JP5227692B2 - ワイヤグリッド偏光板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、格子状凸部を有するワイヤグリッド偏光板の製造方法に関する。
近年のフォトリソグラフィー技術の発達により、光の波長レベルのピッチを有する微細構造パターンを形成することができるようになってきた。このように非常に狭いピッチのパターンを有する部材や製品は、半導体分野だけでなく、光学分野において利用範囲が広く有用である。
例えば、基板上に金属などの導電体線が特定のピッチで格子状に配列したワイヤグリッドは、そのピッチが入射光(例えば、可視光の波長400nmから800nm)に比べてかなり小さい場合(例えば、2分の1以下)であれば、導電体線に対して平行に振動する電場ベクトル成分をほとんど反射し、垂直な電場ベクトル成分をほとんど透過させるため、単一偏光を作り出すワイヤグリッド偏光板として使用できる。このようなワイヤグリッド偏光板は、透過しない光を反射して再利用することができるので、光の有効利用の観点からも望ましいものである。
従来、このようなワイヤグリッド偏光板は、例えば、特許文献1に開示されているように、凹凸格子を有する基材に対して斜め蒸着法を用いて金属を被着することにより製造していた。
特開2006−201782号公報
凹凸格子を有する基材に対して斜め蒸着法を用いて金属を被着するワイヤグリッド偏光板の製造方法においては、蒸着の際の熱の影響や、雰囲気温度とロール温度の差などによる基材フィルムの変形が大きく、光学特性のバラツキの一因となっていた。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、光学特性のバラツキの小さいワイヤグリッド偏光板を得ることができるワイヤグリッド偏光板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法は、表面に格子状凸部を有する基材フィルムがロール状に巻かれてなる原反ロールから、搬送用ロールを介して前記基材フィルムを巻取ロールに送りながら、加熱及び減圧条件下で前記格子状凸部上に誘電体層を形成して前記基材フィルムを巻取ロールに巻き取る誘電体層形成工程と、前記基材フィルムを、前記誘電体層形成工程における方向と逆方向に前記搬送用ロールを介して送りながら、加熱及び減圧条件下で前記誘電体層上に金属を被着する金属被着工程と、を含むロール・ツー・ロール方式により得られるワイヤグリッド偏光板の製造方法であって、前記金属被着工程において、前記原反ロールの基材フィルムの温度をT1、前記搬送用ロールの温度をT2としたときに、前記基材フィルムの温度がT1からT2へ変化した際の、搬送方向と直交する方向の寸法変化率が±0.04%の範囲内であることを特徴とする。
本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法においては、前記基材フィルムの幅をW(mm)とし、前記基材フィルムの走行時の張力をF(N)としたときに、Fを前記フィルムの幅Wで除した値(F/W)が0.25以下であることが好ましい
本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法においては、T2−T1が±40℃の範囲内であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法によれば、表面に格子状凸部を有する基材フィルムがロール状に巻かれてなる原反ロールから、搬送用ロールを介して前記基材フィルムを巻取ロールに送りながら、加熱及び減圧条件下で前記格子状凸部上に誘電体層を形成して前記基材フィルムを巻取ロールに巻き取る誘電体層形成工程と、前記基材フィルムを、前記誘電体層形成工程における方向と逆方向に前記搬送用ロールを介して送りながら、加熱及び減圧条件下で前記誘電体層上に金属を被着する金属被着工程と、を含むロール・ツー・ロール方式により得られるワイヤグリッド偏光板の製造方法であって、金属被着中において、前記基材フィルムの温度をT1、前記搬送用ロールの温度をT2としたときに、前記基材フィルムの温度がT1からT2へ変化した際の、搬送方向と直交する方向の寸法変化率が±0.04%の範囲内であるので、光学特性のバラツキの小さいワイヤグリッド偏光板を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の製造方法で得られるワイヤグリッド偏光板の一部を示す概略断面図である。このワイヤグリッド偏光板は、表面に格子状凸部1aを有する基材1と、基材1上に設けられた誘電体層2と、誘電体層2上に立設された金属ワイヤ3とから主に構成されている。なお、誘電体層2は必ずしも設けなくても良い。
基材1に用いる材料は、後述のロール・ツー・ロール方式のワイヤグリッド偏光板の製造方法において、原反フィルムの温度をT1とし、前記搬送用ロールの温度をT2としたときに、フィルム温度がT1からT2へと変化した際の、基材の搬送方向と直交する方向の寸法変化率が±0.04%の範囲内であり、可視光領域で実質的に透明な樹脂であり、加工性の優れた樹脂であることが好ましい。
例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。また、基材1として、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂と、ガラスなどの無機基板、上記熱可塑性樹脂、トリアセテート樹脂とを組み合わせた複合基材を用いても良い。
基材1の格子状凸部1aのピッチPは、可視光領域の広帯域にわたる偏光特性を考慮すると、150nm以下であり、好ましくは80nmから120nmである。ピッチが小さくなるほど偏光特性が良くなるが、可視光に対しては80nmから120nmのピッチで十分な偏光特性が得られる。400nm近傍の短波長光の偏光特性を重視しない場合は、ピッチを150nm程度まで大きくしても良い。
格子状凸部1aのピッチPは、熱可塑性樹脂を基材1に用いた場合、基材1に格子状凸部形状を付与した後に施す延伸加工の条件を調整することにより制御することができる。なお、本発明において、基材1の格子状凸部1aのピッチPと、誘電体層2のピッチと、金属ワイヤ3のピッチとは、本発明のワイヤグリッドのピッチとほぼ等しく、同じピッチPをとることができる。なお、誘電体層2は必ずしも設けなくても良い。
基材1の格子状凸部1aの高さHは、良好な光学特性を得たり、基材1と誘電体層2との間の密着性を高め、誘電体層2を格子状凸部1a上に選択的に積層することを考慮すると、格子状凸部1aのピッチPの0.5倍から2.0倍、特に、1.0倍から2.0倍であることが好ましい。
基材1の格子状凸部1aの幅Wは、偏光度、透過率などを考慮すると、格子状凸部間の35%〜60%であることが好ましい。なお、基材1の格子状凸部1aの断面形状に制限はない。
基材1に格子状凸部を設ける方法としては、例えば、表面に100nm〜100μmピッチの凹凸格子を有する被延伸部材を、前記凹凸格子の長手方向(格子状凸部の格子と平行な方向)と略直交する方向の前記被延伸部材の幅を自由にした状態で前記長手方向と略平行な方向に自由端一軸延伸加工する方法が挙げられる。この結果、前記被延伸部材の凹凸格子の凸部のピッチが縮小され、ピッチが約120nm以下の格子状凸部を有する基材(延伸済み部材)が得られる。格子状凸部のピッチは、100nm〜100μmの範囲に設定するが、要求する格子状凸部のピッチや延伸倍率に応じて適宜変更することができる。
また、表面に100nm〜100μmピッチの凹凸格子を有する被延伸部材を得るには、レーザ光を用いた干渉露光法や切削法などで形成した、100nm〜100μmピッチの凹凸格子を有する型を用いて、被延伸部材にその凹凸格子形状を熱プレスなどの方法で転写すれば良い。なお、干渉露光法とは、特定の波長のレーザ光を角度θ’の2つの方向から照射して形成される干渉縞を利用した露光法であり、角度θ’を変化させることで使用するレーザの波長で制限される範囲内で色々なピッチを有する凹凸格子の構造を得ることができる。干渉露光に使用できるレーザとしては、TEM00モードのレーザに限定され、TEM00モードのレーザ発振できる紫外光レーザとしては、アルゴンレーザ(波長364nm,351nm,333nm)や、YAGレーザの4倍波(波長266nm)などが挙げられる。
あるいは、基材1に格子状凸部を設ける方法としては、表面にピッチが120nm以下の格子状凸部を有する型を用いて、基材の表面に格子状凸部を転写して成型する方法が挙げられる。ここで、表面にピッチが120nm以下の格子状凸部を有する型は、前記方法により得た、ピッチが120nm以下の格子状凸部を有する基材を、順に導電化処理、メッキ処理、基材の除去処理を施すことで作製することができる。
誘電体層2を構成する誘電体は、可視光領域で実質的に透明な誘電体であれば良い。基材1を構成する材料及び金属ワイヤ3を構成する金属との間の密着性が強い誘電体材料を好適に用いることができる。例えば、珪素(Si)の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はその複合物や、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、ジルコニア(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、銅(Cu)などの金属の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はそれらの複合物(誘電体単体に他の元素、単体又は化合物が混ざった誘電体)を用いることができる。
誘電体層2を、格子状凸部1aを有する基材1の格子状凸部を含んだ領域上に形成する方法としては、誘電体層2を構成する材料により適宜選択する。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。密着強度の観点からスパッタリング法が好ましい。
金属ワイヤ3を構成する金属としては、可視光領域で光の反射率が高く、誘電体層2を構成する材料との間の密着性のよいものであることが好ましい。例えば、アルミニウム(Al)、銀又はそれらの合金で構成されていることが好ましい。コストの観点から、Al又はその合金で構成されていることがさらに好ましい。
金属ワイヤ3を形成するために金属を基材1又は誘電体層2上に被着する方法としては、基材1又は誘電体層2を構成する材料と金属ワイヤ3とを構成する金属との間で十分な密着性が得られる方法であれば特に限定されない。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。中でも、金属を誘電体層2の凸部に選択的に、又は誘電体層2の凸部の一方の側面に偏って選択積層できるような方法が好ましい。そのような方法として、例えば、真空蒸着法が挙げられる。
本発明の方法においては、必要に応じて、例えば酸又はアルカリのエッチャントを用いて湿式エッチングを行って、格子状凸部間の凹部領域に付着した金属を除去したり、金属ワイヤの凸部同士の接触を解消したり、金属ワイヤの断面形状を前記適正範囲に修正するようにしても良い。
本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法においては、基材1の表面に設けられた格子状凸部1aに対して、前記格子状凸部1aの立設方向(図2における破線)と金属を被着する方向(図2における実線)との間のなす角をθとし、被着開始時の前記なす角をθとし、被着終了時の前記なす角をθとしたときに、θからθとの間の角度範囲において相対的に大きい方の角度から順次金属を被着し、相対的に小さい方の角度からの蒸着量が相対的に大きい方からの蒸着量よりも多いように制御して格子状凸部1a上に金属ワイヤ3aを形成する。図2において、参照符号4は、金属ワイヤ3aが存在することにより金属が被着されない影部を示す。
本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法においては、例えば、図3に示すような装置を用いて金属の被着(蒸着)を行う。図3に示す装置は、表面に格子状凸部を有する基材フィルム6がロール状に巻かれてなる原反ロール5から、搬送用ロール7を介して前記基材フィルム6を巻取ロール8に搬送する装置であり、原反ロール5から基材フィルム6を巻取ロール8に搬送する間に前記基材フィルム6に金属を被着する。すなわち、本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法は、ロール・ツー・ロール方式の方法である。なお、これらの金属被着は、所定の真空度を持つ真空槽(図示せず)内で行われる。
図3に示すような装置において、搬送用ロール7が矢印の方向に回転することにより、原反ロールから基材フィルム6が引き出され巻取ロール8で巻き取るようになっている。搬送用ロール7の下方(蒸着ボート11と基材フィルム6との間)には、開口部9を有するマスク10が配設されており、金属供給源である蒸着ボート11からの金属は、マスク10の開口部9を通過して基材フィルム6に被着される。このとき、基材フィルム6の特定の部分は、マスク10の開口部9から蒸着ボート11に対して露出しているときに、金属が被着される。この被着開始時(マスク10の開口部9から初めて蒸着ボート11に対して露出した時)の格子状凸部1aの立設方向(図2における破線)と金属を被着する方向(図2における実線)との間のなす角がθであり、被着終了時(マスク10の開口部9から蒸着ボート11に対して露出した状態からマスク10で隠される直前)の前記なす角がθである。
このように、図3に示す装置において基材フィルム6に金属を被着する場合、基材フィルム6の温度をT1、搬送用ロール7の温度をT2としたときに、基材フィルム6の温度がT1からT2へ変化した際の、基材フィルム6の搬送方向と直交する方向(基材フィルムの幅方向)の加重をかけずに測った寸法変化率が±0.04%の範囲内となる温度域を選択することで、搬送用ロール7上でのフィルムのうねりやつっぱりが抑制され、金属が被着される角度及び膜厚がフィルム全面で安定する。温度域としては、0≦T1≦40、−50≦T2≦60としたとき、T2−T1が±40℃の範囲内にあることが好ましい。さらに、T2−T1が±10℃の範囲内にあることがより好ましい。これにより、原反ロール全面での光学性能の分布が小さいワイヤグリッド偏光板を得ることができる。さらに、寸法変化率は、±0.01%の範囲内であることがより好ましい。
また、T1及びT2は基材フィルム6のガラス転移点(Tg)以下であることが好ましい。
この方法においては、搬送用ロール7上でのうねりやつっぱりを考慮すると、搬送方向と直交する方向の基材フィルム6の幅をW(mm)とし、フィルム走行時の張力をF(N)としたときに、F/W<0.25を満たすことが好ましい。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
(格子状凸部を有する樹脂基材の作製)
・凹凸格子形状が転写されたCOP板の作製
ピッチが230nmで、凹凸格子の高さが230nmである凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパを準備した。この凹凸格子は、レーザ干渉露光法を用いたパターニングにより作製されたものであり、その断面形状は正弦波状で、上面からの形状は縞状格子形状であった。また、その平面寸法は縦横ともに500mmであった。このニッケルスタンパを用いて、熱プレス法により厚さ0.5mm、縦横がそれぞれ520mmのシクロオレフィン樹脂(以下、COPと略す)板の表面に凹凸格子形状を転写し、凹凸格子形状を転写したCOP板を作製した。
・延伸によるピッチの縮小
次いで、この凹凸格子形状が転写されたCOP板を520mm×460mmの長方形に切り出し、被延伸部材としての延伸用COP板とした。このとき、520mm×460mmの長手方向(520mm)と凹凸格子の立設方向とが互いに略平行になるように切り出した。
次いで、この延伸用COP板の表面に、スプレーによりシリコーンオイルを塗布し、約80℃の循環式空気オーブン中に30分放置した。次いで、延伸用COP板の長手方向の両端10mmを延伸機のチャックで固定し、その状態で113±1℃に温度調節された循環式空気オーブン中に延伸用COP板を10分間放置した。その後、250mm/分の速度でチャック間の距離が2.7倍延伸したところで延伸を終え、20秒後に延伸したCOP板(延伸済みCOP板)を室温雰囲気下に取り出し、チャック間の距離を維持したまま冷却した。この延伸済みCOP板の中央部分約40%は、ほぼ均一にくびれており、最も幅が縮小されている部分は280mmになっていた。
この延伸済みCOP板の表面と断面を、電界放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)にて観察したところ、微細凹凸格子のピッチと高さがそれぞれ、140nm/130nm(ピッチ/高さ)であり、その断面形状が正弦波状で、上面からの形状が縞状格子状となっており、実質的に延伸前の凹凸格子形状と相似で縮小されていたことが分かった。
・ニッケルスタンパ作製
得られた、140nmピッチの延伸済みCOP板表面に、それぞれ導電化処理として金をスパッタリングにより30nm被覆した後、それぞれニッケルを電気メッキし、厚さ0.3mm、縦300mm、横180mmの微細凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパを作製した。
・ロールスタンパ作製
同様にしてニッケルスタンパを計2枚作製し、2枚のスタンパを溶接により円形に接合し、ロールスタンパとした。この際、接合は微細凹凸格子の長手方向とロールスタンパの円周方向が直交する向きで行った。
・格子状凸部転写フィルムロールの作製
厚み0.08mmのトリアセチルセルロースフィルム(以下、TACフィルム)のロール(フィルム長250m)に連続的に紫外線硬化性樹脂を約0.01mm塗布し、塗布面を上記140nmピッチの微細凹凸格子を表面に有するロールスタンパ上に接触させ、フィルム側から中心波長365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cm照射し、ロールスタンパの微細凹凸格子を連続的に転写した後、ロール状に巻き取った。以下、このロールを原反ロールと呼ぶことにする。得られた格子状凸部転写フィルムをFE−SEMにより観察し、その断面形状が正弦波状で、上面からの形状が縞状格子状となっていることを確認した。
(ワイヤグリッド偏光板の作製)
・原反ロールの乾燥
以上のようにして得られた原反ロールに含まれる水分を乾燥するために、原反ロールを200Wの赤外線ヒーターが3台設けられた真空槽に移し、フィルムを真空中でほどきながら2m/分で走行させ、加熱後、ロール状に巻き取った。フィルム走行停止時の真空度は0.03Pa、フィルム走行中(乾燥中)の真空度は0.15Paであった。また、ヒーター通過後のTACフィルムの表面温度を知るためにTACフィルム上には予めサーモラベルを貼っておいた。ヒーター通過後のTACフィルムの表面温度は60℃から70℃の間であった。
・スパッタリング法を用いた誘電体層の形成
乾燥後の原反ロールを乾燥機の真空槽中に12時間放置したところ、フィルムの温度は23℃まで下がった。その後、原反ロールの格子状凸部転写面を誘電体形成及び金属ワイヤ形成用の真空チャンバへ移した。誘電体形成には反応性ACマグネトロンスパッタリング法を用いた。ターゲットサイズ127mm×750mm×10mmtのシリコンターゲットを2枚並べ、基板〜ターゲット距離80mm、アルゴンガス流量200sccm、窒素ガス流量300sccm、出力11kW、周波数37.5kHz、走行速度5m/分で原反ロールをほどきながらフィルム搬送用ロール(メインローラー)で巻取ロール側に送りながら窒化珪素層を設け、その後ロール状に巻き取った。スパッタリングの際の張力は30N、メインローラー温度は30℃、スパッタリング開始前のバックグラウンドの真空度は0.005Pa、スパッタリング中の真空度は0.38Paであった。同じ条件でSiチップに窒化珪素を成膜し、エリプソメーターにて窒化珪素層の厚みを算出したところ、3nmであった。スパッタリング終了後、赤外線温度計で原反ロールの温度を測定したところ、24℃であった。
(実施例)
原反ロールの格子状凸部転写面に誘電体層として窒化珪素をスパッタリング法にて形成した後、フィルムをスパッタリング時と逆方向にメインローラーで送り、抵抗加熱蒸着法にて金属ワイヤを形成し、ロール状に巻き取った。本実施例では、金属としてアルミニウム(Al)を用いた場合について説明する。このとき、アルミニウムの蒸着には斜め蒸着法を用い、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線蒸着源とのなす角が32°(θ)からはじまり15°(θ)で終わるようにマスクを配置して行った。マスクの開口幅は60mm、マスク開口部の中心と蒸着ボートとの距離は400mmであった。蒸着ボート加熱前の真空度は0.005Paであった。張力は30N、メインローラーの温度は30℃とした。以上のような条件にて、フィルム送り速度3.5m/分で格子状凸部転写フィルムを走行させながら、加熱されたボート上に純度99.9%以上、線径1.7mmのアルミワイヤを送り速度200mm/分でフィードし、アルミニウムを蒸着した。蒸着中の真空度は0.007Paであった。また、搬送方向と直交する方向の基材フィルムの幅がW(mm)であり、フィルム走行時の張力をF(N)であるので、F/Wは0.13であった。
(比較例)
メインローラーの温度を−30℃とした以外は実施例と同じ条件でアルミニウム蒸着を行った。また、搬送方向と直交する方向の基材フィルムの幅がW(mm)であり、フィルム走行時の張力をF(N)であるので、F/Wは0.13であった。
(アルミニウムの膜厚測定)
実施例、比較例のそれぞれのワイヤグリッド偏光板について、蒸着後期のフィルム部を切り出し、アルミニウムの膜厚を蛍光X線の発光強度より換算したところ、ともに130nmであった。
(アルミニウムのエッチング)
実施例及び比較例に記載された方法で作製された、窒化珪素及びアルミニウムが成膜された格子状凸部転写フィルムロールを、フィルムをほどきながら温度23℃の0.5重量%のNaOHaq槽内を65秒間走行させ、次いで、これを水洗・風乾し、目的とするワイヤグリッドフィルムのロールを得た。
(TMAによる寸法変化率の測定)
実施例及び比較例に用いたTACフィルムを搬送方向、及び搬送方向と直行する方向に幅3mm、長さ10mmに切り出し、実施例、比較例に記載した温度変化に対する寸法変化率をTMAにて測定した。実施例と同じ加重をかけた状態(F/W=0.13⇔加重38.75gf)において、24℃から30℃に変化させた際の、基材フィルムの搬送方向の寸法変化率を測定したところ0.005%であった。同様に、比較例と同じ加重下(F/W=0.13⇔加重38.75gf)において、24℃から−30℃における基材フィルムの寸法変化率をTMAにより測定したところ、基材フィルムの搬送方向の寸法変化率は−0.07%であった。
幅方向の寸法変化率は、引っ張りの力による変形の影響を極力抑えるために、装置の最低加重(0.4gf⇔F/W=0.0013)にて測定した。24℃から30℃に変化させた際の、幅方向の寸法変化率は0.004%(実施例)であった。また、24℃から―30℃に変化させた際の、幅方向の寸法変化率は−0.1%であった(比較例)。
(外観の評価)
実施例及び比較例で得られたワイヤグリッドフィルムを長手方向50cm単位で裁断し、20枚おきに白色バックライト上に置き、外観を観察した。実施例のワイヤグリッドフィルムでは全てのサンプルで外観が均一であったのに対し、比較例のワイヤグリッドフィルムは全てのサンプルで影模様が観察された。
(光学性能の評価)
実施例及び比較例ワイヤグリッドフィルムの100m地点を150mm×150mmの大きさに切り出し、幅方向30mmおき、長手方向30mmおき、計25点の透過率、偏光度を測定した。図4及び図5にそれぞれ実施例及び比較例の透過率の分布を示す。図4及び図5から分かるように、実施例では透過率が40%〜42%の範囲で分布しているのに対し、比較例では透過率の分布が38%〜42%であり比較的広い。図5において透過率が低い値を示した部分は、外観評価の項目で記載した影模様と対応していた。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態においては、基材フィルム上に誘電体層を介して金属ワイヤを形成してなるワイヤグリッド偏光板について説明しているが、本発明はこれに限定されず、基材フィルム上に直接金属ワイヤを形成してなるワイヤグリッド偏光板についても同様に適用することができる。また、上記実施の形態における材質、数量などについては一例であり、適宜変更することができる。その他、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。
本発明の実施の形態に係る真空蒸着装置を用いて得られたワイヤグリッド偏光板の一部を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の製造の原理を説明するための図である。 本発明の実施の形態に係る真空蒸着装置を説明するための図である。 実施例のワイヤグリッド偏光板の透過率測定結果である。 比較例のワイヤグリッド偏光板の透過率測定結果である。
符号の説明
1 基材
1a 格子状凸部
2 誘電体層
3,3a 金属ワイヤ
4 影部
5 原反フィルム
6 基材フィルム
7 搬送用ロール
8 巻取ロール
9 マスク開口部
10 マスク
11 金属供給源(蒸着ボード)

Claims (3)

  1. 表面に格子状凸部を有する基材フィルムがロール状に巻かれてなる原反ロールから、搬送用ロールを介して前記基材フィルムを巻取ロールに送りながら、加熱及び減圧条件下で前記格子状凸部上に誘電体層を形成して前記基材フィルムを巻取ロールに巻き取る誘電体層形成工程と、前記基材フィルムを、前記誘電体層形成工程における方向と逆方向に前記搬送用ロールを介して送りながら、加熱及び減圧条件下で前記誘電体層上に金属を被着する金属被着工程と、を含むロール・ツー・ロール方式により得られるワイヤグリッド偏光板の製造方法であって、前記金属被着工程において、前記原反ロールの基材フィルムの温度をT1、前記搬送用ロールの温度をT2としたときに、前記基材フィルムの温度がT1からT2へ変化した際の、搬送方向と直交する方向の寸法変化率が±0.04%の範囲内であることを特徴とするワイヤグリッド偏光板の製造方法。
  2. 前記基材フィルムの幅をW(mm)とし、フィルム走行時の張力をF(N)としたときに、Fを前記フィルムの幅Wで除した値(F/W)が0.25以下であることを特徴とする請求項記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
  3. T2−T1が±40℃の範囲内であることを特徴とする請求項又は請求項記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
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