JP2010029849A - ポリイミドガス分離膜およびガス分離方法 - Google Patents

ポリイミドガス分離膜およびガス分離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機化合物の蒸気を含む有機蒸気混合物を蒸気透過法により分離させるガス分離膜として好適な、特に水蒸気透過性、水蒸気と有機蒸気との分離度、水蒸気と有機蒸気とに対する高温耐久性などが改良されたガス分離膜を提供すること。
【解決手段】芳香族テトラカルボン酸成分と、(1)2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、(2)3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、(3)単数または複数の芳香環を有するジアミン、を特定の割合で含有する芳香族ジアミン成分とからなる芳香族ポリイミドで形成されたガス分離膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の反復単位からなる芳香族ポリイミドで形成された、水蒸気透過速度、水蒸気透過速度と有機蒸気透過速度との比、有機蒸気混合物に対する高温耐久性などが優れているガス分離膜に関する。さらに、そのガス分離膜に、有機化合物を含む液体混合物を加熱蒸発させて生成した有機蒸気混合物を接触させて、少なくとも1種の有機蒸気を分離・回収する方法に関する。
近年、エネルギー源として、バイオマスを発酵させて製造したエタノール水溶液を脱水・精製して得られるバイオエタノールが注目を集めている。ところが、エタノールと水とは、共沸混合物を形成するため、通常の蒸留では96重量%以上に脱水・精製することは困難である。よって、99重量%以上といった高純度エタノールを得るためには、シクロヘキサンなどのエントレーナーを加えた共沸蒸留法などが行われている。一方、分離膜は、共沸混合物を形成している水とエタノールとの有機蒸気混合物であっても、各成分の透過性の違いを利用し容易に分離することができる。このため、共沸蒸留法よりも省エネルギーシステムを構築することを可能とする手法として、分離膜によりエタノール蒸気と水蒸気とを分離することでエタノール水溶液を脱水して高純度のエタノールを得る方法が、期待されている。
一般に、ガス分離膜モジュールを用いた有機蒸気分離は、以下のように行われる。有機化合物を含む液体混合物を加熱蒸発させて生成した有機蒸気混合物を、混合ガス導入口からガス分離膜モジュールに供給する。有機蒸気混合物が分離膜に接して流通する間に、分離膜を透過した透過蒸気と、分離膜を透過しなかった非透過蒸気とに分離し、透過蒸気を透過ガス排出口から、非透過蒸気を非透過ガス排出口から回収する。透過蒸気は分離膜の透過速度が速い成分(以下、高透過成分と記載することもある)に富み、非透過蒸気は高透過成分が少なくなる。この結果、有機蒸気混合物は、高透過成分に富んだ透過蒸気と、高透過成分が少ない非透過蒸気とに分離される。
特許文献1には、ビフェニルテトラカルボン酸類を主成分とするテトラカルボン酸成分と、2,2−ビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)類を、25〜100モル%含有する芳香族ジアミン成分とを、フェノール系化合物などの有機溶媒中、重合、イミド化して製造された可溶性の芳香族ポリイミドが開示されている。
特開平02−222716号公報
例えば、エタノールなどの有機化合物水溶液の脱水を行う場合には、水蒸気の透過速度が十分でないと、より広面積の分離膜が必要になり、脱水に要する時間が長くなるという問題がある。また、水蒸気とエタノール蒸気などの有機蒸気との分離度が十分でないと、エタノールなどの有機化合物の透過損失が大きくなるという問題がある。すなわち、水蒸気の透過速度と、水蒸気と有機蒸気との分離度は、双方ともに優れていることが求められている。
しかしながら、特許文献1で示された芳香族ポリイミドからなるポリイミド中空糸膜は、ガス分離性能(水蒸気透過性、水−有機物の選択透過性)が必ずしも十分ではなく、更なる改良が求められていた。なお、実施例に記載されている通り、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸から誘導されるテトラカルボン酸骨格、および3,4’−ジアミノジフェニルエーテル 30モル%および2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン 70モル%から誘導されるジアミン骨格を含む芳香族ポリイミドからなるポリイミド中空糸膜は、耐熱水性は満足できる性能にあるものの、水蒸気透過性および選択透過性が十分でなく、特に水蒸気とエタノール蒸気との選択透過性が、実施例の中においても、比較的低い値を示した。
また、有機蒸気混合物を分離膜に供給する際、効率的に分離を行うために、通常、前記有機蒸気混合物の供給圧力を上昇させる。つまり、ガス分離膜は、恒常的に高温かつ高圧の有機蒸気と接しており、水分を含む液体を分離する場合には、水蒸気とも接することとなる。したがって、高温かつ高圧の有機蒸気や水蒸気に接した状態でも、ガス分離膜が変化しないこと、即ち水蒸気と有機蒸気とに対する高温耐久性が必要である。
すなわち、本発明は、エタノールなどの有機化合物の蒸気を含む有機蒸気混合物を蒸気透過法により分離させるガス分離膜として好適な、特に水蒸気透過性、水蒸気と有機蒸気との分離度、水蒸気と有機蒸気とに対する高温耐久性などが改良されたガス分離膜、および、そのガス分離膜に、有機蒸気混合物を接触させて、有機蒸気を分離・回収する方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、芳香族テトラカルボン酸成分および芳香族ジアミン成分からなる芳香族ポリイミドから形成されるガス分離膜において、
前記芳香族ポリイミドが、
(a)芳香族テトラカルボン酸成分の主成分がビフェニルテトラカルボン酸類であり、
(b)芳香族ジアミン成分が、(b1)2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ベンゼン、(b2)3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、および(b3)前記(b1)および(b2)以外の単数または複数の芳香環を有するジアミン、を特定の割合で含有するジアミン成分である
ことを特徴とする芳香族ポリイミドから形成されるガス分離膜を提供することにより、前記目的を達成したものである。
また、本発明は、有機蒸気混合物から有機蒸気を分離・回収する方法として、有機化合物を含む液体混合物を加熱蒸発させて生成した有機蒸気混合物を、前記の本発明のガス分離膜に接触させて、高透過成分を選択的に透過させ、透過蒸気または非透過蒸気として高純度化した有機蒸気を得ることを特徴とするガス分離方法を提供するものである。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示される反復単位からなる芳香族ポリイミドで形成されたガス分離膜に関する。
Figure 2010029849
式中、Aは、主成分が下記化学式(A1)で示されるビフェニル構造に基づく4価の基A1であり、
式中、Bは、その70〜10モル%が、下記化学式(B1)で示される2,2−ビス[4−(4−フェノキシ)フェニル]プロパン構造に基づく2価の基B1であり、
その5〜60モル%が、下記化学式(B2)で示される3,4’−ジフェニルエーテル構造に基づく2価の基B2であり、
その5〜60モル%が、B1,B2以外の単数もしくは複数の芳香環を有する2価の基B3である。
Figure 2010029849
Figure 2010029849
Figure 2010029849
また本発明は、B3が、
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,3-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
からなる群から選ばれる少なくとも1種のジアミンから、アミノ基を除いた2価の残基であることを特徴とする前記ガス分離膜に関する。
また本発明は、緻密層と多孔質層とを有する非対称性構造であることを特徴とする前記ガス分離膜に関する。
また本発明は、形状が中空糸膜であることを特徴とする前記ガス分離膜に関する。
また本発明は、水蒸気の透過速度P’H20 が、1.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg〜10.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHgであり、かつ水蒸気の透過速度(P’H2O)とエタノール蒸気の透過速度(P’EtOH)との比(P’H2O/P’EtOH)が100以上であることを特徴とする前記ガス分離膜に関する。
さらに本発明は、有機化合物を含む液体混合物を加熱蒸発させて生成した有機蒸気混合物を、ガス分離膜の供給側に接触させた状態で、高透過成分を選択的に透過させ、ガス分離膜の透過側から高透過成分に富んだ透過蒸気を得、ガス分離膜の供給側から高透過成分が実質的に除去された非透過蒸気を得るガス分離方法において、前記ガス分離膜を用いることを特徴とするガス分離方法に関する。
さらに本発明は、前記有機化合物が、25℃で液体の有機化合物であり、沸点が200℃以下であることを特徴とする前記ガス分離方法に関する。好ましくは、前記有機化合物が炭素数1〜7の低級脂肪族アルコール、もしくは炭素数3〜7の脂肪族ケトンであることを特徴とする前記ガス分離方法に関する。
さらに本発明は、前記高透過成分が水蒸気であることを特徴とする前記のガス分離方法に関する。
本発明のガス分離膜は、特定の反復単位からなるポリイミドで形成されたことにより、特に水蒸気透過速度、水蒸気と有機蒸気との分離度、水蒸気と有機蒸気とに対する高温耐久性などが改良されたガス分離膜である。
また、本発明のガス分離方法は、前記の優れたガス分離膜を使用しているので、有機蒸気分離を、容易に、効率的に長期間行うことが可能である。
まず、本発明のガス分離膜について説明する。
本発明のガス分離膜を形成する前記一般式(1)で示される反復単位からなる芳香族ポリイミドは、ビフェニルテトラカルボン酸類を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン(BAPP)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(34DADE)、およびBAPPまたは34DADE以外の単数または複数の芳香環を有するジアミンからなる芳香族ジアミン成分とを、フェノール系化合物などの有機溶媒中、重合、イミド化して製造することができる。
すなわち、本発明のガス分離膜を形成する前記一般式(1)で示される反復単位からなる芳香族ポリイミドは、全反復単位100モル%中、下記一般式(2)で示される反復単位(2)を70〜10モル%、下記一般式(3)で示される反復単位(3)を5〜60モル%、下記一般式(4)で示される反復単位(4)を5〜60モル%含有する芳香族ポリイミドである。
Figure 2010029849
Figure 2010029849
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(式中、B3は、2,2−ビス[4−(4−フェノキシ)フェニル]プロパン構造、および3,4’−ジフェニルエーテル構造とは異なる単数もしくは複数の芳香環を有する2価の基である。)
前記の芳香族ポリイミドは、
(a)ビフェニルテトラカルボン酸類を主成分とする(好ましくはビフェニルテトラカルボン酸類を80モル%以上、特に好ましくはビフェニルテトラカルボン酸類を90〜100モル%含有する)芳香族テトラカルボン酸成分と、
(b)2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)を10モル%以上、好ましくは15モル%以上、より好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上、70モル%以下、好ましくは65モル%以下、より好ましくは60モル%以下含有し、
3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(34DADE)を5モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、特に好ましくは20モル%以上、60モル%以下、好ましくは55モル%以下、より好ましくは50モル%以下、特に好ましくは45モル%以下含有し、
BAPPまたは34DADE以外の単数または複数の芳香環を有するジアミンを5モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、特に好ましくは20モル%以上、60モル%以下、好ましくは55モル%以下、より好ましくは50モル%以下、特に好ましくは45モル%以下含有する芳香族ジアミン成分とを、
フェノール系化合物などの有機溶媒中、重合、イミド化して製造することができる。
前記の芳香族テトラカルボン酸成分とは、前記一般式(1)〜(4)で示されるポリイミドに、4価の基Aを導入することができる成分のことである。具体的には、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸、テトラカルボン酸エステルなどが挙げられる。芳香族テトラカルボン酸成分は前記化学式(A1)で示されるビフェニル構造に基づく4価の残基A1を導入するビフェニルテトラカルボン酸類を主成分とする。
前記の芳香族テトラカルボン酸成分の主成分であるビフェニルテトラカルボン酸類としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、あるいは、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、および、それらの酸二無水物、または、酸エステル化物などを挙げることができる。
前記の芳香族テトラカルボン酸成分としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類が好ましい。特に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。また、前記のビフェニルテトラカルボン酸類のほかに、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、2,2−ビス(ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔(ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔(ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、あるいは、それらの酸二無水物、酸エステル化物などを、少ない割合(好ましくは芳香族テトラカルボン酸成分中20モル%以下、特に10モル%以下の割合)で使用することができる。
また、前記の芳香族ジアミン成分とは、前記一般式(1)〜(4)で示されるポリイミドに、前記化学式(B1)で示される1,4−ビス(4−フェノキシ)ベンゼン構造に基づく2価の基B1、前記化学式(B2)で示される3,4’−ジフェニルエーテル構造に基づく2価の基B2、および、B1またはB2以外の単数または複数の芳香環を有する2価の基B3を導入することができる成分のことである。具体的には、ジアミン、ジイソシアネートなどが挙げられる。
前記の芳香族ジアミン成分としては、以下のものが挙げられる。
B1を導入するための芳香族ジアミン成分としては、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンを挙げることができる。
B2を導入するための芳香族ジアミン成分としては、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(34DADE)が挙げられる。
B3を導入するための芳香族ジアミン成分として、単数または複数の芳香環を有するジアミンが挙げられる。例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(44DADE)、ジアミノジフェニルメタン(DADM)類、ビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)類、1,4−ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン(TPEQ)類、1,3−ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン(TPER)類、ジアミノジフェニルスルホン類、ジアミノベンゾフェノン類、ビス(アミノフェニル)プロパン類、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−アミノフェニル)プロパン、ビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン(BAPS)類、o−トリジン、o−トリジンスルホン、o−、m−又はp−フェニレンジアミン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,6−ジアミノピリジン、などを使用することができる。その中でも、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンが好ましく、特に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。
本発明のガス分離膜は、水蒸気の透過速度P’H2Oが、1.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg〜10.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHgであることが好ましく、1.2×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上であることがより好ましく、1.5×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上であることがより好ましい。通常は、6.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以下である。有機物水溶液から連続的に水蒸気を除去するには、水蒸気の透過速度が大きいことが望ましい。水蒸気の透過速度が前記の値を下回る場合には、水蒸気除去に要する時間が長くなる、もしくは水蒸気除去に用いる膜面積が大きくなるために、工業的な実施に著しく不利となる。
また、本発明のガス分離膜は、ガス分離性能、例えば、水蒸気とエタノール蒸気との分離度(P’H2O/P’EtOH)が100〜5000であることが好ましく、該分離度が120以上であることがより好ましく、140以上であることがさらに好ましく、150以上であることが特に好ましい。分離度が前記の値を下回る場合には、有機物蒸気の透過損失が大きくなり、工業的に不利である。
また、本発明のガス分離膜は、例えば、厚さ0.01〜5μmの緻密層と、厚さ10〜200μmの多孔質層とを有する非対称性構造をもつ分離膜であることが好ましい。その中でも緻密層と多孔質層とを連続的に有することが好ましい。また、分離膜の形状には特に制限はないが、有効表面積が広く、耐圧性が高いという利点を持つため、中空糸膜が好ましい。
本発明のガス分離膜は、ポリイミドとして、前記の特定の反復単位からなる芳香族ポリイミドを用いる以外は、従来のポリイミド製のガス分離膜の製造方法に準じて製造することができる。例えば、中空糸膜のガス分離膜は以下のようにして製造することができる。
(ポリイミド溶液の調製)
テトラカルボン酸成分とジアミン成分との略等モルを、有機溶媒中で重合・イミド化反応させて、ポリイミド溶液として得ることができる。
重合・イミド化反応は、有機溶媒中にテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを所定の組成比で加え、室温程度の低温で重合反応させてポリアミド酸を生成し次いで100〜250℃好ましくは130〜200℃程度に加熱して加熱イミド化するか又はピリジンや無水酢酸などを加えて化学イミド化する2段法、または、有機溶媒中にテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを所定の組成比で加え、100〜250℃好ましくは130〜200℃程度の高温で重合・イミド化反応させる1段法によって好適に行われる。加熱によってイミド化反応を行うときは脱離する水またはアルコールを除去しながら行うことが好適である。有機溶媒に対するテトラカルボン酸成分とジアミン成分の使用量は、溶媒中のポリイミドの濃度が5〜50重量%程度好ましくは5〜40重量%にするのが好適である。
重合・イミド化反応で得られたポリイミド溶液は、そのまま用いることもできる。また、例えば得られたポリイミド溶液をポリイミドに対し非溶解性の溶媒中に投入してポリイミドを析出させて単離後、改めて有機溶媒に所定濃度になるように溶解させてポリイミド溶液を調製し、それを用いることもできる。
ポリイミドを溶解する有機溶媒としては、得られる芳香族ポリイミドを好適に溶解できるものであれば限定されるものではないが、例えばフェノール、クレゾール、キシレノールのようなフェノール類、2個の水酸基をベンゼン環に直接有するカテコール、レゾルシンのようなカテコール類、3−クロルフェノール、4−クロルフェノール(後述のパラクロロフェノールに同じ)、3−ブロムフェノール、4−ブロムフェノール、2−クロル−5−ヒドロキシトルエンなどのハロゲン化フェノール類などからなるフェノール系溶媒、又はN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアミド類からなるアミド系溶媒、あるいはそれらの混合溶媒などを好適に挙げることができる。
(ポリイミド溶液の中空糸化)
本発明の非対称膜は、ポリイミドを有機溶媒に溶解したポリイミド溶液を用いて、相転換法によって得ることができる。相転換法は、ポリマー溶液を凝固液と接触させて相転換させながら膜を形成する公知の方法である。本発明ではいわゆる乾湿式法が好適に採用される。乾湿式法は、膜形状にしたポリマー溶液の表面の溶媒を蒸発させて薄い緻密層を形成し、次いで凝固液(ポリマー溶液の溶媒とは相溶し、ポリマーは不溶な溶剤)に浸漬し、その際生じる相分離現象を利用して微細孔を形成して多孔質層を形成させる相転換法であり、Loebらが提案(例えば、米国特許3133132号)したものである。
本発明の非対称膜は、乾湿式紡糸法を採用することによって、中空糸膜として好適に得ることができる。乾湿式紡糸法は、乾湿式法を紡糸ノズルから吐出して中空糸状の目的形状としたポリマー溶液に適用して非対称中空糸膜を製造する方法である。より詳しくは、ポリマー溶液をノズルから中空糸状の目的形状に吐出させ、吐出直後に空気又は窒素ガス雰囲気中を通した後、ポリマー成分を実質的には溶解せず且つポリマー混合液の溶媒とは相溶性を有する凝固液に浸漬して非対称構造を形成し、その後乾燥し、更に必要に応じて加熱処理して分離膜を製造する方法である。紡糸ノズルは、ポリイミド溶液を中空糸状体として押し出すものであればよく、チューブ・イン・オリフィス型ノズルなどが好適である。通常、押し出す際のポリイミド溶液の温度範囲は約20℃〜150℃、特に30℃〜120℃が好適である。また、ノズルから押し出される中空糸状体の内部へ気体または液体を供給しながら紡糸がおこなわれる。
本発明においては、ノズルから吐出させるポリイミド溶液は、ポリイミドの濃度が5〜40重量%更には8〜25重量%になるようにするのが好ましく、100℃での溶液粘度(回転粘度)が300〜20000poise、好ましくは500〜15000poise、特に1000〜10000poiseであることが好ましい。凝固液への浸漬は、一次凝固液に浸漬して中空糸状などの膜の形状が保持できる程度に凝固した後、案内ロールに巻き取られ、次いで二次凝固液に浸漬して膜全体を十分に凝固させることが好ましい。凝固液は、特に限定するものではないが、水や、メタノール、エタノール、プロピルアルコールなどの低級アルコール類や、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンなどの低級アルキル基を有するケトン類など、あるいは、それらの混合物が好適に用いられる。凝固した膜の乾燥は炭化水素などの溶媒を用いて凝固液と置換した後乾燥する方法が効率的である。加熱処理は用いられている多成分のポリイミドの各成分ポリマーの軟化点又は二次転移点よりも低い温度で実施されることが好ましい。
本発明のガス分離方法においては、本発明のガス分離膜の一方の側に、有機化合物を含む液体混合物を加熱蒸発させて生成した有機蒸気混合物(原料ガス)を、好ましくは70℃以上、より好ましくは80〜200℃、特に好ましくは100〜160℃の温度で接触させて、高透過成分を選択的に透過させ、ガス分離膜の透過側から『高透過成分に富んだ有機蒸気』を得、一方ガス分離膜の非透過側(原料ガスの供給側)から『高透過成分が実質的に除去された有機蒸気』を得て、前記有機蒸気混合物のガス分離を行うのである。
本発明において、ガス分離膜の供給側と透過側との高透過成分の分圧差を確保するために、例えば、ガス分離膜の透過側を減圧に保持することが好ましい。より好ましくは、透過側の圧力を1〜500mmHgの減圧下に制御する。ガス分離膜の透過側を減圧に保持することによって、高透過成分を選択的にできるだけ速く透過させ、ガス分離膜の供給側に供給された原料ガスの有機蒸気混合物から、高透過成分を選択的に除去することが容易になる。その場合には、前記の減圧の程度が高いほど蒸気の透過速度が大きい。
ガス分離膜の供給側と透過側との高透過成分の分圧差を確保するために、前記透過側を減圧に保持する手段のほかに、供給側の圧力を高圧に保持する、乾燥状態の気体をキャリアガスとして透過側に流通させるなどの手段が挙げられる。該手段は特に限定されるものではなく、2つ以上の手段を同時に用いても構わない。
本発明のガス分離方法においては、ガス分離膜へ供給する有機蒸気混合物の圧力を、常圧または加圧下で行うことができる。特に好ましくは有機蒸気混合物の圧力を0.1〜2MPaG、さらに好ましくは0.15〜1MPaGの加圧下で行う。また、ガス分離膜の透過側の圧力は、加圧、常圧または減圧下で行うことができるが、特に減圧下で行われることが好ましい。
また、本発明のガス分離方法においては、ガス分離膜の透過側に乾燥状態の気体をキャリアガスとして流通させながら、ガス分離を行うことにより、水蒸気を選択的に透過除去することが容易になるので好適である。前記キャリアガスは、高透過成分を含まないか、少なくとも高透過成分の分圧が非透過ガスより小さい濃度であるガスであれば特に制限はなく、例えば、窒素、空気などが使用できる。窒素はガス分離膜の透過側空間から供給側空間への逆浸透が起こりにくく、不活性であるために、防災上も好ましいキャリアガスである。そのほか、高透過成分を分離した非透過ガスの一部をキャリアガス導入口に循環し、キャリアガスとして使用することも好適である。
原料ガスの有機蒸気混合物は、どのような方法で製造されたものであってもよいが、一般的には、有機化合物の水溶液を、該有機化合物の沸点または共沸温度より高い温度に加熱して、蒸発させることによって得ることができる。有機蒸気混合物は、前記の有機化合物の水溶液などの「有機化合物を含む液体混合物」を蒸発(蒸留)装置などによって加熱蒸発させて、常圧状態乃至0.1〜2MPaG程度の加圧状態の有機蒸気混合物として、本発明のガス分離膜を用いた有機蒸気分離用ガス分離膜モジュールへ供給される。加圧状態の有機蒸気混合物は、加圧蒸発器で直接加圧状態の有機蒸気混合物を得ても良いし、常圧蒸留器で得られた常圧状態の有機蒸気混合物をベーパーコンプレッサーによって加圧することで得ても構わない。
また、有機蒸気混合物は、有機蒸気分離用ガス分離膜モジュールへ供給され中空糸内部を流通して非透過ガス排出口から排出されるまでの間で凝縮しない程度以上に十分高温に加熱された有機蒸気混合物として供給されることが好ましい。
本発明のガス分離膜を用いた有機蒸気分離用ガス分離膜モジュールへ供給される有機蒸気混合物は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上の温度のものである。
前記の有機蒸気混合物は、その有機蒸気の濃度が特に限定されるものではないが、本発明では、有機蒸気の濃度が50重量%以上、特に70〜99.8重量%程度であることが好ましい。
前記の有機蒸気となる有機化合物としては、沸点0℃以上200℃以下、好ましくは沸点0℃以上150℃以下のものであり、特に好ましくは常温(25℃)で液体の有機化合物であればよい。該有機化合物の沸点が0℃以上200℃以下であるのは、中空糸膜の使用温度範囲、有機蒸気混合物を過熱蒸気化するための設備、精製分離成分を凝集し回収するための設備や取扱いの容易さを考慮したときに実用的だからである。
このような有機化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコールなどの炭素数が1〜6の脂肪族アルコール類、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの炭素数が4〜6の脂環式アルコール類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの炭素数が1〜7の有機カルボン酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチルなどの炭素数が2〜7の脂肪族エステル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの炭酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ピナコリンなどの炭素数が3〜7の脂肪族ケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類、および、ジブチルアミン、アニリンなどの有機アミン類を挙げることができる。
本発明のガス分離方法は、特に、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が1〜6の低級脂肪族アルコール水溶液を蒸発して得られた水蒸気とアルコール蒸気とからなる有機蒸気混合物を脱水して高純度のアルコール蒸気を得る場合に好適に採用することができる。
以下、本発明を実施例によって更に詳しく説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の各例で用いた化学物質の略号は次のとおりである。
s−BPDA:3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
BAPP:2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン
34DADE:3,4’−ジアミノジフェニルエーテル
44DADE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
DADM:4,4’−ジアミノジフェニルメタン
(芳香族ポリイミド溶液の調製)
所定量の芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを、パラクロロフェノール(PCP)とともに、加熱装置と攪拌機と窒素ガス導入管および排出管とが付設されたセパラブルフラスコに秤取って入れ、窒素ガス雰囲気中で攪拌しながら、190℃の温度で40時間重合することにより、所定の濃度の芳香族ポリイミドのPCP溶液を調製した。
(芳香族ポリイミド製の中空糸膜の紡糸)
前記芳香族ポリイミドのPCP溶液を400メッシュのステンレス製金網でろ過して、紡糸用ドープとした。このドープを中空糸紡糸ノズルを備えた紡糸装置に仕込み、中空糸紡糸ノズルから窒素雰囲気中に中空糸状に吐出させ、次いで中空糸状成形物を75重量%エタノール水溶液からなる一次凝固浴に浸漬し、更に一対の案内ロールを備えた二次凝固浴(凝固液:75重量%エタノール水溶液)中の案内ロール間を往復させて凝固を完了させ、湿潤状態の非対称構造をもつ中空糸膜をボビンに巻き取った。この非対称中空糸膜をエタノール中で十分洗浄し、次いでイソオクタンでエタノールを置換した後、100℃でイソオクタンを蒸発乾燥し、芳香族ポリイミドによって構成された非対称中空糸膜を得た。
(ガス分離膜モジュールの製造)
前述のようにして製造した中空糸膜6本を束ね裁断して中空糸膜の糸束を形成し、その糸束の一方の端を中空糸端部が開口するようにエポキシ樹脂で固着し、他方の端を中空糸端部が閉塞されるようにエポキシ樹脂で固着して中空糸膜エレメントを製造した。次いで、『原料の混合ガス供給口、透過ガス排出口、および非透過ガス排出口を有する容器』に前記糸束エレメントを内設して、『中空糸膜の有効長さ:8.0cm、および、有効面積7.54cm2 である糸束エレメント』を内蔵するガス分離膜モジュールを製造した。
(蒸気透過性能の測定方法)
60重量%濃度のエタノール水溶液を大気圧下において蒸発器で気化させて『エタノール蒸気と水蒸気とを含む有機蒸気混合物』を製造し、さらに、ヒーターで加熱することにより100℃とした前記有機蒸気混合物を、前記のガス分離膜モジュールに供給し、前記糸束エレメントを構成している中空糸膜の外側の表面(中空糸膜の供給側)に接触させ、中空糸膜の内側(中空糸膜の透過側)を3mmHgの減圧に維持して、有機蒸気分離を行った。
前述の有機蒸気分離において、透過ガス排出口から得られた『水蒸気の濃度の高い透過ガス』を、−50℃の冷却トラップで凝縮して、凝縮物を捕集し、一方、中空糸膜の非透過ガス排出口(供給側)から得られた未透過ガス(水蒸気の除去された乾燥ガス)は、前記蒸発器に戻し、循環して使用しながら、有機蒸気混合物のガス分離を行った。尚、有機蒸気混合物の組成が測定値に影響を与えるほど変化しないように、サンプルの中空糸膜を透過する有機蒸気量に比べて大過剰量のエタノール水溶液を用いた。
前記のトラップで捕集した凝縮物の重量を測定すると共に、水およびエタノールの濃度をガスクロマトグラフィー分析法により分析することにより透過した水蒸気およびエタノール蒸気の量を求めた。
前述のようにして得た各成分蒸気の透過量から、水蒸気の透過速度P’H2Oと、エタノールに対する水蒸気の分離度(α:P’H2O/P’EtOH)とを算出し、気体分離性能を評価した。透過速度(P’)の単位はcm3(STP)/cm2・sec・cmHgである。
(実施例1)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)100モル%からなる芳香族テトラカルボン酸成分26.00gと、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(34DADE)30モル%、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)40モル%および4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(44DADE)30モル%からなる芳香族ジアミン成分25.60gとを、パラクロロフェノール(PCP)220gとともに加熱装置と攪拌機と窒素ガス導入管および排出管とが付設されたセパラブルフラスコに秤取って入れ、窒素ガス雰囲気中で攪拌しながら、190℃の温度で20時間重合することにより、PCP中のポリイミドの固形分濃度が17重量%である芳香族ポリイミドのPCP溶液を調製した。この溶液の100℃での粘度は2000P(poise)であった。
前記芳香族ポリイミドのPCP溶液を紡糸することにより、外径が約500μmであって、内径が約300μmである連続した長尺の中空糸を作成した。前記中空糸によりガス分離膜モジュールを作成し、水蒸気の透過速度(P’H2O)および、エタノールに対する水蒸気の分離度(α:P’H2O/P’EtOH)とを測定した。
水蒸気の透過速度(P’H2O)は、2.31×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHgであり、分離度(α)は、157であった。
(実施例2〜4および比較例1〜3)
表1に示した種類と組成とを有する芳香族ジアミン成分を使用したほかは参考例1と同様にして、それぞれの芳香族ポリイミドのPCP溶液を調製した。そして、それらの各芳香族ポリイミドのPCP溶液から中空糸膜を作成し、中空糸膜から糸束エレメントを形成し、次いで、それらの各中空糸膜の糸束エレメントからガス分離膜モジュールを形成した。
さらに、各ガス分離膜モジュールを使用したほかは、実施例1と同様にして、有機蒸気混合物のガス分離を行った。それらの結果を表1に示す。
(比較例4)
s−BPDA 100モル%からなる芳香族テトラカルボン酸成分28.95gと、34DADE100モル%からなる芳香族ジアミン成分20.02gとをPCP 210gとともに加熱装置と攪拌機と窒素ガス導入管および排出管とが付設されたセパラブルフラスコに秤取って入れ、窒素ガス雰囲気中で攪拌しながら、190℃の温度で10時間重合したが、重合が十分に進行せず、芳香族ポリイミド溶液の粘度が十分に上がらなかったため、中空糸を紡糸することができなかった。
(比較例5)
s−BPDA 100モル%からなる芳香族テトラカルボン酸成分28.95gと、44DADE100モル%からなる芳香族ジアミン成分20.02gとを、PCP 210gとともに加熱装置と攪拌機と窒素ガス導入管および排出管とが付設されたセパラブルフラスコに秤取って入れ、窒素ガス雰囲気中で攪拌しながら、190℃の温度で10時間重合することにより、PCP中のポリイミドの固形分濃度が17重量%である芳香族ポリイミドのPCP溶液を調製した。前記芳香族ポリイミドのPCP溶液を紡糸したが、乾燥処理時に中空糸が著しく収縮した。
水蒸気の透過速度の測定を行ったところ、水蒸気は殆ど透過しなかった。
Figure 2010029849
芳香族ジアミン成分:全ジアミン成分中のモル分率
溶液粘度:回転粘度計(ローターのずり速度1.75sec−1)を用いて温度100℃で測定した値

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で示される反復単位からなる芳香族ポリイミドで形成されたガス分離膜。
    Figure 2010029849
    式中、Aは、主成分が下記化学式(A1)で示されるビフェニル構造に基づく4価の基A1であり、
    式中、Bは、その70〜10モル%が、下記化学式(B1)で示される2,2−ビス[4−(4−フェノキシ)フェニル]プロパン構造に基づく2価の基B1であり、
    その5〜60モル%が、下記化学式(B2)で示される3,4’−ジフェニルエーテル構造に基づく2価の基B2であり、
    その5〜60モル%が、B1,B2以外の単数もしくは複数の芳香環を有する2価の基B3である。
    Figure 2010029849
    Figure 2010029849
    Figure 2010029849
  2. 上記一般式(1)中の2価の基B3が、
    4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,3-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
    からなる群から選ばれる少なくとも1種のジアミンから、アミノ基を除いた2価の残基であることを特徴とする請求項1記載のガス分離膜。
  3. 緻密層と多孔質層とを有する非対称性構造を有する分離膜であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のガス分離膜。
  4. 形状が中空糸膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガス分離膜。
  5. 水蒸気の透過速度P’H20 が、1.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg〜10.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHgであり、かつ水蒸気とエタノール蒸気との分離度(P’H2O/P’EtOH)が100以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガス分離膜。
  6. 有機化合物を含む液体混合物を加熱蒸発させて生成した有機蒸気混合物を、ガス分離膜の供給側に接触させた状態で、高透過成分を選択的に透過させ、ガス分離膜の透過側から高透過成分に富んだ透過蒸気を得、ガス分離膜の供給側から高透過成分が実質的に除去された非透過蒸気を得るガス分離方法において、請求項1〜5のいずれかに記載のガス分離膜を用いることを特徴とするガス分離方法。
  7. 前記有機化合物が、沸点が0℃以上200℃以下である、請求項6記載のガス分離方法。
  8. 前記有機化合物が炭素数1〜7の低級脂肪族アルコール、もしくは炭素数3〜7のケトンであることを特徴とする請求項6または7記載のガス分離方法。
  9. 前記高透過成分が水蒸気であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のガス分離方法。
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