以下、図面を参照して本発明に係る液体吐出記録ヘッドの製造方法の一例が適用される液体吐出記録ヘッドを備える記録装置に係る実施形態を説明する。
なお、以下に説明する実施形態では、インクジェット記録方式を用いた記録装置としてプリンタを例に挙げ説明する。
そして、本明細書において、「プリント」(「記録」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広くプリント媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も言うものとする。
ここで、「プリント媒体」とは、一般的なプリント装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板等、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能な物も言うものとする。
さらに、「インク」(「液体」という場合もある)とは、上記「プリント」の定義と同様広く解釈されるべきもので、プリント媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成またはプリント媒体の加工、或いはインクの処理(例えばプリント媒体に付与されるインク中の色材の凝固または不溶化)に供され得る液体を言うものとする。
[装置本体]
図8及び図9にインクジェット記録方式を用いたプリンタの概略構成を示す。図8において、この実施形態におけるプリンタの装置本体M1000の外殻は、下ケースM1001、上ケースM1002、アクセスカバーM1003及び排出トレイM1004を含む外装部材と、その外装部材内に収納されたシャーシM3019(図9参照)とから構成される。
シャーシM3019は、所定の剛性を有する複数の板状金属部材によって構成され、記録装置の骨格をなし、後述の各記録動作機構を保持するものとなっている。
また、前記下ケースM1001は装置本体M1000の外装の略下半部を、上ケースM1002は装置本体M1000の外装の略上半部をそれぞれ形成しており、両ケースの組合せによって内部に後述の各機構を収納する収納空間を有する中空体構造をなしている。装置本体M1000の上面部及び前面部には、それぞれ、開口部が形成されている。
さらに、排出トレイM1004は、その一端部が下ケースM1001に回転自在に保持され、その回転によって下ケースM1001の前面部に形成される前記開口部を開閉させ得るようになっている。このため、記録動作を実行させる際には、排出トレイM1004を前面側へと回転させて開口部を開成させることにより、ここから記録シートが排出可能となると共に排出された記録シートPを順次積載し得るようになっている。また、排紙トレイM1004には、2枚の補助トレイM1004a,M1004bが収納されており、必要に応じて各トレイを手前に引き出すことにより、用紙の支持面積を3段階に拡大、縮小させ得るようになっている。
アクセスカバーM1003は、その一端部が上ケースM1002に回転自在に保持され、上面に形成される開口部を開閉し得るようになっており、このアクセスカバーM1003を開くことによって本体内部に収納されている記録ヘッドカートリッジH1000あるいはインクタンクH1900等の交換が可能となる。なお、ここでは特に図示しないが、アクセスカバーM1003を開閉させると、その裏面に形成された突起がカバー開閉レバーを回転させるようになっており、そのレバーの回転位置をマイクロスイッチなどで検出することにより、アクセスカバーの開閉状態を検出し得るようになっている。
また、上ケースM1002の後部上面には、電源キーE0018及びレジュームキーE0019が押下可能に設けられると共に、LED E0020が設けられており、電源キーE0018を押下すると、LED E0020が点灯し記録可能であることをオペレータに知らせるものとなっている。また、LED E0020は点滅の仕方や色の変化をさせたり、プリンタのトラブル等をオペレータに知らせる等種々の表示機能を有する。さらに、ブザーE0021(図7)をならすこともできる。なお、トラブル等が解決した場合には、レジュームキーE0019を押下することによって記録が再開されるようになっている。
[記録動作機構]
次に、プリンタの装置本体M1000に収納、保持される本実施形態における記録動作機構について説明する。
本実施形態における記録動作機構としては、記録シートPを装置本体内へと自動的に給送する自動給送部M3022と、自動給送部から1枚ずつ送出される記録シートPを所定の記録位置へと導くと共に、記録位置から排出部M3030へと記録シートPを導く搬送部M3029と、記録位置に搬送された記録シートPに所望の記録を行なう記録部と、前記記録部等に対する回復処理を行う回復部(M5000)とから構成されている。
(記録部)
ここで、記録部について説明するに、その記録部は、キャリッジ軸M4021によって移動可能に支持されたキャリッジM4001と、このキャリッジM4001に着脱可能に搭載される記録ヘッドカートリッジH1000とからなる。
記録ヘッドカートリッジ
まず、記録部に用いられる記録ヘッドカートリッジについて図10〜11に基づき説明する。
この実施形態における記録ヘッドカートリッジH1000は、図10に示すようにインクを貯留するインクタンクH1900と、このインクタンクH1900から供給されるインクを記録情報に応じてノズルから吐出させる記録ヘッドH1001とを有する。記録ヘッドH1001は、後述するキャリッジM4001に対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式を採るものとなっている。
ここに示す記録ヘッドカートリッジH1000では、写真調の高画質なカラー記録を可能とするため、インクタンクとして、例えば、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ及びイエローの各色独立のインクタンクH1900が用意されており、図11に示すように、それぞれが記録ヘッドH1001に対して着脱自在となっている。
そして,記録ヘッドH1001は、図2の分解斜視図に示すように、記録素子基板H1100、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300、第2のプレートH1400、タンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、シールゴムH1800、および、パッキン部材H2000から構成されている。
記録素子基板H1100には、図17に示されるように、Si基板の片面にインクを吐出するための複数の記録素子(電気熱変換素子)H1103と、各記録素子H1103に電力を供給するAl等の電気配線とが成膜技術により形成され、この記録素子に対応した複数のインク流路と複数の吐出口H1100Tとがフォトリソグラフィ技術により形成されると共に、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。また、記録素子基板H1100は、第1のプレートH1200に接着固定されており、ここには、記録素子基板H1100にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。さらに、第1のプレートH1200には、開口部H1400aを有する第2のプレートH1400が接着固定されており、この第2のプレートH1400を介して、電気配線基板H1300が記録素子基板H1100に対して電気的に接続されるよう保持されている。この電気配線基板H1300は、記録素子基板H1100にインクを吐出するための電気信号を印加するものであり、記録素子基板H1100に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有しており、外部信号入力端子H1301は、後述のタンクホルダーH1500の背面側に位置決め固定されている。
一方、インクタンクH1900を着脱可能に保持するタンクホルダーH1500には、流路形成部材H1600が例えば、超音波溶着により固定され、インクタンクH1900から第1のプレートH1200に亘るインク流路の一部を形成している。また、インクタンクH1900と係合するインク流路H1501のインクタンク側端部には、フィルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。また、インクタンクH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
さらに、前述のようにタンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700及びシールゴムH1800から構成されるタンクホルダー部と、前記記録素子基板H1100、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300及び第2のプレートH1400から構成される記録素子部とを、パッキン部材H2000を介して結合することにより、記録ヘッドH1001を構成している。
(キャリッジ)
次に、図9を参照して記録ヘッドカートリッジH1000を搭載するキャリッジM4001を説明する。
図9に示すように、キャリッジM4001には、キャリッジM4001と係合し記録ヘッドH1001をキャリッジM4001上の所定の装着位置に案内するためのキャリッジカバーM4002と、記録ヘッドH1001のタンクホルダーH1500と係合し記録ヘッドH1001を所定の装着位置にセットさせるよう押圧するヘッドセットレバーM4007とが設けられている。
すなわち、ヘッドセットレバーM4007はキャリッジM4001の上部にヘッドセットレバー軸に対して回動可能に設けられると共に、記録ヘッドH1001との係合部には、ばね付勢されるヘッドセットプレート(不図示)が備えられ、このばね力によって記録ヘッドH1001を押圧しながらキャリッジM4001に装着する構成となっている。
また、キャリッジM4001の記録ヘッドH1001との別の係合部にはコンタクトフレキシブルプリントケーブル(図13参照、以下、コンタクトFPCと称す)E0011が設けられ、コンタクトFPC E0011上のコンタクト部と記録ヘッドH1001に設けられたコンタクト部(外部信号入力端子)H1301とが電気的に接触し、記録のための各種情報の授受や記録ヘッドH1001への電力の供給などを行い得るようになっている。
ここでコンタクトFPC E0011のコンタクト部とキャリッジM4001との間には不図示のゴムなどの弾性部材が設けられ、この弾性部材の弾性力とヘッドセットレバーばねによる押圧力とによってコンタクト部とキャリッジM4001との確実な接触を可能とするようになっている。さらに前記コンタクトFPC E0011はキャリッジM4001の背面に搭載されたキャリッジ基板E0013に接続されている(図13参照)。
[スキャナ]
この実施形態におけるプリンタは、上述した記録ヘッドカートリッジH1000の代わりにキャリッジM4001にスキャナを装着することで読取装置としても使用することができる。
このスキャナは、プリンタ側のキャリッジM4001と共に主走査方向に移動し、記録媒体に代えて給送された原稿画像をその主走査方向への移動の過程で読み取るようになっており、その主走査方向の読み取り動作と原稿の副走査方向の給送動作とを交互に行うことにより、1枚の原稿画像情報を読み取ることができる。
図12の(a)および(b)は、このスキャナM6000の概略構成を説明するために、スキャナM6000を上下逆にして示す図である。
図示のように、スキャナホルダM6001は、略箱型の形状であり、その内部には読み取りに必要な光学系・処理回路などが収納されている。また、このスキャナM6000をキャリッジM4001へと装着した時に、原稿面と対面する部分には読取部レンズM6006が設けられており、このレンズM6006により原稿面からの反射光を内部の読取部に収束することで原稿画像を読み取るようになっている。一方、照明部レンズM6005は内部に不図示の光源を有し、その光源から発せられた光がレンズM6005を介して原稿へと照射される。
スキャナホルダM6001の底部に固定されたスキャナカバーM6003は、スキャナホルダM6001内部を遮光するように嵌合し、側面に設けられたルーバー状の把持部によってキャリッジM4001への着脱操作性の向上を図っている。スキャナホルダM6001の外形形状は記録ヘッドH1001と略同形状であり、キャリッジM4001へは記録ヘッドカートリッジH1000と同様の操作で着脱することができる。
また、スキャナホルダM6001には、読取り処理回路を有する基板が収納される一方、この基板に接続されたスキャナコンタクトPCBが外部に露出するよう設けられており、キャリッジM4001へとスキャナM6000を装着した際、スキャナコンタクトPCB M6004がキャリッジM4001側のコンタクトFPC E0011に接触し、基板を、キャリッジM4001を介して本体側の制御系に電気的に接続させるようになっている。
[プリンタの電気回路の構成]
次に、本発明の実施形態における電気的回路構成を説明する。
図13は、この実施形態における電気的回路の全体構成例を概略的に示す図である。
この実施形態における電気的回路は、主にキャリッジ基板(CRPCB)E0013、メインPCB(Printed Circuit Board)E0014、電源ユニットE0015等によって構成されている。
ここで、電源ユニットE0015は、メインPCB E0014と接続され、各種駆動電源を供給するものとなっている。
また、キャリッジ基板E0013は、キャリッジM4001(図9)に搭載されたプリント基板ユニットであり、コンタクトFPC E0011を通じて記録ヘッドとの信号の授受を行うインターフェースとして機能する他、キャリッジM4001の移動に伴ってエンコーダセンサE0004から出力されるパルス信号に基づき、エンコーダスケールE0005とエンコーダセンサE0004との位置関係の変化を検出し、その出力信号をフレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメインPCB E0014へと出力する。
さらに、メインPCBE0014はこの実施形態におけるインクジェット記録装置の各部の駆動制御を司るプリント基板ユニットであり、紙端検出センサ(PEセンサ)E0007、ASF(自動給紙装置)センサE0009、カバーセンサE0022、パラレルインターフェース(パラレルI/F)E0016、シリアルインターフェース(シリアルI/F)E0017、リジュームキーE0019、LED E0020、電源キーE0018、ブザーE0021等に対するI/Oポートを基板上に有する。またさらに、キャリッジM1400を主走査させるための駆動源をなすモータ(CRモータ)E0001、記録媒体を搬送するための駆動源をなすモータ(LFモータ)E0002、記録ヘッドの回動動作と記録媒体の給紙動作に兼用されるモータ(PGモータ)E0003と接続されてこれらの駆動を制御する他、インクエンプティセンサE0006、GAPセンサE0008、PGセンサE0010、CRFFC E0012、電源ユニットE0015との接続インターフェイスを有する。
図14は、メインPCB E0014の内部構成を示すブロック図である。図において、E1001はCPUであり、このCPU E1001は内部に発振回路E1005に接続されたクロックジェネレータ(PCG) E1002を有し、その出力信号E1019によりシステムクロックを発生する。また、制御バスE1014を通じてROM E1004およびASIC(Application Specific Integrated Circuit) E1006に接続され、ROMに格納されたプログラムに従って、ASIC E1006の制御、電源キーからの入力信号E1017、及びリジュームキーからの入力信号E1016、カバー検出信号E1042、ヘッド検出信号(HSENS)E1013の状態の検知を行ない、さらにブザー信号(BUZ)E1018によりブザーE0021を駆動し、内蔵されるA/DコンバータE1003に接続されるインクエンプティ検出信号(INKS)E1011及びサーミスタによる温度検出信号(TH)E1012の状態の検知を行う一方、その他各種論理演算・条件判断等を行ない、インクジェット記録装置の駆動制御を司る。
ここで、ヘッド検出信号E1013は、記録ヘッドカートリッジH1000からフレキシブルフラットケーブルE0012、キャリッジ基板E0013及びコンタクトフレキシブルプリントケーブルE0011を介して入力されるヘッド搭載検出信号であり、インクエンプティ検出信号E1011はインクエンプティセンサE0006から出力されるアナログ信号、温度検出信号E1012はキャリッジ基板E0013上に設けられたサーミスタ(図示せず)からのアナログ信号である。
E1008はCRモータドライバであって、モータ電源(VM)E1040を駆動源とし、ASIC E1006からのCRモータ制御信号E1036に従って、CRモータ駆動信号E1037を生成し、CRモータE0001を駆動する。E1009はLF/PGモータドライバであって、モータ電源E1040を駆動源とし、ASIC E1006からのパルスモータ制御信号(PM制御信号)E1033に従ってLFモータ駆動信号E1035を生成し、これによってLFモータを駆動すると共に、PGモータ駆動信号E1034を生成してPGモータを駆動する。
E1010は電源制御回路であり、ASIC E1006からの電源制御信号E1024に従って発光素子を有する各センサ等への電源供給を制御する。パラレルI/F E0016は、ASIC E1006からのパラレルI/F信号E1030を、外部に接続されるパラレルI/FケーブルE1031に伝達し、またパラレルI/FケーブルE1031の信号をASIC E1006に伝達する。シリアルI/F E0017は、ASIC E1006からのシリアルI/F信号E1028を、外部に接続されるシリアルI/FケーブルE1029に伝達し、また同ケーブルE1029からの信号をASIC E1006に伝達する。
一方、電源ユニットE0015からは、ヘッド電源(VH)E1039及びモータ電源(VM)E1040、ロジック電源(VDD)E1041が供給される。また、ASIC E1006からのヘッド電源ON信号(VHON)E1022及びモータ電源ON信号(VMOM)E1023が電源ユニットE0015に入力され、それぞれヘッド電源E1039及びモータ電源E1040のON/OFFを制御する。電源ユニットE0015から供給されたロジック電源(VDD)E1041は、必要に応じて電圧変換された上で、メインPCB E0014内外の各部へ供給される。
またヘッド電源信号E1039は、メインPCB E0014上で平滑化された後にフレキシブルフラットケーブルE0011へと送出され、記録ヘッドカートリッジH1000の駆動に用いられる。
E1007はリセット回路で、ロジック電源電圧E1041の低下を検出して、CPU E1001及びASIC E1006にリセット信号(RESET)E1015を供給し、初期化を行なう。
このASIC E1006は1チップの半導体集積回路であり、制御バスE1014を通じてCPU E1001によって制御され、前述したCRモータ制御信号E1036、PM制御信号E1033、電源制御信号E1024、ヘッド電源ON信号E1022、及びモータ電源ON信号E1023等を出力し、パラレルI/F E0016およびシリアルI/F E0017との信号の授受を行なう他、PEセンサE0007からのPE検出信号(PES)E1025、ASFセンサE0009からのASF検出信号(ASFS)E1026、記録ヘッドと記録媒体とのギャップを検出するためのセンサ(GAP)センサE0008からのGAP検出信号(GAPS)E1027、PGセンサE0010からのPG検出信号(PGS)E1032の状態を検知して、その状態を表すデータを制御バスE1014を通じてCPU E1001に伝達し、入力されたデータに基づきCPU E1001はLED駆動信号E1038の駆動を制御してLEDE0020の点滅を行なう。
さらに、エンコーダ信号(ENC)E1020の状態を検知してタイミング信号を生成し、ヘッド制御信号E1021で記録ヘッドカートリッジH1000とのインターフェイスをとり記録動作を制御する。ここにおいて、エンコーダ信号(ENC)E1020はフレキシブルフラットケーブルE0012を通じて入力されるCRエンコーダセンサE0004の出力信号である。また、ヘッド制御信号E1021は、フレキシブルフラットケーブルE0012、キャリッジ基板E0013、及びコンタクトFPC E0011を経て記録ヘッドH1000に供給される。
図15は、ASIC E1006の内部構成例を示すブロック図である。
なお、同図において、各ブロック間の接続については、記録データやモータ制御データ等、ヘッドや各部機構部品の制御にかかわるデータの流れのみを示しており、各ブロックに内蔵されるレジスタの読み書きに係わる制御信号やクロック、DMA制御にかかわる制御信号などは図面上の記載の煩雑化を避けるため省略している。
図中、E2002はPLLコントローラであり、図9に示すようにCPU E1001から出力されるクロック信号(CLK)E2031及びPLL制御信号(PLLON)E2033により、ASIC E1006内の大部分へと供給するクロック(図示しない)を発生する。
また、E2001はCPUインターフェース(CPUI/F)であり、リセット信号E1015、CPU E1001から出力されるソフトリセット信号(PDWN)E2032、クロック信号(CLK)E2031及び制御バスE1014からの制御信号により、以下に説明するような各ブロックに対するレジスタ読み書き等の制御や、一部ブロックへのクロックの供給、割り込み信号の受け付け等(いずれも図示しない)を行ない、CPU E1001に対して割り込み信号(INT)E2034を出力し、ASIC E1006内部での割り込みの発生を知らせる。
また、E2005はDRAMであり、記録用のデータバッファとして、受信バッファE2010、ワークバッファE2011、プリントバッファE2014、展開用データバッファE2016などの各領域を有すると共に、モータ制御用としてモータ制御バッファE2023を有し、さらにスキャナ動作モード時に使用するバッファとして、上記の各記録用データバッファに代えて使用されるスキャナ取込みバッファE2024、スキャナデータバッファE2026、送出バッファE2028などの領域を有する。
また、このDRAM E2005は、CPU E1001の動作に必要なワーク領域としても使用されている。すなわち、E2004はDRAM制御部であり、制御バスによるCPU E1001からDRAM E2005へのアクセスと、後述するDMA制御部E2003からDRAM E2005へのアクセスとを切り替えて、DRAM E2005への読み書き動作を行なう。
DMA制御部E2003では、各ブロックからのリクエスト(図示せず)を受け付けて、アドレス信号や制御信号(図示せず)、書込み動作の場合には書込みデータE2038、E2041、E2044、E2053、E2055、E2057などをDRAM制御部E2004に出力してDRAMアクセスを行なう。また読み出しの場合には、DRAM制御部E2004からの読み出しデータE2040、E2043、E2045、E2051、E2054、E2056、E2058、E2059を、リクエスト元のブロックに受け渡す。
また、E2006は、IEEE 1284I/Fであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、パラレルI/F E0016を通じて、図示しない外部ホスト機器との双方向通信インターフェイスを行なう他、記録時にはパラレルI/F E0016からの受信データ(PIF受信データE2036)をDMA処理によって受信制御部E2008へと受け渡し、スキャナ読み取り時にはDRAM E2005内の送出バッファE2028に格納されたデータ(1284送信データ(RDPIF)E2059)をDMA処理によりパラレルI/Fに送信する。
E2007は、ユニバーサルシリアルバス(USB)I/Fであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、シリアルI/F E0017を通じて、図示しない外部ホスト機器との双方向通信インターフェイスを行なう他、印刷時にはシリアルI/F E0017からの受信データ(USB受信データE2037)をDMA処理により受信制御部E2008に受け渡し、スキャナ読み取り時にはDRAM E2005内の送出バッファE2028に格納されたデータ(USB送信データ(RDUSB)E2058)をDMA処理によりシリアルI/F E0017に送信する。受信制御部E2008は、1284I/F E2006もしくはUSBI/F E2007のうちの選択されたI/Fからの受信データ(WDIF)E2038)を、受信バッファ制御部E2039の管理する受信バッファ書込みアドレスに、書込む。
E2009は圧縮・伸長DMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPUE1001の制御により、受信バッファE2010上に格納された受信データ(ラスタデータ)を、受信バッファ制御部E2039の管理する受信バッファ読み出しアドレスから読み出し、そのデータ(RDWK)E2040を指定されたモードに従って圧縮・伸長し、記録コード列(WDWK)E2041としてワークバッファ領域に書込む。
E2013は記録バッファ転送DMAコントローラで、CPUI/F E2001を介したCPU E1007の制御によってワークバッファE2011上の記録コード(RDWP)E2043を読み出し、各記録コードを、記録ヘッドカートリッジH1000へのデータ転送順序に適するようなプリントバッファE2014上のアドレスに並べ替えて転送(WDWP E2044)する。また、E2012はワーククリアDMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御によって記録バッファ転送DMAコントローラ E2013による転送が完了したワークバッファ上の領域に対し、指定したワークフィルデータ(WDWF)E2042を繰返し書込む。
E2015は記録データ展開DMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド制御部E2018からのデータ展開タイミング信号E2050をトリガとして、プリントバッファ上に並べ替えて書込まれた記録コードと展開用データバッファE2016上に書込まれた展開用データとを読み出し、展開記録データ(RDHDG)E2045をカラムバッファ書込みデータ(WDHDG)E2047としてカラムバッファE2017に書込む。ここで、カラムバッファE2017は、記録ヘッドカートリッジH1000への転送データ(展開記録データ)を一時的に格納するSRAMであり、記録データ展開DMAコントローラE2015とヘッド制御部E2018とのハンドシェーク信号(図示せず)によって両ブロックにより共有管理されている。
E2018はヘッド制御部で、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド制御信号を介して記録ヘッドカートリッジH1000またはスキャナとのインターフェイスを行なう他、エンコーダ信号処理部E2019からのヘッド駆動タイミング信号E2049に基づき、記録データ展開DMAコントローラに対してデータ展開タイミング信号E2050の出力を行なう。
また、印刷時には、前記ヘッド駆動タイミング信号E2049に従って、カラムバッファから展開記録データ(RDHD)E2048を読み出し、そのデータをヘッド制御信号E1021として記録ヘッドカートリッジH1000に出力する。
スキャナ読み取りモードにおいては、ヘッド制御信号E1021として入力された取込みデータ(WDHD)E2053をDRAM E2005上のスキャナ取込みバッファE2024へとDMA転送する。E2025はスキャナデータ処理DMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、スキャナ取込みバッファE2024に蓄えられた取込みバッファ読み出しデータ(RDAV)E2054を読み出し、平均化等の処理を行なった処理済データ(WDAV)E2055をDRAM E2005上のスキャナデータバッファE2026に書込む。
E2027はスキャナデータ圧縮DMAコントローラで、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、スキャナデータバッファE2026上の処理済データ(RDYC)E2056を読み出してデータ圧縮を行ない、圧縮データ(WDYC)E2057を送出バッファE2028に書込み転送する。
E2019はエンコーダ信号処理部であり、エンコーダ信号(ENC)を受けて、CPU E1001の制御で定められたモードに従ってヘッド駆動タイミング信号E2049を出力する他、エンコーダ信号E1020から得られるキャリッジM4001の位置や速度にかかわる情報をレジスタに格納して、CPU E1001に提供する。CPU E1001はこの情報に基づき、CRモータE0001の制御における各種パラメータを決定する。また、E2020はCRモータ制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、CRモータ制御信号E1036を出力する。
E2022はセンサ信号処理部で、PGセンサE0010、PEセンサE0007、ASFセンサE0009、及びGAPセンサE0008等から出力される各検出信号E1033,E1025,E1026,E1027を受けて、CPU E1001の制御で定められたモードに従ってこれらのセンサ情報をCPU E1001に伝達する他、LF/PGモータ制御用DMAコントローラ E2021に対してセンサ検出信号E2052を出力する。
LF/PGモータ制御用DMAコントローラE2021は、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、DRAM E2005上のモータ制御バッファE2023からパルスモータ駆動テーブル(RDPM)E2051を読み出してパルスモータ制御信号E1033を出力する他、動作モードによっては前記センサ検出信号を制御のトリガとしてパルスモータ制御信号E1033を出力する。
また、E2030はLED制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、LED駆動信号E1038を出力する。さらに、E2029はポート制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド電源ON信号E1022、モータ電源ON信号E1023、及び電源制御信号E1024を出力する。
[プリンタの動作]
次に、上記のように構成されたインクジェット記録装置の動作を図16のフローチャートに基づき説明する。
AC電源に装置本体1000が接続されると、まず、ステップS1では装置の第1の初期化処理を行なう。この初期化処理では、本装置のROMおよびRAMのチェックなどの電気回路系のチェックを行ない、電気的に本装置が正常に動作可能であるかを確認する。
次にステップS2では、装置本体M1000の上ケースM1002に設けられた電源キーE0018がONされたかどうかの判断を行い、電源キーE0018が押された場合には、次のステップS3へと移行し、ここで第2の初期化処理を行う。
この第2の初期化処理では、本装置の各種駆動機構及び記録ヘッドのチェックを行なう。すなわち、各種モータの初期化やヘッド情報の読み込みを行うに際し、装置が正常に動作可能であるかを確認する。
次にステップS4ではイベント待ちを行なう。すなわち、本装置に対して、外部I/Fからの指令イベント、ユーザ操作によるパネルキーイベントおよび内部的な制御イベントなどを監視し、これらのイベントが発生すると当該イベントに対応した処理を実行する。
例えば、ステップS4で外部I/Fからの印刷指令イベントを受信した場合には、ステップS5へと移行し、同ステップでユーザ操作による電源キーイベントが発生した場合にはステップS10へと移行し、同ステップでその他のイベントが発生した場合にはステップS11へと移行する。
ここで、ステップS5では、外部I/Fからの印刷指令を解析し、指定された紙種別、用紙サイズ、印刷品位、給紙方法などを判断し、その判断結果を表すデータを本装置内のRAM E2005に記憶し、ステップS6へと進む。
次いでステップS6ではステップS5で指定された給紙方法により給紙を開始し、用紙を記録開始位置まで送り、ステップS7に進む。
ステップS7では記録動作を行なう。この記録動作では、外部I/Fから送出されてきた記録データを、一旦記録バッファに格納し、次いでCRモータE0001を駆動してキャリッジM4001の主走査方向への移動を開始すると共に、プリントバッファE2014に格納されている記録データを記録ヘッドH1001へと供給して1行の記録を行ない、1行分の記録データの記録動作が終了するとLFモータE0002を駆動し、LFローラM3001を回転させて用紙を副走査方向へと送る。この後、上記動作を繰り返し実行し、外部I/Fからの1ページ分の記録データの記録が終了すると、ステップ8へと進む。
ステップS8では、LFモータE0002を駆動し、排紙ローラM2003を駆動し、用紙が完全に本装置から送り出されたと判断されるまで紙送りを繰返し、終了した時点で用紙は排紙トレイM1004a上に完全に排紙された状態となる。
次にステップS9では、記録すべき全ページの記録動作が終了したか否かを判定し、記録すべきページが残存する場合には、ステップS5へと復帰し、以下、前述のステップS5〜S9までの動作を繰り返し、記録すべき全てのページの記録動作が終了した時点で記録動作は終了し、その後ステップS4へと移行し、次のイベントを待つ。
一方、ステップS10ではプリンタ終了処理を行ない、本装置の動作を停止させる。つまり、各種モータやヘッドなどの電源を切断するために、電源を切断可能な状態に移行した後、電源を切断しステップS4に進み、次のイベントを待つ。
また、ステップS11では、上記以外の他のイベント処理を行なう。例えば、本装置の各種パネルキーや外部I/Fからの回復指令や内部的に発生する回復イベントなどに対応した処理を行なう。なお、処理終了後にはステップS4に進み、次のイベントを待つ。
なお、本発明が有効に用いられる一形態は、電気熱変換体が発生する熱エネルギーを利用して液体に膜沸騰を生じさせ気泡を形成する形態である。
記録ヘッドH1001について、さらに詳細に説明する。
記録ヘッドH1001は、電気信号に応じて膜沸騰をインクに対して生じせしめるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体を用いて記録を行うバブルジェット方式のサイドシュータ型とされる記録ヘッドである。
記録ヘッドH1001は、図1の分解斜視図に示すように、記録素子ユニットH1002とタンクホルダーユニットH1003とから構成される。さらに、図2の分解斜視図に示すように、記録素子ユニットH1002は、記録素子基板H1100、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300、および第2のプレートH1400で構成されており、また、タンクホルダーユニットH1003は、タンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、パッキン部材H200、6個のフィルターH1700、および、6個のシールゴムH1800から構成されている。
(記録素子ユニット)
記録素子基板H1100は、例えば、図17に示されるように、サイドシュータタイプとされ、1枚の基板で構成されている。基板において、2列で千鳥掛け状に形成される複数の吐出口H1100Tは、例えば、各インク色ごとに約1200dpi程度に形成されており、異なるインク色のインクをそれぞれ吐出するものとされる。
記録素子基板H1100は、例えば、その表面に薄膜が形成されているSi基板1101と、基板1101上に形成されるオリフィスプレートH1112とから構成されている。
基板1101は、例えば、厚さ0.5〜1(mm)とされ、6色のインク流路として長溝状の貫通口からなるインク供給口H1102が6列互いに平行に一体に形成されている。隣接するインク供給口H1102の相互間距離は、例えば、約2.5mmに設定されている。このように相互間距離が比較的小とされるので記録ヘッドの小型化が図られることとなる。各々のインク供給口H1102の両側には、記録素子としての電気熱変換素子H1103がそれぞれ1列ずつ千鳥状に複数個、例えば、各インク色ごとに約1200dpi程度に配列形成されている。
基板1101上に形成される複数の電気熱変換素子H1103および各電気熱変換素子H1103に電力を供給するAl等の電気配線(図17において図示が省略される)は、成膜技術により形成されている。また、その電気配線に電力を供給するための電極部H1104は、電気熱変換素子H1103の配列方向に対して直交する方向の端部に沿って形成されている。電極部H1104は、金等のバンプH1105が複数個、上述の電気配線基板H1300の電極端子H1302にそれぞれ対応して設けられている。インク供給口H1102は、例えば,Si基板1101の結晶方位を利用して、異方性エッチングを行うことにより形成される。
また、基板H1101上に形成されるオリフィスプレートH1112には、各電気熱変換素子H1103に対応したインク流路を形成するためのインク流路壁H1106と吐出口1100Tとがフォトリソグラフィ技術により形成される。従って、隣接する吐出口1100Tは、互いにインク流路壁H1106により仕切られることとなる。
各インク供給口H1102から供給される6色のインクにそれぞれ対応した6列の吐出口H1100T列が一体に1枚のオリフィスプレートH1112に形成されている。吐出口H1100T列は、電気熱変換素子H1103の配列と同様に、千鳥状に複数個、例えば、各インク色ごとに約1200dpi程度に配列形成されている。即ち、吐出口H1100Tは、電気熱変換素子H1103に対向して設けられている。
図2に示される第1のプレートH1200は、例えば、厚さ0.5〜10mmのアルミナ(Al2O3)材料で形成されている。なお、第1のプレートの素材は、アルミナに限られることなく、記録素子基板H1100の材料の線膨張率と同等の線膨張率を有し、かつ、記録素子基板H1100材料の熱伝導率と同等もくしは同等以上の熱伝導率を有する材料で作られてもよい。第1のプレートH1200の素材は、例えば、シリコン(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、ジルコニア、窒化珪素(Si3N4)、炭化珪素(SiC)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)のうちいずれであってもよい。第1のプレートH1200には、記録素子基板H1100に6色のインクを供給するための6つのインク供給口H1201が形成されている。記録素子基板H1100の6つのインク供給口H1102が第1のプレートH1200の6つのインク供給口H1201にそれぞれ対応して位置決めされ、かつ、記録素子基板H1100は第1のプレートH1200に対して位置精度良く接着固定される。接着に用いられる第1の接着剤H1202は、第1のプレートH1200上に略記録素子基板形状で、しかも、隣り合うインク供給口間にエアーパスが発生しないように塗布される。その第1の接着剤H1202は、例えば、粘度が比較的低く、接触面に形成される接着層が薄く、かつ、硬化後、比較的高い硬度を有し、かつ、耐インク性のあるものが望ましい。その第1の接着剤H1202は、例えば、エポキシ樹脂を主成分とした熱硬化接着剤であり、接着層の厚みは50μm以下が望ましい。
第1のプレートH1200は、突起部H1200Aを両端部にそれぞれ有している。突起部H1200Aは、上述のタンクホルダーH1500の基準端面部H1502aおよび1502bにそれぞれ係合される基準面としての係合面H1200aを有している。突起部H1200Aは、その側面部に対して略垂直に、即ち、タンクホルダーH1500の移動方向に沿って突出している。また、タンクホルダーH1500の位置決めピンIPに対応した位置に、位置決めピンIPの先端が係合される透孔H1200dが形成されている。
電気配線基板H1300は、図2および図17に示されるように、記録素子基板H1100に対してインクを吐出するための電気信号を印加するものであり、記録素子基板H1100を組み込むための開口部H1300aと、記録素子基板H1100の電極部H1104に対応する電極端子H1302と、この配線端部に位置し本体装置からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301を有している。
電気配線基板H1300の開口部H1300aは、第1のプレートH1200上に配される記録素子基板H1100および第2のプレートH1400の開口部H1400aに対応している。
電気配線基板H1300と記録素子基板H1100とは、電気的に接続されている。その接続方法は、例えば、記録素子基板H1100の電極部H1104と電気配線基板H1300の電極端子H1302との間に熱硬化接着樹脂を塗布後、前記記録素子基板H1100の電極部H1104と前記電気配線基板H1300の電極端子H1302とをヒートツールにて一括で加熱加圧されて、熱硬化接着樹脂を硬化させることにより、電極部H1104と電極端子H1302とは電気的に一括接続される。また、熱硬化接着樹脂としては、導電粒子を含んだ異方性導電接着剤を用いた場合も、同様に可能である。本実施例の構成において、例えば、ニッケルの単粒子径が2〜6μmの導電粒子とエポキシ樹脂を主成分とする接着剤で構成される異方性導電接着膜を用いて、記録素子基板H1100の電極部H1104と電気配線基板H1300の金メッキされた電極端子H1302を、温度170〜250℃で加熱圧着したところ、好適に電気接続された。
電気配線基板H1300の素材としては、例えば、配線が二層構造のフレキシブル配線基板が使用され、表層はレジストフィルムで覆われている。また、外部信号入力端子H1301の裏面側には、補強板H1303が接着され、外部信号入力端子H1301の平面性を向上させている。補強板H1303の素材としては、例えば0.5〜2mmのガラスエポキシ樹脂、アルミ等の耐熱性のある材料が使用される。
第2のプレートH1400は、例えば、厚さ0.5〜1mmのアルミナ(Al2O3)材料で形成されている。なお、第2のプレートの素材は、アルミナに限られることなく、記録素子基板H1100及び第1のプレートH1200と同等の線膨張率を有し、かつ、それらの熱伝導率と同等もしくは同等以上の熱伝導率を有する材料で作られてもよい。そして、第2のプレートH1400は、第1のプレートH1200に接着固定された記録素子基板H1100の外形寸法よりも大きな開口部を有する形状となっている。また、記録素子基板H1100と電気配線基板H1300とを平面的に電気接続できるように、第2のプレートH1400が第1のプレートH1200に第2の接着剤H1203により接着されている。一方、電気配線基板H1300の裏面も、第3の接着剤H1306により第2のプレートH1400に接着固定される。また、電気配線基板H1300は、第2のプレートH1400に接着されると同時に、第1のプレートH1200及び第2のプレートH1400の一側面で折り曲げられ、第1のプレートH1200の側面に第3の接着剤H1306で接着される。第2の接着剤H1203は、例えば、粘度が低く、接触面に形成される接着層が薄く、かつ、耐インク性のあるものが使用される。また、第3の接着剤H1306は、例えば、エポキシ樹脂を主成分とした厚さ10〜100μmの熱硬化接着膜が使用される。
以上のように構成された記録素子ユニットH1002の記録素子基板H1100と電気配線基板H1300との電気接続部分は、図1に示されるように、第1の封止剤(不図示)及び第2の封止剤H1308により封止され、電気接続部分をインクによる腐食や外的衝撃から保護している。第1の封止剤は、主に記録素子基板H1100の外周部分を封止し、第2の封止剤は、電気配線基板H1300の開口部のエッジを封止している。また、折り曲げられた電気配線基板H1300は、タンクホルダーH1500の背面形状に合わせて、さらに、フォーミングされる。
(タンクホルダーユニット)
タンクホルダーH1500は、例えば、樹脂成形により形成される。該樹脂材料には、形状的剛性を向上させるためにガラスフィラーを5〜40%混入した樹脂材料を使用することが望ましい。タンクホルダーH1500は、上述したように、着脱自在のインクタンクH1900を保持するものであり、インクタンクH1900のタンク位置決めピン、第1の爪、第2の爪、第3の爪をそれぞれ係合するタンク位置決め穴1520、第1の穴(不図示)、第2の穴(不図示)、第3の穴1521、及び、インク残量検知に使用するプリズムのための開口部H1506を図1に示されるように有している。
また、タンクホルダーH1500は、記録ヘッドカートリッジH1000をインクジェット記録装置本体のキャリッジM4001に装着位置に案内するための装着ガイドH1507、記録ヘッドカートリッジをヘッドセットレバーによりキャリッジに装着固定するための係合部、及びキャリッジの所定の装着位置に位置決めするためのX突き当て部H1509、Y突き当て部H1510、およびZ突き当て部H1511を備えている。タンクホルダーH1500は、記録素子ユニットH1002の外部信号入力端子H1301部分を位置決め固定する端子固定部H1512を有している。端子固定部H1512及びその周囲には複数のリブが設けられているので、端子固定部H1512を有する面の剛性が高められている。また、各インクタンクH1900が装着される各セル相互間には、各色の混色を防止するリブH1516が設けられている。また、タンクホルダーH1500の側面には、手掛かり部H1513が設けられることにより、記録ヘッドH1001のハンドリング性が向上されている。
また、タンクホルダーH1500は、インクタンクH1900から記録素子ユニットH1002にインクを導くためのインク流路H1501を形成するタンクホルダーユニットH1003の一構成部品である。流路形成部材H1600がタンクホルダーH1500に超音波溶着されることにより、インク流路H1501が形成されている。また、インクタンクH1900と係合するジョイント部には、外部からのゴミの進入を防ぐためのフィルターH1700が熱溶着により接合されており、さらに、ジョイント部H1517からのインクの蒸発を防止するために、シールゴムH1800が装着されている。フィルターH1700は、例えば、空孔径10μm以下のSUS繊維を焼結したフィルターとされ、ドーム状にフォーミングし熱溶着でジョイント部H1518に固定されている。その際、そのドーム状の凸量としては、0.1〜0.5(mm)程度となる最大の曲率半径の形状が好ましい。
このようなフィルターH1700を設けることにより、外部からの塵の進入に対して効果的であるばかりでなく、各ジョイント部とインクタンクH1900との接続も良好となる。
タンクホルダーH1500において、流路形成部材H1600が挿入され固定される部分には、図11に示されるように、一端が上述のインク供給孔H1520に連通し、他端が流路形成部材H1600のインク流路の開口端に対応して形成される溝状のインク流路H1521がそれぞれ、各インクタンクH1900に対応して形成されている。従って、各インク流路H1521の他端の相互間隔が、一端の相互間隔に比して小となるように、各インク流路H1521の他端は、流路形成部材H1600のインク流路の開口端に対応して集合している。タンクホルダーH1500における固定される部分に流路形成部材H1600の当接面が接合されることにより、各インクタンクH1900からの各インクをそれぞれ流路形成部材H1600の各インク流路に供給するインク供給路が形成されることとなる。
また、流路形成部材H1600が挿入され固定される部分には、流路形成部材H1600および第1のプレートH1200に係合される位置決め用のピンIPが植立されている。
さらに、タンクホルダーH1500は、外部信号入力端子H1301が位置決め固定される背面側の下端部に、基準端面部H1502aおよび1502bを有している。基準端面部H1502aおよび1502bは、それぞれ、流路形成部材H1600が挿入され固定される部分の周縁を形成する壁部における同一平面上に形成されている。従って、基準端面部H1502aおよび1502bは、同一平面上に形成されているので成形加工時、同時に成形することが容易となる。
また、基準端面部H1502aおよび1502bは、それぞれ、流路形成部材H1600が挿入され固定される部分の周縁に形成される切欠き部H1503aおよびH1503bを通じて側方に連通している。さらに、基準端面部H1502aおよび1502bが形成される壁部の中央には、第1のプレートH1200の端部が係合される切欠部H1504が形成されている。
流路形成部材H1600は、パッキン部材H2000を介して組み合わされる第1のプレートH1200に対向する面側に、第1のプレートH1200の両端部を挟持する突起片H1600aおよびH1600bを有している。
その際、タンクホルダーH1500に固定された突起片H1600aおよびH1600bとタンクホルダーH1500の基準端面部H1502aおよび1502bとの間には、第1のプレートH1200の突起部H1200Aがそれぞれ係合される所定の隙間が形成されることなる。
また、相対向する突起片H1600aと突起片H1600bとの間には、図4および図5の(A)および(B)に示されるように、パッキン部材2000のインク流路H2000aおよびH2000b、および、上述の各インク流路H1521の他端にそれぞれ対応して連通孔H1600dが所定の相互間隔で互いに平行に一直線上に形成されている。各連通孔H1600dの開口端部において、パッキン部材H2000が接着剤なしに当接される側の周縁には、円形状の縁H1600eがそれぞれ他の部分に対して隆起して形成されている。各縁H1600eは、パッキン部材H2000と係合されるとき、パッキン部材H2000の各インク流路H2000bに係合するものとされる。即ち、各連通孔H1600dは、パッキン部材H2000を介して第1のプレートH1200内に連通されることとなる。
パッキン部材H2000は、ゴム材料、例えば、ガス透過性の低い塩素化ブチルゴムで硬度(JIS K6301 Aスケール)が40度以上〜50度以下となるように作られている。
本例の場合、パッキン部材H2000は、硬度45度の塩素化ブチルゴムで厚さ約2.5mmに作られている。パッキン部材H2000は、その軸線方向に所定の圧縮力が作用する場合、例えば、図6に示されるように、変位するものとされる。
図6は、縦軸に反発力σ(N)、横軸に圧縮量δ(mm)をとり、圧縮量δに応じた反発力σの特性を示す。反発力σは、圧縮量δが増大するにつれた所定の勾配で比例して増大し、反発力σが10(N)、圧縮量δが0.5mmを越えるとき、反発力σは、圧縮量δの増大に応じてさらに大きな勾配で増大するものとされる。流路形成部材H1600と第1のプレートH1200との間に作用するパッキン部材H2000の当接圧を設定するにあたっては、上述の硬度45度の塩素化ブチルゴムと第1のプレートH1200及び流路形成部材H1600の密着性について検証を行い決定された。
なお、その検証方法としては、パッキン部材H2000が実際に上述の記録ヘッドカートリッジH1000の構成部品として組付けられた後、所定の負圧による吸引動作に基づくリークテストおよび、その相互間の接着性が目視により確認された。図1に示される流路形成部材H1600の所定位置に塗布される接着剤は、エポキシ系接着剤(商品名HP−2R/2H、キヤノン化成社製)が使用された。その結果、図6に示される特性のパッキン部材H2000において、当接圧(反発力σ)が5(N)から10(N)の範囲で、リークテストおよび、その接着性について問題は生じなかった。
また、接着する部位を後述の表面処理を行った場合、後述の各接着剤の接着力の向上が確認されており、パッキン部材H2000の反発力σが30(N)の場合においても接着が可能であった。
これは、第1のプレート部材H1200を流路形成部材H1600から引き離す方向に作用されるその弾性力とそれと同一方向に作用する電気配線基板H1300の弾性力との和がその接着剤の接着力よりも小となるからである。
従って、パッキン部材H2000の反発力σは5(N)以上30(N)以下、好ましくは、5(N)以上10(N)以下の範囲に設定される。
本例では、パッキン部材H2000が流路形成部材H1600と第1のプレートH1200との間に配されるとき、パッキン部材H2000の当接圧(反発力σ)が好適に作用させるため、その圧縮量δが0.3mm以上0.5mm以下となるように設定されている。
従って、図6から明らかなように、パッキン部材H2000により、5(N)以上10(N)以下の反力が流路形成部材H1600と第1のプレートH1200との間に作用することとなる。
パッキン部材H2000は、流路形成部材H1600の各縁H1600eがそれぞれ嵌合されるインク流路H2000bを6個有している。また、そのインク流路H2000bは、その内径よりも小なる内径を有するインク流路H2000aに連なり連通している。インク流路H2000bの開口端部の周縁には、流路形成部材H1600の各縁H1600eの周囲を形成する平坦面に当接する環状のリップ部H2000pが形成されている。一方、インク流路H2000aの開口端部の周縁には、第1のプレートH1200の表面に当接する環状のリブ部H2000rが形成されている。従って、パッキン部材H2000は、第1のプレートH1200の表面に対しリブ部H2000rのみを介して接触することとなる。
リブ部H2000rは、例えば、幅W、高さHがそれぞれ、0.3mm、0.15mmとされる三角形の断面形状を有している。
(記録ヘッドユニットとタンクホルダーユニットとの結合)
先述した通り、記録ヘッドH1001は、図3に示されるように、記録素子ユニットH1002がタンクホルダーユニットH1003に結合されることにより完成する。結合は以下のように行われる。
記録素子ユニットH1002のインク供給口(第1のプレートH1200のインク供給口H1201)とタンクホルダーユニットH1003のインク供給口(流路形成部材H1600のインク供給口)とをパッキン部材H2000を介して連通させるように第7の接着剤H1605を、図1に示されるように、流路形成部材H1600の複数の箇所に塗布し、第1のプレートH1200と流路形成部材H1600とが接着固定される。第7の接着剤H1605は、例えば、上述したエポキシ系接着剤(商品名HP−2R/2H、キヤノン化成社製)が使用された。第7の接着剤H1605の接着力は、例えば、30(N)以上とされる。
従って、上述したように、パッキン部材H2000の反発力が5N以上10N以下とされ、それと同一方向に作用される電気配線基板H1300の弾性力が15(N)程度とされるので第1のプレートH1200と流路形成部材H1600とは第7の接着剤H1605により確実に接着されることとなる。
また、記録素子ユニットH1002をタンクホルダーユニットH1003に第7の接着剤H1605で接着する際に、記録素子ユニットH1002は、図1に示される流路形成部材H1600の所定箇所に塗布される第6の接着剤H1604で位置決め仮固定される。第6の接着剤H1604は、瞬時に硬化する接着剤が望ましく、本実施例においては、例えば、紫外線硬化接着剤を使用しているが、他の接着剤でも構わない。
第7の接着剤H1605は、耐インク性があり、かつ、常温で硬化し、かつ、異種材料間の線膨張差に耐えられる柔軟性のあるいずれの接着剤であってもよい。
記録素子ユニットH1002の外部信号入力端子H1301部分は、タンクホルダーH1500の一側面に、端子位置決めピンH1515(2ケ所)と端子位置決め穴H1309(2ケ所)とにより位置決めされ、固定される。固定方法は、例えば、タンクホルダーH1500に設けられた端子結合ピンH1516(6箇所)と、電気配線基板H1300の外部信号入力端子H1301周辺に設けられた端子結合穴H1310(6箇所)とをはめ合わされ、端子結合ピンH1516を熱溶着することにより固定しているが、その他の固定手段を用いても良い。
その際、第6の接着剤H1604の接着力は、第7の接着剤H1605の接着力に比して小である20(N)程度とされるので図7に示される板ばねとされる保持部材H2100により、所定期間、例えば、約12時間、第1のプレートH1200が流路形成部材H1600に対して保持される。
保持部材H2100は、図7に示されるように、タンクホルダーH1500に固定された電気配線基板H1300の両側部にそれぞれ係止される二股状の第1の係止部H1200aと、タンクホルダーH1500の略中央部分の隣接するふたつの開口部H1506内に挿入されて係合される第2の係止部H2100cと、第1の係止部H1200aと第2の係止部H2100cとを連結するとともに、電気配線基板H1300における記録素子H1100の周囲を押圧する押圧部H2100dとから構成されている。
保持部材H2100は、第1のプレートH1200が流路形成部材H1600から引き離される方向、即ち、矢印の示す方向に作用される付勢力に抗して第1のプレートH1200の接着状態を維持するものとされる。保持部材H2100は、その付勢力が約50以上100(N)以下の範囲にある場合、第1のプレートH1200の接着状態を維持するものとされる。
従って、記録素子ユニットH1002がタンクホルダーユニットH1003に結合されるにあたり、記録素子ユニットH1002のインク供給口(第1のプレートH1200のインク供給口H1201)とタンクホルダーユニットH1003のインク供給口(流路形成部材H1600のインク供給口)とが接着剤なしにパッキング部材H2000を介して結合されるのでその塗布量を管理するといった品質管理が不要とされ、記録ヘッドを迅速にかつ容易に組立てることができる。
上述の例において、さらに、タンクホルダーH1500の各被接着面が結合される前に、その各被接着面に対し改質処理が施されても良い。改質処理としては、酸素プラズマ、または、コロナ放電処理が好ましい。本例においては、高周波コロナ表面処理装置(AGI−02S,300W,春日電機社製)で約30秒間処理された。コロナ放電処理とは、空気中に設置した電極間に高周波、高電圧を印加し発生する電子を、その電極間に配されるワークの表面に衝突させることにより、その表面に活性基が発生し接着力が高められる処理をいう。
これにより、上述の第6の接着剤H1604の接着力が約50(N)まで高められ、第7の接着剤H1605の接着力が約200(N)まで高められた。
従って、このように結合前に改質処理がなされることにより、上述のような保持部材H2100が不要とされることとなる。その結果、製造において、量産性が向上することとなる。