JP2010050236A - 半導体発光装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光取り出し効率を向上させる透光性被覆層を、より簡易に形成できるようにする。
【解決手段】半導体発光装置1は、サブマウント2、サブマウント2上に搭載された半導体発光素子3、および半導体発光素子3を完全に被覆した透光性被覆層4を有する。透光性被覆層4は、サブマウント2の外周全周に接して形成されている。
【選択図】図2
【解決手段】半導体発光装置1は、サブマウント2、サブマウント2上に搭載された半導体発光素子3、および半導体発光素子3を完全に被覆した透光性被覆層4を有する。透光性被覆層4は、サブマウント2の外周全周に接して形成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、支持体上に搭載された半導体発光素子を透光性被覆層で覆った半導体発光装置およびその製造方法に関する。
発光ダイオード等の半導体発光素子を用いた半導体発光装置は、小型でかつ低消費電力であるため、表示用途としてだけでなく照明用途としても市場が拡大してきている。この種の半導体発光装置は一般に、配線が設けられた支持体と、支持体上に搭載された半導体発光素子と、半導体発光素子を覆った透光性被覆層とを有している。透光性被覆層は、半導体発光素子、および半導体発光素子と配線との接続部を保護し得るものであるが、半導体発光素子からの光によって励起される所望の蛍光体を透光性被覆層に含有させることで、発光光の波長変換を行なうこともできる。さらに、透光性被覆層をドーム状に形成するなど透光性被覆層の形状を工夫することによって、光取り出し効率を向上させることもできる。
このように半導体発光素子を透光性被覆層で被覆することの利点の1つとして光取り出し効率の向上が挙げられる。この場合、透光性被覆層の形状を適切に形成することが重要であり、形状のばらつきが抑制された透光性被覆層の形成方法として、成形型を用いた射出成形による方法がある。しかし、射出成形によって透光性被覆層を形成するには射出成型機といった設備が必要であり、そのため、より簡易な方法が望まれている。
成形型を用いずに透光性被覆層を形成する方法の一例として、特許文献1に、半導体発光素子の上面に、樹脂をその外周端部が半導体発光素子の発光観測面(上面)の外周端部と実質的に一致するように塗布し、これを硬化させることによって透光性被覆層を球状に形成することが開示されている。特許文献1に開示された半導体発光装置では、半導体発光素子の側面は、少なくとも半導体発光素子の側面と透光性被覆層の外周端部の近傍を含むように、半導体発光素子の周りに形成された遮光膜で覆われる。遮光膜は、半導体発光素子からの光を反射散乱させるものであり、例えばTiO2からなる。
また、特許文献2には、絶縁基板に設けられた導電パターンの上に半導体発光素子を搭載した半導体発光装置において、導体パターンの一部を他の部分よりも厚く形成した突出部とし、その突出部上に半導体発光素子を搭載することが開示されている。透光性被覆層は、突出部の上面において半導体発光素子を覆い、かつ略半球状に盛り上がるように形成される。このような透光性被覆層は、例えばエポキシ樹脂を、突出部の上面に所定量滴下し、それを硬化させることで形成することができる。また特許文献2には、透光性被覆層から略均一な光が出射されるようにするために、突出部の好ましい形状は、上面が円形である円柱状であることが記載されている。
特開2002−305328号公報
特開2005−123557号公報
しかしながら、特許文献1に開示された半導体発光装置では、半導体発光素子を被覆するために複数の工程、すなわち透光性被覆層を形成する工程および遮光膜を形成する工程が必要となる。また、特許文献2に開示された半導体発光装置では、半導体発光素子を被覆する工程は簡単であるが、支持体上への配線の形成工程が複雑になる。さらに、従来の半導体発光装置では、透光性被覆層を、半導体発光素子を中心としてできるだけ対称な形状に形成するこことに主眼が置かれていた。つまり、透光性被覆層は、半導体発光素子を搭載する支持体は一般に矩形状であるのに上側から見た場合には円形であり、側面側から見た場合には左右対称であるような形状が好ましいとされてきた。そのため、半導体発光装置の製造に際しては様々な制約を受けることとなっていた。
本発明の目的は、光取り出し効率を向上させる透光性被覆層をより簡易に形成し得る半導体発光装置およびその製造方法を提供することである。
半導体発光装置の光取り出し効率を向上させるべく本発明者らが鋭意検討してきた結果、透光性被覆層の対称性はそれほど重要ではないことが分ってきた。そもそも、被覆層を平面視円形に形成したとしても、発光素子および発光素子を搭載する支持体そのものが矩形であることが多いからである。そこで本発明者らは、支持体との関係において透光性被覆層の立体形状に着目し、本発明を完成するに至った。
本発明は、下記の特徴を有する半導体発光装置およびその製造方法に存する。
[1] コア材、配線層およびコート層のうち少なくともコア材および配線層を有する第一支持体と、
前記第一支持体の上面に搭載された少なくとも1つの半導体発光素子と、
前記半導体発光素子が前記第一支持体と接合されている部分を除いて前記半導体発光素子を完全に被覆して形成された透光性被覆層と、
を有し、
前記透光性被覆層は、前記第一支持体の外縁全周に接して形成されている半導体発光装置。
前記第一支持体の上面に搭載された少なくとも1つの半導体発光素子と、
前記半導体発光素子が前記第一支持体と接合されている部分を除いて前記半導体発光素子を完全に被覆して形成された透光性被覆層と、
を有し、
前記透光性被覆層は、前記第一支持体の外縁全周に接して形成されている半導体発光装置。
[2] 前記第一支持体の上面は、少なくとも前記コア材が略平坦である上記[1]に記載の半導体発光装置。
[3] 前記第一支持体は、上面側から見た形状が非円形である上記[1]または[2]に記載の半導体発光装置。
[4] 前記第一支持体は、上面側から見た形状がn角形(ただし、nは、3≦n≦10を満たす整数である。)である上記[3]に記載の半導体発光装置。
[5] 前記第一支持体は、上面側から見た形状が、三角形、四角形、六角形または八角形である上記[4]に記載の半導体発光装置。
[6] 前記第一支持体は、上面側から見た形状が正多角形である上記[3]から[5]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[7] 前記第一支持体は、上面側から見た形状が円形である上記[1]または[2]に記載の半導体発光装置。
[8] 前記第一支持体を上面側から見たときの外形が、前記第一支持体上の半導体発光素子を前記第一支持体の上面側から見たときの形状と相似でない上記[1]から[7]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[9] 前記第一支持体を上面側から見たときの外形が、前記第一支持体上の半導体発光素子を前記第一支持体の上面側から見たときの形状と相似である上記[1]から[7]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[10]
前記半導体発光素子は、金属ハンダまたは金属バンプを用いたフリップチップ実装によって、金属ワイヤを用いることなく前記第一支持体の上面に接合されている上記[1]から[9]のいずれかに記載の半導体発光装置。
前記半導体発光素子は、金属ハンダまたは金属バンプを用いたフリップチップ実装によって、金属ワイヤを用いることなく前記第一支持体の上面に接合されている上記[1]から[9]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[11] 前記半導体発光装置を前記第一支持体の側面側の任意の方向δから投影した場合において、
前記第一支持体の上面に対して前記透光性被覆層が前記第一支持体の厚み方向に最も突出している頂部から前記第一支持体の上面に垂直に下ろした直線の距離をdとし、かつ
前記透光性被覆層を投影して得られる前記透光性被覆層の外側輪郭曲線において前記頂部の近傍を円近似した際の曲率半径をR(δ)としたとき、
0.5≦d/R(δ)≦1.7
を常に満たしている上記[1]から[10]のいずれかに記載の半導体発光装置。
前記第一支持体の上面に対して前記透光性被覆層が前記第一支持体の厚み方向に最も突出している頂部から前記第一支持体の上面に垂直に下ろした直線の距離をdとし、かつ
前記透光性被覆層を投影して得られる前記透光性被覆層の外側輪郭曲線において前記頂部の近傍を円近似した際の曲率半径をR(δ)としたとき、
0.5≦d/R(δ)≦1.7
を常に満たしている上記[1]から[10]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[12] 前記透光性被覆層は、前記第一支持体との接触領域と非接触領域との境界である外側境界線上の任意の接触点における前記第一支持体に対する接触角度θが、前記第一支持体上の場所で異なるように形成されている上記[1]から[11]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[13] 前記接触角度θは、前記第一支持体の全周にわたって30°≦θ≦165°の範囲で変化している、上記[12]に記載の半導体発光装置。
[14] 前記接触角度θは、前記外側境界線上の任意の2つの場所での接触角度θの差をΔθとしたとき、10°≦Δθ≦130°の範囲で変化している、上記[12]または[13]に記載の半導体発光装置。
[15] 前記透光性被覆層は、前記第一支持体との接触領域と非接触領域との境界である外側境界線上の任意の接触点における前記第一支持体に対する接触角度θが、前記第一支持体上の場所で実質的に同じであるように形成されている上記[1]から[11]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[16] 前記接触角度θは、前記外側境界線上の任意の2つの場所での接触角度θの差をΔθとしたとき、Δθの変化は、2°≦Δθ<10°の範囲内である上記[15]に記載の半導体発光装置。
[17] 前記接触角度θは、
前記第一支持体の側面側の任意の方向から投影した場合において、
前記透光性被覆層を投影して得られる外側輪郭曲線上の任意の2つの点を直線で結んだとき、これら2つの点を前記第一支持体と前記透光性被覆層との接触点に限りなく近接させることで得られる直線を被覆層投影直線とし、
前記第一支持体のコア材を投影して得られるコア材輪郭曲線上の、前記透光性被覆層に被覆されている部分での任意の2つの点を直線で結んだとき、これら2つの点を前記接触点に限りなく近接させることで得られる直線をコア材投影直線とし、
前記被覆層投影直線と前記コア材投影直線とがなす角度のうち、前記第一支持体および前記透光性被覆層の外側の部分に形成される角度で定義される、上記[12]から[16]のいずれかに記載の半導体発光装置。
前記第一支持体の側面側の任意の方向から投影した場合において、
前記透光性被覆層を投影して得られる外側輪郭曲線上の任意の2つの点を直線で結んだとき、これら2つの点を前記第一支持体と前記透光性被覆層との接触点に限りなく近接させることで得られる直線を被覆層投影直線とし、
前記第一支持体のコア材を投影して得られるコア材輪郭曲線上の、前記透光性被覆層に被覆されている部分での任意の2つの点を直線で結んだとき、これら2つの点を前記接触点に限りなく近接させることで得られる直線をコア材投影直線とし、
前記被覆層投影直線と前記コア材投影直線とがなす角度のうち、前記第一支持体および前記透光性被覆層の外側の部分に形成される角度で定義される、上記[12]から[16]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[18] 前記透光性被覆層の表面は、前記半導体発光素子の発光波長と同程度の微細な凹凸を有する上記[1]から[17]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[19] 前記第一支持体を搭載する第二支持体と、前記第一支持体の配線層と前記第二支持体の配線層とを結線する立体配線と、をさらに有し、
前記立体配線は、前記透光性被覆層に覆われている部分と、前記透光性被覆層の外側に存在している部分とを有する上記[1]から[18]のいずれかに記載の半導体発光装置。
前記立体配線は、前記透光性被覆層に覆われている部分と、前記透光性被覆層の外側に存在している部分とを有する上記[1]から[18]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[20] 前記第一支持体の上面側の配線層は、少なくともAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Ta、W、Re、Ir、PtおよびAuの中から選択される少なくとも1種の材料を含み、かつAgを含まない上記[1]から[19]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[21] 前記第一支持体は前記コート層を有し、該コート層は、絶縁層を含んでおり、かつ、少なくともSiOx、AlOx、TiOx、TaOx、HfOx、ZrOx、SiNx、AlNx、AlFx、BaFx、CaFx、SrFx、MgFxから選択される1つもしくは複数の層を有する上記[1]から[20]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[22] 前記半導体発光素子は、In、InSb、InSn、PbSn、AuSb、AuSn、AuGeおよびAuSiから選択され、かつAgを含まないハンダを用いて前記第一支持体と接合されている上記[1]から[21]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[23] 前記半導体発光素子は、AuもしくはAlを含むバンプを用いて前記第一支持体と接合されている上記[1]から[21]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[24] 前記半導体発光素子は、少なくともAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Ta、W、Re、Ir、PtおよびAuの中から選択される少なくとも1種を含み、かつAgを含まない電極を有している上記[1]から[23]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[25] 前記半導体発光素子は、385nm以上425nm以下の波長領域にピーク発光波長を有する上記[1]から[24]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[26] 前記透光性被覆層は、ケイ素含有化合物を有する上記[1]から[25]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[27] 前記ケイ素含有化合物はシリコーン系材料である上記[26]に記載の半導体発光装置。
[28] 前記シリコーン系材料は縮合型シリコーン系材料である上記[27]に記載の半導体発光装置。
[29] 前記ケイ素含有化合物はガラス材料である上記[26]に記載の半導体発光装置。
[30] 前記透光性被覆層は、前記半導体発光素子から発せられる光で励起される蛍光体を含有する上記[1]から[29]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[31] 前記透光性被覆層の外側に、前記透光性被覆層全体を覆うように前記透光性被覆層に接して設けられた、透光性を有する第二被覆層をさらに有する上記[1]から[30]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[32] 前記第二被覆層は、
前記透光性被覆層と異種のホスト材料からなるか、
前記透光性被覆層と同種のホスト材料からなり、かつ前記透光性被覆層と異なる材料を含むか、あるいは
前記透光性被覆層と異種のホスト材料からなり、かつ前記透光性被覆層と異なる材料をさらに含むか、
のいずれかの構成を有する上記[31]に記載の半導体発光装置。
前記透光性被覆層と異種のホスト材料からなるか、
前記透光性被覆層と同種のホスト材料からなり、かつ前記透光性被覆層と異なる材料を含むか、あるいは
前記透光性被覆層と異種のホスト材料からなり、かつ前記透光性被覆層と異なる材料をさらに含むか、
のいずれかの構成を有する上記[31]に記載の半導体発光装置。
[33] 前記第二被覆層は、酸素、窒素、二酸化炭素、18族の元素、もしくはこれらの混合ガスからなる層を含む上記[31]または[32]に記載の半導体発光装置。
[34] 前記第二被覆層は、複数の層を有する上記[31]から[33]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[35] 半導体発光装置の製造方法であって、
コア材、配線層およびコート層のうち少なくともコア材および配線層を有する第一支持体、半導体発光素子、および流動性を有する硬化可能な透光性被覆材を準備する準備工程と、
前記第一支持体の上面に前記半導体発光素子を接合する接合工程と、
前記半導体発光素子が前記第一支持体と接合されている部分を除いて完全に前記半導体発光素子を被覆するように、成形型を用いることなく、前記透光性被覆材からなる透光性被覆層を形成する被覆層形成工程と、
を有し、
前記被覆層形成工程は、前記透光性被覆材を、前記第一支持体の外縁全周に接するように前記第一支持体の上面全体に滴下する工程と、滴下した前記透光性被覆材を硬化させる工程とを有する半導体発光装置の製造方法。
コア材、配線層およびコート層のうち少なくともコア材および配線層を有する第一支持体、半導体発光素子、および流動性を有する硬化可能な透光性被覆材を準備する準備工程と、
前記第一支持体の上面に前記半導体発光素子を接合する接合工程と、
前記半導体発光素子が前記第一支持体と接合されている部分を除いて完全に前記半導体発光素子を被覆するように、成形型を用いることなく、前記透光性被覆材からなる透光性被覆層を形成する被覆層形成工程と、
を有し、
前記被覆層形成工程は、前記透光性被覆材を、前記第一支持体の外縁全周に接するように前記第一支持体の上面全体に滴下する工程と、滴下した前記透光性被覆材を硬化させる工程とを有する半導体発光装置の製造方法。
[36] 前記準備工程は、前記透光性被覆材の準備において、前記透光性被覆材を下記の物性規定試験で測定される最大高さ/接触線幅の値が0.0015以上となるように調整することを含む上記[35]に記載の半導体発光装置の製造方法。
<物性規定試験>
(手順1)ガラス平滑面に、内径1.52mmのニードルからその内径と同じ太さになるように前記透光性被覆材にて直線を描画する。
(手順2)前記(手順1)の直後に前記透光性被覆材を硬化させる。
(手順3)硬化後のガラスに接触している透光性被覆材の線幅とガラス面からの最大高さを測定し、その比(最大高さ/接触線幅)を算出する。
<物性規定試験>
(手順1)ガラス平滑面に、内径1.52mmのニードルからその内径と同じ太さになるように前記透光性被覆材にて直線を描画する。
(手順2)前記(手順1)の直後に前記透光性被覆材を硬化させる。
(手順3)硬化後のガラスに接触している透光性被覆材の線幅とガラス面からの最大高さを測定し、その比(最大高さ/接触線幅)を算出する。
[37] 前記準備工程は、前記透光性被覆材の準備において、前記透光性被覆材の中に蛍光体を含むように調製することを含む上記[35]または[36]に記載の半導体発光装置の製造方法。
[38] 前記準備工程は、前記透光性被覆材の準備において、真空度をP1L(Pa)、温度をT1L(℃)、時間をt1L(h)としたとき、これらが
10−2<P1L<102、
10<T1L<50、および
0.1<t1L<24、
の範囲内である条件で前記透光性被覆材を脱気することを含む上記[35]から[37]のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
10−2<P1L<102、
10<T1L<50、および
0.1<t1L<24、
の範囲内である条件で前記透光性被覆材を脱気することを含む上記[35]から[37]のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
[39] 前記接合工程は、前記第一支持体と前記半導体発光素子との接合を、少なくとも酸素、窒素、二酸化炭素および18族の元素から選ばれる1つのガス、もしくはこれらの混合ガスの雰囲気中で行ない、かつ、接合温度T2L(℃)を、20<T2L<450の範囲内の温度で行なうことを含む上記[35]から[38]のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
[40] 前記被覆層形成工程は、
前記透光性被覆材を滴下する工程の後に、前記透光性被覆材が滴下された前記第一支持体を真空装置内で脱気する工程をさらに有し、
脱気中または脱気後に、前記透光性被覆材を硬化させる工程を実施する、
を有する上記[35]から[39]のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
前記透光性被覆材を滴下する工程の後に、前記透光性被覆材が滴下された前記第一支持体を真空装置内で脱気する工程をさらに有し、
脱気中または脱気後に、前記透光性被覆材を硬化させる工程を実施する、
を有する上記[35]から[39]のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
[41] 前記被覆層形成工程における脱気の工程は、真空度をP32(Pa)、温度をT32(℃)、時間をt32(h)としたとき、これらが
10−2<P32<102、
10<T32<50、および
0.001<t32<24、
の範囲内である条件で脱気することを含む上記[40]に記載の半導体発光装置の製造方法。
10−2<P32<102、
10<T32<50、および
0.001<t32<24、
の範囲内である条件で脱気することを含む上記[40]に記載の半導体発光装置の製造方法。
[42] 前記被覆層形成工程における脱気の工程は、圧力変動を導入しながら脱気することを含む上記[40]または[41]に記載の半導体発光装置の製造方法。
[43] 前記透光性被覆材は熱硬化性材料であり、前記透光性被覆材を硬化させる工程は、前記透光性被覆材を加熱することを含む上記[35]から[42]のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
[44] 前記透光性被覆材の加熱は、酸素、窒素、二酸化炭素および18族の元素から選ばれる1つのガス、もしくはこれらの混合ガスの雰囲気中で行ない、かつ、
加熱温度をT33(℃)、加熱時間をt33(h)としたとき、これらを
10<T33<250、
0.5<t33<50
の範囲内の条件とすることを含む上記[43]に記載の半導体発光装置の製造方法。
加熱温度をT33(℃)、加熱時間をt33(h)としたとき、これらを
10<T33<250、
0.5<t33<50
の範囲内の条件とすることを含む上記[43]に記載の半導体発光装置の製造方法。
[45] 前記透光性被覆材の加熱を段階的に行なう上記[43]または[44]に記載の半導体発光装置の製造方法。
[46] 前記透光性被覆材の加熱を、前記第一支持体の下面を重力方向に向けた姿勢で行なう上記[43]から[45]のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
[47] 前記透光性被覆材の加熱を、前記第一支持体の上面を重力方向に向けた姿勢で行なう上記[43]から[45]のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
[48] 前記透光性被覆材の加熱を、前記第一支持体の側面を重力方向に向けた姿勢で行なう上記[43]から[45]のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
[49] 前記準備工程は、前記第一支持体を搭載する第二支持体を準備する工程をさらに有し、
前記接合工程は、前記第一支持体の上面に形成された配線層と前記第二支持体に形成された配線層とを立体配線で結線する工程をさらに有し、
前記被覆層形成工程は、前記立体配線が、前記透光性被覆材に覆われる部分と前記透光性被覆材の外側に存在している部分とを有するように、前記透光性被覆材を形成することを含む上記[35]から[48]のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
前記接合工程は、前記第一支持体の上面に形成された配線層と前記第二支持体に形成された配線層とを立体配線で結線する工程をさらに有し、
前記被覆層形成工程は、前記立体配線が、前記透光性被覆材に覆われる部分と前記透光性被覆材の外側に存在している部分とを有するように、前記透光性被覆材を形成することを含む上記[35]から[48]のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
[50] 前記透光性被覆層の形成後、前記透光性被覆層の表面に、前記半導体発光素子の発光波長と同程度の微細な凹凸を形成する工程をさらに有する上記[35]から[49]のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
[51] 前記透光性被覆層の外側に、前記透光性被覆層全体を覆うように前記透光性被覆層に接して、透光性を有する第二被覆層を形成する工程をさらに有する上記[35]から[50]のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
本発明によれば、光取り出し効率を向上させる透光性被覆層を、成形型を用いることなく極めて簡単に製造することができ、結果的に、光取り出し効率に優れた半導体発光装置を安価に提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲であれば種々に変更して実施することができる。
図1および図2を参照すると、本発明の一実施形態による半導体発光装置1が示されている。半導体発光装置1は、第一支持体であるサブマウント2と、サブマウント2上にフリップチップマウントされた半導体発光素子3と、サブマウント2の上面に半導体発光素子3を覆って形成された透光性被覆層4とを有する。これらサブマウント2、半導体発光素子3および透光性被覆層4について以下に詳細に説明する。
[1]サブマウント
サブマウント2は、コア材と、半導体発光素子3との接合のためにコア材の表面の一部に形成された配線層とを有し、搭載された半導体発光素子3への電流注入と放熱の機能を併せ持つ。サブマウント2のコア材は、AlN、SiC、ダイヤモンド、BN、CuW、Alのいずれかであることが望ましい。これら材料は、放熱性に優れ、半導体発光素子3の発熱の問題を効率よく抑制できる。また、Al2O3、Si、ガラス等も、安価でありサブマウント2のコア材として好ましく利用できる。なお、サブマウント2のコア材を金属とした場合は、その表面の一部または全体を耐エッチング性のある誘電体等からなるコート層でコートすることが望ましいが、コア材が金属でない場合であってもコート層を設けることができる。
サブマウント2は、コア材と、半導体発光素子3との接合のためにコア材の表面の一部に形成された配線層とを有し、搭載された半導体発光素子3への電流注入と放熱の機能を併せ持つ。サブマウント2のコア材は、AlN、SiC、ダイヤモンド、BN、CuW、Alのいずれかであることが望ましい。これら材料は、放熱性に優れ、半導体発光素子3の発熱の問題を効率よく抑制できる。また、Al2O3、Si、ガラス等も、安価でありサブマウント2のコア材として好ましく利用できる。なお、サブマウント2のコア材を金属とした場合は、その表面の一部または全体を耐エッチング性のある誘電体等からなるコート層でコートすることが望ましいが、コア材が金属でない場合であってもコート層を設けることができる。
配線層は、金属、導電性樹脂、導電性酸化物など、導電性を有するものであれば特に限定されないが、中でも、金属によって形成されているものが好ましく、さらに多層構造を有しているものが好ましい。配線層は、コア材の表面に形成されていても良いが、コート層上に形成することも好ましい。
なお、サブマウント2の表面は半導体発光素子3の発光波長領域の光に対して高反射特性となっていることが好ましい。
サブマウント2の上面側の配線層は、金属によって形成されている場合は、少なくともAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Ta、W、Re、Ir、PtおよびAuの中から選択される少なくとも1種の材料を含むものであることが好ましい。さらに、光学変質を抑制する観点から、配線層はAgを含まないことが好ましく、これは、半導体発光素子3が近紫外から紫外領域の光を発するものである場合に特に好ましい。
また、サブマウント2に必要に応じて設けられるコート層は、絶縁層を含んでおり、少なくともSiOx、AlOx、TiOx、TaOx、HfOx、ZrOx、SiNx、AlNx、AlFx、BaFx、CaFx、SrFx、MgFxから選択される1つもしくは複数の層を有することが好ましい。
[2]半導体発光素子
半導体発光素子3の発光波長は特に制限されず、半導体発光装置1の用途に応じて幅広い発光波長領域の半導体発光素子3を使用することができる。特に、半導体発光素子3が蛍光体と組み合わせて使用される場合は、蛍光体を励起する光を発光する半導体発光素子3が用いられる。その場合の半導体発光素子3の発光波長領域は、紫外から近紫外領域までの範囲が好ましく、ピーク発光波長の具体的な数値としては、通常350nm以上、好ましくは385nm以上、また、通常430nm以下、好ましくは425nm以下である。このような半導体発光素子3としては、具体的には発光ダイオード(以下、適宜「LED」という。)や半導体レーザダイオード(以下、適宜「LD」という。)等が使用できる。
半導体発光素子3の発光波長は特に制限されず、半導体発光装置1の用途に応じて幅広い発光波長領域の半導体発光素子3を使用することができる。特に、半導体発光素子3が蛍光体と組み合わせて使用される場合は、蛍光体を励起する光を発光する半導体発光素子3が用いられる。その場合の半導体発光素子3の発光波長領域は、紫外から近紫外領域までの範囲が好ましく、ピーク発光波長の具体的な数値としては、通常350nm以上、好ましくは385nm以上、また、通常430nm以下、好ましくは425nm以下である。このような半導体発光素子3としては、具体的には発光ダイオード(以下、適宜「LED」という。)や半導体レーザダイオード(以下、適宜「LD」という。)等が使用できる。
これらLEDやLDの中でも、基板上に窒化物半導体層、特にGaN系化合物半導体層が形成されたGaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、上記の領域の光を発するSiC系LED等に比べて、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、蛍光体と組み合わせることによって、非常に低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流注入時に、通常、GaN系LEDやLDはSiC系のLED等の100倍以上の発光強度を有する。GaN系LEDやLDにおいては、AlXGaYN発光層、GaN発光層、InXGaYN発光層、またはInXAlYGa(1-X-Y)N発光層を有しているものが好ましい。GaN系LEDにおいては、それらの中でもInXGaYN発光層を有するものが、発光強度が非常に強いので特に好ましい。GaN系LDにおいては、InXGaYN層とGaN層の多重量子井戸構造のものが、発光強度が非常に強いので特に好ましい。
GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、および基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlXGaYN層、GaN層、またはInXGaYN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが、発光効率が高いため好ましく、さらにヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが、発光効率がさらに高く、より好ましい。
また、発光層で発生した光をより多く外部に取り出すための種々の構造(電極構造、反射層構造、上下を逆に実装し得るフリップチップ構造など)などを適宜設けることが好ましい。
半導体発光素子3を構成する基板は、種々の基板を用いることができるが、中でも特に、サファイア、SiC、GaN、LiGaO2、ZnO、ScAlMgO4、NdGaO3およびMgOからなる群から選ばれた基板を好ましく用いることができる。中でも、ホモエピタキシャル成長により低転位密度化ができるGaN基板を用いるのが好ましい。また、半導体発光素子3に形成される電極は、少なくともAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Ta、W、Re、Ir、PtおよびAuの中から選択される少なくとも1種の材料を含むものであることが好ましい。さらに、光学変質を抑制する観点から、電極はAgを含まないことが好ましく、これは、半導体発光素子3が近紫外から紫外領域の光を発するものである場合に特に好ましい。
半導体発光素子3は、各種ハンダ材、ペースト材または金属バンプによって、金属ワイヤを用いることなくサブマウント2上の金属層に接合することができる。半導体発光素子3の高出力動作と高効率な発光のために放熱性を十分に確保するためには、特に金属ハンダによって接合されることが望ましい。好ましい金属ハンダとしては、In、InSb、InSn、PbSn、AuSb、AuSn、AuGeおよびAuSiから選択されるハンダを挙げることができる。さらに、ハンダは、光学変質を抑制する観点から、Agを含まないことが好ましく、これは、半導体発光素子3が近紫外から紫外領域の光を発するものである場合に特に好ましい。これらハンダは安定であって、使用温度環境等に照らして適宜選択可能である。また、半導体発光素子3とサブマウント2との接合に用いられるバンプとしては、AuもしくはAlを含むバンプであることが好ましい。
半導体発光素子3のサイズは、半導体発光素子3がサブマウント2に搭載された状態でサブマウント2の半導体発光素子3が搭載された面である上面側から見た場合に、半導体発光素子3の外縁がサブマウント2の外縁に接しないようなサイズであり、半導体発光素子3は、サブマウント2の外縁に接することなくサブマウント2の上面に搭載される。これにより、半導体発光素子3はサブマウント2上で透光性被覆層4によって確実に被覆される。
[3]透光性被覆層
透光性被覆層4は、半導体発光素子3がサブマウント2と接合されている部分を除いて完全に半導体発光素子3を被覆しており、少なくとも半導体発光素子3を保護する機能と、半導体発光素子3からの光の取り出し効率を向上させる機能を併せ持つ。ここで透光性とは、その材料が完全に光を吸収または遮蔽しない性質をいい、透過の度合によらないが、材料の消衰係数kが、半導体発光素子3の発光波長において、通常1×10-3以下、好ましくは1×10-4以下、さらに好ましくは1×10-5以下、特に好ましくは1×10-6以下である。
透光性被覆層4は、半導体発光素子3がサブマウント2と接合されている部分を除いて完全に半導体発光素子3を被覆しており、少なくとも半導体発光素子3を保護する機能と、半導体発光素子3からの光の取り出し効率を向上させる機能を併せ持つ。ここで透光性とは、その材料が完全に光を吸収または遮蔽しない性質をいい、透過の度合によらないが、材料の消衰係数kが、半導体発光素子3の発光波長において、通常1×10-3以下、好ましくは1×10-4以下、さらに好ましくは1×10-5以下、特に好ましくは1×10-6以下である。
透光性被覆層4のこれらの機能を効果的に発揮させるため、本形態では、透光性被覆層4は、サブマウント2の外縁全周に接し、かつ、ドーム状に盛り上がるように、サブマウント2の上面に形成されている。これによって、透光性被覆層4は、サブマウント2の上面側から見るとサブマウント2の平面形状に略等しいが、サブマウント2の側面側から見るとドーム状に形成される。
ここで、透光性被覆層4がサブマウント2の外縁に接しているとは、図3Aに示すように、透光性被覆層4のサブマウント2との接触領域と非接触領域との境界である外側境界線Lbがサブマウント2の外縁2eと一致しており、透光性被覆層4がサブマウント2の側面21に達していない場合だけでなく、図3Bに示すように、透光性被覆層4のサブマウント2との外側境界線Lbがサブマウント2の側面21上に位置している場合も含む。
透光性被覆層4に用いる材料は、通常は、成形型を用いずにサブマウント2上に半導体発光素子3を覆ってドーム状に盛り上げることのできる、硬化性材料を用いる。
硬化性材料とは、流動性を有する材料であって、何らかの硬化処理を施すことにより硬化する材料のことをいう。ここで、流動性を有するとは、通常、液状又はゲル状のことをいう。ただし、本発明においては、透光性被覆層4の形状を保持させる観点から、後述する超微粒子状シリカなどの無機粒子を含有し、チクソトロピック性を高めることが好ましいため、ゲル状、クリーム状、またはペースト状を呈するものが好ましい。
透光性被覆層4は、半導体発光素子3を保護し、かつ半導体発光素子3からの光を透過させる役割を担保するものであれば具体的な種類に制限は無いが、透光性被覆層4を構成する材料にかかわらず、下記に示す特性を有することが好ましい。
1)他の層との界面に、極性基を含有すること、
2)硬度が、ショアAで5以上100以下、または、ショアDで0以上85以下であること、および
3)シロキサン結合を有すること。
2)硬度が、ショアAで5以上100以下、または、ショアDで0以上85以下であること、および
3)シロキサン結合を有すること。
以下、これらの特性1)〜3)について説明する。
[3−1A]特性1):極性基
透光性被覆層4は、光・熱・物理的作用などで、サブマウント2や半導体発光素子3の間で剥離を生ずると、半導体発光装置の光維持率が低下する。従って、透光性被覆層4は、サブマウント2や半導体発光素子3と強く密着していることが重要である。
透光性被覆層4は、光・熱・物理的作用などで、サブマウント2や半導体発光素子3の間で剥離を生ずると、半導体発光装置の光維持率が低下する。従って、透光性被覆層4は、サブマウント2や半導体発光素子3と強く密着していることが重要である。
また、本発明の半導体発光装置1は、半導体発光素子3からの光をそのまま利用するものもあるが、半導体発光素子3からの光で励起される蛍光体と組み合わせて半導体発光素子3からの光を波長変換し、所望の波長領域の光を発するように構成されていてもよい。その場合は、透光性被覆層4の中に蛍光体を含有させることも考えられるが、透光性被覆層4を複数の層で構成し、その複数の層の少なくとも1つの層に蛍光体を含有させることも考えられる。あるいは、透光性被覆層4の外側をさらに別の層で覆うこともある。
このように、透光性被覆層4は、サブマウント2や半導体発光素子3との強固な密着性を担保する必要がある。また、透光性被覆層4を複数の層で構成する場合や透光性被覆層4の外側に他の層を形成する場合、各層が強く密着していることが重要である。そこで、透光性被覆層4は、隣接する層との界面に、極性基を含有することが好ましい。すなわち、透光性被覆層4は、隣接するサブマウント2、半導体発光素子3、および他の層との界面に極性基を有するよう、当該極性基を有する化合物を含有する。このような極性基の種類に制限は無いが、例えば、シラノール基、アミノ基及びその誘導基、アルコキシシリル基、カルボニル基、エポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基(−COH)、メタクリル基、シアノ基、スルホン基などが挙げられる。なお、透光性被覆層4は、いずれか1種の極性基のみを含有していてもよく、2種以上の極性基を任意の組み合わせ及び比率で含有していても良い。
このように、透光性被覆層4が隣接する他の層との界面に極性基を有することにより、サブマウント2、半導体発光素子3と強固に密着し、長時間の使用によっても剥離などの問題を抑制することができる。また、他の層を形成する場合は二層が強く密着し、重ね塗りによる積層が可能となる。
透光性被覆層4に含まれる極性基は、また、ポリフタルアミドなどの樹脂、セラミック又は金属の表面に存在する所定の官能基(例えば、水酸基、メタロキサン結合中の酸素など)と水素結合が可能であり、高い密着性を発現する。透光性被覆層4が形成されるサブマウント2や、さらにそのサブマウント2が搭載される実装基板(パッケージ)は、通常、樹脂、セラミック又は金属で形成されている。また、セラミックや金属の表面には、通常は水酸基が存在する。一方、透光性被覆層4は、通常、当該水酸基と水素結合可能な官能基を有している。したがって、水素結合により、透光性被覆層4は、サブマウント2や実装基板に対する密着性に優れている。
なお、透光性被覆層4における実質的な極性基の有無は、IR(赤外分光)分析及びNMR(核磁気共鳴)により確認することができる。
ところで、これらの極性基は、透光性被覆層4の中にはじめから含まれていても良く、プライマーの塗布や表面処理などにより透光性被覆層4の表面に後から付加されたものでもよい。したがって、この観点からいえば、透光性被覆層4およびそれに隣接する他の層の関係について具体例を挙げると、図9(a)〜(f)のような構成が挙げられる。ただし、透光性被覆層4およびそれに隣接する他の層の関係は、以下の具体例に限定されるものではない。
例えば図9(a)に模式的に示すように、積層された2層が共に、はじめから極性基を含有する層Sで形成されている構成が挙げられる。この場合、両層S、Sが含有する極性基により両層S、Sは良好に密着する。
また、例えば図9(b)に模式的に示すように、積層された2層のうち一方がはじめから極性基を含有する層Sであり、他方が、極性基を含有しない層Oで形成されている構成が挙げられる。この場合でも、層Sが含有する極性基により密着性は従来よりも向上する。
さらに、例えば図9(c)に模式的に示すように、積層された2層が共に、はじめは極性基を含有しない層Oで形成され、且つ、両層O,Oの間にプライマーPが塗布されている構成が挙げられる。この場合、プライマーPにより両層O,Oの表面には極性基が付与される。これにより、密着性が向上する。また、この場合、極性基を含む部分が2層の界面のみとなり、実質的に薄膜となるため、光や熱により着色しやすい極性基を導入しても、透光機能への影響が生じにくい。なお、層Oが特性2)及び特性3)を満たしている場合には、これらの層O、はプライマーPにより極性基を有することになるため、特性1)を有する層として機能することになる。
また、例えば図9(d)に模式的に示すように、積層された2層が共に、はじめから極性基を含有する層Sで形成され、且つ、両層S,Sの間にプライマーPが塗布されている構成が挙げられる。この場合、プライマーPにより両層S,Sの間の密着性が特に優れる。
さらに、例えば図9(e)に模式的に示すように、積層された2層のうち一方がはじめから極性基を含有する層Sであり、他方が、はじめは極性基を含有しない層Oで形成され、さらに、極性基を含有する層Sと含有しない層Oとの間にプライマーPが塗布されている構成が挙げられる。この場合、プライマーPにより層Sと層Oとの間の密着性は、図9(b)で説明した場合よりも向上する。なお、この場合においても、層Oが特性2)及び特性3)を満たしている場合には、その層Oは、プライマーPにより極性基を有することになるため、特性1)を有する層として機能することになる。
また、例えば図9(f)に模式的に示すように、はじめは極性基を含有しない層Oの上に、はじめから極性基を含有する層Sを積層し、層Sの成分の一部が層Oにしみ込んで密着性を補助している構成が挙げられる。このような成分のしみ込みは、上層である層Sの形成液が下層である層Oにしみ込むことにより行なわれる。
[3−1B]特性2):硬度測定値
硬度測定値は、本発明で用いる透光性被覆層4の硬度を評価する指標であり、以下の硬度測定方法により測定される。
硬度測定値は、本発明で用いる透光性被覆層4の硬度を評価する指標であり、以下の硬度測定方法により測定される。
本発明で用いる透光性被覆層4は、比較的硬度の低い部材、好ましくはエラストマー状を呈する部材であることが好ましい。すなわち、本発明では、サブマウント2および半導体発光素子3など、熱膨張係数の異なる複数種の部材を使用することになるが、透光性被覆層4が比較的低硬度であり、好ましくはエラストマー状を呈することにより、透光性被覆層4および当該透光性被覆層4を有する本発明の半導体発光装置1が上記の各部材の伸縮による応力を緩和することができる。したがって、使用中に剥離、クラック、断線などを起こしにくく、耐リフロー性および耐温度サイクル性に優れる半導体発光装置1を提供することができる。
具体的には、透光性被覆層4は、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が、5以上、好ましくは7以上、より好ましくは10以上、また、通常100以下、好ましくは80以下、より好ましくは70以下である。または、デュロメータタイプDによる硬度測定値(ショアD)が、0以上、また、通常85以下、好ましくは80以下、より好ましくは75以下である。上記範囲の硬度測定値を有することにより、透光性被覆層4および当該透光性被覆層4を有する本発明の半導体発光装置1は、クラックが発生しにくく、耐リフロー性および耐温度サイクル性に優れるという利点を得ることができる。また、透光性被覆層4を塗布する対象が例えばフレキシブル基板等の薄手の基板である場合には、透光性被覆層4の積層により硬化収縮応力がかかって基板および透光性被覆層4が反る可能性がある。このため、透光性被覆層4は、ショアAが5以上80以下のゴム弾性を有する材料で形成されていることが好ましい。
〔硬度測定方法〕
硬度測定値(ショアA)は、JIS K6253に記載の方法により測定することができる。具体的には、古里精機製作所製のA型ゴム硬度計を用いて測定を行なうことができる。
硬度測定値(ショアA)は、JIS K6253に記載の方法により測定することができる。具体的には、古里精機製作所製のA型ゴム硬度計を用いて測定を行なうことができる。
一方、硬度測定値(ショアD)は、JIS K6253に記載の方法により測定することができる。具体的には、古里精機製作所製のD型プラスチック硬度計を用いて測定を行なうことができる。
[3−1C]特性3):シロキサン結合
本発明の半導体発光装置において、透光性被覆層4は、シロキサン結合を含有することが好ましい。すなわち、透光性被覆層4は、シロキサン結合を有する化合物を含んで形成されていることが好ましい。
本発明の半導体発光装置において、透光性被覆層4は、シロキサン結合を含有することが好ましい。すなわち、透光性被覆層4は、シロキサン結合を有する化合物を含んで形成されていることが好ましい。
シロキサン結合を有する化合物としては、後述のケイ素含有化合物などが挙げられる。
以上、透光性被覆層4の望ましい特性について述べたが、これらの特性を得るうえで好適に用いられるのは上述の硬化性材料である。また、透光性被覆層4を形成するにあたって、上述の硬化性材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。硬化性材料としては、無機系材料及び有機系材料並びに両者の混合物のいずれを用いることも可能である。
無機系材料としては、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液、またはこれらの組み合わせを固化した無機系材料(例えばシロキサン結合を有する無機系材料)等を挙げることができる。
一方、有機系材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体例を挙げると、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。
従来、半導体発光装置用の蛍光体分散材料としては、一般的にエポキシ樹脂が用いられてきたが、本発明におけるように、大出力の大型発光素子を用いる場合、特に、半導体発光素子3からの発光に対して劣化が少なく、耐熱性にも優れるケイ素含有化合物を使用することが好ましい。
ケイ素含有化合物とは分子中にケイ素原子を有する化合物をいい、ポリオルガノシロキサン等の有機材料(シリコーン系材料)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機材料、及びホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩等のガラス材料を挙げることができる。中でも、透明性、接着性、ハンドリングの容易さや、硬化物が応力緩和力を有する点から、シリコーン系材料が好ましい。半導体発光装置用のシリコーン樹脂に関しては例えば特開平10−228249号公報や特許2927279号公報、特開2001−36147号公報などで封止剤への使用、特開2000−123981号公報において波長調整コーティングへの使用が試みられている。
[3−2−1]シリコーン系材料
シリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば、下記の一般組成式(1)で表わされる化合物及び/又はそれらの混合物が挙げられる。
(R1R2R3SiO1/2)M(R4R5SiO2/2)D(R6SiO3/2)T(SiO4/2)Q・・・式(1)
シリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば、下記の一般組成式(1)で表わされる化合物及び/又はそれらの混合物が挙げられる。
(R1R2R3SiO1/2)M(R4R5SiO2/2)D(R6SiO3/2)T(SiO4/2)Q・・・式(1)
一般組成式(1)において、R1からR6は、有機官能基、水酸基及び水素原子よりなる群から選択されるものを表わす。なお、R1からR6は、同じであってもよく、異なってもよい。
また、一般組成式(1)において、M、D、T及びQは、0以上1未満の数を表わす。ただし、M+D+T+Q=1を満足する数である。
なお、シリコーン系材料を硬化性材料として用いる場合、その塗設に際しては、液状のシリコーン系材料を用いて半導体発光素子3を被覆した後、熱や光によって硬化させればよい。
[3−2−2]シリコーン系材料の種類
シリコーン系材料を硬化のメカニズムにより分類すると、通常、付加重合硬化タイプ、縮重合硬化タイプ、紫外線硬化タイプ、パーオキサイド架硫タイプなどのシリコーン系材料を挙げることができる。これらの中では、付加重合硬化タイプ(付加型シリコーン樹脂)、縮合硬化タイプ(縮合型シリコーン樹脂)、紫外線硬化タイプが好適である。以下、付加型シリコーン系材料、及び縮合型シリコーン系材料について説明する。
シリコーン系材料を硬化のメカニズムにより分類すると、通常、付加重合硬化タイプ、縮重合硬化タイプ、紫外線硬化タイプ、パーオキサイド架硫タイプなどのシリコーン系材料を挙げることができる。これらの中では、付加重合硬化タイプ(付加型シリコーン樹脂)、縮合硬化タイプ(縮合型シリコーン樹脂)、紫外線硬化タイプが好適である。以下、付加型シリコーン系材料、及び縮合型シリコーン系材料について説明する。
[3−2−2−1]付加型シリコーン系材料
付加型シリコーン系材料とは、ポリオルガノシロキサン鎖が、有機付加結合により架橋されたものをいう。代表的なものとしては、例えばビニルシランとヒドロシランとをPt触媒などの付加型触媒の存在下反応させて得られる、Si−C−C−Si結合を架橋点に有する化合物等を挙げることができる。これらは市販のものを使用することができ、例えば付加重合硬化タイプの具体的商品名としては信越化学工業社製「LPS−1400」「LPS−2410」「LPS−3400」等が挙げられる。
付加型シリコーン系材料とは、ポリオルガノシロキサン鎖が、有機付加結合により架橋されたものをいう。代表的なものとしては、例えばビニルシランとヒドロシランとをPt触媒などの付加型触媒の存在下反応させて得られる、Si−C−C−Si結合を架橋点に有する化合物等を挙げることができる。これらは市販のものを使用することができ、例えば付加重合硬化タイプの具体的商品名としては信越化学工業社製「LPS−1400」「LPS−2410」「LPS−3400」等が挙げられる。
上記付加型シリコーン系材料は、具体的には、例えば下記平均組成式(1a)で表されるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と下記平均組成式(2a)で表されるヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン(B)を(A)の総アルケニル基に対して(B)の総ヒドロシリル基量が0.5〜2.0倍となる量比で混合し、触媒量の付加反応触媒(C)の存在下反応させて得ることが出来る。
(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
RnSiO〔(4-n)/2〕 (1a)
(但し、式中Rは同一又は異種の置換又は非置換の1価炭化水素基、アルコキシ基、又は水酸基で、nは1≦n<2を満たす正数である。)で示される1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。
(B)ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサン
R’aHbSiO〔(4-a-b)/2〕 (2a)
(但し式中R’は脂肪族不飽和炭化水素基を除く同一又は異種の置換又は非置換の1価炭化水素基、a、bは0.7≦a≦2.1、0.001≦b≦1.0かつ、0.8≦a+b≦2.6を満たす正数である。)で示される1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
(C)付加反応触媒
RnSiO〔(4-n)/2〕 (1a)
(但し、式中Rは同一又は異種の置換又は非置換の1価炭化水素基、アルコキシ基、又は水酸基で、nは1≦n<2を満たす正数である。)で示される1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。
(B)ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサン
R’aHbSiO〔(4-a-b)/2〕 (2a)
(但し式中R’は脂肪族不飽和炭化水素基を除く同一又は異種の置換又は非置換の1価炭化水素基、a、bは0.7≦a≦2.1、0.001≦b≦1.0かつ、0.8≦a+b≦2.6を満たす正数である。)で示される1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
(C)付加反応触媒
付加型シリコーン系材料には、上記(A)〜(C)成分に加え、任意成分として硬化性、ポットライフを与えるために付加反応制御剤、硬度・粘度を調節するために例えばアルケニル基を有する直鎖状のジオルガノポリシロキサンの他にも直鎖状の非反応性オルガノポリシロキサン、ケイ素原子数が2〜10個程度の直鎖状又は環状の低分子オルガノポリシロキサンなどを本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
なお、上記組成物の硬化条件は特に制限されないが、120〜180℃、30〜180分の条件とすることが好ましい。得られる硬化物が硬化後にも柔らかいゲル状である場合には、ゴム状や硬質プラスチック状のシリコーン樹脂と比較して線膨張係数大きいため、室温付近の低温にて10〜30時間硬化することにより内部応力の発生を抑制することができる。
付加型シリコーン系材料は公知のものを使用することができ、さらには金属やセラミックスへの密着性を向上させる添加剤や有機基を導入しても良い。例えば、特許3909826号公報、特許3910080号公報、特開2003−128922号公報、特開2004−221308号公報、特開2004−186168号公報に記載のシリコーン材料が好適である。
[3−2−2−2]縮合型シリコーン系材料
縮合型シリコーン系材料とは、例えば、アルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合で得られるSi−O−Si結合を架橋点に有する化合物を挙げることができる。具体的には、下記一般式(2)及び/又は(3)で表わされる化合物、及び/又はそのオリゴマーを加水分解・重縮合して得られる重縮合物が挙げられる。
縮合型シリコーン系材料とは、例えば、アルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合で得られるSi−O−Si結合を架橋点に有する化合物を挙げることができる。具体的には、下記一般式(2)及び/又は(3)で表わされる化合物、及び/又はそのオリゴマーを加水分解・重縮合して得られる重縮合物が挙げられる。
Mm+XnY1 m-n (2)
(式(2)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Y1は、1価の有機基を表わし、mは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、nは、X基の数を表わす1以上の整数を表わす。但し、m≧nである。)
(Ms+XtY1 s-t-1)uY2 (3)
(式(3)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Y1は、1価の有機基を表わし、Y2は、u価の有機基を表わし、sは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、tは、1以上、s−1以下の整数を表わし、uは、2以上の整数を表わす。)
(式(2)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Y1は、1価の有機基を表わし、mは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、nは、X基の数を表わす1以上の整数を表わす。但し、m≧nである。)
(Ms+XtY1 s-t-1)uY2 (3)
(式(3)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Y1は、1価の有機基を表わし、Y2は、u価の有機基を表わし、sは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、tは、1以上、s−1以下の整数を表わし、uは、2以上の整数を表わす。)
また、縮合型シリコーン系材料には、硬化触媒を含有させておいても良い。硬化触媒としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができ、例えば、金属キレート化合物などを好適に用いることができる。金属キレート化合物は、アルミニウム、ジルコニウム、スズ、亜鉛、チタン、ハフニウム及びタンタルからなる群より選ばれるいずれか1以上を含むものが好ましく、Zrを含むものがさらに好ましい。なお、硬化触媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
このような縮合型シリコーン系材料としては、例えば、特開2006−77234号公報、特開2006−291018号公報、特開2006−316264号公報、特開2006−336010号公報、特開2006−348284号公報、および国際公開2006/090804号パンフレットに記載の半導体発光デバイス用部材が好適である。
本発明に係る硬化性材料として好適なシリコーン系材料は、シラノール含有率が、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下、更に好ましくは5重量%以下の範囲である。シラノール含有率を低くすることにより、シラノール系材料は経時変化が少なく、長期の性能安定性に優れ、吸湿・透湿性何れも低い優れた性能を有する。但し、シラノールが全く含まれない部材は密着性に劣るため、シラノール含有率に上記のごとく最適な範囲が存在する。
シリコーン系材料のシラノール含有率は、例えば、前記の[固体Si−NMRスペクトル測定]の項で説明した方法を用いて固体Si−NMRスペクトル測定を行ない、全ピーク面積に対するシラノール由来のピーク面積の比率より、全ケイ素原子中のシラノールとなっているケイ素原子の比率(%)を求め、別に分析したケイ素含有率と比較することにより算出することができる。
また、本発明に係る硬化性材料として好適なシリコーン系材料は、適当量のシラノールを含有しているため、発光素子やパッケージの表面に存在する極性部分にシラノールが水素結合し、密着性が発現する。極性部分としては、例えば、水酸基やメタロキサン結合の酸素等が挙げられる。
さらに、本発明に係る硬化性材料として好適なシリコーン系材料は、適切な触媒の存在下で加熱することにより、発光素子やパッケージの表面の水酸基との間に脱水縮合による共有結合を形成し、更に強固な密着性を発現することができる。
一方、シラノールが多過ぎると、系内が増粘して塗布が困難になったり、活性が高くなり加熱により軽沸分が揮発する前に固化したりすることによって、発泡や内部応力の増大が生じ、クラックなどを誘起する場合がある。
[3−2−3]ガラス材料
本発明において透光性被覆層4にガラス材料を用いる場合、粉砕ガラスを溶融、硬化することにより製造することができる。
本発明において透光性被覆層4にガラス材料を用いる場合、粉砕ガラスを溶融、硬化することにより製造することができる。
ガラス材料としては、屈伏点が通常700℃以下、好ましくは600℃以下、更に好ましくは500℃以下であり、通常200℃以上、好ましくは250℃以上である。屈伏点が大きすぎると焼結する際に高温になり過ぎ、半導体発光素子の劣化を招く恐れがある。また、蛍光体を混ぜて用いる場合に、蛍光体の劣化あるいは、蛍光体とガラス組成物との反応により蛍光体の発光特性の低下が起こる場合がある。屈伏点が小さすぎると被覆の安定性が低下し、製品の使用時に軟化するという不具合を生じる場合がある。
本発明に用いられるガラスの炭素成分は通常100ppm以下、好ましくは60ppm以下、更に好ましくは30ppm以下、特に好ましくは10ppm以下である。炭素成分が多すぎると無色透明性を十分担保できなくなるおそれがあるため、炭素成分は少ない程好ましい。炭素成分を減少させる方法としては、予め溶融、硬化、粉砕工程を経て得られたガラスを用いる方法が好ましい。
本発明に用いられるガラスとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびZnから選択される1以上を含有するガラス組成物(以下、単に「ガラス組成物」と称する。)が好ましい。好ましくは下記(I)および(II)の化合物を含有する。
(I)SiO2、B2O3、P2O5、GeO2、TeO2、Al2O3、Ga2O3、およびBi2O3から選択される1以上を含む、Zachariasenによるガラス形成酸化物。
(II)アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、およびZnから選択される1以上を含む網目修飾酸化物。
(I)SiO2、B2O3、P2O5、GeO2、TeO2、Al2O3、Ga2O3、およびBi2O3から選択される1以上を含む、Zachariasenによるガラス形成酸化物。
(II)アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、およびZnから選択される1以上を含む網目修飾酸化物。
前記(I)成分における「Zachariasenによるガラス形成酸化物」とは、非特許文献W.H. Zachariasen, J. Am. Chem. Soc. , 54, 3841−3851(1932)において提唱された概念である、ガラスの基本骨格であるガラス形成酸化物をいう。これらの中では、SiO2、B2O3、P2O5、Al2O3を含むガラス形成酸化物が好ましく、Al2O3、SiO2、P2O5を含むガラス形成酸化物が特に好ましく、Al2O3、P2O5をともに含むものが最も好ましい。
前記(I)成分の配合量は、ガラス組成物全体に対して、通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは33重量%以上であり、通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下である。前記(I)成分の配合量が少なすぎると機械的強度が低下したり、耐水性が劣ったりする場合がある、多すぎると、屈伏点が高くなる場合がある。
また、本発明において、(II)アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、およびZnから選択される1以上を含む網目修飾酸化物とは、屈伏点を低下させたり、耐久性を向上させたりするはたらきがある。これらの中ではBaO、SrO、ZnO、Li2O、Na2O、K2O、MgOを含む網目修飾酸化物が好ましく、Li2O、Na2O、K2O、ZnO、CaOを含む網目修飾酸化物が特に好ましい。
前記(II)成分の配合量は、ガラス組成物全体に対して、通常10重量%以上、好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは67重量%以下である。前記(II)成分の配合量が多すぎると耐久性が低下する場合があり、少なすぎると、屈伏点が高くなる場合がある。
(I)および(II)の組み合わせとしては、例えばP2O5を含むガラス形成酸化物およびNa2Oを含む網目修飾酸化物の組み合わせを挙げることができる。
また、(I)および(II)の重量比としては、通常90:10〜20:80好ましくは80:20〜20:80である。
[3−2−4]その他の成分
硬化性材料には、本発明の効果を著しく損なわない限り、上記の無機系材料及び/又は有機系材料などに、更にその他の成分を混合して用いることも可能である。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
硬化性材料には、本発明の効果を著しく損なわない限り、上記の無機系材料及び/又は有機系材料などに、更にその他の成分を混合して用いることも可能である。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[3−2−5]無機粒子
硬化性材料には、光学的特性や作業性を向上させるため、また、以下の〔1〕〜〔5〕の何れかの効果を得ることを目的として、更に無機粒子を含有させても良い。なお、無機粒子は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
〔1〕硬化性材料に無機粒子を光散乱剤として含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層を散乱層とする。これにより、光源から伝送された光を散乱層において散乱させることができ、導光部材から外部に放射される光の指向角を広げることが可能となる。また、特に蛍光体を含まない透光性被覆層4に光散乱剤を含有させることで、その外側に蛍光体を含有する層を配置した場合に発光素子からの照射が緩和されるので、蛍光体の劣化を抑制することができる。
〔2〕硬化性材料に無機粒子を結合剤として含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層においてクラックの発生を防止することができる。
〔3〕硬化性材料に無機粒子を粘度調整剤として含有させることにより、当該硬化性材料の粘度を高くすることができる。
〔4〕硬化性材料に無機粒子を含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層の収縮を低減することができる。
〔5〕硬化性材料に無機粒子を含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層の屈折率を調整して、光取り出し効率を向上させることができる。
硬化性材料には、光学的特性や作業性を向上させるため、また、以下の〔1〕〜〔5〕の何れかの効果を得ることを目的として、更に無機粒子を含有させても良い。なお、無機粒子は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
〔1〕硬化性材料に無機粒子を光散乱剤として含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層を散乱層とする。これにより、光源から伝送された光を散乱層において散乱させることができ、導光部材から外部に放射される光の指向角を広げることが可能となる。また、特に蛍光体を含まない透光性被覆層4に光散乱剤を含有させることで、その外側に蛍光体を含有する層を配置した場合に発光素子からの照射が緩和されるので、蛍光体の劣化を抑制することができる。
〔2〕硬化性材料に無機粒子を結合剤として含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層においてクラックの発生を防止することができる。
〔3〕硬化性材料に無機粒子を粘度調整剤として含有させることにより、当該硬化性材料の粘度を高くすることができる。
〔4〕硬化性材料に無機粒子を含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層の収縮を低減することができる。
〔5〕硬化性材料に無機粒子を含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層の屈折率を調整して、光取り出し効率を向上させることができる。
ただし、硬化性材料に無機粒子を含有させる場合、その無機粒子の種類及び量によって得られる効果が異なる。
例えば、無機粒子が粒径約10nmの超微粒子状シリカ、ヒュームドシリカ(乾式シリカ。例えば、「日本アエロジル株式会社製、商品名:AEROSIL#200」、「トクヤマ社製、商品名:レオロシール」等)の場合、硬化性材料のチクソトロピック性が増大するため、上記〔3〕の効果が大きい。
また、例えば、無機粒子が粒径約数μmの破砕シリカ若しくは真球状シリカの場合、チクソトロピック性の増加はほとんど無く、当該無機粒子を含む層の骨材としての働きが中心となるので、上記〔2〕及び〔4〕の効果が大きい。
また、例えば、硬化性材料に用いられる他の化合物(前記の無機系材料及び/又は有機系材料など)とは屈折率が異なる粒径約1μmの無機粒子を用いると、前記化合物と無機粒子との界面における光散乱が大きくなるので、上記〔1〕の効果が大きい。
また、例えば、硬化性材料に用いられる他の化合物より屈折率の大きな、中央粒径が通常1nm以上、好ましくは3nm以上、また、通常10nm以下、好ましくは5nm以下、具体的には発光波長以下の粒径をもつ無機粒子を用いると、当該無機粒子を含む層の透明性を保ったまま屈折率を向上させることができるので、上記〔5〕の効果が大きい。
従って、混合する無機粒子の種類は目的に応じて選択すれば良い。また、その種類は単一でも良く、複数種を組み合わせてもよい。また、分散性を改善するためにシランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理されていても良い。
本発明においては、透光性被覆層の形状を保持させる観点から、チクソトロピック性を高めることが好ましいため、粒径約10nmの超微粒子状シリカ、ヒュームドシリカを含有することが好ましい。
[3−2−5−1]無機粒子の種類
使用する無機粒子の種類としては、例えば、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウムなどの無機酸化物粒子やダイヤモンド粒子が挙げられるが、目的に応じて他の物質を選択することもでき、これらに限定されるものではない。
使用する無機粒子の種類としては、例えば、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウムなどの無機酸化物粒子やダイヤモンド粒子が挙げられるが、目的に応じて他の物質を選択することもでき、これらに限定されるものではない。
無機粒子の形態は粉体状、スラリー状等、目的に応じいかなる形態でもよいが、透明性を保つ必要がある場合は、当該無機粒子を含有させる層に含有されるその他の材料と屈折率を同等としたり、水系・溶媒系の透明ゾルとして硬化性材料に加えたりすることが好ましい。
[3−2−5−2]無機粒子の中央粒径
これらの無機粒子(一次粒子)の中央粒径は特に限定されないが、通常、蛍光体粒子の1/10以下程度である。具体的には、目的に応じて以下の中央粒径のものが用いられる。例えば、無機粒子を光散乱材として用いるのであれば、その中央粒径は通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは20μm以下である。また、例えば、無機粒子を骨材として用いるのであれば、その中央粒径は1μm〜10μmが好適である。また、例えば、無機粒子を増粘剤(チクソ剤)として用いるのであれば、その中央粒径は10〜100nmが好適である。また、例えば、無機粒子を屈折率調整剤として用いるのであれば、その中央粒径は1〜10nmが好適である。
これらの無機粒子(一次粒子)の中央粒径は特に限定されないが、通常、蛍光体粒子の1/10以下程度である。具体的には、目的に応じて以下の中央粒径のものが用いられる。例えば、無機粒子を光散乱材として用いるのであれば、その中央粒径は通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは20μm以下である。また、例えば、無機粒子を骨材として用いるのであれば、その中央粒径は1μm〜10μmが好適である。また、例えば、無機粒子を増粘剤(チクソ剤)として用いるのであれば、その中央粒径は10〜100nmが好適である。また、例えば、無機粒子を屈折率調整剤として用いるのであれば、その中央粒径は1〜10nmが好適である。
[3−2−5−3]無機粒子の混合方法
無機粒子を混合する方法は特に制限されない。通常は、蛍光体と同様に遊星攪拌ミキサー等を用いて脱泡しつつ混合することが推奨される。例えばアエロジルのような凝集しやすい小粒子を混合する場合には、粒子混合後必要に応じビーズミルや三本ロールなどを用いて凝集粒子の解砕を行なってから蛍光体等の混合容易な大粒子成分を混合しても良い。
無機粒子を混合する方法は特に制限されない。通常は、蛍光体と同様に遊星攪拌ミキサー等を用いて脱泡しつつ混合することが推奨される。例えばアエロジルのような凝集しやすい小粒子を混合する場合には、粒子混合後必要に応じビーズミルや三本ロールなどを用いて凝集粒子の解砕を行なってから蛍光体等の混合容易な大粒子成分を混合しても良い。
[3−2−5−4]無機粒子の含有率
硬化性材料中における無機粒子の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、その適用形態により自由に選定できる。ただし、当該無機粒子を含有する層における無機粒子の含有率は、その適用形態により選定することが好ましい。例えば、無機粒子を光散乱剤として用いる場合は、その層内における含有率は0.01〜10重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を骨材として用いる場合は、その層内における含有率は1〜50重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を屈折率調整剤として用いる場合は、その層内における含有率は10〜80重量%が好適である。無機粒子の量が少なすぎると所望の効果が得られなくなる可能性があり、多すぎると硬化物の密着性、透明性、硬度等の諸特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
硬化性材料中における無機粒子の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、その適用形態により自由に選定できる。ただし、当該無機粒子を含有する層における無機粒子の含有率は、その適用形態により選定することが好ましい。例えば、無機粒子を光散乱剤として用いる場合は、その層内における含有率は0.01〜10重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を骨材として用いる場合は、その層内における含有率は1〜50重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を屈折率調整剤として用いる場合は、その層内における含有率は10〜80重量%が好適である。無機粒子の量が少なすぎると所望の効果が得られなくなる可能性があり、多すぎると硬化物の密着性、透明性、硬度等の諸特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明においては、前述の通り、透光性被覆層の形状を保持させる観点から、チクソトロピック性を制御することが好ましい。超微粒子状シリカ、ヒュームドシリカの含有量は、含有させる前の硬化性材料の粘度との関係で適宜調節することにより設定されるが、硬化性材料全体に対して、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上であり、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。超微粒子状シリカ、ヒュームドシリカの含有量が多すぎると、粘度が高くなり過ぎるため、透光性被覆層4の形状の制御が困難になる。
また、硬化性材料における無機粒子の含有率は、各層における無機粒子の含有率が前記範囲に収まるように設定すればよい。したがって、硬化性材料が乾燥工程において重量変化しない場合は硬化性材料における無機粒子の含有率は形成される各層における無機粒子の含有率と同様になる。また、硬化性材料が溶媒等を含有している場合など、当該硬化性材料が乾燥工程において重量変化する場合は、その溶媒等を除いた硬化性材料における無機粒子の含有率が、形成される各層における無機粒子の含有率と同様になるようにすればよい。
さらに、硬化性材料として前記のアルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合物を用いる場合には、当該加水分解・重縮合物はエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの他の硬化性材料と比較して低粘度であり、かつ蛍光体や無機粒子とのなじみが良く、高濃度の無機粒子を分散しても十分に塗布性能を維持することが出来る利点を有する。また、必要に応じて重合度の調整やアエロジル等のチクソ材を含有させることにより高粘度にすることも可能であり、目的の無機粒子含有量に応じた粘度の調整幅が大きく、塗布対象物の種類や形状さらにはポッティング、スピンコート、印刷などの各種塗布方法に柔軟に対応できる塗布液を提供することが出来る。
上述の観点から、硬化性材料の物性は、下記の物性規定試験で測定される最大高さ/接触線幅が0.0015以上であることが好ましい。
<物性規定試験>
(手順1)ガラス平滑面に、内径1.52mmのニードルからその内径と同じ太さになるように硬化性材料(透光性被覆材)にて直線を描画する。
(手順2)前記(手順1)の直後に硬化性材料を硬化させる。
(手順3)硬化後のガラスに接触している硬化性材料の線幅とガラス面からの最大高さを測定し、その比(最大高さ/接触線幅)を算出する。
<物性規定試験>
(手順1)ガラス平滑面に、内径1.52mmのニードルからその内径と同じ太さになるように硬化性材料(透光性被覆材)にて直線を描画する。
(手順2)前記(手順1)の直後に硬化性材料を硬化させる。
(手順3)硬化後のガラスに接触している硬化性材料の線幅とガラス面からの最大高さを測定し、その比(最大高さ/接触線幅)を算出する。
最大高さ/接触線幅は、より好ましくは0.005以上、さらに好ましくは0.01以上である。また、最大高さ/接触線幅は、好ましくは70以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である。最大高さ/接触線幅が小さすぎると、レベリングし過ぎて硬化性材料をドーム状に盛ることが困難になる。逆に、最大高さ/接触線幅が大き過ぎると、レベリングし難く、硬化性材料を塗布した際にできる角が残り、硬化後にきれいなドーム状とならないことがある。
なお、(手順2)において、硬化性材料の硬化条件は材料により異なるが、速やかに完全に硬化させることが好ましい。例えば熱硬化性のシリコーン系材料の場合は、150℃の通風オーブンで1時間保持するなどの条件により硬化させる。
また、硬化性材料が熱硬化性のシリコーン系材料の場合は、下記の粘度測定条件にて粘度を測定しながら硬化させた際の粘度ηの逆数の積分値が0.001以上、50000以下となるような物性を有していることも好ましい。
<粘度測定条件>
直径25mmで傾斜角1度のコーンプレートを使用するレオメーターにおいて、せん断速度1(1/s)にて、25℃から145℃まで5℃/分で昇温し、その後145℃にて1時間保持した場合の粘度ηをプロファイルする。
直径25mmで傾斜角1度のコーンプレートを使用するレオメーターにおいて、せん断速度1(1/s)にて、25℃から145℃まで5℃/分で昇温し、その後145℃にて1時間保持した場合の粘度ηをプロファイルする。
透光性被覆層4が所望のドーム形状を保つためには、硬化性材料が硬化(加熱)の過程でレベリングして角や凹みがなくなるほど粘度の低い材料である必要がある。一方、軟化等により粘度が下がって液が周囲に広がってしまわない程度に粘度(チキソ性)が高い材料である必要もある。
非揮発系材料のレベリングの理論としては、Orchardの理論が最も一般的に使用されており、その理論式は以下の通りである。
シリコーン系材料を想定した場合には、表面張力は材料間で大きな差が無いと推定されるので、その場合にもっとも影響が大きいのは必然的にηの値となる。
さらに、硬化の過程における
が直接的にレベリングの度合いa/a0に影響を及ぼすことがわかるので、所望の形状の透光性被覆層4を作成するためには、「粘度の逆数の積分値」が上記範囲内におさまることが好ましい条件となる。粘度ηの逆数の積分値は、より好ましくは10000以下、特に好ましくは1000以下である。また、粘度ηの逆数の積分値は、より好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.1以上である。
粘度ηの逆数の積分値が大きすぎると、レベリングし過ぎて硬化性材料をドーム状に盛ることが困難になる。その逆に、粘度ηの逆数の積分値が小さ過ぎると、レベリングし難く、硬化性材料を塗布した際にできる角が残り、硬化後にきれいなドーム状とならないことがある。
[3−3]蛍光体
透光性被覆層4には蛍光体を含有させることができる。
透光性被覆層4には蛍光体を含有させることができる。
本発明の半導体発光装置に用いられる蛍光体は、紫外線〜青色光により励起される赤色、黄色、緑色、および青色蛍光体が挙げられる。
蛍光体の組成には特に制限はないが、結晶母体であるY2O3、Zn2SiO4等に代表される金属酸化物、Ca5(PO4)3Cl等に代表されるリン酸塩及びZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物に、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属のイオンやAg、Cu、Au、Al、Mn、Sb等の金属のイオンを付活剤または共付活剤として組み合わせたものが好ましい。
結晶母体の好ましい例としては、例えば、(Zn,Cd)S、SrGa2S4、SrS、ZnS等の硫化物、Y2O2S等の酸硫化物、(Y,Gd)3Al5O12、YAlO3、BaMgAl10O17、(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al10O17、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al10O17、BaAl12O19、CeMgAl11O19、(Ba,Sr,Mg)O・Al2O3、BaAl2Si2O8、SrAl2O4、Sr4Al14O25、Y3Al5O12等のアルミン酸塩、Y2SiO5、Zn2SiO4等の珪酸塩、SnO2、Y2O3等の酸化物、GdMgB5O10、(Y,Gd)BO3等の硼酸塩、Ca10(PO4)6(F,Cl)2、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2等のハロリン酸塩、Sr2P2O7、(La,Ce)PO4等のリン酸塩等を挙げることができる。
ただし、上記の結晶母体及び付活剤または共付活剤は、元素組成には特に制限はなく、同族の元素と一部置き換えることもでき、得られた蛍光体は近紫外から可視領域の光を吸収して可視光を発するものであれば用いることが可能である。
[3−3−1]蛍光体の含有率
硬化性材料中における蛍光体の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、その適用形態により自由に選定できる。ただし、透光性被覆層4中の蛍光体総量として、通常15重量%以上、好ましくは18重量%以上、より好ましくは20重量%以上、また、通常30重量%以下、好ましくは28重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。また、流体状の硬化性材料における蛍光体の含有率は、透光性被覆層4における蛍光体の含有率が前記範囲に収まるように設定すればよい。したがって、流体状の硬化性材料が硬化性材料硬化工程において重量変化しない場合は硬化性材料における蛍光体の含有率は透光性被覆層4における蛍光体の含有率と同様になる。また、流体状の硬化性材料が溶媒等を含有している場合など、硬化性材料が硬化性材料硬化工程において重量変化する場合は、その溶媒等を除いた硬化性材料における蛍光体の含有率が透光性被覆層4における蛍光体の含有率と同様になるようにすればよい。
硬化性材料中における蛍光体の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、その適用形態により自由に選定できる。ただし、透光性被覆層4中の蛍光体総量として、通常15重量%以上、好ましくは18重量%以上、より好ましくは20重量%以上、また、通常30重量%以下、好ましくは28重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。また、流体状の硬化性材料における蛍光体の含有率は、透光性被覆層4における蛍光体の含有率が前記範囲に収まるように設定すればよい。したがって、流体状の硬化性材料が硬化性材料硬化工程において重量変化しない場合は硬化性材料における蛍光体の含有率は透光性被覆層4における蛍光体の含有率と同様になる。また、流体状の硬化性材料が溶媒等を含有している場合など、硬化性材料が硬化性材料硬化工程において重量変化する場合は、その溶媒等を除いた硬化性材料における蛍光体の含有率が透光性被覆層4における蛍光体の含有率と同様になるようにすればよい。
ただし、前記の蛍光体の含有率は、特に白色の光を得る場合に好適なものである。したがって、具体的な蛍光体含有率は目的色、蛍光体の発光効率、混色形式、蛍光体比重、塗布膜厚、光学部材の形状により多様であり、この限りではない。
[3−3―2]層構造
透光性被覆層4が蛍光体を含有する場合、透光性被覆層4は単層であってもよいし、青色蛍光体を含有することによって青色に発光する蛍光層(第1の蛍光層)と、青色蛍光体以外の蛍光体(すなわち、黄色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体の少なくとも1種)を含有することによって青色以外の色に発光する蛍光層(第2の蛍光層)と、の2層構造とすることもできる。青色蛍光体には、紫外から近紫外領域の光によって励起される蛍光体が用いられる。青色蛍光体以外の蛍光体には、青色光によって励起される蛍光体、または紫外から近紫外の領域の光によって励起される蛍光体が用いられる。
透光性被覆層4が蛍光体を含有する場合、透光性被覆層4は単層であってもよいし、青色蛍光体を含有することによって青色に発光する蛍光層(第1の蛍光層)と、青色蛍光体以外の蛍光体(すなわち、黄色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体の少なくとも1種)を含有することによって青色以外の色に発光する蛍光層(第2の蛍光層)と、の2層構造とすることもできる。青色蛍光体には、紫外から近紫外領域の光によって励起される蛍光体が用いられる。青色蛍光体以外の蛍光体には、青色光によって励起される蛍光体、または紫外から近紫外の領域の光によって励起される蛍光体が用いられる。
このように、透光性被覆層4を第1の蛍光層および第2の蛍光層の2層構造とすることで、半導体発光素子3側からより離れた蛍光層に含有される蛍光体の劣化をより抑制することができる。
半導体発光素子3側からの第1の蛍光層および第2の蛍光層の積層順は、第2の蛍光層が含有する蛍光体がどの波長領域で励起されるかに応じて適宜定めることができる。
第2の蛍光層に含有される蛍光体が青色光によって励起される場合は、第1の蛍光層および第2の蛍光層をこの順番に積層することが好ましい。これにより、第2の蛍光層に含有される蛍光体として、従来の青色光によって励起されて発光し青色光と混色することによって白色光を取り出す発光装置に用いられていた蛍光体を用いることができる。このような発光装置は、従来公知の青色発光素子の発光色と青励起の黄色蛍光体、もしくは青励起の赤・緑蛍光体の発光色を組み合わせて白色とする発光装置と比較して、発光装置の温度環境による色ずれが少なく安定した色度の白色光を提供することができる。これは青色発光素子の温度による発光波長や輝度の変化が大きく、発光素子からの透過光を直接利用し白色を得る発光装置にもこの影響が出るためである。本形態では、赤・緑・青の光は全て温度により発光波長変化しにくい蛍光体由来であり、温度変化により励起光の波長や輝度が多少変化しても色ずれが起きにくい。
一方、第2の蛍光層に含有される蛍光体が紫外から近紫外光によって励起される場合は、第2の蛍光層および第1の蛍光層をこの順番に積層することが好ましい。このように、第1および第2の蛍光層に含有される蛍光体は紫外から近紫外領域の光で励起されるものとし、かつ上記の順番で第1の蛍光層および第2の蛍光層を積層することで、半導体発光素子3から発せられる励起光の利用効率を向上させることができる。
紫外から近紫外光により励起されて緑色や赤色光を発する蛍光体は、通常青色領域にも吸収端を有し、紫外〜近紫外光により励起された青色光蛍光体の発する青色光を吸収してしまう。このため、青色蛍光体を半導体発光素子3の直近に配置して、白色光を発する半導体発光装置1を構成すると、青色光を緑色や赤色蛍光体が吸収し青色光成分が減少し、青色の蛍光体を余分に配合する必要が生じ、蛍光体の利用効率が低下する。そこで、青色蛍光体を半導体発光素子3から最も離れた位置に配置することにより、青色光の吸収が起きにくく、さらに青色蛍光体使用量も減るため、得られる白色光の輝度が高くなる。
透光性被覆層4を2層構造とする場合、半導体発光素子3に近い側の蛍光層に含有される蛍光体の粒径を、半導体発光素子3から離れた側の蛍光層に含有される蛍光体の粒径よりも小さくすることが好ましい。このように蛍光体の粒径を調整することで、半導体発光素子3から発せられた光を効率よく各蛍光層へ伝達することができる。その結果、各蛍光層に含有される蛍光体を効率よく励起させることができ、半導体発光装置1から取り出される光の輝度をより向上させることができる。なお、蛍光体の粒径は、中央粒径(D50)で規定することができる。
以下、各蛍光層に含有される蛍光体についてより詳しく説明する。
[3−3−2A]第1の蛍光層
第1の蛍光層に含有される青色蛍光体を励起可能な具体的な波長範囲は、通常350nm以上、好ましくは380nm以上、また、通常430nm以下、好ましくは420nm以下の波長範囲である。励起可能な波長が、上記範囲より長い場合は発光装置や照明装置が暗くなる虞があり、また、短い場合は蛍光体が励起し難くなる虞がある。
第1の蛍光層に含有される青色蛍光体を励起可能な具体的な波長範囲は、通常350nm以上、好ましくは380nm以上、また、通常430nm以下、好ましくは420nm以下の波長範囲である。励起可能な波長が、上記範囲より長い場合は発光装置や照明装置が暗くなる虞があり、また、短い場合は蛍光体が励起し難くなる虞がある。
かかる蛍光体として好ましくは、酸化物系蛍光体、塩化物系蛍光体等の青色系蛍光体を用いることができる。さらに好ましくは、Eu付活アルミン酸塩蛍光体、Eu付活シリケート系蛍光体、Eu付活アパタイト系蛍光体等が好適に用いられる。また、六方晶系の結晶構造を持つものが好適に用いられる。
特に好ましい蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr)MgAl10O17:Eu、Mx(Si,Al)12(N,O)16等が挙げられるが、特に(Ba,Sr)MgAl10O17:Euが好ましい。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
[3−3−2B]第2の蛍光層(青色光励起)
第2の蛍光層が青色光で励起される蛍光体を含有する場合、その蛍光体を励起可能な具体的な波長範囲は、通常430nm以上、好ましくは440nm以上であり、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下、特に好ましくは460nm以下の波長範囲である。励起可能な波長が、上記範囲より長い場合は発光装置や照明装置が暗くなる虞があり、また、短い場合は蛍光体が励起し難くなる虞がある。
第2の蛍光層が青色光で励起される蛍光体を含有する場合、その蛍光体を励起可能な具体的な波長範囲は、通常430nm以上、好ましくは440nm以上であり、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下、特に好ましくは460nm以下の波長範囲である。励起可能な波長が、上記範囲より長い場合は発光装置や照明装置が暗くなる虞があり、また、短い場合は蛍光体が励起し難くなる虞がある。
かかる蛍光体としては、以下に述べる赤色蛍光体、緑色蛍光体および黄色蛍光体を挙げることができる。
[3−3−2B−1]赤色蛍光体
赤色蛍光体としては、例えば、赤色破断面を有する破断粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Y,La,Gd,Lu)2O2S:Euで表わされるユウロピウム付活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体等が挙げられる。
赤色蛍光体としては、例えば、赤色破断面を有する破断粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Y,La,Gd,Lu)2O2S:Euで表わされるユウロピウム付活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体等が挙げられる。
さらに、特開2004−300247号公報に記載された、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、W、及びMoよりなる群から選ばれる少なくも1種の元素を含有する酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体であって、Al元素の一部又は全てがGa元素で置換されたアルファサイアロン構造をもつ酸窒化物を含有する蛍光体も用いることができる。なお、これらは酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体である。
[3−3−2B−2]緑色蛍光体
緑色蛍光体として、例えば、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)Si2O2N2:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Ba,Ca,Sr,Mg)2SiO4:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリケート系蛍光体等が挙げられる。
緑色蛍光体として、例えば、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)Si2O2N2:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Ba,Ca,Sr,Mg)2SiO4:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリケート系蛍光体等が挙げられる。
[3−3−2B−3]黄色蛍光体
黄色蛍光体としては、例えば、各種の酸化物系、窒化物系、酸窒化物系、硫化物系、酸硫化物系等の蛍光体が挙げられる。特に、RE3M5O12:Ce(ここで、REは、Y,Tb,Gd,Lu,Smの少なくとも1種類の元素を表わし、Mは、Al,Ga,Scの少なくとも1種類の元素を表わす。)やM2 3M3 2M4 3O12:Ce(ここで、M2は2価の金属元素、M3は3価の金属元素、M4は4価の金属元素)等で表わされるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体、AE2M5O4:Eu(ここで、AEは、Ba,Sr,Ca,Mg,Znの少なくとも1種類の元素を表わし、M5は、Si,Geの少なくとも1種類の元素を表わす。)等で表わされるオルソシリケート系蛍光体、これらの系の蛍光体の構成元素の酸素の一部を窒素で置換した酸窒化物系蛍光体、AEAlSiN3:Ce(ここで、AEは、Ba,Sr,Ca,Mg,Znの少なくとも1種類の元素を表わす。)等のCaAlSiN3構造を有する窒化物系蛍光体等のCeで付活した蛍光体などが挙げられる。
黄色蛍光体としては、例えば、各種の酸化物系、窒化物系、酸窒化物系、硫化物系、酸硫化物系等の蛍光体が挙げられる。特に、RE3M5O12:Ce(ここで、REは、Y,Tb,Gd,Lu,Smの少なくとも1種類の元素を表わし、Mは、Al,Ga,Scの少なくとも1種類の元素を表わす。)やM2 3M3 2M4 3O12:Ce(ここで、M2は2価の金属元素、M3は3価の金属元素、M4は4価の金属元素)等で表わされるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体、AE2M5O4:Eu(ここで、AEは、Ba,Sr,Ca,Mg,Znの少なくとも1種類の元素を表わし、M5は、Si,Geの少なくとも1種類の元素を表わす。)等で表わされるオルソシリケート系蛍光体、これらの系の蛍光体の構成元素の酸素の一部を窒素で置換した酸窒化物系蛍光体、AEAlSiN3:Ce(ここで、AEは、Ba,Sr,Ca,Mg,Znの少なくとも1種類の元素を表わす。)等のCaAlSiN3構造を有する窒化物系蛍光体等のCeで付活した蛍光体などが挙げられる。
[3−3−2C]第2の蛍光層(紫外光励起)
第2の蛍光層が、紫外から近紫外領域の光で励起される蛍光体を含む場合、その蛍光体を励起可能な具体的な波長範囲は、通常350nm以上、好ましくは380nm以上、また、通常430nm以下、好ましくは420nm以下の波長範囲である。励起可能な波長が、上記範囲より長い場合は発光装置や照明装置が暗くなる虞があり、また、短い場合は蛍光体が励起し難くなる虞がある。
第2の蛍光層が、紫外から近紫外領域の光で励起される蛍光体を含む場合、その蛍光体を励起可能な具体的な波長範囲は、通常350nm以上、好ましくは380nm以上、また、通常430nm以下、好ましくは420nm以下の波長範囲である。励起可能な波長が、上記範囲より長い場合は発光装置や照明装置が暗くなる虞があり、また、短い場合は蛍光体が励起し難くなる虞がある。
かかる蛍光体としては、前述の赤色蛍光体、緑色蛍光体および黄色蛍光体を挙げることができる。
上記の中で好ましい緑色蛍光体としては、例えば、酸化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、硫化物系蛍光体等の緑色系蛍光体を挙げることができる。さらに好ましくは、Eu付活シリケート系蛍光体、Ce付活ガーネット系蛍光体、Eu,Mn共付活アルミン酸塩蛍光体、Eu付活βサイアロン系蛍光体、Ce付活酸化スカンジウム系蛍光体、Eu付活オキシナイトライド系蛍光体等が好適に用いられる。また、立方晶系、斜方晶系または六方晶系の結晶構造を持つものが好適に用いられる。
特に好ましい緑色蛍光体としては、例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce、Ca3(Sc,Mg)2Si3O12:Ce、Mgを添加したCa3Sc2Si3O12:Ce、(Ca,Sr)Sc2O4:Ce、(Ca,Mg,Zn,Sr,Ba)Si2N2O2:Eu、Si6−zAlzOzN8−z:Eu等を挙げることができる。
特に、本発明においては、蛍光体の劣化抑制の効果が高いという点で、以下の蛍光体を好ましいものとして挙げることができる。
(i)(MI(1−γ)MII γ)αSiOβ:Euで表されるEu付活シリケート系蛍光体
(ここで、MIは、Ba、Ca、Sr、Zn及びMgからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、MIIは、2価及び3価の原子価を取りうる1種以上の金属元素を表わす。但し、MII全体に対する2価の元素のモル比が0.5以上、1以下である。γ、α及びβは各々、0.01≦γ<0.3、1.5≦α≦2.5、及び、3.5≦β≦4.5を満たす数を表わす。)その中でも、(Ba,Sr)2SiO4:Euが特に好ましい。
(ここで、MIは、Ba、Ca、Sr、Zn及びMgからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、MIIは、2価及び3価の原子価を取りうる1種以上の金属元素を表わす。但し、MII全体に対する2価の元素のモル比が0.5以上、1以下である。γ、α及びβは各々、0.01≦γ<0.3、1.5≦α≦2.5、及び、3.5≦β≦4.5を満たす数を表わす。)その中でも、(Ba,Sr)2SiO4:Euが特に好ましい。
(ii)M1xBayM2zLuOvNwで表される蛍光体
(ここで、M1はCr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1種類の付活元素を示し、M2はSr、Ca、Mg及びZnから選ばれる少なくとも1種類の二価の金属元素を示し、Lは周期律表第4族又は14族に属する金属元素から選ばれる金属元素を示し、x、y、z、u、v及びwは、それぞれ以下の範囲の数値である。
0.00001≦x≦3
0≦y≦2.99999
2.6≦x+y+z≦3
0<u≦11
6<v≦25
0<w≦17)
(ここで、M1はCr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1種類の付活元素を示し、M2はSr、Ca、Mg及びZnから選ばれる少なくとも1種類の二価の金属元素を示し、Lは周期律表第4族又は14族に属する金属元素から選ばれる金属元素を示し、x、y、z、u、v及びwは、それぞれ以下の範囲の数値である。
0.00001≦x≦3
0≦y≦2.99999
2.6≦x+y+z≦3
0<u≦11
6<v≦25
0<w≦17)
上記緑色蛍光体は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
また、上記の中で好ましい赤色蛍光体としては、窒化物系蛍光体、硫化物系蛍光体、酸硫化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体等の赤色系蛍光体を挙げることができる。さらに好ましくは、Eu付活シリコンナイトライド系蛍光体、Eu付活アルカリ土類金属硫化物系蛍光体、Eu付活αサイアロン系蛍光体、Eu付活希土類酸硫化物系蛍光体等が好適に用いられる。また、斜方晶系または六方晶系の結晶構造を持つものが好適に用いられる。
特に好ましい蛍光体としては、例えば、(Sr,Ca,Ba)2Si5N8:Eu、(Sr,Ca)S:Eu、La2O2S、M’ pSi12−(m+n)Al(m+n)OnN16−n:Eu(ただし、M’はCa、Sr及び/又はYを表し、0<p≦2、0<m≦6、0≦n≦3である。)等を挙げることができるが、特にM1 aM2 bM3 cM4 dNeOfで表される蛍光体が好ましい。ここで、0.00001≦a≦0.15、a+b=1、0.5≦c≦1.5、0.5≦d≦1.5、2.5≦e≦3.5、0≦f≦0.5である。また、M1は付活元素であり、Cr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbよりなる群から選ばれる1種以上の元素である。M2は2価の金属元素であり、M2の50モル%以上がCa及び/又はSrであることが好ましい。M3は3価の金属元素であり、M3の50モル%以上がAlであることが発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましいが、M3の80モル%以上をAlとするのが好ましく、90モル%以上をAlとするのがより好ましく、M3の全てをAlとするのが最も好ましい。M4は、少なくともSiを含む4価の金属元素であり、M4の50モル%以上がSiであることが好ましい。その中でも(Sr,Ca,Mg)AlSiN3:Euが特に好ましい。
上記赤色蛍光体は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
[3−3−3]各色蛍光体の好ましい組み合わせ
以上のように、透光性被覆層4は、単層構造の場合と2層構造の場合があり、さらに2層構造の場合には各層に異なる蛍光体を含有する。それぞれの場合に、各色蛍光体の好ましい組み合わせがある。以下に、各色蛍光体の好ましい組み合わせを例示する。
以上のように、透光性被覆層4は、単層構造の場合と2層構造の場合があり、さらに2層構造の場合には各層に異なる蛍光体を含有する。それぞれの場合に、各色蛍光体の好ましい組み合わせがある。以下に、各色蛍光体の好ましい組み合わせを例示する。
[3−3―3−1]単層構造の場合
透光性被覆層4が単層構造の場合は、紫外から近紫外領域の光で励起される、蛍光体含有層は青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体を含有することが好ましい。表1に、具体的な各色蛍光体の好ましい組み合わせを示す。
透光性被覆層4が単層構造の場合は、紫外から近紫外領域の光で励起される、蛍光体含有層は青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体を含有することが好ましい。表1に、具体的な各色蛍光体の好ましい組み合わせを示す。
表1では3色の蛍光体のみを含有する例を示したが、組み合わせ例1−1から1−6のそれぞれに、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mnで表される深赤色蛍光体を加えて4色の蛍光体の組み合わせとすることも好ましい。
[3−3―3−2]2層構造(第2の蛍光層が青色光励起)の場合
この層構造において白色光を取り出す場合、第2の蛍光層が含有する蛍光体の組み合わせとして好ましいのは、黄色蛍光体および赤色蛍光体の組み合わせ、または緑色蛍光体および赤色蛍光体の組み合わせである。
この層構造において白色光を取り出す場合、第2の蛍光層が含有する蛍光体の組み合わせとして好ましいのは、黄色蛍光体および赤色蛍光体の組み合わせ、または緑色蛍光体および赤色蛍光体の組み合わせである。
表2に、第2の蛍光層が黄色蛍光体および赤色蛍光体を含有する場合の、透光性被覆層4における具体的な各色蛍光体の好ましい組み合わせ例を示す。また、表3に、第2の蛍光層が緑色蛍光体および赤色蛍光体を含有する場合の、透光性被覆層4における具体的な各色蛍光体の好ましい組み合わせ例を示す。なお、表2および表3に示すのは、第1の蛍光層および第2の蛍光層をこの順番で積層した場合の好ましい組み合わせ例である。
表2では3色の蛍光体のみを含有する例を示したが、組み合わせ例2B−1から2B−5のそれぞれに、(Ca,Mg)AlSiNi3:Eu、またはCaAlSiNi3:Euで表される深赤色蛍光体を加えて4色の蛍光体の組み合わせとすることも好ましい。
[3−3―3−3]2層構造(第2の蛍光層が紫外から近紫外光励起)の場合
この層構造において白色光を取り出す場合、第2の蛍光層が含有する蛍光体の組み合わせとして好ましいのは、緑色蛍光体および赤色蛍光体の組み合わせである。表4に、その場合の透光性被覆層4における具体的な各色蛍光体の好ましい組み合わせ例を示す。なお、表4に示すのは、第2の蛍光層および第1の蛍光層をこの順番で積層した場合の好ましい組み合わせ例である。
この層構造において白色光を取り出す場合、第2の蛍光層が含有する蛍光体の組み合わせとして好ましいのは、緑色蛍光体および赤色蛍光体の組み合わせである。表4に、その場合の透光性被覆層4における具体的な各色蛍光体の好ましい組み合わせ例を示す。なお、表4に示すのは、第2の蛍光層および第1の蛍光層をこの順番で積層した場合の好ましい組み合わせ例である。
表4では3色の蛍光体のみを含有する例を示したが、組み合わせ例3−1から3−6のそれぞれに、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mnで表される深赤色蛍光体を加えて4色の蛍光体の組み合わせとすることも好ましい。
以上の好ましい組み合わせ例で述べた、「深赤色蛍光体」とは、波長630nm以上700nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する蛍光体である。
また、本実施形態において、透光性被覆層4における蛍光層は3層以上の積層構造を有していてもよい。
積層構造における各々の蛍光層はそれぞれ赤色、緑色、青色蛍光体を含有する蛍光層から形成されている。しかして、各々蛍光層の各色蛍光体が励起されてそれぞれが固有の発光を呈し、その合成光として、例えば白色光が得られることになる。
ここで、蛍光層の積層の順序は、特に限定されず、蛍光体の特性、その他の要因を検討して、適宜配置される。例えば、半導体発光素子3に近い程、短波長の蛍光色を有するように配置すれば、励起光、蛍光体の発光の利用効率の観点からは好ましい。積層の順序を、半導体発光素子3に近い程、含有する蛍光体の平均粒子径が小さくなるように配置すれば、励起光を効率的に散乱させる効果を期待する観点からは好ましい。蛍光体の劣化防止の観点からは、以下の配置とすることが好ましい。
(i)光劣化しやすい蛍光体を半導体発光素子3に最も遠くなるように上面の層に配置する。
(ii)水分により劣化しやすい蛍光体を半導体発光素子3に最も近くなるように下面の層に配置する。これにより蛍光体を外気から遠ざけ、水分劣化を抑制する。
(iii)硫黄成分を含有する蛍光体を積層の中間に配置する。これにより外気の水分劣化を抑制し、半導体発光素子3の硫黄成分による黒変などを抑制する。
(i)光劣化しやすい蛍光体を半導体発光素子3に最も遠くなるように上面の層に配置する。
(ii)水分により劣化しやすい蛍光体を半導体発光素子3に最も近くなるように下面の層に配置する。これにより蛍光体を外気から遠ざけ、水分劣化を抑制する。
(iii)硫黄成分を含有する蛍光体を積層の中間に配置する。これにより外気の水分劣化を抑制し、半導体発光素子3の硫黄成分による黒変などを抑制する。
[4]半導体発光装置
以上、サブマウント2、半導体発光素子3および透光性被覆層4について説明した。本形態では、上述したように、透光性被覆層4が、サブマウント2の外縁全周に接して形成されている。このように透光性被覆層4を形成することで、成形型を用いることなく、例えば上述した硬化性材料を、半導体発光素子3が搭載されたサブマウント2の上面に、半導体発光素子3を被覆するように滴下し、それを硬化させるだけで極めて簡単に透光性被覆層4を所望の形状で形成することができる。その結果、光取り出し効率に優れた半導体発光装置を安価に提供することができるようになる。
以上、サブマウント2、半導体発光素子3および透光性被覆層4について説明した。本形態では、上述したように、透光性被覆層4が、サブマウント2の外縁全周に接して形成されている。このように透光性被覆層4を形成することで、成形型を用いることなく、例えば上述した硬化性材料を、半導体発光素子3が搭載されたサブマウント2の上面に、半導体発光素子3を被覆するように滴下し、それを硬化させるだけで極めて簡単に透光性被覆層4を所望の形状で形成することができる。その結果、光取り出し効率に優れた半導体発光装置を安価に提供することができるようになる。
ここで重要なのは、サブマウント2上での硬化性材料の広がりが、サブマウント2の上面で規制され、その状態でさらに硬化性材料をサブマウント2の上面に供給することによって、硬化性材料がサブマウント2上でドーム状に盛り上がった形状となることである。
このような透光性被覆層4の形状において、透光性被覆層4のサブマウント2との接触領域と非接触領域との境界で形成される外側境界線Lb(図2において太線で示される線)上の任意の接触点におけるサブマウント2に対する接触角度θは、サブマウント2上の場所に拘わらず同じであってもよいが、製造の簡便性の観点からはサブマウント2上の場所で異なっていてもよい。接触角度θが場所によって異なるとは、例えば、外側境界線Lb上の2つの接触点Pe1、Pe2を考え、それら接触点Pe1、Pe2での接触角度をそれぞれθ1、θ2としたとき、θ1≠θ2であるということを意味する。
ここで、透光性被覆層4の接触角度θは、次のように定義される。
図4に示すように、サブマウント2の側面側の任意の方向から半導体発光装置を投影した場合を考える。このとき、透光性被覆層4を投影して得られる被覆層投影外側輪郭曲線Cc上の任意の2点Pc1、Pc2を結ぶ直線を考え、この2点を限りなく接触点Peに近接させたときに得られる直線を、被覆層投影直線Lcとする。一方、サブマウント2のコア部を投影して得られるコア部投影輪郭曲線Cs上の、透光性被覆層4に被覆されている部分での任意の2点Ps1、Ps2を結ぶ直線を考え、この2点を限りなく接触点Peに近接させたときに得られる直線をコア部投影直線Lsとする。そして、被覆層投影直線Lcとコア部投影直線Lsとがなす角度のうち、サブマウント2および透光性被覆層4の外側の部分に形成される角度を接触角度θとする。接触角度θは、別の言い方をすれば、接触点Peにおけるサブマウント2からの透光性被覆層4の立ち上がり角度と言うこともできる。
接触角度θが場所によって異なる場合、接触角度θは、サブマウント2の全周にわたって30°≦θ≦165°の範囲で変化していることが望ましい。また、その変化の範囲は、外側境界線Lb上の任意の2つの場所での接触角度θの差をΔθとしたとき、10°≦Δθ≦130°の範囲であることが望ましい。特に、接触角度θが、外側境界線Lb上の全周にわたって30°≦θ≦165°の範囲で変化していることにより、光取り出し効率がより優れた透光性被覆層4の形状が得やすくなる。なお、接触角度θが場所によって同じである場合は、上記のΔθの変化は、通常、2°≦Δθ<10°の範囲内である。
サブマウント2の半導体発光素子3が搭載される面である上面は、少なくともコア部が略平坦であることが好ましい。また、サブマウント2を上面側から見たときのサブマウント2の形状は、矩形、多角形、楕円形など任意の形状とすることができるが、サブマウント2を加工する際の容易性の観点からは、非円形であることが好ましく、より好ましくは、n角形(ただし、nは、3≦n≦10を満たす整数である。)であり、特に好ましくは、三角形、四角形、六角形または八角形である。また、サブマウント2の形状が多角形である場合、正多角形であることが好ましい。
さらに、サブマウント2を上面側から見たときのサブマウント2の形状は、サブマウント2上の半導体発光素子3をサブマウント2の上面側から見たときの形状と相似であってもよいし相似でなくてもよい。ただし、接触角度θが場所によって異なる半導体発光装置1を製造する場合は、上面側から見たサブマウント2および形状と半導体発光素子3の形状は互いに相似でない方が、より簡単に製造することができる。また、複数の半導体発光素子3を一つのサブマウント2に配列する際には、たとえ半導体発光素子3の上面側から見た形状が、通常よく見られる正方形であっても、その配列の自由度から、サブマウント2の上面側から見たときの形状とは相似でないことが多い。本発明においては、このような形状であっても半導体発光装置を容易に製造することができる。
透光性被覆層4のドームの具体的な立体形状は、特に制限されるものではないが、光取り出し効率向上という観点からは、以下のような立体形状とすることが好ましい。
図5に示すように、半導体発光装置1をサブマウント2の側面側の任意の方向δから投影した場合を考える。そのとき、サブマウント2の上面に対して透光性被覆層4がサブマウント2の厚み方向に最も突出している頂部Tからサブマウント2の上面に垂直に下ろした直線の距離dとする。また、透光性被覆層4を投影して得られる前述の被覆層投影外側輪郭曲線Ccにおいて頂部Tの近傍を円近似した際の曲率半径をR(δ)とする。ここで、透光性被覆層4の頂部Tからサブマウント2の上面までの直線距離dと、透光性被覆層4の頂部Tでの曲率半径R(δ)との比d/R(δ)は、以下の式
0.5≦d/R(δ)≦1.7
を常に満たすことが望ましい。ここで、「常に満たす」とは、半導体発光装置1をサブマウント2の側面側のどの方向から投影した場合においても上記の式を満たすということである。
0.5≦d/R(δ)≦1.7
を常に満たすことが望ましい。ここで、「常に満たす」とは、半導体発光装置1をサブマウント2の側面側のどの方向から投影した場合においても上記の式を満たすということである。
以上のようにd/R(δ)の範囲を定めることで、半導体発光素子3からの光を透光性被覆層4の外側へ効率よく取り出すことができる。d/R(δ)の値が小さいと、半導体発光素子3から出射した光は、透光性被覆層4と周辺媒質の界面に臨界角以上の入射角度で入射する割合が多くなる。臨界角以上の入射角で入射した光は全反射し、全反射した光は、サブマウント2等に一部が吸収され、結果的に光取り出し効率が低下することになる。d/R(δ)の値が0.5未満では、その傾向がより顕著に現れるため好ましくない(たとえば、図5Aの透光性被覆層4aにおける入射角θa)。一方、d/R(δ)の値が大きくなると光取り出し効率は向上するが(たとえば、図5Aの透光性被覆層4bにおける入射角θb)、d/R(δ)の値が1.7を超えると、透光性被覆層4と周辺媒質の界面に臨界角以上の入射角度で入射する割合が再度多くなる(たとえば、図5Aの透光性被覆層4cにおける入射角θc)。よって、d/R(δ)の値は1.7以下であることが好ましい。
また、上記d/R(δ)の好ましい数値範囲を裏付けるために、以下のシミュレーションを行った。
即ち、AlN製のサブマウント2、およびケイ素含有化合物からなる透光性被覆層4を用いた半導体発光装置を仮定した場合に、透光性被覆層4の形状について、図5Aに示す直線距離dと曲率半径Rを変化させ、全放射束がどのように変化するかをシミュレーションによって調べた。この結果を図5A−1のグラフに示す。ここで、全放射束は、透光性被覆層4の外側に設定した評価面において取り出される全放射束を、半導体発光素子3の内部発光を1とした場合の比で表している。図5A−1より、d/R=1.7を超える付近から評価面での全放射束の値が下がり始めることが確認された。
また、光取り出し効率をより向上させるためには、透光性被覆層4の表面が、半導体発光素子3の発光波長と同じ程度の微細な凹凸を有することも好ましい。
半導体発光装置1は、第二支持体をさらに有することもできる。第二支持体は、第一支持体を搭載するものであり、第一支持体と電気的に接続される。図6に、第二支持体を有する半導体発光装置の一例を示す。図6に示す半導体発光装置1は、第一支持体であるサブマウント2、半導体発光素子3および透光性被覆層4の他にさらに、第二支持体である実装基板5を有している。サブマウント2、半導体発光素子3および透光性被覆層4は、前述したものと同様のものでよいので、ここではそれらの説明は省略する。
実装基板5は、配線層5aを有しており、この配線層5aとサブマウント2の上面に設けられた配線層とが、立体配線である金属ワイヤ6を介して接続されている。サブマウント2の上面は透光性被覆層4で覆われており、よって、金属ワイヤ6は、透光性被覆層4に覆われている部分と、透光性被覆層4の外側に存在している部分とを有する。
図6では、金属ワイヤ6によって実装基板5とサブマウント2とを接合した例を示したが、実装基板5とサブマウント2との接合方法は、両者の配線の配置や構造等に応じて任意に変更することができる。例えば、サブマウント2の、実装基板5との接合のための配線がサブマウント2の下面に設けられている場合は、実装基板5とサブマウント2との接合を、金属ハンダ、ペースト材または金属バンプによって、金属ワイヤを用いることなく接合することができる。
本発明の半導体発光装置は、透光性被覆層4の外側に、透光性を有する第二被覆層を有することができる。第二被覆層を有する半導体発光装置の一例を図7Aに示す。図7Aに示すように、第二被覆層7は、透光性被覆層4の外側に、透光性被覆層4全体を覆うように透光性被覆層4に接して設けられている。
第二被覆層7は、
(i)透光性被覆層4と異種のホスト材料からなる、
(ii)透光性被覆層4と同種のホスト材料からなり、かつ透光性被覆層4と異なる材料を含む、あるいは
(iii)透光性被覆層4と異種のホスト材料からなり、かつ透光性被覆層4と異なる材料をも含む、
構成を有することができる。
(i)透光性被覆層4と異種のホスト材料からなる、
(ii)透光性被覆層4と同種のホスト材料からなり、かつ透光性被覆層4と異なる材料を含む、あるいは
(iii)透光性被覆層4と異種のホスト材料からなり、かつ透光性被覆層4と異なる材料をも含む、
構成を有することができる。
構成(i)の例としては、透光性被覆層4をガラス材料で構成し、第二被覆層7を上述したシリコーン系材料で構成したものが挙げられる。構成(ii)の例としては、透光性被覆層4および第二被覆層7はどちらも上述したシリコーン系材料で構成しているが、透光性被覆層4には蛍光体を含有させず、第二被覆層7に蛍光体を含有させたものが挙げられる。この場合は、透光性被覆層4に蛍光体を含有させたものに比べて、蛍光体を半導体発光素子3から離して配置することができるため、半導体発光素子3からの光による蛍光体の劣化を抑制することができる。構成(iii)の例としては、透光性被覆層4を、蛍光体を含有させないガラス材料で構成し、第二被覆層7を、蛍光体を含有させた上述のシリコーン系材料で構成したものが挙げられる。
第二被覆層7に蛍光体を含有させる場合、含有させる蛍光体としては、透光性被覆層4の説明において前述した各色蛍光体を挙げることができる。また、透光性被覆層4に蛍光体を含有させる場合と同様、複数の蛍光体層を有するように第二被覆層を形成することもできる。この場合も、各蛍光体層に含有させる蛍光体は、透光性被覆層4において説明したのと同様でよい。なお、第二被覆層7に蛍光体を含有させる場合は、透光性被覆層4には蛍光体を含有させる必要はないが、前述した各色蛍光体の組み合せを、透光性被覆層4および第二被覆層7の組み合わせで達成することもできる。
第二被覆層7は、複数の層で構成することもできる。図7Bに示す例では、第二被覆層7は、内側層7aおよび外側層7bの二層構造を有している。第二被覆層7を複数の層で構成する場合、各層の材料は、上記の透光性被覆層4との関係における第二被覆層7の構成(i)〜(iii)をそのまま当てはめることができる。また特に、内側層7aについてはガス層とすることもできる。このように、被覆層としてガス層を介在させることで、半導体発光素子3からの熱をより外部へ逃がす構成とするか、あるいは逃がさない構成とするかに応じて、半導体発光装置1の熱伝導特性を調整することができる。ガス層を構成する元素としては、酸素、窒素、二酸化炭素、18族の元素、もしくはこれらの混合ガスが挙げられる。これらの中でも、空気よりも熱伝導率を高くした場合はHeやNeが最も好ましく、その逆に熱伝導率を低くしたい場合は、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、または二酸化炭素が好ましい。
ガスによる熱伝導特性の調整については、第二被覆層7を有しない構成の場合においても、半導体発光装置1そのものを、ここで例示したガスの雰囲気中に置くことで、第二被覆層7の内側層7aをガス層とした場合と同様に達成することができる。また、ガス層の熱伝導率を高く、または低くするためには、ガス層をそれぞれ加圧、または減圧にしてもよい。
上述した各種形態では、サブマウント2上に1つの半導体発光素子3を搭載した半導体発光装置1を示したが、サブマウント2上に搭載する半導体発光素子3の数は複数とすることができる。その一例として図8に示す半導体発光装置では、細長いサブマウント2の上面に、3つの半導体発光素子3が、サブマウント2の長手方向に沿って1列に並んで搭載されている。このように複数の半導体発光素子3を搭載することで、半導体発光装置を任意の形状で構成することができる。
次に、本発明の半導体発光装置の製造方法について、図1および図2に示した半導体発光装置1を製造する場合を例に挙げて説明する。
半導体発光装置1は、大きく分けて以下の3つの工程を経て製造することができる。
(準備工程)サブマウント2、半導体発光素子3、および流動性を有する硬化可能な透光性被覆材を準備する。
(接合工程)サブマウント2と半導体発光素子3とを接合する。
(被覆層形成工程)半導体発光素子3がサブマウント2と接合されている部分を除いて完全に半導体発光素子3を被覆するように、成形型を用いることなく、透光性被覆材からなる透光性被覆層4を形成する。
(準備工程)サブマウント2、半導体発光素子3、および流動性を有する硬化可能な透光性被覆材を準備する。
(接合工程)サブマウント2と半導体発光素子3とを接合する。
(被覆層形成工程)半導体発光素子3がサブマウント2と接合されている部分を除いて完全に半導体発光素子3を被覆するように、成形型を用いることなく、透光性被覆材からなる透光性被覆層4を形成する。
被覆層形成工程においては、透光性被覆材を、サブマウント2の外周全周に接するようにサブマウント2の上面全体に滴下する工程と、滴下した透光性被覆材を硬化させる工程とを有する。
被覆層形成工程で成形型を用いることなく透光性被覆層4を所望の形状に形成するためには、準備工程における透光性被覆材の準備では、透光性被覆材が、下記の物性規定試験で測定される最大高さ/接触線幅の値が好ましくは0.0015以上、より好ましくは0.005以上、さらに好ましくは0.01以上となるように調整するのが望ましい。
<物性規定試験>
(手順1)ガラス平滑面に、内径1.52mmのニードルからその内径と同じ太さになるように前記透光性被覆材にて直線を描画する。
(手順2)前記(手順1)の直後に前記透光性被覆材を硬化させる。
(手順3)硬化後のガラスに接触している透光性被覆材の線幅とガラス面からの最大高さを測定し、その比(最大高さ/接触線幅)を算出する。
<物性規定試験>
(手順1)ガラス平滑面に、内径1.52mmのニードルからその内径と同じ太さになるように前記透光性被覆材にて直線を描画する。
(手順2)前記(手順1)の直後に前記透光性被覆材を硬化させる。
(手順3)硬化後のガラスに接触している透光性被覆材の線幅とガラス面からの最大高さを測定し、その比(最大高さ/接触線幅)を算出する。
ここで、(手順2)において、透光性被覆材の硬化条件は材料により異なるが、速やかに完全に硬化させることが好ましい。例えば熱硬化性のシリコーン系材料の場合は、150℃の通風オーブンで1時間保持するなどの条件により硬化させる。
透光性被覆材は、最大高さ/接触線幅が大きすぎると、被覆層形成工程において透光性被覆層4を所望の形状に形成するのに長時間を要し、逆に、最大高さ/接触線幅が小さすぎると、上述したd/R(δ)の値を大きくするのが困難になり結果的に高い光取り出し効率が得られにくくなる。
また、準備工程における透光性被覆材の準備では、透光性被覆材の中に蛍光体を含むように調製してもよい。
さらに、透光性被覆材は、予め脱気を行なっておくことが好ましく、その脱気の条件としては、真空度をP1L(Pa)、温度をT1L(℃)、時間をt1L(h)としたとき、これらが
10−2<P1L<102、
10<T1L<50、および
0.1<t1L<24、
の範囲内であることが好ましい。
10−2<P1L<102、
10<T1L<50、および
0.1<t1L<24、
の範囲内であることが好ましい。
上記の接合工程においては、サブマウント2と半導体発光素子3との接合を、少なくとも酸素、窒素、二酸化炭素および18族の元素から選ばれる1つのガス、もしくはこれらの混合ガスの雰囲気中で行ない、かつ、接合温度T2L(℃)を、20<T2L<450の範囲内の温度で行なうことが好ましい。接合温度T2Lが高すぎると、半導体発光素子3が劣化する場合がある。また、接合温度T2Lが低すぎると、あらゆる接合材において、接合が難しくなる。
被覆層形成工程では、成形型を用いることなく透光性被覆層4を所望の形状に形成する方法としていくつかの方法が考えられるが、最も簡単な方法は、流動性を有する透光性被覆材をサブマウント2の上面に滴下し、それを硬化させる方法である。この場合、被覆層形成工程は、流動性を有する透光性被覆材を、半導体発光素子3が接合されたサブマウント2の上面に滴下する工程と、透光性被覆材が滴下されたサブマウント2を真空装置内で脱気する工程と、脱気中または脱気後に、滴下した透光性被覆材を硬化させる工程とを有することによって、透光性被覆層4を所望の形状に形成することができる。液体状の透光性被覆材を、熱硬化性の材料とすれば、透光性被覆材の硬化は、透光性被覆材をサブマウント2および半導体発光素子3とともに加熱することで行なうことができる。
透光性被覆材を滴下する工程では、サブマウント2の上面の透光性被覆層4を形成すべき領域全体に透光性被覆材が広がるように透光性被覆材を滴下する。このとき、透光性被覆材は、サブマウント2の外縁全周に接するように、サブマウント2の上面全体に滴下される。
被覆層形成工程における透光性被覆材の脱気の工程では、透光性被覆材を固化させない程度に脱気することが重要である。そのため、この工程での脱気の条件は、真空度をP32(Pa)、温度をT32(℃)、時間をt32(h)としたとき、これらが
10−2<P32<102、
10<T32<50、および
0.001<t32<24、
の範囲内であることが好ましい。
10−2<P32<102、
10<T32<50、および
0.001<t32<24、
の範囲内であることが好ましい。
また、本発明で用いる透光性被覆材は、比較的粘度が高く、半導体発光素子3を搭載したサブマウント2上に滴下した後の脱気では、半導体発光素子3とサブマウント2との間の脱気が十分に行なわれないことがある。そこで、被覆層形成工程における透光性被覆材の脱気では、意図的な圧力変動を導入しながら脱気することが好ましい。具体的には、真空装置内に間欠的に大気、窒素ガス等を導入して圧力変動を起こす、真空引きを間欠的に行う、間欠的に大気解放、脱気を繰り返す、などの方法が挙げられる。これにより透光性被覆材中の気泡がはじけやすくなり、脱気が促進される。
透光性被覆材を加熱により硬化させる場合、その硬化を、酸素、窒素、二酸化炭素および18族の元素から選ばれる1つのガス、もしくはこれらの混合ガスの雰囲気中で行ない、かつ、加熱温度をT33(℃)、加熱時間をt33(h)としたとき、これらが
10<T33<250、
0.5<t33<50
の範囲内であることが好ましい。このような条件で透光性被覆材を硬化させることにより、透光性被覆材は、その粘度の変化および表面張力の相互作用により所望の形状で硬化し易くなる。なお、加熱温度が高すぎると、透光性被覆材が硬化することによって形成された透光性被覆層4がサブマウント2から剥がれることがある。また、加熱温度が低すぎると、硬化不十分となる。
10<T33<250、
0.5<t33<50
の範囲内であることが好ましい。このような条件で透光性被覆材を硬化させることにより、透光性被覆材は、その粘度の変化および表面張力の相互作用により所望の形状で硬化し易くなる。なお、加熱温度が高すぎると、透光性被覆材が硬化することによって形成された透光性被覆層4がサブマウント2から剥がれることがある。また、加熱温度が低すぎると、硬化不十分となる。
透光性被覆材の硬化のための加熱工程においては、加熱温度は一定でなくてもよく、段階的に上昇させてもよい。また、加熱中のサブマウント2の姿勢は、形成すべき透光性被覆層4の最終的な形状に応じて任意の姿勢とすることができ、例えば、サブマウント2の下面を重力方向に向けた姿勢で透光性被覆材を加熱してもよいし、その逆に、サブマウント2の上面を重力方向に向けた姿勢で透光性被覆材を加熱してもよいし、あるいはサブマウント2の側面を重力方向に向けた姿勢で透光性被覆材を加熱してもよい。
なお、透光性被覆層4が多層構造である場合は、上述した被覆層形成工程において、透光性被覆材の滴下、脱気および硬化を層毎に繰り返し、最終的に、接触角度θがサブマウント2上の場所で異なるように形成する。また、透光性被覆層4が前述したような微細な凹凸を有している場合は、透光性被覆材の硬化後に、その硬化によって形成された透光性被覆層4の表面に凹凸を形成する。
以上、図1および図2に示した半導体発光装置1の製造方法について説明したが、図6に示すように、金属ワイヤ6によってサブマウント2と電気的に接続された第二支持体である実装基板5をさらに有する場合は、上述した各工程に加えて以下の工程を有する。
まず、準備工程では、サブマウント2を搭載する実装基板5を準備する工程をさらに有する。また、接合工程においては、サブマウント2の上面に形成された配線層と実装基板5に形成された配線層5aとを、立体配線である金属ワイヤ6で結線する工程をさらに有する。そして被覆層形成工程では、金属ワイヤ6が、透光性被覆材に覆われる部分と透光性被覆材の外側に存在している部分とを有するように、透光性被覆材を形成することを含む。
また、図7Aおよび図7Bに示したように、透光性被覆層4の外側にさらに第二被覆層7を有する半導体発光装置1を製造する場合は、前述した被覆層形成工程の後に、第二被覆層7を、透光性被覆層4の外側に、透光性被覆層4全体を覆うように透光性被覆層4に接して形成する工程をさらに有する。
以下に実験例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。また、以下の実施例において参照している図面は、構造を把握しやすくするために敢えて寸法を変えている部分があるが、実際の寸法は以下の文中に記載されるとおりである。
[A]サブマウント(第一支持体)の製造
[サブマウント1]
サブマウントのコア部として厚み0.20mmのAlNを用意し、その上面に、TiおよびAuをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が一辺10.0mmの正三角形のサブマウントを作製した。
[サブマウント1]
サブマウントのコア部として厚み0.20mmのAlNを用意し、その上面に、TiおよびAuをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が一辺10.0mmの正三角形のサブマウントを作製した。
[サブマウント2]
サブマウントのコア部として厚み0.20mmのAlNを用意し、その上面に、プラズマCVDによりSiO2を製膜した。次に、Ti、Pt、AuおよびAuSnをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が一辺2.2mmの正方形のサブマウントを作製した。
サブマウントのコア部として厚み0.20mmのAlNを用意し、その上面に、プラズマCVDによりSiO2を製膜した。次に、Ti、Pt、AuおよびAuSnをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が一辺2.2mmの正方形のサブマウントを作製した。
[サブマウント3]
サブマウントのコア材として厚み0.20mmのAlNを用意し、その上面に、プラズマCVDによりSiO2を製膜した。次に、Ti、PtおよびAuをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が一辺2.2mmの正方形のサブマウントを作製した。
サブマウントのコア材として厚み0.20mmのAlNを用意し、その上面に、プラズマCVDによりSiO2を製膜した。次に、Ti、PtおよびAuをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が一辺2.2mmの正方形のサブマウントを作製した。
[サブマウント4]
サブマウントのコア部として厚み0.20mmのAlNを用意し、その上面に、TiおよびAuをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が一辺2.2mmの正方形のサブマウントを作製した。
サブマウントのコア部として厚み0.20mmのAlNを用意し、その上面に、TiおよびAuをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が一辺2.2mmの正方形のサブマウントを作製した。
[サブマウント5]
サブマウントのコア材として厚み0.20mmのAlNを用意し、その上面に、Ti、Pt、AuおよびAuSnをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が一辺2.2mmの正方形のサブマウントを作製した。
サブマウントのコア材として厚み0.20mmのAlNを用意し、その上面に、Ti、Pt、AuおよびAuSnをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が一辺2.2mmの正方形のサブマウントを作製した。
[サブマウント6]
サブマウントのコア部として厚み0.40mmのAlNを用意し、その上面に、Ti、Pt、AuおよびAuSnをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が一辺4.5mmの正方形のサブマウントを作製した。
サブマウントのコア部として厚み0.40mmのAlNを用意し、その上面に、Ti、Pt、AuおよびAuSnをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が一辺4.5mmの正方形のサブマウントを作製した。
[サブマウント7]
サブマウントのコア部として、鏡面仕上げされた厚み0.43mmのサファイアを用意し、その上面にTi、PtおよびAuをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が図10に示される形状および寸法のサブマウントを作製した。
サブマウントのコア部として、鏡面仕上げされた厚み0.43mmのサファイアを用意し、その上面にTi、PtおよびAuをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が図10に示される形状および寸法のサブマウントを作製した。
[サブマウント8]
サブマウントのコア部として厚み1.00mmのAlNを用意し、その上面に、Ti、Pt、AuおよびAuSnをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が図11に示される形状および寸法のサブマウントを作製した。
サブマウントのコア部として厚み1.00mmのAlNを用意し、その上面に、Ti、Pt、AuおよびAuSnをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成した。これをダイシングにより分割し、上面が図11に示される形状および寸法のサブマウントを作製した。
[サブマウント9]
サブマウントのコア部として、直径9.0mm、厚み1.00mmの円柱形状に焼結形成されたAlNを用意し、その上面に、TiおよびAuをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成し、サブマウントを作製した。
サブマウントのコア部として、直径9.0mm、厚み1.00mmの円柱形状に焼結形成されたAlNを用意し、その上面に、TiおよびAuをこの順に蒸着して積層し、リフトオフ法によりパターニングして必要な金属配線層を形成し、サブマウントを作製した。
[B]LEDチップ(半導体発光素子)の製造
[チップ1]
サファイア基板上に、MOCVD法により、近紫外LED構造を有するエピタキシャル層を形成した。次に、ドライエッチング法を用いて一部にn型電極を形成させるためのn−GaN層を露出させた。次に、リフトオフ法によりパターニングした電極を形成した。n側電極用金属としては、Ti、Al、Auを用い、p側電極用金属としては、Ni,Auを用いて、真空蒸着法により積層した。次に、上面が一辺0.895mmの正六角形になるように、ブレーキングによりGaN系LEDチップを作製した。
[チップ1]
サファイア基板上に、MOCVD法により、近紫外LED構造を有するエピタキシャル層を形成した。次に、ドライエッチング法を用いて一部にn型電極を形成させるためのn−GaN層を露出させた。次に、リフトオフ法によりパターニングした電極を形成した。n側電極用金属としては、Ti、Al、Auを用い、p側電極用金属としては、Ni,Auを用いて、真空蒸着法により積層した。次に、上面が一辺0.895mmの正六角形になるように、ブレーキングによりGaN系LEDチップを作製した。
完成したLEDチップをサブマウントに搭載し、ステムに搭載して初期特性を測定したところ、ピーク発光波長は406.9nmであった。
[チップ2]
GaN基板を用いたこと以外は、チップ1と同様にして、GaN系LEDチップを作製した。完成したLEDチップの初期特性をチップ1と同様の方法により測定したところ、ピーク発光波長は406.9nmであった。
GaN基板を用いたこと以外は、チップ1と同様にして、GaN系LEDチップを作製した。完成したLEDチップの初期特性をチップ1と同様の方法により測定したところ、ピーク発光波長は406.9nmであった。
[チップ3]
上面が一辺3.0mmの正方形になるように、ブレーキングしたこと以外は、チップ2と同様にして、GaN系LEDチップを作製した。完成したLEDチップの初期特性をチップ1と同様の方法により測定したところ、ピーク発光波長は408.3nmであった。
上面が一辺3.0mmの正方形になるように、ブレーキングしたこと以外は、チップ2と同様にして、GaN系LEDチップを作製した。完成したLEDチップの初期特性をチップ1と同様の方法により測定したところ、ピーク発光波長は408.3nmであった。
[チップ4]
上面が一辺3.0mmの正方形になるように、ブレーキングしたこと以外は、チップ1と同様にして、GaNLEDチップを作製した。完成したLEDチップの初期特性をチップ1と同様の方法により測定したところ、ピーク発光波長は456.5nmであった。
上面が一辺3.0mmの正方形になるように、ブレーキングしたこと以外は、チップ1と同様にして、GaNLEDチップを作製した。完成したLEDチップの初期特性をチップ1と同様の方法により測定したところ、ピーク発光波長は456.5nmであった。
[C]透光性被覆層形成液の製造
下記の方法により、透光性被覆材として透光性被覆層形成液を製造し、後述する[D]で使用に供するまで−15℃の雰囲気中にて冷凍保管した。なお、これら透光性被覆層形成液は、いずれも[3−2−5−4]項「無機粒子の含有率」に記載の物性規定試験で測定される最大高さ/接触線幅が0.01以上、10以下となるように調節されている。また、いずれも[3−2−5−4]項「無機粒子の含有率」に記載の粘度測定条件にて粘度を測定しながら硬化させた際の粘度ηの逆数の積分値が1000以下、0.1以上となるように調節されている。
下記の方法により、透光性被覆材として透光性被覆層形成液を製造し、後述する[D]で使用に供するまで−15℃の雰囲気中にて冷凍保管した。なお、これら透光性被覆層形成液は、いずれも[3−2−5−4]項「無機粒子の含有率」に記載の物性規定試験で測定される最大高さ/接触線幅が0.01以上、10以下となるように調節されている。また、いずれも[3−2−5−4]項「無機粒子の含有率」に記載の粘度測定条件にて粘度を測定しながら硬化させた際の粘度ηの逆数の積分値が1000以下、0.1以上となるように調節されている。
[被覆層形成液1]
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製両末端シラノールジメチルシリコーンオイルXC96−723を390.11g、メチルトリメトキシシランを10.44g、及び、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末0.280gを、攪拌翼と、分留管、ジムロートコンデンサ及びリービッヒコンデンサとを取り付けた500ml三つ口コルベン中に計量し、室温にて15分触媒の粗大粒子が溶解するまで攪拌した。この後、反応液を100℃まで昇温して触媒を完全溶解し、100℃全還流下で30分間650rpmで攪拌しつつ初期加水分解を行った。
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製両末端シラノールジメチルシリコーンオイルXC96−723を390.11g、メチルトリメトキシシランを10.44g、及び、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末0.280gを、攪拌翼と、分留管、ジムロートコンデンサ及びリービッヒコンデンサとを取り付けた500ml三つ口コルベン中に計量し、室温にて15分触媒の粗大粒子が溶解するまで攪拌した。この後、反応液を100℃まで昇温して触媒を完全溶解し、100℃全還流下で30分間650rpmで攪拌しつつ初期加水分解を行った。
続いて、留出をリービッヒコンデンサ側に接続し、窒素をSV20で液中に吹き込み生成メタノール及び水分、副生物の低沸ケイ素成分を窒素に随伴させて留去しつつ100℃、500rpmにて1時間攪拌した。この後窒素をSV40で液中に吹き込みながらさらに130℃に昇温、保持しつつ5.1時間重合反応を継続し、粘度336mPa・sの反応液を得た。なお、ここで「SV」とは「Space Velocity」の略称であり、単位時間当たりの吹き込み体積量を指す。よって、SV20とは、1時間に反応液の20倍の体積のN2を吹き込むことをいう。
窒素の吹き込みを停止し反応液をいったん室温まで冷却した後、ナス型フラスコに反応液を移し、ロータリーエバポレーターを用いてオイルバス上110℃、1kPaで20分間微量に残留しているメタノール及び水分、低沸ケイ素成分を留去し、粘度501mPa・sの無溶剤の液を得た(これを適宜「透光性被覆層形成液A」という)。
透光性被覆層形成液A2.00g、日本アエロジル株式会社製ヒュームドシリカ「アエロジルRX200」0.466gを軟膏つぼに計量し、株式会社シンキー製の自転公転式ミキサー「あわとり練太郎AR−100」を用いて均一に分散し、被覆層形成液1を得た。
[被覆層形成液2]
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製両末端シラノールジメチルシリコーンオイルXC96−723を1560.09g、メチルトリメトキシシランを41.71g、及び、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末1.119gを、攪拌翼と、分留管、ジムロートコンデンサ及びリービッヒコンデンサとを取り付けた2L三つ口コルベン中に計量し、室温にて15分触媒の粗大粒子が溶解するまで攪拌した。この後、反応液を100℃まで昇温して触媒を完全溶解し、100℃全還流下で30分間400rpmで攪拌しつつ初期加水分解を行った。
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製両末端シラノールジメチルシリコーンオイルXC96−723を1560.09g、メチルトリメトキシシランを41.71g、及び、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末1.119gを、攪拌翼と、分留管、ジムロートコンデンサ及びリービッヒコンデンサとを取り付けた2L三つ口コルベン中に計量し、室温にて15分触媒の粗大粒子が溶解するまで攪拌した。この後、反応液を100℃まで昇温して触媒を完全溶解し、100℃全還流下で30分間400rpmで攪拌しつつ初期加水分解を行った。
続いて、留出をリービッヒコンデンサ側に接続し、窒素をSV20で液中に吹き込み生成メタノール及び水分、副生物の低沸ケイ素成分を窒素に随伴させて留去しつつ100℃、500rpmにて1時間攪拌した。この後窒素をSV20で液中に吹き込みながらさらに130℃に昇温、4時間保持し、さらにSV40として0.8時間重合反応を継続し、粘度119mPa・sの反応液を得た。
窒素の吹き込みを停止し反応液をいったん室温まで冷却した後、ナス型フラスコに反応液を移し、ロータリーエバポレーターを用いてオイルバス上110℃、1kPaで20分間微量に残留しているメタノール及び水分、低沸ケイ素成分を留去し、粘度200mPa・sの無溶剤の液を得た(これを適宜「透光性被覆層形成液B」という)。
透光性被覆層形成液B2.00g、日本アエロジル株式会社製ヒュームドシリカ「アエロジルRX200」0.388gを軟膏つぼに計量し、株式会社シンキー製の自転公転式ミキサー「あわとり練太郎AR−100」を用いて均一に分散し、被覆層形成液2を得た。
[被覆層形成液3]
上記の透光性被覆層形成液A2.00g、日本アエロジル株式会社製ヒュームドシリカ「アエロジルRX200」0.349gを軟膏つぼに計量し、株式会社シンキー製の自転公転式ミキサー「あわとり練太郎AR−100」を用いて均一に分散し、被覆層形成液3を得た。
上記の透光性被覆層形成液A2.00g、日本アエロジル株式会社製ヒュームドシリカ「アエロジルRX200」0.349gを軟膏つぼに計量し、株式会社シンキー製の自転公転式ミキサー「あわとり練太郎AR−100」を用いて均一に分散し、被覆層形成液3を得た。
[被覆層形成液4]
東レダウコーニング株式会社製シリコーン樹脂OE6336の主剤1gと硬化剤1g、及び日本アエロジル株式会社製ヒュームドシリカ「アエロジルRX200」0.234gを容器に計量し、株式会社シンキー製の自転公転式ミキサー「あわとり練太郎AR−100」を用いて均一に分散し、被覆層形成液4を得た。
東レダウコーニング株式会社製シリコーン樹脂OE6336の主剤1gと硬化剤1g、及び日本アエロジル株式会社製ヒュームドシリカ「アエロジルRX200」0.234gを容器に計量し、株式会社シンキー製の自転公転式ミキサー「あわとり練太郎AR−100」を用いて均一に分散し、被覆層形成液4を得た。
[被覆層形成液5]
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製両末端シラノールジメチルシリコーンオイルXC96−723を145g、フェニルトリメトキシシランを14.5g、及び、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末を0.638g用意し、これを攪拌翼とコンデンサとを取り付けた三つ口コルベン中に計量し、室温にて15分触媒が十分溶解するまで攪拌した。この後、反応液を120度まで昇温し、120度全還流下で30分間攪拌しつつ初期加水分解を行った。
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製両末端シラノールジメチルシリコーンオイルXC96−723を145g、フェニルトリメトキシシランを14.5g、及び、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末を0.638g用意し、これを攪拌翼とコンデンサとを取り付けた三つ口コルベン中に計量し、室温にて15分触媒が十分溶解するまで攪拌した。この後、反応液を120度まで昇温し、120度全還流下で30分間攪拌しつつ初期加水分解を行った。
続いて窒素をSV20で吹き込み生成メタノール及び水分、副生物の低沸ケイ素成分を留去しつつ120℃で攪拌し、さらに4.75時間重合反応を継続し、粘度189mPa・sの反応液を得た。
窒素の吹き込みを停止し反応液をいったん室温まで冷却した後、ナス型フラスコに反応液を移し、ロータリーエバポレーターを用いてオイルバス上120℃、0.8kPaで20分間微量に残留しているメタノール及び水分、低沸ケイ素成分を留去し、粘度376mPa・sの無溶剤の液を得た(これを適宜「透光性被覆層形成液C」という)。
透光性被覆層形成液C2.00g、日本アエロジル株式会社製ヒュームドシリカ「アエロジルRX200」0.310gを軟膏つぼに計量し、株式会社シンキー製の自転公転式ミキサー「あわとり練太郎AR−100」を用いて均一に分散し、被覆層形成液5を得た。
[被覆層形成液6]
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製両末端シラノールジメチルシリコーンオイルXC96−723を1600g、フェニルトリメトキシシランを160g、及び、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末を3.52g用意し、これを攪拌翼とコンデンサとを取り付けた三つ口コルベン中に計量し、室温にて15分触媒が十分溶解するまで攪拌した。この後、反応液を120度まで昇温し、120度全還流下で30分間攪拌しつつ初期加水分解を行った。
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製両末端シラノールジメチルシリコーンオイルXC96−723を1600g、フェニルトリメトキシシランを160g、及び、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末を3.52g用意し、これを攪拌翼とコンデンサとを取り付けた三つ口コルベン中に計量し、室温にて15分触媒が十分溶解するまで攪拌した。この後、反応液を120度まで昇温し、120度全還流下で30分間攪拌しつつ初期加水分解を行った。
続いて窒素をSV20で吹き込み生成メタノール及び水分、副生物の低沸ケイ素成分を留去しつつ120℃で攪拌し、さらに5.83時間重合反応を進めた。窒素の吹き込みを停止し反応液をいったん室温まで冷却した後、ナス型フラスコに反応液を移し、ロータリーエバポレーターを用いてオイルバス上120℃、1kPaで20分間微量に残留しているメタノール及び水分、低沸ケイ素成分を留去し、粘度560mPa・sの無溶剤の液を得た(これを適宜「透光性被覆層形成液D」という)。
XC96−723を140g、PTMS14g、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末を0.308g使用し、窒素吹き込み下の反応継続時間を4時間とした他は透光性被覆層形成液Cの製造法と同様にして、粘度117mPa・sの無溶剤の液を得た(これを適宜「透光性被覆層形成液E」という)。
前記透光性被覆層形成液Dを100重量部、および透光性被覆層形成液Eを2重量部、添加、均一に混合し、透明無溶剤の液を得た(これを適宜「透光性被覆層形成液F」という)。
透光性被覆層形成液Fを2.00g、日本アエロジル株式会社製ヒュームドシリカ「アエロジルRX200」を0.291g、それぞれ軟膏つぼに計量し、株式会社シンキー製の自転公転式ミキサー「あわとり練太郎AR−100」を用いて均一に分散し、被覆層形成液6を得た。
[被覆層形成液7]
透光性被覆層形成液Fを2.00g、日本アエロジル株式会社製ヒュームドシリカ「アエロジルRX200」を0.194g、それぞれ軟膏つぼに計量し、株式会社シンキー製の自転公転式ミキサー「あわとり練太郎AR−100」を用いて均一に分散し、被覆層形成液6を得た。
透光性被覆層形成液Fを2.00g、日本アエロジル株式会社製ヒュームドシリカ「アエロジルRX200」を0.194g、それぞれ軟膏つぼに計量し、株式会社シンキー製の自転公転式ミキサー「あわとり練太郎AR−100」を用いて均一に分散し、被覆層形成液6を得た。
[被覆層形成液8]
透光性被覆層形成液Fを1.5g、黄色蛍光体Y2.86Lu0.06Ce0.08Al5O12(重量中央粒径d50=20.7μm)を0.04g、日本アエロジル株式会社製ヒュームドシリカ「アエロジルRX200」を0.218g、それぞれ軟膏つぼに計量し、株式会社シンキー製の自転公転式ミキサー「あわとり練太郎AR−100」を用いて均一に分散し、被覆層形成液8を得た。
透光性被覆層形成液Fを1.5g、黄色蛍光体Y2.86Lu0.06Ce0.08Al5O12(重量中央粒径d50=20.7μm)を0.04g、日本アエロジル株式会社製ヒュームドシリカ「アエロジルRX200」を0.218g、それぞれ軟膏つぼに計量し、株式会社シンキー製の自転公転式ミキサー「あわとり練太郎AR−100」を用いて均一に分散し、被覆層形成液8を得た。
[D]半導体発光装置の製造(実施例1〜17、参考例1〜5)
[D−1]透光性被覆層形成液の調製
上記にて製造し、冷凍保管した被覆層形成液1〜7を室温(25℃前後)で0.5時間静置した。静置後、被覆層形成液1〜7をそれぞれシリンジに入れ、脱気を行った。脱気は1.3×10-1Pa、室温(25℃前後)で1時間行なった。脱気後、被覆層形成液1〜7の入った各シリンジをディスペンサーに入れ、シリンジ内気圧を0.34MPaとした。
[D−1]透光性被覆層形成液の調製
上記にて製造し、冷凍保管した被覆層形成液1〜7を室温(25℃前後)で0.5時間静置した。静置後、被覆層形成液1〜7をそれぞれシリンジに入れ、脱気を行った。脱気は1.3×10-1Pa、室温(25℃前後)で1時間行なった。脱気後、被覆層形成液1〜7の入った各シリンジをディスペンサーに入れ、シリンジ内気圧を0.34MPaとした。
なお、以下の予備試験を行ない、後述する評価を行なったが、後述の実施例と同様の結果が得られた。
[D−1−1]予備試験1
室温に静置する時間を5日間とした以外は、前記[A−1]と同様の方法で被覆層形成液1〜7の調製、および半導体発光装置の作製を行なった。
室温に静置する時間を5日間とした以外は、前記[A−1]と同様の方法で被覆層形成液1〜7の調製、および半導体発光装置の作製を行なった。
[D−1−2]予備試験2
脱気時間を12時間とした以外は、前記[A−1]と同様の方法で被覆層形成液1〜7の調製、および半導体発光装置の作製を行った。
脱気時間を12時間とした以外は、前記[A−1]と同様の方法で被覆層形成液1〜7の調製、および半導体発光装置の作製を行った。
[D−2]サブマウントとLEDチップの結合
下記表5の組み合わせにより、サブマウントの配線上にLEDチップをフリップチップボンディングにより結合した。結合は、窒素ガスを2L/分で導入する雰囲気下、設定温度300℃でAuSnハンダをメルトするか、または200℃のステージ温度でAuバンプで接合することにより行なった。次に、一部の半導体発光装置を除いて、サブマウントの配線にAuワイヤーを超音波によりボンディングした。
下記表5の組み合わせにより、サブマウントの配線上にLEDチップをフリップチップボンディングにより結合した。結合は、窒素ガスを2L/分で導入する雰囲気下、設定温度300℃でAuSnハンダをメルトするか、または200℃のステージ温度でAuバンプで接合することにより行なった。次に、一部の半導体発光装置を除いて、サブマウントの配線にAuワイヤーを超音波によりボンディングした。
[D−2]透光性被覆層の形成
[D−2−1]滴下工程
上記の実施例1〜17および参考例1〜5のサブマウントの上面に、前述の[C]により製造した透光性被覆層形成液をサブマウントの外縁全周に接するように滴下した。各実施例および参考例と透光性被覆層形成液との組み合せを表6に示す。
[D−2−1]滴下工程
上記の実施例1〜17および参考例1〜5のサブマウントの上面に、前述の[C]により製造した透光性被覆層形成液をサブマウントの外縁全周に接するように滴下した。各実施例および参考例と透光性被覆層形成液との組み合せを表6に示す。
[D−2−2]脱気工程
滴下工程を経た半導体発光装置を真空脱気装置の中に入れ、真空脱気装置の大気解放用コックが閉まっていることを確認した上で、到達真空度が1.3×10-1Paの真空ポンプを作動し、下記表7に示す時間、および温度にて脱気を行った。
滴下工程を経た半導体発光装置を真空脱気装置の中に入れ、真空脱気装置の大気解放用コックが閉まっていることを確認した上で、到達真空度が1.3×10-1Paの真空ポンプを作動し、下記表7に示す時間、および温度にて脱気を行った。
この際、実施例3、14では、12時間(720分)脱気を連続して行った。実施例3、14以外の実施例、および参考例では、圧力変動を導入して脱気を行ない、脱気、大気解放を交互に計4回行った。すなわち、第一の脱気では、真空引き開始から表7に示した時間を経過後、脱気装置の大気解放用コックを開き、空気を入れ、大気圧になったら、再度コックを閉め、真空引きを行った。同様に第二の脱気、第三の脱気を表7に示す時間行った。第四の脱気で、表7に示す時間の経過後、透光性被覆層形成液からの気泡の発生がなくなったのを確認した後、真空ポンプを停止し、大気解放用コックを開き、大気圧に戻した。
[D−2−3]加熱工程
脱気工程を経た半導体発光装置を下記表8に示す姿勢にて加熱処理を行ない、透光性被覆層形成液を硬化させた。この際、実施例13および14は、サブマウントの上面が重力方向を向くように、すなわち透光性被覆層が下向きとなるように半導体発光装置を乾燥機内に静置した(表8では「下向き」と記載)。実施例13、14以外の実施例では、その逆に、サブマウントの下面が重力方向を向くように、すなわち透光性被覆層が上向きとなるように半導体発光装置を乾燥機内に静置した(表8では「上向き」と記載)。
脱気工程を経た半導体発光装置を下記表8に示す姿勢にて加熱処理を行ない、透光性被覆層形成液を硬化させた。この際、実施例13および14は、サブマウントの上面が重力方向を向くように、すなわち透光性被覆層が下向きとなるように半導体発光装置を乾燥機内に静置した(表8では「下向き」と記載)。実施例13、14以外の実施例では、その逆に、サブマウントの下面が重力方向を向くように、すなわち透光性被覆層が上向きとなるように半導体発光装置を乾燥機内に静置した(表8では「上向き」と記載)。
加熱は、表8に示すとおり、各実施例、参考例について、1段階のキュア(硬化処理)若しくは二段階または三段階のステップキュアにより行なった。また、参考例5については、加熱後、さらに、200℃、275℃、350℃の追加加熱処理を行なった。第三段階の加熱後、乾燥機内の気温が室温になるまで十分冷却を行い、透光性被覆層を有する実施例1〜17、および参考例1〜5の半導体発光装置を得た。
[E]半導体発光装置の評価
[E−1]接触角度
実施例1〜17の半導体発光装置を、図12A〜図12Eにそれぞれ示す複数の測定ポイントにおいてサブマウントの側面から写真撮影した。実施例2〜18については半導体発光素子全体を撮影することができたが、実施例1については、サブマウントのサイズが大きく、撮影視野内に半導体発光素子全体が入らなかったため、右側の外縁部または左側の外縁部のいずれか一方のみを撮影した。
[E−1]接触角度
実施例1〜17の半導体発光装置を、図12A〜図12Eにそれぞれ示す複数の測定ポイントにおいてサブマウントの側面から写真撮影した。実施例2〜18については半導体発光素子全体を撮影することができたが、実施例1については、サブマウントのサイズが大きく、撮影視野内に半導体発光素子全体が入らなかったため、右側の外縁部または左側の外縁部のいずれか一方のみを撮影した。
撮影した写真から、図4を用いて説明した前述の方法に従って被覆層投影直線Lcおよびコア部投影直線Lsを求め、それらがなす角度のうちサブマウントおよび透光性被覆層の外側に形成される接触角度θを、測定ポイントごとに測定した。さらに、各測定ポイントでの接触角度θ、接触角度の最大値θmax、最小値θmin、最大値θmaxと最小値θminの差Δθ、平均値θAVG、および標準偏差θSTDを算出した。
[E−2]曲率半径
接触角度θの測定に用いた写真から、図5を用いて説明した前述の方法に従って、各測定ポイントについて、透光性被覆層の頂部からサブマウントの上面までの直線距離dおよび透光性被覆層の頂部での曲率半径Rを測定し、d/R、最大値d/Rmax、最小値d/Rmin、平均値d/RAVG、および標準偏差d/RSTDを算出した。
接触角度θの測定に用いた写真から、図5を用いて説明した前述の方法に従って、各測定ポイントについて、透光性被覆層の頂部からサブマウントの上面までの直線距離dおよび透光性被覆層の頂部での曲率半径Rを測定し、d/R、最大値d/Rmax、最小値d/Rmin、平均値d/RAVG、および標準偏差d/RSTDを算出した。
[E−3]全放射束
実施例2、3、5〜8、11および12の半導体発光装置について、800mAの電流を注入した際の全放射束を、積分球を用いて測定し、透光性被覆層形成前の、サブマウントに搭載された半導体発光素子の全放射束を除した値である全放射束上昇率Grを算出した。
実施例2、3、5〜8、11および12の半導体発光装置について、800mAの電流を注入した際の全放射束を、積分球を用いて測定し、透光性被覆層形成前の、サブマウントに搭載された半導体発光素子の全放射束を除した値である全放射束上昇率Grを算出した。
表9に、上記で求めた、サブマウントに対する透光性被覆層の接触角度θ、接触角度の最大値θmax、最小値θmin、最大値θmaxと最小値θminの差Δθ、平均値θAVG、および標準偏差θSTDを示す。また、表10に、上記で求めた、透光性被覆層の頂部からサブマウントの上面までの直線距離dと曲率半径Rとの比d/R、最大値d/Rmax、最小値d/Rmin、平均値d/RAVG、標準偏差d/RSTD、および全放射束上昇率Grを示す。
[F]透光性被覆層の表面処理
[F−1]実施例18(HFによるウェットエッチング処理)
青色半導体発光素子を準備し、これをAlN基板を有するサブマウントにフリップチップボンドして搭載し、半導体発光装置とした。この後に積分球をもちいて全放射束を測定した。この結果、800mA電流注入時の全放射束は202.0mWであり、ピーク発光波長は466.5nmであった。
[F−1]実施例18(HFによるウェットエッチング処理)
青色半導体発光素子を準備し、これをAlN基板を有するサブマウントにフリップチップボンドして搭載し、半導体発光装置とした。この後に積分球をもちいて全放射束を測定した。この結果、800mA電流注入時の全放射束は202.0mWであり、ピーク発光波長は466.5nmであった。
次に、被覆層形成液6の透光性被覆層形成液を用いて、実施例1と同様の条件で脱気および加熱を行い、透光性被覆層を形成した。この透光性被覆層を形成した半導体発光装置について、前記の通りに全放射束を測定した。
次に透光性被覆層表面に凹凸加工を施すために、フッ化水素49重量%含有フッ酸水溶液に3分間、透光性被覆層部分を浸漬した。浸漬後の半導体発光装置を前記の方法で、全放射束を測定した。この結果、透光性被覆層表面を上記のウェットエッチング処理により凹凸加工することにより、2%の全放射束向上が確認された。
[F−2]実施例19(BHFによるウェットエッチング処理)
青色半導体発光素子を準備し、これをAlN基板を有するサブマウントにフリップチップボンドして搭載し、半導体発光装置とした。この後に積分球をもちいて全放射束を測定した。この結果、800mA電流注入時の全放射束は195.8mWであり、ピーク発光波長は467.9nmであった。
青色半導体発光素子を準備し、これをAlN基板を有するサブマウントにフリップチップボンドして搭載し、半導体発光装置とした。この後に積分球をもちいて全放射束を測定した。この結果、800mA電流注入時の全放射束は195.8mWであり、ピーク発光波長は467.9nmであった。
次に、被覆層形成液6の透光性被覆層形成液を用いて、実施例1と同様の条件で脱気および加熱を行い、透光性被覆層を形成した。この透光性被覆層を形成した半導体発光装置について、前記の通りに全放射束を測定した。
次に透光性被覆層表面に凹凸加工を施すために、フッ化水素49重量%含有フッ酸水溶液および40重量%フッ化アンモニウム水溶液の比が1:1(重量比)の溶液に3分間、透光性被覆層部分を浸漬した。浸漬後の半導体発光装置を前記の方法で、全放射束を測定した。この結果、透光性被覆層表面を上記のウェットエッチング処理により凹凸加工することにより、4%の全放射束向上が確認された。
[F−3]実施例20(ドライエッチング処理)
青色半導体発光素子を準備し、これをAlN基板を有するサブマウントにフリップチップボンドして搭載し、半導体発光装置とした。この後に積分球をもちいて全放射束を測定した。この結果、800mA電流注入時の全放射束は206.0mWであり、ピーク発光波長は467.9nmであった。
青色半導体発光素子を準備し、これをAlN基板を有するサブマウントにフリップチップボンドして搭載し、半導体発光装置とした。この後に積分球をもちいて全放射束を測定した。この結果、800mA電流注入時の全放射束は206.0mWであり、ピーク発光波長は467.9nmであった。
次に、被覆層形成液6の透光性被覆層形成液を用いて、実施例1と同様の条件で脱気および加熱を行い、透光性被覆層を形成した。この透光性被覆層を形成した半導体発光装置について、前記の通りに全放射束を測定した。
次に透光性被覆層表面に凹凸加工を施すために、反応性イオンエッチング装置に半導体発光装置を導入した。酸素導入量を25cc、プロセス圧力を6mTorrとして、RFパワー235Wを印加し酸素プラズマを励起した。この際のVdcは−110Vであった。この条件において10分間、透光性被覆層の表面加工を行った。加工終了後、当該、半導体発光装置を反応性イオンエッチング装置から取り出し、前記の方法で、全放射束を測定した。この結果、透光性被覆層表面を上記のいわゆるドライエッチング処理により凹凸加工することにより、0.6%の全放射束向上が確認された。
[G]まとめ
以上より、本発明の半導体発光装置は、簡便に製造することができ、発光効率を効果的に向上することが確認された。すなわち、様々な形状の第一支持体上に、適切な透光性被覆層形成液を塗布し、脱気、加熱処理を行うことで、発光効率を向上させる透光性被覆層を形成することができた。
以上より、本発明の半導体発光装置は、簡便に製造することができ、発光効率を効果的に向上することが確認された。すなわち、様々な形状の第一支持体上に、適切な透光性被覆層形成液を塗布し、脱気、加熱処理を行うことで、発光効率を向上させる透光性被覆層を形成することができた。
[G−1]透光性被覆層の形成条件
透光性被覆層を形成する際の脱気・加熱条件は、比較的広範囲に設定することが可能であることが実施例、および参考例から確認された。すなわち、予備試験1、2より、透光性被覆層形成液の脱気等の前処理は、十分に行えば、透光性被覆層の形成に影響しないことが確認された。
透光性被覆層を形成する際の脱気・加熱条件は、比較的広範囲に設定することが可能であることが実施例、および参考例から確認された。すなわち、予備試験1、2より、透光性被覆層形成液の脱気等の前処理は、十分に行えば、透光性被覆層の形成に影響しないことが確認された。
また、実施例2、3および実施例13、14より、塗布後の脱気、加熱処理においても、十分な脱気、および十分な効果処理を行えば、透光性被覆層の形成に影響しないことが確認された。すなわち、連続して720分間脱気を行った実施例3、14と、4段階の脱気・大気解放を行う処理をしたその他の実施例のいずれも、透光性被覆層を形成することができた。
また、加熱処理を一段階のキュアのみで実施する参考例1、2および加熱処理後、さらに追加加熱した参考例5においても、透光性被覆層を形成することができた。なお、加熱温度を高温とした場合、すなわち、200℃または275℃で硬化させた場合は、特に問題なかった。一方、加熱温度を280℃、5分間とした参考例3、および加熱温度を350℃、5分間とした参考例4においても透光性被覆層を形成することができたが、参考例3では、第一支持体(サブマウント)と透光性被覆層の間に剥離が観察され、参考例4では、半導体発光素子と透光性被覆層の間に剥離が観察され、いずれも硬化が不十分であった。
[G−2]透光性被覆層の形状
透光性被覆層の形状としては、前述のシミュレーション結果より、透光性被覆層の頂部からサブマウントの上面までの直線距離dと曲率半径Rとの関係で、0.5≦d/R≦1.7とすることが重要であると考えられる。
透光性被覆層の形状としては、前述のシミュレーション結果より、透光性被覆層の頂部からサブマウントの上面までの直線距離dと曲率半径Rとの関係で、0.5≦d/R≦1.7とすることが重要であると考えられる。
[G−3]透光性被覆層の表面処理
透光性被覆層は表面処理によりさらに、全放射束を向上することができた。その際、ドライエッチング処理よりもフッ酸などによるウェットエッチング処理の方が、効果的であることが確認された。これは、ドライエッチング処理による表面粗さは、半導体発光素子の発光波長よりも小さいため、光取り出し効果が得られにくいのに対し、ウェットエッチング処理による表面粗さは、半導体発光素子の発光波長に近似するため、光取り出し効率が高くなるためと考えられる。
透光性被覆層は表面処理によりさらに、全放射束を向上することができた。その際、ドライエッチング処理よりもフッ酸などによるウェットエッチング処理の方が、効果的であることが確認された。これは、ドライエッチング処理による表面粗さは、半導体発光素子の発光波長よりも小さいため、光取り出し効果が得られにくいのに対し、ウェットエッチング処理による表面粗さは、半導体発光素子の発光波長に近似するため、光取り出し効率が高くなるためと考えられる。
[G−4]その他の実施態様
また、被覆層形成液1〜8は各種蛍光体を混合することができることが確認されている。従って、蛍光体を適宜混合することにより、半導体発光装置の発光色を白色などに適宜設定することも可能である。
また、被覆層形成液1〜8は各種蛍光体を混合することができることが確認されている。従って、蛍光体を適宜混合することにより、半導体発光装置の発光色を白色などに適宜設定することも可能である。
また、本実施例においては、周辺媒質を空気としているが、これを空気以外の物質に置き換えて所望の効果を得ることも可能である。すなわち、周辺媒質に熱伝導率の高いヘリウムを用いてカプセル構造とした場合は、半導体発光装置の冷却効果を期待することができる。また、周辺媒質を樹脂、ガラスに置き換えて光取り出し効果を期待することができる。
1 半導体発光装置
2 サブマウント
3 半導体発光素子
4 透光性被覆層
5 実装基板
6 金属ワイヤ
7 第二被覆層
2 サブマウント
3 半導体発光素子
4 透光性被覆層
5 実装基板
6 金属ワイヤ
7 第二被覆層
Claims (51)
- コア材、配線層およびコート層のうち少なくともコア材および配線層を有する第一支持体と、
前記第一支持体の上面に搭載された少なくとも1つの半導体発光素子と、
前記半導体発光素子が前記第一支持体と接合されている部分を除いて前記半導体発光素子を完全に被覆して形成された透光性被覆層と、
を有し、
前記透光性被覆層は、前記第一支持体の外縁全周に接して形成されている半導体発光装置。 - 前記第一支持体の上面は、少なくとも前記コア材が略平坦である請求項1に記載の半導体発光装置。
- 前記第一支持体は、上面側から見た形状が非円形である請求項1または2に記載の半導体発光装置。
- 前記第一支持体は、上面側から見た形状がn角形(ただし、nは、3≦n≦10を満たす整数である。)である請求項3に記載の半導体発光装置。
- 前記第一支持体は、上面側から見た形状が、三角形、四角形、六角形または八角形である請求項4に記載の半導体発光装置。
- 前記第一支持体は、上面側から見た形状が正多角形である請求項3から5のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記第一支持体は、上面側から見た形状が円形である請求項1または2に記載の半導体発光装置。
- 前記第一支持体を上面側から見たときの外形が、前記第一支持体上の半導体発光素子を前記第一支持体の上面側から見たときの形状と相似でない請求項1から7のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記第一支持体を上面側から見たときの外形が、前記第一支持体上の半導体発光素子を前記第一支持体の上面側から見たときの形状と相似である請求項1から7のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記半導体発光素子は、金属ハンダまたは金属バンプを用いたフリップチップ実装によって、金属ワイヤを用いることなく前記第一支持体の上面に接合されている請求項1から9のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記半導体発光装置を前記第一支持体の側面側の任意の方向δから投影した場合において、
前記第一支持体の上面に対して前記透光性被覆層が前記第一支持体の厚み方向に最も突出している頂部から前記第一支持体の上面に垂直に下ろした直線の距離をdとし、かつ
前記透光性被覆層を投影して得られる前記透光性被覆層の外側輪郭曲線において前記頂部の近傍を円近似した際の曲率半径をR(δ)としたとき、
0.5≦d/R(δ)≦1.7
を常に満たしている請求項1から10のいずれか1項に記載の半導体発光装置。 - 前記透光性被覆層は、前記第一支持体との接触領域と非接触領域との境界である外側境界線上の任意の接触点における前記第一支持体に対する接触角度θが、前記第一支持体上の場所で異なるように形成されている請求項1から11のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記接触角度θは、前記第一支持体の全周にわたって30°≦θ≦165°の範囲で変化している、請求項12に記載の半導体発光装置。
- 前記接触角度θは、前記外側境界線上の任意の2つの場所での接触角度θの差をΔθとしたとき、10°≦Δθ≦130°の範囲で変化している、請求項12または13に記載の半導体発光装置。
- 前記透光性被覆層は、前記第一支持体との接触領域と非接触領域との境界である外側境界線上の任意の接触点における前記第一支持体に対する接触角度θが、前記第一支持体上の場所で実質的に同じであるように形成されている請求項1から11のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記接触角度θは、前記外側境界線上の任意の2つの場所での接触角度θの差をΔθとしたとき、Δθの変化は、2°≦Δθ<10°の範囲内である請求項15に記載の半導体発光装置。
- 前記接触角度θは、
前記第一支持体の側面側の任意の方向から投影した場合において、
前記透光性被覆層を投影して得られる外側輪郭曲線上の任意の2つの点を直線で結んだとき、これら2つの点を前記第一支持体と前記透光性被覆層との接触点に限りなく近接させることで得られる直線を被覆層投影直線とし、
前記第一支持体のコア材を投影して得られるコア材輪郭曲線上の、前記透光性被覆層に被覆されている部分での任意の2つの点を直線で結んだとき、これら2つの点を前記接触点に限りなく近接させることで得られる直線をコア材投影直線とし、
前記被覆層投影直線と前記コア材投影直線とがなす角度のうち、前記第一支持体および前記透光性被覆層の外側の部分に形成される角度で定義される、請求項12から16のいずれか1項に記載の半導体発光装置。 - 前記透光性被覆層の表面は、前記半導体発光素子の発光波長と同程度の微細な凹凸を有する請求項1から17のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記第一支持体を搭載する第二支持体と、前記第一支持体の配線層と前記第二支持体の配線層とを結線する立体配線と、をさらに有し、
前記立体配線は、前記透光性被覆層に覆われている部分と、前記透光性被覆層の外側に存在している部分とを有する請求項1から18のいずれか1項に記載の半導体発光装置。 - 前記第一支持体の上面側の配線層は、少なくともAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Ta、W、Re、Ir、PtおよびAuの中から選択される少なくとも1種の材料を含み、かつAgを含まない請求項1から19のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記第一支持体は前記コート層を有し、該コート層は、絶縁層を含んでおり、かつ、少なくともSiOx、AlOx、TiOx、TaOx、HfOx、ZrOx、SiNx、AlNx、AlFx、BaFx、CaFx、SrFx、MgFxから選択される1つもしくは複数の層を有する請求項1から20のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記半導体発光素子は、In、InSb、InSn、PbSn、AuSb、AuSn、AuGeおよびAuSiから選択され、かつAgを含まないハンダを用いて前記第一支持体と接合されている請求項1から21のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記半導体発光素子は、AuもしくはAlを含むバンプを用いて前記第一支持体と接合されている請求項1から21のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記半導体発光素子は、少なくともAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Ta、W、Re、Ir、PtおよびAuの中から選択される少なくとも1種を含み、かつAgを含まない電極を有している請求項1から23のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記半導体発光素子は、385nm以上425nm以下の波長領域にピーク発光波長を有する請求項1から24のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記透光性被覆層は、ケイ素含有化合物を有する請求項1から25のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記ケイ素含有化合物はシリコーン系材料である請求項26に記載の半導体発光装置。
- 前記シリコーン系材料は縮合型シリコーン系材料である請求項27に記載の半導体発光装置。
- 前記ケイ素含有化合物はガラス材料である請求項26に記載の半導体発光装置。
- 前記透光性被覆層は、前記半導体発光素子から発せられる光で励起される蛍光体を含有する請求項1から29のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記透光性被覆層の外側に、前記透光性被覆層全体を覆うように前記透光性被覆層に接して設けられた、透光性を有する第二被覆層をさらに有する請求項1から30のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 前記第二被覆層は、
前記透光性被覆層と異種のホスト材料からなるか、
前記透光性被覆層と同種のホスト材料からなり、かつ前記透光性被覆層と異なる材料を含むか、あるいは
前記透光性被覆層と異種のホスト材料からなり、かつ前記透光性被覆層と異なる材料をさらに含むか、
のいずれかの構成を有する請求項31に記載の半導体発光装置。 - 前記第二被覆層は、酸素、窒素、二酸化炭素、18族の元素、もしくはこれらの混合ガスからなる層を含む請求項31または32に記載の半導体発光装置。
- 前記第二被覆層は、複数の層を有する請求項31から33のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
- 半導体発光装置の製造方法であって、
コア材、配線層およびコート層のうち少なくともコア材および配線層を有する第一支持体、半導体発光素子、および流動性を有する硬化可能な透光性被覆材を準備する準備工程と、
前記第一支持体の上面に前記半導体発光素子を接合する接合工程と、
前記半導体発光素子が前記第一支持体と接合されている部分を除いて完全に前記半導体発光素子を被覆するように、成形型を用いることなく、前記透光性被覆材からなる透光性被覆層を形成する被覆層形成工程と、
を有し、
前記被覆層形成工程は、前記透光性被覆材を、前記第一支持体の外縁全周に接するように前記第一支持体の上面全体に滴下する工程と、滴下した前記透光性被覆材を硬化させる工程とを有する半導体発光装置の製造方法。 - 前記準備工程は、前記透光性被覆材の準備において、前記透光性被覆材を下記の物性規定試験で測定される最大高さ/接触線幅の値が0.0015以上となるように調整することを含む請求項35に記載の半導体発光装置の製造方法。
<物性規定試験>
(手順1)ガラス平滑面に、内径1.52mmのニードルからその内径と同じ太さになるように前記透光性被覆材にて直線を描画する。
(手順2)前記(手順1)の直後に前記透光性被覆材を硬化させる。
(手順3)硬化後のガラスに接触している透光性被覆材の線幅とガラス面からの最大高さを測定し、その比(最大高さ/接触線幅)を算出する。 - 前記準備工程は、前記透光性被覆材の準備において、前記透光性被覆材の中に蛍光体を含むように調製することを含む請求項35または36に記載の半導体発光装置の製造方法。
- 前記準備工程は、前記透光性被覆材の準備において、真空度をP1L(Pa)、温度をT1L(℃)、時間をt1L(h)としたとき、これらが
10−2<P1L<102、
10<T1L<50、および
0.1<t1L<24、
の範囲内である条件で前記透光性被覆材を脱気することを含む請求項35から37のいずれか1項に記載の半導体発光装置の製造方法。 - 前記接合工程は、前記第一支持体と前記半導体発光素子との接合を、少なくとも酸素、窒素、二酸化炭素および18族の元素から選ばれる1つのガス、もしくはこれらの混合ガスの雰囲気中で行ない、かつ、接合温度T2L(℃)を、20<T2L<450の範囲内の温度で行なうことを含む請求項35から38のいずれか1項に記載の半導体発光装置の製造方法。
- 前記被覆層形成工程は、
前記透光性被覆材を滴下する工程の後に、前記透光性被覆材が滴下された前記第一支持体を真空装置内で脱気する工程をさらに有し、
脱気中または脱気後に、前記透光性被覆材を硬化させる工程を実施する、
を有する請求項35から39のいずれか1項に記載の半導体発光装置の製造方法。 - 前記被覆層形成工程における脱気の工程は、真空度をP32(Pa)、温度をT32(℃)、時間をt32(h)としたとき、これらが
10−2<P32<102、
10<T32<50、および
0.001<t32<24、
の範囲内である条件で脱気することを含む請求項40に記載の半導体発光装置の製造方法。 - 前記被覆層形成工程における脱気の工程は、圧力変動を導入しながら脱気することを含む請求項40または41に記載の半導体発光装置の製造方法。
- 前記透光性被覆材は熱硬化性材料であり、前記透光性被覆材を硬化させる工程は、前記透光性被覆材を加熱することを含む請求項35から42のいずれか1項に記載の半導体発光装置の製造方法。
- 前記透光性被覆材の加熱は、酸素、窒素、二酸化炭素および18族の元素から選ばれる1つのガス、もしくはこれらの混合ガスの雰囲気中で行ない、かつ、
加熱温度をT33(℃)、加熱時間をt33(h)としたとき、これらを
10<T33<250、
0.5<t33<50
の範囲内の条件とすることを含む請求項43に記載の半導体発光装置の製造方法。 - 前記透光性被覆材の加熱を段階的に行なう請求項43または44に記載の半導体発光装置の製造方法。
- 前記透光性被覆材の加熱を、前記第一支持体の下面を重力方向に向けた姿勢で行なう請求項43から45のいずれか1項に記載の半導体発光装置の製造方法。
- 前記透光性被覆材の加熱を、前記第一支持体の上面を重力方向に向けた姿勢で行なう請求項43から45のいずれか1項に記載の半導体発光装置の製造方法。
- 前記透光性被覆材の加熱を、前記第一支持体の側面を重力方向に向けた姿勢で行なう請求項43から45のいずれか1項に記載の半導体発光装置の製造方法。
- 前記準備工程は、前記第一支持体を搭載する第二支持体を準備する工程をさらに有し、
前記接合工程は、前記第一支持体の上面に形成された配線層と前記第二支持体に形成された配線層とを立体配線で結線する工程をさらに有し、
前記被覆層形成工程は、前記立体配線が、前記透光性被覆材に覆われる部分と前記透光性被覆材の外側に存在している部分とを有するように、前記透光性被覆材を形成することを含む請求項35から48のいずれか1項に記載の半導体発光装置の製造方法。 - 前記透光性被覆層の形成後、前記透光性被覆層の表面に、前記半導体発光素子の発光波長と同程度の微細な凹凸を形成する工程をさらに有する請求項35から49のいずれか1項に記載の半導体発光装置の製造方法。
- 前記透光性被覆層の外側に、前記透光性被覆層全体を覆うように前記透光性被覆層に接して、透光性を有する第二被覆層を形成する工程をさらに有する請求項35から50のいずれか1項に記載の半導体発光装置の製造方法。
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