JP2010046358A - 空気浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】交換部材を必要とせず、装置内部を清浄に保ち、臭気発生を効率的に防止できる空気浄化装置を目的とする。
【解決手段】本発明の空気浄化装置10は、洗浄塔20内で空気を洗浄水と接触させて空気を洗浄する気液接触部30と、その下方に設けられた洗浄水を貯水する貯水槽100と、前記貯水槽100の洗浄水を前記気液接触部30に送水する循環手段とを有する空気浄化装置10において、前記洗浄塔20の内部を水で洗浄する水洗手段を有することよりなる。
【選択図】図1

Description

本発明は空気浄化装置に関する。
従来、空気浄化装置としては、フィルタで粉塵を捕捉する集塵フィルタや、ガス状物質を活性炭等の吸着・吸収剤入フィルタを用いて吸着除去を行うフィルタ式空気浄化装置がある。しかし、これらのフィルタ式空気浄化装置は、集塵フィルタの目詰まりや、吸着・吸収剤入フィルタが飽和状態になることにより、浄化能力が損なわれる。また、外気を取り込むことにより、空気の浄化を図る手段もあるが、取り込む大気の清浄度が問題になる。このような問題に対し、気液接触により空気中の粉塵、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、NH等の大気汚染物質(総じて、汚染物質という)を洗浄水中に取り込み、屋内空気の浄化と換気を行う空気浄化装置がある(例えば、非特許文献1、2)。このような気液接触型の空気浄化装置は、フィルタ等の交換部材を設置することなく、空気中の汚染物質の除去、空気の脱臭を行える。しかし、空気浄化を継続すると、洗浄水への汚染物質の溶解度が低下し、空気浄化装置の浄化機能が低下する。このため、洗浄水を定期的に交換することで、浄化機能の維持を図っている。
社団法人空気調和・衛生工学会編,「空気調和・衛生工学便覧 2汎用機器・空調機器篇」,第13版,社団法人空気調和・衛生工学会,平成13年11月30日,p.605−607 環境科学フォーラム編,「わかりやすい空気浄化のしくみ」,第1版,株式会社オーム社,平成11年9月20日,p.83−88
しかしながら、洗浄水の汚染は、洗浄水の交換により解消できるが、長期使用の間には気液接触部や、洗浄水の貯水槽、あるいは、ポンプ内等の流通経路に汚染物質が次第に堆積する。汚染物質が堆積すると、汚染物質自体の臭気、あるいは、微生物の増殖等により、空気浄化装置で処理した空気が臭気を伴うおそれがある。このような、空気浄化装置の部材の汚染を防止するために、吸気口への集塵フィルタ等の設置が行われるが、該フィルタの機能低下に伴う交換が必要となる。加えて、吸気口に集塵フィルタ等を設置しても、空気浄化装置の部材の汚染を完全には防止できない。
そこで本発明は、交換部材を必要とせず、装置内部を清浄に保ち、臭気発生を防止できる空気浄化装置を目的とする。
本発明の空気浄化装置は、洗浄塔内で空気を洗浄水と接触させて空気を洗浄する気液接触部と、その下方に設けられた洗浄水を貯水する貯水槽と、前記貯水槽の洗浄水を前記気液接触部に送水する循環手段とを有する空気浄化装置において、前記洗浄塔の内部を水で洗浄する水洗手段を有することを特徴とする。水洗手段としては、以下の三態様である。
第一の態様の水洗手段は、前記貯水槽の洗浄水が旋回流を形成するように、前記貯水槽に洗浄水を供給する給水部が設けられていることが好ましく、前記貯水槽には、洗浄水を電解する一対の電極が設けられ、前記電極は、前記供給部から供給される洗浄水の流れを制御するように配置されていることがより好ましい。
第二の態様の水洗手段は、前記貯水槽の洗浄水が旋回流を形成するように、前記貯水槽の洗浄水を抜き出す抜水部が設けられていることが好ましく、前記貯水槽には、洗浄水を電解する一対の電極が設けられ、前記電極は、前記抜水部への洗浄水の流れを制御するように配置されていることがより好ましい。
第三の態様の水洗手段は、前記洗浄塔内への給水による前記気液接触部の浸漬機構と、前記洗浄塔内の水の排水機構とによることが好ましい。
本発明の空気浄化装置は、交換部材を必要とせず、装置内部を清浄に保ち、臭気発生を防止できる。
本発明の実施形態の一例について、図1〜3を用いて説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限られるものではない。
図1は本発明の空気浄化装置10の縦断面図である。図2は、空気浄化装置10の貯水槽100の横断面図である。図2は、貯水槽ノズル120と電極部110と流出口132とを図示できる横断面図としている。図3は貯水槽ノズル120の設置側から見た、空気浄化装置10の部分断面図である。図3は、貯水槽ノズル120と電極部110とを図示できる従断面図としている。なお、説明の便宜上、送風ファン40の設置されている方向を上方、貯水槽100が設置されている方向を下方として説明する。
図1に示すとおり、空気浄化装置10は、洗浄塔20を有している。洗浄塔20の下方には吸気口22が設けられ、洗浄塔20の上方には送風口26が設けられている。吸気口22は、吸気管24と接続されている。吸気管24は、吸気口22の略水平方向に引き出された後、気液接触部30の天面の高さ以上の位置まで略鉛直方向に立ち上げられている。そして、吸気管24は、外気又は室内の空気を取り込むための図示されない空気取込口と接続されている。送風口26は、浄化された空気を送風する目的の場所と、図示されないダクト等で接続されている。
洗浄塔20の上方には、送風ファン40が、洗浄塔20の内部で浄化した空気を送風口26に向けて送風するように設けられている。送風ファン40の下方で、かつ、吸気口22の上方には、エリミネータ50が設けられている。エリミネータ50の下方で、かつ、吸気口22の上方には散水ノズル34が設けられ、散水ノズル34は、配管36と接続されている。散水ノズル34の下方で、かつ、吸気口22の上方には、支持体32が設けられ、支持体32の上方で、かつ、散水ノズル34の下方には、気液接触部30が設けられている。
吸気口22の下方には、貯水槽100が設けられている。貯水槽100の上方には、貯水槽100の洗浄水をオーバーフローさせるための流出口132が設けられ、流出口132は流出管130と接続されている。洗浄塔20の底面、即ち、貯水槽100の底面106には、略中央部に排水口102が設けられ、底面106は、該排水口102に向かって下がる傾斜面を形成している。また、図2に示すとおり、底面106には、対角線状の溝部107が、角部101から排水口102に向かって設けられている。底面106の最も低い位置である排水口102には、開閉バルブ108を有する排水管104が接続されている。貯水槽100には、洗浄塔20の側壁を貫通する貯水槽ノズル120が設けられ、該貯水槽ノズル120の貯水槽100内の開口部122の近傍には、一対の電極を備える電極部110が設けられている。
貯水槽ノズル120は、配管124により、ポンプ60と接続されている。ポンプ60は、バルブ38を有する配管36と接続されている。こうして、貯水槽ノズル120と、配管124と、ポンプ60と、配管36と、バルブ38とで、「循環手段」が構成されている。配管124は、バルブ74を有する配管72により、水源70と接続されている。
図2、3に示すとおり、貯水槽ノズル120は、貯水槽ノズル120から供給する洗浄水により貯水槽100に、旋回流が発生するように、貯水槽ノズル120の中心軸Xを洗浄塔20の任意の側壁と略平行とし、該側壁寄りに設けられている。電極部110は、陽極111と陰極112とが、貯水槽ノズル120の中心軸Xの軸方向に沿って、該中心軸の両側に対向して立設され、貯水槽100の内部に設けられている。陽極111と陰極112とは、図示されない電源と接続されている。
第一の態様の「水洗手段」は、貯水槽ノズル120と配管124とポンプ60とで構成されている。「給水部」は、貯水槽ノズル120である。第二の態様の「洗浄手段」は、貯水槽ノズル120と配管124とポンプ60とで構成されている。「抜水部」は、貯水槽ノズル120である。第三の態様の「洗浄手段」は、ポンプ60と、貯水槽ノズル120と、開閉バルブ108と、排水口102と、排水管104と、配管72、124と、バルブ74と、吸気管24とで構成されている。「浸漬機構」は、ポンプ60と、貯水槽ノズル120と、配管72、124と、バルブ74と、吸気管24とで構成されている。「排水機構」は、排水口102と、排水管104と、開閉バルブ108とで構成されている。
貯水槽100の形状は特に限定されず、例えば、横断面の形状が矩形等の多角形であってもよいし、円形であってもよい。ただし、汚染物質が貯水槽100の内面へ付着し難くする観点から、図2のように、側面同士の接合部である角部101は、曲面が形成していることが好ましい。また、図3に示すように、側面と底面106との境界部103は、曲面が形成されていることが好ましい。境界部103を曲面とすることで、汚染物質が付着し難くなるためである。
エリミネータ50は、霧状の洗浄水を除去するための水滴除去部であり、公知のエリミネータを使用することができる。
気液接触部30の構造は特に限定されるものではなく、空気の洗浄が充分に行えるように、洗浄水と空気とが接触できる構造であればよく、充填塔、棚段塔のいずれの構造であってもよい。この内、充填塔が、単純な構造で装置コストが小さく、かつ圧力損失が小さいために好ましい。
充填塔としては、気液接触部30の充填部材は特に限定されることはなく、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、サドル、スルザーパッキン等を挙げることができる。棚段塔としては、例えば多孔板塔等を挙げることができるが、棚段数や、孔の大きさは何ら限定されることはない。
支持体32は、気液接触部30内の充填部材を保持し、かつ、空気の上昇と、水の流下ができれば特に限定されず、例えば樹脂製または金属製のメッシュや、不織布等が挙げられる。なお、気液接触部30が棚段塔の構造である場合には、支持体32は設置しなくともよい。
散水ノズル34は、洗浄水を下方に散布し、吸気口22から取り込まれた空気と、洗浄水とを満遍なく接触できるものであればよい。散水ノズル34の数量は、洗浄塔20内への吸気量や、汚染物質の濃度、散水ノズル34の散水能力を勘案して決定することができ、1個であってもよいし、2個以上が設置されていてもよい。
電極部110は、陽極111と陰極112とが、単に貯水槽100内に立設されたものの他、図5のように陽極111と陰極112とが、両端面が開口しているケーシング114に収容されているものであってもよい。かかる電極部110においては、例えば、貯水槽ノズル120から貯水槽100に供給された洗浄水は、矢印Pの方向でケーシング114内に流れ、ケーシング114を通過することで整流され、矢印Qの方向でケーシング114から流出する。このようなケーシング114を用いることで、貯水槽ノズル120から供給される洗浄水の流れは、より確実に制御され、洗浄水の旋回流が形成されやすくなる。同様に、貯水槽ノズル120から洗浄水を抜き出す際に、洗浄水の旋回流が形成されやすくなる。従って、電極部110は、ケーシング114に陽極111と陰極112とを収容したものが好ましい。
陽極111の形状は特に限定されず、板、多孔質体、パンチングメタル、エキスバンドメタル等が挙げられる。陰極112の形状は、陽極111の形状と同様である。
陽極111の材質は、陽極として機能するものであれば特に限定されず、白金、金等の貴金属類、チタン基板に白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、タンタル等を単独又は複数成分混合して、メッキあるいはこれらの焼結体酸化物被膜を形成させたものが挙げられる。陰極112の材質は、陰極として機能するものであれば特に限定されず、例えば導電性炭素材料、鉄、ステンレス、その他の金属が挙げられる。洗浄水に硬度成分が多く含まれる場合には、定期的に陽極と陰極とを反転させることにより、陰極への硬度スケールの付着を抑制することができる。この場合、陽極111、陰極112共に、上述した陽極の材質を用いることが好ましい。また、陽極111における次亜塩素酸の生成を効率よく行う観点から、陽極の材質は、イリジウム、ルテニウムが含まれることが好ましい。
陽極111と陰極112との距離は、水の電解効率と、貯水槽100内の旋回流の発生の程度とを勘案して決定することができる。陽極111と陰極112との距離が近すぎると、貯水槽ノズル120から水を供給する際、または、貯水槽ノズル120から貯水槽100内の洗浄水を抜き出す際に、貯水槽100内の洗浄水の流れを制御できず、旋回流が発生しにくい傾向にある。一方、陽極111と陰極112との距離が遠すぎても、洗浄水の流れを制御できず、旋回流が発生しにくい傾向にある上、水の電解効率が低くなり好ましくない。
排水口102の位置は特に限定されないが、洗浄水に旋回流を発生させた際、水よりも比重の高い物質を沈降させ、沈降させた物質を効率的に排除するためには、底部106の最も低い位置であり、かつ、底部106の略中央部に設けられることが好ましい。
底面106に設けられた溝部107の深さは、旋回流の強さや汚染物質の大きさ等を勘案して、沈降した汚染物質が旋回流で溝部107から越流しない形状とすることが好ましい。例えば、溝部107の長手方向に対する断面を矩形にした溝形状を挙げることができる。このような溝部107を底面106に設けることで、沈降した汚染物質を排水口102に効率的に送ることができる。
空気浄化装置10による空気浄化について、図1〜3、5、6を用いて説明する。図5は、貯水槽100から洗浄水を抜き出す際の洗浄水の流れを説明する貯水槽100の横断面図である。図6は、貯水槽100の洗浄水を排水する際の洗浄水の流れを説明する貯水槽100の横断面図である。図5、6は、貯水槽ノズル120と電極部110と流出口132とを図示できる横断面図としている。
バルブ74を開、バルブ38、開閉バルブ108を閉として、水源70の洗浄水を配管72、配管124の順に流通させ、貯水槽ノズル120から貯水槽100に供給する。供給された洗浄水は、図2に示すように、貯水槽ノズル120の開口部122から、貯水槽ノズル120の中心軸Xの軸方向に沿って配置された陽極111と陰極112との間に向けて流れる。陽極111と陰極112との間を流れた洗浄水は、矢印Aのように、貯水槽100内に旋回流を形成する。このように形成された旋回流により、洗浄水は、貯水槽100内に付着した汚染物質を剥離して取り込みながら、貯水槽100に貯水される。この間、洗浄水よりも比重が大きい汚染物質は、旋回流によって、貯水槽100の略中央部に設けられた排水口102に沈降する。一方、洗浄水よりも比重が小さい汚染物質は、洗浄水を浮上し、流出口132から流出管130に排出される。こうして、貯水槽100への洗浄水の貯水と、貯水槽100内の水洗とを行う。
次いで、バルブ38を開、バルブ74、開閉バルブ108を閉とし、ポンプ60を起動し、貯水槽100内の洗浄水を貯水槽ノズル120から、配管124へ抜き出す。この際、図5に示すように、貯水槽100内の洗浄水は、陽極111と陰極112との間を流通するように、貯水槽ノズル120から抜き出され、貯水槽100内に矢印Bのように旋回流が形成される。抜き出された洗浄水は、配管124、ポンプ60、配管36を順に経由して、散水ノズル34に至る。散水ノズル34に至った洗浄水は、気液接触部30に向けて散水される。散水された洗浄水により、気液接触部30の充填部材表面や多孔板表面に濡れ面が形成される。そして、気液接触部30を流下した洗浄水は、支持体32を通過して貯水槽100に至る。こうして、洗浄水は、散水ノズル34と、気液接触部30と、貯水槽100とを循環する。
送風ファン40を起動する。洗浄塔20内が減圧状態になり、空気取込口から外気、あるいは屋内空気等(以下、単に空気ということがある)は、吸気管24を経由して、吸気口22から洗浄塔20内に取り込まれる。洗浄塔20内に取り込まれた空気は、支持体32を通過して気液接触部30内を上昇する。この間、洗浄水と空気とが接触し、空気に含まれていた塵や花粉、臭気成分等の汚染物質が洗浄水によって吸収除去される。こうして、汚染物質が除去されて浄化された空気(以下、浄化空気ということがある)は、エリミネータ50を通過して上昇する。この際、空気中の水分は、エリミネータ50に付着して補足され、水滴となって気液接触部30に落下する。エリミネータ50を通過した浄化空気は、送風ファン40により、送風口26から送風路を経由して、任意の空間へ送られる。汚染物質を取り込んだ洗浄水、及び、エリミネータ50から落下した水滴は、気液接触部30内を流下し、支持体32を通過して、貯水槽100に落下する。
電極部110に直流電圧を印加する。電極部110に直流電圧を印加すると、例えば洗浄水に塩化物イオンが含まれる場合には、陽極111での電極反応により下記(1)〜(2)式の反応が生じ、次亜塩素酸を生成する。生成した次亜塩素酸は洗浄水に溶解し、任意の次亜塩素酸濃度の洗浄水となる。
2Cl→Cl+2e ・・・(1)
Cl+HO→HCl+HClO ・・・(2)
また、例えば洗浄水に臭化物イオンが含まれる場合には、陽極111での電極反応により下記(3)〜(4)式の反応が生じ、次亜臭素酸を生成する。生成した次亜臭素酸は洗浄水に溶解し、任意の次亜臭素酸濃度の洗浄水となる。
2Br→Br+2e ・・・(3)
Br+HO→HBr+HBrO ・・・(4)
上述のような空気浄化を継続して行うと、洗浄水中の汚染物質濃度が高くなり、空気の浄化機能が低下する。加えて、気液接触手段30や、貯水槽100内へ、汚染物質が付着・堆積する懸念がある。そこで、任意の頻度で、洗浄水の交換、及び、洗浄塔20内の水洗を以下のように行う。
ポンプ60を停止し、バルブ74、開閉バルブ108を開、バルブ38を閉とし、排水口102から、洗浄水を排水管104に排水する。同時に、水源70の洗浄水を貯水槽ノズル120から貯水槽100へ供給し、陽極111と陰極112との間に洗浄水を流通させることで、矢印Cのように排水口102に向かう旋回流が形成される。こうして形成された旋回流により、貯水槽100内に付着した汚染物質を剥離しながら排水し、貯水槽100内を水洗する。
ポンプ60を停止、バルブ74を開、バルブ38、開閉バルブ108を閉とし、水源70から洗浄水を貯水槽100内に供給する。この際、給水量は、流出口132から流出する水量よりも多い量となるように、バルブ74の開度を調節する。貯水槽100内への洗浄水の供給を継続し、気液接触部30の上面以上、エリミネータ50の下面以下の任意の位置まで、洗浄塔20内の水位を上昇させて、気液接触部30を洗浄水で浸漬する。この間、吸気管24は、略鉛直方向に立ち上げられているため、吸気口22から吸気管24に流入した洗浄水は、空気浄化装置10の外部に流出することなく、洗浄塔20内の水位は上昇する。洗浄塔20内の洗浄水の水位が、任意の位置に達した後、バルブ38、バルブ74を閉、開閉バルブ108を開とし、洗浄塔20内の洗浄水を排水口102から排水管104に排水する。こうして、気液接触部30の浸漬と、洗浄水の排水により、気液接触部30の水洗を行う。なお、気液接触部30の水洗における、洗浄水の排水に際しては、ポンプ60を停止、バルブ74、開閉バルブ108を開、バルブ38を閉として、洗浄水を貯水槽ノズル120から貯水槽100に供給しながら行うことができる。貯水槽ノズル120から洗浄水を供給することで、洗浄塔20内の洗浄水に、図6に示す矢印Cのような旋回流を形成することができ、気液接触部30、支持体32、貯水槽100等の洗浄塔20内の各部材に付着した汚染物質を効率的に除去することができる。
浄化の対象となる空気は、特に限定されることはなく、外気や屋内空気等である。また、空気取込口から吸気管24を介して空気浄化装置10に送られる空気は、1箇所からであっても、2箇所以上から送られてもよい。例えば、空気取込口の1つは屋外からの吸気を行い、他の空気取込口は屋内から吸気を行い、空気浄化装置10内で混合してもよい。また、浄化空気の送風先は、居住空間、オフィス、病院、工場、体育館等、特に限定されず、また、1箇所あるいは2箇所以上であってもよい。
電極部110に印加する電解電流密度は、陽極111と陰極112との材質、洗浄水の原水の水質、洗浄水に求める次亜塩素酸や次亜臭素酸等の次亜ハロゲン酸の濃度に応じて決定することができ、例えば、0.1〜10A/dmの範囲で決定することが好ましい。
洗浄水に用いられる水は清浄な水であれば特に限定されず、水道水、井水、蒸留水、純水、電解水等、及び、これらの水にハロゲン化合物を添加して用いることができる。中でも、電極部110で電解した際に、洗浄水の殺菌に必要な次亜塩素酸や次亜臭素酸等の次亜ハロゲン酸を生成させるためには、水道水等のハロゲン化物イオンを含む水や、ハロゲン化合物を添加した水を用いることが好ましい。蒸留水、純水等に添加するハロゲン化合物としては、塩化物、臭化物、フッ化物等が挙げられ、中でも、塩化物、臭化物を添加することが好ましい。塩化物、臭化物を添加することで、電解した際に、洗浄水の殺菌に必要な次亜塩素酸や次亜臭素酸を効率的に発生できるためである。塩化物としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩酸等が挙げられ、臭化物としては、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化水素酸等が挙げられる。なお、前記純水とは、逆浸透膜装置又はイオン交換装置によって精製された水をいう。前記電解水とは、水を電気分解した際に、陽極側に生成される陽極水、及び/又は、陰極側に生成される陰極水とをいう。
洗浄塔20内部の水洗の頻度は、浄化する空気の汚染の程度や、空気浄化装置10の規模等を考慮して決定することが好ましい。例えば、貯水槽100内の洗浄水の水質を測定し、その測定値が任意の基準範囲を外れた時点で水洗を行ってもよい。水質の指標としては、導電率や濁度等を挙げることができる。また、例えば、経験的に求められた洗浄水の汚染の程度に基づいて、定期的に水洗してもよい。また、例えば、気液接触部30の充填材等の汚染状況を監視し、任意の基準値を超えた段階で水洗してもよい。気液接触部30の汚染状況は、目視で汚染物質の付着状況を確認してもよいし、色差計により測定してもよい。
気液接触部30の水洗において、気液接触部30の洗浄水への浸漬と、洗浄塔20内の洗浄水の排水の回数は、気液接触部30の汚染の程度を勘案して決定することが好ましく、浸漬と排水とを各1回行ってもよく、2回以上、繰り返して行ってもよい。
上述したとおり、貯水槽の洗浄水が旋回流を形成するように、貯水槽に洗浄水を供給する貯水槽ノズルが配置されているため、貯水槽への貯水時や、貯水槽の洗浄水を排水する際に、旋回流により貯水槽の汚染物質の洗浄と、貯水槽への汚染物質の付着防止を図ることができる。この結果、集塵フィルタ等、交換を要する部材を設置することなく、空気浄化装置内部を清浄に保つことができる。加えて、空気浄化装置内部を清浄に保つことができるため、汚染物質自体の臭気発生や、微生物増殖による臭気発生を防止することができる。
貯水槽には、陽極と陰極とを備えた電極部が、貯水槽ノズルから供給される洗浄水の流れを制御するように配置されているため、確実に旋回流を形成することができ、空気浄化装置内部の洗浄効果の向上が図れる。加えて、電極部に直流電圧を印加して洗浄水を電解することで、洗浄水中に次亜ハロゲン酸を生成し、貯水槽での微生物増殖をさらに抑制し、臭気発生を防止することができる。
貯水槽の洗浄水が旋回流を形成するように、貯水槽の洗浄水を抜き出す貯水槽ノズルが配置されているため、空気浄化装置での空気浄化の際にも、貯水槽内に旋回流を形成させ、洗浄槽への汚染物質の付着を防止することができる。加えて、貯水槽には、電極部が貯水槽ノズルから抜き出される洗浄水の流れを制御するように配置されているため、確実に旋回流を形成することができる。さらに、電極部に直流電圧を印加して洗浄水を電解して洗浄水中に次亜ハロゲン酸を生成し、該次亜ハロゲン酸を含有する洗浄水を循環させることで、散水ノズルや気液接触部での微生物増殖による臭気発生を防止することができる。そして、陽極と陰極との間に貯水槽ノズルから供給された洗浄水が流通し、あるいは、貯水槽ノズルから抜き出される洗浄水が流通するため、陰極表面に硬度成分(Ca2+、Mg2+)が高濃度で滞留することを防止できる。この結果、陰極表面に硬度成分が析出し、電気抵抗が上がることを防止することができる。
上述したとおり、洗浄塔内への給水により気液接触部を洗浄水で浸漬させ、その後、洗浄水を排水することにより気液接触部を水洗する手段を有することで、気液接触部の充填部材や棚、あるいは支持体等へ付着した汚染物質の洗浄ができる。このため、洗浄水の交換だけでは洗浄できなかった気液接触部の洗浄が行え、汚染物質の堆積に伴う臭気発生を防止することができる。加えて、気液接触部等に汚染物が付着・堆積することを防止できるため、洗浄塔内部に付着した汚染物が再飛散し、浄化空気に汚染物が混入することを防止できる。
本発明の空気浄化装置は上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、洗浄塔内に気液接触部として充填塔又は棚段塔が設けられているが、充填塔、棚段塔のいずれも設けることなく、散水ノズルで散水された洗浄水と、空気とを接触させて洗浄を行う、スプレー塔の構造を採用してもよい。この際、散水ノズルは、洗浄水を霧状に噴霧できるものが好ましい。
上述の実施形態では、散水ノズルと送風ファンとの間にエリミネータが設けられているが、本発明はこれに限られず、エリミネータの代わりに、例えば、ヒートポンプを熱源とした熱交換器やデシカントロータ等を設置し、浄化空気中の水分を凝縮させて取り除いてもよい。
上述の実施形態では、洗浄水をオーバーフローさせるための流出口が貯水槽に設けられているが、該流出口は設けられていなくてもよい。
また、前記流出口には、図7に示すような開閉機構を設けてもよい。図7−(a)は、オーバーフロー時における流出口132の蓋部材の状態を示す、空気浄化装置10(図1)の流出口132周辺の断面図である。図7−(b)は、洗浄塔20内の洗浄水の水位を上昇させた際における流出口132の蓋部材の状態を示す、空気浄化装置10(図1)の流出口132周辺の断面図である。図7−(a)に示すように、前記開閉機構は、蓋部材200が接続点202で開閉可能に洗浄塔20の内壁に接続されている。蓋部材200には、角度θとなるように支持部212が接続され、支持部212の先端にはフロート部210が接続されている。
図7−(a)に示すように、オーバーフロー時は、貯水槽100内の洗浄水の水位は、水面220の位置である。この状態においては、フロート部210が、その浮力により水面220に浮上した状態となり、蓋部材200は洗浄塔20の内側に開いている。こうして、流出口132に達した洗浄水は、流出管130に流出する。
次いで、貯水槽100内に、流出口132から流出する水量よりも多い量の洗浄水を供給する。フロート部210は、洗浄水の水位の上昇に従って、上方に浮上する。フロート部210の浮上に伴って、蓋部材200は流出口132を塞ぐ方向に作動する。そして、図7−(b)のように、洗浄水の水位が水面230の位置に至り、フロート部210がもはや洗浄水内を浮上できない状態では、フロート部210の状態に追随して、蓋部材200は流出口132を閉じる。こうして、余剰の洗浄水を流出口132から流出させることなく、洗浄塔20内に洗浄水を貯水し、気液接触部30(図1)を浸漬することができる。
上述の実施形態では、吸気口に接続された吸気管を鉛直方向に立ち上げることで、気液接触部の洗浄時に、洗浄塔内の洗浄水の水位を上昇させているが、例えば、吸気口を塞ぐ蓋が設けられていてもよい。
上述の実施形態では、貯水槽ノズルが、貯水槽に洗浄水を供給する給水部と、貯水槽の洗浄水を抜き出す抜水部とを兼ねているが、給水部と抜水部として、それぞれ別個のノズルが設けられていてもよい。給水部と抜水部とを独立して設置することで、例えば、空気浄化の際、即ち、貯水槽の洗浄水を貯水槽ノズル(抜水部)から抜き出して循環させる際に、給水部から貯水槽へ洗浄水を供給しながら、洗浄水の循環を行うことができる。この結果、抜水部での洗浄水の抜き出しにより、洗浄槽内に旋回流を形成すると共に、オーバーフローによって、洗浄水より比重の小さい汚染物質を流出口から流出させ、洗浄水の清浄度を上げることができる。
上述の実施形態では、電極部の陽極と陰極とは立設されているが、陽極と陰極との設置の形態はこれに限られず、鉛直方向に平行に配置されていてもよい。ただし、貯水槽での旋回流の形成を容易にする観点から、陽極と陰極とは対向して立設されていることが好ましい。
上述の実施形態では、電極部が設けられているが、本発明はこれに限られず、電極部が設けられていなくてもよいし、他の位置、例えば、循環手段の途中に配置されていてもよい。ただし、より確実に旋回流を形成させるために、電極部は上述の実施形態のごとく、貯水槽ノズルの近傍に立設されていることが好ましい。
貯水槽の洗浄水に含まれる汚染物質が循環手段に持ち込まれ、気液接触部が汚染されることを防止するために、貯水槽ノズルと、ポンプとの間にフィルタ等の異物除去部材が設けられていてもよい。
本発明の空気浄化装置の一例を示す縦断面図である。 本発明の空気浄化装置の一例を示す貯水槽の横断面図である。 本発明の空気浄化装置の一例を示す部分断面図である。 本発明の空気浄化装置の電極部の一例を示す斜視図である。 本発明の空気浄化装置における貯水槽から洗浄水を抜き出す際の洗浄水の流れを説明する横断面図である。 本発明の空気浄化装置における貯水槽の洗浄水を排水する際の洗浄水の流れを説明する横断面図である。 (a)オーバーフロー時における流出口周辺の拡大断面図である。(b)洗浄水の水位上昇時における流出口周辺の拡大断面図である。
符号の説明
10 空気浄化装置
20 洗浄塔
30 気液接触部
60 ポンプ
38、74 バルブ
36、72、124 配管
100 貯水槽
104 排水管
108 開閉バルブ
110 電極部
111 陽極
112 陰極
120 貯水槽ノズル

Claims (6)

  1. 洗浄塔内で空気を洗浄水と接触させて空気を洗浄する気液接触部と、その下方に設けられた洗浄水を貯水する貯水槽と、前記貯水槽の洗浄水を前記気液接触部に送水する循環手段とを有する空気浄化装置において、前記洗浄塔の内部を水で洗浄する水洗手段を有する、空気浄化装置。
  2. 前記水洗手段は、前記貯水槽の洗浄水が旋回流を形成するように、前記貯水槽に洗浄水を供給する給水部が設けられている、請求項1に記載の空気浄化装置。
  3. 前記貯水槽には、洗浄水を電解する一対の電極が設けられ、前記電極は、前記供給部から供給される洗浄水の流れを制御するように配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の空気浄化装置。
  4. 前記水洗手段は、前記貯水槽の洗浄水が旋回流を形成するように、前記貯水槽の洗浄水を抜き出す抜水部が設けられている、請求項1に記載の空気浄化装置。
  5. 前記貯水槽には、洗浄水を電解する一対の電極が設けられ、前記電極は、前記抜水部への洗浄水の流れを制御するように配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の空気浄化装置。
  6. 前記水洗手段は、前記洗浄塔内への給水による前記気液接触部の浸漬機構と、前記洗浄塔内の水の排水機構とによる、請求項1に記載の空気浄化装置。

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