JP4644044B2 - 連続鋳造用ロングノズル - Google Patents

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Description

本発明は、溶鋼の連続鋳造に際して取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入に用いられるロングノズルに関する。
連続鋳造に於いて、溶鋼の無酸素注入等の目的で用いられるロングノズルには、溶鋼注入時の熱衝撃が大きい過酷な条件下での使用に耐えるために耐スポーリング性に優れたアルミナ−黒鉛質が使用されてきた。
近年、極低炭素鋼のような炭素含有量の少ない鋼種が増え、それに対応してロングノズルに使用される耐火物も、溶鋼中への炭素の溶出を抑制するために、炭素の含有量を極力低くする必要性が高まっている。
それに対応するためのロングノズル用の耐火物として、溶鋼中への炭素溶出だけでなく耐食性低下の原因ともなる黒鉛や、耐食性低下やアルミナ介在物付着の原因となるシリカ等を減じるか使用しないアルミナ系、スピネル系、ジルコニア系、CaO系等の耐火骨材を主な構成材とした耐火物も多く提案されている。しかし、このように耐火物への黒鉛の含有量を減少することによって耐火物の耐スポーリング性は低下する。また、上記のような耐火骨材を使用した系の耐火物は熱膨張が大きく、単にこれらの耐火骨材を適用しても耐スポーリング性を確保することができない。
耐火物の材質面での対応策として、特許文献1には、耐スポーリング性に優れ、さらには、耐磨耗性と耐食性に優れた炭素を含有しない耐火物として、ZrOの含有量が5〜80%で、Mo95〜20%の複合耐火材料をロングノズルに使用することが提案されている。ロングノズルは、冷却した後に再度溶鋼を注湯するという繰り返し使用に際しての耐用性を具備することも重要であるが、このような複合耐火材料は、加熱による焼結により物性が変化し繰り返し使用が困難となり、その上、原料が高価でありロングノズルの製造コストが高く実用的でない。
材質面の対策としての低炭素化等の欠点である、耐スポーリング性の低下を補うために、その耐火物層の構造面の対策として、低炭素含有の耐火物を本体耐火物とは別の層として連続鋳造用ロングノズルの内孔に配設し、ロングノズル本体部分は耐スポーリング性に優れたアルミナ黒鉛質耐火物からなる2層構造としたものも試みられている。しかし、この2層構造の場合、これら炭素含有量の低い耐火物と本体部分の耐火物との膨張差が大きく、その膨張差によってロングノズル本体の亀裂や折損、材質層の剥離等の問題が発生する。
この対策として、例えば特許文献2と特許文献3には、ロングノズル内孔部に鋳込み成形された不定形耐火物からなるスリーブを配設することが提案されている。しかし、スリーブの配設は、スリーブ自体の熱膨張が大きいこととそれが目地材としてのモルタルにより接着した拘束状態にあるためにスポーリングが発生する。また、ロングノズルの外面のスラグとの反応による局部溶損が避けられないこと等により寿命向上が図れず、ひいては耐火物コストが悪化するという問題がある。
さらに、膨張に起因する損傷の対策として、内孔面の炭素含有量の低い耐火物層と本体部分の耐火物層との2層構造の間に膨張吸収のための目地や空間を設けることも試みられている。しかしながら、その目地や空間に溶鋼やスラグが侵入してそれらを埋めてしまい、それらの膨張吸収機能を失わせてしまう。
とくに、ロングノズルは、使用後に、予熱温度以下への温度降下を経て複数回使用、いわゆる再使用されることが多い。膨張吸収代としての目地や空間が埋められると、ロングノズルの再使用時に予熱は行うものの、その温度では侵入した溶鋼やスラグは固化しており、炭素含有量の低い耐火物層と本体部分の耐火物層との膨張差を吸収できなくなり、また、目地や空間への侵入物が溶鋼の場合はその固化した鋼が大きく膨張すること等から、ロングノズルに亀裂や割れ・折損、耐火物層の剥離等のトラブルが発生し、繰り返し使用ができない。
さらに構造面の対策として、特許文献4には、ロングノズルの溶鋼面と接する面に黒鉛を含有しない耐火物の成形体を複数に分割して配設し、炭素ピックアップを抑制するロングノズルが提案されている。しかしながら、この場合も、内面の内張り成形体と本体との間、及びその成形体相互の間に設けた目地部に溶鋼等が侵入し、膨張吸収代としての目地の機能が失われて、ロングノズル本体の亀裂や折損等が発生するという問題がある。
特開平06−39506号公報 特開平09−220648号公報 特開平09−220649号公報 実開平05−93646号公報
本発明は、上記従来の連続鋳造用ロングノズルの問題を解消し、溶鋼への炭素成分の溶出を抑制し、耐スポーリング性と耐食性にも優れ、折損や割れによるトラブルの発生を低減し、繰り返し使用の可能な連続鋳造用ロングノズルを提供することにある。
本発明は、連続鋳造用ロングノズルの、少なくとも溶鋼と接触する面の一部又は全部(以下、単に「溶鋼接触面」と称し、ロングノズル内孔面及びタンディッシュ内に浸漬されてスラグ層に接する面をも含むロングノズル外周面を指す)に使用する耐スポーリング性に優れた材質からなる耐火物及び溶鋼接触面の材質層と本体用材質層との中間に設置する応力緩和若しくは吸収能を有する耐火物と、それらの耐火物を効果的に使用する構造を有する連続鋳造用ロングノズルである。
本発明のロングノズルの耐火物に関しては、ロングノズルの骨格的な主たる構造をなす本体(以下、単に「本体」と称する)用の材質とは異なる低炭素含有量の材質層を溶鋼接触面に設置し、その溶鋼接触面に設置した材質層自体に応力緩和若しくは吸収機能を付与して、または、同様に溶鋼接触面用耐火物に低炭素含有材質を使用するが、該材質層自体にではなく、該材質層と本体材質層との間にさらに耐火物からなる材質層(以下、単に「中間層」と称する)を設置し、その中間層に応力緩和若しくは吸収機能を付与して、溶鋼接触面用耐火物に低炭素含有材質を使用することに伴う耐スポーリング性の低下を防止することを基本的な特徴とするものである。
この2通りの構成は1のロングノズルに併存して、または各々単独に採り得る。但し、溶鋼接触面に設置する材質層に、高い耐食性や耐摩耗性が要求される場合には、溶鋼接触面に設置する材質層には耐食性や耐摩耗性低下の原因ともなる応力緩和若しくは吸収機能を付与するための成分を添加しないで、後者の中間層に応力緩和若しくは吸収機能を付与するための成分を添加してスポーリング対策を採る方が好ましい。
本発明のロングノズルの構造に関しては、損傷形態や損傷速度に応じて、任意の部位ごとに最適な材質及び厚みとしてロングノズルの全体の損傷バランスを調製することを基本に、各材質層間に目地のない一体構造として、割れ等の原因となる溶鋼やスラグが各材質層間に侵入することを防止する。
さらに、前記の中間層を設置する場合に、ロングノズル自体の形状を、上方より下方が拡大または縮小した形状として溶鋼接触面用材質層を支持することで、溶鋼接触面用材質層と本体材質層を強固に接着した状態で固定することなく非拘束の状態、すなわち各層間が自由に動く状態で溶鋼接触面用材質層を支持して、溶鋼接触面用耐火物や中間層用の耐火物の厚みが異なったり、それらを限定的な部位に設置することによる不均一な発生応力を広範囲に分散させる、等により、溶鋼接触面用耐火物に低炭素含有材質を使用することに伴う耐スポーリング性の低下を防止するものである。
溶鋼接触面に設置する耐火物層中の炭素成分の含有量は、溶鋼中への炭素成分の溶出を抑制する目的から決定される。炭素成分の含有量は、鋼の種類その他の操業条件や耐火物の侵食速度等により決定することができるが、本発明の耐火物組成の材質に於いては、耐火物中の炭素合計量が10質量%以下、好ましくは6質量%以下、さらには全く含まないことが好ましい。
炭素成分を含む場合には、成形性及び強度付与のためのフェノール樹脂等の結合材由来のみとし、耐食性低下の原因となる黒鉛は含まないことが好ましい。また、そのフェノール樹脂等の結合材をも使用せずに、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属(MgOを除く)酸化物 又は 硼素化合物等のみでの成形性及び強度付与も可能であり、この形態がさらに好ましい。
尚、中間層用の耐火物に適用する材質中の炭素成分の含有量は、溶鋼接触面用の耐火物の材質のように、耐火物中の炭素合計量が10質量%以下である必要はなく、特に制限されるものでもない。
しかし、耐火物中の炭素合計量を、前記のように溶鋼中への炭素成分溶出防止の観点から少量に限定すると、該耐火物の耐スポーリング性が低下する傾向となる。
この耐スポーリング性の低下の対策の内、耐火物層自体に応力緩和能若しくは吸収能を付与する方法として、該材質は、ロングノズルの一般的な予熱温度である600℃程度以上で軟化状態にあることが必要である。その軟化状態の程度は、常温と熱間に於ける曲げ強度の比、すなわち熱間に於ける曲げ強度の常温に於ける曲げ強度に対する割合で評価することが有効である。
すなわち、本発明の耐火物は、該耐火物の常温に於ける曲げ強度をA、600℃以上の熱間に於ける曲げ強度をBとしたときに、BのAに対する割合が80%以下であることが必要である。BのAに対する割合が80%を超えると軟化状態、すなわち耐火物の変形能や応力緩和機能が不十分であり、ロングノズルのスポーリングを防止することが困難になる。その下限値については特に制限はないが、好ましくは40%程度、さらに好ましくは20%程度までに止めることが好ましい。20%程度を下まわるような極めて小さい値では、溶鋼による破壊や損耗が生ずる虞があるからである。
尚、本発明にいう曲げ強度は、JIS R 2213、JIS R 2656に準じた一般的な3点曲げ試験方法でよいが、熱間の曲げ強度測定に於いては、昇温段階を含め、還元雰囲気又は非酸化雰囲気中で行う必要がある。
溶鋼接触面用の耐火物は、それ自体が600℃程度以上で応力緩和若しくは吸収可能な状態にするために、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(MgOを除く)、又は硼素化合物の一種以上を合計で0.5質量%以上8質量%以下含有し、残部が耐火性骨材からなり、見掛け気孔率が18%以上35%以下である材質とする。
さらに、溶鋼接触面用の耐火物の応力緩和能若しくは吸収能にかかわらず、中間層用の耐火物にそれら能力を付与する場合には、中間層用の耐火物は、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(MgOを除く)、又は硼素化合物の一種以上を合計で0.5質量%以上30質量%以下含有し、残部が耐火性骨材からなり、見掛け気孔率が18%以上35%以下である材質とする。
アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(MgOを除く)、又は硼素化合物は、耐火物中の他の耐火骨材と反応して又はそれら単独で、連続鋳造でのノズルの一般的予熱温度である600℃程度以上の温度で軟化を示すことが必要である。耐火物中の他の耐火骨材は、受鋼時の熱衝撃により急激に膨張するが、その受鋼時に軟化状態にある上記成分含有物またはその反応生成物が、耐火骨材の膨張を吸収緩和する。換言すると、耐火骨材の周辺に存在する軟化状態にある上記成分含有物またはその反応生成物が、その潤滑剤的な機能を果たす。
ここで、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(MgOを除く)、又は硼素化合物は、ノズルの製造工程でNaO、KO、CaO、B等の酸化物として添加してもよいが、炭酸化物、ガラス等の種々化合物として添加してもよい。要は連続鋳造でのノズルの一般的予熱温度である600℃程度以上の温度で、これら成分が単独で、又は相互に、若しくは残部の耐火骨材等と反応して、ガラス化、溶融等を生じて軟化状態にあることである。
溶融等を生じて軟化状態を呈する成分は、硼酸、硼砂等の硼素化合物、アルカリ金属酸化物等の単独又は混合物や、それらと反応して溶融状態を呈するAl−SiO系の耐火性骨材等との混合でもよい。特にアルカリ土類金属酸化物(MgOを除く)の場合は共存する成分によっては軟化状態を呈しないこともあるので、同時に添加する成分又は残部の耐火性骨材等の選定にあたっては、軟化状態を呈する成分構成に調整することが重要である。
この軟化を目的とするアルカリ土類金属酸化物にMgOを含まないこととしているのは, MgOは上記のような機構により軟化をさせることが困難であるためである。
但し、MgOはペリクレース,またはスピネル等の化合物として,残部の耐火骨材の一部または全部として使用することは差し支えない。
ガラス化成分は、NaO、KO、CaO、LiOなどのアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(MgOを除く)をB、P、SiO等のガラス形成酸化物と組み合わせたガラス粉末、炭酸塩や硼酸塩などの形で添加することができるが、最も好ましい性能を示すのは、NaO、KO、Bの成分の添加である。
その理由は、硼素化合物がそれ自体低温度で溶融する性状を有するのに加え、さらに硼素元素はガラス形成材としての機能をも有する。そのため、単にそれら成分が溶融状態を呈するのみでなく、ガラス修飾材としての機能をも有するアルカリ金属元素の併存により、適度に粘性を維持しつつ軟化状態になるからである。
これら酸化物、化合物等の一種以上の合計量は、溶鋼接触面用の耐火物の場合は、0.5質量%未満であると十分な軟化特性を付与することができずに耐スポーリング性を高める効果が少なく、また8質量%を超えると該耐火物の耐火度の低下により、製品段階での炭素含有量の低い耐火物層の過度の収縮や層内部に及ぶ深い亀裂の発生、また溶鋼による耐摩耗性・耐食性等の低下等を招来する危険性が増し、中間層用の耐火物の場合は、0.5質量%未満では目的とする効果が得られず、30質量%を超えると、該耐火物層自体の軟化が大きくなり又は溶融ないし消失が生じて該耐火物層の、発生応力を緩和若しくは吸収する機能が十分に維持できなくなることがある。
中間層用の耐火物の場合のこれら合計量は、溶鋼接触面用耐火物層自体に応力を緩和若しくは吸収する機能を付与する場合の材質に於けるこれら含有量よりも多い量でかまわない。その理由は、中間層用の耐火物層がロングノズルの壁内部にあることから、予熱時の該中間層の耐火物の温度が外面よりも低くなりがちであり、該耐火物層の温度が低くなる場合にも十分な発生応力を緩和若しくは吸収する機能を維持するため、及び、該耐火物層付近に溶鋼やスラグの侵入を来す空間を生じさせないように、該耐火物層自体の変形能を大きくするためである。
ロングノズルの壁が、このような、軟化及び発生応力を緩和若しくは吸収する機能を有する中間層を含む複数の耐火物層からなる場合には、溶鋼接触面用耐火物層に適用する材質には、前記に記載の、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(MgOを除く) 又は 硼素化合物を含有する、発生応力を緩和若しくは吸収する機能を有する耐火物層を適用してもかまわないが、その機能を有さない耐火物を適用してもかまわない。特に、溶鋼接触面用の耐火物層をロングノズルの外周、すなわちスラグ等による化学的な侵食等の影響による損傷が大きい部分に適用する場合や溶鋼による摩耗損耗が多く発生する場所に適用する場合等には、溶鋼接触面用の耐火物層の耐食性又は耐摩耗性等を向上させるために、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(MgOを除く)、又は硼素化合物等の含有量を極力少なくするか、又は含ませないことが好ましい。
さらに、耐火物の膨張を抑制し、耐スポーリング性を向上させるためには、その個々の耐火骨材の体積膨張及び移動代を吸収するための空間、いわゆる座屈現象を得るための空間が必要となる。この空間が耐火物の気孔であり、その評価手段が気孔率である。
本発明の耐火物の気孔率は、見掛け気孔率で18%以上35%以下、好ましくは22%以上28%以下である。見掛け気孔率が18%未満の場合、座屈現象が不十分となり、軟化特性が十分でない場合は耐火物が割れる危険性がある。また、35%を超えると耐火物組織が粗になり過ぎて、溶鋼やスラグによるアタック、即ち耐食性や耐摩耗性の低下が顕著になって、耐久性が低下する。前記の見掛け気孔率の測定は、JIS R2205に準ずる方法であるが、耐火物中の成分の溶出を防止するために、水の代わりに灯油を使用することが好ましい。
本発明の耐火物中の残部の耐火性骨材としては、アルミナクリンカー、スピネルクリンカー、ムライトクリンカー、ZrO含有の各種クリンカー、マグネシアクリンカー等の、一般に連続鋳造用ロングノズルに使用される金属酸化物、及び酸化物以外の各種の窒化物や炭化物、金属なども任意に複合して使用できる。
耐摩耗性、耐食性や原料の膨張特性、原料の価格などの点から、Alを主成分として含む耐火性骨材を適用することが望ましく、その場合、特に耐食性の面からAlが70質量%以上とすることが望ましい。70%を下回ると溶鋼・スラグによる浸食、摩耗等により耐用性の向上効果が得にくくなる。
この残部の耐火骨材としては、溶融シリカ等のSiO成分を含有するものも使用できるが、耐火物の耐食性低下の抑制や、ガラス形成成分の過度な存在によるガラス修飾剤としてのアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(MgOを除く)等の量の相対的な減少等により軟化が不十分になることもあるので、それら各成分のバランスを考慮しつつ、例えば7質量%以下、好ましくは3質量%以下、さらには使用しないことが好ましい。
この耐火物中の残部の耐火性骨材の粒子の大きさは、いわゆる微粉域の量をできるだけ少なくすることが好ましい。これら耐火性骨材の粒子の、いわゆる微粉域の量が多いと、耐火物中で過度な焼結が起こり、上記軟化現象が起きにくくなることもあり、耐スポーリング性が低下する。また、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(MgOを除く) 又は 硼素化合物等の軟化に寄与する物質を、できるだけ少ない量で残部の耐火性骨材の粒子周辺に十分な層を形成させるためにも、残部の耐火性骨材の粒子の大きさ、すなわちそれら粒子の総表面積は小さい方が好ましい。具体的には、0.044mm以上の大きさの粒子が70質量%以上、且つ0.2mm以上の大きさの粒子が30質量%以上、好ましくは0.044mm以上の大きさの粒子が80質量%以上、且つ0.2mm以上の大きさの粒子が50質量%以上であり、最大1〜2mm程度から0.2mm程度の大きさの粒子も適量含ませることが好ましい。0.044mm以上の大きさの粒子が70質量%未満、且つ0.2mm以上の大きさの粒子が30質量%未満の場合は過焼結により耐スポーリング性が低下する傾向が強くなる。
材質層中の炭素の合量が10質量%以下である、本発明の溶鋼接触面用耐火物層の厚みは、ノズルの水平方向の断面、すなわち溶鋼の通過方向を軸方向としてその方向に対し90°をなす断面に於ける本体材質との合計厚みの40%以内である必要がある。40%を超えると、本体耐火物が本発明の耐火物の膨張差によって発生する応力に耐えられなくなり、ノズルの亀裂、割れ・折損等を生じ易くなるからである。
さらに、該ロングノズルの溶鋼と接触する面の材質層が、垂直方向又は水平方向に複数の異なる材質、又は垂直方向又は水平方向の異なる部位で異なる厚みを有する構造とすることが効果的である。すなわち、ロングノズルは、その内孔の一定方向上端部付近の、溶鋼が局部的に衝突して摩耗損傷の大きい部位、いわゆる湯当たり部とその他の領域、さらには溶損も摩耗損耗も大きいタンデュッシュ内溶鋼浸漬部分の内孔、及びスラグにも接して反応侵食溶損の大きい外周部分等、部位により異なる損傷メカニズムと形態がある。そのため、これら異なる損傷メカニズムと形態に応じた組成・構造等に調整した耐火物を、それぞれの部位に適用する、それらの厚みを損耗速度に応じて増減する等で、さらに損傷バランスのとれたノズルとすることができ、トラブルが減少して安定性が向上すると共に寿命の延長も可能となる。
耐火物の特性に関しては、本発明の、優れた耐スポーリング性を維持しつつ、例えば、摩耗損耗の大きい部位には耐摩耗性優位に調整した材質を、溶損の大きい部位には耐食性優位に調整した材質を配設する、等である。
本発明の耐火物の耐スポーリング性、耐摩耗性、耐食性等を調整する方法としては、例えば次のような方法を採り得る。
第1に、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(MgOを除く)、又は硼素化合物の一種以上の合計量を、溶鋼接触面用の耐火物にあっては0.5質量%以上8質量%以下の範囲で、中間層用の耐火物にあっては、0.5質量%以上30質量%以下の範囲で調整する方法である。すなわちその含有量が低くなる程耐食性と耐摩耗性は向上するが耐スポーリング性が低下する傾向となり、その含有量が高くなる程耐スポーリング性は向上するが耐食性と耐摩耗性が低下する傾向となる。
第2に、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(MgOを除く)、又は硼素化合物、及び残部の耐火骨材の一種以上の種類、量又はそれらの構成物の割合等を変動させることである。例えば、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(MgOを除く)、又は硼素化合物の内、ガラス形成材/ガラス修飾材の比率を大きくすると粘性は高めとなり、また前記残部の耐火性骨材にスピネル質、マグネシア質、ジルコニア質等を多く含ませると、耐食性が向上する。
第3に、本発明の耐火物の見掛け気孔率を18%以上35%以下の範囲内で調整する方法である。すなわち見掛け気孔率が低くなる程耐食性と耐摩耗性は向上するが耐スポーリング性が低下する傾向となり、それが高くなる程耐スポーリング性は向上するが耐食性と耐摩耗性が低下する傾向となる。
第4に、耐食性に関して、本発明の耐火物を構成する前記残部の耐火骨材の種類を、耐食性に優れるZrOやMgO含有量の多い組成のものの使用割合をAlやSiO含有耐火性骨材に代えて増やす方法である。これらの割合が高くなる程耐食性は向上するが耐スポーリング性が低下する傾向となり、それが低くなる程耐スポーリング性は向上するが耐食性が低下する傾向となる。
第5に、耐スポーリング性に関して、本発明の耐火物を構成する前記残部の耐火骨材の種類を、低膨張性のムライト質等の使用割合を、AlやZrOやMgO含有量の多い組成の耐火性骨材に代えて増やす方法である。これらの割合が高くなる程耐スポーリング性は向上するが耐食性や耐摩耗性が低下する傾向となり、それが低くなる程耐食性は向上するが耐スポーリング性が低下する傾向となる。尚、耐摩耗性を向上させるには、Alの使用割合を多くすることが好ましい。
本発明の耐火物の組成や物性を調整することによる耐スポーリング性、耐摩耗性、耐食性等を調整する方法は前記にとどまらず、例えば粒度構成等他の要素も前記に組み合わせるか、または単独で採り得る。
本発明の各耐火物層と本体材質との間は、目地のない一体構造とすることが最も好ましい。その理由は、目地に溶鋼やスラグが侵入すると、その侵入物の膨張や耐火物成分との反応による耐火物の物性変化等により、ロングノズルを損傷する可能性が大きくなるので、それを防止するためである。
この場合の、各部位ごとに異なる材質や厚みの耐火物各々の領域間及び本体部分の耐火物間は、全てが目地のない一体構造である必要はないが、特に再使用を行うロングノズルでは全てが目地のない一体構造であることが望ましい。
しかし、特異な形状のロングノズルの場合には、構造上又は製造上そのように完全に目地のない一体構造を得にくい場合もある。また、使用中に特定の場所の損傷速度が大きく、局部的な補修等を行うことによりさらにロングノズルの寿命を延ばすことができる場合もある。そのような場合には、炭素含有量の低い材質からなる溶鋼接触面用の耐火物を、予め成形した部品としてロングノズルの溶鋼接触面に組み込む、または未成形の同様の材質からなる耐火物をロングノズルの溶鋼接触面に塗布する等を行うことができるが、その間に目地が生じる。そのような、一体構造ではなく、各層間に目地が存在する構造とせざるを得ない場合にも、目地に溶鋼やスラグが侵入することを防止する必要がある。
本発明の中間層用の耐火物を設置する場合の溶鋼接触面用の耐火物は、一般的なモルタルによる複数材質の接着及び固定という機能ではなく、基本的に予熱前には接着及び固定をしないことを特徴とする。すなわち、一般的なモルタルによる接着及び固定方法では、設置した溶鋼接触面用の耐火物の熱膨張に伴う発生応力は各部位で直接隣接する材質層に殆ど緩和されることなく影響を及ぼし、それら複数材質層の破壊を惹き起こすことがある。しかも、生じた空間等はほぼそのままの形で残り、そこに溶鋼やスラグが侵入し、特に繰り返し使用時のスポーリングを発生させる原因となることがある。
本発明の中間層用耐火物は、各材質層を接着及び固定させずに単に接触して各層間を可動な状態に保ち、中間層自体が軟化する以前の熱衝撃による発生応力を緩和若しくは吸収する。さらに中間層が軟化した後は、前述のように、中間層用耐火物自体が発生応力を緩和若しくは吸収すると共に、該材質層の変形により各層間に空間が生じることを防止する。いわゆる、均等に馴染ませる機能を有する。
本発明では、次のような設置構造を提供することで、前記の中間層用耐火物の作用を有効ならしめつつ、各層が脱落しないことを可能にした。
溶鋼接触面用の材質層をロングノズルの内面に設置する場合には、中間層及び本体材質層の内孔面の径を上方から下方に向かってテーパー状に小さくするか、下方に部分的に径の小さい部分を形成した形状として、溶鋼接触面用の材質層を支持し、外周に設置する場合は、中間層及び本体材質層の外周面の径を上方から下方に向かってテーパー状に大きくするか、下方に部分的に径の大きい部分を形成した形状として、溶鋼接触面用の材質層を支持する。
これらの設置方法では、溶鋼接触面用の材質層と中間層との間には接着剤等は使用しないので、溶鋼接触面用の材質層は中間層に対し可動な状態を維持する。
但し、これらの層間には、地金侵入防止のため、空間を形成しないように相互の形状を合致させる必要がある。
連続鋳造に於いて、前記の各特徴を有するロングノズルを使用することで、溶鋼接触面に耐火物層中の炭素合計量が10質量%以下の耐火物を設置した場合にも、一度使用した後に再度予熱を行って使用する、いわゆる再使用する方法を採ることが可能になる。
本発明の耐火物及びロングノズルは、製造にあたって特異な条件はなく、一般的な鋳造用ノズルの製造方法により得られる。すなわち、調整した配合割合の秤量物をミキサーにて混練し、得られた配合物をCIPにて所定の形状に成形し、コークス中に埋め込んで焼成する方法である。
見掛け気孔率の調整は、例えば、はい土に乾燥時や焼成時に揮発又は燃焼により消失する性質を有する有機物等を適量配合する、加圧成形時に通常よりも低い圧力で加圧する等の方法を採り得る。
ロングノズルの、部位により複数の異なる材質の耐火物からなる構造のロングノズルを得るには、成形時に所定の領域に分割した枠内に、各領域ごとに異なる材質の耐火物を、段階的に装填する等で得ることができる。
同様にノズルの部位により厚さの異なる構造のノズルを得るには、成形にあたり、その枠や芯棒の形状を所定の形状に調製し、その成形枠と芯棒を使用して加圧成形することで、また成型後に削る等の加工を行うことにより得ることができる。
但し、目地なしの一体構造とするには、加圧直前の枠内に装填されたはい土内に仕切り板等のない状態で加圧することが好ましい。
本発明の耐火物は、上記に示すように、当該複数に調製した耐火物のはい土を、本体用の耐火物と共にCIP等で同時に加圧成形することで目地なしの一体構造のノズルを得ることができ、製造コストの点からもそれが好ましいが、流し込み、吹き付け等のさまざまな成形方法でも、それぞれに適した調整をすることを前提として、目地なしの一体構造のノズルを得ることができる。
中間耐火物層を介した、溶鋼接触面用の耐火物層を有する多層構造にする場合には、本体層部分、溶鋼接触面用耐火物層部分及び中間層部分各々を予め、前記通常のはい土の充填と成形等により作成し、最後に相互に重ね合わせて一体のロングノズルとする方法を採り得る。この場合にも、各耐火物層ごとの製造方法は特に限定する必要はなく、前記のようにさまざまな方法により製造することができる。
本発明の連続鋳造用ロングノズルは、溶鋼への炭素溶出を抑制しつつ、高い耐スポーリング性と耐食性、耐摩耗性等を実現することができる。
また、連続鋳造用ロングノズルの亀裂、割れ、折損等のトラブルを防止することができ、さらにロングノズル全体でのバランスのとれた損傷形態を得ることができ、耐用性を大幅に向上することができる。
特に再使用による繰り返し使用にも同様に安定した耐用性を実現できる。
その結果連続鋳造用ロングノズルの寿命の大幅な向上と溶鋼の連続鋳造方法に於ける耐火物コストの低減を実現できる。
また、溶鋼の連続鋳造方法に於いて、本発明の連続鋳造用ロングノズルを使用することで、製品としての鋼についても、溶鋼中への酸素、スラグの混入を抑制しつつ、特に極低炭素鋼等の炭素成分ピックアップに起因する品質低下を抑制することが可能になる。
本発明のロングノズルの構造に係る実施形態を構造例1から構造例8に、また、本発明のロングノズルにおいて使用される溶鋼接触面用の耐火物の特性確認のための試験結果を実施例1から実施例5に示す。
[構造例1]
図1は連続鋳造用ロングノズルの内孔1に本体耐火物2とは異なる溶鋼接触面用の耐火物3を目地を設けずに一体で配設した例を示す。
[構造例2]
図2は本体耐火物2とは異なる溶鋼接触面用の耐火物層を長手方向で異なる耐火物3と4から形成し、目地を設けずに一体的に上下に張り分けた例を示す。
[構造例3]
図3は本体耐火物2とは異なる溶鋼接触面用の耐火物3の厚みをロングノズル上端から500mm程度の一部分のみ他の部分よりも厚くした例を示す。
[構造例4]
図4は本体耐火物2とは異なる溶鋼接触面用の耐火物5を上端から500mm程度以内の一部分で垂直方向に分割し、その部分に耐摩耗性を強化した耐火物3を、その他の領域には耐スポーリング性を強化した耐火物4を目地なしに一体に配設した例を示す。
[構造例5]
図5は本体耐火物2とは異なる溶鋼接触面用の耐火物3、6を、内孔面と下端付近の外周面に目地なしに一体に配設した例を示す。
[構造例6]
図6は上端から500mm程度以内の領域はその下方部分よりも厚くし、その領域中の湯当たり部となる一部分の領域を垂直方向に分割し、耐摩耗性を強化するように調製された溶鋼接触面用の耐火物3を配設し、また、水平方向の他領域とその下方の溶鋼と接する領域に耐スポーリング性を強化するように調製された耐火物4、5を配設し、タンディッシュ内のスラグ侵食の影響を受ける下端付近の外周側領域には、耐食性を強化するように調製された本発明の溶鋼接触面用の耐火物6を本体部分よりも厚くして配設した例を示す。
[構造例7]
図7は本体耐火物2とは異なる黒鉛を含まない溶鋼接触面用の耐火物4を、内孔1に中間層用材質層7を介して配設した例を示す。
[構造例8]
図8は本体耐火物2とは異なる黒鉛を含まない溶鋼接触面用の耐火物6を、本体耐火物2の外周に中間層用材質層7を介して配設した例を示す。
[実施例1]
表1は、本体耐火物とは異なる溶鋼接触面用の耐火物の組成と特性を示し、フェノールレジンを結合材としたアルミナクリンカー80質量%、スピネルクリンカー17質量%、炭素3質量%からなる材料に、軟化特性付与材としてB、NaO、KOを添加した耐火物につき、B、NaO、KO合量の添加量と曲げ強度指数及び熱衝撃試験の結果の関係を示したものである。
Figure 0004644044
同表に示す曲げ強度指数は、大きさ20×20×80mmの試料を50mmスパンの3点曲げ法により、常温及び400℃、600℃、800℃、1000℃、1200℃、1400℃の各熱間で測定し、常温曲げ強度に対する各熱間曲げ強度の割合を指数としている。
また、熱衝撃試験に供したサンプル形状及び構造は、外径250mm、内径150mm、高さ500mm の円筒状とし、その内側15mm厚を本発明の実施例1〜6及び比較例1〜3の耐火物層、その外側をアルミナクリンカー45質量%、溶融シリカ25質量%、炭素30質量%からなるノズル本体用耐火物層とした。これらはCIPにより一体成形後、1100℃で還元焼成を行って作成した。
熱衝撃試験は、円筒の内孔面より1800℃のガスフレームを内孔面全面に当てた状態で約10分間加熱した後、加熱を止め、その後内孔面に20分間送風して急速に冷却する工程を1サイクルとし、それを10サイクル繰り返し、サンプルの概観の状態を目視観察する方法により、評価した。
結果、600℃以上での熱間での曲げ強度指数が80以下であると押し割り現象が発生しなかった。一方、軟化特性付与材の添加量が外掛け0.4質量%以下の場合である比較例1及び2では、割れや亀裂等が発生し、軟化特性付与材の添加量が9.0質量%と多い比較例3では、曲げ強度指数がさらに低下するものの800℃以上では測定不能状態となり、熱衝撃試験では本体の亀裂は発生しなかったものの、内張り層に試験後表面に亀の甲状の深い貫入亀裂が発生し一部が剥離した。
これらの結果から、軟化特性付与材の添加量としては外掛け0.5〜8.0質量%が適当であることがわかる。
[実施例2]
表2は、可燃性の粉末を添加することで、熱処理後の見掛け気孔率を変化させ、見掛け気孔率と熱衝撃試験の結果及び耐溶鋼摩耗性との関係を示している。
Figure 0004644044
サンプルは、先の[実施例1]と同様の形状、方法で作成した。熱衝撃試験は、先の[実施例1]と同様に、内孔面の急速加熱による方法で行い、溶鋼摩耗性は、1570℃のアルミキルド溶鋼中にサンプルを浸漬し、プロペラのようにサンプルを回転(200rpm)させ、試験後の寸法変化を測定する方法により行った。
同表に示す比較例4及び5は耐火物の見掛け気孔率が17%以下の場合であるが、耐摩耗性には優れているものの、急速加熱により本体の耐火物に亀裂が発生した。また、比較例6は、見掛け気孔率が38%と高い場合であるが、急速加熱により亀裂は発生していないものの、耐溶鋼摩耗性に劣る結果となった。同表に示す実施例7ないし実施例11は、見掛け気孔率が18〜35%であるが、急速加熱による亀裂の発生もなく、同時に溶鋼摩耗性に対しても優れた結果になった。
[実施例3]
表3は、溶鋼接触面用の耐火物とノズル本体用の耐火物との厚みの割合と熱衝撃試験結果との関係を示す。
Figure 0004644044
サンプルは、熱応力的には厳しいと考えられる、より大型の形状とし、外径300mm、内径200mm、高さ500mm の円筒状とし、その内側に溶鋼接触面用の耐火物層、その外側をアルミナ45質量%、溶融シリカ25質量%、炭素30質量%からなるノズル本体用耐火物層とし、これら各耐火物層の厚みの割合を変化させて、一体成形後、1100℃で還元焼成を行って作成した。
熱衝撃試験は、内孔面より1800℃のガスフレームを内孔面全面に当てた状態で約10分間加熱した後、加熱を止め、その後内孔面に20分間送風して急速に冷却する工程を1サイクルとし、それを10サイクル繰り返し、目視観察する方法により行った。
溶鋼接触面用の耐火物層を内孔側に肉厚の40%以内で形成したサンプルである表3中の実施例12〜15及び溶鋼接触面用の耐火物層を使用していない比較例7では熱衝撃の繰り返し後も何ら異常は観られなかったが、比較例8〜9では繰り返し熱衝撃のサイクルにより本体耐火物側に押し割りと思われる縦亀裂が発生した。
[実施例4]
耐スポーリング性を高めつつ、耐食性をも強化するように調整した溶鋼接触面用の耐火物を、実形状の連続鋳造用ロングノズルの内孔部に適用して鋳造を行った。図9は、その内孔部位の損傷速度を、溶鋼接触面用の耐火物を配設していない通常のアルミナ−黒鉛材質耐火物のみからなる連続鋳造用ロングノズルと比較した結果を示す。
サンプルの耐火物は、表4に示す実施例16の溶鋼接触面用の耐火物を直胴部の厚みの比率30%で内孔に、外側には表4に示す比較例10の通常のアルミナ−黒鉛材質の耐火物とし、該ロングノズルの構造は、図1に示す構造の、各耐火物間に目地のない一体成形体として通常の製造工程により製造した。比較に、内孔に溶鋼接触面用の耐火物を配設しない上記比較例10の通常のアルミナ−黒鉛材質の耐火物のみからなる一体構造のものを供した。該ロングノズルをアルミ−シリコン−キルド鋼で、繰り返し使用を含む10chの鋳造に適用し、使用後の損傷状態を観察した。
Figure 0004644044
その結果、本発明の実施例では、本体材質層、内孔に配設した溶鋼接触面用の耐火物層共に亀裂や剥離は観られず、健全な状態を保っており、それら異なる材質層間への地金やスラグ等の侵入も観られなかった。内孔部位の損傷速度を、溶鋼接触面用の耐火物を配設していない通常のアルミナ−黒鉛材質と比較したところ、図9に示すように、本発明の実施例は、通常のアルミナ−黒鉛材質の耐火物のみからなるロングノズルの約3倍の耐用となる結果であった。
その後の拡大適用においても同様の結果でありその再現性も確認できた。また、溶鋼接触面用の耐火物を浸漬部の外周面側にも適用し、同様に亀裂や剥離等の問題はなく、良好な結果を得た。
[実施例5]
前記の[実施例4]で説明した図1の構造のロングノズルと、そのロングノズルに、さらにロングノズル外周部の溶鋼接触面にも炭素成分が10%質量以下の材質からなる耐火物を、中間層用材質を介して配設したロングノズル、すなわち図1と図8とを併せた構造のロングノズルを、低炭素鋼の鋳造に使用した。
使用ch数は、再使用を含む10chであるが、中間層を含む各層間への溶鋼やスラグ等の侵入はなく、また溶鋼接触面用の耐火物には亀裂や剥離も観られなかった。
成品としての鋼中の[C]レベルは、図1構造のロングノズル=14.8ppm、図1と図8とを併せた構造のロングノズル=11.7ppmと、特に溶鋼と接する面の全てに溶鋼接触面用の低炭素含有材質からなる耐火物を使用した場合には、大幅に鋼中の[C]レベルを低下させることができた。
本発明は、溶鋼の連続鋳造用ロングノズル全般に好適である。さらに他の連続鋳造用ノズルやストッパー等にも利用できる。
本発明の構造例1のロングノズルの軸方向断面である。 本発明の構造例2のロングノズルの軸方向断面である。 本発明の構造例3のロングノズルの軸方向断面である。 本発明の構造例4のロングノズルの軸方向断面である。 本発明の構造例5のロングノズルの軸方向断面である。 本発明の構造例6のロングノズルの軸方向断面である。 本発明の構造例7のロングノズルの軸方向断面である。 本発明の構造例8のロングノズルの軸方向断面である。 本発明の実施例4のロングノズルの損傷量等の比較である。
符号の説明
1 ロングノズルの内孔
2 ロングノズルの本体耐火物部分
3 ロングノズルの内孔上端約500mm部分の本発明の溶鋼接触面用耐火物部分
4 ロングノズルの内孔上端約500mm部分以外の本発明の溶鋼接触面用耐火物部分
5 ロングノズルの内孔上端約500mm部分の本発明の溶鋼接触面用耐火物部分の内、
垂直方向に分割された領域の、上記3とは異なる組成の耐火物部分
6 ロングノズルの下端付近外周面の溶鋼接触面用耐火物部分
7 中間層用材質層部分

Claims (4)

  1. 少なくとも溶鋼と接触する面の一部又は全部が本体材質とは異なる材質層で形成されており、
    前記材質層は、炭素の含有量が10質量%以下であり、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(MgOを除く)、又は硼素化合物の一種以上を合計で0.5質量%以上8質量%以下含有し、残部が耐火性骨材の耐火物からなり、
    前記材質層の耐火物の骨材は、0.044mm以上の大きさの粒子が70質量%以上、且つ0.2mm以上の大きさの粒子が30質量%以上である粒度構成を有し、
    前記材質層の耐火物は、18%以上35%以下の見掛け気孔率を有し、常温に於ける曲げ強度をAとし、600℃以上の熱間に於ける曲げ強度をBとしたときに、BのAに対する割合B/Aが80%以下であり、
    さらに、前記材質層は、本体材質との間に目地のない一体構造で形成されており、その厚みは、水平方向断面に於ける本体材質との合計厚みの40%以内である連続鋳造用ロングノズル。
  2. 前記材質層が、垂直方向または水平方向に複数の異なる材質からなる請求項1に記載の連続鋳造用ロングノズル。
  3. 前記材質層が、垂直方向または水平方向の異なる部位で異なる厚みを有する請求項1に記載の連続鋳造用ロングノズル。
  4. 前記溶鋼と接触する面の材質層と本体材質との間に600℃以上で軟化または溶融する中間層が設けられており、
    前記の中間層は、常温に於ける曲げ強度をAとし、600℃以上の熱間に於ける曲げ強度をBとしたとき、BのAに対する割合B/Aが80%以下の耐火物からなり、
    前記耐火物は、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(MgOを除く)および硼素化合物の中の一種または二種以上を合計で0.5質量%以上30質量%以下含有し、残部が耐火性骨材からなり、
    前記の中間層と溶鋼と接触する面の材質層、及び前記の中間層と本体材質との間は、目地のない一体構造で形成されており、
    前記の溶鋼と接触する面の材質層の厚みは、水平方向断面に於ける本体材質及び中間層との合計厚みの40%以内である、請求項1に記載の連続鋳造用ロングノズル。
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