JP2010018828A - 真空蒸着装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の真空蒸着装置は、表面に格子状凸部を有する基材フィルム5がロール状に巻かれてなる原反ロール6から、搬送用ロール7を介して前記基材フィルム5を巻取ロール8に搬送する間に前記基材フィルム5に金属を蒸着するロール・ツー・ロール方式のワイヤグリッド偏光板の製造に用いる真空蒸着装置であって、前記原反ロール6、前記搬送用ロール7及び前記巻取ロール8を収容する真空槽と、前記真空槽内に配置され、蒸着材9を加熱・蒸発させる加熱部10と、前記真空槽内の気体を捕集する冷凍トラップ11と、前記加熱部10と前記冷凍トラップ11との間に配置された遮熱板12と、を具備することを特徴とする。
【選択図】図3
Description
図1は、本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の製造方法で得られるワイヤグリッド偏光板の一部を示す概略断面図である。このワイヤグリッド偏光板は、表面に格子状凸部1aを有する基材1と、基材1上に設けられた誘電体層2と、誘電体層2上に立設された金属ワイヤ3とから主に構成されている。なお、誘電体層2は必ずしも設けなくても良い。
(格子状凸部を有する樹脂基材の作製)
・凹凸格子形状が転写されたCOP板の作製
ピッチが230nmで、凹凸格子の高さが230nmである凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパを準備した。この凹凸格子は、レーザ干渉露光法を用いたパターニングにより作製されたものであり、その断面形状は正弦波状で、上面からの形状は縞状格子形状であった。また、その平面寸法は縦横ともに500mmであった。このニッケルスタンパを用いて、熱プレス法により厚さ0.5mm、縦横がそれぞれ520mmのシクロオレフィン樹脂(以下、COPと略す)板の表面に凹凸格子形状を転写し、凹凸格子形状を転写したCOP板を作製した。
次いで、この凹凸格子形状が転写されたCOP板を520mm×460mmの長方形に切り出し、被延伸部材としての延伸用COP板とした。このとき、520mm×460mmの長手方向(520mm)と凹凸格子の長手方向とが互いに略平行になるように切り出した。
得られた、140nmピッチの延伸済みCOP板表面に、それぞれ導電化処理として金をスパッタリングにより30nm被覆した後、それぞれニッケルを電気メッキし、厚さ0.3mm、縦300mm、横180mmの微細凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパを作製した。
同様にしてニッケルスタンパを計2枚作成し、2枚のスタンパを溶接により円形に接合し、ロールスタンパとした。この際、接合は微細凹凸格子の長手方向とロールスタンパの円周方向が直交する向きで行った。
厚み0.08mmのトリアセチルセルロースフィルム(以下、TACフィルム)のロール(フィルム長250m)に連続的に紫外線硬化性樹脂を約0.01mm塗布し、塗布面を上記140nmピッチの微細凹凸格子を表面に有するロールスタンパ上に接触させ、フィルム側から中心波長365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cm2照射し、ロールスタンパの微細凹凸格子を連続的に転写した後、ロール状に巻き取った。以下、このロールを原反ロールと呼ぶことにする。得られた格子状凸部転写フィルムをFE−SEMにより観察し、その断面形状が正弦波状で、上面からの形状が縞状格子状となっていることを確認した。
・原反ロールの乾燥
以上のようにして得られた原反ロールに含まれる水分を乾燥するために、原反ロールを200Wの赤外線ヒーターが3台設けられた真空槽に移し、フィルムを真空中でほどきながら2m/分で走行させ、加熱後、ロール状に巻き取った。フィルム走行停止時の真空度は0.03Pa、フィルム走行中(乾燥中)の真空度は0.15Paであった。また、ヒーター通過後のTACフィルムの表面温度を知るためにTACフィルム上には予めサーモラベルを貼っておいた。ヒーター通過後のTACフィルムの表面温度は60℃から70℃の間であった。
乾燥後の原反ロールを乾燥機の真空槽中に12時間放置したところ、フィルムの温度は23℃まで下がった。その後、原反ロールの格子状凸部転写面を誘電体形成及び金属ワイヤ形成用の真空槽へと移した。誘電体形成には反応性ACマグネトロンスパッタリング法を用いた。ターゲットサイズ127mm×750mm×10mmtのシリコンターゲットを2枚並べ、基板〜ターゲット距離80mm、アルゴンガス流量200sccm、窒素ガス流量300sccm、出力11kW、周波数37.5kHz、走行速度5m/分で原反ロールをほどきながらフィルム搬送用ロール(メインローラー)で巻取ロール側に送りながら窒化珪素層を設け、その後ロール状に巻き取った。スパッタリングの際の張力は30N、メインローラー温度は30℃、スパッタリング開始前のバックグラウンドの真空度は0.005Pa、スパッタリング中の真空度は0.38Paであった。同じ条件でSiチップに窒化珪素を成膜し、エリプソメーターにて窒化珪素層の厚みを算出したところ、3nmであった。
原反ロールの格子状凸部転写面に誘電体層として窒化珪素をスパッタリング法にて形成した後、フィルムをスパッタリング時と逆方向にメインローラーで送り、抵抗加熱蒸着法にて金属ワイヤを形成し、ロール状に巻き取った。なお、本実施例では、金属としてアルミニウム(Al)を用いた場合について説明する。このとき、アルミニウムの蒸着には斜め蒸着法を用い、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線蒸着源とのなす角が32°(θd)からはじまり15°(θs)で終わるようにマスクを配置して行った。
冷凍機トラップから3mm蒸着ボートの方向に横1130mm×縦450mm×厚さ1mmの鉄製の板を設置した。この状態で、蒸着時間と冷凍トラップの冷媒出口側の冷媒温度と蒸着時間の関係を測定したところ、蒸着初期は−120℃であり、蒸着が進むにつれて温度が上がり、70分後には−110℃に達した。この間、真空槽内の真空度は安定しており、0.007Paであった。
次いで、冷凍機パネルの前に鉄製の板を設置しなかった場合について説明する。実施例1と同様に、蒸着時間と冷凍トラップの冷媒出口側の冷媒温度の関係を測定したところ、蒸着初期の冷媒温度は−120℃であり、70分後には−90℃まで温度が上昇した。この間、真空槽内の真空度は0.007Paから0.015Paまで上がった。また、蒸着開始60分後(蒸着処理長210m付近)には一時的に−85℃まで冷媒温度が上昇し、冷凍トラップが蓄積していた気体が一斉に真空槽中に放出され、真空度は0.04Paまで上昇した。
実施例1、比較例1のそれぞれで得られたワイヤグリッド偏光板について、蒸着後期のフィルム部を切り出し、アルミニウムの膜厚を蛍光X線の発光強度より換算したところ、ともに130nmであった。
窒化珪素及びアルミニウムが成膜された格子状凸部転写フィルムロールを、フィルムをほどきながら温度23℃の0.5重量%のNaOHaq槽内を65秒間走行させ、ついで水洗・風乾し、目的とするワイヤグリッドフィルムのロールを得た。
以上のようにして得られたワイヤグリッドフィルムを5mおきに切り出し、透過率、偏光度を分光光度計にて測定した。その結果、実施例1のワイヤグリッドフィルムは全サンプルとも透過率は41%以上であり、偏光度は99.8%以上であった。これに対し、比較例1のワイヤグリッドフィルムは、蒸着開始からの長さが170m付近から透過率は41%を下回り、偏光度は99.8%を下回った。特に、真空度が0.04Paまで上昇した蒸着処理長210m付近での透過率及び偏光度はそれぞれ35%、98%と低い値を示した。
1a 格子状凸部
2 誘電体層
3,3a 金属ワイヤ
4 影部
5 基材フィルム
6 原反ロール
7 搬送用ロール
8 巻取ロール
9 蒸着剤(金属供給源)
10 加熱部
11 冷却トラップ
12 遮熱板
13 隔壁
14 巻取室用ポンプ
15 成膜室用ポンプ
16 冷凍機
17 開口部
18 マスク
19 搬送用ロールの中心
D 被着開始点
S 被着終了点
Claims (4)
- 表面に格子状凸部を有する基材フィルムがロール状に巻かれてなる原反ロールから、搬送用ロールを介して前記基材フィルムを巻取ロールに搬送する間に前記基材フィルムに金属を蒸着するロール・ツー・ロール方式のワイヤグリッド偏光板の製造に用いる真空蒸着装置であって、前記原反ロール、前記搬送用ロール及び前記巻取ロールを収容する真空槽と、前記真空槽内に配置され、蒸着材を加熱・蒸発させる加熱手段と、前記真空槽内の気体を捕集する冷凍トラップと、前記加熱手段と前記冷凍トラップとの間に配置された遮熱板と、を具備することを特徴とする真空蒸着装置。
- 前記遮熱板が金属で構成されていることを特徴とする請求項1記載の真空蒸着装置。
- 前記遮熱板の厚さが0.2mm以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の真空蒸着装置。
- 前記冷凍トラップと前記遮熱板との間の距離が50mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の真空蒸着装置。
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2008
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