JP2010048758A - 装置の異常診断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被駆動部が複数の一連の動きによって1サイクルを構成するような動きをする装置の異常診断装置21であって、前記装置に発生する振動を検出する振動センサ23と、1サイクルの動きを反映した信号を入力し、該入力信号をトリガとして振動センサ23による振動データの収集を少なくとも1サイクル分行なうサンプリング制御手段31と、収集されたデータと予め設定した基準値とを比較して前記駆動部の異常の有無を判定する判定手段33とを備えたことを特徴とする異常診断装置。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、監視しているサーボモータ電流、軸受温度、潤滑油圧、軸変位等の運転中データは、装置に損傷等の異常が発生した場合にこれらの値が増加するが、これはあくまでも損傷の程度がある程度大きな場合に限られるため、異常の検知精度や異常原因特定精度という観点からは、好ましいとは言えない。
このような振動データに基づく診断は、一般的には一定速度で比較的高速回転の装置を対象としている。
これは、プレス機のような間欠駆動する装置は常時駆動しているわけではないので駆動のタイミングに合わせてデータ収集する必要があり、また駆動に加減速を伴うために一定速度で駆動している装置に対する振動診断手法をそのまま利用することができない等の理由により、プレス機のような間欠駆動する装置は振動データに基づく診断には適していないと思われていたからである。
特許文献1に提案されたものは、工作機械の動きを反映した信号を検出する信号検出部と、信号検出部から出力された信号のうち工作機械の運転中における特定期間の信号を対象信号として切り出す信号切出部と、対象信号の波形変化を数値化した評価値を求める評価値演算部と、工作機械の正常運転時における評価値を用いてあらかじめ設定した正常範囲と工作機械の運転時における評価値とを比較し運転時の評価値が正常範囲を逸脱しているときに工作機械の異常と判定する判定部とを備えることを特徴とする工作機械の異常検出装置である(特許文献1の請求項1参照)。
特許文献1においては、信号検出部の例として、工作機械の振動を検出する振動センサを用いることを提案している。
特許文献1に開示された異常検出装置の考え方は、工作機械が加減速を伴うために、異常検出に用いる振動データと工作機械の運転状況を関連付ける必要があるとして、振動データの中から工作機械が運転中に相当する特定期間の対象信号を切り出し、この対象信号について信号波形を評価しようとするものである。
しかし、特許文献1に記載のものは、加減速を伴う装置の動きにおける同じ動きの信号を検出対象とするために特定期間の信号を検出対象として切り出すというものであり、この特定期間について評価ができるのみである。
このため、例えば、特許文献1の技術を、トランスファプレス機に用いられるトランスファ装置のようにワークを搬送するビームの上昇と下降、行きと帰り、クランプとアンクランプなどのように、複数の一連の動きによって1サイクルを構成するような被駆動部(ビーム)を有する装置の駆動状況の診断に適用したとしても、1サイクル中の一つの動きにおける一部分のデータを用いて診断することになり、1サイクル中に存在する異常データを取りこぼすことも考えられ、信頼性の高い傾向管理が困難である。
図1は本発明の一実施の形態に係る異常検出装置の概要を示す図である。本実施の形態は、被駆動部が複数の一連の動きによって1サイクルを構成するような動きをする装置の一例としてトランスファ装置を備えたトランスファプレス機を例に挙げ、該プレス機の異常を検出する異常検出装置に関するものである。
まず、トランスファ装置を備えたトランスファプレス機の一例として特開2007―922号公報に開示されたものを例に挙げ、その構成とその動きについて説明し、その後、異常検出装置について説明する。
図2、図3はトランスファプレス機100の説明図であり、図2(a)が縦断面図であり、図2(b)が金型の配列を拡大して示す図であり、図3は図2の横断平面図である。
図2、図3に示すトランスファプレス機100は、昇降するラム11とベース12とに5組の上下金型Q1〜Q5が上流側から下流側へ並べて配列されており、上流側から下流側へ延びるトランスファ装置1の左右一対のビーム2によって、供給台13に供給されるワークW0を順次下流側の金型Q1〜Q5に搬送され、順にワークW1〜W5として鍛造成形するというものである。
図5、図6はこの一対のビーム2の動きを模式的に示すものである。図5、図6に基づいて一対のビーム2の動きを説明する。
一対のビーム2は、図6に示すように、搬送方向の中間の上昇位置で左右に開けられた待機状態(P1)から、左右方向へ接近するように移動して各ワークW0〜W5をフィンガ3で把持し(図6のP2)(図5のクランプ)、上昇し(図5のリフト)、つぎに搬送方向へ前進(図5のフィード)したのち(図6のP3)、下降し(図5のダウン)、左右方向へ離反して把持した各ワークW0〜W5をフィンガ3から開放し(図5のアンクランプ)(図6のP4)、後退する(図5のリターン)。これらの動きを繰り返すことにより、各ワークW0〜W5が一段ずつ下流側の各金型Q1〜Q5と排出台14に順次搬送される。
本実施の形態に係る異常診断装置21は、図1に示すように、トランスファプレス機100の所定の箇所に設置された振動センサ23と、振動センサ23の信号を入力して増幅等する信号入力ユニット25と、入力信号をデジタル信号に変換するAD変換ユニット27と、変換された信号を処理して異常の有無を診断する診断装置28を備えている。
診断装置28は、データ収集手段29と、サンプリング制御手段31と、判定手段33と、グラフィック表示手段35と、モニタ37とを備えている。
以下、各構成をさらに詳細に説明する。
振動センサ23は、振動を検出したい部位に取り付けられて、振動データを検出する。
本実施の形態においては、振動センサ23は、昇降するラムのメタル軸受け部(図示なし)と、トランスファ装置1におけるフィード及びリターン動作を行なうボールネジ5aが挿入されるナット6aの部分、トランスファ装置1における一対のビーム2を動作させるボールネジ5bが挿入されるナット6bの部分にそれぞれ設置されている。
<信号入力ユニット>
信号入力ユニット25は、各振動センサ23からの信号を増幅してAD変換ユニット27に出力する。
<AD変換ユニット>
AD変換ユニット27は、入力された信号をデジタル信号に変換して診断装置28へ出力する。
診断装置28は、前述したように、データ収集手段29と、サンプリング制御手段31と、判定手段33と、グラフィック表示手段35と、モニタ37とを備えており、各手段は以下の機能を有している。なお、各手段はCPUがプログラムを実行することによって実現される。以下、診断装置28を構成する各手段について詳細に説明する。
データ収集手段29は、AD変換ユニット27から出力される信号を入力してデータを収集する。
サンプリング制御手段31は、トランスファ装置1の動きを制御する制御装置の制御信号を入力して、この信号をトリガとしてデータ収集手段29によるデータのサンプリング開始を指示する。また、サンプリング制御手段31は、サンプリング開始後、予め定めた時間が経過したときにデータ収集手段29によるデータ収集の終了を指示する。この予め定めた時間とは、例えばトランスファプレス機100の1サイクルの動きに要する時間、例えば3.5秒である。
なお、サンプリング制御手段31によるサンプリング終了の指示は、予め定めた時間に代えてトランスファ装置1において1サイクルの動きが終了した旨の制御信号を入力したときにするようにしてもよい。
判定手段33は、データ収集手段29によって収集されたデータを入力して収集されたデータと予め設定した基準値とを比較してトランスファプレス機100の異常の有無を判定する。
判定の方法としては、例えば以下のようにする。
まず、収集した波形データから以下に示すようなパラメータを算出する。
(1)振動速度ピーク値
振動速度スキューネス(歪み度)β1とは、振動波形がゼロ点を中心にしていかに非対称となっているかを示すパラメータである。
(4)振動速度クートシス(尖り度)β2
振動速度クートシス(尖り度)β2とは、振動波形がゼロ点を中心にしていかに尖っているかを示すパラメータである。
1サイクル分のデータのいずれかに閾値を超えるものがあるときには、異常と判定し、次にそれがトランスファプレス機100の1サイクルの中のどの動きのときに発生しているかを特定する。
どの動きのときであるかの特定は、振動データのサンプリング開始から閾値を超えるデータが収集されたタイミングと、このタイミングにおけるトランスファプレス機100の動きを示すデータとを対比することによって特定する。これによって、その動作を行なっている駆動部が特定され、異常個所が特定される。
グラフィック表示手段35は、データ収集手段29によって収集された振動データとトランスファ装置1の動きを関連付けてグラフィック表示する。
具体例を挙げれば、振動データに基づく振動波形(加速度波形及び/又は速度波形)を時間軸と共に表示し、同じ時間軸でトランスファ装置1のビーム2の移動距離(フィード量)を線図で表示する。
上記のように構成された本実施の形態に係る異常診断装置21の動作を説明する。
診断装置28のサンプリング制御手段31は、トランスファ装置1の制御装置の制御信号を入力してトランスファ装置1の動きを監視する。トランスファ装置1の制御信号により、トランスファ装置1の稼動が確認されると、データ収集手段29によるデータ収集の開始を指示する。トランスファ装置1の制御信号としては、例えばビーム2によるクランプ動作を行なわせるためのサーボモータ4bに対する駆動信号が挙げられる。
データ収集手段29により、データ収集が開始され、予め定めた所定の時間が経過すると、データ収集が完了する。
データ収集が完了すると、収集したデータに基づいて判定手段33が上述の要領によって異常判定を行う。
振動波形を示すグラフにおいては横軸が時間軸を、縦軸(図中左側)が加速度の大きさをそれぞれ示している。動作線図を示すグラフにおいては、横軸が振動波形と同じ時間軸であり、縦軸(図中右側)はフィード量を示している。動作線図において、図中の(a)はクランプしてリフトする動きを示し、(b)は送り1を示し、(c)は中間停止状態を示し、(d)は送り2を示し、(e)はアンクランプとダウンを示し、(f)は戻り(リターン)を示している。
また、図7から判るように、ボールネジ5aが挿入されたナット6aの部分が駆動する動きとしては、送りと戻りの2つの動きがあるが、両方の動きにおいて異常振動が発生していることが分かる。それ故に異常発生部位を確実に特定できる。
なお、同一の駆動部が異なる動きをする場合において、ある動きのときには振動が発生し、他の動きのときには振動が発生しないということも想定できるが、本実施の形態によれば同一駆動部におけるどの動きのときに振動が発生するかということも特定できるので、より適切な診断ができる。
また、異常発生時も、1サイクルの振動データと動作に関するデータを同時に管理しているので、装置におけるどの部位のどの動きのときに異常が発生しているかを的確に診断することができ、精度の高い異常診断が可能となる。
さらに、1サイクルの全体についてまず診断して、次に異常があるときにその部位を診断するようにしているので、効率的でかつ緻密な診断が可能となっている。
診断対象となる装置において想定される振動波形データに基づいて周波数分析、相関分析等を行い予め異常原因判定ロジックを作成しておく。この異常判定ロジックの例を、表1に示す。
実施の形態で示した異常診断装置21によって実機であるトランスファプレス機の常時監視を実施していたところ、加速度ピーク値で130m/s2の異常警報が発生した(基準値は100m/s2)。このときの、警報発生時の振動波形を図8(a)に示す。
図8(a)に示すように、サンプリングした振動波形には異常振動が発生していることが示されている。
この異常振動の発生タイミングは、図7で説明したように、トランスファ装置1における送りと戻り作動時に一致していることから、この動作時に駆動しているボールネジが挿入されたナットの部分に異常があると診断した。
設備を停止して直動ユニットを交換後は、加速度値が54m/s2に低下して良好値となった。交換後の加速度波形を図8(b)に示す。このことから、診断結果が正しかったことが確認された。
図9(a)は、10秒間の加速度波形データであるが、この場合にはビーム2によるクランプ動作時に異常波形が発生し、アンクランプ動作時に再度異常波形が発生していることを示している。つまり、クランプ動作の際のボールネジ作動毎に過大振動が発生しており、明らかにボールネジに異常有りと診断することができる。
ボールネジを取り外し、取り外し後のボールネジを点検した結果、実際にネジが曲損していることを確認した。
ボールネジ交換後は図9(b)に示すように、振動が1/22に小さくなり、診断結果が正しかったことを確認した。
また、上記の例に挙げたトランスファプレス機100のように複数の駆動部の組合せによって1サイクルの動きを構成する場合の他、単一の駆動部の異なる動きによって1サイクルの動きを構成するような装置のも診断対象に含む。
2 ビーム
3 フィンガ
4a、4b、4c サーボモータ
5a、5b、5c ボールねじ
6a、6b、6c ナット
7 支持台
8 昇降台
10 制御装置
21 異常診断装置
23 振動センサ
25 信号入力ユニット
27 AD変換ユニット
28 診断装置
29 データ収集手段
31 サンプリング制御手段
33 判定手段
35 グラフィック表示手段
37 モニタ
100 トランスファプレス機
Claims (4)
- 被駆動部が複数の一連の動きによって1サイクルを構成するような動きをする装置の異常診断装置であって、
前記装置に発生する振動を検出する振動センサと、前記1サイクルの動きを反映した信号を入力し、該入力信号をトリガとして前記振動センサによる振動データの収集を少なくとも1サイクル分行なうサンプリング制御手段と、収集されたデータと予め設定した基準値とを比較して前記駆動部の異常の有無を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする異常診断装置。 - 判定手段は、1サイクルの動きを反映した信号と、収集した振動データとに基づいて、異常がどの動作のときに発生しているかを判定する機能を備えたことを特徴とする請求項1に記載の異常診断装置。
- 判定手段は、振動波形データについて予め設定した周波数分析及び相関分析を行い、この分析結果と、診断対象となる駆動部において想定される振動波形データに基づいて周波数分析、相関分析を行い予め作成された異常原因判定ロジックとに基づいて異常発生箇所や異常原因を特定する機能を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の異常診断装置。
- 振動データに基づく振動波形を表すグラフと、1サイクルの動きを表すグラフとを対比して表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の異常診断装置。
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