JP5332921B2 - 半導体発光装置、照明装置、及び画像表示装置 - Google Patents

半導体発光装置、照明装置、及び画像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5332921B2
JP5332921B2 JP2009136757A JP2009136757A JP5332921B2 JP 5332921 B2 JP5332921 B2 JP 5332921B2 JP 2009136757 A JP2009136757 A JP 2009136757A JP 2009136757 A JP2009136757 A JP 2009136757A JP 5332921 B2 JP5332921 B2 JP 5332921B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
semiconductor light
light emitting
light
emitting device
phosphor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009136757A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010283244A (ja
Inventor
和彦 香川
翼 外村
寛明 作田
義人 佐藤
寛 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2009136757A priority Critical patent/JP5332921B2/ja
Publication of JP2010283244A publication Critical patent/JP2010283244A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5332921B2 publication Critical patent/JP5332921B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L2224/00Indexing scheme for arrangements for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies and methods related thereto as covered by H01L24/00
    • H01L2224/01Means for bonding being attached to, or being formed on, the surface to be connected, e.g. chip-to-package, die-attach, "first-level" interconnects; Manufacturing methods related thereto
    • H01L2224/10Bump connectors; Manufacturing methods related thereto
    • H01L2224/15Structure, shape, material or disposition of the bump connectors after the connecting process
    • H01L2224/16Structure, shape, material or disposition of the bump connectors after the connecting process of an individual bump connector
    • H01L2224/161Disposition
    • H01L2224/16151Disposition the bump connector connecting between a semiconductor or solid-state body and an item not being a semiconductor or solid-state body, e.g. chip-to-substrate, chip-to-passive
    • H01L2224/16221Disposition the bump connector connecting between a semiconductor or solid-state body and an item not being a semiconductor or solid-state body, e.g. chip-to-substrate, chip-to-passive the body and the item being stacked
    • H01L2224/16225Disposition the bump connector connecting between a semiconductor or solid-state body and an item not being a semiconductor or solid-state body, e.g. chip-to-substrate, chip-to-passive the body and the item being stacked the item being non-metallic, e.g. insulating substrate with or without metallisation
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L2224/00Indexing scheme for arrangements for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies and methods related thereto as covered by H01L24/00
    • H01L2224/01Means for bonding being attached to, or being formed on, the surface to be connected, e.g. chip-to-package, die-attach, "first-level" interconnects; Manufacturing methods related thereto
    • H01L2224/26Layer connectors, e.g. plate connectors, solder or adhesive layers; Manufacturing methods related thereto
    • H01L2224/31Structure, shape, material or disposition of the layer connectors after the connecting process
    • H01L2224/32Structure, shape, material or disposition of the layer connectors after the connecting process of an individual layer connector
    • H01L2224/321Disposition
    • H01L2224/32151Disposition the layer connector connecting between a semiconductor or solid-state body and an item not being a semiconductor or solid-state body, e.g. chip-to-substrate, chip-to-passive
    • H01L2224/32221Disposition the layer connector connecting between a semiconductor or solid-state body and an item not being a semiconductor or solid-state body, e.g. chip-to-substrate, chip-to-passive the body and the item being stacked
    • H01L2224/32225Disposition the layer connector connecting between a semiconductor or solid-state body and an item not being a semiconductor or solid-state body, e.g. chip-to-substrate, chip-to-passive the body and the item being stacked the item being non-metallic, e.g. insulating substrate with or without metallisation
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L2224/00Indexing scheme for arrangements for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies and methods related thereto as covered by H01L24/00
    • H01L2224/73Means for bonding being of different types provided for in two or more of groups H01L2224/10, H01L2224/18, H01L2224/26, H01L2224/34, H01L2224/42, H01L2224/50, H01L2224/63, H01L2224/71
    • H01L2224/732Location after the connecting process
    • H01L2224/73201Location after the connecting process on the same surface
    • H01L2224/73203Bump and layer connectors
    • H01L2224/73204Bump and layer connectors the bump connector being embedded into the layer connector

Landscapes

  • Led Device Packages (AREA)
  • Led Devices (AREA)

Description

本発明は、半導体発光装置、並びにこれを用いた照明装置及び画像表示装置に関する。詳しくは、本発明は、半導体発光素子と、配線パターンを有する基板とを含む半導体発光装置に関する。
半導体発光装置は、携帯端末を始めとして、家電等の表示装置、室内用、医療用等の照明装置として、広く用いられている。半導体発光装置は、例えば、所定の配線パターンを設けた基板上に、正負一対の電極を設け、その電極上に半導体発光素子(以下、適宜「LEDチップ」ともいう。)を接着することにより構成される。また、例えば、シリコーン樹脂等の封止部に蛍光体を含有させて半導体発光素子上、または、半導体発光素子の周辺に配置することにより、半導体発光素子から発光される光の波長を変換し、異なる波長の光を出すことも可能となる(例えば、特許文献1〜3)。
特開平11−168235 特開2003−110144 特開2006−308859
しかしながら、従来の半導体発光装置においては、電極や基板上の配線パターンに用いられている金属の反射効率が悪いために半導体発光装置の輝度が十分に上がらないことがあった。また、蛍光体からのアルカリイオン流出等により上記電極や配線パターンに用いられている金属の劣化、あるいは変色等により使用時に輝度が低下する、またこれらにより封止部の剥離が起こる等の課題があった。
また、セラミック等の絶縁材料を基板あるいは反射部位として用いた場合に、半導体発光装置の輝度が十分に上がらないという課題もあった。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、半導体発光素子と、配線パターンを有する基板とを含む半導体発光装置において、半導体発光素子直下の基板や配線パターンの表面を、特定の光拡散反射材含有層で被覆することにより、半導体発光装置の輝度を上昇させることができると共に、長期にわたって、半導体発光装置の輝度を維持させることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、半導体発光素子と、配線パターンを有する基板とを含む半導体発光装置において、該半導体発光素子直下の該基板及び/または該配線パターンの表面が、光拡散反射材の濃度が30重量%以上、70重量%以下である光拡散反射材含有層で被覆されており、該光拡散反射材が、金属酸化物又は金属窒化物であり、該光拡散反射材含有層が、シリコーン樹脂を含み、前記基板に近い側ほど前記光拡散反射材の濃度が高い濃度傾斜を有することを特徴とする、半導体発光装置に存する。
また、本発明の別の要旨は、半導体発光素子と、配線パターンを有する基板とを含む半導体発光装置において、該半導体発光素子直下の該基板及び/または該配線パターンの表面が、光拡散反射材の濃度が10体積%以上、40体積%以下である光拡散反射材含有層で被覆されており、該光拡散反射材が、金属酸化物又は金属窒化物であり、該光拡散反射材含有層が、シリコーン樹脂を含み、前記基板に近い側ほど前記光拡散反射材の濃度が高い濃度傾斜を有することを特徴とする、半導体発光装置に存する。
上記いずれの半導体発光装置においても、該光拡散反射材の平均中心粒径が、50nm以上、5000nm以下であることが好ましく、該光拡散反射材の屈折率が、1.5以上、3.0以下であることが好ましい。
また、該半導体発光素子が、該基板上にフリップチップ型に配置されていることが好ましい。
らに、該配線パターンを被覆した該光拡散反射材含有層の反射率が、70%以上であることが好ましい。また、該半導体発光素子が、紫外から近紫外までの間の発光波長を有することが好ましい。
また本発明の別の要旨は、上述の半導体発光装置を光源として用いたことを特徴とする、照明装置に存する。
さらに本発明の別の要旨は、上述の半導体発光装置を備えた光源と、前記光源からの光の照射を受ける、光シャッタを備えた表示パネルと、を有することを特徴とする、画像表示装置に存する。
本発明によれば、上記光拡散反射材含有層が、半導体発光素子直下の基板や配線パターンを被覆している。したがって、半導体発光素子からの光を光拡散反射材含有層が拡散反射するものとすることができ、半導体発光装置の発光効率及び輝度を高いものとすることができる。またさらに、上記光拡散反射材含有層によって、長時間使用しても発光効率及び輝度が低下しない半導体発光装置とすることができ、長期にわたって輝度が高い照明装置や画像表示装置を得ること等も可能となる。
本発明の半導体発光装置の構造を説明するための概略断面図である。 本発明の半導体発光装置の構造を説明するための概略断面図である。 本発明の半導体発光装置の構造を説明するための概略断面図である。 本発明の半導体発光装置の構造を説明するための概略断面図である。 本発明の実施例及び比較例における、光拡散反射材含有層中の光拡散反射材濃度及び光取り出し効率の関係を示すグラフである。 実施例1及び比較例3の初期輝度に対する経時の輝度維持率を示すグラフである。 光拡散反射材含有層中の光拡散反射材の屈折率と光取り出し効率との関係のシミュレーション結果である。 光拡散反射材含有層中の光拡散反射材の粒径及び屈折率と光取り出し効率との関係のシミュレーション結果である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
[1]半導体発光装置
本発明による半導体発光装置は、少なくとも1つの半導体発光素子と、配線パターンを有する基板と、発光素子直下の基板及び/または配線パターンを被覆する光拡散反射材含有層を有するものである。
すなわち、例えば図1に示すように、本発明の半導体発光装置10は、配線パターン12を有する基板11と、半導体発光素子13と、半導体発光素子13直下の基板11及び/または配線パターン12を被覆する光拡散反射材含有層21とを少なくとも有するものである。
本発明の半導体発光装置は、本発明の目的及び効果を損なわない限り、上記以外の部材を有していてもよく、図2に示すように、特に半導体発光素子13を封止する封止部15を有することが好ましい。また、必要に応じて、例えば基板11と半導体発光素子13との間に絶縁層等、他の層を有していてもよい。なお、本発明の半導体発光装置の好ましい構造等については後で詳しく説明する。
ここで、本発明の半導体発光装置は、(A)半導体発光素子の発光色をそのまま利用するものであってもよく、また(B)半導体発光素子の近傍に蛍光体や蛍光成分を含有する部材を設け、半導体発光素子からの光により、該部材中の蛍光体や蛍光成分を励起させ、蛍光を利用して所望の波長の光を発光するものであってもよい。本発明の半導体発光装置が、(B)蛍光を利用して所望の波長の光を発光するものである場合、上記封止部が、半導体発光素子からの光によって励起される蛍光体を含有することが好ましい。
以下、半導体発光装置を構成する各部材について、詳細に説明する。
[1−1]半導体発光素子
本発明の半導体発光装置における半導体発光素子は、紫外波長領域から赤外波長領域まで、いずれの波長の光を発するものを用いてもよいが、半導体発光装置が、上述の(B)蛍光を利用するものである場合には、蛍光体や蛍光成分(以下、単に「蛍光体」ともいう。)を励起させる光を発光するものが用いられる。この場合、半導体発光素子の発光波長は、蛍光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の半導体発光素子を使用することができる。本発明においては、特に、青から近紫外領域、好ましくは紫外から近紫外領域までの間の発光波長を有する半導体発光素子を使用することが好ましい。
半導体発光素子が発する光のピーク発光波長の具体的数値としては、通常350nm以上、好ましくは380nm以上、また、好ましくは500nm以下、より好ましくは430nm以下、さらに好ましくは420nm以下である。この半導体発光素子としては、具体的には発光ダイオード(以下、適宜「LED」と略称する。)や半導体レーザダイオード(以下、適宜「LD」と略称する。)等が使用できる。
中でも、半導体発光素子としては、基板上にGaN系化合物半導体層が形成されたGaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、この領域の光を発するSiC系LED等に比し、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、前記蛍光体と組み合わせることによって、非常に低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流負荷に対し、通常GaN系LEDやLDはSiC系の100倍以上の発光強度を有する。GaN系LEDやLDにおいては、AlGaN発光層、GaN発光層、又はInGaN発光層を有しているものが好ましい。GaN系LEDにおいては、それらの中でInGaN発光層を有するものが発光強度が非常に強いので、特に好ましい。GaN系LDにおいては、InGaN層とGaN層の多重量子井戸構造のものが発光強度が非常に強いので、特に好ましい。
なお、上記においてX+Yの値は通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系LEDにおいて、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパント無しのものが発光特性を調節する上で好ましいものである。
GaN系LEDとしては、通常、これら発光層、p層、n層、電極、及び半導体発光素子用基板を基本構成要素としたものとすることができ、発光層をn型及びp型のAlGaN層、GaN層、又はInGaN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが、発光効率が高く、好ましく、さらにヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが、発光効率がさらに高く、より好ましい。
また、本発明に用いられる半導体発光素子は、動作時の電力量が1素子あたり通常5W以下、好ましくは4W以下、更に好ましくは3W以下であり、通常0.060W以上、好ましくは0.065W以上、更に好ましくは0.070W以上である。動作時の電力量が小さすぎると光出力が総じて少なくなりコスト的にも不利となる傾向があり、大きすぎると放熱が困難となり、蛍光体や封止部、半導体発光素子等が熱劣化したり電極マイグレーションによる故障を誘起する可能性がある。またこれらにより、得られる半導体発光装置の寿命が短くなる可能性がある。
上記半導体発光素子において、半導体発光素子用基板がSiCやGaNなど導電性材料である場合には、例えば上面の電極を1個とする(シングルワイヤボンディング)構成とすることができる。また半導体発光素子用基板をサファイアなどの低屈折率絶縁性材料とする場合には、例えば発光層を上面、半導体発光素子用基板を下面とし、後述する基板に接着した後、発光層にp、n2個の電極を設けて金線等で基板にボンディングする(ダブルワイヤボンディング)構成、または発光層を下面、半導体発光素子用基板側を上面とし、金バンプなどで後述する基板に接合する(フリップチップボンディング)構成等とすることができ、いずれの構成も好ましい。
中でも後者のフリップチップボンディングが光取り出し効率高く、サブパッドに直接接合するため省スペースであることから高集積化が容易であり、半導体発光素子下部に反射部材を設けやすいことから特に好ましい。半導体発光素子の使用目的に応じ、半導体発光素子の上面及び側面に向けて出射する光の割合は、半導体発光素子上面や側面のカット形状により制御することが出来る。例えば半導体発光素子側面を、発光層から出射する光の全反射を抑制する形状にカッティングすることにより、側面へ向けて出射する光の割合が多くなり光取り出し効率も向上する。
[1−2]基板
本発明の半導体発光装置における基板は、配線パターンを有するものであれば、特に制限はなく、例えば、絶縁性の基板上に、プリント配線が施されたもの等とすることができる。また、例えば基板上には、配線パターンだけでなく、反射部材や放熱部材等が形成されていてもよい。
(基板)
絶縁性の基板としては、例えばセラミック基板や、樹脂基板、ガラスエポキシ基板等が挙げられる。特に、半導体発光素子の発熱を効率よく放熱するためには高放熱基板が好ましく、例えばアルミナや窒化アルミニウム等のセラミック基板などを好適に用いることができる。
また基板の形状は、平板状に限定されるものではなく、後述する半導体発光装置の構造の項で説明するように、半導体発光装置の種類や用途等に合わせて、種々の形状を採用することができる。
また、基板上には、半導体発光素子から発光される光を反射するための反射部材が形成されていてもよい。反射部材は、本発明の目的及び効果を損なわない位置であれば特にその形成位置や形状に制限はない。反射部材としては、例えば後述する配線パターンと同時にプリントされた金属からなる層等であってもよく、またセラミック、銀、アルミニウムなどの金属やコバール、銀−白金、銀−パラジウム等の合金、白色ソルダーレジスト等からなる層等であってもよい。またこれらは組み合わせて用いられてもよい。
さらに、基板上には半導体発光素子から発生する熱を放熱させるための放熱部材が形成されていても良い。放熱部材は例えば銅、アルミニウムなどの金属からなる層等であって良く、また高放熱性の金属やセラミックスフィラーを高密度に分散した樹脂等であっても良い。
本発明においては、例えば基板や反射部材等として、セラミック等を用いた場合であっても、後述の光拡散反射材含有層が、基材や配線パターンを被覆するものとすることから、半導体発光装置の輝度を十分なものとすることが可能となる。
(配線パターン)
配線パターンは、基板上に形成されたものであれば特に制限はなく、半導体発光装置の種類や目的等に合わせて、適宜選択される。なお、本発明において、配線パターンには、基板上に形成される電極やバンプ等も含むこととし、例えばこれらが、後述する光拡散反射材含有層によって、被覆されていてもよい。
本発明において、配線パターンに用いられる材料として好ましいものとしては、反射率が高いものであることが好ましい。具体的には、波長400nmの光の反射率が70%以上であることが好ましく、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上である。これにより、半導体発光装置の輝度を良好なものとすることができる。ただし、半導体発光素子直下の光拡散反射材含有層に被覆される領域においては、配線パターン材料の反射率が上記の範囲を下回っていても、これを被覆する光拡散反射材含有層が後述する範囲の反射率を有するため、半導体発光装置の輝度を良好なものとすることが出来る。
上記反射率の測定方法は、積分球等を用いて正反射光とともに拡散反射光も含めて測定する方法が好ましく、例えばコニカミノルタセンシング株式会社製分光測色計CM2600d等を用いて測定することが出来る。
また、配線パターンに用いられる材料としては、通常、金、銀、銅、アルミニウム等が挙げられ、中でも金、銀、銅が本発明による輝度向上や輝度の維持効果を得やすいという面から好ましい。これらは1種のみを用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[1−3]光拡散反射材含有層
本発明の半導体発光装置においては、上述の半導体発光素子直下の、基板及び/または
配線パターンは、特定の光拡散反射材含有層で被覆されている。すなわち、上述の基板及び配線パターンのうち、いずれか一方のみを光拡散反射材含有層が被覆していてもよく、また両方を被覆していてもよい。また、光拡散反射材含有層は、基板や配線パターンの全領域を被覆するものであってもよく、また一部領域のみを被覆するものであってもよい。特に、光拡散反射による輝度向上の目的からは、半導体発光素子の直下の全ての領域が光拡散反射材含有層によって被覆されていることが好ましい。
ここで、半導体発光素子直下の基板及び/または配線パターンとは、半導体発光素子と積層されている領域の基板及び/または配線パターンをいうこととする。なお、半導体発光素子と基板との間に、例えば絶縁層等の他の層が形成されている場合や、間隙がある場合であっても、半導体発光素子と積層されている領域、すなわち他の層や間隙を介して半導体発光素子と積層されている領域であれば、半導体発光素子の直下ということとする。
本発明において、光拡散反射材含有層は、光拡散反射材の含有量が、下記の(1)または(2)のいずれか一方、もしくは両方の条件を満たす。
(1)光拡散反射材含有層中の光拡散反射材の濃度が、30重量%以上、70重量%以下である。
(2)光拡散反射材含有層中の光拡散反射材の濃度が、10体積%以上、40体積%以下である。
光拡散反射材含有層に含まれる光拡散反射材の重量%濃度は、通常30重量%以上であり、好ましくは35重量%以上であり、より好ましくは40重量%以上である。また通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。この値よりも濃度が高いと、隠蔽性が高すぎるために輝度が低下したり粘度が高く塗布しにくくなる可能性があり、濃度が低いと拡散反射の効果が小さすぎて輝度が向上しない可能性がある。
また、光拡散反射材含有層に含まれる光拡散反射材の体積%濃度は、通常10体積%以上であり、さらに好ましくは15体積%以上である。また、通常40体積%以下であり、さらに好ましくは30体積%以下である。この値よりも濃度が高いと、隠蔽性が高すぎるために輝度が低下したり粘度が高く塗布しにくくなる可能性があり、濃度が低いと拡散反射の効果が小さすぎて輝度が向上しない可能性がある。
(光拡散反射材)
光拡散反射材とは、光拡散反射材含有層に入射した光を拡散反射させるものであればよく、本発明の目的及び効果を損なわないものであれば特に制限はないが、半導体発光素子の発光波長の吸収が少ないものであることが好ましい。
光拡散反射材として具体的には、金属酸化物又は金属窒化物が好ましい。これらは、高屈折率であり、反射率が高いため、光拡散反射材含有層を設けた半導体発光装置の光取り出し効率を良好なものとすることができるからである。またさらに、これらの材料は後述するバインダ樹脂等より、通常高屈折率であるため、上記効果が得られやすい。
金属酸化物としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等が挙げられ、中でも酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウムが好ましく、紫外から青の光吸収が少ないことから酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムが特に好ましい。また、金属窒化物としては例えば窒化ガリウム、窒化ケイ素等が挙げられ、中でも窒化ガリウムが好ましい。これらは、高屈折率であり、反射率が高いため、本発明の効果が得られやすい。また、金属酸窒化物も同様に好ましい。これらは1種のみを用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光拡散反射材の平均中心粒径は、通常50nm以上であり、好ましくは70nm以上、さらに好ましくは100nm以上である。また通常5000nm以下であり、好ましくは3000nm以下、より好ましくは1000nm以下である。上記範囲内とすることにより、光拡散反射作用が十分に確保できるであるからである。なお、平均中心粒径は重量基準粒度分布曲線から求めることが出来る。重量基準粒度分布曲線は、レーザ回折・散乱法により粒度分布を測定し得られる値である。
また、光拡散反射材の屈折率は、1.5以上であることが好ましく、より好ましくは1.7以上、さらに好ましくは2.0以上である。また3.0以下であることが好ましく、より好ましくは2.9以下、さらに好ましくは2.8以下である。上記範囲内とすることにより屈折率をバインダ樹脂より高いものとすることができ、光拡散反射材の反射率を高いものとすることができるからである。屈折率は、ナトリウムD線波長(587.56nmにてエリプソメーター、アッべ屈折計、プリズムカプラー屈折計などを使用し測定することが出来る。粉体試料しか得られない場合にはナトリウムD線波長における屈折率にて値付けされた屈折率既知の屈折液を用いた液浸法によっても測定することが出来る。
なお、光拡散反射材を後述のバインダ樹脂等へ混合させる方法は特に制限はなく、例えば遊星攪拌ミキサー等を用いて脱泡しつつ混合すること等ができる。また、例えば小粒子の光拡散反射材を混合する場合には、粒子混合後必要に応じ、ビーズミルや三本ロールなどを用いて混合してもよい。
(バインダ樹脂)
光拡散反射材含有層は、上記光拡散反射材のほかに、通常、バインダ樹脂を含有するものとすることができる。バインダ樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂や、光硬化性樹脂等が挙げられる。
このようなバインダ樹脂として具体的には、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;フェノール樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては特に、耐熱、耐光性に優れたシリコーン樹脂を含むことが好ましい。光拡散反射材含有層は半導体発光素子の直下に配置されるため、バインダ樹脂にシリコーン樹脂を含有することにより発光素子の発する高密度の熱や光によるバインダ樹脂の着色や収縮、クラック、剥離を軽減することが出来る。
シリコーン樹脂の具体例としては、後述する封止部の封止部材として用いられるシリコーン樹脂が挙げられる。シリコーン樹脂の含有量は、光拡散反射材含有層中に、30重量%以上であることが好ましく、より好ましくは40重量%以上であり、さらに好ましくは50重量%以上である。また、70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは、65重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下である。バインダ樹脂が多くなると、拡散反射の効果が小さすぎて輝度が向上しない可能性がある。またこれより少ないと、隠蔽性高くなりすぎて輝度低下したり、粘度が高く塗布しにくくなる可能性がある。
(ガラス)
また、上記光拡散反射材含有層には、バインダ樹脂にかわり低融点ガラスやゾルゲルガラス等を用いてもよい。ガラスを含有することにより、光拡散反射材含有層が高い放熱性や耐光性等を得ることが出来る。上記の中でも半導体発光素子の耐熱温度以下の温度での塗布、硬化が容易で、光拡散反射材含有層形成用塗布液の粘度を低くすることが容易なゾルゲルガラスが特に好ましい。また架橋度を調整し、もろさやクラック、剥離を軽減するためにガラスに例えばメチル基やフェニル基等が導入されていても良く、これらを導入する場合は耐熱性、耐光性等の観点から、メチル基主体で導入することが好ましい。
ガラスの含有量としては、光拡散反射材含有層中に通常35重量%以上、より好ましくは45重量%以上、さらに好ましくは55重量%以上である。また75重量%以下であることが好ましく、より好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは65重量%以下である。
(ダイボンド剤)
また、半導体発光素子がワイヤボンディング型とされている場合には、上記光拡散反射材含有層は、白色のダイボンド剤として機能するものであってもよい。光拡散反射材含有層がダイボンド剤として機能することにより、半導体発光素子を強固に基板に接着するとともに、入射した光を拡散反射させる層として働き、半導体発光素子の輝度を向上させ、長期にわたり輝度を維持することができる。
(光拡散反射材含有層の特性)
光拡散反射材含有層の膜厚としては、通常5μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上である。また通常30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。下限値以上とすることにより、光拡散反射材含有層の反射率を良好なものとすることができる。また上限値以下とすることにより半導体発光装置を薄型とすることが出来、これを光源とする照明や画像表示装置を小型化することが出来る。
また、上述の基板上に形成された配線パターンを被覆した光拡散反射材含有層の反射率、すなわち、配線パターンと積層された光拡散反射材含有層の反射率は、通常70%以上であり、好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上である。上記範囲内とすることにより、半導体発光装置の輝度を向上させることができる。反射率の測定方法は、積分球等を用いて正反射光とともに拡散反射光も含めて測定する方法が好ましく、例えばコニカミノルタセンシング株式会社製分光測色計CM2600dを用いて測定することが出来る。
(光拡散反射材含有層の形成方法)
光拡散反射材含有層の形成方法は、光拡散反射材含有層が、上述の半導体発光素子直下の、基板及び/または配線パターンの表面を被覆するように形成可能な方法であれば特に制限はない。例えば上記光拡散反射材や、バインダ樹脂等を含有する光拡散反射材含有層形成用塗布液を、一般的な塗布法により塗布する方法であってもよい。
本発明においては、特に、基板の所定の位置に半導体発光素子をフリップチップ実装した後、該半導体発光素子の近傍の基板上に、上記光拡散反射材含有層形成用塗布液を塗布する方法が好ましい。これにより、半導体発光素子の基板や、基板上に設けられた配線パターンの間に、毛細管現象により光拡散反射材含有層形成用塗布液が侵入するものとすることができ、容易に光拡散反射材含有層を形成することができる。なお、光拡散反射材含有層形成用塗布液は、必要に応じて、熱や光等により硬化させる。硬化方法は、上述のバインダ樹脂の種類等に応じて適宜選択される。光拡散反射材含有層形成用塗布液の硬化は、後述する封止部を形成するための塗布液を塗布する前に行ってもよく、該塗布液と同時に硬化しても良い。例えば上記バインダ樹脂がUV硬化型である場合には、封止部を形成するための塗布液を塗布する前に光硬化させることが好ましく、上記バインダ樹脂が熱硬化型である場合には、該塗布液より前に硬化させてもよく、また同時に硬化させてもよい。
光拡散反射材含有層形成用塗布液には、必要に応じて、適宜溶剤や、添加剤等を含有させてもよい。
[1−4]封止部
本発明の半導体発光装置に用いられる封止部は、半導体発光素子を封止するための部材であり、封止部材を含有するものである。
本発明において、封止部は必要に応じチキソ剤や屈折率調整剤、光拡散剤を含有する透明導光層としても良く、さらに発光素子の発光波長を吸収し任意の波長に波長変換する無機または有機蛍光体を含有させ、光源(半導体発光素子)から伝送される光の発光色と蛍光体の発光色とを混色して所望の発光色を得るための蛍光体含有層としてもよい。
例えば、封止部の一実施形態としては、封止部を、少なくとも1種、好ましくは複数種の蛍光体を含有する単一層の蛍光体含有層とすることができる。これらの蛍光体は蛍光体含有層中に均一に、あるいは連続した濃度分布を持って含有される。
さらに別の実施形態としては、封止部を、実質的に蛍光体を含有せず、半導体発光素子からの光の波長を変えることなく、半導体発光素子より発せられた光を蛍光体を含有する蛍光体含有層へ導く導光層と、前述の蛍光体含有層とを積層した多層構造とすることができる。このように、半導体発光素子と蛍光体含有層との間に導光層を介在させることにより、半導体発光素子を直接蛍光体含有層で覆う単一層構造の半導体発光装置に比べ、蛍光体を半導体発光素子から離して配することができる。その結果、蛍光体の紫外線による劣化を低減することができ、長期間、安定した機能を有する半導体発光装置とすることができる。また、導光層は実質的に蛍光体を含有しないので、半導体発光素子の発熱等により導光層の温度が上昇しても、蛍光体に与える影響は少ない。よって、温度による蛍光体の劣化も抑制することができる。
上記蛍光体含有層が発光色(発光波長ピーク)の異なる複数種の蛍光体を含有しており、特に、その蛍光体が、点灯使用条件において電気、熱、および光に対して不安定な特定の蛍光体を含む場合には、その特定の蛍光体のみを半導体発光素子から離し、他の安定な蛍光体を半導体発光素子近傍に配置した層構造としても良い。
(封止部材)
封止部に用いる封止部材は特に限定されず、通常、半導体発光素子を覆ってモールディングすることのできる硬化性材料を用いることができる。硬化性材料とは、流体状の材料であって、何らかの硬化処理を施すことにより硬化する材料のことをいう。ここで、流体状とは、例えば液状又はゲル状のことをいう。
封止部材としては、半導体発光素子を封止可能なものであれば、具体的な種類に制限は無いが、下記に示す特性を有することが好ましい。
1)半導体発光素子と接する面、及び/又は封止部が多層構造である場合には他の層との界面に、極性基を含有すること、
2)硬度が、ショアAで5以上100以下、または、ショアDで0以上85以下であること、および
3)シロキサン結合を有すること。
以下、これらの特性1)〜3)について説明する。なお、上述のように、封止部が蛍光体含有層及び導光層を含む多層構造である場合、蛍光体含有層について詳細は後述するとおり、蛍光体含有層も導光層と同じ封止部材を含有することができる。
・特性1):極性基
本発明で用いる封止部材は、半導体発光素子と接する面、及び/又は封止部が多層構造である場合には隣接する他の層との界面に、極性基を含有することが好ましい。即ち、封止部材は、接着界面に極性基を有するよう、当該極性基を有する化合物を含有することが好ましい。このような極性基の種類に制限は無いが、例えば、シラノール基、アミノ基及びその誘導基、アルコキシシリル基、カルボニル基、エポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基(−COH)、メタクリル基、シアノ基、スルホン基などが挙げられる。なお、封止部材は、上記いずれか1種の極性基のみを含有していてもよく、2種以上の極性基を任意の組み合わせ及び比率で含有していても良い。
このように、封止部材が接着界面に極性基を有することにより、封止部材と光拡散反射材含有層、半導体発光素子、及び基板とが強く密着する。封止部材が積層構造を有する場合には二層が強く密着し、重ね塗りによる積層面での剥離等が起こりにくく、有利である。
本発明に係る封止部材に含まれる極性基は、ポリフタルアミドなどの樹脂、セラミック又は金属の表面に存在する所定の官能基(例えば、水酸基、メタロキサン結合中の酸素など)と水素結合が可能であり、高い密着性を発現することができる。上述したように、基板は、例えば樹脂、セラミック又は金属等で形成されている。また、セラミックや金属の表面には、通常は水酸基が存在する。一方、封止部材は、通常、当該水酸基と水素結合可能な官能基を有している。したがって、前記水素結合により、基板に対する封止部の密着性を優れたものとすることができる
なお、封止部における実質的な極性基の有無は、IR(赤外分光)分析及びNMR(核磁気共鳴)により確認することができる。
これらの極性基は、封止部の中にはじめから含まれていても良く、プライマーの塗布や表面処理などにより封止部の表面に後から付加されたものでもよい。
・特性2):硬度測定値
硬度測定値は、本発明で用いる封止部材の硬度を評価する指標であり、以下の硬度測定方法により測定される。
本発明で用いられる封止部材は、比較的硬度の低い部材、好ましくはエラストマー状を呈する部材であることが好ましい。即ち、本発明では、半導体発光素子、基板(実装基板)、及び複数の層で構成される封止部など、熱膨張係数の異なる部材を複数使用することになるが、封止部材が比較的硬度が低く、好ましくはエラストマー状を呈することにより、封止部が上記の各部材の伸縮による応力を緩和することができる。したがって、使用中に剥離、クラック、断線などを起こしにくく、耐リフロー性及び耐温度サイクル性に優れる半導体発光装置を提供することができる。
具体的には、封止部材は、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が、通常5以上、好ましくは7以上、より好ましくは10以上、また、通常100以下、好ましくは80以下、より好ましくは70以下である。上記範囲の硬度測定値を有することにより、封止部を有する半導体発光装置は、クラックが発生しにくく、耐リフロー性及び耐温度サイクル性に優れるという利点を得ることができる。
また、半導体発光装置が直接露出する状態で使用される場合には、封止部の材料は外力によるワイヤの切断や半導体発光素子の破損を防止するに足りる機械的強度を有することが好ましい。この場合は、デュロメータタイプDによる硬度測定値(ショアD)が、通常0以上、好ましくは7以上、より好ましくは10以上、また、通常85以下、好ましくは70以下、より好ましくは60以下である。ただしこのような高硬度の部材は前述の低硬度の部材と比較すると耐リフロー性や耐温度サイクル性に劣る場合があるので、半導体発光素子や配線の近傍に低硬度、外周部に高硬度の部材を用いて層構造としても良い。例えば上述した特性1)〜3)のうち1つ以上を有する縮合型シリコーン系材料は、接着性に優れるため、層構造としても層間剥離することなく長期にわたり使用することができる。
また、封止部材を塗布する基板(実装基板)が例えばフレキシブル基板等の薄手の基板である場合には、封止部の積層により硬化収縮応力がかかって基板及び封止部が反る可能性がある。このため、封止部は、ショアAが5以上80以下のゴム弾性を有する材料で形成されていることが好ましい。
〔硬度測定方法〕
硬度測定値(ショアA)は、JIS K6253に記載の方法により測定することができる。具体的には、古里精機製作所製のA型ゴム硬度計を用いて測定を行なうことができる。
一方、硬度測定値(ショアD)は、JIS K6253に記載の方法により測定することができる。具体的には、古里精機製作所製のD型プラスチック硬度計を用いて測定を行なうことができる。
・特性3):シロキサン結合
本発明において、封止部材は、シロキサン結合を含有することが好ましい。即ち、封止部は、シロキサン結合を有する化合物を含んで形成されていることが好ましい。
シロキサン結合を有する化合物としては、後述の珪素含有化合物などが挙げられる。
・その他の特性
封止部は、半導体発光素子から発せられた光を効率的に蛍光体含有層へ導く層(導光層)を含むことが好ましい。
そのため、封止部を形成する封止部材に含有される樹脂は膜厚1mmでの350nm以上500nm以下の発光波長における光透過率が、80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上であり、また通常98%以下である。
また、封止部材は、上述の特性1)〜3)を満たすものであることが好ましい。これらの特性を得るうえで好適に用いられるのは硬化性材料である。また、封止部を形成するにあたって、上述の硬化性材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。硬化性材料としては、無機系材料及び有機系材料並びに両者の混合物のいずれを用いることも可能である。
無機系材料としては、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液、またはこれらの組み合わせを固化した無機系材料(例えばシロキサン結合を有する無機系材料)等を挙げることができる。
一方、有機系材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体例を挙げると、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。
従来、半導体発光装置用の蛍光体分散材料としては、一般的にエポキシ樹脂が用いられてきたが、例えば高出力の半導体発光装置とする場合や、紫外・近紫外光励起の白色光を発する半導体発光装置とする場合、特に、半導体発光素子からの発光に対して劣化が少なく、耐熱性にも優れる珪素含有化合物を使用することが好ましい。
珪素含有化合物とは分子中に珪素原子を有する化合物をいい、ポリオルガノシロキサン等の有機材料(シリコーン系材料)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機材料、及びホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩等のガラス材料を挙げることができる。中でも、透明性、接着性、ハンドリングの容易さや、硬化物が応力緩和力を有する点から、シリコーン系材料が好ましい。半導体発光装置用シリコーン樹脂に関しては例えば特開平10−228249号公報や特許2927279号公報、特開2001−36147号公報などで封止剤への使用、特開2000−123981号公報において波長調整コーティングへの使用が試みられている。
[シリコーン系材料]
シリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば、下記の式(1)で表わされる化合物及び/又はそれらの混合物が挙げられる。
(R123SiO1/2M(R45SiO2/2D(R6SiO3/2T(SiO4/2Q・・・式(1)
式(1)において、R1からR6は、有機官能基、水酸基及び水素原子よりなる群から選択されるものを表わす。なお、R1からR6は、同じであってもよく、異なってもよい。
また、式(1)において、M、D、T及びQは、0以上1未満の数を表わす。ただし、M+D+T+Q=1を満足する数である。
なお、シリコーン系材料を硬化性材料として用いる場合、その塗設に際しては、液状のシリコーン系材料を用いて半導体発光素子を封止した後、熱や光によって硬化させればよい。
[シリコーン系材料の種類]
シリコーン系材料を硬化のメカニズムにより分類すると、通常、付加重合硬化タイプ、縮重合硬化タイプ、紫外線硬化タイプ、パーオキサイド架硫タイプなどのシリコーン系材料を挙げることができる。これらの中では、付加重合硬化タイプ(付加型シリコーン樹脂)、縮合硬化タイプ(縮合型シリコーン樹脂)、紫外線硬化タイプが好適である。以下、付加型シリコーン系材料、及び縮合型シリコーン系材料について説明する。
(i)付加型シリコーン系材料
付加型シリコーン系材料とは、ポリオルガノシロキサン鎖が、有機付加結合により架橋されたものをいう。代表的なものとしては、例えばビニルシランとヒドロシランとをPt触媒などの付加型触媒の存在下反応させて得られる、Si−C−C−Si結合を架橋点に有する化合物等を挙げることができる。これらは市販のものを使用することができ、例えば付加重合硬化タイプの具体的商品名としては信越化学工業社製「LPS−1400」「LPS−2410」「LPS−3400」等が挙げられる。
上記付加型シリコーン系材料は、具体的には、例えば下記平均組成式(1a)で表されるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と下記平均組成式(2a)で表されるヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン(B)を(A)の総アルケニル基に対して(B)の総ヒドロシリル基量が通常0.5〜2.0倍となる量比で混合し、触媒量の付加反応触媒(C)の存在下反応させて得ることが出来る。
(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
nSiO〔(4-n)/2〕 (1a)
(但し、式(1a)中、Rは同一又は異種の置換又は非置換の1価炭化水素基、アルコキシ基、又は水酸基であり、nは1≦n<2を満たす正数である。ただし、Rのうち少なくとも1つはアルケニル基である。)で示される1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。
(B)ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサン
R’abSiO〔(4-a-b)/2〕 (2a)
(但し、式(2a)中、R’はアルケニル基を除く同一又は異種の置換又は非置換の1価の炭化水素基であり、a及びbは0.7≦a≦2.1、0.001≦b≦1.0かつ、0.8≦a+b≦2.6を満たす正数である。)で示される1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
以下、付加型シリコーン樹脂につき更に詳しく説明する。
上記式(1a)のRにおいて、アルケニル基とはビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基などの炭素数2〜8のアルケニル基である。Rが炭化水素基である場合はメチル基、エチル基などのアルキル基、ビニル基、フェニル基等の炭素数1〜20の1価炭化水素基から選択される。好ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基である。それぞれは異なっても良いが、耐UV性が要求される場合にはRの80%以上はメチル基であることが好ましい。Rが炭素数1〜8のアルコキシ基や水酸基であってもよいが、アルコキシ基や水酸基の含有率は(A)の重量の3%以下であることが好ましい。
nは1≦n<3を満たす正数であるが、この値が3以上であると封止部としての十分な強度が得られなくなる可能性があり、1未満であると合成上このオルガノポリシロキサンの合成が困難になることがある。
次に、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(2a)は、(A)成分のオルガノポリシロキサン(1a)とヒドロシリル化反応により組成物を硬化させる架橋剤として作用するものであり、下記平均組成式(2a)
R’abSiO(4-a-b)/2 (2a)
(但し、式中R’はアルケニル基を除く一価の炭化水素基であり、a、bは0.7≦a≦2.1、0.001≦b≦1.0、かつ0.8≦a+b≦2.6、好ましくは0.8≦a≦2、0.01≦b≦1、1≦a+b≦2.4を満たす正数である。)で示される1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のSiH結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
ここで、R’としては、式(1a)中のRと同様の基を挙げることができるが、好ましくはアルケニル基を有さないものがよい。また、耐UV性要求される用途に用いる場合には少なくとも80%以上はメチル基であることが好ましい。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は通常3〜1000、好ましくは3〜300程度のものを使用することができる。
上記(B)成分のオルガノハイドロポリシロキサン(2a)の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン(1a)の総アルケニル基量に依存し、オルガノポリシロキサン(1a)の総アルケニル基に対して総SiH量が0.5倍以上、好ましくは0.8倍以上であり、また通常2.0倍以下、好ましくは1.5倍以下となる量とすればよい。
(C)成分の付加反応触媒は、(A)成分中のアルケニル基と(B)成分中のSiH基とのヒドロシリル化付加反応を促進するための触媒であり、この付加反応触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。なお、この付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができるが、通常、白金族金属として(A)及び(B)成分の合計重量に対して通常1ppm以上、好ましくは2ppm以上配合することが好ましく、通常500ppm以下、好ましくは100ppm以下配合することが好ましい。
付加型シリコーン系材料には、上記(A)〜(C)成分に加え、任意成分として硬化性、ポットライフを与えるために付加反応制御剤、硬度・粘度を調節するために例えばアルケニル基を有する直鎖状のジオルガノポリシロキサンの他にも直鎖状の非反応性オルガノポリシロキサン、ケイ素原子数が2〜10個程度の直鎖状又は環状の低分子オルガノポリシロキサンなどを本発明の効果を損なわない範囲で混合してもよい。
なお、上記組成物の硬化条件は特に制限されないが、120℃〜180℃、30分〜180分の条件とすることが好ましい。得られる硬化物が硬化後にも柔らかいゲル状である場合には、ゴム状や硬質プラスチック状のシリコーン樹脂と比較して線膨張係数大きいため、室温付近の低温にて10時間〜30時間硬化することにより内部応力の発生を抑制することができる。
付加型シリコーン系材料は公知のものを使用することができ、さらには金属やセラミックスへの密着性を向上させる添加剤や有機基を導入しても良い。例えば、特許3909826号公報、特許3910080号公報、特開2003−128922号公報、特開2004−221308号公報、特開2004−186168号公報に記載のシリコーン材料が好適である。
(ii)縮合型シリコーン系材料
縮合型シリコーン系材料とは、例えば、アルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合で得られるSi−O−Si結合を架橋点に有する化合物を挙げることができる。具体的には、下記式(2)及び/又は(3)で表わされる化合物、及び/又はそのオリゴマーを加水分解・重縮合して得られる重縮合物が挙げられる。
m+n1 m-n (2)
(式(2)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Y1は、1価の有機基を表わし、mは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、nは、X基の数を表わす1以上の整数を表わす。但し、m≧nである。)
(Ms+t1 s-t-1u2 (3)
(式(3)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Y1は、1価の有機基を表わし、Y2は、u価の有機基を表わし、sは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、tは、1以上、s−1以下の整数を表わし、uは、2以上の整数を表わす。)
また、縮合型シリコーン系材料には、硬化触媒を含有させておいても良い。硬化触媒としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができ、例えば、金属キレート化合物などを好適に用いることができる。金属キレート化合物は、アルミニウム、ジルコニウム、スズ、亜鉛、チタン、ハフニウム及びタンタルからなる群より選ばれるいずれか1以上を含むものが好ましく、Zrを含むものがさらに好ましい。なお、硬化触媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
このような縮合型シリコーン系材料としては、例えば、特開2006−77234号公報、特開2006−291018号公報、特開2006−316264号公報、特開2006−336010号公報、特開2006−348284号公報、および国際公開2006/090804号パンフレットに記載の半導体発光デバイス用部材が好適である。
シリコーン系材料は、一般に半導体発光素子や当該素子を配置する基板、パッケージ等との接着性が弱いことが多い。そこで、本発明に用いる硬化性材料としては密着性が高いシリコーン系材料を用いることが好ましく、特に、以下の特徴〈1〉〜〈3〉のうち、1つ以上を有する縮合型シリコーン系材料を用いることがより好ましい。
〈1〉ケイ素含有率が20重量%以上である。
〈2〉後に詳述する方法によって測定した固体Si−核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、下記(a)及び/又は(b)のSiに由来するピークを少なくとも1つ有する。
(a)ピークトップの位置がジメチルシリコーンゴムを基準としてケミカルシフト−40ppm以上、0ppm以下の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上、3.0ppm以下であるピーク。
(b)ピークトップの位置がジメチルシリコーンゴムを基準としてケミカルシフト−80ppm以上、−40ppm未満の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上5.0ppm以下であるピーク。
〈3〉シラノール含有率が0.01重量%以上、10重量%以下である。
本発明においては、上記の特徴〈1〉〜〈3〉のうち、特徴〈1〉を有するシリコーン系材料が好ましい。さらに好ましくは、上記の特徴〈1〉及び〈2〉を有するシリコーン系材料が好ましい。特に好ましくは、上記の特徴〈1〉〜〈3〉を全て有するシリコーン系材料が好ましい。以下、上記の特徴〈1〉〜〈3〉について説明する。
〔特徴〈1〉(ケイ素含有率)〕
本発明において好適なシリコーン系材料のケイ素含有率は、通常20重量%以上であり、中でも25重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。一方、上限としては、SiO2のみからなるガラスのケイ素含有率が47重量%であるという理由から、通常47重量%以下の範囲である。
なお、シリコーン系材料のケイ素含有率は、例えば以下の方法を用いて誘導結合高周波プラズマ分光(inductively coupled plasma spectrometry:以下適宜「ICP」と略する。)分析を行ない、その結果に基づいて算出することができる。
ケイ素含有率の測定:
シリコーン系材料を白金るつぼ中にて大気中、450℃で1時間、次いで750℃で1時間、950℃で1.5時間保持して焼成し、炭素成分を除去した後、得られた残渣少量に10倍量以上の炭酸ナトリウムを加えてバーナー加熱し溶融させ、これを冷却して脱塩水を加え、更に塩酸にてpHを中性程度に調整しつつケイ素として数ppm程度になるよう定容し、ICP分析を行なう。
〔特徴〈2〉(固体Si−NMRスペクトル)〕
本発明において好適なシリコーン系材料の固体Si−NMRスペクトルを測定すると、有機基の炭素原子が直接結合したケイ素原子に由来する前記(a)及び/又は(b)のピーク領域に少なくとも1本、好ましくは複数本のピークが観測される。
ケミカルシフト毎に整理すると、本発明に用いる硬化性材料として好適なシリコーン系材料において、前記(a)に記載のピークの半値幅は、分子運動の拘束が小さいために全般に前記(b)に記載のピークの場合より小さく、通常3.0ppm以下、好ましくは2.0ppm以下、また、通常0.3ppm以上の範囲である。
一方、前記(b)に記載のピークの半値幅は、通常5.0ppm以下、好ましくは4.0ppm以下、また、通常0.3ppm以上、好ましくは0.4ppm以上の範囲である。
上記のケミカルシフト領域において観測されるピークの半値幅が大きすぎると、分子運動の拘束が大きくひずみの大きな状態となり、クラックが発生し易く、耐熱・耐候耐久性に劣る部材となる場合がある。例えば、四官能シランを多用した場合や、乾燥工程において急速な乾燥を行ない大きな内部応力を蓄えた状態などにおいて、半値幅範囲が上記の範囲より大きくなることがある。
また、ピークの半値幅が小さすぎると、その環境にあるSi原子はシロキサン架橋に関わらないことになり、三官能シランが未架橋状態で残留する例など、シロキサン結合主体で形成される物質より耐熱・耐候耐久性に劣る部材となる場合がある。
但し、大量の有機成分中に少量のSi成分が含まれるシリコーン系材料においては、−80ppm以上に上述の半値幅範囲のピークが認められても、良好な耐熱・耐光性及び塗布性能は得られない場合がある。
本発明おいて好適なシリコーン系材料のケミカルシフトの値は、例えば、以下の方法を用いて固体Si−NMR測定を行ない、その結果に基づいて算出することができる。また、測定データの解析(半値幅やシラノール量解析)は、例えばガウス関数やローレンツ関数を使用した波形分離解析等により、各ピークを分割して抽出する方法で行なう。
[固体Si−NMRスペクトル測定]
シリコーン系材料について固体Si−NMRスペクトルを行なう場合、以下の条件で固体Si−NMRスペクトル測定及び波形分離解析を行なう。また、得られた波形データより、シリコーン系材料について、各々のピークの半値幅を求める。
[装置条件]
装置:Chemagnetics社 Infinity CMX-400 核磁気共鳴分光装置
29Si共鳴周波数:79.436MHz
プローブ:7.5mmφCP/MAS用プローブ
測定温度:室温
試料回転数:4kHz
測定法:シングルパルス法
1Hデカップリング周波数:50kHz
29Siフリップ角:90゜
29Si90゜パルス幅:5.0μs
繰り返し時間:600s
積算回数:128回
観測幅:30kHz
ブロードニングファクター:20Hz
基準試料:ジメチルシリコーンゴム
〔特徴〈3〉(シラノール含有率)〕
本発明に用いる硬化性材料として好適なシリコーン系材料は、シラノール含有率が、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下、更に好ましくは5重量%以下の範囲である。シラノール含有率を低くすることにより、シラノール系材料は経時変化が少なく、長期の性能安定性に優れ、吸湿・透湿性何れも低い優れた性能を有する。但し、シラノールが全く含まれない部材は密着性に劣るため、シラノール含有率に上記のごとく最適な範囲が存在する。
シリコーン系材料のシラノール含有率は、例えば、前記の[固体Si−NMRスペクトル測定]の項で説明した方法を用いて固体Si−NMRスペクトル測定を行ない、全ピーク面積に対するシラノール由来のピーク面積の比率より、全ケイ素原子中のシラノールとなっているケイ素原子の比率(%)を求め、別に分析したケイ素含有率と比較することにより算出することができる。
また、本発明に用いる硬化性材料として好適なシリコーン系材料は、適当量のシラノールを含有しているため、発光素子やパッケージの表面に存在する極性部分にシラノールが水素結合し、密着性が発現する。極性部分としては、例えば、水酸基やメタロキサン結合の酸素等が挙げられる。
さらに、本発明においてて好適なシリコーン系材料は、適切な触媒の存在下で加熱することにより、発光素子やパッケージの表面の水酸基との間に脱水縮合による共有結合を形成し、更に強固な密着性を発現することができる。
一方、シラノールが多過ぎると、系内が増粘して塗布が困難になったり、活性が高くなり加熱により軽沸分が揮発する前に固化したりすることによって、発泡や内部応力の増大が生じ、クラックなどを誘起する場合がある。
[その他の成分]
硬化性材料には、本発明の効果を著しく損なわない限り、上記の無機系材料及び/又は有機系材料などに、更にその他の成分を混合して用いることも可能である。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[無機粒子]
硬化性材料には、光学的特性や作業性を向上させるため、また、以下の〔1〕〜〔5〕の何れかの効果を得ることを目的として、更に無機粒子を含有させても良い。なお、無機粒子は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
〔1〕硬化性材料に無機粒子を光散乱剤として含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層を散乱層とする。これにより、光源から伝送された光を散乱層において散乱させることができ、導光部材から外部に放射される光の指向角を広げることが可能となる。また、特に導光層に光散乱剤を含有させることで、蛍光体含有層において、発光素子からの照射が緩和されるので、蛍光体の劣化を抑制することができる。
〔2〕硬化性材料に無機粒子を結合剤として含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層においてクラックの発生を防止することができる。
〔3〕硬化性材料に無機粒子を粘度調整剤として含有させることにより、当該硬化性材料の粘度を高くすることができる。
〔4〕硬化性材料に無機粒子を含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層の収縮を低減することができる。
〔5〕硬化性材料に無機粒子を含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層の屈折率を調整して、光取り出し効率を向上させることができる。
ただし、硬化性材料に無機粒子を含有させる場合、その無機粒子の種類及び量によって得られる効果が異なる。
例えば、無機粒子が粒径約10nmの超微粒子状シリカ、ヒュームドシリカ(乾式シリカ、例えば、「日本アエロジル株式会社製、商品名:AEROSIL#200、同RX200、同RY200」、「トクヤマ社製、商品名:レオロシール」等)の場合、硬化性材料のチクソトロピック性が増大するため、上記〔3〕の効果が大きい。
また、例えば、無機粒子が粒径約数μmの破砕シリカ若しくは真球状シリカの場合、チクソトロピック性の増加はほとんど無く、当該無機粒子を含む層の骨材としての働きが中心となるので、上記〔2〕及び〔4〕の効果が大きい。
また、例えば、硬化性材料に用いられる他の化合物(前記の無機系材料及び/又は有機系材料など)とは屈折率が異なる粒径約1μmの無機粒子を用いると、前記化合物と無機粒子との界面における光散乱が大きくなるので、上記〔1〕の効果が大きい。
また、例えば、硬化性材料に用いられる他の化合物より屈折率の大きな、中央粒径が通常1nm以上、好ましくは3nm以上、また、通常10nm以下、好ましくは5nm以下、具体的には発光波長以下の粒径をもつ無機粒子を用いると、当該無機粒子を含む層の透明性を保ったまま屈折率を向上させることができるので、上記〔5〕の効果が大きい。
従って、混合する無機粒子の種類は目的に応じて選択すれば良い。また、その種類は単一でも良く、複数種を組み合わせてもよい。また、分散性を改善するためにシランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理されていても良い。
・無機粒子の種類
使用する無機粒子の種類としては、例えば、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウムなどの無機酸化物粒子やダイヤモンド粒子、窒化ガリウムなどの無機窒化物粒子などが挙げられるが、目的に応じて他の物質を選択することもでき、これらに限定されるものではない。
無機粒子の形態は粉体状、スラリー状等、目的に応じいかなる形態でもよいが、透明性を保つ必要がある場合は、当該無機粒子を含有させる層に含有されるその他の材料と屈折率を同等としたり、水系・溶媒系の透明ゾルとして硬化性材料に加えたりすることが好ましい。
・無機粒子の中央粒径
これらの無機粒子(一次粒子)の中央粒径は特に限定されないが、通常、蛍光体粒子の1/10以下程度である。具体的には、目的に応じて以下の中央粒径のものが用いられる。例えば、無機粒子を光散乱材として用いるのであれば、その中央粒径は通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは20μm以下である。また、例えば、無機粒子を骨材として用いるのであれば、その中央粒径は1μm〜10μmが好適である。また、例えば、無機粒子を増粘剤(チクソ剤)として用いるのであれば、その中央粒径は10〜100nmが好適である。また、例えば、無機粒子を屈折率調整剤として用いるのであれば、その中央粒径は1〜10nmが好適である。
なお、本発明において、導光層中の無機微粒子は封止部において光散乱剤として作用する。
・無機粒子の混合方法
無機粒子を混合する方法は特に制限されない。通常は、蛍光体と同様に遊星攪拌ミキサー等を用いて脱泡しつつ混合することが推奨される。例えばアエロジルのような凝集しやすい小粒子を混合する場合には、粒子混合後必要に応じビーズミルや三本ロールなどを用いて凝集粒子の解砕を行なってから蛍光体等の混合容易な大粒子成分を混合しても良い。
・無機粒子の含有率
硬化性材料中における無機粒子の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、その適用形態により自由に選定できる。ただし、当該無機粒子を含有する層における無機粒子の含有率は、その適用形態により選定することが好ましい。例えば、無機粒子を光散乱剤として用いる場合は、その層内における含有率は0.01〜10重量%が好適である。同じ光散乱剤であっても、本発明のように拡散反射層を設けるために無機粒子を用いる場合には、その含有率は隠蔽性を確保するため10重量%以上が好ましく、より好ましくは30重量%以上である。また70重量%以下が好ましく、より好ましくは50重量%以下である。
また、例えば、無機粒子を骨材として用いる場合は、その層内における含有率は1重量%〜50重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を増粘剤(チクソ剤)として用いる場合は、その層内における含有率は0.1重量%〜20重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を屈折率調整剤として用いる場合は、その層内における含有率は10重量%〜80重量%が好適である。無機粒子の量が少なすぎると所望の効果が得られなくなる可能性があり、多すぎると硬化物の密着性、透明性、硬度等の諸特性に悪影響を及ぼす可能性がある。また、流体状の硬化性材料における無機粒子の含有率は、各層における無機粒子の含有率が前記範囲に収まるように設定すればよい。したがって、流体状の硬化性材料が乾燥工程において重量変化しない場合は硬化性材料における無機粒子の含有率は形成される各層における無機粒子の含有率と同様になる。また、流体状の硬化性材料が溶媒等を含有している場合など、当該硬化性材料が乾燥工程において重量変化する場合は、その溶媒等を除いた硬化性材料における無機粒子の含有率が、形成される各層における無機粒子の含有率と同様になるようにすればよい。
なお、無機粒子の含有率は、後述の蛍光体の含有率と同様に測定することが出来る。
また、封止部は蛍光体を含有する層(蛍光体含有層)であってもよい。
本発明の半導体発光装置に用いられる蛍光体は、紫外線〜青色光により励起される下記の赤色、黄色、緑色、および青色蛍光体等が挙げられ、これらより選択される1種以上を単独で、または2種以上を任意の組み合わせおよび任意の比率で使用することができる。
蛍光体の組成には特に制限はないが、母体結晶となる、Y、YVO、ZnSiO、YAl12、SrSiO等に代表される金属酸化物、(Ca,Sr)AlSiN等に代表される金属窒化物、Ca(POCl等に代表されるリン酸塩及びZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物、YS、LaS等に代表される酸硫化物等にCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属のイオンやAg、Cu、Au、Al、Mn、Sb等の金属のイオンを付活元素又は共付活元素として組み合わせたものが挙げられる。表1に、好ましい結晶母体の具体例を示す。
なお、本発明の例示では、構造の一部のみが異なる蛍光体を、適宜省略して示している。例えば、「YSiO:Ce3+」、「YSiO:Tb3+」及び「YSiO:Ce3+,Tb3+」を「YSiO:Ce3+,Tb3+」と、「LaS:Eu」、「YS:Eu」及び「(La,Y)S:Eu」を「(La,Y)S:Eu」とまとめて示している。省略箇所はカンマ(,)で区切って示す。
Figure 0005332921
但し、上記の母体結晶及び付活元素又は共付活元素は、元素組成には特に制限はなく、同族の元素と一部置き換えることもでき、得られた蛍光体は近紫外から可視領域の光を吸収して可視光を発するものであれば用いることが可能である。
具体的には、蛍光体として以下に挙げるものを用いることが可能であるが、これらはあくまでも例示であり、本発明で使用できる蛍光体はこれらに限られるものではない。なお、以下の例示では、前述の通り、構造の一部のみが異なる蛍光体を、適宜省略して示している。
[橙色ないし赤色蛍光体]
本発明の蛍光体と併用し得る橙色ないし赤色蛍光体としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。
この際、同色併用蛍光体である橙色ないし赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあることが好適である。
橙色ないし赤色蛍光体として使用できる蛍光体を表2に示す。
Figure 0005332921
以上の中でも、赤色蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Eu、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、(La,Y)S:Eu、Eu(ジベンゾイルメタン)・1,10−フェナントロリン錯体等のβ−ジケトン系Eu錯体、カルボン酸系Eu錯体、KSiF:Mnが好ましく、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Sr,Ca)AlSi(N,O):Eu、(La,Y)S:Eu、KSiF:Mnがより好ましい。
また、橙色蛍光体としては、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Ceが好ましい。
[青色蛍光体]
青色蛍光体を使用する場合、当該青色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常500nm未満、好ましくは490nm以下、より好ましくは480nm以下、さらに好ましくは470nm以下、特に好ましくは460nm以下の波長範囲にあることが好適である。使用する青色蛍光体の発光ピーク波長がこの範囲にあると、本発明に好適な蛍光体の励起帯と重なり、当該青色蛍光体からの青色光により、他色の蛍光体を効率良く励起することができるからである。
このような青色蛍光体として使用できる蛍光体を表3に示す。
Figure 0005332921
以上の中でも、青色蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO(Cl,F):Eu、(Ba,Ca,Mg,Sr)SiO:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO(Cl,F):Eu、(Ba,Ca,Sr)MgSi:Euが好ましく、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu、(Ca,Sr,Ba)10(PO(Cl,F):Eu、BaMgSi:Euがより好ましく、Sr10(POCl:Eu、BaMgAl1017:Euが特に好ましい。
[緑色蛍光体]
緑色蛍光体を使用する場合、当該緑色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常500nm以上、中でも510nm以上、更には515nm以上、また、通常550nm未満、中でも542nm以下、更には535nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長が短過ぎると青味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると黄味を帯びる傾向があり、何れも緑色光としての特性が低下する場合がある。
このような緑色蛍光体として利用できる蛍光体を表4に示す。
Figure 0005332921
以上の中でも、緑色蛍光体としては、Y(Al,Ga)12:Ce、CaSc:Ce、Ca(Sc,Mg)Si12:Ce、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Si,Al)(O,N):Eu(β−sialon)、(Ba,Sr)Si12:N:Eu、SrGa:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mnが好ましい。
本発明の半導体発光装置を照明装置に用いる場合には、Y(Al,Ga)12:Ce、CaSc:CeCa(Sc,Mg)Si12:Ce、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Si,Al)(O,N):Eu(β−sialon)、(Ba,Sr)Si12:N:Euが好ましい。
また、本発明の半導体発光装置を画像表示装置に用いる場合には、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Si,Al)(O,N):Eu(β−sialon)、(Ba,Sr)Si12:N:Eu、SrGa:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mnが好ましい。
[黄色蛍光体]
黄色蛍光体を使用する場合、当該黄色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上、また、通常620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあることが好適である。
このような黄色蛍光体として利用できる蛍光体を下記表5に示す。
Figure 0005332921
以上の中でも、黄色蛍光体としては、YAl12:Ce、(Y,Gd)Al12:Ce、(Sr,Ca,Ba,Mg)SiO:Eu、(Ca,Sr)Si:Euが好ましい。
[その他の蛍光体]
蛍光体としては、上述したもの以外の蛍光体を含有させることも可能である。例えば、蛍光体含有層自体をイオン状の蛍光物質や有機・無機の蛍光成分を均一・透明に溶解・分散させた蛍光性樹脂で形成することもできる。
[蛍光体の粒径]
蛍光体の粒径は特に制限はないが、中央粒径(D50)で、通常0.1μm以上、好ましくは2μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。蛍光体の中央粒径(D50)が上記範囲にある場合は、蛍光体含有層において、光源から伝送された光が充分に散乱される。また、光源から伝達された光が充分に蛍光体粒子に吸収されるため、波長変換が高効率に行なわれると共に、蛍光体から発せられる光が全方向に照射される。これにより、複数種類の蛍光体からの一次光を混色して所望の色(例えば、白色)にすることができると共に、均一な色と照度が得られる。一方、蛍光体の中央粒径(D50)が上記範囲より大きい場合は、蛍光体が蛍光体含有層の空間を充分に埋めることができないため、光源から伝達された光が充分に蛍光体に吸収されない可能性がある。また、蛍光体の中央粒径(D50)が、上記範囲より小さい場合は、蛍光体の発光効率が低下するため、照度が低下する可能性がある。
蛍光体粒子の粒度分布(QD)は、蛍光体含有層での粒子の分散状態をそろえるために小さい方が好ましいが、小さくするためには分級収率が下がってコストアップにつながるので、通常0.03以上、好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.07以上である。また、通常0.4以下、好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.2以下である。
なお、中央粒径(D50)および粒度分布(QD)は、重量基準粒度分布曲線から求めることが出来る。重量基準粒度分布曲線は、レーザ回折・散乱法により粒度分布を測定し得られるもので、具体的には、例えば以下のように測定することが出来る。
〔重量基準粒度分布曲線の測定方法〕
(1)温度25℃、湿度70%の環境下において、エチレングリコールなどの溶媒に蛍光体を分散させる。
(2)レーザ回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製 LA−300)により、粒径範囲0.1μm〜600μmにて粒度分布を測定する。
(3)測定された重量基準粒度分布曲線において積算値が50%のときの粒径値を中央粒径D50と表記する。また、積算値が25%及び75%の時の粒径値をそれぞれD25、D75と表記し、QD=(D75−D25)/(D75+D25)と定義する。QDが小さいことは粒度分布が狭いことを意味する。
また、蛍光体粒子の形状も、例えば、硬化性材料の流動性等、蛍光体含有層の形成に影響を与えない限り、任意である。
[蛍光体の表面処理]
蛍光体は、耐水性を高める目的で、または蛍光体含有層中で蛍光体の不要な凝集を防ぐ目的で、表面処理が行なわれていてもよい。かかる表面処理の例としては、特開2002−223008号公報に記載の有機材料、無機材料、ガラス材料などを用いた表面処理、特開2000−96045号公報等に記載の金属リン酸塩による被覆処理、金属酸化物による被覆処理、シリカコート等の公知の表面処理などが挙げられる。
表面処理の具体例を挙げると、例えば蛍光体の表面に上記金属リン酸塩を被覆させるには、以下の(i)〜(iii)の表面処理を行なう。
(i)所定量のリン酸カリウム、リン酸ナトリウムなどの水溶性のリン酸塩と、塩化カルシウム、硫酸ストロンチウム、塩化マンガン、硝酸亜鉛等のアルカリ土類金属、Zn及びMnの中の少なくとも1種の水溶性の金属塩化合物とを蛍光体懸濁液中に混合し、攪拌する。
(ii)アルカリ土類金属、Zn及びMnの中の少なくとも1種の金属のリン酸塩を懸濁液中で生成させると共に、生成したこれらの金属リン酸塩を蛍光体表面に沈積させる。
(iii)水分を除去する。
また、表面処理の他の例のうち好適な例としてシリカコートが挙げられる。シリカコートには、水ガラスを中和してSiO2を析出させる方法、アルコキシシランを加水分解したものを表面処理する方法(例えば、特開平3−231987号公報)等があり、分散性を高める点においてはアルコキシシランを加水分解したものを表面処理する方法が好ましい。
[蛍光体の混合方法]
蛍光体粒子を硬化性材料に含有させる際の混合方法は特に制限されない。例えば、蛍光体粒子の分散状態が良好な場合であれば、上述の硬化性材料に後混合するだけでよい。即ち、硬化性材料と蛍光体とを混合し、この蛍光体を含有する硬化性材料を用意して、この蛍光体を含有する硬化性材料を塗設して層を作製すればよい。また、例えばアルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合を硬化性材料として用いる場合、その硬化性材料中で蛍光体粒子の凝集が起こりやすいのであれば、加水分解前の原料化合物を含む反応用溶液(以下適宜「加水分解前溶液」という。)に蛍光体粒子を前もって混合し、蛍光体粒子の存在下で加水分解・重縮合を行なうと、蛍光体粒子の表面が一部シランカップリング処理され、蛍光体粒子の分散状態が改善される。
なお、蛍光体の中には加水分解性のものもあるが、上記のアルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合物を硬化性材料として用いた場合には、塗布前の流体状態において、水分はシラノール体として潜在的に存在し、遊離の水分はほとんど存在しないので、そのような蛍光体でも加水分解してしまうことなく使用することが可能である。また、加水分解・重縮合後の硬化性材料を脱水・脱アルコール処理を行なってから使用すれば、そのような蛍光体との併用が容易となる利点もある。
また、上記のアルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合物を硬化性材料として用い、さらに、蛍光体粒子や無機粒子を硬化性材料に含有させる場合には、粒子表面に分散性改善のため有機配位子による修飾を行なうことも可能である。他の付加型シリコーン樹脂は、このような有機配位子により硬化阻害を受けやすく、このような表面処理を行なった粒子を混合・硬化することができない場合がある。これは、付加反応型シリコーン樹脂に使用されている白金系の硬化触媒が、これらの有機配位子と強い相互作用を持ち、ヒドロシリル化の能力を失い、硬化不良を起こす傾向があるためである。このような被毒物質としてはN、P、S等を含む有機化合物の他、Sn、Pb、Hg、Bi、As等の重金属のイオン性化合物、アセチレン基等、多重結合を含む有機化合物(フラックス、アミン類、塩ビ、硫黄加硫ゴム)などが挙げられる。これに対し、前記のアルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合物は、これらの被毒物質による硬化阻害を起こしにくい縮合型の硬化機構によるものである。このため、上記のアルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合物は、有機配位子により表面改質した蛍光体粒子や無機粒子、さらには錯体蛍光体などの蛍光成分との混合使用の自由度が大きく、蛍光体バインダや高屈折率ナノ粒子導入透明材料として優れた特徴を備えるものである。
[蛍光体の含有率]
硬化性材料中における蛍光体の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、その適用形態により自由に選定できる。ただし、蛍光体含有層中の蛍光体総量として、通常5重量%以上、好ましくは6重量%以上、より好ましくは7重量%以上、また、通常30重量%以下、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。また、流体状の硬化性材料における蛍光体の含有率は、蛍光体含有層における蛍光体の含有率が前記範囲に収まるように設定すればよい。したがって、流体状の硬化性材料が硬化性材料硬化工程において重量変化しない場合は硬化性材料における蛍光体の含有率は蛍光体含有層における蛍光体の含有率と同様になる。また、流体状の硬化性材料が溶媒等を含有している場合など、硬化性材料が硬化性材料硬化工程において重量変化する場合は、その溶媒等を除いた硬化性材料における蛍光体の含有率が蛍光体含有層における蛍光体の含有率と同様になるようにすればよい。なお、蛍光体含有層だけでなく導光層も蛍光体を含有する場合は、上述の蛍光体含有率は、封止部全体における平均蛍光体含有率の値である。
蛍光体含有層の中の蛍光体含有率や濃度分布は、仕込みより計算できるほか、蛍光体含有層硬化物を化学溶解して蛍光体に特有な元素をICP分析したり、硬化物の断面を作製し、写真撮影後画像処理をおこなったりして求めることができる。以下に、画像処理による濃度分布を求める例を示す。
(1)LEDより蛍光体含有層を剥がし取り、カッターナイフなどで切断して深さ方向の観察が出来る断面を作製する。
(2)蛍光体含有層断面にブラックライトを照射し、蛍光体を各色に発光させた状態で写真を撮影する。
(3)断面写真を画像処理ソフトで処理し、RGB成分ごとに画像を分解して各蛍光体を強調した画像を取得し、蛍光体粒子の個数をカウントする。
(4)深さ方向の濃度分布を求める。
光源から伝送される光を全て蛍光体発光色に変換して所望の発光色を得る場合には、励起光抜けを抑制しするため光源から伝送される光の発光色と蛍光体の発光色とを混色して所望の発光色を得る場合より高濃度の蛍光体含有率が好ましい。また、横向き配光割合が高い小型の発光素子を多連装して用いる場合は、上向き配光高出力発光素子を単装した場合と比較して発光素子直上部の蛍光体含有層には高密度の励起光が照射されにくい。この場合、発光装置は励起光抜けにくくなるため、発光素子直上部の蛍光体含有率は上向き配光高出力発光素子単装の場合より低くすることが出来、蛍光体発熱蓄積による蛍光体や封止部の劣化を低減することが出来る。横向き発光割合高い発光素子を多連装する場合には、発光素子間の蛍光体が両隣の発光素子によって高密度の光にさらされるため、発光素子間の蛍光体含有量が低く発光装置出光面に近い側の蛍光体濃度が高くなる蛍光体配置により、発光素子間の蛍光体の熱消光、熱や光による劣化を低減することができる。蛍光体含有率が上記の範囲より多いと塗布性能が悪化したり、光学的な干渉作用により蛍光体の利用効率が低くなり、輝度が低くなったりする可能性がある。また、蛍光体含有率が上記の範囲より少ないと、蛍光体による波長変換が不十分となり、目的とする発光色を得られなくなる可能性がある。
ただし、前記の蛍光体の含有率は、特に白色の光を得る場合に好適なものである。したがって、具体的な蛍光体含有率は目的色、蛍光体の発光効率、混色形式、蛍光体比重、塗布膜厚、光学部材の形状により多様であり、この限りではない。
[1−5]半導体発光装置の構成
上述したように、本発明の半導体発光装置は、配線パターンを有する基板と、半導体発光素子と、半導体発光素子直下の基板及び/または配線パターンを被覆する光拡散反射材含有層とを少なくとも有するものであれば、その構造は特に制限はなく、例えば封止部等を有するものとすることができる。
以下に、本発明による半導体発光装置の好ましい構造例について図1〜図4を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、図1〜図4は、本発明の半導体発光装置の構造を説明するための図であり、各部材の縮尺等を正確に示すものではない。
例えば図1に示す半導体発光装置10は、平板状の基板11上に、配線パターン12が形成されている。また、半導体発光素子13は、電極(図示せず)が基板11側に配置されている。このような構成においては、基板11上の配線パターン12と半導体発光素子13とを電気的に接続するよう、実装した後、光拡散反射材22を含有する光拡散反射材含有層21を半導体発光素子13及び基板11の間に形成することによって作製することができる。なお、このような構成においては、サブマウントを用いて実装してもよく、また配線パターン12上に直接、半導体発光素子13の電極を電気的に接続することも可能である。
また、図2に示す半導体発光装置10´は、基板11として、半導体発光素子13を包囲する形状を有するものを用いた場合の例である。このような構成においては、基板11の所定の位置に、半導体発光素子13を実装し、光拡散反射材含有層21を形成する。なお、光拡散反射材含有層21は、半導体発光素子13の実装前に形成してもよいが、フリップチップ型の場合には、上述したように、毛細管現象を利用して光拡散反射材含有層21を形成することが好ましく、この場合には、半導体発光素子13の実装後に光拡散反射材含有層21の形成が行なわれる。その後、基板11の内側に、封止部15を形成する硬化性材料を流し込み、流し込んだ硬化性材料を硬化させ、封止部15を形成して作製することができる。
また図3に示すように、半導体発光装置10´´は、図2に示す半導体発光装置10´の封止部15に蛍光体16を含有する構成とすることも可能である。また図4に示すように、半導体発光装置10´´´は、図2に示す半導体発光装置10´の封止部15が、蛍光体16を含有しない層及び蛍光体16を含有する層を含むものとすることもできる。なお、蛍光体16を含有する層は、複数の蛍光体を単層中に含むものとしてもよく、また図示しないが、各色ごとに、複数の層を積層したものであってもよい。
また、上述したような図2〜図4に示す半導体発光装置の封止部15の形状は、例えばドーム状等としてもよい。また上記封止部15をさらに可視光透光性樹脂(不図示)でドーム状に覆って、レンズ機能を持たせてもよい。可視光透光性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができ、それらの中でも特にエポキシ樹脂が好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を用いることができる。またさらに、可視光透光性樹脂には、必要に応じて粘度調整剤、拡散剤、紫外線吸収剤等の添加剤を1種または2種以上を任意の比率及び組み合わせで含有させてもよい。
[1−6.半導体発光装置の特性]
本発明の半導体発光装置は、使用する蛍光体の種類、量を適宜定めることにより任意の色に発光させることが可能である。半導体発光装置を照明装置に用いる場合などは、白色光を発する半導体発光装置が有用である。本発明の半導体発光装置は、発光効率が通常20lm/W以上、好ましくは22lm/W以上、より好ましくは25lm/W以上であり、特に好ましくは28lm/W以上である。また、平均演色評価指数Raが80以上、好ましくは85以上、より好ましくは88以上である。
平均演色評価数Raは、JISで定められている基準光で見たときに、どれだけ色ずれがあるかを数量的にとらえたものであり、演色評価用カラーチャートの演色評価数の平均値で表される。色ずれが小さいほどRaの値は大きく、100に近いほど演色性がよい。平均演色評価指数Raは、JIS Z 8726に準拠して算出される。
また、発光効率は、半導体発光装置の全光束(lm)を同装置の消費電力(W)で除することにより算出する。
まず、測定対象となる半導体発光装置を、測定精度が保たれるように、積分球内部に面した半導体発光装置以外の部分(配線基板やヒートシンクなど)は白色など反射効率の高い色とし、積分球などがついた分光光度計に取り付ける。この分光光度計としては、例えばオーシャンオプティクス株式会社製「USB2000」等が挙げられる。積分球を用いるのは、半導体発光装置から出射した全方向の光を計測し積分する、すなわち、計測されずに測定系外に漏れる光をなくすためである。
次に、この半導体発光装置を点灯し、その発光スペクトル及び全光束(lm)を測定する。測定されたスペクトルは、通常蛍光体含有層から漏れ出た励起用の半導体発光素子からの光(以下、単に「励起光」と記す。)と、蛍光体により波長変換された光が重なって観測される。
全光束(lm)は発光スペクトルの観測された全波長領域において各波長ごとの光束を積分することにより求めることが出来る。また、消費電力(W)は、半導体発光装置に流れる電流(A)と電圧(V)の積をとることにより求めることが出来る。
そして、上記のようにして求めた全光束(lm)を消費電力(W)で除することにより、本発明で定義される発光効率を求めることが出来る。
今日の半導体発光装置は大型化、高輝度化、低コスト化を目的として様々な工夫がなされている。例えば基板上に電極マイグレーションを抑制する金メッキ電極を使用したり、放熱性向上のため銅などのヒートシンクを設けたり窒化アルミなどの基板素材を使用することがある。また低コスト化のためにあえて熱・光による着色を免れない樹脂パッケージを使用するなど、上記の目的を達成するために反射率の低い部材や反射率が経時低下する部材の選択を迫られる場面が多い。本発明の光拡散反射材含有層を有する半導体発光装置は、半導体発光装置内に低反射率の部材を使用した場合においても高輝度を維持し、長寿命を達成することが出来る。
[2]照明装置、および画像表示装置
本発明の半導体発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能である。本発明の半導体発光装置の用途の具体例として、例えば、照明ランプや薄型照明などといった種々の照明装置用の光源、および液晶ディスプレイなどの画像表示装置用の光源(バックライトおよびフロントライトなど)が挙げられる。
画像表示装置は、半導体発光装置を備えた光源と、該光源からの光の照射を受ける、液晶パネルなどの光シャッタを備えた表示パネルを有するものとすることができる。画像表示装置がカラー画像を表示するものである場合、本発明の半導体発光装置をカラーフィルタと併用してもよい。また、本発明の半導体発光装置を照明装置や画像表示装置の光源として用いる場合、半導体発光装置を単独で用いてもよいし複数の半導体発光装置を組み合わせて用いてもよい。
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に詳説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[合成例1](封止部材の製造)
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製両末端シラノールジメチルシリコーンオイルXC96−723を385g、メチルトリメトキシシランを10.28g、及び、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末0.791gを、攪拌翼と、分留管と、ジムロートコンデンサ及びリービッヒコンデンサとを取り付けた500ml三つ口コルベン中に計量し、室温にて15分触媒の粗大粒子が溶解するまで攪拌した。この後、反応液を100℃まで昇温して触媒を完全溶解し、100℃全還流下で30分間500rpmで攪拌しつつ初期加水分解を行った。
続いて留出をリービッヒコンデンサ側に接続し、窒素をSV20で液中に吹き込み生成メタノール及び水分、副生物の低沸ケイ素成分を窒素に随伴させて留去しつつ100℃、500rpmにて1時間攪拌した。窒素をSV20で液中に吹き込みながらさらに130℃に昇温、保持しつつ5.5時間重合反応を継続し、粘度120mPa・sの反応液を得た。なお、ここで「SV」とは「Space Velocity」の略称であり、単位時間当たりの吹き込み体積量を指す。よって、SV20とは、1時間に反応液の20倍の体積のN2を吹き込むことをいう。
窒素の吹き込みを停止し反応液をいったん室温まで冷却した後、ナス型フラスコに反応液を移し、ロータリーエバポレーターを用いてオイルバス上120℃、1kPaで30分間微量に残留しているメタノール及び水分、低沸ケイ素成分を留去し、粘度200mPa・sの無溶剤の封止部材(半導体デバイス用部材形成液)を得た。
<実施例及び比較例>
<1−1.半導体発光素子の作製>
半導体発光素子(以下、チップと言う)として、ピーク波長が405nm、半値幅30nm、サイズ350μm×350μmである方形の、サファイア基板上に発光層が形成された複数のGaN系発光ダイオード(LED)を用いた。より詳しくは、直径が8mmの表面実装型アルミナパッケージの底面の金メッキ電極に、405nmの発光波長を有する10個のフリップチップ型GaN系発光素子を金バンプにてフリップボンド実装し、第一の発光装置を作製した。
また直径が6mmの表面実装型アルミナパッケージ(第一の発光装置のパッケージと同素材)を使用し、半導体発光素子の数を3個とした他は同様にして、第二の半導体発光装置を作製した。
<1−2.蛍光体含有層形成液の調製>
前述の合成例1で合成した封止部材を使用し表6に示すチクソ剤及び蛍光体を封止部材に混合した後、シンキー社製攪拌脱泡装置「泡取り錬太郎ARV−200」にて混合し、蛍光体含有層形成液を得た。
Figure 0005332921
<1−3.光拡散反射材含有層形成用塗布液の調製>
粒子系0.7μmのアルミナ微粒子(アドマテックス製 AO−502)を下記の濃度となるように前述の合成例1で合成した封止部材に混合した後、シンキー社製攪拌脱泡装置「泡取り錬太郎ARV−200」にて混合し、白色の光拡散反射材含有層形成用塗布液を得た。
なお、下記のように、光拡散反射材含有層形成用塗布液のアルミナ微粒子の濃度を0重量%、10重量%、30重量%、50重量%と変化させ、前記第一の発光装置を用いて光拡散反射材含有層中のアルミナ微粒子含有量の異なる発光装置を4種類作製した。
<アルミナ微粒子含有量>
実施例1 50重量%
実施例2 30重量%
比較例1 10重量%
比較例2 0重量%
<1−4.光拡散反射材含有層形成用塗布液の充填>
第一、第二の半導体発光装置いずれもGaN系半導体発光素子とアルミナパッケージの底面(基板)との間は約20μmの隙間があった。第一の発光装置にディスペンサを用いて1チップあたり約0.04mgの光拡散反射材含有層形成用塗布液をチップ近傍にディスペンスし、毛管現象によりチップ(半導体発光素子)下部に充填した。この際、光拡散反射材含有層形成用塗布液の半導体発光素子表面への付着は無く、かつ発光層側面への付着はごくわずかで、液のほとんどが発光層とパッケージ底面電極との隙間に位置する状態とした。
<1−5.封止部の作製>
ディスペンサを用いて、1−2で得られた蛍光体含有層形成液30μlを前出の光拡散反射材含有層が形成された各々の半導体発光装置に注液した。次いでこの半導体発光装置を、90℃で2時間、110℃で1時間、続いて150℃で3時間保持してこの蛍光体含有層形成液及び光拡散反射材含有層形成用塗布液を硬化させ、各実施例及び各比較例の半導体発光装置を得た。
<1−6.輝度の測定>
輝度の測定には、オーシャンオプティクス社製分光器「USB2000」(積算波長範囲:355−800nm、受光方式:100mmφの積分球)を用い、分光器本体の温度変化によるデータ外乱を防ぐため分光器を25℃恒温槽内に保持して測定した。測定中は半導体発光装置の温度上昇を防ぐために、連続点灯試験に用いたアルミ製放熱基板・熱伝導シート及びヒートシンクをそのまま用いて放熱を行った。
図5は透明シリコーン樹脂のみで封止したときのデータで、横軸が光拡散反射材含有層のアルミナの濃度(重量%)、縦軸が光取り出し効率である。アルミナ濃度が0%〜10%の間は光取り出し効率は下がるが、10%〜30%〜50%と増えていくと、光取り出し効率が上がることが判る。特に30%〜50%で、光拡散反射材含有層を形成しない場合(0%)よりも、光取り出し効率が向上した。光拡散反射材含有層中の光拡散反射材の分布状況は、低粘度のバインダ樹脂に比重が大きな光拡散反射材を添加しているため、基板に近い側ほど光拡散反射材の濃度が高いゆるやかな濃度傾斜が起きていると考えられる。この結果、発光素子の側面からの出光は阻害せず、半導体発光素子直下において強い拡散反射効果を有するものと思われる。
また、グラフにはないが、アルミナ濃度50重量%の光拡散反射材含有層を形成したものを、蛍光体を含有する封止部材で封止したところ、光取り出し効率は約10%程度向上した。
<連続点灯試験>
実施例1の半導体発光装置と輝度維持率比較することを目的として、上記第二の半導体発光装置を使用し、光拡散反射材含有層を設けず上記1−2で得られた蛍光体含有層形成液をパッケージ上縁より凹みも盛り上がりもなく塗布し、上記1−5と同様の温度条件にて蛍光体含有層を硬化させ、比較例3の半導体発光装置を得た。
すなわち実施例1は発光素子直下にアンダーフィルとして光拡散反射材含有層を設け、その上に蛍光体含有層を設けたが、比較例3は光拡散反射材含有層を形成せず、直接蛍光体含有層形成液を塗布・硬化した。
実施例1及び比較例3の半導体発光装置をアルミ製放熱基板上に取り付け、さらに熱伝導シートを介して放熱基板下にヒートシンクを取り付け放熱基板とヒートシンクをネジ止め固定した。チップ(半導体発光素子)発光面の温度が100±10℃となる様に維持しながら実施例1の半導体発光装置には360mA、比較例3の半導体発光装置には120mAの駆動電流を通電して、温度60℃相対湿度90%にて連続点灯を行った。一定時間毎に取り出して後述の輝度測定方法にて初期輝度(Lumen)に対する経時の輝度の百分率(輝度維持率)を測定した。結果を図6に示す。
実施例1の半導体発光装置は、比較例3の発光装置より発光素子数が多く高輝度であるため、本来であれば比較例3の発光装置のほうが蛍光体や封止剤の劣化が小さく輝度維持率高くなるはずであるが、連続点灯試験においては実施例1の方が高い輝度維持率を示した。この理由は下記のように考えられる。
(1)比較例3の半導体発光装置は半導体発光素子の直下にも蛍光体が存在するため、発光素子からの高密度の光と熱により半導体発光素子直下の蛍光体が劣化し、輝度が低下した。
(2)実施例1の半導体発光装置は半導体発光素子直下に光拡散反射材含有層をアンダーフィルとして設けているため隠蔽性及び光拡散反射性が高く、半導体発光素子直下の蛍光体や封止剤(実施例1においては光拡散反射材含有層中のバインダ樹脂)・基板に強い光が照射されないために、これらの部材の光や熱による着色・変性・剥離が少なくそれらに起因する輝度低下が抑制された。
以上のことから、本発明の光拡散反射材含有層は、半導体発光素子の輝度を向上させるのみならず、連続点灯における輝度維持率を向上させることがわかる。さらに信頼性高いパッケージや基板・封止剤と組み合わせることにより、各種照明用途ならびに画像表示装置の光源として好適に使用することが出来る。
<光学シュミレーション>
実施例1と同様の光学配置構成の発光装置について、光拡散反射材含有層に分散させる微粒子の屈折率、粒子径の影響を調べるために光学シュミレーションを行った。
前提条件:
発光素子 基板 サファイア(n=1.76、k=0)
発光部 GaN層 (n=2.55、k=0)
素子底面 ITO (n=2.12、k=4.35×10−2
パッケージ電極表面 Au (n=1.65、k=1.96)
封止部材 合成例1の樹脂 (n=1.41、k=0)
光拡散反射材 Al (n=1.76、k=0)
図7及び下記表7は横軸が光拡散反射材含有層に含有させる光拡散反射材の屈折率、縦軸が光取り出し効率としたときのシュミレーション結果である。屈折率をシリコーン樹脂よりも少し高めの1.5〜2.75まで変えてみたところ、屈折率に対し取出し効率は単調増加し、屈折率が2.0以上で、光取り出し効率がほぼ一定となった。このことから、アルミナ(1.7)よりも高屈折率のジルコニア(2.1)、チタニア(2.2)、GaN(2.55)、などの粒子がより良いことが判る。
Figure 0005332921
図8及び表8は横軸が光拡散反射材含有層に含有させる粒子の粒子径、縦軸が光取り出し効率としたときのシュミレーション結果である。屈折率を1.5〜2.75と変化させたときの光取り出し効率の変化をそれぞれ示してある。屈折率によって、光取り出し効率が最大になる粒子径が異なることが判る。表中、nは屈折率を表す。
Figure 0005332921
本発明の半導体発光装置の用途は特に制限されないが、例えば照明装置、画像表示装置、薄型テレビなどの液晶バックライト用光源などの広範な分野において好適に使用することが出来る。特に輝度及び発光効率に優れ、これらを長期にわたり維持可能であることから、照明装置、及び画像表示装置等の各分野において、その産業上の利用可能性は極めて高い。
10、10´、10´´、10´´´ …半導体発光装置
11 …基板
12 …配線パターン
13 …半導体発光素子
15 …封止部
16 …蛍光体
21 …光拡散反射材含有層
22 …光拡散反射材

Claims (9)

  1. 半導体発光素子と、配線パターンを有する基板とを含む半導体発光装置において、
    該半導体発光素子直下の該基板及び/または該配線パターンの表面が、光拡散反射材の濃度が30重量%以上、70重量%以下である光拡散反射材含有層で被覆されており、
    該光拡散反射材が、金属酸化物又は金属窒化物であり、
    該光拡散反射材含有層が、シリコーン樹脂を含み、前記基板に近い側ほど前記光拡散反射材の濃度が高い濃度傾斜を有する
    ことを特徴とする、半導体発光装置。
  2. 半導体発光素子と、配線パターンを有する基板とを含む半導体発光装置において、
    該半導体発光素子直下の該基板及び/または該配線パターンの表面が、光拡散反射材の濃度が10体積%以上、40体積%以下である光拡散反射材含有層で被覆されており、
    該光拡散反射材が、金属酸化物又は金属窒化物であり、
    該光拡散反射材含有層が、シリコーン樹脂を含み、前記基板に近い側ほど前記光拡散反射材の濃度が高い濃度傾斜を有する
    ことを特徴とする、半導体発光装置。
  3. 該光拡散反射材の平均中心粒径が、50nm以上、5000nm以下である
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の半導体発光装置。
  4. 該光拡散反射材の屈折率が、1.5以上、3.0以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  5. 該半導体発光素子が、該基板上にフリップチップ型に配置されている
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  6. 該配線パターンを被覆した該光拡散反射材含有層の反射率が、70%以上である
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  7. 該半導体発光素子が、紫外から近紫外までの間の発光波長を有する
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体発光装置を光源として用いた
    ことを特徴とする、照明装置。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体発光装置を備えた光源と、前記光源からの光の照射を受ける、光シャッタを備えた表示パネルと、を有する
    ことを特徴とする、画像表示装置。
JP2009136757A 2009-06-05 2009-06-05 半導体発光装置、照明装置、及び画像表示装置 Expired - Fee Related JP5332921B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009136757A JP5332921B2 (ja) 2009-06-05 2009-06-05 半導体発光装置、照明装置、及び画像表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009136757A JP5332921B2 (ja) 2009-06-05 2009-06-05 半導体発光装置、照明装置、及び画像表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010283244A JP2010283244A (ja) 2010-12-16
JP5332921B2 true JP5332921B2 (ja) 2013-11-06

Family

ID=43539713

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009136757A Expired - Fee Related JP5332921B2 (ja) 2009-06-05 2009-06-05 半導体発光装置、照明装置、及び画像表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5332921B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018093097A (ja) * 2016-12-06 2018-06-14 日亜化学工業株式会社 発光装置

Families Citing this family (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6157118B2 (ja) * 2010-03-23 2017-07-05 株式会社朝日ラバー 可撓性反射基材、その製造方法及びその反射基材に用いる原材料組成物
JP2013012559A (ja) * 2011-06-29 2013-01-17 Nichia Chem Ind Ltd 発光素子の製造方法
JP5874233B2 (ja) * 2011-08-05 2016-03-02 日亜化学工業株式会社 発光素子及び発光装置
JP5982790B2 (ja) * 2011-11-15 2016-08-31 東洋インキScホールディングス株式会社 発光装置
JP2013105946A (ja) * 2011-11-15 2013-05-30 Toyo Ink Sc Holdings Co Ltd 発光装置
JP6038443B2 (ja) * 2011-11-21 2016-12-07 スタンレー電気株式会社 半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法
CN103503182A (zh) 2012-01-23 2014-01-08 松下电器产业株式会社 氮化物半导体发光装置
JP2013243344A (ja) * 2012-04-23 2013-12-05 Nichia Chem Ind Ltd 発光装置
JP6477794B2 (ja) * 2012-04-23 2019-03-06 日亜化学工業株式会社 発光装置
CN103918093B (zh) 2012-06-18 2017-02-22 夏普株式会社 半导体发光装置
JP6102116B2 (ja) * 2012-08-07 2017-03-29 日亜化学工業株式会社 発光装置の製造方法
JP5994472B2 (ja) 2012-08-09 2016-09-21 日亜化学工業株式会社 発光装置
JP2014093311A (ja) * 2012-10-31 2014-05-19 Nichia Chem Ind Ltd 発光装置およびその製造方法
JP2014096539A (ja) * 2012-11-12 2014-05-22 Tokuyama Corp 紫外発光素子、および発光構造体
JP6186904B2 (ja) 2013-06-05 2017-08-30 日亜化学工業株式会社 発光装置
JP6229412B2 (ja) * 2013-09-30 2017-11-15 日亜化学工業株式会社 発光装置の製造方法
JP6432416B2 (ja) 2014-04-14 2018-12-05 日亜化学工業株式会社 半導体装置
US11177423B2 (en) 2017-05-19 2021-11-16 Citizen Electronics Co., Ltd. Light emitting device
JP2019125683A (ja) * 2018-01-16 2019-07-25 東芝マテリアル株式会社 Ledモジュール
JP2020021823A (ja) * 2018-07-31 2020-02-06 日亜化学工業株式会社 発光装置
JP6959557B2 (ja) * 2018-08-27 2021-11-02 日亜化学工業株式会社 発光装置
JP7372512B2 (ja) * 2018-09-28 2023-11-01 日亜化学工業株式会社 発光装置および発光装置の製造方法
JP7007606B2 (ja) * 2020-04-15 2022-01-24 日亜化学工業株式会社 発光装置およびその製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6878973B2 (en) * 2001-08-23 2005-04-12 Lumileds Lighting U.S., Llc Reduction of contamination of light emitting devices
JP2007109948A (ja) * 2005-10-14 2007-04-26 Toyoda Gosei Co Ltd 発光装置及びその製造方法
JP2007281260A (ja) * 2006-04-07 2007-10-25 Sumitomo Metal Electronics Devices Inc リフレクターとそれを用いた発光素子収納用パッケージ及びリフレクターに用いるレンズ
WO2009069671A1 (ja) * 2007-11-29 2009-06-04 Nichia Corporation 発光装置及びその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018093097A (ja) * 2016-12-06 2018-06-14 日亜化学工業株式会社 発光装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010283244A (ja) 2010-12-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5332921B2 (ja) 半導体発光装置、照明装置、及び画像表示装置
JP2010004035A (ja) 半導体発光装置、照明装置、および画像表示装置
JP5552748B2 (ja) 硬化性ポリシロキサン組成物、並びに、それを用いたポリシロキサン硬化物、光学部材、航空宇宙産業用部材、半導体発光装置、照明装置、及び画像表示装置
TWI407583B (zh) 照明裝置
JP6213585B2 (ja) 半導体デバイス用部材、及び半導体発光デバイス
TWI422666B (zh) 半導體發光裝置用構件及其製造方法,暨使用其之半導體發光裝置
JP2010004034A (ja) 半導体発光装置、照明装置、および画像表示装置
JP5286969B2 (ja) 半導体発光デバイス用部材形成液、半導体発光デバイス用部材、航空宇宙産業用部材、半導体発光デバイス、及び蛍光体組成物
JP2009135485A (ja) 半導体発光装置及びその製造方法
WO2011125463A1 (ja) 光半導体装置用封止剤及び光半導体装置
JP2010100743A (ja) 蛍光体含有組成物の製造方法
JP5374857B2 (ja) 蛍光体含有組成物の製造方法、及び半導体発光デバイスの製造方法
JP2008260930A (ja) 蛍光体含有組成物、発光装置、照明装置、および画像表示装置
JP5374855B2 (ja) 蛍光体含有組成物の製造方法
JP5446078B2 (ja) 半導体デバイス用部材、並びに半導体デバイス用部材形成液及び半導体デバイス用部材の製造方法、並びに、それを用いた半導体発光デバイス、半導体デバイス用部材形成液、及び蛍光体組成物
JP2011129901A (ja) 半導体発光装置の製造方法
WO2010098285A1 (ja) 光半導体装置用封止剤及びそれを用いた光半導体装置
JP2010100733A (ja) 蛍光体含有組成物の製造方法
JP2009224754A (ja) 半導体発光装置、照明装置、及び画像表示装置
JP5141107B2 (ja) 照明装置
JP2015145481A (ja) 光半導体装置用封止剤及び光半導体装置
JP2015209491A (ja) 光半導体装置用封止剤及び光半導体装置
JP2012190952A (ja) 光半導体装置用封止剤、光半導体装置用封止剤の硬化物及び光半導体装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120412

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130312

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130313

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130509

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130702

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130715

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees