JPH08138459A - 超電導性シート及びその製造方法 - Google Patents

超電導性シート及びその製造方法

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JPH08138459A
JPH08138459A JP6297917A JP29791794A JPH08138459A JP H08138459 A JPH08138459 A JP H08138459A JP 6297917 A JP6297917 A JP 6297917A JP 29791794 A JP29791794 A JP 29791794A JP H08138459 A JPH08138459 A JP H08138459A
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JP
Japan
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superconducting
sheet
calcined powder
crystal grains
oxide
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Application number
JP6297917A
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English (en)
Inventor
Naoyuki Ogawa
尚之 小川
Toshio Oda
小田  敏夫
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NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 多数の板形状の結晶粒12を有して、臨界電
流密度が77Kにおいて1,400A/cm2以上であ
る超電導性シート10。結晶粒12は、層状ペロブスカ
イト結晶構造を有するBi系超電導性酸化物から実質的
に構成されていて、層状ペロブスカイト結晶のc軸方向
14が超電導性シート10の厚さ方向18に比較的揃っ
ている。超電導性セラミックス仮焼粉末は板形状を有す
る。仮焼粉末を篩いに通すことでその形状を保持したま
ま、ドクターブレード成形のスラリーに用いて、超電導
性シート10の結晶粒の配向性を高める。 【効果】 臨界電流密度が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、ドクターブレード成
形により得られる超電導性シートの改良に関する。この
超電導性シートは、電流リード、磁場遮蔽材等に用いる
ことができる。
【0002】
【従来の技術】 層状ペロブスカイト結晶構造を有する
酸化物セラミックスでは、液体窒素で冷却できる温度、
即ち、77K以上で超電導を発現するものが知られてい
る。超電導では電気抵抗が消失し、また、磁束線が超電
導体の内部を貫かない。
【0003】 このように臨界温度が77K以上の超伝
導体を電流リード、磁場遮蔽材等として用いるために
は、超伝導体がシート形状を有することが便利である。
そして、シート形状の超電導性セラミックスは、一般に
は、超電導性酸化物の組成に調合した混合粉末を仮焼し
て、この仮焼体を粉砕して、この仮焼粉末をドクターブ
レード成形してグリーンシートとして、次いで、このグ
リーンシートを焼結して得られる。
【0004】 ドクターブレード成形はセラミックスを
シート形状に成形する成形方法の一つである。ドクター
ブレード成形では、セラミックス粉末、バインダー等を
含有するスラリーをドクターブレードで厚さを調整しつ
つキャリアシートに被覆して、グリーンシートに成形す
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 超電導性セラミック
スの仮焼粉末の一次粒子は板形状を有する。しかし、従
来、この仮焼粉末が板形状を有することを技術的に利用
することが見過ごされていた。従来では、ドクターブレ
ード成形に用いる前に仮焼粉末を粉砕して、仮焼粉末を
構成する個々の粒子の角が取れた粒状のものを用いてい
た。そして、粒状の仮焼粉末をドクターブレード成形し
て、焼結しても、焼結後に結晶粒の配向を高めることは
難しかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】 そこで、本発明では、
ドクターブレード成形する超電導性セラミックス仮焼粉
末の形状を、粒状ではなく板形状にすることで、超電導
性シートの結晶粒の配向を高めることとした。具体的に
は、仮焼粉末を篩いに通すことで解砕して、一次粒子の
板形状を保持したまま、ドクターブレード成形すること
とした。これにより、超電導性シートの結晶粒の配向が
高まり、超電導性シートの臨界電流密度が向上する。
【0007】 本発明によれば、多数の結晶粒を有する
超電導性シートであって、当該結晶粒は、層状ペロブス
カイト結晶構造を有する超電導性酸化物から実質的に構
成されていて、当該層状ペロブスカイト結晶のc軸方向
が、当該超電導性シートの厚さ方向に比較的揃ってい
て、当該超電導性シートの臨界電流密度が、77Kにお
いて1,400A/cm2以上であることを特徴とする
超電導性シートが提供される。
【0008】 本発明において、当該結晶粒の面指数
(115)の回折ピークの強度に対する当該結晶粒の面
指数(0010)の回折ピークの強度の比が4以上であ
ることが好ましい。また、当該比が5以上であることが
好ましい。更に、当該比が6以上であることが好まし
い。また、当該超電導性酸化物がビスマスを含有するこ
とが好ましい。更に、当該超電導性酸化物が2223相
であることが好ましい。
【0009】 本発明によれば、所望の組成となるよう
に原料粉末を仮焼して、超電導性酸化物の仮焼粉末を得
て、当該仮焼粉末から板形状の仮焼粉末を得て、当該板
形状の仮焼粉末をドクターブレード成形して、グリーン
シートを得て、次いで、当該グリーンシートを焼結する
ことを特徴とする超電導性シートの製造方法が提供され
る。また、板形状の仮焼粉末を得る方法として、当該仮
焼粉末を篩い通しをすることが好ましい。
【0010】 本発明において、当該グリーンシートが
圧延されてから、上記焼結が行われることが好ましい。
また、当該篩いの目が、100μm以下であることが好
ましい。
【0011】 更に、当該焼結は、当該超電導性酸化物
が分解融解する温度より低い温度に加熱して、更に当該
焼結工程の後に、当該超電導性酸化物が超電導を発現す
るように酸素の化学量論比を調整するために熱処理をす
ることが好ましい。
【0012】
【作用】 図1(b)では、本発明の超電導性シート1
0は、シート形状を有する。超電導性シート10の厚さ
は、矢印18の方向である。図1(a)は、図1(b)
のA−A断面の一部の拡大図を示す。超電導性シート1
0は、多数の結晶粒12を有する。結晶粒12の形状に
異方性があることが好ましく、具体的には、結晶粒12
が板形状であることが好ましい。そして、結晶粒12が
延びる方向は、超電導性シート10が延びる方向と比較
的一致している。
【0013】 各々の結晶粒12は、層状ペロブスカイ
ト結晶構造を有する超電導性酸化物から実質的に構成さ
れている。各々の結晶粒12において、c軸方向14は
ほぼ一定である。そして、本発明では、このc軸方向1
4が超電導性シートの厚さ方向に比較的揃っている。理
想的には、結晶粒12のc軸方向14が、超電導性シー
トの厚さ方向と平行になる。
【0014】 本発明の超電導性シートでは、このよう
に結晶粒12の配向が高い。層状構造を有する超電導性
酸化物では、c軸と垂直になるCu−O面方向に高い電
流密度が流れるから、このように配向の高い超電導性シ
ートでは、優れた超電導特性が得られる。ただし、結晶
粒12は常に単結晶となっているわけではなく、双晶と
なっている場合もある。
【0015】 本発明に用いる超電導性酸化物は、(Bi
1-aPba)2Sr2Ca2Cu3Ox、Bi2Sr2CaCu2Oy等のBi系超電導
性酸化物が好ましい。ここで、aは0〜1である。x及
びyとするのは、酸素の化学量論比が熱処理等により変
化し得るからである。xは7〜8である。yは8.17
〜8.27が好ましく、8.19〜8.22であること
が更に好ましい。
【0016】 超電導性酸化物は層状ペロブスカイト結
晶構造を有する。この要件は、上記のビスマス系超電導
性酸化物が満たす。そして、Bi系超電導性酸化物の結
晶構造の単位格子19において、図1(c)に示すよう
に、c軸の長さ(例えば、25〜50オングストロー
ム)が、c軸と垂直なa軸の長さ(例えば、3〜6オン
グストローム)と比べて長い。この細長い四角柱の形状
を有する単位格子19が主に側面19aを共有するよう
に数多く配列して、結晶粒12を構成すると考えられ
る。単位格子19のc軸方向15は、その結晶粒12の
c軸方向14とほぼ平行であると考えられる。なお、図
1(a)における結晶格子19は、実際より遥かに拡大
してあり、結晶粒12において結晶格子19の配向を示
すためのものである。
【0017】 層状ペロブスカイト結晶構造では超電導
電流に異方性がある。超電導電流は、単位格子のc軸方
向に流れにくく、単位格子のc軸と垂直な方向に流れ易
い。即ち、超電導電流は、面指数が(00l)となる面
(ただし、lは自然数である。)と平行な方向に流れや
すい。従って、各々の結晶粒では層状ペロブスカイト結
晶構造がほぼ揃っているので、超電導電流はある面方向
に流れやすくなる。
【0018】 図2の従来の超電導性シートの結晶粒に
ついて説明して、図1(a)と比較する。結晶粒22
a、22b、22c及び22dが、この順序で隣接す
る。これらの結晶粒22a、22b、22c及び22d
の形状はいずれも粒状である。図2では、結晶粒22
a、22b及び22cでは、これらの層状ペロブスカイ
ト結晶構造のc軸方向24a、24b及び24cが比較
的揃っている。しかし、結晶粒22cに隣接する結晶粒
22dでは、この層状ペロブスカイト結晶構造のc軸方
向24dが他のc軸方向とほぼ垂直である。超電導電流
26は結晶粒22a、22b及び22cを貫くが、結晶
粒22dに遮られる。一方、本発明では結晶粒の配向が
高いので、図2の結晶粒22dのように超電導電流を遮
る結晶粒が極めて少なく、大きな超電導電流が流れる。
【0019】 本発明の超電導性シートでは、77Kに
おける臨界電流密度が1,400A/cm2以上であ
る。この臨界電流密度が1,600A/cm2以上であ
ることが好ましく、1800A/cm2以上であること
が更に好ましい。電流が流れたときにローレンツ力によ
り磁束線が動くことを防止するため、結晶粒はピン中心
を含有することが好ましい。ピン中心としては、例え
ば、白金、ロジウム、リチウム、銀等を含む化合物が粒
子となって結晶粒に分散したものが挙げられる。
【0020】 層状ペロブスカイト結晶のc軸方向が超
電導性シートの厚さ方向に比較的揃っていることは、具
体的には、結晶粒の面指数(115)の回折ピークの強
度に対する結晶粒の面指数(0010)の回折ピークの
強度の比で判断する。この比とは、面指数(115)の
回折ピークの強度を1としたときにおける面指数(00
10)の回折ピークの強度をいう。このc軸方向が超電
導性シートの厚さ方向に全て平行である理想状態のとき
には、この比は無限大となる。一方、このc軸方向が全
くランダムに配向しているときには、この比は3未満と
なる。
【0021】 結晶粒の面指数(0010)とは、結晶
粒を構成する層状ペロブスカイト結晶構造における単位
格子において、xy平面に平行であってz軸方向の単位
格子の高さの1/10に相当する面をいう。他の異相等
の回折パターンと重複することなく、また、強度が強い
回折パターンとして、(0010)の回折パターンが選
ばれた。一方、結晶粒の面指数(115)は、層状ペロ
ブスカイト結晶構造の単位格子のxy平面、yz平面及
びzx平面の何れにも平行ではない平面である。X線結
晶構造解析で回折ピークを同定し易い面を選んだもので
ある。
【0022】 本発明の製造方法では、ドクターブレー
ド成形でシート形状を付与する。そして、板形状を有す
る超電導性セラミックス仮焼粉末を篩いに通すことによ
り、板形状を保持したままドクターブレード成形のスラ
リーに用いることで、超電導性シートの結晶粒の配向性
を高める。
【0023】 本発明の製造方法を仮焼工程、篩い工
程、ドクターブレード成形工程及び焼結工程に分けて説
明する。仮焼工程では、原料粉末を所望の超電導性酸化
物の組成となるように調合して、混合して、この混合物
を仮焼する。混合方法は、湿式でも乾式でもよい。例え
ば、Bi系超電導性酸化物のときには、Bi、Pb、S
r、Ca、Cu等の金属化合物の原料粉末を調合する。
【0024】 金属化合物は、これらの金属の酸化物、
炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、クエン酸
塩、シュウ酸塩、過酸化物等を出発原料に用いることが
できる。また、仮焼をするための混合物は、液相反応法
により得てもよい。即ち、異なる金属を含有する化合物
を2種以上、適当な溶媒に溶解又は分散させ、次いで、
沈澱させて、粉末を得てもよい。液相反応法では、金属
イオンが、一旦、溶液に溶解又は分散しているので、こ
の液相状態で2種以上の金属イオンが、均一に混合でき
る。液相反応法は、主に、沈澱法、加水分解法、ゾルゲ
ル法等がある。また、沈澱法又は加水分解法に、ゾルゲ
ル法を組み合わせることができる。
【0025】 仮焼をするための混合物は、更に添加剤
を含有してもよい。例えば、Bi系超電導性酸化物の場
合には、銀化合物、リチウム化合物、鉛化合物、白金化
合物等が挙げられる。混合物は、超電導性酸化物に対し
て銀元素が2〜10重量%となるように銀化合物を含有
してもよい。銀化合物としては、銀単体粉末、酸化銀、
硝酸銀及び塩化銀等が挙げられる。
【0026】 混合物は、超電導性酸化物に対してリチ
ウム元素が0.2〜0.5重量%となるようにリチウム
化合物を含有してもよい。リチウム化合物としては、塩
化リチウム、フッ化リチウム、炭酸リチウム等が挙げら
れる。フッ化リチウム又は炭酸リチウムが好ましい。混
合物は、超電導性酸化物に対して白金元素が4重量%以
下、好ましくは2重量%以下となるように白金化合物を
含有してもよい。
【0027】 この混合物は、830〜900℃の温度
で大気中にて仮焼する。仮焼時間は、2〜20時間が好
ましい。この仮焼及び粉砕からなる工程を数回、繰り返
し、これらの元素の分散を高めてもよい。
【0028】 次に、仮焼した粉末を篩いに通す。仮焼
粉末は、通常は、一次粒子が凝集した二次粒子の形態を
していると考えられる。大部分の一次粒子の粒径は、1
0μm〜100μmの範囲に分布する。しかし、仮焼後
は、これらの一次粒子の多くは、互いに凝集して二次粒
子を形成するため、100μmの篩いの目を通り抜ける
ことができないものもある。そこで、篩い上の粉体を手
の指の腹で少し圧力をかけて押し潰すと、二次粒子が分
解して一次粒子となる。また、Bi2223相等から構
成される一次粒子はc軸に垂直な面で剥離し易いので、
この剥離も起きていると考えられる。これらの機構によ
り、一次粒子は篩いの目を通ることができる。しかし、
かける圧力は十分に小さいので、機械粉砕と異なって、
一次粒子の角を欠いて、粒状にはしない。
【0029】 図3は、篩いを通した仮焼粉末の走査型
電子顕微鏡写真である。粉末は、実質的に(Bi1-aPba)2S
r2Ca2Cu3Oxからなる。図3では、粒子は板形状を有して
いて、粒径が10μm前後の粒子が多い。粒径が5〜2
0μmの粒子が70体積%以上である。篩いを通った仮
焼粉末は、ドクターブレード成型用のスラリーに用いら
れる。スラリーには、目的に応じた組成に調整するた
め、この仮焼粉末の他にバインダー、可塑剤及び溶媒が
含有する。スラリーに用いるバインダーとしては、エチ
ルセルロース、アビエチン酸レジン、ポリビニルブチラ
ール等が挙げられる。
【0030】 また、可塑剤としては、アビエチン酸誘
導体;ジエチルシュウ酸、ポリエチレングリコール、ポ
リアルキレングリコール、フタル酸エステル、フタル酸
ジブチル等のエステルが挙げられる。バインダー又は可
塑剤を適宜選択することにより、グリーンテープが可塑
性を有するようにすることができる。解膠剤としては、
グリセリン等の多価アルコール、オクタデシルアミン等
の有機アミン;トリクロロ酢酸、オレイン酸等のカルボ
ン酸;オレイン酸エチル、モノオレイン酸グリセリン、
トリオレイン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリ
ン等のエステル;メンセーデン油等が挙げられる。
【0031】 図4は、ドクターブレード成形の説明図
である。ドクターブレード41と壁42がキャリアシー
ト48の上に設けられて、スラリー44を保持するため
のスラリータンクを形成する。ドクターブレード41の
先端41aは鋭利な刃であり、キャリアシート48との
間には、一定の隙間43がある。一方、壁42とキャリ
アシート48との間には、このような隙間がなく、スラ
リー44が漏れない。
【0032】 キャリアシート48が矢印49の方向に
動くにつれて、隙間43よりスラリーが流れ出して、グ
リーンシート46がキャリアシート48を被覆する。グ
リーンシート46が乾燥する前は、グリーンシート46
の厚さは隙間43と同じである。即ち、グリーンシート
46の厚さは隙間43で制御できる。グリーンシート4
6を乾燥した後、キャリアシート48よりグリーンシー
ト46を剥離する。こうして、キャリアシート48を連
続的に動かすことで、一定の厚さのグリーンシートが連
続的に得られる。なお、キャリアシートの材料として
は、鋼鉄、ポリエチレン、テフロン、酢酸セルロース等
が挙げられる。
【0033】 図5は、図4のBの拡大図であり、ドク
ターブレード成形工程で仮焼粉末が配向する機構を定性
的に説明するものである。仮焼粉末の個々の粒子は板形
状を有する。そして、グリーンシート46を形成するス
ラリーの流れのなかで、板形状の粒子52aが直立した
まま流れていくことは困難である。それよりも、粒子5
2bのように水平になって流れる確率の方が遥かに高
い。これにより、グリーンシートでは粒子が水平方向に
配向し易くなる。なお、図5で粒子52a及び52bの
大きさは隙間43と比べて拡大してある。
【0034】 グリーンシートは、更にロールプレス等
で圧延されることが好ましい。グリーンシートが厚さ方
向に圧縮されるように圧力がかかることで、板形状であ
る一次粒子が更に横方向に配向するからである。なお、
グリーンシートは、バインダー等を調節することで、ロ
ールプレス機にかけるために塑性を持たせることができ
る。
【0035】 焼結工程では、グリーンシートを加熱す
る工程と冷却する工程とがある。焼結工程では、ある程
度大きな一次粒子、例えば、粒径が20μm以上のもの
はそのまま結晶粒になると考えられるが、小さな結晶
粒、例えば、粒径が10μm以下のものは成長して、よ
り大きな結晶粒を形成すると考えられる。
【0036】 焼結工程では、まず、グリーンシートを
超電導性酸化物が分解融解するより低い温度に加熱する
ことが好ましい。加熱温度は超電導性酸化物の種類によ
り適宜調節する。Bi系超電導性酸化物では、例えば、
800℃〜860℃が好ましい。分解融解する温度以上
で超電導性酸化物は、その組成を維持できなくなり、液
相と固相とに分離する。焼結工程の雰囲気は、酸素濃度
が2体積%以上、好ましくは20体積%以下であっても
よい。20体積%以下なので、大気中も含まれる。
【0037】 超電導性酸化物がBi系超電導性酸化物
のときには、焼結工程の後に、緻密化するために等方加
圧成形を焼結体に施すことが好ましい。Bi系超電導性
酸化物は、焼結をしてもさほど緻密にならないからであ
る。例えば、1000kgf/cm2以上の圧力をかけ
ることが好ましい。ここで、1kgfは9.8ニュート
ンに相当する。
【0038】 焼結工程の後に、超電導性酸化物が超電
導を発現するように酸素の化学量論比を調整するため
に、熱処理サイクルを1回以上施すことが好ましい。熱
処理サイクルは、例えばBi系超電導性酸化物のときに
は、750〜860℃に加熱する工程と、750〜86
0℃に保持する工程と、次いで、750℃より低い温度
に冷却する工程からなる。加熱工程での昇温速度は、例
えば、1分当たり、1〜10℃である。熱処理サイクル
は好ましくは1回〜5回、更に好ましくは3回〜5回施
す。
【0039】 熱処理サイクルにおいて、当該組成物が
750〜860℃であるときの雰囲気は、大気、主に酸
素と窒素とからなる雰囲気、酸素雰囲気、又は、窒素雰
囲気であることが好ましい。主に酸素と窒素とからなる
雰囲気とは、大気に含有する程度の二酸化炭素、一酸化
炭素、アルゴン、窒素酸化物等のガスが含有していても
よい雰囲気をいい、酸素と窒素との混合比は、大気の値
とは限らない。これらの雰囲気は、臨界温度及び臨界電
流密度が向上するため、酸素分圧と雰囲気全体の圧力と
の比が0.25以下であることが更に好ましく、大気は
この条件に該当する。酸素分圧と雰囲気全体の圧力との
比が、0.1以下であることが更に好ましく、0.01
以下であることが更になお好ましい。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。ただし、本発明は下記実施例により制限されるもの
ではない。
【0041】(実施例1;比較例1〜3)超電導性酸化
物からなる仮焼粉末を製造した。Bi23、PbO、S
rCO3、CaCO3、CuOの各粉末を、Bi:Pb:
Sr:Ca:Cuがモル比で1.8:0.4:2.1:
1.9:2.2の割合となるように秤量した。これらの
粉末をエタノールを溶媒としてジルコニアボールを用い
て5時間湿式混合した後、乾燥した。得られた混合粉末
を850℃、大気中で50時間仮焼した。
【0042】 この仮焼粉末の粉砕方法のみを実施例1
及び比較例1〜3で異ならしめた。実施例1では、この
仮焼粉末を、篩いの目が70μmである篩いを通して粉
砕した。この際に、篩い上の仮焼粉末を手の指の腹で少
し圧力をかけて押し潰した。比較例1では、湿式ポット
ミルで3時間粉砕した。比較例2では、乾式ポットミル
で3時間粉砕した。比較例3では、自動乳鉢で3時間粉
砕した。これらの篩いを通した仮焼粉末を走査型電子顕
微鏡で観察して、形状を特定した。図3は、実施例1の
仮焼粉末についての走査型電子顕微鏡写真である。粒径
は、最も長い対角線とした。この結果を表1にまとめ
る。
【0043】
【表1】
【0044】(実施例2、比較例5)超電導性シートを
作成した。実施例2では、実施例1で得られた仮焼粉末
を用いた。比較例5では、比較例1で得られた仮焼粉末
を用いた。粉砕した仮焼粉末、トルエン、酢酸エチル、
ポリビニルブタナール(PVB)が、100:35:3
8:15の割合となるように混合して、4種類のドクタ
ーブレード用スラリーを調整した。図4の装置を用い
て、乾燥前の厚さが2.5mmのグリーンシートを成形
した。このグリーンシートを乾燥後、30mm×30m
mに切り出した。大気中500℃に加熱してバインダー
を除去して、次いで、850℃で焼成した。その後に2
000kg重の静水圧加圧成形をした。
【0045】 また、このサンプルの表面において、幅
15mm、長さ20mmの長方形部分についてX線回折
法で分析した。自動記録式X線回折装置として、理学電
機(株)製、RAD-1Bを用いて、2θを測定軸として連続
測定した。X線は、波長が1.3418オングストロー
ムであるCu−Kα線を用い、Cu−Kβ線はモノクロ
メーターを用いて除去した。X線管球への印加電圧は3
5kV、管電流は15mAとした。
【0046】 X線回折装置のスリット系の条件とし
て、発散スリットを1°、散乱スリットを1°、受光ス
リットを0.3mmと設定した。ゴニオメーターの条件
として、回折角2θが15〜50゜の範囲となるように
設定し、サンプリング角度を0.020°とし、スキャ
ンスピードを2.0°/分とした。
【0047】 2θが23.9°のピークが2223相
の(0010)面の回折ピークである。また、2θが2
6.2°のピークが2223相の(115)面の回折ピ
ークである。そして、(115)面の回折ピークの高さ
に対する(0010)面の回折ピークの高さの比を配向
度とした。即ち、配向度とは、(115)面の回折ピー
クの高さを1としたときにおける(0010)面の回折
ピークの高さをいう。
【0048】 X線回折測定後に、酸素6%の雰囲気で
820℃に100時間保持して熱処理した。得られた超
電導性シートを幅0.7mmで切り出し、四端子法によ
り77Kにおける臨界電流密度を測定した。これらの結
果を表2にまとめる。
【0049】
【表2】
【0050】 実施例2と比較例5とを比較すると、実
施例2の超電導性シートの方が、遥かに高い物性を示し
た。仮焼粉末を篩いで粉砕することが重要であることが
分かる。
【0051】(比較例6)比較例6では、実施例1で得
られた仮焼粉末を用いて、超電導性シートを作成した。
しかし、実施例2と異なって、ドクターブレード成形を
するのではなく、プレス成形によりシート形状に成形し
た。これ以外の実験条件は、実施例2と同一である。実
施例2と比較例6とを比較すると、同一の仮焼粉末を用
いたのにもかかわらず、実施例2の超電導性シートの方
が遥かに高い物性を示した。本発明に係るドクターブレ
ード成形が、プレス成形より優れていることが分かる。
【0052】(実施例3、比較例7)実施例1で得られ
た仮焼粉末を用いて、実施例2と同様にして、ドクター
ブレード成形によりグリーンシートを得た。このグリー
ンシートを幅5cm、長さ15cmに切り出し、次い
で、ロールプレス機を用いて圧延した。一回の圧延で厚
さが約0.8倍になるように、ロールプレス機のロール
間隙を調整した。サンプルにより圧延回数を変化させ
た。得られたシートを30mm×30mmのサンプルを
切り出した。圧延工程の後は、実施例2と同一の条件で
焼結工程及び熱処理工程を行った。この結果を表3にま
とめる。表3における臨界電流密度の測定条件は、表1
と同一である。
【0053】
【表3】
【0054】 表3より、圧延を繰り返すことにより物
性が向上することが分かる。圧延により超電導性シート
の結晶粒がより配向するからである。比較例7では、比
較例1で得られた仮焼粉末を用いて、実施例3と同一の
条件で超電導性シートを作成した。
【0055】
【発明の効果】 本発明の超電導性シートは結晶粒の配
向が高いので、77Kにおける臨界電流密度が1,40
0A/cm2以上に向上する。本発明の超電導性シート
の製造方法は篩いを通した仮焼粉末をドクターブレード
成形するので、超電導性シートの結晶粒の配向が高ま
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)は、図1(b)のA−A断面の一
部の拡大説明図である。図1(b)は、超電導性シート
の斜視図である。
【図2】 従来の超電導性シートの結晶粒についての説
明図である。
【図3】 篩いを通した仮焼粉末の粒子の構造を示す走
査型電子顕微鏡写真である。
【図4】 ドクターブレード成形工程を説明するための
断面図である。
【図5】 図4のBを拡大した断面図である。
【符号の説明】
10・・・超電導性シート、12・・・結晶粒、14・・・c軸
方向、16・・・超電導電流、18・・・超電導性シートの厚
さ方向、22a・・・結晶粒、22b・・・結晶粒、22c・・
・結晶粒、22d・・・結晶粒、24a・・・c軸方向、24
b・・・c軸方向、24c・・・c軸方向、24d・・・c軸方
向、26・・・超電導電流、41・・・ドクターブレード、4
1a・・・先端、42・・・壁、43・・・隙間、44・・・スラリ
ー、46・・・グリーンシート、48・・・キャリアシート

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の結晶粒を有する超電導性シートで
    あって、 当該結晶粒は、層状ペロブスカイト結晶構造を有する超
    電導性酸化物から実質的に構成されていて、当該層状ペ
    ロブスカイト結晶のc軸方向が、当該超電導性シートの
    厚さ方向に比較的揃っていて、 当該超電導性シートの臨界電流密度が、77Kにおいて
    1,400A/cm2以上であることを特徴とする超電
    導性シート。
  2. 【請求項2】 当該結晶粒の面指数(115)の回折ピ
    ークの強度に対する当該結晶粒の面指数(0010)の
    回折ピークの強度の比が4以上であることを特徴とする
    請求項1に記載の超電導性シート。
  3. 【請求項3】 当該比が5以上であることを特徴とする
    請求項2に記載の超電導性シート。
  4. 【請求項4】 当該比が6以上であることを特徴とする
    請求項3に記載の超電導性シート。
  5. 【請求項5】 当該超電導性酸化物がビスマスを含有す
    ることを特徴とする上記請求項のいずれかに記載の超電
    導性シート。
  6. 【請求項6】 当該超電導性酸化物が2223相である
    ことを特徴とする請求項5に記載の超電導性シート。
  7. 【請求項7】 所望の組成となるように原料粉末を仮焼
    して、超電導性酸化物の仮焼粉末を得て、 当該仮焼粉末から板形状の仮焼粉末を得て、 当該板形状の仮焼粉末をドクターブレード成形して、グ
    リーンシートを得て、次いで、 当該グリーンシートを焼結することを特徴とする超電導
    性シートの製造方法。
  8. 【請求項8】 板形状の仮焼粉末を得る方法として、当
    該仮焼粉末を篩い通しをすることを特徴とする請求項7
    に記載の超電導性シートの製造方法。
  9. 【請求項9】 当該グリーンシートが圧延されてから、
    上記焼結が行われることを特徴とする請求項7又は8に
    記載の超電導性シートの製造方法。
  10. 【請求項10】 当該篩いの目が、100μm以下であ
    ることを特徴とする請求項7、8又は9に記載の超電導
    性シートの製造方法。
  11. 【請求項11】 当該焼結工程では、当該超電導性酸化
    物が分解融解する温度より低い温度に加熱して、 更に当該焼結工程の後に、当該超電導性酸化物が超電導
    を発現するように酸素の化学量論比を調整するために熱
    処理をすることを特徴とする請求項7〜10の何れかに
    記載の超電導性シートの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010018511A (ja) * 2008-03-21 2010-01-28 Ngk Insulators Ltd 板状多結晶粒子
JP2010018510A (ja) * 2007-12-27 2010-01-28 Ngk Insulators Ltd 結晶配向セラミックス
JP2010153404A (ja) * 2008-03-21 2010-07-08 Ngk Insulators Ltd 圧電/電歪膜型素子

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