JP5442344B2 - ワイヤグリッド偏光板 - Google Patents

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Description

本発明は、基材凸部および金属ワイヤからなる構造の断面形状が非対称形状ありながら、左右の光学対称性を示すワイヤグリッド偏光板に関する。
ワイヤグリッド偏光板は、直線状の金属ワイヤ(細線)をガラスやフィルムなどの基材上に一定方向に規則的に配列した構造を有する偏光子である。ワイヤの太さやワイヤ間隔をナノメートルスケールで制御することで高い偏光性と光透過率性が得られる。例えば、可視波長域において十分な偏光性能を付与したワイヤグリッド偏光子を作製する場合は、ワイヤと空隙を加えた幅(ピッチ)を150nm以下の極微細構造の必要性が知られている。
ワイヤグリッド偏光板を液晶表示装置等のディスプレイに用いる場合、視野角に依存しない高い光学性能、つまり左右からの入射光に対し、高い光学対称性と偏光性能を示すことが望まれる。
先行技術として、例えば、基材面の垂直方向に対して対称的にワイヤを配列させ偏光透過対称性を得る方法がある。具体的には、基材表面にアルミ薄膜を作製し、次にアルミ薄膜上にポリマ層を形成した後、干渉露光法や電子線描画法などにより作製したパタンを有する金型を用いてポリマ層上にパタンを形成し、ポリマ層のパタンを使いAl層をドライエッチング法などでワイヤを作製する方法(特許文献1)や、凹凸形状基材に対し、斜め蒸着法を利用して2方向から基材凸部の頂部および側面にかけてAlを蒸着する方法(特許文献2)が知られている。ここで、基材面とは、基材の平均的な表面を示し、基材表面に微細な凹凸がある場合には、これらを平均化した平滑な面とする。
特開2006−084776号公報 特開昭60−230102号公報
しかしながら、干渉露光、電子線描画やドライエッチングなどの手法は、高価な装置が必要で、作製できる面積に限界があり、生産性が低いなどの問題がある。一方で、基材凸部の一方向側の側面に選択的にAl蒸着する方法が前記2方向蒸着法と比較して工程が簡易であり、生産性に優れる方法として用いられているが、左右対称角度からの入射光に対して、より高い偏光性能を示すワイヤグリッド偏光板が望まれている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、左右からの入射光に対して、高い偏光透過性能と高い光学対称性を示すワイヤグリッド偏光板を提供することを目的とする。
本発明者らは、金属ワイヤの断面形状が非対称となるワイヤグリッド偏光板であっても、ある特定の構造においては左右からの入射角に依存せずに一定の高い偏光透過特性を示すことを見出した。すなわち、本発明は、以下に示すものである。
本発明のワイヤグリッド偏光板は、特定方向に延在する格子状凹凸形状を有する基材と、前記格子状凹凸形状を有する基材凸部の一方向側の側面に接し基材凸部頂部より上方に伸びるよう設けられた金属ワイヤと、を具備するワイヤグリッド偏光板であって、前記格子状凹凸形状の延在方向に垂直な面内における基材凹部断面形状が略矩形形状であり、基材凹部底部から前記基材凸部頂部までの高さのうち、前記基材凸部頂部から90%までの任意の高さにおいて、前記金属ワイヤの幅をa、格子状凸部の幅をbとしたときに、0.4≦a/b≦3.0であり、前記基材の特定方向に垂直な面内における前記基材凹部底部よりも上方の基材凸部断面積をS、同じ面内での金属ワイヤ断面積をLとしたとき、L/Sが1.5〜6であることを特徴とする。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記基材凹部の底部位置の水平方向において、前記金属ワイヤの幅a、前記格子状凸部の幅bが、0.2≦a/b≦1.0であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記延在方向に垂直な面内における基材面の垂直方向に対し、それぞれ左右の対称方向から0°〜60°の入射角で入射する光の光線透過率の差が、可視光領域における同一波長で3%以下であることを特徴とする。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記基材面の垂直方向から入射する可視光に対して偏光度が98%以上であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記基材面の垂直方向に対して、それぞれ左右対称方向から0°〜60°の入射角で入射する光の光線透過率が可視光領域でともに35%以上であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記基材面の垂直方向に対して、入射角が0°〜45°までの左右方向から入射する可視光領域の光線透過率がともに35%以上であることが好ましい。
本願発明によれば、左右からの入射光に対して、高い偏光透過性能と高い光学対称性を示すワイヤグリッド偏光板を提供することが可能となる。
本発明に係るワイヤグリッド偏光板の実施形態を模式的に示した概略断面図であって、格子状凹凸形状の延在方向に対する垂直面での断面図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板A、B、Cの格子状凹凸形状延在方向に対する垂直面での断面形状を示す観察像である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板Aの特定波長領域の各入射角度における光線透過率(T)または左右光線透過率差(ΔT)を示す図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板Bの特定波長領域の各入射角度における光線透過率(T)または左右光線透過率差(ΔT)を示す図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板Cの特定波長領域の各入射角度における光線透過率(T)または左右光線透過率差(ΔT)を示す図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板Aの特定波長領域の各入射角度における光線透過率(T)または左右同角度入射光での光線透過率差(ΔT)をシミュレーションした図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板Bの特定波長領域の各入射角度における光線透過率(T)または左右同角度入射光での光線透過率差(ΔT)をシミュレーションした図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板Cの特定波長領域の各入射角度における光線透過率(T)または左右同角度入射光での光線透過率差(ΔT)をシミュレーションした図である。
本発明のワイヤグリッド偏光板は、特定方向に延在する格子状凹凸形状を有する基材と、格子状凹凸形状を有する基材凸部の一方向側の側面に接し基材凸部頂部より上方に伸びるよう設けられた金属ワイヤと、を具備するワイヤグリッド偏光板であって、格子状凹凸形状の延在方向に垂直な面内における基材凹部断面形状が略矩形形状であり、基材凹部底部から基材凸部頂部までの高さのうち、基材凸部頂部から90%までの任意の高さにおいて、金属ワイヤの幅をa、格子状凸部の幅をbとしたときに、a/b≧0.3であることを特徴とする。以下、ワイヤグリッド偏光板を構成する各成分について、具体的な構成の例示である図1に基づいて説明する。
(1)基材
基材1は、特定方向に延在する格子状凹凸形状を有する基材であって、目的とする波長領域において実質的に透明であればよい。ここで、格子状凹凸形状は、図1の紙面手前側−奥側方向に延在している。また、特定方向に延在するとは、格子状凹凸形状が実質的に延在していればよく、格子状凹凸形状が厳密に平行に延在している必要はない。基材1としては、例えば、ガラスなどの無機材料や樹脂材料を用いることができるが、中でも樹脂材料を用いた基板が、ロールプロセスが可能になる、ワイヤグリッド偏光板にフレキシブル性(屈曲性)を持たすことができる、等のメリットがあるため好ましい。基材1に用いることができる樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。また、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂と、ガラスなどの無機基板、上記熱可塑性樹脂、トリアセテート樹脂とを組み合わせたり、単独で用いて基材を構成させることもできる。
(2)格子状凹凸部形状
前記のように基材1の格子状凹凸形状の延在方向に対して垂直な面内における凹部断面形状は、放物線のようになだらかに曲率が変わる曲線ではなく、比較的に平らな凹部低部と小さな曲率の角部から構成される略矩形形状であることが好ましい。凹部断面形状が、略矩形形状であることから、格子状凸部も側面が比較的垂直に近い略矩形形状になる。また、格子状凸部の凸部高さ/凸部の半値幅の値は、1.0〜10程度であることが好ましく、得られる光学性能と、凸部形状の作りやすさ、転写のしやすさを考慮すると1.5〜5であることがより好ましい。
また、格子状凸部の半値幅は、ピッチの0.1倍〜0.6倍であることが好ましく、0.15倍〜0.4倍であることがより好ましい。
(3)誘電体
本発明において基材1を構成する材料と金属ワイヤ2との密着性向上のため、両者の間に両者と密着性が高い誘電体材料を好適に用いることができる。例えば、珪素(Si)の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体またはその複合物(誘電体単体に他の元素、単体または化合物が混じった誘電体)や、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、ジルコニア(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、銅(Cu)などの金属の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体またはそれらの複合物を用いることができる。誘電体材料は、透過偏光性能を得ようとする波長領域において実質的に透明であればよい。
誘電体材料の積層方法には特に限定は無く、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。
(4)金属ワイヤ
金属としてアルミニウムや銀の他、対象とする光の波長領域に応じて、銅、白金、金またはこれらの各金属を主成分とする合金を使用することもできる。
(5)金属ワイヤ断面形状
金属ワイヤ2は、格子状凹凸形状を有する基材の凸部の一方向側の側面に接し、上部が基材の凸部頂部より上方に伸びるよう設けられた構造を有している。金属ワイヤ2を、格子状凹凸形状を有する凸部頂部より上方に伸びるよう設けることで、偏光特性が向上し、光の損失を減らすことができる。中でも、基材1の格子状凹凸形状の延在方向に対して垂直な面内における凹部底部から凸部頂部までの高さのうち、頂部から90%までの任意の高さにおいて、金属ワイヤ2の幅をa、格子状凸部の幅をbとしたときに、0.3≦a/bであることが光学対称性、偏光透過率などの光学性能、ワイヤグリッドの構造強度の観点から好ましく、さらに、0.4≦a/b≦3.0であることがより好ましい。ここで、金属ワイヤ2の幅a、格子状凸部の幅bの値は、平均的な数字であり、実際には基材1の格子状凹凸形状の延在方向に対して垂直な面内で断面形状をSEMやTEMで観察し、任意の一断面のとなりあう3本の平均値から求める。基材1の格子状凹凸形状の延在方向に対して、ある厚みの平均的な形状を観察できるTEMは観察方法として好ましい。
また、金属ワイヤ2の底部は、格子状凹凸形状の凹部の底部に接着していることが好ましく、いいかえると、格子状凹凸形状の延在方向に対して垂直な面内において、金属ワイヤの底部から頂部までの高さH3が格子状凸部の底部(凹部の底部)から金属ワイヤ頂部までの高さH1とほぼ等しくなることが好ましい。さらに、基材底部凹部位置の水平方向においては、0.2≦a/b≦1.0であることが光学性能や構造強度の観点から好ましく、0.2≦a/b≦0.9であることがより好ましい。
また、格子状凹凸形状の延在方向に対して垂直な面内における基材凹部の底部から凸部の頂部までの高さH2は、光学性能の観点から凹部の底部から金属ワイヤ2の頂部までの高さH1の0.3倍〜0.8倍であることが好ましい。
格子状凹凸形状の延在方向に対して垂直な面内における凹部の底部よりも上方の基材1凸部断面積S(図1における横線の領域)は、同じ面内で金属ワイヤ2断面積L(図1における斜線の領域)よりも小さいことが、光学性能の観点から好ましく、L/Sは1〜8であることがより好ましく、1.5〜6であることがさらに好ましい。
一般にワイヤグリッド偏光板は、金属ワイヤ2のピッチPが小さくなるほど幅広い帯域で良好な偏光特性を示すが、ピッチPは、対象とする光の波長の1/4〜1/3であれば実用的に十分な性能を示す。このため、可視光用に使用する場合、ピッチPは150nm以下が好ましいが、近赤外〜赤外領域のみに使用する場合は、ピッチPは300nm程度以下であればよい。
金属ワイヤ2の製造方法には特に限定は無いが、製造コストや生産性の観点から真空下における斜め蒸着法が好ましい。斜め蒸着法とは、格子状凹凸形状の延在方向と垂直に交わる平面内において、蒸着源が基材の法線に対して入射角度αを持ちながら金属を蒸着、積層させていく方法である。入射角度αは、格子状凸部と作製する金属ワイヤ2の断面形状から好ましい範囲が決まり、一般には入射角度αは5°〜40°が好ましく、より好ましくは10°〜30°である。さらに、蒸着中に積層した金属の射影効果を考慮しながら、入射角度αを徐々に減少または増加させることは、金属ワイヤ2の高さなど断面形状を制御する上で好適である。なお、このような製法から格子状凹凸形状と金属ワイヤの延在方向は等しくなる。
本発明に係る金属ワイヤ形状を達成するための金属蒸着量は、格子状凸部の形状によって決まるが、一般には、平均蒸着厚みは50nm〜150nm程度である。
ここでいう平均厚みとは、平滑ガラス基板上にガラス面に垂直方向から物質を蒸着させたと仮定した時の蒸着物の厚みのことを指し、金属蒸着量の目安として使用する。
(6)エッチング工程
光学特性の観点から、必要に応じ凹凸格子の凹部底部に積層する金属を、エッチングにより除去する。エッチング方法は、基材や誘電体層に悪影響を及ぼさず、必要量の金属が除去できる方法であれば特に限定は無いが、生産性や装置コストの観点から酸やアルカリの水溶液に浸漬させる方法が好ましい。
(7)光学特性
格子状凹凸形状の延在方向に垂直な面内において、基材1の法線に対して、それぞれ左右対称方向から入射する光に関し、光線透過率の差の許容値は、使用する製品によって異なるが、画像表示装置に用いた場合、対象とする同一波長で3%以下であれば差の認識は難しく、十分といえる。格子状凹凸形状の延在方向に垂直な面内における基材面の垂直方向に対し、それぞれ左右の対称方向から入射する光の光線透過率の差が、可視光領域における同一波長で3%以下であることが好ましく、これを達成するには、金属ワイヤ2の基材1接触部分から基材1上部にかけて、金属ワイヤ2そのものが略左右対称構造となっていることが重要である。また、金属ワイヤ2の一方向側の側面にのみ基材が存在することも重要である。
左右対称方向から入射する光の光線透過率の差は、その入射光角度θ(金属ワイヤ2の延在方向に垂直な面内における入射光と基材面の垂直方向とのなす角度)によって変わるが、θが少なくとも45°以下おいて、光線透過率の差が可視波長領域(波長450nm〜波長780nmの領域)における同一波長で3%以下であれば、幅広い画像表示装置に使用できる。さらに、θが60°以下で差が3%以下であれば、例えば液晶テレビ等の大視野角を必要とする表示装置に使用する場合に好ましい。
また、基材面の垂直方向からそれぞれ左右対称方向から入射する光の光線透過率は、それぞれ35%以上であることが光の損失を減らす観点から好ましく、基材面の垂直方向に対して45°以下での左右方向から入射する光線透過率が共に35%以上であることは、広い用途で使用するために好ましい。金属ワイヤ2を、格子状凹凸形状を有する凸部頂部より上方に伸びるよう設けることで、偏光特性が向上し、光の損失を減らすことができる。
また、偏光度は使用する製品によって要求が異なるが、98%以上であることが好ましい。高いコントラストが必要とされる製品に応用する場合には、偏光度は99%以上が好ましく、さら99.9%以上が特に好ましい。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
[実施例1]
(格子状凹凸形状を有する樹脂基材の作製)
・紫外線硬化樹脂を用いた格子状凹凸形状転写フィルムの作製
格子状凹凸形状転写フィルムの作製には、3種類のNi製金型(以下、金型A、金型B、金型Cという)を用いた。金型A、金型Bは格子状凹凸形状のピッチが130nmで、特定方向(格子の延在する方向)に垂直な断面における凹部形状が略矩形であり、金型Cは格子状凹凸形状のピッチが145nmで、格子の延在する方向に垂直な断面における凹部形状が大きな曲率をもったU字形である。厚み80μmのトリアセチルセルロース樹脂(以下、TACと略す)フィルムに特開2009−19174の実施例2に示す光硬化性樹脂を約3μm塗布し、塗布面を下にし、金型とTACフィルム間に空気が入らないように乗せた。TACフィルム側から中心波長365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cm照射し、金型A、金型B、金型Cについて格子状凹凸形状を転写した。TACフィルムを金型から剥離し、縦300mm、横200mmの格子状凹凸形状を転写したフィルムを作製した(以下、金型A、B、Cの3種から転写したフィルムを、それぞれ転写フィルムA、転写フィルムB、転写フィルムCという)。
転写フィルムA、転写フィルムB、転写フィルムCの格子の延在方向に対する垂直面での凸部断面をSEMで観察をしたところ、格子状凸部の凸部高さ/凸部半値幅の値および凸部半値幅/格子状凹凸形状ピッチの値は、転写フィルムAでは4.1および0.25、転写フィルムBでは4.2および0.29、転写フィルムCでは4.8および0.24であった。
(ワイヤグリッド偏光板の作製)
・スパッタリング法を用いた誘電体層の形成
次に転写フィルムA、B、Cの格子状凹凸形状転写表面に、スパッタリング法により誘電体層として二酸化珪素を成膜した。スパッタリング装置条件は、Arガス圧力0.2Pa、スパッタリングパワー770W/cm、被覆速度0.1nm/sとし、転写フィルム上の誘電体平均厚みが3nmとなるように成膜した。ここでは、誘電体の厚みを測定するため表面が平滑なガラス基板を転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板上の誘電体厚みを誘電体平均厚みとした。
・真空蒸着法を用いた金属の蒸着
次に誘電体層を成膜した転写フィルムA、転写フィルムB、転写フィルムCの格子状凹凸形状転写表面に、真空蒸着によりアルミニウム(Al)を成膜した。Alの蒸着条件は、常温下、真空度2.0×10−3Pa、蒸着速度40nm/sとした。Alの厚みを測定するため表面が平滑なガラス基板を転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板上のAl厚みをAl平均厚みとし、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源のなす角度を蒸着角θとした。転写フィルムAは蒸着角θを20°、Al平均厚みを100nmとし、転写フィルムBは蒸着角θを15°、Al平均厚みを100nm、転写フィルムCは蒸着角θを25°、Al平均厚みを120nmとした。
・不要Alの除去
次にAlを蒸着した転写フィルムA、転写フィルムB、転写フィルムCをアルカリ水溶液に浸漬し不要なAlを除去した。不要Alの除去としては、Al蒸着した転写フィルムを室温下で、0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液に所定時間浸漬することで行った。
Alを蒸着した転写フィルムAを、アルカリ水溶液に50秒浸漬し、その後すぐに水洗いし、フィルムを乾燥させた。このフィルムの金属ワイヤに垂直な断面をSEMで観察したところ、金属ワイヤは凸部の一方向側の片側側面に沿って凹部底部から上方に形成され、頂部より上方にまで形成されていた。また、凹部底部から凸部頂部までの基材の間での半値幅は、金属ワイヤの幅をa、格子状凸部の幅をbとしたときに、a/b=1.31であり、金属ワイヤの底部が、格子状凹凸形状の凹部の底部に位置し、凹部の底部から凸部の頂部までの高さH2が、凹部の底部から金属ワイヤの頂部までの高さH1の0.53倍であり、金属ワイヤの底部から頂部までの高さH3が格子状凸部の底部(凹部の底部)から金属ワイヤ頂部までの高さH1とほぼ等しくなっていた。また、特定方向に垂直な面内における金属ワイヤ断面積Lが、同じ面内で凹部の底部よりも上方の凸部断面積Sの2.2倍であった。このフィルムについて偏光度と光線透過率を測定したところ、偏光度99.90%で光線透過率が40.8%であった。
Alを蒸着した転写フィルムB、転写フィルムCについては、アルカリ水溶液浸漬時間をそれぞれ、60秒間、70秒間とした結果、それぞれ偏光度が99.93%と99.89%で光線透過率が43.6%と40.4%の光学性能が得られた。これらのフィルムの金属ワイヤに垂直な面内におけるSEM観察から、凹部底部から凸部頂部までの基材の間での半値幅は、それぞれ、a/b=1.1、a/b=0.84であった。また、凹部の底部から凸部の頂部までの高さH2が、凹部の底部から金属ワイヤの頂部までの高さH1の0.6倍と0.68倍であった。さらに、S/Lはそれぞれ2.2倍、1.1倍であった。
偏光度と光線透過率の測定には偏光フィルム評価装置(日本分光社製、V7000)を用いた。また、偏光度、光線透過率は下記式より算出した。Imaxは直線偏光に対する平行ニコル、Iminは直行ニコル状態での透過光強度である。尚、光線透過率T(θ)は、入射光角度θの光線透過率を示す。
偏光度=[(Imax−Imin)/(Imax+Imin)]×100 %
光線透過率(T(θ))=[(Imax+Imin)/2]×100 %
不要なAlの除去をした転写フィルムA、転写フィルムB、転写フィルムCを以下、それぞれ偏光板A、偏光板B、偏光板Cと呼ぶ。図2は、偏光板A、偏光板B、偏光板Cの金属ワイヤの延在方向に対する垂直面での断面形状を示す観察像であり、得られた偏光板A、偏光板B、偏光板Cの断面SEMもしくはTEMによる観察像である。偏光板A、偏光板B、偏光板CのAlワイヤはいずれも凸部の一方向側側面から上方にかけて形成されており、誘電体を被覆した頂部より上方にAlワイヤが存在していた。このように金属ワイヤを格子状凹凸形状の凸部の一方向側の側面から凸部上部にかけて接するように設けることで、金属ワイヤと凸部の接触面積を増すことが可能となり、凸部上部のみを覆う構造に比べ耐久性を向上させることができる。
また、基材の格子状凹凸形状の凹部断面形状は、偏光板A、偏光板Bでは略矩形形状で、偏光板Cでは略放物線形状であることが確認された。凹部底部の高さにおける金属ワイヤの幅をa、格子状凸部の幅をbとしたときに、フィルムAおよびフィルムBにおいては、それぞれa/b=0.830.63である。一方、フィルムCにおいては、a/b=0.16であった。このAlワイヤ形状の違いは、基材凹部の断面形状が略矩形と放物線形状であることに起因している。
(分光光度計による光線透過率測定)
次に、偏光板A、偏光板B、偏光板Cについて光線透過率の入射角依存性を測定した。入射角はAlワイヤの延在方向に垂直な面内で基材法線となす角度とし、Alワイヤが形成された凸部側面側からの入光には入射角に「+」を、反対側からの入光には入射角に「−」を付記した。偏光板A、偏光板Bの入射光角度0°、±30°、±45°、±60°における光線透過率T(θ)をそれぞれ図3、図4に示す。測定波長域は450nm〜780nmである。偏光板Aについては入射角0°〜±45°で透過率が40%以上となった。また、入射角0°〜±60°で、透過率が38%以上であった。
また偏光板Bについては入射角0°〜±45°において、波長450nmから780nmの可視光領域において光線透過率が36%以上であることが分かった。470nmから780nmの領域においては、透過率が40%以上となることがわかった。また、光線透過率差は入射角0°〜45°において450nmから780nmの範囲で3%以下になった。一方、偏光板Cについて光線透過率T(θ)の入射角依存性を図5に示す。入射角が45°を超えると±同角度における光線透過率差が5%以上となった。
(分光シミュレーション解析による光線透過率評価)
図3の断面形状観察結果をもとに、偏光板A、偏光板B、偏光板Cについて、分光シミュレーションにより光線透過率を計算した。シミュレーションソフトとしては、Grating Solver Development Company製のGSOLVER V4.20cを用いた。結果を図6、図7、図8に示すが、可視域(450nm〜780nm)の光に対しては、偏光板A、偏光板B、偏光板Cのいずれについても実施例とほぼ同等の光線透過率を示し、分光シミュレーション解析手法が妥当であることがわかった。偏光板A、偏光板Bについては、可視域だけでなく赤外領域(〜2000nm)においても、0〜±60°方向の入射光に対して光線透過率が36%以上で、±同角度における光線透過率差は偏光板Aについては0.4%以下、偏光板Bに関しては2.5%以下となった。
本発明のワイヤグリッド偏光板は、各種光学機器、表示機器、光源などの広い分野で好適に利用できる。
1 基材
2 金属ワイヤ

Claims (6)

  1. 特定方向に延在する格子状凹凸形状を有する基材と、前記格子状凹凸形状を有する基材凸部の一方向側の側面に接し基材凸部頂部より上方に伸びるよう設けられた金属ワイヤと、を具備するワイヤグリッド偏光板であって、前記格子状凹凸形状の延在方向に垂直な面内における基材凹部断面形状が略矩形形状であり、基材凹部底部から前記基材凸部頂部までの高さのうち、前記基材凸部頂部から90%までの任意の高さにおいて、前記金属ワイヤの幅をa、格子状凸部の幅をbとしたときに、0.4≦a/b≦3.0であり、前記基材の特定方向に垂直な面内における前記基材凹部底部よりも上方の基材凸部断面積をS、同じ面内での金属ワイヤ断面積をLとしたとき、L/Sが1.5〜6であることを特徴とするワイヤグリッド偏光板。
  2. 前記基材凹部の底部位置の水平方向において、前記金属ワイヤの幅a、前記格子状凸部の幅bが、0.2≦a/b≦1.0であることを特徴とする請求項1に記載のワイヤグリッド偏光板。
  3. 前記延在方向に垂直な面内における基材面の垂直方向に対し、それぞれ左右の対称方向から0°〜60°の入射角で入射する光の光線透過率の差が、可視光領域における同一波長で3%以下であることを特徴とする請求項1または請求項に記載のワイヤグリッド偏光板。
  4. 前記基材面の垂直方向から入射する可視光に対して偏光度が98%以上のワイヤグリッド偏光板であることを特徴とする請求項に記載のワイヤグリッド偏光板。
  5. 前記基材面の垂直方向に対して、それぞれ左右対称方向から0°〜60°の入射角で入射する光の光線透過率が可視光領域でともに35%以上であることを特徴とする請求項または請求項に記載のワイヤグリッド偏光板。
  6. 前記基材面の垂直方向に対して、入射角が0°〜45°までの左右方向から入射する可視光領域の光線透過率がともに35%以上であることを特徴する請求項から請求項のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板。
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