JP5069035B2 - ワイヤグリッド偏光板 - Google Patents

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本発明は、格子状凸部を有するワイヤグリッド偏光板に関する。
近年のフォトリソグラフィー技術の発達により、光の波長レベルのピッチを有する微細構造パターンを形成することができるようになってきた。このように非常に狭いピッチのパターンを有する部材や製品は、半導体分野だけでなく、光学分野において利用範囲が広く有用である。
例えば、基板上に金属などの導電体線が特定のピッチで格子状に配列したワイヤグリッドは、そのピッチが入射光(例えば、可視光の波長400nmから800nm)に比べてかなり小さい場合(例えば、2分の1以下)であれば、導電体線に対して平行に振動する電場ベクトル成分をほとんど反射し、垂直な電場ベクトル成分をほとんど透過させるため、単一偏光を作り出すワイヤグリッド偏光板として使用できる。このようなワイヤグリッド偏光板は、透過しない光を反射して再利用することができるので、光の有効利用の観点からも望ましいものである。このようなワイヤグリッド偏光板として、例えば、特許文献1に開示されているものがある。
特開2006−201782号公報
特許文献1に開示されたワイヤグリッド偏光板においては、金属ワイヤは、例えばアルミニウムなどの金属を真空蒸着などの方法で被着させて形成している。このような方法で金属ワイヤを形成する場合、金属ワイヤで構成されたグリッドのピッチが狭くなると、製造工程において金属ワイヤ同士が接触してしまう可能性が高くなる。金属ワイヤ同士が接触したワイヤグリッド偏光板は高い光学性能を発揮させることができないので、できるだけ金属ワイヤ同士の接触を抑制することが望まれる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、金属ワイヤ同士の接触を抑制して、高い光学性能を発揮することができるワイヤグリッド偏光板を提供することを目的とする。
本発明のワイヤグリッド偏光板は、表面に格子状凸部を有する基材と、前記格子状凸部を含む領域上に設けられた金属ワイヤと、を具備し、前記金属ワイヤは、平均粒子径が前記格子状凸部の半値幅を与える高さにおける格子状凸部間の間隔以下となるような、シリコン、マグネシウム、マンガン及び鉄からなる群より選ばれた少なくとも一つの元素を0.05重量%以上5重量%以下含む合金で構成されることを特徴とする。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記合金は、アルミニウム又は銀の合金であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記格子状凸部のピッチが150nm以下であり、前記合金の平均粒子径が前記ピッチ以下であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記格子状凸部の半値幅を与える高さにおける格子状凸部の間隔が80nm以下であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板によれば、表面に格子状凸部を有する基材と、前記格子
状凸部を含む領域上に設けられた金属ワイヤと、を具備し、前記金属ワイヤは、不純物を
含有させてなる合金で構成されており、前記合金は、その平均粒子径が前記格子状凸部の
半値幅を与える高さにおける格子状凸部の間隔以下となるような含有量の不純物を含み、前記不純物は、シリコン、マグネシウム、マンガン及び鉄からなる群より選ばれた少なくとも一つの元素であるので、金属ワイヤ同士の接触を抑制して、高い光学性能を発揮することができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の一部を示す断面図である。このワイヤグリッド偏光板は、表面に格子状凸部1aを有する基材1と、基材1上に設けられた誘電体層2と、誘電体層2上に立設された金属ワイヤ3とから主に構成されている。なお、誘電体層2は必ずしも設けなくても良い。
基材1に用いる素材は、可視光領域で実質的に透明な樹脂であればよく、加工性の優れた樹脂が好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。また、基材1として、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂と、ガラスなどの無機基板、上記熱可塑性樹脂、トリアセテート樹脂とを組み合わせた複合基材を用いても良い。
基材1の格子状凸部1aのピッチpは、可視光領域の広帯域にわたる偏光特性を考慮すると、150nm以下であり、好ましくは80nmから120nmである。ピッチpが小さくなるほど偏光特性が良くなるが、可視光に対しては80nmから120nmのピッチpで十分な偏光特性が得られる。400nm近傍の短波長光の偏光特性を重視しない場合は、ピッチpを150nm程度まで大きくしても良い。
格子状凸部1aのピッチpは、熱可塑性樹脂を基材1に用いた場合、基材1に格子状凸部形状を付与した後に施す延伸加工の条件を調整することにより制御することができる。なお、本発明において、基材1の格子状凸部1aのピッチpと、誘電体層2のピッチと、金属ワイヤ3のピッチとは、本発明のワイヤグリッドのピッチとほぼ等しく、同じピッチをとることができる。
基材1の格子状凸部1aの断面形状に制限はない。これらの断面形状は、例えば、台形、矩形、方形、プリズム状や、半円状などの正弦波状を挙げることができる。ここで、正弦波状とは凹部と凸部の繰り返しからなる曲線部をもつことを意味する。なお、曲線部は湾曲した曲線であればよく、例えば、凸部にくびれがある形状も正弦波状に含める。また、基材1の格子状凸部1a及びその側面の少なくとも一部を誘電体が覆いやすくする観点から、前記形状の端部又は頂点、谷は緩やかな曲率をもって湾曲していることが好ましい。また、基材1と誘電体層2との密着強度を高くする観点から、これらの断面形状は正弦波状であることがより好ましい。
基材1に格子状凸部を設ける方法としては、例えば、表面に100nm〜100μmピッチの凹凸格子を有する被延伸部材を、前記凹凸格子の長手方向(格子状凸部の格子と平行な方向)と略直交する方向の前記被延伸部材の幅を自由にした状態で前記長手方向と略平行な方向に自由端一軸延伸加工する方法が挙げられる。この結果、前記被延伸部材の凹凸格子の凸部のピッチが縮小され、ピッチが約120nm以下の格子状凸部を有する基材(延伸済み部材)が得られる。格子状凸部のピッチは、100nm〜100μmの範囲に設定するが、要求する格子状凸部のピッチや延伸倍率に応じて適宜変更することができる。
また、表面に100nm〜100μmピッチの凹凸格子を有する被延伸部材を得るには、レーザ光を用いた干渉露光法や切削法などで形成した、100nm〜100μmピッチの凹凸格子を有する型を用いて、被延伸部材にその凹凸格子形状を熱プレスなどの方法で転写すれば良い。なお、干渉露光法とは、特定の波長のレーザ光を角度θ’の2つの方向から照射して形成される干渉縞を利用した露光法であり、角度θ’を変化させることで使用するレーザの波長で制限される範囲内で色々なピッチを有する凹凸格子の構造を得ることができる。干渉露光に使用できるレーザとしては、TEM00モードのレーザに限定され、TEM00モードのレーザ発振できる紫外光レーザとしては、アルゴンレーザ(波長364nm,351nm,333nm)や、YAGレーザの4倍波(波長266nm)などが挙げられる。
あるいは、基材1に格子状凸部を設ける方法としては、表面にピッチが120nm以下の格子状凸部を有する型を用いて、基材の表面に格子状凸部を転写して成型する方法が挙げられる。ここで、表面にピッチが120nm以下の格子状凸部を有する型は、前記方法により得た、ピッチが120nm以下の格子状凸部を有する基材を、順に導電化処理、メッキ処理、基材の除去処理を施すことで作製することができる。
誘電体層2を構成する誘電体は、可視光領域で実質的に透明な誘電体であれば良い。基材1を構成する材料及び金属ワイヤ3を構成する金属との間の密着性が強い誘電体材料を好適に用いることができる。例えば、珪素(Si)の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はその複合物や、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、ジルコニア(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、銅(Cu)などの金属の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はそれらの複合物(誘電体単体に他の元素、単体又は化合物が混ざった誘電体)を用いることができる。
誘電体層2を、格子状凸部1aを有する基材1の格子状凸部を含んだ領域上に形成する方法としては、誘電体層2を構成する材料により適宜選択する。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。密着強度の観点からスパッタリング法が好ましい。
金属ワイヤ3を構成する金属としては、可視光領域で光の反射率が高く、誘電体層2を構成する材料との間の密着性のよいものであることが好ましい。例えば、アルミニウム(Al)や銀(Ag)の合金で構成されていることが好ましい。コストの観点から、Al合金で構成されていることがさらに好ましい。
100nmレベルのピッチを持つワイヤグリッド偏光板においては、金属ワイヤ形成工程における金属ワイヤ同士の接触や結合が問題となる。そこで、本発明者らは、微細なピッチを持つワイヤグリッドにおいて金属ワイヤ同士の接触や結合を防止するためには、粒子径が大きくなることを抑制する必要があることに着目し、金属ワイヤを構成する金属に不純物を含有させることにより、粒子径の成長を抑制して金属ワイヤ同士の接触や結合を防止することができることを見出し本発明をするに至った。
このように、金属ワイヤ3を構成する合金は所定の不純物を含む。このような不純物を含むことにより、金属ワイヤ3の形成において、誘電体層2上に被着したときに、不純物により粒子成長が妨げられ、粒子径が必要以上に大きくなることを抑制できる。このため、金属ワイヤ3の幅方向(水平方向)への粒子成長を抑えることができる。その結果、金属ワイヤ同士の接触や結合を防止することができる。
金属ワイヤ3を構成する合金に含まれる不純物の含有量は、合金の平均粒子径が格子状凸部1aの半値幅を与える高さにおける格子状凸部1a間の間隔(スペースs)以下となるように設定する。このように設定することにより、合金を被着する際に合金粒子の成長が抑制されて、金属ワイヤ同士の接触や結合を防止できる。したがって、合金における不純物の含有量は、ワイヤグリッド偏光板の金属ワイヤのピッチに応じて適宜設定する。なお、合金中の不純物の含有量は0.05重量%以上であることが好ましい。また、格子状凸部1aの半値幅を与える高さにおける格子状凸部1aの間隔は80nm以下であることが好ましい。
金属ワイヤ同士の接触や結合を防止するためには、格子状凸部のピッチと合金の平均粒子径との間の関係を適切に制御することが望ましい。例えば、格子状凸部のピッチが150nm以下である場合には、合金の平均粒子径は前記ピッチ以下であることが好ましい。したがって、このような関係を満足させるように、すなわち前記平均粒子径を実現できるように、合金における不純物の含有量を調整する。
合金に含まれる不純物としては、シリコン、マグネシウム、マンガン、及び鉄からなる群より選ばれた少なくとも一つの元素であることが好ましい。
金属ワイヤ3を形成するために金属を基材1又は誘電体層2上に被着する方法としては、基材1又は誘電体層2を構成する材料と金属ワイヤ3とを構成する金属との間で十分な密着性が得られる方法であれば特に限定されない。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。中でも、金属を誘電体層2の凸部に選択的に、又は誘電体層2の凸部の一方の側面に偏って選択積層できるような方法が好ましい。そのような方法として、例えば、真空蒸着法が挙げられる。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
(格子状凸部を有する基材の作製)
・凹凸格子形状が転写されたCOP板の作製
ピッチが230nmで、凹凸格子の高さが230nmである凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパを準備した。この凹凸格子は、レーザ干渉露光法を用いたパターニングにより作製されたものであり、その断面形状は正弦波状で、上面からの形状は縞状格子形状であった。また、その平面寸法は縦横ともに500mmであった。このニッケルスタンパを用いて、熱プレス法により厚さ0.5mm、縦横がそれぞれ520mmのシクロオレフィン樹脂(以下、COPと略す)板の表面に凹凸格子形状を転写し、凹凸格子形状を転写したCOP板を作製した。
・延伸によるピッチの縮小
次いで、この凹凸格子形状が転写されたCOP板を520mm×460mmの長方形に切り出し、被延伸部材としての延伸用COP板とした。このとき、520mm×460mmの長手方向(520mm)と凹凸格子の長手方向とが互いに略平行になるように切り出した。
次いで、この延伸用COP板の表面に、スプレーによりシリコーンオイルを塗布し、約80℃の循環式空気オーブン中に30分放置した。次いで、延伸用COP板の長手方向の両端10mmを延伸機のチャックで固定し、その状態で113±1℃に温度調節された循環式空気オーブン中に延伸用COP板を10分間放置した。その後、250mm/分の速度でチャック間の距離が5倍延伸したところで延伸を終え、20秒後に延伸したCOP板(延伸済みCOP板)を室温雰囲気下に取り出し、チャック間の距離を維持したまま冷却した。この延伸済みCOP板の中央部分約40%は、ほぼ均一にくびれており、最も幅が縮小されている部分は200mmになっていた。
この延伸済みCOP板の表面と断面を、電界放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)にて観察したところ、微細凹凸格子のピッチと高さがそれぞれ、100nm/95nm(ピッチ/高さ)であり、その断面形状が正弦波状で、上面からの形状が縞状格子状となっており、実質的に延伸前の凹凸格子形状と相似で縮小されていたことが分かった。
・ニッケルスタンパ作製
得られた、100nmピッチの延伸済みCOP板表面に、それぞれ導電化処理として金をスパッタリングにより30nm被覆した後、それぞれニッケルを電気メッキし、厚さ0.3mm、縦300mm、横180mmの微細凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパを作製した。
・紫外線硬化性樹脂を用いた格子状凸部転写フィルムの作製
厚み0.1mmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(以下、PETフィルム)に紫外線硬化性樹脂(スリーボンド社製TB3078D、屈折率1.41)を約0.03mm塗布し、塗布面を下にして上記100nmピッチの微細凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパ上に、それぞれ端部からニッケルスタンパとPETフィルムとの間に空気が入らないように載せ、PETフィルム側から中心波長365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cm2照射し、ニッケルスタンパの微細凹凸格子を転写した。続いて、ニッケルスタンパからPETフィルムを剥離した後、更に窒素雰囲気下でPETフィルムに紫外線を500mJ/cm2照射し、紫外線硬化性樹脂の未硬化成分を硬化させて、縦300mm、横180mmの格子状凸部転写フィルムを作製した。得られた格子状凸部転写フィルムをFE−SEMにより観察し、その断面形状が正弦波状で、上面からの形状が縞状格子状となっていることを確認した。
(ワイヤグリッド偏光板の作製:実施例1〜3)
・スパッタリング法を用いた誘電体層の形成
上記のように紫外線硬化性樹脂を用いて作製した格子状凸部転写フィルムに、スパッタリング法を用い誘電体を被覆した。本実施例では、誘電体として窒化珪素を用いた場合について説明する。Arガス圧力0.67Pa、スパッタリングパワー4W/cm2、被覆速度0.22nm/sにて誘電体の被覆を行った。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板への誘電体積層厚みが20nmとなるように成膜を行った。
・真空蒸着法を用いた金属の蒸着
格子状凸部転写フィルムに誘電体層を形成した後、電子ビーム真空蒸着法(EB蒸着法)を用いて金属ワイヤを形成した。本実施例では、金属としては、組成を変えたアルミニウム合金(Al合金)を用いた(実施例1〜実施例3)。真空度2.5×10-3Pa、蒸着速度4nm/s、基板温度は常温として蒸着を行った。層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なガラス基板を誘電体積層格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑基板へのAl蒸着厚みが200nmとなるように蒸着を行った。なお、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源とのなす角度θは20°とした。また、組成解析用のサンプルとして純度99.999%以上のFe基板も誘電体積層格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入した。また、比較のために、金属として99.999%の高純度アルミニウムを用いて蒸着を行った(比較例)。なお、使用したAl合金の重量比率は下記表1に示す。
・エッチングによる不要金属の除去
格子状凸部転写フィルムに誘電体及びAlを積層した後、フィルムを室温下の0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液中で、処理時間を30秒〜90秒の間において10秒間隔で変えながら洗浄(エッチング)し、すぐに水洗してエッチングを停止させた。フィルムを乾燥させてワイヤグリッド偏光板を得た。ワイヤグリッド偏光板の大きさは、縦300mm、横180mmであった。3種のワイヤグリッド偏光板の断面を、FE−SEMで観察し、格子状凸部の半値幅を与える高さにおける格子状凸部間の間隔(スペース)を調べた。その結果を下記表1に併記する。また、金属にAl合金を用いて得られたワイヤグリッド偏光板(実施例1〜実施例3)の代表的な表面のSEM像を図2(a)に示す。図2(a)から分かるように、金属ワイヤ間の接触や結合は存在していなかった。一方、金属に純アルミニウムを用いて得られたワイヤグリッド偏光板(比較例)の代表的な表面のSEM像を図2(b)に示す。図2(b)から分かるように、金属ワイヤ間の接触や結合が存在していた。
・蛍光X線による組成解析
Fe基板上のAl合金膜の組成を蛍光X線により定量した。その結果、Al/Si合金(実施例1)では、Al/Si=99.5重量%/0.5重量%であり、Al/Mg合金(実施例2)では、Al/Mg=93.7重量%/6.3重量%であり、Al/Mn合金(実施例3)では、Al/Mn=97.4重量%/2.6重量%であった。また、Al(比較例)では、他の金属は検出されなかった。
・X線回折による平均粒子径の測定
得られたワイヤグリッド偏光板のX線回折を測定し、金属ワイヤを構成するアルミニウム合金の平均粒子径をシェラーの式により見積もった。その結果を下記表1に併記する。
表1から分かるように、実施例1〜実施例3のワイヤグリッド偏光板においては、金属ワイヤを構成する合金の平均粒子径が格子状凸部の半値幅を与える高さにおける格子状凸部間の間隔以下となっており、比較例のワイヤグリッド偏光板においては、金属ワイヤを構成する合金の平均粒子径が格子状凸部の半値幅を与える高さにおける格子状凸部間の間隔を超えていた。
(分光光度計による偏光性能評価)
得られた実施例及び比較例のワイヤグリッド偏光板について、分光光度計を用い偏光度及び光線透過率を測定した。ここでは、直線偏光に対する平行ニコル、直交ニコル状態での透過光強度を測定し、偏光度、光線透過率は下記式より算出した。また、測定波長域は可視光として400nm〜700nmとした。図3は、波長400nm〜700nmにわたる偏光度の変化を示す特性図であり、図4は、波長400nm〜700nmにわたる光線透過率の変化を示す特性図である。
偏光度=[(Imax−Imin)/(Imax+Imin)]×100 %
光線透過率=[(Imax+Imin)/2] ×100 %
ここで、Imaxは平行ニコル時の透過光強度であり、Iminは直交ニコル時の透過光強度である。
図3から分かるように、本発明に係るワイヤグリッド偏光板(実施例1〜実施例3)は、可視光領域のほぼ全領域にわたって優れた偏光度を示した。また、図4から分かるように、本発明に係るワイヤグリッド偏光板(実施例1〜実施例3)は、可視光領域のほぼ全領域にわたって優れた光線透過率を示した。一方、比較例のワイヤグリッド偏光板は、金属ワイヤ間の接触や結合があるために、実施例に比べて可視光領域のほぼ全領域にわたって偏光度及び光線透過率が劣っていた。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における寸法、材質などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。また、上記実施の形態における偏光板については、板状の部材である必要はなく、必要に応じてシート状、フィルム状であっても良い。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の一部を示す断面図である。 (a)は、本発明に係るワイヤグリッド偏光板の代表的な表面のSEM像を示す顕微鏡写真であり、比較例に係るワイヤグリッド偏光板の代表的な表面のSEM像を示す顕微鏡写真である。 波長400nm〜700nmにわたる偏光度の変化を示す特性図である。 波長400nm〜700nmにわたる光線透過率の変化を示す特性図である。
符号の説明
1 基材
1a 格子状凸部
2 誘電体層
3 金属ワイヤ

Claims (4)

  1. 表面に格子状凸部を有する基材と、前記格子状凸部を含む領域上に設けられた金属ワイヤと、を具備し、前記金属ワイヤは、平均粒子径が前記格子状凸部の半値幅を与える高さにおける格子状凸部間の間隔以下となるような、シリコン、マグネシウム、マンガン及び鉄からなる群より選ばれた少なくとも一つの元素を0.05重量%以上5重量%以下含む合金で構成されることを特徴とするワイヤグリッド偏光板。
  2. 前記合金は、アルミニウム又は銀の合金であることを特徴とする請求項1記載のワイヤグリッド偏光板。
  3. 前記格子状凸部のピッチが150nm以下であり、前記合金の平均粒子径が前記ピッチ以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワイヤグリッド偏光板。
  4. 前記格子状凸部の半値幅を与える高さにおける格子状凸部の間隔が80nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板。
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