JP2005301032A - 光学薄膜成膜装置及び光学薄膜成膜方法並びに光学素子 - Google Patents

光学薄膜成膜装置及び光学薄膜成膜方法並びに光学素子 Download PDF

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【課題】 製品基板上に成膜された光学薄膜の膜厚を設計目標どおりに成膜できる光学薄膜成膜装置及び光学薄膜成膜方法、さらにはこの光学薄膜成膜方法により作製される光学素子を提供すること。
【解決手段】 真空槽2内に配設された基板5上に光学薄膜3を成膜する光学薄膜成膜装置1において、基板5に成膜された光学薄膜3の光学特性値を計測する特性計測手段13と、該特性計測手段13により計測された光学特性値に基づいて光学薄膜3の一部の層または全層をエッチングし除去するエッチング手段とを備える構成とした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、真空槽内に配設された基板上へ光学薄膜を成膜する光学薄膜成膜装置及び光学薄膜成膜方法、さらにこの成膜方法により作製される光学素子に関する。
デジタルカメラ、顕微鏡などの光学機器には、単層または多層の反射防止膜やダイクロイックフィルターなどの光学薄膜を成膜された光学素子が用いられている。一般的に、これら光学薄膜は、真空蒸着法やスパッタリング法などにより基板上に成膜して光学素子に用いている。
光学薄膜を基板上に成膜する際の膜厚の制御方法には、光学的膜厚制御方法や電気的制御方法(水晶式膜厚制御方法)、時間的制御方法等がある。これらの方法のうち、現在、多く利用されている方法は光学的膜厚制御法である。
この方法の原理について説明する。屈折率nの透明基板の上に、屈折率n、幾何学的膜厚dの光学薄膜が蒸着された場合、この光学薄膜の反射率R、若しくは透過率Tは、波長λの光の位相変化δの周期関数になっている。吸収がない均質な薄膜へ垂直に入射したときのこの位相δは式(1)に示すように、波長λと光学的膜厚ndとの関数でもある。
Figure 2005301032
したがって、測定する光の波長λを固定して光学的膜厚ndを変化させると、その反射率R、若しくは、透過率T(T=1−R)は、式(2)に示すように、周期的に変化することになる。
Figure 2005301032
このような、膜厚変化による反射率や透過率の変化に着目して、基板上に成膜する光学薄膜の膜厚制御を行うのが光学的膜厚制御法である。
この光学的膜厚制御法により製品基板(例えば、製品となるレンズ等)上へ光学薄膜を成膜する光学薄膜成膜装置として、真空槽の底部に蒸着源を配置し、その上方に製品基板保持用のドームを配置し、ドームの中心部に設けられた孔内に特性モニタ基板、及び、膜厚制御モニタ基板を配設した特性モニタ手段及び膜厚制御手段等から構成されている成膜装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この成膜装置は、ドームを中心部の中心軸回りに回転させつつ、ドームに保持した製品基板上に蒸着源からの蒸発物質を成膜させる際に、製品基板と同時に光学薄膜が成膜される特性モニタ基板に対して光を投光し、その反射光を受光するための投受光部、及び、計測部を設け、計測部によりドームの中心部に設けられた特性モニタ基板に成膜された光学薄膜の光学特性値を検知するものである。また、製品基板と同時に光学薄膜が成膜される膜厚制御モニタ基板に対して光を投光し、その反射光を受光するための投受光部、及び、計測部を設け、ドーム中心部に設けられた膜厚制御モニタ基板に成膜されている光学薄膜の光学特性値を検出し、予め設けられた基準光学特性値を構成する各層の基準設計膜厚に対応する各層の制御波長を利用して、各層の膜厚制御を行うようにしている。
したがって、特性モニタ基板上の積層膜の光学特性を計測し、その結果に基づいて膜厚誤差を予測し、次に膜厚制御モニタ基板へ成膜される基準設計膜厚に対応する層の制御波長を修正し、各層毎に最適な制御波長を選ぶことで、膜厚制御の精度を向上できるようにしている。
特開2002−4047号公報
しかしながら、上述した従来の光学薄膜成膜装置では、積層膜の膜厚が初期目標の膜厚よりも厚く製品基板上へ成膜された場合や、成膜中に蒸着源を冷却する冷却水の温度が変化したり、あるいは、真空室の真空度を測定する真空計の異常によって真空室へ導入されるガス流量が多すぎたりすることにより、製品基板上へ積層された積層膜の光学特性に大きな特性のズレが生じた場合は、次に積層される膜厚制御へのフィードバックすることが難しい。このため、目標の光学特性値の光学薄膜が得られないという不具合が生じる。また、光学薄膜を製品基板上へ単層で成膜したときに、この膜厚があらかじめ設計された基準設計膜厚よりも厚く成膜された場合にも、光学薄膜成膜装置の真空室から製品基板を大気へ取り出し、剥離剤等で製品基板上の単層膜を剥離後、再度製品基板を真空室内へ配設して成膜しなければならないので、生産効率がよくないという問題がある。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、製品基板上に成膜された光学薄膜の膜厚を設計目標どおりに成膜できる光学薄膜成膜装置及び光学薄膜成膜方法、さらにはこの光学薄膜成膜方法により作製される光学素子を提供することを目的とする。
本発明は、上述した課題を解決するため以下の手段を採用する。
本発明に係る光学薄膜成膜装置は、真空槽内に配設された基板上に光学薄膜を成膜する光学薄膜成膜装置において、前記基板に成膜された前記光学薄膜の光学特性値を計測する特性計測手段と、該特性計測手段により計測された光学特性値に基づいて前記光学薄膜の一部の層または全層をエッチングし除去するエッチング手段とを備えることを特徴としている。
この光学薄膜成膜装置によれば、成膜中に蒸着源を冷却する冷却水の温度が変化したり、あるいは、真空室の真空度を測定する真空計の異常によって真空室へ導入されるガス流量が多すぎたりすること等の原因で多層の光学薄膜成膜中の中間特性に、設計目標値より大きなズレが生じた場合や、単層膜や混合膜を成膜後または多層膜や混合膜を成膜途中の層に、光学薄膜の膜厚が設計目標値よりも厚く成膜された場合にも、特性計測手段により得られた光学薄膜の光学特性値に基づいてエッチング手段により薄膜の膜厚を薄くする。その後、エッチングされた層以降の光学薄膜を成膜することによって、光学薄膜の膜厚をあらかじめ設計された基準設計どおりの膜厚にすることができる。
また、本発明に係る光学薄膜成膜装置は、前記特性計測手段が、前記基板へ計測光を投光する投光部と、前記基板を透過または反射した前記投光部からの計測光を受光する受光部とを備えていることを特徴としている。
この光学薄膜成膜装置によれば、投光部から基板に向かって計測光を投光し、受光部により基板を透過或いは反射した計測光を受光することによって、基板を真空槽内に載置した状態のまま光学薄膜の単色透過率もしくは反射率、または、分光透過率もしくは分光反射率を直接計測することができ、その透過率もしくは反射率を膜厚制御に使用することを可能とする。
本発明に係る光学薄膜成膜方法は、真空槽内に配設された基板上に光学薄膜を成膜する光学薄膜成膜方法において、前記基板を真空槽内に取り付ける取り付け工程と、前記基板上に前記光学薄膜を成膜する成膜工程と、前記基板上に成膜された光学薄膜の光学特性値を計測する特性計測工程と、該特性計測工程により計測された前記光学特性値に基づいて前記光学薄膜の一部の層または全層をエッチングし除去するエッチング工程と、前記光学薄膜の設計膜厚と実際に成膜された膜厚との膜厚誤差量を成膜条件に反映する工程とを備えることを特徴としている。
この光学薄膜成膜方法によれば、特性計測工程と光学薄膜をエッチングするエッチング工程と、あらかじめ設計された光学薄膜の基準設計膜厚と実際に成膜された膜厚との膜厚誤差量を成膜条件に反映する工程とを備えているので、光学薄膜を多層成膜する際、成膜途中でも真空槽内から基板を取り出すことなく、基板に成膜された光学薄膜の光学特性値を測定することができる。
また、実際に成膜された膜厚と基準設計膜厚との膜厚誤差量を算出し、膜厚の誤差があった場合、光学特性値に基づいたエッチング工程を行い、エッチングされた層以降の成膜については、設計目標値の光学特性値となるように成膜工程において成膜条件を変更することにより膜厚を修正することが可能である。
また、本発明に係る光学薄膜成膜方法は、真空槽内に配設された基板上に光学薄膜を成膜する光学薄膜成膜方法において、前記基板を真空槽内に取り付ける取り付け工程と、前記基板上に前記光学薄膜を成膜する成膜工程と、前記基板上に成膜された光学薄膜の光学特性値を計測する第1の特性計測工程と、
該特性計測工程により計測された前記光学特性値に基づいて前記光学薄膜の一部の層または全層をエッチングし除去するエッチング工程と、前記エッチング後の光学薄膜の光学特性値を計測する第2の特性計測工程と、前記光学薄膜の設計膜厚と実際に成膜された膜厚との膜厚誤差量を算出して成膜条件に反映する工程とを備えることを特徴としている。
この光学薄膜成膜方法によれば、第1の特性計測工程により計測したエッチング前の光学特性値に基づいてエッチング工程においてエッチングを行う。その後、このエッチング量がエッチング量目標値より多い場合には、第2の特性計測工程により、特性を計測した結果に基づいて膜厚誤差量を算出しているので、エッチング層以降の成膜にて、設計目標値の光学特性値となるように成膜条件を変更して膜厚を修正することができる。また、エッチング後に特性測定した結果、エッチング量がエッチング量目標値より少ない場合には、再度エッチングを行い、膜厚を修正することが可能である。
また、本発明に係る光学薄膜成膜方法は、前記特性計測工程が、前記基板上に光学薄膜の一層が成膜されて積層される毎に行われることを特徴としている。
この光学薄膜成膜方法によれば、一層毎の透過率等の光学特性値を計測することができる。さらに、設計膜厚との誤差が大きくなりすぎる前にエッチング工程が行えるので、光学薄膜のエッチング量を少なくすること、及び、成膜条件を変更して膜厚を修正する量を少なくすることができ、設計値と同様の膜厚に成膜することが可能となる。
また、本発明に係る光学薄膜成膜方法は、前記特性計測工程が、前記基板上に光学薄膜の複数層が成膜された光学薄膜に対して行われることを特徴としている。
この光学薄膜成膜方法によれば、所定の数の層が積層された状態で分光透過率等の光学特性値を計測することができ、エッチング工程後の成膜条件に反映する工程に移って以降の成膜条件をこの値に基づいて変更して膜厚を修正し設計値と同様の膜厚に成膜することができる。
また、本発明に係る光学薄膜成膜方法は、前記エッチング工程が、Ar、NもしくはOまたはArとOとの混合ガスによるイオンを照射することにより、光学薄膜を選択的にエッチングすることを特徴としている。
この光学薄膜成膜方法によれば、光学特性値に基づいたイオンビームを光学薄膜が成膜された基板上へ照射することにより、光学薄膜の一部の層もしくは全層をエッチング、あるいは層の一部を選択的にエッチングし除去して膜厚を修正することができる。また、このとき、照射に使用するガスは、Ar、NまたはO及びこれらの混合ガスを用いることが可能である。
また、本発明に係る光学薄膜成膜方法は、前記エッチング工程が、オゾン雰囲気中でAr、NもしくはOまたはArとOとの混合ガスによるイオンを照射することにより、光学薄膜の層をエッチングすることを特徴としている。
この光学薄膜成膜方法によれば、オゾン雰囲気中で光学特性値に基づいたイオン量を照射することで、誘電体酸化膜をエッチングする際に再生する酸素欠損による光吸収を抑えることができる。さらに、このとき、照射に使用するガスは、Ar、NまたはO及びこれらの混合ガスを用いることが可能である。
また、本発明に係る光学薄膜成膜方法は、前記エッチング工程が、前記基板に直接RF電圧,DC電圧またはAC電圧をかけてスパッタすることにより光学薄膜の層をエッチングすることを特徴としている。
この光学薄膜成膜方法によれば、光学薄膜が成膜された基板上に直接RF電圧をかけて、光学特性値に基づいて除去する膜厚量分だけスパッタすることにより、光学薄膜の一部の層もしくは全層をエッチングし除去して膜厚を修正することができる。スパッタ方式としては、RF電圧の他にDC電圧やAC電圧を用いることが可能である。さらに、スパッタ方式では無加熱で基板上へ光学薄膜を成膜することができるので、加熱すると大きく反るような、厚みが薄いガラス基板やプラスチック基板を使用することが可能である。
また、本発明に係る光学薄膜成膜方法は、前記エッチング工程と同時またはその直後に、前記基板上に成膜された光学薄膜を酸素プラズマにさらす、もしくは酸素を導入しながら加熱することを特徴としている。
この光学薄膜成膜方法によれば、光学特性値に基づいた誘電体酸化膜の膜厚をエッチングすると、光学薄膜中に酸素欠損による光吸収が発生する。しかし、このエッチング直後に、酸素雰囲気中で基板を加熱することにより、発生した光吸収を抑えることができる。ここで、エッチング直後に行う方法として、基板上に成膜された光学薄膜を酸素プラズマ中にさらすことでも、発生した光吸収を抑えることが可能である。さらに、これらは、エッチング工程と同時に行うことにより、光吸収を抑えることもできる。
また、本発明に係る光学素子は、請求項3から請求項10のいずれか1項に記載の光学薄膜成膜方法により、前記基板上に光学薄膜が成膜されて作製されることを特徴としている。
この光学素子によれば、光学多層膜を成膜中に、この薄膜表面上に異物が付着することがあり、異物が付着したままの状態で、次層が成膜されると異物部分が盛り上がった状態となる。さらに、成膜が続けられると、この膜の断面図は異物部分を中心として、扇形状に盛り上がった状態となり、この異物部分に光を照射すると光が散乱するという問題が生じる。しかしながら、特性計測工程により計測された光学特性値から異物の有無を確認し、異物があれば、この光学特性値に基づいて異物を除去する層までエッチング工程を行うことで異物を除去することが可能である。したがって、この光学薄膜成膜方法により、異物を除去した光学素子を作製することが可能となる。
本発明においては以下の効果を奏する。
本発明の光学薄膜成膜装置及び光学薄膜成膜方法によれば、多層膜,単層膜や混合膜などの光学薄膜の膜厚が設計よりも厚く成膜された場合でも、光学薄膜成膜装置から取り出すことなく薄膜をエッチングし、設計目標どおりの光学薄膜を成膜することができる。また、光学薄膜を成膜中に異物が発生した場合でも、異物を除去可能な層までエッチングした後、その層以降を成膜することで、異物を除去した光学素子を成膜することが可能となる。
次に、本発明の第1実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
本実施形態に係る光学薄膜成膜装置1は、図1及び図2に示すように、真空槽2内に配設され光学薄膜3が成膜されて製品となる基板(例えば、製品となるレンズ)5上に光学薄膜3を成膜する装置であって、基板5に対向して真空槽2の底部側でかつ中心軸線から偏った位置に配設された二つの蒸着源7,8と、真空槽2の上方側のほぼ中央位置で一枚の基板5を保持して蒸着源7,8上と傾斜した状態で対向する基板保持部10と、蒸着源7,8のそれぞれの直上に配され蒸着源7,8と基板保持部10との間を遮蔽可能なシャッター11、12と、基板5に成膜された光学薄膜3の光学特性値を計測する特性計測手段13と、膜厚制御を行う膜厚制御システム15と、蒸着源7,8の間でかつ光学薄膜3が成膜される基板5に向けられて、この基板5上に成膜された光学薄膜3の一部の層または全層のエッチングを行うことが可能なイオンガン16とエッチング時にイオンガン上方でイオンガン16と基板5に成膜された光学薄膜3との間にガス導入可能なガス導入管17とを備えている。
シャッター11、12は、シャッター支持棒11a、12aにそれぞれ支持されており、シャッター11、12が蒸着源7、8の直上と、そこから外れた位置との間を移動することにより基板5上へ各層の成膜開始、終了が行われ、各層の膜厚制御を行う。
蒸着源7は、高屈折率材料としてTaがシャッター11の下に配され、蒸着源8は、低屈折率材料としてSiOがシャッター12の下に配されている。
基板保持部10は、真空槽2の上部に配置された駆動モータ18とこのモータに連結された不図示の駆動力伝達手段(ギア)と真空槽2内に延在した中空の支持軸20を介して真空槽2のほぼ中央位置で回転可能に支持されている。
基板保持部10上には、上下を貫通する孔21が設けられ、孔21に一枚の基板5が保持されている。
なお、基板保持部は一枚の基板5のみの保持部に限定されるものでなく、球面ドーム、平面ドーム、段付きドーム、自公転ドームを配置して、この上に多数の基板5を保持するものであっても構わなく、この場合には、各基板5が前記特性計測手段13及びイオンガン16に対向する位置を通過可能になる配置構成にすると良い。また、真空槽2内には、基板保持部10及び基板5を加熱するヒーター(図示略)も内蔵されている。
特性計測手段13は、基板5の成膜がなされる面とは反対側の面へ計測光としてのモニタ光(以下、モニタ光と称す)投光する投光部22と、基板5を反射した投光部22からのモニタ光を受光する受光部23とを備えている。
投光部22は、真空槽2の外部に配されてモニタ光を発する光源25と、光源25からの光を平行光として真空槽2の上面中央位置の支持軸20内に設けられた透明な窓26を介して基板5に照射する投光光学系(図示略)を内蔵した投光側光学系ユニット27とを備えている。
光源25には、ハロゲンランプ光源を用いている。また、窓26には光の全波長域に渡って透過率の高い石英ガラスを用いることが好ましい。
受光部23は、真空槽2の上面の中央位置に設けられた透明の窓26を介して、投光部22から投光され、かつ、基板5を反射したモニタ光を集光するための受光側光学系(図示略)を内蔵した受光側光学系ユニット30と、光学薄膜の光学特性値としてモニタ光の反射率を計測する分光測定機31と、受光側光学系ユニット30と分光測定機31とをつなぐ光ファイバ32とを備えている。
分光測定機31は、波長400nmから700nmの間で段階的に各波長により反射率を測定することができる。また、一つの特定波長(例えば、波長500nm)の反射率を測定することができる。
膜厚制御システム15は、分光測定機31と接続されて、光学薄膜3の設計膜厚に応じて式1、式2によりあらかじめ算出された反射率(設計された反射率ともいう)に対応する基準光学特性値が入力されており、この膜厚制御システム15は入力されている基準光学特性値と分光測定機31にて計測された実測の反射率に対応した光学特性値とが一致したときにシャッター11あるいはシャッター12を交互に遮蔽または開放の移動動作するための移動操作信号を後述する制御装置本体100に送信する機能を有している。
制御装置本体100は、蒸着源7,8を加熱する電源(図示略)をON/OFFさせて蒸発物質を生成する制御や、加熱された基板温度の制御や真空槽2内の真空圧力の制御等をするものである。また、制御装置本体100において実行するプログラムには、基板5上に成膜された光学薄膜3の実測された分光反射率に対応し光学特性値とあらかじめ設計された反射率に対応する基準光学特性値とが一致するように、基準光学特性値を構成する各層の基準設計膜厚を最適化させて、実際に成膜された各層の膜厚を算出する機能を内蔵している。さらに、実際に成膜された各層の膜厚と基準光学特性値を構成する各層の基準設計膜厚との膜厚誤差量を算出する機能も内蔵している。また、前記膜厚誤差量に基づいて、基板5上に成膜された光学薄膜3の一部の層もしくは全層をエッチングして除去した後、このエッチングした層以降の基準設計膜厚を膜厚誤差量に基づいて修正し、成膜条件へ反映する機能も内蔵している。
なお、光学特性値としては反射率に限られず、透過率、偏光、位相差等でも構わない。また、モニタ光の垂直入射または斜入射での光学特性を計測することでも構わない。
窓26、28には、光の全波長域に渡って透過率の高い石英ガラスを用いることが好ましく、投光部22、受光部23の配設位置は、真空槽の底面に投光部、真空槽の上方に受光部としても構わない。
次に、本実施形態に係る光学薄膜成膜装置1により、基板5上にTa膜とSiO膜とが交互に50層積層された多層の光学薄膜を成膜する際の、30層目で光学薄膜の光学特性値を計測するとした場合の成膜方法、作用及び効果について、以下、説明する。また、この多層の光学薄膜は、例えば光学フィルタとして用いられるものである。
光学薄膜成膜方法は、図3に示すように、真空槽2の上方側のほぼ中央位置に配設された基板保持部10に基板5を取り付ける基板取り付け工程(S01)と、基板5上に光学薄膜3を成膜する成膜工程(S02)と、基板5上に成膜された光学薄膜3の光学特性値の一つである反射率を計測する特性計測工程(S03)と、基板5上に成膜された光学薄膜3の基準設計膜厚と実際に成膜された膜厚との膜厚誤差量を算出して光学薄膜3の一部の層もしくは全層をエッチングするエッチング工程(S04)と、膜厚誤差量を成膜条件に反映する工程(S05)とを備えている。
特性計測工程(S03)は、基板保持部10を加熱するヒーター(図示略)はONのまま基板保持部10の回転を一旦停止し、光源25からの投光側光学系27を介して投光されたモニタ光を基板5で反射させ、この反射したモニタ光を受光側光学系30で受光して分光測定機31に導き、基板5上の30層積層された光学薄膜について、分光測定機31で400nmから700nmまでの波長域で反射率を測定(S03−1)と、測定された実測の分光反射率に対応した光学特性値とあらかじめ設計された50層成膜途中の30層の光学薄膜を成膜するときに得られる反射率に対応する基準光学特性値との比較(S03−2)を行うようになっている。
基板を取り付ける工程(S01)にて、基板5を基板保持部10の孔21に取り付ける。次に、駆動モータ18を駆動させ、支持軸20に支持した基板5を回転させて、基板保持部10をヒータ(図示略)で加熱して基板5の温度を300℃にした状態で基板5上に光学薄膜3を成膜する工程(S02)を行う。
この成膜工程(S02)では、まず、蒸着源7,8の上方をシャッター11、12で覆い、蒸着法に基づき成膜準備を行う。そして、真空槽2内の圧力が1×10−3Paになった時点で、蒸着源7の上方を覆っていたシャッター11を蒸着源7の上方から移動させて、基板5に蒸着源7としてセットしたTaからの蒸発物質によりTaからなる光学薄膜の成膜を開始する。そして、Ta膜の膜厚が基準設計膜厚に到達した時点でシャッター11を蒸着源7の上方へ移動させて覆い、1層目の成膜を終了する。次に、蒸着源8の上方を覆っていたシャッター12を蒸着源8の上方から移動させて、基板5の1層目(Ta膜)の上に、蒸着源8にセットされたSiOからの蒸発物質によりSiOからなる光学薄膜の成膜を開始する。そして、SiO膜の膜厚が基準設計膜厚に到達した時点でシャッター12を蒸着源8の上方へ移動させて覆い、2層目の成膜を終了する。
さらに上述した成膜工程を繰り返し実施した後、50層中、例えば、30層成膜後の成膜された段階で光学薄膜の特性計測工程(S03)にて、反射率の計測(S03−1)を実施して、基板5で反射した反射光を受光側光学系ユニット30により取り込み、反射率を計測する。この特性計測工程(S03)の実施のために、基板保持部10のヒータはONのまま基板保持部10の回転を一旦停止し、光源25から投光側光学系27を介して投光されたモニタ光を基板5で反射させ、この反射したモニタ光を受光側光学系ユニット30で受光して分光測定機31に導き、基板5上の30層積層された光学薄膜について、分光測定機31で400nmから700nmまでの波長域で反射率を測定する。そして、実測の分光反射率に対応した光学特性値と30層のときの予め設定された分光反射率に対応する基準光学特性値とを比較し(S03−2)、両者が一致したとき、あるいは、一定の範囲内に達したと判断したときに、設定積層数(例えば、50層)と比較する(S06)。このとき、膜厚の積層数が50層でない場合、再度、基板保持部10を回転して再び基板5に31層目以降の成膜を行う成膜工程(S02)を実施し、50層まで成膜する。
一方、基板5上の30層積層された光学薄膜について、実測の分光反射率に対応した光学特性値と30層のときの予め設計された分光反射率に対応する基準光学特性値とが一致していない場合には、実測の光学特性値と設計された基準光学特性値とが一致するように、基準光学特性値を構成する30層の各層の基準設計膜厚を最適化させることで、実際に成膜された30層の各層の膜厚を算出する。さらに、実際に成膜された30層の各層の膜厚と基準光学特性を構成する30層の各層の基準設計膜厚とを比較し、両者の各層の膜厚誤差量を算出する。この膜厚誤差量の算出結果に基づいて、光学薄膜の一部の層もしくは全層をエッチングして除去するエッチング工程を行う(S04)。
例えば、成膜された30層の各層の膜厚誤差量の内で、1層目の膜厚誤差量から24層目までの膜厚誤差量がほぼ無いのに対し、25層目の膜厚誤差量から30層目までの膜厚誤差量が多く、基準設計膜厚よりも実際に成膜された膜厚の方が厚く成膜されていた場合には、ガス導入管17よりOガスを導入して圧力を2×10−2Paに設定しながら、イオンガン16よりArイオンビームを基板5へ成膜された光学薄膜3上に所定時間照射することにより、成膜された30層中の30層目から25層目までを順にエッチングして除去する(このように、薄膜の一層または複数層を除去することを光学薄膜の一部をエッチングするという)。
さらに、エッチングした層以降(25層目以降)に成膜される各光学薄膜の基準設計膜厚を膜厚誤差量に基づいて修正し、成膜条件に反映する工程(S05)に基づいて、エッチング後の25層目以降の成膜条件を調整する。その後、同様に基板保持部10を回転して基板保持部10に保持した基板5に再度25層目以降の成膜を行う成膜工程(S02)を実施した。そして、30層に成膜された段階で、光学薄膜の特性計測工程(S03)を行う。ここで、反射率の計測(S03−1)を実施した後、実測の分光反射率に対応した光学特性値と30層のときの予め設計された分光反射率に対応する基準光学特性値とを比較し(S03−2)、両者が一致する場合、あるいは、一定の範囲内に達したと判断したときには、設定積層数と比較し(S06)、膜厚の積層数が50層でない場合、再び成膜工程(S02)を50層まで行う。一方、両者が一致しない場合には、30層成膜時点で行った上述したエッチング工程(S04)と同様の工程に移る。
次いで、50層成膜された段階で、光学薄膜の特性計測工程(S03)を行う。反射率の計測(S03−1)を実施した後、実測の分光反射率に対応した光学特性値と50層のときの予め設計された分光反射率に対応する基準光学特性値とを比較し(S03−2)、両者が一致する場合には、あるいは、一定の範囲内に達したと判断したときには、設定積層数と比較し(S06)、膜厚の積層数が50層である場合には成膜を終了する。一方、光学特性値と基準光学特性値とが一致しない場合には、30層成膜時点で行った上述したエッチング工程(S04)と同様の工程へ移り、最終的には50層まで成膜した光学薄膜3の実測した反射率に対応した光学特性値とあらかじめ設定された50層の光学薄膜の反射率に対応した基準光学特性値とが一致するまで繰り返し行われる。
こうして、50層成膜したときに得られる実測の分光反射光量値が設計値と同様の光学特性を有する光学薄膜3を得る。
この光学薄膜成膜装置1及び光学薄膜成膜方法によれば、基板5上に成膜された光学薄膜3の光学特性値を計測する特性計測工程(S03)とこの光学特性値に基づいて基板5に成膜された光学薄膜3の一部の層もしくは全層を選択的にエッチングするエッチング工程(S04)を備えているので、光学薄膜3が成膜された基板5を成膜装置から取り出す必要がなく光学特性を評価することができる。
さらに、設計膜厚よりも厚く成膜された場合にも成膜装置から取り出す必要がなく、膜厚誤差分の光学薄膜をエッチングすることができるので、光学薄膜3の膜厚を設計膜厚どおりに成膜することが可能になる。
また、特性計測手段13にて、投光部22から基板5に向かってモニタ光を投光し、受光部23により基板5を透過したモニタ光を受光することによって、基板5を真空槽2内に載置した状態のまま光学薄膜の単色反射率や分光反射率を直接計測することができ、その反射光量を膜厚制御に使用することができる。この際、反射光量の測定にて一層毎の反射光量等の光学特性値を計測することができ、設計膜厚との誤差が大きくなりすぎる前にエッチング工程に移り成膜条件を変更して膜厚を修正し、設計値と同様の膜厚に成膜することができる。また、ヒータで基板5を加熱し、ガス導入管17よりOを導入しながら、TaやSiOをArイオンビームでエッチングすることにより、誘電体酸化膜の酸素欠損による光吸収を抑えることができる。
次に、本発明に係る第2実施形態について、図4及び図5を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態において、上述した第1実施形態に係る光学薄膜成膜装置1と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。
本実施形態に係る光学薄膜成膜装置41において、第1実施形態と異なる点は、第1実形態では、真空槽2の外部に配されてモニタ光を発する光源25から照射したモニタ光を横切る基板5の反射光を受光し、エッチング工程の直後に成膜条件に反映する工程を実施するとしたが、本実施形態に係る光学薄膜成膜装置41は、図4に示すように、受光部23が真空槽2の底面側に設けられ、光源25から照射したモニタ光の光路を横切る基板保持部(球面ドーム)10上に設置された多数の基板5,5aを透過したモニタ光を集光するための受光側光学系ユニット30を底面側に備えている点と、エッチング工程の後に第2の特性計測工程(S07)を追加してから成膜条件に反映する工程(S05)を実施する点とである。
基板保持部10の周縁部に近接した蒸着源7,8との間には、2つの基板5,5a上にそれぞれ成膜される光学薄膜3,3aの膜厚を均一にするために、蒸着源7,8からのそれぞれの蒸発物質の量を制御するようにした補正板42,43がそれぞれ配設されている。さらに基板保持部10に保持された基板5,5aは、基板5,5aに対向して配設された蒸着源7,8上を通過可能である。
次に、本実施形態に係る光学薄膜成膜装置41により、基板5上にTa膜とSiO膜とが交互に30層積層された多層の光学薄膜を成膜する際の、20層目で光学薄膜の光学特性値を計測するとした場合の成膜方法、作用及び効果について、以下、説明する。また、この多層の光学薄膜は、例えば光学フィルタとして用いられるものである。
光学薄膜成膜方法は、図5に示すように、基板5,5aに対向して配設された蒸着源7,8上を通過可能な基板保持部10に基板5,5aを取り付ける基板取り付け工程(S01)と、基板5,5a上に光学薄膜3,3aを成膜する成膜工程(S02)と、基板5上に成膜された光学薄膜3の光学特性値の一つである透過率を計測する第1の特性計測工程(S03)と、基板5上に成膜される光学薄膜3の基準設計膜厚と実際に成膜された膜厚との膜厚誤差量を算出して光学薄膜3の一部の層もしくは全層をエッチングし除去するエッチング工程(S04)と、エッチング後の基板5上に残っている光学薄膜3の光学特性値を計測する第2の特性計測工程(S07)と、膜厚誤差量を成膜条件に反映する工程(S05)とを備えている。
第1の特性計測工程(S03)は、基板保持部10を加熱するヒーター(図示略)はONのまま基板保持部10の回転を一旦停止し、光源25からの投光側光学系27を介して投光されたモニタ光を基板5上で透過させ、この透過したモニタ光を受光側光学系30で受光して分光測定機31に導き、基板5上の20層積層された光学薄膜について、分光測定機31で400nmから700nmまでの波長域で透過率を測定(S03−1)と、測定された実測の分光透過率に対応した光学特性値とあらかじめ設計された30層成膜途中の20層の光学薄膜を成膜するときに得られる透過率に対応する基準光学特性値とを比較(S03−2)とを行うようになっている。
第2の特性計測工程(S07)は、第1の特性計測工程(S03)と同様に、モニタ光を基板5上で透過させ、分光測定機31に導く。そして、基板5上の10層積層された薄膜について、分光測定機31で400nmから700nmまでの波長域で透過率を測定(S07−1)と、測定された実測の分光透過率に対応した光学特性値とあらかじめ設計された30層成膜途中の10層の光学薄膜を成膜するときに得られる透過率に対応する基準光学特性値とを比較(S07−2)とを行うようになっている。
基板を取り付ける工程(S01)にて、基板5,5aを基板保持部10の孔21にそれぞれ取り付ける。なお、基板5,5aとして2つの基板を用いて説明したが、同一円周上に3個以上保持して成膜しても良い。以下の説明では、複数の基板のうち、特性計測用の基板5が、モニタ光の光を横切る位置で計測が行われることを前提として説明する。次に、駆動モータ18を駆動させ、支持軸20に支持した基板5を回転させる。そして、基板保持部10をヒータ(図示略)で加熱して基板5の温度を300℃にした状態で基板5上に光学薄膜3を成膜する工程(S02)を行い、20層に積層された多層の光学薄膜を成膜する。
次いで、20層成膜された段階で光学薄膜の第1の特性計測工程(S03)にて、透過率の計測(S03−1)を実施して、基板5で透過した透過光を受光側光学系ユニット30により取り込み、透過率を計測する。この特性計測工程(S03)の実施のために、基板保持部10のヒータはONのまま基板保持部10の回転を一旦停止し、光源25から投光側光学系27を介して投光されたモニタ光を基板5で透過させ、この透過したモニタ光を受光側光学系ユニット30で受光して分光測定機31に導き、基板5上の20層積層された光学薄膜について、分光測定機31で400nmから700nmまでの波長域で透過率を測定する。そして、実測した透過率に対応した光学特性値と20層のときの予め設計された分光透過率に対応する基準光学特性値とを比較し(S03−2)、両者が一致したとき、あるいは、一定の範囲内に達したと判断したときに、設定積層数(例えば、30層)と比較する(S06)。このとき、膜厚の積層数が30層でない場合、再度、基板保持部10を回転して再び成膜する成膜工程(S02)を実施し、30層まで成膜する。
一方、基板5上の20層積層された光学薄膜について、実測した透過率に対応した光学特性値と20層のときの予め設計された分光透過率に対応する基準光学特性値とが一致していない場合には、実測の光学特性値と設計された基準光学特性値とが一致するように、基準光学特性値を構成する20層の各層の基準設計膜厚を最適化させることで、実際に成膜された20層の各層の膜厚を算出する。さらに、実際に成膜された20層の各層の膜厚と基準光学特性を構成する20層の各層の基準設計膜厚とを比較し、両者の各層の膜厚誤差量を算出する。この膜厚誤差量の算出結果に基づいて、例えば、実際に成膜された20層の各層の膜厚誤差量の内で、1層目の膜厚誤差量から10層目までの膜厚誤差量がほぼ無いのに対し、11層目の膜厚誤差量から20層目までの膜厚誤差量が多く基準設計膜厚よりも実際に成膜された膜厚の方が厚く成膜されていた場合には、光学薄膜の20層目から11層目までを順にエッチングし除去するエッチング工程(S04)を実施する。
さらに、エッチング後に基板5上へ積層されている光学薄膜の第2の特性計測工程(S07)を行う。ここで、実測した透過率に対応した光学特性値と10層のときの予め設計された分光透過率に対応する基準光学特性値とを比較し、両者が一致したとき、あるいは、一定の範囲内に達したと判断したときに、設定積層数(例えば、30層)と比較する(S08)。このとき、膜厚の積層数が30層でない場合、11層以降の基準設計膜厚を膜厚誤差量に基いて修正し、11層目以降の成膜条件に反映する工程(S05)にて成膜条件の調整を行う。その後、再度、基板保持部10を回転して再び成膜する成膜工程(S02)を実施し、20層まで成膜する。20層に成膜された段階で、光学薄膜の第1の特性計測工程(S03)を行い、実測した透過率に対応した光学特性値と20層のときの予め設計された分光透過率に対応する基準光学特性値とを比較し、両者が一致する場合、あるいは、一定の範囲内に達したと判断したときに、再び成膜工程(S02)を30層まで実施する。一方、両者が一致しない場合には、20層成膜時点で行った上述したエッチング工程(S04)へ移り、以下同様の工程を実施し、最終的には30層まで成膜した。
一方、20層目から11層目までの光学薄膜をエッチング後の実測した透過率に対応した光学特性値と10層までの予め設計された分光透過率に対応する基準光学特性値とが一致していない場合には、基準光学特性値を構成する10層の各基準設計膜厚の上に11層目と12層目の基準設計膜厚を追加する。そして、基板5上にエッチング後に残っている実測の光学特性値と12層分の基準光学特性値が一致するように、各設計膜厚を最適化させることで、実際に基板5上に積層されている10層前後の光学薄膜の各層の膜厚を算出した。
エッチング後の基板5上に残っている膜厚が、10層積層された基準光学特性値の基準設計膜厚よりも厚い場合で、11層積層された基準光学特性値の基準設計膜厚と一致、つまりエッチング工程(S04)で20層目から12層目の光学薄膜までしかエッチングしていなかった場合には、11層目の光学薄膜をエッチングして除去するエッチング工程(S04)を行う。その後、再度、基板5上に積層されている光学薄膜の第2の特性計測工程(S07)を実施して、実測の基板5上に残っている光学薄膜の光学特性値と10層積層された基準光学特性値とが一致するかどうか判断する。判断の結果、両者が一致する場合、あるいは、一定の範囲内に達したと判断したときには、11層目以降の基準設計膜厚を20層まで成膜した時点で算出した膜厚誤差量に基いて修正し、成膜条件に反映する工程(S05)にて11層目以降の調整を行う。その後、再度、基板保持部10を回転して再び成膜する成膜工程(S02)を実施し、20層まで成膜する。20層成膜された段階で光学薄膜の第1の特性計測工程(S03)を行う工程を実施し、以下同様の工程を実施して、最終的には30層まで成膜した。
一方、エッチング後の基板上に残っている膜厚が、10層積層された基準光学特性値の基準設計膜厚よりも薄い場合で、9層の予め設計された分光透過率に対応する基準光学特性値の基準設計膜厚と一致、つまりエッチング工程(S04)で20層目から10層目の光学薄膜までエッチングし除去していた場合には、10層目以降の基準設計膜厚を20層まで成膜した時点で算出した膜厚誤差量に基いて修正し、成膜条件に反映する工程(S05)にて10層以降の成膜条件の調整を行った後、再度、基板保持部10を回転して再び成膜する成膜工程(S02)を実施し、20層まで成膜する。20層成膜された段階で光学薄膜の第1の特性計測工程(S03)を行う工程を実施し、以下同様の工程を実施して、最終的には30層まで成膜した。
次いで、30層成膜された段階で、光学薄膜の第1の特性計測工程(S03)を実施し、実測の分光透過率に対応した光学特性値とあらかじめ設計された30層の光学薄膜を成膜するときに得られる基準光学特性値とを比較し、両者が一致する場合、あるいは、一定の範囲内に達したと判断したときには、膜厚の積層数が30層である場合には成膜を終了する。一方、両者が一致しない場合には、20層成膜時点で行った上述したエッチング工程(S04)と同様の工程を実施し、最終的には、30層まで成膜した光学薄膜3を実測した透過率に対応した光学特性値とあらかじめ設計された30層の光学薄膜の透過率に対応した基準光学特性とが一致するまで繰り返し行われる。こうして、30層成膜したときに得られる実測の基準分光透過光量が設計値と同様の光学特性を有する光学薄膜3を得る。
この光学薄膜成膜装置41及び光学薄膜成膜方法によれば、基板の透過率を測定することにより上述した第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。また、エッチング工程にて設計膜厚よりも厚すぎる場合には、再度エッチングすることにより、光学薄膜3の膜厚を設計膜厚どおりにすることができる。また、設計膜厚よりも薄すぎる場合には薄い層より成膜を続けることにより設計膜厚どおりの光学薄膜3を得ることが可能になる。
次に、本発明の第3実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。
本実施形態に係る光学素子は、図6及び図7に示すように、光学薄膜の一部の層もしくは全体の層をエッチングする、このエッチング工程前後の光学素子の断面図であり、基板61上に成膜された光学薄膜62とエッチングされる薄膜位置を示す境界線(点線)63と異物71とからなっている。
本実施形態にて、光学特性計測手段とエッチング手段を備えた光学薄膜成膜装置を用いた成膜方法により得られる光学素子について説明する。
図6(a)に示すように、基板61上に光学単層膜62を成膜した後、この光学単層膜62の光学特性値を測定し評価を行う。その結果、光学単層膜62が設計膜厚よりも厚く成膜されていた場合、設計膜厚と実際に成膜された膜厚の膜厚誤差量を算出して設計膜厚よりも厚い部分をエッチングすることで、目標の設計膜厚をもつ光学素子が得られる。また、図6(b)のように、基板61上に成膜された光学多層膜62の光学特性を測定し評価を行う。その結果、光学薄膜62が膜厚修正不可能な場合には、全層をエッチングした後、最初から成膜をやり直した光学素子を得ることもできる。
さらに、図6(c)や図6(d)のように、凹面や凸面のレンズ61上へ光学薄膜62を成膜すると中央部分が厚く成膜されてしまうが、このような曲率の大きなレンズ61の光学薄膜62をエッチングすると中央部分が厚めにエッチングされる。したがって、成膜後の光学特性値を評価して光学薄膜の一部を選択的にエッチングすることで中央部分を多くエッチングし、曲率の大きなレンズであっても均一な膜厚をもつ光学素子を得ることができる。図7(a)に示すように、光学薄膜の成膜途中で異物71が表面上に付着し、そのまま成膜を続けた場合には、異物を中心に扇形上に盛り上がった光学薄膜が得られる。このような形状の光学薄膜が成膜された光学素子では、散乱光が顕著な光学素子になってしまう。しかしながら、このような場合にも、成膜後の光学特性を測定し評価して、散乱が生じない層までエッチングを行った後、残りの層の成膜を行うことで、図7(b)に示すように、異物71による散乱が発生しない光学素子を得ることができる。
なお、本発明の技術範囲は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では蒸着法による成膜を行うとしているが、これに限定されるのではなく、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンアシスト蒸着法であっても構わない。
また、以上の実施形態において、光学薄膜のエッチングでは基板を加熱した状態でOガスを導入しながらイオンガン16を用いてArイオンビームを基板上の光学薄膜へ照射して行ったが、プラズマガンを用いてエッチングを行っても良い。さらに、導入ガスはArの他にNやOまたはこれらの混合ガスでも良い。また、酸素欠損を防ぐ方法としてはオゾン雰囲気中でエッチングする方法、さらに、エッチングと同時またはその直後に酸素プラズマにさらす方法や酸素を導入しながら加熱する方法でも良い。さらに、エッチング方法が基板へ直接RF電圧,DC電圧またはAC電圧をかけてスパッタリングして薄膜を選択的にエッチングを行っても良い。
本発明の第1実施形態に係る基板及び光学薄膜を示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る光学薄膜成膜装置を示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る光学薄膜成膜方法を示すフロー図である。 本発明の第2実施形態に係る光学薄膜成膜装置を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る光学薄膜成膜方法を示すフロー図である。 本発明の第3実施形態に係る基板及び光学薄膜を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る光学素子を示す断面図である。
符号の説明
1,41 光学薄膜成膜装置
2 真空槽
3,3a,62 光学薄膜
5,5a,61 (製品)基板
13 特性計測手段

Claims (11)

  1. 真空槽内に配設された基板上に光学薄膜を成膜する光学薄膜成膜装置において、
    前記基板に成膜された前記光学薄膜の光学特性値を計測する特性計測手段と、
    該特性計測手段により計測された光学特性値に基づいて前記光学薄膜の一部の層または全層をエッチングし除去するエッチング手段とを備えることを特徴とする光学薄膜成膜装置。
  2. 前記特性計測手段が、前記基板へ計測光を投光する投光部と、
    前記基板を透過または反射した前記投光部からの計測光を受光する受光部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜成膜装置。
  3. 真空槽内に配設された基板上に光学薄膜を成膜する光学薄膜成膜方法において、
    前記基板を真空槽内に取り付ける取り付け工程と、
    前記基板上に前記光学薄膜を成膜する成膜工程と、
    前記基板上に成膜された光学薄膜の光学特性値を計測する特性計測工程と、
    該特性計測工程により計測された前記光学特性値に基づいて前記光学薄膜の一部の層または全層をエッチングし除去するエッチング工程と、
    前記光学薄膜の設計膜厚と実際に成膜された膜厚との膜厚誤差量を成膜条件に反映する工程とを備える光学薄膜成膜方法。
  4. 真空槽内に配設された基板上に光学薄膜を成膜する光学薄膜成膜方法において、
    前記基板を真空槽内に取り付ける取り付け工程と、
    前記基板上に前記光学薄膜を成膜する成膜工程と、
    前記基板上に成膜された光学薄膜の光学特性値を計測する第1の特性計測工程と、
    該特性計測工程により計測された前記光学特性値に基づいて前記光学薄膜の一部の層または全層をエッチングし除去するエッチング工程と、
    前記エッチング後の光学薄膜の光学特性値を計測する第2の特性計測工程と、
    前記光学薄膜の設計膜厚と実際に成膜された膜厚との膜厚誤差量を算出して成膜条件に反映する工程とを備える光学薄膜成膜方法。
  5. 前記特性計測工程が、前記基板上に光学薄膜の一層が成膜されて積層される毎に行われることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光学薄膜成膜方法。
  6. 前記特性計測工程が、前記基板上に光学薄膜の複数層が成膜された光学薄膜に対して行われることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光学薄膜成膜方法。
  7. 前記エッチング工程が、Ar、NもしくはOまたはArとOとの混合ガスによるイオンを照射することにより、光学薄膜を選択的にエッチングすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光学薄膜成膜方法。
  8. 前記エッチング工程が、オゾン雰囲気中でAr、NもしくはOまたはArとOとの混合ガスによるイオンを照射することにより、光学薄膜の層をエッチングすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光学薄膜成膜方法。
  9. 前記エッチング工程が、前記基板に直接RF電圧,DC電圧またはAC電圧をかけてスパッタすることにより光学薄膜の層をエッチングすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光学薄膜成膜方法。
  10. 前記エッチング工程と同時またはその直後に、前記基板上に成膜された光学薄膜を酸素プラズマにさらす、もしくは酸素を導入しながら加熱することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の光学薄膜成膜方法。
  11. 請求項3から請求項10のいずれか1項に記載の光学薄膜成膜方法により、前記基板上に光学薄膜が成膜されて作製されることを特徴とする光学素子。

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