JP2010036229A - 連続鋳造用ノズル - Google Patents

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Abstract

【課題】内孔側層にMgO−CaO系の材質を適用した連続鋳造用ノズルにおいて、その内孔側層と本体材質である外周側層との熱膨脹差に起因する外周側層の押し割れを防止し、内孔側層を外周側層に所定の配置での固定をなし得る性状を備えると共に、鋳造途中の内孔側層の剥落を防止すること。
【解決手段】中間層1として、粒の平均半径Rと前記粒の平均の壁の厚みtの比がR/t≧10を満たす中空耐火骨材を10体積%以上75体積%以下含み、かつ当該中空耐火骨材以外の残部に占める割合として、Al、Mg、Siの単体金属若しくは合金の1種又は複数種を、それらの金属成分のみに換算して合計で0.5質量%以上15質量%以下、炭素を2質量%以上99.5質量%以下含む耐火物を使用する。内孔側層2としては、MgO−CaO系の耐火物を使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶鋼が接触する内孔面に外周側層よりも高い熱膨脹性を有する内孔側層を配置した連続鋳造用ノズルに関する。
なお、本発明において「内孔側層」とは、連続鋳造用ノズルの溶鋼通過方向(垂直方向)を全長とするいずれかの位置の水平方向断面において、中間層よりも内孔側に存在する耐火物層を総称するものとし、内孔側層が複数の層からなる場合も含み、その場合の熱膨脹率は、その内孔側層の中のいずれかの層の最大の値とする。
また、本発明において「外周側層」とは、前記断面において、中間層よりも外周側に存在する耐火物層を総称するものとし、外周側層が複数の層からなる場合(例えば、AG質の外にZG質が存在する2層構造等)も含み、その場合の熱膨脹率は、その外周側層の中のいずれかの層の最小の値とする。
取鍋からタンディッシュに溶鋼を排出するロングノズルや、タンディッシュから連続鋳造用モールドに溶鋼を注入する浸漬ノズルなど(以下、総称して「連続鋳造用ノズル」という。)、内部に溶鋼等の高温度物体が滞留又は通過する内孔を有する管状耐火物は、その内孔側と外周側で温度勾配が生じる。とくに溶鋼の排出・通過開始時には、内孔側又は外周側が急激に昇温されるので、その現象は顕著になる。
このような温度勾配は、耐火物が単層であるか複数層であるかにかかわらず耐火物の内部に応力の歪みを生じさせ、管状耐火物に外部の割れ等の破壊を生じさせる原因の一つになっている。この温度勾配が大きいほど、また内孔側層の熱膨脹率が外周側層の熱膨脹率よりも大きいほど、熱応力が大きくなって特に外周側層の破壊の危険性は高くなる。
この温度勾配(熱応力)に起因する破壊の一般的な対策としては、例えば、連続鋳造用ノズルを構成する耐火物に黒鉛を多量に含有させる、熱膨脹量の小さい溶融シリカなどを添加ないし増量するなどの、高熱伝導率化、低膨脹化、低弾性率化等による熱応力の低減がある。しかし、黒鉛や溶融シリカの増量は一方で耐酸化性の低下や溶鋼成分等との反応性が増すため、耐摩耗性や耐食性等の特に内孔側の耐用性の低下を招く弊害がある。
また、連続鋳造用ノズルの内孔面には溶鋼流が激しく衝突しながら通過するので、とくに内孔面近傍は、溶鋼や溶鋼中の非金属介在物等による摩耗、溶鋼中の酸化性成分等による組織の脆弱化と流失、FeOその他の溶鋼中成分との反応溶損等の損傷が大きい。
さらに近年は、アルミナ等の溶鋼中の非金属介在物の増加もあって、連続鋳造用ノズルの内孔面にはアルミナを中心とする介在物の付着ないしは内孔の閉塞も、連続鋳造用ノズルの寿命を決定する大きな要素の一つとなっている。
このような状況の中、連続鋳造用ノズルの高耐用化や安全性(安定鋳造)の要求はますます高まっている。
これらの要求に応えるため、耐熱衝撃性の優れた材質の耐火物を連続鋳造用ノズルの本体部分即ち外周側層に適用して連続鋳造用ノズルの基本的な骨格となる部分を構成し、溶鋼流と接触する内孔面を有する内孔側層には、耐摩耗性や耐食性等に優れた材質の耐火物を配置することにより、連続鋳造用ノズルの寿命延長が図られてきた。
とくに内孔側層に関しては多様な高機能化が進められており、最近では、炭素含有量の少ない材質、黒鉛を全く含まない材質や、耐摩耗性、耐溶損性に優れる成分、例えば塩基性成分を含む材質を内孔面に内張りすることも珍しくない。さらには浸漬ノズル内孔面へのアルミナ成分等の付着及び閉塞現象を低減ないし防止するために、浸漬ノズル内孔面にアルミナ成分と反応性の高いCaO成分を含有する耐火物層を内装した浸漬ノズルの適用が進められてきている。
このような高機能の耐火物は、熱膨脹を緩和する機能の大きい黒鉛等の含有量が少なく、高い熱膨脹性を有する耐火骨材を多量に含有するので、内孔側層を高膨脹化し、また炭素含有量の低減に伴う、内孔側層の外周側層に対する相対的な熱伝導率の上昇による熱勾配の増大も加わって、内孔側層と外周側層の熱膨脹量の差及びそれによる熱応力はますます増大する傾向にあり、連続鋳造用ノズルのとくに外周側層の破壊の危険性はいっそう増大している。
このような高膨脹性の内孔側層の熱応力による破壊を防止するための試みとして、例えば特許文献1には、CaOを20質量%以上含有する耐火物製スリーブを内装した連続鋳造用ノズルにおいて、前記スリーブ外周面若しくは前記スリーブが装着される部分の本体内孔壁面の一部または全体、あるいは挿入された前記スリーブと本体内孔壁面間に形成される目地部に対して、耐火性骨材とバインダーとを混合した接着材を施して、乾燥された目地部接着材の気孔率を15〜90%に調整した連続鋳造用ノズル内孔用耐火物製スリーブの接合構造が示されている。また、その目地部接着材の気孔率は、接着材を構成する溶剤とバインダーの増減あるいは充填量を変えることで調整することが示されている。これは応力緩和能を、モルタルの気孔率即ちモルタル組織の中の空間によって得ようとするものであって、その程度はモルタル(接着材)を構成する溶剤とバインダーの増減あるいは充填量を変えることで調整しようとするものである。
しかしながら、このような調整方法で高い応力緩和能を得るためには多量の液(溶剤とバインダー)を要することから、モルタルに流動性が生じ、保形性が著しく低下する等の弊害があり、必要なモルタル層の厚みや充填層を確保することが困難である。具体的には、外周側層である連続鋳造用ノズル本体にこのような高流動性又は保形性の低いモルタルによって内孔側層を設置する作業において、内孔側層が偏ってモルタル層の厚みが殆どない部分や過剰に大きい部分が生じたり、空間部が多数生じたりすることが多い。これらにより応力緩和機能、溶鋼その他の侵入物の抑制機能等を確保できないで、とくに外周側層の破壊や内孔側層の脱落等を生じる。
また、このようなモルタル層で内孔側層を外周側層(連続鋳造用ノズルの本体)への所定の配置での固定をなし得たとしても、このようなモルタル層では必然的に密度の低い組織及び組織結合の弱い構造となって低強度となっているので、熱間で応力を緩和する際にはもちろん、ノズルのハンドリングの際等の弱い外力でも破壊して、安定した構造体を維持することが困難となる。このため、内孔側層の剥離やずれ等を招来しやすくなる等の問題がある。
さらには、このようなモルタル層は高気孔率であるとともに組織中の大きな気孔が連続して存在することから、その気孔(破壊して拡張した気孔を含む)を経路としてモルタル層への溶鋼やスラグ成分等が浸透し、モルタル層の溶損や破壊も生じる等の問題がある。
加えて、モルタル施工では作業性を得るために液体を多量に含有しているので、液体が接着対象の耐火物中に吸収されて充填されたモルタルの固形分濃度が変化しやすい。このことは、見掛け気孔率の異なる隣接する耐火物材質との接触により、可塑性や結合性を与えているモルタル中の溶媒が吸収されるためにモルタルの可縮率や接着力が部位毎に変化することを意味しており、隣接する材質や、モルタル目地厚さによって可縮性や接着性が安定しない問題を抱えていることになる。更に、吸収や乾燥過程でのモルタル層自体の収縮やの亀裂や対象耐火物との間に空隙や剥離を生じたりする問題を生じやすい。また、液体が減少する際に骨材微粒子が相互に凝集してモルタル層内に亀裂や剥離などが発生しやすくなるため接着性面で問題が発生しやすい。
また、例えば特許文献2には、内孔側層にのみカーボンを含まない、即ち高熱膨脹性、高耐食性の耐火物層を配置し、それ以外の外周側層にカーボン含有の、即ち耐スポ−リング性に優れる耐火物層を配置した2層構造とし、この層間にポリプロピレン、ナイロン等の可燃物を成形時にセットして焼成し、形成される分離層を耐火物層間の接触面の少なくとも80%以上とし、この分離層によって内孔側層と外周側層を相互に分離した鋳造用ノズルが開示されている。
しかし、この特許文献2の構造では、内孔側層と外周側層との間の20%未満で接着部分を有している。仮に僅かな接着部分であっても、この接着部分を介して内孔側層から外周側層へと押し割り応力の伝達が行われるため割れ現象の起点となってしまう。また、接着部分が0%の場合は、内孔側層を構造体として保持できなくなる基本的な問題が生じる。さらに、特許文献2の分離層のような、いわゆる空間の目地では、その目地部に溶鋼が容易に浸入し、温度変化を受けた際に溶鋼の凝固収縮や加熱時の鋼の膨脹により耐火物へ亀裂が発生したり、内孔側層が外周側層と接着していないために剥落するといった問題が発生する。
さらに、とくに内孔側層にMgO−CaO系の材質を適用する場合には、内孔側層の組成と中間層との組成によっては、内孔側層と中間層とが直接接触する部分では接着を超えて、逆に溶融流出等を生じやすく、ひいては内孔側層の溶損、剥離、固定力の減少、中間層の崩壊や層間の空間化と溶鋼の侵入等を惹き起こす等の問題がある。
このように、高膨脹な内孔側層を内装した連続鋳造用ノズルの応力緩和層には、内孔側層からの熱膨脹による応力を緩和する機能に加え、溶鋼やスラグ成分の浸透を抑制するような大きな気孔が連続して存在せず、かつ設置作業において必要な厚みや充填組織を得ることのできる性状と保形性を有し、さらに内孔側層の熱膨脹による応力に至らない程度の外力によっては破壊しない程度の強度を備え、また、内孔側層が外周側層から剥落しない程度の支持機能が必要であるが、これらの機能を兼備したモルタル層は未だ得られていない。
国際公開第03/086684号パンフレット 特開平7−232249号公報
本発明の課題は、内孔側に高耐食性、高い付着防止性等の高機能の層を配置して耐用性を高めた連続鋳造用ノズルにおいて、その内孔側層と本体材質である外周側層との熱膨脹差に起因する外周側層の押し割れを防止し、内孔側層を外周側層(連続鋳造用ノズルの本体)に所定の配置での固定をなし得る性状を備えると共に、鋳造途中の内孔側層の剥落を防止する機能を備えた連続鋳造用ノズルを提供することにあり、とくに内孔側層にMgO−CaO系の材質を適用する場合に好適な中間層用の耐火物(モルタル)を使用した連続鋳造用ノズルを提供することにある。
本発明は、
(1)溶鋼が接触する内孔面の全部又は一部の領域が、内孔面から順に内孔側層、中間層、外周側層の複数層構造であり、かつ、前記内孔側層の熱膨脹が、その内孔側層に対応する領域の外周側層の熱膨脹より大きい連続鋳造用ノズルにおいて、
前記中間層は、粒の平均半径Rと前記粒の平均の壁の厚みtの比がR/t≧10を満たす中空耐火骨材を10体積%以上75体積%以下含み、かつ当該中空耐火骨材以外の残部に占める割合として、Al、Mg、Siの単体金属若しくは合金の1種又は複数種(以下「特定金属」という。)を、それらの金属成分のみに換算して合計で0.5質量%以上15質量%以下、炭素を2質量%以上99.5質量%以下含み、
前記内孔側層が、CaO成分とMgO成分をその合量で80質量%以上含み、CaOとMgOとの質量比(CaO/MgO)が0.2〜1.5であって、
前記内孔側層中のCaO含有量の当該内孔側層における質量割合を、前記中間層中のAl、SiO及びアルカリ金属酸化物の合量の当該中間層における質量割合で除した値が10以上である連続鋳造用ノズル(請求項1)、
(2)前記中間層の耐火物内の中空耐火骨材が、SiOを70質量%以上、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物を合計で1質量%以上10質量%以下を含むガラス質の組織を含む請求項1に記載の連続鋳造用ノズル(請求項2)、
(3)前記中間層の耐火物の2.5MPaの加圧下の可縮率が10%以上80%以下であり、 かつ、下記の式1を満たし、
前記中間層の耐火物は、1000℃以上1500℃以下の非酸化性雰囲気の熱間において、当該耐火物以外の連続鋳造用ノズルに使用する耐火物と0.01MPa以上1.5MPa以下の接着強度を備える請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造用ノズル(請求項3)
K ≧ [(Di×αi−Do×αo)/(2×Tm)]×100 … 式1
ここで、
K(%)は中間層の可縮率
Diは内孔側層の外径(mm)
Doは外周側層の内径(mm)
Tmは中間層の室温における(初期)厚み(mm)、
αiは内孔側層の耐火物の室温から1500℃までの範囲における最大の熱膨脹率(%)
αoは外周側層の耐火物の通鋼開始時の温度における熱膨脹率(%)
である。
以下、詳細に述べる。
内孔側層による外周側層の亀裂や押し割りに起因する連続鋳造用ノズルの破壊は、内孔側層の熱膨脹が外周側層の熱膨脹よりも大きい場合、とくに内孔側層の耐火物の熱膨脹特性(本発明では温度上昇に伴う線膨脹率と同義)が外周側層の耐火物の熱膨脹特性よりも大きい場合に顕著に生じる。
内孔側層の熱膨脹による応力は、連続鋳造用ノズルの水平方向断面における半径方向の圧縮応力として作用し、さらに連続鋳造用ノズルが長尺側軸方向の端部にも外周側層を有する構造の場合には、その軸方向の圧縮応力としても外周側層に作用する。そしてこれらの圧縮応力は外周側層内にて、半径方向の圧縮応力は円周方向の、軸方向の圧縮応力は同じ軸方向の引張り応力に転化し、外周側層の引張り強度を超えたところで、前者の場合は軸(縦)方向の、後者の場合は水平(横)方向の亀裂を生じて、外周側層を損傷させる。
このような関係にある内孔側層と外周側層との間に、応力を緩和する機能を付与する手段として、本発明では、予熱終了時以降、少なくとも溶鋼の通鋼開始(本発明においては浸漬ノズル内の鋳造開始、ロングノズルのタンディッシュへの溶鋼注入開始も同義。以下同じ。)時点の状態で可縮性を有する中間層を設置する。
このような中間層を設置することで、内孔側層の熱膨脹は外周側層に直接作用することなく中間層への圧縮応力として作用する。この際、中間層自体が圧縮応力に応じて半径方向の厚み、あるいは軸方向の厚みを小さくする、言い換えるとその体積を縮小することで、内孔側層の膨脹による応力を緩和させることが可能となる。本発明において、このような厚みや体積を縮小することができる性質を可縮性という。
本発明において、この中間層を構成する耐火物の可縮性は主として、耐火物の構成原料の一つである中空耐火骨材により得る。
この中空耐火骨材により可縮性が得られ、熱膨脹による応力が緩和される主なメカニズムは次の2点である。
(1)内孔側層の熱膨脹により中空耐火骨材がその破壊強度以上の応力で加圧され、中空耐火骨材の壁面が破壊して体積が縮小し、その破壊によって生じた空間容積が内孔側層の熱膨脹の吸収代となる。この過程は主に中空骨材粒子の軟化前に荷重を受けた場合に発生する。
(2)1000℃を超える高温域では、中空耐火骨材の壁が軟化し(温度により軟化の程度は異なる)、その軟化した中空耐火骨材が加圧されると容易に変形して体積が縮小し、その軟化変形〜縮小によって生じた空間容積が内孔側層の熱膨脹の吸収代となる。
中間層によって得ようとする可縮性の目標範囲について以下に説明する。
浸漬ノズルの一般的な外周側層の材質であるAl−C質を主とする材料系の耐火物の場合、一般的には外周側層の内壁面に数MPaの圧力を加えると破断する。例えば、最大引張り強度が6MPaのAl−黒鉛材質の外周側層を持ち一般的な連続鋳造用ノズル形状の円筒状で、かつ実用上ほぼ最小の径方向の構造を有する耐火物(外周側層の内径φ80mm、外周側層の外径φ135mm)の場合、管内壁面から圧力を負荷していくと、肉圧円筒の式から計算により内壁面に約2.5MPaの圧力を負荷すると破断に至ることになる。
予熱や鋳造開始ないし途中で、この外周側層の内孔側に中間層と内孔側層とを配した場合で内孔側層の熱膨脹に伴う外周側層にかかる応力を緩和するためには、中間層自体が変形挙動を示す必要がある。即ち内孔側層から外周側層にかかる応力は、中間層の変形(縮小)によって2.5MPa以下に止める必要があるということになる。
以上のことから、内孔側層の加熱ないし通鋼過程で、外周側層内に発生する引張り応力を2.5MPa以下、安全性をより高めるためにはさらにできるだけ小さい引張り応力に抑制することが好ましく、このような引張り応力値になるような圧縮応力値の下で、中間層自体が変形挙動を示す必要がある。
そして2.5MPaの加圧力下における中間層に必要な可縮性は、次式の可縮率K(%)で表すことができる。
K ≧ [(Di×αi−Do×αo)/(2×Tm)]×100 … 式1
ここで、
Kは中間層の可縮率(%)
Diは内孔側層の外径(mm)
Doは外周側層の内径(mm)
Tmは中間層の室温における(初期)厚み(mm)
αiは内孔側層の耐火物の室温から1500℃までの範囲における最大の熱膨脹率(%)
αoは外周側層の耐火物の通鋼開始時の温度における熱膨脹率(%)
Di及びDoは、軸方向の全域において対象となる部分の、軸方向に水平な方向の断面上の内孔側層及び外周側層の平面形状につき、それぞれ内孔側層の外周側面の位置、外周側層の内孔側面の位置の直径を意味する。またこれらの平面形状が円形ではない場合は、当該平面上の内孔側層の平面形状の中心から放射状に延びる同一直線上において、内孔側層の外周側面の位置をDi、外周側層の内孔側面の位置をDoとして、当該形状全体につき、前記式1を満たせばよい。
なお、軸方向端部における可縮性は、軸方向(垂直な方向)の軸の中心を通過する断面上の内孔側層及び外周側層の平面形状につき、上記式1において、Diを内孔側層の軸方向外側面位置を一端部とする他の端部までの軸方向の長さ、Doを外周側層の軸方向内孔側面位置を一端部とする他の端部までの外周側層の軸方向の長さに置き換えればよい。
ここでαiは内孔側層の耐火物の室温から1500℃までの範囲における最大の熱膨脹率(%)であるということは、実質的に溶鋼温度までにおける内孔側層の耐火物の最大の熱膨脹率を意味し、αoは外周側層の耐火物の通鋼開始時の温度における熱膨脹率(%)であるということは、予熱条件等の操業条件に応じて溶鋼の通鋼開始時に外周側層が曝される温度であって、その条件は各現場ごとに個別に決定するべきものである。なお、温度上昇に伴う熱膨脹率の測定は、JIS R 2207−1又はこれに準じた方法(但し、非酸化雰囲気内)により行うことができる。
連続鋳造用ノズルを予熱無しで使用する場合には、外周側層は室温(周囲の環境の温度)と同じであって、このときαoは熱膨脹率測定の基準点である室温における膨脹率、即ちほぼ「ゼロ」とみなすことができ、前記の式1は式2となる。
K ≧ [Di×αi/(2×Tm)] … 式2
この式2を満足する可縮率Kは最も厳しい条件、即ち内孔側層と外周側層との間の熱膨脹差が最大になる場合を考慮した可縮率となり、この式2を満足する可縮率以上であれば外周側層が破壊することはないが、より破壊しにくい安全性を確保するためには、全ての操業条件においてこの式2を満足する可縮率Kとすることが好ましい。
なお、この式1及び式2のKは、いずれも還元性ガスや不活性ガス雰囲気内の非酸化雰囲気又は表面に酸化防止材を塗布して空気等の酸化性のガス雰囲気内等の、対象の耐火物が酸化しない条件での値とする。実際の連続鋳造用ノズルの使用時の中間層は非酸化雰囲気である。また、前記Kの測定において対象の試料が酸化すると正確な性状を把握することができない。
本発明において、前述の中間層用の耐火物の可縮率は、10%以上80%以下を基準とすることが好ましい。
中間層の可縮率に応じてその中間層厚さを調整することにより、内孔側層の膨脹代を緩和することができるが、10%未満であると内孔側層と外周側層の熱膨脹率差から中間層の厚さを厚くせざるを得ず、連続鋳造用ノズルの肉厚に制限があるため、結果として本体材質の肉厚が薄くなり構造体としての強度に問題が生じる。また、80%より大きいと中間層の厚さは薄く設計できるため前述したような問題は生じにくいが、薄い中間層を形成する上での製造上の問題や内孔側層と外周側層との接着の強度低下問題が生じ易くなる。例えば、一般的に使用されている連続鋳造用ノズルの最小サイズ付近である外周側層の内径が約φ80mm、内孔側層の熱膨脹率が2.0%、外周側層の熱膨脹率が0.8%の条件を想定した場合、中間層の厚みが約4mmで中間層の耐火物に必要な可縮率は10%となり、最大サイズ付近である外周側層の内径が約φ150mm、内孔側層の熱膨脹率が2.0%、外周側層の熱膨脹率が0.8%の条件を想定した場合、中間層の厚みが約1.2mmで中間層の耐火物に必要な可縮率は約78%となる。
ここで、可縮率の下限値は1000℃、上限値は1500℃(いずれも非酸化雰囲気中)における測定値を基準とすることができる。可縮率の下限の基準を1000℃とできるのは、1000℃では、中空耐火骨材を含む耐火物の可縮性は殆ど中空耐火骨材の破壊によってもたらされ(厳密には耐火物のマトリクス組織の可縮性も若干加わる)、この破壊の特性は室温から1000℃程度以下の温度域ではほとんど同じであること、結合材成分中の揮発質成分が十分に飛散し炭素質結合組織が完成し、その耐火物のマトリクスの基本となる結合組織が形成されていること等で可縮率はほぼ下限値を示すと考えられること、そのためばらつきの少ない評価が可能であること、また1000℃から1500℃(溶鋼温度)の高温度域では、中空耐火骨材の破壊に中空耐火骨材の軟化特性等が加わり、1000℃における可縮率よりも高い傾向となること等の理由による。可縮率の上限の基準を1500℃とできるのは、内孔面が最高温度である溶鋼の温度に対し、中間層の温度が約1500℃程度であるからである。
前記の可縮率は、次のような方法により測定することができ、この測定値を前記の可縮率と同視することができる。
予め、成形圧力と同じ圧力で成形され熱処理後に可縮性を示す特性をもつ混合物からなる円柱状耐火物(φ20×5mmt)を、円柱状耐火物と同じ形状のカーボン質の拘束空間内に入れて、非酸化雰囲気下で所定の昇温パターンで熱処理を加え可燃性成分を消失させ円柱状サンプル(約φ20×約5mmt)を得る。この熱処理後の円柱状サンプルをφ20×40mmLの形状をもつ2本の耐火物製治具の端面間に配置する。さらに、挟み込まれた円柱状サンプルを長手方向から加圧する際に、その側面からのサンプルの剥落を防止するために、内径φ20mm/外径φ50mm高さ78mmの耐火物製で円筒状のサンプル用ガイドを当該サンプルに外挿して測定用サンプルとしてもよい。なお、溶媒を含むモルタルの可縮率を測定する場合、耐火物試験片端面の開孔気孔部に溶媒が浸入し可縮率が変化する恐れがあるため予め溶媒をしみ込ませたり、ワックス処理などをして浸透し難い耐火物試験片を用いる方が好ましい。
この測定用サンプルを温度、雰囲気、加圧速度が制御できる材料試験機の炉内に設置して、非酸化雰囲気で所定の温度まで昇温して、温度が均一になるまで保持した後、加圧を開始して測定を行う。まず、無加圧の状態での円筒状サンプルの初期厚みt(mm)を測定する。次に、測定用サンプルを所定の温度に保持した後に、クロスヘッド移動速度0.001〜0.01mm/secの範囲で円筒状サンプルを上下方向から圧縮して、2.5MPaまで加圧した後、その変位量h(mm)を測定する。また円筒状サンプルを挟み込む耐火物製治具の同荷重、同温度でのブランク値を測定するために、円筒状サンプルを挟まない状態で、同条件で加圧し変位量hを測定する。これらの測定値を次式にて計算することで各温度での可縮率K(%)を得ることができる。
K = (h−h)/t ×100 (%) … 式3
また、内孔側層が中間層により外周側層に成形時に一体化され連続した構造の実際の鋳造用ノズルからも測定することが可能である。外周側層より耐火物中心軸に対して直角に中心軸に向かってφ20mmのコアボーリングを行い、内孔側層、中間層及び外周側層を含む一体化した約φ20mmの、内孔及び外周側面に曲率をもったコアサンプルを得る。中間層の可縮率は、均一に加圧できるようにコアサンプルの上下面を水平に加工し耐火物製治具に接着するか、コアサンプル上下面と同じ曲率をもった耐火物製治具に接着するなどして、内孔側層、中間層及び外周側層を含む所定のφ20×80〜100mmLの測定用サンプルに加工する(ボーリングサンプルの上下面を均一に加圧できるようにする)。(測定用サンプルが前記大きさより小さい場合は、単位面積、単位長さ等の条件を計算により前記と同程度にして測定し、換算することも可能である。)上述した方法と同じく、無加圧の状態での中間層の初期厚みt(mm)を正確に計測し、また、所定の温度で非酸化雰囲気中で中間層の変位量hを測定すると共に中間層の無い状態でのブランク値での変位量hを計測し可縮率Kを算出する。実際のノズルからサンプリングすることにより、中間層の可縮性を正確に測定することが可能となる。
本発明において応力緩和のための可縮性は、前述のとおり主として中間層内の中空耐火骨材によって得ることができる。この可縮性の大きさは、中間層用の耐火物内の中空耐火骨材の体積割合にほぼ一致する。即ち中間層が中空耐火骨材を10体積%以上75体積%以下含むことで、可縮率が前記の1000℃において10%以上80%以下の要件を満たすことができる。なお、中空耐火骨材以外のマトリクス部分も若干の可縮性を有するが、中空耐火骨材を10体積%以上75体積%以下含むことで、マトリクス部分の可縮性の大小に異存せずに安定的な設計上の可縮性を得ることが可能となる。
ここで、中空耐火骨材の体積%は、その平均の粒子密度とその添加重量から算出した体積(即ち、中空耐火骨材自身の体積、骨材内の閉気孔の体積及び骨材表面の凹凸部の空間の体積)を中空耐火骨材の占める体積及びその他残部のマトリックス部の占める体積の和で除した値の百分率をいう。中空耐火骨材の体積%の算出方法は、配合中に使用している原料密度から算出する方法が最も正確であるが、顕微鏡組織写真などからによる中空耐火骨材の2次元的な情報を元に、線分法などの画像解析により、中空耐火骨材の体積分率の数値を代用することもできる。
本発明で使用する中空耐火骨材は、内部に空間を有し、外郭が壁によって形成されたものである。その耐圧強度は、1000℃未満の温度下(室温までの変化は殆どないので室温下での評価とすることができる。)では、骨材粒子1個当たりを2つの平面間で圧縮した場合に、連続鋳造用ノズルを前提とする設定最大加圧、即ち2.5MPa以下の圧縮応力で破壊するものであることが好ましい。
この耐圧強度を満足するためには、中空耐火骨材の平均半径Rとの平均の壁の厚みtとの比(R/t)が10以上であることが必要である。R/tが10未満であると2.5MPaの圧力下での破壊率が少なく、必要な可縮率を確保することができないことがある。
またこのR/tは60以下が好ましい。60を超えると、本発明の中間層の施工時やこの中間層を設置した連続鋳造用ノズルのハンドリング等の機械的な衝撃でも中空耐火骨材が破壊して中間層の安定性を損なう可能性が大きくなるからである。
ここで平均半径とは、中空耐火骨材粒子単体について、投影又は中央付近の断面の、最大寸法と最小寸法を単純平均した値、又は任意の複数の点の加重平均値等をいう。
前記のR/t比を満足する中空耐火骨材の大きさ(粒の平均半径R)は、中間層の中に均一に分散させて中間層内の可縮性挙動を均一化するためにも、微細である方がよい。このような中空耐火骨材粒子の大きさの上限は、設置する当該耐火物による層(中間層)の厚みやその設置(施工)方法等によっても異なる相対的なものなので、絶対値で特定することは適当ではない。しかし、本発明の耐火物を適用する連続鋳造用ノズルの産業上の現実的な大きさから、その中間層の厚みを考慮すると、中間層の下限厚みは約1mm程度(一般的には設置時の作業性、品質等、さらには連続鋳造用ノズルの合理的な構造等を考慮して数mm程度である。また上限は可縮率の要素もあって広範囲に及ぶ。)であることから、このような厚みの層内に中空耐火骨材を均一に分散させることはその径が大きくなるにしたがい困難になる。例えば内孔側層と外周側層との間に中間層となる耐火物を充填する(目地モルタルと同様な方法や流し込みの方法で充填する)際には、粗大な中空耐火骨材粒子はその施工時から既に分離傾向となって偏析しやすく、さらには平均半径Rが大きいほど割れやすくもなる。これらの結果として中間層内の部分ごとの可縮性にもばらつきが生じる。このような理由から、中空耐火骨材粒子の最大半径は250μm以下であることが好ましい。
また、中空耐火骨材の最小半径は2.5μm以上が好ましい。最小半径が2.5μm未満であると、均一性の面では好ましいものの、耐圧強度が高くなる傾向となって2.5MPa以下の圧縮応力では破壊しない割合が大きくなり、可縮量が減少する傾向になるので好ましくない。
なお、本発明において最大半径とは、升目の1辺が設定の半径粒子の直径の大きさを有する網目を通過したもの、又はこれに相当する方法で分級されたものをいい、最小半径とは、升目の1辺が設定の半径粒子の直径の大きさを有する網目を通過しないもの、又はこれに相当する方法で分級されたものをいう。
また、中空耐火骨材は、その外郭形状が球状あるいは丸みを帯びていることが好ましい。中空耐火骨材が球状あるいは丸みを帯びていることで、骨材粒子相互が点接触となって、接触部が広い面等の場合に比較してばらつきの小さい応力(ここでは2.5MPa以下)で中空耐火骨材の壁が破壊し、安定的な耐圧強度を得やすい。また、内孔側層と外周側層(連続鋳造用ノズル本体部)との間隙に、モルタル状にした中間層を充填又は塗布して配置する場合に、その間隙での中間層の流動性が改善されて溶液を過剰に使用する必要がなく、また偏析を少なくすることもできる。充填時の作業性を得るために必要とする流動性付与を目的とする揮発分を多く含む液を多量に使用する場合は、中間層の耐火物の接着性や強度の低下を招くおそれがある。
このような中空耐火骨材としては、とくにガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーンなどの呼称で知られるガラス質を含む中空耐火骨材が好ましい。さらに、このガラス質を含む中空耐火骨材の化学組成は、SiOを70質量%以上、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物を合計で1質量%以上10質量%以下を含むガラス質の組織を含み、残部(SiO、アルカリ金属及びアルカリ土類金属酸化物以外の部分)が中性酸化物やSiO以外の酸性酸化物成分からなるものが好適であり、具体的には残部がAlからなる、アルミノ珪酸塩系が最もよい。
このような組成、とくに残部がAlからなるアルミノ珪酸塩系では、軟化点が1000〜1400℃(ここで「軟化」とは、2.5MPa以下の加圧下で、破壊とは別に外形状に変形を生じる状態をいう。)となり、中間層が高温域で軟化変形を起こしやすくなるため熱間での可縮量の増大をもたらす。
また、このような中空耐火骨材は、軟化以前の低温域即ち約1000℃未満では2.5MPa以下の加圧時に脆性破壊により可縮性を発現するが、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属を合計で1質量%以上10質量%以下を含むガラス質の組成にすることにより、約1000℃以上1500℃(溶鋼温度)以下の高温度域で軟化変形しやすくなることで、その体積を縮小して応力吸収機能や熱間強度の発現に寄与することができる。
SiOが70質量%未満、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の合計が10質量%より多い場合や、SiOが70質量%以上、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物が合計で10質量%より多い場合は、溶融ガラスの粘性から中空原料を製造する上での問題が生じたり、高温粘性が低いために内孔側層を保持するための接着力で問題が生じやすい。一方、SiOが70質量%未満で、アルカリ金属酸化物の合計が1質量%未満の場合や、SiOが70質量%以上でアルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物が合計で1質量%未満の場合は、ガラス組成の粘性が高すぎる傾向があり、中空原料製造上の問題が生じたり、高温域での軟化変形挙動や内孔側耐火物層を保持するための粘着力が低下する問題がある。
なお、本発明における中空耐火骨材の組成の特定にあたっては、非酸化雰囲気における揮発分や可燃物は含まないものとする。具体的には約600℃以上の非酸化雰囲気での熱処理後の試料を基準にする。
そして、このような中空耐火骨材は、応力によって破壊や軟化して体積を縮小する以前には、耐火物組織中では体積を有する骨材として存在するので、当初から空間を配置した通常のモルタル等と比較して、中間層としての高い強度の発現や維持、高い応力分散機能、溶融金属や空気等の外部からの流体の侵入ないし通過を大幅に減少させることができる。即ち、後述の層自体の安定性、連続鋳造用ノズルの層構造の安定性等にも寄与することができる。
このような中間層は、連続鋳造用ノズルの搬送や設置、予熱、通鋼の各々の段階において、それらの各段階で受ける外力によっても内孔側層のずれ、剥離、破壊等を生じさせないことが必要である。
単に耐火物のマトリクス組織内に空間を多量に存在させたモルタルは、収縮後に組織を破壊するので、中間層自体の脆弱化や接着強度の低下を招き、層自体の崩壊を来すことになる。ひいては内孔側層の剥離や破壊、層間への溶鋼等の侵入等を惹き起こす危険性が極めて高くなる。
多くの鋳造中の内孔側層に関係するトラブルは、このような中間層の接着性が不足する場合があることが原因であったことが判明した。したがって、とくに内孔側層の熱膨脹により中間層自体が収縮した後の、高温度での溶鋼の通過中に、中間層を介して一定の強度を保持しながら内孔側層が外周側層と安定した接着性を維持しておく必要がある。
本発明の中間層の耐火物の可縮性は前述のとおり、主として中空耐火骨材の破壊、変形等により実現するので、マトリクス組織部分は従来技術のモルタルと比較して高強度、緻密質である。したがって、強度の脆弱化や接着強度の低下を大幅に抑制する。
また、中空耐火骨材は中間層の耐火物組織中で一定の応力が加わった場合に、その可縮性を必要とする部分のみが破壊するか、1000℃以上1500℃(溶鋼温度)以下の非酸化雰囲気の熱間においては軟化により変形し、それらによって応力を緩和して連続鋳造用ノズルの破壊等を防止する。同時に応力緩和を必要としない部分では、中間層の耐火物の骨格をなす骨材としての形状を維持する。
中空耐火骨材が破壊や軟化変形を生じる場合には、中空耐火骨材はその周囲のマトリクス等から圧縮応力を受けた部分のみの壁を骨材粒子内部に向かって破壊又は変形させながら外形の体積を縮小する。また、中空耐火骨材の破壊又は軟化による変形は、小さな粒の中空耐火骨材が組織内に分散していることからマトリクス組織に局部的な大きい変形をもたらすことはなく、従来の高気孔率のモルタルのように、保形性を維持できない程度のマトリクス組織の破壊を来すことはない。
その結果、中空耐火骨材はその周囲の組織との密着性を保った状態のまま、即ち中空耐火骨材の周囲の組織に空隙を生じることなく、破壊のない耐火物組織中で骨材としての形態を維持したまま存在することができる。このことにより、中間層は内孔側層及び外周側層との接触面に気孔や空間が生じることが殆どなく、健全な緻密組織を維持しつつ、内孔側層の膨脹による外力を受けながら、常時、内孔側層及び外周側層との間で密着性を保つことができる。
しかし、中間層と内孔側層及び外周側層との接触面間にはさらに積極的な接着性を付与することが好ましい。
そこで、本発明では中間層の接着性を強化する手段として、金属の高温度での反応による炭化物等の生成を利用する。即ち、本発明の中間層用の耐火物は、10体積%以上75体積%以下の中空耐火骨材以外の残部として、当該残部の総量に占める割合で、Al、Si、Mgの単体金属若しくは合金の1種又は複数種(特定金属)を、それらの金属成分のみに換算して合計で0.5質量%以上15質量%以下、炭素を2質量%以上99.5質量%以下含む。なお、本発明における中空耐火骨材の組成の特定にあたっては、非酸化雰囲気における揮発分や可燃物は含まないものとする。具体的には約600℃以上800℃以下程度の非酸化雰囲気での熱処理後の試料を基準にする。
このように前記残部中に特定金属と炭素を分散させて併存させることで、通常の耐火物の構成原料間の結合や保形等の目的で使用される樹脂等に由来する炭素結合等に加えて、約800℃以上、とくに約1000℃以上の熱間において中間層の接着強度及び耐火物組織自体の結合強度を強化することが可能となる。
この作用は次のように考えられる。これらの特定金属は炭素との共存によって鋳造途中に還元雰囲気に曝されることになるので、特定金属成分であるMg系ガスやAl系ガスなどが蒸発し、一部が金属炭化物や金属酸化物として耐火物組織中の酸素分圧の比較的高いと思われる気孔部分等に析出し接着(以下単に「デポジット」という。)する。またそのような当該耐火物内部の気孔部分以外にも、当該耐火物の隣接部分等、とくに酸素成分を含有する溶鋼と中間層との接触界面近傍の気孔や空隙部分等には、これら特定金属の酸化物が集中してデポジットする。
約800℃よりも低い温度における中間層の耐火物としての強度、接着性は、第一次的には樹脂等に由来する炭素結合により担う。約800℃以上、とくに約1000℃以上の高温度においては、特定金属と炭素の反応により生成する炭化物、前述のデポジットにより生成する酸化物等による結合組織が樹脂等に由来する炭素結合等に加わって結合を強化する。
これにより、中間層の耐火物組織内強度が強化され、内孔側層や外周側層との接着力も強化される。さらに中間層中への溶鋼等の浸透を防止する顕著な効果が得られる。(以下これらデポジットによる結合組織を「再結合組織」ともいう。)
本発明の耐火物では、中空耐火骨材が破壊や変形して縮小しても、中空耐火骨材以外のマトリクス組織の構造が大きく損傷することはない。また、結合組織及びマトリクス組織に部分的な損傷が生じた場合にも、前記の再結合組織が形成され、中間層自体のマトリクスの結合組織を再生又は強化すると共に、当該中間層と内孔側層及び外周側層との間の接着強度向上にも寄与する。この結果、約1000℃以上の高温度において接着強度は低下せず向上する。
このような中空耐火骨材と特定金属及び炭素による本発明の作用等は、受鋼開始前から多量又は大きいサイズの空間を存在させ、初期の樹脂等に由来する結合のみしか備えない、しかも可縮と共にその組織の破壊を進行させる形態のモルタル等の従来技術と決定的に異なる利点である。
接着性を接着強度により定量的に示すと、中間層は内孔側層と外周側層のそれぞれと、1000℃以上1500℃(溶鋼温度)以下の非酸化雰囲気の熱間において、0.01MPa以上1.5MPa以下の接着強度を備えることが必要である。なお、接着強度を備える前提として、中間層自体は接着強度と同程度以上の強度を有していることになるので、以下、接着強度のみについて述べる。
接着強度が0.01MPa未満の場合、内孔側層を保持する能力が小さいため、通鋼開始時の衝撃や溶鋼流速の変化などにより、また、内孔側層に局所的な溶損が発生した場合に剥落する可能性がある。また、接着強度が1.5MPaを超える場合は、中間層内部組織においても接着強度と同レベルの高強度の状態となって、中間層の可縮性を損なうことになり、内孔側層の熱膨脹が緩和されることなく外周側層に伝播されやすくなって、とくに外周側層の割れを惹き起しやすくなる。
この接着強度は、圧縮剪断強度Sとして評価することができる。圧縮剪断強度Sは図2に示すように外周側層3(4)に中間層1を介して内孔側層2が内装された3層構造を持つ管状サンプルを台8に載せて所定の熱間にて均一に加熱保持したのち、クロスヘッド9の移動速度0.001〜0.1mm/secの範囲で内孔側層2の上面部のみを圧縮して、その最大荷重P(N)と変位を測定し、次の式4により求められる。
S(Pa)=P/A … 式4
ここで、Aは内孔側層の中間層への接着面積(m)を表す。
サンプルの形状については管状であればとくに限定はなく、実ノズルから切り出して測定することも可能である。ただし、接着面積Aが大きくなると最大荷重Pも大きくなるため、サンプルの高さは100mm以内が好ましい。測定時の最低温度は1000℃とし、雰囲気は非酸化性雰囲気とする。1000℃が、有機質結合材成分中の揮発質成分が十分に飛散し炭素質結合組織が完成し、安定した可縮性及び接着状態を示す温度であり、さらに特定金属の反応〜デポジット等が始まる温度であるためである。
前記特定金属の含有量が前記残部中で15質量%を超えると、中間層の強度と接着性に関しては強化されることになるが、反面、金属炭化物結合による結合部分の組織が耐火物としての組織全体の中間層強度を高めることになるため、可縮性が損なわれて必要な可縮性を得ることが困難になる。また、特定金属が昇温過程から溶融し、マトリクス中の元の存在場所から流失する危険が生じ、層全体に均一な強度や接着力を得ることが困難になる。さらに、部分的なマトリクス組織の崩壊、層間の隙間等の形成をも招来して、それにより生じた空間等に溶鋼等の侵入も生じやすくなる。一方、特定金属の含有量が前記残部中で0.5%未満では、中間層自体の強度の向上や1000℃非酸化雰囲気中での0.01MPa以上の接着強度の向上が得られなかったり偏析を生じやすく、中間層の破壊や内孔側層の剥離、さらには溶鋼の浸入等を招来しやすくなる。
前記特定金属をAl、Si、Mgの成分に限定するのは、これらの特定金属成分のうちAl、Mgは酸素との親和性が高く、酸素を捕捉してAlやMgO等の耐食性に優れるデポジット物を形成すること等の理由により、Siは約1300℃以上の高温度域で中間層内の炭素と反応して強度、耐食性に優れるSiCを形成する等の理由による。またこれらの特定金属の純度は、できるだけ高い方が反応性、分散性の点から好ましいが、反応性を阻害しない限り、純度が低いものでもよい。
特定金属の粒径は、できるだけ小さい方が反応性、分散性の点から好ましい。しかし、粒径が小さくなるほど取り扱い上の危険性が増し、また空気中での酸化等も生じやすくなるので、粒径の下限値は約5μm、上限値は約300μmが好適であり、粒径が20μm以下で急激に表面積が大きくなって反応性が高まり、また分散性もさらに高まるので20μm以下がさらに好ましい。
前記特定金属と反応させるための炭素成分は、中間層の前記残部の総量に占める割合として、15質量%以上99.5質量%以下であることが必要である。
炭素源としては、昇温時に炭素を残留するフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂をはじめ、各種ピッチ、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維等を使用することができ、これら複数種を組み合わせることもできる。なかでも、特定金属との反応性を高め、また均一性を高めるために、炭素源にはカーボンブラック等の粒径ができる限り小さい炭素や結合組織に由来する無定形の炭素等(以下単に「微細炭素」という。)が含まれていることが好ましい。なお、室温から数百℃程度までの強度を付与する目的で、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の有機系接着材や樹脂を使用することもできる。
中間層の耐火物のマトリクス組織には、基本的な強度、接着力を担う前述の微細炭素に加え、さらに、連続的な結合組織やマトリクス組織の骨格を形成する基材となる黒鉛、炭素繊維等(以下単に「骨格基材炭素」という。)を含ませることが好ましい。とくに黒鉛はその層状の結晶構造に加え、扁平状の粒子形状であることもあって、フレキシブルで連続的な3次元構造を得ることができ、また炭素繊維も同様な3次元構造を得ることができるので、より好ましい。
このようなフレキシブルで連続的な3次元構造をマトリクスに形成することで、特定金属と反応した後の炭化物の介在する結合組織にも靱性を付与することが可能となり、応力により中空耐火骨材が変形又は破壊した際の、その周囲のマトリクスの崩壊を抑制し、層としての健全性をより高めることができる。
前記微細炭素と骨格基材炭素の具体的な割合は、前記の15質量%以上99.5質量%以下の全炭素中に占める割合として、アスペクト比が大きく3次元的な連続性を高める効果のある黒鉛やカーボンファイバーなどの骨格基材炭素の割合が70質量%から95質量%以下であることが好ましい。70質量%より少ないと3次元的な連続性が低下し柔軟性が損なわれるおそれがある。また、95質量%より多いと、低い接着強度にとどまることで、局部的な損壊が生じるおそれがある。
前述した、特定金属と炭素の共存により特定金属の稼働面でのデポジット効果による耐食性改善を補助的に改善する方法として、前記残部の構成物として耐食性に優れる耐火材料を併存させる方法がある。ただし、このような特定金属及び炭素以外の残部に他の成分からなる耐火材料を含む場合のその成分(以下単に、「他の成分」ともいう。)としては、内孔側層や外周側層と鋳造温度で低融化現象や揮発消失現象を起こさない成分を主とする耐火骨材の選定が必要である。鋳造温度で中間層が内孔側層や外周側層との接触により液相を生成すると、熱間接着強度が低下したり、過度な焼結等により可縮性を損なう程度に耐火物の強度が上昇したりするので好ましくない。また、当該耐火物の内部は強い還元雰囲気に曝されることから、例えば他の成分と安定な鉱物を形成していないSiO成分等の揮発性に富む成分では、炭素成分の消失をもたらしながらその成分自体も揮発して消失するので、好ましくない。
選択可能な骨材としては、Al、MgO、ZrO、Al・MgO系スピネルなどがあり、中間層と内孔側層との接触部分が低融物等を生成しないように、これら成分を内孔側層の材質に合わせて適宜選択する。例えば、内孔側層がCaOを含む系の耐火物である場合、MgO質の耐火骨材が好適であるし、内孔側層の材質がAl質やMgO質を主とする場合は、Al、MgO、Al−MgO系スピネルなどが好適である。また、このような前記他の成分中の耐火骨材のMgO純度が90%以上である場合は、内孔側層がAl系の場合やZrO系の場合にも好適であり、多様な内孔側層の成分に広く対応することができるので、好ましい。
このような他の成分を構成する耐火骨材の粒径は、分散性と中間層における上述の諸機能の均一性を高めるために、中間層の下限厚みを1mmとする場合は0.5mm以下であることが好ましい。
ここで、中間層の耐食性が必要となる場合とは、操業中の諸作用により内孔側層の欠損部分が生じた場合に耐食性に劣る外周側層に溶鋼等が直接接触することを抑制ないしは防止すること、及びそのような場合に中間層自体にも耐食性、耐摩耗性等を確保するためである。
連続鋳造用ノズルには、内孔側層自体の損傷による欠損部分、内孔側層とノズル本体(外周側層)との境界部分、ガス吹き込み用ガスプール部分や層間接合部分等の脆弱な部分の局部的な損傷部分のほか、例えば浸漬ノズルの吐出孔部分等の連続鋳造用ノズルの製造時における加工工程において連続鋳造用ノズルの製品としての状態で既に溶鋼に直接曝される部分が存在する又は存在する可能性がある。このような溶鋼に直接曝される部分の耐食性、耐摩耗性等が弱い場合、その部分の選択的な消失等により、内孔側層と外周側層との間に溶鋼が侵入する等の、連続鋳造の操業上致命的な連続鋳造用ノズルの破壊等を惹き起こすこととなる。
本発明の中間層用の耐火物は、浸漬ノズル、オープンノズル、取鍋ロングノズル、スライディングノズル(以下「SN」という。)、SN上部ノズル、SN下部ノズル(コレクターともいう)等の、内孔を溶鋼が通過する機能、構造を有する連続鋳造用ノズルに好適である。
このような連続鋳造用ノズルの内孔側層の材質はとくに制限する必要がなく、それぞれの連続鋳造の操業に応じてその連続鋳造用ノズルに求められる特性、具体的には例えば湯当部の耐摩耗性、内孔の耐食性、内孔へのAl等介在物付着防止等の、それぞれの目的に適う特性を有するAl質、MgO質、ZrO質等を含む耐火物(黒鉛その他の成分を含有していても構わない)を適宜使用することができる。外周側層についても同様にとくに制限する必要がなく、外周側層は通常連続鋳造用ノズルの本体部を構成する部分であることから、一般的なAl−黒鉛質や、モールドパウダー部分に高耐食性のZrO質等を含む耐火物を一部又は全部に使用していても構わない。
本発明の中間層用の耐火物の使用は、このような内孔側層、外周側層の耐火物材質の中でも、とくに内孔側層の耐火物の熱膨脹率が外周側層の耐火物の熱膨脹率より大きい組み合わせの場合に好適である。内孔側層と外周側層が同一の材質等で同一の熱膨脹特性を有するが温度勾配や熱衝撃が、それら耐火物が構成する連続鋳造用ノズルを破壊する程度に大きい場合にも、当然、使用できる。
以上の中間層に関する知見を基礎として、さらに内孔側層としてCaO−MgO系耐火物を配置する場合について特異な条件が存在することを本発明者らは見出した。
例えば特開2003-320444号公報に開示されているように、連続鋳造用ノズルにおいて内孔側層にCaO−MgO系耐火物を配置することで、とくに内孔面へのアルミナを主とする付着と閉塞の問題を解決できる。しかし、CaO−MgO系耐火物を内孔側層に採用することにより、とくに外周側層の押し割りによる破壊、内孔側層の溶損、破壊、剥離、それら層間への地金侵入ないしノズル諸部位の破壊等が新たな問題となった。
そこで、本発明では、内孔側層がMgO−CaO系耐火物からなる連続鋳造用ノズルにおいて、内孔側層と外周側層との固定を維持し、かつ内孔側層と外周側層との間に溶融金属が侵入するような空間を生じさせることなく、内孔側層の熱膨脹による外周側層の損傷を防止する手段を講じた。
まず、本発明では、内孔側層として配置するCaO−MgO系耐火物の組成を特定した。即ち、内孔側層として、CaO成分とMgO成分をその合量で80質量%以上含み、CaOとMgOとの質量比(CaO/MgO)が0.2〜1.5であるCaO−MgO系耐火物を配置する。
このようにCaO成分による難付着性の維持機能とMgO成分による耐食性維持機能とをバランスさせた内孔側層を配置することでアルミナ閉塞防止機能が十分に発揮される。
CaO成分は溶鋼流により内孔面に接触した鋼中アルミナ系脱酸生成物と反応することで、接触界面にCaO−Al系低溶融物を生成するため、スラグ化した反応物は溶鋼流により容易にモールド内へ流下することが可能となり、ノズル内でのアルミナ閉塞現象を防止することができる。反面、CaO成分を増加させると、耐火物から溶鋼へのCaO成分の継続的な供給が行われるため、耐火物側の溶損量が増加すると共に、鋼中介在物量が増加して鋼品質を低下させる。
一方、MgO成分はアルミナ成分と低融物を生成しないため耐溶損性の面では有利になるが、MgO成分の増加はアルミナ閉塞現象に対しては不利となる。
したがって、CaO/MgOの質量比とその成分の合計量(CaO+MgO)が溶損性とアルミナ難付着性に影響を及ぼす重要なパラメータとなる。また、耐溶損性と閉塞防止効果に対して、操業面では溶鋼流速や鋼中アルミナ含有量が影響を及ぼす。一般的には、溶鋼流速が速くなると付着が少なくなり、溶損傾向となり、鋼中アルミナ濃度が高いほど一定条件ではアルミナが付着しやすくなる。要するに、このような操業条件や溶鋼種類も考慮して付着と溶損のバランスの取れた組成範囲での材料設計が必要となる。
これらのことを踏まえ、本発明では内孔側層の組成を上述のように特定した。即ち、CaO成分量とMgO成分量の質量比(CaO/MgO)が0.2より低いと、溶鋼流速が5t/min以下での一般的な鋳造条件では、内孔側物層からの継続的なCaO成分の供給ができなくなり、難付着性の維持ができなくなる。また、CaO/MgOが1.5より大きいと、内孔側層中からのCaOの供給が激しく内孔側層自体の溶損量が増加する結果、鋼中介在物量が増加する。さらに、CaO成分とMgO成分の合量を80質量%以上とすることで、耐食性と溶損性のバランスを取ることが可能となる。
CaO成分とMgO成分以外の残部は、CaO成分とMgO成分以外の耐火材料、とくに炭素質の耐火材料で構成することが前述の耐食性と溶損性(付着防止)のバランスを維持するために好ましい。なお、残部に炭素質の耐火材料を使用した場合、CaO成分とMgO成分の合量が80%未満では、残部の炭素成分量が増加するため溶鋼中への炭素の溶解現象が顕著となり、内孔側層の溶損が大きくなりすぎて寿命が短くなり、鋼中介在物量も増大するという問題が生じる。
内孔側層の耐火物のCaO成分源やMgO成分源としては、ドロマイトクリンカーや、合成ドロマ原料、マグネシア原料、カルシア原料などを使用できる。とくに焼成ドロマイトクリンカー中のCaO成分は、クリンカー中に連続的に存在しており、CaOの継続供給の観点から好ましい。
その粒径は、0.1mmから3mm以下が好適である。0.1mmより細かいMgO−CaO質微粉末などを多量に使用すると、消化現象が発生しやすく、品質安定性や容積安定性の面で問題となる。3mmより大きいと成形体の成分的、粒度的な偏析現象が発生しやすくなり均質性の観点から好ましくない。
このようなCaO−MgO系の内孔側層に対して適用する中間層としては、上述のとおり、600℃非酸化雰囲気の熱処理後において、中空耐火骨材を10体積%以上75体積%以下含み、その残部が、当該残部の総量を100質量%とするときに、Al、Ca、Mgの単体金属若しくは合金の1種又は複数種を、それらの金属成分のみに換算して合計で0.5質量%以上15質量%以下、炭素を2質量%以上99.5質量%以下含むものであって、かつ、前記内孔側層中のCaO含有量の当該内孔側層における質量割合を、前記中間層中のAl、SiO及びアルカリ金属酸化物の合量の当該中間層における質量割合で除した値が10以上であるものを使用する。
その理由は、CaO成分とMgO成分をその合量で80質量%以上含み、CaOとMgOとの質量比(CaO/MgO)が0.2〜1.5である内孔側層の中のCaO成分と、大量のAl、SiOの成分が接触すると、とくに長時間の操業においてCaO−Al−SiO系の反応物を生成して、その反応に内孔側層の中のCaO成分が消費され、溶鋼中のAl介在物を捕捉する機能が低下し、またそのような中間層との接着部分が必要以上に強固となり、かつその部分が収縮等を伴って変形することで内孔側層に不均一な引張り応力を生じ、内孔側層の破壊(亀裂)等を招来する可能性が高まるからである。
さらにAl−SiO系にアルカリ金属酸化物が加わるとそのような現象が促進され、内孔側層中のCaO含有量の当該内孔側層における質量割合を、当該中間層中のAl、SiO及びアルカリ金属酸化物の合量の当該中間層における質量割合で除した値が10未満であると、そのような現象が顕著になる。
また、CaO−MgO系の内孔側層に対して適用する中間層の溶鋼への耐食性を向上させるためには、前述の中空耐火骨材、炭素、特定金属を除くその他の構成物としての耐火骨材粒子は、MgO、Al−MgO系スピネル骨材を使用することが好ましく、その他の構成物の中に占める含有量としては、50質量%以上(100質量%を含む)になるように調整することが好ましい。
その第1の理由は、内孔側層と中間層の境界部分において過度な焼結、溶融等の相互の反応が生じ難い材質の組み合わせとするためである。CaOとMgOとの質量比(CaO/MgO)が0.2〜1.5、CaO成分とMgO成分をその合量で80質量%以上含有した内孔側層に対しては、MgOの含有量の合量が80質量%以上(100質量%を含む)になるように調整したマグネシア又はスピネル(AlとMgOを成分とするスピネル)質の耐火骨材の単体又は混合物が、前記内孔側層の耐火物との相互の反応を生じ難く、最適である。
第2の理由は、外周側層として一般的に使用されるAl−SiO−C系、Al−C系、ZrO−C系、又はMgO−C系耐火物との相互の反応も生じ難いことからである。
第3の理由は、中空耐火骨材の中のガラス成分、シリカ成分等に対し、MgOが他の、例えばアルミナ−シリカ系の耐火骨材微粒子よりも相対的に相互の反応を生じ難いからである。
なお、この場合の外周側層(本体部分)は、Al−C系、ZrO−C系、又はMgO−C系等いずれの耐火物であっても、またその中のAl、ZrO、MgOとCの、それぞれの構成比率や存在形態等に制限はない。
本発明を、内孔側層の熱膨脹がその外周側層の熱膨脹より大きい場合、とくに内孔側に高耐食性、高い付着防止性等の高機能の層を配置して耐用性を高めた連続鋳造用ノズルに適用することで、その内孔側層と本体材質である外周側層との熱膨脹差に起因する外周側層の押し割れを防止すること、及び、鋳造途中の内孔側層の剥落、破壊をも防止することができる。
とくに、Alを中心とする内孔への介在物の付着抑制効果が顕著に高い内孔側層を提供すると共に、CaO成分に起因する内孔側層の中間層との必要以上の強固な接着を生じさせることなく、また接着不足による内孔側層の脱落やずれ等の、内孔側層の破壊(亀裂)等にも繋がる問題を解決することができ、長時間に亘る安定した連続鋳造の操業を行うことができる。
また、本発明の連続鋳造用ノズルを使用することにより、個別の連続鋳造の固有の操業条件に応じてその連続鋳造用ノズルに求められる特性、具体的には例えば湯当部の耐摩耗性、内孔の耐食性、内孔へのAl等介在物付着防止等の、それぞれの目的に適う特性を備える多様な材質の耐火物を必要な部位ごとに適宜使用することができ、その材質やそれらの組み合わせの選択肢を大幅に拡大することができる。ひいては連続鋳造用ノズルの寿命延長、鋼の品質向上、安定操業、省資源等にも寄与することができる。
まず、本発明の連続鋳造用ノズルに使用する中間層の耐火物の製造方法を示す。
この中間層の耐火物自体は、中空耐火骨材、炭素、特定金属、他の構成物を含む場合はその構成物を成す耐火材料粒子を混和し、その混和物にフェノール樹脂、酢酸ビニル系等有機系樹脂等の、前記混和物を湿潤状態にして粒相互の凝集性又は接着性を付与すること及びそれらの硬化後に成形体としての保形性を有する程度の強度を有する結合材を、その成形及び保形に必要な適宜な量を添加して混練して混練物を得る。次にその混練物を、予め設けた空間に流し込み、吹き込み等の適宜な方法で充填して成形し、110℃以上600℃以下程度の、結合材等の特性に応じた適宜の温度で乾燥、焼成等の加熱処理をすることで得ることができる。以下詳細に述べる。
10〜75体積%の中空耐火骨材と、25〜90体積%の、鱗状黒鉛、土状黒鉛、カーボンブラック、ピッチ、樹脂等由来の炭素質粒子、例えばマグネシアやジルコニア、コランダム質粒子等の酸化物粒、金属粒子を混和する。
前記の25〜90体積%の、鱗状黒鉛、土状黒鉛、カーボンブラック、ピッチ、樹脂等由来の炭素質粒子、酸化物粒、金属粒子は、当該中空耐火骨材以外の部分の総量に占める割合として、Al、Si、Mgの単体金属若しくは合金の1種又は複数種(特定金属)を、それらの金属成分のみに換算して合計で0.5質量%以上15質量%以下、炭素を2質量%以上99.5質量%以下含み、残部が前記特定金属及び炭素以外の耐火性骨材(ゼロを含む)からなるように配合して混和する。この原料の粒サイズは、中間層の耐火物の可縮能をより均一にするため、及び塗布作業性に優れたモルタル状となすために、使用する原料粒度の最大粒子径は0.5mm以下が好ましい。
中空耐火骨材の量は、内孔側層と外周側層の熱膨脹率と中間層の耐火物の厚みとの関係から必要な可縮率を算出し、その可縮率になるように、中空耐火骨材と他の構成原料との割合を調整することで決定すればよい。
さらに、中空耐火骨材及び残部の耐火骨材等の構成物の割合は、組み合わせる内孔側層中のCaO含有量の当該内孔側層における質量割合を、当該中間層中のAl、SiO及びアルカリ金属酸化物の合量の当該中間層における質量割合で除した値が10以上になるように、各原料の配合割合を調整すればよい。
その混和物にフェノール樹脂、酢酸ビニル系等の有機系樹脂等の、前記混和物を湿潤状態にして粒相互の凝集性又は接着性を付与すること及びそれらの硬化後に成形体としての保形性を有する程度の強度を有する結合材を、その成形のために必要な適当な軟度になるように調整した量を添加し、それらをモルタルミキサー等のミキサーを使用して混練してモルタル状の混和物を得る。フェノール樹脂と他の有機系樹脂の使用量は、粉体の混和物を100質量部とするときに40質量部以上90質量部以下程度の範囲で、求められる作業性に応じて調整すればよい。
次に、そのモルタル状混和物を、内孔側層及び外周側層の間に予め設けた空間に、一方又は両方の面に塗布して嵌合する、流し込む、吹き込む等の適宜な方法で充填して内孔側層と外周側層と一体化する。そして、110℃以上600℃以下程度の、結合材等の特性に応じた適宜の温度で乾燥、焼成等の加熱処理をすることで保形能及び層間固定能を発現させる。
このような中間層の耐火物は、実用上は主として、前述の工程を後述のような連続鋳造用ノズルの構造体の一部の製造工程として組み込み、製品個体の1単位の連続鋳造用ノズルとしての形態として得る。そのほか、型枠等を使用して成形、乾燥ないし非酸化雰囲気での焼成を行って、例えば筒状等の任意の形状の部品として形成し、連続鋳造用ノズルの一部として組み立てて利用することも可能である。
次に、前記の中間層の耐火物を適用した連続鋳造用ノズルの製造方法について述べる。
内孔側層は、連続鋳造用ノズル本体部とは別に、単体の耐火物の成形体として製造しておく。この内孔側層は、予め耐火物の成形体として準備しさえすればよく、この製造方法はとくに限定する必要はない。一例を以下に記す。
CaO成分とMgO成分を含む耐火原料、例えば焼成ドロマイトの微粉原料及びMgOクリンカーの微粉原料を、耐火物成形体を600℃非酸化雰囲気中において熱処理した後にその耐火物成形体内のCaO成分とMgO成分をその合量で80質量%以上含み、かつCaOとMgOとの質量比(CaO/MgO)が0.2〜1.5になるように、各原料の含有割合を調整する。これら微粉原料にフェノール樹脂等の600℃非酸化雰囲気中において熱処理した後に結合機能を有する結合材成分及び成形に適した湿潤状態を得るための液体の成形助剤等(前記の結合材が液体である場合には成形助剤としての機能を兼用できる)を加え、ミキサーで均一に混和し、成形用のはい土を得る。
得られたはい土を、CIP(Cold Isostatic Press)、油圧プレス、フリクションプレス等の適宜の成形機で成形し、約150℃以上の温度で乾燥、又は非酸化雰囲気中において熱処理する。その後、外周面等を、別途通常の一般的な製造方法等で単体として準備した連続鋳造用ノズル本体部に装着するために適当な形状に、必要に応じて加工する。なお、原料や成形体の一般的な消化対策等は、原料や製造等の個別の条件に応じて、適宜行えばよい。
このように予め単体で成形した内孔側層とする成形体と、予め単体で成形した連続鋳造用ノズル本体となる外周側層との間に、中間層となる所定の厚みの空間を形成しておき、この空間に本発明の耐火物を充填して中間層とし、多層構造からなるノズルとする。
中間層に適用する本発明の耐火物は、内孔側層と外周側層との間の狭い空間に充填するために充填が可能な程度の泥状の不定形状にする。充填工程での作業性を付与するために、中空耐火骨材、固体としての炭素原料、他の構成物としての耐火材料を混和した粉体100質量部に対し、例えば液状の樹脂を外掛けで40質量部以上90質量部以下程度の量(空間の大きさと施工作業性とを考慮して決定する)を加えて混練する。
このように施工作業性を付与した中間層用の耐火物を、所定の中間層厚みの空間が形成できるようにスペーサーを設置した内孔側層の外周面、又は外周側層の内孔面に塗布し、外周側層(連続鋳造用ノズルの本体)の内側に内孔側層を挿入する。内孔側層の外周面と外周側層の内孔面との間の空間は中間層の耐火物層の厚みと等しくなる。
このような塗布による方法のほか、外周側層と内孔側層の間に設けた所定の厚みの空間に、液の添加割合を大きくする等で流動性を高めた中間層の耐火物を流し込み等の方法で充填することもできる。
この中間層用の耐火物を充填した後の連続鋳造用ノズルを乾燥、焼成等の加熱処理を行って、中間層用の耐火物を硬化させ、内孔側層と外周側層とを固定する。この硬化は、室温以上600℃以下程度の、中間層の耐火物に含まれる結合材の特性に応じた適宜の温度で行えばよい。例えば、ビニル系を使用の場合は、150℃程度の乾燥でよく、また、フェノール樹脂を使用した場合は、200℃以上であることが好ましい。さらにその後、例えば1000〜1300℃程度の非酸化雰囲気内で焼成してもよい。このようにして本発明の連続鋳造用ノズルの成形体を得ることができる。
前記の中間層用の耐火物に使用する中空耐火骨材は、上述のような内孔側層の外周側層への設置施工時の外力によっては潰れないので、施工作業によって中間層の厚みが過度に小さくなったり、溶媒が吸収されるなどして必要な可縮性が損なわれることはない。さらに、この中空耐火骨材は風船状に形成されているので、破砕粒のようなエッジ部が少なく、丸みを帯びた外形状であるので、泥状の中間層の耐火物の流動性を向上させる効果を得ること、即ち液相量を減じて緻密なマトリクス組織にすることも可能となる。
ただし、いずれの方法であっても成形時その他の施工時に中空耐火骨材の強度を超える圧力で加圧をすると中空耐火骨材が破壊して応力を緩和する機能を損なってしまう。したがって、中空耐火骨材が破壊する、少なくとも2.5MPaをはるかに超える加圧を前提とする連続鋳造用ノズルの一般的な同時・一体的な静圧成形(CIP)その他の各種の高圧のプレス成形をすることはできない。
前記の製造方法において、中間層用の耐火物の中には中間層自体の保形性及び常温から使用時の熱間までの間における強度の付与、及びはい土の成形性の確保等を目的として結合材を使用するが、内孔側層にMgO−CaO系、とくに単独の形態で存在する(固溶体や化合物ではない)CaOを含む場合は、その中のCaO成分の水和に起因する施工体の崩壊等を防止するために、結合材には水分を含まず、また昇温過程での水分の放出の少ない材料を使用することが必要である。このような条件に適う結合材として、非水系フェノール樹脂やフラン樹脂、タール類、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルコールを溶媒とする酢酸ビニル系樹脂等を使用することができる。
なお、この結合材に由来し600℃以上で残留する炭素量は、前記中間層の耐火物の炭素成分としての組成の一部となる。
このような充填及び加熱等処理後の連続鋳造用ノズルの成形体は、外周その他の成形加工、酸化防止材の塗布等の一般的な連続鋳造用ノズルにおける加工工程と同様の加工を行うことができる。
上述の製造方法により、可縮性を有し、しかも内孔側層と外周側層との一体である連続構造の、中間層を有する連続鋳造用ノズルを得ることができる。
図1に、本発明の連続鋳造用ノズルの一例として浸漬ノズルを示す。図1において、1は中間層、2はMgO−CaO系の耐火物からなる内孔側層、3は外周側層のうち連続鋳造用ノズルの本体をなすアルミナ−黒鉛質の層、4は外周側層のうち連続鋳造用ノズルのパウダー部をなすジルコニア−黒鉛質の層、5は内孔、6は溶鋼流入孔、7は吐出孔である。
以下に実施例を示す。
<実施例A>
実施例Aは、中空耐火骨材に2.5MPaの外力を加えた場合に、中空耐火骨材の平均半径R、及び平均半径Rとその粒の平均の壁の厚みtとの比(R/t)が、その破壊に及ぼす影響を実験により調査した結果である。
表1に実施例Aの各試料の構成及び実験結果を示す。
Figure 2010036229
供試料は、一般的に市販されていて入手可能なものから選択し、水中に分散させた後、浮上した粒子を選別、分級し110℃で乾燥することで得た。供試料の組成は、SiOを70質量%以上、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物を合計で1質量%以上10質量%以下、Alを5質量%以上20質量%以下を含み、ガラス質の組織を含むものである。
供試料の大きさは、平均半径が2.5μm(好ましい最小半径)、250μm(好ましい最大半径)、及びその中間の35μmとし、各粒子につき、壁の厚さが異なる複数の粒子群の集団に分級して、R/t比が異なる試料を得た。
試験方法は、図3に示すように、供試料10を内径60mmの円筒形の金属製の容器11内に高さ10mm厚さの初期高さになるように充填し、加圧機(上部ライナー12及び下部ライナー13)により2.5MPa圧力で静止するまでの加圧を行い、その後、容器11内の供試料10を取り出した後に、1リットルの水中へ分散させ浮上したものと沈降するものとを分離し、浮上したものを回収し、乾燥した後にその重量を測定した。
破砕率(%)は、円筒形の金属製の容器11内に最初に充填した供試料8の総重量(以下、「当初総重量」という。)から前記の浮上分の総重量を差し引き、その値を前記の当初総重量で除した値を100分率で表示した。
本実施例Aにおいては、マトリクス部も若干の可縮性を示すことを考慮して、この中空耐火骨材の破砕率が90%以上であることを、必要な可縮率を得るための要件とした。また、本試験方法では、加圧によって破壊した粒の破片が粒間の空間へ充填してその破片が応力分散機能を果たすことになり、加圧時間に伴い破壊せずに残留している粒が破壊しにくい状態となって、一部が破壊せずに残ることも考えられるので、90%以上の破砕率を示す粒子は、耐火物の組織内では同一レベル以上の破壊の特性を有すると判断することができる。
好ましい最小半径であるRが2.5μmから、好ましい最大半径であるRが250μmの範囲の各試料で、前記のR/t比が10以上の場合に90%以上の破壊率を示した。
<実施例B>
実施例Bは、耐火物中に占める中空耐火骨材の体積割合が、可縮性及び接着強度に及ぼす影響を実験により調査した結果、並びに内孔加熱による溶鋼の鋳造のシミュレーション試験を行った結果である。
表2に実施例Bの各試料の構成及び実験結果を示す。
Figure 2010036229
中空耐火骨材は、前記実施例Aに使用したものと同じ組成で、平均半径Rが35μm、壁の厚さが1μmの中空粒子であって、2.5MPaで99%の破砕率を有する粉体(実施例3)を使用した。中空耐火骨材を除く残部の組成は何れの例も同一とした。
可縮率の測定は、次の方法により行った。形状がφ20×50mmL、Alが約75質量%、Cが約25質量%の被接着用の試験片2つを通常の連続鋳造用ノズルの製造方法と同じ製造方法(同じ成形圧、乾燥、焼成等)で作製し、その2つの被接着用の試験片の平面間にモルタル状にした各配合試料を2mm厚みで設置して、前述の課題を解決するための手段に示した方法により測定用サンプルを成形し、乾燥処理をした。この測定用サンプルにつき、1000℃、1500℃(共に窒素ガス雰囲気中)での可縮率を測定した。
接着強度の測定は、次の方法により行った。通常の連続鋳造用ノズルの製造方法と同じ製造方法(同じ成形圧、乾燥、焼成等)によって、Alが約55質量%、Cが約30質量%、SiOが約14質量%の連続鋳造用ノズルの本体に一般的に使用されている耐火物で内径φ95×100mmLの外周側層に相当する円筒を作製すると共に、MgOが約49質量%、CaOが44質量%、Cが4質量%のドロマイト質耐火物で外径φ90×100mmLの内孔側層に相当する円筒を作製し、これらの2つの円筒の間にモルタル状にした各配合試料を2.5mm厚みで設置して乾燥処理をし、リング状の測定用試料を得た。このリング状の測定用試料につき、図2で説明した前述の方法で、1000℃、1500℃(共に窒素ガス雰囲気中)での接着強度を測定した。
内孔加熱試験用の円筒状試料は、次の方法により作製した。まず、円筒状で管状の成形体をCIPにより成形した。この成形体に200℃の乾燥処理、1000℃の非酸化雰囲気での熱処理を施し、後に外周加工により外径φ90mm、内径φ70mm、高さ750mmのドロマイトカーボン質材質のスリーブを作製した。当該材質の1500℃での熱膨脹量は1.32%であった。このスリーブをAlが約55質量%、Cが約30質量%、SiOが約14質量%のAl−SiO−C材質(1500℃での熱膨脹量は0.55%)で構成されたフランジ部を持つ円筒状耐火物(内径95mm、外径140mm、高さ750mm)の内側に、目地厚さ2.5mmで、表2に示すモルタル状の中間層用の耐火物を介して均一に内装した。この中間層用の耐火物は、黒鉛微粉、Al−Mg合金粉、MgO微粉、ピッチ粉末、及び可縮源として中空耐火骨材(中空状ガラス骨材)を配合してなり、液状のフェノール樹脂を施工作業性付与剤及び結合材とした。200℃の乾燥処理を施し内孔加熱用の円筒状試料とした。
内孔加熱試験は次のように実施した。フランジ部上部から下部に向かって、内孔部をプロパンと酸素による燃焼ガスを通過させ内孔部から急速加熱を行った。円筒状試料の中央部の外表面温度が1時間で1400℃になる条件で加熱し、1400℃で1時間保持した。その後、加熱をやめ300℃以下になるまで放冷した。この熱処理を繰り返し、内孔側層及び外周側層の状態を観察した。
表2に示す測定結果より、中空耐火骨材の体積割合とほぼ同じ可縮率が得られることがわかる。そして、中空耐火骨材が10体積%以上75体積%以下で、可縮率が1000℃において10%以上、1500℃において80%以下を満足することできることがわかる。また、接着強度も、中空耐火骨材が10体積%以上75体積%以下で、0.1MPa以上1.5MPa以下を満足することができることがわかる。
内孔加熱試験では、中空耐火骨材が10体積%未満の場合(比較例3〜5)は亀裂の発生が発生し、中空耐火骨材が75体積%を超える場合(比較例6、7)は内孔側層の緩みが発生し、脱落する傾向となった。
<実施例C>
実施例Cは、中空耐火骨材を含む耐火物中に占める特定金属の割合が、可縮性及び接着強度に及ぼす影響を実験により調査した結果、並びに併せて各例につき内孔加熱による溶鋼の鋳造のシミュレーション試験との対比を行った結果である。
表3に実施例Cの各試料の構成及び実験結果を示す。
Figure 2010036229
中空耐火骨材粒子は、前記実施例Bに使用したものと同じ組成、粒子サイズ分布のものを使用した。特定金属を除いて中空耐火骨材以外の残部の組成は何れの例も同一とし、そ中に特定金属の量を変化させて添加した。
可縮率及び接着強度の測定、並びに内孔加熱による溶鋼の鋳造のシミュレーション試験は、前記実施例Bと同じ方法により行った。
表3に示す測定結果より、特定金属の含有量が0.5質量%以上15質量%以下の範囲で、接着強度0.01MPa以上1.5MPa以下を満足することができることがわかる。特定金属の含有量が0.5質量%未満では1500℃で接着強度0.01MPaを得られず、15質量%超えるといずれの温度でも1.5MPaを超えている。
内孔加熱試験では、特定金属の含有量が0.5質量%以上15質量%以下の範囲の場合に、良好な結果となっており、この傾向は主として接着強度の所定の値の範囲と一致していることがわかる。
<実施例D>
実施例Dは、中空耐火骨材以外の残部中に占める炭素の割合が、可縮性及び接着強度に及ぼす影響を実験により調査した結果、並びに内孔加熱による溶鋼の鋳造のシミュレーション試験を行った結果である。
表4に実施例Dの各試料の構成及び実験結果を示す。
Figure 2010036229
中空耐火骨材は、前記実施例B及び実施例Cに使用したものと同じ組成、粒子サイズ分布のものを使用した。
本実施例では、基本的に(炭素量99.5質量%以上の例を除き)特定金属量及びフェノール樹脂溶液(1000℃非酸化雰囲気中での熱処理後に残留するCとして換算)を固定して、MgO微粉(MgO純度95質量%〜98質量%、他の実施例においても同じ)を黒鉛微粉と置き換えることにより炭素量を変化させた。
可縮率及び接着強度の測定、並びに内孔加熱による溶鋼の鋳造のシミュレーション試験も、前記実施例B、Cと同じ方法により行った。
表4に示す測定結果より、残部中の炭素含有量が2質量%以上99.5質量%以下の範囲で、接着強度0.01MPa以上1.5MPa以下を満足できることがわかる。
なお、炭素が2質量%未満である比較例12では1500℃での接着強度0.01MPa以上を得られておらず、また特定金属が含有されていない比較例13では、炭素量が多くても(100質量%)1500℃での接着強度0.01MPa以上を得られていない。
内孔加熱試験では、炭素含有量が2質量%以上99.5質量%以下の範囲の場合に、良好な結果となっており、前記の実施例Cと同様に、この傾向は主として接着強度の所定の値の範囲と一致していることがわかる。
<実施例E>
実施例Eは、内孔側層用の耐火物中のCaOとMgOの合量及びその質量比が、溶損及び付着に及ぼす影響を実験により調査した結果を示す。
(CaO/MgO)質量比、(CaO+MgO)含有量の異なる、各種CaO+MgO材質を冷間等方圧加圧法(CIP)により98MPaで成形後、非酸化雰囲気にて熱処理を行い棒状試料(20×20×160mm)を切り出し供試料とした。
そして、各試料を1550〜1570℃で保持された低炭アルミキルド鋼中に120分間浸漬し、引き上げ後の試料表面のアルミナ付着物層の厚さや試料自体の溶損量を測定した。比較のために一般的なAl−黒鉛材質も同時に試験した。
表5に実施例Dの各試料の構成及び実験結果を示す。
Figure 2010036229
実施例20〜29は、溶損量ならびにアルミナ付着量のバランスが取れた良好な範囲であった。これに対し一般的なAG材質である比較例14は、溶損現象は発生しないものの、アルミナ付着が発生した。この比較例14では閉塞問題が生じることが予想される。比較例15はCaO/MgO比が1.7であり、溶損が大となった。比較例16はCaO/MgO比が0.1であり、アルミナ付着が大となった。比較例17及び比較例18は(CaO+MgO)の合量が75%であり、炭素量の影響により試料の溶損量が大きくなった。
また、参考として各種材質の1500℃での熱膨脹量を示しているが、一般的なAl−黒鉛材質(比較例14)と比較するとCaO+MgO材質の絶対値が非常に大きいことがわかる。これらの大きな材質をAG本体材質に直接内装した場合は、本体部の押し割れ現象が容易に発生することが推測できる。
<実施例F>
実施例Fは、内孔側層がCaO成分とMgO成分をその合量で80質量%以上含み、CaOとMgOとの質量比(CaO/MgO)が0.2〜1.5である連続鋳造用ノズルにおいて、前記内孔側層中のCaO含有量の当該内孔側層における質量割合を、中間層中のAl、SiO及びアルカリ金属酸化物の合量の当該中間層における質量割合で除した値が、接着強度に及ぼす影響を調査した結果、並びに内孔加熱による溶鋼の鋳造のシミュレーション試験を行った結果である。
表6に実施例Fの各試料の構成及び実験結果を示す。
Figure 2010036229
内孔側層の耐火物としては、CaO成分を50質量%、MgO成分を45質量%含み、CaOとMgOとの質量比(CaO/MgO)が1.1である表5の実施例24と、CaO成分を16質量%、MgO成分を79質量%含み、CaOとMgOとの質量比(CaO/MgO)が0.2である表5の実施例25を用いた。
中空耐火骨材粒子は、前記実施例Bないし実施例Dに使用したものと同じ組成、粒子サイズ分布のものを使用した。
中間層用の耐火物については、前記の実施例7の中空耐火骨材を除く残部(マトリクス)部分の組成を基本に、主として中空耐火骨材の含有割合を変化させることで、Al、SiO及びアルカリ金属酸化物の合量を調整した。
接着強度の測定、及び内孔加熱による溶鋼の鋳造のシミュレーション試験は、前記実施例BないしDと同じ方法により行った。
この実験の結果、内孔側層中のCaO含有量の当該内孔側層における質量割合を、中間層中のAl、SiO及びアルカリ金属酸化物の合量の当該中間層における質量割合で除した値(以下「C/I比」という。)が10以上である実施例30〜36のいずれの場合にも、接着強度0.1MPa以上1.5MPa以下を満足できることがわかる。
内孔加熱による溶鋼の鋳造のシミュレーション試験でも、いずれの実施例も良好な結果となっていることがわかる。
これら実施例に対し、C/I比が10未満である比較例19及び20では、1500℃での接着強度が0.01MPa未満となって0.1MPa以上の条件を満足できず、内孔加熱による溶鋼の鋳造のシミュレーション試験結果でも2回目に脱落を生じており、不良であった。
本発明の中間層用の耐火物を使用した連続鋳造用ノズルの一例として、浸漬ノズルを示す軸方向断面図である。 接着強度試験時の試料及び装置の軸方向断面のイメージ図である。 実施例Aにおける中空耐火骨材の破壊試験時の試料及び装置の軸方向断面のイメージ図である。
符号の説明
1 中間層(本発明の中間層用の耐火物からなる層)
2 内孔側層
3 外周側層のうち連続鋳造用ノズルの本体をなすアルミナ−黒鉛質の層
4 外周側層のうち連続鋳造用ノズルのパウダー部をなすジルコニア−黒鉛質の層
5 内孔
6 溶鋼流入孔
7 吐出孔
8 台
9 クロスヘッド
10 供試料(中空耐火骨材)
11 容器
12 上部ライナー(下降による加圧用治具)
13 下部ライナー(上昇による加圧用治具)

Claims (3)

  1. 溶鋼が接触する内孔面の全部又は一部の領域が、内孔面から順に内孔側層、中間層、外周側層の複数層構造であり、かつ、前記内孔側層の熱膨脹が、その内孔側層に対応する領域の外周側層の熱膨脹より大きい連続鋳造用ノズルにおいて、
    前記中間層は、粒の平均半径Rと前記粒の平均の壁の厚みtの比がR/t≧10を満たす中空耐火骨材を10体積%以上75体積%以下含み、かつ当該中空耐火骨材以外の残部に占める割合として、Al、Mg、Siの単体金属若しくは合金の1種又は複数種を、それらの金属成分のみに換算して合計で0.5質量%以上15質量%以下、炭素を2質量%以上99.5質量%以下含み、
    前記内孔側層が、CaO成分とMgO成分をその合量で80質量%以上含み、CaOとMgOとの質量比(CaO/MgO)が0.2〜1.5であって、
    前記内孔側層中のCaO含有量の当該内孔側層における質量割合を、前記中間層中のAl、SiO及びアルカリ金属酸化物の合量の当該中間層における質量割合で除した値が10以上である連続鋳造用ノズル。
  2. 前記中間層の耐火物内の中空耐火骨材が、SiOを70質量%以上、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物を合計で1質量%以上10質量%以下を含むガラス質の組織を含む請求項1に記載の連続鋳造用ノズル。
  3. 前記中間層の耐火物の2.5MPaの加圧下の可縮率が10%以上80%以下であり、 かつ、下記の式1を満たし、
    前記中間層の耐火物は、1000℃以上1500℃以下の非酸化性雰囲気の熱間において、当該耐火物以外の連続鋳造用ノズルに使用する耐火物と0.01MPa以上1.5MPa以下の接着強度を備える請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造用ノズル。
    K ≧ [(Di×αi−Do×αo)/(2×Tm)]×100 … 式1
    ここで、
    K(%)は中間層の可縮率
    Diは内孔側層の外径(mm)
    Doは外周側層の内径(mm)
    Tmは中間層の室温における(初期)厚み(mm)、
    αiは内孔側層の耐火物の室温から1500℃までの範囲における最大の熱膨脹率(%)
    αoは外周側層の耐火物の通鋼開始時の温度における熱膨脹率(%)
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