JP2005247701A - 含フッ素芳香族テトラカルボン酸二無水物の精製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粗製の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ジ(3,4−ジカルボキシフェニル) プロパン二無水物 (6FDA) を、簡便かつ低コストの処理によって、純度99.9%以上、重金属含有量が5ppm 以下、好ましくは1ppm 未満まで精製する。
【解決手段】粗製6FDAをケトン、テトラヒドロフランおよびアセトニトリルから選ばれた良溶媒と酢酸および脂肪族炭化水素から選ばれた貧溶媒との混合溶媒を用いた晶析または洗浄により精製する。好適態様では、粗製6FDAをアセトンに溶解し、この溶液をゼータ電位吸着フィルターで精製して重金属を除去してから、アセトンを不完全に留去し、残ったアセトン溶液に酢酸を添加し、冷却して6FDAを晶析させ、晶析した結晶を分離する。

Description

本発明は、下記構造式で示される化合物である1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ジ(3,4−ジカルボキシフェニル) プロパン二無水物 [別名:4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ビス (無水フタル酸)] (以下、6FDAと略記する)の精製方法に関する。
Figure 2005247701
6FDAは、電子材料、分離膜等の高機能性高分子、特にポリイミド、の製造原料として、あるいは農薬や染料の合成原料として有用な化合物である。
6FDAの一般的な製造方法は、対応するテトラメチル化合物である1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ジ(3,4−ジメチルフェニル) プロパンを重金属と臭素を触媒に用いて液相で空気酸化して、4個のメチル基をカルボキシ基に転化させたテトラカルボン酸中間体[1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ジ(3,4−ジカルボキシフェニル) プロパン] にし、それを脱水反応により無水化して二無水物とする方法である。
酸化反応は典型的には酢酸/無水酢酸溶媒中で加圧下に行われ、代表的な酸化触媒は、重金属のコバルトおよびマンガンと臭素とからなる3成分系触媒である。無水化反応は、一般には無水酢酸中で加熱下に行われ、冷却して析出した6FDAを粗生成物として単離する。
このような方法で製造された6FDAの粗生成物は、触媒に用いた重金属、副生成物、未反応の原料や中間体を含有しているので、通常は精製が行われる。この精製は、特開平1−165544号公報に記載されているように、6FDAの粗生成物を酢酸と無水酢酸の混合溶媒で洗浄するか、あるいは特開平10−226681号公報に好ましい方法として記載されているように、酢酸と無水酢酸との混合溶媒からの再結晶により行うことができる。なお、特開平10−226681号公報に記載の6FDAの製造方法では、コバルトと臭素とを特定の比率で含有する2成分系酸化触媒を用いている。
別の精製法として、特開2002−97185 号公報には、液相酸化反応で得られた反応液に水を添加して水分量を調整した後、この反応液を陽イオン交換樹脂または重金属吸着用キレート樹脂またはシュウ酸での処理により精製してから、無水化反応を行うことが提案されている。
特開平1−165544号公報 (発明の詳細な説明) 特開平10−226681号公報 (段落0028〜0032) 特開2002−97185 号公報 (特許請求の範囲、段落0024〜0027)
上記特許文献1に記載された酢酸と無水酢酸との混合溶媒を用いた洗浄による精製では6FDAの純度は95〜98.8%程度である。上記特許文献2に提案されているように、同じ混合溶媒から再結晶させて晶析法により精製すると、99.2%程度まで純度を向上させることができる。一方、上記特許文献3に記載の方法で精製すると、純度が99.4〜99.6%の精製6FDAを得ることができる。
しかし、特に6FDAを電子材料の原料 (例えば、電子材料に絶縁材料として使用するためのポリイミドの原料) として使用する場合、非常に高品質の6FDAが要求され、具体的には、純度は99.9%以上、重金属の合計含有量は5ppm 以下、好ましくは1ppm 未満とすることが望まれる。
上記特許文献3に記載の方法では、重金属の含有量は各金属について1ppm 以下に低減できるが、微量の有機不純物の除去が不十分であるため、純度の点ではなお満足できなかった。また、上記特許文献1の実施例6には、無水化反応をテトラヒドロナフタレン中で行い、生成物を同じくテトラヒドロナフタレンで洗浄することにより、純度が99.9%の6FDAを得たことが記載されている。しかし、この方法は、テトラヒドロナフタレンが非常に高価である上、無水化反応の収率が無水酢酸での無水化に比べて約10%も低くなるので、工業的には採用できない。また、重金属を十分に除去することもできない。
従って、本発明は、粗製6FDAを、純度が99.9%以上、かつ重金属含有量が5ppm 以下、好ましくは1ppm 未満まで精製することができる、工業的に実施可能な6FDAの精製方法を提供することを課題とする。
本発明によれば、粗製6FDAをアセトン等のケトンと酢酸との混合溶媒を用いて精製することにより、酢酸/無水酢酸溶媒系では除去できなかかった微量の有機不純物の除去が可能となり、上記課題を解決することができる。ケトン/酢酸混合溶媒による精製は、洗浄または再結晶(晶析)により行うことができるが、最初に粗製6FDAをケトンに溶解し、この溶液から適当な方法で重金属を除去した後、ケトン/酢酸混合溶媒から6FDAを再結晶させると、純度と重金属含有量のいずれの面でも非常に高品質の6FDAを得ることができる。ここで、ケトンは6FDAの良溶媒であり、酢酸は6FDAの貧溶媒である。他に使用可能な良溶媒と貧溶媒について調べたところ、良溶媒としてテトラヒドロフラン (THF) とアセトニトリルが、貧溶媒としては脂肪族炭化水素も使用可能であることが判明した。
ここに、本発明は、粗製6FDAをケトン、テトラヒドロフランおよびアセトニトリルよりなる群から選ばれた良溶媒と酢酸および脂肪族炭化水素よりなる群から選ばれた貧溶媒との混合溶媒を用いて晶析または洗浄により精製することを特徴とする、6FDAの精製方法である。
好適態様において、混合溶媒における良溶媒と貧溶媒との比率が1:0.2 〜1:10の範囲内である。
別の態様において本発明は、6FDAをケトン、テトラヒドロフランおよびアセトニトリルよりなる群から選ばれた良溶媒に溶解し、得られた溶液から該良溶媒を不完全に留去した後、酢酸および脂肪族炭化水素よりなる群から選ばれた貧溶媒を添加して6FDAを晶析させ、晶析した結晶を分離することを特徴とする、6FDAの精製方法である。この方法において、前記溶液から良溶媒を不完全に留去する前に、溶液から重金属を除去する処理を行うことが好ましい。この重金属除去処理は、好ましくはゼータ電位吸着フィルターによる濾過である。
本発明によれば、アセトン等のケトンと酢酸という容易に入手できる安価な混合溶媒にを用いた精製によって、従来の酢酸/無水酢酸の混合溶媒による精製では不可能であった、純度が99.9%以上、重金属の合計含有量が5ppm 以下、好ましくは1ppm 未満、さらには0.5 ppm 未満 (例、0.1 ppm)という高純度の6FDAを得ることができる。従って、本発明は、電子材料の製造原料として求められてきたレベルの高純度6FDAを工業的に製造することを可能にする点で顕著な技術的意義を有する。
本発明の6FDAの精製方法は、重金属と有機副生物の両方を効率よく除去できる。従って、本発明で精製原料とする粗製6FDAは、公知または今後開発されるどのような方法で合成されたものでもよい。
上述したように、6FDAの典型的な製造方法は、対応するテトラメチル化合物である1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ジ(3,4−ジメチルフェニル) プロパンをコバルトとマンガン等の重金属と臭素を触媒に用いて、酢酸または酢酸/無水酢酸溶媒中で加圧下に空気酸化して、テトラカルボン酸中間体[1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ジ(3,4−ジカルボキシフェニル) プロパン] にし、それを無水酢酸中で加熱して脱水反応させて無水化する方法である。もちろん、この方法で製造された粗製6FDAを本発明の方法により精製して高純度品とすることができる。
或いは、上記特許文献2に記載されている方法に従って、第1段の空気酸化工程を、コバルトと臭素を特定の比率で含有する2成分系酸化触媒を用いて酢酸/無水酢酸溶媒中で行うこともできる。この方法によると、触媒が2成分系で単純化されるため、成分調整や回収がより容易になるのみならず、製造された粗製6FDAに含まれる重金属不純物がコバルトだけになるので、精製もより容易になるという利点がある。
精製に用いる粗製6FDAは、無水化反応の反応液から単離した直後の湿潤ケーキの状態でも、あるいは乾燥品でもよい。湿潤ケーキの場合、含まれている液体分(例えば、酢酸、無水酢酸など)は、その後の精製操作における溶媒の一部となる。
本発明では、粗製6FDAの精製を、ケトン等の良溶媒と酢酸等の貧溶媒との混合溶媒を用いた晶析または洗浄により行う。前述したように、良溶媒としては、ケトン以外に、THFとアセトニトリルも使用可能であり、貧溶媒としては脂肪族炭化水素も使用可能である。良溶媒と貧溶媒のいずれも、2種以上の溶媒を混合して使用することもできる。
良溶媒のケトンとしては室温で液体の任意のケトンが使用できる。本発明に有用なケトンの例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、ジ−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−シクロヘキシルケトン等が挙げられる。経済性と操作性の面からアセトンを使用することが最も望ましい。
貧溶媒の脂肪族炭化水素としては、ヘキサン、ヘプタンなどの直鎖もしくは分岐鎖アルカンに加え、シクロヘキサンなどの脂環式 (環状脂肪族) 炭化水素も、室温で液体であれば使用可能である。
以下では、良溶媒がケトン、貧溶媒が酢酸である場合について、本発明の方法を一般的に説明するが、これらの一方または両方の溶媒を前述した別の種類のもので完全または不完全に置換した場合についても、同じ説明があてはまる。
ケトンは、6FDAの収率低下を防ぐために、水分含量が0.1 %以下になる程度まで脱水して使用することが望ましい。脱水方法は通常行われる方法で問題ないが、例えば、アセトンに少量の無水酢酸および/または酢酸を加え、加熱することによっても容易に脱水できる。ケトンの使用量は6FDAに対する質量比で 0.3〜10倍の範囲内が好ましく、より好ましくは 0.5〜5倍である。
酢酸はケトンに対する質量比が 0.2〜10倍となる量で使用することが好ましく、この質量比はより好ましくは1〜2である。一般にケトンの割合が多いほど、混合溶媒の有機不純物の溶解力が高まるため、精製品の純度は高くなるが、6FDAの溶解量も多くなるため、収率は低くなる傾向がある。従って、純度と収率の兼ね合いで酢酸とケトンの混合比を決定すればよい。また、混合溶媒の溶解力を調整するために、第3成分として、本発明で使用する良溶媒と貧溶媒以外の不活性な(6FDAと反応性を持たない)有機溶媒の1種または2種以上を希釈溶媒として添加することもできる。例えば、アルコールやアミン、アミドなどは6FDAと反応性があるので、本発明においては不活性な溶媒であるとはいえない。このような第3成分の溶媒の総量は、混合溶媒の質量の半分以下とすることが好ましく、より好ましくは20%以下とする。
ケトンと酢酸との混合溶媒による6FDAの精製を洗浄により行う場合、粗製6FDAをこの混合溶媒中で攪拌した後、6FDAを濾過、遠心分離等により固液分離することによって洗浄を実施することができる。精製効率と収率を向上させるため、混合溶媒中での攪拌は加熱下で実施し、その後の固液分離は冷却下で行うことができる。加熱温度は、例えば、40℃からケトンの沸点付近までの温度とすることができる。酢酸との混合による沸点上昇のため、混合溶媒の沸点はケトンの沸点より高くなるので、ケトンの沸点付近に加熱してもケトンが著しく蒸発することはないが、ケトンの一部が蒸発しても精製に悪影響はない。このような洗浄だけでも、純度99.9%以上の6FDAを得ることができる。
6FDAの精製を晶析法により行う場合には、粗製6FDAをケトンと酢酸との混合溶媒に完全に溶解させる。ケトンの割合が比較的高い混合溶媒を使用するか、および/または混合溶媒の使用量を多くし、好ましくは加熱することによって、6FDAを完全に溶解させることができる。その後、常法に従って、得られた溶液を活性炭、カチオン交換樹脂、キレート樹脂などで処理するか、あるいは後述するゼータ電位吸着フィルターにより処理して、脱色や重金属分の除去などを行ってもよい。その後、溶液を冷却して6FDAを溶液から晶出させ、濾過等で固液分離して、精製6FDAを取得する。
晶析法の1態様として、粗製6FDAを最初にケトンに溶解し、好ましくはこの溶液に対して重金属分を除去する処理を行った後、ケトンを不完全に留去し、そこに酢酸を加えて溶媒をケトンと酢酸との混合溶媒に置換し、その後に冷却して6FDAを晶出させることも可能である。
この方法では、粗製6FDAの溶解時には、酢酸との混合比を考慮せずに、ずっと多量のケトン溶媒を使用することができるので、加熱せずに粗製6FDAを容易に溶解させることができる。その後、酢酸との混合溶媒とする量の量のケトン溶媒が残るように、余分なケトン溶媒を留去する。留去したケトン溶媒は回収して、再利用できるので無駄にならない。こうして、ケトン溶媒を不完全に留去した後、酢酸を添加して、溶媒を所望割合のケトンと酢酸との混合溶媒としてから、好ましくは冷却して、晶析を行う。この方法においても、粗製6FDA溶解時にケトンを他の有機溶媒で希釈してもよい。或いは、粗製6FDAで湿潤ケーキである場合のように、酢酸や無水酢酸が溶媒に混入しても構わない。同様に、晶析前に加える酢酸に無水酢酸を添加してもよい。酢酸は貧溶媒として使用するので、酢酸の一部または全部を他の貧溶媒で置換することもできる。
この方法において、粗製6FDAをケトン溶媒に溶解した溶液に対して、この溶液から重金属分を除去する処理を行うことが好ましい。この目的は、カチオン交換樹脂や重金属吸着用のキレート樹脂を用いて溶液を処理することでもある程度は達成されるが、重金属の除去効率の点で、ゼータ電位吸着フィルター、即ち、濾材による機械的な濾過機能に加えて、ゼータ電位による吸着機能も示すフィルター、を用いた濾過により行うことが好ましい。ゼータ電位吸着フィルターの市販品の例は、キュノ社製のゼータプラスTMである。もちろん、この重金属除去処理に加えて、活性炭処理も併用できる。粗製6FDAのケトン溶液をゼータ電位吸着フィルターで濾過してから、上記のようにケトンを不完全に留去し、酢酸を加えてから6FDAを晶析させることにより、重金属の合計含有量が1ppm 未満の非常に高純度の6FDAを得ることができる。また、晶析時の溶媒を酢酸とケトンとの混合溶媒とすることにより、最初に粗製6FDAをケトンで溶解するにもかかわらず、収率の著しい低下も回避できる。
洗浄と晶析のいずれの方法においても、単離された精製6FDAを最後に乾燥して製品化する。
以下の実施例は本発明を例示するものであり、本発明を制限する意図はない。実施例において、6FDAの純度は液相クロマトグラフィーによる測定値であり、重金属の含有量はICP発光分光分析による測定値である。%は、特に指定しない限り質量%である。
(実施例1)
純度98.9%、Co含有量199 ppm の粗製6FDA (乾燥品) 100 gに、アセトン 100gと酢酸 100gとを加え、60℃で1時間撹拌した後、10℃まで冷却し、このスラリーを濾過し、濾過ケーキを110 ℃に加熱して乾燥し、79gの精製6FDAを得た。60℃での攪拌中も6FDAは完全には溶解しなかったので、この精製は洗浄法であると言える。得られた精製6FDAの純度は100.0 %、Co含有量は2ppm 、収率は80%であった。
(実施例2)
純度98.9%、Co含有量199 ppm の粗6FDA (乾燥品) 100 gに、アセトン70gと酢酸 140gと無水酢酸 1.4gとを加え、60℃で1時間撹拌した後、15℃まで冷却し、このスラリーを濾過し、濾過ケーキを実施例1と同様に乾燥して、89gの精製6FDAを得た。得られた精製6FDAの純度は99.9%、Co含有量は2ppm 、収率は89%であった。
(実施例3)
純度98.9%、Co含有量199 ppm の酢酸/無水酢酸混合溶媒で濡れている粗製6FDAのケーキ169 g (乾燥品換算100 g、従って上記混合溶媒69gを含有) にアセトン 700gを加えて、室温で6FDAを完全に溶解させた。このアセトン溶液を活性炭処理した後、ゼータ電位吸着フィルター (キュノ社製ゼータプラス) で濾過して、重金属分を除去した。これらの処理はいずれも室温で行った。濾過後のアセトン溶液から 630gのアセトンを留去して (70gのアセトンと約70g分の酢酸が残る) 溶液を濃縮した。得られた濃縮液に酢酸70gを添加し、15℃まで冷却した後、スラリーを濾過し、濾過ケーキを110 ℃に加熱して乾燥し、88gの精製6FDAを得た。得られた精製6FDAの純度は99.9%、Co含有量は0.1 ppm 、収率は88%であった。実施例2に比べて、6FDAの純度と収率は同レベルであるが、重金属含有量が著しく低減した。
(実施例4)
純度99.0%、Co含有量171 ppm 、Mn含有量156 ppm 、Fe含有量6 ppm の酢酸/無水酢酸混合溶媒で濡れている粗製6FDAのケーキ175 g (乾燥品換算100 g、従って上記混合溶媒75gを含有) にアセトン 700gを加えて、室温で6FDAを完全に溶解させた。このアセトン溶液を活性炭処理した後、実施例3と同じゼータ電位吸着フィルターで濾過して、重金属分を除去した。これらの処理はいずれも室温で行った。濾過後のアセトン溶液から 630gのアセトンを留去して (70gのアセトンと約75g分の酢酸が残る) 溶液を濃縮した。得られた濃縮液に酢酸65gを添加し、15℃まで冷却した後、スラリーを濾過し、濾過ケーキを110 ℃に加熱して乾燥し、88gの精製6FDAを得た。得られた精製6FDAの純度は99.9%、Co含有量0.1 ppm 、Mn含有量0.1 ppm 、Fe含有量0.1 ppm で、収率は88%であった。本発明の精製方法は、Co以外に他の重金属を含有する粗製6FDAの精製にも有効であることがわかる。
(実施例5)
実施例3において、アセトンをTHFに代えた以外は同様の操作を行った。得られた精製6FDAの純度は99.9%、Co含有量は0.1 ppm 、収率は83%であった。実施例3に比べると、収率はやや低下するものの、良溶媒としてTHFを使用しても、効果的に6FDAを精製できた。
(実施例6)
実施例3において、アセトンをアセトニトリルに代えた以外は同様の操作を行った。得られた精製6FDAの純度は99.9%、Co含有量は0.1 ppm 、収率は85%であった。実施例3に比べると、収率はわずかに低下するものの、良溶媒としてアセトニトリルを使用しても、効果的に6FDAを精製できた。
(実施例7)
実施例3において、アセトン濃縮後に添加する貧溶媒をシクロヘキサンに代えた以外は同様の操作を行った。得られた精製6FDAの純度は99.9%、Co含有量は0.1 ppm 、収率は88%であった。貧溶媒がシクロヘキサンであっても効果的に6FDAを精製できた。
(比較例1)
粗製6FDAの湿潤ケーキ169 gに、酢酸161.5 gと無水酢酸8.5 gとを加え、130 で1時間加熱して6FDAを溶解し、不溶物を濾別後、濾液を15℃まで冷却し、析出した結晶を濾過して、86gの精製6FDAを得た。得られた精製6FDAの純度は99.2%、Co含有量は9ppm 、収率は86%であった。酢酸/無水酢酸の混合溶媒で精製する従来法では、晶析法を採用しても、純度とCo含有量のいずれも、実施例より悪い結果となった。
(比較例2)
実施例3において、アセトンをメタノールに代えた以外は同様の操作を行ったが、6FDAがメタノールと反応したため、6FDAを全く回収することができなかった。

Claims (6)

  1. 粗製の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ジ(3,4−ジカルボキシフェニル) プロパン二無水物 (6FDA) を、ケトン、テトラヒドロフランおよびアセトニトリルよりなる群から選ばれた良溶媒と酢酸および脂肪族炭化水素よりなる群から選ばれた貧溶媒との混合溶媒を用いて晶析または洗浄により精製することを特徴とする、6FDAの精製方法。
  2. 混合溶媒における良溶媒と貧溶媒との比率が1:0.2 〜1:10の範囲内である、請求項1に記載の6FDAの精製方法。
  3. 粗製の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ジ(3,4−ジカルボキシフェニル) プロパン二無水物 (6FDA) をケトン、テトラヒドロフランおよびアセトニトリルよりなる群から選ばれた良溶媒に溶解し、得られた溶液から該良溶媒を不完全に留去した後、酢酸および脂肪族炭化水素よりなる群から選ばれた貧溶媒を添加して6FDAを晶析させ、晶析した結晶を分離することを特徴とする、6FDAの精製方法。
  4. 前記溶液から良溶媒を不完全に留去する前に、この溶液から重金属を除去する処理を行う、請求項3に記載の6FDAの精製方法。
  5. 前記重金属除去処理が、ゼータ電位吸着フィルターによる濾過である、請求項4に記載の6FDAの精製方法。
  6. 貧溶媒を添加した後の溶媒中の良溶媒と貧溶媒との比率が1:0.2 〜1:10の範囲内である、請求項3〜5のいずれかに記載の6FDAの精製方法。
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