JP2010059559A - ポリエステル系繊維構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
燃焼時のドリップがなく、かつ難燃性を有しながらも、風合いが良好なポリエステル系繊維構造物を提供する。
【解決手段】
ポリエステル系繊維構造物に下記一般式(1)で表されるシリコーン樹脂(成分A)を2〜10重量%含有させ、
RSi(OH)(OR(3−m−n)/2 (1)
[式中、Rは水素原子とアルコキシ基を除く、一価の有機基を示し、Rはアルコキシ基を除いた一価の有機基を示し、m、nは0<m<1、0≦n<1、0<m+n<1の範囲を満たす数である]
ホウ酸、ホウ砂、ポリホウ酸ナトリウム(成分B)のいずれか1つまたは2つ以上を5〜20%owf付着させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、接炎時に溶融滴下(ドリップ)を生じることがなく、難燃性に優れ、かつ風合いが良好なポリエステル系繊維構造物に関するものである。
従来、ポリエステル系繊維構造物の難燃化手法として、ハロゲン系難燃剤やアンチモン系難燃剤が多く使われてきた。これらの難燃剤はポリエステル系繊維構造物に対して高い難燃性を付与できるものの、燃焼時にハロゲン化ガスを発生させる懸念があり、また、排出時の環境への負荷も懸念されているため、これらの難燃剤を使用せず、かつ同等の難燃性を得るために数多くの検討がなされている。
ノンハロゲン、ノンアンチモンの難燃化手法の1つとして、リン系難燃剤を用いる手法がある。しかし、リン系難燃剤も環境への影響が懸念される上、その燃焼挙動は着炎部分を溶融滴下することによって消火する、いわゆるドリップ型であるため、滴下した炎による延焼や人体への被害などが懸念される。
これらの問題を解決するために、RSiO1.5(Rは有機基)で示される構造単位を少なくとも含むシリコーン系化合物を繊維中に含有させることにより、JIS L1091 D法において燃焼時にドリップしないポリエステル系繊維構造物が提案されている。(特許文献1参照)
しかし、この例の場合、JIS L1091 A法のようなより高度な難燃性能を求められる試験においては十分な難燃性能を発揮することができず、ドリップしてしまうものである。
また、ポリエステル系繊維構造物にホウ酸ナトリウム重合体を5〜100%owf付着させることにより不燃性繊維構造体を製造する方法が提案されている。(特許文献2参照)
しかし、この例の場合、確かにホウ酸ナトリウム重合体を付着させることにより難燃性は得られるものの、ノンドリップとするには固形分としてホウ酸ナトリウム重合体を30%owf以上付着させる必要があった。付着量が30%owf以上となる場合、付着前の繊維構造物の風合いが損なわれるため、難燃繊維素材としては用途が限定されるものであり、また付着量が30%owfに満たない場合、その燃焼挙動はドリップ型であることから、風合いとノンドリップ性の両立に問題があった。
このように、高い難燃性を有し、かつ燃焼時にドリップが抑制されており、難燃繊維素材として好適に用いることができるポリエステル系繊維構造物は実現されていなかった。
特開2006−233186号公報 特開2006−299466号公報
本発明の目的は、燃焼時のドリップがなく、かつ難燃性を有しながらも、風合いが良好なポリエステル系繊維構造物を提供することである。
ポリエステル系繊維構造物に下記一般式(1)で表されるシリコーン樹脂(成分A)を2〜10重量%含有させ、
RSi(OH)(OR(3−m−n)/2 (1)
[式中、Rは水素原子とアルコキシ基を除く、一価の有機基を示し、Rはアルコキシ基を除いた一価の有機基を示し、m、nは0<m<1、0≦n<1、0<m+n<1の範囲を満たす数である]
ホウ酸、ホウ砂、ポリホウ酸ナトリウム(成分B)のいずれか1つまたは2つ以上を5〜20%owf付着させる。
本発明によれば、ドリップが抑制され、かつ難燃性を有しながらも、風合いが良好なポリエステル系繊維構造物を提供できる。
本発明は、下記一般式(1)で表されるシリコーン樹脂(成分A)を2〜10重量%含有し、
RSi(OH)(OR(3−m−n)/2 (1)
[式中、Rは水素原子とアルコキシ基を除く、一価の有機基を示し、Rはアルコキシ基を除いた一価の有機基を示し、m、nは0<m<1、0≦n<1、0<m+n<1の範囲を満たす数である]
ホウ酸、ホウ砂、ポリホウ酸ナトリウム(成分B)のいずれか1つまたは2つ以上が5〜20%owf付着しているポリエステル系繊維構造物である。
はじめに、成分Aであるシリコーン樹脂について説明する。
成分Aは下記一般式(1)で表されるシリコーン樹脂であることを特徴とする。
RSi(OH)(OR(3−m−n)/2 (1)
[式中、Rは水素原子とアルコキシ基を除く、一価の有機基を示し、Rはアルコキシ基を除いた一価の有機基を示し、m、nは0<m<1、0≦n<1、0<m+n<1の範囲を満たす数である]
かかるシリコーン樹脂を用いることで、繊維構造物の燃焼時に成分Bとの反応でホウケイ酸ガラスが生成し、ドリップが抑制され、かつ難燃性が発現される。
成分Aであるシリコーン樹脂中に含まれる一価の有機基Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数12以下の炭化水素基や、フェニル基やナフチル基などの炭素数12以下の芳香族炭化水素基が挙げられる。シリコーン樹脂の耐熱性や取り扱いやすさの観点から、好ましくはメチル基およびフェニル基であり、より好ましくはフェニル基である。
ここでいうシリコーン樹脂の耐熱性とは、シリコーン樹脂の融点以上の温度で長時間加熱した際のシリコーン樹脂の分解のしにくさなどを意味する。
有機基の構造にも左右されるが、直鎖のアルキル基の場合は通常炭素数が少ないほど耐熱性が良い。また、芳香族炭化水素基は、芳香環部分が直鎖のアルキル基などと比較して安定であり、また、結合部分が芳香環との共鳴作用によって強く結合するため、耐熱性が良い。
有機基Rの炭素数が12を超える場合、シリコーン樹脂がペースト状、オイル状となる場合があり、ポリエステル樹脂中に含有させた際に繊維構造物から成分Aが漏出する懸念がある。
一価の有機基Rの具体例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数18以下の炭化水素基や、フェニル基、エチルフェニル基、フェノキシフェニル基、フェニルフェニル基、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル基、メチルイソプロピルフェニル基、ナフチル基などの炭素数18以下の芳香族炭化水素基が挙げられる。難燃性の観点から、好ましくはオクチル基、フェニルフェニル基、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル基、メチルイソプロピルフェニル基、ナフチル基であり、より好ましくはオクチル基、フェニル基、メチルイソプロピルフェニル基である。
炭素数が18を超える有機基の場合、シリコーン樹脂がペースト状、オイル状となる場合があり、ポリエステル樹脂中に含有させた際に繊維構造物から成分Aが漏出する懸念がある。
m、nは0<m<1、0≦n<1、0<m+n<1の範囲であること特徴とする。シリコーン樹脂の耐熱性と、ポリエステル系繊維構造物に含有させたときの難燃性の観点から、0<m≦0.65、0≦n<0.65、0.15≦m+n≦0.65であることがさらに好ましく、0<m≦0.65、0≦n<0.65、0.25≦m+n≦0.65であることがより好ましい。
これらの特徴を満たすシリコーン樹脂として、下記一般式(1)において
RSi(OH)(OR(3−m−n)/2 (1)
Rがメチル基またはフェニル基であり、Rがオクチル基、フェニル基、エチルフェニル基、フェノキシフェニル基、フェニルフェニル基、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル基、メチルイソプロピルフェニル基、ナフチル基のいずれかであり、0<m≦0.65、0≦n<0.65、0.15≦m+n≦0.65であるシリコーン樹脂が難燃性の観点から好ましく、Rがフェニル基であり、Rがオクチル基、フェニル基、メチルイソプロピルフェニル基のいずれかであり、0<m≦0.65、0≦n<0.65、0.25≦m+n≦0.65であるシリコーン樹脂がさらに好ましい。
成分Aであるシリコーン樹脂の平均組成式は、29Si−NMRおよびH−NMRにより平均構造式を同定することで求められる。
成分Aであるシリコーン樹脂は、一般的な重縮合によって製造することができる。例えば、目的とするシリコーン樹脂の分子構造に従ってオルガノクロロシラン類を水と反応させた後、有機溶媒中で必要に応じて縮合反応促進触媒を用いて高分子量化させ、添加した有機溶媒や副生成物を除去すればよい。
該オルガノクロロシラン類の具体例として、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等のアルキルクロロシラン;フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン等のフェニルクロロシラン;トリフルオロプロピルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルメチルジクロロシラン等のフッ化アルキルクロロシランなどが例示される。
シリコーン樹脂を高分子量化させるための縮合反応促進触媒としては、オクチル酸ジルコニウム、2−エチルヘキサン酸ジルコニウムなどの有機酸ジルコニウム塩や、トリフェニルホスフィンオキシドなどの有機リン化合物が挙げられる。
また、有機溶媒としては、アセトン、トルエン、クロロホルムなどが例示される。
成分Aに当たる市販品としては、DOW CORNING(R)217 FLAKE RESIN(東レ・ダウコーニング株式会社)などが例示される。
また、本発明のポリエステル系繊維構造物は上記の成分Aであるシリコーン樹脂を2〜10重量%含有することを特徴としている。
ここで、本発明における成分Aの含有量(重量%)とは、成分Bの付着量を除いた繊維構造物の重量のうち成分Aの重量が占める割合のことである。
成分Aの含有量を上記の範囲とすることで、燃焼時に難燃性が発現し、ドリップが抑制される。成分Aの含有量が下限に満たない場合は、難燃性、ドリップ抑制が不十分となり、また、上限を超える場合は、繊維構造物の強度が低下する。
難燃性の観点からは、3〜10重量%含有していることがさらに好ましく、4〜10重量%含有していることがより好ましい。
成分Aを含有する繊維構造物を得る方法としては、ポリエステル樹脂と成分Aを溶融混練し、得られた樹脂組成物を溶融紡糸してフィラメントとし、得られたフィラメントを延伸した後、織物や編物などの繊維構造物に成形する方法などが例示される。
本発明におけるポリエステルとは、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸などである。ポリエステルそのものの難燃性を考慮すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートであることがさらに好ましい。
次に、成分Bについて説明する。
成分Bは、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ポリホウ酸ナトリウムのいずれか1つ、または2つ以上を用いるものである。
難燃性の観点からは、ホウ酸ナトリウム、ポリホウ酸ナトリウムがより好ましく、ポリホウ酸ナトリウムが下記理由で、さらに好ましい。
成分Aとともにこれらの化合物を用いることで、燃焼時に成分AのOH基およびOR基が成分Bと結合し、網目状の分子構造を形成することでホウケイ酸ガラスの層が形成されて、繊維構造物の表面を覆う。
ポリホウ酸ナトリウムのようなすでに網目状構造となっているものを多く反応させるほどすみやかに構造体が形成されるため、難燃性の観点からは成分Bにポリホウ酸ナトリウムが10重量%以上含まれていることが好ましい。
ホウケイ酸ガラスの層は、断熱効果と酸素遮断効果をもたらして繊維構造物を難燃化させ、また、ガラス層は炭化層と比較して強固であるため、燃焼物のドリップを防止する。
成分Bであるホウ酸ナトリウムやポリホウ酸ナトリウム単体を加熱した場合はホウ酸塩ガラスが生成する。しかし、ホウケイ酸ガラスと比較すると、低融点であることから同温度での融解時に粘度が低く、また強度が劣ることから、繊維構造物への付着量が少ない場合はドリップを防止できない懸念がある。
ポリホウ酸ナトリウムは、ホウ酸とホウ酸ナトリウムを水溶液中で混合し、90℃で加熱した後に、水溶液を乾燥するなどして製造することができる。
また、市販品としてはファイアレスB(トラストライフ社)などが例示される。
本発明は、上記成分Bの付着量が5〜20%owfであることを特徴としている。
付着量を上記の範囲とすることで、燃焼時に難燃性が発現し、ドリップが抑制される。成分Bの付着量が下限に満たない場合は、難燃性、ドリップ抑制が不十分となり、また上限を超える場合は、繊維構造物の風合いが悪化する。
難燃性の観点からは付着量が7〜20%owfであることが好ましく、さらに難燃性と風合いの観点からは10〜15%owfであることがさらに好ましい。
成分Bのみで本発明と同等の難燃性を繊維構造物に付与するには、付着量を20%owfより多くしなければならない。しかし、本発明では成分Aと成分Bの相乗効果により、成分Bの必要量を大幅に減らすことができる。
成分Bを付着させる方法としては、成分Bを溶解させた処理液に繊維構造物を浸した後、既知の方法で脱水、乾燥させればよい。処理液に浸して乾燥させることにより、繊維構造物の表面に均一に成分Bを付着させることができる。
付着量を調整するには、処理液中の成分Bの濃度を調整する、成分Bを付着させた繊維構造物を必要に応じて洗浄する、などすればよい。また、付着効率をあげるために、処理液に水系ウレタンなどのバインダーを添加しても良い。
本発明のポリエステル系繊維構造物にさらに何らかの機能を付与したい場合、難燃剤、抗菌剤、消臭剤、紫外線吸収剤、静電剤などを必要に応じて処理液に添加しても良い。
本発明のポリエステル系繊維構造物の形状は、糸形状物や帯形状物、または、織物、編物、不織布などの布帛形状物、綿状形状物などが例示され、繊維構造物を構成する繊維の断面形状は丸型、異型(三角、四角、多角、扁平、中空断面など)を問わない。
成分Bの付着が容易であるという観点からは、編物、織物、不織布などの布帛形状物、綿状形状物が好ましく、編物、織物であることがさらに好ましい。
ポリエステル系繊維の製造方法としては、本発明は製造工程の影響を特に受けるものではないため、既知のポリエステル重合工程、製糸工程、延伸工程が採用できる。
また、特殊な工程も採用可能であり、例えば重合工程では固相重合、連続重合など、製糸工程では高速紡糸、複合紡糸など、延伸工程では製糸工程と延伸工程を連続で行う方法なども可能である。
繊維構造物の製造方法としても、本発明は製造工程の影響を特に受けるものではないため、既知の製造方法により必要とされる繊維形態とすれば良い。
(1)シリコーン樹脂(成分A)の作製
(1−1)有機基Rを含まないシリコーン樹脂の作製
有機基Rが全てフェニル基であるシリコーンレジンのDOW CORNING(R)217 FLAKE RESIN(東レ・ダウコーニング株式会社)1000gを、トルエン溶媒1000gに溶解させ、縮合反応促進触媒としてトリフェニルホスフィンオキシド(和光純薬工業株式会社)を10g添加した。この溶液を110℃まで昇温し、留出する反応水を系外に排出しながら、シリコーンレジンを高分子量化させた後、溶媒を除去してシリコーン樹脂を得た。
(1−2)有機基Rを含むシリコーン樹脂の作製
上記の有機基Rを含まないシリコーン樹脂200gと、ROHの構造を持つ化合物60gを混合し、混合物を230℃まで昇温して3時間加熱した。冷却後に得られた固形物をエタノールで洗浄し、有機基Rを含むシリコーン樹脂を得た。
(1−3)H−NMR、29Si−NMR(平均構造式の同定)
JNM−EX400(日本電子株式会社製)を用いて、成分Aであるシリコーン樹脂をH−核磁気共鳴および29Si−核磁気共鳴により、溶媒として重クロロホルム、標準物質としてテトラメチルシランを用い、積算回数256回で測定し、平均構造式を同定した。
(2)ポリエステル系繊維構造物の作製
(2−1)成分Aを含有する繊維構造物の作製
成分Aであるシリコーン樹脂と固有粘度(IV):0.65のポリエチレンテレフタレートを原料とした。L/D:32.5、混練温度280℃、スクリュー回転数300rpmの条件で二軸押し出し機を用いて混練し、樹脂組成物を得た。樹脂組成物を3mm角のチップにカッティングした。得られたチップを真空乾燥機で150℃、12時間、2torrの条件で乾燥した。その後、紡糸温度290℃、紡糸速度1500m/min、口金口径0.23mm−24H(ホール)、吐出量40g/minの条件で溶融紡糸を行い、未延伸糸を得た。延伸機を用いて加工速度400m/min、延伸温度90℃、セット温度130℃の条件で延伸糸の繊度が85dtex−24フィラメントになるような延伸倍率で延伸を行い、延伸糸を得た。得られた延伸糸を用いて、筒編み機で目付150g/m、厚さ0.50mmの編物の繊維構造物を作製した。繊維構造物を、炭酸ナトリウム0.2g/L、界面活性剤0.2g/L(グランアップUS20)、処理温度/時間60℃/30分の条件で精練し、成分Aを含有するポリエステル系繊維構造物を得た。
(2−2)固有粘度(IV)
0.8000gのポリマーを12.61gのo−クロロフェノールと混合し、混合物を100℃に加熱し、かつ、30分の攪拌処理を行うことでポリマーを溶解させ、自然冷却後の溶解液から粘度自動測定器(yamato AUTO VISCOMETER ヤマト科学株式会社製)によって求めた値である。
(2−3)繊維構造物の目付け
JIS L 1096 8.4.2「織物の標準状態における単位面積あたりの質量」に基づき、繊維構造物の目付けを測定した。
(2−4)繊維構造物の厚さ
JIS L 1096 8.5「厚さ」に基づき、繊維構造物の厚さを測定した。
(2−5)成分Bの付着方法
成分Bを溶解させた処理液を作製した。繊維構造物に対して15%owf付着させる場合は、処理液中の成分Bの割合を10重量%とした。
(a)上記の成分Aを含有する繊維構造物を処理液中に浸した。
(b)接着面に2MPaの圧力をかけながら回転する2対のローラーの間を通して脱水した。
(a)、(b)の工程を3回ずつ行い、脱水した繊維構造物に180℃×90秒の乾熱処理を行なった。
(2−6)風合いの評価
測定者20人に目付け150g/m、厚さ0.50mm、幅10cm、長さ10cmの試験片を手で触ってもらい。ポリエチレンテレフタレートのみからなる同形状の試験片と比較して風合いが硬くなったと感じた人数が、0〜2人であれば「とても良い(◎)」、3〜5人であれば「良い(○)」、6〜9人であれば「悪い(△)」、10人以上であれば「とても悪い(×)」と4段階で評価した。
(3)燃焼性試験
本発明のポリエステル系繊維構造物を2枚重ね、幅1.5cm、長さ10cmの大きさに溶断機で溶断し、燃焼試験用サンプルを得た。この燃焼試験用サンプルの短辺の一端をクリップではさみ、垂直に吊り下げた。吊り下げられた布帛の下端から、炎の大きさを2cmに調節したミクロバーナーで10秒間接炎した後、炎を離した。
燃焼試験用サンプルの燃焼中に、溶融ポリマーが滴下した回数をドリップ回数とした。ドリップが0回のとき、炎を離してから2秒以内に燃焼試験用サンプルが自己消火した場合は難燃性◎、5秒以内に自己消火した場合は難燃性○、6秒以上で自己消火した場合は難燃性△、自己消火しない場合は難燃性×、とした。
[実施例1]
成分Aとして平均構造式がRSi(OH)0.491.26(Rはフェニル基、m+n=0.49)のシリコーン樹脂を5重量%含有した編物に、成分BとしてファイアレスB(ポリホウ酸ナトリウム)の固形分を15%owf付着させたポリエステル系繊維構造物を作製した。結果は表1の通りである。燃焼残渣を観察したところ、硬く光沢のある黒色のガラスが確認された。
[実施例2]
成分Aのシリコーン樹脂を得る際にDOW CORNING(R)220 FLAKE RESIN(東レ・ダウコーニング株式会社)を用いた以外は実施例1の条件とした。得られたシリコーン樹脂は、有機基Rの34モル%がメチル基、66モル%がフェニル基であった。結果は表1の通りである。
[実施例3〜7]
OHの構造の化合物としてフェノール(和光純薬工業株式会社)、メチルイソプロピルフェノール(エムコマース株式会社)、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(三井化学ファイン株式会社)、p−フェニルフェノール(和光純薬工業株式会社)、1−オクタノール(和光純薬工業株式会社)を成分Aと反応させてOR基を有するシリコーン樹脂を作製し、該シリコーン樹脂を成分Aとして含有させた以外は実施例1の条件とした。結果は表1の通りである。
[実施例8〜11]
DOW CORNING(R)217 FLAKE RESINを高分子量化する際の時間を調節して、シリコーン樹脂(成分A)の構造を変えた(m+nの値が変化するように調整した)以外は実施例1の条件とした。結果は表1の通りである。実施例10、11のm+nの値は0.25≦m+n≦0.65の範囲であるため、特に難燃性が良かった。
[実施例12〜16]
成分Aの含有量を変更した以外は実施例1の条件とした。結果は表1の通りである。実施例14〜16は成分Aの含有量が4〜10重量%の範囲であるため、特に難燃性がよかった。
[実施例17〜21]
成分Bを変更した以外は実施例1の条件とした。混合物の成分Bにおいては、各混合比は、ホウ酸40:ホウ酸ナトリウム60、ホウ酸20:ポリホウ酸ナトリウム80、ホウ酸ナトリウム27:ポリホウ酸ナトリウム73とした。結果は表1の通りである。実施例19はポリホウ酸ナトリウムの原料となる組み合わせのため、実施例20、21は成分B中にポリホウ酸ナトリウムが10重量%以上含まれているため、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム単体よりも難燃性が良かった。
[実施例22〜25]
成分Bの付着量を変更した以外は実施例1の条件とした。結果は表1の通りである。実施例24は成分Bの付着量が10%owfであったため、特に難燃性が良く、風合いもよかった。実施例25も付着量が20%owfであったため、特に難燃性が良かった。
[実施例26]
成分Aの含有量を2重量%、成分Bの付着量を5%owfとした以外は実施例1の条件とした。結果は表1の通りである。
[比較例1]
成分Aを含有させず、成分Bを付着させなかった以外は実施例1の条件とした。結果は表1の通りである。ドリップが発生したため、難燃性については評価しなかった。
[比較例2]
成分Bを付着させなかった以外は実施例1の条件とした。結果は表1の通りである。
[比較例3]
成分Aを20重量%含有させ、成分Bを付着させなかった以外は実施例1の条件とした。結果は表1の通りである。成分Aのみを多量添加してもドリップが0回とならないことがわかった。
[比較例4]
成分Aを含有させず、成分Bを20%owf付着させた以外は実施例1の条件とした。結果は表1の通りである。成分Bのみではドリップが0回とならないことがわかった。
[比較例5]
成分Bを30%owf付着させた以外は実施例1の条件とした。結果は表1の通りである。ドリップは0回であったが、自己消火せずに全焼してしまった。
[比較例6]
成分Bを45%owf付着させた以外は実施例1の条件とした。結果は表1の通りである。ドリップがなく、難燃性もあったが、風合いの著しい悪化が見られた。
本発明によれば、燃焼時のドリップがなく、かつ難燃性を有しながらも、風合いが良好なポリエステル系繊維構造物を提供できるため、衣料用途、非衣料用途、インテリア用途、産業用途などの難燃繊維素材として好適に用いることができる。
Figure 2010059559

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されるシリコーン樹脂(成分A)を2〜10重量%含有し、
    RSi(OH)(OR(3−m−n)/2 (1)
    [式中、Rは水素原子とアルコキシ基を除く、一価の有機基を示し、Rはアルコキシ基を除いた一価の有機基を示し、m、nは0<m<1、0≦n<1、0<m+n<1の範囲を満たす数である]
    ホウ酸、ホウ砂、ポリホウ酸ナトリウム(成分B)のいずれか1つまたは2つ以上が5〜20%owf付着しているポリエステル系繊維構造物。
  2. 一般式(1)で表されるシリコーン樹脂(成分A)において、Rがメチル基またはフェニル基であることを特徴とする、請求項1記載のポリエステル系繊維構造物。
  3. 一般式(1)で表されるシリコーン樹脂(成分A)において、m、nが0<m≦0.65、0≦n<0.65、0.15≦m+n≦0.65であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル系繊維構造物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012233039A (ja) * 2011-04-28 2012-11-29 Shin-Etsu Chemical Co Ltd 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物
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