JP5136666B2 - 非対称中空糸ガス分離膜、及びガス分離方法 - Google Patents
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Description
この非対称中空糸ガス分離膜は、実施例から判るとおり、水素ガス透過速度とメタンガス透過速度との比(P’H2/P’CH4)が51〜80、水素ガス透過速度と窒素ガス透過速度との比(P’H2/P’N2)が36〜41であり、高いガス分離性能を有しているが、ガス分離性能においてさらに改良の余地があった。特許文献1には、ジアミノジフェニレンスルホン類などのジアミンと併用して、ベンゼン環を複数有する芳香族ジアミン化合物を用いることが好ましいこと、また3,5−ジアミノ安息香酸を約10モル%以下用いてもよいことが記載されている。しかし、ジアミン成分として、ジアミノジフェニレンスルホン類などのジアミンに加えて、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン類とジアミノ安息香酸類とを併用してガス分離性能をさらに改良することについては何ら具体的な記載がなかった。
)
その15〜65モル%が、下記一般式(6)で示される2価のユニットA3及び下記一般式(7)で示される2価のユニットA4であり、そして、前記15〜65モル%のうち、10〜60モル%が前記ユニットA3であり且つ55〜5モル%が前記ユニットA4である。〕
すなわち、テトラカルボン酸成分に起因する4価のユニットは、10〜70モル%好ましくは20〜60モル%の前記一般式(2)で示されるジフェニルヘキサフルオロプロパン構造からなるユニットと、90〜30モル%好ましくは80〜40モル%の前記一般式(3)で示されるビフェニル構造からなるユニットとからなる。ジフェニルヘキサフルオロプロパン構造が10モル%未満でビフェニル構造が90モル%を越えると、得られるポリイミドのガス分離性能が低下して、高性能ガス分離膜を得ることが難しくなる。一方、ジフェニルヘキサフルオロプロパン構造が70モル%を越えビフェニル構造が30モル%未満になると、得られるポリイミドの機械的強度が低下することがある。
前記一般式(2)で示されるジフェニルヘキサフルオロプロパン構造からなるユニットは、テトラカルボン酸成分として、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸、その二無水物、又はそのエステル化物を用いることによって得られる。
前記一般式(3)で示されるビフェニル構造からなるユニットは、テトラカルボン酸成分として、ビフェニルテトラカルボン酸、その二無水物、又はそのエステル化物などのビフェニルテトラカルボン酸類を用いることによって得られる。前記ビフェニルテトラカルボン酸類としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、それらの二無水物、又はそれらのエステル化物を好適に用いることができるが、特に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、その二無水物、又はそのエステル化物が好適である。
重合イミド化して得られた芳香族ポリイミド溶液は、そのまま直接紡糸に用いることもできる。また、例えば得られた芳香族ポリイミド溶液を芳香族ポリイミドに対し非溶解性の溶媒中に投入して芳香族ポリイミドを析出させて単離後、改めて有機極性溶媒に所定濃度になるように溶解させて芳香族ポリイミド溶液を調製し、それを紡糸に用いることもできる。
紡糸に用いる芳香族ポリイミド溶液は、ポリイミドの濃度が5〜40重量%更には8〜25重量%になるようにするのが好ましく、溶液粘度(回転粘度)は100℃で100〜15000ポイズ好ましくは200〜10000ポイズ特に300〜5000ポイズであることが好ましい。溶液粘度が100ポイズ未満では、均質膜(フィルム)は得られるかもしれないが、機械的強度の大きな非対称中空糸膜を得ることは難しい。また、15000ポイズを越えると、紡糸ノズルから押し出しにくくなるため目的の形状の非対称中空糸膜を得ることは難しい。
凝固液は、芳香族ポリイミド成分を実質的には溶解せず且つ芳香族ポリイミド溶液の溶媒と相溶性があるものが好適である。特に限定するものではないが、水や、メタノール、エタノール、プロピルアルコールなどの低級アルコール類や、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンなどの低級アルキル基を有するケトン類など、あるいは、それらの混合物が好適に用いられる。
凝固工程では、ノズルから中空糸形状に吐出された芳香族ポリイミド溶液がその形状を保持できる程度に凝固させる一次凝固液に浸漬し、次いで完全に凝固させるための二次凝固液に浸漬するのが好ましい。凝固した中空糸分離膜は炭化水素などの溶媒を用いて凝固液と溶媒置換させたあとで乾燥し、更に加熱処理するのが好適である。加熱処理は、用いられた芳香族ポリイミドの軟化点又は二次転移点よりも低い温度で行うことが好ましい。
15本の非対称中空糸膜と、ステンレスパイプと、エポキシ樹脂系接着剤とを使用して有効長が10cmの透過性能評価用のエレメントを作成し、これをステンレス容器に装着してペンシルモジュールとした。それに透過対象ガスを、80℃の温度、1MPaGの圧力で中空糸膜の外側に供給し、透過流量を測定した。測定した透過ガス流量、供給側圧力、透過側圧力及び有効膜面積からガスの透過速度を算出した。
ポリイミド溶液の回転粘度は、回転粘度計(ローターのずり速度1.75sec−1)を用い温度100℃で測定した。
s−BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
6FDA:4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ビス(無水フタル酸)
(なお、この化合物は2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物ともいう。)
TSN:3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシドを主成分とし、メチル基の位置が異なる異性体3,7−ジアミノ−2,6−ジメチルジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシド、3,7−ジアミノ−4,6−ジメチルジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシドを含む混合物
MASN:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
DABA:3,5−ジアミノ安息香酸
撹拌機と窒素ガス導入管が取り付けられたセパラブルフラスコに、s−BPDA 60ミリモルと、6FDA 40ミリモルと、TSN 70ミリモルと、MASN 20ミリモルと、DABA 10ミリモルとを、ポリマー濃度が18重量%となるように溶媒のパラクロロフェノールと共に加え、窒素ガスをフラスコ内に流通させながら、撹拌下に反応温度190℃で73時間重合イミド化反応をおこない、ポリイミド濃度が18重量%の芳香族ポリイミド溶液を調製した。この芳香族ポリイミド溶液の100℃における溶液粘度は1190ポイズであった。
前記調製した芳香族ポリイミド溶液を、400メッシュの金網でろ過し、これをドープ液として、中空糸紡糸用ノズルを備えた紡糸装置を使用して、中空糸紡糸用ノズルからドープ液を中空糸状に吐出させた後、一次凝固液(0℃、75重量%エタノール水溶液)に浸漬し、更に一対の案内ロールを備えた二次凝固装置内の二次凝固液(0℃、75重量%エタノール水溶液)中で案内ロール間を往復させて中空糸状態を凝固させ、引取りロールによって引取り速度10m/分で引き取って、中空糸膜を得た。次いで中空糸膜をボビンに巻取り、エタノールで洗浄した後、イソオクタンでエタノールを置換し、更に100℃で加熱してイソオクタンを蒸発乾燥させ、更に300℃で30分間加熱処理して、外径寸法400μm、内径寸法200μmの非対称中空糸膜を得た。
得られた非対称中空糸膜についてガス分離性能を測定した。結果を表1、表2に示す。
ジアミン成分をTSN 50ミリモルと、MASN 30ミリモルと、DABA20ミリモルとに変更し、且つ加熱処理の温度を320℃に変更した以外は、実施例1と同様にして中空糸膜を得た。
得られた非対称中空糸膜についてガス分離性能を測定した。結果を表1、表2に示す。
ジアミン成分をTSN 95ミリモルと、DABA5ミリモルとに変更した以外は、実施例1と同様にして中空糸膜を得た。
得られた非対称中空糸膜についてガス分離性能を測定した。結果を表1、表2に示す。
ジアミン成分をTSN 60ミリモルと、MASN 40ミリモルとに変更し、且つ加熱処理の温度を320℃に変更した以外は、実施例1と同様にして中空糸膜を得た。
得られた非対称中空糸膜について、ガス分離性能を測定した。結果を表1、表2に示す。
Claims (7)
- 下記一般式(1)で示される反復単位からなる可溶性の芳香族ポリイミドで形成されている非対称中空糸ガス分離膜。
その20〜60モル%が、下記一般式(2)で示されるジフェニルヘキサフルオロプロパン構造に基づく4価のユニットB1であり、
その85〜35モル%が、下記一般式(4)で示される2価のユニットA1、及び/又は、下記一般式(5)で示される2価のユニットA2であり、
その15〜65モル%が、下記一般式(6)で示される2価のユニットA3及び下記一般式(7)で示される2価のユニットA4であり、そして、前記15〜65モル%のうち、10〜60モル%が前記ユニットA3であり且つ55〜5モル%が前記ユニットA4である。〕
- Aの80〜50モル%が前記A1からなり、A1が3,7−ジアミノ−シメチルジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシドからアミノ基を除いた2価のユニットであることを特徴とする請求項1に記載の非対称中空糸ガス分離膜。
- 水素ガス透過速度(P’H2)が50×10-5cm3 (STP)/cm2 ・sec・cmHg以上で且つ水素ガス透過速度とメタンガス透過速度との比(P’H2/P’CH4 )が90以上のガス分離性能を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の非対称中空糸ガス分離膜。
- 水素ガス透過速度(P’H2)が50×10-5cm3 (STP)/cm2 ・sec・cmHg以上で且つ水素ガス透過速度と窒素ガス透過速度との比(P’H2/P’N2)が60以上のガス分離性能を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の非対称中空糸ガス分離膜。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の非対称中空糸ガス分離膜を用いて、複数のガスを含む混合ガスから特定のガスを選択的に分離回収する方法。
- 請求項3又は4に記載の非対称中空糸ガス分離膜を用いて、水素ガスを含む混合ガスから水素ガスを選択的に分離回収する方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の非対称中空糸ガス分離膜を用いて、二酸化炭素ガスを含む混合ガスから二酸化炭素ガスを選択的に分離回収する方法。
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