JP2011158104A - 加湿機 - Google Patents

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博之 高見
Masaaki Hasegawa
正明 長谷川
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Abstract

【課題】空気加湿フィルタを電解水で除菌することが可能であるとともに、空気加湿フィルタから滴下する劣化電解水を、加湿に再利用しないようにする。
【解決手段】加湿機1は、筐体10の内部に、一方の端が吸気口12、他方の端が排気口13となった空気流通経路15を有し、そこに、上流側から、空気清浄装置20、空気加湿装置30、及び送風装置40が配置される。空気加湿装置30は、ディスク状の空気加湿フィルタ33と、空気加湿フィルタ33を保持するホイール31と、ホイール31を回転させるモータ35と、ホイール31のリム31bに所定間隔で複数個取り付けられ、ホイール31の回転と共に加湿用貯水槽57から電解水を汲み上げて空気加湿フィルタ33にかけるバケット34を備える。蒸発せずに空気加湿フィルタ33から滴下する劣化電解水は劣化電解水分離機構80に受けられ、加湿用貯水槽57には戻らない。
【選択図】図14

Description

本発明は加湿機に関する。
空気清浄機や加湿機には、これまでにも様々な工夫が盛り込まれている。例えば特許文献1記載の加湿機では、加湿用の水槽の水を電気分解して次亜塩素酸を含む電解水を生成し、この次亜塩素酸を水槽の水や加湿フィルタの除菌に利用している。特許文献2記載の空気清浄機では、電解水のミストを、空気清浄機内で清浄化された空気を用いて機外に放散し、室内空気の殺菌や脱臭を行っている。特許文献3記載の加湿機では、加湿用の水の一部を電気分解して電解水を生成し、この電解水をミスト化し、加湿された空気に乗せて機外に放散することにより、室内空気の除菌や脱臭に役立てている。
特開2006−57995号公報(国際特許分類:F24F6/00) 特開2007−37589号公報(国際特許分類:A61L9/14、A61L9/01、C02F1/46) 特開2009−216320号公報(国際特許分類:F24F6/16、F24F7/00、C02F1/46)
本発明は、加湿機において、空気加湿フィルタを電解水で除菌することが可能であるとともに、蒸発しきれずに空気加湿フィルタから滴下する、濃度の下がった劣化電解水を、加湿に再利用しないようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る加湿機は、筐体と、前記筐体内に形成され、一方の端が吸気口、他方の端が排気口となった空気流通経路と、前記空気流通経路に配置された空気加湿装置、及び送風装置を備え、前記空気加湿装置は、ディスク状の空気加湿フィルタと、前記空気加湿フィルタを保持するホイールと、前記ホイールを回転させるモータと、前記ホイールに所定間隔で複数個取り付けられ、当該ホイールの回転と共に加湿用貯水槽から水を汲み上げて前記空気加湿フィルタにかけるバケットを備え、前記加湿用貯水槽は電解水生成装置が生成した電解水を貯めるものであるとともに、蒸発せずに前記空気加湿フィルタから滴下する劣化電解水が前記加湿用貯水槽に戻らないようにする劣化電解水分離機構が設けられている。
この構成によると、空気加湿フィルタを濡らす水を電解水とすることができるから、空気加湿フィルタを除菌したり、カビの発生を防いだりすることができる。そして蒸発せずに空気加湿フィルタから滴下する、濃度の下がった劣化電解水は加湿用貯水槽には戻されないので、除菌能力やカビ防止能力を有する濃度の電解水のみが空気加湿フィルタを濡らすこととなり、空気加湿フィルタに雑菌が繁殖したり、カビが繁茂したりするといった事態を招くことがない。水が蒸発しにくい、高湿度環境下でも、空気加湿フィルタを濡らす電解水の濃度を確保できるので、空気加湿フィルタの空気除菌性能を常に低下させないでおくことができる。
また本発明は、上記構成の加湿機において、前記劣化電解水分離機構が、前記加湿用貯水槽と並列に設けられた劣化水槽と、前記ホイールのリムに形成された水受け溝により構成されるものであって、前記水受け溝は、前記空気加湿フィルタから滴下する劣化電解水を受け止めて、所定箇所に形成された排水口より前記劣化水槽に排水することを特徴としている。
この構成によると、劣化電解水を容易に分離し処理することができる。
また本発明は、上記構成の加湿機において、前記筐体に挿入される引出式の水受けパンに、前記電解水生成装置を構成する電極と、前記空気加湿装置の支持部と、前記加湿用貯水槽と、前記劣化水槽が形成されることを特徴としている。
水にはミネラルが含まれ、それがスケールとなって行くので、水に接触する箇所は定期的メンテナンス(点検と清掃)を行う必要がある。本発明の構成によれば、メンテナンスを必要とする箇所が水受けパンに集中しているので、水受けパンを引き出せば必要なメンテナンスを行うことができ、使い勝手がよい。
また本発明は、上記構成の加湿機において、前記劣化電解水分離機構が、前記バケットと、前記ホイールのリムに形成された水受け溝により構成されるものであって、前記バケットは、前記ホイールの下半分を移動するときは、重力により、口を上に向けて垂下できるよう前記ホイールに取り付けられており、前記水受け溝は、前記空気加湿フィルタから滴下する劣化電解水を受け止めて、所定箇所に形成された排水口より、前記口を上に向けた状態のバケットに排水することを特徴としている。
この構成によると、劣化電解水を容易に分離し処理することができる。
また本発明は、上記構成の加湿機において、前記筐体に挿入される引出式の水受けパンに、前記電解水生成装置を構成する電極と、前記空気加湿装置の支持部と、前記加湿用貯水槽が形成されることを特徴としている。
水にはミネラルが含まれ、それがスケールとなって行くので、水に接触する箇所は定期的メンテナンス(点検と清掃)を行う必要がある。本発明の構成によれば、メンテナンスを必要とする箇所が水受けパンに集中しているので、水受けパンを引き出せば必要なメンテナンスを行うことができ、使い勝手がよい。
本発明によると、蒸発せずに空気加湿フィルタから滴下する劣化電解水の混じらない、除菌能力やカビ防止能力を有する濃度の電解水のみが空気加湿フィルタを濡らすから、空気加湿フィルタを十分に除菌し、またカビの発生を防ぐことができる。
本発明の第1実施形態に係る加湿機の斜視図である。 図1の加湿機の垂直断面図である。 図1の加湿機の垂直断面図で、図2と反対の方向に視点を置き、且つ断面箇所を異ならせたものである。 図1の加湿機の水平断面図である。 図1の加湿機の筐体に挿入される、空気加湿装置保持状態の水受けパンと、それに組み合わせられる筐体内部材の斜視図である。 図1の加湿機の垂直断面図で、図2及び図3と直角の方向に断面したものである。 空気加湿装置支持部の概念的斜視図である。 背面側から見た送風装置の斜視図である。 図6と同様の加湿機の垂直断面図で、図6と反対の方向に視点を置いたものである。 空気加湿装置非保持状態の水受けパンの上面図である。 空気加湿装置保持状態の水受けパンの垂直断面図である。 空気加湿装置のホイールの概念的垂直断面図である。 空気加湿装置のホイールの分解構造を示す概念的垂直断面図である。 空気加湿装置保持状態の水受けパンの部分垂直断面図で、図10のA−A線に基づく断面で図11と直角の方向に断面したものである。 本発明の第2実施形態に係る空気加湿装置のホイールの概念的垂直断面図である。 図15のホイールを直角方向に断面した概念的垂直断面図である。 図15と同様のホイールの概念的垂直断面図で、図15と異なる状態を示すものである。 図17のホイールを直角方向に断面した概念的垂直断面図である。
図1から図14までの図に基づき本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態の加湿機1は前後方向に偏平な筐体10を有する。筐体10の説明に用いる方位表現については、図1における紙面左側が左、紙面右側が右、と定義する。他の構成要素の説明に用いる方位表現もこれにならうものとする。
筐体10の上面前方には操作パネル11が配置される。操作パネル11には、各種指令を入力するスイッチ群と、加湿機1の運転状況その他の情報を表示するランプ群が配置されている。スイッチ群はメンブレンスイッチにより構成され、ランプ群は発光ダイオード(LED)により構成される。
筐体10には前方の左右側面及び底面にスリット状の吸気口12が形成され、上面後方に排気口13が形成されている。排気口13には桟を格子状に組んだガードグリル14が設けられ、排気口13から手指等が差し込まれるのを防いでいる。
筐体10の内部には、一方の端が吸気口12、他方の端が排気口13となった空気流通経路15が形成される。空気流通経路15には、上流側より順に、空気清浄装置20、空気加湿装置30、及び送風装置40が配置される。
空気清浄装置20は空気清浄フィルタ21により構成される。空気清浄フィルタ21は粗塵用フィルタ、脱臭フィルタ、細塵用フィルタなどを組み合わせたものである。空気清浄フィルタ21に代え、あるいは空気清浄フィルタ21に加えて、電気集塵方式の集塵部を用いることも可能である。
空気加湿装置30については後で説明する。
送風装置40は、吸気口12から吸い込まれ、排気口13から排出される空気流を形成すものであって、シロッコファン41及びそれを回転させるモータ42と、シロッコファン41を囲むファンケーシング43により構成される。ファンケーシング43には排気口13に接続する吐出口43a(図8に最も良く形状が表れている)が形成されている。
空気加湿装置30に対し、給水装置50で加湿用の水を供給する。給水装置50は、筐体10の右側面から挿入される、引出式の水受けパン51を中心として構成される。水受けパン51の右側面と、その上に着脱可能に取り付けられるカバー52は、筐体10の外殻の一部を構成する。水受けパン51の右側面には手を掛けるための凹部53が形成されている。
水受けパン51は空気加湿装置30を支持し、また図6に示すように給水タンク54を支持する。水受けパン51の右端には、図5に示すように、給水タンク54から供給される水を受ける未処理水貯水槽55が形成される。未処理水貯水槽55には給水タンク54の図示しないバルブを押し開ける突起56が形成されている。
水の入った給水タンク54を水受けパン51の未処理水貯水槽55上にセットすると、突起56で給水タンク54のバルブが押し開けられ、所定水位(図11の水位線WLの水位)に達するまで水が水受けパン51に供給される。
水受けパン51には、図10に示すように、未処理水貯水槽55の他、加湿用貯水槽57、ミスト生成用貯水槽58、及び電解水生成用貯水槽59が、それぞれ隔壁によって区画形成されている。加湿用貯水槽57は空気加湿装置30に供給する電解水を貯めるためのものであり、ミスト生成用貯水槽58は電解水ミスト生成用の電解水を貯めるためのものであり、電解水生成用貯水槽59は給水タンク54から供給された未処理水を電解水に変えるためのものである。
未処理水貯水槽55と電解水生成用貯水槽59の間には連通部59aが形成され、電解水生成用貯水槽59とミスト生成用貯水槽58の間には連通部58aが形成され、ミスト生成用貯水槽58と加湿用貯水槽57の間には連通部57aが形成され、加湿用貯水槽57と未処理水貯水槽55の間には連通部55aが形成される。これらの連通部により、各貯水槽の水位は同一に保たれる。連通部59a、57a、55aは、それぞれ隔壁を貫通する穴により構成されるが、連通部58aは比較的幅の広いギャップにより構成される。
電解水生成用貯水槽59の左端には、未処理水貯水槽55から連通部59aを通じて電解水生成用貯水槽59に流れ込む未処理水を電気分解して電解水とする電解水生成装置60が配置される。電解水生成装置60は、電解水生成用貯水槽59内の水に浸る1対の電極61により構成される。
ミスト生成用貯水槽58には電解水をミスト化する電解水ミスト生成装置65が配置される。電解水ミスト生成装置65は、ミスト生成用貯水槽58の底部に振動部を露出させた超音波振動子66(図11参照)により構成される。
水受けパン51の左端外面には、図10に示すように電解水生成装置60と電解水ミスト生成装置65に電流を供給するためのコネクタ68が設けられている。このコネクタは、水受けパン51を筐体10の奥まで押し込んだとき、筐体10の内部に設けられたコネクタ(図示せず)に接続し、これにより電解水生成装置60と電解水ミスト生成装置65のそれぞれに対する給電が可能となる。
水受けパン51には、加湿用貯水槽57の正面側の側壁上端と電解水生成用貯水槽59の正面側の側壁上端から、対をなす支柱51aが互いに向かい合う形で立ち上がる。各支柱51aには、対向面の上端に、図7のような上方に開いたU字形の軸受部51bが形成されている。この軸受部51bに空気加湿装置30が支持される。この軸受部51bが空気加湿装置30の支持部となる。続いて空気加湿装置30の構造を説明する。なお、図7は支持部の概念的な形状を示しており、図10や図14は現実の支持部を表している。
空気加湿装置30の中心をなすのは水車のような形状のホイール31である。以下、ホイール31の構造を図11から図14に基づき説明する。
ホイール31は、ホイールベース31mとホイールキャップ31lの2部分からなる。ホイールベース31mは中心にハブ31a2、周縁にリム31bを有し、ハブ31a2とリム31bを、複数の背面側スポーク31dで連結した構造となっている。リム31bの後部には入力歯車31fが形成されている。ホイールキャップ31lはハブ31a1と複数の正面側スポーク31cを含む。ホイールベース31mとホイールキャップ31lは互いに嵌合して1個のホイール31を形成する。
ハブ31a1とハブ31a2を図14に示す中心軸31qが貫通する。この中心軸31qを軸受部51bが支えることにより、ホイール31は支柱51aに水平軸線まわりに回転自在に支持される。
ホイール31には加湿部32(図12参照)が設けられる。加湿部32を構成するのは中心に穴が明いたディスク状の空気加湿フィルタ33である。空気加湿フィルタ33は保水能力と通風性を兼ね備えた素材、例えばネットや不織布からなり、背面側スポーク31dの前面に取り付けられる。なお空気加湿フィルタ33は、図5、図6、図9、及び図11では図示を省略してある。
空気加湿フィルタ33は、平板状のまま取り付けられるのでなく、所定の起伏形状を呈するように取り付けられる。実施形態では、図12に示すように、空気加湿フィルタ33の中心部を正面側スポーク31cの方に押し出し、周囲に円錐面33aを生じさせている。
詳述すると、ホイール31の背面側スポーク31dには円錐面33aを形成するための傾斜面31hを有するリブ31iが突設され、一方、正面側スポーク31cの裏側には、傾斜面31hと向かい合う位置に、傾斜面31hと同じ傾斜面31jを有するリブ31kが突設されている。ホイールベース31mとホイールキャップ31lを結合する際に両リブ31iと31kの間に空気加湿フィルタ33を挟み込むことにより、空気加湿フィルタ33を円錐形状にしている。
ホイール31のリム31bには、複数のバケット34が一定の角度間隔で配置される。バケット34は、図11及び図14に示すように別部品をリム31bに取り付けてもよく、リム31bに一体成型することとしてもよい。
全てのバケット34が口を一定方向に向けて配置されている。ホイール31が回転し、バケット34がリム31bの最下部まで移動した時、バケット34は加湿用貯水槽57の中の水に沈み、水がバケット34に浸入する。ホイール31が回転し、バケット34の口が上を向くと、バケット34は水を汲み上げる形になる。バケット34がリム31bの上部に来て、その口が横向きになるにつれ、汲み上げた水が滴下する。空気加湿フィルタ33の円錐面33aは水の落下進路に干渉しており、滴下する水はその上に分散して散布され、空気加湿フィルタ33の広い領域が濡れる。このため空気加湿フィルタ33の濡れ具合が均等化し、空気加湿フィルタ33全体を有効に加湿に寄与させることができ、また局所に表面張力で水の塊が発生して通風性を損なうということがなくなり、加湿効率が向上する。
ホイール31を回転させるモータ35は、水受けパン51にではなく、筐体10の内部の隔壁10a(図5参照)に支持される。モータ35は出力歯車35aを有する。出力歯車35aは、モータ35と同じく隔壁10aに支持された中間歯車36にかみ合う。中間歯車36には、ホイール31の入力歯車31fがかみ合う。入力歯車31fが中間歯車36にかみ合うのは、水受けパン51を最も奥まで押し込んだときである。
ホイール31の周囲を囲い37(図5参照)が取り巻き、囲い37の内部がファンケーシング43の吸気口43bに連通する。囲い37は、隔壁10aに一体成型した部分囲い37aと、水受けパン51に一体成型した部分囲い37bにより構成される。水受けパン51を最も奥まで押し込んだとき、部分囲い37aに部分囲い37bが接合し、囲い37が完成する。
電解水ミスト生成装置65には、そこに送風装置40の吐出空気の一部を導入し、電解水ミスト混じりの空気にして筐体10の外に放出するダクト構造70が組み合わせられる。
ダクト構造70は次のようにして構成される。水受けパン51には、ミスト生成用貯水槽58の上を覆う煙突状のダクト71が形成される。隔壁10aには、ダクト71に接続する煙突状のダクト72が一体成型ないし固定される。ダクト72の出口は筐体10の上面に形成されたミスト吐出口16に接続される。
ファンケーシング43のスクロール流路には、吐出空気の一部を分流する副吐出口43c(図8参照)が分岐形成される。副吐出口43cの出口43dは、図3に示す通り、ダクト72の根元部に接続する。ダクト72の内部には、副吐出口43cから入ってくる吐出空気の向きを下向きに変え、電解水ミスト生成装置65の方に向かわせるガイド体72aが形成されている。
続いて加湿機1の動作を説明する。給水タンク54の中に水が十分残っていれば、未処理水貯水槽55、加湿用貯水槽57、ミスト生成用貯水槽58、及び電解水生成用貯水槽59の中には、図11に示す水位線WLの高さまで水が溜まっている。給水タンク54の中の水が残り少なく、水位が水位線WLより下がっている状態であれば、図示しないセンサがそれを検知し、操作パネル11に水不足の旨の表示が出る。水不足の表示を見たときは、カバー52を外し、給水タンク54を取り出して水を補給する。水補給後、給水タンク54を水受けパン51の上に置くと、給水タンク54から流れ出す水によって水位が水位線WLの高さまで回復し、水不足の表示は消える。外しておいたカバー52を元通りはめ込めば、加湿機1の運転が可能になる。
加湿機1を通常運転モードで運転すると、送風装置40のモータ42、電解水生成装置60の電極61、電解水ミスト生成装置65の超音波振動子66、及び空気加湿装置30のモータ35に給電が行われ、これらの構成要素はそれぞれ定められた動作を開始する。
電解水生成装置60の電極61に所定の電圧(例えば10V)が印加されると、未処理水貯水槽55から電解水生成用貯水槽59に流入した未処理水が電気分解されて電解水となる。
電圧の印加は、1対の電極61が断続的に(例えば1時間毎に3〜10分程度)交互に逆極性となるように行われる。水が塩素を含む水道水であれば、次のような電蒸発学反応が生じる。
<陽極側>
4HO−4e→4H+O↑+2H
2Cl→Cl+2e
O+Cl←→HClO+H+Cl
<陰極側>
4HO+4e→2H↑+4OH
<電極間>
+OH→H
上記反応により、除菌作用と脱臭作用のある次亜塩素酸(HClO)や活性酸素を含む電解水が生まれる。
電解水生成用貯水槽59の中の電解水は、連通部58aを通じてミスト生成用貯水槽58に流入する。電解水ミスト生成装置65の超音波振動子66を発振させると、ミスト生成用貯水槽58の水面から電解水のミストが発生し、ミスト生成用貯水槽58とダクト71で囲まれた空間に充満する。
ミスト生成用貯水槽58の中の電解水は、連通部57aを通じて加湿用貯水槽57に流入する。加湿用貯水槽57には連通部55aを通じて未処理水貯水槽55の中の未処理水も流入するので、電解水は未処理水で希釈され、ミスト生成用貯水槽58の中の電解水より濃度が低くなる。どの程度まで濃度を下げるかは、連通部57aと連通部55aの面積比を変えることにより調整できる。
上記のようにして、ミスト生成用貯水槽58には、ミスト化に適する、濃度の高い(例えば5ppm以上)電解水を貯水し、それよりも濃度が低いが(例えば1ppm)、加湿部32の除菌及びカビ防止という目的に対しては十分に機能を発揮する電解水を、加湿用貯水槽57に貯水する。
モータ35はホイール31を所定のゆっくりとした回転速度で回転させる。回転方向は、ホイール31を正面側から見ている図6においては反時計方向となる。ホイール31がこの方向に回転するのに伴い、バケット34は加湿用貯水槽57から電解水を汲み上げて空気加湿フィルタ33にかけるという動作を繰り返す。
モータ42への通電によりシロッコファン41が回転すると、吸気口12→空気清浄装置20→空気加湿装置30→送風装置40→排気口13という空気の流れが生じる。吸気口12から吸い込まれた空気は、空気清浄フィルタ21を通過する際に塵埃を捕捉されて
清浄になり、空気加湿フィルタ33を通過する際に湿気を帯びる。加湿された清浄空気は送風装置40に吸い込まれ、排気口13から排出される。
本実施形態の構成では、空気清浄装置20にも空気加湿装置30にも、送風装置40の吐出力でなく吸引力が作用するから、空気加湿装置30が大きな抵抗にならず、送風量の低下が少なくて済む。また、空気加湿フィルタ33を濡らすのが電解水であるから、空気加湿フィルタ33を除菌することができる。
シロッコファン41が吐出する空気は、大部分は吐出口43aを通じて排気口13から排出されるが、一部は図9に示すように副吐出口43cに入る。副吐出口43cに入った空気は出口43dからダクト72に入り、そこでガイド体72aにより風向を下向きに変えられる。電解水ミスト生成装置65に向けて下向きに吹き出される空気はミスト生成用貯水槽58の中の水面に阻まれて上方に方向転換し、同時に電解水ミストを巻き込む。電解水ミスト混じりの空気はダクト72の内部を上昇し、ミスト吐出口16から放出される。放出された電解水ミスト混じりの空気は排気口13から吹き出される気流にさらに巻き込まれ、室内に拡散する。これにより、室内空気も除菌及び脱臭される。
電解水のミストは送風装置40の吐出空気で放出されるものであり、送風装置40を通らないから、送風装置40の金属部分に錆が生じたり、ミスト中のミネラル成分が送風装置40に付着してスケールになったりするおそれがない。ミスト化する電解水は加湿フィルタ33に供給される電解水の一部であるから、ミスト化用電解水を生成する目的のためだけに別途電解水生成装置を設ける必要がなく、製造コストを抑制することができる。
加湿を行うと、加湿用貯水槽57の中の水が消費される。消費された分の水は、ミスト生成用貯水槽58から流入する電解水と、未処理水貯水槽55から流入する未処理水によって補われる。
上記通常運転モードでは、ホイール31が回転することで空気加湿フィルタ33に電解水が掛けられることから、排気口13から排出される空気は常に加湿済みの空気となる。別の運転モードとして、モータ35には通電せず、電解水生成装置60、電解水ミスト生成装置65、及び送風装置40のみ駆動する運転モードを設定することもできる。この運転モードでは、空気加湿フィルタ33が濡らされないので加湿は行われず、電解水ミストの室内への放出のみ行われることになる。
加湿機1を長期間使用していると、水が接触する箇所に水中のミネラルがスケールとなって付着する。実施形態の構成では、水が接触する箇所が水受けパン51を中心にまとまっているので、水受けパン51を引き出せば、水関係のメンテナンスが必要な箇所を筐体1の外に出すことができる。これにより、メンテナンスが楽になる。
空気加湿フィルタ33にかけられた電解水は、全量が蒸発する訳ではない。蒸発しないまま空気加湿フィルタ33から滴下するものもある。空気加湿フィルタ33から滴下する電解水は、空気や空気加湿フィルタ33に付着した有機物と反応して次亜塩素酸等が消費されて急速に濃度が低下し、劣化電解水となっている。劣化電解水を加湿用貯水槽57に戻すと、加湿用貯水槽57の中の電解水濃度が一層下がってしまい、それで空気加湿フィルタ33を濡らしたとしても、除菌効果や防カビ効果は望めなくなる。
本発明では、上記の問題を解決するために次のような対策を講じた。すなわち、蒸発しきれずに空気加湿フィルタ33から滴下する劣化電解水が加湿用貯水槽57に戻らないようにする劣化電解水分離機構80(図14参照)を設けた。
第1実施形態では、劣化電解水分離機構80は、加湿用貯水槽57と並列に設けられた劣化水槽81(図11及び図14参照)と、リム31bの内面の全周に形成された水受け溝82により構成される。空気加湿フィルタ33の周縁部は、図14に示す通り水受け溝82の内部に入り込んでいる。
劣化水槽81には、上面開口以外に水の出入口がない。劣化水槽81の右端にはフロート方式の水位センサ83(図11参照)が設けられている。
水受け溝82の所定箇所には劣化水槽81に向かって排水を行う筒状の排水口84(図11及び図14参照)が形成されている。図11では個々の背面側スポーク31dに対応する位置毎に排水口84が配置されているが、この構成に限定される訳ではない。排水口84の方が背面側スポーク31dより多くても少なくても良く、またその位置が背面側スポーク31dからずれていても構わない。
蒸発しきれず、空気加湿フィルタ33を伝い落ちて空気加湿フィルタ33の下端に達した劣化電解水は、そこから落下すると水受け溝82に受け止められる。水受け溝82に受け止められた劣化電解水は排水口84から劣化水槽81に排水される。劣化水槽81は加湿用貯水槽57と連通していないので、劣化水槽81に入った劣化電解水は加湿用貯水槽57の電解水と混じらない。従って、劣化電解水で薄められるということがないから、加湿用貯水槽57の電解水は除菌能力やカビ防止能力を有する濃度を保ち、空気加湿フィルタ33は着実に除菌され、またカビの発生も防がれる。水が蒸発しにくい、高湿度環境下でも、空気加湿フィルタ33を濡らす電解水の濃度を確保できるので、空気加湿フィルタ33の空気除菌性能を常に低下させないでおくことができる。
劣化水槽81の中の水位が所定高さまで上昇すると水位センサ83が作動し、劣化水槽81の満水が近づいたことを報知する。これを受けて使用者は水受けパン51を引き出し、劣化水槽81の中の水を捨てる。劣化水槽81の底に水抜きバルブまたは水抜き栓を設けておき、そこから水抜きができるようにしてもよい。
続いて本発明の第2実施形態を図15から図18までの図に基づき説明する。第1実施形態と共通する構成要素には第1実施形態の説明で用いたのと同じ符号を付し、説明は省略する。
第2実施形態の劣化電解水分離機構80には、第1実施形態に存在した劣化水槽81が存在しない。バケット34がその代わりを務める。
バケット34は、口の部分を軸85でリム31bに連結され、軸85を中心に垂直面内で回動自在となっている。バケット34の底部には、リム31bに対するバケット34の相対回転を制限するストッパ86が形成されている。また水受け溝82の排水口84は、第1実施形態では放射方向外側に突き出していたが、第2実施形態では、図16に示す通り、バケット34に対し排水が行われるように、バケット34の口に対応する位置から水平に突き出している。また水受け溝82には、図15、図17に示す如く、排水口84に隣接して(ホイール31の回転方向に対して進んだ方向に隣接して)堰89が設けられ、水受け溝82に落下した電解水を堰89で堰き止めて、排水口84よりバケット34へ流出させるようにしている。
ホイール31は、図15において矢印方向に回転する。説明の便宜のため、360°の回転範囲を4等分し、頂点を起点として右回りに90°ずつの角度区間を第1象限(A)、第2象限(B)、第3象限(C)、第4象限(D)とそれぞれ命名する。
まず図15、図16に基づき、加湿フィルタ33に注がれた電解水がほぼ完全に蒸発して、水受け溝82に水がたまらない場合を説明する。
バケット34は、第1象限(A)を移動するときはストッパ86がリム31bに当たり、口を進行方向に向けている。第1象限(A)から第2象限(B)に入って間もなくすると、バケット34は重力で軸85を中心に回転し、丁度観覧車のゴンドラのように、ホイール31から垂下した形になる。
第2象限(B)から第3象限(C)に移るあたりでバケット34は加湿用貯水槽57の中の水面に着水して浮力で横倒しになり、且つ所定深さ水面下に沈められる。これによりバケット34の中に電解水が入る。
第3象限(C)を移動するにつれ、バケット34は水面を離れ、ホイール31から垂下した形に態勢を立て直す。第3象限(C)から第4象限(D)に入ると、ストッパ86がリム31bに当たり、バケット34は口を上に向けた垂下状態から姿勢を変え、口を横向きにして行く。これにより、バケット34の中に入っていた電解水は空気加湿フィルタ33に注ぎかけられる。
このようにバケット34は、第4象限(D)と第1象限(A)、すなわちホイール31の上半分を移動する間は概してその口を進行方向に向けているが、第2象限(B)と第3象限(C)、すなわちホイール31の下半分を移動する間は概して口を上に向けた垂下状態となる。
次に蒸発しきれずに空気加湿フィルタ33から伝い落ちた劣化電解水が水受け溝82に受け止められる場合について図17、図18に基づき説明する。水受け溝82に受け止められた劣化電解水は、第2象限(B)から第3象限(C)にかけての区間で、堰89で堰き止められて排水口84より口を上に向けたバケット34に注ぎ込まれる。劣化電解水を注がれて比重が増大したバケット34は、着水しても横倒しにならない。このため、劣化電解水がバケット34から出ることもなければ、加湿用貯水槽57の中の電解水がバケット34に入ることもない。これにより、一度汲み上げた電解水が完全に蒸発するまで次の電解水を採取できないこととなり、劣化電解水が加湿用貯水槽57の中の電解水に混じって電解水濃度を低下させることも防止される。
劣化電解水が加わって増大したバケット34の比重は、浮力に打ち勝ってバケット34が横倒しになることを防ぐのに十分なものである必要がある。その目的が達成されるようにバケット34の質量を設定しておく。
第1及び第2実施形態は空気清浄装置を有する加湿機に係るものであったが、空気清浄装置を備えていないもの(吸気口12に簡単なプレフィルタ程度を備えているものは含む)、即ち単なる加湿機にも本発明は適用可能であり、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
本発明は加湿機に広く利用可能である。
1 加湿機
10 筐体
12 吸気口
13 排気口
15 空気流通経路
16 ミスト吐出口
20 空気清浄装置
21 空気清浄フィルタ
30 空気加湿装置
31 ホイール
32 加湿部
33 空気加湿フィルタ
34 バケット
35 モータ
40 送風装置
41 シロッコファン
42 モータ
43 ファンケーシング
43a 吐出口
43c 副吐出口
50 給水装置
51 水受けパン
51b 軸受部(支持部)
54 給水タンク
55 未処理水貯水槽
57 加湿用貯水槽
58 ミスト生成用貯水槽
59 電解水生成用貯水槽
55a、57a、58a、59a 連通部
60 電解水生成装置
65 電解水ミスト生成装置
70 ダクト構造
80 劣化電解水分離機構
81 劣化水槽
82 水受け溝
84 排水口
85 軸
86 ストッパ

Claims (5)

  1. 筐体と、
    前記筐体内に形成され、一方の端が吸気口、他方の端が排気口となった空気流通経路と、
    前記空気流通経路に配置された空気加湿装置、及び送風装置を備え、
    前記空気加湿装置は、
    ディスク状の空気加湿フィルタと、
    前記空気加湿フィルタを保持するホイールと、
    前記ホイールを回転させるモータと、
    前記ホイールに所定間隔で複数個取り付けられ、当該ホイールの回転と共に加湿用貯水槽から水を汲み上げて前記空気加湿フィルタにかけるバケットを備え、
    前記加湿用貯水槽は電解水生成装置が生成した電解水を貯めるものであるとともに、
    蒸発せずに前記空気加湿フィルタから滴下する劣化電解水が前記加湿用貯水槽に戻らないようにする劣化電解水分離機構が設けられていることを特徴とする加湿機。
  2. 前記劣化電解水分離機構が、前記加湿用貯水槽と並列に設けられた劣化水槽と、前記ホイールのリムに形成された水受け溝により構成されるものであって、
    前記水受け溝は、前記空気加湿フィルタから滴下する劣化電解水を受け止めて、所定箇所に形成された排水口より前記劣化水槽に排水することを特徴とする請求項1に記載の加湿機。
  3. 前記筐体に挿入される引出式の水受けパンに、前記電解水生成装置を構成する電極と、前記空気加湿装置の支持部と、前記加湿用貯水槽と、前記劣化水槽が形成されることを特徴とする請求項3に記載の加湿機。
  4. 前記劣化電解水分離機構が、前記バケットと、前記ホイールのリムに形成された水受け溝により構成されるものであって、
    前記バケットは、前記ホイールの下半分を移動するときは、重力により、口を上に向けて垂下できるよう前記ホイールに取り付けられており、
    前記水受け溝は、前記空気加湿フィルタから滴下する劣化電解水を受け止めて、所定箇所に形成された排水口より、前記口を上に向けた状態のバケットに排水することを特徴とする請求項1に記載の加湿機。
  5. 前記筐体に挿入される引出式の水受けパンに、前記電解水生成装置を構成する電極と、前記空気加湿装置の支持部と、前記加湿用貯水槽が形成されることを特徴とする請求項4に記載の加湿機。
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