JP2010023747A - 屈伸機構を備えた車両用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】パッドのない位置に設けられたシートカバーを屈曲状態から伸張状態に戻した際の見栄えを損ないにくくする。
【解決手段】シートバック12を屈伸可能とする屈伸機構を備えた車両用シート10であって、シートバック12の表面を構成するシートカバー32にはパッドを内包しない屈伸部位34aが屈伸機構によるシートバック12の屈伸箇所に跨って設定されており、シートカバー32の屈伸部位34aの内面に屈伸機構によるシートバック12の屈曲に伴い折れ曲がることができ、且つ屈伸機構によるシートバック12の伸張に伴い伸張状態へ復元可能な36を備えている。
【選択図】図3

Description

本発明は、屈伸機構を備えた車両用シートに関する。より詳しくは、シートバックを屈伸可能とする屈伸機構を備えた車両用シートに関する。
シートバックが中折れ可能な車両シートが下記特許文献1に開示されている。この車両用シートは、シートバックが中折れするのに伴いパッドも中折れする構成である。このシートバックでは、パッドの表面に表皮が接着されているが、中折れ部においては非接着とされている。それにより、中折れ時には表皮のパッドに接着されていない領域、すなわち中折れ部に表皮の皺が集中し、表皮がパッドに接着されている他の領域にはほとんど皺が発生しないようになっている。
特開2007−282800号公報
上記従来の車両用シートでは、中折れ時に中折れ部の表皮に皺が集中してもシートバックを伸ばせばパッドの弾力で表皮が張り、皺が目立たなくなることが見込まれる。しかし、シートバックの屈曲箇所においてシートカバー内部にパッドを設けない構成とする場合がある。このような場合においては、シートバックを伸ばしてもシートカバーに屈曲時の皺が残りやすく、見栄えが損なわれやすかった。
そこで、本発明の課題は、パッドのない位置に設けられたシートカバーを屈曲状態から伸張状態に戻した際の見栄えを損ないにくくすることにある。
上記課題を解決するために本発明に係る屈伸機構を備えた車両用シートは次の手段を採用する。
第1の発明は、シートバックを屈伸可能とする屈伸機構を備えた車両用シートであって、前記シートバックの表面を構成するシートカバーにはパッドを内包しない屈伸部位が前記屈伸機構によるシートバックの屈伸箇所に跨って設定されており、該シートカバーの屈伸部位の内面に前記屈伸機構によるシートバックの屈曲に伴い折れ曲がることができ、且つ前記屈伸機構によるシートバックの伸張に伴い伸張状態へ復元可能な裏地を備えていることを特徴とする。
このような車両用シートによれば、シートバックを伸ばしたときには裏地が伸張状態に復元されることによりシートカバーの屈伸部位が伸ばされるため、見栄えが損なわれにくい。
第2の発明は、上記第1の発明の屈伸機構を備えた車両用シートであって、前記シートカバーの屈曲部位において、該シートカバーと前記裏地とが前記屈伸機構によるシートバックの屈曲箇所に沿って縫合されていることを特徴とする。
このような屈伸機構を備えた車両用シートによれば、シートカバーと裏地とが屈曲箇所に沿って縫合されることによりシートカバーの屈伸部位において容易な構成で折れ曲がりの起点が設定される。折れ曲がりの起点が設定されることで、シートカバーが特定の位置で折れ曲がるため、繰り返し屈曲状態から伸張状態に戻した際でも見栄えを損ないにくくすることが可能である。
第3の発明は、上記第2の発明の屈伸機構を備えた車両用シートであって、前記裏地は、シートバックの屈曲箇所に沿う縫合箇所において幅狭となっていることを特徴とする。
このような屈伸機構を備えた車両用シートによれば、容易な構成によって、より確実に折れ曲がりの起点でシートカバーの屈伸部位を折り曲げることが可能となる。これにより、シートカバーを繰り返し屈曲状態から伸張状態に戻した際の見栄えをより損ないにくくすることが可能である。
上記第1の発明によれば、パッドのない位置に設けられたシートカバーを屈曲状態から伸張状態に戻した際の見栄えを損ないにくくすることが可能である。
上記第2の発明によれば、シートカバーを繰り返し屈伸させても伸張状態に戻した際の見栄えを損ないにくくすることが可能である。
上記第3の発明によれば、容易な構成で折れ曲がりの起点の作用を向上させることが可能であり、更に、シートカバーを繰り返し屈伸させても伸張状態に戻した際の見栄えを損ないにくくすることが可能である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。本実施形態にかかる車両用シート10は自動車等の車両に設置されるものであって、特に、3列のシートを備える自動車の2列目中央の座席として好適に用いられる。図1に示されるように、車両用シート10は、背凭れとなるシートバック12、座面となるシートクッション14及びヘッドレスト16を備えている。
図1,2に示されるように、車両用シート10は、乗員が通常の着座姿勢で着座可能な通常着座姿勢状態においては、シートバック12が起立し、その前面12aが一続きの背凭れ面を構成する。そして、この車両用シート10はシートバック12を屈伸可能とする屈伸機構を備えており、シートバック12を操作することにより前記通常着座姿勢状態の他に、少なくともウォークイン姿勢状態とチルトダウン姿勢状態とにその態様を切り替えることが可能となっている。
ウォークイン姿勢状態とは、図3に示されるように、シートバック12が上下方向の中間で折れて上部が前方へ傾倒した屈曲状態である。本明細書においてシートバック12の上下方向とは、着座者の背筋に沿う方向であり、図1に示される通常着座態姿勢状態における上下方向のことである。このウォークイン姿勢状態では、シートバック12が比較的下方位置で屈曲し、車両用シート10の後方にスペースを設けることができる。
チルトダウン姿勢状態とは、図4に示されるように、シートバック12の前面12aが一続きの面を構成した状態のまま、シートバック12を前方へ倒し込み、シートクッション14に重ね合わせた状態である。このチルトダウン姿勢状態においては、車両用シート10の上方にスペースを設けることができる。この屈伸機構は車両用シート10のフレームに設定された公知のリンク機構により構成される。
なお、図2〜4においては、屈伸機構を構成するリンクアーム(フレーム)のうち、シートバック12の傾動中心軸23,25に係るリンクアーム(フレーム)22,24,26を模式的に示し、車両用シート10の姿勢状態の大略を示している。通常着座姿勢状態とウォークイン姿勢状態とを切り替える際の第1の傾動中心軸は符号23で示され、通常着座姿勢状態とチルトダウン姿勢状態とを切り替える際の第2の傾動中心軸は符号25で示されている。本実施形態においては、第1の傾動中心軸23及び第2の傾動中心軸25を中心にシートバック12を傾けることのできるメカニズムが本発明の屈伸機構に相当する。
図1等に示されるように、シートバック12は、その前面12aの主に着座者の背中を支持する中央部は発泡ウレタン等で形成されたパッド30,40により形作られている。中央部のパッドは車両用シート10のウォークイン姿勢状態におけるシートバック12の中折れ位置で上下に分割形成されている(図3参照)。以下の説明においてはシートバック12を構成するパッド30,40のうち、中折れ位置より上に位置するパッド30を上側パッド30と称し、中折れ位置より下に位置するパッド40を下側パッド40と称して区別する。図1に示されるように、上側パッド30と下側パッド40とは、シートバック12が伸びた状態の通常着座姿勢状態においては一続きの背凭れ面を構成する。下側パッド40は、シートバック12の両サイドに設けられた屈曲機構を構成するリンクアーム(フレーム)24,26と干渉しないように該両サイドのリンクアーム(フレーム)24,26の間に設けられており、シートバック12の外形の両側端にまでは及んでいない(図1参照)。上側パッド30は、リンクアーム(フレーム)22に被せ付けられて、シートバック12の両側端に至るまで形作っているが、その両サイドにおいては下端30aがリンクアーム(フレーム)24,26とは干渉しない位置範囲にとどめられている(図2等参照)。上側パッド30と下側パッド40とは、それぞれの外表面が独立したシートカバーで被覆されている。上側パッド30を被覆するシートカバー32は、皮革、ファブリック等の表皮材を裁断してなる複数の表皮ピースを縫合することにより、基本的には上側パッド30の立体的な外形形状に沿うように構成されている。シートカバー32の両サイドの下部は上側パッド30の下端30aよりも下方へ延長して下端が開口した袋状に形成された袋形状部34をなしており、リンクアーム(フレーム)22,24,26を収容している。このように、このシートバック12ではパッドは中折れ位置を跨いで配設されておらず、車両用シート10のウォークイン姿勢状態(図3参照)においては、上側パッド30と下側パッド40との相対角度が変わることによりシートバック12が中折れ状態となるためパッドの屈曲変形を伴わない。しかし、パッドを内包していないシートカバー32の袋形状部34はシートバック12の傾動中心軸23,25を跨いで配設されており、該シートカバー32の袋形状部34はシートバック12の屈伸に追従して屈伸させられることとなる。
図2等に示されるように、シートカバー32は、袋形状部34の屈伸部位34aの内面に裏地36を備えている。裏地36は、シートバック12の屈曲に伴い袋形状部34とともに折れ曲がることができるが、シートバック12の伸張に伴い伸張状態へ復元可能なものである。本実施形態においては、裏地36としてニードルパンチ法にて製造された不織布を2層積層させてなる目付450g/m2の不織布を用いている。裏地36は屈伸部位34aの裏面の全体に渡って連続的に配されている。図6に示されるように、裏地36は細長い矩形であり、屈伸部位34aを構成する表皮ピースと略同じ幅で、袋形状部34の上下方向の長さと略同じ長さである。この裏地36は袋形状部34の屈伸部位34aに対して上下方向に沿って縫合されて屈伸部位34aと一体的に屈伸可能となっている。本実施形態においては、図6に示されるように、屈伸部位34aを構成する表皮ピースと隣接する表皮ピース34b,34cとを縫合するにあたり、裏地36の側端をも縫合することにより(縫合線33b,33c)、裏地36が屈伸部位34aの裏面に一体化され、屈伸部位34aと裏地36とが一体的に屈伸可能となっている。
シートカバー32の屈伸部位34aと裏地36とは、重なった状態で裏地36の上下方向の中間2箇所において第1の傾動中心軸23ないし第2の傾動中心軸25の軸線方向に沿って縫い合わされている。そして、その縫合による縫い線50,52に沿って裏地36の厚みが圧縮されている(図5参照)。これにより裏地36は縫い線50,52の位置で折れ曲がりやすくなっている。また、図6に示されるように、裏地36には上下方向の中間2箇所においてその両端にノッチ37a,37b,38a,38bが形成されている。裏地36は、ノッチ37a,37b,38a,38bが形成されることにより部分的に幅が狭まり、このノッチ37a,37b,38a,38bの形成箇所において折れ曲がりやすくなっている。このノッチ37a,37b,38a,38bの位置と上記折れ曲がりの起点となる縫い線50,52とを一致させることにより、一層、該縫い線50,52の位置で折れ曲がりやすくなっている。
なお、裏地36にノッチ37a,37b,38a,38bが形成されていることにより、該ノッチ37a,37b,38a,38bを屈伸部位34aを構成する表皮ピースに設けられたノッチ等の目印と合致させることより、シートカバー32の屈伸部位34aに対して容易に位置決めされる。
折れ曲がりの起点となる2本の縫い線50,52はそれぞれ傾動中心軸23,25に対応して、シートバック12の上下方向でみて上下に位置がずらされて設けられている。車両用シート10がウォークイン姿勢状態(図3参照)となるとき、すなわちシートバック12が上側の第1の傾動中心軸23を中心に回動して中折れ状態となるときには、シートカバー32の屈伸部位34aは上側の縫い線50を起点として屈曲する。そして、車両用シート10がウォークイン姿勢状態から通常着座姿勢状態(図2参照)となるとき、すなわちシートバック12が略まっすぐに伸びた状態に戻されるときには、裏地36がシートバック12の伸張に伴い伸張状態へ復元されることで屈曲時にシートカバー32の屈伸部位34aの表面に生じた皺が伸ばされる。車両用シート10がチルトダウン姿勢状態(図4参照)となるとき、すなわちシートバック12が下側の第2の傾動中心軸25を中心に回動して伏臥状態となるときには、シートカバー32の屈伸部位34aは下側の縫い線52を起点として屈曲する。そして、ウォークイン姿勢状態から通常着座姿勢状態(図2参照)に復帰するときには、裏地36がシートバック12の伸張に伴い伸張状態へ復元されることで屈曲時にシートカバー32の屈伸部位34aの表面に生じた皺が伸ばされる。なお、本実施形態においては、シートカバー32の屈伸部位34aの下端はバネ部材60を介してシートフレーム62に接続されており、通常着座姿勢状態においては、該バネ部材60によってシートカバー32が下方へ付勢されることによっても皺が伸びやすくなっている。
以上の構成の車両用シート10によれば以下の作用効果を奏する。
先ず、シートカバー32の屈伸部位34aは、裏面にシートバック12の屈曲に伴い屈伸部位34aとともに折れ曲がることができるが、シートバック12の伸張に伴い伸張状態へ復元可能な裏地36が備えられている。そのため、繰り返しシートバック12を屈曲させても、シートバック12を伸張させた通常着座姿勢状態においては屈伸部位34aも伸張状態へと復元され、車両用シート10の見栄えが損なわれにくい。
次に、裏地36とシートカバー32の屈伸部位34aとが第1の傾動中心軸23ないし第2の傾動中心軸25の軸線方向に沿って縫い合わされている。これにより、折れ曲がりの起点が設定されることで、屈伸部位34aは特定位置で折れ曲がり、不特定の位置に皺が寄りにくくなる。したがって、シートバック12を繰り返し屈伸させてもシートバック12を伸ばした通常着座姿勢状態における屈伸部位34aの見栄えが損なわれにくい。そして、たとえ、屈伸部位34aの表面に屈曲時の折れ跡が残っていたとしても、その折れ跡は縫い線50,52と重複するため目立ちにくい。
次に、裏地36にはノッチ37a,37b,38a,38bが形成されており、該ノッチ37a,37b,38a,38bの位置と折れ曲がりの起点となる縫い線50,52とを一致させることにより、容易な構造で折れ起点における折れやすさを向上させることができる。また、ノッチ37a,37b,38a,38bは裏地36のシートカバー32に対する位置決めにも寄与し得る。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内でその他種々の実施形態が考えられるものである。
裏地36は、例えば目付300g/m2以上のニードルパンチング製不織布を好ましく適用することができる。しかし、裏地36は、シートバック12の屈曲に伴い屈伸部位34aとともに折れ曲がることができるが、シートバック12の伸張に伴い伸張状態へ復元可能なものであればよく、その他の製造方法による不織布、織物または編み物等のファブリックないしその積層体や複合体でもよい。
本発明の実施形態に係る車両用シートの斜視図である。 本発明の実施形態に係る車両用シートの通常着座姿勢状態を示す側面図である。 本発明の実施形態に係る車両用シートのウォークイン姿勢状態を示す側面図である。 本発明の実施形態に係る車両用シートのチルトダウン姿勢状態を示す側面図である。 図1に示される車両用シートのシートカバーのV−V線拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る車両用シートのシートカバーの展開状態における屈伸部位の裏面を拡大して示す平面図である。
符号の説明
10 車両用シート
12 シートバック
12a 前面
23 第1の傾動中心軸
25 第2の傾動中心軸
30 上側パッド
32 シートカバー
34a 屈伸部位
34 袋形状部
36 裏地
37a,37b,38a,38b ノッチ
40 下側パッド
50,52 縫い線(折れ曲がりの起点)

Claims (3)

  1. シートバックを屈伸可能とする屈伸機構を備えた車両用シートであって、
    前記シートバックの表面を構成するシートカバーにはパッドを内包しない屈伸部位が前記屈伸機構によるシートバックの屈伸箇所に跨って設定されており、該シートカバーの屈伸部位の内面に前記屈伸機構によるシートバックの屈曲に伴い折れ曲がることができ、且つ前記屈伸機構によるシートバックの伸張に伴い伸張状態へ復元可能な裏地を備えていることを特徴とする屈伸機構を備えた車両用シート。
  2. 請求項1に記載の屈伸機構を備えた車両用シートであって、
    前記シートカバーの屈曲部位において、該シートカバーと前記裏地とが前記屈伸機構によるシートバックの屈曲箇所に沿って縫合されていることを特徴とする屈伸機構を備えた車両用シート。
  3. 請求項2に記載の屈伸機構を備えた車両用シートであって、
    前記裏地は、シートバックの屈曲箇所に沿う縫合箇所において幅狭となっていることを特徴とする屈伸機構を備えた車両用シート。
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