JP2010056470A - 成膜装置及び成膜方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板の表面に複数の反応ガスを順番に供給して積層された反応生成物の薄膜を形成するにあたり、高いスループットが得られ、基板上にて複数の反応ガスが混合されることを防止して良好な処理を行うことができる成膜装置等を提供する。
【解決手段】成膜装置は回転方向に沿って複数の基板Wを載置する回転テーブル2を備え、分離領域Dは各反応ガスが供給される第1の処理領域P1と第2の処理領域P2との雰囲気を分離するために、これらの処理領域P1、P2の間に設けられている。第1の排気路63a及び第2の排気路63bはこれらの処理領域P1、P2の雰囲気を互いに独立して排気するために各々第1の真空排気手段64a、第2の真空排気手段64bと接続されている。
【選択図】図9

Description

本発明は、互いに反応する少なくとも2種類の反応ガスを順番に基板の表面に供給しかつこの供給サイクルを多数回実行することにより反応生成物の層を多数積層して薄膜を形成する技術に関する。
半導体製造プロセスにおける成膜手法として、基板である半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)等の表面に真空雰囲気下で第1の反応ガスを吸着させた後、供給するガスを第2の反応ガスに切り替えて、両ガスの反応により1層あるいは複数層の原子層や分子層を形成し、このサイクルを多数回行うことにより、これらの層を積層して、基板上への成膜を行うプロセスが知られている。このプロセスは、例えばALD(Atomic Layer Deposition)やMLD(Molecular Layer Deposition)等と呼ばれており(以下、ALD方式と呼ぶ)、サイクル数に応じて膜厚を高精度にコントロールすることができると共に、膜質の面内均一性も良好であり、半導体デバイスの薄膜化に対応できる有効な手法である。
このような成膜方法を実施する装置としては、真空容器の上部中央にガスシャワーヘッドを備えた枚葉式の成膜装置を用いて、基板の中央部上方側から反応ガスを供給し、未反応の反応ガス及び反応副生成物を処理容器の底部から排気する方法が検討されている。ところで上記の成膜方法は、パージガスによるガス置換に長い時間がかかり、またサイクル数も例えば数百回にもなることから、処理時間が長いという問題があり、高スループットで処理できる装置、手法が要望されている。
このような背景から、複数枚の基板を真空容器内の回転テーブルに回転方向に配置して成膜処理を行う装置が以下のように既に知られている。
特許文献1には、扁平な円筒状の真空容器を左右に分離し、左側領域及び右側領域に半円の輪郭に沿って形成された排気口が上向きに排気するように設けられると共に、左側半円の輪郭と右側半円の輪郭の間、つまり真空容器の直径領域には分離ガスの吐出口が形成されている。右側半円領域及び左側半円領域には互いに異なる原料ガスの供給領域が形成され、真空容器内の回転テーブルが回転することでワークピースが右側半円領域、分離領域D及び左側半円領域を通過すると共に、両原料ガスは排気口から排気される。そして分離ガスが供給される分離領域Dの天井は原料ガスの供給領域よりも低くなっている。
しかしながらこの装置は、分離ガスの吐出口と反応ガスの供給領域との間に上向きの排気口を設け、反応ガスをこの排気口から分離ガスと共に排気する手法を採用しているため、ワークピースに吐出された反応ガスが上向き流となって排気口から吸い込まれるため、パーティクルの巻上げを伴ない、ウエハへのパーティクル汚染を引き起こしやすいという欠点がある。
特許文献2には、ウエハ支持部材(回転テーブル)の上に回転方向に沿って4枚のウエハを等距離に配置する一方、ウエハ支持部材と対向するように第1の反応ガス吐出ノズル及び第2の反応ガス吐出ノズルを回転方向に沿って等距離に配置しかつこれらノズルの間にパージノズルを配置し、ウエハ支持部材を水平回転させる構成が記載されている。各ウエハはウエハ支持部材により支持され、ウエハの表面はウエハ支持部材の上面からウエハの厚さだけ上方に位置している。また各ノズルはウエハ支持部材の径方向に伸びるように設けられ、ウエハとノズルとの距離は0.1mm以上であることが記載されている。真空排気はウエハ支持部材の外縁と処理容器の内壁との間から行われる。このような装置によれば、パージガスノズルの下方がいわばエアーカーテンの役割を果たすことで第1の反応ガスと第2の反応ガスとの混合を防止している。
しかしながらウエハ支持部材が回転していることもあって、パージガスノズルからのエアーカーテン作用だけではその両側の反応ガスが通過してしまい、特に回転方向上流側から前記エアーカーテン中を拡散してしまうことは避けられない。更にまた第1の反応ガス吐出ノズルから吐出した第1の反応ガスは回転テーブルに相当するウエハ支持部材の中心部を介して容易に第2の反応ガス吐出ノズルからの第2の反応ガス拡散領域に到達してしまう。このように第1の反応ガスと第2の反応ガスとがウエハ上で混合されてしまうと、ウエハ表面に反応生成物が付着し、良好なALD(あるいはMLD)処理ができなくなる。
特許文献3には、真空容器内を隔壁により周方向に複数の処理室に分割すると共に、隔壁の下端に対して細隙を介して回転可能な円形の載置台を設けて、この載置台上にウエハを複数配置する構成が記載されている。この装置は、隔壁と載置台あるいはウエハとの間の隙間からプロセスガスが隣の処理室に拡散し、また複数の処理室の間に排気室を設けているので、ウエハがこの排気室を通るときに上流側及び下流側の処理室からのガスが当該排気室にて混合される。このためいわゆるALD方式の成膜手法には適用できない。
特許文献4には、円形のガス供給板を周方向に8つに区切り、AsHガスの供給口、Hガスの供給口、TMGガスの供給口及びHガスの供給口を90度づつずらして配置し、さらにこれらガス供給口の間に排気口を設け、このガス供給板と対向させてウエハを支持したサセプタを回転させる手法が記載されている。しかしながら、この手法は、2つの反応ガスの分離に対して現実的な手段が何ら開示されておらず、サセプタの中心付近においては勿論のこと、実際には中心付近以外においてもHガスの供給口の配列領域を介して2つの反応ガスが混合されてしまう。更にまたウエハの通過領域と対向する面に排気口を設けると、サセプタ表面からのパーティクルの巻上げなどによりウエハのパーティクル汚染が起こりやすいという致命的な問題もある。
また特許文献5には、回転テーブルの上方領域を十字に4つの垂直壁で仕切り、こうして仕切られた4つの載置領域にウエハを載置すると共に、ソースガスインジェクタ、反応ガスインジェクタ、パージガスインジェクタを回転方向に交互に配置して十字のインジェクタユニットを構成し、これらインジェクタを前記4つの載置領域に順番に位置させるようにインジェクタユニットを水平回転させかつ回転テーブルの周辺から真空排気する構成が記載されている。しかしながらこのような構成においては、各載置領域にソースガスあるいは反応ガスを供給した後、パージガスノズルにより当該載置領域の雰囲気をパージガスで置換するために長い時間がかかるし、また一の載置領域から垂直壁を越えて隣接する載置領域にソースガスあるいは反応ガスが拡散して、両ガスが載置領域にて反応するおそれが大きい。
更にまた特許文献6(特許文献7、8)には、ターゲット(ウエハに相当する)に複数のガスを交互に吸着させる原子層CVD方法を実施するにあたり、ウエハを載置するサセプタを回転させ、サセプタの上方からソースガスとパージガスとを供給する装置が記載されている。段落0023から0025には、チャンバの中心から放射状に隔壁が延びており、隔壁の下に反応ガスまたはパージガスをサセプタに供給するガス流出孔が設けられていること、隔壁からのガス流出孔から不活性ガスを流出させることでガスカーテンを形成することが記載されている。排気に関しては段落0058に初めて記載され、この記載によると、ソースガスとパージガスとを夫々排気チャンネル30a、30bから別々に排気するようになっている。このような構成では、パージガスコンパートメントにおいて両側のソースガスコンパートメンにおけるソースガスの混じり合いを避けられず、反応生成物が発生してウエハへのパーティクル汚染が生じる。この特許文献6は、解読が困難であり、上述以外の構成については把握が困難である。
米国特許公報7,153,542号:図6(a)、図6(b) 特開2001−254181号公報:図1、図2 特許3144664号公報:図1、図2、請求項1 特開平4−287912号公報 米国特許公報6,634,314号 特開2007−247066号公報:段落0023〜0025、0058、図12及び図18 米国特許公開公報2007−218701号 米国特許公開公報2007−218702号
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板の表面に複数の反応ガスを順番に供給して積層された反応生成物の薄膜を形成するにあたり、高いスループットが得られ、基板上にて複数の反応ガスが混合されることを防止して良好な処理を行うことができる成膜装置及び成膜方法を提供することにある。
本発明の成膜装置は、真空容器内の回転テーブル上に基板を載置して互いに反応する少なくとも2種類の反応ガスを順番にこの回転テーブル上の基板の表面に供給しかつこの供給サイクルを実行することにより反応生成物の層を多数積層して薄膜を形成する成膜装置において、
前記回転テーブルの回転方向に互いに離れて設けられ、前記回転テーブルにおける基板の載置領域側の面に夫々第1の反応ガス及び第2の反応ガスを供給するための第1の反応ガス供給手段及び第2の反応ガス供給手段と、
前記第1の反応ガスが供給される第1の処理領域と第2の反応ガスが供給される第2の処理領域との雰囲気を分離するために前記回転方向においてこれら処理領域の間に設けられ、分離ガス供給手段から分離ガスを供給するための分離領域と、
前記分離ガス供給手段の前記回転方向両側に位置し、前記分離領域から処理領域側に分離ガスが流れるための狭隘な空間を回転テーブルとの間に形成するための天井面と、
前記第1の処理領域と第2の処理領域との雰囲気を分離するために真空容器内の中心部に位置し、回転テーブルの基板載置面側に分離ガスを吐出する吐出孔が形成された中心部領域と、
前記回転テーブルの回転中心から見て前記第1の処理領域とこの第1の処理領域に対して回転方向下流側に隣接する分離領域との間にその排気口が位置する第1の排気路と、
前記回転テーブルの回転中心から見て前記第2の処理領域とこの第2の処理領域に対して回転方向下流側に隣接する分離領域との間にその排気口が位置する第2の排気路と、
前記第1の排気路内及び前記第2の排気路内を互いに独立して排気するために当該第1の排気路及び前記第2の排気路に夫々接続された第1の真空排気手段及び第2の真空排気手段と、を備えたことを特徴とする。
ここで前記第1の排気路の排気口及び第2の排気路の排気口は、前記第1の処理領域及び前記第2の処理領域から前記回転テーブルの周縁と前記真空容器の内周壁との隙間を介して夫々第1の反応ガス及び第2の反応ガスを排気するために、前記回転テーブルの下方側に設けられていることが好ましい。また前記第1の真空排気手段及び第2の真空排気手段の後段には、当該第1の真空排気手段及び第2の真空排気手段から排出される排出物を夫々独立して除害処理するための第1の除害装置及び第2の除害装置を設けることが望ましい。
このとき、処理領域よりも分離領域の方が圧力が高いことが好ましく、前記分離ガス供給手段のガス吐出孔は、回転テーブルの回転中心部及び周縁部の一方側から他方側に向かって配列されているとよい。さらに回転テーブルを加熱する加熱手段を備えていることが好ましく、前記分離ガス供給手段の両側に各々位置する狭隘な空間を形成する天井面は、基板の中心が通過する部位において回転テーブルの回転方向に沿った幅寸法が50mm以上である場合が好適である。そして前記分離領域の天井面において、前記分離ガス供給手段に対して回転テーブルの相対的回転方向の上流側部位は、外縁に位置する部位ほど前記回転方向の幅が大きいことが望ましく、この場合には前記分離領域の天井面において、前記分離ガス供給手段に対して回転テーブルの相対的回転方向の上流側部位は、扇型に形成されているとよい。
次いで他の発明に係わる成膜方法は、 互いに反応する少なくとも2種類の反応ガスを順番に基板の表面に供給しかつこの供給サイクルを実行することにより反応生成物の層を多数積層して薄膜を形成する成膜方法において、
真空容器内の回転テーブルに基板をほぼ水平に載置し、当該回転テーブルを回転させる工程と、
前記回転方向に互いに離れて前記真空容器に設けられた第1の反応ガス供給手段及び第2の反応ガス供給手段から、前記回転テーブルにおける基板の載置領域側の面に夫々第1の反応ガス及び第2の反応ガスを供給する工程と、
前記回転方向において第1の反応ガス供給手段及び第2の反応ガス供給手段の間に位置する分離領域に設けられた分離ガス供給手段から分離ガスを供給し、この分離ガス供給手段の前記回転方向両側にて前記回転テーブルに対向する天井面と当該回転テーブルとの間の狭隘な空間に前記分離ガスを拡散させる工程と、
真空容器内の中心部に位置する中心部領域に形成された吐出口から分離ガスを当該回転テーブルの基板載置面側に吐出する工程と、
前記回転テーブルの回転中心から見て前記第1の処理領域とこの第1の処理領域に対して回転方向下流側に隣接する分離領域との間に開口した第1の排気路の排気口、及び前記回転テーブルの回転中心から見て前記第2の処理領域とこの第2の処理領域に対して回転方向下流側に隣接する分離領域との間に開口した第2の排気路の排気口から、前記分離領域の両側に拡散する分離ガス及び前記中心部領域から吐出する分離ガスと共に前記反応ガスを排気するにあたり、当該第1の処理領域及び第2の処理領域からこれらのガスを互いに独立して排気する工程と、
前記第1の排気路内及び前記第2の排気路内を夫々第1の真空排気手段及び第2の真空排気手段により互いに独立して排気する工程と、を含むことを特徴とする。
このとき第1の処理領域及び第2の処理領域から互いに独立して前記分離ガスと共に反応ガスを排気する工程は、前記第1の処理領域及び前記第2の処理領域の各雰囲気を前記回転テーブルの周縁と前記真空容器の内周壁との隙間を介して、前記回転テーブルの下方側に設けられた第1の排気路の排気口及び第2の排気路の排気口から排気する工程であることが好ましい。また、前記第1の真空排気手段及び第2の真空排気手段から排出される排出物を夫々第1の除害装置及び第2の除害装置により独立して除害処理する工程を含んでいることが望ましい。
本発明によれば、回転テーブルを備えた真空容器内に、第1の反応ガスが供給される第1の処理領域と第2の反応ガスが供給される第2の処理領域とを回転方向に離間して形成しかつこれらの間に分離ガス供給手段から分離ガスを供給するための分離領域を介在させると共に、回転方向に沿って複数の基板を配置した回転テーブルを回転させて、第1の反応ガス及び第2の反応ガスによる反応生成物の層を積層して薄膜化するようにしている。そしてこのようなプロセスを行うにあたって、前記回転テーブルの回転中心から見て前記第1の処理領域とこの第1の処理領域に対して回転方向下流側に隣接する分離領域との間にその排気口が位置する第1の排気路と、前記回転テーブルの回転中心から見て前記第2の処理領域とこの第2の処理領域に対して回転方向下流側に隣接する分離領域との間にその排気口が位置する第2の排気路との各排気口を通じて真空排気を行うと共にその排気系統(排気路、圧力制御機器及び真空排気手段)を互いに独立化しているので、第1の反応ガスと第2の反応ガスとが排気系統の中で混じるおそれがなく、このため排気系統にて反応生成物が生じるおそれがないか極めて少ない。
また分離ガス供給手段の前記回転方向両側に位置し、前記分離領域から処理領域側に分離ガスが流れるための狭隘な空間を回転テーブルとの間に形成するための天井面を設けることで分離領域に前記反応ガスが侵入することを阻止すると共に、前記第1の処理領域と第2の処理領域との雰囲気を分離するために真空容器内の中心部に位置し、回転テーブルの基板載置面側に分離ガスを吐出する吐出孔が形成された中心部領域から回転テーブルの周縁に向けて分離ガスを吐出している。この結果、当該中心部領域を介して互いに異なる反応ガス同士が交じり合うことを防止でき、良好な成膜処理を行うことができると共に、反応生成物が生じることが全くないか極力抑えられ、パーティクルの発生が抑えられる。
本発明の実施の形態である成膜装置は、図1(図3のI−I’線に沿った断面図)に示すように平面形状が概ね円形である扁平な真空容器1と、この真空容器1内に設けられ、当該真空容器1の中心に回転中心を有する回転テーブル2と、を備えている。真空容器1は天板11が容器本体12から分離できるように構成されている。天板11はこの容器本体12の上面に設けられた封止部材、例えばOリング13を介して内部の減圧状態により容器本体12側に押し付けられ気密状態を維持している。天板11を容器本体12から分離するときには図示しない駆動機構により上方に持ち上げられるようになっている。
回転テーブル2は、中心部にて円筒形状のコア部21に固定され、このコア部21は、鉛直方向に伸びる回転軸22の上端に固定されている。回転軸22は真空容器1の底面部14を貫通し、その下端が当該回転軸22を鉛直軸回りにこの例では時計方向に回転させる駆動部23に取り付けられている。回転軸22及び駆動部23は、上面が開口した筒状のケース体20内に収納されている。このケース体20はその上面に設けられたフランジ部分が真空容器1の底面部14の下面に気密に取り付けられており、ケース体20の内部雰囲気と外部雰囲気との気密状態が維持されている。
回転テーブル2の表面部には、図2及び図3に示すように回転方向(周方向)に沿って複数枚例えば5枚の基板であるウエハを載置するための円形状の凹部24が設けられている。なお図3には便宜上1個の凹部24だけにウエハWを描いてある。ここで図4は、回転テーブル2を同心円に沿って切断しかつ横に展開して示す展開図であり、凹部24は、図4(a)に示すようにその直径がウエハWの直径よりも僅かに例えば4mm大きく、またその深さはウエハWの厚みと同等の大きさに設定されている。従ってウエハWを凹部24に落とし込むと、ウエハWの表面と回転テーブル2の表面(ウエハWが載置されない領域)とが揃うことになる。ウエハWの表面と回転テーブル2の表面との間の高さの差が大きいとその段差部分で圧力変動が生じることから、ウエハWの表面と回転テーブル2の表面との高さを揃えることが、膜厚の面内均一性を揃える観点から好ましい。ウエハWの表面と回転テーブル2の表面との高さを揃えるとは、同じ高さであるかあるいは両面の差が5mm以内であることをいうが、加工精度等に応じてできるだけ両面の高さの差をゼロに近づけることが好ましい。凹部24の底面には、ウエハWの裏面を支えて当該ウエハWを昇降させるための例えば後述する3本の昇降ピンが貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。
凹部24はウエハWを位置決めして回転テーブル2の回転に伴う遠心力により飛び出さないようにするためのものであり、本発明の基板載置領域に相当する部位であるが、基板載置領域(ウエハ載置領域)は、凹部に限らず例えば回転テーブル2の表面にウエハWの周縁をガイドするガイド部材をウエハWの周方向に沿って複数並べた構成であってもよく、あるいは回転テーブル2側に静電チャック等のチャック機構を持たせてウエハWを吸着する場合には、その吸着によりウエハWが載置される領域が基板載置領域となる。
図2及び図3に示すように真空容器1には、回転テーブル2における凹部24の通過領域と各々対向する位置に第1の反応ガスノズル31及び第2の反応ガスノズル32と2本の分離ガスノズル41、42とが真空容器1の周方向(回転テーブル2の回転方向)に互いに間隔をおいて中心部から放射状に伸びている。これら反応ガスノズル31、32及び分離ガスノズル41、42は、例えば真空容器1の側周壁に取り付けられており、その基端部であるガス供給ポート31a、32a、41a、42aは当該側壁を貫通している。
これら反応ガスノズル31、32及び分離ガスノズル41、42は、図示の例では、真空容器1の周壁部から真空容器1内に導入されているが、後述する環状の突出部5から導入してもよい。この場合、突出部5の外周面と天板11の外表面とに開口するL字型の導管を設け、真空容器1内でL字型の導管の一方の開口にガスノズル31、(32、41、42)を接続し、真空容器1の外部でL字型の導管の他方の開口にガス供給ポート31a(32a、41a、42a)を接続する構成を採用することができる。
反応ガスノズル31、32は、夫々第1の反応ガスであるBTBAS(ビスターシャルブチルアミノシラン)ガスのガス供給源及び第2の反応ガスであるO(オゾン)ガスのガス供給源(いずれも図示せず)に接続されており、分離ガスノズル41、42はいずれも分離ガスであるNガス(窒素ガス)のガス供給源(図示せず)に接続されている。また、各反応ガスノズル31、32はNガスのガス供給源にも接続されており、成膜装置の運転開始時に圧力調節用のガスとして各処理領域P1、P2にNガスを供給することができるようになっている。この例では、第2の反応ガスノズル32、分離ガスノズル41、第1の反応ガスノズル31及び分離ガスノズル42がこの順に時計方向に配列されている。
反応ガスノズル31、32には、下方側に反応ガスを吐出するためのガス吐出孔33がノズルの長さ方向に間隔をおいて配列されている。また分離ガスノズル41、42には、下方側に分離ガスを吐出するための吐出孔40が長さ方向に間隔をおいて穿設されている。反応ガスノズル31、32は夫々第1の反応ガス供給手段及び第2の反応ガス供給手段に相当し、その下方領域は夫々BTBASガスをウエハWに吸着させるための第1の処理領域P1及びOガスをウエハWに吸着させるための第2の処理領域P2となる。
分離ガスノズル41、42は、前記第1の処理領域P1と第2の処理領域P2との雰囲気を分離する分離領域Dを形成するためにNガスを供給する分離ガス供給手段に相当し、この分離領域Dにおける真空容器1の天板11には図2〜図4に示すように、回転テーブル2の回転中心を中心としかつ真空容器1の内周壁の近傍に沿って描かれる円を周方向に分割してなる、平面形状が扇型で下方に突出した凸状部4が設けられている。分離ガスノズル41、42は、この凸状部4における前記円の周方向中央にて当該円の半径方向に伸びるように形成された溝部43内に収められている。即ち分離ガスノズル41、42の中心軸から凸状部4である扇型の両縁(回転方向上流側の縁及び下流側の縁)までの距離は同じ長さに設定されている。
なお、溝部43は、本実施形態では凸状部4を二等分するように形成されているが、他の実施形態においては、例えば溝部43から見て凸状部4における回転テーブル2の回転方向上流側が前記回転方向下流側よりも広くなるように溝部43を形成してもよい。
従って分離ガスノズル41、42における前記周方向両側には、前記凸状部4の下面である例えば平坦な低い天井面44(第1の天井面)が存在し、この天井面44の前記周方向両側には、当該天井面44よりも高い天井面45(第2の天井面)が存在することになる。この凸状部4の役割は、回転テーブル2との間への第1の反応ガス及び第2の反応ガスの侵入を阻止してこれら反応ガスの混合を阻止するための狭隘な空間である分離空間を形成することにある。
即ち、分離ガスノズル41を例にとると、回転テーブル2の回転方向上流側からOガスが侵入することを阻止し、また回転方向下流側からBTBASガスが侵入することを阻止する。「ガスの侵入を阻止する」とは、分離ガスノズル41から吐出した分離ガスであるNガスが第1の天井面44と回転テーブル2の表面との間に拡散して、この例では当該第1の天井面44に隣接する第2の天井面45の下方側空間に吹き出し、これにより当該隣接空間からのガスが侵入できなくなることを意味する。そして「ガスが侵入できなくなる」とは、隣接空間から凸状部4の下方側空間に全く入り込むことができない場合のみを意味するのではなく、多少侵入はするが、両側から夫々侵入したOガス及びBTBASガスが凸状部4内で交じり合わない状態が確保される場合も意味し、このような作用が得られる限り、分離領域Dの役割である第1の処理領域P1の雰囲気と第2の処理領域P2の雰囲気との分離作用が発揮できる。従って狭隘な空間における狭隘の程度は、狭隘な空間(凸状部4の下方空間)と当該空間に隣接した領域(この例では第2の天井面45の下方空間)との圧力差が「ガスが侵入できなくなる」作用を確保できる程度の大きさになるように設定され、その具体的な寸法は凸状部4の面積などにより異なるといえる。またウエハWに吸着したガスについては当然に分離領域D内を通過することができ、ガスの侵入阻止は、気相中のガスを意味している。
一方天板11の下面には、図5、図7に示すように回転テーブル2におけるコア部21よりも外周側の部位と対向するようにかつ当該コア部21の外周に沿って突出部5が設けられている。この突出部5は図5に示すように凸状部4における前記回転中心側の部位と連続して形成されており、その下面が凸状部4の下面(天井面44)と同じ高さに形成されている。図2及び図3は、は、前記天井面45よりも低くかつ分離ガスノズル41、42よりも高い位置にて天板11を水平に切断して示している。なお突出部5と凸状部4とは、必ずしも一体であることに限られるものではなく、別体であってもよい。
凸状部4及び分離ガスノズル41(42)の組み合わせ構造の作り方については、凸状部4をなす1枚の扇型プレートの中央に溝部43を形成してこの溝部43内に分離ガスノズル41(42)を配置する構造に限らず、2枚の扇型プレートを用い、分離ガスノズル41(42)の両側位置にて天板本体の下面にボルト締め等により固定する構成等であってもよい。
この例では分離ガスノズル41(42)は、真下に向いた例えば口径が0.5mmの吐出孔がノズルの長さ方向に沿って例えば10mmの間隔をおいて配列されている。また第1の反応ガスノズル31についても、真下に向いた例えば口径が0.5mmの吐出孔がノズルの長さ方向に沿って例えば10mmの間隔をおいて配列されている。
この例では直径300mmのウエハWを被処理基板としており、この場合凸状部4は、回転中心から例えば140mm離れた後述の突出部5との境界部位においては、周方向の長さ(回転テーブル2と同心円の円弧の長さ)が例えば146mmであり、ウエハWの載置領域(凹部24)の最も外側部位においては、周方向の長さが例えば502mmである。なお図4(a)に示すように、当該外側部位において分離ガスノズル41(42)の両脇から夫々左右に位置する凸状部4の周方向の長さLでみれば、長さLは246mmである。
また図4(b)に示すように凸状部4の下面即ち天井面44における回転テーブル2の表面からの高さhは、例えば0.5mmから10mmであってもよく、約4mmであると好適である。この場合、回転テーブル2の回転数は例えば1rpm〜500rpmに設定されている。分離領域Dの分離機能を確保するためには、回転テーブル2の回転数の使用範囲等に応じて、凸状部4の大きさや凸状部4の下面(第1の天井面44)と回転テーブル2の表面との間の高さhを例えば実験等に基づいて設定することになる。なお分離ガスとしては、Nガスに限られずArガス等の不活性ガスを用いることができるが、不活性ガスに限らず水素ガス等であってもよく、成膜処理に影響を与えないガスであれば、ガスの種類に関しては特に限定されるものではない。
真空容器1の天板11の下面、つまり回転テーブル2のウエハ載置領域(凹部24)から見た天井面は既述のように第1の天井面44とこの天井面44よりも高い第2の天井面45とが周方向に存在するが、図1では、高い天井面45が設けられている領域についての縦断面を示しており、図5では、低い天井面44が設けられている領域についての縦断面を示している。扇型の凸状部4の周縁部(真空容器1の外縁側の部位)は図2及び図5に示されているように回転テーブル2の外端面に対向するようにL字型に屈曲して屈曲部46を形成している。扇型の凸状部4は天板11側に設けられていて、容器本体12から取り外せるようになっていることから、前記回転テーブル2の外端面と屈曲部46の内周面、及び屈曲部46の外周面と容器本体12の内周面との間には僅かに隙間がある。そこでこの屈曲部46も凸状部4と同様に両側から反応ガスが侵入することを防止して、両反応ガスの混合を防止する目的で設けられており、屈曲部46の内周面と回転テーブル2の外端面との隙間は、例えば回転テーブル2の表面に対する天井面44の高さhと同様の寸法に設定されている。即ち、この例においては、回転テーブル2の表面側領域からは、屈曲部46の内周面が真空容器1の内周壁を構成していると見ることができる。
容器本体12の内周壁は、分離領域Dにおいては図5に示すように前記屈曲部46の外周面と接近して垂直面に形成されているが、分離領域D以外の部位においては、図1に示すように例えば回転テーブル2の外端面と対向する部位から底面部14に亘って縦断面形状が矩形に切り欠かれて外方側に窪んだ構造となっている。この窪んだ部位における、回転テーブル2の周縁と容器本体12の内周壁との隙間は、各々第1の処理領域P1及び第2の処理領域P2に連通していて、各処理領域P1、P2に供給された反応ガスを排気できるようになっている。これらの隙間を夫々第1の排気領域E1及び第2の排気領域E2と呼ぶことにすると、第1の排気領域E1及び第2の排気領域E2の底部、即ち回転テーブル2の下方側には、図1及び図3に示すように、夫々第1の排気口61及び第2の排気口62が形成されている。
これらの排気口61、62は、分離領域Dの分離作用が確実に働くように、例えば図9に示すように平面で見たときに前記分離領域D(凸状部4)の前記回転方向両側に設けられ、各々の反応ガス(BTBASガス及びOガス)の排気を専用に行うようにしている。この例では一方の排気口61は第1の反応ガスノズル31とこの反応ガスノズル31に対して前記回転方向下流側に隣接する分離領域Dとの間に設けられ、また他方の排気口62は、第2の反応ガスノズル32とこの反応ガスノズル32に対して前記回転方向下流側に隣接する分離領域Dとの間に設けられている。
言い替えると、図3に示すように回転テーブル2の回転中心から見て第1の処理領域P1とこの領域P1に対して例えば回転テーブル2の回転方向下流側に隣接する分離領域D(図3では分離ガスノズル42の設けられている凸状部4に覆われている領域に相当する)との間に第1の排気路63aの排気口61は位置している。即ち、図3中に一点鎖線で示した回転テーブル2の中心と第1の処理領域P1とを通る直線L1と、回転テーブル2の中心と前期第1の処理領域P1の下流側に隣接する分離領域Dの上流側の縁を通る直線L2との間に位置している。また第2の排気路63bの排気口62については、前述の回転中心から見て第2の処理領域P1とこの領域P2に対して例えば回転テーブル2の回転方向下流側に隣接する分離領域D(図3では分離ガスノズル41の設けられている凸状部4に覆われている領域に相当する)との間に位置していることになる。即ち、図3中に二点鎖線で示した回転テーブル2の中心と第2の処理領域P2とを通る直線L3と、回転テーブル2の中心と前期第2の処理領域P2の下流側に隣接する分離領域Dの上流側の縁を通る直線L4との間に位置している。
ただし、これら第1、第2の排気口61、62を設ける位置は、真空容器1の底面部に限られず、真空容器1の側壁に設けてもよい。そして真空容器1の側壁に排気口61、62を設ける場合には、回転テーブル2よりも高い位置に設けるようにしてもよい。このように排気口61、62を設けることにより回転テーブル2上のガスは、回転テーブル2の外側に向けて流れるため、回転テーブル2に対向する天井面から排気する場合に比べてパーティクルの巻上げが抑えられるという観点において有利である。
図1に示すように第1の排気口61は、第1の排気路63aを介して例えばメカニカルブースタポンプとドライポンプとを連設して構成された真空ポンプ64aに接続されており、これら排気口61と真空ポンプ64aとの間には第1の圧力調節手段65aが介設されている。第1の圧力調節手段65aは、例えばバタフライバルブなどからなる圧力調節弁と、この圧力調節弁を開閉するモーターと、このモーターの動作を制御する現場型のコントローラとから構成されており(いずれも不図示)、当該圧力調節手段65aの上流側の排気路63aに設けられた圧力計66aの検出結果に基づいて圧力調節を行うAPC(Auto Pressure Controller)として構成されている。ここで真空ポンプ64aは第1の真空排気手段に相当し、以下、第1の排気路63a、第1の圧力調節手段65a、真空ポンプ64aをまとめて第1の排気系統という。
前記圧力計66aは、排気路63aの上流側の真空容器1内における第1の処理領域P1の圧力を計測する役割を果たし、この圧力計66aの検出結果に基づいて圧力の調節を行うことにより、前記第1の圧力調節手段65aは第1の処理領域P1を一定の圧力雰囲気に保つ役割を有している。
また、既述の第2の排気口62についても同様に、第2の排気路63bを介して第2の真空排気手段である真空ポンプ64bに接続され、これら排気口62と真空ポンプ64bとの間には、真空容器1内の第2の処理領域P2を一定の圧力雰囲気に保つための第2の圧力調節手段65bが介設されていて、既述の第1の排気路63aとは独立して排気を行うことができるようになっている。そして第2の圧力調節手段65bについても、当該調節手段65bの上流側の排気路63bに設けられた圧力計66bによる検出結果に基づいて圧力の調節を行う例えば現場型のAPCとして構成されている。以下、これら第2の排気路63b、第2の圧力調節手段65b及び真空ポンプ64bをまとめて第2の排気系統という。また、夫々の真空ポンプ64a、64bの下流側には各排気系統から排出される排出物を夫々独立して除害処理するための第1、第2の除害装置(いずれも不図示)が接続されている。
前記回転テーブル2と真空容器1の底面部14との間の空間には、図1及び図6に示すように加熱手段であるヒータユニット7が設けられており、回転テーブル2を介して回転テーブル2上のウエハWをプロセスレシピで決められた温度に加熱するように構成されている。前記回転テーブル2の周縁付近の下方側には、回転テーブル2の上方空間から排気領域E1、E2に至るまでの雰囲気とヒータユニット7が置かれている雰囲気とを区画するために、ヒータユニット7を全周に亘って囲むようにカバー部材71が設けられている。このカバー部材71は上縁が外側に屈曲されてフランジ形状に形成され、その屈曲面と回転テーブル2の下面との間の隙間を小さくして、カバー部材71内に外方からガスが侵入することを抑えている。
ヒータユニット7が配置されている空間よりも回転中心寄りの部位における底面部14は、回転テーブル2の下面の中心部付近、コア部21に接近してその間は狭い空間になっており、また当該底面部14を貫通する回転軸22の貫通穴についてもその内周面と回転軸22との隙間が狭くなっていて、これら狭い空間は前記ケース体20内に連通している。そして前記ケース体20にはパージガスであるNガスを前記狭い空間内に供給してパージするためのパージガス供給管72が設けられている。また真空容器1の底面部14には、ヒータユニット7の下方側位置にて周方向の複数部位に、ヒータユニット7の配置空間をパージするためのパージガス供給管73が設けられている。
このようにパージガス供給管72、73を設けることにより図7にパージガスの流れを矢印で示すように、ケース体20内からヒータユニット7の配置空間に至るまでの空間がNガスでパージされ、このパージガスが回転テーブル2とカバー部材71との間の隙間から排気領域E1、E2を介して排気口61、62に排気される。これによって既述の第1の処理領域P1と第2の処理領域P2との一方から回転テーブル2の下方を介して他方へのBTBASガスあるいはOガスの回り込みが防止されるため、このパージガスは分離ガスの役割も果たしている。
また真空容器1の天板11の中心部には分離ガス供給管51が接続されていて、天板11とコア部21との間の空間52に分離ガスであるNガスを供給するように構成されている。この空間52に供給された分離ガスは、前記突出部5と回転テーブル2との狭い隙間50を介して回転テーブル2のウエハ載置領域側の表面に沿って周縁に向けて吐出されることになる。この突出部5で囲まれる空間には分離ガスが満たされているので、第1の処理領域P1と第2の処理領域P2との間で回転テーブル2の中心部を介して反応ガス(BTBASガスあるいはOガス)が混合することを防止している。即ち、この成膜装置は、第1の処理領域P1と第2の処理領域P2との雰囲気を分離するために回転テーブル2の回転中心部と真空容器1とにより区画され、分離ガスがパージされると共に当該回転テーブル2の表面に分離ガスを吐出する吐出口が前記回転方向に沿って形成された中心部領域Cを備えているということができる。なおここでいう吐出口は前記突出部5と回転テーブル2との狭い隙間50に相当する。
更に真空容器1の側壁には図2、図3及び図8に示すように外部の搬送アーム10と回転テーブル2との間でウエハWの受け渡しを行うための搬送口15が形成されており、この搬送口15は図示しないゲートバルブにより開閉されるようになっている。また回転テーブル2におけるウエハ載置領域である凹部24はこの搬送口15に臨む位置にて搬送アーム10との間でウエハWの受け渡しが行われることから、回転テーブル2の下方側において当該受け渡し位置に対応する部位に、凹部24を貫通してウエハWを裏面から持ち上げるための受け渡し用の昇降ピン16の昇降機構(図示せず)が設けられる。
また図1、図3に示すように、この実施の形態の成膜装置には装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部100が設けられ、この制御部100のメモリ内には装置を運転するためのプログラムが格納されている。このプログラムは後述の装置の動作を実行するようにステップ群が組まれており、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの記憶媒体から制御部100内にインストールされる。
ここで図1に示すように制御部100は、既述の第1の圧力調節手段65a及び第2の圧力調節手段65bと接続されており、例えばオペレータによる不図示の操作端末からの入力や予めメモリ内に設定された情報に基づいて、各圧力調節手段65a、65bのコントローラの圧力設定値を設定できるようになっている。また各圧力計66a、66bの検出結果は制御部100にも出力されるようになっている。
次に上述実施の形態の作用について説明する。先ず図示しないゲートバルブを開き、外部から搬送アーム10により搬送口15を介してウエハを回転テーブル2の凹部24内に受け渡す。この受け渡しは、凹部24が搬送口15に臨む位置に停止したときに図8に示すように凹部24の底面の貫通孔を介して真空容器1の底部側から昇降ピン16が昇降することにより行われる。このようなウエハWの受け渡しを回転テーブル2を間欠的に回転させて行い、回転テーブル2の5つの凹部24内に夫々ウエハWを載置する。続いて真空ポンプ64a、64bを稼動させ、第1、第2の圧力調節手段65a、65bの圧力調節弁を全開として各処理領域P1、P2内を予め設定した圧力に真空引きすると共に、回転テーブル2を時計回りに回転させながらヒータユニット7によりウエハWを加熱する。詳しくは、回転テーブル2はヒータユニット7により予め例えば300℃に加熱されており、ウエハWはこの回転テーブル2に載置されることで加熱される。
このウエハWの加熱動作と並行して、真空容器1内に成膜開始後に供給される反応ガス、分離ガス並びにパージガスと等量のNガスを供給して、真空容器1内の圧力調節を行う。例えば第1の反応ガスノズルからは100sccm、第2の反応ガスノズル32からは10,000sccm、各分離ガスノズル41、42からは各々20,000sccm、分離ガス供給管51からは5,000sccmといった量のNガスを真空容器1内に供給し、各処理領域P1、P2内の圧力が既述の圧力設定値、例えば1,067Pa(8Torr)となるように、第1、第2の圧力調節手段65a、65bにて圧力調節弁の開閉動作を行う。なお、このとき各パージガス供給管72、73からも所定量のNガスが供給される。
次いで、ウエハWの温度が図示しない温度センサにより設定温度になったことを確認し、第1、第2の処理領域P1、P2の圧力が各々設定圧力になったことを確認したら、第1の反応ガスノズル31及び第2の反応ガスノズル32より供給するガスを夫々BTBASガス及びOガスに切り替え、ウエハWへの成膜動作を開始する。この時、真空容器1内に供給されるガスの総流量が急激に変化しないように各反応ガスノズル31、32におけるガスの切り替えはゆっくりと行うとよい。
そして、ウエハWは回転テーブル2の回転により、第1の処理領域P1と第2の処理領域P2とを交互に通過するため、BTBASガスが吸着し、次いでOガスが吸着してBTBAS分子が酸化されて酸化シリコンの分子層が1層あるいは複数層形成され、こうして酸化シリコンの分子層が順次積層されて所定の膜厚のシリコン酸化膜が成膜される。
このとき分離ガス供給管51からも分離ガスであるNガスを供給し、これにより中心部領域Cから即ち突出部5と回転テーブル2の中心部との間から回転テーブル2の表面に沿ってNガスが吐出する。この例では反応ガスノズル31、32が配置されている第2の天井面45の下方側の空間に沿った容器本体12の内周壁においては、既述のように内周壁が切りかかれて広くなっており、この広い空間の下方に排気口61、62が位置しているので、第1の天井面44の下方側の狭隘な空間及び前記中心部領域Cの各圧力よりも第2の天井面45の下方側の空間の圧力の方が低くなる。ガスを各部位から吐出したときのガスの流れの状態を模式的に図10に示す。第2の反応ガスノズル32から下方側に吐出され、回転テーブル2の表面(ウエハWの表面及びウエハWの非載置領域の表面の両方)に当たってその表面に沿って回転方向上流側に向かうOガスは、その上流側から流れてきたNガスに押し戻されながら回転テーブル2の周縁と真空容器1の内周壁との間の排気領域E2に流れ込み、排気口62により排気される。
また第2の反応ガスノズル32から下方側に吐出され、回転テーブル2の表面に当たってその表面に沿って回転方向下流側に向かうOガスは、中心部領域Cから吐出されるNガスの流れと排気口62の吸引作用により当該排気口62に向かおうとするが、一部は下流側に隣接する分離領域Dに向かい、扇型の凸状部4の下方側に流入しようとする。ところがこの凸状部4の天井面44の高さ及び周方向の長さは、各ガスの流量などを含む運転時のプロセスパラメータにおいて当該天井面44の下方側へのガスの侵入を防止できる寸法に設定されているため、図4(b)にも示してあるようにOガスは扇型の凸状部4の下方側にほとんど流入できないかあるいは少し流入したとしても分離ガスノズル41付近までには到達できるものではなく、分離ガスノズル41から吐出したNガスにより回転方向上流側、つまり処理領域P2側に押し戻されてしまい、中心部領域Cから吐出されているNガスと共に、回転テーブル2の周縁と真空容器1の内周壁との隙間の排気領域E2を介して排気口62に排気される。
また第1の反応ガスノズル31から下方側に吐出され、回転テーブル2の表面に沿って回転方向上流側及び下流側に夫々向かうBTBASガスは、その回転方向上流側及び下流側に隣接する扇型の凸状部4の下方側に全く侵入できないかあるいは侵入したとしても第2の処理領域P1側に押し戻され、中心部領域Cから吐出されているNガスと共に、回転テーブル2の周縁と真空容器1の内周壁との隙間から排気領域E1を介して排気口61に排気される。即ち、各分離領域Dにおいては、雰囲気中を流れる反応ガスであるBTBASガスあるいはOガスの侵入を阻止するが、ウエハWに吸着されているガス分子はそのまま分離領域つまり扇型の凸状部4による低い天井面44の下方を通過し、成膜に寄与することになる。
更にまた第1の処理領域P1のBTBASガス(第2の処理領域P2のOガス)は、中心部領域C内に侵入しようとするが、図7及び図9に示すように当該中心部領域Cからは分離ガスが回転テーブル2の周縁に向けて吐出されているので、この分離ガスにより侵入が阻止され、あるいは多少侵入したとしても押し戻され、この中心部領域Cを通って第2の処理領域P2(第1の処理領域P1)に流入することが阻止される。
そして分離領域Dにおいては、扇型の凸状部4の周縁部が下方に屈曲され、屈曲部46と回転テーブル2の外端面との間の隙間が既述のように狭くなっていてガスの通過を実質阻止しているので、第1の処理領域P1のBTBASガス(第2の処理領域P2のOガス)は、回転テーブル2の外側を介して第2の処理領域P2(第1の処理領域P1)に流入することも阻止される。従って2つの分離領域Dによって第1の処理領域P1の雰囲気と第2の処理領域P2の雰囲気とが完全に分離され、BTBASガスは排気口61に、またOガスは排気口62に夫々排気される。この結果、両反応ガスこの例ではBTBASガス及びOガスが雰囲気中においてもウエハW上においても交じり合うことがない。
なおこの例では、回転テーブル2の下方側をNガスによりパージしているため、排気領域E1、E2に流入したガスが回転テーブル2の下方側を潜り抜けて、例えばガBTBASスがOガスの供給領域に流れ込むといったおそれは全くない。
このように第1、第2の処理領域P1、P2には、各排気領域E1、E2を介して専用の排気路63a、63bに接続されていることから、第1の処理領域P1及び第1の排気領域E1に流れ込んだ各種のガスは第1の排気路63aより排気され、第2の処理領域P2及び第1の排気領域E1に流れ込んだ各種のガスは第2の排気路63bより排気される。このため、一方側の処理領域P1、P2に供給された反応ガスは、他方側の処理領域P2、P1に供給された反応ガスと交じり合うことなく真空容器1外へと排気することができる。こうして成膜処理が終了すると、各ウエハは搬入動作と逆の動作により順次搬送アーム10により搬出される。
ここで処理パラメータの一例について記載しておくと、回転テーブル2の回転数は、300mm径のウエハWを被処理基板とする場合には例えば1rpm〜500rpm、プロセス圧力は例えば1,067Pa(8Torr)、ウエハWの加熱温度は例えば350℃、BTBASガス及びOガスの流量は例えば夫々100sccm及び10,000sccm、分離ガスノズル41、42からのNガスの流量は例えば20000sccm、真空容器1の中心部の分離ガス供給管51からのNガスの流量は例えば5,000sccmである。また1枚のウエハに対する反応ガス供給のサイクル数、即ちウエハWが処理領域P1、P2の各々を通過する回数は目標膜厚に応じて変わるが、多数回例えば600回である。
上述の実施の形態によれば以下の効果がある。回転テーブル2を備えた真空容器1内に、第1の反応ガスであるBTBASが供給される第1の処理領域P1と第2の反応ガスであるOガスが供給される第2の処理領域P2とを回転方向に離間して形成しかつこれらの間に分離ガスノズル41、42から分離ガスを供給するための分離領域Dを介在させると共に、回転方向に沿って複数のウエハWを配置した前記回転テーブル2を回転させて、BTBAS及び第2のOガスによる反応生成物である酸化シリコンの層を積層して薄膜化するようにしている。そしてこのようなプロセスを行うにあたって、第1の処理領域P1及び第2の処理領域P2に夫々対応した位置に設けられた第1の排気路63a及び第2の排気路63bの各排気口61、62を通じて真空排気を行うと共にその排気系統(排気路63a、63b、圧力調節手段65a、65b及び真空ポンプ64a、64)を互いに独立化しているので、BTBASガスとOガスとが排気系統の中で混じるおそれがなく、このため排気系統にて反応生成物が生じるおそれがないか極めて少ない。
そして分離ガスノズル41、42の前記回転方向両側にて低い天井面を設けることで分離領域Dに各反応ガスが侵入することを阻止すると共に、前記回転テーブル2の回転中心部と真空容器1とにより区画した中心部領域Cから回転テーブル2の周縁に向けて分離ガスを吐出し、前記分離領域の両側に拡散する分離ガス及び前記中心部領域から吐出する分離ガスと共に前記反応ガスが回転テーブル2の周縁と真空容器1の内周壁との隙間を介して排気されるようにすれば、互いに異なる反応ガス同士が交じり合うことを防止でき、良好な成膜処理を行うことができると共に、反応生成物が生じることが全くないか極力抑えられ、パーティクルの発生が抑えられる。なお本発明は、回転テーブル2に1個のウエハWを載置する場合にも適用できる。
また本成膜装置は、回転テーブル2の回転方向に複数のウエハWを配置し、回転テーブル2を回転させて第1の処理領域P1と第2の処理領域P2とを順番に通過させていわゆるALD(あるいはMLD)を行うようにしているため、背景技術にて説明した枚葉式の成膜装置を用いる場合と比較して、反応ガスをパージする時間が不要となり、高いスループットで成膜処理を行うことができる。
ここで真空容器1に設ける排気系統は2系統に限定されるものではなく、例えば図11の成膜装置に示すように回転テーブル2上の凸状部4を追加して第3の処理領域P3を設け、当該処理領域P3に3つめの排気系統(排気路63c、第3の圧力調節手段65c、真空ポンプ64c)を接続してもよい。なお図10において310は第3の反応ガスノズル、410は分離ガスノズル、60は排気口である。
また、各処理領域P1、P2に接続する排気系統の数についても1系統とする場合に限られず、1つの処理領域P1、P2に2系統以上の排気系統を接続してもよい。
更にまた排気系統の運用方法は、上述の実施の形態中に示したように各排気系統にて対応する処理領域P1、P2の圧力調節を行う場合に限定されない。例えば各排気系統に流量計を設け、各処理領域からの排気量が予め決めた値となるように、排気路63a、63bに設けたバルブの開度を調節してもよい。圧力調節や排気量調節を行う手段についてもバルブの開閉による場合に限定されるものではなく、例えば真空ポンプ64a、64bのメカニカルブースタポンプの回転数を変えることにより、圧力や排気量を調節するようにしてもよい。
本実施の形態に適用される反応ガスとしては、上述の例の他に、DCS[ジクロロシラン]、HCD[ヘキサジクロロシラン]、TMA[トリメチルアルミニウム]、3DMAS[トリスジメチルアミノシラン]、TEMAZ[テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム]、TEMHF[テトラキスエチルメチルアミノハフニウム]、Sr(THD)[ストロンチウムビステトラメチルヘプタンジオナト]、Ti(MPD)(THD)[チタニウムメチルペンタンジオナトビステトラメチルヘプタンジオナト]、モノアミノシランなどを挙げることができる。
そして前記分離ガス供給ノズル41(42)の両側に各々位置する狭隘な空間を形成する前記第1の天井面44は、図12(a)、図12(b)に前記分離ガス供給ノズル41を代表して示すように例えば300mm径のウエハWを被処理基板とする場合、ウエハWの中心WOが通過する部位において回転テーブル2の回転方向に沿った幅寸法Lが50mm以上であることが好ましい。凸状部4の両側から当該凸状部4の下方(狭隘な空間)に反応ガスが侵入することを有効に阻止するためには、前記幅寸法Lが短い場合にはそれに応じて第1の天井面44と回転テーブル2との間の距離も小さくする必要がある。更に第1の天井面44と回転テーブル2との間の距離をある寸法に設定したとすると、回転テーブル2の回転中心から離れる程、回転テーブル2の速度が速くなってくるので、反応ガスの侵入阻止効果を得るために要求される幅寸法Lは回転中心から離れる程長くなってくる。このような観点から考察すると、ウエハWの中心WOが通過する部位における前記幅寸法Lが50mmよりも小さいと、第1の天井面44と回転テーブル2との距離をかなり小さくする必要があるため、回転テーブル2を回転したときに回転テーブル2あるいはウエハWと天井面44との衝突を防止するために、回転テーブル2の振れを極力抑える工夫が要求される。更にまた回転テーブル2の回転数が高い程、凸状部4の上流側から当該凸状部4の下方側に反応ガスが侵入しやすくなるので、前記幅寸法Lを50mmよりも小さくすると、回転テーブル2の回転数を低くしなければならず、スループットの点で得策ではない。従って幅寸法Lが50mm以上であることが好ましいが、50mm以下であっても本発明の効果が得られないというものではない。即ち、前記幅寸法LがウエハWの直径の1/10〜1/1であることが好ましく、約1/6以上であることがより好ましい。なお、図12(a)においては図示の便宜上、凹部24の記載を省略してある。
ここで処理領域P1、P2及び分離領域Dの各レイアウトについて上記の実施の形態以外の他の例を挙げておく。図13は第2の反応ガスノズル32を搬送口15よりも回転テーブル2の回転方向上流側に位置させた例であり、このようなレイアウトであっても同様の効果が得られる。
また本発明は、分離ガスノズル41(42)の両側に狭隘な空間を形成するために低い天井面(第1の天井面)44を設けることが必要であるが、図14に示すように反応ガスノズル31(32)の両側にも同様の低い天井面を設け、これら天井面を連続させる構成、つまり分離ガスノズル41(42)及び反応ガスノズル31(32)が設けられる箇所以外は、回転テーブル2に対向する領域全面に凸状部4を設ける構成としても同様の効果が得られる。この構成は別の見方をすれば、分離ガスノズル41(42)の両側の第1の天井面44が反応ガスノズル31(32)にまで広がった例である。この場合には、分離ガスノズル41(42)の両側に分離ガスが拡散し、反応ガスノズル31(32)の両側に反応ガスが拡散し、両ガスが凸状部4の下方側(狭隘な空間)にて合流するが、これらのガスは反応ガスノズル31(32)と分離ガスノズル42(41)との間に位置する排気口61(62)から排気されることになる。
以上の実施の形態では、回転テーブル2の回転軸22が真空容器1の中心部に位置し、回転テーブル2の中心部と真空容器1の上面部との間の空間に分離ガスをパージしているが、本発明は図15に示すように構成してもよい。図15の成膜装置においては、真空容器1の中央領域の底面部14が下方側に突出していて駆動部の収容空間80を形成していると共に、真空容器1の中央領域の上面に凹部80aが形成され、真空容器1の中心部において収容空間80の底部と真空容器1の前記凹部80aの上面との間に支柱81を介在させて、第1の反応ガスノズル31からのBTBASガスと第2の反応ガスノズル32からのOガスとが前記中心部を介して混ざり合うことを防止している。
回転テーブル2を回転させる機構については、支柱81を囲むように回転スリーブ82を設けてこの回転スリーブ81に沿ってリング状の回転テーブル2を設けている。そして前記収容空間80にモーター83により駆動される駆動ギヤ部84を設け、この駆動ギヤ部84により、回転スリーブ82の下部の外周に形成されたギヤ部85を介して当該回転スリーブ82を回転させるようにしている。86、87及び88は軸受け部である。また前記収容空間80の底部にパージガス供給管74を接続すると共に、前記凹部80aの側面と回転スリーブ82の上端部との間の空間にパージガスを供給するためのパージガス供給管75を真空容器1の上部に接続している。図15では、前記凹部80aの側面と回転スリーブ82の上端部との間の空間にパージガスを供給するための開口部は左右2箇所に記載してあるが、回転スリーブ82の近傍領域を介してBTBASガスとOガスとが混じり合わないようにするために、開口部(パージガス供給口)の配列数を設計することが好ましい。
図15の実施の形態では、回転テーブル2側から見ると、前記凹部80aの側面と回転スリーブ82の上端部との間の空間は分離ガス吐出孔に相当し、そしてこの分離ガス吐出孔、回転スリーブ82及び支柱81により、真空容器1の中心部に位置する中心部領域が構成される。
以上述べた成膜装置を用いた基板処理装置について図16に示しておく。図16中、101は例えば25枚のウエハWを収納するフープと呼ばれる密閉型の搬送容器、102は搬送アーム103が配置された大気搬送室、104、105は大気雰囲気と真空雰囲気との間で雰囲気が切り替え可能なロードロック室(予備真空室)、106は、2基の搬送アーム107が配置された真空搬送室、108、109は本発明の成膜装置である。搬送容器101は図示しない載置台を備えた搬入搬出ポートに外部から搬送され、大気搬送室102に接続された後、図示しない開閉機構により蓋が開けられて搬送アーム103により当該搬送容器101内からウエハWが取り出される。次いでロードロック室104(105)内に搬入され当該室内を大気雰囲気から真空雰囲気に切り替え、その後搬送アーム107によりウエハWが取り出されて成膜装置108、109の一方に搬入され、既述の成膜処理がされる。このように例えば5枚処理用の本発明の成膜装置を複数個例えば2個備えることにより、いわゆるALD(MLD)を高いスループットで実施することができる。
本発明の実施の形態に係る成膜装置の縦断面を示す図3のI−I’線縦断面図である。 上記の成膜装置の内部の概略構成を示す斜視図である。 上記の成膜装置の横断平面図である。 上記の成膜装置における処理領域及び分離領域を示す縦断面図である。 上記の成膜装置における分離領域の縦断面図である。 上記の成膜装置の反応ガスノズルを示す斜視図である。 分離ガスあるいはパージガスの流れる様子を示す説明図である。 上記の成膜装置の一部破断斜視図である。 上記の成膜装置に排気系統が設けられた様子を示す横断平面図である。 第1の反応ガス及び第2の反応ガスが分離ガスにより分離されて排気される様子を示す説明図である。 上記の成膜装置の変形例を示す横断平面図である。 分離領域に用いられる凸状部の寸法例を説明するための説明図である。 本発明の他の実施の形態に係る成膜装置を示す横断平面図である。 本発明の上記以外の実施の形態に係る成膜装置を示す横断平面図である。 本発明の上記以外の実施の形態に係る成膜装置を示す縦断面図である。 本発明の成膜装置を用いた基板処理システムの一例を示す概略平面図である。
符号の説明
W ウエハ
1 真空容器
2 回転テーブル
4 凸状部
31 第1の反応ガスノズル
32 第2の反応ガスノズル
33 ガス吐出孔
41、42 分離ガスノズル
63a 第1の排気路
63b 第2の排気路
64a、64b
真空ポンプ
65a 第1の圧力調節手段
65b 第2の圧力調節手段

Claims (12)

  1. 真空容器内の回転テーブル上に基板を載置して互いに反応する少なくとも2種類の反応ガスを順番にこの回転テーブル上の基板の表面に供給しかつこの供給サイクルを実行することにより反応生成物の層を多数積層して薄膜を形成する成膜装置において、
    前記回転テーブルの回転方向に互いに離れて設けられ、前記回転テーブルにおける基板の載置領域側の面に夫々第1の反応ガス及び第2の反応ガスを供給するための第1の反応ガス供給手段及び第2の反応ガス供給手段と、
    前記第1の反応ガスが供給される第1の処理領域と第2の反応ガスが供給される第2の処理領域との雰囲気を分離するために前記回転方向においてこれら処理領域の間に設けられ、分離ガス供給手段から分離ガスを供給するための分離領域と、
    前記分離ガス供給手段の前記回転方向両側に位置し、前記分離領域から処理領域側に分離ガスが流れるための狭隘な空間を回転テーブルとの間に形成するための天井面と、
    前記第1の処理領域と第2の処理領域との雰囲気を分離するために真空容器内の中心部に位置し、回転テーブルの基板載置面側に分離ガスを吐出する吐出孔が形成された中心部領域と、
    前記回転テーブルの回転中心から見て前記第1の処理領域とこの第1の処理領域に対して回転方向下流側に隣接する分離領域との間にその排気口が位置する第1の排気路と、
    前記回転テーブルの回転中心から見て前記第2の処理領域とこの第2の処理領域に対して回転方向下流側に隣接する分離領域との間にその排気口が位置する第2の排気路と、
    前記第1の排気路内及び前記第2の排気路内を互いに独立して排気するために当該第1の排気路及び前記第2の排気路に夫々接続された第1の真空排気手段及び第2の真空排気手段と、を備えたことを特徴とする成膜装置。
  2. 前記第1の排気路の排気口及び第2の排気路の排気口は、前記第1の処理領域及び前記第2の処理領域から前記回転テーブルの周縁と前記真空容器の内周壁との隙間を介して夫々第1の反応ガス及び第2の反応ガスを排気するために、前記回転テーブルの下方側に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記第1の真空排気手段及び第2の真空排気手段の後段には、当該第1の真空排気手段及び第2の真空排気手段から排出される排出物を夫々独立して除害処理するための第1の除害装置及び第2の除害装置が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の成膜装置。
  4. 処理領域よりも分離領域の方が圧力が高いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の成膜装置。
  5. 前記分離ガス供給手段のガス吐出孔は、回転テーブルの回転中心部及び周縁部の一方側から他方側に向かって配列されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の成膜装置。
  6. 前記回転テーブルを加熱する加熱手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の成膜装置。
  7. 前記分離ガス供給手段の両側に各々位置する狭隘な空間を形成する天井面は、基板の中心が通過する部位において回転テーブルの回転方向に沿った幅寸法が50mm以上であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の成膜装置。
  8. 前記分離領域の天井面において、前記分離ガス供給手段に対して回転テーブルの相対的回転方向の上流側部位は、外縁に位置する部位ほど前記回転方向の幅が大きいことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の成膜装置。
  9. 前記分離領域の天井面において、前記分離ガス供給手段に対して回転テーブルの相対的回転方向の上流側部位は、扇型に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の成膜装置。
  10. 互いに反応する少なくとも2種類の反応ガスを順番に基板の表面に供給しかつこの供給サイクルを実行することにより反応生成物の層を多数積層して薄膜を形成する成膜方法において、
    真空容器内の回転テーブルに基板をほぼ水平に載置し、当該回転テーブルを回転させる工程と、
    前記回転方向に互いに離れて前記真空容器に設けられた第1の反応ガス供給手段及び第2の反応ガス供給手段から、前記回転テーブルにおける基板の載置領域側の面に夫々第1の反応ガス及び第2の反応ガスを供給する工程と、
    前記回転方向において第1の反応ガス供給手段及び第2の反応ガス供給手段の間に位置する分離領域に設けられた分離ガス供給手段から分離ガスを供給し、この分離ガス供給手段の前記回転方向両側にて前記回転テーブルに対向する天井面と当該回転テーブルとの間の狭隘な空間に前記分離ガスを拡散させる工程と、
    真空容器内の中心部に位置する中心部領域に形成された吐出口から分離ガスを当該回転テーブルの基板載置面側に吐出する工程と、
    前記回転テーブルの回転中心から見て前記第1の処理領域とこの第1の処理領域に対して回転方向下流側に隣接する分離領域との間に開口した第1の排気路の排気口、及び前記回転テーブルの回転中心から見て前記第2の処理領域とこの第2の処理領域に対して回転方向下流側に隣接する分離領域との間に開口した第2の排気路の排気口から、前記分離領域の両側に拡散する分離ガス及び前記中心部領域から吐出する分離ガスと共に前記反応ガスを排気するにあたり、当該第1の処理領域及び第2の処理領域からこれらのガスを互いに独立して排気する工程と、
    前記第1の排気路内及び前記第2の排気路内を夫々第1の真空排気手段及び第2の真空排気手段により互いに独立して排気する工程と、を含むことを特徴とする成膜方法。
  11. 第1の処理領域及び第2の処理領域から互いに独立して前記分離ガスと共に反応ガスを排気する工程は、前記第1の処理領域及び前記第2の処理領域の各雰囲気を前記回転テーブルの周縁と前記真空容器の内周壁との隙間を介して、前記回転テーブルの下方側に設けられた第1の排気路の排気口及び第2の排気路の排気口から排気する工程であることを特徴とする請求項10に記載の成膜方法。
  12. 前記第1の真空排気手段及び第2の真空排気手段から排出される排出物を夫々第1の除害装置及び第2の除害装置により独立して除害処理する工程を含むことを特徴とする請求項10または11に記載の成膜方法。
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