JP2010058517A - 積層加工紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面が和紙調で、裏面又は中間層が、強靭な不織布からなり、意匠性、通気性、強度等に優れる積層加工紙を提供。
【解決手段】平均繊径が0.5〜10デニール、厚みが0.05〜2.0mm、目付けが10〜120g/m2、部分熱圧着率が2〜25%のスパンボンド法のポリエステル系不織布Bの片面もしくは両面に、ビガット軟化点30〜160℃、塗布量4〜30g/m2のホットメルト系樹脂のメルトブロー方式で得られる繊維状シートを、部分または全面接合の接着剤層を形成し、その上に、目付け20〜60g/m2の和紙Aを重ね、加圧又は加熱・加圧して、A又はBの内部に接着剤を浸透させることなく、表面同士を接合させてなる積層加工紙であって、AとBとの重量比が30〜70重量%:70〜30重量%、目付けが55〜150g/m、湿潤時引張強力が3〜30kg/5cm、引裂強力が120〜1000gである積層加工紙の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、強く、破れ難い積層加工紙に関する。更に詳しくは、表面が和紙調で、裏面又は中間層が、強靭な不布からなり、意匠性、通気性、強度などに優れる積層加工紙に関する。
パルプ、レーヨン繊維、植物繊維などのセルロース繊維からなる通常の紙は、吸水性、通気性、吸湿性を有しており、従来から障子紙、襖紙、壁紙等の建材分野、各種製品の包装材料、紙おむつなどの各種衛生材料、おしぼりなどの各種拭取り材料、各種フィルター、などに幅広く利用されている。
しかるに、紙は、和紙調の品位、印刷性、吸水性、通気性、意匠性及び糊付加工性など優れているが、強度、引裂強度、特に水に濡れた場合の強度、引裂強度が低く破れ易い等の強度上の問題がある。
そこで、湿潤時の強度を改善させるために例えば、特許文献1には鞘部及び芯部を構成する2成分からなる複合繊維を用いた不織布と紙とを湿式抄紙方式で製造する方法が開示されているが、不織布と紙との接着が不十分であり、また乾燥工程での温度を高くする必要があることから、表面の光沢が発生し易いなどの問題がある。
特開平5−27997号公報
本発明の目的は、上記問題点を解決し、紙の持つ特徴を十分に活かすことにある。即ち、薄くて、強度のある不布と紙とを十分な接着力で貼り合わせることにより、紙の外観品位を保ちつつ、水にぬれても強度のある積層加工紙を得ることである。
本発明者は、鋭意検討した結果、不織布と紙とを積層するに際し、ホットメルト系樹脂接着層を介して積層することにより、両者を強固に積層することができ、それにより前記課題を解決し得ることを見出し、本発明に到った。
すなわち本発明は、
(1)平均繊維径が0.5〜10デニール、厚みが0.05〜2.0mm、目付けが10〜120g/m2、部分熱圧着率が2〜25%のスパンボンド法によるポリエステル系長繊維不織布Bの片面もしくは両面に、ビガット軟化点が30〜160℃、塗布量が4〜30g/m 2 のホットメルト系樹脂のメルトブロー方式で得られる繊維状シートを、部分接合または全面接合に積層し接着剤層を形成してから、該接着剤層の上に、目付け20〜60g/m 2 の和紙Aを重ね、加圧又は加熱・加圧して、和紙又は不織布の内部に接着剤を浸透させることなく、表面同士を接合させてなる積層加工紙であって、該積層加工紙の和紙Aと不織布Bとの重量比が30〜70重量%:70〜30重量%、目付けが55〜150g/m、湿潤時の引張強力が3〜30kg/5cm、引裂強力が120〜1000gであることを特徴とする積層加工紙の製造方法、
(2)(1)記載の製造方法で得られた積層加工紙、
(3)(1)記載の製造方法で得られた積層加工紙を用いてなる包装紙、である。
本発明の積層加工紙は、和紙調の外観品位に優れ、水にぬれても高い強度を持つ、意匠性、通気性、強度などに優れていることから、障子紙、襖紙、壁紙等の建材分野、各種製品の包装材、おしぼりなどの各種拭取り材、各種フィルターなどに幅広く利用される。
本発明の積層加工紙の断面概略図を表し、(イ)は不織布の表裏両面に接着剤層を介して紙を積層した積層加工紙であり、(ロ)は不織布の表面に接着剤層を介して紙を積層した積層加工紙である。
本発明の積層加工紙は、意匠性優れる紙と、薄くて、強度に優れる不織布とを、ホットメルト系樹脂接着層で貼り合わせたものである。
本発明の積層加工紙の断面概略図を図1に示す。図1の(イ)は不織布からなる中間層の表裏両面に接着剤層を介して紙を積層した積層加工紙の断面概略図であり、同(ロ)は中間層の表面のみに紙を積層した積層加工紙の断面概略図であり、図中の1は紙、2は不織布、3は接着剤層を表す。
本発明の積層加工紙においては、積層加工紙を構成する紙Aと不織布Bとの重量比は、A:B=20〜80重量%:80〜20重量%であり、好ましくは30〜70重量%:70〜30重量%である。
積層加工紙の目付は、厚み、強度、吸水性、通気性、吸湿性、価格などの観点から、30〜150g/m2 であり、好ましくは40〜120g/m2 の範囲である。目付が30g/m2 未満では、薄すぎて強度が低く破れ易く、一方150g/m2 以上では、強度が高いが、厚み、剛性が大きく、価格が高くなる。
本発明の積層加工紙の湿潤時の引張強力は1kg/5cm以上、好ましくは3〜30kg/5cmの範囲であり、この範囲であると水にぬれても強度があり破れ難いものとなり、一方、1kg/5cm未満では水にぬれて容易に破れるものとなる。
本発明の積層加工紙の引裂強力は100g以上であり、好ましくは120〜1000gの範囲であり、それにより破れ難く、強靭な特性を有するものとなり、一方、100g未満では、破れ、裂け易いものとなる。
本発明の積層加工紙に用いられる不布は、厚みが薄くて、強度が高いことが必要であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフイン系繊維、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維、及び、共重合ポリエステル系繊維、共重合ポリアミド系繊維、芯鞘型複合繊維、サイドイサイド型複合繊維などが挙げられ、これらの単一、又は2種以上からなる長繊維、短繊維、又はこれらの混合繊維を既知のスパンボンド法、サーマルンド法、ニードルパンチ法、ウォーターニードル法などにより処理して得られた不織布である。
特に、スパンンド法により得られた合繊長繊維不織布が、薄くて、強度に優れ、好ましく用いられる。
更に、合成繊維からなる長繊維不織布であって、熱エンボスロールなどにより部分熱圧着され、強度を向上させたもので、この時、不織布の部分熱圧着率は、単位面積当たりの熱圧着された部分の面積比で2〜25%のものが好ましく用いられる。
布は、構成繊維の平均繊維径が0.5〜10デニール、厚みが0.05〜2.0mm、目付が10〜120g/m2 、引張強力が1kg/5cm以上、引裂強力が100g以上のものが好ましく用いられる。
本発明の積層加工紙に用いられる紙は、ウッドパルプ、麻パルプなどのパルプ、レーヨン繊維、合成繊維などの化学繊維、1種又は2種以上混合して、公知の抄紙方式で生産される通常の和紙、洋紙、及び合成紙である。
本発明の積層加工紙の接着層に用いられるホットメルト系樹脂は、ビット軟化点(JIS−K−7206)が180度以下、好ましくは30〜160度のものである。
ホットメルト系樹脂の種類としては、例えば、低密度ポリエチレン系樹脂、ポリオレフイン系共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂、ポリアミド系樹脂、直鎖状ポリエステル系樹脂、合成ゴム系樹脂などの1種、又は2種以上の混合樹脂が挙げられ、粉末状、網目状、メルトブローからなる繊維状などにして、紙、又は不織布に塗布して用いられる。
紙と不布との接合は、ホットメルト系樹脂をスジ状、点状などに塗布する部分接合、又は繊維状、フィルム状、網目状などに塗布する全面接合により行うことができる。
具体的には、例えば、ホットメルト系樹脂をノズルから溶融状態で押出し、加熱空気により、噴射し、開繊し、捕集したメルトブロー方式の繊維状シートを、紙又は不布の表面に重ねて積層させ、上面より不布又は紙を重ねロールで加圧し、熱ロールなどで加熱・加圧して接合させる方法、
更に、3層構造にするには、再度同様にして繊維状シートを用いて接合させる方法、粉末状ホットメルト系樹脂(平均粒度が100〜1000μm、溶融時の粘度が高い)を公知の散布又は塗布装置を用いて紙又は不布の表面に均等に散布又は塗布させて、その上面に不布又は紙を重ね、赤外線ヒーターなどで加熱した後、熱ロールで加圧して接合する方法、及び、
樹脂をTダイなどから溶融押出しし、スジ状、フィルム状、網目状等に形成させたシートを、紙と不織布の間に介在させて、加圧、又は、加熱・加圧して接合する方法、などが挙げられる。
その際、紙又は不布に塗布したホットメルト系樹脂を紙又は不織布の内部に浸透させることなく、表面同士で接合させることが好ましく、従ってメルトブロー方式の繊維状シートを用いることがより好ましい。
ホットメルト系樹脂の塗布量は2〜40g/m2 、好ましくは4〜30g/m2 の範囲である。塗布量が2g/m2 未満では接着力が不足し剥離しやすくなり、一方、40g/m2 以上では接着力が十分であるが、価格が高くなり、かつ積層加工紙の剛性が増し柔軟性が不足する。
以下、本発明を実施例などを用いて更に具体的に説明すが、本発明はこれにより何等限定されるものではない。
尚、本発明の特性は、下記の方法にて測定した値である。
(1)目付;対象シートより、任意の3箇所から試料20cm×25cmの試験片を切り取り、その重量を測定し、その平均値を単位面積当たりの質量に換算した。(JIS−L−1906)
(2)厚み;直径10mmの加圧子で荷重10kaにて任意の10箇所測定し、その平均値である。(JIS−L−1906)
(3)引裂強度;JIS−L−1906トラベゾイド法に準じた。
(4)引張強度;JIS−L−1906に準じ、試料5cm×30cmの試験片を、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/分で引張試験機を用いて測定した。但し、湿潤時の測定は、試料を水道水(20℃)の中に30分浸たした後に測定した。
[実施例1〜4、比較例1〜7]
既知のスパンボンド法により、目付が15、20、30、40g/m2 のポリエステル長繊維不織を得た。該不織布は、平均繊維径が1.8デニールであり、部分圧着面積率が23%である。
次に、既知の抄紙方式で生産して、目付が20、30、60g/m2 の和紙を得た。各和紙の厚み、物性は表−1の比較例1〜3に示す通りである。
中間層としての表−1記載のポリエステル長繊維不織布の上に、接着剤層としてエチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂を既知のメルトブロー方式装置を用いてメルトブロー繊維状シートを形成させ、さらに、その上に表面層若しくは裏面層としての紙を重ねてから、ロールで加圧、又は加熱・加圧して、不織布と和紙とをメルトブロー繊維状シートを介して接合し、積層した。但し、ホットメルト系接着樹脂の塗布量は5g/m2 であった。
各不織布、及び和紙の特性は表−1の比較例に示す通りであり、それらを積層して得られた本発明の積層加工紙の特性は表−1に記載の通りである。
得られた本発明の積層加工紙は、表面が和紙調で、外観品位に優れ、且つ、水にぬれた場合の強度、引裂強度が高く破れ難く強鞍で、意匠性、通気性、強度などに優れている。
Figure 2010058517
本発明の積層加工紙は、和紙調の外観品位に優れ、水にぬれても高い強度を持、意匠性、通気性、強度などに優れていることから、障子紙、襖紙、壁紙等の建材分野、各種製品の包装材、おしぼりなどの各種拭取り材、各種フィルターなどに広く利用される。
1 紙
2 不織布
3 接着剤層

Claims (3)

  1. 平均繊維径が0.5〜10デニール、厚みが0.05〜2.0mm、目付けが10〜120g/m2、部分熱圧着率が2〜25%のスパンボンド法によるポリエステル系長繊維不織布Bの片面もしくは両面に、ビガット軟化点が30〜160℃、塗布量が4〜30g/m 2 のホットメルト系樹脂のメルトブロー方式で得られる繊維状シートを、部分接合または全面接合に積層し接着剤層を形成してから、該接着剤層の上に、目付け20〜60g/m 2 の和紙Aを重ね、加圧又は加熱・加圧して、和紙又は不織布の内部に接着剤を浸透させることなく、表面同士を接合させてなる積層加工紙であって、該積層加工紙の和紙Aと不織布Bとの重量比が30〜70重量%:70〜30重量%、目付けが55〜150g/m、湿潤時の引張強力が3〜30kg/5cm、引裂強力が120〜1000gであることを特徴とする積層加工紙の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法で得られた積層加工紙。
  3. 請求項1記載の製造方法で得られた積層加工紙を用いてなる包装紙。
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