JP2008025049A - ポリエステル系繊維構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 難燃繊維素材として用いられる用途、具体的には繊維製品、車両内装材、インテリア素材、衣料素材、などで燃焼時に素材のドリップ(溶融滴下)がなく、難燃性能に優れたポリエステル系繊維構造物を提供する。
【解決手段】 RSiO1.5(Rは有機基)で示される単位を含有するシリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物とを含有するポリエステル系繊維構造物において、繊維構造物中の分散物の平均分散径が1nm〜1000nmの範囲であることを特徴とするポリエステル系繊維構造物。
【選択図】なし

Description

本発明は難燃素材、特にポリエステル系繊維構造物に関して、燃焼時にドリップ(溶融滴下)がなく、かつ難燃性を発現することのできる難燃素材に関するものである。
従来、ポリエステル系繊維の難燃化手法として、含塩素系難燃剤、含臭素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤、またはハロゲン系難燃剤とアンチモン系難燃剤を含有させた素材が数多く提案されている。しかしながら、これらの素材は難燃性には優れるものの、ハロゲン系難燃剤は燃焼時にハロゲン化ガスを発生させる懸念があるなどの問題があり、これらの問題を解決するために数多くの検討がなされている。
例えばハロゲン元素やアンチモン元素を含まないリン化合物を使用したリン系難燃剤を含有した素材が数多く提案されているが、ハロゲン系・アンチモン系難燃剤よりも難燃性能が低く、難燃素材として課題が残っている。
これらの問題を解決するためにハロゲン元素、アンチモン元素、リン元素を含まないシリコーン系化合物を使用した検討が行われている。
このシリコーン系化合物とは1官能性のRSiO0.5(M単位)、2官能性のRSiO1.0(D単位)、3官能性のRSiO1.5(T単位)、4官能性のSiO2.0(Q単位)で示される構造単位のいずれかから構成されるものである。
このシリコーン系化合物を利用して難燃性を付与する例として、ポリエステル系繊維構造物にシリコーン系化合物を含有させてなり、繊維構造物中にシリコーン系化合物を平均分散径0.1nm〜1000nmで分散させている繊維構造物が提案されている(特許文献1参照)。
この例は、シリコーン系化合物を含有させ、且つシリコーン系化合物の平均分散径を規定することによって難燃性、耐ドリップ性を発現しているが、シリコーン系化合物のみでは、難燃性、耐ドリップ性の効果に限度があり、更なる改善が望まれている。
また、ポリエステルにポリエーテルイミド−オルガノシロキサンコポリマーをブレンドすることにより難燃性を得る発明が提案されている(特許文献2参照)。この例では本願と同じくイミド構造を持つ化合物が使われているが、使用しているシリコーン系化合物がRSiO1.0の構造単位からなり、シリコーン系化合物の耐熱性が低いため難燃性も低くなる。このように従来の技術では未だ課題が残っており、難燃性の更なる改善が望まれている。
特開2005−97819号公報 (請求項1) 特開平07−166040号公報 (請求項1)
本発明は前記した現状に鑑み、燃焼時のドリップが改善され、かつ難燃性が発現するポリエステル系繊維構造物を提供することを目的とするものである。
本発明では以下の構成を有する。すなわち、RSiO1.5(Rは有機基)で示される単位を含有するシリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物とを含有するポリエステル系繊維構造物において、分散物の平均分散径が1nm〜1000nmの範囲であることを特徴とするポリエステル系繊維構造物。
本発明は、難燃性を発現し、かつ、燃焼時のドリップが無く、産業用途、衣料用途、非衣料用途などに用いることが可能な難燃繊維素材を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、ポリエステル系繊維中にRSiO1.5で示される単位を含有するシリコーン系化合物、イミド構造を有する化合物を含有し、ポリエステル系繊維中の分散物の平均分散径が1nm〜1000nmの範囲である繊維構造物である。
本発明におけるポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリ乳酸から選ばれたものが好ましく、1種類、または2種類以上のポリエステルを選んでもよい。ポリ乳酸はポリ−L−乳酸、およびポリ−D−乳酸のいずれを用いてもよい。
ポリエステル系繊維は繊維構造物中に主成分として存在していることが、難燃性、ドリップ抑制効果の観点から好ましく、繊維構造物に対して重量比で50%以上含有していることがより好ましく、70%以上含有していることがさらに好ましい。しかし、ドリップ抑制の効果、難燃性の低下が無い範囲で、他の有機ポリマーや無機化合物とのブレンド、アロイ、コンポジットなどを用いることも可能である。また、他の繊維との混紡や混繊なども可能である。
また、本発明のシリコーン系化合物とは、RSiO1.5(T単位)の構造単位を少なくとも含むシリコーン系化合物である。シリコーン系化合物の耐熱性の観点から、好ましくはRSiO1.5の構造単位をシリコーン系化合物全体に対してモル比で30%以上含有することが好ましく、60%以上含有することがさらに好ましい。シリコーン系化合物にT単位を含むことでシリコーン系化合物の耐熱性が向上し、燃焼時にシリコーン系化合物の分解が抑制され、難燃性を向上することができる。
また、シリコーン系化合物のシラノール基量は重量比で全シリコーン系化合物に対して2%以上10%以下であることが好ましく、3%以上8%以下がより好ましく、3%以上7%以下がさらに好ましい。ここで、シラノール基量とは、シリコーン系化合物中のSiに結合したOH基の重量%のことである。
シラノール基量は、29Si−NMRにおいてシラノール基を含有しない構造由来のSiO2.0、RSiO1.5、RSiO1.0、RSiO0.5のピーク面積(積分値)とシラノール基を含有する構造由来のSi(OH)、SiO0.5(OH)、SiO1.0(OH)、SiO1.5(OH)、RSi(OH)、RSiO0.5(OH)、RSiO1.0(OH)、RSi(OH)、RSiO0.5(OH)、RSi(OH)のピークの面積(積分値)の比から算出することが可能である。
例えば、シリコーン系化合物がRSiO1.5とRSiO1.0(OH)のみからなる場合は、RSiO1.5とRSiO1.0(OH)の積分値の比が1.5(RSiO1.5):1.0(RSiO1.0(OH))であれば、下記式1の通り求めることができる。
(式1)
シラノール基量(wt%)
={(17×RSiO1.0(OH)の積分値の比)/(RSiO1.0(OH)の分子量×RSiO1.0(OH)の積分値の比+RSiO1.5の分子量×RSiO1.5積分値の比)}×100
={(17×1.0)/(138×1.0+129×1.5)}×100
=5.13
シラノール基量を上記範囲内とすることで、燃焼時にポリエステルやイミド構造を有する化合物とシリコーン系化合物が架橋構造を形成し、繊維構造物の炭化を促進するため、ドリップを抑制することができる。
シラノール基量が上記の範囲を下回ると、ドリップ抑制の効果が低くなるため好ましくない。一方、シラノール基量が上記の範囲を上回ると、ドリップ抑制の効果は平衡に達するにもかかわらず、ポリエステル系樹脂と溶融混練する際にゲル化する可能性があり、物性の低下や加工特性の低下を招く場合がある。
また、シリコーン系化合物はQ単位の構造単位からなる場合を除いて、Si元素と結合する有機基を含有している。ここでいう有機基としては、水素基、水酸基、炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられる。
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基、アリル基、メタクリル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、フェニル基やナフチル基が挙げられる。
シリコーン系化合物の汎用性や分散性の観点から有機基は水酸基、メチル基およびフェニル基から選ばれた基が好ましく、さらに好ましくはフェニル基である。
フェニル基の含有量は、シリコーン系化合物の耐熱性や分散性の観点から、シリコーン系化合物中に含まれる全有機基に対してモル比で30%以上であることが好ましく、50%以上含有することがより好ましい。
また、シリコーン系化合物は、ポリエステルへの分散性の観点から、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されポリスチレン換算で求められる重量平均分子量が500以上100000以下の範囲が好ましく、さらに好ましくは1000以上10000以下の範囲である。シリコーン系化合物の重量平均分子量を該範囲とすることで、本発明を実施する上で良好な分散性が得られる。
次に本発明のイミド構造を有する化合物とは分子構造中に−CO−NR′−CO−(R′は有機基)の構造を有する化合物のことである。
イミド構造を有する化合物としては、熱可塑性を有するものが加工性の点から好ましく、ガラス転移温度が130℃以上300℃以下であるのがさらに好ましい。
イミド構造を有する化合物として、具体的にはポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。
このイミド構造を有する化合物としては、例えば、下記一般式で示されるような構造単位を含有するものが好ましい。
Figure 2008025049
上記式中のArは6〜42個の炭素原子を有する芳香族基であり、R′は6〜30個の炭素原子を有する芳香族基、2〜30個の炭素原子を有する脂肪族基、および4〜30個の炭素原子を有する脂環族基からなる群より選択された2価の有機基である。
上記一般式において、Arとしては、例えば、
Figure 2008025049
Figure 2008025049
を挙げることができる。R′としては、例えば、
Figure 2008025049
Figure 2008025049
(式中、nは2〜30である)
を挙げることができる。
これらは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、1種または2種以上がポリマー鎖中に存在してもよい。
イミド構造を有する化合物は、特に限定されないが、ポリエステルとの溶融成形性や取り扱い性などの点から、好ましい例として、下記一般式で示されるように、ポリイミド構成成分にエーテル結合を含有するポリエーテルイミドを挙げることができる。
Figure 2008025049
ただし、上記式中Rは、2〜30個の炭素原子を有する芳香族基、脂肪族基、および脂環族基からなる群より洗濯された2価の有機基である、Rは、前記R′と同様の2価の有機基である。
上記R1、R2の好ましい例としては、下記式群に示される芳香族基
Figure 2008025049
を挙げることができる。
ポリエステルとの相溶性、溶融成形性などの観点から、下記式で示される構造単位を有する、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン2無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物が好ましい。
Figure 2008025049
この構造単位を有するポリエーテルイミドは、“ウルテム”(登録商標)の商標名で、ジーイープラスチックス社より入手可能である。例えば、m−フェニレンジアミン由来の構造単位(化7の式)を有するポリエーテルイミドとして、“ウルテム(登録商標)1010”および“ウルテム(登録商標)1040”が挙げられる。また、p−フェニレンジアミン由来の単位を含む構造単位(化8の式)を有するポリエーテルイミドとして、“ウルテム(登録商標)CRS5000”が挙げられる。
また、イミド構造を有する化合物の他の好ましい例として、ポリエステルとの溶融成形性や取り扱い性などの点から、前記一般式中のArが、
Figure 2008025049
から選ばれたものであり、R′が、
Figure 2008025049
から選ばれたものであるポリマーを挙げることができる。
このポリイミドは、公知の方法によって製造することができる。例えば、上記Arを誘導することができる原料であるテトラカルボン酸および/またはその酸無水物と、上記R′を誘導することができる原料である脂肪族1級ジアミンおよび/または芳香族1級ジアミンよりなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物とを脱水縮合することにより得られる。具体的には、ポリアミド酸を得て、次いで、加熱閉環する方法を例示することができる。または、酸無水物としてピリジン、カルボジイミドなどの化学閉環剤を用いて化学閉環する方法、上記テトラカルボン酸無水物と上記R′を誘導することのできるジイソシアネートとを加熱し、脱炭酸を行って重合する方法なども例示することができる。
イミド構造を有する化合物とシリコーン系化合物とを繊維構造物中に含有することで、燃焼時にシリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物とポリエステルとが効率よく炭化層を形成することが可能であり、シリコーン系化合物、イミド構造を有する化合物をそれぞれ単独で含有した場合よりもドリップ抑制の効果や難燃性を著しく向上することができる。
シリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物の含有比はドリップ抑制の効果、難燃性の観点から重量比で5(シリコーン系化合物):95(イミド構造を有する化合物)〜95:5の範囲が好ましく、さらに好ましくは10:90〜90:10の範囲が好ましい。
また、本発明では分散物の平均分散径が1nm〜1000nmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1nm〜800nmの範囲であり、より好ましくは1nm〜500nmの範囲である。分散物の平均分散径が前記の範囲内であることが、製糸性、力学特性、難燃性、ドリップ抑制効果の観点から好ましい。
本発明でいう分散物とは、TEM(透過型電子顕微鏡)により繊維断面を観察したときに観察されるシリコーン系化合物あるいはイミド構造を有する化合物である。該化合物であればどちらでもよく、1種または2種以上含まれていてもよい。
分散物の分散径はTEM(透過型電子顕微鏡)により繊維断面を観察することで測定できる。本発明でいう分散径とは、任意に単繊維を3カ所選択し、その繊維の横断面をTEMにより5000倍〜20000倍の範囲で観察することにより見られる分散物の断面の一方向の最大径Xと該一方向に対して垂直方向の最大径Yの平均値のことである(図1参照)。分散物の断面形状は円、楕円、多角形あるいは多葉形でも良い。この条件で観察された分散物の分散径のうち最も大きいものから20個選択し、その平均値を平均分散径としている。
また、例えば単繊維の縦断面を観察した場合には、分散物の最長直径は横断面での最長直径の1倍〜数倍で観察される。縦断面での最長直径は紡糸速度に影響され、紡糸速度が速ければ縦断面での最長直径は大きくなり、防止速度が遅ければ縦断面での最長直径は小さくなる。
また、本発明では分散物の最大分散径が1000nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは800nm以下で、より好ましくは500nm以下である。本発明でいう最大分散径とは、前記方法で観察される分散物の分散径のうち、最も値の大きい分散径のことである。
分散物の最大分散径を上記範囲内とすることで、分散物の粗大化による、製糸性、力学特性の低下を防止することができ、また、繊維構造物の燃焼時の架橋を促進することにより、難燃性、ドリップ抑制効果が著しく向上する。
また、本発明のポリエステル系繊維構造物には、ヒンダートフェノール系、アミン系、ホスファイト系、チオエステル系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系などの紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、シアニン系、スチルベン系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ベリノン系、キナクリドン系などの有機顔料、無機顔料、蛍光増白剤、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタンなどの粒子、抗菌剤、静電剤などの添加剤が含有されていてもよい。
本発明のポリエステル系繊維はフィラメントもしくはステープルの形態が挙げられる。例えば衣料用途のフィラメントとしては、単糸繊度が0.1dtex〜100dtexの範囲であり、総繊度として50dtex〜300dtexで、フィラメント数が10本〜100本の範囲のマルチフィラメントが好適に用いられる。
また、例えば産業用とのフィラメントとしては、単糸繊度が10dtex〜1000dtexの範囲であり、総繊度として100dtex〜10000dtexで、フィラメント数が10本〜100本の範囲のマルチフィラメントが好適に用いられる。
また、織物、編物、不織布などの布帛形態も挙げられる。
例えば衣料用途の場合には、上記フィラメントを、例えば一重組織である三原組織や変化組織、二重組織であるよこ二重組織やたて二重組織などの織物に製織すればよい。このときの織物の質量は50g/m以上500g/m以下の範囲が好ましい。
また、産業用途のフィラメントについても、衣料用途と同様に織物に製織して用いることができる。このときの織物の質量は300g/m以上1500g/m以下の範囲が好ましい。
また、本発明は後加工による影響を受けないため、様々な後加工をすることができる。例えば、浴中加工、吸尽加工、コーティング加工、Pad−dry加工、Pad−steam加工などにより撥水性、親水性、制電性、消臭性、抗菌性、深色性などの機能を付与することができる。
本発明は、特に耐ドリップ性や難燃性の必要な繊維製品、例えばカーシートやカーマットなどの車両内装材、カーテン、カーペット、椅子張り地などのインテリア素材、衣料素材などで好適に用いることができる。
次に本発明の製造方法に関して詳細に説明する。
シリコーン系化合物は、一般的な重縮合によって製造することができる。例えばRSiOCl(トリオルガノクロロシラン)、RSiOCl(ジオルガノジクロロシラン)、RSiOCl(モノオルガノトリクロロシラン)、SiOCl(テトラクロロシラン)をモノマーとして用い、酸もしくはアルカリの触媒下で縮合せしめ、シリコーン系化合物を合成する。目的とするM、D、T、Q単位のモル比に応じて、原料のRSiOCl(M単位に相当)、RSiOCl(D単位に相当)、RSiOCl(T単位に相当)、SiOCl(Q単位に相当)のモル比を調整する。
また、シリコーン系化合物に含有される有機基Rの含有量は、前記したモノマーにおける有機基Rの含有量に支配される。したがって、シリコーン系化合物に含有されるフェニル基の含有量は、前記したモノマーのRの所望の量だけフェニル基で置換することにより調整することができる。
また、モノマーのモル比を調整する、アルコキシドと反応させるなどして、シリコーン系化合物に含有されるシラノール基の含有量を制限することも可能である。シラノール基の含有量は、前記したとおり29Si−NMRにより測定可能である。
また、シリコーン系化合物の重量平均分子量は、製造時の反応時間により制御可能である。分子量の測定はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定し、ポリスチレン換算で算出することができる。
イミド構造を有する化合物の製造方法は、前記した通り、テトラカルボン酸および/またはその酸無水物と、上記R′を誘導することができる原料である脂肪族1級ジアミンおよび/または芳香族1級ジアミンよりなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物とを脱水縮合する、などが例示できる。
シリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物を付与する方法としては、ポリエステルの重合時に添加する方法、ポリエステルとこれらの化合物を溶媒に溶解して混合した後、乾燥する方法、ポリエステルとこれらの化合物を2軸押し出し機やバンバリーミキサーなどの混練機で溶融混合する方法、紡糸して繊維構造物を得た後に、後加工によりこれらの化合物を付与する方法などが挙げられるが、ポリエステルにシリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物を付与できればこれらに限るものではない。
シリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物が十分に分散された樹脂組成物を安定して製造できる点から、ポリエステルとこれらの化合物を2軸押し出し機やバンバリーミキサーなどの混練機で溶融混合させる方法が好ましい。
繊維構造物の製造方法としては、例えば溶融紡糸機を用いて製造する方法が挙げられる。
例えば、前記した方法によって得られた樹脂組成物を3mm角のチップの形状にカッティングした後、該チップを溶融紡糸機のホッパーに仕込み、ポリエステルの溶融温度以上で溶融紡糸を行うことで繊維構造物を得ることができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
まず、実施例および比較例におけるシリコーン系化合物を下記の通り製造した。
<M、D、T、Q単位の含有量調整>
SiOCl(RSiO0.5に相当)、RSiOCl(RSiO1.0に相当)RSiOCl(RSiO1.5に相当)、SiOCl(SiO2.0に相当)を表1に示す各構造単位のモル比にて混合した後、水にて加水分解し、発生する塩酸はメタノールによって取り除いた。次いで、水酸化カリウムを触媒として縮合し、RSiO0.5、RSiO1.0、RSiO1.5、SiO2.0の構造単位の割合が異なるシリコーン系化合物を製造した。
<フェニル基、メチル基の含有量調整>
前記したR部分をそれぞれフェニル基、メチル基で置換した原料を用い、両者のモル比でフェニル基およびメチル基の割合の異なるシリコーン系化合物を製造した。
<シラノール基の含有量の調整>
シリコーン系化合物を縮合する際の反応時間を各々調整して、シリコーン系化合物を製造した。製造したシリコーン系化合物を29Si−NMRにより、溶媒としてCDCl、標準物質としてテトラメチルシランを用いて、積算回数256回で測定した。シラノール基を含有しない構造由来のSiO2.0、RSiO1.5、RSiO1.0、RSiO0.5のピークの面積(積分値)とシラノール基を含有する構造由来のSi(OH)、SiO0.5(OH)、SiO1.0(OH)、SiO1.5(OH)、RSi(OH)、RSiO0.5(OH)、RSiO1.0(OH)、RSi(OH)、RSiO0.5(OH)、RSi(OH)のピーク面積(積分値)の比からシラノール基量(wt%)を算出した。
実施例および比較例におけるシリコーン化合物のそれぞれの物性については表1に示す。
<分散径の測定(繊維断面観察)>
手 法 :超薄切片法
観察装置 :透過型電子顕微鏡(日立 H800型)
超薄切片作製装置:ウルトラミクロトーム(Sorvall社 MT6000型)
切断方向 :横断(繊維断面方向)
分散径測定:画像解析ソフト(三谷商事 WinRooF5.0)
<重量平均分子量の測定>
シリコーン系化合物を縮合する際の反応時間を各々調整し、得られたシリコーン系化合物を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、離溶液としてクロロホルム、サンプル濃度1wt%の条件で、示差屈折率検出器(RI)で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を算出した。
また、各実施例および比較例における燃焼評価については下記の通り行った。
<繊維構造物の難燃性および耐ドリップ性の評価方法>
長さ100mm、質量1gの繊維構造物を試験片として作製し、JIS L1091(1992) D法に準じて評価したときの接炎回数、接炎後のドリップの回数を評価した。
後述するポリエステルの固有粘度(IV)は下記方法で測定した値である。
<固有粘度(IV)>
0.8000gのポリマーを12.61gのo−クロロフェノールと混合し、混合物を100℃に加熱し、かつ、30分の攪拌処理を行うことでポリマーを溶解させ、自然冷却後の溶解液から粘度自動測定器(yamato AUTO VISCOMETER)によって求められた値。
実施例1〜7、比較例1〜3
ポリエステルとして固有粘度(IV)が0.65のポリエチレンテレフタレートを用い、イミド構造を含有する化合物としてガラス転移温度(Tg)が210℃であるGE Plastics社製のポリエーテルイミド(製品名ULTEM(登録商標)1010)を用いた。配合比を75wt%(ポリエチレンテレフタレート):20wt%(ポリエーテルイミド):5wt%(シリコーン系化合物)として、混練機バレル温度:290℃、L/D:30、スクリュー回転数:300rpmの条件で2軸押し出し機を用いて混練を行い、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミドおよびシリコーン系化合物を含有した樹脂組成物を得た。混練により得られた樹脂組成物を3mm角のチップにカッティングし、得られたチップを真空乾燥機で150℃、12時間、2toorで乾燥した。乾燥したチップを紡糸温度295℃、紡糸速度1500m/min、口金口径0.23mm−36ホール、吐出量58g/minの条件で紡糸を行い、組成比として75wt%(ポリエチレンテレフタレート):20wt%(ポリエーテルイミド):5wt%(シリコーン系化合物)の未延伸糸を得た。次いで該未延伸糸を、延伸機を用いて延伸した。加工速度400m/min、延伸温度90℃、セット温度130℃の条件で、得られる延伸糸の繊度が110dtex−36フィラメントとなるような延伸倍率で延伸を行い、延伸糸を得た。
その後、得られた延伸糸を筒編み機で織物の繊維構造物とし、長さ100mm、質量1gの試験片を作製し、難燃性、耐ドリップ性の評価を行った。
なお、比較例1では前記の固有粘度(IV)が0.65のポリエチレンテレフタレートから得られる延伸糸で繊維構造物を作製し、比較例2では比較例1で使用したポリエチレンテレフタレートと実施例1で使用したシリコーン系化合物を、使用して得られた延伸糸から繊維構造物を作製し、比較例3では比較例1で使用したポリエチレンテレフタレートとイミド構造を有する化合物として前記のガラス転移温度(Tg)が210℃であるGE Plastics社製のポリエーテルイミド(製品名ULTEM(登録商標)1010)を使用して得られた延伸糸で繊維構造物を作製した。
その結果、表1に示すとおり、実施例1〜7はドリップが無く、比較例1および3と比較して高いドリップ抑制効果を示した。また、実施例1〜7は、難燃性の指標である接炎回数も比較例1〜3よりも多い回数を示し、ドリップ抑制効果と難燃性に優れている結果が得られた。
Figure 2008025049
本発明のポリエステル系繊維構造物中の分散物の平均分散径の測定を説明するための模式図である。
符号の説明
X:分散物断面の一方向の最大径
Y:分散物断面の該一方向に対して垂直方向の最大径

Claims (7)

  1. RSiO1.5(Rは有機基)で示される単位を含有するシリコーン系化合物とイミド構造を有する化合物とを含有するポリエステル系繊維構造物において、繊維構造物中の分散物の平均分散径が1nm〜1000nmの範囲であることを特徴とするポリエステル系繊維構造物。
  2. 分散物の最大分散径が1000nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系繊維構造物。
  3. シリコーン系化合物を構成する有機基がフェニル基を含み、且つフェニル基の含有量がシリコーン系化合物を構成する全有機基に対してモル比で30%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル系繊維構造物。
  4. シリコーン系化合物のシラノール基含有量が重量比で2%以上10%以下含有であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル系繊維構造物。
  5. イミド構造を有する化合物が熱可塑性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル系繊維構造物。
  6. イミド構造を有する化合物が、ポリエーテルイミドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル系繊維構造物。
  7. ポリエステル系繊維構造物がポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸のいずれかを1種または2種以上、50重量%以上含有してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステル系繊維構造物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104452310A (zh) * 2014-11-19 2015-03-25 安徽聚顺塑业科技有限公司 基于废旧衣物制备高性能涤纶纤维新工艺

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