JP2011258251A - 光ピックアップ及び光ディスク装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トラッキング制御の精度を高めるようにする。
【解決手段】光ディスク装置10は、強度分布回転角度φを−45度として、光ピックアップ17のホログラム素子31における分割線V1及びV2を、トラック走行方向に対し45度傾斜させ、すなわち分割線角度θを45度として、さらに先端点Q1及び後端点Q2をそれぞれ通過するように設け、信号処理部13においてレンズシフトキャンセル係数Ktを1.88とし(6)式に従ってトラッキングエラー信号STEを生成し、これに応じて駆動制御部12により対物レンズ18をトラッキング制御することにより、レンズシフト信号SLSに含まれるノイズ成分の増幅による悪影響を最小限に抑えることができるので、トラッキングエラー信号STEの品質を向上させトラッキング制御の精度を高めることができる。
【選択図】図6

Description

本発明は光ピックアップ及び光ディスク装置に関し、例えば複数の記録層を有する光ディスクに対応する光ディスク装置に適用して好適なものである。
従来、光ディスク装置においては、光ディスクに対して光ビームを照射し、当該光ビームが当該光ディスクにより反射されてなる反射光ビームを読み取ることにより、情報を再生するようになされている。光ディスクとしては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びBlu−ray Disc(登録商標、以下BDと呼ぶ)等が広く普及している。
この光ディスクには、記録すべき情報が符号化されると共に変調された上で、螺旋状又は同心円状に形成されたトラックにピット等として記録されるようになされている。
そこで光ディスク装置では、情報を記録又は再生する際、光源から出射された光ビームを対物レンズにより集光し、光ディスクの記録層に螺旋状又は同心円状に形成されているトラックに対し、当該光ビームの焦点を合わせるようになされている。
このとき光ディスク装置は、光検出器に所定形状の受光領域を設けるなどして反射光を受光する。光ディスク装置は、その受光結果を基に、光ビームを照射すべきトラック(以下これを目標トラックと呼ぶ)と光ビームの焦点との、フォーカス方向及びトラッキング方向に関するずれ量を表すフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をそれぞれ算出する。
続いて光ディスク装置は、フォーカスエラー信号を基に対物レンズをフォーカス方向へ移動すると共に、トラッキングエラー信号を基に当該対物レンズをトラッキング方向へ移動することにより、光ビームの焦点を目標トラックに合わせるようになされている。
光ディスク装置においてトラッキングエラー信号を生成する手法としては、種々のものが提案されているが、その一つとして1ビームプッシュプル法と呼ばれる手法がある。(例えば、特許文献1参照)。
一般に反射光ビームLRは、光ディスクにおけるトラックの溝構造による回折作用に起因して、図中斜線で示すプッシュプル部分の光量(以下プッシュプル成分とも呼ぶ)が、光ビームの焦点とトラックとのずれ量に応じて変化することが知られている。また反射光ビームLRは、対物レンズのトラッキング方向への移動(いわゆるレンズシフト)に応じて、各光学素子に対する照射位置がトラッキング方向に相当する方向へ変位される。
そこで1ビームプッシュプル法を用いた光ディスク装置では、図1に示すように複数の領域1E、1F、1G及び1Hのように分割されたホログラム素子1等を用いて、反射光ビームLRをその領域毎に異なる方向(図中矢印で示す)へ回折させる。
このとき領域1E及び1Fの光量には、プッシュプル成分に加えてレンズシフトに起因したレンズシフト成分が含まれ、領域1G及び1Hの光量には、レンズシフト成分のみが含まれる。
また光ディスク装置は、領域1E、1F、1G及び1Hによってそれぞれ回折された反射光ビームを、図2に示すように、光検出器2に複数設けられた受光領域2E、2F、2G及び2Hによりそれぞれ受光し、受光信号SE、SF、SG及びSHをそれぞれ生成する。
因みに光検出器2では、いわゆる層間迷光(図中破線で示す)によるオフセットを回避するべく、反射光ビームLRの回折方向及び受光領域の配置等がそれぞれ設定されている。
その後光ディスク装置は、所定の信号処理部において、まず受光信号SE及びSFの差分からプッシュプル成分を表すプッシュプル信号を生成すると共に、受光信号SG及びSHの差分からレンズシフト成分を表すレンズシフト信号を生成する。
続いて光ディスク装置は、当該信号処理回路において、例えば次の(1)式に従った演算処理を行うことにより、レンズシフト成分を相殺してトラックずれ量を適切に表すトラッキングエラー信号STEを生成する。
STE=(SE−SF)−Kt・(SG−SH) ……(1)
ここで、光ディスク装置の光源としては、一般にレーザダイオードが用いられている。また当該光源から出射された光ビームの光強度分布は、いわゆるガウス分布に近似している。このため、反射光ビームのうち比較的中央寄りの領域に起因したプッシュプル信号の信号レベルは比較的高くなる一方、比較的外周寄りの領域に起因したレンズシフト信号の信号レベルは比較的低くなる。
そこで(1)式では、予め定められた係数Ktをレンズシフト信号(SG−SH)に乗算することにより、当該レンズシフト信号の信号レベルをプッシュプル信号(SE−SF)の信号レベルに合わせてから減算処理を行うようになされている。
特開2010−044847公報(第4図)
ところで光ディスク装置では、上述したように光源から出射される光ビームがガウス分布に近似しており、その周辺部分における光強度が小さいことから、アパーチャ等により当該周辺部分を遮蔽し、光強度が大きい中央部分のみを利用している。
一方、光ディスク装置及び光ディスクについては、1枚の光ディスクに記録できる情報量の増加や、情報の記録または再生に要する時間の短縮が要求されてきた。そこで光ディスク装置及び光ディスクでは、このような要望に応じるべく、記録密度の高密度化、記録層の多層化や光ディスクの回転速度の高速化等が行われてきた。
光ディスクの記録層を多層化する場合には、各記録層における光の反射率がそれぞれ規定されており、最下層に十分な光量を到達させるべく、光源から出射する光ビームの光量をできるだけ増加させる必要がある。
また光ディスクの回転速度を高速化する場合には、単位時間あたりに一定の範囲に対し十分な光量を照射するべく、同様に光源から出射する光ビームの光量をできるだけ増加させる必要がある。
ここで、光ディスク装置の小型化や製造コスト削減等のため、光源における消費電力を増加させることなく、また発光効率の高い光源を新たに開発することもなく、光源をそのまま用いながら光ビーム全体の光量を増加させる有効な手法として、当該光ビームの利用する範囲を拡大することが考えられる。
しかしながら、光ビームの利用する範囲を拡大することは、利用範囲内のうち外周寄りの部分における光量を相対的に低下させることになる。すなわち光ディスク装置では、プッシュプル信号の信号レベルに対するレンズシフト信号の信号レベルをさらに低下させることになる。
そうすると、光ディスク装置において適切なトラッキングエラー信号STEを得るには、(1)式における係数Ktをより大きな値にする必要がある。
しかしながら光ディスク装置の構成上、光検出器2の受光領域2G及び2Hには、例えば層間迷光や、光ディスク装置の製造誤差等による他の光学部品からの迷光、或いは光ディスクの欠陥に起因した異常ビーム等が照射されてしまう場合がある。これらの場合、レンズシフト信号(SG−SH)には、所望のレンズシフト成分以外にノイズ成分等が含まれることになる。
このため光ディスク装置は、(1)式における係数Ktを大きくした場合、トラッキングエラー信号STEに含まれるノイズ成分をさらに増幅することになるため、トラッキング制御の精度を低下させるおそれがある、という問題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、トラッキング制御の精度を高め得る光ピックアップ及び光ディスク装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明の光ピックアップにおいては、光ビームを出射する光源と、光ディスクの記録層に光ビームを集光する対物レンズと、対物レンズを、記録層に螺旋状又は同心円状に形成されたトラックとほぼ直交するトラッキング方向へ移動させるレンズ移動部と、光ビームが光ディスクにより反射されてなる反射光ビームにおけるトラックの溝により回折された+1次光及び−1次光でなるプッシュプル部分に対応するプッシュプル領域のうち光ディスクの内周側に相当する内周側プッシュプル領域により反射光ビームの一部を回折させて内周側プッシュプルビームとし、プッシュプル領域のうち光ディスクの外周側に相当する外周側プッシュプル領域により反射光ビームの一部を回折させて外周側プッシュプルビームとし、反射光ビームにおいてトラックの走行方向に相当するトラック走行方向に関しプッシュプル領域よりも先行する先行側及び後行する後行側それぞれのレンズシフト領域のうち、トラック走行方向に対し傾斜されたレンズシフト分割線により分割され光ディスクの内周側に相当する内周側レンズシフト領域により反射光ビームの一部を回折させて内周側レンズシフトビームとし、レンズシフト分割線により分割されたレンズシフト領域のうち光ディスクの外周側に相当する外周側レンズシフト領域により反射光ビームの一部を回折させて外周側レンズシフトビームとする分割回折部と、内周側プッシュプルビーム、外周側プッシュプルビーム、内周側レンズシフトビーム及び外周側レンズシフトビームをそれぞれ受光してそれぞれの光強度に応じた内周側プッシュプル信号、外周側プッシュプル信号、内周側レンズシフト信号及び外周側レンズシフト信号をそれぞれ生成する受光部とを設け、所定の信号処理部により、内周側プッシュプル信号及び外周側プッシュプル信号の差分値と、内周側レンズシフト信号及び外周側レンズシフト信号の差分値に所定の係数を乗じた値との差分値に基づき、トラッキング方向に関する光ビームの焦点とトラック溝の中心線とのずれ量を表すトラッキングエラー信号を生成させ、所定の駆動制御部により、トラッキングエラー信号を基にレンズ移動部を介して対物レンズをトラッキング方向へ移動させるようにした。
本発明の光ピックアップは、分割回折部におけるレンズシフト分割線を傾斜させることにより、所定量のレンズシフトが生じた際における内周側レンズシフト信号及び外周側レンズシフト信号の差分値を大きくすることができる。これにより光ピックアップは、信号処理部において当該差分値に乗じる係数を小さくすることができるので、レンズシフト信号に含まれるノイズ成分等による影響を格段に低減でき、トラッキングエラー信号の品質を高めることができる。
また本発明の光ディスク装置においては、光ビームを出射する光源と、光ディスクの記録層に光ビームを集光する対物レンズと、対物レンズを、記録層に螺旋状又は同心円状に形成されたトラック溝とほぼ直交するトラッキング方向へ移動させるレンズ移動部と、光ビームが光ディスクにより反射されてなる反射光ビームにおけるトラックの溝により回折された+1次光及び−1次光でなるプッシュプル部分に対応するプッシュプル領域のうち光ディスクの内周側に相当する内周側プッシュプル領域により反射光ビームの一部を回折させて内周側プッシュプルビームとし、プッシュプル領域のうち光ディスクの外周側に相当する外周側プッシュプル領域により反射光ビームの一部を回折させて外周側プッシュプルビームとし、反射光ビームにおいてトラックの走行方向に相当するトラック走行方向に関しプッシュプル領域よりも先行する先行側及び後行する後行側それぞれのレンズシフト領域のうち、トラック走行方向に対し傾斜されたレンズシフト分割線により分割され光ディスクの内周側に相当する内周側レンズシフト領域により反射光ビームの一部を回折させて内周側レンズシフトビームとし、レンズシフト分割線により分割されたレンズシフト領域のうち光ディスクの外周側に相当する外周側レンズシフト領域により反射光ビームの一部を回折させて外周側レンズシフトビームとする分割回折部と、内周側プッシュプルビーム、外周側プッシュプルビーム、内周側レンズシフトビーム及び外周側レンズシフトビームをそれぞれ受光してそれぞれの光強度に応じた内周側プッシュプル信号、外周側プッシュプル信号、内周側レンズシフト信号及び外周側レンズシフト信号をそれぞれ生成する受光部と、内周側プッシュプル信号及び外周側プッシュプル信号の差分値と、内周側レンズシフト信号及び外周側レンズシフト信号の差分値に所定の係数を乗じた値との差分値に基づき、トラッキング方向に関する光ビームの焦点とトラック溝の中心線とのずれ量を表すトラッキングエラー信号を生成する信号処理部と、トラッキングエラー信号を基にレンズ移動部を介して対物レンズをトラッキング方向へ移動させる駆動制御部とを設けるようにした。
本発明の光ディスク装置は、分割回折部におけるレンズシフト分割線を傾斜させることにより、所定量のレンズシフトが生じた際における内周側レンズシフト信号及び外周側レンズシフト信号の差分値を大きくすることができる。これにより光ディスク装置は、信号処理部において当該差分値に乗じる係数を小さくすることができるので、レンズシフト信号に含まれるノイズ成分等による影響を格段に低減でき、トラッキングエラー信号の品質を高めることができる。
本発明によれば、分割回折部におけるレンズシフト分割線を傾斜させることにより、所定量のレンズシフトが生じた際における内周側レンズシフト信号及び外周側レンズシフト信号の差分値を大きくすることができる。これにより本発明では、信号処理部において当該差分値に乗じる係数を小さくすることができるので、レンズシフト信号に含まれるノイズ成分等による影響を格段に低減できトラッキングエラー信号の品質を高めることができる。かくして本発明は、トラッキング制御の精度を高め得る光ピックアップ及び光ディスク装置を実現できる。
従来のホログラム素子の構成を示す略線図である。 従来の光検出器の構成を示す略線図である。 光ディスク装置の構成を示す略線図である。 光ディスクの構成を示す略線図である。 光ピックアップの構成を示す略線図である。 第1の実施の形態によるホログラム素子の構成を示す略線図である。 光検出器の構成を示す略線図である。 反射光ビームの分離の様子を示す略線図である。 第1の実施の形態における分割線角度とレンズシフトキャンセル係数との関係を示す略線図である。 分割線位置とレンズシフトキャンセル係数との関係を示す略線図である。 従来のレンズシフト発生量とメインプッシュプル信号の直流成分及びレンズシフト信号との関係を示す略線図である。 第1の実施の形態によるレンズシフト発生量とメインプッシュプル信号の直流成分及びレンズシフト信号との関係を示す略線図である。 第2の実施の形態によるホログラム素子の構成を示す略線図である。 第2の実施の形態における分割線角度とレンズシフトキャンセル係数との関係を示す略線図である。 他の実施の形態における分割線角度とレンズシフトキャンセル係数との関係を示す略線図である。
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(光ディスク装置・分割線角度を45度とする場合の構成例)
2.第2の実施の形態(光ディスク装置・分割線角度を22.5度とする場合の構成例)
3.他の実施の形態
<1.第1の実施の形態>
[1−1.光ディスク装置の構成]
図3に示すように、光ディスク装置10は、統括制御部11を中心に構成されており、光ディスク100に対して情報を記録し、また当該光ディスク100から情報を再生し得るようになされている。
光ディスク100は、図4(A)に断面図を示すように、例えば2層の記録層Y0及びY1(以下、これらをまとめて記録層Yと呼ぶ)を有している。各記録層Yは、螺旋状又は同心円状のトラック溝が形成されており、当該トラック溝に沿って情報が記録されるようになされている。
統括制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラム等が格納されるROM(Read Only Memory)と、当該CPUのワークメモリとして用いられるRAM(Random Access Memory)とによって構成されている。
統括制御部11は、光ディスク100から情報を再生する場合、駆動制御部12を介してスピンドルモータ15を回転駆動させ、ターンテーブル15Tに載置された光ディスク100を所望の速度で回転させる。
また統括制御部11は、駆動制御部12を介してスレッドモータ16を駆動させることにより、光ピックアップ17を移動軸に沿ってトラッキング方向、すなわち光ディスク100の内周側又は外周側へ向かう方向へ大きく移動させるようになされている。
光ピックアップ17は、対物レンズ18や2軸アクチュエータ19等の複数の部品が取り付けられており、統括制御部11の制御に基づいて光ディスク100へ光ビームを照射するようになされている。
因みに統括制御部11は、光ディスク100(図4(A))に光ビームを照射する場合、記録層Y0又はY1のうち情報を読み出す対象とする記録層Y、すなわち光ビームの焦点を合わせるべき記録層Yを対象記録層YTとして選定するようになされている。
また光ピックアップ17は、光ビームが光ディスクにより反射されてなる反射光ビームを受光し、その受光結果に応じた受光信号を生成して信号処理部13へ供給するようになされている。
信号処理部13は、供給された受光信号を用いた所定の演算処理を行うことによりフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をそれぞれ生成し、これらを駆動制御部12へ供給する。
駆動制御部12は、供給されたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を基に、対物レンズ18を駆動するための駆動信号を生成し、これを光ピックアップ17の2軸アクチュエータ19へ供給する。
光ピックアップ17の2軸アクチュエータ19は、この駆動信号に基づいて対物レンズ18を移動させることにより、当該対物レンズ18により集光される光ビームの焦点位置を調整するようになされている。
信号処理部13は、受光信号に対し所定の演算処理、復調処理及び復号化処理等を施すことにより、光ディスク100に記録されている情報を再生し得るようになされている。
また統括制御部11は、光ディスク100に情報を記録する場合、図示しない外部機器等から記録すべき情報を受け付け、これを信号処理部13へ供給する。信号処理部13は、当該情報に対し所定の符号化処理や変調処理等を施すことにより記録用信号を生成し、これを光ピックアップ17へ供給する。
光ピックアップ17は、光ビームを記録用の強度とすると共に記録用信号に応じて変調させることにより、記録用信号に応じた記録マークを形成していく。例えば光ディスク100がBD−RE(Blu-ray Disc-Rewritable)と同様の記録方式の場合、記録層を形成する材料を局所的に相変化させることにより当該記録マークを形成する。
このように光ディスク装置1は、光ディスク100に対し光ピックアップ17から光ビームを照射させ、その反射光を基に対物レンズ18のフォーカス制御及びトラッキング制御を行いながら、情報の再生処理や記録処理を行い得るようになされている。
[1−2.光ピックアップの構成]
光ピックアップ17は、図5に示すように、光ディスク100に光ビームL1を照射し、当該光ビームL1が当該光ディスク100により反射されてなる反射光ビームLRを受光するようになされている。
レーザダイオード21は、波長約405[nm]の青紫色レーザ光でなる光ビームL1を発散光として出射し往路コリメータレンズ22へ入射させる。
因みにレーザダイオード21は、一般的な性質により光ビームL1における光強度が扁平なガウシアン分布となっているため、その強度分布パターンが略楕円状となっている。またレーザダイオード21は、この強度分布パターンを表す楕円における長軸方向が所定方向を向くよう、取付角度等が調整されている。
往路コリメータレンズ22は、光ビームL1を発散光から平行光に変換し、偏光ビームスプリッタ23へ入射させる。
偏光ビームスプリッタ23は、光ビームの偏光方向に応じて透過率が相違する反射透過面23Sを有しており、P偏光の光ビームをほぼ全て透過すると共に、S偏光の光ビームをほぼ全て反射するようになされている。実際上偏光ビームスプリッタ23は、反射透過面23Sにより光ビームL1をほぼ全て透過させ、ビームエクスパンダ24へ入射させる。
ビームエクスパンダ24は、凹レンズでなり光ビームL1の光軸方向に移動し得る可動レンズ24Aと、凸レンズでなり光ピックアップ17に固定された固定レンズ24Bとを有している。ビームエクスパンダ24は、この可動レンズ24A及び固定レンズ24Bにより光ビームL1の球面収差を変化させ、1/4波長板25へ入射させるようになされている。
このときビームエクスパンダ24は、駆動制御部12の制御に基づき、光ビームL1が集光され光ディスク100の対象記録層YTに到達する際に生じる球面収差と逆特性となるような球面収差を当該光ビームL1に予め与える。これによりビームエクスパンダ24は、光ビームL1の対象記録層YTへの到達時における球面収差を補正し得るようになされている。
1/4波長板25は、光ビームを直線偏光と円偏光との間で相互変換し得るようになされており、例えばP偏光でなる光ビームL1を左円偏光に変換し、対物レンズ18へ入射させる。
対物レンズ18は、光ビームL1を集光する。このとき統括制御部11は、駆動制御部12を介して、2軸アクチュエータ19により対物レンズ18のフォーカス方向に関する位置を調整する。これにより対物レンズ18は、光ビームL1の焦点F1を光ディスク100の対象記録層YTにおおよそ合わせるよう照射する。
ここで光ビームL1は、レーザダイオード21の取付角度の調整等により、図4(B)に示すように、光強度分布パターンの長軸方向(図中長軸方向線WLにより示す)が、光ディスク100におけるトラックの走行方向(図中走行方向線WTにより示す)に対し45度傾斜するようになされている。以下では、走行方向線WTに対し長軸方向線WLがなす角度を強度分布回転角度φと呼ぶ。因みに強度分布回転角度φは、時計回りを正としており、図4(B)の場合は−45度となる。
このとき光ビームL1は、対象記録層YT(図4(A))で反射されることにより、反射光ビームLRとなり、対物レンズ18(図5)へ入射される。また反射光ビームLRは、円偏光における回転方向が反射時に反転されるため、右円偏光となる。
この後反射光ビームLRは、対物レンズ18により発散光から平行光に変換され、1/4波長板25により右円偏光からS偏光(直線偏光)へ変換され、さらにビームエクスパンダ24へ入射される。
ビームエクスパンダ24は、反射光ビームLRが対象記録層YTにより反射されてから対物レンズ18を通過するまでの間に生じた球面収差を補正し、当該反射光ビームLRを偏光ビームスプリッタ23へ入射させる。
偏光ビームスプリッタ23は、S偏光でなる反射光ビームLRを反射透過面23Sにおいて反射し、ホログラム素子31へ入射させる。
ホログラム素子31は、後述するように複数の領域に分割され、当該領域毎にホログラムが形成されている。このためホログラム素子31は、領域毎に反射光ビームLRの一部を回折させて1次光でなる反射光ビームLR1とし、その残りの部分を透過して0次光でなる反射光ビームLR0として、これらを復路コリメータレンズ32へ入射させる。
復路コリメータレンズ32は、反射光ビームLR0並びにLR1をそれぞれ収束させ、シリンドリカルレンズ33へ入射させる。
シリンドリカルレンズ33は、0次光でなる反射光ビームLR0に非点収差を持たせ、光検出器34へ照射する。
因みにシリンドリカルレンズ33は、その光学的性質により、1次光でなる反射光ビームLR1についても同様に非点収差を持たせることになる。しかしながら反射光ビームLR1は、ホログラム素子31に形成されたホログラムにより、予め当該非点収差を相殺するような波面収差が与えられ、これによりシリンドリカルレンズ33から出射される時点で収差を殆ど持たないようになされている。
光検出器34は、複数の受光領域Rが設けられており、各受光領域Rにより反射光ビームLR0及びLR1をそれぞれ受光し、その受光量に応じた受光信号Sをそれぞれ生成する。その後光検出器34は、受光信号Sをヘッドアンプ35によりそれぞれ増幅して信号処理部13(図3)へ送出するようになされている。
[1−2−1.ホログラム素子の構成]
ホログラム素子31は、図1と対応する図6に示すように、トラック走行方向(図の縦方向)に関し、中央のプッシュプル領域31PP、並びにその先行側(図の上側)及び後行側(図の下側)のレンズシフト領域31LS1及び31LS2に大きく3分割されている。
因みにレンズシフト領域31LS1とプッシュプル領域31PPとの分割線、及び当該プッシュプル領域31PPとレンズシフト領域31LS2との分割線は、いずれもトラック走行方向とほぼ直交するようになされている。
これは、これらの分割線を内外周方向から傾斜させた場合、レンズシフトが生じた際にメインプッシュプル信号(後述する)に含まれるレンズシフト成分が増加するため、レンズシフトキャンセル係数Ktの値を却って大きな値にしなければならなくなるためである。
プッシュプル領域31PPは、反射光ビームLR1のプッシュプル部分と対応しており、当該プッシュプル部分を含むようになされている。一方レンズシフト領域31LS1及び31LS2は、反射光ビームLRにおけるプッシュプル部分及び中央の部分を除いた先行側及び後行側の部分(以下これをレンズシフト部分と呼ぶ)と対応している。
またプッシュプル領域31PPは、内外周方向(図の左右方向)に関し、領域31E、31J及び31Fに3分割されている。さらにレンズシフト領域31LS1及び31LS2は、それぞれ内外周方向に関し、領域31G1及び31H1並びに領域31G2及び31H2に2分割されている。
ホログラム素子31の領域31E〜31Jは、それぞれホログラムが形成されており、領域毎に反射光ビームLRの回折方向(図中実線の矢印で示す)が設定されている。
また領域31E〜31Jの各ホログラムは、バイナリ型の回折格子として形成されており、入射された光を所定の割合で回折させて+1次光の反射光ビームLR1を発生させるようになされている。因みにこの場合、−1次光も発生するものの、この−1次光については特に利用しない。
ホログラム素子31の領域31Eは、反射光ビームLRのうち光ディスク100における内周側のプッシュプル部分に対応している。
領域31Eは、反射光ビームLRのうち当該領域31Eに照射された部分を所定の割合で回折し、1次光でなる反射光ビームLR1Eとして縦方向からやや内周側へ傾いた方向(図の左下方向)へ進行させると共に、その残りをそのまま透過し0次光でなる反射光ビームLR0の一部として直進させる。
ホログラム素子31の領域31Fは、反射光ビームLRのうち光ディスク100における外周側のプッシュプル部分に対応している。
領域31Fは、反射光ビームLRのうち当該領域31Fに照射された部分を所定の割合で回折し、1次光でなる反射光ビームLR1Fとして縦方向からやや外周側へ傾いた方向(図の右下方向)へ進行させると共に、その残りをそのまま透過し0次光でなる反射光ビームLR0の一部として直進させる。
ホログラム素子31の領域31G1及び31G2は、レンズシフト領域31LS1及び31LS2のうち内周側に対応している。またホログラム素子31の領域31H1及び31H2は、レンズシフト領域31LS1及び31LS2のうち外周側に対応している。
ここでホログラム素子31は、レンズシフト領域31LS1における領域31G1及び31H1の分割線V1並びにレンズシフト領域31LS2における領域31G2及び31H2の分割線V2が、従来のホログラム素子1(図1)の場合と相違している。
すなわち従来のホログラム素子1では、分割線V1及びV2がトラック走行方向に沿っていた。これに対し本実施の形態におけるホログラム素子31では、分割線V1及びV2が、トラック走行方向WTに対して、光強度分布パターンにおける長軸方向WLと反対の方向に約45度傾斜されている。
領域31G1及び31G2(以下まとめて領域31Gとも呼ぶ)には、反射光ビームLRのうち、トラック走行方向に関してプッシュプル部分の先行側及び後行側に相当するレンズシフト部分のうち内周側の部分が入射される。
領域31G1及び31G2は、反射光ビームLRのうち当該領域31G1及び31G2にそれぞれ照射された部分をそれぞれ所定の割合で回折させ、1次光でなる反射光ビームLR1G1及びLR1G2(以下まとめて反射光ビームLR1Gとも呼ぶ)とする。このとき領域31Gは、この反射光ビームLR1Gを外周側(図の右方向)へ回折させると共に、その残りをそのまま透過し0次光でなる反射光ビームLR0の一部として直進させる。
領域31H1及び31H2(以下まとめて領域31Hとも呼ぶ)には、反射光ビームLRのうち、トラック走行方向に関してプッシュプル部分の先行側及び後行側に相当するレンズシフト部分のうち外周側の部分が入射される。
領域31H1及び31H2は、反射光ビームLRのうち当該領域31H1及び31H2にそれぞれ照射された部分をそれぞれ所定の割合で回折させ、1次光でなる反射光ビームLR1H1及びLR1H2(以下まとめて反射光ビームLR1Hとも呼ぶ)とする。このとき領域31Hは、この反射光ビームLR1Hを外周側(図の右方向)へ回折させると共に、その残りをそのまま透過し0次光でなる反射光ビームLR0の一部として直進させる。
ホログラム素子31の領域31Jは、反射光ビームLRの中央部分と対応している。領域31Jは、反射光ビームLRのうち中央部分を所定の割合で回折させ、1次光でなる反射光ビームLR1Jとして後行側且つ外周側(図の右下方向)へ進行させると共に、その残りをそのまま透過し0次光でなる反射光ビームLR0の一部として直進させる。
[1−2−2.光検出器の構成]
光検出器34は、図7に示すように、反射光ビームLR0及びLR1が照射される照射面に複数の受光部DA、DE、DF、DG、DH及びDJが形成されている。
受光部DAは、0次光でなる反射光ビームLR0の光軸に対応する基準点P2を中心に、縦方向及び横方向にそれぞれ2分割された、すなわち格子状に4分割された受光領域RA、RB、RC及びRDにより構成されている。因みに受光領域RA〜RDは、いずれもほぼ同等の大きさでなる略正方形状に形成されている。
受光領域RA、RB、RC及びRDは、反射光ビームLR0により形成されるスポットの一部をそれぞれ受光し、その受光量に応じた受光信号SA、SB、SC及びSDをそれぞれ生成してヘッドアンプ35(図5)へ送出する。
因みに反射光ビームLR0は、シリンドリカルレンズ33(図5)の作用により、光検出器34上における照射パターンが約90°回転されている。
受光部DEは、図7において基準点P2の左斜め下側に配置されており、全体として縦方向に長い長方形状に形成された受光領域REと、その上下に隣接配置され縦方向に短縮された略長方形状の受光領域REX及びREYとにより構成されている。
受光領域REは、反射光ビームLR1Eにより形成されるスポットを受光し、その全受光量に応じた受光信号SEを生成してヘッドアンプ35(図5)へ送出する。
受光部DFは、図7において基準点P2の右斜め下側に配置されており、全体として縦方向に長い長方形状に形成された受光領域RFと、その上下に隣接配置され縦方向に短縮された略長方形状の受光領域RFX及びRFYとにより構成されている。
受光領域RFは、反射光ビームLR1Fにより形成されるスポットを受光し、その全受光量に応じた受光信号SFを生成してヘッドアンプ35(図5)へ送出する。
受光部DGは、図7において基準点P2の右側に配置されており、全体として縦方向に長い長方形状に形成された受光領域RGと、その上下に隣接配置され縦方向に短縮された略長方形状の受光領域RGX及びRGYとにより構成されている。
受光部DGは、反射光ビームLR1G1及びLR1G2によりそれぞれ形成されるスポットを合わせて受光し、その全受光量に応じた受光信号SGを生成してヘッドアンプ35(図5)へ送出する。
受光部DHは、図7において基準点P2の右側且つ受光部DGよりも右側に配置されており、全体として縦方向に長い長方形状に形成された受光領域RHと、その上下に隣接配置され縦方向に短縮された略長方形状の受光領域RHX及びRHYとにより構成されている。
受光部DHは、反射光ビームLR1H1及びLR1H2によりそれぞれ形成されるスポットを合わせて受光し、その全受光量に応じた受光信号SGを生成してヘッドアンプ35(図5)へ送出する。
因みに受光領域REX及びREYは、いわゆる層間迷光が受光領域REに照射される場合に、当該受光領域REへの照射量に応じた迷光受光信号を生成するようになされている。また受光領域RFX及びRFY、RGX及びRGY並びにRHX及びRHYも、それぞれ同様に受光領域RF、RG及びRHへの層間迷光の照射量に応じた迷光受光信号を生成するようになされている。これに応じて信号処理部13は、特許文献1に開示されているような手法により、各迷光受光信号を用いて受光信号SE、SF、SG及びSHに含まれる迷光成分をそれぞれ相殺するようになされている。
受光部DJは、図7において基準点P2の右斜め下側且つ受光部DFの右側に配置されており、受光部DAを45度回転させたような、格子状に4分割された受光領域RJA、RJB、RJC及びRJDにより反射光ビームLR1Jを受光する。
因みに受光領域RJA〜RJDは、いずれもほぼ同等の大きさでなる略正方形状に形成されている。
受光領域RJA、RJB、RJC及びRJDは、それぞれの受光量に応じた受光信号SJA、SJB、SJC及びSJDを生成し、これらをヘッドアンプ35(図5)へ送出する。この受光信号SJA〜SJDは、例えば光ピックアップ17の組立調整時に、光検出器34の取付位置や取付角度等を調整する際に利用されるようになされている。
このように光検出器34は、受光部DA、DE、DF、DG、DH及びDJの各受光領域Rにより反射光ビームLR0及びLR1を受光し、それぞれの受光量に応じた受光信号Sをそれぞれ生成するようになされている。
ここで、反射光ビームLRがホログラム素子31により分割され光検出器34に照射される様子を模式的に表すと、図8のようになる。
因みに光ピックアップ17では、ホログラム素子31、復路コリメータレンズ32及びシリンドリカルレンズ33等の光学設計等により、反射光ビームLR0、LR1E〜LR1Jが光検出器34の照射面付近においてそれぞれ焦点を結ぶようになされている。このため光検出器34上に形成される各スポットは、実際にはいずれも点状に集光されるが、説明の都合上、図7及び図8ではホログラム素子31における各領域に対応する形状として表している。
[1−3.トラッキングエラー信号の生成]
信号処理部13(図3)は、光検出器34から供給される受光信号SA、SB、SC及びSDを基に、次の(2)式に従って再生RF信号SRFを算出する。
SRF=SA+SB+SC+SD ……(2)
また信号処理部13は、この受光信号SA、SB、SC及びSDを基に、次の(3)式に従ってフォーカスエラー信号SFEを算出する。
SFE=(SA+SC)−(SB+SD) ……(3)
さらに信号処理部13は、トラッキングエラー信号を生成するための中間的な信号として、メインプッシュプル信号SMPP及びレンズシフト信号SLSを次の(4)式及び(5)式に従ってそれぞれ算出する。
SMPP=(SE−SF) ……(4)
SLS=(SG−SH) ……(5)
続いて信号処理部13は、メインプッシュプル信号SMPP及びレンズシフト信号SLSを基に、所定のレンズシフトキャンセル係数Ktを用い、次の(6)式に従ってトラッキングエラー信号STEを算出する。
STE=SMPP−Kt×LS ……(6)
この(6)式は、メインプッシュプル信号SMPPに含まれるレンズシフト成分及びレンズシフト信号SLSが常に比例関係にあることを前提に、レンズシフト信号SLSを用いてメインプッシュプル信号SMPPからレンズシフト成分を相殺することを表している。
[1−4.ホログラム素子とレンズシフトキャンセル係数との関係]
ところで光ピックアップ17(図5)では、その構成上、対物レンズ18のレンズシフトが生じると、ホログラム素子31に対する反射光ビームLRの照射位置が内周側又は外周側に移動する。
このときホログラム素子31(図6)の領域31E及び31Fでは、それぞれに入射される光量が、プッシュプル領域における明暗の変化のみでなく、レンズシフトにも伴って変化する。この結果、信号処理部13(図3)において(4)式により算出されるメインプッシュプル信号SMPPには、プッシュプル成分に加えてレンズシフト成分が含まれる。
ホログラム素子31の領域31G及び31Hにおいても、それぞれに入射される光量がレンズシフトに伴って変化する。このとき領域31G及び31Hでは、反射光ビームLRのうち、レンズシフトに伴い分割線V1及びV2を跨いで移動する部分の光量が(5)式のレンズシフト信号SLSとして現れる。
ところで光ピックアップ17では、上述したように、レーザダイオード21から出射される光ビームL1の光強度は、長軸を有する扁平なガウシアン分布となっている。このため反射光ビームLRの強度分布は、図6(A)に示したように、略楕円状に明暗の分布が表れる。
すなわち領域31G及び31Hの範囲内においても、反射光ビームLRの光強度は一様ではなく、トラック走行方向に対し長軸方向が約45度傾斜した扁平なガウシアン分布に従った強度分布となっている。
このため、ある一定のレンズシフト量のときに算出されるレンズシフト信号SLS、すなわち分割線V1及びV2を跨いで移動する部分の光量は、当該分割線V1及びV2の角度や配置等に応じて異なると考えられる。これに伴い、レンズシフトキャンセル係数Ktも、当該分割線V1及びV2に応じて相違すると考えられる。
そこで、トラック走行方向に対する分割線V1及びV2の傾斜角度(以下これを分割線角度θと呼ぶ)を様々に変化させたときの、当該境界線角度θとレンズシフトキャンセル係数Ktとの関係を算出したところ、図9(A)のような特性が得られた。
因みに図9(B)〜(D)は、分割線角度θをそれぞれ−45度、0度及び45度としたときのホログラム素子31の概略的な形状をそれぞれ表している。
また各分割線V1及びV2の位置に関しては、レンズシフトが生じていないときの反射光ビームLRの外周においてトラック走行方向に関し最も先行側及び後行側の端点(以下それぞれを先端点Q1及び後端点Q2(図6(A))と呼ぶ)を通過することを条件とした。
図9からわかるように、各分割線V1及びV2の分割線角度θを45度としたときにレンズシフトキャンセル係数Ktの値が最も小さくなり、このときの値が約1.88となった。この値は、分割線角度θを0度としたとき、すなわち従来の構成におけるレンズシフトキャンセル係数Ktの値である約2.01よりも小さな値となっている。
次に、各分割線V1及びV2の分割線角度θを45度に固定し、当該分割線V1及びV2の位置(以下これを分割線位置xと呼ぶ)を内外周方向に移動させたときの、当該分割線位置xとレンズシフトキャンセル係数Ktとの関係を算出したところ、図10(A)のような特性が得られた。
因みに図10の横軸は、各分割線V1及びV2がそれぞれ先端点Q1及び後端点Q2を通過するときを値0とし、また反射光ビームLRの半径Rにより正規化して、百分率により各分割線V1及びV2の位置を表している。
すなわち、各分割線V1及びV2が先端点Q1及び後端点Q2を通過するときの当該先端点Q1及び後端点Q2にそれぞれ相当する点VQ1及びVQ2から当該先端点Q1及び後端点Q2までの距離Lと、反射光ビームLRの半径Rとを用いると、分割線位置xは次の(7)式のように表すことができる。
x=100×L/R ……(7)
図10からわかるように、各分割線V1及びV2の分割線位置を値0としたとき、すなわち各分割線V1及びV2がそれぞれ先端点Q1及び後端点Q2を通過するときにレンズシフトキャンセル係数Ktの値が最も小さくなり、このときの値が約1.88となった。
これらの結果を踏まえ、本実施の形態におけるホログラム素子31は、分割線角度θを45度とし、且つ先端点Q1及び後端点Q2をそれぞれ通過するように、分割線V1及びV2を設けた。
また本実施の形態における信号処理部13(図3)は、(6)式におけるレンズシフトキャンセル係数Ktを1.88としてトラッキングエラー信号STEを算出するようになされている。
[1−5.メインプッシュプル信号とレンズシフト信号との関係]
ところで信号処理部13は、(6)式の演算において、レンズシフト信号SLSにレンズシフトキャンセル係数Ktを乗じることによりメインプッシュプル信号SMPPとレンズシフト成分の信号レベルを揃えてから、そのレンズシフト成分を相殺するようになされている。
このことは、レンズシフトの発生量に関わらず、メインプッシュプル信号SMPPに含まれるレンズシフト成分とレンズシフト信号SLSとの比率が一定となることが前提となる。
そこで、まず従来のホログラム素子1(図1)を用いた従来の光ディスク装置について、レンズシフト発生量yとメインプッシュプル信号SMPPの直流成分SMPPDC及びレンズシフト信号SLSとの関係をシミュレートしたところ、図11に示すようなグラフが得られた。
因みに図11の横軸については、反射光ビームLRの半径R(図10(B))を100%として規格化した。また図11の縦軸については、反射光ビームLRの全光量に相当する信号レベルを100%として規格化した。
図11からわかるように、従来の光ディスク装置では、レンズシフト発生量yに関わらず、メインプッシュプル信号SMPPの直流成分SMPPDC及びレンズシフト信号SLSのそれぞれがレンズシフト発生量yにほぼ比例しており、線形性を有している。
このことは、従来の光ディスク装置において、レンズシフト発生量yに関わらずメインプッシュプル信号SMPPに含まれるレンズシフト成分とレンズシフト信号SLSとの比率がほぼ一定であり、(6)式によりレンズシフト成分を適切に相殺でき良好なトラッキングエラー信号STEを生成できることを示している。
次に、本実施の形態によるホログラム素子31(図6)を用いた光ディスク装置10についても、同様にレンズシフト発生量yとメインプッシュプル信号SMPPの直流成分SMPPDC及びレンズシフト信号SLSとの関係をシミュレートしたところ、図11と対応する図12に示すようなグラフが得られた。
ここでホログラム素子31の領域31E及び31Fの形状は、従来のホログラム素子1の領域1E及び1Fと同等である。このため図12におけるメインプッシュプル信号SMPPの直流成分SMPPDCのグラフは、図11と同等となっている。
また図12におけるレンズシフト信号SLSは、レンズシフト発生量yにほぼ比例している。このことは、ホログラム素子31を用いた光ディスク装置10において、メインプッシュプル信号SMPPに含まれるレンズシフト成分とレンズシフト信号SLSとの比率がほぼ一定であり(6)式によりレンズシフト成分を適切に相殺し得ることを示している。
さらに図12におけるレンズシフト信号SLSは、図11の場合と比較して全般的に信号レベルが高くなっている。このことは、ホログラム素子31を用いた光ディスク装置10では、従来の光ディスク装置よりもレンズシフトキャンセル係数Ktを小さな値とすることができることを示している。
[1−6.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による光ディスク装置10は、光ピックアップ17において強度分布回転角度φ(図4)を−45度とするようレーザダイオード21の取付角度を設定した。
ホログラム素子31(図6)については、各レンズシフト領域31LS1及び31LS2の分割線V1及びV2を、トラック走行方向に対し45度傾斜させ、すなわち分割線角度θを45度として、且つ先端点Q1及び後端点Q2をそれぞれ通過するよう設定した。
信号処理部13は、光検出器34から供給される複数の受光信号Sを基に、(4)式及び(5)式に従ってプッシュプル信号SMPP及びレンズシフト信号SLSをそれぞれ生成し、さらにレンズシフトキャンセル係数Ktを1.88として、(6)式によりトラッキングエラー信号STEを生成する。
これに応じて駆動制御部12は、トラッキングエラー信号STEに基づき対物レンズ18をトラッキング制御する。
従って光ディスク装置10は、(6)式においてレンズシフト信号SLSに乗じるレンズシフトキャンセル係数Ktを、分割線角度θを0度としたときの2.01から1.88に抑制することができる。このため光ディスク装置10は、迷光等の影響によりレンズシフト信号SLSに含まれる可能性があるノイズ成分をも増幅してしまうことによる影響を最小限に抑えることができる。
この場合ホログラム素子31については、従来のホログラム素子1と比較して、分割線V1及びV2を傾斜させるよう予め製造するだけで良い。また当該分割線V1及びV2の分割線角度θ及び分割線位置xについては、その設計時にシミュレーション等の結果を基にそれぞれ最適な値に設定すれば良い。
このため光ディスク装置10は、従来のホログラム素子1を用いる従来の光ディスク装置と比較して、部品の追加や構成材料の変更等を行う必要が無く、また製造工程の複雑化を招くこともない。
また光ディスク装置10は、ホログラム素子31における分割線V1及びV2の分割線角度θが45度であっても、レンズシフト信号SLSのレンズシフト発生量yに対する直線性を維持することができるので(図12)、トラッキングエラー信号STEの品質を損なうことがない。
以上の構成によれば、光ディスク装置10は、強度分布回転角度φを−45度として、光ピックアップ17のホログラム素子31における分割線V1及びV2を、トラック走行方向に対し45度傾斜させ、さらに先端点Q1及び後端点Q2をそれぞれ通過するように設けた。そして光ディスク装置10は、信号処理部13においてレンズシフトキャンセル係数Ktを1.88とし(6)式に従ってトラッキングエラー信号STEを生成し、これに応じて駆動制御部12により対物レンズ18をトラッキング制御する。これにより光ディスク装置10は、レンズシフト信号SLSに含まれるノイズ成分の増幅による悪影響を最小限に抑えることができるので、トラッキングエラー信号STEの品質を向上させトラッキング制御の精度を高めることができる。
<2.第2の実施の形態>
第2の実施の形態による光ディスク装置50は、第1の実施の形態による光ディスク装置10と比較して、信号処理部13及び光ピックアップ17に代わる信号処理部53及び光ピックアップ57を有している点が相違するものの、他の部分は同様に構成されている。
光ピックアップ57は、光ピックアップ17と比較して、レーザダイオード21の取付角度が相違すると共に、ホログラム素子31に代わるホログラム素子61を有している点が相違している。
レーザダイオード21は、光ビームL1が光ディスク100に照射される際に、強度分布回転角度φ(図4(B))が−22.5度となるように取り付けられている。
ホログラム素子61は、図6(A)と対応する図13に示すように、ホログラム素子31と比較して分割線V1及びV2の分割線角度θがそれぞれ22.5度となっている点が相違するものの、他は同様に構成されている。
ここで、強度分布回転角度φを−22.5度とした場合について、第1の実施の形態と同様に分割線角度θとレンズシフトキャンセル係数Ktの値との関係を算出したところ、図9(A)と対応する図14(A)のような特性が得られた。
因みに図14(B)〜(D)は、分割線角度θをそれぞれ−45度、0度及び22.5度としたときのホログラム素子61の概略的な形状をそれぞれ表している。
また各分割線V1及びV2の位置に関しては、先端点Q1及び後端点Q2を通過することを条件とした。
図14からわかるように、各分割線V1及びV2の分割線角度θを22.5度としたときにレンズシフトキャンセル係数Ktの値が最も小さくなり、このときの値が約1.75となった。この値は、分割線角度θを0度としたとき、すなわち従来の構成におけるレンズシフトキャンセル係数Ktの値である約1.80よりも小さな値となっている。
この結果を踏まえ、本実施の形態におけるホログラム素子61は、分割線角度θを22.5度とするように分割線V1及びV2を設けた。
また本実施の形態における信号処理部53(図3)は、(6)式におけるレンズシフトキャンセル係数Ktを1.75としてトラッキングエラー信号STEを算出するようになされている。
以上の構成において、第2の実施の形態による光ディスク装置50は、光ピックアップ57において強度分布回転角度φ(図13)を−22.5度とするようレーザダイオード21の取付角度を設定した。
ホログラム素子61(図13)については、各レンズシフト領域の分割線V1及びV2を、トラック走行方向に対し22.5度傾斜させ、すなわち分割線角度θを22.5度として、且つ先端点Q1及び後端点Q2をそれぞれ通過するよう設定した。
信号処理部53は、光検出器34から供給される複数の受光信号Sを基に、(4)式及び(5)式に従ってプッシュプル信号SMPP及びレンズシフト信号SLSをそれぞれ生成し、さらにレンズシフトキャンセル係数Ktを1.75として、(6)式によりトラッキングエラー信号STEを生成する。
これに応じて駆動制御部12は、トラッキングエラー信号STEに基づき対物レンズ18をトラッキング制御する。
従って光ディスク装置50は、(6)式においてレンズシフト信号SLSに乗じるレンズシフトキャンセル係数Ktを、分割線角度θを0度としたときの1.80から1.75に抑制することができる。このため光ディスク装置50は、第1の実施の形態と同様、迷光等の影響によりレンズシフト信号SLSに含まれる可能性があるノイズ成分をも増幅してしまうことによる影響を最小限に抑えることができる。
また光ディスク装置50は、その他の点についても第1の実施の形態による光ディスク装置10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、光ディスク装置50は、強度分布回転角度φを−22.5度として、光ピックアップ57のホログラム素子61における分割線V1及びV2を、トラック走行方向に対し22.5度傾斜させ、さらに先端点Q1及び後端点Q2をそれぞれ通過するように設けた。そして光ディスク装置50は、信号処理部53においてレンズシフトキャンセル係数Ktを1.75とし(6)式に従ってトラッキングエラー信号STEを生成し、これに応じて駆動制御部12により対物レンズ18をトラッキング制御する。これにより光ディスク装置50は、レンズシフト信号SLSに含まれるノイズ成分の増幅による悪影響を最小限に抑えることができるので、トラッキングエラー信号STEの品質を向上させトラッキング制御の精度を高めることができる。
<3.他の実施の形態>
なお上述した第1及び第2の実施の形態においては、分割線V1及びV2について、強度分布回転角度φを−45度又は−22.5度としたときに、分割線角度θをそれぞれ45度又は22.5度に設定するようにした場合について述べた。
本発明はこれに限らず、例えば強度分布回転角度φを−45度としたときに、図9(A)の特性に基づいて分割線角度θを約35度乃至約50度の範囲内の値に設定する等、分割線V1及びV2をトラック走行方向から任意の分割線角度θだけ傾斜させるようにしても良い。この場合、反射光ビームLRの光強度分布を考慮したシミュレーション等により、レンズシフトキャンセル係数Ktの値を良好に抑制し得るような分割線角度θを適宜定めれば良い。
ここで、図15(B)に示すように強度分布回転角度φを0度とするようレーザダイオード21の取付角度を調整した場合について、分割線角度θとレンズシフトキャンセル係数Ktとの関係を算出したところ、図9(A)及び図14(A)と対応する図15(A)のような特性が得られた。
図15(A)では、分割線角度θが0度若しくは−15度から15度までの範囲においてレンズシフトキャンセル係数Ktの値が最も小さくなっている。
これらを踏まえると、レンズシフトキャンセル係数Ktの値を良好に抑制し得るような分割線角度θとしては、レーザダイオード21の取付角度を表す強度分布回転角度φ(例えば−45度)に対し、当該強度分布回転角度φの正負を反転した値(例えば45度)に設定することが考えられる。
また上述した実施の形態においては、分割線位置xを値0とする、すなわち分割線V1及びV2がそれぞれ先端点Q1及び後端点Q2(図6(A))を通過するよう設定した場合について述べた。
本発明はこれに限らず、例えば図10(A)の特性に基づいて分割線位置xを約−5から約30の範囲内の値に設定する等、分割線V1及びV2を任意の分割線位置xに位置させるようにしても良い。この場合、反射光ビームLRの光強度分布を考慮したシミュレーション等により、レンズシフトキャンセル係数Ktの値を良好に抑制し得るような分割線位置xを適宜定めれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ホログラム素子31の各領域にバイナリ型のホログラムを形成するようにした場合について述べた。
本発明はこれに限らず、ホログラム素子31の各領域に例えばブレーズドホログラム等の種々の光学素子を形成するようにしても良く、要は反射光ビームLRの一部を所望の方向に回折させることができれば良い。特にブレーズドホログラムを用いる場合、−1次光のように不要な回折光の発生を抑えることができるため、光利用効率を高めること、或いは迷光の発生範囲を狭めることもできる。
またこの場合、全ての領域でホログラムの種類を統一しなくても良く、一部の領域のみホログラムの種類を相違させるようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ホログラム素子31の各領域における回折方向を、図6(B)のように左下、右下又は右とする場合について述べた。
本発明はこれに限らず、各領域における回折方向をそれぞれ任意の方向及び角度とするようにしても良い。この場合、要は光検出器34において、0次又は1次の反射光ビームを受光するための受光領域Rを、層間迷光が極力照射されないよう配置できれば良い。ホログラム素子31としては、これら受光領域Rに合わせて各領域の回折方向及び回折角度を定めれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ディスク装置10が1ビームプッシュプル法によりトラッキングエラー信号を生成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、光ディスク100の種類に応じて、例えばBD−ROMの場合にはDPD(Differential Phase Detection)法等の位相差法を用い、BD−RやBD−RE等の場合には1ビームプッシュプル法を用いるようにしても良い。この場合、DPD法に対応したトラッキングエラー信号演算回路を信号処理部13に追加すれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに第1の実施の形態の場合、光ディスク装置10が、例えばBD方式等の単一の方式のみでなく、DVD方式やCD方式等を加えた2以上の方式にも対応するようにしても良い。この場合、各方式に対応した波長の光ビームを出射し得るレーザダイオードをビームスプリッタ等と共に設け、各方式に対応した受光領域を光検出器34に設ければ良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、レーザダイオード21から出射する光ビームL1の波長を405[nm]とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、光ディスク100に対応した種々の波長でなる光ビームを出射するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ディスク装置10が光ディスク100に対し情報の記録処理及び再生処理の双方を行い得るようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば光ディスク100の再生処理のみを行い得る光ディスク装置に本発明を適用するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、光源としてのレーザダイオード21と、対物レンズとしての対物レンズ18と、レンズ移動部としての2軸アクチュエータ19と、分割回折部としてのホログラム素子31と、受光部としての光検出器34とによって光ピックアップとしての光ピックアップ17を構成する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる光源と、対物レンズと、レンズ移動部と、分割回折部と、受光部とによって光ピックアップを構成するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、光源としてのレーザダイオード21と、対物レンズとしての対物レンズ18と、レンズ移動部としての2軸アクチュエータ19と、分割回折部としてのホログラム素子31と、受光部としての光検出器34と、信号処理部としての信号処理部13と、駆動制御部としての駆動制御部12とによって光ディスク装置としての光ディスク装置10を構成する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる光源と、対物レンズと、レンズ移動部と、分割回折部と、受光部と、信号処理部と、駆動制御部とによって光ディスク装置を構成するようにしても良い。
本発明は、映像や音声或いは種々のデータ等の情報を光ディスクに記録し、また当該光ディスクから当該情報を再生する光ディスク装置でも利用できる。
10、50……光ディスク装置、11……統括制御部、12……駆動制御部、13、53……信号処理部、17、57……光ピックアップ、18……対物レンズ、19……2軸アクチュエータ、21……レーザダイオード、31、61……偏光ホログラム素子、31PP……プッシュプル領域、31LS1、31LS2……レンズシフト領域、31E、31F、31G1、31G2、31H1、31H2、31J、61E、61F、61G1、61G2、61H1、61H2、61J……領域、34……光検出器、φ……強度分布回転角度、θ……分割線角度、Q1……先端点、Q2……後端点、100……光ディスク、L1……光ビーム、LR、LR0、LR1E、LR1F、LR1G1、LR1G2、LR1H1、LR1H2、LR1J……反射光ビーム、SE、SF、SG、SH……受光信号、SMPP……メインプッシュプル信号、SLS……レンズシフト信号、Kt……レンズシフトキャンセル係数、STE……トラッキングエラー信号。

Claims (5)

  1. 光ビームを出射する光源と、
    光ディスクの記録層に上記光ビームを集光する対物レンズと、
    上記対物レンズを、上記記録層に螺旋状又は同心円状に形成されたトラックとほぼ直交するトラッキング方向へ移動させるレンズ移動部と、
    上記光ビームが上記光ディスクにより反射されてなる反射光ビームにおける上記トラックの溝により回折された+1次光及び−1次光でなるプッシュプル部分に対応するプッシュプル領域のうち上記光ディスクの内周側に相当する内周側プッシュプル領域により上記反射光ビームの一部を回折させて内周側プッシュプルビームとし、上記プッシュプル領域のうち上記光ディスクの外周側に相当する外周側プッシュプル領域により上記反射光ビームの一部を回折させて外周側プッシュプルビームとし、上記反射光ビームにおいて上記トラックの走行方向に相当するトラック走行方向に関し上記プッシュプル領域よりも先行する先行側及び後行する後行側それぞれのレンズシフト領域のうち、上記トラック走行方向に対し傾斜されたレンズシフト分割線により分割され上記光ディスクの内周側に相当する内周側レンズシフト領域により上記反射光ビームの一部を回折させて内周側レンズシフトビームとし、上記レンズシフト分割線により分割された上記レンズシフト領域のうち上記光ディスクの外周側に相当する外周側レンズシフト領域により上記反射光ビームの一部を回折させて外周側レンズシフトビームとする分割回折部と、
    上記内周側プッシュプルビーム、上記外周側プッシュプルビーム、上記内周側レンズシフトビーム及び上記外周側レンズシフトビームをそれぞれ受光してそれぞれの光強度に応じた内周側プッシュプル信号、外周側プッシュプル信号、内周側レンズシフト信号及び外周側レンズシフト信号をそれぞれ生成する受光部と
    を有し、
    所定の信号処理部により、上記内周側プッシュプル信号及び外周側プッシュプル信号の差分値と、上記内周側レンズシフト信号及び外周側レンズシフト信号の差分値に所定の係数を乗じた値との差分値に基づき、上記トラッキング方向に関する上記光ビームの焦点と上記トラック溝の中心線とのずれ量を表すトラッキングエラー信号を生成させ、
    所定の駆動制御部により、上記トラッキングエラー信号を基に上記レンズ移動部を介して上記対物レンズを上記トラッキング方向へ移動させる
    光ピックアップ。
  2. 上記光ビームは、
    光強度分布が楕円状でなると共に、上記光ビームが上記光ディスクに照射される際に上記楕円の長軸を上記トラック走行方向に対して所定の傾斜方向に所定の光傾斜角だけ傾斜させ、
    上記分割回折部は、
    上記レンズシフト分割線が上記トラック走行方向に対し上記傾斜方向と反対の方向に上記光傾斜角と同等の角度だけ傾斜されている
    請求項1に記載の光ピックアップ。
  3. 上記分割回折部は、
    上記レンズシフト分割線が上記反射光ビームの外周における上記先行側及び上記後行側の端点である先端点及び後端点をそれぞれ通過するよう設けられている
    請求項1に記載の光ピックアップ。
  4. 上記分割回折部は、
    上記プッシュプル領域及び上記先行側のレンズシフト領域を分割する先行側分割線と、当該プッシュプル領域及び上記後行側のレンズシフト領域を分割する後行側分割線とを、それぞれ上記トラック走行方向とほぼ直交させている
    請求項1に記載の光ピックアップ。
  5. 光ビームを出射する光源と、
    光ディスクの記録層に上記光ビームを集光する対物レンズと、
    上記対物レンズを、上記記録層に螺旋状又は同心円状に形成されたトラック溝とほぼ直交するトラッキング方向へ移動させるレンズ移動部と、
    上記光ビームが上記光ディスクにより反射されてなる反射光ビームにおける上記トラックの溝により回折された+1次光及び−1次光でなるプッシュプル部分に対応するプッシュプル領域のうち上記光ディスクの内周側に相当する内周側プッシュプル領域により上記反射光ビームの一部を回折させて内周側プッシュプルビームとし、上記プッシュプル領域のうち上記光ディスクの外周側に相当する外周側プッシュプル領域により上記反射光ビームの一部を回折させて外周側プッシュプルビームとし、上記反射光ビームにおいて上記トラックの走行方向に相当するトラック走行方向に関し上記プッシュプル領域よりも先行する先行側及び後行する後行側それぞれのレンズシフト領域のうち、上記トラック走行方向に対し傾斜されたレンズシフト分割線により分割され上記光ディスクの内周側に相当する内周側レンズシフト領域により上記反射光ビームの一部を回折させて内周側レンズシフトビームとし、上記レンズシフト分割線により分割された上記レンズシフト領域のうち上記光ディスクの外周側に相当する外周側レンズシフト領域により上記反射光ビームの一部を回折させて外周側レンズシフトビームとする分割回折部と、
    上記内周側プッシュプルビーム、上記外周側プッシュプルビーム、上記内周側レンズシフトビーム及び上記外周側レンズシフトビームをそれぞれ受光してそれぞれの光強度に応じた内周側プッシュプル信号、外周側プッシュプル信号、内周側レンズシフト信号及び外周側レンズシフト信号をそれぞれ生成する受光部と、
    上記内周側プッシュプル信号及び外周側プッシュプル信号の差分値と、上記内周側レンズシフト信号及び外周側レンズシフト信号の差分値に所定の係数を乗じた値との差分値に基づき、上記トラッキング方向に関する上記光ビームの焦点と上記トラック溝の中心線とのずれ量を表すトラッキングエラー信号を生成する信号処理部と、
    上記トラッキングエラー信号を基に上記レンズ移動部を介して上記対物レンズを上記トラッキング方向へ移動させる駆動制御部と
    を有する光ディスク装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104528632A (zh) * 2014-12-24 2015-04-22 哈尔滨工业大学 利用三棱锥微探针轨迹运动加工微结构的装置及方法
JP2017054576A (ja) * 2016-12-19 2017-03-16 船井電機株式会社 光ピックアップ装置および光ディスク装置

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