JP2010050515A - 無線通信装置と受電装置 - Google Patents

無線通信装置と受電装置 Download PDF

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Abstract

【課題】送信側と受信側の無線通信装置のアンテナが密着した状態とされる場合でも、充分な電力を得て通信等を行えるようにする。
【解決手段】低速通信処理部331はアンテナ部31を用いて電磁誘導方式の通信を行う。高速通信処理部333はアンテナ部21を用いて電磁誘導方式とは異なる方式等で高速通信を行う。電力生成部345は、アンテナ部31で受信したキャリア信号から電力を生成する。低速通信処理部331でデータ通信を行うときアンテナ部21のアンテナ共振回路におけるクオリティファクタを高くし、データ通信を行わないときクオリティファクタを低くして、電力生成部345で電力を生成させる。クオリティファクタを低くすることで、送信側と受信側のアンテナ21,31が密着した状態でも、電力生成部345で大きな電力を生成することができる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、無線通信装置と受電装置に関する。詳しくは、送信側と受信側の無線通信装置のアンテナが密着した状態とされて通信が行われる場合でも、充分な電力を得て通信等を行えるようにするものである。
従来、近距離無線通信の国際規格として、NFCIP−1(Near Field Communication Interface and Protocol-1)規格が設けられている。このNFCIP−1規格に対応したリーダライタおよびICカードは、個人認証や電子マネー決済などに盛んに用いられている。
NFCIP−1規格に対応した方式(以下「NFCIP−1方式」という)のデータ通信では、13.56MHzの電磁誘導結合によるパッシブ通信モードとアクティブ通信モードを規定している。パッシブ通信モードでは、リーダライタから無変調キャリア信号がICカードに送出される。ICカードは、送出された無変調キャリア信号を送信するデータに応じて変調する。リーダライタは、変調されたキャリア信号の復調等を行うことにより、ICカードから送信されたデータを得る。このように、パッシブ通信モードでは、ICカードが自らキャリア信号を生成することなく通信が行われる。また、パッシブ通信モードでは、リーダライタから送出されたキャリア信号を利用して電力生成を行い、生成した電力を用いてICカードの動作が行われている。
一方、アクティブ通信モードでは、ICカードが自らキャリア信号を生成して、生成したキャリア信号を送信するデータに応じて変調したのち送出する。リーダライタは、変調されたキャリア信号の復調等を行うことにより、ICカードから送信されたデータを得る。このため、アクティブ通信モードでは、例えば特許文献1のように、一次電池や二次電池を用いた電源部をICカードに設けて、電源部からICカードの各部に電力することで、キャリア信号の生成や生成したキャリア信号を送信するデータに応じて変調して送出する処理が行われている。
特開2005−323264号公報
ところで、パッシブ通信モードである場合、近距離無線通信に用いるICカードは、主な用途を個人認証(例えば改札)や電子マネー決済(例えば自販機)等に想定して、人が手に持って動作させたとき例えばリーダライタとICカードが数cm離れているときに最大の通信安定性を得ることができるように設計されている。このため、人が手に持って動作させる場合とは異なる状態では、安定した電力を得ることができない。例えば、リーダライタとICカードを利用して映像コンテンツや音声コンテンツの通信を行うものとした場合、ICカードはリーダライタ上に載置されてリーダライタと接触した状態となり、安定した電力を得ることができない。
また、アクティブ通信モードでは、一次電池や二次電池を用いた電源部を設ける必要があり、電池残量が少なくなったときには、電池交換やICカードを充電器に接続して充電を行わなければならない。
そこで、この発明では、送信側と受信側の無線通信装置のアンテナが密着した状態とされる場合でも、充分な電力を得て通信等を行えるようにした無線通信装置と受電装置を提供するものである。
この発明の第1の側面は、
第1のアンテナ部を用いて電磁誘導方式で通信を行う第1の通信処理部と、
第2のアンテナ部を用いて前記電磁誘導方式とは異なる方式または通信周波数で前記第1の通信処理部よりも高速通信を行う第2の通信処理部と、
前記第1のアンテナ部で受信したキャリア信号から少なくとも通信動作を行うための電力を生成する電力生成部を有し、
前記第1のアンテナ部の周波数共振特性を切り替えて前記電力生成部で電力の生成を行う無線通信装置にある。
この発明においては、第1のアンテナ部を用いて電磁誘導方式例えばNFCIP−1方式の通信が第1の通信処理部で行われる。また、第2のアンテナ部を用いて電磁誘導方式とは異なる方式例えばバックスキャッタ方式で第1の通信処理部よりも高速通信が第2の通信処理部で行われる。さらに、第1のアンテナ部で受信したキャリア信号から少なくとも通信動作を行うための電力が電力生成部で生成される。この第1のアンテナ部は、キャリア信号を送信する送信元のアンテナ部と密着させて用いられる。また、第1の通信処理部は、データ通信を行うとき第1のアンテナ部の周波数共振特性例えばアンテナ共振回路のクオリティファクタを高くし、データ通信を行わないときデータ通信を行うときよりもクオリティファクタを低くして電力生成部で電力が生成される。また、コンテンツの再生を行うコンテンツ再生部を設け、電力生成部は、生成した電力をコンテンツ再生部に供給する。また、充電可能な電源部を設けて、電力生成部は、生成した電力を用いて電源部を充電することで、電源部から少なくとも通信動作を行うための電力の供給を行う。
この発明の第2の側面は、
電磁誘導方式でデータ通信を行うためのアンテナ部で受信したキャリア信号から電力を生成する電力生成部を有し、
前記アンテナ部の周波数共振特性を前記電磁誘導方式のデータ通信動作に応じて切り替えて前記電力生成部で電力の生成を行う受電装置にある。
この発明においては、電磁誘導方式例えばNFCIP−1方式の通信を行うためのアンテナ部で受信したキャリア信号から電力生成部で電力が生成される。ここで、電磁誘導方式でデータ通信を行うときアンテナ部の周波数共振特性例えばアンテナ共振回路におけるクオリティファクタが高いものとされる。また、データ通信が行われないときクオリティファクタがデータ通信を行うときよりも低いものとされる。また、このアンテナ部はキャリア信号を送信する送信元のアンテナ部と密着して用いられる。
この発明によれば、電磁誘導方式でデータ通信を行うためのアンテナ部で受信したキャリア信号から電力を生成する電力生成部において、このアンテナ部の周波数共振特性を切り替えて電力の生成が行われる。このため、送信側と受信側の無線通信装置のアンテナが密着した状態とされる場合でも、充分な電力を得て近距離無線通信等を行えるようになる。
本発明に係る無線通信装置を用いた無線通信システムは、近距離無線通信に対応した例えばイニシエータおよびターゲットで構成されており、従来の近距離無線通信例えばNFCIP−1方式のデータ通信に用いる第1のアンテナ部と、この第1のアンテナ部を用いた近距離無線通信よりも高速に通信を行うための第2のアンテナ部を配置して、システム全体での通信速度の向上を図るものである。さらに、第1のアンテナ部で受信されたキャリア信号から電力を生成して、生成した電力で高速通信や通信データの処理、電池の充電等を行うものである。以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態(生成した電力を用いてコンテンツの再生を行う場合)
3.第3の実施の形態(生成した電力を用いて充電を行う場合)
<1.第1の実施の形態>
[無線通信システムの構成]
図1は、本発明の無線通信システムの構成を示している。無線通信システム10は、通信を開始するイニシエータ(Initiator)20と、その通信の対象となるターゲット(Target)30で構成される。
イニシエータ20は、具体的にはリーダライタ・モードで動作する近距離無線通信に対応したリーダライタ(R/W)である。イニシエータ20としてのリーダライタは、UART(Universal Asynchronous receiver-transmitter:万能非同期送受信機)などのホスト・インターフェースを介して、ホスト機器40に接続されている。ホスト機器40は、パーソナル・コンピュータ(PC)やリーダライタ内部の組み込みCPU(Central Processing Unit)に相当するものであり、送信データの生成や受信データの処理、通信動作を制御するための通信制御信号の生成等を行う。
ターゲット30は、近距離無線通信に対応したICカードなどのトランスポンダ、またはカード・モードで動作する近距離無線通信に対応したリーダライタである(以下では、これらのターゲットを単に「カード」と呼ぶものとする)。カード(ターゲット)30は、スタンドアロンである他、ホスト機器41に接続されている場合もある。
リーダライタ(イニシエータ)20には、第1のアンテナ部21と第2のアンテナ部22が設けられている。また、カード(ターゲット)30は、第1のアンテナ部31と第2のアンテナ部32が設けられている。図2は、アンテナ形状を示している。ここで、カード30が例えばISO/IEC7816−2、JIS6301−2規格などが定める85.6mm×54.0mmの形状とされているとき、第1のアンテナ部21(31)と第2のアンテナ部22(32)は、このカードサイズの領域ARcの中に設けられる。
従来の近距離無線通信例えばNFCIP−1方式のデータ通信に用いる第1のアンテナ部21(31)は、カード領域の外周に沿って形成された長方形のアンテナコイルで構成されている。また、高速通信に用いる第2のアンテナ部22(32)は、第1のアンテナ部を用いた通信との相互干渉を生じることなく独立してデータ通信が可能であり、第1のアンテナ部によるリーダライタ20からカード30への電力供給の妨げとならないように、例えばカード領域ARcの中央に設けられている。なお、制御ICチップSCは、アンテナ同調回路や後述するカード30のカード制御部33等を集積回路化したものであり、第1のアンテナ部と第2のアンテナ部が接続されている。また、以下の説明では、第1のアンテナ部21を大アンテナ、第2のアンテナ部22を小アンテナと呼ぶものとする。
大アンテナ21は、図1に示されているように、従来の近距離無線通信例えばNFCIP−1方式のデータ通信を行うための通信処理部(以下「低速通信処理部」という)231と接続されている。また、小アンテナ22は、高速通信を行うための通信処理部(以下「高速通信処理部」という)233と接続されている。
リーダライタ制御部23の低速通信処理部231は、大アンテナ21を用いて従来と同様にNFCIP−1方式のデータ通信を行うことができるように、低速通信用バッファ232から読み出された送信データの符号化処理や符号化処理を行うことにより得られた符号化データの変調処理等を行う。低速通信処理部231は、これらの処理を行うことにより送信信号を生成して大アンテナ21に供給する。また、低速通信処理部231は、大アンテナ21で得られた受信信号の復調処理や復調処理を行うことにより得られた復調信号の復号化処理等を行う。低速通信処理部231は、これらの処理を行うことにより得られた受信データを低速通信用バッファ232に保持させる。
表1は、NFCIP−1方式における転送方向、通信モード毎の通信速度やキャリア周波数、変調方式、符号化方式を示したものである。例えばNFCIP−1方式のデータ通信としてFelica(商標)の通信方式を用いる場合、低速通信処理部231は、ASK変復調処理やマンチェスター符号復号化処理等を行う。
低速通信用バッファ232は、低速通信処理部231から供給された受信データや、通信制御部243から供給された送信データを、一時的に保持しておくためのバッファである。
高速通信処理部233は、小アンテナ22を用いてNFCIP−1方式のデータ通信よりも高速な通信を行うものである。高速通信処理部233は、高速通信用バッファ234から読み出された送信データの符号化処理や符号化処理を行うことにより得られた符号化データの変調処理等を行う。高速通信処理部233は、これらの処理を行うことにより送信信号を生成して小アンテナ22に供給する。また、高速通信処理部233は、小アンテナ22で得られた受信信号の復調処理や復調処理を行うことにより得られた復調信号の復号化処理等を行う。高速通信処理部233は、これらの処理を行うことにより得られた受信データを高速通信用バッファ234に保持させる。
高速通信処理部233は、NFCIP−1方式のデータ通信よりも高速である通信方式として、バックスキャッタ方式や4.48GHzの通信周波数帯域を用いる微弱UWB(Ultra Wide Band)と呼ばれる通信方式、電磁誘導方式でベースバンド広帯域通信等を行う。このような方式を用いるものとすれば、表2に示すように、NFCIP−1方式よりも高速なデータ通信を行うことができる。
ここで、例えばバックスキャッタ方式を用いる場合、高速通信処理部233は、ASK変複調処理あるいはPSK変復調処理、NRZ−L符号復号化処理等を行う。高速通信処理部233は、生成した送信信号を送信する場合、カード30の小アンテナ32から供給された無変調キャリア信号を、送信信号に応じて変調して反射する。また、高速通信処理部233は、カード30の小アンテナ32から供給された変調キャリア信号を受信して復調等を行うことで受信データを生成する。
高速通信用バッファ234は、高速通信処理部233から供給された受信データや、通信制御部243から供給された送信データを、一時的に保持しておくためのバッファである。
通信制御部243は、バス236を介して低速通信処理部231、低速通信用バッファ232、高速通信処理部233、高速通信用バッファ234と接続されている。また、通信制御部243はホスト機器40と接続されている。通信制御部243は、ホスト機器40からの通信制御信号に基づき各部の動作を制御して、大アンテナ21や小アンテナ22を用いて、カード(ターゲット)30と通信を行う。
カード30には、大アンテナ31と小アンテナ32が設けられている。大アンテナ31は、リーダライタ20の大アンテナ21と同様に構成されており、カード制御部33の低速通信処理部331と電力生成部345に接続される。また、小アンテナ32は、リーダライタ20の小アンテナ22と同様に構成されており、カード制御部33の高速通信処理部233と接続される。
低速通信処理部331は、低速通信用バッファ332から読み出された送信データの符号化処理、および符号化処理を行うことにより得られた符号化データの変調処理等を行う。低速通信処理部331は、これらの処理を行うことにより送信信号を生成して大アンテナ31に供給する。また、低速通信処理部331は、大アンテナ31で得られた受信信号の復調処理、および復調処理を行うことにより得られた復調信号の復号化処理等を行う。低速通信処理部331は、これらの処理を行うことにより得られた受信データを低速通信用バッファ332に保持させる。
低速通信用バッファ332は、低速通信処理部331から供給された受信データや、通信制御部343から供給された送信データを、一時的に保持しておくためのバッファである。
高速通信処理部333は、高速通信用バッファ334から読み出された送信データの符号化処理、および符号化処理を行うことにより得られた符号化データの変調処理等を行う。高速通信処理部333は、これらの処理を行うことにより送信信号を生成して小アンテナ32に供給する。また、高速通信処理部333は、小アンテナ32で得られた受信信号の復調処理、および復調処理を行うことにより得られた復調信号の復号化処理等を行う。高速通信処理部333は、これらの処理を行うことにより得られた受信データを高速通信用バッファ334に保持させる。
高速通信処理部333は、例えばバックスキャッタ方式を用いる場合、小アンテナ32から無変調キュアリア信号を送信する。また、高速通信処理部333は、リーダライタ20からの反射波を小アンテナ32で受信して得られた変調キャリア信号の復調処理等を行うことで受信データを生成する。また、高速通信処理部333は、送信信号を生成して送信する場合、送信信号に応じてキャリア信号を変調して小アンテナ32から送信させる。
高速通信用バッファ334は、高速通信処理部333から供給された受信データや、通信制御部343から供給された送信データを、一時的に保持しておくためのバッファである。
通信制御部343は、バス346を介して低速通信処理部331、低速通信用バッファ332、高速通信処理部333、高速通信用バッファ334と接続されている。通信制御部343は、受信データに応じた処理を行い、例えば要求された情報を不揮発性メモリ(図示せず)から読み出して送信信号を生成する処理等を行う。また、通信制御部343がホスト機器41と接続される場合、通信制御部343は、ホスト機器41からの通信制御信号に基づき各部の動作を制御して、大アンテナ31や小アンテナ32を用いて、リーダライタ(イニシエータ)20と通信を行う。
電力生成部345は、大アンテナ31で受信したキャリア信号の整流や平滑化および電圧変換等を行い、所定の直流電圧である電力を生成する。さらに、電力生成部345は、生成した電力をカード30の各部に供給する。
[無線通信システムにおける電力生成動作]
このように構成された無線通信システム10では、図3に示すように、リーダライタ20の大アンテナ21とカード30の大アンテナ31、およびリーダライタ20の小アンテナ22とカード30の小アンテナ32がそれぞれ対向するように、リーダライタ20に対してカード30を設けてデータ通信が行われる。また、リーダライタ20とカード30が密着した状態とされたとき、生成される電力が大きくなるように大アンテナ31(または大アンテナ31)のアンテナ共振回路における周波数共振特性を切り替える。
図4は、リーダライタ20の大アンテナ21とカード30の大アンテナ31のアンテナ構成を示している。リーダライタ20の大アンテナ21はアンテナコイルと共振回路で構成されており、この大アンテナ21の等価回路をアンテナ共振回路ECaとして示している。また、カード30の大アンテナ31はアンテナコイルと共振回路および振幅変調を行うための負荷切り替え変調回路で構成されており、アンテナコイルと共振回路を示す等価回路をアンテナ共振回路ECbとして示している。
リーダライタ20のアンテナ共振回路ECaは、抵抗R1と、コンデンサC1と、コイルL1から成り、低速通信処理部231により生成された送信信号を、カード30に送信する。また、アンテナ共振回路ECaは、カード30から送信された信号を受信して、低速通信処理部331に供給する。なお、アンテナ共振回路ECaの固有の共振周波数は、コンデンサC1のキャパシタンスとコイルL1のインダクタンスにより、あらかじめ所定の値に設定される。
カード30のアンテナ共振回路ECbは、抵抗R2と、コンデンサC2と、コイルL2から成り、低速通信処理部331により生成され、負荷切り替え変調回路ECcのスイッチSW1によって抵抗R3を回路に挿入するか否かでASK変調を行い、変調された送信信号を、リーダライタ20の大アンテナ側に送信する。また、アンテナ共振回路ECbは、リーダライタ20から送信された信号を受信して、低速通信処理部331に供給する。なお、アンテナ共振回路ECbの共振周波数は、コンデンサC2のキャパシタンスとコイルL2のインダクタンスにより、あらかじめ所定の値に設定される。なお、アンテナ共振回路の周波数共振特性を図5に例示している。
ここで、カード30で必要する電力が大きい場合、カード30のスイッチSW2によって例えばアンテナ容量を変更して周波数共振特性を切り替えることで、電力生成部345で生成される電力を増加させる。
図6の(A)は、リーダライタ20とカード30の周波数共振特性が図5に示す特性とされているとき、電力生成部345で生じた起電力とアンテナ間距離との関係を動作電圧毎(5V、3.3V、1.8V)に示している。リーダライタ20とカード30の双方が、キャリア周波数(13.56MHz)近傍において急峻な周波数共振特性としてクオリティファクタを高くした設計とされている場合、起電力はアンテナ間距離が30mm程度で最大となる。すなわち、図7の(A)に示すように、人物OMがカード30を手に持ってリーダライタ20にかざしているとき、起電力が最も大きくなる。
しかし、アンテナ間距離が短くなってリーダライタ20とカード30が密着に近づくと、トランス結合要素が支配的になるため、系としての共振周波数がキャリア周波数からずれるという物理的特性がある。したがって、密着状態では起電力が小さくなって電力を得ることができなくなってしまう。
図6の(B)は、カード30のクオリティファクタを図5に示す特性よりも低くして、周波数共振特性をフラットに近づけることで無共振としたとき、電力生成部345で生じた起電力とアンテナ間距離との関係を動作電圧毎(5V、3.3V、1.8V)に示している。この場合、起電力は、リーダライタ20の大アンテナ21とカード30の大アンテナ31との間隔が20mm程度であるとき最も大きくなっている。また、リーダライタ20の大アンテナ21とカード30の大アンテナ31が密着状態となっても、起電力は図6の(A)に比べて大きなものとなる。すなわち、図7の(B)に示すように、リーダライタ20にカード30を載置した状態で、ホスト機器40からコンテンツデータをカード30に書き込むものとしたり、カード30に書き込まれているデータをホスト機器40で読み出す場合、大きな起電力を得ることができる。
このように、アンテナ共振回路のクオリティファクタを低下させて無共振とすれば、リーダライタ20の大アンテナ21とカード30の大アンテナ31を密着させたときに電力生成部345で生成される電力を大きくすることができるようになる。なお、周波数共振特性の切り替えは、カード30で行う場合に限られるものではなく、リーダライタ20で行うものとしてもよい。
[無線通信システムにおける通信動作]
次に、無線通信システム10の動作について説明する。図8は、リーダライタ20とカード30との間で高速通信を行うときの状態を示している。リーダライタ20とカード30との間で高速通信を行う場合、リーダライタ20にカード30を載置して、電磁誘導方式を用いてリーダライタ20とカード30との間でネゴシエーションを行い、バックスキャッタ方式の高速通信を行えるようにする。このバックスキャッタ方式の高速通信では、カード30から無変調キャリア信号の送信を行わせて、この無変調キャリア信号をリーダライタ20で送信信号に応じて変調して反射することによりデータ通信を行う。また、ネゴシエーションによって、例えばカード30は、電力生成部345で生成される電力が大きくなるように、周波数共振特性をクオリティファクタの高い特性(第1の特性)からクオリティファクタを低くして周波数特性をフラットに近づけた特性(第2の特性)に変更する。
図9は、通信動作のシーケンスを示している。リーダライタ20は、カード30に対して高速でデータ通信を行う場合、電磁誘導方式でカード30に対して送信許可の要求を行う(ST1)。
ホスト機器40は、カード30にデータを送信する際に通信制御信号をリーダライタ20の通信制御部243に供給する。
通信制御部243は、通信制御情報に基づき、低速通信処理部231の動作を制御して、送信許可の要求を示す変調キャリア信号を送信信号として大アンテナ21から送信させる。また、通信制御部243は、データ送信を行わないときでも、ホスト機器40から通信終了通知が供給されるまで無変調キャリア信号を送信信号として大アンテナ21に供給して、電磁誘導方式の近距離無線通信を行えるようにする。
カード30の大アンテナ31で受信信号すなわち無変調キャリア信号や変調キャリア信号が得られると、電力生成部345はキャリア信号から電力を生成して、生成した電力を各部に供給してカード30を動作させる。低速通信処理部331は、受信した変調キャリア信号の復調や復調データの復号化を行い、得られた受信データを通信制御部343に供給する。すなわち、リーダライタ20から送信された送信許可の要求が通信制御部343に供給されることになる。
カード30は、高速通信処理部333を用いた通信を許可するとき、送信許可の応答を行う(ST2)。
カード30の通信制御部343は、高速通信処理部333を用いた通信を許可するとき、送信許可の応答を生成して、低速通信処理部331に供給する。低速通信処理部331は、送信許可の応答を示す送信データの符号化や変調を行い、送信信号を生成する。また、低速通信処理部331は、リーダライタ20から送信されている無変調キャリア信号を送信信号に応じて変調する。
リーダライタ20の低速通信処理部231は、カード30で変調されたキャリア信号の復調や復号化を行い、得られた受信データを通信制御部243に供給する。すなわち、カード30から送信された送信許可の応答が通信制御部243に供給されることになる。
リーダライタ20の通信制御部243は、カード30から送信許可の応答が供給されたことから、通信制御情報の通知を行う(ST3)。
リーダライタ20の通信制御部243は、ホスト機器40から供給された通信制御情報を低速通信処理部231に供給する。
リーダライタ20の低速通信処理部231は、通信制御情報の符号化や変調を行い、通信制御情報を示す変調キャリア信号を生成して大アンテナ21から送信する。カード30の低速通信処理部331は、大アンテナ31から送信された変調キャリア信号を受信して、変調キャリア信号の復調や復号化を行い、得られた受信データを通信制御部343に供給する。すなわち、リーダライタ20から送信された通信制御情報が通信制御部343に供給されることになる。
カード30の通信制御部343は、通信制御情報に基づき高速通信処理部333を用いたデータ通信の設定を行い、リーダライタ20との高速データ通信を行うことができるように、高速通信処理部333に接続されている小アンテナ32から無線信号として、無変調キャリア信号を放射させる(ST4)。なお、通信制御情報に、データサイズを示す情報を含めるものとすれば、この通信制御情報で示されたサイズのデータ受信が完了したとき、高速データ通信部を用いたデータ通信動作を終了させることができる。
カード30の通信制御部343は、通信制御情報で示された伝送速度および形式でリーダライタ20とデータ通信を行うことができるように、高速通信処理部333の動作制御を行う。また、通信制御部343は、リーダライタ20との高速データ通信を行うことができるように、例えば2.45GHzの無変調キャリア信号を小アンテナ32から放射させる。さらに、大きな電力を得ることができるように、通信制御部343は、大アンテナ31のアンテナ共振回路のクオリティファクタを低くして周波数共振特性をフラットに近づけた特性(第2の特性)に変更する。
リーダライタ20の高速通信処理部233は、カード30から放射された無変調キャリア信号を利用してデータ送信を行う(ST5)。
リーダライタ20の通信制御部243は、ホスト機器40から供給された送信データを順次高速通信用バッファ234に書き込む。高速通信処理部233は、高速通信用バッファ234に書き込まれている送信データを順次読み出して、送信データの符号化や変調を行うことによって生成された送信信号に基づき、カード30から放射された無変調キャリア信号を変調して反射する。
カード30の高速通信処理部333は、リーダライタ20からの反射波信号を受信して得られた受信信号の復調や復号化を行い、受信データを生成して通信制御部343に供給する。
カード30は、あらかじめ通知されたサイズのデータ通信が完了したとき、リーダライタ20に対して受信完了通知を行う(ST6)。
カード30の通信制御部343は、あらかじめ通知されたサイズのデータ通信が完了したとき、受信完了通知を低速通信処理部331に供給する。また、通信制御部343は、大アンテナ31のアンテナ共振回路の周波数共振特性を、クオリティファクタの高い従来の周波数共振特性である第1の特性に戻す。低速通信処理部331は、受信完了通知を示す送信データの符号化や変調を行い、送信信号を生成する。また、低速通信処理部331は、リーダライタ20からの無変調キャリア信号を送信信号に応じて変調する。さらに、通信制御部343は、データ受信が完了したとき、高速通信処理部333の動作を終了して無変調キャリア信号の放射を停止させる。
リーダライタ20の低速通信処理部231は、カード30で変調されたキャリア信号の復調や復号化を行い、得られた受信データを通信制御部243からホスト機器40に供給する。すなわち、カード30から送信された受信完了通知がホスト機器40に供給されることになる。
ホスト機器40は、受信完了通知が供給されたとき、リーダライタ20の低速通信処理部231の動作を終了させて、大アンテナ21への無変調キャリア信号の供給を停止させる。なお、無変調キャリア信号の供給を停止させる処理の制御は、通信制御部243で行うものとしてもよい。
このように、カード30は、高速通信を行うとき周波数共振特性を切り替えることで、リーダライタ20の大アンテナ21とカード30の大アンテナ31を密着された状態とされても、電力生成部345で大きな電力を生成することができるようになる。
<2.第2の実施の形態>
[無線通信装置の他の構成]
電磁誘導方式を用いた近距離無線通信システムでは、上述のように、アンテナ部の周波数共振特性を変更することで、リーダライタ20の大アンテナ21とカード30の大アンテナ31を密着した状態とされても、電力生成部345で生成される電力を大きくすることができる。したがって、無線通信装置を再生装置に適用して、この再生装置30aすなわちコンテンツ再生部を設けたターゲットをリーダライタ20に載置して、リーダライタ20からコンテンツデータを再生装置30aに供給すれば、再生装置30aに電池等を設けることなく、コンテンツの再生を行うことが可能となる。すなわち、無電源パッシブ動作の再生装置を実現できる。
図10は、ターゲットである再生装置30aの構成を示している。再生装置30aには、大アンテナ31と小アンテナ32が設けられている。大アンテナ31は、リーダライタ20の大アンテナ21と同様に構成されており、カード制御部33の低速通信処理部331と電力生成部345に接続されている。また、小アンテナ32は、リーダライタ20の小アンテナ22と同様に構成されており、カード制御部33の高速通信処理部233と接続されている。
低速通信処理部331は、低速通信用バッファ332から読み出された送信データの符号化処理、および符号化処理を行うことにより得られた符号化データの変調処理等を行う。低速通信処理部331は、これらの処理を行うことにより送信信号を生成して大アンテナ31に供給する。また、低速通信処理部331は、大アンテナ31で得られた受信信号の復調処理、および復調処理を行うことにより得られた復調信号の復号化処理等を行う。低速通信処理部331は、これらの処理を行うことにより得られた受信データを低速通信用バッファ332に保持させる。
低速通信用バッファ332は、低速通信処理部331から供給された受信データや、通信制御部343から供給された送信データを、一時的に保持しておくためのバッファである。
高速通信処理部333は、高速通信用バッファ334から読み出された送信データの符号化処理、および符号化処理を行うことにより得られた符号化データの変調処理等を行う。高速通信処理部333は、これらの処理を行うことにより送信信号を生成して小アンテナ32に供給する。また、高速通信処理部333は、小アンテナ32で得られた受信信号の復調処理、および復調処理を行うことにより得られた復調信号の復号化処理等を行う。高速通信処理部333は、これらの処理を行うことにより得られた受信データを高速通信用バッファ334に保持させる。ここで、例えばバックスキャッタ方式を用いる場合、高速通信処理部333は、小アンテナ32から無変調キュアリア信号を送信する。また、高速通信処理部333は、リーダライタ20からの反射波を小アンテナ32で受信して得られた変調キャリア信号の復調処理等を行うことで受信データを生成する。
高速通信用バッファ334は、高速通信処理部333から供給された受信データや、通信制御部343から供給された送信データを、一時的に保持しておくためのバッファである。
コンテンツデータ処理部335は、リーダライタ20から小アンテナ22,32を介して供給されたコンテンツデータを、高速通信用バッファ334から読み出して処理することで再生信号を生成する。コンテンツデータ処理部335は、例えば高速通信用バッファ334から読み出したコンテンツデータが圧縮符号化されている場合、処理として伸張復号化処理等を行う。
コンテンツ再生部336は、コンテンツデータ処理部335で生成された再生信号を用いてコンテンツの再生を行う。例えば再生信号が映像コンテンツの信号である場合、再生信号に基づいて映像表示を行う。再生信号が音声コンテンツの信号である場合、再生信号に基づいて音声出力を行う。
通信制御部343は、バス346を介して低速通信処理部331、低速通信用バッファ332、高速通信処理部333、高速通信用バッファ334、コンテンツデータ処理部335、コンテンツ再生部336と接続されている。通信制御部343は、リーダライタ20と通信を行い、例えばリーダライタ20から伝送されたコンテンツデータを受信して、この受信したコンテンツデータに基づき、コンテンツ再生部336で映像表示や音声出力等を行わせる。
電力生成部345は、大アンテナ31で受信したキャリア信号の整流や平滑化、および電圧変換等を行い所定の直流電圧である電力を生成する。さらに、電力生成部345は、生成した電力を再生装置30aの各部に供給する。
[無線通信装置を再生装置に適用したときの動作]
図11の(A)は、映像コンテンツのコンテンツデータをリーダライタ20から再生装置30aに送信して、再生装置30aのコンテンツ再生部336で映像表示を行う場合を示している。
再生装置30aの通信制御部343は、コンテンツデータの再生を行うとき、大きな電力を得ることができるように、大アンテナ31の周波数共振特性を、クオリティファクタを低くしてフラットに近づけた特性に切り替えて無共振とする。
また、再生装置30aは、小アンテナ32を用いてリーダライタ20とコンテンツデータの通信を行い、高速通信処理部333で得られた受信データを高速通信用バッファ334に保持させる。また、コンテンツデータ処理部335は、高速通信用バッファ334に保持されている受信データを順次読み出して伸張処理等を行うことでコンテンツ再生信号を生成する。さらに、コンテンツデータ処理部335は、生成したコンテンツ再生信号をコンテンツ再生部336に供給する。
コンテンツ再生部336は、液晶表示デバイスや有機EL表示デバイス等を用いて構成されている。コンテンツ再生部336は、コンテンツ再生信号に基づき映像表示を行う。
図11の(B)は、音声コンテンツのコンテンツデータをリーダライタ20から再生装置30aに送信して、再生装置30aのコンテンツ再生部336で音声出力を行う場合を示している。
再生装置30aの通信制御部343は、コンテンツデータの再生を行うとき、大きな電力を得ることができるように、大アンテナ31の周波数共振特性を、クオリティファクタを低くしてフラットに近づけた特性に切り替えて無共振とする。
また、再生装置30aは、小アンテナ32を用いてリーダライタ20と通信を行ったときに高速通信処理部333で得られた受信データを高速通信用バッファ334に保持させる。また、コンテンツデータ処理部335は、高速通信用バッファ334に保持されている受信データを順次読み出して伸張処理等を行うことでコンテンツ再生信号を生成する。さらに、コンテンツデータ処理部335は、生成したコンテンツ再生信号をコンテンツ再生部336に供給する。
コンテンツ再生部336は、スピーカ等を用いて構成されている。コンテンツ再生部336は、コンテンツ再生信号に基づきスピーカから音声出力を行わせる。
さらに、再生装置30aに、表示デバイスやスピーカ等だけでなくチューナを設けるものとすれば、テレビジョン番組の視聴等も行うことができる。
また、再生装置30aにメモリ部と、メモリ部に対してデータの書き込みや読み出しを行うメモリ処理部を設けるものとして、リーダライタ20から送信されたコンテンツデータをメモリ部に記憶しておくものとしてもよい。
この場合、図12に示すように、再生装置30aは、リーダライタ20と通信を行ってコンテンツデータを取得しなくとも、リーダライタ20から再生装置30aに電力供給を行うことで、メモリ部に記憶されているコンテンツを再生できる。
このように再生装置30aを構成すれば、再生装置30aに電池を設けなくとも、再生装置30aは、リーダライタ20に載置された状態で映像表示や音声出力を行うことができる。また、再生装置30aは、非接触状態でデータ通信および電力供給が可能となるので、接続インターフェースのための開口部等を設ける必要がない。したがって、防塵・防水対策がなされた再生装置30aを簡単かつ容易に提供できる。また、再生装置30aは、電源ユニットおよび通信用インターフェースユニットを必要としない。したがって、再生装置30aの軽量化や薄型化が容易となる。また、再生装置30aは、メカニカルな機構や接点を持たない。したがって、故障し難く信頼性の高い再生装置30aを提供できるようになる。また、内蔵デバイスとしてタッチパネルなどを用いることにより、デバイス単体でユーザインターフェース機能を持つこともできる。
さらに、再生装置30aにおける周波数共振特性を、従来のようにクオリティファクタの高い第1の特性、または大きな電力を生成できるようにクオリティファクタを低くして周波数特性をフラットに近づけた第2の特性に切り替え可能とすることで、種々のモード機能を持つことが可能となる。
再生装置30aは、例えば既存近接通信互換モードのとき、大アンテナの周波数共振特性を第1の特性とする。また、再生装置30aは、ユーザ固有の識別情報や個人情報等をメモリに記憶しておく。このようにすれば、再生装置30aは既存の近接通信機能を有したICカード等と同様な距離で通信が可能となり、NFCIP−1互換の個人認証や電子マネー決済カードとして使用することができる。
再生装置30aは、大容量高速ストレージモードのとき、NFCIP−1方式の通信でネゴシエーションを行い、小アンテナを用いた高速通信を行う。また、再生装置30aは、大アンテナ31の周波数共振特性を、従来の特性から密着した状態でも大きな電力を生成できる特性に切り替える。このようにすれば、再生装置30aは、リーダライタ20と密着した状態でも大きな電力を得ることができるので、例えば再生装置30aの小アンテナ32から無変調キャリア信号を送信して高速通信を行うことができる。なお、受信したデータ信号はメモリに記憶する。また、このメモリは、高速通信用バッファ334と共用してもよい。さらに、再生装置30aは、高速通信で必要とされる電力が少ない場合、大アンテナ31の周波数共振特性を、従来の第1の特性の状態に保持するものとしてもよい。
再生装置30aは、AV機器モードのとき、NFCIP−1方式の通信でネゴシエーションを行い、大アンテナ31の周波数共振特性を、従来の第1の特性から密着した状態でも大きな電力を生成できる第2の特性に切り替える。このようにすれば、再生装置30aは、大きな電力を得ることができるので、コンテンツデータ処理部やコンテンツ再生部等を動作させて、映像表示や音声出力を行うことができる。なお、再生に用いるコンテンツデータは、メモリに蓄積されているコンテンツデータを用いるものとしてもよく、小アンテナを用いて高速通信を行うことで、リーダライタ20から取得するものとしてもよい。
<3.第3の実施の形態>
[無線通信装置の他の構成]
上述のように、アンテナ部の周波数共振特性を変更することで、リーダライタ20の大アンテナ21とカード30の大アンテナ31を密着させたときに電力生成部345で生成される電力を大きくすることができる。したがって、例えば電池を用いて構成された電源ジュールに対して、無線通信装置を受電装置として設けるものとすれば、この電源モジュール30bであるターゲットの充電を、電力生成部345で生成された電力を用いて行うことが可能となる。
図13は、ターゲットである電源モジュール30bの構成を示している。電源モジュール30bには、大アンテナ31と小アンテナ32が設けられている。大アンテナ31は、リーダライタ20の大アンテナ21と同様に構成されており、カード制御部33の低速通信処理部331と電力生成部345に接続されている。また、小アンテナ32は、リーダライタ20の小アンテナ22と同様に構成されており、カード制御部33の高速通信処理部233と接続されている。
低速通信処理部331は、低速通信用バッファ332から読み出された送信データの符号化処理、および符号化処理を行うことにより得られた符号化データの変調処理等を行う。低速通信処理部331は、これらの処理を行うことにより送信信号を生成して大アンテナ31に供給する。また、低速通信処理部331は、大アンテナ31で得られた受信信号の復調処理、および復調処理を行うことにより得られた復調信号の復号化処理等を行う。低速通信処理部331は、これらの処理を行うことにより得られた受信データを低速通信用バッファ332に保持させる。
低速通信用バッファ332は、低速通信処理部331から供給された受信データや、通信制御部343から供給された送信データを、一時的に保持しておくためのバッファである。
高速通信処理部333は、高速通信用バッファ334から読み出された送信データの符号化処理、および符号化処理を行うことにより得られた符号化データの変調処理等を行う。高速通信処理部333は、これらの処理を行うことにより送信信号を生成して小アンテナ32に供給する。また、高速通信処理部333は、小アンテナ32で得られた受信信号の復調処理、および復調処理を行うことにより得られた復調信号の復号化処理等を行う。高速通信処理部333は、これらの処理を行うことにより得られた受信データを高速通信用バッファ334に保持させる。ここで、例えばバックスキャッタ方式を用いる場合、高速通信処理部333は、小アンテナ32から無変調キュアリア信号を送信する。また、高速通信処理部333は、リーダライタ20からの反射波を小アンテナ32で受信して得られた変調キャリア信号の復調処理等を行うことで受信データを生成する。
高速通信用バッファ334は、高速通信処理部333から供給された受信データや、通信制御部343から供給された送信データを、一時的に保持しておくためのバッファである。
メモリ処理部337は、高速通信用バッファ334に保持されている受信データを読み出して、メモリ部338に書き込む処理や、メモリ部338に記憶されているデータを読み出して、送信データとして高速通信用バッファ334に一時保持させる処理を行う。
電源管理部339には二次電池を用いた内蔵電源部340が接続されている。電源管理部339は、内蔵電源部340の電池残量を検出して、検出結果を示す電源情報を生成して、低速通信用バッファ332または高速通信用バッファ334に供給する。
内蔵電源部340は、電源モジュール30bの各部に対して電力供給を行う。また、内蔵電源部340は、接続されている電力生成部345で生成された電力を用いて、電池の充電を行う。
通信制御部343は、バス346を介して低速通信処理部331、低速通信用バッファ332、高速通信処理部333、高速通信用バッファ334と接続されている。通信制御部343は、受信データに応じた処理を行い、例えば要求された情報をメモリ部から読み出して送信信号を生成して送信する処理や、電源情報を示す送信信号を生成して送信する処理等を行う。
電力生成部345は、大アンテナ31で受信したキャリア信号の整流や平滑化、および電圧変換等を行い所定の直流電圧である電力を生成する。さらに、電力生成部345は、生成した電力を内蔵電源部340に供給する。なお、無線通信装置を受電装置としてのみ設ける場合、高速通信処理部333や高速通信用バッファ334を設けていなくともよい。
[無線通信装置を電源モジュールに適用したときの動作]
図14の(A)は、電源モジュール30bを充電するときの動作を説明するための図である。電源モジュール30bを充電するとき、電源モジュール30bは、大アンテナ31がリーダライタ20の大アンテナ21と対向するように、リーダライタ20に載置される。
ここで、通信制御部343は、充電動作を行うとき、電力生成部345で生成される電力が大きくなるように、大アンテナ31の周波数共振特性を、クオリティファクタを低くしてフラットに近づけた第2の特性に切り替える。
また、電源モジュール30bは、小アンテナ32を用いてリーダライタ20と通信を行うことで、コンテンツデータ等を受信したとき、高速通信用バッファ334に保持した受信データをメモリ処理部337によってメモリ部338に記憶させる。
電力生成部345は、大アンテナ31で受信したキャリア信号を用いて電力生成を行い、生成した電力を内蔵電源部340に供給する。内蔵電源部340は、電力生成部345から供給された電力を用いて電池の充電を行う。
図14の(B)は、電源モジュール30bから外部機器45に対して電力供給を行うときの動作を説明するための図である。なお、外部機器45において、電源モジュール30bとの通信を行うアンテナや通信処理部は、リーダライタ20と同様に構成されている。また、外部機器45には、大アンテナで受信したキャリア信号から電力を生成する電力生成部が設けられているものとする。
電源モジュール30bから外部機器45に対して電力供給を行うとき、電源モジュール30bは、大アンテナ31が外部機器45の大アンテナ21と対向するように、外部機器45に載置される。
通信制御部343は、外部機器45に対して電力供給を行うとき、電力生成部345で生成される電力が大きくなるように、大アンテナ31の周波数共振特性をフラットに近づけた第2の特性に切り替えてキャリア信号を送信する。
外部機器45は、電源モジュール30bの大アンテナ31から送信されたキャリア信号を受信して、受信したキャリア信号から電力を生成する。また、外部機器45は生成した電力を用いて、内蔵している電池の充電を行う。さらに、外部機器45は、電池が設けられていないとき、あるいは電池が充電完了状態であるとき、生成した電力を用いて種々の動作を行う。
電源モジュール30bは、小アンテナ32を用いて外部機器45との通信を行い、メモリ部338に記憶されているコンテンツデータ等を外部機器45に送信する。また、電源モジュール30bは、電池残量を示す情報や正規の電源モジュールであるかを識別可能とする認証情報を外部機器45に送信するようにしてもよい。
このように、電源モジュール30bは、リーダライタ20から大アンテナを介した通信によって生成された電力によって、内蔵電源部340の充電を行うことで様々なメリットを得ることができる。すなわち、電源モジュールは、その性質上(電源回路の部品が大きい、放熱のためあまり集積できないなど)内部に比較的大きなスペースを持っているため、空きスペースに外部機器用のメモリを実装することで、外部機器側のスペースを節約することが可能である。ここで、電源モジュール30b自体に通信機能を持たせるものとすれば、高速通信のためのキャリア送出に必要な電力を確保できるので、電源モジュール30bは、実装している外部機器用のメモリに記憶したデータを外部機器に送信できる。また、電源モジュール30bは、近距離無線通信や電力放出(外部機器駆動時)および電力供給(充電時)の全てを実行できるので、モジュール自体に接続インターフェースのための開口部を設ける必要がない。したがって、防塵・防水対策がなされた電源モジュール30bを簡単かつ容易に提供できる。また、電源モジュール30bは、メカニカルな機構や接点を持たない。したがって、腐食や劣化、故障等が生じ難く信頼性の高い電源モジュール30bを提供できるようになる。また、電池残量情報や、正規電池であることの認証を非接触通信にて行うこともできる。
[電源モジュールの使用形態]
さらに、上述の再生装置30aと電源モジュール30bを組み合わせて用いることで多彩な使用形態を可能となる。
図15は、電源モジュール30bに再生装置30aを載置して、電源モジュール30bと通信を行う場合を示している。再生装置30aは、例えばディスプレイタイプ(タッチパネル付き)のパッシブ動作の再生装置である。再生装置30aは、電源モジュール30bとの通信を行い、電源モジュール30bに内蔵された電源の電源状態(残量)およびメモリの内容等に関する情報を取得してタッチパネル付き表示部341で表示する。また、タッチパネル付き表示部341が操作されたとき、操作に応じたコマンド信号を生成して電源モジュール30bに供給することで、電源モジュール30bのメモリに記憶されているデータの読み出し等を行う。
また、電源モジュール30bの複数面、例えば対向する2つの面に大アンテナ31と小アンテナ32をそれぞれ設けるものとすれば、電源モジュール30bは、再生装置30aに対して電力の供給やコンテンツデータの供給を行うことができるだけでなく、リーダライタ20から電力やコンテンツデータの供給を受けることもできる。
図16の(A)は、対向する2面のそれぞれに大アンテナ31と小アンテナ32を設けるものとしたときの電源モジュール30bの構成を示している。
図16の(B)は、両面にアンテナが設けられている電源モジュール30bに再生装置30aを載置したときの構成を示している。電源モジュール30bは、再生装置30aと高速通信を行う。この場合、電源モジュール30bは内蔵されている電池から供給された電力を用いて、大アンテナからキャリア信号を送出することで、再生装置30aを動作させる。また、内蔵したメモリに記憶しているコンテンツデータの高速通信を行い、送信したコンテンツデータを再生装置30aで再生させる。このようにすれば、電源モジュール30bは、再生装置30aの外部電源および高速ストレージデバイスとして機能する。
なお、再生装置30aと電源モジュール30bを一体化した状態に保持する保持機構を設けて、再生装置30aと電源モジュール30bの大アンテナが密着状態で保持させるようにしてもよい。このような機構を設けるものとすれば、再生装置30aと電源モジュール30bを一体化した状態で容易に携行すること等が可能となる。
図16の(C)は、両面にアンテナが設けられている電源モジュール30bに再生装置30aが載置されている状態で、この電源モジュール30bをリーダライタ20に載置した状態を示している。
この場合、電源モジュール30bは、リーダライタ20から供給された電力を用いて、内蔵している電池の充電を行う。また、電源モジュール30bは内蔵されている電池から供給された電力を用いて、大アンテナからキャリア信号を送出することで、再生装置30aを動作させる。なお、電源モジュール30bは、リーダライタ20から供給された電力を用いて、大アンテナからキャリア信号を送出させるものとしてもよい。
また、電源モジュール30bは、リーダライタ20から供給されたコンテンツデータを、内蔵しているメモリに記憶させる。また、電源モジュール30bは、内蔵したメモリに記憶しているコンテンツデータの高速通信を行い、送信したコンテンツデータを再生装置30aで再生させる。なお、電源モジュール30bは、リーダライタ20から供給されたコンテンツデータを再生装置30aに送信するものとしもよい。
このようにすれば、電源モジュール30bの充電や、蓄積されているコンテンツデータの更新等を行うことができる。
図16の(D)は、電源モジュール30bを取り外したときの構成を示している。この場合には、上述の第2の実施の形態の動作となる。なお、図16の(C)や図16の(D)に示す場合も、リーダライタ20や再生装置30aおよび電源モジュール30bを一体化した状態に保持する保持機構を設けるものとすれば、これらを一体化した状態で容易に携行すること等が可能となる。
なお、本発明は、上述した発明の実施の形態に限定して解釈されるべきではない。この発明の実施の形態は、例示という形態で本発明を開示したものであり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施の形態の修正や代用をなし得ることは自明である。すなわち、本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
この発明の無線通信装置と受電装置では、送信側と受信側の無線通信装置のアンテナが密着した状態とされて近距離無線通信が行われる場合でも、充分な電力を得て通信等を行えるようになる。このため、個人認証や電子マネー決済等に用いられるICカードだけでなく、映像や音声のコンテンツを再生する再生装置、電力供給を行う電源モジュール等にも適用できる。
無線通信システムの構成を示す図である。 アンテナ形状を示す図である。 リーダライタとカードの配置を示す図である。 リーダライタとカードのアンテナ構成を示す図である。 アンテナ部の周波数共振特性を例示した図である。 起電力とアンテナ間距離との関係を示す図である。 リーダライタとカードの位置関係を示す図である。 リーダライタとカード間で高速通信を行うときの状態を示す図である。 通信動作のシーケンスを示す図である。 再生装置の構成を示す図である。 再生装置の動作を説明するための図である。 再生装置の他の動作を説明するための図である。 電源モジュールの構成を示す図である。 電源モジュールを用いたときの動作を説明するための図である。 電源モジュールの使用形態を例示した図である。 電源モジュールの他の使用形態を例示した図である。
符号の説明
10・・・無線通信システム、20・・・リーダライタ(イニシエータ)、21,31・・・大アンテナ(第1のアンテナ部)、22,32・・・小アンテナ(第2のアンテナ部)、23・・・リーダライタ制御部、30・・・カード(ターゲット)、30a・・・再生装置、30b・・・電源モジュール、33・・・カード制御部、40,41・・・ホスト機器、45・・・外部機器、231,331・・・低速通信処理部、232、332・・・低速通信用バッファ、233,333・・・高速通信処理部、234,334・・・高速通信用バッファ、236,346・・・バス、243,343・・・通信制御部、335・・・コンテンツデータ処理部、336・・・コンテンツ再生部、337・・・メモリ処理部、338・・・メモリ部、339・・・電源管理部、340・・・内蔵電源部、345・・・電力生成部

Claims (8)

  1. 第1のアンテナ部を用いて電磁誘導方式で通信を行う第1の通信処理部と、
    第2のアンテナ部を用いて前記電磁誘導方式とは異なる方式または通信周波数で前記第1の通信処理部よりも高速通信を行う第2の通信処理部と、
    前記第1のアンテナ部で受信したキャリア信号から少なくとも通信動作を行うための電力を生成する電力生成部を有し、
    前記第1のアンテナ部の周波数共振特性を切り替えて前記電力生成部で電力の生成を行う無線通信装置。
  2. 前記第1の通信処理部は、データ通信を行うとき前記第1のアンテナ部のアンテナ共振回路におけるクオリティファクタを高くし、データ通信を行わないとき前記データ通信を行うときよりも前記クオリティファクタを低くする
    請求項1記載の無線通信装置。
  3. 前記第1のアンテナ部は、前記キャリア信号を送信する送信元のアンテナ部と密着させて用いる
    請求項2記載の無線通信装置。
  4. コンテンツの再生を行うコンテンツ再生部を設け、
    前記電力生成部は、生成した電力を前記コンテンツ再生部に供給する
    請求項1記載の無線通信装置。
  5. 前記コンテンツ再生部は、前記第2の通信処理部で受信したコンテンツデータを用いてコンテンツの再生を行う
    請求項3記載の無線通信装置。
  6. 充電可能な電源部を設けて、
    前記電力生成部は、生成した電力を用いて前記電源部を充電することで、該電源部から前記少なくとも通信動作を行うための電力の供給を行う
    請求項1記載の無線通信装置。
  7. 前記第1と第2の通信処理部を複数設け、該複数の通信用処理部で用いられるそれぞれの前記第1と第2のアンテナ部を異なる面に設けた
    請求項5記載の無線通信装置。
  8. 電磁誘導方式でデータ通信を行うためのアンテナ部で受信したキャリア信号から電力を生成する電力生成部を有し、
    前記アンテナ部の周波数共振特性を前記電磁誘導方式のデータ通信動作に応じて切り替えて前記電力生成部で電力の生成を行う受電装置。
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