JP2010048529A - 膨張弁 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】膨張弁1においては、導入ポート6から導入された冷媒が、小孔47における第1の流動抵抗および間隙通路48における第2の流動抵抗を段階的に受けた後に弁部に導かれる。これらの総通路抵抗により冷媒の流速が抑えられ、その結果、弁部を通過する冷媒の流動音が大きくなる冷凍サイクルの起動時においてもその流動音が許容設定値以下に抑えられる。一方、その総通路抵抗によっても冷媒の必要流量は確保されるため、冷凍サイクルに要求される能力は確保される。
【選択図】図1
Description
本実施の形態は、本発明の膨張弁を自動車用空調装置の冷凍サイクルに適用される温度式膨張弁として具体化している。この冷凍サイクルには、循環する冷媒を圧縮するコンプレッサ、圧縮された冷媒を凝縮するコンデンサ、凝縮された冷媒を気液に分離するレシーバ、分離された液冷媒を絞り膨張させて霧状にして送出する膨張弁、その霧状の冷媒を蒸発させてその蒸発潜熱により車室内の空気を冷却するエバポレータが設けられているが、膨張弁以外の詳細な説明については省略する。
膨張弁1は、アルミニウム合金からなる素材を押出成形して得た部材に所定の切削加工を施して形成されたボディ2を有する。このボディ2は角柱状をなし、その内部には冷媒の絞り膨張を行う弁部が設けられている。ボディ2の長手方向の端部には、感温部として機能するパワーエレメント3が設けられている。
弁室45の内周部と弁体18の外周部(正確には、弁体受け42の外周部)との間には、通路断面が狭小化された間隙通路48が形成されている。本実施の形態では、弁体18の外径(正確には、弁体受け42の外径)を特に大きくすることなく、弁室45の内径を小さくすることで所定通路断面の間隙通路48が形成されている。小孔47と間隙通路48とは弁室45の長手方向に離間している。導入ポート6から導入された冷媒は、小孔47において第1の流動抵抗を受け、続いて間隙通路48にて第2の流動抵抗を受けて弁孔16に導かれ、その弁部を通過して導出ポート7から導出される。
一方、冷凍サイクルの起動時における流動音を許容設定値以下とするためには、総通路抵抗を下限値r0以上とする必要がある。冷凍サイクルの起動時には弁部を通過する冷媒の液密度が低く、流動抵抗が小さくなるほど冷媒の流速が大きくなって弁部における摩擦音が大きくなるからである。このため、本実施の形態では、総通路抵抗r0からr2までの間を第1の選定域として設定し、その流動抵抗が得られるよう、小孔47および間隙通路48の大きさをそれぞれ設定している。この場合、例えば小孔47および間隙通路48のいずれか一方により総通路抵抗を確保する、つまり他方は流動抵抗に実質的に寄与しない構成とすることも考えられる。しかし、いずれか一方の流動抵抗が高くなりすぎると、その下流側かつ弁部の手前で冷媒が霧状になるなど、その流れが不安定になる可能性があるため、このように段階的に流動抵抗を付与して総通路抵抗を確保するのが好ましい。一例として、その第1の流動抵抗と第2の流動抵抗との総和である総通路抵抗が、冷凍サイクルの起動時における弁部の全開時の流動抵抗と実質的に等しくなるように構成してもよい。
また、本実施の形態では、冷凍サイクルの運転状態の安定期での必要流量を確保するために、さらに総通路抵抗の上限値r1を設定している。ここでいう「安定期」は、冷凍サイクルの起動時から時間が経過し、膨張弁1が微少開度にて安定した制御状態にある運転状態である。この安定期では、冷媒が例えば過冷却された状態にあり、冷凍サイクルの起動時に比べて液密度が高くなっている。この安定期での冷媒流量が冷凍サイクルにおける冷媒の流量特性を決定するものでもあるため、その必要流量を確保することを前提とする必要がある。そこで、本実施の形態では、総通路抵抗r0からr1までの間を第2の選定域として設定している。すなわち、総通路抵抗r0を下限値とすることには変わりないが、上限値については総通路抵抗r1およびr2の小さいほうを採用することにする。図示の例では、総通路抵抗r1<r2の場合が示されているが、冷凍サイクルによりそれと逆になることがありうる。要するに、起動時および安定期の双方における必要流量を確保しつつ、流動音が許容設定値以下となるように総通路抵抗を決定している。
また、本実施の形態では、弁体18を特に大きくすることなく、弁室45の内径を調整するようにして第2の流動抵抗を確保するようにしたため、弁室45が小さく形成されている。さらに、アジャストねじ20もその弁室45の大きさに合わせて小さく形成したため、膨張弁1全体のコンパクト化を実現できるといった利点もある。
Claims (3)
- 冷凍サイクルの上流側から導入された冷媒をボディ内の弁部を通過させることにより絞り膨張させて下流側へ導出する膨張弁において、
前記ボディを貫通するように形成され、その一端側に冷媒の導入ポートが設けられる一方、他端側に冷媒の導出ポートが設けられた冷媒通路と、
前記冷媒通路の中間部に設けられた弁孔と、
前記冷媒通路の前記弁孔と前記導入ポートとの間に設けられた弁室と、
前記弁室に配設され、前記弁孔に接離して前記弁部を開閉する弁体と、
前記冷媒通路における前記弁室と前記導入ポートとの間に設けられ、その通路断面が局部的に狭小化されて形成された小孔と、
前記小孔と離間した位置において前記弁室の内周部と前記弁体の外周部との間に形成される間隙通路と、を備え、
前記導入ポートから導入された冷媒が、前記小孔および前記間隙通路を順次経由して前記弁部を通過し、前記導出ポートから導出されるように構成され、
前記冷媒通路を流れる冷媒の前記小孔における第1の流動抵抗と、前記間隙通路における第2の流動抵抗との総和である総通路抵抗が、前記冷凍サイクルの起動時において前記弁部を通過する冷媒の流動音が予め定める許容設定値以下となる一方、前記弁部を通過する冷媒の必要流量を許容するように、前記小孔および前記間隙通路の大きさがそれぞれ設定されていること特徴とする膨張弁。 - 前記弁部を通過して絞り膨張された冷媒を前記導出ポートから導出してエバポレータへ供給し、前記エバポレータから戻ってきた冷媒の圧力と温度を感知して前記弁部の開度を制御する温度式膨張弁として構成され、
前記冷媒通路とは別に前記ボディを貫通するように形成され、前記エバポレータから戻ってきた冷媒を通過させる戻り通路と、
前記ボディに取り付けられ、前記戻り通路を流れる冷媒の温度および圧力を感知して動作し、その駆動力を前記弁体に伝達して前記弁部の開度を変化させ、前記エバポレータへ供給する冷媒の流量を制御するパワーエレメントと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。 - 前記弁室に配設され、前記パワーエレメントによる開弁方向の付勢力に抗して前記弁体を閉弁方向に付勢するスプリングと、
前記ボディに前記弁室を封止するように固定され、前記スプリングを前記弁体とは反対側で支持するとともに、前記ボディへの取付位置により前記スプリングの荷重を設定するアジャスト部材と、を備え、
前記弁室の大きさが、前記第2の流動抵抗を生じさせる前記間隙通路の大きさを実現できる程度に小さく設定されていることを特徴とする請求項2に記載の膨張弁。
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