JP3824024B2 - 高分子型酸化防止剤の製造法 - Google Patents

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Description

0001
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なヒンダードフェノール型酸化防止剤製造法に関する。
【0002】
本発明の酸化防止剤は、高分子量であり、従来のヒンダードフェノール系酸化防止剤に比して、揮散性が低く、耐熱性に優れおり、特に高温で成形される熱可塑性樹脂の酸化防止剤として好適である。また、比較的高温環境にさらされる熱可塑性樹脂成形品において、表面へのブリードアウトや揮散が少なく、外観悪化や汚れ等のケアが少なくて済み、また、熱可塑性樹脂成形品表面へのブリードアウトや揮散が少なく、人体への影響も少なくより安全な酸化防止剤を提供することができる。
【0003】
さらに、末端にフェノール性水酸基を有することから、PET、PBT等のポリエステル、ポリフェニレンオキシド、エポキシ樹脂、他のポリカーボネート樹脂とのコポリマー用原料としても利用できる。
【0004】
【従来の技術】
プラスチックの成形時や長期使用時の熱劣化や着色等を防止する目的で、1次酸化防止剤(ラジカル防止剤)としてヒンダードフェノール系酸化防止剤が一般に使用されている。しかしながら、従来の酸化防止剤は、低分子であるため成形加工時に揮散し易く、また成形品の長期使用時における表面へのブリードアウト(表面べたつき)などが発生することがある。特に、成形温度が250℃を越えるポリカーボネートの様な耐熱性樹脂の成形時には、揮散が著しく、押出成形ではベント部への付着や成形品の気泡発生の原因になる場合があり、改善が要求されていた。
【0005】
一方、ヒンダードフェノールであるビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタンを主鎖にもつポリカーボネートが知られている(H.Schnell:"Chemistry and Physics of Polycarbonate",p67,John Wiley & Sons.Inc.,1964)が、このポリマーは酸化防止に不可欠のフェノール性水酸基がほとんど残っておらず、酸化防止効果はなかった。
【0006】
また、ポリカーボネートを製造する際に、分子量調節剤として様々な一価フェノールを用いて、種々の末端変性ポリカーボネートを製造する方法が知られていた。(例えば、特開昭61−141726、特開昭63−3023など)しかしながら、ポリカーボネート分子末端に容易にヒンダードフェノールを組み込む方法はこれまで知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の酸化防止剤にみられる上記したような問題点を解消し、従来のヒンダードフェノール系酸化防止剤に比して、揮散性が低く、耐熱性に優れ、特に高温で成形される熱可塑性樹脂の酸化防止剤として好適な高分子量酸化防止剤を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来の低分子量酸化防止剤にみられる上記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネート製造時に、末端停止剤として特殊な構造のヒンダードフェノール系二価フェノールを用いることにより、ポリカーボネート分子末端にヒンダードフェノールを有し、耐熱性と低揮散性に優れた高分子型酸化防止剤が容易に製造できることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
0009
すなわち、本発明は、二価フェノールとホスゲンとを反応させポリカーボネートの製法において、該二価フェノールとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、およびビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイドより選択されたものを使用し、末端停止剤として、下記一般式(B)で表されるオルト位に第三級アルキル基を有する二価フェノールを使用することを特徴とする極限粘度0.03〜2.0dl/gの高分子型酸化防止剤の製造法を提供するものである。
0010
【化3】
Figure 0003824024
(式中、R、Rは水素、ハロゲン原子、または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜17のアラルキル基であり、これらの基の炭素は、炭素数1〜5のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子の少なくとも一種で置換されていてもよい。Rは第3級アルキル基を表す。Yは下記に示す基である。
【化4】
Figure 0003824024
ここで、R12〜R13はそれぞれ水素、ハロゲン原子、または炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基又は炭素数6〜12アリール基を表すか、R12〜R13が一緒に結合して、炭素環または複素環を形成する基を表し、これらの基の炭素は、炭素数1〜5のアルキル基またはアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。cは0〜10の整数を表す。)
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
0017
【発明の実施の形態】
本発明における二価フェノールとホスゲンとを反応させるポリカーボネート構造を主骨格とする高分子型酸化防止剤は、末端停止剤として、一般式(B)で示される特殊なヒンダードフェノール系二価フェノール類を使用すること以外は従来のポリカーボネートの製法と同様の製法により製造することができる。
【0018】
すなはち、界面重合法(ホスゲン法)では、反応に不活性な有機溶媒、アルカリ水溶液の存在下、二価フェノール系化合物とホスゲンとを反応させた後、末端停止剤もしくは分子量調節剤および第三級アミン、第四級アンモニウム塩などの重合触媒を添加し重合する方法により製造される。二価フェノール系化合物とホスゲンとの反応時に末端停止剤もしくは分子量調節剤を添加する方法も用いることができるが、本発明の一般式(B)で表されるヒンダードフェノール系二価フェノール類を末端停止剤もしくは分子量調節剤として用いる場合は、一部がポリカーボネート構造の主鎖に組み込まれる可能性があり末端停止剤としての機能が劣る場合がある。したがって、本発明の高分子型酸化防止剤を製造するには、二価フェノール系化合物とホスゲンとを反応させたのち、一般式(B)で表されるヒンダードフェノール系二価フェノール類を反応させその末端にヒンダードフェノールを結合する方法が好ましい。
0019
本発明構造単位を誘導する二価フェノール系化合物としては、具体的には次の化合物が挙げられる。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイドなどが好適なものとして例示される。これらは、2種類以上併用することも可能である。
【0020】
【0021】
本発明において末端停止剤もしくは分子量調節剤として用いるヒンダートフェノール系二価フェノールは、オルト位に第三級アルキル基を有する一般式(B)で表される二価フェノールである。
【0022】
このような二価フェノールの具体的な化合物について例示を以下に示す。ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−フルオロフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t ーブチル−6メチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−n −ノニルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−アリルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−フェニルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−エチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メトキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−クロロフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル5−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキ−3−t−ブチルフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)エタン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−sec −ブチルフェニル)プロパン、3,3’5,5’−テトラ−t−ブチル−(1,1’−ビフェニル)−2,2’−ジオール、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−t−オクチル−6−t−ブチルフェノール)、等が挙げられる。これらの二価フェノールは2種類以上組み合わせて用いてもよい。
0023
これらのうち、反応性の点から下記に挙げるものが好適に使用される。ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−エチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)エタンである。
0024
また一般式(B)で表される末端停止剤の使用量は、二価フェノールとホスゲンとを反応させたポリカーボネートの構造単位を誘導する前記二価フェノール化合物100モルに対して200〜0.5モル、好ましくは100モル〜2モルの範囲である。
0025
本発明における一般式(B)で表される末端停止剤を、ホスゲン法によるポリカーボネート製造時に用いることにより、その一部が前記の構造単位の骨格に組み込まれる可能性があるものの、大多数は従来の末端停止剤として使用される一価フェノールと同様ポリカーボネートの分子末端停止剤として働き、ヒンダードフェノール性水酸基を末端に有するポリカーボネートが得られる。しかも、その分子末端基がすぐれた酸化防止効果を発揮する。この末端停止剤の特異な挙動は、フェノールのオルト位にターシャリーアルキル基のような立体障害性の大きい置換基があるためと考えられ、n−アルキル基のようなものでは、酸化防止剤としてはほとんど作用しない。
【0026】
なお、ホスゲン法によるポリカーボネート製造時のポリカーボネート末端には、末端停止剤以外の副生成末端基としてフェノール性水酸基、カーバメート基、クロロホルメート基等が数十〜数百ppm 含まれる。そのため、事実上100%末端停止剤を反応させることは困難であるが、副生成末端基は全体末端基に対し通常は5%以下で、極く少量であり酸化防止効果には殆ど影響を与えない。
【0027】
また本発明においては、前記一般式(B)で示される二価フェノールと従来の一官能性分子量調節剤と併用することも可能である。従来の一官能性分子量調節剤としては、フェノール、p−t−ブチルフェノール、クミルフェノール、トリブロモフェノール、長鎖アルキルフェノール、アルキルエーテルフェノール、ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル等のフェノール類や脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、脂肪族酸クロライド、芳香族酸クロライド等が挙げられる。これら、一官能性分子量調節剤は本発明における酸化防止剤としての性能を保持するためには、本発明における末端停止剤を含めた全分子量調節剤に対し50%未満の使用量であることが好ましく、さらには30%未満がより好ましい。
【0028】
反応に不活性な溶媒としては、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、クロロホルム、1,1,1-トリクロロエタン、四塩化炭素、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル等のエーテル系化合物を挙げることができ、これらの有機溶媒は二種以上を混合して使用することもできる。また、所望により前記以外のエーテル類、ケトン類、エステル類、ニトリル類などの水と親和性のある溶媒を混合溶媒系が水と完全に相溶しない限度内で使用してもよい。
【0029】
また、重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、トリデシルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルアニリンなどの第三級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0030】
更に分岐化剤を上記の二価フェノール系化合物に対して、0.01〜50モル%、特に0.1〜20モル%の範囲で併用して分岐化ポリカーボネートと出来、分岐化剤としては、フロログルシン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、1,3,5−トリ(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾール、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、α,α′,α″−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼンなどで例示されるポリヒドロキシ化合物、及び3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)などが例示される。
【0031】
ホスゲン法における反応は通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲とするのが適当である。反応時間は反応温度によって左右されるが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は、反応系のpHを10以上に保持することが望ましい。
【0032】
本発明の高分子型酸化防止剤は、熱可塑性樹脂に対して任意に添加する事が可能である。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリエステルカーボネート、各種液晶ポリマー等が挙げられる。また、従来のヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤との併用も可能である。
0033
本発明の高分子型酸化防止剤は酸化防止剤としての機能を有するには、0.03〜2.0dl/g の極限粘度を有する高分子量体が好ましく、2.0dl/g以下では酸化防止効果は小さく、0.03dl/g以上でないと低揮散性は十分でない。
【0034】
また、本発明の高分子型酸化防止剤は、主鎖がポリカーボネートであり、重合度が有る程度大きいものは酸化防止剤自体で通常のポリカーボネートと同様の成形加工が可能である。酸化防止剤自体を成形加工する場合は、強度と成形加工性からの観点から0.3〜1.0 dl/g の範囲で選ばれることが好ましい。
【0035】
【実施例】
次に実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0036】
実施例1
8.8%(w/v) の水酸化ナトリウム水溶液 610mlに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下BPA 、0.4mol)91.2g 及びハイドロサルファイト0.1 gを加え溶解した。これにメチレンクロライド360ml を加え、15℃に保ちながら攪拌しつつ、ホスゲン53g を50分かけて吹き込んだ。吹き込み終了後、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン(以下HP1 、0.08mol )27.2g を添加し、激しく攪拌して、反応液を乳化させ、乳化後0.2 ml のトリエチルアミンを加え、約1時間攪拌し重合させた。重合液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液のpHを中性になるまで水洗を繰り返した後、イソプロパノール 470mlを加え、重合物を沈澱させた。沈澱物を濾過後、乾燥して粉末状重合体を得た。この重合体は、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5 g/dlの溶液の温度20℃における極限粘度[η]は0.19dl/g であった。
【0037】
得られた上記重合体を赤外線吸収スペクトルより分析した結果、1770cm-1付近の位置にカルボニル基による吸収、1240cm-1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、カーボネート結合を有することが確認された。また、3650〜3200cm-1の位置に水酸基由来の吸収が認められた。このポリカーボネート中のモノマーをGPC分析で測定した場合、HP1 は240 ppm、BPA は20ppm 以下であった。また、このポリカーボネートのフェノール性水酸基量を比色法にて測定した結果、8,050 ppmであった。
【0038】
実施例2
実施例1のHP1 を5.12g (0.02mol )に変更した以外は、実施例1と同様に行った。得られた重合体の極限粘度[η]は0.55dl/g で、赤外吸収スペクトル分析等よりこの重合体はカーボネート結合と末端フェノール性水酸基を有する事が確認された。
【0039】
実施例3
実施例1におけるHP1 の代わりに、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−エチルフェニル)メタン(以下HP2 、0.08mol )29.44 g用いた以外は実施例1と同様に行った。得られた重合体の極限粘度[η]は0.20dl/g で、赤外吸収スペクトル分析等よりこの重合体はポリカーボネート結合と末端フェノール性水酸基の存在が認められた。
【0040】
実施例4
実施例1におけるHP1 の代わりに、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−t−ブチルフェニル)エタン(以下HP3 、0.08mol )35.04 gに変更した以外は実施例1と同様に行った。得られた重合体の極限粘度[η]は0.18dl/g で、赤外吸収スペクトル分析等よりこの重合体はポリカーボネート結合と末端フェノール性水酸基の存在が認められた。
【0041】
実施例5
HP1 をホスゲン吹き込みの前に添加した以外は、実施例1と同様に行った。得られた重合体の極限粘度[η]は0.27dl/g で、赤外吸収スペクトル分析等よりこの重合体はポリカーボネート結合と末端フェノール性水酸基の存在が認められた。
【0042】
実施例6
BPA の代わりに、1,1−ビス(4 −ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン107.2 g(BPZ 、0.4mol)を用いた以外は実施例1と同様に行った。得られた重合体の極限粘度[η]は0.17dl/g で、赤外吸収スペクトル分析等よりこの重合体はポリカーボネート結合と末端フェノ性水酸基の存在が認められた。
【0043】
実施例7
BPA の代わりに、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン102.4 g(DMBPA 、0.4mol)を用いた以外は実施例1と同様に行った。得られた重合体の極限粘度[η]は0.18dl/g で、赤外吸収スペクトル分析等よりこの重合体はポリカーボネート結合と末端フェノール性水酸基の存在が認められた。
【0044】
実施例8
1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンを6.12g(0.02mol)ホスゲン吹き込み前に添加した以外は、実施例1と同様に行った。得られた重合体の極限粘度[η]は0.69dl/g で、赤外吸収スペクトル分析等よりこの重合体はカーボネート結合と末端フェノール性水酸基を有する事が確認された。
【0045】
比較例1
HP1 を用いなかった以外は、実施例1と同等に行った。しかし、重合時に超高分子量体となり、溶媒不溶のゲルが発生した。溶媒に対して不溶であり、分析はできなかった。
【0046】
比較例2
HP1 の代わりに、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタンを20.48 g(HP4 、0.08mol )用いた以外は、実施例1と同様に行った。しかし比較例1と同様のゲル化が起こり、分析は不可であった。
【0047】
比較例3
HP1 の代わりに、1価フェノールであるパラターシャリーブチルフェノール12g (PTBP、0.08mol )を用いた以外は、実施例1と同様に行った。得られた重合体の極限粘度[η]は0.15dl/g で、赤外吸収スペクトル分析等よりこの重合体はポリカーボネート結合は認められたが、末端フェノール性水酸基は101ppm しか存在が認められなかった。
【0048】
実施例1〜8および比較例1〜3のポリカーボネート樹脂の組成および分析値を表1および表2に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0003824024
【0050】
【表2】
Figure 0003824024
【0051】
表中の記載事項は下記による。
BPA : 2,2 - ビス(4- ヒドロキシフェニル )プロパン BPZ : 1,1 - ビス(4- ヒドロキシフェニル )シクロヘキサン
DMBPA : 2,2 - ビス(4- ヒドロキシ - 3 -メチルフェニル )プロパン
HP1 : ビス(2 -ヒドロキシ -3-t - ブチル - 5 -メチルフェニル )メタン
HP2 : ビス(2 -ヒドロキシ -3-t - ブチル - 5 -エチルフェニル )メタン
HP3 : 1,1-ビス(2 -ヒドロキシ -3,5 - ジ -t - ブチルフェニル )エタン
HP4 : ビス(2 -ヒドロキシ -3,5 - ジメチルフェニル )メタン
【0052】
IR:赤外線吸収スペクトルより、1770cm-1付近のカルボニルによる吸収、1240cm-1付近のエーテル結合による吸収を確認した。
0053
残存(B)濃度:Waters社製GPCにより、モノマー成分分離定量を行った。
【0054】
極限粘度:0.5/100ccジクロロメタン樹脂溶液を20℃で、極限粘度〔η〕(dl/g)を求めた。
【0055】
末端水酸基:四塩化チタン比色法により求めたフェノール製水酸基量(ppm)。
【0056】
末端反応率:100×(実測の末端水酸基量)÷(末端停止剤が全て一価フェノールとして作用したと仮定した場合の理論末端水酸基量)
【0057】
実施例9
実施例1と実施例3の重合体と、それらの分子量調節剤として用いられた市販のヒンダードフェノール型酸化防止剤であるビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン(吉富製薬(株) 製、ヨシノックス 2246G、以下 Y2246 と記す)とビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−エチルフェニル)メタン(吉富製薬 (株) 製、ヨシノックス 425、以下 Y425 と記す)との窒素雰囲気下での1〜50%加熱減量の変化時の温度を測定した。結果を、表3に示す。
【0058】
実施例10
市販のポリカーボネート(三菱ガス化学(株)製ユーピロンE-2000)粉末100重量部に、実施例1の重合体、実施例3の重合体、Y2246 、Y425をそれぞれ0.2重量部添加ブレンドを行い、ベント付き20mm押出機にて樹脂温度250 ℃と300 ℃で押出を行った。押出したペレットを、射出成形機にて樹脂温度310 ℃で直径50mm、厚さ3 mm の成形品を成形し、YI値(黄色指数)を測定した。結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
Figure 0003824024
【0060】
減量開始温度:熱天秤を用い、窒素中で熱重量測定を行った。(昇温20℃/min)
【0061】
ベント付着物:押出機ベント部(約10mmHg)の付着物の有無を目視確認。
【0062】
YI値:厚さ3mm の射出成形品のYI値(黄色指数)を色差計にて測定。
【0063】
【発明の効果】
本発明の高分子型酸化防止剤は、従来のヒンダードフェノール系酸化防止剤に比して、揮散性が低く、耐熱性に優れており、特に高温で成形される熱可塑性樹脂の酸化防止剤として好適である。また、比較的高温環境にさらされる熱可塑性樹脂成形品において、表面へのブリードアウトや揮散が少なく、外観悪化や汚れ等のケアが少なくて済むなどの利点がある。

Claims (3)

  1. 二価フェノールとホスゲンとを反応させポリカーボネートの製法において、該二価フェノールとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、およびビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイドより選択されたものを使用し、末端停止剤として、下記一般式(B)で表されるオルト位に第三級アルキル基を有する二価フェノールを使用することを特徴とする極限粘度0.03〜2.0dl/gの高分子型酸化防止剤の製法。
    Figure 0003824024
    (式中、R、Rは水素、ハロゲン原子、または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜17のアラルキル基であり、これらの基の炭素は、炭素数1〜5のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子の少なくとも一種で置換されていてもよい。Rは第3級アルキル基を表す。Yは下記に示す基である。
    Figure 0003824024
    ここで、R12〜R13はそれぞれ水素、ハロゲン原子、または炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基又は炭素数6〜12アリール基を表すか、R12〜R13が一緒に結合して、炭素環または複素環を形成する基を表し、これらの基の炭素は、炭素数1〜5のアルキル基またはアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。cは0〜10の整数を表す。)
  2. 前記一般式(B)が、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ− t −ブチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−エチルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)エタン1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)エタンより選択された請求項1記載の高分子型酸化防止剤の製法。
  3. ホスゲン法によるポリカーボネートの製法において、一般式(B)で示される末端停止剤をホスゲン化終了後に添加し、末端停止剤と前記二価フェノールとホスゲンとの反応前駆体とを乳化状態下において、触媒を加え重合反応を行うことを特徴とする請求項1記載の高分子型酸化防止剤の製法。
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