JP2018203412A - パイプコンベヤ用非常停止装置 - Google Patents
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Abstract
Description
まず、本発明に係るパイプコンベヤ用非常停止装置100を備える、パイプコンベヤ1の全体構造の一例について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、パイプコンベヤ1の一例を示す側面図である。図2は、図1のパイプコンベヤ1を示す、図1のII−II線に沿う縦断面図である。図3は、図1のパイプコンベヤ1を示す、図1のIII−III線に沿う水平断面図である。
パイプコンベヤ1は、無端状(すなわち環状)のコンベヤベルト10を備えており、コンベヤベルト10の長手方向の一部分をパイプ状に丸めた状態で、コンベヤベルト10の内周側に被搬送物Wを包み込んで搬送するものである。パイプコンベヤ1は、被搬送物Wを飛散あるいは荷こぼれさせずに搬送できるため、粉状体、粒状体、又は比較的軽い固形物等の搬送に特に好適である。
また、本明細書では、コンベヤベルト10の幅方向を、「ベルト幅方向」ともいう。ベルト幅方向は、コンベヤベルト10のベルト長手方向に垂直な縦断面(例えば図2の縦断面)における、コンベヤベルト10の厚さ方向中心線の延在方向に相当する。ベルト幅方向は、コンベヤベルト10が平らに展開された状態ではまっすぐな方向であるが、コンベヤベルト10がパイプ状に丸められた状態では、そのパイプ形状の周方向にほぼ沿う方向となる。
図1に示すように、コンベヤベルト10は、コンベヤベルト10の長手方向の両端に設置された前部プーリ2と後部プーリ3とに掛け回されている。前部プーリ2をモータ等の駆動機構により回転させ、後部プーリ3を従動回転させることによって、コンベヤベルト10は、図1の矢印の方向に循環走行される。後部プーリ3の上方には、被搬送物Wをコンベヤベルト10上に投下するホッパ9が設けられている。前部プーリ2の前方下側には、コンベヤベルト10上の被搬送物Wが投入される荷受箱11が設置されている。コンベヤベルト10のうち、後部プーリ3から前部プーリ2に向かって進行する部分はキャリア側ベルト10Cであり、前部プーリ2から後部プーリ3に向かって進行する部分はリターン側ベルト10Rである。
前部プーリ2と後部プーリ3との間には、方形枠状をなす複数の保形枠4が、ベルト長手方向にほぼ一定間隔をもって配設されている。これら複数の保形枠4は、コンベヤベルト10の長手方向に沿って延在する支持枠5によって、互いに連結されている。
図2に示すように、各保形枠4は、保形枠4内に配置された上室パネル4aと下室パネル4bとにより、上室と下室とを区画している。上室パネル4aの中央に形成された窓穴4cには、コンベヤベルト10のキャリア側ベルト10Cが、窓穴4cの周縁にほぼ環状に配設された複数(図の例では6つ)の円形保持ローラ6によって案内支持されながら通過する。下室パネル4bの中央に形成された窓穴4cには、コンベヤベルト10のリターン側ベルト10Rが、窓穴4cの周縁にほぼ環状に配設された複数(図の例では6つ)の円形保持ローラ6によって案内支持されながら通過する。
まず、図3に示すように、平らに展開された状態で後部プーリ3を下側から上側に通過したキャリア側ベルト10Cが、例えばキャリア側ベルト10Cの下面と側面をそれぞれ支持する丸めローラ7、8によって案内支持されることにより、ベルト幅方向両側の端部分110、120が持ち上げられるとともに互いへ近づけられ、次第にパイプ形状に近づくように丸められる。その間、ホッパ9から、被搬送物Wが、キャリア側ベルト10C上に投下される。
ついで、キャリア側ベルト10Cは、図2に示すように、最初の保形枠4の上室パネル4aに進入し、円形保持ローラ6によって案内支持されて、完全にパイプ形状に丸められる。このとき、キャリア側ベルト10Cのベルト幅方向両側の端部分110、120どうしが、上方においてオーバーラップし、キャリア側ベルト10Cの内周側に被搬送物Wが包み込まれる。すなわち、パイプ形状に丸められたキャリア側ベルト10Cの内周面は、搬送面をなす。その後も、被搬送物Wを包み込んだキャリア側ベルト10Cは、各保形枠4を通過するたびに受ける円形保持ローラ6の作用によって、パイプ形状を保ったまま走行する。
最後の保形枠4を通過したキャリア側ベルト10Cは、図1に示すように、前部プーリ2に向かうに従い、ベルト展開装置(図示せず)によって徐々に平らになるように展開される。キャリア側ベルト10Cが前部プーリ2に到達すると、被搬送物Wが荷受箱11に投入される。
その後、前部プーリ2を上側から下側に通過したリターン側ベルト10Rは、上述と同様の要領でパイプ形状に丸められて、パイプ形状を保ったまま各保形枠4の下室パネル4bを通過し、再び平らに展開されて後部プーリ3に戻って、循環走行する。なお、本例では、図2に示すように、リターン側ベルト10Rのなすパイプ形状の断面形状が、キャリア側ベルト10Cのなすパイプ形状の断面形状を上下に反転させた形状となる。
このように、パイプコンベヤ1は、コンベヤベルト10の長手方向における後部プーリ3と前部プーリ2との間の部分で、コンベヤベルト10をパイプ形状に丸めた状態で走行させる。
このパイプコンベヤ1において、パイプコンベヤ用非常停止装置100(以下に、単に「非常停止装置100」ともいう)は、その詳細を後述するように、図1に示す保形枠4の内側に配置されている。本発明に係る非常停止装置100は、少なくとも1つ(図示例では2つ)の保形枠4に、上述の上室パネル4a及び/又は下室パネル4bに替えて配置することによって、縦裂きの進展を防止する効果が得られるが、非常停止装置100の配設個数は、諸条件に応じて適宜設定できる。
図4は、本発明に係るパイプコンベヤ用非常停止装置100の一実施形態における、平常時の状態を示す図であり、図4(a)は、該非常停止装置100の正面図(コンベヤベルト10の進行方向に沿って、該進行方向の後方から見た図。すなわち、図1のII−II線に沿う縦断面図に対応した図。)であり、図4(b)は、該非常停止装置100の側面図(コンベヤベルト10の進行方向に垂直な方向から見た図。すなわち、図1に示す側面図の、部分拡大図に相当する図。)である。この例において、非常停止装置100は、図4(a)に示すように、キャリア側ベルト10Cが通過することになる保形枠4の上室に設けられており、非常停止装置100の外郭寸法は、該保形枠4の上室の内法寸法とほぼ同一である。なお、図4(b)においては、説明をし易くする目的で、保形枠4、支持枠5及び円形保持ローラを保持するローラ受けの一部の記載を省略している。
本実施形態における非常停止装置100は、第1パネル12A、第2パネル12B及び第3パネル12Cの、3枚のパネルを備え、これら3枚のパネルは、以下の構成を有している。
すなわち、図4(a)を参照して、第1パネル12Aは、輪郭が四角形(この例では、正方形)のパネルであり、その中央部に、キャリア側ベルト10Cを通過させる円形の窓穴13aと、該窓穴13aの周縁にほぼ環状に配置された複数(本実施形態では、6つ)の円形保持ローラ6が設けられている。さらに、第1パネル12Aには、その四隅の夫々に、後述する第1支持棒14を挿入するための開孔15aが設けられている。
第3パネル12Cは、この例では、第1パネル12Aとベルト進行方向に対して垂直な同一平面上に、該第1パネル12Aの四方を囲むように配置された、輪郭が四角形(この例では、正方形)のパネルである。第3パネル12Cの中央部には、第1パネル12Aの面積よりも大きな(この例では、第1パネル12Aの相似形状である正方形の)開口13bが形成されているため、第3パネル12Cは、第1パネル12Aの輪郭を形成する四辺すべてからオフセットしている。さらに、第3パネル12Cには、その四隅の夫々に、後述する第2支持棒16を挿入・固定するための開孔15bが設けられている。
また、図4(b)を参照して、第2パネル12Bは、第1パネル12A及び第3パネル12Cと、コンベヤベルト10のベルト進行方向Xに対して垂直かつ互いに平行に、かつ第1パネル12A及び第3パネル12Cから、ベルト進行方向Xの前方(図4(b)の左方)に、所定の距離Dだけ離間して配置されている。第2パネル12Bは、第1パネル12A及び第3パネル12Cと同じく輪郭が四角形(この例では、正方形)であり、その中央部に、キャリア側ベルト10Cを通過させる円形の窓穴(不図示)を備えている。さらに、第2パネル12Bには、上記の開孔15a及び開孔15bと、ベルト進行方向Xに沿って対応する位置に、後述する第1支持棒14及び第2支持棒16を挿入するための、開孔15c及び開孔15dが設けられている。
さらに、第2パネル12Bにおいては、第2パネル12Bの、開孔15c位置、すなわち、第1パネル12Aの四隅に設けられた4つの開孔15aとベルト進行方向Xに沿って対応する位置に、複数本(この例では、4本)の第1支持棒14が固定されており、該第1支持棒14は、開孔15c及び開孔15a間に延在している。さらに、この第1支持棒14には、第1パネル12Aと第2パネル12Bとが離間する方向に付勢されたコイルバネ17が巻き付けられており、該コイルバネ17によって、第1パネル12Aと第2パネル12Bとは、第1パネル12Aと第2パネル12Bとのベルト進行方向Xにおける距離Dが変化し得るように、連結されている。なお、第1支持棒14は、開口15a側、すなわち、第1パネル12A側では固定されていない。本実施形態において、第1支持棒14の断面積(進行方向Xに対して垂直な面の断面積)は、開孔15aの開孔面積よりも小さく、第1パネル12Aは、開孔15aを介して、第1支持棒14上を摺動することができる。
また、第1パネル12Aは、コイルバネ17の作用により、第2パネル12Bから離間して配置されているが、本実施形態においては、第1パネル12Aが、第3パネル12Cと同一平面上に静止するように、又は第1パネル12Aが、第1支持棒14から外れてしまわないように、例えば、該第1支持棒14の第1パネル12A側の先端付近にパネル受け14aが設けられている。
また、第2パネル12Bにおいては、第2パネル12Bの、開孔15dの位置、すなわち、第3パネル12Cの四隅に設けられた4つの開孔15bとベルト進行方向Xに沿って対応する位置に、さらに複数本(この例では、4本)の第2支持棒16が固定されており、開孔15b及び開孔15d間に延在する当該第2支持棒16によって、第2パネル12Bと第3パネル12Cとは、第2パネル12Bと第3パネル12Cとのベルト進行方向Xにおける距離Dが一定に保持されるように、連結されている。
まず、コンベヤベルトにおける「縦裂き」とは、一般に、被搬送物W中に含まれる鋭利な物体P(以下、単に「物体P」ともいう)がコンベヤベルトを貫通することにより生じ、この縦裂きは、該物体Pが貫通した後もなおパイプコンベヤの運転、すなわち、コンベヤベルトの走行が継続されることによって経時的に進展する。より具体的に説明すると、本発明に係る非常停止装置100が設けられていない場合においては、パイプ状に丸められたコンベヤベルトを貫通して、該コンベヤベルトの円周から突出している物体Pは、コンベヤベルトの走行に伴い、該走行途中に配置されている保形枠や円形保持ローラ等によってそれ以上前方への進行が妨げられることになるところ、コンベヤベルトはそのまま走行を続けるため、パイプコンベヤの運転が停止するまでの間、該物体Pによってコンベヤベルトが切り裂かれることになる。このように、コンベヤベルトの縦裂きは、該縦裂きが発生してからパイプコンベヤの運転が停止するまでの間に進展する。
本発明に係る非常停止装置100では、コンベヤベルト10の任意の場所にて物体Pが該コンベヤベルト10を貫通すると、物体Pは、コンベヤベルト10の走行とともに前進し、最寄りの非常停止装置100の第1パネル12Aと衝突する(図5(a)参照)。すると、第1パネル12Aは、物体Pによってコンベヤベルト10のベルト進行方向X前方、すなわち、第2パネル12Bに近づく方向に押されることになる。そして、物体Pが第1パネル12Aを押す力が、第1支持棒14に設けられたバネ17の弾性力を上回ると、第1パネル12Aは、第2パネル12Bに向かって移動し始める。すなわち、第1パネル12Aは、本実施形態では、第3パネル12Cに対して、コンベヤベルト10のベルト進行方向X前方に相対的に移動し始める。すると、第1パネル12Aに固定された第1プーリ18もまた、第3パネル12Cに固定された第2プーリ19に対して、コンベヤベルト10のベルト進行方向X前方に相対的に移動することになる。すると、第1プーリ18及び第2プーリ19に掛けられた、引き綱非常停止スイッチ(不図示)に接続している引き綱20が引かれ、該非常停止スイッチが作動する。この一連の動作によって、パイプコンベヤ1の運転が停止される。
このように、本発明に係る非常停止装置100においては、物体Pによってコンベヤベルト10に縦裂きが発生したとしても、該縦裂きの進展を、第1パネル12Aの移動距離D2に留めることができる。しかも、本発明に係る非常停止装置100では、縦裂き発生時に、上述した簡易かつ簡潔な構造によりパイプコンベヤ1の運転を停止することができる。このように、本発明に係る非常停止装置100によれば、簡易な構造でコンベヤベルト10の縦裂きの進展を防止することができる。
なお、本実施形態では、上述のとおり、引き綱20が、第1パネル12Aに固定された第1プーリ18と、第3パネル12Cに固定された第2プーリ19と、の2つのプーリを介して引き綱非常停止スイッチに接続されている。この場合、縦裂き発生時における、引き綱20の引き綱ストローク(引き綱20が引かれる長さ)が、第1パネル12Aの移動距離D2の2倍となるため、縦裂きの発生が検知され易く、縦裂きの発生から引き綱非常停止スイッチが作動するまでの時間を短縮することができる。
また、本発明に係る非常停止装置100は、保形枠4内に設置可能であるため、既存のパイプコンベヤにおいて、該パイプコンベヤの保形枠4内の構成を上述した非常停止装置100に取り替えるだけで、コンベヤベルトの縦裂きの進展を防止することができる点においても、有用である。
特には、第1パネル12Aと第2パネル12Bとが、第1支持棒に巻き付けられたコイルバネにより連結されていることが好ましい。この場合、非常停止装置100を容易に構成することができる。
かかる構成において、特には、第2パネル12Bと第3パネル12Cとが、第2支持棒16により連結されていることが好ましい。この場合、非常停止装置100を容易に構成することができる。
さらには、第1パネル12Aと第2パネル12Bとが、該第1パネル12Aと該第2パネル12Bとのベルト進行方向Xにおける距離Dが変化し得るように、バネ部材17により連結されていることが好ましい。この場合、例えば、第1パネル12Aと第3パネル12Cとを、該第1パネル12Aと該第3パネル12Cとのベルト進行方向Xにおける距離Dが変化し得るように、バネ部材17により連結した場合に比し、第1パネル12Aと第3パネル12Cとをベルト進行方向Xに近づけた構造(上記の実施形態においては、第1パネル12Aと第3パネル12Cとが、ベルト進行方向Xに垂直な同一平面上に配置された構造)とすることが可能であり、非常停止装置100をコンパクトに設計することができる。
Claims (7)
- 円形保持ローラによってパイプ形状に丸められているコンベヤベルトを通過させる窓穴、及び該窓穴の周縁にほぼ環状に配置された複数の前記円形保持ローラを有する、第1パネルと、
前記第1パネルから、前記ベルト進行方向前方又は後方に離間して配置され、前記コンベヤベルトを通過させる窓穴を有する、第2パネルと、を備え、
前記第1パネルと前記第2パネルとは、該第1パネルと該第2パネルとの前記ベルト進行方向における距離が変化し得るように、バネ部材により連結されており、
前記第1パネルに、引き綱非常停止スイッチに接続している引き綱を保持するプーリが固定されていることを特徴とするパイプコンベヤ用非常停止装置。 - 前記第1パネルと前記第2パネルとが、第1支持棒に巻き付けられたコイルバネにより連結されている、請求項1に記載のパイプコンベヤ用非常停止装置。
- 前記第2パネルが、前記第1パネルから、前記ベルト進行方向前方に離間して配置されている、請求項1又は2に記載のパイプコンベヤ用非常停止装置。
- 前記コンベヤベルトのベルト進行方向から視た投影視で、少なくとも前記ほぼ環状に配置された複数の円形保持ローラを取り囲むように配置された、第3パネルをさらに備え、前記第2パネル及び当該第3パネルは、該第2パネルと該第3パネルとの間の前記ベルト進行方向における距離が一定に保持されるように連結されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパイプコンベヤ用非常停止装置。
- 前記第2パネルと前記第3パネルとが、第2支持棒により連結されている、請求項4に記載のパイプコンベヤ用非常停止装置。
- 前記第1パネルと前記第3パネルとが、前記ベルト進行方向に垂直な同一平面上にある、請求項4又は5に記載のパイプコンベヤ用非常停止装置。
- 前記第2パネルと前記第3パネルとの間のベルト進行方向における一定の距離が、調節可能である、請求項4〜6のいずれか1項に記載のパイプコンベヤ用非常停止装置。
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