JP2010018510A - 結晶配向セラミックス - Google Patents

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幸信 由良
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伸行 小林
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Abstract

【課題】Pbを含むものにおいて、耐久性の低下を抑制しつつ圧電/電歪特性をより高めることができる結晶配向セラミックスを提供する。
【解決手段】主成分がPb(Zr1-xTix)O3となる原料を用い、15μm以下の厚さで形成したセラミックスシートを用い、この材料を異方形状に粒成長させ、SrTiO3及びBaTiO3の結晶体を含まずに特定の結晶面が配向した結晶粒子を作製した。配向していない主成分をPb(Zr1-xTix)O3とする原料とこの結晶粒子とを混合し、結晶粒子が一定方向へ向くよう成形し、この成形体を焼成した。得られた結晶配向セラミックスは、ロットゲーリング法の配向度が50%以上と高い値を示した。また、結晶配向セラミックスと同じ組成とすることができるセラミックスシートを結晶核として配向度を高めることが可能であるため、例えば結晶を配向させるための不要な元素を添加することなく作製可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、結晶配向セラミックス、より詳しくは、圧電体/電歪体に用いられる結晶配向セラミックスに関する。
従来、圧電体/電歪体に用いられるセラミックスとしては、例えばPb(Zr、Ti)O3を主成分とし、任意の厚み方向の断面において観察される多数の結晶体に占める、厚み方向の粒子径に対して幅方向の粒子径の方が長い結晶体の個数割合が70%以上であり、優れた圧電特性や電歪特性を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、SrTiO3やBaTiO3などを5Vol%以上添加することにより、(1-x)Pb(Mg1/3Nb1/3)O3-xPbTiO3の結晶を配向させ、歪特性を高めた鉛系圧電体が提案されている(例えば特許文献2)。
特開2006−185940号公報 US2002/0193237A1号公報
このように、この特許文献1に記載された結晶配向セラミックスは、粒子のアスペクト比を所定の方向に揃えることにより圧電特性や電歪特性を高めることができるものであるが、それでもまだ十分でなく、更なる圧電特性や電歪特性を向上することが望まれていた。また、特許文献2の圧電/電歪体では、製法上、SrTiO3やBaTiO3など、圧電特性の低い異種材料が5Vol%以上含まれており、圧電/電歪特性の向上は不十分であった。また、このような構成において、例えば1kV/mmを超えるような高電界で駆動を繰り返すと、異種材料の界面で発生する応力に起因すると考えられるクラックが発生することがあり、耐久性に問題があった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、Pbを含むものにおいて、耐久性の低下を抑制しつつ圧電/電歪特性をより高めることができる結晶配向セラミックスを提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、Pbを含むものにおいて、SrTiO3及びBaTiO3の結晶体を含まず、含まれる複数の結晶体が特定の結晶面を揃えた状態で配向していると、耐久性の低下を抑制しつつ圧電/電歪特性をより高めることができることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の結晶配向セラミックスは、
一般式ABO3で表される酸化物を主成分とし、AサイトにPbを含み、BサイトがZr,Ti,Nb,Mg、Ni及びZnより選ばれる2種以上を含む複数の結晶体を含み、SrTiO3及びBaTiO3の結晶体を含まず、前記複数の結晶体が特定の結晶面を揃えた状態で配向しており、該結晶体の配向度がロットゲーリング法で50%以上である、ものである。
この結晶配向セラミックスでは、耐久性の低下を抑制しつつ圧電/電歪特性をより高めることができる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、例えば、結晶体が配向していない場合では、結晶の方向によっては圧電効果や電歪効果を発揮できない結晶体が含まれるなどして効率が低い状態であるのに対し、複数の結晶体が、その配向度がロットゲーリング法で50%以上という高い配向度で特定の結晶面を揃えた状態で配向しており、各結晶体が効率よく機能を発揮するためであると推測される。また、SrTiO3やBaTiO3など、圧電特性の低い異種材料が結晶体として存在しないため、例えば1kV/mmを超えるような高電界で駆動を繰り返した場合など、異種材料の界面で発生する応力に起因すると考えられるクラックの発生が抑制されるため、これらが存在するものに比して耐久性の低下をより抑制することができると推察される。
本発明の結晶配向セラミックスは、一般式ABO3で表される酸化物を主成分とし、AサイトにPbを含み、BサイトがZr,Ti,Nb,Mg、Ni及びZnより選ばれる2種以上を含む複数の結晶体を含み、SrTiO3及びBaTiO3の結晶体を含まず、複数の結晶体が特定の結晶面を揃えた状態で配向しており、この結晶体の配向度がロットゲーリング法で50%以上である。
本発明の結晶配向セラミックスにおいて、特定の結晶面の配向度は、ロットゲーリング法で50%以上であるが、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。配向度が50%以上であると、より高い圧電/電歪特性を得ることができる。この特定の結晶面は、結晶配向セラミックスの面内にある擬立方(100)面としてもよい。この擬立方(100)とは、等方性ペロブスカイト型の酸化物は正方晶、斜方晶及び三方晶など、立方晶からわずかに歪んだ構造をとるがその歪みがわずかであるため立方晶とみなしてミラー指数により表示することを意味する。ここで、ロットゲーリング法による配向度は、結晶配向セラミックスの配向した面に対しXRD回折パターンを測定し、次式(1)により求めるものとした。この数式(1)において、ΣI(hkl)が結晶配向セラミックスで測定されたすべての結晶面(hkl)のX線回折強度の総和であり、ΣI0(hkl)が結晶配向セラミックスと同一組成であり無配向のものについて測定されたすべての結晶面(hkl)のX線回折強度の総和であり、Σ’I(HKL)が結晶配向セラミックスで測定された結晶学的に等価な特定の結晶面(例えば(100)面)のX線回折強度の総和であり、Σ’I0(HKL)が結晶配向セラミックスと同一組成であり無配向のものについて測定された特定の結晶面のX線回折強度の総和である。なお、この特定の結晶面の配向度は、ロットゲーリング法で50%以上であるが、25%以上であってもよく、30%以上であってもよい。
本発明の結晶配向セラミックスは、一般式ABO3で表される酸化物を主成分とし、AサイトにPbを含み、BサイトがZr,Ti,Nb,Mg、Ni及びZnより選ばれる2種以上を含む複数の結晶体を含んでいる。このうち、一般式ABO3のAサイトがPbであり、BサイトがZrとTiとを含む複数の結晶体により構成されているものが好ましい。このときBサイトには、更にNb,Mg及びNiから選ばれる1種以上を含むものとしてもよい。例えば、Pb(MgxNb1-x)O3(0≦x≦1)やPbZrO3、PbTiO3、Pb(ZnxNb1-x)O3などのうちいずれか1以上を含むものなどが挙げられる。このPbを含む酸化物は、ペロブスカイト構造を有することが好ましい。この結晶配向セラミックスは、Pbを50重量%以上含む結晶体を全体の85体積%以上含むことが好ましく、90体積%以上含むことがより好ましく、96体積%以上含むことが一層好ましい。こうすれば、いわゆる不純物の影響で、圧電/電歪特性が低下してしまうのを抑制することができる。この結晶体に含まれている元素の検出方法は、結晶配向セラミックスの断面を電子顕微鏡(SEM)により観測し、電子プローブマイクロ測定(EPMA)を行うものとする。この「Pbを50重量%以上含む結晶体の体積%」は、SEMにより観察された範囲でPbを50重量%以上含む領域をEPMAによりマッピングし、このマッピングした領域における空孔を除いた結晶粒領域を占めるPbを50重量%以上含む領域の面積として求めるものとする。
本発明の結晶配向セラミックスは、SrTiO3及びBaTiO3の結晶体を含んでいない。Pbを含む結晶配向セラミックスでは、そのPbを含む結晶体の配向度を上げようとして、SrTiO3及びBaTiO3の結晶体を含むことがある。ここでは、SrTiO3及びBaTiO3の結晶体を含んでいないため、SrTiO3やBaTiO3などの異種材料の界面で発生する応力に起因すると考えられるクラックの発生が抑制され、これらが存在するものに比して耐久性の低下をより抑制することができる。なお、結晶配向セラミックスの中にSrTiO3及びBaTiO3の結晶体を含まなければよく、一般式ABO3で表される酸化物を主成分としAサイトにPbを含む結晶体のAサイトのPbの一部をSrやBaが置換したものはこの結晶配向セラミックスに含まれていてもよい。
次に、結晶配向セラミックスの製造方法について説明する。図1は、結晶配向セラミックスの製造方法の一例を示す説明図であり、図1(a)がセラミックスシート20の図、図1(b)が2次成形体40の図、図1(c)が結晶配向セラミックス50の図である。結晶配向セラミックスの製造方法は、(1)結晶配向セラミックスのテンプレート材(結晶核)となるセラミックスシートの作製工程(図1(a))、(2)セラミックスシートの結晶粒子と原料である無機粒子とを混合して配向成形する成形工程(図1(b))、(3)成形した成形体の焼成工程(図1(c))を含み、これら各工程の順に説明する。
(1)セラミックスシートの作製工程
この工程は、更に無機粒子の調製工程、シート成形工程、第1焼成工程を含んでいる。このセラミックスシートは、無機粒子を15μm以下の極薄のシート状に成形して焼成することにより、結晶粒子をシート面に沿って粒成長させたものである。このように、厚さが15μm以下のシート状の成形体を焼成させ粒成長させるので、シートの厚さ方向への粒成長は限られており、シート面方向に、より粒成長が促進されるから、例えば所定焼成条件において、等方的且つ多面体形状の結晶粒子に成長するもの、例えば立方体に成長するものでも、特定の結晶面をシート表面に揃えた状態(配向した状態)で、平板状のアスペクト比のより大きな結晶粒子に成長させることができる。このアスペクト比が大きな結晶粒子を核として用い、他の配向していない原料を配向させることにより、特定の結晶面がより配向した結晶配向セラミックスを得ることができるのである。ここで、一般式ABO3で表される酸化物のAサイトにPbを含み、BサイトにZr,Ti,Nb,Mg、Ni及びZnより選ばれる2種以上を含むペロブスカイト構造の酸化物において、例えば、その配合比を調整したり、または、この酸化物に、例えば結晶粒子の表面拡散を活性化する添加剤(ガラスやMgOなど)を加えるものとすると、多面体形状の中でも、擬立方晶のサイコロ状(6面体形状)に粒成長することがあり、極薄のシート形状とすると、シート面内に(100)面が成長することによりシート面の垂直方向に結晶面(100)が配向しやすくなることがある。このような場合では、シート面に平行な表面を持った粒子は、その2面を除く他の4面が成長面として成形体内の全方位に含まれるからシート内で等方的に粒成長し、シート表面に存在する残りの2面が無理なく拡がるため、アスペクト比の大きな粒子が得られやすい。このため、セラミックスシートを用いる方法でPb,Zr,Tiを含むペロブスカイト構造の酸化物の結晶面を配向させるものとすれば、例えば結晶を配向させるための不要な元素を添加することなく作製可能であり、結晶配向セラミックスの配向度を高めると共に、その純度の低下を抑制することができる。なお、「不要な元素を添加することなく」とは、圧電/電歪特性に大きく影響しない範囲で、配向度や機械的強度などを高める添加剤を加えることを排除する趣旨ではない。また、上記添加剤は必須ではなく、加えるものとしても加えないものとしてもよい。ここで、「所定焼成条件における成長形」とは、与えられた熱処理条件下で無機粒子の結晶が平衡に達したときに見られるモルフォロジーと定義され、例えば、バルクを焼成し結晶化を進めた際に表面の粒子の形状を観察することにより得られるものである。また、「異方形状」とは、例えば板状、短冊状、柱状、針状及び鱗状など、長軸長さと短軸長さとの比(アスペクト比)が大きいもの(例えばアスペクト比が2以上など)をいう。また、「等方的且つ多面体形状」とは、例えば立方体形状などをいう。なお、セラミックスシートに含まれる結晶粒子のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡を用いてSEM写真を撮影し、このSEM写真からセラミックスシートの厚さを求め、セラミックスシートのシート面を観察し、結晶粒子が20〜40個程度含まれる視野において、{(視野の面積)/(粒子の個数)}から粒子1個あたりの面積Sを算出し、更に粒子形態を円と仮定し、次式(2)によって粒径を算出し、この粒径をシートの厚さで除算した値をアスペクト比とするものとする。
まず、無機粒子の調製工程では、無機粒子の原料を粉砕混合し、混合した粉体を仮焼し、得られた無機粒子を更に粉砕することが好ましい。この無機粒子は、ペロブスカイト構造を有する酸化物であり、焼成後の結晶が一般式ABO3で表される酸化物のAサイトとしてPbを含み、Bサイトとして、ZrとTiとを含むものである。また、Aサイトに他の元素を含むものとしてもよいし、BサイトにNb、Mg、Ni及びZnから選ばれる1種以上を含むものとしてもよい。Bサイトに上記元素を添加したものとすると、結晶性を高めたり圧電/電歪特性を高めたりすることができる。ABO3で表される酸化物となるものを用いるとき、AサイトとBサイトの比であるA/Bが1.0以上となるよう原料を調製することが好ましい。A/Bが1.0以上の範囲では、焼成後のセラミックスシートに含まれる結晶のアスペクト比や配向度を大きいものとすることができる。また、A/Bが1.0以上の範囲では、焼成時に揮発するPbなどを補償する点で好ましい。無機粒子の原料としては、目的の成分の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩及び硝酸塩などを用いることができるが、主として酸化物、炭酸塩を用いることが好ましい。また、無機粒子の粉砕では、シートの厚さに応じた粒径とすることが好ましく、無機粒子のメディアン径(D50)をシート厚さの2%以上60%以下とすることが好ましい。メディアン径がシート厚さの2%以上であれば粉砕処理が容易であり、60%以下であればシート厚さを調整しやすい。この粒径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて分散媒(有機溶剤や水など)に分散させて測定した値を用いるものとする。無機粒子の粉砕は、湿式粉砕することが好ましく、例えばボールミルやビーズミル、トロンメル、アトライターなどを用いてもよい。
セラミックスシートの成形工程では、無機粒子をシート厚さが15μm以下の自立した平板状の成形体に成形する。シートの成形方法としては、例えば、無機粒子を含むスラリーを用いたドクターブレード法や、無機粒子を含む坏土を用いた押出成形法などによって行うことができる。ドクターブレード法を用いる場合、可撓性を有する板(例えばPETフィルムなどの有機ポリマー板など)にスラリーを塗布し、塗布したスラリーを乾燥固化して成形体とし、この成形体と板とを剥がすことによりセラミックスシートを作製してもよい。成形前にスラリーや坏土を調製するときには、無機粒子を適当な分散媒に分散させ、バインダーや可塑剤などを適宜加えてもよい。また、スラリーは、粘度が500〜700cPとなるように調製するのが好ましく、減圧下で脱泡するのが好ましい。シートの厚さとしては、15μm以下とするが、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、2μm以下とすることが一層好ましい。10μm以下ではより高い配向度を得ることができ、5μm以下であればより一層高い配向度を得ることができる。また、シート厚さは、0.1μm以上とするのが好ましい。シート厚さが0.1μm以上であれば、自立した平板状のシートを作成しやすい。その他の方法としては、エアロゾルデポジション法などの、粒子の高速吹き付け法や、スパッタ、CVD、PVDなどの気相法などにより、樹脂、ガラス、セラミックス及び金属などの基板へ膜付けし、基板から剥離することでセラミックスシートを作製してもよい。この場合、焼成前の成形体の密度を高くすることができるため、低温での粒成長、構成元素の揮発防止、得られる結晶配向セラミックスが高い密度である、などの利点がある。なお、このセラミックスシートの成形工程では、その原料にSrTiO3及びBaTiO3の結晶体を含まないものとして成形するものとした。
セラミックスシートの焼成工程では、成形工程で得られた成形体をこの成形体と実質的に反応しない不活性層(例えば、焼成済みのセラミック板やPt板、カーボン板、黒鉛板、モリブデン板、タングステン板など)に隣接させた状態で焼成するか、又は、この成形体のままの状態で焼成する。例えば、成形体の焼成温度では不活性な層の上に焼成前の成形体シートを交互に積層して焼成するものとしてもよい。あるいは、成形体シートと不活性シートとを重ねた状態でロール状に巻いて焼成してもよい。あるいは、不活性層の上にシート状に成形体を形成し、焼成後にこの不活性層から剥離させるものとしてもよい。あるいは、不活性層にシート状成形体を成膜し、焼成後に不活性層を除去するものとしてもよい。また、成形体に含まれる特定成分(例えばPbなど)の揮発を抑制する揮発抑制状態で成形体を焼成することが好ましい。こうすれば、成形体からの特定の元素が揮発してしまうのを抑制することにより、焼成後の組成がずれてしまうのを抑制することができる。例えば、揮発抑制状態としては、成形体とは別の無機粒子を共存させた状態や、蓋付きの鞘などに入れた密閉状態などが挙げられる。このとき、共存させる無機粒子の量や鞘内部の容積など、焼成時の条件を適切な状態に経験的に設定することが重要である。なお、面内の粒成長を促進する観点から、ホットプレスなど加重焼成してもよい。また、焼成条件について、成形体シートは、焼成により平衡形の結晶が得られる焼成温度、例えばバルクを焼成することにより緻密化、粒成長する焼成温度に比べて1割以上高い温度で焼成することが好ましい。1割以上高い温度では、15μm以下のセラミックスシートに含まれる結晶の粒成長を十分進めることができる。なお、成形体の材料が分解しない程度に高い温度で焼成することが好ましい。特に、シートの厚さがより薄くなると、粒成長がしにくくなるため、焼成温度をより高くする傾向とすることが好ましい。例えば、無機粒子として、主成分がPb(Zr1-xTix)O3にガラスを添加したものの焼成工程では、成形体の焼成温度を900℃以上1300℃以下とすることが好ましい。焼成温度が900℃以上では、粒子の結晶の成長が促されるため好ましく、1300℃以下では、含まれる成分などの揮発を少なく抑えることができ、材料が分解してしまうのを抑制することができる。こうして、図1(a)に示すように、含まれる無機粒子が、シート面方向の長さが厚さ方向の長さ以上であり特定の結晶面が配向した結晶粒子22に成長したセラミックスシート20を得ることができる。また、ガラスを添加することにより、結晶粒子が多面体形状の中でも擬立方晶のサイコロ状(6面体形状)に粒成長しやすいため、特定の結晶面が配向した結晶粒子22を容易に得ることができる。なお、ガラス以外に添加剤としてMgOを利用することができる。過剰に添加したMgOは、配向度を高めるだけではなく、結晶格子に取り込まれず異相として析出されると推察され、圧電特性を劣化させない点でガラスより好ましい。
(2)結晶配向セラミックスの成形工程
得られたセラミックスシートは、アスペクト比が2以下、より好ましくは3以下にならない程度に解砕して結晶粒子の粉体とし、その他の原料粉体(例えば配向していない無機粒子など)と、適宜バインダーや可塑剤などを混合する混合工程を経て、結晶粒子が一定方向を向くような配向成形(2次配向)を行うことにより、例えば厚み方向が15μmを超えるような任意の形状とすることができる。このとき、セラミックスシートから得られた結晶粒子の粉体と、その他の原料粉体との組成比を異なるものとすることもできるし、同じものとすることもできる。なお、結晶粒子を含む粉体は、結晶粒子がばらばらであるものであってもよいし、ある程度の個数が結合した多結晶粒子としてもよい。配向成形は、上述したドクターブレード法や押出成型法などにより行うことができる。これらの成形を行うことによって、一定方向に向いた結晶粒子の周りに原料粉体が存在するような成形体を得ることができる。この得られた成形体は、そのまま次の焼成工程に用いてもよいし、2以上の成形体を積層した状態で次の焼成工程に用いてもよい。こうして、図1(b)に示すように、例えば複数の結晶粒子22が接合した多結晶粒子30が面方向に並んだ2次成形体40を作製するのである。
(3)結晶配向セラミックスの焼成工程
そして、結晶粒子が配向している方向に他の原料粉体も配向させるようこの2次成形体を焼成する2次焼成工程を行い結晶配向セラミックスを得る。この2次焼成工程での焼成温度は、上述した所定焼成条件における平衡形の結晶が得られる焼成温度としてもよいし、この温度よりも高い温度としてもよい。なお、バインダーなどを含む成形体の場合は、焼成を行う前に脱脂を主目的とする熱処理を行ってもよい。このとき、脱脂の温度は、少なくともバインダーなどの有機物を熱分解させるに十分な温度(例えば400〜600℃)とする。また、脱脂を行ったあと、焼成を行う前に静水圧処理(CIP)を行うのが好ましい。脱脂後の成形体に対して更に静水圧処理を行うと、脱脂に伴う配向度の低下などを抑制することができる。この焼成工程においても、上述したセラミックスシートの焼成時と同様に揮発抑制状態で焼成してもよい。こうして、図1(c)に示すように、特定の結晶面が配向した配向結晶52(結晶体)を多数有する結晶配向セラミックス50を得ることができる。このように作製することにより、結晶配向セラミックスの配向度を例えば50%以上とすることができる。
得られた結晶配向セラミックスは、圧電部材や電歪部材として利用することができる。結晶配向セラミックスを圧電部材や電歪部材として利用する際に、結晶配向セラミックス及び電極を基板上に交互に積層してもよい。また、ここでは、電極を含まない結晶配向セラミックスを製造する方法を説明したが、2次成形体の任意の位置に電極を形成し、上述した焼成工程を行うことによって、電極が形成された結晶配向セラミックスを作製するものとしてもよい。こうすれば、1回の焼成工程で粒子の配向と電極の形成とが行えるため、生産効率がよい。また、結晶配向セラミックスは、これ以外の用途に利用するものとしてもよい。例えば、この結晶配向セラミックスは、誘電体材料、焦電体材料、強誘電体材料等の機能や特性が結晶方位依存性を有する物質よりなる多結晶材料へ用いることができる。具体的には、加速度センサ、焦電センサ、超音波センサ、電界センサ、温度センサ、ガスセンサ、ノッキングセンサ、ヨーレートセンサ、エアバックセンサ、圧電ジャイロセンサ等の各種センサ、圧電トランス等のエネルギー変換素子、圧電アクチュエータ、超音波モータ、レゾネータ等の低損失アクチュエータ又は低損失レゾネータ、キャパシタ、バイモルフ圧電素子、振動ピックアップ、圧電マイクロホン、圧電点火素子、ソナー、圧電ブザー、圧電スピーカ、発振子、フィルタ、誘電素子、マイクロ波誘電素子、熱電変換素子、焦電素子等に応用すれば、高い性能を有する各種素子を得ることができる。このとき、結晶配向セラミックスの配向度は、用途に合わせた値を適宜設定するものとする。
以上詳述した本実施形態の結晶配向セラミックスによれば、ロットゲーリング法の配向度が50%以上と高く、圧電/電歪特性をより高めることができる。また、結晶配向セラミックスと同じ組成の原料とすることができるセラミックスシートを結晶核として配向度を高めることが可能であるため、例えば結晶を配向させるための不要な元素を添加することなく作製可能であり、結晶配向セラミックスの配向度を高めると共に、その純度の低下を抑制することができる。このため、より一層高い圧電/電歪特性を有するものとすることができる。更に、セラミックスシートを用いることにより、等方的且つ多面体形状の結晶粒子、例えばサイコロ状に成長する、主成分をPb(Zr1-xTix)O3とする材料であっても、異方形状に粒成長させ、結晶配向性を高めるものとして有効に利用することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
上述した実施形態では、セラミックスシートを解砕し、この解砕した結晶粒子を用いて結晶配向セラミックスを作製するものとしたが、セラミックスシートを解砕することなく用いて結晶配向セラミックスを作製するものとしてもよい。例えば、上述したセラミックスシートと、原料粉体を含む原料粉体シートとを積層して2次成形体を作製する積層工程と、セラミックスシートに含まれる結晶粒子が配向している方向に原料粉体を配向させるよう積層した2次成形体を焼成する第2焼成工程と、を含む製造工程を経て作製することができる。図2は、セラミックスシートを積層して結晶配向セラミックスを作製する一例の説明図である。具体的には、その他の原料粉体(例えば配向していない無機粒子など)と、適宜バインダーや可塑剤などを混合して原料粉体を含む原料ペーストを作製し、この原料ペーストを所定の厚さ、例えば1μm以上20μm以下の範囲の任意の厚さのシート状の原料粉体シート32をスクリーン印刷やドクターブレード法などにより成形する。この原料粉体シート32に、面方向に成長した結晶粒子31を含むセラミックスシート20を積層し(図2(a))、この積層したものを適宜乾燥温度80〜150℃で乾燥する。セラミックスシート20と原料粉体シート32とが交互になるよう積層する工程を、結晶配向セラミックスの必要とされる厚さになるまで繰り返し(図2(b))、2次成形体42(積層体)を作製する(図2(c))。続いて、この2次成形体42を所定の焼成温度で焼成し、結晶粒子22の結晶方向に原料粉体シート32に含まれる原料を粒成長させ、配向結晶52を多数含む結晶配向セラミックス50を得る(図2(d))。この焼成前に所定の仮焼温度(例えば600℃など)で仮焼して脱脂してもよい。この第2焼成工程では、加圧しながら焼成する例えばホットプレスにより、2次成形体42を焼成することが、粒成長及び緻密化をより促進させるためには好ましい。このようにしても、上記と同様に、セラミックスシートを利用して、結晶粒子が配向している方向に他の原料粉体も配向することができるから、配向度の高い結晶配向セラミックスを容易に作製することができる。
以下には、結晶配向セラミックスを具体的に製造した例を説明する。
[実施例1]
(セラミックスシートの作製工程)
粒成長後の組成が0.2Pb(Mg0.33Nb0.67)O3−0.35PbTiO3−0.45PbZrO3に1重量%のNiOを添加した組成比となる合成粉末へ、ZnO−B23−SiO2系ガラス粉末(旭硝子(AGC)製ASF1891)を0.5重量%添加し、ポリポットにこの秤量物とジルコニアボールと分散媒としてイオン交換水とを入れ、ボールミルで16h、湿式混合を行った。得られたスラリーを乾燥機で乾燥したあと、800℃、2hの条件下で仮焼した。この仮焼粉末と、ジルコニアボールと分散媒としてイオン交換水とを入れ、ボールミルで5h湿式粉砕し、乾燥機によって乾燥し、第1無機粒子の粉体を得た。得られた第1無機粒子と、分散媒としてのトルエン、イソプロパノールを等量混合したものに、バインダーとしてポリビニルブチラール(BM−2、積水化学製)、可塑剤(DOP、黒金化成製)と、分散剤(SP−O30、花王製)とを混合し、スラリー状の成形原料を作製した。各原料の使用量は、無機粒子100重量部に対して、分散媒100重量部、バインダー10重量部、可塑剤4重量部及び分散剤2重量部とした。次に、得られたスラリーを、ドクターブレード法によってPETフィルムの上にシート状に乾燥後の厚さが1μmとなるよう成形した。この成形体を、この成形体と同じ成形原料を共存させた状態で600℃、2h脱脂後、1100℃で5h焼成を行った。焼成後、セッターに溶着していない部分を取り出し、結晶配向セラミックスに用いるセラミックスシートを得た。また、粒成長後の組成が0.2Pb(Mg0.33Nb0.67)O3−0.35PbTiO3−0.45PbZrO3に1重量%のNiOを添加した組成比となる合成粉末をポリポットへこの秤量物とジルコニアボールと分散媒としてイオン交換水とを入れ、ボールミルで16h、湿式混合を行った。得られたスラリーを乾燥機で乾燥したあと、800℃、2hの条件下で仮焼して第2無機粒子を得た。
(結晶配向セラミックスの成形工程)
得られたセラミックスシートをアスペクト比が3以下にならない程度に解砕して組成が0.2Pb(Mg0.33Nb0.67)O3−0.35PbTiO3−0.45PbZrO3に1重量%のNiOと0.5重量%のZnO−B23−SiO2系ガラスを添加した結晶粒子の粉体とした。次に、0.2Pb(Mg0.33Nb0.67)O3−0.35PbTiO3−0.45PbZrO3に1重量%のNiOと0.1重量%のZnO−B23−SiO2系ガラスの組成となるように、分散媒としてのトルエン、イソプロパノールを等量混合したものに、上記第1無機粒子の結晶粒子と、第2無機粒子(配向していない原料粉体)と、バインダーとしてポリビニルブチラール(BM−2、積水化学製)、可塑剤(DOP、黒金化成製)と、分散剤(SP−O30、花王製)とを混合し、スラリー状の成形用原料を作製した。各原料の使用量は、第2無機粒子100重量部に対して、結晶粒子30重量部、分散媒100重量部、バインダー10重量部、可塑剤4重量部及び分散剤2重量部とした。次に、得られたスラリーを、減圧下で撹拌して脱泡し、粘度500〜700cPとなるように調製した。スラリーの粘度は、ブルックフィールド社製LVT型粘度計で測定した。得られたスラリーをドクターブレード法により、結晶粒子が一方向に配向し、且つ乾燥後の厚さが100μmとなるように平板状に成形し、室温で乾燥した。更に、得られた平板の200枚を20kg/cm2、80℃にて積層圧着し、結晶配向セラミックスの成形体を得た。
(結晶配向セラミックスの焼成工程)
得られた結晶配向セラミックスの成形体を、この成形体と同じ成形原料を共存させた状態で600℃、2h脱脂後、1100℃で5h焼成を行い、含まれている無機粒子を結晶粒子に沿って粒成長させ、実施例1の結晶配向セラミックスを得た。
[実施例2]
セラミックスシートの作製工程において、粒成長後の組成が0.2Pb(Mg0.33Nb0.67)O3−0.35PbTiO3−0.45PbZrO3に0.5重量%のNiOを添加した組成比となる合成粉末へ、MgOを0.5重量%添加したあと、実施例1と同様の工程を経てPETフィルムの上にシート状に乾燥後の厚さが1μmとなるよう成形した。PETフィルムから剥がした成形体をカッターで50mm角に切り出し、ジルコニアからなるセッター(寸法60mm角、高さ5mm)の中央に載置した。この成形体をマグネシアからなる鞘(寸法90mm角、高さ50mm)に0.2Pb(Mg0.33Nb0.67)O3−0.35PbTiO3−0.45PbZrO3となる組成粉末を5g共存させた状態で600℃、2h脱脂後、1280℃で2h焼成を行ったあと、実施例1と同様の工程を経て結晶配向セラミックスに用いるセラミックスシートを得た。また、0.5重量%のNiOを添加した組成比となる合成粉末とした以外は実施例1と同様の工程を経て第2無機粒子を作製した。続いて、結晶配向セラミックスの成形工程・焼成工程において、得られたセラミックスシートをアスペクト比が3以下にならない程度に解砕し、0.2Pb(Mg0.33Nb0.67)O3−0.35PbTiO3−0.45PbZrO3に0.5重量%のNiOと0.05重量%のMgOの組成となるように第1無機粒子と第2無機粒子とを配合したあと、実施例1と同様の工程を経て、粘度2500〜3000cPとなるようにスラリーを調製した。実施例1と同様の工程を経て結晶配向セラミックスの成形体を作製し、600℃、2h脱脂後、1280℃で3h焼成を行い、実施例2の結晶配向セラミックスを得た。
[実施例3]
セラミックスシートの作製工程において、粒成長後の組成が0.2Pb(Mg0.33Nb0.67)O3−0.35PbTiO3−0.45PbZrO3に0.5重量%のNiOと1.0重量%のMgOとを添加した組成比とした以外は実施例2と同様の工程を経て結晶配向セラミックスに用いるセラミックスシートを得た。また、0.5重量%のNiOを添加した組成比となる合成粉末とした以外は実施例1と同様の工程を経て第2無機粒子を作製した。続いて、結晶配向セラミックスの成形工程・焼成工程において、得られたセラミックスシートをアスペクト比が3以下にならない程度に解砕し、0.2Pb(Mg0.33Nb0.67)O3−0.35PbTiO3−0.45PbZrO3に0.5重量%のNiOと0.1重量%のMgOの組成となるように第1無機粒子と第2無機粒子とを配合したあと、実施例2と同様の工程を経て、実施例3の結晶配向セラミックスを得た。
[比較例1]
焼成後の結晶配向セラミックスの組成が0.2Pb(Mg0.33Nb0.67)O3−0.35PbTiO3−0.45PbZrO3に1重量%のNiOを添加した組成比となる無機粒子(配向していない第2無機粒子)のみを原料粉体として結晶粒子を加えずに、結晶配向セラミックスの成形工程を行った以外は上述した実施例1と同様の工程を行い、比較例1の結晶配向セラミックスを得た。
[X線回折測定、配向度の算出]
実施例1及び比較例1について、XRD回折装置(リガク社製RINT TTRIII)を用い、結晶配向セラミックスの結晶面に対してX線を照射したときのXRD回折パターンを測定した。この測定結果を用い、ロットゲーリング法によって擬立方(100)面の配向度を、擬立方(100),(110),(111)のピークを使用して上述の式(1)を用いて計算した。
[電子顕微鏡撮影]
実施例1〜3のセラミックスシートについて、走査型電子顕微鏡(日本電子製JSM−6390)を用いてSEM写真を撮影した。実施例1のSEM写真を図3に示し、実施例2のSEM写真を図4に示す。図3に示すように、主成分をPb(Zr1-xTix)O3とするものにおいて、平板状に成長した結晶粒子が多数確認された。また、実施例1の結晶配向セラミックスの断面をSEMにより観察し、Pbを50重量%以上含む領域をEPMAによりマッピングし、このマッピングした領域における空孔を除いた結晶粒領域を占めるPbを50重量%以上含む領域の面積を「Pbを50重量%以上含む結晶体の体積%」として求めたところ、0.2Pb(Mg0.33Nb0.67)O3−0.35PbTiO3−0.45PbZrO3を主成分とする結晶(Pbを50重量%以上含む結晶)が98体積%であることが確認された。また、実施例2のセラミックスシートについて、図4に示すように、主成分をPb(Zr1-xTix)O3とするものにおいて、粒界が湾曲し成長した結晶粒子が多数確認された。また、実施例2の結晶配向セラミックスの断面をSEMにより観察し、EPMAによりマッピングし、空孔を除いた結晶粒領域を占めるPbを50重量%以上含む領域を、「Pbを50重量%以上含む結晶体の体積%」として求めたところ、0.2Pb(Mg0.33Nb0.67)O3−0.35PbTiO3−0.45PbZrO3を主成分とする結晶(Pbを50重量%以上含む結晶)が98.5体積%であることが確認された。また、実験例3についても同様に「Pbを50重量%以上含む結晶体の体積%」として求めたところ、0.2Pb(Mg0.33Nb0.67)O3−0.35PbTiO3−0.45PbZrO3を主成分とする結晶(Pbを50重量%以上含む結晶)が98.2体積%であることが確認された。
[電界誘起歪測定]
実施例1及び比較例1について、12mm×3mm×1mmの大きさに加工し、その両面に金スパッタを500μm厚となるように施し、電極形成を行い、これを75℃のシリコーンオイル中で浸漬すると共に、電極間に2kV/mmの直流電界を15分間印加することにより分極させた。分極後の電極の両面上に歪ゲージ(KYOWA製KFGタイプ)を貼付し、4kV/mmの電界を印加したときの、電界と垂直な方向の歪み量を測定し、電極の両面の平均値を電界誘起歪とした。
[測定結果]
測定結果を表1に示す。実施例1では、ロットゲーリング法による配向度が50%と、結晶の配向性が高く、また、電界誘起歪も比較例に対して大きな値を示し、圧電/電歪特性が高いことが明らかとなった。また、配向度を高めるための不要な成分を添加することなく、目的の組成で配向度の高い結晶配向セラミックスが得られることがわかった。また、実施例2、3では、配向度及び電界誘起歪が更に高かった。このため、過剰に添加したMgOは、配向度を高めるだけではなく、結晶格子に取り込まれず、異相として析出されると推察され、圧電特性を劣化させない点でガラス成分よりも添加剤として好ましいことがわかった。
本発明は、圧電体・電歪体の技術分野に利用可能である。
結晶配向セラミックスの製造方法の一例を示す説明図であり、図1(a)がセラミックスシート20の図、図1(b)が2次成形体40の図、図1(c)が結晶配向セラミックス50の図である。 結晶配向セラミックスの製造方法の一例を示す説明図であり、図2(a)がセラミックスシート20と原料粉体シート32とを積層する図、図2(b)がセラミックスシート20と原料粉体シート32とを繰り返し積層する図、図2(c)が積層体である2次成形体42の図、図2(d)が結晶配向セラミックス50の図である。 実施例1のセラミックスシートのSEM写真である。 実施例2のセラミックスシートのSEM写真である。
符号の説明
20 セラミックスシート、22 結晶粒子、30 板状多結晶粒子、32 原料粉体シート、40,42 2次成形体、50 結晶配向セラミックス、52 配向結晶。

Claims (3)

  1. 一般式ABO3で表される酸化物を主成分とし、AサイトにPbを含み、BサイトにZr,Ti,Nb,Mg、Ni及びZnより選ばれる2種以上を含む複数の結晶体を含み、SrTiO3及びBaTiO3の結晶体を含まず、前記複数の結晶体が特定の結晶面を揃えた状態で配向しており、該結晶体の配向度がロットゲーリング法で50%以上である、
    結晶配向セラミックス。
  2. Pbを50重量%以上含む前記結晶体を全体の85体積%以上含む、請求項1に記載の結晶配向セラミックス。
  3. 前記結晶配向セラミックスは、圧電体及び/又は電歪体として用いられる、請求項1又は2に記載の結晶配向セラミックス。
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