以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(領域分割されたバイナリ型ホログラムを用いた例)
2.第2の実施の形態(一部領域がブレーズド型でなる領域分割されたホログラムを用いた例)
3.第3の実施の形態(領域分割されたブレーズド型偏光ホログラム及び全体が一様な回折格子でなるバイナリ型偏光ホログラムを用いた例)
4.第4の実施の形態(領域分割されたバイナリ型偏光ホログラム及び全体が一様な回折格子でなるブレーズド型偏光ホログラムを用いた例)
5.第5の実施の形態(ロションプリズム及び領域分割されたバイナリ型偏光ホログラムを用いた例)
6.第6の実施の形態(波長選択性を有する領域分割されたバイナリ型ホログラムを用いた例)
7.第7の実施の形態(迷光層間隔が狭い際に迷光受光領域に迷光がかかるようにした例)
8.他の実施の形態
<1.第1の実施の形態>
[1−1.光ディスク装置の構成]
図1に示すように、光ディスク装置1は、統括制御部2を中心に構成されており、光ディスク100に対し情報を記録し、また当該光ディスク100から情報を再生し得るようになされている。
光ディスク100は、記録層Yにおいて、螺旋状又は同心円状のトラック溝が形成されており、当該トラック溝に沿って情報が記録されるようになされている。因みに光ディスク100は、例えば4層の記録層Y0、Y1、Y2及びY3(以下、これらをまとめて記録層Yと呼ぶ)を有している。
統括制御部2は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラム等が格納されるROM(Read Only Memory)と、当該CPUのワークメモリとして用いられるRAM(Random Access Memory)とによって構成されている。
統括制御部2は、光ディスク100から情報を再生する場合、駆動制御部3を介してスピンドルモータ5を回転駆動させ、ターンテーブル5Tに載置された光ディスク100を所望の速度で回転させる。
また統括制御部2は、駆動制御部3を介してスレッドモータ6を駆動させることにより、光ピックアップ7を移動軸に沿ってトラッキング方向、すなわち光ディスク100の内周側又は外周側へ向かう方向へ大きく移動させるようになされている。
光ピックアップ7は、対物レンズ8や2軸アクチュエータ9等の複数の部品が取り付けられており、統括制御部2の制御に基づいて光ディスク100へ光ビームを照射するようになされている。
因みに統括制御部2は、光ディスク100に光ビームを照射する場合、記録層Y0〜Y3のうち情報を読み出す対象とする記録層Y、すなわち光ビームの焦点を合わせるべき記録層Yを対象記録層YTとして選定するようになされている。
また光ピックアップ7は、光ビームが光ディスクにより反射されてなる反射光ビームを受光し、その受光結果に応じた受光信号を生成して信号処理部4へ供給するようになされている。
信号処理部4は、供給された受光信号を用いた所定の演算処理を行うことによりフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をそれぞれ生成し、これらを駆動制御部3へ供給する。
駆動制御部3のサーボ制御部3Aは、供給されたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を基に、対物レンズ8を駆動するための駆動信号を生成し、これを光ピックアップ7の2軸アクチュエータ9へ供給する。
光ピックアップ7の2軸アクチュエータ9は、この駆動信号に基づいて対物レンズ8のフォーカス制御及びトラッキング制御を行い、当該対物レンズ8により集光される光ビームの焦点位置を調整するようになされている(詳しくは後述する)。
また駆動制御部3は、統括制御部2から対象記録層YTの通知を受け、当該対象記録層YTに当該光ビームの焦点を合わせるようフォーカス制御を行うようになされている。
信号処理部4は、受光信号に対し所定の演算処理、復調処理及び復号化処理等を施すことにより、光ディスク100に記録されている情報を再生し得るようになされている。
また統括制御部2は、光ディスク100に情報を記録する場合、図示しない外部機器等から記録すべき情報を受け付け、これを信号処理部4へ供給する。信号処理部4は、当該情報に対し所定の符号化処理や変調処理等を施すことにより記録用信号を生成し、これを光ピックアップ7へ供給する。
光ピックアップ7は、光ビームを記録用の強度とすると共に記録用信号に応じて変調させることにより、記録用信号に応じた記録マークを形成していく。例えば光ディスク100がBD−RE(Blu-ray Disc-Rewritable)と同様の記録方式の場合、記録層を形成する材料を局所的に相変化させることにより当該記録マークを形成する。
このように光ディスク装置1は、光ディスク100に対し光ピックアップ7から光ビームを照射させ、その反射光を基にフォーカス制御及びトラッキング制御を行いながら、情報の再生処理や記録処理を行い得るようになされている。
[1−2.光ピックアップの構成]
光ピックアップ7は、図2に示すように、光ディスク100に光ビームL1を照射し、当該光ディスク100により当該光ビームL1が反射されてなる反射光ビームLRを受光するようになされている。
レーザダイオード11は、光源制御部21の制御の基で、波長約405[nm]の青紫色レーザ光でなる光ビームL1を発散光として出射し得るようになされている。またレーザダイオード11は、光ビームL1がP偏光となるようにその取付角度等が調整されている。
実際上統括制御部2は、光源制御部21を制御することにより、レーザダイオード11から光ビームLを発射させ、コリメータレンズ12へ入射させる。コリメータレンズ12は、光ビームLを発散光から平行光に変換し、偏光ビームスプリッタ13へ入射させる。
偏光ビームスプリッタ13は、光ビームの偏光方向に応じて透過率が相違する反射透過面13Sを有しており、P偏光の光ビームをほぼ100%の割合で透過すると共に、S偏光の光ビームをほぼ100%の割合で反射するようになされている。
実際上偏光ビームスプリッタ13は、反射透過面13Sにより光ビームL1をほぼ100%の割合で透過させ、球面収差補正部14へ入射させる。
球面収差補正部14は、例えば液晶素子でなり、光ビームL1の球面収差を変化させ1/4波長板15へ入射させるようになされている。また球面収差補正部14は、サーボ制御部3Aの球面収差制御部3ASにより、液晶素子による球面収差の変化度合いを調整し得るようにもなされている。
実際上球面収差補正部14は、統括制御部2及び球面収差制御部3ASの制御に基づき、光ビームL1が集光され光ディスク100の対象記録層YTに到達した際に生じる球面収差と逆特性となるような球面収差を当該光ビームL1に予め与える。これにより球面収差補正部14は、光ビームL1の対象記録層YTへの到達時における球面収差を補正し得るようになされている。
1/4波長板15は、光ビームを直線偏光と円偏光との間で相互変換し得るようになされており、例えばP偏光でなる光ビームL1を左円偏光に変換し、対物レンズ8へ入射させる。
対物レンズ8は、光ビームL1を集光する。ここで統括制御部2は、フォーカス制御部3AFを介して、フォーカスアクチュエータ9Fにより対物レンズ8のフォーカス方向に関する位置を調整している。このため対物レンズ8は、光ビームL1の焦点F1を光ディスク100の対象記録層YTにおおよそ合わせるよう照射する。
このとき光ビームL1は、対象記録層YTで反射されることにより、反射光ビームLRとなり、対物レンズ8へ入射される。また反射光ビームLRは、円偏光における回転方向が反射時に反転されるため、右円偏光となる。
例えば記録層Y0が対象記録層YTであった場合、図3に示すように、光ビームL1は、記録層Y0において反射されることにより反射光ビームLRとなる。
この後反射光ビームLRは、対物レンズ8により発散光から平行光に変換され、1/4波長板15により右円偏光からS偏光(直線偏光)へ変換され、さらに球面収差補正部14へ入射される。
球面収差補正部14は、反射光ビームLRが対象記録層YTにより反射されてから対物レンズ8を通過するまでの間に生じた球面収差を補正し、当該反射光ビームLRを偏光ビームスプリッタ13へ入射させる。
偏光ビームスプリッタ13は、S偏光でなる反射光ビームLRを反射透過面13Sにおいて反射し、集光レンズ16へ入射させる。集光レンズ16は、反射光ビームLRを収束光に変換し、ホログラム素子17へ入射させる。
ホログラム素子17は、回折素子としての性質により、反射光ビームLRを回折させて少なくとも0次光及び1次光に分離し、0次光でなる反射光ビームLR0をほぼ直進させると共に、1次光でなる反射光ビームLR1については0次光と異なる方向へ進行させ、シリンドリカルレンズ18へ入射させる。
ここでホログラム素子17は、図4(A)に示すように反射光ビームLRの通過部分が複数の領域17A〜17Eに分割されており、また図4(B)に示すように領域ごとに反射光ビームLRの回折方向が設定されている。
領域17Aは、反射光ビームLR1のうち、光ディスク100のトラックにより回折された1次回折光(すなわち+1次光又は−1次光)を含み、且つ当該光ディスク100の内周側部分に相当する部分を反射光ビームLR1Aとする。このとき領域17Aは、反射光ビームLR1Aをほぼトラックの走行方向に沿った方向(便宜上、以下この方向を縦方向と呼ぶ)へ回折させる。
領域17Bは、反射光ビームLR1のうち、光ディスク100のトラックにより回折された1次回折光(すなわち−1次光又は+1次光)を含み、且つ当該光ディスク100の外周側部分に相当する部分を反射光ビームLR1Bとする。このとき領域17Bは、反射光ビームLR1Bをほぼ縦方向へ、且つ反射光ビームLR1Aよりも僅かに大きく回折させる。
領域17C1及び17C2(以下、これらをまとめて領域17Cと呼ぶ)は、反射光ビームLR1のうち、光ディスク100のトラックにより回折された1次回折光を殆ど含まず、且つ当該反射光ビームLR1の中央部分を除いた領域のうち、当該光ディスク100の内周側部分に相当する部分を反射光ビームLR1Cとする。このとき領域17Cは、反射光ビームLR1Cをほぼトラックの走行方向と直交する方向(便宜上、以下この方向を横方向と呼ぶ)へ回折させる。
領域17D1及び17D2(以下、これらをまとめて領域17Dと呼ぶ)は、反射光ビームLR1のうち、光ディスク100のトラックにより回折された1次回折光を殆ど含まず、且つ当該反射光ビームLR1の中央部分を除いた領域のうち、当該光ディスク100の外周側部分に相当する部分を反射光ビームLR1Dとする。このとき領域17Dは、反射光ビームLR1Dをほぼ横方向へ、且つ反射光ビームLR1Cよりも僅かに小さく回折させる。
領域17Eは、反射光ビームLR1の中央部分を反射光ビームLR1Eとする。このとき領域17Eは、反射光ビームLR1Eを縦方向及び横方向のほぼ中間となる斜め方向、すなわち図の左下方向へ回折させる。
かくしてホログラム素子17は、1次光でなる反射光ビームLR1のうち、プッシュプル成分(すなわち光ビームL1の焦点F1が所望のトラックに対し内周側又は外周側へ変位した際に光量が変動する成分)を含む部分を反射光ビームLR1A及びLR1Bとし、これらを縦方向へそれぞれ回折させるようになされている。
またホログラム素子17は、反射光ビームLR1のうち、プッシュプル成分を殆ど含まず、且つトラックの走行方向における前後部分を反射光ビームLR1C及びLR1Dとし、これらを横方向へそれぞれ回折させるようになされている。
因みにホログラム素子17は、各領域17A〜17Eにいわゆるバイナリ型のホログラムが形成されているため、実際には回折作用によりそれぞれ+1次光及び−1次光が生じる。しかしながら光ピックアップ7では、1次回折光としては、+1次光又は−1次光のいずれか一方のみを利用するようになされており、他方は利用しないようになされている。
このようにホログラム素子17は、反射光ビームLR1を領域ごとに設定された方向へ回折させることにより、複数の反射光ビームLR1A〜LR1Eに分割するようになされている。
シリンドリカルレンズ18は、0次光でなる反射光ビームLR0に非点収差を持たせ、光検出器19へ照射する。
因みにシリンドリカルレンズ18は、その光学的性質により、1次光でなる反射光ビームLR1A、LR1B、LR1C、LR1D及びLR1Eについても同様に非点収差を持たせることになる。しかしながら反射光ビームLR1A〜LR1Eは、ホログラム素子17に形成された回折格子により、予め当該非点収差を相殺するような収差が与えられ、これによりシリンドリカルレンズ18から出射される時点で収差を持たないようになされている。
光検出器19は、図5に示すように、複数の受光部D1〜D4が形成され、さらに各受光部D1〜D4にそれぞれ複数の受光領域が形成されている。
受光部D1は、0次光でなる反射光ビームLR0の光軸に対応する基準点Pを中心に、縦方向及び横方向にそれぞれ2分割された、すなわち格子状に4分割された受光領域D1A、D1B、D1C及びD1Dにより当該反射光ビームLR0を受光するようになされている。因みに受光領域D1A〜D1Dは、いずれもほぼ同等の大きさでなる略正方形状に形成されている。
また受光領域D1A、D1B、D1C及びD1Dは、それぞれの受光量に応じた受光信号S1A、S1B、S1C及びS1Dを生成し、これらをヘッドアンプ22(図2)へ送出するようになされている。
さらに受光領域D1A、D1B、D1C及びD1Dの周囲には、迷光(詳しくは後述する)を検出するための迷光受光領域D1P、D1Q、D1R及びD1Sが設けられている。この迷光受光領域D1P、D1Q、D1R及びD1Sも、それぞれの受光量に応じた受光信号S1P、S1Q、S1R及びS1Sを生成し、これらをヘッドアンプ22(図2)へ送出するようになされている。
受光部D2は、基準点Pから縦方向に離隔した箇所に設けられており、互いに縦方向に並べて、すなわち基準点Pから縦方向へ延長される仮想的な直線VL1に沿って、受光領域D2A及びD2Bが配置されている。因みに受光領域D2A及びD2Bは、いずれもほぼ同等の大きさでなる略正方形状に形成されている。
受光領域D2A及びD2Bは、反射光ビームLR1A及びLR1Bをそれぞれ受光し、それぞれの受光量に応じた受光信号S2A及びS2Bを生成して、これらをヘッドアンプ22(図2)へ送出するようになされている。
さらに受光部D2には、縦方向に沿って、受光領域D2A及びD2Bにそれぞれ隣接するよう、迷光を検出するための迷光受光領域D2P及びD2Qが設けられている。この迷光受光領域D2P及びD2Qも、それぞれの受光量に応じた受光信号S2P及びS2Qを生成し、これらをヘッドアンプ22(図2)へ送出するようになされている。
受光部D3は、基準点Pから横方向に離隔した箇所に設けられており、互いに横方向に並べて、すなわち基準点Pから横方向へ延長される仮想的な直線VL2に沿って、受光領域D3C及びD3Dが配置されている。因みに受光領域D3C及びD3Dは、いずれもほぼ同等の大きさでなる略正方形状に形成されている。
受光領域D3C及びD3Dは、反射光ビームLR1C及びLR1Dをそれぞれ受光し、それぞれの受光量に応じた受光信号S3C及びS3Dを生成して、これらをヘッドアンプ22(図2)へ送出するようになされている。
さらに受光部D3には、横方向に沿って、受光領域D3C及びD3Dにそれぞれ隣接するよう、迷光を受光するための迷光受光領域D3R及びD3Sが設けられている。この迷光受光領域D3R及びD3Sも、それぞれの受光量に応じた受光信号S3R及びS3Sを生成し、これらをヘッドアンプ22(図2)へ送出するようになされている。
受光部D4は、基準点Pから斜め方向(すなわち縦方向及び横方向のほぼ中間となる方向)に離隔した箇所に設けられており、格子状に4分割された受光領域D4A、D4B、D4C及びD4Dにより反射光ビームLR1Eを受光するようになされている。因みに受光部D4における各受光領域の分割方向は、受光部D1における分割方向と約45度の角度をなすようになされている。また受光領域D4A〜D4Dは、いずれもほぼ同等の大きさでなる略正方形状に形成されている。
また受光領域D4A、D4B、D4C及びD4Dは、それぞれの受光量に応じた受光信号S4A、S4B、S4C及びS4Dを生成し、これらをヘッドアンプ22(図2)へ送出するようになされている。
ここで、光ピックアップ7において反射光ビームLR1がホログラム素子17により回折されると共に複数に分割され光検出器19へ照射される様子を立体的に表すと、図6のように模式的に表すことができる。
このように光検出器19は、受光部D1〜D4の各受光領域により反射光ビームLR0、LR1A〜LR1Eをそれぞれ受光し、それぞれの受光量に応じた受光信号をそれぞれ生成してヘッドアンプ22へ供給するようになされている。
因みに光ピックアップ7では、集光レンズ16及びホログラム素子17の設計等により、反射光ビームLR1A、LR1B、LR1C、LR1D、LR1Eそれぞれが光検出器19においてほぼ焦点を結ぶようになされている。このため光検出器19の受光部D2、D3及びD4それぞれに形成されるビームスポットは、ほぼ点状に収束している。
[1−3.迷光の照射と受光領域の配置]
ところで光ディスク100は、記録層Y1〜Y3において常にそれぞれ所定の反射率で光ビームを反射すると共にその残りを透過し、記録層Y1を透過した光ビームを記録層Y0において反射するようになされている。
このため図3に示したように、光ディスク装置1により例えば記録層Y0が対象記録層YTとして選定されていたとしても、光ビームL1は常に他の記録層Y1〜Y3によってもそれぞれ反射されることになる。このように、他の記録層Y1〜Y3により光ビームL1の一部が反射されてなる光ビームを層間迷光ビームLNと呼ぶ。
層間迷光ビームLNは、反射光ビームLRと同様の光路を通り、ホログラム素子17により回折された上で、最終的に光検出器19に照射される。
しかしながら層間迷光ビームLNは、反射光ビームLRと比較して、対物レンズ8から光ビームL1として出射されてから光検出器19に到達するまでの光路長が相違する。
光ピックアップ7では、反射光ビームLRについて、光検出器19が対象記録層YTの共焦点となるように各種光学部品の配置や光学特性等が定められている。このため層間迷光ビームLNは、反射光ビームLRと同様の分割パターンにより分割され、且つ焦点が外れた状態、いわゆるデフォーカスした状態で光検出器19に照射される。
さらに光ディスク100は、他の記録層Y1〜Y3を複数(この場合は3層)有しており、層間迷光ビームLNの中でも、他の記録層Y1〜Y3のいずれにおいて反射された光ビームであるかにより、光検出器19上でのデフォーカスの状態が相違することになる。
例えば他の記録層Y3、すなわち対象記録層YTである記録層Y0から最も離れた記録層Yにより反射されてなる層間迷光ビームLN(以下これを層間迷光ビームLN3と呼ぶ)は、図7(A)に示すように、光検出器19上で比較的大きく広がった迷光パターンW3を形成する。
この迷光パターンW3は、ホログラム素子17により0次光の迷光パターンW30が形成されると共に、1次光のうち領域17A及び17Bにより迷光パターンW3A及びW3Bが形成され、領域17C1、17C2、17D1及び17D2により迷光パターンW3C1、W3C2、W3D1及びW3D2がそれぞれ形成されている。
ここで光検出器19の受光部D2及びD3は、図7(A)に示したように、照射範囲が最も広がる迷光パターンW3について、迷光パターンW30、迷光パターンW3A及びW3B、並びに迷光パターンW3C1、W3C2、W3D1及びW3D2のいずれもがかからないよう配置されている。
一方、他の記録層Y1、すなわち対象記録層YTである記録層Y0に近接した記録層Yにより反射されてなる層間迷光ビームLN(以下これを層間迷光ビームLN1と呼ぶ)は、図7(B)に示すように、光検出器19上で比較的狭い範囲に縮まった迷光パターンW1を形成する。
この迷光パターンW1は、迷光パターンW3と対応しており、ホログラム素子17により0次光の迷光パターンW10が形成されると共に、1次光のうち領域17A及び17Bにより迷光パターンW1A及びW1Bが形成され、領域17C1、17C2、17D1及び17D2により迷光パターンW1C1、W1C2、W1D1及びW1D2がそれぞれ形成されている。
光検出器19の受光部D2は、図7(B)に示したように、照射範囲が最も縮まる迷光パターンW1の場合に、ホログラム素子17の領域17A及び17Bにより形成される迷光パターンW1A及びW1Bがかからないよう配置されている。
ここで迷光パターンW1A及びW1Bの間隔u2は、図7(B)に示したように比較的狭くなる。また対象記録層YTよりも奥側に他の記録層Yがある場合には、迷光パターンW1A及びW1Bは、仮想的な直線VL1(図5)に対してそれぞれ反転した位置に移動する。このため光検出器19では、受光領域D2A及びD2Bを横方向に並べず縦方向に並べると共に、横方向の幅を間隔u2よりも小さくするようになされている。
また光検出器19の受光部D3は、この迷光パターンW1の場合に、ホログラム素子17の領域17C1、17C2、17D1及び17D2により形成される迷光パターンW3C1、W3C2、W3D1及びW3D2がいずれもかからないよう配置されている。
ここで迷光パターンW1C1及びW1C2の間隔u3は、図7(B)に示したように比較的狭くなる。このため光検出器19では、受光領域D3C及びD3Dを縦方向に並べず横方向に並べると共に、縦方向の幅を間隔u3よりも小さくするようになされている。
ここで、例えば対象記録層YTと記録層Y3との層間隔が45[μm]であった場合に光検出器19に形成される迷光パターンWと、記録層Y1との層間隔が10[μm]であった場合に光検出器19に形成される迷光パターンWとを、図8に重ねて示す。
また図8では、光ディスク100の照射面100A側から見て対象記録層YTよりも手前側に他の記録層Yがある場合の迷光パターンWを実線で表しており、対象記録層Yよりも奥側に他の記録層Yがある場合の迷光パターンを破線で表している。
このように光検出器19の各受光領域は、対象記録層YTからの距離が相違する他の記録層Yにより反射された様々な層間迷光ビームLNにより、様々な大きさの迷光パターンWが形成された際にも、受光部D2及びD3に当該迷光パターンがかからないように配置されている。
さらに光ピックアップ7では、光検出器19の取付位置を調整する際、受光部D4における検出結果を用いるようになされている。
すなわち光ピックアップ7は、その組立工程等において、調整用の光ディスク100が装填された上で、統括制御部2の制御に基づき、光ビームL1を当該光ディスク100へ照射する。
これに応じて光検出器19の受光部D1には、0次光でなる反射光ビームLR0が非点収差を持った状態で照射される。
この組立工程において、光検出器19は、後述するフォーカスエラー信号SFE1が値「0」となるように、反射光ビームLR0の光軸に沿った方向に関する取付位置及び当該光軸に直交する平面における取付位置が微調整される。
これにより、光検出器19は、反射光ビームLR0の光軸に沿った方向に関する取付位置が最適化され、また縦方向及び横方向に関する取付位置も最適化される。
さらに光検出器19は、受光信号S4A及びS4Dの和と受光信号S4B及びS4Cの和とがほぼ同等の信号レベルになるよう、基準点Pを中心とした取付角度が調整される。これにより光検出器19は、基準点Pを中心とした回転方向に関する取付角度についても最適化される。
さらにホログラム素子17は、受光信号S4A及びS4Bの和と受光信号S4C及びS4Dの和がほぼ同等の信号レベルになるよう、反射光ビームLR0の光軸に沿った方向に関する位置が調整される。これによりホログラム素子17は、反射光ビームLR0の光軸に沿った方向に関する取付位置についても最適化される。
このように光検出器19では、各記録層Yからの層間迷光ビームLNを回避し得るように、受光部D2の受光領域D2A及びD2B並びに受光部D3の受光領域D3C及びD3Dがそれぞれ配置されている。
[1−4.フォーカス制御及びトラッキング制御]
光ディスク装置1のヘッドアンプ22(図2)は、受光信号S1A、S1B、S1C及びS1D、S2A及びS2B、S3C及びS3D、並びにS4A、S4B、S4C及びS4Dをそれぞれ増幅し、信号処理部4へ供給する。
またヘッドアンプ22は、迷光受光信号S1P、S1Q、S1R及びS1S、S2P及びS2Q、並びにS3R及びS3Sについてもそれぞれ増幅し、信号処理部4へ供給するようになされている。
信号処理部4は、フォーカスエラー信号演算回路4Fによって次の(1)式に従った演算を行うことにより、非点収差法によるフォーカスエラー信号SFE1を算出し、これをサーボ制御部3Aのフォーカス制御部3AFへ供給する。
このフォーカスエラー信号SFE1は、光ディスク100において、光ビームL1の焦点F1と対象記録層YTとのずれ量を表すことになる。
因みに(1)式において、係数kは所定の係数を表しており、k×{(S1P+S1R)−(S1Q+S1S)}の項については、迷光により受光信号に不均一さが生じる場合に当該不均一さを補正するために設けられている。
また信号処理部4は、トラッキングエラー信号の生成については、DPD(Differential Phase Detection)法等の位相差法又は1ビームプッシュプル法のいずれかを用いるようになされている。
具体的に信号処理部4は、光ディスク100の種類に応じて、当該光ディスク100が記録層Yにピット列が予め形成されたBD−ROM(Read Only Memory)であった場合には位相差法を用いる。また信号処理部4は、当該光ディスク100が記録可能なBD−R(Recordable)又はBD−RE(Rewritable)であった場合には、1ビームプッシュプル法を用いる。
信号処理部4は、1ビームプッシュプル法を用いる場合、トラッキングエラー信号演算回路4Tによって次の(2)式に従った演算を行うことによりトラッキングエラー信号STE1を算出する。さらに信号処理部4は、当該トラッキングエラー信号STE1をサーボ制御部3Aのトラッキング制御部3ATへ供給する。
このトラッキングエラー信号STE1は、光ディスク100において、光ビームL1の焦点F1と対象記録層YTにおける所望のトラックとのずれ量を表すことになる。
因みに(2)式において、係数α及びjはそれぞれ所定の係数を表している。また(S2A−S2B)の項は、プッシュプル成分(すなわち光ビームL1の焦点F1と所望のトラックとの相対的な変位)にレンズシフト成分(すなわち対物レンズ8のトラッキング方向への変位)が加算された値に相当する。さらにα×(S3C−S3D)の項は、レンズシフト成分の値に相当する。
すなわち(2)式の前半部分では、レンズシフト成分が加算されたプッシュプル成分の値から、レンズシフト成分のみを減算することにより、プッシュプル成分を算出している。
さらに(2)式の後半部分であるj×{(S2P−S2Q)−α×(S3R−S3S)}の項については、フォーカスエラー信号SFE1の場合と同様、迷光により受光信号に不均一さが生じる場合に当該不均一さを補正するために設けられている。
一方信号処理部4は、位相差法を用いる場合、受光信号S1A、S1B、S1C及びS1Dを基に、次に示す(3)式に従った演算処理を行うことによりトラッキングエラー信号STE1を生成し、これをサーボ制御部3Aのトラッキング制御部3ATへ供給する。
因みに(3)式では、演算子φは信号位相を表しており、式全体としては位相差を算出している。
サーボ制御部3Aのフォーカス制御部3AF(図2)は、フォーカスエラー信号SFE1を基にフォーカス駆動信号SFD1を生成し、これをフォーカスアクチュエータ9Fへ供給する。フォーカスアクチュエータ9Fは、フォーカス駆動信号SFD1に基づき対物レンズ8をフォーカス方向へ駆動する(以下これをフォーカス制御と呼ぶ)。
光ディスク装置1は、このフォーカス制御を繰り返し行う(すなわちフィードバック制御を行う)ことにより、光ビームL1の焦点F1と対象記録層YTとのフォーカス方向に関するずれ量を任意の目標値に収束させていく。
またサーボ制御部3Aのトラッキング制御部3AT(図2)は、トラッキングエラー信号STE1を基に、トラッキング駆動信号STD1を生成し、これをトラッキングアクチュエータ9Tへ供給する。トラッキングアクチュエータ9Tは、トラッキング駆動信号STD1に基づき対物レンズ8をトラッキング方向へ駆動する(以下これをトラッキング制御と呼ぶ)。
光ディスク装置1は、このトラッキング制御についても繰り返し行う(すなわちフィードバック制御を行う)ことにより、光ビームL1の焦点F1と対象記録層YTにおける所望のトラックとのトラッキング方向に関するずれ量を任意の目標値に収束させていく。
かくして光ディスク装置1は、フォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、光ビームL1の焦点F1を対象記録層YTにおける所望のトラックに合わせるようになされている。
また光ディスク装置1は、信号処理部4の再生信号演算回路4Rにおいて、次の(4)式に従って受光信号S1A〜S1Dを加算することにより再生RF信号SRFを算出するようになされている。
この再生RF信号SRFは、0次光でなる反射光ビームLR0全体の光量に相当すると共に、光ディスク100に記録された信号を表している。その後再生信号演算回路4Rは、再生RF信号SRFに対し所定の復調処理や復号化処理等を施すことにより、光ディスク100に記録されている情報を再生するようになされている。
[1−5.光ディスクの種類判別]
ところで光検出器19に形成される迷光パターンWは、図7(A)及び(B)に示したように、層間迷光ビームLNが反射された記録層Yと対象記録層YTとの間隔に応じて、その照射範囲が変化する。
具体的に光検出器19では、記録層Yと対象記録層YTとの間隔が広い場合には、迷光パターンWの照射範囲が広がり、反対に当該間隔が狭い場合には、迷光パターンWの照射範囲が狭まる。
これを換言すれば、光ディスク100が装填された直後等、当該光ディスク100に形成されている記録層Yの数が不明であるときに、迷光パターンWの形成範囲を基に、光ディスク100における記録層Yの数をある程度判別できることになる。
特に光検出器19は、図7(A)及び(B)に示したように、迷光パターンW10及びW30のいずれもが、受光部D1の迷光受光領域D1P、D1Q、D1R、D1Sにかかるよう照射されている。
一方、光検出器19は、光ディスク100が記録層Yを1層のみ有している場合、原理的に層間迷光ビームLNが発生しないため、受光部D1の迷光受光領域D1P、D1Q、D1R、D1Sに迷光パターンがかかることはない。
そこで信号処理部4のメディア判別信号演算回路4Mは、受光部D1の迷光受光領域D1P、D1Q、D1R、D1Sにより生成された受光信号S1P、S1Q、S1R及びS1Sが、所定の閾値以上であるか否かを判別する。
メディア判別信号演算回路4Mは、受光信号S1P、S1Q、S1R及びS1Sが閾値以上であった場合、迷光受光領域D1P、D1Q、D1R、D1Sに迷光パターンWが形成されており、光ディスク100が記録層Yを2層以上有していると判別する。
一方メディア判別信号演算回路4Mは、受光信号S1P、S1Q、S1R及びS1Sが閾値未満であった場合、迷光受光領域D1P、D1Q、D1R、D1Sに迷光パターンWが形成されておらず、光ディスク100が記録層Yを1層のみ有していると判別する。
かくして光ディスク装置1の信号処理部4は、受光信号S1P、S1Q、S1R及びS1Sを基に、迷光パターンWの有無を判別し、その判別結果から光ディスク100の記録層Yが1層であるか、或いは2層以上であるかを判別するようになされている。
[1−6.動作及び効果]
以上の構成において光ディスク装置1の光ピックアップ7は、光ビームL1を光ディスク100へ照射し、当該光ディスク100により反射されてなる反射光ビームLRをホログラム素子17により分離する。
ホログラム素子17は、0次光でなる反射光ビームLR0をほぼ直進させると共に、領域17A〜17E(図4(A))ごとに、1次光でなる反射光ビームLR1を回折させる。
このときホログラム素子17は、反射光ビームLR1A及びLR1Bをそれぞれ縦方向へ回折させ、反射光ビームLR1C及びLR1Dをそれぞれ横方向へ回折させ、さらに反射光ビームLR1Eを斜め方向へ回折させる。
これに応じて光検出器19は、受光部D1の受光領域D1A〜D1Dにより反射光ビームLR0を受光し、受光信号S1A〜S1Dを生成する。また光検出器19は、受光部D2の受光領域D2A及びD2Bにより反射光ビームLR1A及びLR1Bをそれぞれ受光し、受光信号S2A及びS2Bを生成する。さらに光検出器19は、受光部D3の受光領域D3C及びD3Dにより反射光ビームLR1C及びLR1Dをそれぞれ受光し、受光信号S3C及びS3Dを生成する。
信号処理部4は、ヘッドアンプ22により増幅された各受光信号を基に、フォーカスエラー信号演算回路4Fにより(1)式に従ってフォーカスエラー信号SFE1を算出する。また信号処理部4は、トラッキングエラー信号演算回路4Tにより(2)式に従ってトラッキングエラー信号STE1を算出して、これらをサーボ制御部3Aへ供給する。
サーボ制御部3Aは、フォーカス制御部3AFによってフォーカスエラー信号SFE1を基にフォーカス駆動信号SFD1を生成しフォーカスアクチュエータ9Fへ供給することにより、フォーカス制御を行う。
またサーボ制御部3Aは、トラッキング制御部3ATによってトラッキングエラー信号STE1を基にトラッキング駆動信号STD1を生成しトラッキングアクチュエータ9Tへ供給することにより、トラッキング制御を行う。
従って光ディスク装置1は、光検出器19の受光部D2及びD3によって反射光ビームLR1A、LR1B、LR1C及びLR1Dをそれぞれ受光でき、その受光結果である受光信号S2A、S2B、S3C及びS3Dを用いて生成したトラッキングエラー信号STE1を基にトラッキング制御を行うことができる。
1ビームプッシュプル法では、一般に、再生RF信号SRFの信号レベルを高めるべく、ホログラム素子17の回折作用により、0次光でなる反射光ビームLR0の光強度を1次光でなる反射光ビームLR1の光強度よりも高めるようになされている。
これに伴い光検出器19では、1次光でなる反射光ビームLR1A、LR1B、LR1C1、LR1C2、LR1D1及びLR1D2の照射強度が相対的に弱くなり、受光信号S1A等のS/N(Signal/Noise)比等も比較的低くなってしまう。
このため光ディスク装置1では、光検出器19において1次光を受光するための受光領域D2A、D2B、D3C及びD3Dに迷光パターンWがかかった場合、トラッキングエラー信号STE1の精度が大幅に低下してしまうおそれがあった。
これに対しホログラム素子17は、プッシュプル成分を多く含む反射光ビームLR1A及びLR1Bと、レンズシフト成分を多く含む反射光ビームLR1C及びLR1Dとを、互いに異なる方向へ回折させている。これにより光検出器19では、領域17A及び17Bによる迷光パターンが受光部D3に照射されることを回避できると共に、領域17C及び17Dによる迷光パターンが受光部D2に照射されることも回避できる。
このため光検出器19では、受光部D2については、0次光並びに領域17A及び17Bに起因した迷光パターンWを回避するよう設計すれば良く、受光部D3については、0次光並びに領域17C及び17Dに起因した迷光パターンWを回避するよう設計すれば良いため、設計上の難易度を緩和することができる。
さらに光検出器19では、受光部D2が基準点Pから見て縦方向に配置されている。また受光領域D2A及びD2Bは、互いに縦方向に並べて配置され、横方向に関して間隔u2(図7(B))未満に収まるようになされている。
このため光検出器19は、図7(A)及び(B)に示したように、層間迷光ビームLNがホログラム素子17の領域17A及び17Bによりそれぞれ回折され形成された迷光パターンWが、受光領域D2A及びD2Bにかかることはない。因みにこの迷光パターンWとは、迷光パターンW3A及びW3B(図7(A))やW1A及びW1B(図7(B))等をいう。
特に光検出器19は、仮にホログラム素子17における格子ピッチの誤差や光ビームL1における波長のずれ等の要因により回折角が設計上の値からずれたとしても、迷光パターンWが受光領域D2A及びD2Bにかかることはない。
すなわち光検出器19では、基本的に、受光信号S2A及びS2Bに層間迷光ビームLNの影響が表れることはない。
また光検出器19は、受光部D3が基準点Pから見て横方向に配置されている。また受光領域D3C及びD3Dは、互いに横方向に並べて配置され、縦方向に関して間隔u3(図7(B))未満に収まるようになされている。
このため光検出器19では、図7(A)及び(B)に示したように、層間迷光ビームLNがホログラム素子17の領域17C1、17C2、17D1及び17D2によりそれぞれ回折され形成された迷光パターンWが、受光領域D3C及びD3Dにかかることはない。因みにこの迷光パターンWとは、迷光パターンW3C1、W3C2、W3D1及びW3D2(図7(A))やW1C1、W1C2、W1D1及びW1D2(図7(B))等をいう。
特に光検出器19は、仮にホログラム素子17における格子ピッチの誤差や光ビームL1における波長のずれ等の要因により回折角が設計上の値からずれたとしても、迷光パターンWが受光領域D3C及びD3Dにかかることはない。
すなわち光検出器19では、基本的に、受光信号S3C及びS3Dについても層間迷光ビームLNの影響が表れることはない。
従って、受光信号S2A、S2B、S3C及びS3Dを用いて算出されるトラッキングエラー信号STE1についても、層間迷光ビームLNの影響が表れることは殆どないといえる。
かくして光検出器19は、光ディスク100における対象記録層YTからの層間距離が相違する複数の記録層Yに起因した種々の迷光パターンWを効果的に回避し得るよう受光領域D2A、D2B、D3C及びD3Dが配置されている。このため光ディスク装置1は、トラッキングエラー信号STE1の精度を殆ど低下させずに済む。
さらに光検出器の受光部D2には、迷光検出用の迷光受光領域D2P及びD2Qが設けられており、受光部D3には、迷光検出用の迷光受光領域D3R及びD3Sが設けられている。
これに応じて信号処理部4のトラッキングエラー信号演算回路4Tでは、(2)式の後半部分にα×{(S2P−S2Q)−j×(S3R−S3S)}の項が設けられている。
このため信号処理部4では、何らかの要因により受光領域D2A及びD2B又はD3C及びD3Dに迷光パターンWがかかり、層間迷光ビームLNによる影響が受光信号S2A、S2B、S3C又はS3Dに含まれていた場合であっても、その影響を効果的に排除することができる。
さらに光ピックアップ7は、集光レンズ16及びホログラム素子17の設計により、光検出器19の受光部D2、D3及びD4へ照射される反射光ビームLR1A等を点状のビームスポットとするよう集光している。このため光ピックアップ7は、光検出器19における各受光領域の面積を小さく抑えることができると共に、対物レンズ8のレンズシフトが生じた際の各ビームスポットの移動量も小さく抑えることができる。
このとき光ピックアップ7は、迷光パターンWについても極力小さく集光することになるため、当該迷光パターンWの照射範囲をできるだけ狭めることができる。
以上の構成によれば、光ディスク装置1の光ピックアップ7は、反射光ビームLRをホログラム素子17により回折させ、0次光でなる反射光ビームLR0をほぼ直進させ、光検出器19の受光部D1により検出して受光信号S1A〜S1Dを生成する。また光ピックアップ7は、1次光のうち縦長の形状を有する反射光ビームLR1A及びLR1Bをそれぞれ縦方向へ回折させて受光部D2の受光領域D2A及びD2Bによりそれぞれ受光し、受光信号S2A及びS2Bを生成する。さらに光ピックアップ7は、1次光のうち横長の形状を有する反射光ビームLR1C及びLR1Dをそれぞれ横方向へ回折させて受光部D3の受光領域D3C及びD3Dによりそれぞれ受光し、受光信号S3C及びS3Dを生成する。これにより光ディスク装置1は、複数の記録層Yからの層間迷光ビームLNによりそれぞれ形成される迷光パターンWの影響を排除したトラッキングエラー信号STE1を生成でき、精度良くトラッキング制御を行うことができる。
<2.第2の実施の形態>
第2の実施の形態による光ディスク装置30は、第1の実施の形態による光ディスク装置1と比較して、信号処理部4、光ピックアップ7、ホログラム素子17及び光検出器19に代えて、信号処理部34、光ピックアップ37、ホログラム素子47及び光検出器49が設けられている点が異なっている。
信号処理部34は、信号処理部4と同様に所定の演算処理を行うことによりフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をそれぞれ生成し、これらを駆動制御部3へ供給するものの、信号処理部4とは演算処理の内容が一部相違している(詳しくは後述する)。
光ピックアップ37のホログラム素子47は、図4と対応する図9に示すように、光ピックアップ7のホログラム素子17と比較して、同様の分割パターンにより分割されているものの、領域47A及び47Bに形成される回折素子の種類が相違している。
すなわち領域47A及び47Bは、いわゆるブレーズドホログラムでなり、反射光ビームLRのうち当該領域47A及び47Bにかかる部分について、そのほぼ全てを1次光として回折させ反射光ビームLR1A及びLR1Bとするようになされている。
また領域47C1、47C2、47D1及び47D2は、第1の実施の形態と比較して、それぞれ1次光でなる反射光ビームLR1C1、LR1C2、LR1D1及びLR1D2の回折角度が小さくなるよう設計されている。図10に、反射光ビームLR1A〜LR1Dが照射される様子を模式的に示している。
光検出器49は、図7と対応する図11に示すように、光検出器19と比較して、受光部D3が受光部D1に近接した箇所に設けられている。
実際上、光検出器49には、例えば層間迷光ビームLN3が照射された場合、図7の迷光パターンW3と対応する迷光パターンW5が形成される。
この迷光パターンW5を迷光パターンW3(図7(A))と比較すると、0次光による迷光パターンW50については、これと対応する迷光パターンW30からホログラム素子47の領域47A及び47Bに相当する部分が欠落したような形状となっている。これは、領域47A及び47Bにおいて0次光が殆ど発生しないことによるものである。
また迷光パターンW50は、迷光パターンW30と比較して、横方向への広がりが抑えられた形状となっている。このため光検出器49は、受光部D3が受光部D1に近接しているものの、当該受光部D3に当該迷光パターンW50がかからないようになされている。
一方、信号処理部34では、上述した(4)式に代えて、所定の係数γを用い、次に示す(5)式により再生RF信号SRFを算出する。
この第2の実施の形態では、反射光ビームLRのうちいわゆるプッシュプル成分については、そのほぼ全てが1次光でなる反射光ビームLR1A及びLR1Bとして受光部D2の受光領域D2A及びD2Bに照射される。
このため(5)式では、(4)式と比較してγ×(S2A+S2B)の項が加算されている。
因みに光ディスク装置30は、その他の点については、第1の実施の形態による光ディスク装置1とほぼ同様に構成されている。
以上の構成において、第2の実施の形態による光ディスク装置30の光ピックアップ37は、光ビームL1を光ディスク100へ照射し、当該光ディスク100により反射されてなる反射光ビームLRをホログラム素子47により分離する。
ホログラム素子47は、領域47A及び47B(図9(A))以外の部分について0次光でなる反射光ビームLR0をほぼ直進させると共に、領域47A〜47Eごとに、1次光でなる反射光ビームLR1を回折させる。
このときホログラム素子47は、反射光ビームLR1A及びLR1Bをそれぞれ縦方向へ回折させ、反射光ビームLR1C及びLR1Dをそれぞれ横方向へ回折させ、さらに反射光ビームLR1Eを斜め方向へ回折させる。
これに応じて光検出器49は、受光部D1の受光領域D1A〜D1Dにより反射光ビームLR0を受光し、受光信号S1A〜S1Dを生成する。また光検出器49は、受光部D2の受光領域D2A及びD2Bにより反射光ビームLR1A及びLR1Bをそれぞれ受光し、受光信号S2A及びS2Bを生成する。さらに光検出器49は、受光部D3の受光領域D3C及びD3Dにより反射光ビームLR1C及びLR1Dをそれぞれ受光し、受光信号S3C及びS3Dを生成する。
信号処理部34は、フォーカスエラー信号演算回路4Fにより(1)式に従ってフォーカスエラー信号SFE1を算出する。また信号処理部34は、トラッキングエラー信号演算回路4Tにより(2)式に従ってトラッキングエラー信号STE1を算出して、これらをサーボ制御部3Aへ供給する。
サーボ制御部3Aは、第1の実施の形態と同様、フォーカス制御及びトラッキング制御を行う。
従って光ディスク装置30は、光検出器49の受光部D2及びD3によって反射光ビームLR1A、LR1B、LR1C及びLR1Dをそれぞれ受光でき、その受光結果である受光信号S2A、S2B、S3C及びS3Dを用いて生成したトラッキングエラー信号STE1を基にトラッキング制御を行うことができる。
このとき光検出器49では、受光部D3が受光部D1に近接して配置されているものの、0次光に起因する迷光パターンW50のうち、ホログラム素子47の領域47A及び47Bに相当する部分が欠落していることから、当該迷光パターンW50がかかることはない。
すなわちホログラム素子47の領域47C1、47C2、47D1及び47D2は、第1の実施の形態におけるホログラム素子17の領域17C1、17C2、17D1及び17D2と比較して、1次光の回折角度を小さくすることができる。
一般に、ホログラム素子は、回折角度を大きくする場合、格子のピッチを細かくする必要があり、設計上或いは製造上の制約となる可能性がある。これに対し第2の実施の形態によるホログラム素子47では、領域47C1、47C2、47D1及び47D2について格子のピッチを荒くすることができるので、設計上或いは製造上の制約を緩和することができる。
さらに光ディスク装置30は、受光部D1の受光領域D1A〜D1Dによりプッシュプル成分が殆ど含まれない反射光ビームLR0を受光でき、その受光結果である受光信号S1A〜S1Dを用いて生成したフォーカスエラー信号SFE1を基に、プッシュプル成分による外乱(いわゆるフォーカスエラー信号へのトラッキングエラー信号の漏れ込み)が抑制された安定したフォーカス制御を実行することができる。なおその他の点について、この光ディスク装置30は、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、光ディスク装置30の光ピックアップ37は、反射光ビームLRをホログラム素子47により回折させ、領域47A及び47Bに相当する部分を除いた0次光でなる反射光ビームLR0をほぼ直進させ、光検出器49の受光部D1により検出して受光信号S1A〜S1Dを生成する。また光ピックアップ37は、1次光のうち反射光ビームLR1A及びLR1Bをそれぞれ縦方向へ回折させて受光部D2の受光領域D2A及びD2Bによりそれぞれ受光し、受光信号S2A及びS2Bを生成する。さらに光ピックアップ37は、1次光のうち反射光ビームLR1C及びLR1Dをそれぞれ横方向へ回折させて受光部D3の受光領域D3C及びD3Dによりそれぞれ受光し、受光信号S3C及びS3Dを生成する。これにより光ディスク装置30は、第1の実施の形態と同様、複数の記録層Yからの層間迷光ビームLNによりそれぞれ形成される迷光パターンWの影響を排除したトラッキングエラー信号STE1を生成でき、精度良くトラッキング制御を行うことができる。
<3.第3の実施の形態>
[3−1.光ディスク装置の構成]
第3の実施の形態による光ディスク装置50(図1)は、第1の実施の形態による光ディスク装置1と比較して、サーボ制御部3A、信号処理部4及び光ピックアップ7に代えて、サーボ制御部53A、信号処理部54及び光ピックアップ57が設けられている点が異なっている。
サーボ制御部53Aは、図12に示すように、第1の実施の形態におけるサーボ制御部3A(図2)と比較して、球面収差制御部3ASに代えて球面収差制御部53ASが設けられている点が異なっているものの、他は同様に構成されている。
信号処理部54は、信号処理部4の各演算回路とそれぞれ対応する各演算回路を有しているものの、その演算処理は信号処理部4における演算処理と一部相違している(詳しくは後述する)。
[3−2.光ピックアップの構成]
光ピックアップ57は、光ピックアップ7(図2)と比較して、球面収差補正部14、ホログラム素子17及び光検出器19に代えて、球面収差補正部64、複合ホログラム素子67及び光検出器69が設けられている点で異なっている。
球面収差補正部64は、凸レンズでなりその位置が固定された固定レンズ64Fと、凹レンズでなり光ビームL1の光軸に沿った方向へ移動し得る可動レンズ64Mとにより、いわゆるガリレオ式のビームエクスパンダとして構成されている。この可動レンズ64Mは、サーボ制御部53Aの球面収差制御部53ASからの制御に基づき移動するようになされている。
実際上球面収差補正部64は、可動レンズ64Mにより光ビームL1を一度拡散し、続いて固定レンズ64Fにより当該光ビームL1を集光する。
これにより球面収差補正部64は、第1の実施の形態における球面収差補正部14と同様に、光ビームL1に対し、当該光ビームL1が集光され光ディスク100の対象記録層YTに到達した際に生じる球面収差と逆特性となるような球面収差を予め与えるようになされている。
複合ホログラム素子67は、光ピックアップ7(図2)におけるホログラム素子17に代わるものであり、偏光ビームスプリッタ13から見て集光レンズ16の手前に配置されている。
この複合ホログラム素子67は、図13に模式的な断面図を示すように、1/2波長板67A、偏光ホログラム67B及び偏光ホログラム67Cが積層されたような一体化したような構成となっている。
実際上、反射光ビームLRは、偏光ビームスプリッタ13からS偏光の光ビームとして入射される。図13では、S偏光でなる反射光ビームLRの偏光方向を、紙面に垂直な方向として表している。
1/2波長板67Aは、反射光ビームLRの偏光方向を所定角度回転させることにより、S偏光成分を所定の割合まで低下させると共にその残りをP偏光成分として、偏光ホログラム67Bへ入射させる。
偏光ホログラム67Bは、光ビームのうち特定の偏光方向成分に対して回折作用を呈するようになされており、実際上反射光ビームLRのうちP偏光成分に対してのみ回折作用を呈し、S偏光成分については何ら作用せず透過させるようになされている。
また偏光ホログラム67Bは、図4(A)と対応する図14(A)に示すように、ホログラム素子17と同様の分割パターンにより、領域67BA、67BB、67BC1、67BC2、67BD1、67BD2及び67BEに分割されている。
領域67BA〜67BEは、図4(B)と対応する図14(B)に示すように、それぞれ回折格子が形成されると共にその回折方向が設定されている。領域67BA、67BB、67BEにおける1次光の回折方向は、領域17A、17B及び17Eと同様に構成されており、領域67BC1、67BC2、67BD1及び67BD2における1次光の回折方向は、領域17C1、17C2、17D1及び17D2とそれぞれ反転している。
すなわち偏光ホログラム67Bは、反射光ビームLRをほぼ1次光のみに回折させるブレーズド型のホログラムでなり、反射光ビームLRのうちS偏光成分をそのまま透過させ、P偏光成分を領域ごとに回折させるようになされている。
偏光ホログラム67Cは、偏光ホログラム67Bと異なる偏光方向成分に対して回折作用を呈するようになされており、反射光ビームLRのうちS偏光成分に対してのみ回折作用を呈し、P偏光成分については何ら作用せず透過させるようになされている。
この偏光ホログラム67Cは、図15(A)に示すように、全体が一様な回折格子として構成されており、図15(B)に示すように斜め方向、すなわち偏光ホログラム67Bの領域67BEと直交する方向に1次光を回折させるようになされている。因みに偏光ホログラム67Cは、いわゆるバイナリ型のホログラムでなり、光ビームを0次光及び±1次光に分離するようになされている。
実際上偏光ホログラム67Cは、図16に示すように、反射光ビームLRのうち偏光ホログラム67Bを透過したS偏光成分(以下これを反射光ビームLRSと呼ぶ)に対し回折作用を呈する。
このとき偏光ホログラム67Cは、0次光でなる反射光ビームLRS0をそのまま直進させると共に、+1次光でなる反射光ビームLRS+1及び−1次光でなる反射光ビームLRS−1をそれぞれ斜め方向、すなわち縦方向及び横方向のいずれとも相違する方向に回折させる。
因みに偏光ホログラム67Cは、反射光ビームLRのうちP偏光成分、すなわち偏光ホログラム67Bにより領域ごとに回折された反射光ビームLRPA〜LRPEについては、回折作用を呈することなくそのまま透過させる。
集光レンズ16は、複合ホログラム素子67から出射された反射光ビームLRPA〜LRPE、LRS0、LRS+1及びLRS−1をそれぞれ集光し、シリンドリカルレンズ18へ入射させる。
シリンドリカルレンズ18は、第1の実施の形態と同様、0次光でなる反射光ビームLRS0、+1次光でなる反射光ビームLRS+及び−1次光でなる反射光ビームLRS−1に非点収差を持たせ、光検出器69へ照射する。
因みにシリンドリカルレンズ18は、その光学的性質により、1次光でなる反射光ビームLRPA〜LRPEについても同様に非点収差を持たせることになる。しかしながら反射光ビームLRPA〜LRPEは、偏光ホログラム67Bにおいて回折される際に、予め当該非点収差を相殺するような収差が与えられている。
このため反射光ビームLRPA〜LRPEは、シリンドリカルレンズ18から出射される時点で収差を持たないことになる。
光検出器69は、図17に示すように、光検出器19(図7)と一部類似した構成となっており、当該光検出器19と同様の受光部D1、D2及びD4が設けられている。
すなわち光検出器69は、受光部D1の受光領域D1A〜D1Dにより反射光ビームLRS0を受光し、受光部D2の受光領域D2A及びD2Bにより反射光ビームLRPAおよびLRPBをそれぞれ受光する。また光検出器69は、受光部D4の受光領域D4A〜D4Dにより反射光ビームLRPEを受光する。
ところで光検出器69は、光検出器19の受光部D3に代わる受光部D13が設けられている。この受光部D13は、受光部D3と同様に基準点Pの横方向に配置されているものの、仮想的な直線VL1を対称中心として当該受光部D3と対称な位置に配置されている。
また受光部D13は、受光領域D3C及びD3Dとそれぞれ対応する受光領域D13C及びD13Dと、迷光受光領域D3R及びD3Sとそれぞれ対応する受光領域D13R及びD13Sとが設けられている。
受光領域D13Cは、反射光ビームLRPC1及びLRPC2(以下これらをまとめて反射光ビームLRPCと呼ぶ)を受光して受光信号S3Cを生成するようになされている。また受光領域D13Dは、反射光ビームLRPD1及びLRPD2(以下これらをまとめて反射光ビームLRPDと呼ぶ)を受光して受光信号S3Dを生成するようになされている。
さらに光検出器69は、仮想的な直線VL1を対称中心として受光部D4とおおよそ対称となる位置、すなわち基準点Pからみて斜め方向となり、受光部D2及びD13からほぼ等距離となるような位置に、受光部D11が設けられている。
受光部D11は単一の受光領域D11により反射光ビームLRS+1を受光し、その光量に応じた受光信号S11を生成してヘッドアンプ72(図12)へ供給するようになされている。
また光検出器69は、基準点Pを中心として受光部D11とほぼ対称な位置に受光部D12が設けられている。
受光部D12は単一の受光領域D12により反射光ビームLRS−1を受光し、その光量に応じた受光信号S12を生成してヘッドアンプ72(図12)へ供給するようになされている。
このように光検出器69は、受光部D1、D2、D4、D13、D11及びD12の各受光領域により反射光ビームLRS0、LRPA〜LRPE、LRS+1及びLRS−1をそれぞれ受光し、それぞれの受光量に応じた受光信号をそれぞれ生成してヘッドアンプ72へ供給するようになされている。
ところで光検出器69は、図18に示すように、第1の実施の形態と同様の原理により、層間迷光ビームLN上によって迷光パターンW13が形成される。因みに迷光パターンW13は、迷光パターンW3と同様に、照射範囲が最も広がったときの迷光パターンを表している。
この迷光パターンW13は、図7(A)に示した迷光パターンW3と比較して、仮想的な直線VL1(図17)を対称中心として迷光パターンW3C1、W3C2、W3D1及びW3D2とそれぞれ対称に迷光パターンW13C1、W13C2、W13D1及びW13D2が形成されている。
また迷光パターンW13には、層間迷光ビームLNが偏光ホログラム67Cにより回折されてなる迷光パターンW13S+1及びW13S−1がそれぞれ形成される。
この光検出器69では、受光部D2及びD13について、光検出器19の受光部D2及びD3と同様に、迷光パターンW130、迷光パターンW13A及びW13B、並びに迷光パターンW13C1、W13C2、W13D1及びW13D2のいずれもがかからないよう配置されている。
このため光検出器69では、受光領域D2A、D2B、D13C及びD13Dによりそれぞれ生成する受光信号S2A、S2B、S3C及びS3Dに対し、層間迷光ビームLNによる誤差を殆ど生じさせることがない。
[3−3.フォーカス制御及びトラッキング制御]
実際上、光ディスク装置50は、サーボ制御部53Aにより、第1の実施の形態における光ディスク装置1と同様のフォーカス制御及びトラッキング制御を行い得るようになされている。
すなわち信号処理部54のフォーカスエラー信号演算回路54Fは、上述した(1)式に従った演算を行うことによりフォーカスエラー信号SFE1を算出し、これをサーボ制御部53Aのフォーカス制御部53AFへ供給する。
また信号処理部54のトラッキングエラー信号演算回路54Tは、1ビームプッシュプル法によりトラッキングエラー信号を生成する場合、上述した(2)式に従った演算を行うことによりトラッキングエラー信号STE1を算出し、これをサーボ制御部53Aのトラッキング制御部53ATへ供給する。
一方信号処理部54のトラッキングエラー信号演算回路54Tは、位相差法によりトラッキングエラー信号を生成する場合、上述した(3)式に従った演算を行うことによりトラッキングエラー信号STE1を算出し、これをサーボ制御部53Aのトラッキング制御部53ATへ供給する。
さらに信号処理部54は、第1の実施の形態と異なり、次に示す(6)式に従って受光信号S11及びS12を加算することにより再生RF信号SRFを算出する。
すなわち光ディスク装置50では、反射光ビームLRS+1及びLRS−1の受光結果を基に再生RF信号SRFを生成するようになされている。
その後再生信号演算回路54Rは、再生信号演算回路4R(図2)と同様、再生RF信号SRFに対し所定の復調処理や復号化処理等を施すことにより、光ディスク100に記録されている情報を再生するようになされている。
[3−4.動作及び効果]
以上の構成において光ディスク装置50の光ピックアップ57は、光ビームL1を光ディスク100へ照射し、当該光ディスク100により反射されS偏光でなる反射光ビームLRを複合ホログラム素子67により分離する。
複合ホログラム素子67は、1/2波長板67Aにより反射光ビームLRにおけるS偏光成分及びP偏光成分の割合を変化させた後、偏光ホログラム67Bにより反射光ビームLRにおけるS偏光成分を透過させて反射光ビームLRSとし、当該反射光ビームLRにおけるP偏光成分に対し領域67BA〜67BEごとに回折させる。
このとき偏光ホログラム67Bは、反射光ビームLRPA及びLRPBをそれぞれ縦方向へ回折させ、反射光ビームLRPC及びLRPDをそれぞれ横方向へ回折させ、さらに反射光ビームLRPEを斜め方向へ回折させる。
さらに複合ホログラム素子67は、偏光ホログラム67CによりS偏光でなる反射光ビームLRSを回折させると共に、P偏光でなる反射光ビームLRPA〜LRPEを透過させる。このとき偏光ホログラム67Cは、0次光でなる反射光ビームLRS0をほぼ直進させ、+1次光及び−1次光でなる反射光ビームLRS+1及びLRS−1をそれぞれ反射光ビームLRPEとほぼ直交する斜め方向へ回折させる。
これに応じて光検出器69は、受光部D1の受光領域D1A〜D1Dにより反射光ビームLRS0を受光し、受光信号S1A〜S1Dを生成する。また光検出器69は、受光部D2の受光領域D2A及びD2Bにより反射光ビームLRPA及びLRPBをそれぞれ受光し、受光信号S2A及びS2Bを生成する。さらに光検出器69は、受光部D13の受光領域D13C及びD13Dにより反射光ビームLRPC及びLRPDをそれぞれ受光し、受光信号S3C及びS3Dを生成する。
信号処理部54は、ヘッドアンプ72により増幅された各受光信号を基に、フォーカスエラー信号演算回路54Fにより(1)式に従ってフォーカスエラー信号SFE1を算出する。また信号処理部54は、トラッキングエラー信号演算回路54Tにより(2)式に従ってトラッキングエラー信号STE1を算出して、これらをサーボ制御部53Aへ供給する。
サーボ制御部53Aは、トラッキング制御部53ATによってトラッキングエラー信号STE1を基にトラッキング駆動信号STD1を生成しトラッキングアクチュエータ9Tへ供給することにより、トラッキング制御を行う。
従って光ディスク装置50は、光検出器69の受光部D2及びD13によって反射光ビームLRPA、LRPB、LRPC及びLRPDをそれぞれ受光でき、その受光結果である受光信号S2A、S2B、S3C及びS3Dを用いて生成したトラッキングエラー信号STE1を基にトラッキング制御を行うことができる。
ここで光検出器69では、光検出器19と同様、受光部D2が基準点Pから見て縦方向に配置され、且つ受光領域D2A及びD2Bが互いに縦方向に並べて配置されているため、種々の迷光パターンWを回避することができる。
また光検出器69では、受光部D13が基準点Pから見て横方向に配置され、且つ受光領域D13C及びD13Dが互いに横方向に並べて配置されているため、種々の迷光パターンWを回避することができる。
すなわち光検出器69は、光ディスク100における対象記録層YTからの層間距離が相違する複数の記録層Yにより生成される種々の迷光パターンWを効果的に回避し得るよう受光領域D2A、D2B、D13C及びD13Dが配置されている。このため、光ディスク装置50は、トラッキングエラー信号STE1の精度を殆ど低下させずに済む。
また光ディスク装置50は、信号処理部54の再生信号演算回路54Rにおいて、2つの受光信号S11及びS12を加算することにより再生RF信号SRFを算出することができる。
このため光ディスク装置50は、4つの受光信号S1A〜S1Dを加算することにより再生RF信号SRFを算出する光ディスク装置1と比較して、介在するアンプ回路(ヘッドアンプ72内)の数を削減することができるため、再生RF信号SRに含まれるアンプノイズ成分を低減することができる。
さらに光ディスク装置50では、球面収差補正部64により光ビームL1及び反射光ビームLRに生じる球面収差を補正する。これにより光ディスク装置50は、例えばコリメータレンズ12を光軸方向に移動させて当該球面収差を補正する構成の光ディスク装置と比較して、対物レンズ8から出射される光ビームL1の光量を変動させることなく安定化することができる。
その他、光ディスク装置50は、第1の実施の形態における光ディスク装置1と同様の作用効果も奏し得る。
以上の構成によれば、光ディスク装置50の光ピックアップ57は、反射光ビームLRを複合ホログラム素子67によって回折させることにより反射光ビームLRS0をほぼ直進させ、光検出器69の受光部D1により検出して受光信号S1A〜S1Dを生成する。また光ピックアップ57は、反射光ビームLRPA及びLRPBをそれぞれ縦方向へ回折させて受光部D2の受光領域D2A及びD2Bによりそれぞれ受光し、受光信号S2A及びS2Bを生成する。さらに光ピックアップ57は、反射光ビームLRPC及びLRPDをそれぞれ横方向へ回折させて受光部D13の受光領域D13C及びD13Dによりそれぞれ受光し、受光信号S3C及びS3Dを生成する。これにより光ディスク装置50は、複数の記録層Yからの層間迷光ビームLNによりそれぞれ形成される迷光パターンWの影響を排除したトラッキングエラー信号STE1を生成でき、精度良くトラッキング制御を行うことができる。
<4.第4の実施の形態>
[4−1.光ディスク装置の構成]
第4の実施の形態による光ディスク装置70(図1)は、第3の実施の形態による光ディスク50と比較して、信号処理部54及び光ピックアップ57に代えて、信号処理部74及び光ピックアップ77が設けられている点が異なっている。
信号処理部74は、信号処理部54と比較して、再生信号演算回路54Rに代えて再生信号演算回路74Rが設けられている点が異なるものの、他の演算処理は信号処理部54における各演算回路と同様に構成されている。
[4−2.光ピックアップの構成]
図19に示すように、光ピックアップ77は、光ピックアップ57(図12)と比較して、複合ホログラム素子67及び光検出器69に代えて、複合ホログラム素子87及び光検出器89が設けられている点で異なっている。
複合ホログラム素子87は、図13と対応する図20に示すように、第3の実施の形態における複合ホログラム素子67と比較して、偏光ホログラム67Bに代えて偏光ホログラム87Bが設けられ、偏光ホログラム67Cに代えて偏光ホログラム87Cが設けられている点が異なるものの、1/2波長板67Aについては同様に構成されている。
偏光ホログラム87Bは、反射光ビームLRを0次光及び1次光に回折させるバイナリ型のホログラムでなり、偏光ホログラム67Bと同様に領域67BA〜67BE(図14)に分割されている。
偏光ホログラム87Cは、偏光ホログラム67C(図15)と同様、反射光ビームLRのうちS偏光成分に対してのみ回折作用を呈し、P偏光成分については何ら作用せず透過させるようになされている。
この偏光ホログラム87Cは、図15(A)と対応する図21(A)に示すように、全体が一様な回折格子として構成されているものの、偏光ホログラム67Cと異なり、光ビームをほぼ1次光にのみ回折する、いわゆるブレーズドホログラムが形成されている。
このため偏光ホログラム87Cは、図21(B)に示すように、縦方向及び横方向のいずれとも相違する斜め方向のうちの一方、すなわち図の左上方向へのみ1次光を回折させるようになされている。
実際上偏光ホログラム87Cは、図22に示すように、反射光ビームLRのうち偏光ホログラム87Bを透過した反射光ビームLRSに対し回折作用を呈する。
このとき偏光ホログラム87Cは、1次光でなる反射光ビームLRS1を斜め方向に回折させる。
因みに偏光ホログラム87Cは、反射光ビームLRのうちP偏光成分、すなわち偏光ホログラム87Bを直進する反射光ビームLRP0及び偏光ホログラム87Bにより領域ごとに回折された反射光ビームLRPA〜LRPEについては、偏光ホログラム67Cと同様、回折作用を呈することなくそのまま透過させる。
集光レンズ16は、複合ホログラム素子87から出射された反射光ビームLRP0、LRPA〜LRPE及びLRS1をそれぞれ集光し、シリンドリカルレンズ18へ入射させる。
シリンドリカルレンズ18は、第1の実施の形態と同様、0次光でなる反射光ビームLRP0に非点収差を持たせ、光検出器69へ照射する。
因みにシリンドリカルレンズ18は、その光学的な性質により、1次光でなる反射光ビームLRPA〜LRPE及びLRS1についても同様に非点収差を持たせることになる。しかしながら反射光ビームLRPA〜LRPE及びLRS1は、偏光ホログラム87B及び87Cにおいて回折される際に、予め当該非点収差を相殺するような収差が与えられている。
このため反射光ビームLRPA〜LRPE及びLRS1は、シリンドリカルレンズ18から出射される時点で収差を持たないことになる。
一方、光検出器69と対応する光検出器89は、図17と対応する図23に示すように、光検出器69から受光部D11が省略された構成となっている。
受光部D12は受光領域D12Aにより反射光ビームLRS1を受光し、その光量に応じた受光信号S12を生成してヘッドアンプ72(図12)へ供給するようになされている。
このように光検出器89は、受光部D1、D2、D4、D13及びD12の各受光領域により反射光ビームLRP0、LRPA〜LRPE及びLRS1をそれぞれ受光し、それぞれの受光量に応じた受光信号をそれぞれ生成してヘッドアンプ72へ供給するようになされている。
ところで光検出器89は、図18と対応する図24に示すように、層間迷光ビームLN上によって迷光パターンW23が形成される。因みに迷光パターンW23は、迷光パターンW13と同様に、照射範囲が最も広がったときの迷光パターンを表している。
この迷光パターンW23は、迷光パターンW13と比較して、迷光パターンW13S+1の部分が省略された形状となっている。偏光ホログラム87Cがブレーズドホログラムでなり、光ビームを回折させる際に1次光を1本のみ生成することによるものである。
このため光検出器89では、第3の実施の形態における光検出器69と同様、受光部D2及びD13について、迷光パターンW23P0、W23S1及びW23PA〜W23PEのいずれもがかからないよう配置されている。
このため光検出器89では、受光領域D2A、D2B、D13C及びD13Dによりそれぞれ生成する受光信号S2A、S2B、S3C及びS3Dに対し、層間迷光ビームLNによる誤差を殆ど生じさせることがない。
[4−3.フォーカス制御及びトラッキング制御]
実際上、光ディスク装置70は、第3の実施の形態における光ディスク装置50と同様、サーボ制御部53Aによりフォーカス制御及びトラッキング制御を行い得るようになされている。
また信号処理部74は、第3の実施の形態と異なり、次に示す(7)式に従って受光信号S12を再生RF信号SRFとする。
すなわち光ディスク装置70では、反射光ビームLRS1の受光結果を基に再生RF信号SRFを生成するようになされている。
その後再生信号演算回路74Rは、再生信号演算回路54R(図12)と同様、再生RF信号SRFに対し所定の復調処理や復号化処理等を施すことにより、光ディスク100に記録されている情報を再生するようになされている。
[4−4.動作及び効果]
以上の構成において、光ディスク装置70の光ピックアップ77は、光ビームL1を光ディスク100へ照射し、当該光ディスク100により反射されS偏光でなる反射光ビームLRを複合ホログラム素子87により分離する。
複合ホログラム素子87の1/2波長板67Aは、第3の実施の形態と同様、まず反射光ビームLRにおけるS偏光成分及びP偏光成分の割合を変化させる。続いて偏光ホログラム87Bは、反射光ビームLRにおけるS偏光成分を透過させて反射光ビームLRSとし、当該反射光ビームLRにおけるP偏光成分に対し領域67BA〜67BEごとに回折させる。
このとき偏光ホログラム87Bは、反射光ビームLRPA及びLRPBをそれぞれ縦方向へ回折させ、反射光ビームLRPC及びLRPDをそれぞれ横方向へ回折させ、さらに反射光ビームLRPEを斜め方向へ回折させる。さらに偏光ホログラム67Bは、反射光ビームLRPのうち回折しなかった0次光を反射光ビームLRP0としてそのまま直進させる。
さらに複合ホログラム素子87の偏光ホログラム87Cは、S偏光でなる反射光ビームLRSを回折させると共に、P偏光でなる反射光ビームLRP0及びLRPA〜LRPEを透過させる。このとき偏光ホログラム87Cは、1次光でなる反射光ビームLRS1を反射光ビームLRPEとほぼ直交する斜め方向へ回折させる。
これに応じて光検出器89は、受光部D1の受光領域D1A〜D1Dにより反射光ビームLRP0を受光し、受光信号S1A〜S1Dを生成する。また光検出器89は、受光部D2の受光領域D2A及びD2Bにより反射光ビームLRPA及びLRPBをそれぞれ受光し、受光信号S2A及びS2Bを生成する。さらに光検出器89は、受光部D13の受光領域D13C及びD13Dにより反射光ビームLRPC及びLRPDをそれぞれ受光し、受光信号S3C及びS3Dを生成する。
信号処理部74は、第3の実施の形態と同様、ヘッドアンプ72により増幅された各受光信号を基に、トラッキングエラー信号演算回路54Tにより(2)式に従ってトラッキングエラー信号STE1を算出して、これらをサーボ制御部53Aへ供給する。
サーボ制御部53Aは、トラッキング制御部53ATによってトラッキングエラー信号STE1を基にトラッキング駆動信号STD1を生成しトラッキングアクチュエータ9Tへ供給することにより、トラッキング制御を行う。
従って光ディスク装置70は、光検出器89の受光部D2及びD13によって反射光ビームLRPA、LRPB、LRPC及びLRPDをそれぞれ受光でき、その受光結果である受光信号S2A、S2B、S3C及びS3Dを用いて生成したトラッキングエラー信号STE1を基にトラッキング制御を行うことができる。
ここで光検出器89では、光検出器69と同様、受光部D2が基準点Pから見て縦方向に配置され、且つ受光領域D2A及びD2Bが互いに縦方向に並べて配置されているため、種々の迷光パターンWを回避することができる。
また光検出器89では、光検出器69と同様、受光部D13が基準点Pから見て横方向に配置され、且つ受光領域D13C及びD13Dが互いに横方向に並べて配置されているため、種々の迷光パターンWを回避することができる。
すなわち光検出器89は、光ディスク100における対象記録層YTからの層間距離が相違する複数の記録層Yにより生成される種々の迷光パターンWを効果的に回避し得るよう受光領域D2A、D2B、D13C及びD13Dが配置されている。このため、光ディスク装置70は、トラッキングエラー信号STE1の精度を殆ど低下させずに済む。
また光ディスク装置70は、信号処理部74の再生信号演算回路74Rにおいて、受光信号S12を基に再生RF信号SRFを算出することができる。
このため光ディスク装置70は、2つの受光信号S11及びS12を加算することにより再生RF信号SRFを算出する光ディスク50と比較して、介在するアンプ回路(ヘッドアンプ72内)の数をさらに削減することができる。このため、再生RF信号SRに含まれるアンプノイズ成分を一段と低減することができる。
また光ディスク装置70は、複合ホログラム素子87の偏光ホログラム87Cにより1次光でなる反射光ビームLRS1の非点収差を抑制しているので、反射光ビームLRS1を受光部D12の受光領域D12Aにほぼ点状に収束させて照射できる。このため、受光部D12の受光領域の総面積を小さくすることができ、受光領域の電気的な容量を低減して、再生RF信号SRFの周波数特性を改善することができる。
その他、光ディスク装置70は、第3の実施の形態における光ディスク装置50と同様の作用効果も奏し得る。
以上の構成によれば、光ディスク装置70の光ピックアップ77は、反射光ビームLRを複合ホログラム素子77によって回折させることにより反射光ビームLRP0をほぼ直進させ、光検出器89の受光部D1により検出して受光信号S1A〜S1Dを生成する。また光ピックアップ77は、反射光ビームLRPA及びLRPBをそれぞれ縦方向へ回折させて受光部D2の受光領域D2A及びD2Bによりそれぞれ受光し、受光信号S2A及びS2Bを生成する。さらに光ピックアップ77は、反射光ビームLRPC及びLRPDをそれぞれ横方向へ回折させて受光部D13の受光領域D13C及びD13Dによりそれぞれ受光し、受光信号S3C及びS3Dを生成する。これにより光ディスク装置70は、複数の記録層Yからの層間迷光ビームLNによりそれぞれ形成される迷光パターンWの影響を排除したトラッキングエラー信号STE1を生成でき、精度良くトラッキング制御を行うことができる。
<5.第5の実施の形態>
[5−1.光ディスク装置の構成]
第5の実施の形態による光ディスク装置90(図1)は、第4の実施の形態による光ディスク70と比較して、光ピックアップ77に代えて光ピックアップ91が設けられている点が異なっているものの、他は同様に構成されている。
[5−2.光ピックアップの構成]
図19との対応部分に同一符号を付した図25に示すように、光ピックアップ91は、光ピックアップ77と比較して、複合ホログラム素子87に代えて、1/2波長板95、ロションプリズム96及びホログラム素子97が設けられている点で異なっている。
1/2波長板95は、複合ホログラム素子87の1/2波長板67Aと同様、反射光ビームLRの偏光方向を所定角度回転させることにより、S偏光成分を所定の割合まで低下させると共にその残りをP偏光成分として、ロションプリズム96へ入射させる。
ロションプリズム96は、複屈折性結晶を用いたニコルプリズムと呼ばれる偏光子の一種であり、入射された光ビームのうち所定の偏光方向成分を屈折させると共に、他の偏光方向成分を透過させ直進させるようになされている。
またロションプリズム96は、縦方向及び横方向のいずれとも約45度をなす斜め方向、すなわち図23における左斜め上方向へ光ビームを屈折させるようになされている。
因みにロションプリズム96は、屈折作用により光ビームの進行方向を変化させるため、ホログラム素子等による回折作用の場合と比較して、その進行方向を大きく変化させることができる。
実際上ロションプリズム96は、反射光ビームLRのうちS偏光成分を屈折させて反射光ビームLRSとすると共に、P偏光成分をそのまま透過させて反射光ビームLRSとして、これらをホログラム素子97へ入射させる。
ホログラム素子97は、複合ホログラム素子87の偏光ホログラム67Bとほぼ同様に構成されており、S偏光成分の光ビームはそのまま透過する一方、P偏光成分の光ビームに対し回折作用を呈し、0次光及び1次光に分離し得るようになされている。
またホログラム素子97は、偏光ホログラム67Bと同様に複数の領域に分割されており、反射光ビームLRPに対して領域ごとに回折作用を呈することにより、反射光ビームLRPA〜LRPEに分割する。
このとき反射光ビームLRPA及びLRPBはそれぞれ縦方向へ回折され、反射光ビームLRPC及びLRPDはそれぞれ横方向へ回折され、また反射光ビームLRPEは斜め方向(図23における左斜め下方向)へ回折される。
さらにホログラム素子97は、反射光ビームLRPのうち回折しなかった0次光を反射光ビームLRP0としてそのまま直進させる。
このように第5の実施の形態では、第4の実施の形態における複合ホログラム素子87に代わり、1/2波長板95、ロションプリズム96及びホログラム素子97により、反射光ビームLRを複数の反射光ビームLRS、LRPA〜LRPE及びLRP0に分離するようになされている。
光検出器89は、第4の実施の形態と同様、受光部D2の受光領域D2A及びD2Bにより反射光ビームLRPA及びLRPBをそれぞれ受光し、受光部D13の受光領域D13C及びD13Dにより反射光ビームLRPC及びLRPDをそれぞれ受光する。また光検出器89は、受光部D4の受光領域D4A〜D4Dにより反射光ビームLRPEを受光する。
さらに光検出器89は、受光部D1の受光領域D1A〜D1Dにより、反射光ビームLRP0を受光し、受光部D12により、第4の実施の形態における反射光ビームLRS1に代えて反射光ビームLRSを受光する。
このとき光検出器89では、第4の実施の形態と同様、図24に示したように、受光部D2及びD13について、迷光パターンW23P0、W23S1及びW23PA〜W23PEのいずれもがかからない。
このため光検出器89では、第4の実施の形態と同様、受光領域D2A、D2B、D13C及びD13Dによりそれぞれ生成する受光信号S2A、S2B、S3C及びS3Dに対し、層間迷光ビームLNによる誤差を殆ど生じさせないようになされている。
また光ディスク装置90は、第4の実施の形態における光ディスク装置70と同様、サーボ制御部53Aによりフォーカス制御及びトラッキング制御を行い得るようになされている。
さらに光ディスク装置90は、第4の実施の形態と同様、信号処理部74により(7)式に従って再生RF信号SRFを生成し、所定の復調処理や復号化処理等を施すことにより、光ディスク100に記録されている情報を再生するようになされている。
[5−3.動作及び効果]
以上の構成において、光ディスク装置90の光ピックアップ91は、光ビームL1を光ディスク100へ照射し、当該光ディスク100により反射されS偏光でなる反射光ビームLRを1/2波長板95、ロションプリズム96及びホログラム素子97により分離する。
1/2波長板95は、まず反射光ビームLRにおけるS偏光成分及びP偏光成分の割合を変化させる。続いてロションプリズム96は、P偏光成分を透過させて反射光ビームLRPとする一方、S偏光成分を屈折させて反射光ビームLRSとし、斜め方向へ進行させる。
ホログラム素子97は、S偏光でなる反射光ビームLRSを透過させる一方、P偏光でなる反射光ビームLRPに対し領域ごとに回折させ、反射光ビームLRP0及びLRPA〜LRPEに分離する。
これに応じて光検出器89は、受光部D1の受光領域D1A〜D1Dにより反射光ビームLRP0を受光し、受光信号S1A〜S1Dを生成する。また光検出器89は、受光部D2の受光領域D2A及びD2Bにより反射光ビームLRPA及びLRPBをそれぞれ受光し、受光信号S2A及びS2Bを生成する。さらに光検出器89は、受光部D13の受光領域D13C及びD13Dにより反射光ビームLRPC及びLRPDをそれぞれ受光し、受光信号S3C及びS3Dを生成する。
信号処理部74は、第4の実施の形態と同様、ヘッドアンプ72により増幅された各受光信号を基に、トラッキングエラー信号演算回路54Tにより(2)式に従ってトラッキングエラー信号STE1を算出して、これらをサーボ制御部53Aへ供給する。
サーボ制御部53Aは、トラッキング制御部53ATによってトラッキングエラー信号STE1を基にトラッキング駆動信号STD1を生成しトラッキングアクチュエータ9Tへ供給することにより、トラッキング制御を行う。
従って光ディスク装置90は、第4の実施の形態と同様、光検出器89の受光部D2及びD13によって反射光ビームLRPA、LRPB、LRPC及びLRPDをそれぞれ受光でき、その受光結果である受光信号S2A、S2B、S3C及びS3Dを用いて生成したトラッキングエラー信号STE1を基にトラッキング制御を行うことができる。
また光ディスク装置90の光ピックアップ91では、ロションプリズム96による屈折作用により反射光ビームLRSの進行方向を変化させることができる。このため光ディスク装置90は、第4の実施の形態による光ディスク装置70のように、回折角度を大きくするために偏光ホログラム87Cにおけるホログラムの格子ピッチを小さくするといった設計上の制約を考慮する必要がない。
その他、光ディスク装置90は、第4の実施の形態における光ディスク装置70と同様の作用効果も奏し得る。
以上の構成によれば、光ディスク装置90の光ピックアップ91は、反射光ビームLRをロションプリズム96によって屈折させることにより反射光ビームLRSを斜め方向に屈折させ、ホログラム素子97によって反射光ビームLRP0をほぼ直進させ、光検出器89の受光部D1により検出して受光信号S1A〜S1Dを生成する。また光ピックアップ77は、ホログラム素子97によって反射光ビームLRPA及びLRPBをそれぞれ縦方向へ回折させて受光部D2の受光領域D2A及びD2Bによりそれぞれ受光し、受光信号S2A及びS2Bを生成する。さらに光ピックアップ77は、反射光ビームLRPC及びLRPDをそれぞれ横方向へ回折させて受光部D13の受光領域D13C及びD13Dによりそれぞれ受光し、受光信号S3C及びS3Dを生成する。これにより光ディスク装置90は、複数の記録層Yからの層間迷光ビームLNによりそれぞれ形成される迷光パターンWの影響を排除したトラッキングエラー信号STE1を生成でき、精度良くトラッキング制御を行うことができる。
<6.第6の実施の形態>
[6−1.光ディスク装置の構成]
第6の実施の形態では、光ディスク装置110がBD方式でなる光ディスク100(以下、これを光ディスク100Bと呼ぶ)、DVD方式でなる光ディスク100(以下これを光ディスク100Dと呼ぶ)及びCD方式でなる光ディスク100C(以下これを光ディスク100Cと呼ぶ)に対応し得るようになされている。
図1との対応部分に同一符号を付した図27に示すように、光ディスク装置110は、第1の実施の形態における統括制御部2、駆動制御部3、信号処理部4及び光ピックアップ7に代えて統括制御部112、駆動制御部113、信号処理部114及び光ピックアップ117が設けられている。
統括制御部112は、統括制御部2と同様、図示しないCPUと、各種プログラム等が格納されるROMと、当該CPUのワークメモリとして用いられるRAMとによって構成されており、光ディスク装置110全体を統括制御するようになされている。
具体的に統括制御部112は、統括制御部2の各機能に加え、光ディスク100の種類を判別すると共に、駆動制御部113、信号処理部114、光ピックアップ117等に対し、当該光ディスク100の種類に応じた切換命令等を供給するようになされている。
光ピックアップ117は、光ディスク100の種類に応じて、当該光ディスク100に対応した光ビームを照射し、また当該光ビームが当該光ディスク100により反射されてなる反射光ビームを受光するようになされている(詳しくは後述する)。
信号処理部114は、信号処理部4と同様、供給された受光信号を用いた所定の演算処理を行うことによりフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をそれぞれ生成し、これらを駆動制御部113へ供給する。
駆動制御部113のサーボ制御部113Aは、第1の実施の形態におけるサーボ制御部3Aと同様に、対物レンズ8又は135のフォーカス制御及びトラッキング制御を行うようになされている(詳しくは後述する)。
このように光ディスク装置110は、光ディスク100に対し光ピックアップ117から光ビームを照射させ、その反射光を基にフォーカス制御及びトラッキング制御を行いながら、情報の再生処理や記録処理を行い得るようになされている。
[6−2.光ピックアップの構成]
図2との対応部分に同一符号を付した図28に示すように、光ピックアップ117は、光ディスク100B、光ディスク100D及び光ディスク100Cに対してそれぞれ波長約405[nm]、波長約660[nm]及び波長約780[nm]でなる光ビームを照射すると共に、それぞれの反射光ビームを受光するようになされている。
因みに光ディスク装置110は、所定のメディア判別処理を行うことにより、光ディスク100がBD方式の光ディスク100B、DVD方式の光ディスク100D又はCD方式の100Cのいずれであるかを判別し得るようになされている。
[6−2−1.BD方式の光ディスク100Bへの光ビームの照射及び受光]
光ディスク100がBD方式の光ディスク100Bであった場合、光ディスク装置110の統括制御部112は、光ピックアップ117から、当該光ディスク100Bに適した波長の光ビームを照射させるようになされている。
具体的に光ピックアップ117のレーザダイオード11は、光源制御部120の制御の基で、第1の実施の形態と同様、波長約405[nm]の青紫色レーザ光でなる光ビームLBを発散光として出射し得るようになされている。またレーザダイオード11は、光ビームLBがP偏光となるようにその取付角度等が調整されている。
実際上統括制御部112は、光源制御部120を制御することにより、レーザダイオード11から光ビームLBを発射させ、コリメータレンズ12へ入射させる。コリメータレンズ12は、光ビームLBを発散光から平行光に変換し、偏光プリズム121へ入射させる。
偏光プリズム121は、偏光方向に応じて透過率が相違する反射透過面121Bにより、P偏光の光ビームを約90%の割合で透過し残りを反射すると共に、S偏光の光ビームをほぼ100%の割合で反射するようになされている。
また反射透過面121Bは、波長約405[nm]の光ビームLBに関して作用し、波長約660[nm]及び波長約780[nm]の光ビームに関しては作用せず通過させるようになされている。
実際上偏光プリズム121は、反射透過面121Bにより光ビームLBを約90%の割合で透過させて球面収差補正部64へ入射させると共に、残りの約10%を反射させてフロントモニタ光ビームLBMとし、フロントモニタ光検出器122へ入射させる。
フロントモニタ光検出器122は、フロントモニタ光ビームLBMを受光し、その光量に応じたフロントモニタ受光信号SFMを生成して光源制御部120へ供給する。これに応じて光源制御部120は、フロントモニタ受光信号SFMを基に、レーザダイオード11から出射する光ビームLBの光量が所望の値となるようフィードバック制御するようになされている。
一方、球面収差補正部64は、光ビームLBに対し、第3の実施の形態と同様に、当該光ビームLBが集光され光ディスク100Bの対象記録層YTに到達した際に生じる球面収差と逆特性となるような球面収差を予め与えるようになされている。
1/4波長板15は、第1の実施の形態と同様、例えばP偏光でなる光ビームLBを左円偏光に変換し、対物レンズ8へ入射させる。
対物レンズ8は、第1の実施の形態と同様、光ビームLBを集光する。ここで統括制御部112は、フォーカス制御部113AFを介して、フォーカスアクチュエータ9Fにより対物レンズ8のフォーカス方向に関する位置を調整している。このため対物レンズ8は、光ビームLBの焦点FBを光ディスク100Bの対象記録層YTにおおよそ合わせるよう照射する。
このとき光ビームLBは、対象記録層YTで反射されることにより、反射光ビームLBRとなり、対物レンズ8へ入射される。また反射光ビームLBRは、円偏光における回転方向が反射時に反転されるため、右円偏光となる。
この後反射光ビームLBRは、第1の実施の形態における反射光ビームLRと同様、対物レンズ8により発散光から平行光に変換され、1/4波長板15により右円偏光からS偏光(直線偏光)へ変換され、さらに球面収差補正部64へ入射される。
球面収差補正部64は、反射光ビームLBRが対象記録層YTにより反射されてから対物レンズ8を通過するまでの間に生じた球面収差を補正し、当該反射光ビームLBRを偏光プリズム121へ入射させる。
偏光プリズム121は、S偏光でなる反射光ビームLBRを反射透過面121Bにおいて反射し、ホログラム素子123へ入射させる。
ホログラム素子123は、波長約405[nm]でなる反射光ビームLBRに対し回折素子としての性質により反射光ビームLBRを少なくとも0次光及び1次光に分離し、両者をアナモルフィックレンズ124へ入射させる。
またホログラム素子123は、図4と対応する図29に示すように、複数の領域123A〜123Eに分割されており、各領域によりホログラム素子17の領域17A〜17Eと同様の回折角度でそれぞれ反射光ビームLBRを回折させ、0次光でなる反射光ビームLBR0とは異なる方向へ進行させる。
すなわちホログラム素子123は、領域123A及び123Bにより反射光ビームLBR1A及びLBR1Bをそれぞれ縦方向へ回折させる。またホログラム素子123は、領域123C1、123C2、123D1及び123D2により反射光ビームLBR1C1、LBRC2、LBRD1及びLBRD2をそれぞれ横方向へ回折させる。さらにホログラム素子123は、領域123Eにより反射光ビームLBR1Eを斜め方向へ回折させる。
アナモルフィックレンズ124は、第1の実施の形態における集光レンズ16及びシリンドリカルレンズ18の機能を有しており、0次光でなる反射光ビームLBR0に非点収差を持たせ、光検出器125へ照射する。
因みにアナモルフィックレンズ124は、1次光でなる反射光ビームLBR1A〜LBR1Eについても非点収差を与えることになる。しかしながら1次光でなる反射光ビームLBR1A〜LBR1Eは、ホログラム素子123により回折された際、当該非点収差を相殺するような光学的特性が与えられるようになされている。
すなわち1次光でなる反射光ビームLBR1A〜LBR1Eは、アナモルフィックレンズ124から出射される時点において、非点収差を有しないようになされている。
また光ピックアップ117では、光検出器125からアナモルフィックレンズ124までの間隔u8が、次に示す(8)式により算出される間隔u7よりも大きくなるように設計されている。
(8)式において、間隔u1は光ディスク100Bにおける記録層Y同士の間隔の最大値、例えば図3における記録層Y0及びY3の間隔を表しており、横倍率Mは、光ディスク100Bから光検出器125に至る光路における光学系の横倍率を表している。
すなわち光ピックアップ117では、反射光ビームLBR等の光路上における光検出器125から間隔u7の範囲内には、他の光学部品等が設けられていない。
光検出器125は、図30に示すように、第1の実施の形態における光検出器19(図5)と一部類似した構成を有しており、当該光検出器19と同様の受光部D1〜D4が形成されている。
すなわち光検出器125は、受光部D1〜D4において反射光ビームLBR0、LBR1A、LBR1B、LBR1C、LBR1D及びLBR1Eをそれぞれ受光し、その受光結果に応じてそれぞれ各受光信号を生成して、ヘッドアンプ126(図28)へ供給するようになされている。
さらに光検出器125は、受光部D1を縦方向から挟むように受光部D21及びD22が追加されると共に、受光部D1、D21及びD22から横方向へそれぞれ所定距離だけ離隔した箇所に受光部D31、D32及びD33が設けられている。
受光部D21は、縦方向に関して2分割された受光領域D21A及びD21Bを有している。受光領域D21A及びD21Bは、それぞれの受光量に応じた受光信号S21A及びS21Bを生成し、これらをヘッドアンプ126へ送出するようになされている。
受光部D22は、受光部D21と同様、縦方向に関して2分割された受光領域D22A及びD22Bを有している。受光領域D22A及びD22Bは、それぞれの受光量に応じた受光信号S22A及びS22Bを生成し、これらをヘッドアンプ126へ送出するようになされている。
この場合、光ディスク装置110では、光ディスク装置1の場合と同様に、信号処理部114によりフォーカスエラー信号SFE1及びトラッキングエラー信号STE1を算出し、サーボ制御部113Aへ供給する。また信号処理部114は、再生RF信号SRF等も同様に算出する。
サーボ制御部113Aは、光ディスク装置1のサーボ制御部3Aと同様に、フォーカスエラー信号SFE1に基づいたフォーカス制御及びトラッキングエラー信号STE1に基づいたトラッキング制御を行うようになされている。
[6−2−2.CD方式の光ディスク100Cへの光ビームの照射及び受光]
光ディスク100がCD方式の光ディスク100Cであった場合、光ディスク装置110の統括制御部112は、光ピックアップ117から、当該光ディスク100Cに適した波長の光ビームを照射させるようになされている。
因みに光ディスク100Cは、その規格上、記録層Yは1層のみとなっている。以下の説明では、便宜上、この記録層Yを対象記録層YTと呼ぶ。
光ピックアップ117のレーザダイオード131は、図31に示すように、波長約780[nm]の光ビームを出射するレーザチップ131C及び波長約660[nm]の光ビームを出射するレーザチップ131Dが所定の間隔u5だけ離隔した状態で設けられている。またレーザダイオード131は、光ビームLCがP偏光となるようにその取付角度等が調整されている。
実際上統括制御部112は、光源制御部120を制御することにより、レーザダイオード131のレーザチップ131Cから波長約780[nm]の赤外色レーザ光でなる光ビームLCを発散光として出射させ、グレーティング132へ入射させる。
グレーティング132は、光ビームLCを回折させることにより、0次光でなる光ビームLCA、+1次光でなる光ビームLCB及び−1次光でなる光ビームLCCに分離し、これらをコリメータレンズ133へ入射させる。
この光ビームLCB及びLCCは、その光軸が光ビームLCAの光軸から僅かに離れた状態で光ビームLCAとほぼ平行に進行し、当該光ビームLCAと同様に収束・発散・反射等されることになる。このため、以下では光ビームLCAを中心に説明し、光ビームLCB及びLCCの説明については一部省略する。
コリメータレンズ133は、光ビームLCAを発散光から平行光に変換し、偏光プリズム121へ入射させる。
偏光プリズム121は、偏光方向に応じて透過率が相違する反射透過面121DCにより、P偏光の光ビームを約90%の割合で透過し残りを反射すると共に、S偏光の光ビームをほぼ100%の割合で反射するようになされている。また反射透過面121Bは、波長約660[nm]及び波長約780[nm]の光ビームに関して作用し、波長約405[nm]の光ビームに関しては作用せず通過させるようになされている。
実際上偏光プリズム121は、反射透過面121DCにより光ビームLCAを約90%の割合で透過させて1/4波長版134へ入射させると共に、残りの約10%を透過させてフロントモニタ光ビームLCMとしてフロントモニタ光検出器122へ入射させる。
フロントモニタ光検出器122は、フロントモニタ光ビームLBMの場合と同様、フロントモニタ光ビームLDAMを受光し、その光量に応じたフロントモニタ受光信号SFMを生成して光源制御部120へ供給する。これに応じて光源制御部120は、フロントモニタ受光信号SFMを基に、レーザダイオード131から出射する光ビームLCの光量が所望の光量となるようフィードバック制御するようになされている。
1/4波長板134は、1/4波長板15と同様、光ビームを直線偏光と円偏光との間で相互変換し得るようになされており、例えばP偏光でなる光ビームLCAを左円偏光に変換し、対物レンズ135へ入射させる。
対物レンズ135は、光ビームLCAを集光する。ここで統括制御部112は、フォーカス制御部113AFを介して、フォーカスアクチュエータ9Fにより対物レンズ135のフォーカス方向に関する位置を調整している。このため対物レンズ135は、光ビームLCAの焦点FCAを光ディスク100Cの対象記録層YTにおおよそ合わせるよう照射する。
このとき光ビームLCAは、対象記録層YTで反射されることにより反射光ビームLCARとなり、対物レンズ135へ入射される。また反射光ビームLCARは、円偏光における回転方向が反射時に反転されるため、右円偏光となる。
因みに光ビームLCB及びLCCは、それぞれ対物レンズ135により集光され、その焦点FCB及びFCCが焦点FCAから1/2トラックずつトラッキング方向へずれた位置に形成される。
すなわち光ビームLCAは、いわゆるメインビームとしてその焦点FCAが所望トラックに合うよう照射され、光ビームLCB及びLCCはいわゆるサイドビームとしてそれぞれの焦点FCB及びFCCが所望トラックから1/2トラックずつ離隔した箇所に照射される。
このとき光ビームLCB及びLCCは、対象記録層YTにおいてそれぞれ反射され、反射光ビームLCBR及びLCCRとなる。反射光ビームLCBR及びLCCRは、それぞれの光軸が反射光ビームLCARの光軸から僅かに離れた状態で、当該反射光ビームLCARとほぼ平行に進行していくことになる。なお、反射光ビームLCBR及びLCCRの説明についても、光ビームLCB及びLCCの場合と同様に一部省略する。
この後反射光ビームLCARは、反射光ビームLBRと同様、対物レンズ135により発散光から平行光に変換され、1/4波長板134により右円偏光からS偏光(直線偏光)へ変換され、さらに偏光プリズム121へ入射される。
偏光プリズム121は、S偏光でなる反射光ビームLCARを反射透過面121DCにおいて反射し、反射透過面121Bを透過させてホログラム素子123へ入射させる。
ホログラム素子123は、波長約780[nm]でなる反射光ビームLCARを少なくとも0次光及び1次光に分離し、アナモルフィックレンズ124へ入射させる。
なお、ホログラム素子123により回折された反射光ビームLCARの0次光以外の成分については、最終的にはCD方式の信号検出に関わる受光部D1、D21及びD22には照射されないため、以下では説明を省略する。ホログラム素子123により回折された反射光ビームLCBR及びLCCRの0次光以外の成分についても同様に省略する。
アナモルフィックレンズ124は、反射光ビームLCARをメイン反射光ビームとして集光すると共に非点収差を持たせ、光検出器125へ照射する。このとき反射光ビームLCBR及びLCCRもそれぞれサブ反射光ビームとして集光される。
光検出器125は、受光部D1の受光領域D1A〜D1Dにより反射光ビームLCARを受光し、その受光結果に応じてそれぞれ受光信号S1A〜S1Dを生成して、ヘッドアンプ126へ供給する。
また光検出器125は、受光部D21により反射光ビームLCBRを受光し、その受光結果に応じて受光信号S21A及びS21Bを生成して、これらをヘッドアンプ126へ送出する。
これと同様に光検出器125は、受光部D22により反射光ビームLCCRを受光し、その受光結果に応じて受光信号S22A及びS22Bを生成して、これらをヘッドアンプ126へ送出する。
ヘッドアンプ126は、ヘッドアンプ22と同様、各受光信号をそれぞれ増幅し、信号処理部114へ供給する。
信号処理部114のトラッキングエラー信号演算回路114Tは、所定の係数δを用い次の(9)式に従った演算を行うことにより、DPP(Differential Push Pull)法に従ったトラッキングエラー信号STE2を算出する。
信号処理部114は、このトラッキングエラー信号STE2をサーボ制御部113Aのトラッキング制御部113ATへ供給する。
サーボ制御部113Aのトラッキング制御部113ATは、トラッキングエラー信号STE2を基にトラッキング駆動信号STD2を生成し、これをトラッキングアクチュエータ9Tへ供給する。トラッキングアクチュエータ9Tは、トラッキング駆動信号STD2に基づき対物レンズ135をトラッキング方向へ駆動する。かくしてサーボ制御部113Aは、DPP法によるトラッキング制御を行う。
またサーボ制御部113Aは、光ディスク装置1のサーボ制御部3Aと同様に、非点収差法に従ってフォーカスエラー信号SFE1を算出し、これに基づいたフォーカス制御を行うようになされている。
さらに信号処理部114の再生信号演算回路114Rは、第1の実施の形態と同様、上述した(4)式に従って受光信号S1A〜S1Dを加算することにより再生RF信号SRFを算出するようになされている。
このように光ディスク装置110の光ピックアップ117では、光検出器125の受光部D1により、BD方式の光ディスク100Bによる反射光ビームLBR0及びCD方式の光ディスク100Cによる反射光ビームLCARの双方を受光し得るようになされている。
[6−2−3.DVD方式の光ディスク100Dへの光ビームの照射及び受光]
光ディスク100がDVD方式の光ディスク100Dであった場合、光ディスク装置110の統括制御部112は、光ピックアップ117から、当該光ディスク100Dに適した波長の光ビームを照射させるようになされている。
実際上統括制御部112は、光源制御部120を制御することにより、レーザダイオード131のレーザチップ131Dから波長約660[nm]の赤色レーザ光でなる光ビームLCを発散光として出射させ、グレーティング132へ入射させる。
この光ビームLDは、光ビームLCと発光点が距離u5だけ離隔していることから、光ビームLCの光軸から僅かに離隔した光軸に沿って進行することになる。
グレーティング132は、光ビームLDを回折させることにより、0次光でなる光ビームLDA、+1次光でなる光ビームLDB及び−1次光でなる光ビームLDCに分離し、これらをコリメータレンズ133へ入射させる。
この光ビームLDB及びLDCは、光ビームLCB及びLCCの場合と同様、その光軸が光ビームLDAの光軸から僅かに離れた状態で光ビームLDAとほぼ平行に進行し、当該光ビームLDAと同様に収束・発散・反射等されることになる。このため、以下では光ビームLDAを中心に説明し、光ビームLDB及びLDCの説明については一部省略する。
光ビームLDA、LDB及びLDCは、それぞれ光ビームLCA、LCB及びLCCと同様に、偏光プリズム121及び1/4波長版134を介して対物レンズ135に入射され、光ディスク100Dの対象記録層YTに焦点を合わせて集光される。
このとき光ビームLDA、LDB及びLDCは、光ビームLCA、LCB及びLCCの場合と同様、対象記録層YTにおいてそれぞれ反射され、反射光ビームLDAR、LDBR及びLDCRとなる。
反射光ビームLDBR及びLDCRは、それぞれの光軸が反射光ビームLDARの光軸から僅かに離れた状態で、当該反射光ビームLDARとほぼ平行に進行していく。なお、反射光ビームLDBR及びLDCRの説明についても、光ビームLCB及びLCCの場合と同様に一部省略する。
この後反射光ビームLDARは、反射光ビームLCARと同様、対物レンズ135により発散光から平行光に変換され、1/4波長板134により右円偏光からS偏光(直線偏光)へ変換され、さらに偏光プリズム121へ入射される。
偏光プリズム121は、S偏光でなる反射光ビームLDARを反射透過面121DCにおいて反射し、反射透過面121Bを透過させてホログラム素子123へ入射させる。
ホログラム素子123は、波長約660[nm]でなる反射光ビームLDARを少なくとも0次光及び1次光に分離し、アナモルフィックレンズ124へ入射させる。
なお、ホログラム素子123により回折された反射光ビームLDARの0次光以外の成分については、最終的にはDVD方式の信号検出に関わる受光部D31〜D33には照射されないため、以下では説明を省略する。ホログラム素子123により回折された反射光ビームLDBR及びLDCRについても同様に省略する。
アナモルフィックレンズ124は、反射光ビームLDARを集光すると共に非点収差を持たせ、光検出器125へ照射する。このとき反射光ビームLDBR及びLDCRもそれぞれ集光される。
光検出器125の受光部D1は、レーザダイオード131のレーザチップ131Cを光源とする反射光ビームLCAの照射位置に合わせてある。このため、当該レーザチップ131Cから所定の距離u5だけ離隔したレーザチップ131Dを光源とする反射光ビームLDAは、当該受光部D1から所定の距離u6だけ離隔した箇所、すなわち受光部D31上に照射される。因みに距離u6は、距離u5及び光ピックアップ117における光学設計等を基に定められる値となる。
光検出器125は、受光部D31の受光領域D31A〜D31Dにより反射光ビームLDARを受光し、その受光結果に応じてそれぞれ受光信号S31A〜S31Dを生成して、ヘッドアンプ126へ供給する。
また光検出器125は、受光部D32の受光領域D32A及びD32Bにより反射光ビームLDBRを受光し、その受光結果に応じて受光信号S32A及びS32Bを生成して、これらをヘッドアンプ126へ送出する。
これと同様に光検出器125は、受光部D33の受光領域D33A及びD33Bにより反射光ビームLDCRを受光し、その受光結果に応じて受光信号S33A及びS33Bを生成して、これらをヘッドアンプ126へ送出する。ヘッドアンプ126は、各受光信号をそれぞれ増幅して信号処理部114へ供給する。
信号処理部114のトラッキングエラー信号演算回路114Tは、上述した(9)式と対応する(10)式に従った演算を行うことにより、DPP法に従ったトラッキングエラー信号STE2を算出し、これをサーボ制御部113Aのトラッキング制御部113ATへ供給する。
信号処理部114は、このトラッキングエラー信号STE2をサーボ制御部113Aのトラッキング制御部113ATへ供給する。
サーボ制御部113Aのトラッキング制御部113ATは、トラッキングエラー信号STE2を基にトラッキング駆動信号STD2を生成し、これをトラッキングアクチュエータ9Tへ供給する。トラッキングアクチュエータ9Tは、トラッキング駆動信号STD2に基づき対物レンズ135をトラッキング方向へ駆動する。かくしてサーボ制御部113Aは、DPP法によるトラッキング制御を行う。
またサーボ制御部113Aは、非点収差法に従ってフォーカスエラー信号SFE1を算出し、これに基づいたフォーカス制御を行うようになされている。
さらに信号処理部114の再生信号演算回路114Rは、上述した(4)式に従って受光信号S31A〜S31Dを加算することにより再生RF信号SRFを算出するようになされている。
このように光ディスク装置110の光ピックアップ117では、光検出器125の受光部D31、D32及びD33により、DVD方式の光ディスク100Dによる反射光ビームLDAR、LDBR及びLDCRをそれぞれ受光し得るようになされている。
[6−3.動作及び効果]
以上の構成において、光ディスク装置110の光ピックアップ117は、光ディスク100がBD方式の光ディスク100Bであった場合、光検出器125により、第1の実施の形態における光検出器19と同様に各受光信号を生成する。
これにより光ディスク装置110は、第1の実施の形態と同様、層間迷光ビームLNの影響を受けることなく、フォーカス制御及びトラッキング制御を行うことができる。
一方、光ディスク装置110の光ピックアップ117は、光ディスク100がCD方式の光ディスク100Cであった場合、グレーティング132により光ビームLCを0次光及び±1次光に分離し、それぞれを光ディスク100Cの対象記録層YTにより反射させる。
さらに光ピックアップ117は、光検出器125の受光部D1、D21及びD22により反射光ビームLCAR、LCBR及びLCCRをそれぞれ受光し、受光信号をそれぞれ生成する。
信号処理部114は、DPP法に従い受光信号を用いてトラッキングエラー信号STE2を算出し、これをサーボ制御部113Aへ供給する。サーボ制御部113Aは、トラッキングエラー信号STE2に基づきトラッキング制御を行う。
従って光ディスク装置110は、光ピックアップ117の光検出器125において、第1の実施の形態における光検出器19に受光部D21及びD22を追加した構成とすることにより、DPP法に対応した受光信号を生成することができる。
すなわち光ディスク装置110では、光ディスク100がBD方式又はCD方式のいずれの場合であっても、光検出器125の受光部D1による受光信号S1A〜S1Dを用いてフォーカスエラー信号SFE1又は再生RF信号SRFを生成することができる。
このとき光検出器125は、受光部D1の受光領域D1A〜D1Dにより反射光ビームLBRS0及び反射光ビームLCRAの双方を受光することができる。これにより光ディスク装置110では、両者をそれぞれ独立した受光領域により受光する場合と比較して、光検出器125の小型化を図ることができ、ヘッドアンプ126内のアンプ回路数を削減することができる。
また光ディスク装置110は、レーザダイオード131においてレーザチップ131C及び131Dを間隔u5だけ離隔させ、光検出器125において受光部D1、D21及びD22と受光部D31、D32及びD33との中心同士がそれぞれ間隔u6だけ離隔している。
これにより光ディスク装置110は、1個の光検出器125によりBD方式、DVD方式及びCD方式それぞれの反射光ビームを受光することができ、部品点数の削減や装置構成の小型化を図ることができる。
特にレーザダイオード131は、その製造工程により、レーザチップ131D及び131Cの間隔のばらつきをほぼ皆無とすることができる。これにより光検出器125については、間隔u6をほぼ一定の値として設計することができる。
またホログラム素子123は、波長選択性を有することにより、波長約405[nm]でなる反射光ビームLBRを回折させ得ると共に、波長約660[nm]でなる反射光ビームLDAR、LDBR及びLDCR並びに波長約780[nm]でなる反射光ビームLCAR、LCBR及びLCCRをいずれも回折させずに透過させることができる。
すなわちホログラム素子123は、反射光ビームLDAR、LDBR及びLDCR並びに反射光ビームLCAR、LCBR及びLCCRを不必要に回折させることがないため、光検出器125上に不必要な迷光を照射させずに済む。
さらに光ディスク装置110では、アナモルフィックレンズ124と光検出器125との間にホログラム素子123を設けず、当該ホログラム素子123をアナモルフィックレンズ124の手前に配置している。
一般に、アナモルフィックレンズ124等により反射光ビームLBRを集光させたとき、層間迷光ビームLN等も集光される。ここで、層間迷光ビームLNの焦点は、反射光ビームLBRの手前又は奥に形成されることになる。
ここで光ピックアップの構成としては、集光レンズの焦点距離等を考慮した上で小型化したい場合に、第1の実施の形態のように、集光レンズ16と光検出器19との間にホログラム素子17を設ける構成も考えられる。
しかしながらこのような構成の場合、層間迷光ビームLNは、光ディスク100における層間隔等によっては、ホログラム素子17等のように介在する光学部品の表面付近や異なる素材の境界面付近で焦点を形成する可能性がある。
仮にホログラム素子17の表面に微少な異物が付着し、或いは傷付けられ、さらには気泡が混入していた場合、層間迷光ビームLNは小さく集光されているため、その大部分が遮られることになる。この状態でレンズシフトが生じると、層間迷光ビームLNがこれに連れて動くことになり、当該層間迷光ビームLNの透過・遮断状態が大幅に変化する。この結果、迷光パターンWの明るさが大きく変動され、各種受光信号に影響が生じるおそれがある。
これに対し光ディスク装置110では、アナモルフィックレンズ124と光検出器125との間における、層間迷光ビームLNの焦点が形成され得る位置に光学部品の表面や境界面等を何ら設けていないため、このような問題を未然に防止することができる。
また光ディスク装置110の場合、ホログラム素子123は、平行光である反射光ビームLBR等について回折作用を呈すれば良い。このためホログラム素子123は、収束光でなる当該反射光ビームLBRに対し回折作用を呈する場合と比較して、設計難易度や製造難易度を緩和することができる。さらに光ディスク装置110は、これと同様に、偏光プリズム121等の他の光学部品についても、平行光でなる光ビームに対し所定の作用を行い得れば良いため、収束光中に設けられる場合と比較してその設計難易度や製造難易度等を緩和することができる。
さらに光ディスク装置110では、第3の実施の形態と同様、球面収差補正部64により光ビームLB及び反射光ビームLBRに生じる球面収差を補正するため、対物レンズ8から出射される光ビームLBの光量を変動させることなく安定化することができる。
以上の構成によれば、第6の実施の形態による光ディスク装置110は、BD方式の光ディスク100Bについては第1の実施の形態と同様に、層間迷光ビームの影響を殆ど受けることなくトラッキング制御及びフォーカス制御を行うことができる。これに加えて光ディスク装置110は、DVD方式の光ディスク100D及びCD方式の光ディスク100Cについては、光検出器125の受光部D1、D21及びD22又は受光部D31、D32及びD33による受光結果を基に、DPP法によるトラッキング制御を行うことができる。
<7.第7の実施の形態>
[7−1.光ディスク装置の構成]
第7の実施の形態による光ディスク装置190は、第1の実施の形態による光ディスク装置1と比較して、信号処理部4及び光ピックアップ7に代えて、信号処理部194及び光ピックアップ191が設けられている点が異なっている。
信号処理部194は、信号処理部4と同様に所定の演算処理を行うことによりフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をそれぞれ生成し、これらを駆動制御部3へ供給するものの、信号処理部4とは演算処理の内容が一部相違している(詳しくは後述する)。
[7−2.光ピックアップの構成]
図2との対応部分に同一符号を付した図32に示すように、光ピックアップ191は、光ピックアップ7と比較して、ホログラム素子17及び光検出器19に代えて、ホログラム素子197及び光検出器199が設けられている点で異なっている。
さらに光ピックアップ191は、光ピックアップ7と比較して、ヘッドアンプ22に代えてヘッドアンプ192が設けられている点で異なっている。
図33に示すホログラム素子197は、光ピックアップ7におけるホログラム素子17と比較して、分割パターンが異なっているものの、回折格子の回折方向等は同様に設定されている。
すなわち、ホログラム素子17における分割領域17A及び17Eの境界線は曲線状としたのに代えて、分割領域17A及び17Eと対応するホログラム素子197における分割領域197A及び197Eの境界線は、直線状となっている。
同様に、ホログラム素子17における分割領域17B及び17Eの境界線を曲線状としたのに代えて、分割領域17B及び17Eと対応するホログラム素子197における分割領域197B及び197Eの境界線は、直線状となっている。
ホログラム素子197はホログラム素子17と同様に、反射光ビームLR1を領域ごとに設定された方向へ回折させることにより、複数の反射光ビームLR1A〜LR1Eに分割するようになされている。
光検出器199は、図5と対応する図34に示すように、光検出器19と比較して、受光部D52〜D54が、0次光でなる反射光ビームLR0の光軸に対応する基準点Pに対して、受光部D2〜D4とほぼ同様の位置に配置されている。
受光部D1と対応する受光部D51は、受光部D1と同様に格子状に4分割された受光領域D51A、D51B、D51C、及びD51Dにより反射光ビームLR0を受光するようになされている。ここで、受光領域D51A〜D51Dは、いずれもほぼ同等の大きさでなる略正方形状に形成されている。因みに受光部D51は、受光部D1と異なり迷光受光領域D1P〜D1Sは設けられていない。
受光領域D51A、D51B、D51C、及びD51Dは、それぞれの受光量に応じた受光信号S51A、S51B、S51C、及びS15Dを生成し、これらをヘッドアンプ192(図32)へ送出するようになされている。
受光部D2と対応する受光部D52の受光領域D52A及びD52Bは、受光部D2と異なり、いずれもほぼ同等の大きさでなる、縦方向に伸びた長方形状に形成されている。
これにより受光領域D52A及びD52Bは、光ビームの波長変動や、温度特性、デフォーカス等の様々な要因による、縦方向と横方向とに異なる反射光ビームの移動量に対応し得るようになされている。
受光領域D52A及びD52Bは、反射光ビームLR1A及びLR1Bをそれぞれ受光し、それぞれの受光量に応じた受光信号S52A及びS52Bを生成して、これらをヘッドアンプ192(図32)へ送出するようになされている。
さらに受光部D52には、受光部D2と同様に、縦方向に沿って受光領域D52A及びD52Bにそれぞれ隣接するよう、迷光受光領域D52P及びD52Qが設けられている。
迷光受光領域D52P及びD52Qは、それぞれの受光量に応じた迷光受光信号S52P及びS52Qを生成し、これらをヘッドアンプ192(図32)へ送出するようになされている。
受光部D3と対応する受光部D53の受光領域D53C及びD53Dは、受光部D52と同様の理由により、いずれもほぼ同等の大きさでなる、縦方向に伸びた長方形状に形成されている。
受光領域D53C及びD53Dは、反射光ビームLR1C及びLR1Dをそれぞれ受光し、それぞれの受光量に応じた受光信号S53C及びS53Dを生成して、これらをヘッドアンプ192(図32)へ送出するようになされている。
さらに受光部D53には、受光部D3と異なり、迷光受光領域D53R1及びD53R2(以下これらをまとめて迷光受光領域D53Rとも呼ぶ)が、縦方向から受光領域D53Cを挟み込むよう、受光領域D53Cに隣接して設けられている。
同様に受光部D53には、迷光受光領域D53S1及びD53S2(以下これらをまとめて迷光受光領域D53Sとも呼ぶ)が、縦方向から受光領域D53Dを挟み込むよう、受光領域D53Dに隣接して設けられている。
迷光受光領域D53R1及びD53R2は、それぞれの受光量に応じた迷光受光信号S53R1及びS53R2を生成し、これらをヘッドアンプ192(図32)へ送出するようになされている。
同様に迷光受光領域D53S1及びD53S2は、それぞれの受光量に応じた迷光受光信号S53S1及びS53S2を生成し、これらをヘッドアンプ192(図32)へ送出するようになされている。
ここで受光領域D53C及びD53Dは、受光領域D3C及びD3Dと異なり、所定の間隔を持つように離れて設けられている。
これにより光検出器199は、光ビームの波長変動や、温度特性、デフォーカス等の様々な要因による反射光ビームの移動が生じたような状態でも、例えば受光領域D53Cで受光すべき反射光が、もう一方の受光領域D53Dにかからないようにすることができる。
受光部D4と対応する受光部D54は、受光部D4と同様に格子状に4分割された受光領域D54A、D54B、D54C、及びD54Dにより反射光ビームLR1Eを受光するようになされている。ここで、受光領域D54A〜D54Dは、いずれもほぼ同等の大きさでなる略正方形状に形成されている。
因みに受光部D54における各受光領域の分割方向は、受光部D51における分割方向と約45度の角度をなすようになされている。
また受光領域D54A、D54B、D54C、及びD54Dは、それぞれの受光量に応じた受光信号S54A、S54B、S54C、及びS54Dを生成し、これらをヘッドアンプ192(図32)へ送出するようになされている。
このように光検出器199は、受光部D51〜D54の各受光領域により反射光ビームLR0、LR1A〜LR1Eをそれぞれ受光し、受光量に応じた受光信号をそれぞれ生成してヘッドアンプ192へ供給するようになされている。
[7−3.迷光の照射と受光領域の配置]
ところで図7(B)に示したように、光検出器19の各受光領域は、対象記録層YTに近接した記録層Yで反射された層間迷光ビームLNにより形成される迷光パターンW1が、受光部D2及びD3にかからないように配置されていた。
しかし記録層Yの厚みが、第1の実施の形態における光ディスク100の記録層Yの厚みよりも狭い場合がある。このような場合、第1の実施の形態における対象記録層YTと最も近接した記録層Yとの層間隔よりも、さらに狭い間隔に位置する記録層Yで反射された層間迷光ビームLNが、光検出器199に照射される。以下、第7の実施の形態における対象記録層YTと、層間迷光ビームLNを反射させる記録層Yとの間隔を、迷光層間隔dnと呼ぶ。
ここで迷光層間隔dnが、第1の実施の形態における対象記録層YTと最も近接した記録層Yとの層間隔よりも狭い場合、図35に示す光検出器199のように、迷光パターンW7が受光部D52にかかることがある。因みに図35に示す光検出器199においては、レンズシフトは生じていない。
図35に示すような、レンズシフトが生じていない場合の光検出器199においては、迷光パターンW7A及びW7Bが、受光領域D52A及びD52Bにそれぞれほぼ同じ大きさでかかっている。
また迷光パターンW7A及びW7Bは、迷光受光領域D52P及びD52Qにもほぼ同じ大きさでかかっており、それぞれほぼ同量の層間迷光ビームLNを受光する。
さらに迷光パターンW7C1、W7C2、W7D1、及びW7D2は、迷光受光領域D53R1、D53R2、D53S1、及びD53S2にほぼ同じ大きさでかかっており、それぞれほぼ同量の層間迷光ビームLNを受光する。
ここで、上述したようにホログラム素子197(図33)の分割領域197A及び197Eと、分割領域197B及び197Eの境界線は、直線状となっている。
このためホログラム素子17と異なり、受光領域D52A及び迷光受光領域D52Pにかかる迷光パターンW7Aの境界線が、直線状となる。
このため、迷光パターンW7Aが受光領域D52Aにはかかっているが迷光受光領域D52Pにはかかっていないという状態を防ぐことができる。これにより光ピックアップ191は、受光領域D52Aにかかる迷光パターンW7Aと迷光受光領域D52Pにかかる当該迷光パターンW7Aとの割合を常にほぼ一定にすることができる。
ところで光ピックアップ191では、図36に示すように、レンズシフトが生じた場合、レンズシフトが生じていない状態(図33)と比べ、ホログラム197へ入射される反射光ビームLRが、例えばディスク100の内周側へシフトする。これに伴い、ホログラム197へ入射される層間迷光ビームLNも、ディスク100の内周側へシフトする。
このためホログラム197におけるそれぞれの領域により回折された層間迷光ビームLNは、図37(A)に示すように、レンズシフトが生じていない状態(図35)と比べ光検出器199上で横方向へ延長されたような迷光パターンW7を形成する。
図37(A)に示す光検出器199においては、迷光パターンW7Bが受光領域D52B及び迷光受光領域D52Qにかかっていない。一方、迷光パターンW7Aは受光領域D52A及び迷光受光領域D52Pにかかっている。また迷光パターンW7Cは迷光受光領域D53Rに、迷光パターンW7Dは迷光受光領域D53Sにかかっている。
ここで、迷光パターンW7Cのうち迷光受光領域D53Rにかかる部分の方が、迷光パターンW7Dのうち迷光受光領域D53Sにかかる部分よりも大きくなっている。
次に図37(B)は、レンズシフトが生じた状態で、迷光層間隔dnが広い場合(後述する図38(A)において迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh2にある場合)の層間迷光ビームLNを示している。図37(B)に示すように当該光ビームLNは、図37(A)の迷光パターンW7と比較して光検出器199上で比較的大きく広がった迷光パターンW9を形成する。
図37(B)に示す光検出器199においては、図37(A)の光検出器199と同様に、迷光パターンW9Bが受光領域D52B及び迷光受光領域D52Qにかかっていない。
一方、迷光パターンW9Aは図37(A)の光検出器199と同様に、受光領域D52A及び迷光受光領域D52Pにかかっている。しかし迷光パターンW9Aの方が迷光パターンW7Aよりも、受光領域D52A又は迷光受光領域D52Pにかかる部分が小さくなっている。
また、迷光パターンW7C及びW7Dは、迷光受光領域D53R及びD53Sにかからなくなっている。
このように、レンズシフトが生じていないときは、迷光パターンW7が受光領域D52A及びD52Bに、また迷光受光領域D53P及びD53Qにほぼ同じ大きさだけ、バランス良くかかっている。
また光検出器199は、レンズシフトが生じた際、迷光層間隔dnが狭いとき(後述する図38(A)において迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh1にあるとき)は迷光パターンW7が迷光受光領域D53SよりもD53Rに多くかかるように受光領域、迷光受光領域が配置されている。さらに光検出器199は、迷光層間隔dnが広いとき(後述する図38(A)において迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh2にあるとき)は迷光パターンW9が迷光受光領域D53RにもD53Sにもかからないように受光領域、迷光受光領域が配置されている。
[7−4.フォーカス制御及びトラッキング制御]
光ディスク装置190は、サーボ制御部3Aにより、第1の実施の形態における光ディスク装置1と同様のフォーカス制御及びトラッキング制御を行い得るようになされている。
信号処理部194のフォーカスエラー信号演算回路194Fは、上述した(1)式に代えて、次の(11)式に従った演算を行うことによりフォーカスエラー信号SFE2を算出し、これをサーボ制御部3Aのフォーカス制御部3AFへ供給する。
因みに本実施の形態における光検出器199(図34)では、受光領域D51周辺に迷光受光領域が設けられていないため、(11)式では、(1)式におけるk×{(S1P+S1R)−(S1Q+S1S)}の項が省略されている。
また信号処理部194のトラッキングエラー信号演算回路194Tは、(1)式に対応する(12)式に従った演算を行うことによりトラッキングエラー信号STE3を算出し、これをサーボ制御部3Aのトラッキング制御部3ATへ供給する。
(12)式において、係数p、s、及びαはそれぞれ所定の係数を表している。またS53Rは(S53R1+S53R2)から、S53Sは(S53S1+S53S2)からなっている。
(S52A−S52B)の項は、プッシュプル成分に迷光成分(すなわち所望の記録層と異なる他の記録層において反射された層間迷光の成分)とレンズシフト成分とが加算された値に相当する。また−p×(S52P−S52Q)−s×(S53R−S53S)については、迷光成分の値に相当する。
すなわち(S52A−S52B)−p×(S52P−S52Q)−s×(S53R−S53S)は、迷光成分とレンズシフト成分とが加算されたプッシュプル成分から迷光成分が減算され、レンズシフト成分のみが加算されたプッシュプル成分の値に相当する。
さらにα×(S53C−S53D)の項は、レンズシフト成分の値に相当する。この項により、レンズシフト成分が加算されたプッシュプル成分から、レンズシフト成分のみを減算し、プッシュプル成分を算出している。
以下、図37(A)及び(B)に示した光検出器199と対比して、(12)式の第1項、第2項、及び第3項について図38を用いて説明する。
(S52A−S52B)の項については、図37に示したように、レンズシフトが生じた際、迷光層間隔dnが狭いときの迷光パターンW7Aの方が、迷光層間隔dnが広いときの迷光パターンW9Aよりも、受光領域D52Aにかかる部分が大きくなっている。 ここで迷光層間隔dnが狭いときとは、迷光層間隔dnが図38における迷光層間隔範囲dh1にあるときを表している。また、迷光層間隔dnが広いときとは、迷光層間隔dnが図38における迷光層間隔範囲dh2にあるときを表している。
このため、図38(A)に示すレンズシフトが生じた際の迷光層間隔dnと迷光量の関係のように、迷光層間隔dnが狭くなるほど、すなわち迷光層間隔範囲dh1及びdh2において迷光層間隔dnが迷光層間隔dn2から0に近づくほど(S52A−S52B)内の迷光量は増加していく。このとき(S52A−S52B)内の迷光量は、迷光層間隔範囲dh1において迷光層間隔dnが迷光層間隔dn1から0に近づくにつれて、急激に増加するという特性を持つ。
p×(S52P−S52Q)の項については、図37に示したように、レンズシフトが生じた際、迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh1にあるとき(図38)の迷光パターンW7Aの方が、迷光層間隔範囲dh2にあるときの迷光パターンW9Aよりも、迷光受光領域D52Pにかかる部分が大きくなっている。
このため図38(A)に示すように、迷光層間隔範囲dh1及びdh2において迷光層間隔dnが迷光層間隔dn2から0に近づくほど、(S52P−S52Q)の値は増加していく。(S52P−S52Q)の値は、迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh2にあるうちは上記(S52A−S52B)内の迷光量とほぼ比例関係にある。
但し迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh1において迷光層間隔dn1から0に近づくほど、(S52P−S52Q)の値は、上述した(S52A−S52B)内の急激に増加する迷光量と比例関係から外れていく。
s×(S53R−S53S)の項については、図37に示したように、レンズシフトが生じた際、迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh1にあるとき(図38)は、迷光パターンW7Cのうち迷光受光領域D53Rにかかる部分の方が、迷光パターンW7Dのうち迷光受光領域D53Sにかかる部分よりも大きくなっている。
このため図38(A)に示すように、迷光層間隔範囲dh1及びdh2において迷光層間隔dnが迷光層間隔dn2から0に近づくほど(S53R−S53S)の値は増加していく。また(S53R−S53S)の値は、上記(S52A−S52B)内の迷光量と同様に、迷光層間隔範囲dh1において迷光層間隔dnが迷光層間隔dn1から0に近づくにつれて、急激に増加するという特性を持つ。このとき(S53R−S53S)の値は、上述した迷光層間隔範囲dh1における(S52A−S52B)内の急激に増加する迷光量とほぼ比例関係にある。
また迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh2にあるときは、迷光パターンW9C及びW9Dが、迷光受光領域D53R及びD53Sにかからなくなっているため(図37(B))、図38(A)に示すように(S53R−S53S)の値は0となる。
以上のように、(12)式全体のうち(S52A−S52B)−p×(S52P−S52Q)−s×(S53R−S53S)については、迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh2にあるときは(S53R−S53S)の値は0となる。このときトラッキングエラー信号演算回路194Tは、迷光成分とレンズシフト成分とが加算されたプッシュプル成分(S52A−S52B)の値から、当該プッシュプル成分に含まれる迷光成分とほぼ比例関係にあるp×(S52P−S52Q)の値のみを減算することにより、レンズシフト成分のみが加算されたプッシュプル成分を算出する。
一方迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh1にあるときは、(S53R−S53S)の値は0とはならない。このときトラッキングエラー信号演算回路194Tは、迷光成分とレンズシフト成分とが加算されたプッシュプル成分(S52A−S52B)の値から、p×(S52P−S52Q)の値を減算する。さらにトラッキングエラー信号演算回路194Tは、当該プッシュプル成分に含まれる迷光成分とほぼ比例関係にあるs×(S53R−S53S)の値を減算することにより、レンズシフト成分のみが加算されたプッシュプル成分を算出する。
また上記(S52A−S52B)−p×(S52P−S52Q)−s×(S53R−S53S)は、受光信号S52Aから迷光受光信号S52P及びS53Sを減算する演算式と、受光信号S52Bから迷光受光信号S52Q及びS53Rを減算する演算式とを組み合わせたものとなっている。
続いてトラッキングエラー信号演算回路194Tは、上記算出したレンズシフト成分が加算されたプッシュプル成分から、α×(S53C−S53D)の値でレンズシフト成分のみを減算し、トラッキングエラー信号STE3を算出する。
トラッキングエラー信号演算回路194Tは、トラッキングエラー信号STE3をサーボ制御部3Aのトラッキング制御部3ATへ供給する。
サーボ制御部3Aは、トラッキング制御部3ATによってトラッキングエラー信号STE3を基にトラッキング駆動信号STD1を生成しトラッキングアクチュエータ9Tへ供給することにより、トラッキング制御を行う。
[7−5.動作及び効果]
以上の構成において光ディスク装置190の光ピックアップ191は、光ビームL1を光ディスク100へ照射し、当該光ディスク100により反射されてなる反射光ビームLRをホログラム素子197により分離する。
ホログラム素子197は、0次光でなる反射光ビームLR0をほぼ直進させると共に、分割領域197A〜197E(図33(A))ごとに、1次光でなる反射光ビームLR1を回折させることにより、複数の反射光ビームLR1A〜LR1Eに分割する。
光検出器199は、受光部D51の受光領域D51A〜D51Dにより反射光ビームLR0を受光し、受光信号S51A〜S51Dを生成する。また光検出器199は、受光部D52の受光領域D52A及びD52Bにより反射光ビームLR1A及びLR1Bをそれぞれ受光し、受光信号S52A及びS52Bを生成する。さらに光検出器199は、受光部D53の受光領域D53C及びD53Dにより反射光ビームLR1C及びLR1Dをそれぞれ受光し、受光信号S53C及びS53Dを生成する。
これと共に光検出器199は、受光部D52に隣接して設けられた迷光受光領域D52P及びD52Qによるそれぞれの受光量に応じた迷光受光信号S52P及びS52Qを生成する。また光検出器199は、受光部D53に隣接して設けられた迷光受光領域D53R1及びD53R2によるそれぞれの受光量に応じた迷光受光信号S53R1及びS53R2を生成する。さらに光検出器199は、受光部D53に隣接して設けられた迷光受光領域D53S1及びD53S2によるそれぞれの受光量に応じた迷光受光信号S53S1及びS53S2を生成する。
信号処理部194は、ヘッドアンプ192により増幅された各受光信号を基に、フォーカスエラー信号演算回路194Fにより(11)式に従ってフォーカスエラー信号SFE2を算出する。また信号処理部194は、トラッキングエラー信号演算回路194Tにより(12)式に従ってトラッキングエラー信号STE3を算出して、これらをサーボ制御部3Aへ供給する。
サーボ制御部3Aは、トラッキング制御部3ATによってトラッキングエラー信号STE3を基にトラッキング駆動信号STD1を生成しトラッキングアクチュエータ9Tへ供給することにより、トラッキング制御を行う。
光検出器199は、レンズシフトが生じており、さらに迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh1にあるときは、図37(A)に示したように迷光パターンW7が迷光受光領域D53SよりもD53Rに多くかかるよう、迷光受光領域D53S及びD53Rを配置した。
これにより信号処理部194は、図38(A)に示したように、迷光層間隔範囲dh1において迷光層間隔dnが迷光層間隔dn1から0に近づくにつれて急激に増加する(S53R−S53S)の値を得ることができる。
また光検出器199は、図37に示したように、レンズシフトが生じており、さらに迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh1にあるときの方が、迷光層間隔範囲dh2にあるときよりも、迷光パターンが迷光受光領域D52Pに大きくかかるよう、迷光受光領域D52P及びD52Qを配置した。
これにより信号処理部194は、図38(A)に示したように、迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh2にあるときに(S52A−S52B)内の迷光成分とほぼ比例関係にある(S52P−S52Q)の値を得ることができる。
光検出器199は、レンズシフトが生じており、さらに迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh2にあるときは、図37(B)に示したように迷光パターンW7C及びW7Dがかからないよう、迷光受光領域D53R及びD53Sを配置した。
これにより信号処理部194は、図38(A)に示したように、迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh2にあるときに0となる(S53R−S53S)の値を得ることができる。
(12)式において信号処理部194は、(S52A−S52B)の値から、p×(S52P−S52Q)の値を減算した。迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh2にある場合、(S52A−S52B)内の迷光成分は、(S52P−S52Q)の値とほぼ比例関係にある。
このため、迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh2にある場合信号処理部194は、迷光成分とレンズシフト成分とが加算されたプッシュプル成分(S52A−S52B)から、(S52P−S52Q)の値を利用して迷光成分を除去することができる。
一方(12)式において信号処理部194は、(S52A−S52B)の値から、s×(S53R−S53S)の値を減算した。迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh1にある場合、(S52A−S52B)内の急激に増加する迷光成分は、(S53R−S53S)の値とほぼ比例関係にある。
このため、迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh1にある場合信号処理部194は、迷光成分とレンズシフト成分とが加算されたプッシュプル成分(S52A−S52B)から、(S53R−S53S)の値を利用して迷光成分を除去することができる。
また迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh2にある場合は(S53R−S53S)の値は0となるため、係数sがどのような値であっても、演算結果には影響を及ぼさなくなる。このため迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh2にある場合、信号処理部194は(S52P−S52Q)の値のみを利用して、(S52A−S52B)から迷光成分を除去することができる。
これにより信号処理部194は、迷光層間隔dnが広いほど、すなわち迷光層間隔範囲dh2において、迷光層間隔dnが迷光層間隔dn1から迷光層間隔dn2へ近づくほど係数sやpの値を小さくするなどの処理をしなくても、係数s及びpを固定値にして演算することができる。
以上により光検出器197は、図38(A)に示したような迷光層間隔dnと迷光量との関係が得られるように、受光領域及び迷光受光領域を配置した。
これにより信号処理部194は図38(B)に示すように、レンズシフトが生じても迷光層間隔範囲dh1及びdh2において迷光層間隔dnが迷光層間隔dn2から0へ近づいても、(S52A−S52B)内の迷光成分をほぼ0に抑え、プッシュプル成分から迷光成分を除去することができる。
以上の構成によれば、光ディスク装置190の光ピックアップ197は、反射光ビームLRをホログラム素子197により回折させ、0次光でなる反射光ビームLR0をほぼ直進させ、光検出器199の受光部D51により検出して受光信号S51A〜S51Dを生成する。また光ピックアップ197は、1次光のうち反射光ビームLR1A〜LR1Dをそれぞれ受光領域D52A、D52B、D53C、及びD53Dより受光し、受光信号S52A、S52B、S53C、及びS53Dを生成する。さらに光ピックアップ197は、迷光受光領域D52P、D52Q、D53R、及びD53Sにより迷光を受光し、迷光受光信号S52P、S52Q、S53R、及びS53Sを生成する。続いて光ピックアップ197は(12)式に従ってトラッキングエラー信号STE3を算出する。(12)式において光ピックアップ197は、迷光層間隔dnが迷光層間隔範囲dh1にあるとき、プッシュプル成分内の急激に増加する迷光成分とほぼ比例関係にある、迷光受光領域D52P及びD52Qより得られた値を利用して、プッシュプル成分から当該迷光成分を除去する。これにより光ディスク装置190は、迷光層間隔dnが狭い場合において、かつレンズシフトが生じていても、複数の記録層Yからの層間迷光ビームLNによりそれぞれ形成される迷光パターンWの影響を排除したトラッキングエラー信号STE3を生成でき、精度良くトラッキング制御を行うことができる。
<8.他の実施の形態>
なお上述した第1の実施の形態においては、反射光ビームLR1A及びLR1Bを縦方向、すなわち光ディスク100に形成されているトラック溝の像における走行方向と略平行な方向へ回折させるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、反射光ビームLR1A及びLR1Bを他の方向へそれぞれ回折させるようにしても良い。この場合、少なくとも反射光ビームLR1C及びLR1Dと異なる方向であることが望ましく、また光検出器19の受光部D2を、当該他の方向と対応するよう設ければ良い。第2〜第7の実施の形態においても同様である。
また上述した第1の実施の形態においては、反射光ビームLR1C及びLR1Dを横方向、すなわち光ディスク100に形成されているトラック溝の像における走行方向と略直交する方向へ回折させるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、反射光ビームLR1C及びLR1Dを他の方向へそれぞれ回折させるようにしても良い。この場合、この場合、少なくとも反射光ビームLR1A及びLR1Bと異なる方向であることが望ましく、また光検出器19の受光部D3を、当該他の方向と対応するよう設ければ良い。第2〜第7の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光検出器19の受光部D2において、受光領域D2A及びD2Bを互いに縦方向に並べて配置するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば迷光パターンW1A及びW1B(図7(B))の形成範囲に入らないよう配置可能な場合に、受光領域D2A及びD2Bを互いに横方向や他の方向に並べて配置するようにしても良い。第2〜第7の実施の形態においても同様である。この場合、ホログラム素子17における領域17A及び17Bにおける回折角度については、それぞれ適宜設定されていれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光検出器19の受光部D3において、受光領域D3C及びD3Dを互いに横方向に並べて配置するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば迷光パターンW1C1及びW1C2(図7(B))の形成範囲に入らず、且つ迷光パターンW1D1及びW1D2の形成範囲に入らないよう配置可能な場合に、受光領域D3C及びD3Dを互いに縦方向や他の方向に並べて配置するようにしても良い。第2〜第7の実施の形態においても同様である。この場合、ホログラム素子17における領域17C1及び17C2並びに領域17D1及び17D2における回折角度については、それぞれ適宜設定されていれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、反射光ビームLR1A及びLR1Bを図5及び図6等における下方向へ回折させ、受光部D2を基準点Pの下側に設けるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば反射光ビームLR1A及びLR1Bを図5及び図6等における上方向へ回折させ、受光部D2を基準点Pの上側に設けるようにしても良い。また、例えば反射光ビームLR1Aを上方向へ、反射光ビームLR1Bを下方向へそれぞれ回折させ、受光領域D2Aを基準点Pの上側に設け、受光領域D2Bを基準点Pの下側に設けるようにしても良い。第2〜第7の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、反射光ビームLR1C1、LR1C2、LR1D1及びLR1D2を図5及び図6等における左方向へ回折させ、受光部D3を基準点Pの左側に設けるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば反射光ビームLR1C1、LR1C2、LR1D1及びLR1D2を図5及び図6等における右方向へ回折させ、受光部D2を基準点Pの右側に設けるようにしても良い。また、例えば反射光ビームLR1C1及びLR1C2を左方向へ、反射光ビームLR1D1及びLR1D2を右方向へそれぞれ回折させ、受光領域D3Cを基準点Pの左側に設け、受光領域D3Dを基準点Pの右側に設けるようにしても良い。第2〜第7の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光検出器19の受光部D2及びD3を、対象記録層YTから最も離隔した記録層Yによる層間迷光ビームLNがホログラム素子17により回折されたときの0次光ビームの照射範囲外、すなわち迷光パターンW30(図7(A))の形成範囲外に配置するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば迷光パターンW30による影響を無視し得るような場合に、光検出器19における当該迷光パターンW30の形成範囲内にD2及びD3を配置するようにしても良い。第2〜第7の実施の形態においても同様である。特に第3及び第4の実施の形態においては、受光部D11及びD12についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光検出器19における受光部D4の受光領域D4A、D4B、D4C及びD4Dを、受光部D1の受光領域D1A〜D1Dを約45度回転させたような形状とした。
しかしながら本発明はこれに限らず、当該受光部D4及び各受光領域D4A〜D4Dが種々の形状であっても良く、さらには任意数の受光領域に分割されていても良い。この場合、要は種々の演算処理により光検出器19の取付角度を算出し得るような受光信号を生成し得れば良い。第2〜第7の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、受光部D4により反射光ビームLR1Eを検出し、その検出結果を基に光検出器19の取付角度調整に用いるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、設計精度により取付角度の調整が不要の場合や他の手法により取付角度の調整を行い得る場合等に、受光部D4における受光信号を何ら用いないようにし、或いは当該受光部D4を省略しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、各領域17A〜17Eにいわゆるバイナリ型のホログラムを形成するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、各領域17A〜17Eにいわゆるブレーズ型のホログラムを形成するようにしても良い。これにより、1次回折光の利用効率を高めることができる。第2〜第7の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、反射光ビームLR1A〜LR1Eをそれぞれ光検出器19に焦点を結ぶよう照射する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、反射光ビームLR1A〜LR1Eが光検出器19において焦点を結んだ状態とならなくとも良い。この場合、受光領域D2A、D2B、D3C及びD3D等において各反射光ビームを漏れなく受光し得れば良い。第2〜第7の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、図5に示したように、受光部D1において、受光領域D1A〜D1Dを略正方形と見なしたときの対角線の延長線上に相当する箇所に、それぞれ略正方形状でなる4個の迷光受光領域D1P〜D1Sを設けた場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、各迷光受光領域D1P〜D1Sを受光領域D1A〜D1Dの周囲における任意の箇所に配置し、或いは各迷光受光領域D1P〜D1Sを種々の形状や大きさとし、さらには任意数の迷光受光領域を設けるようにしても良い。この場合、迷光受光領域の位置、形状や面積等に応じて(1)式の係数k及び(2)式の係数j等を適宜設定すれば良い。
また、トラッキングエラー信号STE1において迷光による影響を無視できる場合には、光検出器19の受光部D2における迷光受光領域D2P及びD2Q並びに受光部D3における迷光受光領域D3R及びD3Sを省略しても良い。この場合、(2)式の後半部分を省略することができる。
さらに、フォーカスエラー信号SFE1において迷光による影響を無視できる場合には、光検出器19の受光部D1における迷光受光領域D1P〜D1Sを省略しても良い。この場合、(1)式の後半部分を省略することができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、迷光受光領域D1P〜D1Sにより生成する受光信号S1P〜S1Sを基に、光ディスク100が記録層Yを1層のみ有しているか否かを判別するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、迷光パターンWを形成する層間迷光ビームLNが光ディスク100において反射された際の、対象記録層YTから記録層Yまでの距離に応じて迷光パターンWの有無が変化する箇所に迷光受光領域を追加しても良い。この場合、例えば迷光パターンW30(図7(A))がかかるものの迷光パターンW10(図7(B))がかからない箇所が考えられる。
これにより光ディスク装置1は、信号処理部4のメディア判別信号演算回路4Mにおいて、当該追加した迷光受光領域により生成した受光信号を基に、光ディスク100における記録層Yの数を判別することができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、シリンドリカルレンズ18を光検出器19から離隔して配置すると共に、ホログラム素子17により、反射光ビームLRの回折時に、シリンドリカルレンズ18により与えられる非点収差と逆の光学特性を予め持たせる場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図39及び図40に示すように、シリンドリカルレンズ18に代わる光学素子142を光検出器19に近接して設けるようにしても良い。この光学素子142は、0次光でなる反射光ビームLR0の通過部分にのみシリンドリカルレンズ18と同様の効果を有するレンズ面142Sが形成されている。
これにより光学素子141は、1次光でなる反射光ビームLR1A等に不要な非点収差を持たせてしまうことがない。またこの場合、ホログラム素子141は、ホログラム素子17のように反射光ビームLRを回折させる際に非点収差と逆の光学特性を予め与える必要がないため、その設計上の制約が緩和されることになる。第2〜第5、及び第7の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第6の実施の形態においては、光ディスク装置110がBD方式の光ディスク100B、DVD方式の光ディスク100D及びCD方式の光ディスク100Cに対応するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばDVD方式の光ディスク100Dに対応し得ないようにしても良い。この場合、光ピックアップ117のレーザダイオード131からレーザチップ131Dを省略することができ、また図41に示すように、光検出器125から受光部D31、D32及びD33を省略することができる。
さらに上述した第6の実施の形態においては、グレーティング132並びにコリメータレンズ132及び133をそれぞれ個別に設けるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図28と一部対応する図42に示すように、光ピックアップ150において、グレーティング132並びにコリメータレンズ12及び133の機能を一体化した一体型コリメータレンズ151を用いるようにしても良い。
この場合、一体型コリメータレンズ151は、光ビームLD及びLCが通過する部分にグレーティング132と同等の機能を有する回折格子151Sにより、当該光ビームLD及びLCをそれぞれ分離することができる。
またホログラム素子123及びアナモルフィックレンズ124(図28)についても、それぞれ個別に設ける以外にも、図42に示すように、当該ホログラム素子123及び当該アナモルフィックレンズ124の機能を一体化したホログラム一体型アナモルフィックレンズ152を用いるようにしても良い。
この場合、反射光ビームの出射面にホログラム素子123と同様の機能を有するホログラム152Sにより、反射光ビームを領域ごとに回折させることができる。
これにより光ピックアップ150は、光ピックアップ117と比較して、部品点数を削減でき、製造工数や調整工数の削減を図ることができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、集光レンズ16と光検出器19との間にホログラム素子17を設けるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、第6の実施の形態と同様、偏光ビームスプリッタ13と集光レンズ16との間や、偏光ビームスプリッタ13と1/4波長板15との間にホログラム素子17を設けるようにしても良い。後者の場合、ホログラム素子17を偏光ホログラム素子として反射光ビームLRのみに作用するようにすることが考えられる。
或いは、光ピックアップ150のホログラム一体型アナモルフィックレンズ152のように、集光レンズ16の出射面にホログラム素子17と同様の機能を有するホログラムを形成するようにしても良い。
さらに上述した第6の実施の形態においては、アナモルフィックレンズ124及び光検出器125等を特に密封せずに設置するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばアナモルフィックレンズ124から光検出器125までの間等、少なくとも光検出器125から(8)式により算出される間隔u7に至るまでの空間を密封するようにしても良い。これにより、異物等によって層間迷光ビームLNが部分的に遮断されることを未然に防止することができる。
さらに上述した第6の実施の形態においては、ホログラム素子123が波長780[nm]でなる光ビームLCを回折させるようにした場合について述べた。しかしながら本発明では、ホログラム素子123に波長選択性を持たせることにより、反射光ビームLCAR〜LCCR及びLDAR〜LDCRをそのまま透過させるようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、図4に示したように、ホログラム素子17における領域17A及び領域17Eの境界線と、領域17B及び領域17Eの境界線とをそれぞれ曲線状とする場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図4と対応する図43に示すように、これらの境界線を折れ線状としたホログラム素子162等、当該境界線が種々の形状でなるホログラム素子を用いるようにしても良い。第2〜第7の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第3〜第6の実施の形態においては、球面収差補正部64を凸レンズの固定レンズ64Fと凹レンズの可動レンズ64Mとにより、いわゆるガリレオ式のビームエクスパンダとして構成する場合について述べた(図12、図19、図28)。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図44に示すように、球面収差補正部64に代わる球面収差補正部170として、いずれも凸レンズでなる固定レンズ170Fと可動レンズ170Mとにより、いわゆるケプラー式のビームエクスパンダとして構成するようにしても良い。
この場合、さらに光ビームの焦点付近にスリット170Sを設けることにより、層間迷光ビームの大部分を効果的に遮断することができ、光検出器125上に形成される迷光パターンWを縮小させることができる。
これにより、例えば光検出器125上における受光部D1から受光部D2、D3及びD4間での間隔を狭めて小型化することも可能となる。またホログラム素子69については、反射光ビームLBRの回折角度を小さくすることができるので、格子ピッチを比較的大きくすることができ、設計上の制約を緩和できる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ヘッドアンプ22内の複数のアンプ回路により受光信号S1A〜S1Dをそれぞれ増幅してから(4)式に従って加算することにより、再生RF信号SRFを算出するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば受光信号S1A〜S1Dを(4)式に従って加算してからヘッドアンプ22内の単一のアンプ回路により増幅して再生RF信号SRFを生成するようにしても良い。この場合、利用するアンプ回路の数を削減することができるので、アンプ回路により重畳され得るアンプノイズを低減することが可能となる。
また、例えば(1)式における(S1A+S1C)や(S1B+S1D)等の加算演算等についても、当該加算演算後にアンプ回路によって増幅するようにしても良い。他の演算式及び第2〜第7の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ディスク装置1が光ディスク100に対し情報の記録処理及び再生処理の双方を行い得るようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば光ディスク100の再生処理のみを行い得る光ディスク装置に本発明を適用するようにしても良い。第2〜第7の実施の形態についても同様である。さらに第6の実施の形態においては、例えばBD方式の光ディスク100Dについては再生処理のみを行い、DVD方式の光ディスク100D及びCD方式の光ディスク100Cについては記録処理及び再生処理の双方を行い得るようにする等しても良い。
さらに上述した第7の実施の形態においては、図34に示したように、縦方向に沿って受光領域D52A及びD52Bにそれぞれ隣接するよう、迷光受光領域D52P及びD52Qを設けた場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図45に示すように、迷光受光領域D52P1及びD52P2を、横方向から受光領域D52Aを挟み込むよう、受光領域D52Aに隣接して設け、かつ迷光受光領域D52Q1及びD52Q2を、横方向から受光領域D52Bを挟み込むよう、受光領域D52Bに隣接して設けるようにしても良い。この場合、各迷光受光領域の位置、形状や面積等に応じて(12)式の係数pを適宜設定すれば良い。
さらに上述した第7の実施の形態においては、図34に示したように、迷光受光領域D53R1及びD53R2が、縦方向から受光領域D53Cを挟み込むよう、受光領域D53Cに隣接して設け、かつ迷光受光領域D53S1及びD53S2が、縦方向から受光領域D53Dを挟み込むよう、受光領域D53Dに隣接して設けた場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図46(A)に示すように、迷光受光領域D53R1又はD53S2のいずれか一方若しくは両方を省略し、或いはD53R2又はD53S1のいずれか一方若しくは両方を省略しても良い。
また例えば図46(B)に示すように、迷光受光領域D53Rを、横方向に沿って受光領域D53Cに隣接して設け、かつ迷光受光領域D53Sを、横方向に沿って受光領域D53Dに隣接して設けるようにしても良い。この場合、各迷光受光領域の位置、形状や面積等に応じて(12)式の係数sを適宜設定すれば良い。
要は、光検出器197は、図38(A)に示したような迷光層間隔dnと迷光量との関係が得られるように、受光領域及び迷光受光領域を配置すれば良い。
さらに上述した第7の実施の形態においては、信号処理部194のトラッキングエラー信号演算回路194T(図32)は、(12)式に従った演算を行うことによりトラッキングエラー信号STE3を算出した場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば(13)式に従った演算を行うことによりトラッキングエラー信号STE3を算出するようにしても良い。
(13)式において、(S52A−S52B)−p×(S52P−S52Q)では、迷光成分が加算されたプッシュプル成分(S52A−S52B)から、当該プッシュプル成分を検出する受光部D52A及びD52Bに隣接する迷光受光領域D52P及びD52Qのみにより得られた迷光成分を減算する。
また、(S53C−S53D)−s×(S53R−S53S)では、迷光成分が加算されたレンズシフト成分(S53C−S53D)から、当該レンズシフト成分を検出する受光部D53C及びD53Dに隣接する迷光受光領域D53R及びD53Sのみにより得られた迷光成分を減算する。
これにより、プッシュプル成分に含まれる迷光成分は、当該プッシュプル成分を検出する受光部に隣接する迷光受光領域により得られた値を使用して除去され、レンズシフト成分に含まれる迷光成分は、当該レンズシフト成分を検出する受光部に隣接する迷光受光領域により得られた値を使用して除去される。
さらに上述した第7の実施の形態においては、(12)式における係数p、sはそれぞれ所定の固定値にする場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、光ピックアップ191又は記録対象層YTごとに係数p、sを変化させるようにしても良い。
これにより光ピックアップ191は、レンズシフトが生じても広い迷光層間隔dnから狭い迷光層間隔dnに渡って、プッシュプル成分から迷光成分を適切に除去することができる。
また(12)式において、迷光層間隔dnが図38における迷光層間隔範囲dh2にある場合で(S53R−S53S)の値が0にならないときでも、係数sを0とすることで、s×(S53R−S53S)の値が演算結果には影響を及ぼさなくなる。このため迷光層間隔dnが広い場合、信号処理部194は(S52P−S52Q)の値のみを利用して、(S52A−S52B)から迷光成分を除去することができる。
さらに上述した第7の実施の形態においては、光検出部199には、迷光受光領域D52P及びD52Qと、D53R及びD53Sとが設けられている場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、光検出部199は迷光受光領域D52P及びD52Qを省略するようにしても良い。これにより光ピックアップ199は、(12)式において、−p(S52P−S52Q)の項を省略することができ、簡易な演算式でプッシュプル成分から迷光成分を除去することができる。
或いは光検出部199は、迷光受光領域D53R及びD53Sを省略するようにしても良い。これにより光ピックアップ199は、(12)式において、−s(S53R−S53S)を省略することができ、簡易な式でプッシュプル成分から迷光成分を除去することができる。
さらに上述した実施の形態においては、光源としてのレーザダイオード11と、対物レンズとしての対物レンズ8と、レンズ移動部としての2軸アクチュエータ9と、集光レンズとしての集光レンズ16と、ホログラム素子としてのホログラム素子17と、光検出器としての光検出器19とによって光ピックアップとしての光ピックアップ7を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の回路構成でなる光源と、対物レンズと、レンズ移動部と、集光レンズと、ホログラム素子と、光検出器とによって光ピックアップを構成するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、光源としてのレーザダイオード11と、対物レンズとしての対物レンズ8と、レンズ移動部としての2軸アクチュエータ9と、集光レンズとしての集光レンズ16と、ホログラム素子としてのホログラム素子17と、光検出器としての光検出器19と、信号処理部としての信号処理部4と、サーボ制御部としてのサーボ制御部3Aとによって光ディスク装置としての光ディスク装置1を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の回路構成でなる光源と、対物レンズと、レンズ移動部と、集光レンズと、ホログラム素子と、光検出器と、信号処理部と、サーボ制御部とによって光ディスク装置を構成するようにしても良い。