JP5621226B2 - 耐熱性印刷インキ - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性が優れた印刷インキに関するものである。
従来、表面に加飾印刷が施されたフィルムを金型に装着し、フィルム印刷面に向け溶融した樹脂を金型中に射出して、樹脂表面に加飾印刷が施されたフィルムを一体化させる射出成形(以下、インサート成形という。)による、曲面、凹凸または平面を有する各種の印刷された射出成形品を得る方法が用いられている。例えば、自動車の各種メーター盤やサンルーフ、窓ガラスの縁、携帯電話のハウジング、AV製品のハウジング、携帯端末機器・複写機等の表示部分、雑貨類などの射出成形品である。
前記加飾印刷されたフィルムの印刷用インキは、溶剤と染・顔料とバインダー樹脂を主成分に構成される。このインキは、フィルムに印刷後乾燥することで溶剤を除去し、染・顔料をバインダー樹脂に固定すると同時にフィルムとバインダー樹脂が密着し、加飾印刷されたフィルムが得られる。加飾印刷されたフィルムは、インサート成形時に、溶融した樹脂に接触することや加温された金型に保持されても印刷面に滲みやぼやけが生じない耐熱性が要求される。
耐熱性はバインダー樹脂の耐熱性に左右されるため、耐熱性に優れ、溶剤溶解性もよい特殊なポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂に用いた耐熱性印刷インキが開発されている(特許文献1、2参照)。
これらのバインダー樹脂は、耐熱性が良好で種々の溶剤にも良溶であり、耐熱性印刷インキ用バインダー樹脂として好適であった。しかしながら、近年インサート成形での射出成形サイクルの高速化や、より高分子タイプの射出成形用樹脂が用いられることも多く、その場合、溶融樹脂温度をさらに高くする必要があった。特に、フィルムに接触する溶融樹脂温度が320℃以上になることもあり、その場合は、従来のバインダー樹脂でも耐熱性が不十分で、インキ流れなどの印刷不良が発生する場合があり改善の余地があった。
特開平8−3502号公報 特開2001―19885号公報
本発明の課題は、耐熱性が優れ、インサート成形時の熱溶融樹脂との接触でインキ流れが生じない外観が良好なる加飾成形品が得られる耐熱性印刷インキを提供することにある。
本発明者らは、従来の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定構造単位を有するポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂に用いた印刷インキは、印刷性が良好で、印刷後の熱溶融樹脂との接触でもインキ流れを生じない耐熱性を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1)一般式(1)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として用いた耐熱性印刷インキ。
(式中、R1〜R4およびR6〜R11は、独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数7〜17のアラルキル基を表し、R5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数7〜17のアラルキル基を表す。R1〜R11に炭素原子を有する場合は、これらの炭素に、さらに炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選ばれる置換基を有しても良い。)
2)構造単位が、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタンから誘導されるポリカーボネート樹脂である前記1)記載の耐熱性印刷インキ。
3)ポリカーボネートの極限粘度が0.3〜2.0dl/gである前記1)〜2)のいずれかに記載の耐熱性印刷インキ。
4)インキ調整用溶媒として非ハロゲン系有機溶媒を含有する前記1)〜3)のいずれかに記載の耐熱性印刷インキ。
5)前記1)〜4)のいずれかに記載のインキを、印刷したフィルムを金型内にインサートした後、熱溶融した樹脂を前記金型内に射出することを特徴とする加飾樹脂成形品の製造方法。
6)熱溶融した樹脂の温度が320℃以上である前記5)に記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
本発明の耐熱性印刷インキを用いた加飾印刷フィルムは、従来の印刷インキを用いたものに比して、密着性を維持するとともに、優れた耐熱性を示し、加飾フィルムに高温でインサート成形が行われる射出成形品に好適である。特に自動車等の各種メーター盤、携帯電話を含む携帯端末機器のハウジングや入力キー、AV機器、小型ゲーム機や家電機器製品のハウジングや操作パネル、玩具や雑貨の意匠等インサート射出成形品に使用される加飾印刷フィルムの印刷インキとして好適である。
本発明のポリカーボネート樹脂は、一般式(1)を誘導するビスフェノール類と炭酸エステル形成化合物を反応させることによって製造することができる。ここで、反応は、公知の方法、例えばビスフェノール類とホスゲンとの直接反応(ホスゲン法)、あるいはビスフェノール類とビスアリールカーボネートとのエステル交換反応(エステル交換法)を採用することができる。
本発明の構造単位(1)を誘導するビスフェノール類は、下記一般式(2)で表されるものである。
(式中、R〜R11は、式(1)と同じ基を表す。)
一般式(2)の化合物として、具体的にはビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、または、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニルエタンなどが例示される。これらは、2種類以上併用することも可能である。この中で、特に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、または、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタンが好ましい。
また、本発明のポリカーボネートは、前記式(2)のビスフェノール類と下記ビスフェノール類との共重合ポリカーボネートでもよい。具体的には、4,4’−ビフェニルジオール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)プロパン、3,3,5−トリメチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−t−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、α,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルジフェニルランダム共重合シロキサン、α,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、または4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノールなどが例示される。これらは、2種類以上併用することも可能である。また、これらの中でも特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンから選ばれることが好ましい。
一般式(2)のビスフェノール類は、全使用ビスフェノール類の内50モル%以上、好ましくは90モル%以上使用されることが好ましい。
炭酸エステル形成化合物としては、例えばホスゲンや、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、またはジナフチルカーボネート等のビスアリールカーボネートが挙げられる。これらの化合物は、2種類以上併用することも可能である。
ホスゲン法においては、通常酸結合剤および溶媒の存在下において、式(2)のビスフェノールとホスゲンを反応させる。酸結合剤としては、例えばピリジンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが用いられ、また溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルムなどが用いられる。さらに、縮重合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を、また重合度調節には、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、長鎖アルキル置換フェノール等一官能基化合物を分子量調節剤として加えることが好ましい。また、所望に応じ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸化防止剤や、フロログルシン、イサチンビスフェノールなど分岐化剤を小量添加してもよい。反応は通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲とするのが適当である。反応時間は反応温度によって左右されるが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は、反応系のpHを10以上に保持することが望ましい。
一方、エステル交換法においては、式(2)のビスフェノールとビスアリールカーボネートとを混合し、減圧下で高温において反応させる。反応は通常150〜350℃、好ましくは200〜300℃の範囲の温度において行われ、また減圧度は最終で好ましくは133Pa以下にして、エステル交換反応により生成した該ビスアリールカーボネートから由来するフェノール類を系外へ留去させる。反応時間は反応温度や減圧度などによって左右されるが、通常1〜24時間程度である。反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく。また、所望に応じ、分子量調節剤、酸化防止剤や分岐化剤を添加して反応を行ってもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、耐熱性印刷インキのバインダー樹脂としての必要な溶剤溶解性と強度をバランス良く保持することが必要であり、バインダー樹脂の極限粘度が低すぎると強度が不足し、極限粘度が高すぎると溶剤溶解性の低下とインキ粘度上昇があり印刷性が低下する。望ましい極限粘度範囲として極限粘度が0.3〜2.0dl/gの範囲であることが好ましく、さらには0.35〜1.5dl/gの範囲であることが好ましい。
本発明の耐熱性印刷インキは、前記バインダー樹脂と染・顔料を所望の溶剤に溶解して作製される。本発明の印刷インキにおいて使用される染・顔料としては、例えば、アントラキノン系、ナフトキノン系等の染料、酸化チタン、カーボンブラック、炭酸カルシウム、金属粒子等の無機顔料、アゾ顔料、フタロシアニン顔料等の有機顔料等が挙げられる。これらの染・顔料はインキ中に溶解あるいは分散した状態でバインダー樹脂と共に存在する。
印刷インキ調製のための溶剤としては、非ハロゲン系有機溶剤が好ましく、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソホロン等の環状ケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等
が挙げられ、なかでもジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、イソホロンが好ましい。また溶剤は単独で用いても、2種以上の混合溶剤で用いても良い。さらには染・顔料分散性、塗布性や乾燥性等を向上させる目的で、メタノール、エタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン等の非環状ケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸メトキシプロピル等のエステル類、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アルキレングリコール類及びその誘導体、シリコーンオイル、大豆油等のオイル類などの溶剤または貧溶剤を併用することも可能である。
前記印刷インキには、バインダー樹脂及び染・顔料の他に必要に応じて、有機及び無機微粒子、離型剤、酸化防止剤、可塑剤、分散剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤等を添加しても良い。
インキ中のバインダー樹脂の配合量は、極限粘度や溶剤溶解性に左右されるが、1〜70重量%が好ましく、5〜50重量%がより好ましい。バインダー樹脂の濃度がかかる範囲内であると、溶剤溶解性とインキ塗布性がバランスよく、作業性が向上する。
本発明において、前記耐熱性印刷インキは基材フィルムに塗布され、インサート成形加飾用に用いられる。基材フィルムに使用される樹脂フィルムとしては熱可塑性樹脂フィルムであり、具体的にはポリカーボネート樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、耐熱ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリカーボネート/ポリエステルブレンドフィルム、ポリカーボネート/ABSブレンドフィルム等であり、特にポリカーボネート樹脂フィルム、ポリカーボネート/ポリエステルブレンドフィルムが透明性、耐熱性、機械的強度等に優れ好ましく用いられる。これらの樹脂フィルムは、通常0.01〜2mmの厚みであり、0.1〜0.5mmの厚みが好ましい。
本発明の耐熱性印刷インキを基材フィルムに塗布する方法としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等が挙げられるが、塗布するインキ層の膜厚範囲が広く、インキ層を厚くすることができる点から、スクリーン印刷が特に好ましい。塗布されたインキは、自然放置、冷・温送風、赤外線照射、加熱焼付、紫外線照射等により乾燥することで乾燥した印刷面が得られる。
本発明の耐熱性印刷インキは、熱可塑性樹脂を加飾する目的でインサート成形する際の加飾印刷フィルムのインキとして好適に使用することができる。
インサート成形で成形される樹脂としては、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリサルフォン、ナイロン等があげられる。ポリカーボネートとしては、本願発明の耐熱性印刷インキのバインダー樹脂に用いるポリカーボネート樹脂が挙げられる。中でも本発明の耐熱性印刷インキを用いた加飾印刷フィルムは、高温、特に320℃以上、好ましくは320〜360℃で成形されるポリカーボネート樹脂やポリカーボネート/ポリエステルブレンド樹脂に加飾を施す際に、インサート成形後の印刷部パターンに滲みやぼやけが見られず印刷部の接着性も優れている。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何らの制限を受けるものではない。
実施例1
5w/w%の水酸化ナトリウム水溶液1100mlに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(以下「BPAP」と略称:本州化学工業株式会社製)116g(0.4mol)とハイドロサルファイト0.1gを溶解した。これにメチレンクロライド500mlを加えて撹拌しつつ、15℃に保ちながら、ついでホスゲン60gを60分で吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、分子量調節剤としてp−t−ブチルフェノール(以下「PTBP」と略称:大日本インキ化学工業株式会社製)1.67gを加え激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後、0.4mlのトリエチルアミンを加え、20〜25℃にて約1時間撹拌し、重合させた。
重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、先液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、45℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、105℃、24時間乾燥して、重合体粉末を得た。この重合体の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における極限粘度は0.48dl/gであった。得られた重合体を赤外線吸収スペクトルにより分析した結果、1770cm−1付近の位置にカルボニル基による吸収、1240cm−1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、カーボネート結合を有するポリカーボネート樹脂であることが確認された。
得られたポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として30重量部、染料としてアントラキノン系Plast Red 8370(有本化学工業株式会社)10重量部、溶剤としてシクロヘキサノン100重量部およびジオキサン30重量部を混合して、印刷用インキを調整した。次に、基材フィルムとして厚み0.2mm×150mm×70mmの市販ポリカーボネートフィルム(三菱瓦斯化学株式会社製;ユーピロンFE−2000)の片面に、前記印刷用インキをスクリーン印刷し、100℃で2時間乾燥後、印刷フィルムを同サイズの厚さ2mmの金型に装着し、縦型射出成形機にて320℃に溶融したポリカーボネート(三菱瓦斯化学株式会社製;ユーピロンS−2000)をインサート成形した。得られたインサート成形品の印刷の抜け状態を目視にて評価した。また同様に330℃に溶融したポリカーボネート(三菱瓦斯化学株式会社製;ユーピロンE−2000)でも、同様のインサート成形を行い、印刷抜け状態を目視で評価した。結果を表1に示す。
実施例2
PTBPを0.82gに変更した以外は、実施例1と同様に重合を行い、ポリカーボネート(極限粘度0.85dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いて、印刷、成形、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
BPAPを1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン(本州化学工業株式会社製)127.2gに変更した以外は、実施例1と同様に重合を行い、ポリカーボネート(極限粘度0.50dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いて、印刷、成形、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
BPAPを104.4gに変更し、同時に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下「BPZ」と略称:本州化学工業株式会社製)10.7gを用いた以外は、実施例1同様に重合を行い、ポリカーボネート(極限粘度0.49dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いて、印刷、成形、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例5
BPAPを110.2gに変更し、同時に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「BPA」と略称:三井化学化学株式会社製)4.6gを用いた以外は、実施例1同様に重合を行い、ポリカーボネート(極限粘度0.50dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いて、印刷、成形、評価を行った。結果を表1に示す。
参考例1
BPAPをビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン(川口化学工業株式会社製)133.8gに変更し、同時に2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(本州化学化学工業株式会社製)5.1gを用いた以外は、実施例1同様に重合を行い、ポリカーボネート(極限粘度0.53dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いて、印刷、成形、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例
染料の代わりに、コバルトブルー系顔料(バイエル製;Lightfast Blue100)を20重量部用い、シクロヘキサノンをイソホロン100重量部に変更した以外は、実施例1と同様に印刷、成形、評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
BPAPをBPZ107.2gに変更した以外は、実施例1と同様に重合を行い、ポリカーボネート(極限粘度0.46dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いて、印刷、成形、評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
BPAPを3,3,5-トリメチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(本州化学化学工業株式会社製)124gに変更した以外は、実施例1と同様に重合を行い、ポリカーボネート(極限粘度0.49dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いて、印刷、成形、評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
BPAPをBPA91.2gに変更した以外は、実施例1と同様に重合を行い、ポリカーボネート(極限粘度0.52dl/g)を得た。得られたポリカーボネートを実施例1と同様にインキバインダー樹脂として用いたが、溶媒に溶解せずインキを印刷することが出来なかった。

本発明の活用例としては、加飾印刷フィルム用の耐熱性印刷インキとして利用可能であり、その加飾印刷フィルムは高温でインサート成形が行われる射出成形品に応用できる。特に自動車等の各種メーター盤、携帯電話を含む携帯端末機器のハウジングや入力キー、AV機器、小型ゲーム機や家電機器製品のハウジングや操作パネル、玩具や雑貨の意匠等インサート射出成形品に使用される加飾印刷フィルムの印刷インキとして好適である。

Claims (6)

  1. 一般式(1)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として用いた耐熱性印刷インキ。
    (式中、R1〜R4およびR6〜R11は、各々独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数7〜17のアラルキル基を表し、R5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数7〜17のアラルキル基を表す。
  2. 構造単位が、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタンから誘導されることを特徴とする請求項1記載の耐熱性印刷インキ。
  3. ポリカーボネート樹脂の極限粘度が0.3〜2.0dl/gである請求項1〜2のいずれかに記載の耐熱性印刷インキ。
  4. インキ調整用溶媒として非ハロゲン系有機溶媒を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱性印刷インキ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性インキを、印刷したフィルムを金型内にインサートした後、熱溶融した樹脂を前記金型内に射出することを特徴とする加飾樹脂成形品の製造方法。
  6. 熱溶融した樹脂の温度が320℃以上である請求項5に記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
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