JP2008025062A - インテリア用繊維製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 難燃性インテリア繊維製品として用いられる用途、具体的にはカーテン、カーペット、椅子張り地などで燃焼時に素材のドリップが無く、難燃性能に優れ、且つ洗濯耐久性やドライクリーニング耐久性に優れたインテリア繊維製品を提供する。
【解決手段】 ポリエステル系繊維を含有するインテリア繊維製品であって、ポリエステル系繊維中にRSiO1.5(Rは有機基)で示される構成単位を有するシリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物を含有し、且つJIS L1091(1992) D法において規定される防炎試験でドリップ(溶融滴下)が無いことを特徴とするインテリア繊維製品。
【選択図】なし
【解決手段】 ポリエステル系繊維を含有するインテリア繊維製品であって、ポリエステル系繊維中にRSiO1.5(Rは有機基)で示される構成単位を有するシリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物を含有し、且つJIS L1091(1992) D法において規定される防炎試験でドリップ(溶融滴下)が無いことを特徴とするインテリア繊維製品。
【選択図】なし
Description
本発明はポリエステル系繊維を含有する難燃性インテリア繊維製品に関するものであり、さらに詳しくは、燃焼時に溶融によるドリップ(溶融滴下)が無く、且つ難燃性能が改善されたインテリア繊維製品に関するものである。
近年、インテリア繊維製品においては難燃化が強く要望されている。また、熱可塑性繊維の燃焼時のドリップ(溶融滴下)により、火傷などの二次災害の危険性も謳われており、ドリップを抑制する技術が強く要望されている。
従来、ポリエステル系繊維などの難燃化手法として、含塩素系難燃剤、含臭素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤、またはハロゲン系難燃剤とアンチモン系難燃剤を含有したインテリア繊維製品が数多く提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、これらのインテリア繊維製品は難燃性には優れるもののハロゲン系難燃剤は燃焼時にハロゲン化ガスを発生する懸念があり、また、燃焼時のドリップを促進する傾向にあるため、ドリップによる二次災害の問題を解決することはできていない。
これら問題を解決するためにシリコーン系化合物を使用した検討が行われている。このシリコーン系化合物とは1官能性のR3SiO0.5(M単位)、2官能性のR2SiO1.0(D単位)、3官能性のRSiO1.5(T単位)、4官能性のSiO2.0(Q単位)で示される単位のいずれかから構成されるものである。
シリコーン系化合物を利用する例として、繊維構造物中に官能基を有するシリコーンオイルと有機リン化合物を含有せしめて、ドリップ抑制効果の改善、有毒ガス発生の抑制、力学特性低下の防止を検討したもの(特許文献2参照)があるが、いずれも難燃性能はハロゲン系難燃剤に及ばず、また洗濯やドライクリーニング時に薬剤の脱落が起こり耐久性に課題があるなど、現行の技術では課題が残っている。
また、シリコーンレジンを繊維構造物中に含有させ、シリコーンレジンの分散状態を規定したもの(特許文献3参照)がある。確かにこの発明はある程度の難燃性、ドリップ抑制の効果を発現し、環境性、安全性にも優れているが、やはり更なる難燃性、ドリップ抑制の効果の向上が課題であり、現状の技術では種々の問題を解決するまでには至っていない。
特開平10−259542号公報(請求項1)
特開平09−268423号公報(請求項1)
特開2005−097819号公報(請求項1)
本発明は前記した現状に鑑み、インテリア繊維製品の難燃性、燃焼時のドリップ抑制の効果が改善され、且つ洗濯耐久性やドライクリーニング耐久性に優れたインテリア繊維製品を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記の課題を解決するため、以下の構成を採用する。すなわち、
(1)ポリエステル系繊維を含有するインテリア繊維製品であって、ポリエステル系繊維中にRSiO1.5(Rは有機基)で示される構成単位を有するシリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物を含有し、且つJIS L1091(1992) D法において規定される防炎試験でドリップ(溶融滴下)が無いことを特徴とするインテリア繊維製品。
(2)シリコーン系化合物を構成する有機基Rがフェニル基を含み、且つフェニル基の含有量がシリコーン系化合物を構成する全有機基に対してモル比で30mol%以上であることを特徴とする(1)に記載のインテリア繊維製品。
(3)シリコーン系化合物に含まれるシラノール基含有量がシリコーン系化合物に対して重量比で2%以上10%以下含有することを特徴とする(1)または(2)に記載のインテリア繊維製品。
(4)イミド構造を有する化合物が、ポリエーテルイミドであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のインテリア繊維製品。
(1)ポリエステル系繊維を含有するインテリア繊維製品であって、ポリエステル系繊維中にRSiO1.5(Rは有機基)で示される構成単位を有するシリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物を含有し、且つJIS L1091(1992) D法において規定される防炎試験でドリップ(溶融滴下)が無いことを特徴とするインテリア繊維製品。
(2)シリコーン系化合物を構成する有機基Rがフェニル基を含み、且つフェニル基の含有量がシリコーン系化合物を構成する全有機基に対してモル比で30mol%以上であることを特徴とする(1)に記載のインテリア繊維製品。
(3)シリコーン系化合物に含まれるシラノール基含有量がシリコーン系化合物に対して重量比で2%以上10%以下含有することを特徴とする(1)または(2)に記載のインテリア繊維製品。
(4)イミド構造を有する化合物が、ポリエーテルイミドであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のインテリア繊維製品。
本発明によれば、インテリア繊維製品として用いられる用途、具体的には、例えば、カーテン、カーペット、椅子張り地などのインテリア用途で難燃性、ドリップ抑制の効果が高く、且つ洗濯耐久性やドライクリーニング耐久性に優れたインテリア繊維製品を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
シリコーン系化合物とは前記したように、1官能性のR3SiO0.5(M単位)、2官能性のR2SiO1.0(D単位)、3官能性のRSiO1.5(T単位)、4官能性のSiO2.0(Q単位)で示される単位のいずれかから構成されるものであり、本発明でいうシリコーン系化合物は3官能性のRSiO1.5をポリエステル系繊維中に少なくとも含有するものである。RSiO1.5(T単位)で示される単位をシリコーン系化合物の構造中に含むことで、シリコーン系化合物の耐熱性が向上し、難燃性能の高いインテリア繊維製品を得ることができる。
耐熱性、難燃性の観点からRSiO1.5の含有率はシリコーン系化合物に対してモル比で20%以上が好ましく、更に好ましくは50%以上である。
また、本発明ではポリエステル系繊維中での分散性や難燃性の観点からシリコーン系化合物を構成する有機基がフェニル基を含み、且つフェニル基の含有量がシリコーン系化合物を構成する全有機基に対してモル比で30%以上が好ましく、更に好ましくは60%以上である。
また、シリコーン系化合物のシラノール基量は十分な難燃性能を有するためにシリコーン系化合物に対して重量比で2%以上が好ましく、また加工性の点から10%以下含有することが好ましく、更に好ましくは3%以上8%以下である。ここで、シラノール基量とは、シリコーン系化合物中のSiに結合したOH基の重量のことである。シラノール基量を本発明の範囲内とすることで、燃焼時に効率よくポリエステル系繊維と架橋構造を形成し、難燃性、ドリップ抑制の効果を向上することができる。
また、シリコーン系化合物の量平均分子量は500以上であるとシリコーン系化合物を溶融混練する際に溶融粘度が高く繊維への分散性が良好になるため好ましく、また300000以下であると分散性、操作性の点から好ましい。更に好ましくは1000以上100000以下であり、更に好ましくは3000以上50000以下である。
次に本発明のイミド構造を有する化合物とは、分子構造中に−CO−NR−CO−(Rは有機基)の構造を有する化合物のことである。
イミド構造を有する化合物とシリコーン系化合物とをポリエステル系繊維中に含有することで、燃焼時にシリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物とポリエステル系繊維が効率よく炭化層を形成することが可能であり、これはシリコーン系化合物、イミド構造を有する化合物をそれぞれ単独で含有した場合よりも難燃性、ドリップ抑制の効果を著しく向上することができる。
また、イミド構造を有する化合物は熱可塑性を有するものが加工性の点から好ましい。すなわち、ガラス転移温度が130℃以上300℃以下であることが好ましく、更に好ましくは130℃以上250℃以下であることが好ましい。
イミド構造を有する化合物として具体的にはポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドが挙げられ、中でも加工性の観点から好ましくはポリエーテルイミドが挙げられるが、分子構造中にイミド構造を有していればこの限りではない。
また、ポリエステル系繊維中に含有するシリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物の含有比は重量比で5(シリコーン系化合物):95(イミド構造を有する化合物)〜95:5の範囲が好ましく、更に好ましくは10:90〜90:10の範囲が好ましい。
また、本発明のポリエステル系繊維の組成比は難燃性、ドリップ抑制の効果の観点から重量比で94(ポリエステル系繊維):1(シリコーン系化合物):5(イミド構造を有する化合物)〜40:20:40の範囲が好ましく、更に好ましくは90:3:7〜70:10:20である。
また、本発明のポリエステル系繊維の組成比は難燃性、ドリップ抑制の効果の観点から重量比で94(ポリエステル系繊維):1(シリコーン系化合物):5(イミド構造を有する化合物)〜40:20:40の範囲が好ましく、更に好ましくは90:3:7〜70:10:20である。
また、本発明のポリエステル系繊維はポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体およびジオールまたはそのエステル形成誘導体から合成されるポリマーであるあるほか、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸の非石油系ポリエステル系化合物のことであり、これらは単独で用いてもよく、混紡、混繊など2種以上で用いてもよい。
本発明により得られるインテリア繊維製品は、例えばカーテン、カーペット、椅子張り地、マットなどをいう。
本発明のインテリア繊維製品はポリエステル系繊維を重量比で30重量%以上含有することが難燃性、ドリップ抑制の効果の観点から好ましく、難燃性、ドリップ抑制の効果を損なわない範囲で他の合成繊維や天然繊維を混合することが可能である。
インテリア繊維製品に用いられるポリエステル系繊維の形態は、例えば、単糸繊度が0.1dtexから十数dtexの範囲であり、総繊度として50dtexから300dtexでフィラメント数が10から100本の範囲のマルチフィラメントが挙げられる。
また、このようにして得られたフィラメントは例えば一重組織である三原組織や変化組織、二重組織であるよこ二重組織やたて二重組織などの織物に製織し、インテリア繊維製品として得ることができる。
また、このときのインテリア繊維製品の目付は50g/m2以上800g/m2以下の範囲である。
また、マルチフィラメント以外にも用途に応じて短繊維や短繊維からなる織物、不織布などの形態が可能であり、繊維の形態や織物の組織に限られるものではない。
また、本発明のインテリア繊維製品はJIS L1091(1992) D法において規定される防炎試験でドリップ(溶融滴下)が無いことを特徴としている。
この防炎試験はコイル中に長さ10cm、質量1gの繊維試料をセットし、45℃に傾けて試料下方から接炎したときの接炎回数を測定する方法であり、接炎回数が多い方が難燃性が高くなる。
本発明ではこの防炎試験時でのドリップが無いことを特徴としており、ドリップとは試料からの溶融滴下物のことである。
また、本発明のインテリア繊維製品はシリコーン系化合物とイミド構造含有化合物をポリエステル系繊維中に含有するため洗濯耐久性やドライクリーニング耐久性に優れる。難燃インテリア繊維製品では洗濯やドライクリーニング後の難燃性能の再現性が重要であり、後加工で難燃剤を吸尽させたインテリア繊維製品は洗濯、ドライクリーニングで難燃剤が脱落するため性能の再現性には限りがある。しかしながら、本発明は洗濯、ドライクリーニングでシリコーン系化合物やイミド構造含有化合物は脱落しないため洗濯耐久性、ドライクリーニング耐久性に優れる。
次に本発明の製造方法に関して詳細に説明する。
シリコーン系化合物は、一般的な重縮合によって製造することができる。例えばR3SiOCl(トリオルガノクロロシラン)、R2SiOCl2(ジオルガノジクロロシラン)、RSiOCl3(モノオルガノトリクロロシラン)、SiOCl4(テトラクロロシラン)をモノマーとして用い、酸もしくはアルカリの触媒下で縮合せしめ、シリコーン系化合物を合成する。目的とするM、D、T、Q単位のモル比に応じて、原料のR3SiOCl(M単位に相当)、R2SiOCl2(D単位に相当)、RSiOCl3(T単位に相当)、SiOCl4(Q単位に相当)のモル比を調整する。
また、シリコーン系化合物に含有される有機基Rの含有量は、前記したモノマーにおける有機基Rの含有量に支配される。したがって、シリコーン系化合物に含有されるフェニル基の含有量は、前記したモノマーのRを所望の量だけフェニル基で置換することにより調整することができる。
また、シリコーン系化合物に含有されるシラノール基の含有量は、反応時間によって制御可能である。また、封鎖剤としてR3SiOClやR3SiOHをシラノール基と反応させることでシラノール基の含有量を制御することも可能である。シラノール基の含有量は、29Si−NMRにおいてシラノール基を含有しない構造由来のSiO2.0、RSiO1.5、R2SiO1.0、R3SiO0.5のピークの面積(積分値)とシラノール基を含有する構造由来のSi(OH)4、SiO0.5(OH)3、SiO1.0(OH)2、SiO1.5(OH)、RSi(OH)3、RSiO0.5(OH)2、RSiO1.0(OH)、R2Si(OH)2、R2SiO0.5(OH)、R3Si(OH)のピークの面積(積分値)の比から算出することが可能である。
例えば、シリコーン系化合物がRSiO1.5とRSiO1.0(OH)のみからなる場合は、RSiO1.5とRSiO1.0(OH)の積分値の比が1.5(RSiO1.5):1.0(RSiO1.0(OH))であれば下記式1の通り求めることができる。
(式1)
シラノール基量(wt%)
={(17×RSiO1.0(OH)の積分値の比)/(RSiO1.0(OH)の分子量×RSiO1.0(OH)の積分値の比+RSiO1.5の分子量×RSiO1.5積分値の比)}×100
={(17×1.0)/(138×1.0+129×1.5)}×100
=5.13
また、シリコーン系化合物の重量平均分子量は、製造時の反応時間によって制御可能である。分子量の測定はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定し、ポリスチレン換算で算出することができる。
(式1)
シラノール基量(wt%)
={(17×RSiO1.0(OH)の積分値の比)/(RSiO1.0(OH)の分子量×RSiO1.0(OH)の積分値の比+RSiO1.5の分子量×RSiO1.5積分値の比)}×100
={(17×1.0)/(138×1.0+129×1.5)}×100
=5.13
また、シリコーン系化合物の重量平均分子量は、製造時の反応時間によって制御可能である。分子量の測定はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定し、ポリスチレン換算で算出することができる。
シリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物を繊維構造物中に付与する方法としては、ポリエステル系繊維の重合時に添加する方法、ポリエステル系繊維とこれらの化合物を溶媒に溶解して混合した後、乾燥する方法、ポリエステル系繊維とこれらの化合物を2軸押し出し機やバンバリーミキサー等の混練機で溶融混合する方法などが挙げられるが、これらに限るものではないが、ポリエステル系繊維中にシリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物を十分に分散し、安定的に製造できる点から、2軸押し出し機やバンバリーミキサー等の混練機で溶融混合する方法が好ましい。
次にポリエステル系繊維の製造方法について説明する。
ポリエステル系繊維の製造方法としては、例えば溶融紡糸機を用いて製造する方法が挙げられ、例えば、前記した方法によりポリエステル系繊維とシリコーン系化合物とイミド構造含有化合物を混合し、得られた樹脂組成物を3mm角のチップの形状にカッティングした後、該チップを溶融紡糸機のホッパーに仕込み、ポリエステル系繊維の溶融温度以上で溶融し、口金から吐出することでポリエステル系繊維を得ることができる。また、この時得られたポリエステル系繊維を延伸、糸加工することでインテリア繊維製品に用いる繊維として好適に使用できる。
次にインテリア繊維製品の製造方法について説明する。
製造方法は既知の方法で製造することが可能であり、前記した方法により得られたポリエステル系繊維を使用して製織し、精練、中間セット、染色、洗浄などの工程によりインテリア繊維製品を製造することが可能である。
ここで、精練、中間セット、染色などの工程の条件はポリエステル系繊維単独の条件と同条件で加工可能であり、例えば精練では液流染色機などを用いて炭酸ナトリウム1〜50g/L、界面活性剤1〜50g/L、処理温度60〜100℃、処理時間10分〜60分の条件で処理可能であり、中間セットはテンターを用いて処理温度130℃〜200℃、処理時間30秒〜5分の条件で処理可能であり、染色は液流染色機などを用いて処理温度120℃〜200℃、処理時間10分〜2時間の条件で分散染料を所望の濃度で染色することが可能である。
その後、裁断、縫製の行程を経ることでインテリア繊維製品として製造可能である。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
まず、実施例および比較例におけるシリコーン系化合物の調製を下記の通り行い、表1に示すシリコーン系化合物1〜6を得た。
<M、D、T、Q単位の割合の調製>
R3SiOCl(R3SiO0.5に相当)、R2SiOCl2(R2SiO1.0に相当)、RSiOCl3(RSiO1.5に相当)、SiOCl4(SiO2.0に相当)を表1に示す各構造単位のモル比にて混合した後、水にて加水分解し、発生する塩酸はメタノールによって取り除いた。次いで、水酸化カリウムを触媒として縮合し、R3SiO0.5、R2SiO1.0、RSiO1.5、SiO2.0の構造単位の割合が異なるシリコーン系化合物を製造した。
R3SiOCl(R3SiO0.5に相当)、R2SiOCl2(R2SiO1.0に相当)、RSiOCl3(RSiO1.5に相当)、SiOCl4(SiO2.0に相当)を表1に示す各構造単位のモル比にて混合した後、水にて加水分解し、発生する塩酸はメタノールによって取り除いた。次いで、水酸化カリウムを触媒として縮合し、R3SiO0.5、R2SiO1.0、RSiO1.5、SiO2.0の構造単位の割合が異なるシリコーン系化合物を製造した。
<フェニル基、メチル基の割合の調整>
前記したR部分をそれぞれフェニル基、メチル基で置換した原料を用い、両者のモル比でフェニル基およびメチル基の割合の異なるシリコーン系化合物を調製した。
前記したR部分をそれぞれフェニル基、メチル基で置換した原料を用い、両者のモル比でフェニル基およびメチル基の割合の異なるシリコーン系化合物を調製した。
<シラノール基の含有量の調整>
シリコーン系化合物を縮合する際の反応時間を各々調整して、シリコーン系化合物を得た。得られたシリコーン系化合物を29Si−NMRにより溶媒としてCDCl3、標準物質としてTMS(テトラメチルシラン)用いて、積算回数256回で測定した。シラノール基を含有しない構造由来のSiO2.0、RSiO1.5、R2SiO1.0、R3SiO0.5のピークの面積(積分値)とシラノール基を含有する構造由来のSi(OH)4、SiO0.5(OH)3、SiO1.0(OH)2、SiO1.5(OH)、RSi(OH)3、RSiO0.5(OH)2、RSiO1.0(OH)、R2Si(OH)2、R2SiO0.5(OH)、R3Si(OH)のピークの面積(積分値)の比からシラノール基量(wt%)を算出した。
シリコーン系化合物を縮合する際の反応時間を各々調整して、シリコーン系化合物を得た。得られたシリコーン系化合物を29Si−NMRにより溶媒としてCDCl3、標準物質としてTMS(テトラメチルシラン)用いて、積算回数256回で測定した。シラノール基を含有しない構造由来のSiO2.0、RSiO1.5、R2SiO1.0、R3SiO0.5のピークの面積(積分値)とシラノール基を含有する構造由来のSi(OH)4、SiO0.5(OH)3、SiO1.0(OH)2、SiO1.5(OH)、RSi(OH)3、RSiO0.5(OH)2、RSiO1.0(OH)、R2Si(OH)2、R2SiO0.5(OH)、R3Si(OH)のピークの面積(積分値)の比からシラノール基量(wt%)を算出した。
<重量平均分子量の測定>
シリコーン系化合物を縮合する際の反応時間を各々調整し、得られたシリコーン系化合物をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、離溶液としてクロロホルム、サンプル濃度1wt%、検出器RIで測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を算出した。
シリコーン系化合物を縮合する際の反応時間を各々調整し、得られたシリコーン系化合物をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、離溶液としてクロロホルム、サンプル濃度1wt%、検出器RIで測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を算出した。
また、各実施例における燃焼評価等については下記の通り行った。
<燃焼評価方法>
長さ100mm、質量1gの繊維構造物を試験片として作製し、JIS L1091(1992) D法に準じて評価したときの接炎回数とドリップの回数、炭化性を評価した。尚、接炎回数が多いほど難燃性が高いことを示し、ドリップ回数が少ないほどドリップ抑制の効果が高いことを示す。また、炭化性は試験終了後の試料の炭化物の形状で評価し、炭化物が全くないものを×、炭化物が原形をとどめるが、連続していないものを△、炭化物が原形をとどめており、連続して形成されているものを○として炭化性を評価した。
<ドライクリーニング処理>
JIS L0860(1996)を参考に下記の通り処理を行った。
長さ100mm、質量1gの繊維構造物を試験片として作製し、JIS L1091(1992) D法に準じて評価したときの接炎回数とドリップの回数、炭化性を評価した。尚、接炎回数が多いほど難燃性が高いことを示し、ドリップ回数が少ないほどドリップ抑制の効果が高いことを示す。また、炭化性は試験終了後の試料の炭化物の形状で評価し、炭化物が全くないものを×、炭化物が原形をとどめるが、連続していないものを△、炭化物が原形をとどめており、連続して形成されているものを○として炭化性を評価した。
<ドライクリーニング処理>
JIS L0860(1996)を参考に下記の通り処理を行った。
4cm×10cmの繊維布帛試料を採取し、ラウンダメータ形洗濯試験機付属の試験びんにドライクリーニング溶液100mlと直径6.4mmのステンレス鋼球20個を入れ、約40℃に予熱した後、試験機に取り付け40±2℃で30分間回転する。回転終了後、常温のパークロルエチレン100mlで洗浄したのち、乾燥濾紙の間に挟み軽く押さえて脱液し、60℃以下の乾燥機あるいは室内で乾燥する。
実施例1〜5
ポリエステル系繊維として固有粘度(IV)が0.65のポリエチレンテレフタレートを用い、イミド構造を含有する化合物としてガラス転移温度(Tg)が210℃であるGE Plastics社製のポリエーテルイミド(製品名ULTEM(登録商標)1010)を用いた。表1に示すシリコーン系化合物1〜5を用いて、配合比を75wt%(ポリエチレンテレフタレート):20wt%(ポリエーテルイミド):5wt%(シリコーン系化合物)として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミドおよびシリコーン系化合物を混練温度:290℃、L/D:30、スクリュー回転数:300rpmの条件で2軸押し出し機を用いて混練を行い、ストランドを3mm角のチップ状にカッティングしてチップを得た。
ポリエステル系繊維として固有粘度(IV)が0.65のポリエチレンテレフタレートを用い、イミド構造を含有する化合物としてガラス転移温度(Tg)が210℃であるGE Plastics社製のポリエーテルイミド(製品名ULTEM(登録商標)1010)を用いた。表1に示すシリコーン系化合物1〜5を用いて、配合比を75wt%(ポリエチレンテレフタレート):20wt%(ポリエーテルイミド):5wt%(シリコーン系化合物)として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミドおよびシリコーン系化合物を混練温度:290℃、L/D:30、スクリュー回転数:300rpmの条件で2軸押し出し機を用いて混練を行い、ストランドを3mm角のチップ状にカッティングしてチップを得た。
その後、得られたチップを真空乾燥機で150℃、12時間、2Torrで乾燥した後、紡糸温度295℃、紡糸速度3000m/min、口金口径0.35mm−48H(ホール)、吐出量85g/minの条件で紡糸を行い、組成比として75wt%(ポリエチレンテレフタレート):20wt%(ポリエーテルイミド):5wt%(シリコーン系化合物)のPOY糸を得た。次いで、該POY糸を加工速度400m/min、セット温度200℃、ツイスター回転数3000rpmの条件で延伸仮撚り機を用いて延伸、仮撚りし、得られる仮撚り加工糸の繊度が167dtex−48フィラメントになるような延伸倍率で延伸仮撚りを行い、仮撚り加工糸を得た。
その後、得られた延伸糸を用いて、織り組織:平織、縦糸密度99本/インチ、緯糸密度90本/インチの条件でエアジェットルームを用いて製織した後、精練、中間セットを行い燃焼試験に使用する繊維布帛を得た。
得られた布帛を用いて前記した燃焼評価方法に準じて接炎回数、ドリップ回数を評価した結果、実施例1〜5は接炎回数は10回以上であり、ドリップ回数は0回であり、炭化性は○であり難燃性とドリップ抑制の効果に優れる結果を得た。
また、ドライクリーニング処理によって得られた繊維布帛試料を再度燃焼評価方法に準じて接炎回数、ドリップ回数を評価した結果、表3に示すとおり実施例1〜5はドライクリーニング前と同等の性能を発現し、ドライクリーニング耐久性に優れる結果を得た。
比較例1
配合比を100wt%(ポリエチレンテレフタレート)としてポリエチレンテレフタレート100wt%からなる繊維布帛を実施例1〜5と同様にして作製した。尚、イミド構造含有化合物、シリコーン系化合物を含まないため、混練は行わなかった。
配合比を100wt%(ポリエチレンテレフタレート)としてポリエチレンテレフタレート100wt%からなる繊維布帛を実施例1〜5と同様にして作製した。尚、イミド構造含有化合物、シリコーン系化合物を含まないため、混練は行わなかった。
得られた布帛を用いて前記した燃焼評価方法に準じて接炎回数、ドリップ回数を評価した結果、比較例1は接炎回数は1回であり、ドリップ回数は10回以上であり、難燃性とドリップ抑制の効果、炭化性はともに低かった。
比較例2
配合比を95wt%(ポリエチレンテレフタレート):5wt%(表1に示すシリコーン系化合物1)とした以外は実施例1〜5と同様にして繊維布帛を作製した。
配合比を95wt%(ポリエチレンテレフタレート):5wt%(表1に示すシリコーン系化合物1)とした以外は実施例1〜5と同様にして繊維布帛を作製した。
得られた布帛を用いて前記した燃焼評価方法に準じて接炎回数、ドリップ回数を評価した結果、比較例1は接炎回数は5回であり、ドリップ回数は0回であり、炭化性は△であり、ドリップ抑制の効果は実施例1〜5と同等であるが、難燃性、炭化性は低かった。
比較例3
配合比を80wt%(ポリエチレンテレフタレート):20wt%(実施例1〜5と同様のポリエーテルイミド)とした以外は実施例1〜5と同様にして繊維布帛を作製した。
配合比を80wt%(ポリエチレンテレフタレート):20wt%(実施例1〜5と同様のポリエーテルイミド)とした以外は実施例1〜5と同様にして繊維布帛を作製した。
得られた布帛を用いて前記した燃焼評価方法に準じて接炎回数、ドリップ回数を評価した結果、比較例1は接炎回数は1回であり、ドリップ回数は10回以上であり、炭化性は×であり、難燃性とドリップ抑制の効果、炭化性はともに低かった。
比較例4
シリコーン系化合物として表1のシリコーン系化合物6を用いた以外は実施例1〜5と同様にして繊維布帛を作製した。
シリコーン系化合物として表1のシリコーン系化合物6を用いた以外は実施例1〜5と同様にして繊維布帛を作製した。
得られた布帛を用いて前記した燃焼評価方法に準じて接炎回数、ドリップ回数を評価した結果、比較例1は接炎回数は5回であり、ドリップ回数は2回であり、炭化性は△であり、難燃性とドリップ抑制の効果、炭化性はともに低かった。
Claims (4)
- ポリエステル系繊維を含有するインテリア繊維製品であって、ポリエステル系繊維中にRSiO1.5(Rは有機基)で示される構成単位を有するシリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物を含有し、且つJIS L1091(1992) D法において規定される防炎試験でドリップ(溶融滴下)が無いことを特徴とするインテリア繊維製品。
- シリコーン系化合物を構成する有機基Rがフェニル基を含み、且つフェニル基の含有量がシリコーン系化合物を構成する全有機基に対してモル比で30mol%以上であることを特徴とする請求項1に記載のインテリア繊維製品。
- シリコーン系化合物に含まれるシラノール基含有量がシリコーン系化合物に対して重量比で2%以上10%以下含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインテリア繊維製品。
- イミド構造を有する化合物が、ポリエーテルイミドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインテリア繊維製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006200589A JP2008025062A (ja) | 2006-07-24 | 2006-07-24 | インテリア用繊維製品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006200589A JP2008025062A (ja) | 2006-07-24 | 2006-07-24 | インテリア用繊維製品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008025062A true JP2008025062A (ja) | 2008-02-07 |
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ID=39115999
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008025062A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023245935A1 (zh) * | 2022-06-20 | 2023-12-28 | 浙江蓝天海纺织服饰科技有限公司 | 耐洗碳化膜无熔滴面料 |
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2006
- 2006-07-24 JP JP2006200589A patent/JP2008025062A/ja active Pending
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WO2023245935A1 (zh) * | 2022-06-20 | 2023-12-28 | 浙江蓝天海纺织服饰科技有限公司 | 耐洗碳化膜无熔滴面料 |
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