JP4564636B2 - 記録ヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は記録ヘッドおよび該記録ヘッドを用いることができるインクジェット記録装置に関し、詳しくは、記録ヘッドの液路においてインク吐出に伴って行われるインクリフィルのための構成に関するものである。
【0002】
なお、本発明は、一般的なプリント装置のほか、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリント部を有するワードプロセッサ等の装置、さらには、各種処理装置と複合的に組み合わされた産業用記録装置に適用することができる。
【0003】
【従来の技術】
従来、紙、布、プラスチックシート、OHP用シート等の被記録媒体(以下では、単に「記録紙」ともいう)に対して記録を行なう記録装置は、種々の記録方式、例えばワイヤードット方式、感熱方式、熱転写方式、インクジェット方式による記録ヘッドを用いた形態として提供されている。
【0004】
これらの方式の中で、インクジェット記録方式は、記録ヘッドのインク吐出用の微細な孔(以下、「吐出口」という)からインクを吐出し、このインクを記録情報に応じて記録紙に付着させて記録を行うものであり、比較的高速の記録が可能であり、また、普通紙等に手軽に記録できるといった種々の利点を有している。
【0005】
また、インクジェット方式はインク滴の形成方法および吐出エネルギの発生方法により、コンテニュアス方式(電荷粒子制御方式およびスプレー方式が含まれる)とオンデマンド方式(ピエゾ方式、スパーク方式およびバブルジェット方式が含まれる)とに大きく分けることができる。
【0006】
コンテニュアス方式は、電荷を帯びたインクを連続的に吐出するとともに、電界を制御することによって、必要な液滴だけを記録紙に付着させ、また、記録に不要なインクは所定のインク受けによって回収するものである。これに対して、オンデマンド方式は、記録に必要な時だけインクを吐出するものであり、このため、インクの無駄がなく、また、不要なインクが吐出されないことにより装置内部を汚すことはない。一方、このオンデマンド方式はインクの吐出動作が基本的にインクの流動等に関して起動と停止を伴うものであるため、コンテイニュアス方式に比べて吐出駆動の際の応答周波数は低い。このため、吐出口の数を増やすこと等により全体として記録の高速化を図っている。以上の点から、現在市販されているインクジェット記録装置の多くはオンデマンド方式のものである。
【0007】
このようなインクジェット方式による記録装置では、インク吐出口と、これに連通する液路と、その液路においてインク吐出のためのエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子とを有する記録ヘッドを備えている。そして、記録を実施する際には、吐出エネルギー発生素子に吐出エネルギーを発生させ、これを液路内のインクに作用させて吐出のための圧力を発生させ、この圧力を利用してインクを吐出口から吐出させる。
【0008】
なお、インクジェット記録に用いられるインクとしては、顔料や染料などの記録剤を、水、水溶性有機溶剤または非水溶性有機溶剤などの溶媒に溶解もしくは分散したものが一般的に使用されている。
【0009】
以上のような記録ヘッドにおけるインク吐出動作では、吐出のために発生する上記圧力は、液路内のインクを介して、吐出のため吐出口の方向と、液路に対するインクの供給元である液室の方向の両方に伝達される。そして、吐出口方向に伝達された圧力の作用によって、液路内のインクがインク吐出口から押し出されて飛翔液滴が形成されることになる。
【0010】
そして、吐出されたインクが液滴となってインク吐出口から離れる際、その吐出液滴量に応じて吐出口近傍の液路に形成されるメニスカスが後退し、このメニスカスを吐出口の方向に引き戻そうとする作用により、ある時間の経過後、再び液路内のインクの充填状態が吐出前の状態に復帰する。この現象はリフィルと呼ばれているものであり、実際の記録の際には以上の動作が繰り返され、良好なリフィルが行われることによって、安定したインク吐出が持続して得られる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このリフィルが次の吐出に間に合わないことが吐出周波数等の関係で生じる場合があり、このようにリフィルが不完全な状態で吐出が行われると、吐出インク滴量の減少等の吐出不良を起こすことがある。その結果、例えば吐出インク滴によって被記録媒体に形成されるインクドットの径が減少して全体的な記録品位の低下や、吐出インク滴の被記録媒体上における着弾点精度が低下して記録画像のボケや、ヨレ、スジ、白ヌケ等の発生を招くことがある。
【0012】
インクジェット記録方式のような液体を用いた記録技術における上述のような問題の解決は、液路等の構造の改良やインクの物性の調整によって行われてきたが、多数のインク吐出口を配列した記録ヘッドにおいては、このような改良や調整のみによっては充分な改善効果が得られない場合が多い。以下、図面を参照しながらこの問題点を説明する。
【0013】
図20(a)および(b)は、インクジェット記録ヘッドの主要部の断面をインクの吐出方向から見た図を示し、同図(a)はインク吐出に伴って生ずる共通液室方向の圧力を説明するための図であり、同図(b)は良好なリフィール状態を得るために必要な圧力を説明するための図である。
【0014】
記録ヘッド100は、多数の吐出口(図示省略)と、これらの吐出口とそれぞれ連通する液路102と、液路102内に配設された吐出エネルギー発生体103と、各液路へインクを供給するための共通液室104とを有する。共通液室104はインク供給口105を介して不図示のインクタンク(インクカートリッジともいう)と連通し、これにより共通液室は常にインクが満たされた状態にある。
【0015】
図20(a)に示すように、多数のインク吐出口から同時、もしくは若干時間差をもってインクを吐出させると、この吐出に伴って各液路102で生じた圧力はそれぞれの液路から共通液室104の方向に伝わる。そして、このような圧力は共通液室104で一体となって一つの大きな圧力となる。各液路で生じた圧力はインクを矢印Aで示すように共通液室104の方向に押し戻す力として作用し、その総和は、例えばインク吐出口を1つだけ有する記録ヘッドの場合よりも数段大きなものとなる。
【0016】
この場合、良好なリフィル状態を得るには、図20(b)に示すように、矢印Bで示すようにインクを急激かつ大量に吐出口の方向に移動させる必要があり、このようなインクの移動方向の変更のためには上述したような初期の大きなインクの慣性力(総圧力)に打ち勝つだけの圧力が必要となる。
【0017】
しかし、各液路102においてリフィルを生じさせるインクの毛管力は、上述したような共通液室104方向への総圧力に対抗して大量のインクを瞬時にインク吐出口101の方向に移動させるのには十分ではない。すなわち、上述したインク移動における初期の慣性力が大きくなるに従い、メニスカス106の復帰により長い時間が必要となることになる。そこで、メニスカス復帰のために十分な時間を取るため吐出周波数を低くすると、記録速度の低下を招き、一方、メニスカス復帰のために十分な時間が取れない場合には、上述したように、所定の吐出インク滴量が得られない等、良好な記録を阻害することになる。特に、このような現象は記録開始の初期に特に顕著であることが知られている。
【0018】
図21(a)および(b)は、上記現象のメカニズムを説明するためのものであり、同図(a)はメニスカス後退曲線、同図(b)はインク吐出口およびその近傍の概略構成をそれぞれ示す図である。
【0019】
図21(a)における縦軸に示されたメニスカス後退量(Lμm)とは、同図(b)に示すように液路102において吐出口101の端部から測った長さLで表されるものであり、具体的には吐出口101からインクのメニスカス最後退部までの距離に相当する。
【0020】
例えば吐出口を1つのみ設けた記録ヘッドの場合には、図21(a)においてCM1で示す曲線のように、吐出エネルギー発生体103からのエネルギーが液路102内のインクに付与される時刻t0からある時間経た時点t0′、すなわちインク吐出が行われた時点に、液路102のインク吐出口近傍に形成されたメニスカス106は急激に後退を開始する。その後退量は時刻t1′で最大となるがそれは比較的大きなものとなる。その後、毛管力による復元力の作用によってメニスカス106は元の位置に戻り始め時刻t1でリフィルが終了する。
【0021】
これに対し、多数のインク吐出口を有する記録ヘッドの場合は、曲線CM2として示すように、t1′での最大後退量が上記の場合より小さいが、リフィル速度は、その終了時刻t2で示されるように遅い。
【0022】
これは、上述したように、多数の液路102からのインクを後方へ押しやる圧力の総和が、共通液室104内でインクを流動させようとする圧力を大幅に超え、その分の圧力がインクに作用してメニスカス106を復帰させるためのリフィル速度を初期において極端に遅くすることによるものと考えられる。
【0023】
なお、このような現象は、連続して吐出が繰り返された後では、インク供給口105(図20(a)および(b)参照)から共通液室104へのインクの定常的な流れが形成されているので起こりにくいが、吐出の初期、特に吐出動作が200回前後となって前後のインク流れが定常状態となるまでの間において顕著である。
【0024】
この場合、上述したような多数のインク吐出口101を有する記録ヘッド100におけるリフィル速度の低下は、吐出エネルギー発生体103への印字信号印加の周期が図21(a)で示した時刻t0からt2までの時間以上に設定されていれば問題を生じないが、高速記録のために時刻t0からt2までの時間よりも短い周期で、すなわちリフィルが完了していない、例えばメニスカス後退量が30μm以上ある状態で、次の信号か印加されると、先に述べたような吐出インク滴量の減少等を生じ良好な記録ができなくなるおそれがある。
【0025】
このような問題を解決する手段として、例えば米国特許第4、578、687号に開示されるように、共通液室の液路近傍に大気開放部を設け、インク吐出時の共通液室方向への圧力を吸収する構成が知られている。しかし、この構成では共通液室が大気開放とされているため、インクの溶媒成分の蒸発を招き、記録ヘッド内のインクの増粘や、インク中での固形物の析出による液路や吐出口の目詰まりなどの問題が引き起こされ、印字不良が発生し易い。さらには、振動などの影響で液室内に気泡が発生したり、大気開放部からの記録ヘッド内へのゴミ等の混入を防ぐために特別な設計が必要となるなどの問題もあり、実用的に十分であるとはいえなかった。
【0026】
ところで、インクジェット方式には、前述した吐出エネルギー発生素子として、周知のように電気機械変換素子や電気熱変換素子(発熱抵抗体)のような吐出エネルギー発生素子が実用化されている。このうち、上述したリフィルに関し、発熱抵抗体に電気エネルギーを付与してその抵抗体に接する液体を瞬間的に加熱気化させるバブルジェット方式においては、泡の発泡から成長の過程において、一部の液体(主として発熱抵抗体よりも吐出口側の液体)は吐出口側に押し出されるとともに、それ以外の液体は供給路方向に押しやられる。このとき、気泡に対して気液界面が形成されるため、連続的な吐出に伴ない、高周波の気泡の発生、消泡に伴う液体の移動が発生する。上述したりフィルに関して、このような高周波の液体の振動を解消するため、ダミーノズルやダミー穴を設けること等、多くの提案がなされている。
【0027】
一方、バブルジェット方式では、吐出方式として二種類の方式が提案されており、それぞれの方式に応じて、上記リフィル時の挙動は次の二通りに説明することができる。
【0028】
(バブルジェット方式の通常吐出方式におけるメニスカスの後退および復帰)
液体が液滴を形成して吐出される過程で、ノズル内に残留した液体の最前面がメニスカスを形成する。泡の消泡過程で、上記最前面に形成されたメニスカスが消泡に伴う作用により、引き込まれるように後退して行く。このとき、泡の後方に形成された気液界面も、消泡に伴う同様の作用により、前方へ復帰して行く。
すなわち、泡の消泡過程そのものが、発熱抵抗体後方の気液界面およびその後方の液体を前方へ復帰させる駆動力の一端を担っている。
【0029】
(いわゆるバブルスルージェットタイプの吐出方式におけるメニスカスの後退および復帰)
この方式は、液滴がノズルから吐出される前に気泡が大気と連通する方式であり、これによって実質的に上述した消泡過程がなく、泡と大気とが連通した時点で、泡後方の気液界面が後退したメニスカスを形成する。この後退したメニスカスの前方には、大気圧と実質的に等しい空気の領域が形成される。このメニスカスは、前方の空気(実質的に大気圧)を排除しながら復帰して行く。上述したバブルジェットの通常方式と同じディメンジョンの流路構成のヘッドで考察すると、バブルスルー方式による吐出の後のメニスカスの復帰に際しては、消泡に伴う上述の作用がないため、リフィルは液路の毛管力で行なわれる。
【0030】
特に、以上説明したバブルジェット方式のヘッドにおける、広くインク供給に関する構成として、次の二つの従来技術が知られている。
【0031】
特開平10−305592号公報は、気泡生成に伴って、気泡切れによる微小気泡が液室内に多くなると不吐出などの吐出不良を招くため、通常は吸引回復を行うのに対し、吸引を行わずに供給路の周囲全体に極めて大きな室を用意することを開示している。この室は初期にインクが充填されており、ヘッドの使用に伴い徐々に気泡を蓄積していく。そして、この蓄積された泡が室に充分たまると、供給路中に気体が混入してしまうためそのヘッドタンク一体型のヘッドを交換するようにしたものである。
【0032】
また、特開平6−210872号公報には、ヘッドユニット内の共通液室に関してノズル側とは反対側の後方に空気室(バッファ室)を設けた例が記載されており、ノズル(列)に近い位置にバッファ室を設けることによって、個々のノズルの駆動、発泡、吐出に伴う液の振動(高周波の振動)を軽減し、他のノズルに悪影響を及ぼさないようようにする、いわゆるクロストークを防止することを開示している。
【0033】
また、この公報は、インクタンク部からヘッド部に至る経路に、ヘッドユニット、それにインクを供給するためのインク供給管および両者の連結部に形成された空気室を設ける点についても開示している。とくに、その図12には、一定断面積の供給管の周囲に空気室を設ける点が記載されている。
【0034】
本発明の目的は、上記課題を解決し、吐出口の高マルチ化に特有のインクリフィルにかかわる諸問題を解消して、特に優れた高速応答性および吐出性能が得られるインクジェット記録ヘッド、該記録ヘッドを搭載するインクジェット記録装置を提供することにある。
【0035】
すなわち、本発明は、液体の振動のうち、インク供給源(インクタンク等)から、従来のような液体吐出素子を含むヘッドチップ(複数液路、液室を含む)までの液体供給路に沿って発生する低周波の振動を解消もしくは軽減するためのエアーバッファ部に関して、その作用効果を向上させることを主要な目的とする。
【0036】
特に、エアーバッファ部の配置について検討を行なうとともに、より好ましい形状やその周囲構成との関係についても検討を行なった。
【0037】
また、本発明の他の目的は、バブルスルージェット方式の吐出方式において、リフィルの駆動力となる毛管力に対して悪影響を与える外因があると不充分なリフィルとなったり、過剰なリフィルとなったりして、吐出が不安定になる傾向がみられることに着目し、このような、低周波要因による振動が吐出に与える影響を排することもしくは軽減することを目的とする。
【0038】
さらに、本発明は、エアーバファ部を有効に形成する製造のための構成をも提供するものである。
【0039】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明では、インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子が設けられた基体と該基体上に前記エネルギー発生素子に対向して配された吐出口が設けられた吐出口プレートとを有する記録素子基板と、前記基体に接して前記記録素子基板を支持する支持部材と、を有する記録ヘッドであって、前記記録素子基板の前記吐出口インクを供給するためのインク供給路と、該インク供給路と連通し空気が存在する空気室と、が設けられ、前記空気室の少なくとも一部の内壁面を前記支持部材が形成していることを特徴とする。
【0040】
また、インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子が設けられた基体と該基体上に前記エネルギー発生素子に対向して配された吐出口が設けられた吐出口プレートとを有する記録素子基板と、前記基体に接して前記記録素子基板を支持する支持部材と、を有し、前記記録素子基板に関して前記基体の側から前記吐出口インクを供給するためのインク供給路と、該インク供給路と連通し空気が存在する空気室と、が設けられ、前記空気室の少なくとも一部の内壁面を前記支持部材が形成している記録ヘッドと、該記録ヘッドを搭載する部材と、を具備することを特徴とする。
【0045】
以上の構成によれば、複数のインク吐出口に対してインクを供給する、これらの吐出口に共通のインク供給室に連通してその圧力が伝達される空気室が設けられるので、各吐出口でのインク吐出にともなって発生しインク供給室に伝播されるインクの圧力はこの空気室の空気の圧力変化として空気室に伝播され、その空気室の空気の圧縮によって吸収される。
【0046】
また、空気室は、記録ヘッドの記録素子基板に関して吐出口が設けられる側とは反対側に設けられるため、この空気室は外気と連通することがなく、空気室を介した記録ヘッド内のインクの増粘を防止することができる。
【0047】
さらに、空気室の少なくとも一部の内壁面を支持部材が形成しているので、インク吐出に直接関わる領域に比較的近い位置に空気室を最適配置することができる。
【0048】
加えて、少なくとも一方に凹部が設けられた部材同士を凹部を内側にして接合することによって空気室を形成すれば、密閉構造の空気室を簡易に製造することができる。
【0049】
また、インク供給路を形成する貫通孔の内壁面の斜面の終端において空気室がインク供給路と連通すれば、斜面によるバッファー効果と空気室によるバッファー効果とが相まって、一層安定的なインク供給特性を得ることができる。
【0050】
更に、インク供給路が空気室よりインク供給に関する上流側に屈曲部を有すれば、屈曲部によるバッファー効果と空気室によるバッファー効果とが相まって、一層安定的なインク供給特性を得ることができる。
【0051】
加えて、エネルギー発生素子が熱エネルギーを発生してインクに気泡を生じさせ、この気泡が大気と連通し吐出口からインクを吐出する方式であれば、空気室によるバッファー効果を相乗的に一層高水準なものとすることができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0053】
なお、以下に説明する実施形態では、インクジェット記録方式を用いた記録装置としてプリンタを例に挙げ説明する。
【0054】
また、本明細書において、「プリント」(「記録」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広くプリント媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も言うものとする。
【0055】
ここで、「プリント媒体もしくは被記録媒体」とは、一般的なプリント装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板等、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能な物も言うものとする。
【0056】
さらに、「インク」(「液体」という場合もある)とは、上記「プリント」の定義と同様広く解釈されるべきもので、プリント媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成またはプリント媒体の加工、或いはインクの処理(例えばプリント媒体に付与されるインク中の色材の凝固または不溶化)に供され得る液体を言うものとする。
【0057】
1.装置本体
図1及び図2にインクジェット記録方式を用いたプリンタの概略構成を示す。
図1において、この実施形態におけるプリンタの装置本体M1000の外殻は、下ケースM1001、上ケースM1002、アクセスカバーM1003及び排出トレイM1004を含む外装部材と、その外装部材内に収納されたシャーシM3019(図2参照)とから構成される。
【0058】
シャーシM3019は、所定の剛性を有する複数の板状金属部材によって構成され、記録装置の骨格をなし、後述の各記録動作機構を保持するものとなっている。
また、下ケースM1001は装置本体M1000の外殻の略下半部を、上ケースM1002は装置本体M1000の外殻の略上半部をそれぞれ形成しており、両ケースの組合せによって内部に後述の各機構を収納する収納空間を有する中空体構造をなしている。装置本体M1000の上面部及び前面部にはそれぞれ開口部が形成されている。
【0059】
さらに、排出トレイM1004はその一端部が下ケースM1001に回転自在に保持され、その回転によって下ケースM1001の前面部に形成される前記開口部を開閉させ得るようになっている。このため、記録動作を実行させる際には、排出トレイM1004を前面側へと回転させて開口部を開成させることにより、ここから記録シートが排出可能となると共に排出された記録シートPを順次積載し得るようになっている。また、排紙トレイM1004には、2枚の補助トレイM1004a、M1004bが収納されており、必要に応じて各トレイを手前に引き出すことにより、用紙の支持面積を3段階に拡大、縮小させ得るようになっている。
【0060】
アクセスカバーM1003は、その一端部が上ケースM1002に回転自在に保持され、上面に形成される開口部を開閉し得るようになっており、このアクセスカバーM1003を開くことによって本体内部に収納されている記録ヘッドカートリッジH1000あるいはインクタンクH1900等の交換が可能となる。
なお、ここでは特に図示しないが、アクセスカバーM1003を開閉させると、その裏面に形成された突起がカバー開閉レバーを回転させるようになっており、そのレバーの回転位置をマイクロスイッチなどで検出することにより、アクセスカバーの開閉状態を検出し得るようになっている。
【0061】
また、上ケースM1002の後部上面には、電源キーE0018及びレジュームキーE0019が押下可能に設けられると共に、LED E0020が設けられており、電源キーE0018を押下すると、LED E0020が点灯し記録可能であることをオペレータに知らせるものとなっている。また、LED E0020は点滅の仕方や色の変化をさせたり、プリンタのトラブル等をオペレータに知らせる等種々の表示機能を有する。さらに、ブザーE0021(図7)をならすこともできる。なお、トラブル等が解決した場合には、レジュームキーE0019を押下することによって記録が再開されるようになっている。
【0062】
2.記録動作機構
次に、上記プリンタの装置本体M1000に収納、保持される本実施形態における記録動作機構について説明する。
【0063】
本実施形態における記録動作機構としては、記録シートPを装置本体内へと自動的に給送する自動給送部M3022と、自動給送部から1枚ずつ送出される記録シートPを所定の記録位置へと導くと共に、記録位置から排出部M3030へと記録シートPを導く搬送部M3029と、記録位置に搬送された記録シートPに所望の記録を行なう記録部と、前記記録部等に対する回復処理を行う回復部(M5000)とから構成されている。
【0064】
ここで、前記記録部について説明するに、その記録部はキャリッジ軸M4021によって移動可能に支持されたキャリッジM4001と、このキャリッジM4001に着脱可能に搭載される記録ヘッドカートリッジH1000とからなる。
【0065】
2.1記録ヘッドカートリッジ
まず、記録部に用いられる記録ヘッドカートリッジについて図3〜5に基づき説明する。
【0066】
この実施形態における記録ヘッドカートリッジH1000は、図3に示すようにインクを貯留するインクタンクH1900と、このインクタンクH1900から供給されるインクを記録情報に応じてノズルから吐出させる記録ヘッドH1001とを有する。記録ヘッドH1001は、後述するキャリッジM4001に対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式を採るものとなっている。
【0067】
ここに示す記録ヘッドカートリッジH1000では、写真調の高画質なカラー記録を可能とするため、インクタンクとして、例えば、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ及びイエローの各色独立のインクタンクH1900が用意されており、図4に示すように、それぞれが記録ヘッドH1001に対して着脱自在となっている。
【0068】
そして、記録ヘッドH1001は、図5の分解斜視図に示すように、記録素子基板H1100、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300、第2のプレートH1400、タンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、シールゴムH1800から構成されている。
【0069】
記録素子基板H1100には、Si基板の片面にインクを吐出するための複数の記録素子と、各記録素子に電力を供給するAl等の電気配線とが成膜技術により形成され、この記録素子に対応した複数のインク流路と複数の吐出口H1100Tとがフォトリソグラフィ技術により形成されると共に、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。
また、記録素子基板H1100は第1のプレートH1200に接着固定されており、ここには、前記記録素子基板H1100にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。さらに、第1のプレートH1200には、開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定されており、この第2のプレートH1400は、電気配線基板H1300と記録素子基板H1100とが電気的に接続されるよう電気配線基板H1300を保持している。この電気配線基板H1300は、記録素子基板H1100にインクを吐出するための電気信号を印加するものであり、記録素子基板H1100に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有しており、外部信号入力端子H1301は、後述のタンクホルダーH1500の背面側に位置決め固定されている。
【0070】
一方、インクタンクH1900を着脱可能に保持するタンクホルダーH1500には、流路形成部材H1600が例えば超音波溶着により固定され、インクタンクH1900から第1のプレートH1200に亘るインク流路H1501を形成している。また、インクタンクH1900と係合するインク流路H1501のインクタンク側端部には、フィルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。また、インクタンクH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、前記係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
【0071】
さらに、前述のようにタンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700及びシールゴムH1800から構成されるタンクホルダー部と、前記記録素子基板H1100、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300及び第2のプレートH1400から構成される記録素子部とを、接着等で結合することにより、記録ヘッドH1001を構成している。
【0072】
2.2キャリッジ
次に、図2を参照して、記録ヘッドカートリッジH1000を搭載するキャリッジM4001を説明する。
【0073】
図2に示すように、キャリッジM4001には、記録ヘッドH1001をキャリッジM4001上の所定の装着位置に案内するためのキャリッジカバーM4002と、記録ヘッドH1001のタンクホルダーH1500と係合し記録ヘッドH1001を所定の装着位置にセットさせるよう押圧するヘッドセットレバーM4007とが設けられている。
すなわち、ヘッドセットレバーM4007はキャリッジM4001の上部にヘッドセットレバー軸に対して回動可能に設けられると共に、記録ヘッドH1001との係合部にはばね付勢されるヘッドセットプレート(不図示)がばねを介して備えられ、このばね力によって記録ヘッドH1001を押圧しながらキャリッジM4001に装着する構成となっている。
【0074】
またキャリッジM4001の記録ヘッドH1001との別の係合部にはコンタクトフレキシブルプリントケーブル(図7参照。以下、コンタクトFPCと称す)E0011が設けられ、コンタクトFPC E0011上のコンタクト部と記録ヘッドH1001に設けられたコンタクト部(外部信号入力端子)H1301とが電気的に接触し、記録のための各種情報の授受や記録ヘッドH1001への電力の供給などを行い得るようになっている。
【0075】
ここでコンタクトFPC E0011のコンタクト部とキャリッジM4001との間には不図示のゴムなどの弾性部材が設けられ、この弾性部材の弾性力とヘッドセットレバーばねによる押圧力とによってコンタクト部とキャリッジM4001との確実な接触を可能とするようになっている。さらに前記コンタクトFPC E0011はキャリッジM4001の背面に搭載されたキャリッジ基板E0013に接続されている(図7参照)。
【0076】
3.スキャナ
この実施形態におけるプリンタは、上述した記録ヘッドカートリッジH1000の代わりに、キャリッジM4001にスキャナを装着することで読取装置としても使用することができる。
【0077】
このスキャナは、プリンタ側のキャリッジM4001と共に走査方向に移動し、記録媒体に代えて給送された原稿画像をその主走査方向への移動の過程で読み取るようになっており、その主走査方向の読み取り動作と原稿の復走査方向の給送動作とを交互に行うことにより、1枚の原稿画像情報を読み取ることができる。
【0078】
図6はこのスキャナM6000の概略構成を説明するために、スキャナM6000を天地逆にして示す図である。
【0079】
図示のように、スキャナホルダM6001は略箱型の形状であり、その内部には読み取りに必要な光学系・処理回路などが収納されている。また、このスキャナM6000をキャリッジM4001へと装着した時に、原稿面と対面する部分には読取り部レンズM6006が設けられており、このレンズM6006により原稿面からの反射光を内部の読取り部に収束することで原稿画像を読み取るようになっている。一方、照明部レンズM6005は内部に不図示の光源を有し、その光源から発せられた光がレンズM6005を介して原稿へと照射される。
【0080】
スキャナホルダM6001の底部に固定されたスキャナカバーM6003は、スキャナホルダM6001内部を遮光するように嵌合し、側面に設けられたルーバー状の把持部によってキャリッジM4001への着脱操作性の向上を図っている。スキャナホルダM6001の外形形状は記録ヘッドH1001と略同形状であり、キャリッジM4001へは記録ヘッドカートリッジH1000と同様の操作で着脱することができる。
【0081】
また、スキャナホルダM6001には、読取り処理回路を有する基板が収納される一方、この基板に接続されたスキャナコンタクトPCBが外部に露出するよう設けられており、キャリッジM4001へとスキャナM6000を装着した際、前記スキャナコンタクトPCB M6004がキャリッジM4001側のコンタクトFPC E0011に接触し、基板を、前記キャリッジM4001を介して本体側の制御系に電気的に接続させるようになっている。
【0082】
4.プリンタの電気回路の構成例
次に、本発明の実施形態における電気的回路構成を説明する。
図7は、この実施形態における電気的回路の全体構成例を概略的に示す図である。
【0083】
この実施形態における電気的回路は、主にキャリッジ基板(CRPCB)E0013、メインPCB(Printed Circuit Board)E0014、電源ユニットE0015等によって構成されている。
ここで、電源ユニットE0015は、メインPCB E0014と接続され、各種駆動電源を供給するものとなっている。
また、キャリッジ基板E0013は、キャリッジM4001(図2)に搭載されたプリント基板ユニットであり、コンタクトFPC E0011を通じて記録ヘッドとの信号の授受を行うインターフェースとして機能する他、キャリッジM4001の移動に伴ってエンコーダセンサE0004から出力されるパルス信号に基づき、エンコーダスケールE0005とエンコーダセンサE0004との位置関係の変化を検出し、その出力信号をフレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメインPCB E0014へと出力する。
【0084】
さらに、メインPCB E0014はこの実施形態におけるインクジェット記録装置の各部の駆動制御を司るプリント基板ユニットであり、紙端検出センサ(PEセンサ)E0007、オートマチックシートフィーダ(ASF)センサE0009、カバーセンサE0022、パラレルインターフェース(パラレルI/F)E0016、シリアルインターフェース(シリアルI/F)E0017、リジュームキーE0019、LED E0020、電源キーE0018、ブザーE0021等に対するI/Oポートを基板上に有する。また、キャリッジM4001を主走査させるための駆動源となすモータ(CRモータ)E0001、記録媒体を搬送するための駆動源をなすモータ(LFモータ)E0002、記録ヘッドの回復と記録媒体の給紙動作に兼用されるモータ(PGモータ)E0003と接続されてこれらの駆動を制御する他、インクエンプティセンサE0006、GAPセンサE0008、PGセンサE0010、CRFFC E0012、電源ユニットE0015との接続インターフェイスを有する。
【0085】
図8は、メインPCB E0014の内部構成を示すブロック図である。
図において、E1001はCPUであり、このCPU E1001は内部に発振回路E1005に接続されたっクロックジェネレータ(CG) E1002を有し、その出力信号E1019によりシステムクロックを発生する。また、制御バスE1014を通じてROM E1004およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)E1006に接続され、ROMに格納されたプログラムに従って、ASIC E1006の制御、電源キーからの入力信号E1017、及びリジュームキーからの入力信号E1016、カバー検出信号E1042、ヘッド検出信号(HSENS)E1013の状態の検知を行ない、さらにブザー信号(BUZ)E1018によりブザーE0021を駆動し、内蔵されるA/DコンバータE1003に接続されるインクエンプティ検出信号(INKS)E1011及びサーミスタによる温度検出信号(TH)E1012の状態の検知を行う一方、その他各種論理演算・条件判断等を行ない、インクジェット記録装置の駆動制御を司る。
【0086】
ここで、ヘッド検出信号E1013は、記録ヘッドカートリッジH1000からフレキシブルフラットケーブルE0012、キャリッジ基板E0013及びコンタクトフレキシブルプリントケーブルE0011を介して入力されるヘッド搭載検出信号であり、インクエンプティ検出信号E1011はインクエンプティセンサE0006から出力されるアナログ信号、温度検出信号E1012はキャリッジ基板E0013上に設けられたサーミスタ(図示せず)からのアナログ信号である。
【0087】
E1008はCRモータドライバであって、モータ電源(VM)E1040を駆動源とし、ASIC E1006からのCRモータ制御信号E1036に従って、CRモータ駆動信号E1037を生成し、CRモータE0001を駆動する。E1009はLF/PGモータドライバであって、モータ電源E1040を駆動源とし、ASIC E1006からのパルスモータ制御信号(PM制御信号)E1033に従ってLFモータ駆動信号E1035を生成し、これによってLFモータを駆動すると共に、PGモータ駆動信号E1034を生成してPGモータを駆動する。
【0088】
E1010は電源制御回路であり、ASIC E1006からの電源制御信号E1024に従って発光素子を有する各センサ等への電源供給を制御する。パラレルI/F E0016は、ASIC E1006からのパラレルI/F信号E1030を、外部に接続されるパラレルI/FケーブルE1031に伝達し、またパラレルI/FケーブルE1031の信号をASIC E1006に伝達する。シリアルI/F E0017は、ASIC E1006からのシリアルI/F信号E1028を、外部に接続されるシリアルI/FケーブルE1029に伝達し、また同ケーブルE1029からの信号をASIC E1006に伝達する。
【0089】
一方、電源ユニットE0015からは、ヘッド電源(VH)E1039及びモータ電源(VM)E1040、ロジック電源(VDD)E1041が供給される。また、ASIC E1006からのヘッド電源ON信号(VHON)E1022及びモータ電源ON信号(VMOM)E1023が電源ユニットE0015に入力され、それぞれヘッド電源E1039及びモータ電源E1040のON/OFFを制御する。電源ユニットE0015から供給されたロジック電源(VDD)E1041は、必要に応じて電圧変換された上で、メインPCB E0014内外の各部へ供給される。
【0090】
またヘッド電源信号E1039は、メインPCB E0014上で平滑化された後にフレキシブルフラットケーブルE0011へと送出され、記録ヘッドカートリッジH1000の駆動に用いられる。
E1007はリセット回路で、ロジック電源電圧E1041の低下を検出して、CPU E1001及びASIC E1006にリセット信号(RESET)E1015を供給し、初期化を行なう。
【0091】
このASIC E1006は1チップの半導体集積回路であり、制御バスE1014を通じてCPU E1001によって制御され、前述したCRモータ制御信号E1036、PM制御信号E1033、電源制御信号E1024、ヘッド電源ON信号E1022、及びモータ電源ON信号E1023等を出力し、パラレルI/F E0016およびシリアルI/F E0017との信号の授受を行なう他、PEセンサE0007からのPE検出信号(PES)E1025、ASFセンサE0009からのASF検出信号(ASFS)E1026、記録ヘッドと記録媒体とのギャップを検出するための(GAP)センサE0008からのGAP検出信号(GAPS)E1027、PGセンサE0010からのPG検出信号(PGS)E1032の状態を検知して、その状態を表すデータを制御バスE1014を通じてCPU E1001に伝達し、入力されたデータに基づきCPU E1001はLED駆動信号E1038の駆動を制御してLEDE0020の点滅を行なう。
【0092】
さらに、エンコーダ信号(ENC)E1020の状態を検知してタイミング信号を生成し、ヘッド制御信号E1021で記録ヘッドカートリッジH1000とのインターフェイスをとり記録動作を制御する。ここにおいて、エンコーダ信号(ENC)E1020はフレキシブルフラットケーブルE0012を通じて入力されるCRエンコーダセンサE0004の出力信号である。また、ヘッド制御信号E1021は、フレキシブルフラットケーブルE0012、キャリッジ基板E0013、及びコンタクトFPC E0011を経て記録ヘッドH1000に供給される。
【0093】
図9は、ASIC E1006の内部構成を示すブロック図である。
【0094】
なお、同図において、各ブロック間の接続については、記録データやモータ制御データ等、ヘッドや各部機構部品の制御にかかわるデータの流れのみを示しており、各ブロックに内蔵されるレジスタの読み書きに係わる制御信号やクロック、DMA制御にかかわる制御信号などは図面上の記載の煩雑化を避けるため省略している。
【0095】
図中、E2002はPLLコントローラであり、図9に示すように前記CPUE1001から出力されるクロック信号(CLK)E2031及びPLL制御信号(PLLON)E2033により、ASIC E1006内の大部分へと供給するクロック(図示しない)を発生する。
【0096】
また、E2001はCPUインターフェース(CPUI/F)であり、リセット信号E1015、CPU E1001から出力されるソフトリセット信号(PDWN)E2032、クロック信号(CLK)E2031及び制御バスE1014からの制御信号により、以下に説明するような各ブロックに対するレジスタ読み書き等の制御や、一部ブロックへのクロックの供給、割り込み信号の受け付け等(いずれも図示しない)を行ない、CPU E1001に対して割り込み信号(INT)E2034を出力し、ASIC E1006内部での割り込みの発生を知らせる。
【0097】
また、E2005はDRAMであり、記録用のデータバッファとして、受信バッファE2010、ワークバッファE2011、プリントバッファE2014、展開用データバッファE2016などの各領域を有すると共に、モータ制御用としてモータ制御バッファE2023を有し、さらにスキャナ動作モード時に使用するバッファとして、上記の各記録用データバッファに代えて使用されるスキャナ取込みバッファE2024、スキャナデータバッファE2026、送出バッファE2028などの領域を有する。
【0098】
また、このDRAM E2005は、CPU E1001の動作に必要なワーク領域としても使用されている。すなわち、E2004はDRAM制御部であり、制御バスによるCPU E1001からDRAM E2005へのアクセスと、後述するDMA制御部E2003からDRAM E2005へのアクセスとを切り替えて、DRAM E2005への読み書き動作を行なう。
【0099】
DMA制御部E2003では、各ブロックからのリクエスト(図示せず)を受け付けて、アドレス信号や制御信号(図示せず)、書込み動作の場合には書込みデータE2038、E2041、E2044、E2053、E2055、E2057などをDRAM制御部E2004に出力してDRAMアクセスを行なう。また読み出しの場合には、DRAM制御部E2004からの読み出しデータE2040、E2043、E2045、E2051、E2054、E2056、E2058、E2059を、リクエスト元のブロックに受け渡す。
【0100】
また、E2006はIEEE1284I/Fであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、パラレルI/F E0016を通じて、図示しない外部ホスト機器との双方向通信インターフェイスを行なう他、記録時にはパラレルI/F E0016からの受信データ(PIF受信データE2036)をDMA処理によって受信制御部E2008へと受け渡し、スキャナ読み取り時にはDRAM E2005内の送出バッファE2028に格納されたデータ(1284送信データ(RDPIF)E2059)をDMA処理によりパラレルI/Fに送信する。
【0101】
E2007はユニバーサルシリーズバス(USB)I/Fであり、CPUI/FE2001を介したCPU E1001の制御により、シリアルI/F E0017を通じて、図示しない外部ホスト機器との双方向通信インターフェイスを行なう他、印刷時にはシリアルI/F E0017からの受信データ(USB受信データE2037)をDMA処理により受信制御部E2008に受け渡し、スキャナ読み取り時にはDRAM E2005内の送出バッファE2028に格納されたデータ(USB送信データ(RDUSB)E2058)をDMA処理によりシリアルI/F E0017に送信する。受信制御部E2008は、1284I/F E2006もしくはUSBI/F E2007のうちの選択されたI/Fからの受信データ(WDIF)E2038)を、受信バッファ制御部E2039の管理する受信バッファ書込みアドレスに、書込む。
E2009は圧縮・伸長DMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、受信バッファE2010上に格納された受信データ(ラスタデータ)を、受信バッファ制御部E2039の管理する受信バッファ読み出しアドレスから読み出し、そのデータ(RDWK)E2040を指定されたモードに従って圧縮・伸長し、記録コード列(WDWK)E2041としてワークバッファ領域に書込む。
【0102】
E2013は記録バッファ転送DMAコントローラで、CPUI/F E2001を介したCPU E1007の制御によってワークバッファE2011上の記録コード(RDWP)E2043を読み出し、各記録コードを、記録ヘッドカートリッジH1000へのデータ転送順序に適するようなプリントバッファE2014上のアドレスに並べ替えて転送(WDWP E2044)する。また、E2012はワーククリアDMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御によって記録バッファ転送DMAコントローラE2013による転送が完了したワークバッファ上の領域に対し、指定したワークフィルデータ(WDWF)E2042を繰返し書込む。
【0103】
E2015は記録データ展開DMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド制御部E2018からのデータ展開タイミング信号E2050をトリガとして、プリントバッファ上に並べ替えて書込まれた記録コードと展開用データバッファE2016上に書込まれた展開用データとを読み出し、展開記録データ(RDHDG)E2045をカラムバッファ書込みデータ(WDHDG)E2047としてカラムバッファE2017に書込む。ここで、カラムバッファE2017は、記録ヘッドカートリッジH1000への転送データ(展開記録データ)を一時的に格納するSRAMであり、記録データ展開DMAコントローラE2015とヘッド制御部E2018とのハンドシェーク信号(図示せず)によって両ブロックにより共有管理されている。
【0104】
E2018はヘッド制御部で、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド制御信号を介して記録ヘッドカートリッジH1000またはスキャナとのインターフェイスを行なう他、エンコーダ信号処理部E2019からのヘッド駆動タイミング信号E2049に基づき、記録データ展開DMAコントローラに対してデータ展開タイミング信号E2050の出力を行なう。
【0105】
また、印刷時には、前記ヘッド駆動タイミング信号E2049に従って、カラムバッファから展開記録データ(RDHD)E2048を読み出し、そのデータをヘッド制御信号E1021として記録ヘッドカートリッジH1000に出力する。
また、スキャナ読み取りモードにおいては、ヘッド制御信号E1021として入力された取込みデータ(WDHD)E2053をDRAM E2005上のスキャナ取込みバッファE2024へとDMA転送する。E2025はスキャナデータ処理DMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPUE1001の制御により、スキャナ取込みバッファE2024に蓄えられた取込みバッファ読み出しデータ(RDAV)E2054を読み出し、平均化等の処理を行なった処理済データ(WDAV)E2055をDRAM E2005上のスキャナデータバッファE2026に書込む。
E2027はスキャナデータ圧縮DMAコントローラで、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、スキャナデータバッファE2026上の処理済データ(RDYC)E2056を読み出してデータ圧縮を行ない、圧縮データ(WDYC)E2057を送出バッファE2028に書込み転送する。
【0106】
E2019はエンコーダ信号処理部であり、エンコーダ信号(ENC)を受けて、CPU E1001の制御で定められたモードに従ってヘッド駆動タイミング信号E2049を出力する他、エンコーダ信号E1020から得られるキャリッジM4001の位置や速度にかかわる情報をレジスタに格納して、CPU E1001に提供する。CPU E1001はこの情報に基づき、CRモータE0001の制御における各種パラメータを決定する。また、E2020はCRモータ制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、CRモータ制御信号E1036を出力する。
【0107】
E2022はセンサ信号処理部で、PGセンサE0010、PEセンサE0007、ASFセンサE0009、及びGAPセンサE0008等から出力される各検出信号E1032、E1025、E1026、E1027を受けて、CPUE1001の制御で定められたモードに従ってこれらのセンサ情報をCPU E1001に伝達する他、LF/PGモータ制御用DMAコントローラE2021に対してセンサ検出信号E2052を出力する。
【0108】
LF/PGモータ制御用DMAコントローラE2021は、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、DRAM E2005上のモータ制御バッファE2023からパルスモータ駆動テーブル(RDPM)E2051を読み出してパルスモータ制御信号E1033を出力する他、動作モードによっては前記センサ検出信号を制御のトリガとしてパルスモータ制御信号E1033を出力する。
また、E2030はLED制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、LED駆動信号E1038を出力する。さらに、E2029はポート制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド電源ON信号E1022、モータ電源ON信号E1023、及び電源制御信号E1024を出力する。
5.プリンタの動作
次に、上記のように構成された本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の動作を図10のフローチャートに基づき説明する。
【0109】
AC電源に装置本体1000が接続されると、まず、ステップS1では装置の第1の初期化処理を行なう。この初期化処理では、本装置のROMおよびRAMのチェックなどの電気回路系のチェックを行ない、電気的に本装置が正常に動作可能であるかを確認する。
【0110】
次にステップS2では、装置本体M1000の上ケースM1002に設けられた電源キーE0018がONされたかどうかの判断を行い、電源キーE0018が押された場合には、次のステップS3へと移行し、ここで第2の初期化処理を行う。
【0111】
この第2の初期化処理では、本装置の各種駆動機構及び記録ヘッドのチェックを行なう。すなわち、各種モータの初期化やヘッド情報の読み込みを行うに際し、装置が正常に動作可能であるかを確認する。
【0112】
次にステップS4ではイベント待ちを行なう。すなわち、本装置に対して、外部I/Fからの指令イベント、ユーザ操作によるパネルキーイベントおよび内部的な制御イベントなどを監視し、これらのイベントが発生すると当該イベントに対応した処理を実行する。
【0113】
例えば、ステップS4で外部I/Fからの印刷指令イベントを受信した場合には、ステップS5へと移行し、同ステップでユーザ操作による電源キーイベントが発生した場合にはステップS10へと移行し、同ステップでその他のイベントが発生した場合にはステップS11へと移行する。
ここで、ステップS5では、外部I/Fからの印刷指令を解析し、指定された紙種別、用紙サイズ、印刷品位、給紙方法などを判断し、その判断結果を表すデータを本装置内のRAM E2005に記憶し、ステップS6へと進む。
次いでステップS6ではステップS5で指定された給紙方法により給紙を開始し、用紙を記録開始位置まで送り、ステップS7に進む。
ステップS7では記録動作を行なう。この記録動作では、外部I/Fから送出されてきた記録データを、一旦記録バッファに格納し、次いでCRモータE0001を駆動してキャリッジM4001の主走査方向への移動を開始すると共に、プリントバッファE2014に格納されている記録データを記録ヘッドH1001へと供給して1行の記録を行ない、1行分の記録データの記録動作が終了するとLFモータE0002を駆動し、LFローラM3001を回転させて用紙を副走査方向へと送る。この後、上記動作を繰り返し実行し、外部I/Fからの1ページ分の記録データの記録が終了すると、ステップ8へと進む。
【0114】
ステップS8では、LFモータE0002を駆動し、排紙ローラM2003を駆動し、用紙が完全に本装置から送り出されたと判断されるまで紙送りを繰返し、終了した時点で用紙は排紙トレイM1004a上に完全に排紙された状態となる。
【0115】
次にステップS9では、記録すべき全ページの記録動作が終了したか否かを判定し、記録すべきページが残存する場合には、ステップS5へと復帰し、以下、前述のステップS5〜S9までの動作を繰り返し、記録すべき全てのページの記録動作が終了した時点で記録動作は終了し、その後ステップS4へと移行し、次のイベントを待つ。
【0116】
一方、ステップS10ではプリンタ終了処理を行ない、本装置の動作を停止させる。つまり、各種モータやヘッドなどの電源を切断するために、電源を切断可能な状態に移行した後、電源を切断しステップS4に進み、次のイベントを待つ。
【0117】
また、ステップS11では、上記以外の他のイベント処理を行なう。例えば、本装置の各種パネルキーや外部I/Fからの回復指令や内部的に発生する回復イベントなどに対応した処理を行なう。なお、処理終了後にはステップS4に進み、次のイベントを待つ。
【0118】
(第1実施形態)
以上説明したインクジェット記録装置における特にインクジェット記録ヘッドの第1実施形態について以下に説明する。
【0119】
図24は、記録素子基板1100の構成を説明するために一部分解した斜視図である。
【0120】
記録素子基板H1100には、複数の記録素子と、この記録素子に対応した複数のインク流路と複数の吐出口H1100Tとがフォトリソグラフィ技術により形成されると共に、インク供給口が裏面に開口するように形成されている。また、記録素子基板H1100は、例えば、サイドシュータタイプとされ、1枚の基板で構成されている。基板において、2列で千鳥掛け状に形成される複数の吐出口H1100Tは、例えば、各インク色ごとに約1200dpi程度に形成されており、異なるインク色のインクをそれぞれ吐出するものとされる。
【0121】
本実施形態の記録ヘッドは、図25(a)〜(h)にて後述されるように、電気熱変換素子13(H1103)が熱エネルギーを発生してインクに生起された気泡が大気と連通し吐出口からインクが滴として吐出される、いわゆるバブルスルージェット方式のものが好ましく用いられる。
【0122】
記録素子基板H1100は、例えば、図24に示されるように、その表面に薄膜が形成されているSi基板1101と、基板1101上に形成されるオリフィスプレートH1112とから構成されている。
【0123】
基板1101は、例えば、厚さ0.5〜1(mm)とされ、6色のインク流路として長溝状の貫通口からなるインク供給口H1102が6列互いに平行に一体に形成されている。隣接するインク供給口H1102の相互間距離は、例えば、約2.5mmに設定されている。このように相互間距離が比較的小とされるので記録ヘッドの小型化が図られることとなる。各々のインク供給口H1102の両側には、記録素子としての電気熱変換素子H1103がそれぞれ1列ずつ千鳥状に複数個、例えば、各インク色ごとに約1200dpi程度に配列形成されている。
【0124】
基板1101上に形成される複数の電気熱変換素子H1103および各電気熱変換素子H1103に電力を供給するAl等の電気配線(図24において図示が省略される)は、成膜技術により形成されている。また、その電気配線に電力を供給するための電極部H1104は、電気熱変換素子H1103の配列方向に対して直交する方向の端部に沿って形成されている。電極部H1104は、金等のバンプH1105が複数個、上述の電気配線基板H1300の電極端子H1302にそれぞれ対応して設けられている。
【0125】
インク供給口H1102は、例えば,Si基板1101の結晶面方位を利用して、異方性エッチングを行うことにより形成される。ウエハー面に<100>、厚さ方向に<111>の結晶面方位を持つ場合、アルカリ系(KOH,TMAH,ヒトラジン等)の異方性エッチングにより、約54.7度の角度(被エッチング面の立ち上がりの内角)でエッチングが進行する。
【0126】
この方法が用いられて、所望の深さにエッチングすることにより、インク供給口H1102が形成される。
【0127】
また、基板H1101上に形成されるオリフィスプレートH1112には、図24に示されるように、各電気熱変換素子H1103に対応したインク流路を形成するためのインク流路壁H1106と吐出口1100Tとがフォトリソグラフィ技術により形成される。従って、隣接する吐出口1100Tは、互いにインク流路壁H1106により仕切られることとなる。
【0128】
各インク供給口H1102から供給される6色のインクにそれぞれ対応した6列の吐出口H1100T列が一体に1枚のオリフィスプレートH1105に形成されている。吐出口H1100T列は、電気熱変換素子H1103の配列と同様に、千鳥状に複数個、例えば、各インク色ごとに約1200dpi程度に配列形成されている。即ち、吐出口H1100Tは、電気熱変換素子H1103に対向して設けられている。
【0129】
従って、記録素子基板H1100は、6種類のインク吐出が可能なように電気熱変換素子H1103および吐出口H1100T列が同一の基板上に形成されているので従来のように各インク別に吐出口列が分割されて形成される場合に比して記録素子基板H1100の小型化が図られることとなる。
【0130】
図16(a)、(b)および(c)は、上述した第一のプレートの一構成例を示す図であり、後述されるように本発明に係る空気室の好適な構成をも示す図である。
【0131】
図16(a)に示される第1のプレートH1200は、例えば、厚さ0.5〜10mmのアルミナ(Al23)材料で形成されている。なお、第1のプレートの素材は、アルミナに限られることなく、記録素子基板H1100の材料の線膨張率と同等の線膨張率を有し、かつ、記録素子基板H1100材料の熱伝導率と同等もくしは同等以上の熱伝導率を有する材料で作られてもよい。第1のプレートH1200の素材は、例えば、シリコン(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、ジルコニア、窒化珪素(Si34)、炭化珪素(SiC)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)のうちいずれであってもよい。第1のプレートH1200には、記録素子基板H1100に6色のインクを供給するための6つのインク供給口H1201が千鳥状に形成されている。記録素子基板H1100の6つのインク供給口H1102が第1のプレートH1200の6つのインク供給口H1201にそれぞれ対応して位置決めされ、かつ、記録素子基板H1100は第1のプレートH1200に対して位置精度良く接着固定される。接着に用いられる第1の接着剤H1204は、第1のプレートH1200上に略記録素子基板形状で、しかも、隣り合うインク供給口間にエアーパスが発生しないように塗布される。その第1の接着剤H1204は、例えば、粘度が比較的低く、接触面に形成される接着層が薄く、かつ、硬化後、比較的高い硬度を有し、かつ、耐インク性のあるものが望ましい。その第1の接着剤H1204は、例えば、エポキシ樹脂を主成分とした熱硬化接着剤であり、接着層の厚みは50μm以下が望ましい。
【0132】
第1のプレートH1200は、図16(a)に示されるように、突起部H1200Aを両端部にそれぞれ有している。突起部H1200Aは、上述の基準端面部H1502aおよび1502bにそれぞれ係合される基準面としての係合面H1200aを有している。突起部H1200Aは、その側面部に対して略垂直に、即ち、タンクホルダーH1500の移動方向に沿って突出している。また、タンクホルダーH1500の位置決めピンIPに対応した位置に、位置決めピンIPの先端が係合される透孔H1200dが形成されている。
【0133】
各インク供給口H1201は、図16(b)に示されるように,記録素子基板H1100が接着される端面H1200sに向けて開口するインク流路としての拡大部H1202にそれぞれ連通している。細長い溝とされる拡大部H1202は、相対向して形成される斜面部H1202aおよび斜面部H1202bにより囲まれて形成されており、その断面積が記録素子基板H1100が接着される端面に向かうにつれて拡大するものとされる。
【0134】
図11は本発明の第一の実施形態にかかるインクジェット記録ヘッドの要部を、吐出方向に対して側方から見た断面図である。また、図12(a)は、この要部を吐出方向上部から記録素子基板を除いてみた断面図である。この要部は、図5について前述した記録素子基板H1100、第1プレートH1200に相当する部分である。また、図11および図12(a)は、1種類のインクを吐出する記録ヘッドの部分を示すものである。なお、以下の説明では、図5などで示した符号とは別の符号を付してその説明をする。
【0135】
記録素子基板1(H1100)はシリコンよりなる基体1Aを有し、その気体1A上に吐出エネルギー発生体として電気熱変換素子13が吐出口11に対応して形成されている。基体1Aには、さらに、この電気熱変換素子に電力を供給するための電極配線などが形成され、また、吐出口が形成されるオリフィスプレート14やそれぞれの吐出口11や液路12を区画するための隔壁15が形成されている。なお、前述の図5等における説明では、以上の基体1Aおよびその上に形成されるオリフィスプレート14、隔壁15を、一体に記録素子基板H1100として説明している。記録素子基板1(H1100)は支持部材2(第1プレートH1200)に接着固定され、また、この支持部材2には、記録素子基板1のインク供給口5に連通するインク供給路6(インク供給口H1201)が形成されている。以上の構成において、インク供給路6およびインク供給口5は複数の吐出口に対してインク供給室を構成することになる。なお、図11、図12(a)に示すインク供給路6は、図5にて前述したインク供給口H1201に対応するが、その形状は長溝形状であり、図5に示す円形状のものとは異なる。この円形状のインク供給路は後述のように図18等に示す実施形態において採用されている。
【0136】
さらに詳細には、記録素子基板1は、基体1Aを形成するシリコンウエハ上に電気熱変換素子13を構成する発熱抵抗体層やこの電気熱変換素子に電力を供給するための電極配線などがフォトリソグラフィ技術によってパターニングされて形成される。また、オリフィスプレート14および隔壁15は感光性樹脂によって形成される。さらに、記録素子基板1は、そのインク供給口5がシリコンウエハに対する異方性エッチングにより形成され、また、切断によってその外形が形成されるものである。記録素子基板1は、その各電気熱変換素子に記録信号に応じた電圧パルスを印加するため、図5等で上述した電極配線基板H1300とТAB実装技術によって接続される。なお、記録素子基板は、支持部材2に正確に位置決めされて接着固定されるが、その際に使用される接着剤としては、粘度が高く、インク供給路6やインク供給口5にこの接着剤が流れ出さないものが望ましい。
【0137】
本実施形態では、以上の記録ヘッドの構成において、支持部材2の記録素子基板1と接着される部分に空気室用の凹部を形成する。すなわち、インク吐出の際に各液路から伝播する圧力波をこの空気室によって吸収することにより前述したリフィルに関する問題を解決するものである。
【0138】
図12(a)に明らかなように、凹部7aは所定数のインク吐出口毎に設けられるものであり、また、支持部材2の接着固定面8にはこの凹部7aとともにそれぞれの凹部に対応して連結溝9aが形成される。これにより、記録ヘッド製造工程で支持部材2に記録素子基板1が接続されたとき、記録素子基板1の裏面と支持部材2の接着固定面8に形成されたこれらの凹部などによって空気室(7a)および連絡路(9a)が形成されることになる。
【0139】
このような空気室の構成によれば、吐出口11からインクが吐出されたときその吐出によって生じる圧力は、インク供給口5を介してインク供給路6まで伝わるが、その圧力は、主にその吐出口に対応する連絡路9aを介し空気の圧力変動として空気室7aに伝播する。そして、この比較的高い圧力値を有した圧力変動は、連絡路9aより大きな容積の空気室7aでその値を低下させる。すなわち、インク吐出によって生じたインクの圧力変動は空気室7aによって吸収され、その後のリフィルに与える影響を少なくすることができる。これにより、前述したように、リフィル時間を考慮して吐出周期を定める必要はなく、その結果、比較的高速の記録ヘッド駆動が可能となる。また、この空気室の構造は、外気に対して密閉された構造とされているため、従来の圧力吸収構造のように、インク増粘等の前述した種々の問題が生ずることを未然に防止することもできる。
【0140】
なお、空気室は所定数のインク吐出口に対応して設けられ、また、その対応する吐出口の吐出による圧力変動を主に吸収するものとして説明したが、本発明の適用はこのような構成に限られないことは勿論である。空気室は一つの吐出口に対応して一つが設けられても良く、また、圧力を吸収する作用において配設位置において対応しない吐出口による吐出圧力を吸収できる構成であってもよい。
【0141】
本実施形態の空気室の構造は、換言すれば、空気室7aはインクが入り込まずに吐出時の圧力を吸収するのに十分な容積が必要であり、また、連絡路9aは空気室7aにインクを導くことがなく、かつ吐出時の圧力を十分に空気室に導くための容積(流抵抗)もしくは毛管力などが必要となる。このため、本実施形態では、吐出量15Pl、吐出口数256の記録ヘッドを10kHZで駆動する場合、空気室の構造を、図12(b)および(c)に示すように、A=1.5mm、B=0.4mm、C=0.4mm、D=0.4mm、E=0.2mm、F=0.8mmとし、これにより、上述した効果を十分に得ることができる。
【0142】
なお、本実施形態では、図11、図12(a)〜(c)に示す構成の代わりに、図13に示すように記録素子基板1の裏側に同様の空気室7bおよび連絡路9bを形成しても、同様の効果を得ることができる。この場合、記録素子基板に対する空気室用溝などの形成は、異方性エッチングによって行うことができる。なお、図13では、オリフィスプレート、隔壁などの図示は省略されている。
【0143】
以上説明した効果に加え、本実施形態の空気室の構成によれば、支持部材もしくは記録素子基板のいずれか一方に空気室用の凹部等を形成しこれに他方の部材を合わせることにより空気室等を形成できるため、空気室等の形成を容易に行うことができる。
【0144】
さらに、図14に示すように、空気室を形成する溝7a(7b)の各壁に撥水剤を塗布して撥水層10を形成することもできる。これにより、連絡路9a(9b)の形状による効果と相俟って、空気室にインクが入り込むことを、さらに適切に防止することができる。
【0145】
(第2実施形態)
本実施形態は、支持部材として第1支持部材と第2支持部材の二つの支持部材を具えた記録ヘッドに本発明を適用したものである。図15(a)および(b)は、本実施形態の記録ヘッドの要部を示すそれぞれ吐出方向から見た断面図およびその側方から見た断面図である。
【0146】
これらの図に示すように、本実施形態の記録ヘッドは、支持部材として、記録素子基板1を保持固定しインク供給路を有した第1の支持部材21と、この第1支持部材21を保持固定し記録素子基板1にインクを供給するためのインク供給路6を備えた第2の支持部材22を有する。第1支持部材21は、記録素子基板1を構成する基体1Aに直接接続される部材であり、熱伝導性、耐インク性、強度等の点から、その材料として、シリコン、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化珪素などを用いることができる。
【0147】
第1の実施形態と同様、第1支持部材21の記録支持基板1との接着部分に空気室および連絡路用の凹部7aおよび溝9aが形成される。これにより、第1支持部材21に記録素子基板1の基体1Aを接続したとき空気室7a等が形成される。
【0148】
本実施形態のように第1支持部材に凹部等を形成する変形例として、図16(b)および(c)に示すものがある。同図に示す構成は6種類のインクに対応したそれぞれの単位で一対の空気室7aを形成するものである。
【0149】
すなわち、図16(a)は支持部材2を上面から見た図であり、図16(b)は図16(a)に示すA−A線断面図であり、図16(c)は支持部材2に記録素子基板1を接合した状態を同様の断面で示す図である。これらの図に示す構成は、図11〜図15(a)および(b)までに示した実施形態のように各インクごとのヘッド構成についてそれぞれ二つより多い数の空気室が設けられる。すなわち、図16(a)に示すように、6種類のインク色の各インク色について電気熱変換素子配列の両端に対応する位置にそれぞれ一つづつ空気室用の凹部7aおよび連絡路用の溝9aが形成される。また、図16(a)および(b)に示すA−A断面から明らかなように、インク供給口6の形状も上述した実施形態とは異なり、記録素子基板との接合面側に行くに従い、拡がる形状となっている。すなわち、この広がりによって、各インク色ごとのヘッド構成において配列する複数の電気熱変換素子に対応したそれぞれのインク路をカバーしてこれらへインクを供給することができる。
【0150】
以上の支持部材2に対して記録素子基板1が接合されることにより、図16(c)に示すように外気に対して密閉された空気室(7a)および連絡路(9a)が構成され、記録素子基板1におけるインク吐出に伴って生ずる圧力波はこの空気室によって吸収することができる。
【0151】
空気室を電気熱変換素子配列方向の両端に設けることにより、複数のインク色ごとの構成を並列に配置する場合の配列ピッチを小さくすることが可能となり、記録ヘッドの小型化が可能となる。また、これらの空気室はインク供給口から最も遠くに位置することになる。この位置は圧力波の吸収が比較的困難な位置であり、ここに空気室を設けることにより、図22および図23(a)〜(d)にて後述されるようにその効果を最大限に発揮することができる。
【0152】
図17(a)、(b)および(c)は、それぞれ他の形態を示す図である。同図(a)は、第1実施形態と同様、記録素子基板1の裏側に凹部7bおよび連結溝9bが設けられる形態に関するものである。また、同図(b)および(c)は第1支持部材21と第2支持部材22とによって空気室などを形成する形態に関し、このうち、同図(b)は第1支持部材側に、同図(c)は第2支持部材側にそれぞれ凹部及び溝を形成するものである。
【0153】
以上の空気室等の構造によっても、第1実施形態で説明したのと同様の効果を得ることができる。また、第1実施形態と同様、空気室の各壁に撥水処理を施しさらに空気室へのインクの侵入を防止するようにしてもよい。
【0154】
なお、空気室などを設ける位置に関して上述のように種々の形態が考えられるが、これらの配設位置が異なる複数の空気室などを組み合わせてもよく、これにより、リフィルに関してより大きな効果を得ることができる。
【0155】
(第3実施形態)
本実施形態は、第1支持部材21のうち、記録素子基板1の基体1Aと接合したとき、基板1のインク供給口5とともに液室を形成する面の一部に凹部を形成し、これにより、インク吐出に伴って発生する圧力を吸収する構成に関するものである。
【0156】
すなわち、本実施形態では、図18(a)および(b)に示すように、第1支持部材21に形成されるインク供給路6は、記録素子基板1におけるインク供給口5と同様の長孔形状ではなく、インク供給口5の略中央部に対応して設けられる円柱状のものである。これにより、インク供給口5は、吐出口配列に沿った細長い液室の形態となる。そして、この液室には、その中央部で連通するインク供給路6を介してインクが供給されることになる。
【0157】
この構成において、液室状のインク供給口5を形成する第1支持部材21の記録素子基板1の基体1Aとの接続面には、吐出口配列(不図示)に沿って複数の凹部7が設けられる。この凹部7の形状は、第1、第2の実施形態と同様、インク供給路5のインクが浸入しないものとされることは勿論である。この場合、凹部7の深さは深い程よい。すなわち、凹部7は上述の実施形態と同様毛管力などを適切に定めることによりインクを保持するとともに、空気がこの保持されたインクによって凹部7の奥に閉じ込められて空気室を構成する。
【0158】
この凹部7の十分な深さが得られない場合は、図19に示すように、第1支持部材21に貫通孔23を設けるとともに、これに連通するように第2支持部材24に凹部24を設ける。これにより、十分な容積を有した空気室を形成することができる。なお、この空気室について、凹部24の形状を種々変化させることにより、リフィルに関してより効果的な空気室を形成することができる。
【0159】
なお、以上説明した各実施形態の記録ヘッドは、上述のように、電気熱変換素子が発生する熱エネルギーを利用して液体(インク)に膜沸騰を生じさせて気泡を形成しこの気泡の圧力によってインクを吐出する形態のものである。
【0160】
ここで、上述した空気室に関する実施形態のうち、図16(a)〜(c)に示した好的な実施形態による、特にインク供給に関する低周波のインク振動の影響を良好に低減できるという、効果について詳細に説明する。
【0161】
図22は、図16(a)〜(c)に示した記録ヘッドをインクタンクと接合した状態で示す断面図である。
【0162】
(構成全体の概要)
基体1A、液路隔壁、オリフィスプレート14を有する記録素子基板などからなる記録ヘッドチップに対し、液体(インク)供給源であるインクタンクH1900から、フィルタ67、インク供給路6の順にインクが供給される。インク供給路6は、第1のインク供給部61、第2のインク供給部62、第3のインク供給部63、第4のインク供給部64および第5のインク供給部66がこの順に連結して形成される。このうち、第1インク供給部61および第3インク供給部63は、インクタンクからヘツド部へ向かって延在し、一方、第2のインク供給部62は、前記第1および第3インク供給部61、63が延在する方向と交差する方向に延在している。この結果、第1〜第3のインク供給部61、62、63は、屈曲したインク供給系を形成することになる。
【0163】
(空気室近傍の構成の特徴)
上記第1ないし第3のインク供給部に続いて、第4の供給部64が形成されている。第4の供給部64は、第3の供給部63側からヘッドチップ側に向かって、その断面積が徐々に拡大する形状を(図のテーパ部65)をなしている。さらに、この第4インク供給部64に続いて第5のインク供給部66が設けられている。第5インク供給部66は、ヘッドチップ側に向かって断面積が一定のインク供給路であり、記録素子基板の基体1Aと接する部分のうち、記録素子基板における電気熱変換素子配列の両端に空気室71用の凹部7aおよび連絡路用の溝9aが形成されている。
【0164】
この第5の供給部66に続いて、ヘッドチップを構成する基体1Aが配置される。基体1Aに設けられるの貫通空間部(インク供給口)5は、上記第5の供給部66側から基体上に設けられた流路側に向かって、その断面積が減少するテーパ状をなしている。これにより、上記第4インク供給部64の第1のテーパと、この貫通空間部5による逆向きの第2のテーパが設けられ、空気室71は、これら第1テーパと第2テーパとが交差する領域に位置することになる。
【0165】
(インクの後方への流れに対する緩和効果)
図22に示す実施形態の空気室およびインク供給路の構成は、特にバブルスルージェット方式の記録へッドにおいて、特に低周波のインク振動の影響を低減するのに効果がある。
【0166】
図25(a)〜(h)は、バブルスルージェット方式による吐出状態の一例を時系列で示す図である。これらの図に示すように、電気熱変換素子13によって発生した気泡301は液滴がヘッドを離れて飛翔する(図25(h))前に大気と連通するため(図25(f))、消泡過程がなく、この結果、液体の発泡およびその気泡の成長とともに、気泡301の後方の気液界面301aは後退していく。そして、この気液界面301aの後退に伴って、後方の液体はインク供給路側に押し戻される。特に、吐出デューティーが高い場合は、この押し戻される液体はその総量によって供給路全体のインクの動きに大きく影響する。本願人は、この供給路全体でのインクの振動を、吐出の際のリフィルの周波数(高周波数)に対して、低周波数の振動と称している。
【0167】
本実施形態では、この押し戻されるインクの動きがインク供給に対して及ぼす影響を、ヘッドチップ(基体1A)に設けられた貫通空間部5の第2のテーパ部と第4供給部64の第1のテーパー部とによって緩和する。すなわち、第2のテーパ部の広がり効果と第1のテーパ部の反射方向の偏向によって、押し戻されるインクの反射が直接ヘッドチップ側に戻ってその後の吐出に及ぼす影響を低減できる。
【0168】
(空気室の作用)
以上のようにテーパ部を設けたことによって、インクのヘッドチップとインク供給路との間の往復する方向(図22中、縦方向)の振動の影響は緩和される。しかし、上記テーパ部によって、液体供給方向と交差する方向(図22中、横方向)のインクの振動を派生する。
【0169】
本実施形態の空気室は、この横方向の動きを緩和する効果を奏するものである。
【0170】
すなわち、本実施形態では、空気室および空気室と液体供給路とを連通する連通路の構成として、これらは上記液体供給方向と交差する方向、すなわち横方向(ヘッドチップにおける複数流路の配列方向)に沿った位置で第1および第2のテーパに対向する位置に設けられる。これにより、上記インクの横方向の振動を直接緩和することができる。
【0171】
また、一組の空気室構成が相互に対向する位置に設けられることにより、個々の緩和効果が干渉することなく作用するので、さらに好適となる。さらに、この空気室は、液体供給路側で液体と接触し界面を形成している以外は、ヘッドチップまたは液体供給ユニットの部材あるいはこれら双方の部材によって密閉された空間を形成し、予め内包された空気がダンパーとして有効に作用することを保証する。このダンパー効果は、別の見方をすれば、液体の一部を一時貯留するという機能を発揮するものである。
【0172】
さらに、空気室と液体供給路とを連通する連通部において、液体がメニスカスを形成するようにすれば、上記インクの横方向の振動を空気室のダンパー効果で緩和する時の応答性が向上する。この応答性能向上のためのメニスカス形成は、この連通部の断面積を所定の大きさとすることで実現できる。
【0173】
空気室は、インク供給路の流路断面積が小さいところに設ける場合は、横方向の流れがほとんど生じないため本来の目的である横方向の十分な緩和効果を発揮し得ない。加えて、流路断面積が小さいところでは流速が早く、十分なバッファ効果を奏することができない。これに対し、空気室を流路断面積が大きく流速が小さい領域に設けると、小さいサイズのバッファで大きな効果を発揮することができる。さらに、空気室とインク供給路とを連通する連通路の断面積はヘッドチップにおける液流路の断面積より大きく構成し、これにより、空気室のダンパー効果を発揮することができる。
【0174】
以下に、本実施形態の記録ヘッドにおける各部の断面積を示す。
【0175】
空気室71の断面積S5(図23(a)、図23(b)):0.765mm2、 連絡路(9a)の断面積S6(図23(a)、図23(b)):0.08mm2、 第3インク供給路63の断面積S1(図22):0.64mm2、 液流路12の断面積S2(図23(c)、図22):0.000416mm2、 液流路入り口の各断面積F1、F2、F3(図23(d)):0.000143mm2
【0176】
(インク供給に対するインク供給路の作用)
バブルスルージェット方式場合、インクの発泡および気泡の成長に伴ってインクが吐出されるが、この吐出に際して、図25(h)に示したように、気泡後方の気液界面によるメニスカスは電気熱変換素子よりも後退した位置に形成される。
この後退したメニスカスが吐出可能な位置に復帰するのは、専ら毛管力による。
各液路におけるこの毛管力は、全体としてインク供給路におけるインクの移動をもたらすが、本実施形態の構成では、インク供給路の上流側から下流側に向かって、供給路の断面積が次第に増加していく構成を有している。このため、インク供給に際して、後方からのインクの供給がよりスムーズに行われ、供給不足ということがなくなる。
【0177】
また、空気室が第5の供給部に隣接して設けられているため、空気室に一時的に貯留されたインクが吐出に際して供給され、液体供給源の一端を担うこともできる。
【0178】
(ヘッドユニットの姿勢・位置関係における空気室の効果)
本実施形態の記録ヘッドは、主として下向き吐出で使用される。下向き吐出では、図22に示すように、重力が矢印Gの方向に作用する。この場合、インク供給ユニットがヘツドチップの上方に位置し、インク供給ユニットとヘッドチップとの接合領域から同ユニット側に空気室が形成される構成としている。そして、空気室を上方に(ユニット側に)伸びた構成とすることで、体積効率のよい構成とすることができる。
【0179】
(付加的構成による効果)
ところで、吐出口列の両端部に複数個のダミー吐出口を設ける構成が知られている。そのダミー吐出口は、各吐出口における吐出の際に生じるバック波の影響(クロストーク)を軽減する効果を有するが、本実施形態の空気室と上記ダミー吐出口とが共存することで、両者の相乗効果が期待できる。加えての構成として、本実施形態の屈曲したインク供給系は、ヘッドチップからのインクの直接的な後退を緩衝する働きを有する。
【0180】
図16(a)〜(c)(図22、図23(a)〜(d))に示したヘッド構成および空気室構成は、コンパクトな構成で特に低周波のインク振動の影響を軽減して良好なインク吐出を実現できる点で好適である。その他の構成については、高周波数のインク振動は比較的良く軽減できるが、空気室の数が多くなり、また、比較的サイズも大きくなる。
【0181】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、複数のインク吐出口に対してインクを供給する、これらの吐出口に共通のインク供給室に連通してその圧力が伝達される空気室が設けられるので、各吐出口でのインク吐出にともなって発生しインク供給室に伝播されるインクの圧力はこの空気室の空気の圧力変化として空気室に伝播され、その空気室の容積増大による圧力の低下によって吸収される。
【0182】
また、空気室は、記録ヘッドを構成する複数の部材を接合することによって形成されるため、この空気室は外気と連通することがなく、空気室を介した記録ヘッド内のインクの増粘を防止することができる。
【0183】
さらに、空気室の少なくとも一部の内壁面を支持部材が形成しているので、インク吐出に直接関わる領域に比較的近い位置に空気室を最適配置することができる。
【0184】
加えて、少なくとも一方に凹部が設けられた部材同士を凹部を内側にして接合することによって空気室を形成すれば、密閉構造の空気室を簡易に製造することができる。
【0185】
また、インク供給路を形成する貫通孔の内壁面の斜面の終端において空気室がインク供給路と連通すれば、斜面によるバッファー効果と空気室によるバッファー効果とが相まって、一層安定的なインク供給特性を得ることができる。
【0186】
更に、インク供給路が空気室よりインク供給に関する上流側に屈曲部を有すれば、屈曲部によるバッファー効果と空気室によるバッファー効果とが相まって、一層安定的なインク供給特性を得ることができる。
【0187】
加えて、エネルギー発生素子が熱エネルギーを発生してインクに気泡を生じさせ、この気泡が大気と連通し吐出口からインクを吐出する方式であれば、空気室によるバッファー効果を相乗的に一層高水準なものとすることができる。
【0188】
この結果、インクジェット記録ヘッドにおけるインク吐出口の高マルチ化に特有のインクリフィルにかかわる諸問題を解消して、特に優れた高速応答性および吐出性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるインクジェットプリンタの外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すプリンタの外装部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態によるプリンタに用いる記録ヘッドカートリッジを組立てた状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す記録ヘッドカートリッジを示す分解斜視図である。
【図5】図4に示した記録ヘッドを斜め下方から観た分解斜視図である。
【図6】 (a)および(b)は、図3に示す記録へッドに代えて本発明の一実施形態によるプリンタに搭載可能なスキャナカートリッジを天地を逆にして示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態のプリンタにおける電気的回路の全体構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】図7に示した回路のうちメインPCBの内部構成例を示すブロック図である。
【図9】図8に示したメインPCBのうちASICの内部構成例を示すブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態のプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1実施形態による記録ヘッドの要部構造を示す断面図である。
【図12】 (a)は図11に示した要部の平面詳細図、(b)および(c)はその断面図である。
【図13】第1実施形態の変形例にかかる記録ヘッドの要部構造を示す断面図である。
【図14】第1実施形態の他の変形例にかかる記録ヘッドの要部構造を示す断面図である。
【図15】 (a)および(b)は、本発明の第2実施形態による記録ヘッドの要部構造を示すそれぞれ吐出口側およびその側方から見た断面図である。
【図16】 (a)は第2実施形態の変形例に係り、複数の種類のインクに関する記録ヘッド要部構造を示す平面図、(b)および(c)はその断面図である。
【図17】 (a)、(b)および(c)は、それぞれ第2実施形態の変形例にかかる記録ヘッドの要部構造を示す断面図である。
【図18】 (a)および(b)は、本発明の第3実施形態による記録ヘッドの要部構造を示すそれぞれ吐出口側およびその側方から見た断面図である。
【図19】第3実施形態の変形例にかかる記録ヘッドの要部構造を示す断面図である。
【図20】 (a)および(b)は、それぞれ従来例による記録ヘッドのリフィルに関する問題を説明するための、吐出口側およびその側方から見た断面図である。
【図21】 (a)および(b)は、それぞれ従来例による記録ヘッドのリフィルに関する問題を説明するための、線図および吐出方向の側方から見た断面図である。
【図22】本発明の一実施形態による記録ヘッドにおける、インクタンクから吐出口に至るインクの供給系の主要部を示す断面図である。
【図23】 (a)および(b)は、上記インクの供給系に設けられた空気室を示す平面図及び斜視図であり、(c)および(d)は、上記供給系における、吐出口及び電気熱変換素子の周辺領域を示す斜視図及び平面図である。
【図24】本発明の一実施形態に係る記録ヘッドの主要部を示す部分破断斜視図である。
【図25】 (a)、 (b)、 (c)、 (d)、 (e)、 (f)、 (g)および (h)は、バブルスルージェット方式によるインク吐出状態を時系列で説明するための断面図である。
【符号の説明】
M1000 装置本体
M1001 下ケース
M1002 上ケース
M1003 アクセスカバー
M1004 排出トレイ
M2015 紙間調整レバー
M2003 排紙ローラ
M3001 LFローラ
M3019 シャーシ
M3022 自動給送部
M3029 搬送部
M3030 排出部
M4000 記録部
M4001 キャリッジ
M4002 キャリッジカバー
M4007 ヘッドセットレバー
M4021 キャリッジ軸
M5000 回復系ユニット
M6000 スキャナ
M6001 スキャナホルダ
M6003 スキャナカバー
M6004 スキャナコンタクトPCB
M6005 スキャナ照明レンズ
M6006 スキャナ読取レンズ1
M6100 保管箱
M6101 保管箱ベース
M6102 保管箱カバー
M6103 保管箱キャップ
M6104 保管箱バネ
E0001 キャリッジモータ
E0002 LFモータ
E0003 PGモータ
E0004 エンコーダセンサ
E0005 エンコーダスケール
E0006 インクエンドセンサ
E0007 PEセンサ
E0008 GAPセンサ(紙間センサ)
E0009 ASFセンサ
E0010 PGセンサ
E0011 コンタクトFPC(フレキシブルプリントケーブル)
E0012 CRFFC(フレキシブルフラットケーブル)
E0013 キャリッジ基板
E0014 メイン基板
E0015 電源ユニット
E0016 パラレルI/F
E0017 シリアルI/F
E0018 電源キー
E0019 リジュームキー
E0020 LED
E0021 ブザー
E0022 カバーセンサ
E1001 CPU
E1002 OSC(CPU内蔵オシレータ)
E1003 A/D(CPU内蔵A/Dコンバータ)
E1004 ROM
E1005 発振回路
E1006 ASIC
E1007 リセット回路
E1008 CRモータドライバ
E1009 LF/PGモータドライバ
E1010 電源制御回路
E1011 INKS(インクエンド検出信号)
E1012 TH(サーミスタ温度検出信号)
E1013 HSENS(ヘッド検出信号)
E1014 制御バス
E1015 RESET(リセット信号)
E1016 RESUME(リジュームキー入力)
E1017 POWER(電源キー入力)
E1018 BUZ(ブザー信号)
E1019 発振回路出力信号
E1020 ENC(エンコーダ信号)
E1021 ヘッド制御信号
E1022 VHON(ヘッド電源ON信号)
E1023 VMON(モータ電源ON信号)
E1024 電源制御信号
E1025 PES(PE検出信号)
E1026 ASFS(ASF検出信号)
E1027 GAPS(GAP検出信号)
E0028 シリアルI/F信号
E1029 シリアルI/Fケーブル
E1030 パラレルI/F信号
E1031 パラレルI/Fケーブル
E1032 PGS(PG検出信号)
E1033 PM制御信号(パルスモータ制御信号)
E1034 PGモータ駆動信号
E1035 LFモータ駆動信号
E1036 CRモータ制御信号
E1037 CRモータ駆動信号
E0038 LED駆動信号
E1039 VH(ヘッド電源)
E1040 VM(モータ電源)
E1041 VDD(ロジック電源)
E1042 COVS(カバー検出信号)
E2001 CPU I/F
E2002 PLL
E2003 DMA制御部
E2004 DRAM制御部
E2005 DRAM
E2006 1284 I/F
E2007 USB I/F
E2008 受信制御部
E2009 圧縮・伸長DMA
E2010 受信バッファ
E2011 ワークバッファ
E2012 ワークエリアDMA
E2013 記録バッファ転送DMA
E2014 プリントバッファ
E2015 記録データ展開DMA
E2016 展開用データバッファ
E2017 カラムバッファ
E2018 ヘッド制御部
E2019 エンコーダ信号処理部
E2020 CRモータ制御部
E2021 LF/PGモータ制御部
E2022 センサ信号処理部
E2023 モータ制御バッファ
E2024 スキャナ取込みバッファ
E2025 スキャナデータ処理DMA
E2026 スキャナデータバッファ
E2027 スキャナデータ圧縮DMA
E2028 送出バッファ
E2029 ポート制御部
E2030 LED制御部
E2031 CLK(クロック信号)
E2032 PDWM(ソフト制御信号)
E2033 PLLON(PLL制御信号)
E2034 INT(割り込み信号)
E2036 PIF受信データ
E2037 USB受信データ
E2038 WDIF(受信データ/ラスタデータ)
E2039 受信バッファ制御部
E2040 RDWK(受信バッファ読み出しデータ/ラスタデータ)
E2041 WDWK(ワークバッファ書込みデータ/記録コード)
E2042 WDWF(ワークフィルデータ)
E2043 RDWP(ワークバッファ読み出しデータ/記録コード)
E2044 WDWP(並べ替え記録コード)
E2045 RDHDG(記録展開用データ)
E2047 WDHDG(カラムバッファ書込みデータ/展開記録データ)
E2048 RDHD(カラムバッファ読み出しデータ/展開記録データ)
E2049 ヘッド駆動タイミング信号
E2050 データ展開タイミング信号
E2051 RDPM(パルスモータ駆動テーブル読み出しデータ)
E2052 センサ検出信号
E2053 WDHD(取込みデータ)
E2054 RDAV(取込みバッファ読み出しデータ)
E2055 WDAV(データバッファ書込みデータ/処理済データ)
E2056 RDYC(データバッファ読み出しデータ/処理済データ)
E2057 WDYC(送出バッファ書込みデータ/圧縮データ)
E2058 RDUSB(USB送信データ/圧縮データ)
E2059 RDPIF(1284送信データ)
H1000 記録ヘッドカートリッジ
H1001 記録ヘッド
H1100 記録素子基板
H1100T 吐出口
H1200 第1のプレート
H1201 インク供給口
H1300 電気配線基板
H1301 外部信号入力端子
H1400 第2のプレート
H1500 タンクホルダー
H1501 インク流路
H1600 流路形成部材
H1700 フィルター
H1800 シールゴム
H1900 インクタンク
1 記録素子基板
2 支持部材
5 インク供給口
6 インク供給路
7、7a、7b 凹部(空気室)
9a、9b 連結溝(連絡路)
10 撥水層
11 吐出口
12 液路
13 電気熱変換素子
14 オリフィスプレート
15 隔壁
21 第1支持部材
22 第2支持部材
23 貫通孔
24 凹部

Claims (13)

  1. インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子が設けられた基体と該基体上に前記エネルギー発生素子に対向して配された吐出口が設けられた吐出口プレートとを有する記録素子基板と、
    前記基体に接して前記記録素子基板を支持する支持部材と、
    を有する記録ヘッドであって、
    前記記録素子基板の前記吐出口へインクを供給するためのインク供給路と、
    該インク供給路と連通し空気が存在する空気室と、
    が設けられ、前記空気室の少なくとも一部の内壁面を前記支持部材が形成していることを特徴とする記録ヘッド。
  2. 前記支持部材に凹部が設けられ、前記記録素子基板と前記支持部材とが接合されることによって前記凹部が形成する空間を前記空気室とすることを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド。
  3. 前記記録素子基板に凹部が設けられ、前記記録素子基板と前記支持部材とが接合されることによって前記凹部が形成する空間を前記空気室とすることを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド。
  4. 前記支持部材を第1支持部材とし、該第1支持部材を支持する第2支持部材を更に有し、前記第1支持部材及び前記第2支持部材の一方または双方に凹部または貫通孔が設けられ、前記記録素子基板と前記第1支持部材と前記第2支持部材とが接合されることによって前記凹部及び前記貫通孔の少なくとも一方が形成する空間を前記空気室とすることを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド。
  5. 前記基体には前記インク供給路を形成する貫通孔が設けられ、該貫通孔の内壁面はインク供給に関する上流側から下流側へ向かって先細りとなる斜面を有することを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド。
  6. 前記斜面の上流側の終端において前記空気室が前記インク供給路と連通することを特徴とする請求項5に記載の記録ヘッド。
  7. 前記支持部材には前記インク供給路を形成する貫通孔が設けられ、該貫通孔の内壁面はインク供給に関する下流側から上流側へ向かって先細りとなる斜面を有することを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド。
  8. 前記斜面の下流側の終端において前記空気室が前記インク供給路と連通することを特徴とする請求項7に記載の記録ヘッド。
  9. 前記インク供給路は、前記空気室よりインク供給に関する上流側に屈曲部を有することを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド。
  10. 前記空気室の内壁面は撥水処理されていることを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド。
  11. 前記エネルギー発生素子は熱エネルギーを発生してインクに気泡を生じさせ、該気泡の圧力によって前記吐出口からインクを吐出することを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド。
  12. 気泡が大気と連通し前記吐出口からインクを吐出することを特徴とする請求項11に記載の記録ヘッド。
  13. インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子が設けられた基体と該基体上に前記エネルギー発生素子に対向して配された吐出口が設けられた吐出口プレートとを有する記録素子基板と、前記基体に接して前記記録素子基板を支持する支持部材と、を有し、前記記録素子基板に関して前記基体の側から前記吐出口へインクを供給するためのインク供給路と、該インク供給路と連通し空気が存在する空気室と、が設けられ、前記空気室の少なくとも一部の内壁面を前記支持部材が形成している記録ヘッドと、
    該記録ヘッドを搭載する部材と、
    を具備することを特徴とするインクジェット記録装置。
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