JP3687690B2 - 高分子型難燃剤および樹脂組成物 - Google Patents

高分子型難燃剤および樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、高分子型難燃剤に関するものである。更に詳しくは、不純物窒素含有量の少ない特定のポリカーボネートからなる難燃剤で、耐熱性の優れ、成形加工時に着色を引き起こさない高分子型難燃剤に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、テトラハロゲン化ビスフェノール類から製造されたポリカーボネートは、揮散性が少なく耐熱性に優れているため、熱可塑性樹脂用難燃剤として利用されている。テトラハロゲン化ビスフェノール類からの芳香族ポリカーボネート(THPC)の製法としては、特公昭47−44537、特公昭47−24660、特開昭55−25446、特開昭63−295535等に例示されている。
これらの、テトラハロゲン化ビスフェノール類は、代表的なポリカーボネートの原料であるビスフェノールAに比べ、ベンゼン環に重合を阻害する置換基(ハロゲン)が存在するため、一般に重合触媒の添加量を増やすことなどにより重合しやすい環境下で製造される。特に、重合触媒として脂肪族三級アミンが使用される場合、アミンの一部がポリマー末端と反応してウレタン結合(カルバメート)を生成することが知られており、多量のアミンを使用すると末端に多くのウレタン結合した窒素化合物(カルバメート)が存在する。この末端に結合した窒素化合物が色相悪化などの悪影響を及ぼすことが知られている(たとえば、特開平3−199231、特開平2−133425)。
【0003】
この末端の窒素量を調べると、代表的なポリカーボネートであるビスフェノールA型ポリカーボネートの場合は数ppm〜数十ppmであるのに対し、THPCは数百ppm〜数千ppmも存在することが認められる。THPCを難燃剤として用いた熱可塑性樹脂組成物の場合は、成形加工の過程の加熱により、THPC中に存在する窒素化合物により着色(黄変)する場合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリカーボネートからなる高分子型難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物の成形加工時の着色を引き起こさない不純物窒素含有量が少なく、耐熱性の優れた特定の高分子型難燃剤を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリカーボネートからなる高分子型難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物の成形加工時の着色を改良するため、鋭意検討した結果、分子末端に結合した窒素量を低減したしたポリカーボネートからなる高分子型難燃剤を用いることにより、成形加工時の着色を大幅に改善できることを見いだし、本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明は分子末端に結合した窒素が200ppm以下である下記一般式(A)または下記一般式(A)および下記一般式(B)で表される構成単位を有し、極限粘度が0.05〜2.0dl/gであるポリカーボネートからなる高分子型難燃剤に係る。
【0007】
【化5】
Figure 0003687690
【0008】
(式中のR1 〜R4 はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、またはハロゲン化アルキル基を表す。Xは下記に示される基である。
【0009】
【化6】
Figure 0003687690
【0010】
ここにR,Rはそれぞれ、水素、各々置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表すか、R,Rが一緒に結合して、炭素環または複素環を形成する基を表し、これらの基の炭素に有してもよい置換基が、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲンである。aは0〜20の整数、bは1〜100の整数を表す。)
【0011】
【化7】
Figure 0003687690
【0012】
(式中、R〜R10はそれぞれ、水素それぞれ置換基を有してもよい、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数7〜17のアラルキル基であり、これら基の炭素にいずれも有してもよい置換基が、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲン、ジメチルポリシロキシ基を示す。Yは、下記に示される基である。
【0013】
【化8】
Figure 0003687690
【0014】
ここにR11,R12はそれぞれ、水素、各々置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表すか、R11,R12が一緒に結合して、炭素環または複素環を形成する基を表し、これらの基の炭素に有してもよい置換基が、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲンである。dは0〜20の整数、eは1〜100の整数を表す。)
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明において、前記一般式(A)で表される構成単位と一般式(B)で表される構成単位の割合(C)は、C=(A)/((A)+(B))=0.05〜1の範囲である。
【0016】
本発明における、ポリカーボネートからなる高分子型難燃剤の製法としては、ビスフェノール類からポリカーボネートを製造する際に用いられている公知の方法、すなわち、ビスフェノールとホスゲンを用いた界面重合法(ホスゲン法)とビスフェノールとジフェニルカーボネートのエステル交換反応による方法(エステル交換法)がある。エステル交換法によって製造されるポリカーボネートは、実質的に分子末端に窒素を含まないものの製造は可能であるが、一般には触媒として使用される無機系化合物や酸化防止剤等の除去が困難であり、本発明にいう高分子型難燃剤の製法としては好ましくない。したがって、本発明におけるポリカーボネート型難燃剤は界面重合法により製造されたものを指す。
【0017】
界面重合法においては、通常酸結合剤および溶媒の存在下において、二価フェノールとホスゲンを反応させる。酸結合剤としては、例えばピリジンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが用いられ、また溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、キシレンなどが用いられる。さらに、重縮合反応を促進するために、三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を添加する。
【0018】
また重合度を調節するために、分子量調節剤を添加して反応を行うことが望ましい。また、所望に応じ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸化防止剤や、フロログルシン、イサチンビスフェノールなど分岐化剤を小量添加してもよい。
【0019】
反応は通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲とするのが適当である。反応時間は反応温度によるが、上記の温度範囲においては通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は、反応系のpHを10以上に保持することが望ましい。
【0020】
本発明のポリカーボネートからなる高分子型難燃剤の製造に用いられる一般式(A)で表される構成単位を誘導するビスフェノールとしては、具体的には、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)-1- フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)-1-フェニルエタン等が挙げられる。中でも、反応性やコストパフォーマンス等より2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンが好ましい。
【0021】
本発明のポリカーボネートからなる高分子型難燃剤製造に用いられる一般式(B)で表される構成単位を誘導するビスフェノールとしては、具体的にはビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA;BPA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ;BPZ)2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ジメチルビスフェノールA;DMBPA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(ビスフェノールAP;BPAP)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)プロパン、α,ω−ビス[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ポリジメチルシロキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)プロパンなどが例示される。これらは、2種類以上併用することも可能である。
【0022】
これらの中でも特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイドから選ばれることが好ましい。
【0023】
本発明のポリカーボネートからなる高分子型難燃剤の製造に用いられる三級アミン重合触媒としてはトリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジエチルアミノピリジン等があるが、触媒活性や洗浄除去の問題からトリエチルアミンが好ましい。また、重合助触媒を併用しても良く、具体的には塩化テトラメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩が上げられるが、中でも取扱いの容易さと反応性からから塩化ベンジルトリエチルアンモニウムが好ましい。
【0024】
界面重合法の場合、重合触媒は原料ビスフェノールに対して通常0.001〜1.0モル%程度の添加量が使用されるが、本発明におけるようなハロゲン化ビスフェノールを原料とする場合は、反応が極めて進行しにくいことから、一般に触媒量は多く使用され、原料フェノールに対して通常5.0〜50.0mol %添加することが好ましい。また、反応助触媒は原料ビスフェノールに対して0.01〜10.0mol %添加することが好ましい。
【0025】
また、本発明のポリカーボネートからなる高分子型難燃剤の製造には所望に応じて分子量調節剤が使用されるが、用いられる分子量調節剤としては、一価フェノール、カルボン酸、酸クロライド等の一官能性化合物が挙げられ、中でも反応性と取扱いの容易さから一価フェノールが好ましい。
【0026】
分子量調節剤として用いられる一価フェノールとして、具体的にはフェノール、パラターシャリーブチルフェノール、パラエチルフェノール、パラ-n-オクチルフェノール等のアルキル置換フェノール類、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸ブチルなどのアルキルエステル置換フェノール類、オイゲノール、O-アリルフェノール、パラヒドロキシスチレン、パライソプロペニルフェノールなどのアルケニル置換フェノール類、モノクロロフェノール、ジクロロフェノール、トリクロロフェノール、モノブロモフェノール、ジブロモフェノール、トリブロモフェノール、モノフルオロフェノール、ジフルオロフェノール、トリフルオロフェノールなどのハロゲン化フェノール類が挙げらる。これらの中でも特に、ハロゲン化フェノール類は、さらなる難燃性を付与することができるため好ましいものの一つである。
【0027】
本発明において、ポリカーボネートの分子末端に結合した窒素を200ppm以下とする方法としては、たとえば三級アミンを少なくし、反応助触媒を多く用いる方法や生成した重合体をアルカリ水溶液と接触させる方法等がある。反応助触媒を用いれば、三級アミンの量を減じてもホスゲンとビスフェノールの反応を促進し、重合速度を高めるとももに、三級アミンを多量用いる場合に比べはるかに分子末端に残存する窒素量を低減することができる。この場合に用いられる反応助触媒濃度は原料ビスフェノールに対して0.01〜10.0mol %の範囲で添加することが好ましい。
【0028】
一方、アルカリ水溶液と接触させる方法では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等を溶解したアルカリ水溶液と重合体(ポリカーボネート)溶液とを接触攪拌する方法により、分子末端に結合した窒素化合物(カルバメート)を分解し、分子末端窒素が低減される。本法を用いる場合、アルカリ水溶液濃度は0.5〜3.0w/v %程度のものが好ましく、0.5w/v %未満では窒素除去に時間がかかり、3.0w/v %を越えるとカーボネート結合の切断が激しくなり好ましくない。また、ポリカーボネート樹脂溶液とアルカリ水溶液との接触攪拌の比率は体積比でポリカーボネート樹脂溶液1に対し、0.2〜2.0倍で接触させると分解効率がよい。攪拌時間は、アルカリ濃度や樹脂液量等によるが、カーボーネート結合の分解を少なくするため、なるべく短時間の接触が好ましい。アルカリ水溶液との体積比が上記の場合は、通常5〜120分接触させれば、末端窒素量を200ppm以下に低減することができる。さらには、反応助触媒を使用する方法とアルカリ水溶液と接触させる方法を併用すればより効率のよい末端窒素低減が可能である。
【0029】
本発明におけるポリカーボネートからなる高分子型難燃剤は、分子末端に結合した窒素が200ppm以下であり、分子末端に結合した窒素が200ppm越える場合には、耐熱性が低下し難燃剤を配合した熱可塑性樹脂の加熱成形時の着色(黄変)を促進し、色調に優れた成形品が得られない。
【0030】
本発明のポリカーボネートからなる高分子型難燃剤では、先に述べた末端窒素低減化技術を用いて、分子末端に結合した窒素を200ppm以下に調節される。なお、遊離の三級アミンや第四級アンモニウム塩は重合反応終了後の中和処理の段階で、塩として水相側に除かれるため、そのほとんどが除去され問題とはならない。
【0031】
本発明におけるポリカーボネートからなる高分子型難燃剤は、熱可塑性樹脂に任意に添加して難燃性を付与することが可能である。熱可塑性樹脂に添加するに際しては十分な難燃性と成形性を考慮し、熱可塑性樹脂に対して0.5〜20重量%の範囲で添加する。
【0032】
本発明の高分子型難燃剤が好適に使用される熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンエーテル、ABS、ポリアミド等が例示されるが、特に高温成形や色目が要求されるポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレートに適用されると好ましい結果を与えるとができる。
【0033】
本発明のポリカーボネートからなる高分子型難燃剤においては、前述したように一般式(A)で表される構成単位と一般式(B)で表される構成単位の割合(C)は、C=(A)/((A)+(B))=0.05〜1の範囲であるが、十分な難燃性を付与するためには(C)=0.5〜1の範囲であることが好ましい。
【0034】
また、本発明の高分子型難燃剤は、極限粘度〔η〕が0.05〜2.0dl/g(20℃、メチレンクロライド溶液)の範囲のものであり、極限粘度〔η〕が0.05dl/g未満では高温成形時の揮散性が増し、また2.0dl/gを超える場合は溶融粘度が高く他の樹脂とのブレンド性や成形性が悪化する。非揮散性と熱可塑性樹脂とのブレンドの容易さを加味し、極限粘度[η]が0.3dl/g以下のものが好適である。
【0035】
以下、実施例及び比較例によって具体的に説明する。
【0036】
実施例1
水酸化ナトリウム3.7kgを水42lに溶解し、20℃に保ちながら、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン(以下「TBBPA」と記す)17.2Kg、ハイドロサルファイト8gを溶解した。
これにメチレンクロライド28リットルを加えて攪拌しつつ、p−t−ブチルフェノール(以下「PTBP」と記す)1.5Kg、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド(以下「TEBAC」と記す)を10g加え、20℃以下に保ちつつついでホスゲン7.0kgを70分で吹き込んだ。ホスゲン吹き込み中は、系内のpHが11未満とならないよう、35w/v%水酸化ナトリウム水溶液を適時追加した。
ホスゲン吹き込み終了後、激しく攪拌して反応液を乳化させ、乳化後、450gのトリエチルアミンを加え約1時間攪拌を続け重合させた。
反応後、重合液を水相と有機相に分離し、2w/v%の水酸化ナトリウム水溶液20リットルと20分間接触攪拌を行った。その後再度重合液を水相と有機相に分離し、有機相ををリン酸で中和した後、洗液のpHが中性となるまで水洗を繰り返した。その後、重合物を80℃に加温した温水に適下し、粒状化を行った。得られた粒状物を濾過し、その後乾燥する事により、極限粘度0.12dl/g(20℃、メチレンクロライド溶液)である粉末状のポリカーボネートからなる高分子型難燃剤を得た(以下「P−1」と記す)。このポリカーボネートからなる高分子型難燃剤中に含まれる全窒素量を測定したところ、172ppmであった。
【0037】
実施例2
TEBACを50g、トリエチルアミンを300gに変更した以外は実施例1と同様に行った。得られた粉末状のポリカーボネートからなる高分子型難燃剤(以下「P−2」)の極限粘度は0.12dl/gであった。このポリカーボネートからなる高分子型難燃剤中に含まれる全窒素量を測定したところ、144ppmであった。
【0038】
実施例3
TBBPA17.2Kgの代わりに、TBBPA8.6Kg、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「BPA」と記す)3.6Kg使用する以外は、実施例1同様にして行った。
得られた粉末状のポリカーボネートからなる高分子型難燃剤(以下「P−3」と記す)の極限粘度は0.11dl/gであった。このポリカーボネートからなる高分子型難燃剤中に含まれる全窒素量を測定したところ、154ppmであった。
【0039】
BPAの代わりに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下「BPZ」と記す)4.2Kg使用する以外は、実施例と同様にして行った。得られた粉末状のポリカーボネートからなる高分子型難燃剤(以下「P−4」と記す)の極限粘度は0.12dl/gであった。このポリカーボネートからなる高分子難燃剤中に含まれる全窒素量を測定したところ、130ppmであった。
【0040】
実施例5
PTBPの代わりに2,4,6−トリブロモフェノール(以下「TBP」と記す)を3.3Kg用いた以外は実施例1と同様に行った。
得られた粉末状のポリカーボネートからなる高分子型難燃剤(以下「P−5」と記す)の極限粘度は0.11dl/gであった。このポリカーボネートからなる高分子型難燃剤中に含まれる全窒素量を測定したところ、181ppmであった。
【0041】
実施例6
重合反応終了後、アルカリ水溶液との接触時間を40分に変更した以外は実施例1と同様に行った。得られた粉末状ポリカーボネートからなる高分子型難燃剤(以下「P−6」)の極限粘度は0.12dl/gであった。このポリカーボネートからなる高分子型難燃剤中に含まれる全窒素量を測定したところ、134ppmであった。
【0042】
実施例7
TEBACの代わりに、トリエチルアミン10gを使用し、重合反応終了後のアルカリ水溶液との接触時間を40分とした以外は実施例1と同様に行った。
得られた粉末状ポリカーボネートからなる高分子型難燃剤(以下「P−7」)の極限粘度は0.13dl/gであった。このポリカーボネートからなる高分子型難燃剤中に含まれる全窒素量を測定したところ、185ppmであった。
【0043】
比較例1
重合反応終了後、アルカリ水溶液と接触させず、すぐ中和した以外は実施例1と同様に行った。得られた粉末状ポリカーボネート樹脂(以下「P−8」)の極限粘度は0.12dl/gであった。このポリカーボネート樹脂中に含まれる全窒素量を測定したところ、256ppmであった。
【0044】
比較例2
重合反応終了後、アルカリ水溶液と接触させず、すぐ中和したこと以外は実施例6と同様に行った。得られた粉末状ポリカーボネート樹脂(以下「P−9」)の極限粘度は0.12dl/gであった。このポリカーボネート樹脂中に含まれる全窒素量を測定したところ、410ppmであった。
【0045】
試験例1
市販のポリカーボネート粉末(三菱ガス化学(株) 製ユーピロンS−3000)に、実施例1のポリカーボネートからなる高分子型難燃剤(P−1)を10wt%添加し、20mmベント付き押出機にて280℃で押出、溶融ペレット化を行った。得られたペレットを、320℃で射出成形を行い、90×50×3mmの射出成形品を得た。得られた射出成形品を色差計にて、YI値(黄色指数)を測定し着色の度合いを調べた。
【0046】
試験例2
実施例6のポリカーボネートからなる高分子型難燃剤(P−6)を用いた以外は、試験例1と同様に行った。
【0047】
試験例3、4
比較例1および2のポリカーボネート樹脂を用いた以外は、試験例1と同様に行った。
【0048】
以上、実施例1〜7ポリカーボネートからなる高分子型難燃剤および比較例1〜2のポリカーボネート樹脂の組成分析を表1に、試験例1、2および試験例3、4のYI値を表2に示した。
【0049】
【表1】
Figure 0003687690
【0050】
なお、表1の記載は下記によった。
末端窒素量:三菱化学(株)製全窒素分析計にて測定。
末端Cl量:0.5w/v%のメチレンクロライド溶液を試料としニトロピリジン比色法にて測定した。
末端OH量:1w/v% メチレンクロライド溶液を試料とし四塩化チタン比色法にて測定した。なお検出限界は10ppm。
極限粘度:1w/v% メチレンクロライド溶液を試料とし、20℃、ウベロ−デ粘度管を用いて測定した。
【0051】
【表2】
試験例 難燃剤 YI値
試験例1 P−1 2.1
試験例2 P−6 2.0
試験例3 P−7 3.3
試験例4 P−8 3.7
YI値:3mm厚の試験片の1枚の厚み方向のYI値(黄色指数)を色差計を用いて測定。
【0052】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネートからなる高分子型難燃剤は、従来のポリカーボネート型難燃剤に比べ、窒素分が少なく、難燃剤自体の耐熱性が向上し、難燃剤を添加した熱可塑性樹脂組成物は、加熱成形時の着色が少なく、良好な外観の成形品が得られるため、特に高温で成形されるポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート等のエンジニアリングプラスチックに好適である。

Claims (6)

  1. 分子末端に結合した窒素が200ppm以下である下記一般式(A)または下記一般式(A)および一般式(B)で表される構成単位を有し、極限粘度が0.05〜2.0dl/gであるポリカーボネートからなる高分子型難燃剤。
    Figure 0003687690
    (式中のR〜Rはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、またはハロゲン化アルキル基を表す。Xは下記に示される基である。
    Figure 0003687690
    ここにR,Rはそれぞれ、水素、各々置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表すか、R,Rが一緒に結合して、炭素環または複素環を形成する基を表し、これらの基の炭素に有してもよい置換基が、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲンである。aは0〜20の整数、bは1〜100の整数を表す。)
    Figure 0003687690
    (式中、R〜R10はそれぞれ、水素、それぞれ置換基を有してもよい、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数7〜17のアラルキル基であり、これらの基の炭素にいずれも有してもよい置換基が、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲン、ジメチルポリシロキシ基を示す。Yは、下記に示される基である。
    Figure 0003687690
    ここにR11,R12はそれぞれ、水素、各々置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表すか、R11,R12が一緒に結合して、炭素環または複素環を形成する基を表し、これらの基の炭素に有してもよい置換基が、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲンである。dは0〜20の整数、eは1〜100の整数を表す。)
  2. 一般式(A)と一般式(B)の構成単位の割合(C)が、(C)=(A)/((A)+(B))=0.5〜1の範囲である請求項1記載の難燃剤。
  3. 一般式(A)で表される構成単位が2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンより誘導された構造単位である請求項1記載の難燃剤。
  4. 一般式(B)で表される構成単位が2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドからなる群より誘導された構造単位である請求項1記載の難燃剤。
  5. 請求項1記載の高分子型難燃剤を0.5〜20重量%含有した熱可塑性樹脂組成物。
  6. 熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート、ポリブチレンテルフタレート、ポリエチレンテルフタレート、ポリアリレートである請求項5記載の熱可塑性樹脂組成物。
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