JP2010039478A - ワイヤグリッド偏光板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法は、表面に格子状凸部を有する基材フィルムがロール状に巻かれてなる原反ロールから、搬送用ロールを介して前記基材フィルムを巻取ロールに搬送する間に前記基材フィルム内の有効製品部に金属を被着するロール・ツー・ロール方式のワイヤグリッド偏光板の製造方法であって、前記基材フィルム内の有効製品部に金属が最も多く被着されている部分の金属被着量をdMAXとし、前記基材フィルム内の有効製品部に金属が最も少なく被着されている部分の金属被着量をdMINとしたときに、(dMAX−dMIN)/(dMAX+dMIN)で定義される数値δが、δ<0.15を満たすことを特徴とする。
【選択図】図3
Description
図1は、本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の製造方法で得られるワイヤグリッド偏光板の一部を示す概略断面図である。このワイヤグリッド偏光板は、表面に格子状凸部1aを有する基材1と、基材1上に設けられた誘電体層2と、誘電体層2上に立設された金属ワイヤ3とから主に構成されている。なお、誘電体層2は必ずしも設けなくても良い。
(1)原反ロールの搬送方向における開始線から終了線
蒸着開始後、前記基材フィルムの搬送方向と直交する方向(幅方向)のいずれかの部位において前記dMAXの95%の量の金属の被着が確認された位置を、搬送方向の開始線とし、蒸着終了直前に幅方向のあらゆる部位において金属の被着量が前記dMAXの95%を下回る位置を、搬送方向の終了線とする。
ワイヤグリッド偏光板の製造方法においては、前記金属の被着は、金属供給源と前記基材フィルムとの間に配置された、前記金属を通過させる開口部を有するマスク部材を介して行われるが、前記基材フィルムの搬送方向と略直交する方向(幅方向)のマスクで完全に遮蔽されるフィルム端部には金属が被着されず、またマスク端部の近傍の被着量は少ない。基材フィルムの2端部それぞれから幅方向に向けて金属の被着量を測っていった際に、前記dMAXの90%の量の金属の被着が確認された位置からフィルム搬送方向に直線を引いたとき、2つの直線に囲まれた範囲を有効範囲とする。
中でも透過率、偏光度の均一性を考慮すると、δ≦0.10を満たすことが好ましく、δ≦0.05を満たすことがより好ましい。
(格子状凸部を有する樹脂基材の作製)
・凹凸格子形状が転写されたCOP板の作製
ピッチが230nmで、凹凸格子の高さが230nmである凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパを準備した。この凹凸格子は、レーザ干渉露光法を用いたパターニングにより作製されたものであり、その断面形状は正弦波状で、上面からの形状は縞状格子形状であった。また、その平面寸法は縦横ともに500mmであった。このニッケルスタンパを用いて、熱プレス法により厚さ0.5mm、縦横がそれぞれ520mmのシクロオレフィン樹脂(以下、COPと略す)板の表面に凹凸格子形状を転写し、凹凸格子形状を転写したCOP板を作製した。
次いで、この凹凸格子形状が転写されたCOP板を520mm×460mmの長方形に切り出し、被延伸部材としての延伸用COP板とした。このとき、520mm×460mmの長手方向(520mm)と凹凸格子の長手方向とが互いに略平行になるように切り出した。
得られた、140nmピッチの延伸済みCOP板表面に、それぞれ導電化処理として金をスパッタリングにより30nm被覆した後、それぞれニッケルを電気メッキし、厚さ0.3mm、縦300mm、横180mmの微細凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパを作製した。
同様にしてニッケルスタンパを計2枚作成し、2枚のスタンパを溶接により円形に接合し、ロールスタンパとした。この際、接合は微細凹凸格子の長手方向とロールスタンパの円周方向が直交する向きで行った。
厚み0.08mm、幅250mmのトリアセチルセルロースフィルム(以下、TACフィルム)のロール(フィルム長250m)をほどきながら、連続的に紫外線硬化性樹脂を幅200mm、厚み0.01mm塗布し、塗布面を上記140nmピッチの微細凹凸格子を表面に有するロールスタンパ上に接触させ、フィルム側から中心波長365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cm2照射し、ロールスタンパの微細凹凸格子を連続的に転写した後、ロール状に巻き取った。以下、このロールを原反ロールと呼ぶことにする。得られた格子状凸部転写フィルムをFE−SEMにより観察し、その断面形状が正弦波状で、上面からの形状が縞状格子状となっていることを確認した。また、上記の方向でスタンパを接合しているため、格子状凸部はTACフィルムの幅方向に連続して延在しており、基材フィルム6の搬送方向との間のなす角は実質的に90°であった。
・原反ロールの乾燥
以上のようにして得られた原反ロールに含まれる水分を乾燥するために、原反ロールを200Wの赤外線ヒーターが3台設けられた真空槽に移し、フィルムを真空中でほどきながら2m/分で走行させ、加熱後、ロール状に巻き取った。フィルム走行停止時の真空度は0.03Pa、フィルム走行中(乾燥中)の真空度は0.15Paであった。また、ヒーター通過後のフィルムの表面温度を知るためにフィルム上には予めサーモラベルを貼っておいた。ヒーター通過後のフィルムの表面温度は60℃から70℃の間であった。
乾燥後の原反ロールを乾燥機の真空槽中に12時間放置したところ、フィルムの温度は23℃まで下がった。その後、原反ロールを誘電体形成及び金属ワイヤ形成用の真空チャンバへ移した。その際、フィルムの格子状凸部が設けられている面と反対側の面がフィルム搬送用ロール(メインローラー)と接するように通紙した。誘電体形成には反応性ACマグネトロンスパッタリング法を用いた。ターゲットサイズ127mm×750mm×10mmtのシリコンターゲットを2枚並べ、基板〜ターゲット距離(TS)80mm、アルゴンガス流量200sccm、窒素ガス流量300sccm、出力11kW、周波数37.5kHz、走行速度5m/分で原反ロールをほどきながらフィルム搬送用ロールで巻取ロール側に送りながら窒化珪素層を設け、その後ロール状に巻き取った。スパッタリングの際の張力は30N、メインローラー温度は30℃、スパッタリング開始前のバックグラウンドの真空度は0.005Pa、スパッタリング中の真空度は0.38Paであった。同じ条件でSiチップに窒化珪素を成膜し、エリプソメーターにて窒化珪素層の厚みを算出したところ、3nmであった。
原反ロールの格子状凸部転写面に誘電体層として窒化珪素をスパッタリング法にて形成した後、フィルムをスパッタリング時と逆方向にメインローラーで送り、抵抗加熱式真空蒸着法にて金属ワイヤを形成し、ロール状に巻き取った。本実施例では、金属としてアルミニウム(Al)を用いた場合について説明する。
このとき、
TS/W1=400/190=2.105>0.25
TS/L=400/150=2.67>1
N=7>(W1/TS)×4=(190/400)×4=1.9
W2(355)>W1(190)
であった。
ボート(るつぼ)の中心部とマスク開口部の中心部の距離(TS)を100mmとし、アルミニウムワイヤの送り速度を115mm/分とした以外は実施例1と同様の条件でアルミニウム蒸着を行った。このとき、
TS/W1=100/190=0.52
TS/L=100/150=0.67
N=7<(W1/TS)×4=(190/100)×4=7.6
W2(355)>W1(190)
実施例1、比較例1それぞれについて、長手方向および幅方向各点のアルミニウム被着量を測定するために、原反フィルムを50mおきに50mmの短冊状に切り出し、さらに幅方向に30mmおきにサンプルを切り出し、50mm×30mmの小片とした。その後蛍光X線の発光強度よりアルミニウムの被着量を測定した。実施例1、比較例1それぞれの測定結果を図7、図8に示す。なお、図7、図8に示す被着量は平滑面にアルミニウムの平膜を堆積させたときの厚みである。ここで、原反フィルムにアルミニウムが最も多く被着されている部分の被着量をdMAX、原反フィルムにアルミニウムが最も少なく被着されている部分の被着量をdMINとしたときに、(dMAX−dMIN)/(dMAX+dMIN)で定義される数値δは、実施例が0.05であり、比較例が0.16であった。なお、平滑面、凹凸格子いずれでも、同量のアルミニウムが被着されていれば、蛍光X線の発光強度は同じであった。その後、蛍光X線にてアルミニウムの被着量を測定した小片を、0.5重量%のNaOHaq槽内に65秒間浸漬させ、次いで水洗・風乾して、目的とするワイヤグリッドフィルムを得た。
以上のようにして得られたワイヤグリッドフィルムの透過率、偏光度を測定した。実施例1の透過率を図9に示し、比較例1の透過率を図10に示し、実施例1の偏光度を図11に示し、比較例1の偏光度を図12に示す。これらの図から分かるように、実施例1の方法で得られたワイヤグリッド偏光板では、全測定箇所で透過率は40%〜43%、偏光度は99.8以上であり、ばらつきが非常に小さかったのに対して、比較例1の方法で得られたワイヤグリッド偏光板では、透過率が35%〜45%、偏光度が99.99〜98.50とばらつきが大きかった。
1a 格子状凸部
2 誘電体層
3,3a 金属ワイヤ
4 影部
5 原反ロール
6 基材フィルム
7 搬送用ロール
8 巻取ロール
9 マスク開口部
10 マスク
11 金属供給源(蒸着ボート(るつぼ))
12 搬送用ロールの中心
D 被着開始点
S 被着終了点
Claims (7)
- 表面に格子状凸部を有する基材フィルムがロール状に巻かれてなる原反ロールから、搬送用ロールを介して前記基材フィルムを巻取ロールに搬送する間に前記基材フィルム内の有効製品部に金属を被着するロール・ツー・ロール方式のワイヤグリッド偏光板の製造方法であって、前記基材フィルム内の有効製品部に金属が最も多く被着されている部分の金属被着量をdMAXとし、前記基材フィルム内の有効製品部に金属が最も少なく被着されている部分の金属被着量をdMINとしたときに、(dMAX−dMIN)/(dMAX+dMIN)で定義される数値δが、δ<0.15を満たすことを特徴とするワイヤグリッド偏光板の製造方法。
- 前記金属の被着は、金属供給源と前記基材フィルムとの間に配置され、前記金属を通過させる開口部を有するマスク部材を介して行われ、前記金属供給源と前記開口部との間の距離をTSとし、前記基材フィルムの搬送方向と略直交する方向における前記開口部の幅をW1としたときに、TS/W1>0.25を満たすことを特徴とする請求項1記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
- 前記金属供給源は、それぞれ前記基材フィルムの搬送方向と略平行な方向を長手方向として並設する複数の長尺部材で構成されており、前記長尺部材の長さをLとしたときに、TS/L>1を満たすことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
- 前記金属供給源における前記基材フィルムの搬送方向と略直交する方向の長さをW2としたときに、W2>W1を満たすことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
- 前記金属を被着する方法が抵抗加熱式真空蒸着方法であり、前記長尺部材が蒸着ボート(るつぼ)であり、前記蒸着ボート(るつぼ)の数をNとしたときに、N>(W1/TS)×4を満たすことを特徴する請求項1から請求項4のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
- 前記格子状凸部が前記基材フィルムの幅方向に連続して延在しており、前記格子状凸部の延在方向と前記基材フィルムの搬送方向との間のなす角が30°以上90°以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
- 表面に格子状凸部を有する基材フィルム内の有効製品部に金属が最も多く被着されている部分の金属被着量をdMAXとし、前記基材フィルム内の有効製品部に金属が最も少なく被着されている部分の金属被着量をdMINとしたときに、(dMAX−dMIN)/(dMAX+dMIN)で定義される数値δが、δ<0.15を満たすことを特徴とするワイヤグリッド偏光板。
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