JP2010037309A - アミノアリールアミノベンザゾール化合物の製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】短い工程数及び時間で、低着色のアミノアリールアミノベンザゾール化合物を工業的に効率よく製造できる方法の提供。
【解決手段】下記式(1)
Figure 2010037309

(式中、Ar1、Ar2は、同一又は異なって、ベンゼン環などを示し、Xは、NHなどを示す)で表されるニトロアリールニトロベンザゾール化合物を還元して、下記式(2)
Figure 2010037309

(式中、Ar1、Ar2、Xは前記に同じ)で表されるアミノアリールアミノベンザゾール化合物を製造する方法であって、吸着剤の存在下で還元反応を行う。吸着剤としては活性炭が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドの原料モノマーとして有用なアミノアリールアミノベンザゾール化合物の製造法に関する。
アミノアリールアミノベンゾオキサゾール、アミノアリールアミノベンゾチアゾール、アミノアリールアミノベンゾイミダゾール等のアミノアリールアミノベンザゾール化合物はポリイミドの原料モノマーとして用いられる。アミノアリールアミノベンザゾール化合物はテトラカルボン酸無水物と重合してポリイミドとなる。アミノアリールアミノベンザゾール化合物を原料とするポリイミドは、特に、耐熱性、剛性に優れており、例えば耐熱性を必要とする電子材料用途に用いられる。
アミノアリールアミノベンザゾール化合物の合成法として、対応するニトロアリールニトロベンザゾール化合物を還元する方法が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。しかし、この方法では、還元時に着色物質が生成し、反応後得られた製品が黄色〜茶色に着色し、色相が限定される分野ではさらに色相低減のための精製処理を施す必要があった。
米国特許第5567843号 米国特許第5739344号
本発明者らは、アミノアリールアミノベンザゾール化合物の色相改善のため、ニトロアリールニトロベンザゾール化合物を還元して得られる反応液に活性炭を添加して脱色処理を施したり、還元反応後、晶析処理により結晶を取り出し、その結晶を溶剤に溶解させ、活性炭を添加して脱色処理を施す方法について検討したところ、これらの方法では、製造工数が多くなり、コストが増加するとともに、溶液状態の時間が長く、処理中にも着色成分が生成するためか、さほど着色度を低減できないことがわかった。
従って、本発明の目的は、短い工程数及び時間で、低着色度のアミノアリールアミノベンザゾール化合物を工業的に効率よく製造できる方法を提供することにある。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ニトロアリールニトロベンザゾール化合物の還元反応時の反応系に吸着剤を添加して還元反応と脱色処理とを同時に進行させると、工程数、工程時間を短縮できるだけでなく、着色を促進させる溶液状態である時間を短くできるので、反応後に脱色処理を施す方法と比較して、着色度合いの少ない色相に優れたアミノアリールアミノベンザゾール化合物を工業的に効率よく得ることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記式(1)
Figure 2010037309
(式中、Ar1、Ar2は、同一又は異なって、ベンゼン環、ナフタレン環、又はビフェニル環を示し、Xは、NH、S、又はOを示す)
で表されるニトロアリールニトロベンザゾール化合物を還元して、下記式(2)
Figure 2010037309
(式中、Ar1、Ar2、Xは前記に同じ)
で表されるアミノアリールアミノベンザゾール化合物を製造する方法であって、吸着剤の存在下で還元反応を行うことを特徴とするアミノアリールアミノベンザゾール化合物の製造法を提供する。
前記吸着剤としては活性炭であるのが好ましい。また、活性炭としては、全細孔容積1ml/g以下である粉末状の水蒸気賦活活性炭であるのが好ましい。
アミノアリールアミノベンザゾール化合物として、2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾールが挙げられる。
本発明の方法によれば、ニトロアリールニトロベンザゾール化合物の還元反応と脱色処理とを同時に行えるとともに、着色成分の生成を促進させる溶液状態にある時間を短縮できるので、反応後に脱色処理を施す方法と比較して、工程数、工程時間を低減、短縮できるだけでなく、着色度合いの少ない色相に優れたアミノアリールアミノベンザゾール化合物を効率よく得ることができる。また、反応後に脱色処理を施す方法と比較して、所定の着色度を得るために必要な吸着剤の量を低減できるとともに、還元触媒と吸着剤とを同時に濾過除去できるというメリットもある。本発明の方法により得られたアミノアリールアミノベンザゾール化合物は、着色度が小さいため、電子材料用途に用いるポリイミドの原料として好適に使用できる。
本発明は、前記式(1)で表されるニトロアリールニトロベンザゾール化合物(ニトロアリールニトロベンゾオキサゾール、ニトロアリールニトロベンゾチアゾール又はニトロアリールニトロベンゾイミダゾール)を還元して、前記式(2)で表されるアミノアリールアミノベンザゾール化合物(アミノアリールアミノベンゾオキサゾール、アミノアリールアミノベンゾチアゾール又はアミノアリールアミノベンゾイミダゾール)を製造するに際し、吸着剤の存在下で還元反応を行うことを特徴とする。
式(1)、式(2)中、Ar1、Ar2は、同一又は異なって、ベンゼン環、ナフタレン環、又はビフェニル環を示し、Xは、NH、S、又はOを示す。Ar1、Ar2は、好ましくはベンゼン環であり、Xは、好ましくはOである。式(1)におけるニトロ基の芳香環における置換位置、式(2)におけるアミノ基の芳香環における置換位置は特に限定されない。
式(1)で表されるニトロアリールニトロベンザゾール化合物としては、ニトロアリールニトロベンゾオキサゾールが好ましく、なかでも、2−(4−ニトロフェニル)−5−ニトロベンゾオキサゾールが特に好ましい。また、式(2)で表されるアミノアリールアミノベンザゾール化合物としては、アミノアリールアミノベンゾオキサゾールが好ましく、なかでも、2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾールが特に好ましい。
式(1)で表されるニトロアリールニトロベンザゾール化合物の還元方法としては、一般にニトロ化合物から対応するアミノ化合物を得る公知の方法を採用できる。例えば、接触水素添加法、鉄、亜鉛、スズ等の重金属を用いる方法、ハイドロサルファイト等の硫化物を用いる方法、水素化リチウムアルミニウム等の金属水素錯化合物を用いる方法、ヒドラジン等の有機還元性物質を用いる方法などが挙げられる。本発明では、これらの中でも接触水素添加法、特に固体触媒(不均一系触媒)を用いる接触水素添加法が好ましい。
接触水素添加法で用いられる固体触媒としては、例えば、白金系、パラジウム系、ロジウム系、ルテニウム系、イリジウム系、ニッケル系、コバルト系の触媒が挙げられる。これらの中でも、パラジウム系触媒、ニッケル系触媒が好ましく、特に、パラジウムカーボン、ラネーニッケル(スポンジニッケル)が好ましい。
固体触媒を用いる場合、その使用量は、触媒の種類によっても異なるが、通常、式(1)で表されるニトロアリールニトロベンザゾール化合物に対して、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%、さらに好ましくは0.5〜30重量%、特に好ましくは5〜20重量%程度である。
還元反応は液相で行われる。反応溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ブトキシエタノールなどのアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒(鎖状又は環状エーテル);ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒;酢酸エチルなどのエステル系溶媒;酢酸などのカルボン酸系溶媒;水;これらの混合溶媒などが挙げられる。これらのなかでも、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒が好ましく、特にメタノールが好ましい。
反応溶媒の使用量は、式(1)で表されるニトロアリールニトロベンザゾール化合物に対して、例えば1〜100重量倍、好ましくは2〜80重量倍、さらに好ましくは5〜50重量倍程度である。
反応系に添加する吸着剤としては、例えば、活性炭、シリカゲル、アルミナ(活性アルミナ)、ゼオライト、イオン交換樹脂などが挙げられる。吸着剤の形状は特に限定されないが、粉末状、粒状のものが好ましい。なお、上記還元触媒の担体として用いられているもの(例えば、パラジウムカーボンにおけるカーボン)は、吸着性を有しているとしても本発明における吸着剤には含めないものとする。
吸着剤としては、特に活性炭が好ましい。活性炭の種類は、特に限定されず、起源や、賦活方法、形状等によることなく、慣用の広範な活性炭を用いることができる。例えば、鉱物起源、植物起源又は樹脂起源の活性炭;水蒸気賦活活性炭、薬品賦活活性炭(塩化亜鉛賦活活性炭等);粉末状、粒状、その他適宜な形状を有する活性炭などの何れの活性炭であってもよい。
上記活性炭の中でも、色相改善性等の点から、賦活方法については水蒸気賦活活性炭が好ましく、形状については粉末状の活性炭が好ましい。
活性炭の比表面積は、通常200〜3500m2/g、好ましくは400〜2000m2/g、さらに好ましくは800〜2000m2/g程度である。また、活性炭の全細孔容積は、通常0.1〜2ml/g、好ましくは0.2〜1.6ml/gであるが、色相改善効果の観点から、1ml/g以下(例えば、0.1〜1ml/g、特に0.2〜1ml/g)が好ましく、特に0.8ml/g以下(例えば、0.1〜0.8ml/g、特に0.2〜0.8ml/g)が好ましい。
活性炭等の吸着剤の添加量は、通常、式(1)で表されるニトロアリールニトロベンザゾール化合物に対して、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは2〜20重量%程度である。
還元反応における反応温度は、用いる触媒の種類等によっても異なるが、一般には−20℃〜150℃、好ましくは25〜100℃、さらに好ましくは40〜90℃程度である。反応効率を上げるため、反応温度は50℃以上が特に好ましい。反応圧力も、用いる触媒の種類等によっても異なるが、水素添加法においては、通常0.1MPa(常圧)〜5MPaの範囲で行われる。反応時間は、例えば0.5〜10時間、好ましくは2〜7時間程度である。
反応終了後、不溶物(固体触媒、吸着剤等)を濾過、遠心分離等により除去し、濾液(母液)を晶析操作に付すことにより、目的の式(2)で表されるアミノアリールアミノベンザゾール化合物を得ることができる。晶析は、目的物を含む溶液の冷却及び/又は濃縮により行うことができる。晶析においては、目的物を含む溶液を20℃以下、特に0℃以下に冷却するのが好ましい。アミノアリールアミノベンザゾール化合物は、さらに再結晶等により精製してもよい。
本発明によれば、還元反応を行いながら色相低減処理を施すので、短工程且つ短時間で効率よく着色度の小さいアミノアリールアミノベンザゾール化合物を得ることができる。また、着色成分の生成が促進する溶液状態にある時間を短くできるので、色相低減効果をより高めることができる。さらに、濾過等により固体触媒と吸着剤とを同時に除去することが可能である。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、着色度の指標となるUV(紫外線)吸光度の測定は以下の方法により行った。
(UV吸光度測定方法)
各実施例及び比較例で得られた生成物について、下記条件で吸光度測定を行い、UV吸光度を求めた。
装置名:島津製作所社製UV−2400PC
波長:550nm
測定サンプル調製法:試料1gを10mlのN,N’−ジメチルアセトアミドに溶解させる
実施例1
3Lガス流通式高圧反応器に、2−(4−ニトロフェニル)−5−ニトロベンゾオキサゾール[下記式(3)]65gと、スポンジニッケル(日揮化学株式会社製「N154」)6.5gと、活性炭(日本エンバイロケミカルズ株式会社製「白鷺A」、水蒸気賦活処理粉末、全細孔容積:0.65ml/g)6.5gと、メタノール1540gを仕込み、窒素雰囲気下で2MPaまで加圧後、60℃まで加熱した。その後水素を吹き込みながら4時間反応させた。反応器内部の水素を窒素で置換後、加熱状態で加圧ろ過機により活性炭とスポンジニッケルを除去した。その処理液を0℃以下に冷却することにより、目的物を結晶化させた。得られた結晶をろ過で取り出しメタノールで洗浄後、50℃で乾燥し、38.5gの淡橙色粉体である2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾール[下記式(4)]を得た(収率75%)。融点は230℃であった。また着色度の指標となる550nmでのUV吸光度は0.065であった。
Figure 2010037309
実施例2
3Lガス流通式高圧反応器に、2−(4−ニトロフェニル)−5−ニトロベンゾオキサゾール65gと、スポンジニッケル(日揮化学株式会社製「N154」)6.5gと、活性炭(日本エンバイロケミカルズ株式会社製「強力白鷺」、水蒸気賦活処理粉末、全細孔容積:1.08ml/g)6.5gと、メタノール1540gを仕込み、窒素雰囲気下で2MPaまで加圧後、60℃まで加熱した。その後水素を吹き込みながら4時間反応させた。反応器内部の水素を窒素で置換後、加熱状態で加圧ろ過機により活性炭とスポンジニッケルを除去した。その処理液を0℃以下に冷却することにより、目的物を結晶化させた。得られた結晶をろ過で取り出しメタノールで洗浄後、50℃で乾燥し、38.5gの淡橙色粉体である2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾールを得た(収率75%)。融点は230℃であった。また着色度の指標となる550nmでのUV吸光度は0.075であった。
比較例1(反応後に活性炭を加える)
3Lガス流通式高圧反応器に、2−(4−ニトロフェニル)−5−ニトロベンゾオキサゾール65gと、スポンジニッケル(日揮化学株式会社製「N154」)6.5gと、メタノール1540gを仕込み、窒素雰囲気下で2MPaまで加熱後、水素を吹き込みながら4時間反応させた。反応終了後、加熱状態で加圧ろ過機によりスポンジニッケルを除去した。濾液に活性炭(日本エンバイロケミカルズ株式会社製「白鷺A」、水蒸気賦活処理粉末、全細孔容積:0.65ml/g)8.5gを仕込み、60℃で2時間撹拌させた後加熱状態で加圧ろ過機により活性炭をろ過除去した。その処理液を0℃以下に冷却することにより、目的物を結晶化させた。得られた結晶をろ過で取り出しメタノールで洗浄後、50℃で乾燥し、36.2gの淡橙色粉体である2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾールを得た(収率71%)。融点は230℃であった。また着色度の指標となる550nmのUV吸光度は0.095であった。
比較例2(活性炭なし)
3Lガス流通式高圧反応器に、2−(4−ニトロフェニル)−5−ニトロベンゾオキサゾール65gと、スポンジニッケル(日揮化学株式会社製「N154」)6.5gとメタノール1540gを仕込み、窒素雰囲気下で2MPaまで加熱後、水素を吹き込みながら4時間反応させた。反応終了後、加熱状態で加圧ろ過機によりスポンジニッケルを除去した。その処理液を0℃以下に冷却することにより、目的物を結晶化させた。得られた結晶をろ過で取り出しメタノールで洗浄後、50℃で乾燥し、40.2gの淡橙色粉体である2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾールを得た(収率78%)。融点は230℃であった。また着色度の指標となる550nmのUV吸光度(550nm)は0.28であった。

Claims (4)

  1. 下記式(1)
    Figure 2010037309
    (式中、Ar1、Ar2は、同一又は異なって、ベンゼン環、ナフタレン環、又はビフェニル環を示し、Xは、NH、S、又はOを示す)
    で表されるニトロアリールニトロベンザゾール化合物を還元して、下記式(2)
    Figure 2010037309
    (式中、Ar1、Ar2、Xは前記に同じ)
    で表されるアミノアリールアミノベンザゾール化合物を製造する方法であって、吸着剤の存在下で還元反応を行うことを特徴とするアミノアリールアミノベンザゾール化合物の製造法。
  2. 吸着剤が活性炭である請求項1記載のアミノアリールアミノベンザゾール化合物の製造法。
  3. 活性炭が、全細孔容積1ml/g以下である粉末状の水蒸気賦活活性炭である請求項2記載のアミノアリールアミノベンザゾール化合物の製造法。
  4. アミノアリールアミノベンザゾール化合物が、2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾールである請求項1〜3の何れかの項に記載のアミノアリールアミノベンザゾール化合物の製造法。
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