以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施例の構成に限定されない。本明細書では、送電装置が送電した電力に対し受電装置が受電した電力を送受電電力または給電電力と称し、送電装置が送電した電力と受電装置が受電した電力との比を給電効率と称する。
送電装置と受電装置との間の無線通信と無線電力伝送を同じキャリア周波数で行う無線電力伝送システムに適用した実施例1を説明する。本実施例1では、受電装置の無線通信用アンテナと電力受電用アンテナとを、無線通信時と無線電力伝送時とで時分割に切り替えて無線電力伝送を行う。
図1は、本発明に係る無線電力伝送システムを構成する送電装置の概略構成ブロック図を示し、図2は、受電装置の概略構成ブロック図を示す。図1に示す送電装置100は、図2に示す受電装置200に無線方式で電力を伝送する。図1及び図2においては、理解を容易にするために、本実施例の特徴的な機能を説明する構成要素のみを図示してある。
図1に示す送電装置100の構成を説明する。Tx制御部(送電制御部)102は、送電装置100の無線電力伝送を制御する。Tx制御部102は、CPU、ワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)及び処理手順を記憶するROM(Read Only Memory)からなる。
Tx送電部104は、受電装置200に供給すべき電力を生成する回路であり、主に、トランジスタ増幅回路及び水晶発振回路などで構成される。Tx送電部104の出力は、反射電力検出回路106及びTx整合回路108を介してTx送電アンテナ110に供給される。
反射電力検出回路106は、Tx送電アンテナ110から外部に放射される電磁波(電力を搬送する電力信号)の進行波と反射波をそれぞれ進行波電圧VFおよび反射波電圧VRとして検出する。反射電力検出回路106は例えば、CM型方向性結合器で構成される。CM型方向性結合器は一般的な回路であるので説明は省略する。
TX整合回路108は、TX送電部104とTX送電アンテナ110との間のインピーダンス整合を行う回路である。TX整合回路108は、TX制御部102の制御によってそのインピーダンス整合度を調整可能である。TX整合回路108は、無線電力伝送の際に過大な電圧が発生しないようにする保護回路を備える。
TX送電アンテナ110は、受電装置(ここでは受電装置200)に向けて電力を搬送する電磁波を放射するアンテナである。TX送電アンテナ110は例えば、HF帯である6.78MHzまたは13.56MHz付近に共振周波数を有する。
TX通信部112は、近接無線通信方式により、他の装置(ここでは受電装置200)との間で無線電力伝送の制御データを通信する通信手段であり、ここでは、非接触ICに適用される通信方式に準拠する。すなわち、TX通信部112は、非接触IC、または、非接触ICにデータを読み書きする非接触ICリーダライタである。TX通信部112で行う近接無線通信は、国際標準規格であるISO/IEC21481に対応している。
TX通信整合回路114は、TX通信部112とTX通信アンテナ116との間のインピーダンス整合を行う回路である。TX通信整合回路114は、TX制御部102の制御によってそのインピーダンス整合度を調整可能であってもよいし、インピーダンス整合度が固定された固定定数回路でもよい。Tx通信整合回路114は、過大な電圧を発生しないようにする保護回路を備える。
Tx通信アンテナ116は、他の装置(ここでは受電装置200)と近接無線通信を行うことのできるアンテナである。Tx通信アンテナ116は、例えばHF帯である13.56MHz付近に共振周波数を有する。
Tx通信部118は、他の装置(ここでは、受電装置200)との間で、近距離無線通信により無線電力伝送の制御データを送受信する通信手段である。Tx通信整合回路120は、Tx通信部118とTx通信アンテナ122との間のインピーンス整合を行う回路である。Tx通信整合回路120は、Tx制御部102の制御によってそのインピーダンス整合度を調整可能な回路でもよいし、インピーダンス整合度が固定された固定定数回路でもよい。Tx通信整合回路120は、過大な電圧を発生しないようにする保護回路を備える。
Tx通信アンテナ122は、他の装置(ここでは、受電装置200)と近距離無線通信を行うことのできるアンテナである。Tx通信アンテナ122は例えば、UHF帯である2.45GHz付近に共振周波数を有するアンテナである。
Tx通信部118及びTx通信アンテナ122は、近距離無線規格であるBluetooth Low Energy(登録商標)に対応している。
図2を参照して、受電装置200の構成を説明する。受電装置200は、送電装置100から無線伝送される電力を受信し、内蔵する充電池を充電し、内蔵機器を動作させる。
Rx制御部(受電制御部)202は、受電装置200の無線電力伝送制御を司る制御手段である。Rx制御部202は、CPU、ワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)及び処理手順を記憶するROM(Read Only Memory)からなる。
Rx受電アンテナ204は、送電装置100のTx送電アンテナ110と対になるアンテナであって、Tx送電アンテナ110から放射された電力を搬送する電磁波を受信する。Rx受電アンテナ204には並列に、Rx受電アンテナ204とLC共振回路を形成するキャパシタ206が接続されている。共振周波数切替え回路208は、Rx制御部202からの制御信号に従い容量値を変更できる回路である。Rx制御部202は、共振周波数切替え回路208によりRx受電アンテナ204の共振周波数をキャリア周波数の内外で所定値に変更できる。
Rx整流平滑化回路210は、送電装置100からの電力波によりRx受電アンテナ204に誘起されるAC電圧をDC電圧に整流する回路である。Rx定電圧回路212は、Rx整流平滑化回路210から出力されるDC電圧を定電圧化し、定電圧化したDC電圧を充電制御回路214に供給する。充電制御回路214は、Rx定電圧回路212からのDC電圧により充電池216を充電すると共に、受電装置200の、Rx制御部202を含む各部に対する電源として機能する。充電池216は例えば、1セルのリチウムイオン電池である。
Rx通信アンテナ218は、Tx通信アンテナ116と対応するアンテナである。Rx通信アンテナ218には並列に、Rx通信アンテナ218とLC共振回路を形成するキャパシタ220が接続されている。共振周波数切替え回路222は、Rx制御部202からの制御信号に従い容量値を変更できる回路である。Rx制御部202は、共振周波数切替え回路222によりRx通信アンテナ218の共振周波数をキャリア周波数の内外で所定値に変更できる。
Rx通信部224は送電装置100のTx通信部112と対応する通信手段であって、送電装置100との間で無線電力伝送の制御データを送受信する手段である。例えば、Tx通信部112を非接触ICとするとき、Rx通信部224をこの非接触ICにデータを読み書きする非接触ICリーダライタとする。逆に、Rx通信部224を非接触ICとするとき、Tx通信部112をこの非接触ICにデータを読み書きする非接触ICリーダライタとする。
Rx整流平滑化回路226は、Rx通信アンテナ218に誘起されるAC電圧をDC電圧に整流する回路である。Rx整流平滑化回路226の出力DC電圧は順方向のダイオード228を介してRx定電圧回路230に印加される。Rx定電圧回路230の入力にはまた、Rx整流平滑化回路210の出力DC電圧が順方向のダイオード232を介して印加されている。Rx定電圧回路230は、Rx整流平滑化回路226からダイオード228を介して入力するDC電圧、及び、Rx整流平滑化回路210からダイオード232を介して入力するDC電圧を定電圧化し、定電圧化したDC電圧を充電制御回路214に供給する。ダイオード228,232のカソード側はRx定電圧回路230の同じ入力端子に接続するオア接続になっている。ダイオード228,232により、受電装置200では、Rx受電アンテナ204のみならずRx通信アンテナ218でも、送電装置100から無線給電される電力を受電できる。
Rx整流平滑化回路226は、Rx通信アンテナ218による近接無線通信に影響を与えない程度の低いインダクタンス成分又は低いキャパシタンス成分を有することが望ましい。Rx制御部202は、Rx定電圧回路230は、Rx通信アンテナ218による近接無線通信に影響を与えないようにRx定電圧回路230の動作を一時的に停止することができる。停止状態の時、Rx定電圧回路230は、電力を消費しない。Rx制御部202がRx定電圧回路230の動作を停止するは、例えば、充電池216の残量が十分であり、Rx通信部224を使って送電装置100、その他の装置と近接無線通信を行う場合などである。
Rx通信部234、Rx通信整合回路236及びRx通信アンテナ238は、それぞれ、送電装置100の、Tx通信部118、Tx通信整合回路120及びTx通信アンテナ122と対応する通信手段である。Rx通信部234は、送電装置100との間で無線電力伝送の制御データを送受信する。Rx通信整合回路236は、Rx通信部234とRx通信アンテナ238との間のインピーンス整合を行う回路である。Rx通信整合回路236は、Rx制御部202の制御によってそのインピーダンス整合度を調整可能な回路でもよいし、インピーダンス整合度が固定された固定定数回路でもよい。Rx通信整合回路236は、過大な電圧を発生しないようにする保護回路を備える。Rx通信アンテナ238は、Tx通信アンテナ122と同様に、UHF帯である2.45GHz付近に共振周波数を有するアンテナである。
Rx通信部234及びRx通信アンテナ238は、近距離無線規格であるBluetooth Low Energy(登録商標)に対応している。
図3(A)〜(E)は、共振周波数切替え回路208,222の回路例を示す。
図3(A)に示す回路例では、キャパシタ302とスイッチ304を直列に接続し、この直列回路をRx受電アンテナ204またはRx通信アンテナ218に並列に接続する。Rx制御部202が、スイッチ304をオン・オフ制御することで、共振周波数切替え回路208,222の容量値を変更できる。
図3(B)に示す回路例では、キャパシタ306とスイッチ308を直列に接続し、この直列回路の一端をRx受電アンテナ204またはRx通信アンテナ218に、他端をグラウンドに接続する。Rx制御部202が、スイッチ308をオン・オフ制御することで、共振周波数切替え回路208,222の容量値を変更できる。
図3(C)に示す回路例では、Rx受電アンテナ204またはRx通信アンテナ218の一端を、キャパシタ310とスイッチ312の直列回路を介してグランドに接続する。そして、Rx受電アンテナ204またはRx通信アンテナ218の他端を、キャパシタ314とスイッチ316の直列回路を介してグランドに接続する。Rx制御部202が、スイッチ312,316を個別にオン・オフ制御することで、共振周波数切替え回路208,222の容量値を変更できる。
図3(D)に示す回路例は、スイッチ318のみからなり、スイッチ318がRx受電アンテナ204またはRx通信アンテナ218に並列に接続する。Rx制御部202が、スイッチ304をオンにすることで、その間、Rx受電アンテナ204またはRx通信アンテナ218を短絡できる。
図3(E)に示す回路例では、Rx受電アンテナ204またはRx通信アンテナ218の一端をスイッチ320を介してグランドに接続し、他端をスイッチ322を介してグランドに接続する。Rx制御部202が、スイッチ320,322を個別にオン・オフ制御することで、Rx受電アンテナ204またはRx通信アンテナ218の一端又は両端をグランドに落とすことができる。
スイッチ304,308,312,316,318,320,322は、導通(オン)と非道通(オフ)とを外部制御可能な素子であればよく、例えば、PINダイオード、トランジスタまたはMEMSスイッチなどからなる。
Rx受電アンテナ204の共振周波数は、共振周波数切替え回路208が非導通であるとき、HF帯である20MHz付近に設定されており、これが初期値となる。また、Rx通信アンテナ218の共振周波数は、アンテナ共振周波数切替え回路222が非導通であるとき、HF帯である13.56MHz付近に設定されており、これが初期値となる。
図4は、受電装置200の各状態におけるRx受電アンテナ204およびRx通信アンテナ218の共振周波数例を示す。Rx受電アンテナ204およびRx通信アンテナ218の共振周波数として図4に示す表に明記した数値は、説明例であり、本発明は、これらの数値に限定されない。受電装置200は、電力伝送制御データを通信可能であり、予備電力を受電可能である無線通信状態と、送電装置100から供給される電力を受ける電力送受電状態と、一時停止状態と、これら状態間の遷移中の状態とを有する。
無線通信状態を、「COMMUNICATION」を略してCOMM状態と称する。Rx受電アンテナ204の共振周波数をf3、Rx通信アンテナ218の共振周波数をf0とする。Rx受電アンテナ204の共振周波数は、近接無線通信のキャリア周波数に共振しないように、近接無線通信のキャリア周波数より高いかまたはより低い周波数に設定されている。Rx通信アンテナ218の共振周波数は、近接無線通信のキャリア周波数に共振して通信可能なように、近接無線通信のキャリア周波数付近に設定されている。送電装置100と受電装置200との間で無線電力伝送を実施する給電シーケンスを開始する前または給電シーケンス終了した後の初期状態である。共振周波数切替え回路208,222が図3(A)に示す回路構成である場合、COMM状態では、スイッチ304はオフである。
電力送受電状態を「WIRELESS POWER TRANSFER」を略してWPT状態と称する。Rx受電アンテナ204の共振周波数をf0、Rx通信アンテナ218の共振周波数をf1とする。Rx受電アンテナ204が無線電力伝送のキャリア周波数に共振して電力を受電できるように、Rx受電アンテナ204の共振周波数は、無線電力伝送のキャリア周波数帯内の周波数に設定されている。Rx通信アンテナ218の共振周波数は、無線電力伝送のキャリア周波数に共振せず、かつ無線電力伝送のキャリア周波数の高調波に同調しないように、無線電力伝送のキャリア周波数より低い周波数に設定されている。共振周波数切替え回路208,222が図3(A)に示す回路構成からなる場合、WPT状態では、スイッチ304はオンである。
一時停止状態を「SUSPEND」を略してSUSP状態と称する。Rx受電アンテナ204の共振周波数をf3、Rx通信アンテナ218の共振周波数をf1とする。Rx受電アンテナ204とRx通信アンテナ218の共振周波数は、近接無線通信のキャリア周波数および無線線電力伝送のキャリア周波数のいずれにも共振しないように、これらキャリア周波数のいずれよりも高い/低い周波数に設定される。送電装置100と受電装置200の間で無線電力伝送を実施する給電シーケンスを開始する前にSUSP状態になる。また、給電シーケンスを開始した後に、他デバイスとしての非接触ICカードを検出するために一時的に給電シーケンスを停止したときも、SUSP状態になる。共振周波数切替え回路208,222が図3(A)に示す回路からなる場合、SUSP状態では、共振周波数切替え回路208のスイッチ304はオフ、共振周波数切替え回路222のスイッチ304はオンである。
一時停止状態は、COMM状態、WPT状態及びSUSP状態の間を遷移中の空白状態と、給電シーケンスの開始時と終了時の待ち状態とからなり、「BLANKING」を略してBLNK状態と称する。Rx受電アンテナ204の共振周波数およびRx通信アンテナ218の共振周波数は、切り替え中の不定状態かCOMM状態と同じ値である。
図5A及び図5Bは、送電装置100から受電装置200への無線電力伝送の手順を示すフローチャートである。特に断らない限り、送電装置100の処理はTx制御部102により実行され、受電装置200の処理はRx制御部202により実行される。送電装置100と受電装置200との間の電力伝送を制御する制御データ(装置ステータス情報)の通信は、Tx通信部112とRx通信部224との間で行われる。
図6は、図5A及び図5Bに示すフローにおいて、送電装置100と受電装置200との間で送受信される制御データ(装置ステータス情報)の構成と内容の例を示す。送電装置100はTx制御部102に装置ステータス情報を記憶し、受電装置200はRx制御部202に装置ステータス情報を記憶する。
図7は、送電装置100(Tx送電アンテナ110)と受電装置200(Rx受電アンテナ204)の配置例を示す。図7(A),(B)はともに、送電装置100の正面に受電装置200が位置し、送電装置100から受電装置200に無線電力伝送可能な配置例を示す。ただし、図7(B)では、送電装置100と受電装置200の間に、非接触ICカード300が位置する。非接触ICカード300は、HF帯である13.56MHz付近に共振周波数を有するアンテナを備え、13.56MHzのキャリア周波数で動作電力の確保と近接無線通信の両方を行う。
図8は、図5A及び図5Bに示す電力伝送制御シーケンスのタイミングチャートを示す。図8(A)はRx受電アンテナ204の共振周波数の変化例を示す。図8(B)は、Rx通信アンテナ218の共振周波数の変化例を示す。図8(C)は、送電装置100から出力されるHF帯の送電電力の変化例を示す。図8(D)は、給電制御の通信状態とここで使用されるキャリア周波数の変化例を示す。
図5A、図5B及び図8(C),(D)を参照して、送電装置100の動作を説明する。
S501で、Tx制御部102は、Tx送電部104を制御して予備電力を送電する。ここでは、予備電力の周波数は13.56MHzとし、送電電力は任意の値、例えば0.25Wとする。この予備送電の電力は、例えば、送電装置100の装置内部と外部の界面での13.56MHzにおける磁界強度が6.0A/m相当であってもよい。予備送電の電力は、非接触ICカード300に許容される磁界強度または空中線電力未満の値であることが望ましい。
S502で、Tx制御部102は、Tx通信部112の近接無線通信を用いてポーリング信号を外部に送信し、S503で、受電装置(ここでは、受電装置200)からの接続要求応答の有無を判断する。S502で使用する近接無線通信では、例として、JISX6319−4のリクエストコマンドを用いて受電装置200を捕捉する。JISX6319−4のプロトコルは一般的な方法であるので、説明は省略する。このように、送電装置100がポーリング信号を送信し、受電装置200がこのポーリング信号に応答することで、送電装置100は受電装置200を発見して、近接無線通信による受電装置200との通信を開始する。
S503で、Tx制御部102は、受電装置200からの接続要求応答の有無を判断する。受電装置200からの接続要求応答がない場合(S503)、Tx制御部102は、S101に戻り、予備送電を実行する。S503で受電装置200からの接続要求があると判定したら、Tx制御部102は、S504で受電装置200との間で装置ステータス情報を送受信する。具体的には,装置ステータス情報の「給電方式」、「他デバイス検出対応」、「電力受電可否」、「最大受電電力」、「送受電要求電力」及び「ブランク時間」の各情報を送受信する。
S505で、Tx制御部102は、S504で受信した装置ステータス情報の「給電方式」に従い受電装置200に対する給電方式を決定する。ここでは、周波数f0=13.56MHzを中心として電力を無線伝送し、給電制御データの通信は、13.56MHzを中心とする電力伝送のキャリア周波数帯域内で行われる。すなわち、実施例1では、無線給電と給電制御の無線通信を同じ周波数帯域で行うので、無線給電と通信とを互いに干渉しないように時間的に分離して、すなわち時分割で実行する。
S506で、Tx制御部102は、S504で受信した装置ステータス情報の「他デバイス検出対応」に従い、受電装置200と同期して他デバイス検出を実施するか否かを判断する。他デバイス検出における他デバイスは、例えば、非接触ICカード300など、無線給電の対象とする受電装置200以外の他の受電装置を指す。
S501からS506では、送電装置100および受電装置200は、図8(C)に示すようにCOMM状態(図4)である。Tx制御部102は、「他デバイス検出対応」が「可」である場合(S506)、受電装置200が他デバイス検出に対応していると判断し、「否」の場合(S506)、受電装置200が他デバイス検出に対応していないと判断する。受電装置200の「他デバイス検出対応」が否の場合、S507からS510をスキップし、S511へ進む。
受電装置200の「他デバイス検出対応」が「可」の場合(S506)、Tx制御部102は、S507で、装置ステータス情報の「ブランク時間」に設定された時間(図6では、0.5秒)待つ。S507では、送電装置100および受電装置200は、図8(C)に示すようにBLNK状態(図4)である。続くS108で、Tx制御部102は、Tx送電部104を制御して予備電力と同等の電力を送電し、反射電力検出回路106でTx送電アンテナ110から出力される電力の進行波電圧VFと反射波電圧VRを検出する。S508では、送電装置100および受電装置200は、図8(C)に示すようにSUSP状態(図4)である。Tx制御部102は、S508で検出した進行波電圧VFおよび反射波電圧VRを元に例えば定在波比VSWRを計算する。
S509で、Tx制御部102は、定在波比VSWRをその閾値と比較することにより、Tx送電アンテナ110付近に他デバイスが存在しないかどうかを判断する。送電装置100が予備電力に相当する電力を送電した場合に、HF帯の電力を吸収する他のデバイスがTx送電アンテナ110付近に存在すると、一般的にVSWRは低くなり、ここでは説明上、3以下になるとする。他方、送電装置100が予備電力に相当する電力を送電した場合にHF帯の電力を吸収する他デバイスがTx送電アンテナ110付近に存在しないときには、一般的にVSWRは高くなり、ここでは説明上、6以上になるとする。したがって、例えば、定在波比VSWRの閾値を4とすることで、Tx制御部102は、他デバイスの有無を判断できる。
他デバイスが存在すると判断した場合(S509)、Tx制御部102は、S501に戻り、予備送電を実行する。他のデバイスが存在しないと判断した場合(S509)、Tx制御部102は、S510で、「ブランク時間」に設定された時間(図6では0.5秒)待つ。S510では、送電装置100および受電装置200は、図8(C)に示すBLNK状態(図4)である。
S511で、Tx制御部102は、受電装置200との間で、「電力受電可否」、「給電シーケンス待ち時間」及び「給電と通信の時間」情報を含む装置ステータス情報を送受信する。S511では、送電装置100および受電装置200は、図8(C)に示すようにCOMM状態(図4)である。「給電と通信の時間」情報は、電力を伝送する電力伝送期間と、制御データを通信する通信期間のそれぞれの長さを規定する。
S512で、Tx制御部102は、装置ステータス情報の「給電シーケンス待ち時間」に設定された時間(図6では、1秒)、待つ。S512では、送電装置100および受電装置200は、図8(C)に示すBLNK状態(図4)である。
S513で、Tx制御部102は、S511で受信した装置ステータス情報の「電力受電可否」情報により、受電装置200が無線電力を受電可能な状態であるか否かを判断する。受電装置200が無線電力を受電可能な状態でない場合(S513)、Tx制御部102は、S501に戻り、予備送電を実行する。受電装置200が無線電力を受電可能な状態である場合(S513)、Tx制御部102は、S514に進む。
S514で、Tx制御部102は、S504で送受信した装置ステータス情報の「最大受電電力」及び「送受電要求電力」の各情報に従い、「最大受電電力」を超えない範囲で送受電設定電力を設定する。図6に示す例では、S514で設定する送受電設定電力は、受電装置200から送信された「送受電要求電力」の情報に従い、2.8Wとなる。また、S515で、Tx制御部102は、装置ステータス情報の「給電と通信の時間」情報に設定される給電時間(図6では6秒間)だけ、Tx送電部104を制御して受電装置200に無線で給電する。S515では、送電装置100および受電装置200は、図8(C)に示すようにWPT状態(図4)である。S515では、Tx制御部102は、Tx整合回路108をTx送電部104からの無線送電に適したインピーダンス整合状態に設定する。受電装置200への給電時には、Tx制御部102は、Tx整合回路108をTx送電部104からの無線送電に適したインピーダンス整合状態に設定するが、以下では、この説明は省略する。
S516で、Tx制御部102は、6秒の無線送電を停止し、S517で、装置ステータス情報の「ブランク時間」に設定された時間(図6では、0.5秒)、待つ。S517では、送電装置100および受電装置200は、図8(C)に示すBLNK状態(図4)である。
S518で、Tx制御部102は、装置ステータス情報の「給電と通信の時間」情報に設定された通信時間(図6では、1秒間)以内に、受電装置200との間で装置ステータス情報を送受信する。ここで送受信される情報は、「電力受電可否」、「電池電圧」、「電池満充電電圧」、「電池残量レベル」、「送受電要求電力」及び「給電と通信の時間」の各情報を含む。S518では、送電装置100および受電装置200は、図8(C)に示すようにCOMM状態(図4)である。
S519で、Tx制御部102は、S518で受信した装置ステータス情報の「電池電圧」と「電池満充電電圧」、または「電池残量レベル」に従い、受電装置200の充電池216が満充電状態か否かを判断する。受電装置200の充電池216が満充電状態でない場合(S519)、Tx制御部102は、S520で装置ステータス情報の「ブランク時間」情報に設定される時間(図6では、0.5秒)待ち、S513へ戻る。S519では、送電装置100および受電装置200は、図8(C)に示すBLNK状態(図4)である。
受電装置200の充電池216が満充電状態である場合(S519)、Tx制御部102は、S521で装置ステータス情報の「給電シーケンス待ち時間」情報に設定される時間(図6では、1秒)待ち、図5A及び図5Bに示すフローを終了する。S521では、送電装置100および受電装置200は、図8(C)に示すBLNK状態(図4)である。
図5A、図5B及び図8(A),(B)を参照して、受電装置200の動作を説明する。なお、初期状態において、受電装置200は、図8(A),(B)に示すようにCOMM状態(図4)である(ここでは、これが、受電装置200の初期状態であるとする)。COMM状態では、Rx受電アンテナ204の共振周波数はf3(=20MHz)であり、Rx通信アンテナ218の共振周波数はf0(=13.56MHz)である。
S551で、受電装置200は、送電装置100から送電された予備電力を受信して動作する。送電装置100から電磁放射される予備電力の周波数は、先に説明したように13.56MHzである。また、Rx受電アンテナ204の共振周波数はf3(=20MHz)であり、Rx通信アンテナ218の共振周波数はf0(=13.56MHz)である。従って、Rx受電アンテナ204は、予備電力の電磁波によっては共振せず、予備電力を実質的に受信しないが、Rx通信アンテナ218は予備電力の電磁波に共振して、予備電力を選択的に受信する。Rx通信アンテナ218が、送電装置100から送電された予備電力を受信し、Rx整流平滑化回路226がRx通信アンテナ218からの電流を整流平滑し、Rx定電圧回路230がRx制御部202及びその他に規定の電源電圧を供給する。このように、受電装置200は、充電池216に十分な電力が無い場合でも、送電装置100からの予備電力で以下に説明する最小限の動作を行える。
S552で、Rx制御部202は、送電装置100からの近接無線通信のポーリング信号をRx通信部224により受信したかどうかを判断する。ポーリング信号を受信しない間、受電装置200はS551で送電装置100からの予備電力を受電する。ポーリング信号を受信すると(S552)、Rx制御部202は、S553で接続要求を送信する。
S552では、受電装置200はCOMM状態である。COMM状態では、通信ポーリング信号のキャリア周波数13.56MHzに対し、Rx受電アンテナ204は共振しないので、通信ポーリング信号とそのキャリア電力を実質的に受信しない。しかし、Rx通信アンテナ218は共振し、通信ポーリング信号とそのキャリア電力を受信する。すなわち、COMM状態では、Rx整流平滑化回路210によるキャリア信号電力の損失を低減でき、この結果、Rx通信アンテナ218からRx通信部224へのキャリア信号電力の供給を最大化できる。この結果、Rx通信部224の通信距離の低下を防いで、送電装置100との間で近接無線通信を行うことができる。
受電装置200からの接続要求を受信した送電装置100は、受電装置200との接続処理を実行する。送電装置100でのS505の処理と、受電装置200でのS553の処理が終了すると、送電装置100と受電装置200はコネクションモードに入る。
S554で、Rx制御部202は、送電装置100との間で、近接無線通信により装置ステータス情報を送受信する。ここで送受信される情報は、「給電方式」、「他デバイス検出対応」、「電力受電可否」、「最大受電電力」、「送受電要求電力」及び「ブランク時間」の各情報を含む。
S555で、Rx制御部202は、S554で受信した装置ステータス情報の「給電方式」情報に従い、送電装置100からの無線電力伝送の給電方式を決定する。
S556で、Rx制御部202は、S554で受信した装置ステータス情報の「他デバイス検出対応」情報に従い、受電装置200と同期して他デバイス検出を実施するか否かを判断する。「他デバイス検出対応」情報が「否」の場合、送電装置100は、他デバイス検出に対応していないことになる。この場合、Rx制御部202は、S557からS559をスキップしてS560に進む。
S554で受信した装置ステータス情報の「他デバイス検出対応」情報が「可」である場合、送電装置100が他デバイス検出に対応していることになる。この場合、Rx制御部202は、S557で、装置ステータス情報の「ブランク時間」情報に規定される時間(図6では、0.5秒)の間、図8(A),(B)に示すようにSUSP状態(図4)に遷移する。Rx制御部202は、SUSP状態に遷移するために、共振周波数切替え回路208,222を制御して、Rx受電アンテナ204の共振周波数をf3(=20MHz)に、Rx通信アンテナ218の共振周波数をf1(=4MHz)に切り替える。
S557に続くS558で、Rx制御部202は、SUSP状態を1秒間保持する。SUSP状態の保持時間は、予め決められた時間であってもよいし、S554で受信した装置ステータス情報の「給電シーケンス待ち時間」情報に規定される時間であってもよい。
SUSP状態を保持するために必要な共振周波数切替え回路208,222の制御のための電力は、SUSP状態に遷移するまでの間に受電した予備電力の一部を蓄積することで賄ってもよい。SUSP状態に遷移するまでの間に受電した予備電力の一部を蓄積する場合、例えば、Rx定電圧回路230の入力キャパシタ及び出力キャパシタ並びにRx制御部202の入力キャパシタのいずれかに電力を蓄積する構成としてもよい。
S558では、受電装置200が受電する予備電力のキャリア周波数は13.56MHzである。SUSP状態のRx受電アンテナ204はこの予備電力のキャリア周波数に共振しないので、予備電力を実質的に受電しない。また、SUSP状態では、Rx通信アンテナ218も、共振しないので、予備電力を実質的に受電しない。すなわち、SUSP状態(S558)では、送電装置100からの予備電力に対し、受電装置200を構成するアンテナは全て非共振状態となる。
S558で受電装置200がSUSP状態を1秒間、保持している間に、送電装置100は、S508で進行波電圧VFおよび反射波電圧VRを検出し、S509で他デバイスが存在するかどうかを判断する。図7(A)に示すように送電装置100と受電装置200の他にデバイスが存在しない場合、受電装置200はSUSP状態を保持しているので、送電装置100は、電力周波数に共振する他デバイスが存在しないと判断できる。図7(B)に示すように、非接触ICカード300が近くに位置する場合、送電装置100は、電力周波数に共振する他デバイスとして非接触ICカード300を認識できる。もちろん、電力周波数に共振する状態にある他の受電装置、例えばSUSP状態にない他の受電装置が近くに存在する場合にも、送電装置100は、この受電装置を他デバイスとして認識できる。
S559で、Rx制御部202は、装置ステータス情報の「ブランク時間」情報で規定される時間(図6では、0.5秒)の間に、図8(A),(B)に示すようにCOMM状態(図4)に遷移する。Rx制御部202は、COMM状態に遷移するために、共振周波数切替え回路208,222を制御して、Rx受電アンテナ204の共振周波数をf3(=20MHz)に、Rx通信アンテナ218の共振周波数をf0(=13.56MHz)に切り替える。S560で、Rx制御部202は、送電装置100との間で、「電力受電可否」、「給電シーケンス待ち時間」、及び「給電と通信の時間」の各情報を含む装置ステータス情報を送受信する。
S561で、Rx制御部202は、装置ステータス情報の「給電シーケンス待ち時間」情報に規定される時間(図6では、1秒)の間に、図8(A),(B)に示すようにWPT状態(図4)に遷移する。S561でWPT状態に遷移した後、Rx制御部202は、装置ステータス情報の「給電と通信の時間」情報に従い、給電(図6では、6秒間)と通信(図6では1秒間)を時分割で実行する。受電装置200は、6秒間の給電中はWPT状態であり、1秒間の通信中はCOMM状態となる。WPT状態とCOMM状態との間には、状態遷移に要する時間として装置ステータス情報の「ブランク時間」情報に規定される時間(図6では、0.5秒)が設けられている。すなわち、給電シーケンスは、給電(6秒間)、通信(1秒間)及びブランク(0.5秒間)を基本単位としている。
COMM状態からWPT状態に遷移する場合、Rx制御部202は、先にRx受電アンテナ204の共振周波数をf0(=13.56MHz)に切り替え、その後、Rx通信アンテナ218の共振周波数をf1(=4MHz)に切り替える。すなわち、予備電力および近接無線通信のキャリア電力に対しRx受電アンテナ204の共振周波数を先に同調し、その後、Rx通信アンテナ218の共振周波数を離調する。このように予備電力および近接無線通信のキャリア電力に対しRx受電アンテナ204の共振周波数を先に同調させることで、予備電力および近接無線通信のキャリア電力を継ぎ目なくRx制御部202に供給できる。
S562で、Rx制御部202は、装置ステータス情報の「送受電要求電力」情報に従い充電制御回路214を制御し、充電池216の充電条件を「送受電要求電力」情報に最適になるように設定する。送電装置100でのS514の処理と、受電装置200でのS562の処理が終了すると、送電装置100と受電装置200との間で無線給電が可能な状態になる。
S563で、Rx制御部202は、装置ステータス情報の「給電と通信の時間」情報に従って、送電装置100から6秒間、無線給電される電力を受電する。S563で受電する電力の周波数は13.56MHzであるので、Rx受電アンテナ204が共振して電力を受電し、Rx通信アンテナ218は共振せず電力を実質的に受電しない。受電装置200がWPT状態で電力を受電している間、Rx通信アンテナ218は、送電装置100からの電力波に共振しないので、後段のRx通信部224に過大な電力を供給しない。これにより、Rx通信部224を発熱などの影響から保護することができる。
S564で、Rx制御部202は、装置ステータス情報の「ブランク時間」情報に規定される時間(図6では、0.5秒)の間に、図8(A),(B)に示すようにCOMM状態(図4)に遷移する。Rx制御部202は、COMM状態に遷移するために、共振周波数切替え回路208,222を制御して、Rx受電アンテナ204の共振周波数をf3(=20MHz)に、Rx通信アンテナ218の共振周波数をf0(=13.56MHz)に切り替える。なお、スタンバイ時間(0.5秒)の間にWPT状態からCOMM状態に遷移する場合、Rx制御部202は、先にRx通信アンテナ218の共振周波数をf0に切り替え、その後、Rx受電アンテナ204の共振周波数をf3に切り替える。このように、予備電力及び近接無線通信のキャリア電力に対しRx通信アンテナ218の共振周波数を先に同調させることで、予備電力および近接無線通信のキャリア電力を継ぎ目なくRx制御部202に供給できる。
S565で、Rx制御部202は、充電池216が満充電状態になっているかどうかを判断する。充電池216が満充電状態であると判断した場合(S565)、Rx制御部202は、S568で、充電池216が満充電状態であることを送電装置100に通知するために、装置ステータス情報の「電力受電可否」情報を「否」に設定する。そして、Rx制御部202は、装置ステータス情報の「給電と通信の時間」に従う通信時間の間に、送電装置100に充電池216の満充電を通知する。具体的には、Rx制御部202は、通信時間中に送電装置100との間で「電力受電可否」、「電池電圧」、「電池満充電電圧」及び「電池残量レベル」の各情報を含む装置ステータス情報を送受信する。Rx制御部202は、装置ステータス情報の「給電シーケンス待ち時間」情報に規定される通信時間(1秒間)の経過後に、図5A及び図5Bに示すフローチャートの処理を終了する。このフローチャートの終了後は、受電装置200は、初期状態、すなわち、図7(A),(B)に示すようにCOMM状態(図4)に戻る。
充電池216が満充電でないと判断した場合(S565)、Rx制御部202は、充電池216の最新の充電状態を取得し、充電池216の充電に要する電力を算定し、「送受電要求電力」情報に設定する。S566で、Rx制御部202は、装置ステータス情報の「給電と通信の時間」情報に従う通信時間の間に、送電装置100との間で「電池電圧」、「電池満充電電圧」、「電池残量レベル」及び「送受電要求電力」の各情報を含む装置ステータス情報を送受信する。
S567で、Rx制御部202は、装置ステータス情報の「ブランク時間」情報に規定される時間(図6では、0.5秒)の間に、図8(A),(B)に示すようにWPT状態(図4)に遷移する。Rx制御部202は、WPT状態に遷移するために、共振周波数切替え回路208,222を制御して、Rx受電アンテナ204の共振周波数をf0(=13.56MHz)に、Rx通信アンテナ218の共振周波数をf1(=4MHz)に切り替える。スタンバイ時間(0.5秒)の間にWPT状態からCOMM状態に遷移する場合、Rx制御部202は、先にRx通信アンテナ218の共振周波数をf0に切り替え、その後、Rx受電アンテナ204の共振周波数をf1に切り替える。このように、予備電力及び近接無線通信のキャリア電力に対しRx受電アンテナ204の共振周波数を先に同調させることで、予備電力および近接無線通信のキャリア電力を継ぎ目なくRx制御部202に供給できる。
S567で、Rx制御部202は、WPT状態に遷移した後に、S562に戻る。
以降、Rx制御部202は、S565で充電池216が満充電であると判断するまで、装置ステータス情報の「給電と通信の時間」情報および「ブランク時間」情報に従い無線給電と通信を時分割で繰り返し実行する。上記説明例では、6秒間の無線給電、0.5秒のブランク、1秒間の通信、0.5秒のブランクを単位とするシーケンスを繰り返す。
実施例1では、無線電力伝送開始前に、予備電力キャリア周波数に対し、受電装置200のRx受電アンテナ204もRx通信アンテナ218も非共振状態にして、非接触ICカードなど他デバイスの有無を検出する。これにより、非接触ICカードなどの他デバイスが近くに存在する場合に、無線給電による発熱などの影響から保護できる。
また、近接無線通中はキャリア信号周波数に対し、Rx受電アンテナは共振せず、近接無線通信アンテナのみ共振するので、近接無線通信のキャリア電力の損失を低減でき、近接無線通信距離の低下を防止できる。
さらに、無線電力伝送中は電力キャリア周波数に対しRx受電アンテナは共振するが、近接無線通信アンテナは共振しないので、近接無線通信アンテナが後段回路に過大な電圧等を供給することがない。これにより、近接無線通信アンテナの後段回路を発熱などの影響から保護できる。
送電装置100から受電装置200への無線電力伝送と、この無線電力伝送を制御する無線通信を同じキャリア周波数帯で時分割で実行することから、送電装置100では、送電アンテナ110を無線通信用の通信アンテナとして共用してもよい。
送電装置と受電装置との間で無線通信と無線電力伝送とを異なるキャリア周波数で行う無線電力伝送システムに適用した実施例2を説明する。図9は、実施例2の受電装置200Aの概略構成ブロック図を示す。受電装置200の構成要素の符号の後ろに「A」を付けた符号を、図9に示す受電装置200Aの対応する構成要素に付加してある。受電装置200Aに対応する送電装置100Aは、無線通信と無線電力伝送とを異なるキャリア周波数で行うこととこれに付随する制御を除いて、実施例1の送電装置100と同様の構成と機能からなる。以下では、送電装置100の構成要素の符号の後ろに「A」を付けた符号を、送電装置100Aの対応する構成要素に付加して、送電装置100Aの構成と機能を説明する。
受電装置200では、Rx定電圧回路230がRx整流平滑化回路210,226との両方から電流を受けられるように、ダイオード232,228がオア接続でRx定電圧回路230の入力に接続する。これに対し、受電装置200Aでは、Rx整流平滑化回路226とダイオード228,232が省略されている。すなわち、Rx定電圧回路230Aの入力には、Rx整流平滑化回路210Aの出力電圧が直接、供給される。
また、実施例1では、Rx通信部224が送電装置100との間で装置ステータス情報(無線電力伝送の制御データ)を通信するが、Rx通信部234は、送電装置100との間で装置ステータス情報を通信しない。これに対し、実施例2では、Rx通信部224Aは、送電装置100Aとの間で装置ステータス情報を通信せずに、Rx通信部234Aが、近距離無線通信により送電装置100Aとの間で装置ステータス情報を通信する。
Rx受電アンテナ204Aの共振周波数は、共振周波数切替え回路208Aが非導通であるときに、HF帯である20MHz付近に設定されているとする。また、Rx通信アンテナ218Aの共振周波数は、アンテナ共振周波数切替え回路222が非導通であるときに、HF帯である13.56MHz付近に設定されているとする。
図10は、受電装置200Aの各状態におけるRx受電アンテナ204AおよびRx通信アンテナ218Aの共振周波数例を示す。Rx受電アンテナ204AおよびRx通信アンテナ218Aの共振周波数として図10に示す表に明記した数値は、説明例であり、本発明は、これらの数値に限定されない。受電装置200Aもまた、COMM状態、WPT状態、SUSP状態及びBLNK状態を有する。
COMM状態では、Rx受電アンテナ204Aの共振周波数をf2、Rx通信アンテナ218Aの共振周波数をf0とする。Rx受電アンテナ204Aの共振周波数は、近接無線通信のキャリア周波数に共振しないように、近接無線通信のキャリア周波数より高いかまたはより低い周波数に設定されている。Rx通信アンテナ218Aの共振周波数は、近接無線通信のキャリア周波数に共振して通信可能なように、近接無線通信のキャリア周波数付近に設定されている。COMM状態は、送電装置100Aと受電装置200Aとの間で無線電力伝送を実施する給電シーケンスを開始する前または給電シーケンス終了した後の初期状態である。共振周波数切替え回路208A,222Aが図3(A)に示す回路構成である場合、COMM状態では、スイッチ304はオフである。
WPT状態では、Rx受電アンテナ204Aの共振周波数をf2、Rx通信アンテナ218Aの共振周波数をf1とする。Rx受電アンテナ204Aの共振周波数は、無線電力伝送のキャリア周波数に共振して電力を受信できるように、無線電力伝送のキャリア周波数付近の周波数に設定されている。Rx通信アンテナ218Aの共振周波数は、無線電力伝送のキャリア周波数に共振せず、かつ無線電力伝送のキャリア周波数の高調波に同調しないように、無線電力伝送のキャリア周波数より低い周波数に設定されている。共振周波数切替え回路208A,222Aが図3(A)に示す回路構成からなる場合、WPT状態では、共振周波数切替え回路208Aのスイッチ304はオフ、共振周波数切替え回路222Aのスイッチ304はオンである。
SUSP状態では、Rx受電アンテナ204Aの共振周波数とRx通信アンテナ218Aの共振周波数を共にf1とする。Rx受電アンテナ204AとRx通信アンテナ218Aの共振周波数は、近接無線通信のキャリア周波数および無線線電力伝送のキャリア周波数のいずれにも共振しないように、これらキャリア周波数のいずれよりも高いかまたは低い周波数に設定される。送電装置100Aと受電装置200Aの間で無線電力伝送を実施する給電シーケンスを開始する前にSUSP状態になる。また、給電シーケンスを開始した後に、他デバイスとしての非接触ICカードを検出するために一時的に給電シーケンスを停止したときも、SUSP状態になる。共振周波数切替え回路208A,222Aが図3(A)に示す回路からなる場合、SUSP状態では、共振周波数切替え回路208A,222Aのスイッチ304はいずれもオンである。
BLNK状態では、Rx通信アンテナ218Aの共振周波数は、切り替え中の不定状態かまたはCOMM状態と同じ値である。
図11A及び図11Bは、送電装置100Aから受電装置200Aへの無線電力伝送の手順を示すフローチャートである。特に断らない限り、送電装置100Aの処理はTx制御部102に対応するTx制御部(図示せず)により実行され、受電装置200Aの処理はRx制御部202Aにより実行される。送電装置100Aと受電装置200Aとの間の電力伝送を制御する制御データ(装置ステータス情報)の通信は、Tx通信部118に対応するTx通信部とRx通信部234Bとの間で行われる。
図11A及び図11Bにおいて、図5A及び図5Bに示すフローチャートでの処理と同じ処理を行うステップには、同じ符号を付してある。これらのステップについては、詳細な説明を省略する。
図12は、図11A及び図11Bに示すフローにおいて、送電装置100Aと受電装置200Aとの間で送受信される制御データ(装置ステータス情報)の構成と内容の例を示す。送電装置100AはTx制御部102に対応するTx制御部に装置ステータス情報を記憶し、受電装置200AはRx制御部202Aに装置ステータス情報を記憶する。
説明例として、送電装置100Aと受電装置200Aは、送電装置100と受電装置200と同様に、図7(A),(B)に示す配置を取りうるとする。図7(A),(B)における符号「100」と「200」をそれぞれ「100A」と「200A」に読み替え、他の要素も同様に読み替える。
図13は、図11A及び図11Bに示す電力伝送制御シーケンス例のタイミングチャートを示す。図13(A)はRx受電アンテナ204Aの共振周波数の変化例を示す。図13(B)は、Rx通信アンテナ218Aの共振周波数の変化例を示す。図13(C)は、送電装置100Aから出力されるHF帯の送電電力の変化例を示す。図13(D)は、給電制御の通信状態とここで使用されるキャリア周波数の変化例を示す。
図11A、図11B及び図13(C),(D)を参照して、送電装置100Aの動作を説明する。
S1101で、送電装置100Aは、Tx送電部104に対応するTx送電部を制御して予備電力を送電する。予備電力の周波数はHF帯の6.78MHzとし、同じHF帯である13.56MHzに換算した送電電力は任意の値、例えば0.25Wとする。この予備送電の電力は、例えば、送電装置100Aの装置内部と外部の界面での13.56MHzにおける磁界強度が6.0A/m相当であってもよい。予備送電の電力は、非接触ICカード300に許容される磁界強度または空中線電力未満の値であることが望ましい。
S1102で、送電装置100Aは、Tx通信部118に対応するTx通信部の近距離無線通信を用いてポーリング信号を外部に送信し、S1103で、受電装置(ここでは、受電装置200A)からの接続要求応答の有無を判断する。S1102で使用する近距離無線通信では、例としてBluetooth Low Energy(登録商標)のアドバタイズモードでパケットの送信を行うものとする。Bluetooth Low Energyのプロトコルについては一般的な方法であるので、説明は省略する。このように、送電装置100Aがポーリング信号を送信し、受電装置200Aがこのポーリング信号に応答することで、送電装置100Aは受電装置200Aを発見して、近距離無線通信による受電装置200Aとの通信を開始する。
S1103で、送電装置100Aは、受電装置200Aからの接続要求応答の有無を判断する。受電装置200Aからの接続要求応答がない場合(S1103)、送電装置100Aは、S1101に戻り、予備送電を実行する。受電装置200Aからの接続要求があると判定したら(S1103)、送電装置100Aは、S1104で受電装置200Aとの間で装置ステータス情報を送受信する。具体的には,装置ステータス情報の「給電方式」、「他デバイス検出対応」、「電力受電可否」、「最大受電電力」、「送受電要求電力」及び「ブランク時間」の各情報を送受信する。
S1105で、送電装置100Aは、S1104で受信した装置ステータス情報の「給電方式」に従い受電装置200Aに対する給電方式を決定する。ここでは、電力周波数f2=13.56MHzを中心として電力を無線伝送し、給電制御データ(装置ステータス情報)の通信は、電力給電の周波数帯域外の、2.45GHz帯で行われる。実施例2では、無線電力伝送と制御データの無線通信とを異なる周波数帯域で行うので、無線電力伝送と制御データの無線通信を同時並行して実行できる。
S1106で、送電装置100Aは、S1104で受信した装置ステータス情報の「他デバイス検出対応」に従い、受電装置200Aと同期して他デバイス検出を実施するか否かを判断する。他デバイス検出における他デバイスは、例えば、非接触ICカード300など、無線給電の対象とする受電装置200A以外の他の受電装置を指す。
S1101からS1106では、送電装置100Aおよび受電装置200Aは、図13(C)に示すようにCOMM状態(図10)である。送電装置100Aは、「他デバイス検出対応」が「可」である場合(S1106)、受電装置200Aが他デバイス検出に対応していると判断し、「否」の場合(S1106)、受電装置200Aが他デバイス検出に対応していないと判断する。受電装置200Aの「他デバイス検出対応」が否の場合、S1107からS1110をスキップし、S1111へ進む。
受電装置200Aの「他デバイス検出対応」が「可」の場合(S1106)、送電装置100Aは、S1107で、装置ステータス情報の「ブランク時間」に設定された時間(図12では、0.5秒)待つ。S1107では、送電装置100Aおよび受電装置200Aは、図13(C)に示すようにBLNK状態(図10)である。S1108で、送電装置100Aは、Tx送電部104に対応するTx送電部を制御して予備電力と同等の電力を送電する。同時に、送電装置100Aは、反射電力検出回路106に対応する反射電力検出回路でTx送電アンテナ110Aから出力される電力の進行波電圧VFと反射波電圧VRを検出する。S1108では、送電装置100Aおよび受電装置200Aは、図13(C)に示すようにSUSP状態(図10)である。送電装置100Aは、S1108で検出した進行波電圧VFおよび反射波電圧VRを元に例えば定在波比VSWRを計算する。
S1109で、送電装置100Aは、定在波比VSWRをその閾値と比較することにより、Tx送電アンテナ110A付近に他デバイスが存在するかどうかを判断する。送電装置100Aが予備電力に相当する電力を送電した場合に、HF帯の電力を吸収する他デバイスがTx送電アンテナ110A付近に存在すると、一般的にVSWRは低くなり、ここでは説明上、3以下になるとする。他方、送電装置100Aが予備電力に相当する電力を送電した場合にHF帯の電力を吸収する他デバイスがTx送電アンテナ110A付近に存在しないときには、一般的にVSWRは高くなり、ここでは説明上、6以上になるとする。したがって、例えば、定在波比VSWRの閾値を4とすることで、送電装置100Aは、他デバイスの有無を判断できる。
他デバイスが存在すると判断した場合(S1109)、送電装置100Aは、S1101に戻り、再度、予備送電を実行する。他デバイスが存在しないと判断した場合(S1109)、送電装置100Aは、S1110で、「ブランク時間」に設定された時間(図12では0.5秒)待つ。S1110では、送電装置100Aおよび受電装置200Aは、図13(C)に示すBLNK状態(図10)である。
S1111で、送電装置100Aは、受電装置200との間で、「電力受電可否」及び「給電シーケンス待ち時間」の各情報を含む装置ステータス情報を送受信する。S1111では、送電装置100Aおよび受電装置200Aは、図13(C)に示すようにCOMM状態(図10)である。
S1112で、送電装置100Aは、装置ステータス情報の「給電シーケンス待ち時間」に設定された時間(図12では、1秒)、待つ。S1112では、送電装置100Aおよび受電装置200Aは、図13(C)に示すBLNK状態(図10)である。
S1113で、送電装置100Aは、S1111で受信した装置ステータス情報の「電力受電可否」情報により、受電装置200Aが無線電力を受電可能な状態であるか否かを判断する。受電装置200Aが無線電力を受電可能な状態でない場合(S1113)、送電装置100Aは、S1101に戻り、予備送電を実行する。受電装置200Aが無線電力を受電可能な状態である場合(S1113)、送電装置100Aは、S1114に進む。
S1114で、送電装置100Aは、S1104で送受信した装置ステータス情報の「最大受電電力」及び「送受電要求電力」の各情報に従い、「最大受電電力」を超えない範囲で送受電設定電力を設定する。図12に示す例では、S1114で設定する送受電設定電力は、受電装置200Aから送信された「送受電要求電力」の情報に従い、2.8Wとなる。また、S1115で、送電装置100Aは、Tx送電部104に対応するTx送電部を制御して受電装置200Aに無線給電する。S1115では、送電装置100Aおよび受電装置200Aは、図13(C)に示すようにWPT状態(図10)である。実施形態2では、無線通信と無線電力伝送とが異なるキャリア周波数で行われるので、無線通信と無線電力伝送とを同時並行して実行できる。S1115では、送電装置100Aは、Tx整合回路108に相当するTx整合回路を無線送電に適したインピーダンス整合状態に設定する。受電装置200Aへの給電時には、送電装置100Aは、Tx整合回路108に対応するTx整合回路を無線送電に適したインピーダンス整合状態に設定するが、以下では、この説明は省略する。
S1118で、送電装置100Aは、受電装置200Aとの間で「電力受電可否」、「電池電圧」、「電池満充電電圧」、「電池残量レベル」及び「送受電要求電力」の各情報を含む装置ステータス情報を送受信する。S1118では、送電装置100Aおよび受電装置200Aは、図13(C)に示すようにCOMM状態(図10)である。
S1119で、送電装置100Aは、S1118で受信した装置ステータス情報の「電池電圧」と「電池満充電電圧」、または「電池残量レベル」に従い、受電装置200Aの充電池216Aが満充電状態か否かを判断する。受電装置200Aの充電池216Aが満充電状態でない場合(S1119)、送電装置100Aは、S1113に戻る。S1119では、送電装置100Aおよび受電装置200Aは、図13(C)に示すBLNK状態(図10)である。
受電装置200Aの充電池216Aが満充電状態である場合(S1119)、送電装置100Aは、S1121で装置ステータス情報の「給電シーケンス待ち時間」情報に設定される時間(図12では、1秒)待ち、図11A及び図11Bに示すフローを終了する。S1121では、送電装置100Aおよび受電装置200Aは、図13(C)に示すBLNK状態(図10)である。
図11A、図11B及び図13(A),(B)を参照して、受電装置200Aの動作を説明する。なお、初期状態において、受電装置200Aは、図13(A),(B)に示すようにCOMM状態(図10)である(ここでは、これが、受電装置200の初期状態であるとする)。COMM状態では、Rx受電アンテナ204Aの共振周波数はf2(=6.78MHz)であり、Rx通信アンテナ218Aの共振周波数はf0(=13.56MHz)である。
S1151で、受電装置200Aは、送電装置100Aから送電された予備電力を受信して動作する。送電装置100Aから電磁放射される予備電力の周波数は、先に説明したように6.78MHzである。また、Rx受電アンテナ204Aの共振周波数はf2(=6.78MHz)であり、Rx通信アンテナ218Aの共振周波数はf0(=13.56MHz)である。従って、Rx受電アンテナ204Aは予備電力の電磁波に共振し、予備電力を受信するが、Rx通信アンテナ218Aは予備電力の電磁波に共振せず、予備電力を実質的に受信しない。Rx整流平滑化回路210Aが、Rx受電アンテナ204Aからの電流を整流平滑し、Rx定電圧回路230AがRx制御部202A及びその他に規定の電源電圧を供給する。これにより、受電装置200Aは、充電池216Aに十分な電力が無い場合でも、送電装置100Aからの予備電力で以下に説明する最小限の動作を行える。
S1152で、Rx制御部202Aは、送電装置100Aからの近距離無線通信のポーリング信号をRx通信部224Aにより受信したかどうかを判断する。ポーリング信号を受信しない間、受電装置200AはS1151で送電装置100Aからの予備電力を受電する。ポーリング信号を受信すると(S1152)、Rx制御部202Aは、S1153で接続要求を送信する。受電装置200Aは、例えばBluetooth Low Energy(登録商標)のイニシエーティングモードでアドバタイズパケットへの応答としてこの接続要求を送電装置100Aに送信する。
S1152では、受電装置200AはCOMM状態(図12)である。COMM状態では、通信ポーリング信号のキャリア周波数13.56MHzに対し、Rx受電アンテナ204Aは共振しないので、通信ポーリング信号とそのキャリア電力を実質的に受信しない。しかし、Rx通信アンテナ218Aは共振し、通信ポーリング信号とそのキャリア電力を受信する。すなわち、COMM状態では、Rx整流平滑化回路210Aによるキャリア信号電力の損失を低減でき、この結果、Rx通信アンテナ218AからRx通信部224Aへの近距離無線通信のキャリア信号電力の供給を最大化できる。この結果、Rx通信部224Aの通信距離の低下を防いで、送電装置100Aとの間で近距離無線通信を行うことができる。
受電装置200Aからの接続要求を受信した送電装置100Aは、受電装置200Aとの接続処理を実行する。送電装置100AでのS1105の処理と、受電装置200AでのS1153の処理が終了すると、送電装置100Aと受電装置200Aはコネクションモードに入る。
S1154で、Rx制御部202Aは、送電装置100Aとの間で、近距離無線通信により装置ステータス情報を送受信する。ここで送受信される情報は、「給電方式」、「他デバイス検出対応」、「電力受電可否」、「最大受電電力」、「送受電要求電力」及び「ブランク時間」の各情報を含む。
S1155で、Rx制御部202Aは、S1154で受信した装置ステータス情報の「給電方式」情報に従い、送電装置100Aからの無線電力伝送の給電方式を決定する。
S1156で、Rx制御部202Aは、S1154で受信した装置ステータス情報の「他デバイス検出対応」情報に従い、受電装置200Aと同期して他デバイス検出を実施するか否かを判断する。「他デバイス検出対応」情報が「否」の場合、送電装置100Aは、他デバイス検出に対応していないことになる。この場合、Rx制御部202Aは、S1157,S1158をスキップしてS1160に進む。
S1154で受信した装置ステータス情報の「他デバイス検出対応」情報が「可」である場合(S1156)、送電装置100Aが他デバイス検出に対応していることになる。この場合、Rx制御部202Aは、S1157で、装置ステータス情報の「ブランク時間」情報に規定される時間(図12では、0.5秒)の間、図13(A),(B)に示すようにSUSP状態(図10)に遷移する。Rx制御部202Aは、SUSP状態に遷移するために、共振周波数切替え回路208A,222Aを制御して、Rx受電アンテナ204Aの共振周波数とRx通信アンテナ218Aの共振周波数をともにf1(=4MHz)に切り替える。
S1157に続くS1158で、Rx制御部202Aは、SUSP状態を1秒間保持する。SUSP状態の保持時間は、予め決められた時間であってもよいし、S1154で受信した装置ステータス情報の「給電シーケンス待ち時間」情報に規定される時間であってもよい。
SUSP状態を保持するために必要な共振周波数切替え回路208A,222Aの制御のための電力は、SUSP状態に遷移するまでの間に受電した予備電力の一部を蓄積することで賄ってもよい。SUSP状態に遷移するまでの間に受電した予備電力の一部を蓄積する場合、例えば、Rx定電圧回路230Aの入力キャパシタ及び出力キャパシタ並びにRx制御部202Aの入力キャパシタのいずれかに電力を蓄積する構成としてもよい。
S1158では、受電装置200Aが受電する予備電力のキャリア周波数は6.78MHzである。SUSP状態のRx受電アンテナ204Aはこの予備電力のキャリア周波数に共振しないので、予備電力を実質的に受電しない。また、SUSP状態のRx通信アンテナ218も、共振しないので、予備電力を実質的に受電しない。すなわち、SUSP状態(S1158)では、送電装置100Aからの予備電力に対し、受電装置200Aを構成するアンテナは全て非共振状態となる。
S1158で受電装置200AがSUSP状態を1秒間、保持している間に、送電装置100Aは、S1108で進行波電圧VFおよび反射波電圧VRを検出し、S1109で他デバイスが存在するかどうかを判断する。図7(A)に示すように送電装置100Aと受電装置200Aの他にデバイスが存在しない場合、受電装置200AはSUSP状態を保持しているので、送電装置100Aは、電力周波数に共振する他デバイスが存在しないと判断できる。図7(B)に示すように、非接触ICカード300が近くに位置する場合、送電装置100Aは、電力周波数に共振する他デバイスとして非接触ICカード300を認識できる。もちろん、電力周波数に共振する状態にある他の受電装置、例えばSUSP状態にない他の受電装置が近くに存在する場合にも、送電装置100Aは、この受電装置を他デバイスとして認識できる。
S1160で、Rx制御部202Aは、送電装置100Aとの間で、「電力受電可否」及び「給電シーケンス待ち時間」の各情報を含む装置ステータス情報を送受信する。
S1161で、Rx制御部202Aは、装置ステータス情報の「ブランク時間」情報に規定される時間と「給電シーケンス待ち時間」情報に規定される時間の間に、図13(A),(B)に示すようにWPT状態(図10)に遷移する。図12に示す例では、「ブランク時間」情報に規定される時間は0.5秒であり、「給電シーケンス待ち時間」情報に規定される時間は1秒である。
S1161でWPT状態に遷移した後は、受電装置200Aと送電装置100Aは、給電シーケンスが終了するまでWPT状態を継続し、無線電力伝送と制御用無線通信を同時並行して実行する。
WPT状態に遷移するために、Rx制御部202Aは、共振周波数切替え回路208A,222Aを制御して、Rx受電アンテナ204Aの共振周波数をf2(=6.78MHz)に、Rx通信アンテナ218Aの共振周波数をf1(=4MHz)に切り替える。
S1162で、Rx制御部202Aは、装置ステータス情報の「送受電要求電力」情報に従い充電制御回路214Aを制御し、充電池216Aの充電条件を「送受電要求電力」情報に最適になるように設定する。送電装置100AでのS1114の処理と、受電装置200AでのS1162の処理が終了すると、送電装置100Aと受電装置200Aとの間で無線給電が可能な状態になる。
S1162で受電する電力の周波数は6.78MHzであるので、Rx受電アンテナ204Aが共振して電力を受電し、Rx通信アンテナ218Aは共振せず電力を実質的に受電しない。受電装置200AがWPT状態で電力を受電している間、Rx通信アンテナ218Aは、送電装置100Aからの電力波に共振しないので、後段のRx通信部224Aに過大な電力を供給しない。これにより、Rx通信部224Aを発熱などの影響から保護することができる。
S1165で、Rx制御部202Aは、充電池216Aが満充電状態になっているかどうかを判断する。充電池216Aが満充電状態であると判断した場合(S1165)、Rx制御部202Aは、S1168で、充電池216Aが満充電状態であることを送電装置100に通知するために、装置ステータス情報の「電力受電可否」情報を「否」に設定する。そして、Rx制御部202Aは、送電装置100Aとの間で「電力受電可否」、「電池電圧」、「電池満充電電圧」及び「電池残量レベル」の各情報を含む装置ステータス情報を送受信する。これにより、送電装置100Aは、受電装置200Aの充電池216Aが満充電であることを知ることが出来る。
S1168に続くS1169で、Rx制御部202Aは、装置ステータス情報の「給電シーケンス待ち時間」情報に規定される通信時間(1秒間)の間に、初期状態、すなわち、図13(A),(B)に示すようにCOMM状態(図10)に戻る。Rx制御部202Aは、共振周波数切替え回路208A,222Aを制御して、Rx受電アンテナ204Aの共振周波数をf2(=6.78MHz)に、Rx通信アンテナ218Aの共振周波数をf0(=13.56MHz)に切り替える。
充電池216Aが満充電でないと判断した場合(S1165)、Rx制御部202Aは、充電池216Aの最新の充電状態を取得し、充電池216Aの充電に要する電力を算定し、「送受電要求電力」情報に設定する。S1166で、Rx制御部202Aは、送電装置100Aとの間で「電池電圧」、「電池満充電電圧」、「電池残量レベル」及び「送受電要求電力」の各情報を含む装置ステータス情報を送受信し、S1162に戻る。
以降、Rx制御部202Aは、S1165で充電池216Aが満充電であると判断するまで、無線電力伝送と制御用の無線通信を同時並行して繰り返し実行する。
実施例2では、無線電力伝送開始前に、予備電力キャリア周波数に対し、Rx受電アンテナ204AもRx通信アンテナ218Aも非共振状態にして、非接触ICカードなど他デバイスの有無を検出する。これにより、非接触ICカードなどの他デバイスが近くに存在する場合に、無線給電による発熱などの影響から保護できる。
また、近距離無線通中はキャリア信号周波数に対し、Rx受電アンテナは共振せず、近接無線通信アンテナのみ共振するので、近接無線通信のキャリア電力の損失を低減でき、近接無線通信距離の低下を防止できる。
さらに、無線電力伝送中は電力キャリア周波数に対しRx受電アンテナは共振するが、近接無線通信アンテナは共振しないので、近接無線通信アンテナが後段回路に過大な電圧等を供給することがない。これにより、近接無線通信アンテナの後段回路を発熱などの影響から保護できる。
送電装置と受電装置との間で行う無線通信と無線電力伝送のキャリア周波数が同じか異なるかに関わらず、通信アンテナの後段回路を保護できるようにした実施例3を説明する。
図14は、実施例3における受電装置200Bの概略構成ブロック図を示す。受電装置200Bは、図2に示す受電装置200に対して、共振周波数切替え回路208に並列に共振周波数切替え回路209Bを増設した構成からなる。Rx制御部202Bは、Rx制御部202の機能に加えて、共振周波数切替え回路209を制御する機能を具備する。Rx受電アンテナ204Bに2つの共振周波数切替え回路208B,209Bが並列接続されることで、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数をより多くの値に変更可能になる。もちろん、単一の共振周波数切替え回路でも同様の変更は可能である。
受電装置200Bは、受電装置200としての動作と受電装置200Aとしての動作を選択可能である。これに応じて、受電装置200Bに電力を無線伝送する送電装置100Bもまた、送電装置100としての動作と送電装置100Aとしての動作を選択可能である。受電装置200Bは、送電装置100から電力を受けるときには受電装置200と同様に動作し、送電装置100Aから電力を受けるときには受電装置200Aとして動作するという選択可能な構成であるともいえる。
送電装置100Bと受電装置200Bとの間で無線電力伝送と制御データ(装置ステータス情報)の無線通信を同じキャリア周波数で行う場合、制御データの無線通信は、Tx通信部112に対応するTx通信部とRx通信部224Bとの間で行われる。Tx通信部118に対応するTx通信部とRx通信部234Bとの間では、制御データの無線通信は行われない。送電装置100Bと受電装置200Bとの間で無線電力伝送は、図5A及び図5Bに示すフローチャートに従って実行される。
送電装置100Bと受電装置200Bとの間で無線電力伝送と制御データの無線通信を異なるキャリア周波数で行う場合、制御データの無線通信は、Tx通信部118に対応するTx通信部とRx通信部234Bとの間で行われる。Tx通信部112に対応するTx通信部とRx通信部224Bとの間では、制御データの無線通信は行われない。送電装置100Bと受電装置200Bとの間で無線電力伝送は、図11A及び図11Bに示すフローチャートに従って実行される。
Rx受電アンテナ204Bの共振周波数は、共振周波数切替え回路208B,209Bが共に非導通であるとき、HF帯である20MHz付近に設定されているとする。また、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数は、アンテナ共振周波数切替え回路222Bが非導通であるとき、HF帯である13.56MHz付近に設定されているとする。共振周波数切替え回路208B,209B,222Bはいずれも、図3(A)に示す回路構成からなるとする。
図15は、電力伝送と制御データの通信を同じキャリア周波数で行う場合の、受電装置200Bの各状態におけるRx受電アンテナ204BおよびRx通信アンテナ218Bの共振周波数例を示す。Rx受電アンテナ204BおよびRx通信アンテナ218Bの共振周波数として図15に示す表に明記した数値は、説明例であり、本発明は、これらの数値に限定されない。受電装置200Bもまた、COMM状態、WPT状態、SUSP状態及びBLNK状態を有する。
COMM状態では、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数をf3、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数をf0とする。Rx受電アンテナ204Bの共振周波数は、近接無線通信のキャリア周波数に共振しないように、近接無線通信のキャリア周波数より高いかまたはより低い周波数に設定されている。Rx通信アンテナ218Bの共振周波数は、近接無線通信のキャリア周波数に共振して通信可能なように、近接無線通信のキャリア周波数付近に設定されている。COMM状態は、送電装置100Bと受電装置200Bとの間で無線電力伝送を実施する給電シーケンスを開始する前または給電シーケンス終了した後の初期状態である。共振周波数切替え回路208B,209B,222Bのスイッチ304はすべて、オフである。
WPT状態では、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数をf0、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数をf1とする。Rx受電アンテナ204Bの共振周波数は、無線電力伝送のキャリア周波数に共振して電力を受電できるように、無線電力伝送のキャリア周波数付近の周波数に設定されている。Rx通信アンテナ218Bの共振周波数は、無線電力伝送のキャリア周波数に共振せず、かつ無線電力伝送のキャリア周波数の高調波に同調しないように、無線電力伝送のキャリア周波数より低い周波数に設定されている。共振周波数切替え回路208Bのスイッチ304はオン、共振周波数切替え回路209Bのスイッチ304はオフ、共振周波数切替え回路222Bのスイッチ304はオンである。
SUSP状態では、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数をf3、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数をf1とする。Rx受電アンテナ204BとRx通信アンテナ218Bの共振周波数は、近接無線通信および無線電力伝送のキャリア周波数のいずれにも共振しないように、これらキャリア周波数のいずれよりも高いか低い周波数に設定される。送電装置100Bと受電装置200Bの間で無線電力伝送を実施する給電シーケンスを開始する前にSUSP状態になる。また、給電シーケンスを開始した後に、他デバイスとしての非接触ICカードを検出するために一時的に給電シーケンスを停止したときも、SUSP状態になる。SUSP状態では、共振周波数切替え回路208B,209Bのスイッチ304はオフ、共振周波数切替え回路222Bのスイッチ304はオンである。
BLNK状態では、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数およびRx通信アンテナ218Bの共振周波数は、切り替え中の不定状態かCOMM状態と同じ値である。
図16は、電力伝送と制御データの通信を互いに異なるキャリア周波数で行う場合の、受電装置200Bの各状態におけるRx受電アンテナ204BおよびRx通信アンテナ218Bの共振周波数例を示す。Rx受電アンテナ204BおよびRx通信アンテナ218Bの共振周波数として図16に示す表に明記した数値は、説明例であり、本発明は、これらの数値に限定されない。受電装置200Bは、COMM状態、WPT状態、SUSP状態及びBLNK状態を有する。
COMM状態では、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数をf3、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数をf0とする。Rx受電アンテナ204Bの共振周波数は、近距離無線通信のキャリア周波数に共振しないように、近接無線通信のキャリア周波数より高いかまたはより低い周波数に設定されている。Rx通信アンテナ218Bの共振周波数は、近接無線通信のキャリア周波数に共振して通信可能なように、近接無線通信のキャリア周波数付近に設定されている。COMM状態は、送電装置100Bと受電装置200Bとの間で無線電力伝送を実施する給電シーケンスを開始する前または給電シーケンス終了した後の初期状態である。共振周波数切替え回路208B,209B,222Bのスイッチ304はすべてオフである。
WPT状態では、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数をf2、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数をf1とする。Rx受電アンテナ204Bの共振周波数は、無線電力伝送のキャリア周波数に共振して電力を受信できるように、無線電力伝送のキャリア周波数付近に設定されている。Rx通信アンテナ218Bの共振周波数は、無線電力伝送のキャリア周波数に共振せず、かつ無線電力伝送のキャリア周波数の高調波に同調しないように、無線電力伝送のキャリア周波数より低い周波数に設定されている。共振周波数切替え回路208B,209B,222Bのスイッチ304はいずれもオンである。
SUSP状態では、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数をf3、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数をf1とする。Rx受電アンテナ204BとRx通信アンテナ218Bの共振周波数は、近接無線通信のキャリア周波数および無線電力伝送のキャリア周波数のいずれにも共振しないように、これらキャリア周波数のいずれよりも高いかまたは低い周波数に設定される。共振周波数切替え回路208B,209Bのスイッチ304はオフであり、共振周波数切替え回路222Bのスイッチ304はオンである。送電装置100Bと受電装置200Bの間で無線電力伝送を実施する給電シーケンスを開始する前にSUSP状態になる。また、給電シーケンスを開始した後に、他デバイスとしての非接触ICカードを検出するために一時的に給電シーケンスを停止したときも、SUSP状態になる。
BLNK状態では、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数及びRx通信アンテナ218の共振周波数は、切り替え中の不定状態かまたはCOMM状態と同じ値である。
先に説明したように、送電装置100Bと受電装置200Bは、無線電力伝送と電力伝送制御の無線通信を同じキャリア周波数で行う場合には、図5A及び図5Bに示すフローチャートに従って動作する。無線電力伝送と電力伝送制御の無線通信を互いに異なるキャリア周波数で行う場合には、送電装置100Bと受電装置200Bは、図11A及び図11Bに示すフローチャートに従って動作する。どちらで動作するかは、受電装置200Bが決定しても送電装置100Bが決定しても良い。もちろん、送電装置100Bがいずれか一方にしか対応できない場合、受電装置200Bは送電装置100Bが対応できる手順で動作する。
図17は、図5A及び図5Bに示すフローチャートに従って無線電力伝送する場合のシーケンス例を示す。図17(A)は、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数の変遷を示す。図17(B)は、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数の変遷を示す。図17(C)は送電装置100Bから出力されるHF帯送電電力量の変化を示す。図17(D)は、送電装置100Bの制御データ通信のタイミングを示す。図17は、図15に示す表にも対応する。
図18は、図11A及び図11Bに示すフローチャートに従って無線電力伝送する場合のシーケンス例を示す。図18(A)は、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数の変遷を示す。図18(B)は、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数の変遷を示す。図18(C)は送電装置100Bから出力されるHF帯送電電力量の変化を示す。図18(D)は、送電装置100Bの制御データ通信のタイミングを示す。図18は、図16に示す表にも対応する。
受電装置200Bは、無線電力伝送と電力伝送制御のための無線通信とを同じ周波数帯域で行う場合と、異なる周波数で行う場合とのいずれにも対応することができる。すなわち、対面する送電装置がいずれか一方にしか対応しないものであっても、送電を受けることが可能になる。
実施例3の変更として、Rx受電アンテナ204BとRx通信アンテナ218Bの共振周波数の別の組み合わせ例を説明する。具体的には、図15に示す組み合わせを図19に示すように変更し、図16に示す組み合わせを図20に示すように変更する。
ここでは、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数は、共振周波数切替え回路208B,209Bが共に非導通であるとき、HF帯である13.56MHz付近に設定されているとする。また、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数は、アンテナ共振周波数切替え回路222Bが非導通であるとき、HF帯である13.56MHz付近に設定されているとする。共振周波数切替え回路208B,209B,222Bはいずれも、図3(A)に示す回路構成からなるとする。
図19は、電力伝送と制御データの通信を同じキャリア周波数で行う場合の、受電装置200Bの各状態におけるRx受電アンテナ204BおよびRx通信アンテナ218Bの共振周波数例を示す。Rx受電アンテナ204BおよびRx通信アンテナ218Bの共振周波数として図19に示す表に明記した数値は、説明例であり、本発明は、これらの数値に限定されない。受電装置200Bは、COMM状態、WPT状態、SUSP状態及びBLNK状態を有する。実施例3と同様に、送電装置100Bと受電装置200Bとの間で無線電力伝送は、図5A及び図5Bに示すフローチャートに従って実行される。
COMM状態では、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数をf2、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数をf0とする。Rx受電アンテナ204Bの共振周波数は、近接無線通信のキャリア周波数に共振しないように、近接無線通信のキャリア周波数より高いかまたはより低い周波数に設定されている。Rx通信アンテナ218Bの共振周波数は、近接無線通信のキャリア周波数に共振して通信可能なように、近接無線通信のキャリア周波数付近に設定されている。COMM状態は、送電装置100Bと受電装置200Bとの間で無線電力伝送を実施する給電シーケンスを開始する前または給電シーケンス終了した後の初期状態である。共振周波数切替え回路208Bのスイッチ304はオン、共振周波数切替え回路209Bのスイッチ304はオフ、共振周波数切替え回路222Bのスイッチ304はオフである。
WPT状態では、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数をf0、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数をf1とする。Rx受電アンテナ204Bの共振周波数は、無線電力伝送のキャリア周波数に共振して電力を受電できるように、無線電力伝送のキャリア周波数付近の周波数に設定されている。Rx通信アンテナ218Bの共振周波数は、無線電力伝送のキャリア周波数に共振せず、かつ無線電力伝送のキャリア周波数の高調波に同調しないように、無線電力伝送のキャリア周波数より低い周波数に設定されている。共振周波数切替え回路208B,209Bのスイッチ304はオフ、共振周波数切替え回路222Bのスイッチ304はオンである。
SUSP状態では、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数をf2、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数をf1とする。Rx受電アンテナ204BとRx通信アンテナ218Bの共振周波数は、近接無線通信のキャリア周波数および無線電力伝送のキャリア周波数のいずれにも共振しないように、これらキャリア周波数のいずれよりも高いかまたは低い周波数に設定される。共振周波数切替え回路208Bのスイッチ304はオン、共振周波数切替え回路209Bのスイッチ304はオフ、共振周波数切替え回路222Bのスイッチ304はオンである。
BLNK状態では、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数およびRx通信アンテナ218Bの共振周波数は、切り替え中の不定状態かCOMM状態と同じ値である。
図20は、電力伝送と制御データの通信を互いに異なるキャリア周波数で行う場合の、受電装置200Bの各状態におけるRx受電アンテナ204BおよびRx通信アンテナ218Bの共振周波数例を示す。Rx受電アンテナ204BおよびRx通信アンテナ218Bの共振周波数として図20に示す表に明記した数値は、説明例であり、本発明は、これらの数値に限定されない。受電装置200Bは、COMM状態、WPT状態、SUSP状態及びBLNK状態を有する。実施例3と同様に、送電装置100Bと受電装置200Bとの間で無線電力伝送は、図11A及び図11Bに示すフローチャートに従って実行される。
COMM状態では、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数をf2、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数をf0とする。Rx受電アンテナ204Bの共振周波数は、近距離無線通信のキャリア周波数に共振しないように、近接無線通信のキャリア周波数より高いかまたはより低い周波数に設定されている。Rx通信アンテナ218Bの共振周波数は、近接無線通信のキャリア周波数に共振して通信可能なように、近接無線通信のキャリア周波数付近に設定されている。COMM状態は、送電装置100Bと受電装置200Bとの間で無線電力伝送を実施する給電シーケンスを開始する前または給電シーケンス終了した後の初期状態である。共振周波数切替え回路208Bのスイッチ304はオン、共振周波数切替え回路209Bのスイッチ304はオフ、共振周波数切替え回路222Bのスイッチ304はオフである。
WPT状態では、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数をf2、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数をf1とする。Rx受電アンテナ204Bの共振周波数は、無線電力伝送のキャリア周波数に共振して電力を受信できるように、無線電力伝送のキャリア周波数付近に設定されている。Rx通信アンテナ218Bの共振周波数は、無線電力伝送のキャリア周波数に共振せず、かつ無線電力伝送のキャリア周波数の高調波に同調しないように、無線電力伝送のキャリア周波数より低い周波数に設定されている。共振周波数切替え回路208Bのスイッチ304はオン、共振周波数切替え回路209Bのスイッチ304はオフ、共振周波数切替え回路222Bのスイッチ304はオンである。
SUSP状態では、Rx受電アンテナ204Bの共振周波数をf1、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数をf1とする。Rx受電アンテナ204BとRx通信アンテナ218Bの共振周波数は、近接無線通信のキャリア周波数および無線電力伝送のキャリア周波数のいずれにも共振しないように、これらキャリア周波数のいずれよりも高いかまたは低い周波数に設定される。SUSP状態では、共振周波数切替え回路208B,209B,222Bのスイッチ304はすべてオンである。
BLNK状態では、Rx通信アンテナ218Bの共振周波数及びRx通信アンテナ218の共振周波数は、切り替え中の不定状態かまたはCOMM状態と同じ値である。
実施例3で説明したのと同様に、送電装置100Bと受電装置200Bは、無線電力伝送と電力伝送制御の無線通信を同じキャリア周波数で行う場合、図5A及び図5Bに示すフローチャートに従って動作する。図21は、この場合の電力伝送制御シーケンス例を示すタイミングチャートである。他方、無線電力伝送と電力伝送制御の無線通信を互いに異なるキャリア周波数で行う場合、送電装置100Bと受電装置200Bは、図11A及び図11Bに示すフローチャートに従って動作する。図22は、この場合の電力伝送制御シーケンス例を示すタイミングチャートである。
無線電力伝送と電力伝送制御の無線通信を同じキャリア周波数で行うか、異なるキャリア周波数で行うかは、受電装置200Bが決定しても送電装置100Bが決定しても良い。もちろん、送電装置100Bがいずれか一方にしか対応できない場合、受電装置200Bは送電装置100Bが対応できる手順で動作する。
上記実施例1〜4では、電力伝送制御の無線通信を、近接無線通信規格であるJISX6319−4を用いて行うと説明したが、その他の通信方式を使っても良いことは明らかである。例えば、他の近接無線通信規格であるISO/IEC21481、ISO/IEC14443またはISO/IEC15693のプロトコルを用いた無線通信も適用可能である。これらの通信規格に対応する場合、例えば、送電装置100のTx通信部112及び送電装置100A,100Bの対応するTx通信部に非接触ICリーダライタの機能を持たせ、Rx通信部224,224A,224Bに非接触ICの機能を持たせれば良い。
Bluetooth Low Energy(登録商標)の代わりに、同様の近距離無線通信規格を電力伝送制御の無線通信に利用できることができる。そのような近距離無線通信規格には例えば、WLAN規格であるIEEE802.11および近距離無線規格であるIEEE802.15.1があり、これらも本発明で利用可能である。
電力伝送制御の無線通信の接続処理として、送電装置がポーリング信号を出力し、このポーリング信号を受信した受電装置が接続要求を送信装置に送信する構成を説明した。しかし、本発明は、このような接続処理に限定されない。例えば、受電装置がポーリング信号を出力し、このポーリング信号を受信した送電装置が接続要求を受電装置に送信する構成であっても、本発明は適用可能である。
送電装置のTx送電アンテナおよび受電装置のRx受電アンテナとして、HF帯である13.56MHzまたは6.78MHz付近に共振周波数を有するアンテナを例示したが、これは説明用の一例であり、本発明は、これらの共振周波数に限定されない。
実装上可能である場合、送電装置のTx送電アンテナ110とTx通信アンテナ116を物理的には1つのアンテナで実現しても、本発明の技術的範囲に含まれうる。
本発明の目的は、前述した実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を装置に供給することによっても、達成される。このとき、供給された装置の制御部を含むコンピュータ(またはCPUやMPU)は、記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が、上述の実施例の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は、本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、磁気ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード又はROM等を用いることができる。
上述のプログラムコードの指示に基づき、装置上で稼動しているOS(基本システムやオペレーティングシステム)などが処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれる。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、装置に挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれ、前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。このとき、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行う。
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は、これらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。