JP2010030765A - エレベータ主ロープの点検装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】主ロープの点検作業、特に、主ロープの破断検出、及び破断箇所のマーキング作業を迅速、簡便且つ高精度で実施することが可能なエレベータ主ロープの点検装置を提供することである。
【解決手段】点検装置10は、主ロープ11の破断を検出する破断検出器13と、マーキング器14と、を備え、破断検出器13は、主ロープ11に接触する滑動面17を含み、滑動面17に主ロープの破断部が引っ掛ることにより滑動方向とは逆の方向に沿って装置本体12に対してスライドするスライド部18と、スライド部18を滑動方向に付勢する付勢部材19と、を備え、マーキング器14は、スライド部18のスライドと連動して、主ロープ11の破断箇所又は破断箇所近辺を自動的にマーキングすることを特徴とする。また、装置本体12には、点検装置10を上昇又は降下させる駆動部35が設けられる。
【選択図】図4

Description

本発明は、エレベータ主ロープの点検装置に係り、特にエレベータ主ロープの破断の有無を確認して、破断箇所が確認された場合に、当該破断箇所又は破断箇所近辺にマーキングを行うまでの一連の点検作業に好適なエレベータ主ロープの点検装置に関する。
エレベータ主ロープ(以下、主ロープとする)は、素線と呼ばれる細い鋼線が撚り合わされて、ストランドと呼ばれる素線の束を形成し、さらに、このストランドが中央部の芯の周りに何本か撚り合わされた構造から構成されている。このように主ロープは、多数の鋼線で構成されているため、磨耗や疲労で一部の素線が破断してもストランドが切れることはない。しかし、一部の素線が破断した状態でエレベータの運転を継続すると、さらなる素線の破断が起こり、ストランドの破断に至るおそれがある。ストランドが破断すると、ストランドの破断部分が周辺機器に接触あるいは巻きつくことによる周辺機器の破損やエレベータの緊急停止などを発生させる可能性がある。従って、ストランドの破断を防止するために、主ロープの点検作業が定期的に行われている。
主ロープの点検作業は、まず、エレベータ機械室(以下、機械室とする)において、主ロープを低速で連続的に或いは断続的に動かしながら、目視又は触手により実施される。触手による点検は、例えば、布を主ロープの周方向に接触するように押し当て、布を介して主ロープを把持した手を主ロープに沿って滑動させることにより行う。素線の破断があった場合には、布がその破断部分に引っ掛ることで素線の破断を検知することができる。主ロープ(素線)の破断が検出された場合は、破断箇所及びその付近を主ロープの全周に亘って目視で確認する必要があるが、機械室では主ロープが巻上げ機のシーブに強く拘束させているため、主ロープの全周に亘る目視確認が困難である。従って、破断検知箇所にテープやチョーク等でマーキングして、機械室での作業終了後に、点検作業者がエレベータかご(以下、かごとする)の上に乗って昇降路を移動しながらそのマーキングされた箇所を探して目視確認を行っている。以上が一連の点検作業であるが、触手等による破断検知作業、マーキング作業等のいずれの作業も手動で行われており、破断が検知される度に主ロープの移動(かごの運転)を止めてマーキングする必要があるため、特に破断検出からマーキングまでの作業に長時間を要していた。このような状況に鑑みて、点検作業の効率を向上させることを目的として幾つかの装置が開発されている。なお、機械室での点検時に、電磁探傷式のロープテスタを使用する方法も採用されているが(特許文献1、2参照)、ロープテスタを使用する場合にも破断検知箇所にマーキングを行って昇降路で目視確認を行う必要がある。
例えば、特許文献3には、主ロープの異常を検出するロープ異常検出手段と、昇降するかごの位置を検出するかご位置検出手段と、主ロープの異常箇所に到達し確認可能な異常確認位置を求めるロープ異常箇所検索手段とを備えたエレベータ用ロープ保守装置が開示されている。また、特許文献3には、主ロープの破断位置のマークが不必要であること、及びかご上で目視確認を行う際、主ロープ破断箇所のデータをプリントアウトしたものを見ながら主ロープの破断箇所を確認できることが述べられている。
また、特許文献4には、かごを昇降する主ロープの状態を検出する状態検出手段と、かごの昇降位置を検出する昇降位置検出手段と、状態検出手段により主ロープの異常状態が検出されたときに昇降位置検出手段により検出されたかごの昇降位置と、状態検出手段が設置された設置位置とに基づいて、かごから主ロープの異常箇所を確認可能なエレベータかごの確認昇降位置を算出する確認昇降位置算出手段とを有し、予め設定されているエレベータの各停止階の位置に基づいて、確認昇降位置算出手段により算出された確認昇降位置に対する最寄り階を算出する最寄り階算出手段と、該算出された最寄り階を表示する表示手段とを備えるエレベータの主ロープ点検装置が開示されている。また、特許文献4には、算出された最寄り階と補正距離とを参考にしてかごを昇降運転させることにより容易に異常箇所まで到達でき、かご上での目視確認を実施できることが述べられている。
特開2004−99328号公報 特開2005−154042号公報 特開2001−39641号公報 特開2002−362847号公報
特許文献3及び4の装置によれば、かご上において破断検知箇所が目視確認できる位置までかごを迅速に移動させることが可能であるが、破断検知箇所又はその付近にマーキングが施されていないため、再度破断箇所を目視或いは触手によって探すことが必要となり極めて不便である。即ち、素線の破断箇所は、非常に小さいものであるから破断箇所付近にかごが移動したとしても、目印がなければ迅速に破断箇所を探すことは困難である。機械室にける上記のマーキング作業は、目視確認までの一連の点検作業を迅速に行う上で極めて重要であるが、従来技術によれば、この重要なマーキング作業の効率を向上させることができない(又はマーキング作業を実施できない)。
本発明の目的は、主ロープの点検作業、特に、主ロープの破断検出、及び破断箇所のマーキング作業を迅速、簡便且つ高精度で実施することが可能なエレベータ主ロープの点検装置を提供することである。
本発明に係るエレベータ主ロープの点検装置は、エレベータ主ロープに取り付けられ、エレベータ主ロープに対して相対移動させることによってエレベータ主ロープを点検するエレベータ主ロープの点検装置であって、エレベータ主ロープの破断を検出する破断検出器と、破断検出器によるエレベータ主ロープの破断検出と連動して、エレベータ主ロープの破断箇所又は破断箇所近辺を自動的にマーキングするマーキング器と、を備えることを特徴とする。
また、点検装置の外形を形成する装置本体を備え、装置本体には、破断検出器と、マーキング器と、が設けられ、破断検出器は、エレベータ主ロープに接触する滑動面を含み、滑動面に主ロープの破断部が引っ掛ることにより滑動方向とは逆の方向に沿って装置本体に対してスライドするスライド部と、スライド部を滑動方向に付勢する付勢部材と、を備え、マーキング器は、スライド部のスライドと連動して、エレベータ主ロープの破断箇所又は破断箇所近辺を自動的にマーキングすることが好ましい。
また、スライド部の滑動面に、布を貼着することが好ましい。
また、マーキング器は、マーキング剤が充填された充填部と、充填部からマーキング剤を吐出する吐出口と、吐出口を開閉する開閉部材と、を有し、スライド部のスライドと連動して、開閉部材が作動することにより吐出口が開放され、エレベータ主ロープの破断箇所又は破断箇所近辺にマーキング剤が塗工されることが好ましい。
また、エレベータ主ロープに沿って装置本体を上昇又は降下させる駆動機が設けられることが好ましい。
また、駆動機は、一端が装置本体に連結され、装置本体を吊り下げる吊り下げワイヤと、主ロープに固定される固定部を含み、回転軸に吊り下げワイヤの他端が連結されて吊り下げワイヤを少なくとも巻上げる巻上げ機と、を有することが好ましい。
また、装置本体には、エレベータ主ロープに沿って点検装置を上昇又は降下させる駆動部が設けられ、駆動部は、エレベータ主ロープを挟んで対向して設けられ、エレベータ主ロープに両側から圧接してエレベータ主ロープに沿って回転する回転部材と、少なくとも1つの回転部材を回転駆動させる駆動アクチュエータと、を有し、駆動アクチュエータが作動することにより、点検装置がエレベータ主ロープに沿って上昇又は降下することが好ましい。
また、破断検出器によるエレベータ主ロープの破断検出回数をカウントする破断検出カウンタを備えることが好ましい。
本発明に係るエレベータ主ロープの点検装置によれば、エレベータ主ロープの破断を検出する破断検出器と、破断検出器によるエレベータ主ロープの破断検出と連動して、エレベータ主ロープの破断箇所又は破断箇所近辺を自動的にマーキングするマーキング器と、を備えるので、主ロープの破断検出、及び破断箇所のマーキング作業を迅速に実施することが可能である。即ち、破断検出と連動した自動マーキングによって、破断が検知される度に主ロープの移動(かごの運転)を止めてマーキングする必要がなく、破断検出からマーキングまでの作業時間を大幅に短縮することができる。
また、破断検出器は、エレベータ主ロープに接触する滑動面を含み、滑動面に主ロープの破断部が引っ掛ることにより滑動方向とは逆の方向に沿って装置本体に対してスライドするスライド部と、スライド部を滑動方向に付勢する付勢部材と、を備え、マーキング器は、スライド部のスライドと連動して、エレベータ主ロープの破断箇所又は破断箇所近辺を自動的にマーキングする構成とすれば、現行実施している触手による点検作業と同様の点検作業を、本点検装置(本構成を有する点検装置)を使用して実施することができ、また、磁気探傷式のロープテスタ等を使用するよりも取り扱いが容易であるから、簡便且つ迅速に破断検出からマーキングまでの点検作業を実施することができる。また、本点検装置による破断検出精度は、触手による点検作業よりも高い。例えば、布を使用した触手による点検作業では、点検作業者が布を介して主ロープを把持する力の差などによって、引っ掛りの程度が異なることが想定されるが、本点検装置では、滑動面が主ロープに接触する力を一定にすることができ、本点検装置を使用する点検作業者によらず同一の点検結果を導くことができる。また、上記と同様に、自動マーキングによる点検作業時間の短縮を実現することができる。
また、スライド部の滑動面に、布を貼着する構成とすれば、主ロープの破断部が布を含む滑動面に引っ掛り易くなって、さらに破断検出の感度が向上する。即ち、素線の破断部は鋭利に尖っていることが一般的であり、破断部は布を構成する繊維に容易に引っ掛るからである。
また、マーキング器は、マーキング剤が充填された充填部と、充填部からマーキング剤を吐出する吐出口と、吐出口を開閉する開閉部材と、を有し、スライド部のスライドと連動して、開閉部材が作動することにより吐出口が開放され、エレベータ主ロープの破断箇所又は破断箇所近辺にマーキング剤が塗工される構成とすれば、例えば、マーキング剤として有色塗料を使用することにより、目印が剥がれる等によってなくなることがなく、昇降路での目視確認時に点検作業者が破断箇所を見つけることが容易になる。また、破断検出と連動したマーキング機構がシンプルであって、装置製作コストが低減できる、装置メンテナンスが容易であるといった利点がある。
さらに、エレベータ主ロープに沿って装置本体を上昇又は降下させる駆動機が設けられる構成とすれば、例えば、主ロープに沿って機械室から装置本体を降下させることができ、破断検出からマーキングまでの点検作業における人為的な作業を低減することができる。即ち、点検作業者の負担を軽減でき、迅速な点検作業が可能になる。
また、駆動機は、一端が装置本体に連結され、装置本体を吊り下げる吊り下げワイヤと、主ロープに固定される固定部を含み、回転軸に吊り下げワイヤの他端が連結されて吊り下げワイヤを少なくとも巻上げる巻上げ機と、を有する構成とすれば、機械室から装置本体を降下させた場合に、巻上げ機を使用してかご上まで到達して点検作業が終了した装置本体を機械室まで戻すことが可能になり、点検作業者の負担をさらに軽減してより迅速な点検作業を実現することができる。
また、駆動部は、エレベータ主ロープを挟んで対向して設けられ、エレベータ主ロープに両側から圧接してエレベータ主ロープに沿って回転する回転部材と、少なくとも1つの回転部材を回転駆動させる駆動アクチュエータと、を有し、駆動アクチュエータが作動することにより、点検装置がエレベータ主ロープに沿って上昇又は降下する構成とすれば、上記と同様に、点検作業者の負担を軽減でき、迅速な点検作業が可能になると共に、点検装置の昇降動作をコントロールすることがさらに容易になる。また、主ロープに点検装置1つを取り付けて、駆動アクチュエータを作動させるだけで、点検装置を昇降させることが可能になり、簡便性がさらに向上する。
また、破断検出器によるエレベータ主ロープの破断検出回数をカウントする破断検出カウンタを備える構成とすれば、破断箇所数の情報を迅速に知ることができる。例えば、特定の主ロープについて、カウント数がゼロである場合には、その主ロープに破断箇所がないことが迅速に把握でき、昇降路での目視確認を簡素化することが可能になる。
図面を用いて本発明に係る実施の形態につき以下詳細に説明する。図1は、エレベータ機械室を備えるエレベータ及びエレベータ主ロープに取り付けられたエレベータ主ロープ点検装置を示す模式図である。図2は、エレベータ主ロープ点検装置の外形を示す模式図であり、エレベータ主ロープに取り付けられた状態を示している。図3は、図2に示すエレベータ主ロープ点検装置の上面図であり、図4は、図3のA−A線断面図である。図5は、図4においてスライド部がスライドしてマーキング剤が主ロープの破断箇所近辺に塗工される様子を示す図である。
図1に示すように、エレベータ主ロープ点検装置10(以下、点検装置10とする)は、エレベータ主ロープ11(以下、主ロープ11とする)に取り付けられて、主ロープ11の破断、特に素線の破断の有無を点検すると共に、破断箇所又は破断箇所近辺にマーキングすることを目的とする装置である。
図1に示すエレベータ50は、エレベータ機械室51(以下、機械室51とする)を備え、エレベータかご52(以下、かご52とする)、巻上げ機53、カウンターウェイト54、昇降路55、及び主ロープ11等を主要構成要素とする一般的なエレベータである(その他、図示しないエレベータ乗場等も重要な構成要素である)。主ロープ11は、一端がかご52の上部に連結されて、巻上げ機53のシーブに巻きかけられ、他端はカウンターウェイト54に連結されている。かご52及びカウンターウェイト54は、巻上げ機53を駆動させることにより、昇降路55内を図示しないガイドレールに沿って昇降するため、巻上げ機53のシーブと主ロープ11との間には大きな摩擦力が働いている。故に、主ロープ11、特に主ロープ11の巻上げ機53のシーブに巻きかけられる部分は特に磨耗し易い。なお、1台のエレベータには、通常、数本の主ロープ11が設置されている。
主ロープ11は、上記のように、素線と呼ばれる細い鋼線が撚り合わされて、ストランドと呼ばれる素線の束を形成し、さらに、このストランドが中央部の芯の周りに何本か撚り合わされた構造から構成されている。中央部の芯には、麻などの繊維が用いられ、錆を防ぐために油がしみ込ませてある。主ロープ11の破断としては、まず、素線の破断が起こり、素線の破断を放置すると、やがてはストランドの破断に至る。ストランドが破断すれば、ストランドの破断部分が周辺機器に接触あるいは巻きつくことによる周辺機器の破損やエレベータ50の緊急停止などを発生させる可能性があるので、ストランドの破断を防止するために、主ロープ11の点検作業が定期的に行われる。上記のように、点検装置10は、この点検作業に使用される装置である。
図2等に示すように、点検装置10は、装置の外形を形成する装置本体12を備える。装置本体12は、装置の外形を形成すると共に、点検装置10の主要構成要素である破断検出器13、及びマーキング器14を設置するための部材として機能する。図2に示すように、装置本体12は、円筒形状を呈しており、上部には破断検出器13の一部が、胴体側面部にはマーキング器14の充填部22の一部が突出した状態で、それぞれ設けられている。
図2では、装置本体12が主ロープ11に取り付けられた状態を示しているが、装置本体12は、展開して主ロープ11から容易に取り外すことができる。具体的には、装置本体12は、2つの部材から構成され、構成部材(以下、装置本体ハーフとする)の端部が蝶番15によって展開可能に固定されている。蝶番15により連結された各装置本体ハーフには、止め具16がそれぞれ設置され、2つの止め具16を係止することにより、装置本体12が主ロープ11を全周方向に亘って囲んだ状態で取り付けられる(以下、各止め具16が係止された状態を閉じた状態とも称する)。なお、主ロープ11に点検装置10を取り付ける方法としては、止め具16を使用する方法に限られず、例えば、ネジや粘着テープを使用して装置本体ハーフを結合するなど、種々の方法によって取り付けることができる。
装置本体12の形態(サイズや形状)は、点検装置10が使用される条件等に応じて任意に設定することができるが、主ロープ11を全周方向に亘って囲むように取り付けられる形態であって、且つ破断検出器13及びマーキング器14を設置できる形態であることが必要である。主ロープ11は、図3に示すように、断面形状がほぼ円形であるから、上記のように、閉じた状態の装置本体12(以下、特に言及しない限り装置本体12は閉じた状態として説明し、主ロープ11側を内側とする)は、中心部の孔径(内径)が主ロープ11の断面直径よりやや大きな円筒形状であることが好ましい。なお、本明細書において、点検装置10とは、装置本体12を含む全体を意味するものであり、装置本体12とは、点検装置10の一部であって破断検出器13等が設置されるケース(容器或いはハウジング)を意味するものである。
装置本体12に設置される破断検出器は、主ロープ11の破断、特に素線の破断を検出できる機能を有する装置(部材)である。破断検出器としては、素線の破断を精度よく検出でき、装置本体12に設置することができる装置であれば、種々の装置を使用することができる。なお、破断検出器は、後述するマーキング器との連動性が良好であることが好ましい。破断検出器に使用できる装置としては、主ロープ11の点検においてよく使用される磁気探傷式のロープテスタ、変位センサや画像センサ等の光学センサ、及び後述するスライド部18等を有するスライド式破断検出器などを挙げることができる。
磁気探傷方式のロープテスタは、主ロープ11を挟んで設置され、ロープテスタ中を主ロープ11が通過すると、ロープテスタに内蔵した永久磁石により主ロープ11を強く磁化する。そして、素線に破断があると磁束が漏洩するため、この漏洩磁束を検出コイルで検出することにより、素線の破断を検出することが可能となる。但し、大きな素線の破断箇所がある場合やストランドの破断箇所がある場合には、それらの箇所が高価なロープテスタに接触して破損させるおそれがあるため、事前に目視や触手による点検作業が必要になる。磁気探傷式ロープテスタや光学センサは一般的に高価であり、取り扱いが面倒な場合があるから、簡便で迅速な点検を目的とする点検装置10において、最も適した破断検出器はスライド式破断検出器である。以下では、破断検出器は、スライド式破断検出器(以下、破断検出器13とする)として説明する。
図4等に示すように、破断検出器13は、主ロープ11に接触すると共に、主ロープ11の破断部にはよく引っ掛り、破断のない部分には引っ掛ることなく滑る滑動面17を含み、スライド部18を備える。スライド部18は、主ロープ11に素線の破断箇所が存在する場合には、滑動面17に主ロープ11の破断部が引っ掛ることにより滑動方向とは逆の方向に沿って装置本体12に対してスライドする。スライド部18は、装置本体12と同様に、円筒形状を有し、図3に示すように、装置本体12が閉じられて主ロープ11に取り付けられた状態では、主ロープ11を全周方向に亘って囲んで設置される。より具体的には、スライド部18の一部、具体的には、円筒形状を有するスライド部18の孔部内径面である滑動面17が、主ロープ11の全周方向に亘って接触するように、装置本体12が主ロープ11に取り付けられる。
スライド部18は、上記のように、主ロープ11の全周方向に亘って接触する滑動面17を含み、主ロープ11に沿って、且つ滑動方向とは逆の方向に沿って、装置本体12に対してスライドする機能を有する部材である。ここで、滑動方向とは、点検装置10を主ロープ11に取り付けて点検作業を実施する際に、主ロープ11に対して点検装置10が移動する方向である。即ち、点検装置10を点検作業者が手で持ち主ロープ11のみを移動させる場合には、主ロープ11が移動する方向と逆の方向が滑動方向となる。なお、図4等に示す点検装置10は、後述する付勢部材19やスライド部18の構成による制限から、滑動方向が下方向に指定される。即ち、図4等に示す点検装置10は、点検装置10を主ロープ11に対して移動させる方向が下方向となるように使用する必要があり、マーキング器14の形態等からも、破断検出部13が装置本体12から突出する側が上方向となるように取り付けられる。
スライド部18や後述する支持部20は、合成又は天然樹脂、セラミック等の無機化合物、アルミニウム等の金属等、種々の材料から構成することができる。スライド部18の滑動面17は、破断部にはよく引っ掛り、破断のない部分には引っ掛ることなくよく滑る性質が要求されるため、スライド部18は、柔軟性に富み割れ等が発生し難い樹脂材料から構成されることが好ましい。また、金属等の剛性が高い材料から構成されるスライド部18の滑動面17に、樹脂フィルムや樹脂製のカバー等を設置することができ、破断部の引っ掛り性を向上させると共に、滑動面17の損傷を防止することができる。なお、主ロープ11の破断部が滑動面17に引っ掛り易くなれば、破断検出の感度を向上させることができる。
上記のように、スライド部18の滑動面17には、樹脂フィルム等を設置できるが、滑動面17に設置する部材としては、破談部の引っ掛り性向上やコスト削減等の観点から、布を貼着することが好ましい(図3〜図7では、滑動面17に貼着された布を三角形の凹凸で示している)。素線の破断部は、鋭利に尖っていることが一般的であり(図5参照)、破断部は布を構成する繊維に容易に引っ掛るからである。ここで、布とは、多数の繊維(天然繊維及び合成繊維)をシート状に加工したものを広く含み、繊維の種類やサイズ、編み方や織り方が異なる種々の布を使用することができる。布の種類によって、破断部への引っ掛りの程度を調整することが可能であり、例えば、繊維が太く、空隙の多い布を使用すると一般的に破断部に引っ掛り易くなる。なお、滑動面17に設置できる樹脂フィルムや布は、劣化すると容易に交換することができる。
スライド部18には、スライド部18を装置本体12に付勢する付勢部材19が設置されることが好ましい。付勢部材19は、スライド部18を主ロープ11に沿った方向であって、滑動方向に付勢する機能を有する。なお、破断検出器13は、装置本体12に固定され、スライド部18を支持する支持部20を備えることができ、付勢部材19の他端は、支持部20に設置することができる。図4等に示すように、支持部20は、スライド部18と同様に、円筒形状を有しており、装置本体12において、スライド部18の外側(主ロープ11とは反対側)となる位置に設置される。
支持部20は、上記のように、スライド部18をスライド可能に支持する機能を有する部材である。支持部20のスライド部18を支持する構造としては、特に限定されず、例えば、スライド部18のスライド方向に沿って形成され、スライド部18の一部が嵌合する溝(図示しない)を備えた構造とすることができる。なお、支持部20には、スライド部18のスライド量を制限する図示しないストッパを設けることもできる。
図4に示すように、支持部20の上部に、内側に向かって突出したフランジ部21を設けることができ、そのフランジ部21の任意の箇所に付勢部材19を設置することができる。付勢部材19の設置個数や付勢力は、スライド部18のスライド力やスライドの状態に大きく影響して、破断検出の精度や感度にも影響を与える重要な因子である。付勢部材19がスライド部18を付勢する方向は、上記のように、滑動方向であり点検時においてスライド部18がスライドする方向とは逆の方向である。従って、スライド部18がスライドする際には、付勢部材19の付勢力に逆らってスライドすることになる。このような付勢部材19を備えることにより、主ロープ11の破断箇所以外の部分に接触しながら点検装置10が主ロープ11に対して移動する場合には、付勢力によってスライド部18はスライドすることなく、滑動面17に破断箇所が引っ掛った場合にのみ、スライド部18がスライドすることが可能になる。
付勢部材19としては、滑動方向にスライド部18を付勢できる部材であれば、特に限定されることなく使用でき、各種圧縮バネや引張りバネを使用することができる。図4等に示す点検装置10は、付勢部材19として圧縮バネを使用した形態を示しており、スライド部18がスライドする方向である上方向に力が発生した場合、負勢力は下方向に働く。なお、スライド部18の上下端部にそれぞれに、付勢部材19、及び後述するスライド部貫通孔28或いは検出スイッチ29を設けて、主ロープ11に沿った方向のどちら(上下方向)にもスライドし、そのスライドと連動してマーキングが可能な構成とすることもできる。
破断検出器13による素線の破断検出の感度や精度には、上記のように、破断部の引っ掛り性、付勢部材19の付勢力、スライド部18の内径(主ロープ11との接触度合い)などが重要な因子として影響する。破断部の引っ掛り性が高くなると破断検出の感度は向上し、引っ掛り性を向上させる対策としては、上記のように、滑動面17に布を貼着する、また、滑動面17を含むスライド部18の長さを長くする等の対策が挙げられる。付勢部材19の付勢力に関しては、強すぎるとスライドし難くなり、弱すぎると破断部ではない部分に接触して滑動する時にスライドしてしまうことがあるため、適切な付勢力を設定する必要がある。なお、付勢力は、付勢部材19の種類や設置個数等によって調整することができる。また、滑動面17と主ロープ11との接触力についても同様に、破断検出感度等の観点から、適切な接触力を設定する必要がある(スライド部18の内径を主ロープ11の直径に近づけると接触力は向上する)。
なお、上述のように、装置本体12は、2つの装置本体ハーフから構成されるが、各装置本体ハーフには、装置本体12が閉じた状態のときに、スライド部18を形成するスライド部ハーフや支持部20を形成する支持部ハーフを有する。少なくともスライド部ハーフは、主ロープ11の全周方向に亘って均一なスライドを可能にするため、装置本体12が閉じられてスライド部18が形成される時に、各スライド部ハーフが嵌合或いは係止する構造を有することが好ましい。各スライド部ハーフが嵌合或いは係止する構造としては、広く公知の構造を適用することができ、例えば、一方のスライド部ハーフに凹部、他方のスライド部ハーフにその凹部に嵌合する凸部を有する構造等が挙げられる。
装置本体12に設置されるマーキング器は、破断検出器13による主ロープ11の破断検出と連動して、主ロープ11の破断箇所又は破断箇所近辺を自動的にマーキングする機能を有する装置である。具体的には、破断検出器13のスライド部18がスライドすることと連動してマーキングを行う。マーキング器としては、破断検出と連動してマーキングすることができ、装置本体12に設置することができる装置であれば、種々の装置を使用することができる。例えば、シールやテープを貼着する装置やマーキング剤を塗工する塗工装置等が挙げられる。マーキング器としては、構造がシンプルであり、スライド部18のスライドと連動し易い等の観点から、マーキング剤を塗工する塗工装置であることが好ましい。以下では、マーキング器は、塗工装置(以下、マーキング器14とする)として説明する。
マーキング器14は、マーキング剤が充填された充填部22を備える。ここで、マーキング剤としては、主ロープ11の破断箇所等に塗工して目印となるものであれば特に限定されず、例えば、有色の各種油性、水性塗料を使用することができる(以下、有色の塗料として説明する)。充填部22には、蓋付き充填口34が設けられ、ここから、塗料を充填することができる。
充填部22には、充填部22から塗料を吐出して主ロープ11に塗工するための吐出口が設けられ、吐出口には、吐出口を開閉する開閉部材が設置される。上記のように、マーキング器14は、破断検出器13による破断検出、具体的には、破断検出器13のスライド部18がスライドすることと連動して塗料を塗工する機能を有する。従って、スライド部18がスライドすると、開閉部材が作動して吐出口が開放されることにより、充填部22に充填された塗料が吐出口から吐出されて破断箇所等がマーキングされる。
マーキング器14の具体的な形態としては、例えば、図4に示すような形態が挙げられる。充填部22には、塗料を排出するための排出口23が設けられ、排出口23には、排出口栓部24が設置されて排出口23を密栓している。排出口栓部24には、塗料を吐出する栓部吐出口25が形成されると共に、栓部付勢部材26が設置され、栓部付勢部材26は、栓部24の先端、即ち栓部吐出口25をスライド部18に押し当てるように、スライド部18の方向に付勢している。
支持部20には、支持部貫通孔27を設けることができ、排出口栓部24は、支持部貫通孔27に挿入されている。また、支持部20の長さをスライド部18よりも短くして、排出口23を含む下方には支持部20が存在しない形態とすることもできる。なお、栓部吐出口25が上述の吐出口、スライド部18の一部、より具体的には、スライド部18の外側面(滑動面17とは反対側の面)の一部が上述の開閉部材として機能する。
スライド部18には、排出口栓部24が当接する部分よりも下方にスライド部貫通孔28が形成され、図5に示すように、滑動面17に主ロープ11の破断箇所が引っ掛ってスライド部18が上方にスライドすると、支持部貫通孔27とスライド部貫通孔28が重なり、その際に、排出口栓部24が栓部付勢部材26の付勢力によってスライド部貫通孔28に挿入されると共に、スライド部18の外側面に当接して密栓させていた栓部吐出口25が開放されて、塗料が主ロープ11の破断箇所近辺に塗工される。なお、塗料の吐出量は、栓部吐出口25の直径や充填部22に加わる圧力を変更することによって任意に設定することができる。また、図5においては、スライド部18がスライドした場合にも排出口栓部24は排出口23から抜け出ない形態を示すが、例えば、栓部吐出口25を有さず、スライド部18のスライドによって、排出口栓部24が排出口23から突出する形態とすることができ、その場合には、多量の塗料を排出口24から吐出することができる。
図5に示すように、排出口栓部24は、先端が丸みを帯びた形状(R形状)を呈している。従って、装置本体12が破断箇所を過ぎて移動し、スライド部18が付勢部材19の付勢力によってもとの位置に戻る際に、栓部24の先端部がスライド部18によって押圧され、栓部付勢部材26の付勢力に逆らって充填部22側にスライドして元の状態、即ち支持部貫通孔27とスライド部貫通孔28がずれて、排出口栓部24が支持部貫通孔27に挿入された状態に戻ることができる。
破断検出とマーキングとの連動機構、即ちスライド部18のスライドと吐出口の開閉との連動機構としては、図3及び図4に示す機構(構造)の他にも、図5に示すように、破断検出器13に検知スイッチ29を、マーキング器14に電磁弁33を、それぞれ備え、スライド部18のスライドにより検知スイッチ29がON操作されて、電磁弁33が開き、塗料が主ロープ11に塗工される構成とすることもできる。
具体的には、破断検出器13は、付勢部材19が設置されるフランジ部21に、検知スイッチ29を備えることができる。検知スイッチ29には、上下方向に動く検知ピン30が設置される。スライド部18がスライドしない状態、即ち、図6に示すように、圧縮バネである付勢部材19が延びた状態では、検知ピン30は、下方に突出した状態であって、この突出状態をOFF状態として設定することができる。スライド部18が上方にスライドして付勢部材19が縮むと、検知ピン30が押されてON状態となる。
マーキング器14は、充填部22に接続され主ロープ11の近傍まで延びた塗工ノズル31を有し、塗工ノズル31に上述の吐出口として塗工ノズル吐出口32、及び吐出口の開放部材として電磁弁33が設置される。検知スイッチ29と電磁弁33とは、図示しない制御回路等を介して接続されており、検知ピン30が押されて検知スイッチ29のON信号が発生するとその信号を受けて、閉じられていた電磁弁33が開き、塗工ノズル吐出口32が開放されて主ロープ11の破断箇所等に塗料が吐出される。
点検装置10は、さらに、主ロープ11に沿って、点検装置10又は装置本体12を上昇又は降下させる駆動機を設けることができる。駆動機としては、点検装置10等を昇降させることができる装置であれば、種々の駆動装置を使用することができ、例えば、電動式の駆動装置、或いは動力が不要な機械式の駆動装置を挙げることができる。ここで、点検装置10又は装置本体12を昇降させるとは、駆動機が装置本体12中に設置され点検装置10が一体として昇降する構成、及び駆動機の一部が主ロープ11に固定されて動かず、破断検出器13等を有する装置本体12が昇降する構成を含むことを意味する。
電動式の駆動装置としては、図4に示す装置本体12に設置される駆動部35が挙げられる(装置本体12中に設置される駆動装置を駆動部35とする)。図4に示す駆動部35は、主ロープ11を挟んで対向して設けられ、主ロープ11に両側から圧接して主ロープ11に沿って回転するローラ36と、ローラ36を主ロープ11に対して付勢する駆動部付勢部材37と、少なくとも1つのローラを回転駆動させる電動モータ38と、から構成される。ローラ36のローラ回転軸39は、図示しない軸受け部に駆動部付勢部材37が設置される方向に移動可能に支持され、ローラ回転軸39の外筒には、駆動部付勢部材37が設置される。この駆動部付勢部材37を設けることによって、ローラ36を主ロープ11に圧接できると共に、主ロープ11の表面に存在する破断部を含む凹凸にローラ36が引っ掛らないようにすることができる。なお、ローラ36は、各種ゴム材料によって構成できるが、弾力性の高い材料を使用して主ロープ11表面の凹凸を吸収し、破断部等に引っ掛らないようにすることもできる。
駆動ローラ36Mを回転駆動させる駆動アクチュエータとしては、上記のように、電動モータ38を使用することが好ましく、例えば、図4に示すように、電動モータ38の回転軸及び駆動ローラ36Mのローラ回転軸39に歯付きプーリを設置し、歯付きベルトを架け回した動力伝達機構を構成することができる(チェーンとスプロケットなど、種々の動力伝達構造を適用することができる)。点検装置10がこのような駆動部35を備えれば、電動モータ38を作動させることにより、点検装置10が主ロープ11に沿って上昇又は降下することが可能になる。従って、主ロープ11を停止させた状態で、且つ点検作業者が点検装置10を把持することなく、点検作業を実施することが可能になり、点検時の消費電力削減や作業負荷の軽減に大きく寄与する。
一方、機械式の駆動装置としては、例えば、図7に示すように、キツツキシリンダ40を備えた駆動部35が挙げられる。キツツキシリンダ40には、錘41が設置され、錘41が上下方向に振れることによりキツツキシリンダ40と主ロープ11との摩擦力が増減して、点検装置10を主ロープ11に沿って降下させることができる。図7は、錘41が下方に振れた状態を示しており、キツツキシリンダ40の一部(左側下部及び右側上部)が主ロープ11と接触している。一方、錘41が上方に振れると、キツツキシリンダ40が主ロープ11に沿った平行状態を経由して、キツツキシリンダ40の別の一部(左側上部及び右側下部)が主ロープ11と接触した状態になる。即ち、キツツキシリンダ40が主ロープ11に沿った平行状態であるときは、駆動部35において摩擦力は働かず(滑動面17では所定の接触による摩擦力が働く)、点検装置10は降下することができ、キツツキシリンダ40の一部が接触した状態では摩擦力が働き、点検装置10は降下しない。なお、キツツキシリンダ40の内径や長さ、キツツキシリンダ40や錘41の重量などを変更することによって、点検装置10の降下速度を調整することができる。
また、上記の駆動部35に加えて、或いは単独で、装置本体12とは別個の巻上げ式駆動装置を設けることができる。巻上げ式駆動装置は、図8に示すように、装置本体12の一部に吊り下げワイヤ43を設置し、巻上げモータユニット42によって吊り下げワイヤ43を巻上げる仕組みである。巻上げモータユニット42は、例えば、図1に示すように、機械室51のロープ孔56付近の主ロープ11にベルト(モータユニット固定ベルト44)で固定することができる。巻上げモータ回転軸45には、2つのワイヤドラム46を取り付けて、装置本体12を安定して巻上げることができる。なお、巻上げ式駆動装置は、コスト削減等の観点から、吊り下げワイヤ43が連結された軸を手動で回す手動式装置とすることもできる。
また、点検装置10には、破断検出器13による主ロープ11の破断検出回数をカウントする図示しない破断検出カウンタを備えることができる。例えば、図6に示す検知スイッチ29を備える点検装置10において、検知スイッチ29と制御回路等を介して接続される破断検出カウンタを設置することができる。破断検出カウンタとしては、特に限定されることなく、公知のカウンタを使用することができる。このように、破断検出回数をカウントするカウンタを設置すれば、破断箇所数の情報を迅速に知ることができ、例えば、特定の主ロープ11について、カウント数がゼロである場合には、その主ロープ11に破断箇所がないことが迅速に把握でき、昇降路55での目視確認を簡素化することが可能になる。
上記構成を有する点検装置10の作用、特に図1に示すエレベータ50の主ロープ11の点検作業について、図9を加えて以下詳細に説明する。図9は、点検装置10による主ロープ11の点検作業の手順を示すフローチャートである。
まず初めに、点検作業者は、機械室51にて、図1に示すように、ロープ孔56付近の主ロープ11に点検装置10を取り付ける(S10)。装置本体ハーフが蝶番15によって連結された装置本体12は、2つの止め具16を係止することにより主ロープ11の全周方向に滑動面17が触れるように取り付けることができる。なお、主ロープ11は、上記のように、複数存在するが、点検作業は1本ずつ実施する。
次に、ロープ孔56からかご52上まで主ロープ11に沿って点検装置10を降下させる(S11)。図4に示す駆動部35を有する点検装置10においては、電動モータ38を作動させることにより点検装置10を主ロープ11に沿って降下させることができる。
主ロープ11に破断箇所が存在する場合には、破断箇所がスライド部18の滑動面17に引っ掛って、スライド部18が付勢部材19の付勢力に逆らって上方にスライドすることにより破断が検出される(S12)。主ロープ11に破断箇所が存在しない場合には、滑動面17は点検装置10の移動方向である滑動方向に沿って滑るため、スライド部18は、付勢部材19の付勢力に逆らってスライドすることはない。
S12において破断が検出された場合、即ちスライド部18が上方にスライドした場合には、そのスライドと連動して、主ロープ11の破断箇所又は破断箇所近辺等に塗料が塗工される(S13)。例えば、図4に示す点検装置10においては、スライド部18のスライドによって、支持部貫通孔27とスライド部貫通孔28が重なり、その際に、排出口栓部24が栓部付勢部材26の付勢力によってスライド部貫通孔28に挿入されると共に、スライド部18の外側面に当接して密栓させていた栓部吐出口25が開放されて、塗料が塗工される。図6に示す点検装置10においては、スライド部18のスライドによって検知スイッチ29がON状態となり、検知スイッチ29のON信号と連動して電磁弁33が開き、吐出ノズル吐出口32が開放されて塗料が吐出される。
点検装置10がかご52上まで降下すると、1本の主ロープ11に関して、巻上げ機53からかご52側部分の点検作業が終了する。必要により、巻上げ機53からカウンターウェイト54側部分についても同様の点検作業を実施することができる。上記S10〜S13の点検作業を、他の主ロープ11に関しても実施するため、電動モータ38を逆回転駆動させて、点検装置10を主ロープ11に沿って上昇させ、機械室51に点検装置10を戻すことができる。また、図8に示す巻上げ式駆動装置によって、降下させた点検装置10を巻上げることもできる。
点検作業者は、全ての主ロープ11について、破断検出及びマーキング作業が終了すると、かご52の上に乗って昇降路55内を移動しながら、マーキング箇所を目印として、破断箇所の全周方向について目視確認を行うことができる。
以上のように、点検装置10によれば、主ロープ11の破断を検出するスライド部18を備えた破断検出器13と、破断検出器13による主ロープ11の破断検出と連動して、主ロープ11の破断箇所又は破断箇所近辺を自動的にマーキングするマーキング器14と、を備えるので、主ロープ11の破断検出、及び破断箇所のマーキング作業を迅速に実施することが可能である。即ち、破断検出と連動した自動マーキングによって、破断が検知される度に主ロープ11の移動(かごの運転)を止めてマーキングする必要がなく、破断検出からマーキングまでの作業時間を大幅に短縮することができる。
また、滑動面17、特に布が貼着された滑動面17を含むスライド部18の機能によって、触手による点検作業よりも点検精度を向上させることが可能になる。触手による点検では、把持する力が弱いと破断部に布は引っ掛かり難く、把持する力が強いと破断部に布が引っ掛っても布を構成する繊維の一部が破損して破断箇所を通過する等が想定されるが、点検装置10によれば、滑動面17が主ロープ11に接触する力を一定にすることができ、点検装置10を使用する点検作業者によらず同一の点検結果を導くことができる。
さらに、点検装置10には、主ロープ11に沿って点検装置10又は装置本体12を上昇又は降下させる駆動部35等の駆動機が設けられるので、人為的な作業を低減して、点検作業者の負担を軽減できると共に、迅速な点検作業が可能になる。
エレベータ機械室を備えるエレベータ及びエレベータ主ロープに取り付けられたエレベータ主ロープ点検装置を示す模式図である。 エレベータ主ロープ点検装置の外形を示す模式図である。 図2に示すエレベータ主ロープ点検装置の上面図である。(フランジ部21及び付勢部材19は省略している) 図3のA−A線断面図である。 図4においてスライド部がスライドしてマーキング剤が主ロープの破断箇所近辺に塗工される様子を示す図である。 検知スイッチを有する破断検出器及び電磁弁を有するマーキング器を備えたエレベータ主ロープ点検装置の断面を示す模式図である。 キツツキシリンダを備えたエレベータ主ロープ点検装置の断面を示す模式図である。 巻上げモータユニットを備えたエレベータ主ロープ点検装置の外形を示す模式図である。 エレベータ主ロープ点検装置による点検作業の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
10 エレベータ主ロープ点検装置、11 エレベータ主ロープ、12 装置本体、13 破断検出器、14 マーキング器、15 蝶番、16 止め具、17 滑動面、18 スライド部、19 付勢部材、20 支持部、21 フランジ部、22 充填部、23 排出口、24 排出口栓部、25 栓部吐出口、26 栓部付勢部材、27 支持部貫通孔、28 スライド部貫通孔、29 検知スイッチ、30 検知ピン、31 塗工ノズル、32 塗工ノズル吐出口、33 電磁弁、34 蓋付き充填口、35 駆動部、36 ローラ、36M 駆動ローラ、37 駆動部付勢部材、38 電動モータ、39 ローラ回転軸、40 キツツキシリンダ、41 錘、42 巻上げモータユニット、43 吊り下げワイヤ、44 モータユニット固定ベルト、45 巻上げモータ回転軸、46 ワイヤドラム、50 エレベータ、51 エレベータ機械室、52 エレベータかご、53 巻上げ機、54 カウンターウェイト、55 昇降路、56 ロープ孔。

Claims (8)

  1. エレベータ主ロープに取り付けられ、エレベータ主ロープに対して相対移動させることによってエレベータ主ロープを点検するエレベータ主ロープの点検装置であって、
    エレベータ主ロープの破断を検出する破断検出器と、
    破断検出器によるエレベータ主ロープの破断検出と連動して、エレベータ主ロープの破断箇所又は破断箇所近辺を自動的にマーキングするマーキング器と、
    を備えることを特徴とするエレベータ主ロープの点検装置。
  2. 請求項1に記載のエレベータ主ロープの点検装置において、
    点検装置の外形を形成する装置本体を備え、
    装置本体には、破断検出器と、マーキング器と、が設けられ、
    破断検出器は、
    エレベータ主ロープに接触する滑動面を含み、滑動面に主ロープの破断部が引っ掛ることにより滑動方向とは逆の方向に沿って装置本体に対してスライドするスライド部と、
    スライド部を滑動方向に付勢する付勢部材と、を備え、
    マーキング器は、スライド部のスライドと連動して、エレベータ主ロープの破断箇所又は破断箇所近辺を自動的にマーキングすることを特徴とするエレベータ主ロープの点検装置。
  3. 請求項2に記載のエレベータ主ロープの点検装置において、
    スライド部の滑動面に、布を貼着したことを特徴とするエレベータ主ロープの点検装置。
  4. 請求項2又は3に記載のエレベータ主ロープの点検装置において、
    マーキング器は、
    マーキング剤が充填された充填部と、
    充填部からマーキング剤を吐出する吐出口と、
    吐出口を開閉する開閉部材と、を有し、
    スライド部のスライドと連動して、開閉部材が作動することにより吐出口が開放され、エレベータ主ロープの破断箇所又は破断箇所近辺にマーキング剤が塗工されることを特徴とするエレベータ主ロープの点検装置。
  5. 請求項2〜4のいずれか1に記載のエレベータ主ロープの点検装置において、
    エレベータ主ロープに沿って装置本体を上昇又は降下させる駆動機が設けられることを特徴とするエレベータ主ロープの点検装置。
  6. 請求項5に記載のエレベータ主ロープの点検装置において、
    駆動機は、
    一端が装置本体に連結され、装置本体を吊り下げる吊り下げワイヤと、
    主ロープに固定される固定部を含み、回転軸に吊り下げワイヤの他端が連結されて吊り下げワイヤを少なくとも巻上げる巻上げ機と、
    を有することを特徴とするエレベータ主ロープの点検装置。
  7. 請求項2〜4のいずれか1に記載のエレベータ主ロープの点検装置において、
    装置本体には、
    エレベータ主ロープに沿って点検装置を上昇又は降下させる駆動部が設けられ、
    駆動部は、
    エレベータ主ロープを挟んで対向して設けられ、エレベータ主ロープに両側から圧接してエレベータ主ロープに沿って回転する回転部材と、
    少なくとも1つの回転部材を回転駆動させる駆動アクチュエータと、を有し、
    駆動アクチュエータが作動することにより、点検装置がエレベータ主ロープに沿って上昇又は降下することを特徴とするエレベータ主ロープの点検装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1に記載のエレベータ主ロープの点検装置において、
    破断検出器によるエレベータ主ロープの破断検出回数をカウントする破断検出カウンタを備えることを特徴とするエレベータ主ロープの点検装置。
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