JP2010022132A - 慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置 - Google Patents

慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 クーロン摩擦の影響を除去し、クーロン摩擦の大きな制御対象の慣性モーメントを高精度に同定することができ、その同定結果に基づいて制御対象を高精度に動作制御できる慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置を提供する。
【解決手段】 モータ位置基本周波数成分を入力し正規化モータ加速度矩形波を出力する正規化モータ加速度矩形波演算器109と、トルク指令基本周波数成分と前記正規化モータ加速度矩形波を入力しトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値を出力するトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値演算器110と、前記トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値を入力しトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値を出力するトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値演算器111と、前記トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値とモータ位置振幅を入力し慣性モーメント同定値を出力する慣性モーメント演算器113と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、微小動作のみで負荷の連結したモータの慣性モーメントを同定する慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置に関する。
モータ制御装置には、負荷の連結したモータである制御対象を高精度または高応答に駆動する場合、如何にして明確でない制御対象の慣性モーメント値を高精度かつ微少動作並びに短時間で同定し、その同定値に基づいて制御対象を駆動するか、が必要とされている。
従来技術の慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置は、トルク指令とモータ位置を設定時間において評価した値に基づいて慣性モーメント同定している(例えば、特許文献1参照)。また、トルク指令とモータ位置の2つの周波数成分の振幅に基づいて慣性モーメント同定しているものもある(例えば、特許文献2参照)。また、トルク指令のフーリエ係数とモータ位置の振幅に基づいて慣性モーメント同定しているものもある(例えば、特許文献3参照)。
図3は、第1従来技術の慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置である。図において、301は第1基本周波数成分検出器、302は位置評価器、303は周波数検出器、304は第1演算器、305は積分器、306は第2基本周波数成分検出器、307は積分トルク指令評価器であり、308は第2演算器である。
第1基本周波数成分検出器301は、位置指令と位置を入力し、前記位置の周波数成分の中で前記位置指令の基本周波数における周波数成分を位置基本周波数成分として検出し出力する。位置評価器302は、前記位置基本周波数成分の設定した時間における値を位置評価値として検出し出力する。周波数検出器303は、前記位置基本周波数成分の周波数を位置周波数として検出し出力する。第1演算器304は、前記位置評価値と前記位置周波数を入力し修正位置評価値を出力する。積分器305は、トルク指令を入力し前記トルク指令を零階時間積分した積分トルク指令を出力する。第2基本周波数成分検出器306は、前記位置指令と前記積分トルク指令を入力し、前記積分トルク指令の周波数成分の中で前記位置指令の基本周波数における周波数成分を積分トルク指令基本周波数成分として検出し出力する。積分トルク指令評価器307は、前記積分トルク指令基本周波数成分を入力し、その入力信号を設定した時間において評価した値を積分トルク指令評価値として出力する。第2演算器308は、前記修正位置評価値と前記積分トルク指令評価値を入力し、慣性モーメント同定値を出力する。
図4は、第2従来技術の慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置である。図において、401はトルク指令振幅演算器、402は位置振幅演算器、403は第1慣性モーメント粘性摩擦演算器である。
トルク指令振幅演算器401は、トルク指令を入力し、その入力信号の基本周波数成分振幅であるトルク指令振幅を出力する。位置振幅演算器402は、位置を入力し、その入力信号の基本周波数成分振幅である位置振幅を出力する。第1慣性モーメント粘性摩擦演算器403は、前記トルク指令振幅と前記位置振幅を入力し、負荷の連結したモータである制御対象の慣性モーメントと粘性摩擦である慣性モーメント粘性摩擦同定値を算出し、出力する。
図5は、第3従来技術の慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置である。図において、501は速度指令発生器、502は速度制御器、503はトルク制御器、504はモータ、505は位置検出器、506は微分器、507は慣性モーメント同定器、508はトルク指令フーリエ変換器、509はモータ位置振幅演算器、510は慣性モーメント演算器である。
速度指令発生器501は、速度指令を出力する。速度制御器502は、前記速度指令とモータ速度を入力しトルク指令を出力する。トルク制御器503は、前記トルク指令を入力しモータ駆動信号を出力する。モータ504は、前記モータ駆動信号により駆動されその位置であるモータ位置は位置検出器505が検出し出力する。微分器506は、前記モータ位置を入力し前記モータ速度を出力する。慣性モーメント同定器507は、前記トルク指令と前記モータ位置を入力し負荷が連結したモータ504の負荷慣性モーメントである慣性モーメント同定値を算出し出力する。
慣性モーメント同定器507内部において、トルク指令フーリエ変換器508は、前記トルク指令を入力しその入力信号のフーリエ係数であるトルク指令フーリエ係数を出力する。モータ位置振幅演算器509は、前記モータ位置を入力しその入力信号振幅であるモータ位置振幅を出力する。慣性モーメント演算器510は、前記トルク指令フーリエ係数と前記モータ位置振幅を入力し前記慣性モーメント同定値を算出し出力する。
特開2006−280080号公報(第10−13頁、第1図) 特開2007−020297号公報(第7−8頁、第1図) 特開2007−189856号公報(第3−6頁、第1図)
第1、第2、第3従来技術の慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置は、クーロン摩擦を考慮していないので、制御対象のクーロン摩擦が大きい場合に慣性モーメント同定精度が劣化するため、改善の必要があった。また、その同定結果に基づいて制御対象の動作制御を実施すると動作精度が劣化するため、改善の必要があった。
本発明はこのような改善点に鑑みてなされたものであり、クーロン摩擦の影響を除去し、クーロン摩擦の大きな制御対象の慣性モーメントを高精度に同定することができ、その同定結果に基づいて制御対象を高精度に動作制御できる慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1記載の発明は、モータ位置とトルク指令とに基づいて負荷の連結したモータである制御対象の慣性モーメントを同定する慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置であって、前記モータ位置と前記トルク指令の周波数成分のうち慣性モーメント同定に使用する成分であるモータ位置基本周波数成分とトルク指令基本周波数成分および前記モータ位置の振幅であるモータ位置振幅を算出する構成を含む慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置において、前記慣性モーメント同定器は、前記モータ位置基本周波数成分に基づいてモータ加速度の符号である正規化モータ加速度矩形波を算出する正規化モータ加速度矩形波演算器と、前記トルク指令基本周波数成分と前記正規化モータ加速度矩形波を入力しその入力信号の乗算値であるトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値を算出するトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値演算器と、前記トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値を入力しその入力信号を前記モータ位置の1基本周期における平均値であるトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値を算出するトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値演算器と、前記モータ位置振幅と前記トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値に基づいて慣性モーメント同定値を算出する慣性モーメント演算器と、を備えたものである。
また、請求項2記載の発明は、請求項1における前記モータ位置振幅がモータ1/5000回転程度の微小動作となるように前記指令の振幅を設定するものである。
また、請求項3記載の発明は、請求項1における前記トルク指令基本周波数成分演算器は、FFT(高速フーリエ変換)を用いて前記トルク指令基本周波数成分を算出し、前記モータ位置基本周波数成分演算器はFFTを用いて前記モータ位置基本周波数成分を算出するものである。
また、請求項4記載の発明は、請求項1における前記トルク指令基本周波数成分演算器は、前記制御対象が剛体的に動作する低い周波数である基本周波数を透過周波数とするバンドパスフィルタを用いて前記トルク指令基本周波数成分を算出し、前記モータ位置基本周波数成分演算器は前記バンドパスフィルタを用いて前記モータ位置基本周波数成分を算出するものである。
また、請求項5記載の発明は、請求項1における前記正規化モータ加速度矩形波演算器は、前記正規化モータ加速度矩形波を前記モータ位置の符号を反転させて算出した矩形波とするものである。
また、請求項6記載の発明は、請求項1における前記慣性モーメント演算器は、前記トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値を前記制御対象が剛体的に動作する低い周波数である基本周波数の2乗と前記モータ位置振幅の積で乗算し、π/2を乗算して前記慣性モーメント同定値を算出するものである。
また、請求項7記載の発明は、請求項1における前記慣性モーメント同定値に基づいて前記制御対象の動作制御を行うものである。
請求項1乃至2に記載の発明によると、クーロン摩擦の大きく可動範囲が1/5000回転程度である制御対象の慣性モーメントを高精度に同定できる。
また、請求項3乃至4に記載の発明によると、トルク指令とモータ位置がリプルを多く含む場合にも、トルク指令が一定トルク外乱を含む場合にも、過渡応答が存在する場合にも、それらの影響を抑制し、クーロン摩擦の大きく可動範囲が1/5000回転程度である制御対象の慣性モーメントを高精度に同定できる。
また、請求項5乃至6に記載の発明によると、モータ加速度がリプルを多く含む場合にもその影響を抑制し、クーロン摩擦の大きく可動範囲が1/5000回転程度である制御対象の慣性モーメントを高精度に同定できる。
また、請求項7に記載の発明によると、トルク指令とモータ位置がリプルを多く含む場合にも、トルク指令が一定トルク外乱を含む場合にも、過渡応答が存在する場合にも、
クーロン摩擦の大きく可動範囲が1/5000回転程度である制御対象を高精度に動作制御できる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施例を示す慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置である。図において、101は指令発生器、102はフィードバック制御器、103は電流制御器、104は制御対象、105はモータ位置検出器、106は慣性モーメント同定器、107はトルク指令基本周波数成分演算器、108はモータ位置基本周波数成分演算器、109は正規化モータ加速度矩形波演算器、110はトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値演算器、111はトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値演算器、112はモータ位置振幅演算器、113は慣性モーメント演算器である。
指令発生器101は、制御対象104の目標動作を示す指令を出力する。フィードバック制御器102は、前記指令とモータ位置を入力し制御対象104を前記目標動作どおりに動作させるようなトルク指令を出力する。電流制御器103は、前記トルク指令を入力しモータ電流により制御対象104を前記目標動作どおりに動作させる。制御対象104は、負荷の連結したモータであり、その前記モータ位置はモータ位置検出器105が検出し出力する。慣性モーメント同定器106は、前記トルク指令と前記モータ位置を入力し制御対象104の総慣性モーメントである慣性モーメント同定値を算出し出力する。
慣性モーメント同定器106において、トルク指令基本周波数成分演算器107は、前記トルク指令を入力しその入力信号の周波数成分のうち慣性モーメント同定に使用する周波数成分であるトルク指令基本周波数成分を出力する。モータ位置基本周波数成分演算器108は、前記モータ位置を入力しその入力信号の周波数成分のうち慣性モーメント同定に使用する周波数成分であるモータ位置基本周波数成分を出力する。正規化モータ加速度矩形波演算器109は、前記モータ位置基本周波数成分を入力しその入力信号の2階微分値のシグナム関数値である正規化モータ加速度矩形波を出力する。トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値演算器110は、前記トルク指令基本周波数成分と前記正規化モータ加速度矩形波を入力しその入力信号の乗算値であるトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値を出力する。トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値演算器111は、前記トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値を入力しその入力信号の1周期間平均値であるトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値を出力する。モータ位置振幅演算器112は、前記モータ位置基本周波数成分を入力しその入力信号振幅であるモータ位置振幅を出力する。慣性モーメント演算器113は、前記トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値と前記モータ位置振幅を入力し前記慣性モーメント同定値を算出し出力する。
ここで、トルク指令基本周波数成分演算器107およびモータ位置基本周波数成分演算器108における、慣性モーメント同定に使用する周波数成分は、制御対象104が剛体的に動作する低い周波数である基本周波数における周波数成分である。
本発明が従来技術と異なる部分は、モータ位置基本周波数成分を入力し正規化モータ加速度矩形波を出力する正規化モータ加速度矩形波演算器109と、トルク指令基本周波数成分と前記正規化モータ加速度矩形波を入力しトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値を出力するトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値演算器110と、前記トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値を入力しトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値を出力するトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値演算器111と、前記モータ位置基本周波数成分を入力しモータ位置振幅を出力するモータ位置振幅演算器112と、前記トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値と前記モータ位置振幅を入力し慣性モーメント同定値を出力する慣性モーメント演算器113、を備える部分である。
以下、慣性モーメント同定器106が,制御対象104の総慣性モーメントである慣性モーメント同定値を算出する仕組みの詳細を示す。
図1の制御対象104において,モータに連結した負荷が剛体であると近似すると、電流制御器103、制御対象104、モータ位置検出器105の運動方程式は式(1)で表される。

ただし、Jは制御対象104の総慣性モーメント、Dは粘性摩擦、Tcはクーロン摩擦、Trefはトルク指令、wは一定トルク外乱、θはモータ位置である。図1の指令が、慣性モーメント同定に利用する周波数である基本周波数ωを含むとすると、基本周波数ωにおけるモータ位置の周波数成分であるモータ位置基本周波数成分は式(2)で表される。

ただし、Aはモータ位置振幅である。
式(1)を式(2)の2階微分値であるモータ加速度のシグナム関数で乗算すると式(3)を得る。なお、シグナム関数は、符号関数とも呼ばれ、「実数に対しその符号に応じて1、−1、0のいずれかを返す関数およびそれを拡張した複素関数」である周知事項である。

ただし、モータ速度と前記モータ加速度のシグナム関数は−π/4[rad]位相が異なり、前記モータ速度のシグナム関数と前記モータ加速度のシグナム関数の乗算値はπ/ωの周期関数であることを念頭において、式(3)の基本周期Tp=2π/ω間における平均値をとり、総慣性モーメントJについて解くと式(4)を得る。


ただし、式(4)におけるバーは基本周期Tp間の平均値を示す。
式(4)は一定トルク外乱wを含まないので、制御対象104の姿勢により重力が一定トルク外乱として制御対象104を構成するモータを動作させる向きに働く場合にも、慣性モーメント同定できる。また、式(4)は、モータ加速度のシグナム関数を用いており、前記シグナム関数は前記モータ加速度の符号のみに基づいて−1、0、1の値をとるので、モータ加速度がリップルを含む場合にも前記モータ加速度の符号に影響しない前記リップルにより精度が劣化することなく慣性モーメント同定できる。また、式(4)はモータ位置基本周波数成分とトルク指令基本周波数成分を用いており、モータ位置およびトルク指令の含む他の周波数成分(たとえば、過渡応答、リプル、スーパーハーモニクス、サブハーモニクスなど)は除去されるので同定精度に影響せず、前記モータ位置およびトルク指令が含むリプル、過渡応答、制御対象104の非線形ダイナミクスの影響を抑制し、高精度に慣性モーメント同定できる。また、式(4)は、モータ位置基本周波数成分の振幅であるモータ位置振幅を用いおり、制御対象104の可動範囲が限定され、かつモータ位置検出器105の分解能が低く前記モータ位置の波形が粗い場合にも、FFTにより抽出した前記モータ位置基本周波数成分はその他の周波数成分が除去された滑らかな信号となり、さらにその振幅は前述の粗い波形の前記モータ位置の振幅よりも大きくなることから、実際のモータ位置の振幅を復元でき、高精度に慣性モーメント同定が可能である。また、式(4)は粘性摩擦Dとクーロン摩擦Tcを含まないので、粘性摩擦Dとクーロン摩擦Tcが存在する場合にも高精度に慣性モーメント同定できる。また、式(4)は基本周期Tp間の平均値を用いるので、トルク指令に含まれるリプルが除去され、その影響を抑制し高精度に慣性モーメント同定できる。モータ加速度がリプルを多く含む場合には、前記モータ加速度の符号は、より前記リプルの少ない前記モータ位置の符号を反転したものとすることで、式(4)を用いて高精度に慣性モーメント同定ができる。従来技術によると同定精度が劣化する極めて小さな動作振幅(たとえば1/5000回転以下)においても、上記理由より本発明によると高精度に慣性モーメント同定が実施できる。
ここで、本発明における慣性モーメント同定器106内の各構成が、各入力に対しどのような演算に基づいて各出力を得るのかを整理する。
正規化モータ加速度矩形波演算器109は、モータ位置基本周波数成分を2階微分して得られたモータ加速度基本周波数成分にシグナム関数を適用した結果を正規化モータ加速度矩形波として出力する。
トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値演算器110は、トルク指令基本周波数成分と前記正規化モータ加速度矩形波の乗算値をトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値として出力する。
トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値演算器111は、前記トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値を、前記モータ位置基本周波数成分と前記トルク指令基本周波数成分の周波数である基本周波数の1周期間において平均し、式(4)の分子であるトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値を算出する。
モータ位置振幅演算器112は、前記モータ位置基本周波数成分のピーク値よりその振幅であるモータ位置振幅を算出する。
慣性モーメント演算器113は、前記トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値を前記モータ位置振幅と前記基本周波数の2乗の乗算値で除算しπ/2を乗算して、式(4)により慣性モーメント同定値を算出する。
本発明は、フィードバック制御器102が、位置P速度P制御、位置P速度PI制御、位置P速度I−P制御、速度P制御、速度PI制御、速度I−P制御、位置PID制御など任意の制御則である場合に適用可能であり、フィードフォワード制御と併用する場合にも適用可能である。
式(4)の導出では、制御対象104を構成するモータに連結した負荷は剛体で近似できることを仮定したが、前記モータに連結した負荷が柔軟である場合には、基本周波数ωを前記負荷の反共振周波数より十分に低く設定することにより、モータ側の慣性モーメントと負荷側の慣性モーメントとの和である総慣性モーメントが得られ、さらに基本周波数ωを共振周波数より十分に高く設定することにより、前記モータ側の慣性モーメントが得られる。また、前記総慣性モーメントより前記モータ側の慣性モーメントを減算することにより前記負荷側の慣性モーメントを同定することができる。
本発明は制御対象の姿勢(例えば、垂直、水平)に関わらず、一定トルク外乱、トルク指令とモータ位置に含まれるリップル、粘性摩擦、クーロン摩擦、モータ位置検出器の低分解能などの影響下においても、可動範囲の限定された負荷の連結したモータである制御対象の慣性モーメントを高精度に短時間に算出できる。
以下、本発明のシミュレーション結果を示す。シミュレーションに用いた数値は以下のとおりである。
J*=0.58*10^−4[kg・m^2]、D=0.75*10^−3[N・m・s/rad]、Tc=7.8*10^−4[N・m]、Kp=40[s^−1]、Kv=40*2*π[s^−1]、J0=0.116*10^−4[kg・m^2]、Ti=0.0016[s]、T=125*10^−6[s]、Trat=0.637[N・m]、b=17[bit]、ω=50*2*π[rad/s]、r0=0.005[rad]
ただし、Jは制御対象104の慣性モーメント真値、Dは粘性摩擦、Tcはクーロン摩擦、Kpは位置比例制御ゲイン、Kvは正規化速度比例制御ゲイン、J0は公称慣性モーメント、Tiは速度制御積分時定数、Tは制御周期、Tratは定格トルク、bはモータ位置検出器105の分解能、ωは基本周波数、r0は指令振幅である。ここで、速度比例制御ゲインは正規化速度比例制御ゲインKvと公称慣性モーメントJ0を用いてKvj=Kv*J0と表される。本シミュレーションではフィードバック制御器102は位置比例速度比例積分制御とし、指令は指令振幅r0、基本周波数ωの正弦波とした。
図2は、本発明の第1実施例を示すシミュレーションにおける一定トルク外乱を変化させた場合の慣性モーメント同定誤差である。図において、実線で示す慣性モーメント同定誤差eJ(%)は、慣性モーメント真値J*と慣性モーメント同定値Jを用いて式(5)により算出した。

一定トルク外乱wを定格トルクTratの0[%]から50[%]まで変化させた場合、慣性モーメント同定誤差は常に一定で0.6[%]程度であった。本シミュレーションにおいて、モータ位置振幅は8.0*10^−4[rad](17[bit]モータ位置検出器において16[pulse]程度)であり、トルク指令Trefの振幅は0.0048[N・m](定格トルクTratの0.75[%]程度)であったので、本発明によると微小動作のみでより大きな負荷の連結したモータの慣性モーメント同定ができることが分かる。一方、従来技術によると、その同定式はシグナム関数を用いないため、モータ位置振幅が本シミュレーションと同じ場合には、慣性モーメント同定誤差が−20[%]程度であった。
このように、本発明は、モータ加速度またはモータ位置のシグナム関数に基づいているので、制御対象の姿勢に関わらず、一定トルク外乱、トルク指令とモータ位置に含まれるリップル、粘性摩擦、クーロン摩擦、モータ位置検出器の低分解能などの影響下においても、極めて小さな動作振幅(たとえば1/5000回転以下)においても、負荷の連結したモータである制御対象の慣性モーメントを高精度に短時間に算出できる。
トルク指令とモータ加速度のシグナム関数による評価値の積の平均値に基づいて、クーロン摩擦の大きい制御対象の慣性モーメントを高精度に同定することができるので、半導体製造装置、工作機械など一般産業用機械の動作制御における制御ゲイン調整という用途にも適用できる。
本発明の第1実施例を示す慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置 本発明の第1実施例を示すシミュレーションにおける一定トルク外乱を変化させた場合の慣性モーメント同定誤差 第1従来技術の慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置 第2従来技術の慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置 第3従来技術の慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置
符号の説明
101 指令発生器
102 フィードバック制御器
103 電流制御器
104 制御対象
105 モータ位置検出器
106 慣性モーメント同定器
107 トルク指令基本周波数成分演算器
108 モータ位置基本周波数成分演算器
109 正規化モータ加速度矩形波演算器
110 トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値演算器
111 トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値演算器
112 モータ位置振幅演算器
113 慣性モーメント演算器
301 第1基本周波数成分検出器
302 位置評価器
303 周波数検出器
304 第1演算器
305 積分器
306 第2基本周波数成分検出器
307 積分トルク指令評価器
308 第2演算器
401 トルク指令振幅演算器
402 位置振幅演算器
403 第1慣性モーメント粘性摩擦演算器
501 速度指令発生器
502 速度制御器
503 トルク制御器
504 モータ
505 位置検出器
506 微分器
507 慣性モーメント同定器
508 トルク指令フーリエ変換器
509 モータ位置振幅演算器
510 慣性モーメント演算器

Claims (7)

  1. モータ位置とトルク指令とに基づいて負荷の連結したモータである制御対象の慣性モーメントを同定する慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置であって、前記モータ位置と前記トルク指令の周波数成分のうち慣性モーメント同定に使用する成分であるモータ位置基本周波数成分とトルク指令基本周波数成分および前記モータ位置の振幅であるモータ位置振幅を算出する構成を含む慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置において、
    前記慣性モーメント同定器は、前記モータ位置基本周波数成分に基づいてモータ加速度の符号である正規化モータ加速度矩形波を算出する正規化モータ加速度矩形波演算器と、
    前記トルク指令基本周波数成分と前記正規化モータ加速度矩形波を入力しその入力信号の乗算値であるトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値を算出するトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値演算器と、
    前記トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値を入力しその入力信号を前記モータ位置の1基本周期における平均値であるトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値を算出するトルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値演算器と、
    前記モータ位置振幅と前記トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値に基づいて慣性モーメント同定値を算出する慣性モーメント演算器と、を備えたことを特徴とする慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置。
  2. 前記モータ位置振幅がモータ1/5000回転程度の微小動作となるように前記指令の振幅を設定することを特徴とする請求項1記載の慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置。
  3. 前記トルク指令基本周波数成分演算器は、FFT(高速フーリエ変換)を用いて前記トルク指令基本周波数成分を算出し、前記モータ位置基本周波数成分演算器はFFTを用いて前記モータ位置基本周波数成分を算出することを特徴とする請求項1記載の慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置。
  4. 前記トルク指令基本周波数成分演算器は、前記制御対象が剛体的に動作する低い周波数である基本周波数を透過周波数とするバンドパスフィルタを用いて前記トルク指令基本周波数成分を算出し、前記モータ位置基本周波数成分演算器は前記バンドパスフィルタを用いて前記モータ位置基本周波数成分を算出することを特徴とする請求項1記載の慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置。
  5. 前記正規化モータ加速度矩形波演算器は、前記正規化モータ加速度矩形波を前記モータ位置の符号を反転させて算出した矩形波とすることを特徴とする請求項1記載の慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置。
  6. 前記慣性モーメント演算器は、前記トルク指令正規化モータ加速度矩形波乗算値平均値を前記制御対象が剛体的に動作する低い周波数である基本周波数の2乗と前記モータ位置振幅の積で乗算し、π/2を乗算して前記慣性モーメント同定値を算出することを特徴とする請求項1記載の慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置。
  7. 前記慣性モーメント同定値に基づいて前記制御対象の動作制御を行うことを特徴とする請求項1記載の慣性モーメント同定器を備えたモータ制御装置。
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