JP2010037416A - 印刷インキ用バインダー樹脂及び印刷インキ - Google Patents

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典慶 小川
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Abstract


【課題】離型剤等に汚染されても、高温でのインサート成形時に印刷不良を生じない耐熱性印刷インキを提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される構造単位と下記式(2)で表される構造単位を有するコポリカーボネート樹脂であり、かつ一般式(1)の構造単位が全構造単位に対して10モル%以上50モル%未満である印刷インキ用バインダー樹脂。
【化1】
Figure 2010037416

(式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数7〜17のアラルキル基である。)
【化2】
Figure 2010037416

【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性と耐汚染性が優れた印刷インキに関するものである。
従来、表面に加飾印刷が施されたフィルムを金型に装着し、フィルム印刷面に向け溶融した樹脂を金型中に射出して、樹脂表面に加飾印刷が施されたフィルムを一体化させる射出成形(以下、インサート成形という。)による、曲面、凹凸または平面を有する各種の印刷された射出成形品を得る方法が用いられている。例えば、自動車の各種メーター盤やサンルーフ、窓ガラスの縁、携帯電話のハウジング、AV製品のハウジング、携帯端末機器・複写機等の表示部分、雑貨類などの射出成形品に応用されている。
前記加飾印刷されたフィルムの印刷用インキは、溶剤と染・顔料とバインダー樹脂を主成分に構成される。印刷用インキはフィルムに印刷後乾燥することで溶剤を除去し、染・顔料をバインダー樹脂に固定すると同時にフィルムとバインダー樹脂が密着し、加飾印刷されたフィルムが得られる。加飾印刷されたフィルムは、インサート成形時に、溶融した樹脂に接触することや加温された金型に保持されても印刷面に滲みやぼやけが生じない耐熱性が要求される。
耐熱性はバインダー樹脂の耐熱性に左右されるため、耐熱性に優れ、溶剤溶解性もよい特殊なポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂に用いた耐熱性印刷インキが開発されている(特許文献1)。このバインダー樹脂は耐熱性が良好で種々の溶剤にも良溶であり、耐熱性印刷インキ用バインダー樹脂として好適であった。しかしながら、この耐熱性印刷インキは射出成形現場での離型剤や洗浄剤の汚染・付着により、クラックを生じ易く、改善の余地があった。また、いずれも特殊なビスフェノール類を多く用いるため、原料費の安い2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールAと略称)を主成分とした安価でかつ溶媒溶解性の良いバインダー樹脂の需要が高まっていた。 一方、4,4‘−ジヒドロキシビフェニルを原料として用いたポリカーボネート樹脂が電子写真感光体のバインダー樹脂として用いることが開示されていた(特許文献2)。しかしながら、電子写真感光体では結着するものは電荷輸送剤であり、インキに使用される染料、顔料とは目的も、用途も異なるため耐熱インキ用途に応用出来るか否かは検討されていなかった。
特開2001―19885号公報 特開平4−179961号公報
本発明の課題は、耐熱性が優れ、インサート成形前の印刷面に離型剤や洗浄剤が付着しても、その付着部分が熱溶融樹脂との接触でインキ流れが生じない外観が良好なる加飾成形品が得られる対汚染性が優れた印刷インキ用バインダー樹脂及び該バインダー樹脂を用いた印刷インキを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定構造単位を有するポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂に用いた印刷インキは、印刷性が良好で、印刷面が離型剤や洗浄剤による汚染を受けても印刷後の熱溶融樹脂との接触でもインキ流れを生じない耐熱性と耐汚染性を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下に示す印刷インキ用バインダー樹脂、及び該バインダー樹脂を用いた印刷用インキ、更には該インキを用いた加飾樹脂成形品の製造方法に関するものである。
1.下記一般式(1)で表される構造単位と下記式(2)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂からなる印刷用インキ用バインダー樹脂であり、かつ一般式(1)の構造単位が全構造単位に対して10モル%以上50モル%未満である印刷インキ用バインダー樹脂。
Figure 2010037416
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数7〜17のアラルキル基である。)
Figure 2010037416
2.一般式(1)中のRが水素、メチル基、フェニル基選ばれる基で、R〜Rが水素である前記1記載の印刷インキ用バインダー樹脂。
3.一般式(1)の構造単位が全構造単位に対して15〜35モル%である前記1〜2記載の印刷インキ用バインダー樹脂。
4.ポリカーボネート樹脂の極限粘度が0.3〜2.0dl/gである前記1〜3記載の印刷インキ用バインダー樹脂。
5.前記1〜4何れか記載の印刷インキ用バインダー樹脂を含有する印刷インキ。
6.インキ調整用溶媒として非ハロゲン系有機溶媒を含有する前記5記載の印刷インキ。
7.前記5〜6記載のインキを印刷したフィルムを金型内にインサートした後、熱溶融した樹脂を前記金型内に射出することを特徴とする加飾樹脂成形品の製造方法。
本発明の印刷インキを使用した加飾印刷フィルムは、従来の印刷インキを用いたものに比して、優れた耐熱性有するとともに、作業環境での離型剤や洗浄剤による汚染に強く、加飾フィルムの汚染面がインサート成形されても汚染部分でのインキ流れやクラックが生じにくい。また、ビスフェノールAを主成分として用いることで高価な特殊ビスフェノール類を節約出来るため安価に製造することが可能である。
本発明の印刷インキを使用した加飾印刷フィルムは、射出成形によるインサート成形に好適であり、特に自動車等の各種メーター盤、携帯電話を含む携帯端末機器のハウジングや入力キー、AV機器、小型ゲーム機や家電機器製品のハウジングや操作パネル、玩具や雑貨の意匠等インサート射出成形品に使用される加飾印刷フィルムの耐熱性印刷インキとして好適である。
本発明の印刷インキ用バインダー樹脂であるポリカーボネート樹脂は、構造単位(1)を誘導するビフェノール類、ビスフェノールAおよび炭酸エステル形成化合物を反応させることによって、製造することができるものである。ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネートを製造する際に用いられている公知の方法、例えばビスフェノール類とホスゲンとの直接反応(ホスゲン法)、あるいはビスフェノール類とビスアリールカーボネートとのエステル交換反応(エステル交換法)などの方法で製造することができる。
ポリカーボネート樹脂の原料モノマーとなる前記一般式(1)で表される構造単位を誘導するビフェノール類は、下記一般式(3)で表される化合物である。
Figure 2010037416
(式中、R〜Rは式(1)と同じ基を示す。)
具体的には、4,4‘−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4‘−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジフェニル−4,4‘−ジヒドロキシビフェニル、3,5,3’,5‘−テトラメチル−4,4‘−ジヒドロキシビフェニル、2,3,5,6,2’,3‘,5’,6‘−ヘキサフルオロ−4,4‘−ジヒドロキシビフェニル、2,2‘−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアリル−4,4‘−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジ−t−ブチル−4,4‘−ジヒドロキシビフェニルなどが例示される。これらは、2種類以上併用することも可能である。この中で、特に4,4‘−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4‘−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジフェニル−4,4‘−ジヒドロキシビフェニルが好ましい。さらに、インキ表面硬度が求められる場合は、3,3’−ジメチル−4,4‘−ジヒドロキシビフェニルが好ましい。
また、式(2)で表される構造単位はビスフェノールAから誘導されるものである。式(3)で表されるビフェノール類は、全使用ビスフェノール類とビフェノール類合計の内、好ましくは10モル%以上50モル%未満、さらに好ましくは15〜35モル%使用されることが好ましい。
炭酸エステル形成化合物としては、例えばホスゲンや、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネートなどのビスアリルカーボネートが挙げられる。これらの化合物は2種類以上併用して使用することも可能である。
ホスゲン法においては、通常酸結合剤および溶媒の存在下において、式(3)で表されるビフェノール類とビスフェノールAとホスゲンを反応させる。酸結合剤としては、例えばピリジンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが用いられ、また溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルムなどが用いられる。さらに、縮重合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を、また重合度調節には、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、長鎖アルキル置換フェノール等一官能基化合物を分子量調節剤として加えることが好ましい。また、所望に応じ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸化防止剤や、フロログルシン、イサチンビスフェノールなど分岐化剤を小量添加してもよい。反応は通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲とするのが適当である。反応時間は反応温度によって左右されるが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は、反応系のpHを10以上に保持することが望ましい。
一方、エステル交換法においては、式(3)のビフェノール類とビスフェノールAとビスアリールカーボネートとを混合し、減圧下で高温において反応させる。反応は通常150〜350℃、好ましくは200〜300℃の範囲の温度において行われ、また減圧度は最終で好ましくは133Pa以下にして、エステル交換反応により生成した該ビスアリールカーボネートから由来するフェノール類を系外へ留去させる。反応時間は反応温度や減圧度などによって左右されるが、通常1〜24時間程度である。反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。また、所望に応じ、分子量調節剤、酸化防止剤や分岐化剤を添加して反応を行ってもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、印刷インキのバインダー樹脂としての必要な溶剤溶解性と強度をバランス良く保持することが必要であり、バインダー樹脂の極限粘度が低すぎると強度が不足し、極限粘度が高すぎると溶剤溶解性の低下とインキ粘度上昇があり印刷性が低下する。望ましい極限粘度範囲として極限粘度が0.3〜2.0dl/gの範囲であることが好ましく、さらには0.35〜1.5dl/gの範囲であることが好ましい。
本発明の印刷インキは、前記バインダー樹脂と染・顔料を所望の溶剤に溶解して作製される。本発明の印刷インキにおいて使用される染・顔料としては、例えば、アントラキノン系、ナフトキノン系等の染料、酸化チタン、カーボンブラック、炭酸カルシウム、金属粒子等の無機顔料、アゾ顔料、フタロシアニン顔料等の有機顔料等が挙げられる。これらの染料・顔料はインキ中に溶解あるいは分散した状態でバインダー樹脂と共に存在する。
インキ調製のための溶剤としては、非ハロゲン系有機溶剤が好ましく、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソホロン等の環状ケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、なかでもジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、イソホロンが好ましく、特にイソホロンが好ましい。また溶剤は単独で用いても、2種以上の混合溶剤で用いても良い。さらには染料・顔料分散性、塗布性や乾燥性等を向上させる目的で、メタノール、エタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン等の非環状ケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸メトキシプロピル等のエステル類、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アルキレングリコール類及びその誘導体、シリコーンオイル、大豆油等のオイル類などの溶剤または貧溶剤を併用することも可能である。
前記印刷インキには、バインダー樹脂及び染・顔料の他に必要に応じて、有機及び無機微粒子、離型剤、酸化防止剤、可塑剤、分散剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤等を添加しても良い。インキ中のバインダー樹脂の配合量は極限粘度や溶剤溶解性に左右されるが、1〜70重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましい。バインダー樹脂の濃度がかかる範囲内であると、溶剤溶解性とインキ塗布性がバランスよく、作業性が向上する。
本発明の印刷インキの粘度は任意に設定可能であるが、500〜100,000mPa・s、さらに1,000〜50,000mPa・sの範囲にあることが好ましい。この範囲であれば、インキダレが少なく、かつ塗布しやすく外観の良い印刷が得られる。
本発明において、前記印刷インキは基材フィルムに塗布され、インサート成形加飾用に用いられる。基材フィルムに使用される樹脂フィルムとしては熱可塑性樹脂フィルムであり、具体的にはポリカーボネート樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、耐熱ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリカーボネート/ポリエステルブレンドフィルム、ポリカーボネート/ABSブレンドフィルム等であり、特にポリカーボネート樹脂フィルム、ポリカーボネート/ポリエステルブレンドフィルムが透明性、耐熱性、機械的強度等に優れ好ましく用いられる。これらの樹脂フィルムは通常0.01〜2mmの厚みであり、0.1〜0.5mmの厚みが好ましい。
本発明の印刷インキを基材フィルムに塗布する方法としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等が挙げられるが、塗布するインキ層の膜厚範囲が広く、インキ層を厚くすることができる点から、スクリーン印刷が特に好ましい。塗布されたインキは、自然放置、冷・温送風、赤外線照射、加熱焼付、紫外線照射等により乾燥することで乾燥した印刷面が得られる。また、高沸点溶媒を除去するために、例えば100〜140℃で乾燥される場合でも本発明の印刷インキ印刷は溶融し、流れ出さない耐熱性を有している。
本発明の印刷インキは、熱可塑性樹脂を加飾する目的でインサート成形する際の加飾印刷フィルムのインキとして溶融樹脂と接触しても、印刷面を保持できる耐熱性を有している。インサート成形で成形される樹脂としては、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリサルフォン、ナイロン等があげられる。中でも本発明の印刷インキを用いた加飾印刷フィルムは、高温、特に300℃以上で成形されるポリカーボネート樹脂やポリカーボネート/ポリエステルブレンド樹脂に加飾を施す際に、インサート成形時の耐熱性不足に起因する印刷部パターンの滲みやぼやけが見られず、印刷部の接着性を保持する。さらには、印刷部の離型剤や洗浄剤の汚染・付着による劣化やソルベントクラックに強いため、それらに汚染された印刷部でも、インサート成形時の熱や衝撃による印刷部パターンのクラックや抜けが見られず、良好な印刷外観を保持する。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
実施例1
5w/w%の水酸化ナトリウム水溶液1100mlに4,4‘−ジヒドロキシビフェニル(以下「BP」と略称:本州化学工業株式会社製)22.3g(0.12mol)とビスフェノールA(以下「BPA」と略称:三井化学株式会社製)63.8g(0.28mol)とハイドロサルファイト0.1gを溶解した。これにメチレンクロライド500mlを加えて撹拌しつつ、15℃に保ちながら、ついでホスゲン60gを60分で吹き込んだ。
ホスゲン吹き込み終了後、分子量調節剤としてp−t−ブチルフェノール(以下「PTBP」と略称:大日本インキ化学工業株式会社製)2.7gを加え激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後、0.4mlのトリエチルアミンを加え、20〜25℃にて約1時間撹拌し、重合させた。
重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、45℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、110℃、24時間乾燥して、重合体粉末を得た。
この重合体の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における極限粘度は0.50dl/gであった。得られた重合体を赤外線吸収スペクトルにより分析した結果、1770cm−1付近の位置にカルボニル基による吸収、1240cm−1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、カーボネート結合を有するポリカーボネート樹脂であることが確認された。
得られたポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として20重量部、染料としてアントラキノン系Plast Red 8370(有本化学工業株式会社)10重量部、溶剤としてイソホロン80重量部を混合して、印刷用インキ(2Pa・s)を調整した。次に、基材フィルムとして厚み0.2mm×150mm×70mmの市販ポリカーボネートフィルム(三菱瓦斯化学株式会社製;ユーピロンFE−2000)の片面に、前記印刷用インキをスクリーン印刷機(ミシマ株式会社製;UDS−MINI)でスクリーン印刷し、100℃で3時間乾燥後、得られた印刷面を「JIS K5600」に準拠して、鉛筆硬度を測定した。さらに、鉛筆硬度試験部位以外の印刷フィルムの表面に2×2cmの正方形に状に、フッ素系離型剤(中京化成工業株式会社製;ペリコートPF)、および市販メタノール(和光純薬工業株式会社製;特級)をそれぞれ塗布し、1時間静置した後、基材フィルムと同サイズの厚さ2mmの金型に装着し、縦型射出成形機にて300℃に溶融したポリカーボネート(三菱瓦斯化学株式会社製;ユーピロンS−2000)をインサート成形した。得られたインサート成形品のフッ素系離型剤、メタノール塗布部の印刷インキの抜け状態を目視にて評価した。
実施例2
PTBPを1.5gに変更した以外は、実施例1と同様に重合を行って、ポリカーボネート(極限粘度0.74dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いて、印刷、成形、評価を行った。
実施例3
BPを3,3’−ジメチル−4,4‘−ジヒドロキシビフェニル(以下「DMBP」と略称:本州化学工業株式会社製)25.7g(0.12mol)に変更した以外は、実施例1と同様に重合を行い、ポリカーボネート(極限粘度0.52dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いて、印刷、成形、評価を行った。
実施例4
BPを3,3’−ジフェニル−4,4‘−ジヒドロキシビフェニル(以下「DPBP」と略称:ソンゴンインダストリー社製)40.6g(0.12mol)に変更した以外は、実施例1と同様に重合を行い、ポリカーボネート(極限粘度0.51dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いて、印刷、成形、評価を行った。
実施例5
DMBPを17.1g(0.08mol)に変更し、BPAを73g(0.32mol)に変更した以外は、実施例1と同様に重合を行い、ポリカーボネート(極限粘度0.48dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いて、印刷、成形、評価を行った。
実施例6
BPを11.2g(0.06mol)、BPAを63.8g(0.28mol)に変更し、同時にDMBPを12.8g(0.06mol)用いた以外は、実施例1と同様に重合を行い、ポリカーボネート(極限粘度0.50dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いて、印刷、成形、評価を行った。
実施例7
染料の代わりに、コバルトブルー系顔料(バイエル株式会社製;Lightfast Blue 100)を20重量部用い、イソホロンをシクロヘキサノン60重量部、トルエン20重量部に変更した以外は実施例1と同様に印刷、成形、評価を行った。
比較例1
BPおよびBPAの代わりに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下「BPZ」と略称:本州化学工業株式会社製)を107.2g(0.40mol)に用いた以外は実施例1と同様に重合を行いポリカーボネート(極限粘度0.37dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いて、印刷、成形、評価を行った。
比較例2
BPを6.5g(0.035mol)、BPAを83.2g(0.365mol)用いた以外は実施例1と同様に重合を行いポリカーボネート(極限粘度0.46dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いて、印刷、成形、評価を行った。調整したインキは一部不溶ゲル状物が存在していた。
比較例3
BPを用いず、BPAを91.2gに変更した以外は実施例1と同様に重合を行いポリカーボネート(極限粘度0.43dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いたが、溶媒に溶解せずインキを印刷することが出来なかった。
比較例4
BPを40.9g(0.22mol)、BPAを41.0g(0.18mol)用いた以外は実施例1と同様に重合を行いポリカーボネート(極限粘度0.54dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いたが、不溶物が多くスクリーンが目詰まりし、インキを正常に印刷することが出来なかった。
Figure 2010037416
○:インサート成形品を蛍光灯直下で目視して、インキ抜けが確認できなかった。
×:インサート成形品を蛍光灯直下で目視して、インキ抜けが明確に確認できた。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位と下記式(2)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂からなる印刷インキ用バインダー樹脂であり、かつ一般式(1)の構造単位が全構造単位に対して10モル%以上50モル%未満である印刷インキ用バインダー樹脂。
    Figure 2010037416
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数7〜17のアラルキル基を表す。)
    Figure 2010037416
  2. 一般式(1)中のRが水素、メチル基、フェニル基から選ばれる基で、R〜Rが水素である請求項1記載の印刷インキ用バインダー樹脂。
  3. 一般式(1)の構造単位が全構造単位に対して15〜35モル%である請求項1〜2記載の印刷インキ用バインダー樹脂。
  4. ポリカーボネート樹脂の極限粘度が0.3〜2.0dl/gである請求項1〜3記載の印刷インキ用バインダー樹脂。
  5. 請求項1〜4記載の印刷インキ用バインダー樹脂を含有する印刷インキ。
  6. インキ調整用溶媒として非ハロゲン系有機溶媒を含有する請求項5項記載の印刷インキ。
  7. 請求項5〜6記載のインキを印刷したフィルムを金型内にインサートした後、熱溶融した樹脂を前記金型内に射出することを特徴とする加飾樹脂成形品の製造方法。
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