1ゾーン61において短期間で塗布膜35aの表面に結露させ、次の第2ゾーン62で結露した微小水滴60の成長を抑制し、その水滴径を維持した状態で各微小水滴60を最密に配列し、次の第3ゾーン63で最終的な調整を行うことで、所望とする孔径で所望とするピッチで微小水滴を配列することができる。最終的には平均孔径が0.8μmの孔を有する多孔フィルムが得られた。実施例1は平均孔径が0.8μmの微小な孔を形成することができ、しかも、孔径均一性が高く、ムラも観察されないため、評価は「◎」となった。
[実施例2]
実施例2では、第1ゾーン61での雰囲気露点Td1を22℃、滞留時間t1を10秒、第2ゾーン62での雰囲気露点Td2を12℃、滞留時間t2を130秒とし、それ以外の条件は実施例1と同様にし、実施例1に対して第3ゾーン63を省略した実施例である。このような2段階での露点制御であっても、平均孔径が1.2μmの孔を有する多孔フィルムが得られた。得られた多孔フィルムは孔径均一性が高くムラも観察されなかったが、平均孔径が実施例1の0.8μmに比べて大きいため、評価は「〇」となった。
[実施例3]
実施例3では、第1ゾーン61での雰囲気露点Td1を19℃、滞留時間t1を65秒、第2ゾーン62での雰囲気露点Td2を17℃、滞留時間t2を35秒、第3ゾーン63での雰囲気露点Td3を16℃、滞留時間t3を40秒とし、Tsを15℃、ΔT12を2℃、ΔT2を2℃とし、それ以外の条件は実施例1と同様にした。この実施例3では、平均孔径が2.5μmの孔を有する多孔フィルムが得られた。実施例3のように、高加湿である第1ゾーン61の滞留時間t1が60秒を超えた65秒と長い場合であっても、低加湿である第2ゾーン62,63での滞留時間が75(=t2+t3)秒と高加湿ゾーンの滞留時間t1よりも長くなるため、2.5μm程度の微小な平均孔径を有する多孔フィルムが得られた。なお、この実施例3による多孔フィルムでは孔径がやや不均一となり、弱いむらが観察されたため、実用上は問題がないが、孔径不均一・弱いムラがあるということで評価は「△」となった。
[実施例4]
実施例4では、第1ゾーン61での雰囲気露点Td1を18℃、滞留時間t1を15秒、第2ゾーン62での雰囲気露点Td2を17℃、滞留時間t2を60秒、第3ゾーン63は無しとし、塗布膜厚を200μm、Tsを15℃、ΔT12を1℃、ΔT2を2℃とした以外の条件は実施例1と同様にした。この実施例4では、平均孔径が1.0μmの孔を有する多孔フィルムが得られた。実施例4のように、高加湿である第1ゾーン61と低加湿である第2ゾーン62との雰囲気露点Td1,Td2の温度差ΔT12が下限値の1℃であっても、平均孔径が1.0μmの多孔フィルムが得られ、しかも、孔径均一性が高くムラもないフィルムが得られたが、実施例1の平均孔径0.8μmに比べて、孔径が大きくなった分だけ評価は「〇」となった。
[比較例1]
第1ゾーンの露点Td1を22℃、滞留時間t1を140秒とし、実施例1での低加湿な第2ゾーン及び第3ゾーンを省略した以外は実施例1と同じ条件とした。得られた多孔フィルムの平均孔径は3.5μmであり、所望とする3μm以下の孔が得られない点、孔径が不均一となり、シワや欠陥が観察された点で、評価は「×」となった。このように、高加湿の第1ゾーンのみでは、孔の微細化が困難であることが判る。
[比較例2]
第1ゾーンの露点Td1を18℃、滞留時間t1を5秒、第2ゾーンの露点Td2を23℃、滞留時間t2を135℃、第1ゾーンと第2ゾーンとの雰囲気露点の温度差ΔT12が−5℃とし、実施例1での第3ゾーンを省略した以外は実施例1と同じ条件とした。得られた多孔フィルムの平均孔径は12μmであり、所望とする3μm以下の孔が得られない点、孔径が不均一となり、シワや欠陥が観察された点で、評価は「×」となった。このように、高加湿の第1ゾーンに対し低加湿の第2ゾーンとは逆パターンの結露処理では、孔の微細化が困難であることが判る。
以上の実施例1〜4、比較例1,2の温度条件、滞留時間、平均孔径、評価をまとめたものを下記表1に示す。
Figure 2010070635
本発明に係る多孔フィルムを拡大して示す断面図である。 多孔フィルムを拡大して示す平面図である。 (A)は、孔の深さを浅くした他の実施形態における多孔フィルムの拡大断面図、(B)は、孔の深さをより深くした他の実施形態における多孔フィルムの拡大断面図、(C)は、多孔層と支持体との間に内部層を有する多孔フィルムの拡大断面図である。 多孔フィルム製造設備を示す概略の側面図である。 第2室における結露処理を第1〜第3加湿風供給ユニットを用いて、加湿風の露点温度及び風速を変え、第1〜第3ゾーンに分けて行う場合の各種条件などの説明図である。 塗布膜の厚みと水滴径との関係を示すグラフであり、C1はΔT1を大きくしたときの関係を示し、C2はΔT2を小さくしたときの関係を示し、C3は、ΔT3を第1ゾーンと第2ゾーンとで変化させて水滴径の成長を抑制した本発明の関係を示している。
符号の説明
10,20,21 多孔フィルム
11,18,19 多孔層
15〜17 孔
32 塗布室
35 第1塗布液
35a 塗布膜
41〜43 室
51 塗布ダイ
52a 送風口
52b 給気口
52c ダクト
53d 送風部
51〜53 加湿風供給ユニット
56 加湿空気
61〜63 ゾーン
71〜73 送風吸引ユニット
83〜86 送風吸引ユニット

Claims (5)

  1. ポリマ及び疎水性溶剤を含む塗布液を支持体上に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、
    前記塗布膜の表面温度をTsとしたときに、前記Tsよりも高い第1露点Td1(Td1>Ts)となる雰囲気下に、前記塗布膜をおく高加湿処理工程、この高加湿処理工程に続けて、前記塗布膜の表面温度Tsよりも高く且つ前記第1露点Td1よりも低い第2露点Td2(Td1>Td2>Ts)となる雰囲気下に、前記塗布膜をおく低加湿処理工程からなる結露工程と、
    前記結露工程を経た塗布膜を乾燥し、前記水滴を鋳型とする複数の孔を形成して多孔フィルムとする乾燥工程と
    を有することを特徴とする多孔フィルムの製造方法。
  2. 前記第1露点Td1及び前記第2露点Td2の関係が(Td1−Td2)>1℃以上であることを特徴とする請求項1記載の多孔フィルムの製造方法。
  3. 前記高加湿処理工程における前記塗布膜の滞留時間をt1、前記低加湿処理工程における前記塗布膜の滞留時間をt2としたときに、t1<t2であることを特徴とする請求項2記載の多孔フィルムの製造方法。
  4. 前記高加湿処理工程における前記塗布膜の滞留時間t1が0.1秒以上60秒以下であることを特徴とする請求項3記載の多孔フィルムの製造方法。
  5. 前記塗布膜のウェット膜厚が500μm以下であることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の多孔フィルムの製造方法。
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