JP4384474B2 - インクジェット記録ヘッド及びこれを用いたインクジェットプリンタ - Google Patents

インクジェット記録ヘッド及びこれを用いたインクジェットプリンタ Download PDF

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Description

本発明は、文字や画像の記録に用いる高精度のインクジェット記録装置に搭載されるインクジェット記録ヘッドおよびインクジェットプリンタに関するものである。
従来、記録紙にカラーの文字や画像を印刷する手段としてインクジェット方式の記録装置が用いられているが、近年、画像出力の高精度化に伴い印字密度の高密度化と、印刷速度の高速化が求められるようになっている。
ところで、インクジェット方式のインクジェットプリンタに搭載されるインクジェット記録ヘッドには、インク滴を記録紙に向けて吐出、飛翔させる加圧機構として、発熱抵抗体の発する熱エネルギーを利用したものや、電磁波の照射に伴って発生する熱を利用したものがある。
例えば、図5にインクジェット記録ヘッドの断面図を示す。図に示す如く、加圧機構として発熱抵抗体の熱エネルギーを利用したインクジェット記録ヘッド21は、複数のインク室24を有し、各インク室24内にインクを加圧するための発熱抵抗体25を備えた流路部材23と、この上に設けられ各インク室24と連通するインク吐出孔28を備えたノズル板29とからなるヘッド本体22と、このヘッド本体22を支持し、かつ上記流路部材23のインク室24と連通するインク供給穴31を有するセラミック製の支持部材30とからなり、上記インク供給穴31は、ヘッド本体側に開口する、中央に向かって深くなる傾斜底面33を備えた長穴32と、これに連通する小径穴34とから構成したものがあった。なお、不図示であるが、インク供給穴31はインクを蓄積するインクタンクからインクが供給されるようになっている。
そして、このインクジェット記録ヘッド21を用いて記録紙に印刷するには、インク供給穴31よりインク室24にインクを供給した状態で、発熱抵抗体25を発熱させてインク室24内に気泡Aを発生させることによりインク室24内のインクを加圧し、インク吐出孔28よりインク滴Bを吐出させることにより記録紙に印刷するようになっていた(特許文献1参照)。
ところで、インクジェットプリンタの近年の開発動向は、印刷の高画質と同時に印字スピードの高速化である。それに伴ってインク吐出孔の高密度化と印字サイクルの短時間化が行われている。特に、図5示すような発熱抵抗体の熱エネルギーを用いたインクジェット記録ヘッド21では、インク吐出孔28の高密度化に対応して発熱抵抗体25も高密度に配置されため、印字サイクルが短時間化されると発熱抵抗体25からの熱エネルギーが多くなり、インク室24内の温度が上昇し、その結果、インクの発泡作用に変化が生じて印字ばらつきとなるという問題点があった。従って、インク室24付近の放熱性を高めることで印字サイクルを短時間化する課題があった。
ところが、図5に示すような支持部材30の材質としては、一般的に放熱性が低いがコスト面を考慮して相対密度90%〜94%のアルミナ焼結体が用いられていた。
これに対して、支持部材30としてアルミナ焼結体を用い、上述のような熱の問題を考慮した技術が特許文献2に示されている。即ち、シリコン、ガラスおよびセラミックのいずれかを用いた支持部材30の表面に、不図示であるがC、Mg、Al、Cu、Ag、Au及びWなどの熱伝導率の高い材料からなる中間層と、その中間層上に酸化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化マグネシウムなどからなる無機質材料で熱伝導率が低い材料からなる下部層を形成し、中間層の熱伝導率が下部層の熱伝導率の2倍以上である材料を用いることにより、放熱性と蓄熱性とをバランス良く備え、発熱抵抗体25の発熱によるインクの温度変化の調整効果を持つというものである。
特開2001−130004号公報 特開平03−205155号公報
特許文献2のインクジェット記録ヘッドは、支持部材30の表面に中間層と下部層が積層され、付近のインク液が熱伝導率の低い下部層を通してインクへ放熱させる構造であるため、インク室24とインク供給穴31とが熱的分断され、インク室24付近のインク液が蓄熱して、支持部材30へ放熱させる効果が小さくなり、印字サイクルの高速化が進まなかった。
そのため、インク液を通して支持部材30への放熱効果が不十分であるため、インク室24のインクの温度が上昇し、インクの粘性が変化しインクの流れが阻害され、長時間高速で連続動作ができず、冷却のために途中で印字を休止する必要があり高速化の妨げになっていた。
一方、一般的にはインクの温度が上昇するとインク粘性変化が発生するために画像の濃度ムラとして現れてしまうことが知られており、インクの温度をインク粘性変化が始まる60℃以上にならないように印字サイクルの時間を制御している。
すなわち、特許文献1や特許文献2のように発熱抵抗体の熱エネルギーを利用したインクジェット記録ヘッド21の場合、発熱抵抗体25の温度が瞬間的に数百度の温度に昇温されるとインク成分の熱分解物等が発熱抵抗体25の表面に堆積するコゲーションの問題が生じていた。
また、インク供給穴31の表面がインクに曝されるので、支持部材30の材質であるアルミナ質焼結体中のガラス成分(Si、Mg、Ca成分)がインクに多く溶出してくるため、発熱抵抗体25の表面にガラス堆積物が発生しやすく、この堆積物は、発熱抵抗体25からインクへの熱伝導を阻害する原因となるため、インクの発砲が正常に行われなくなり、その結果、印字に欠陥が発生することあった。従って、インクジェット記録ヘッド21の高耐久化のためには、このような発熱抵抗体25の表面への堆積物を少なくする課題があった。
さらにまた、画質の高精度化に伴って小さな孔径を有するインク吐出孔28を備えたものが用いられるようになっているが、上記支持部材30のインク供給穴31に開口する気孔や凹部には加工屑やゴミ等が入り込んでおり、これらの加工屑やゴミ等は洗浄処理しても十分に除去することができず、そのまま使用するとインク供給穴31にインクを供給した際に、インクに曝される表面に開口する気孔や凹部に入り込んでいた加工屑やゴミ等がインク中に流出し、小さな孔径のインク吐出孔28が目詰まりする恐れもあった。
本発明は、上記問題に鑑み、複数のインク室を有し、熱エネルギーを利用して上記各インク室内のインクを加圧する加圧機構を備えた流路部材と、該流路部材の表面に配置され上記各インク室と連通するインク吐出孔を備えたノズル板とからなるヘッド本体と、該ヘッド本体を支持し、かつ上記流路部材のインク室と連通するインク供給穴を備えたセラミック製の支持部材とからなるインクジェット記録ヘッドにおいて、上記インク供給穴の少なくともインクに曝される表面に、膜厚50〜150μmの金属メッキ層と、該金属メッキ層よりも熱伝導率が高い膜厚0.5〜5μmの保護層とが積層されていることを特徴とする。
また、支持部材を形成するセラミックスが、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化ケイ素のいずれかを主成分とするセラミックスであることが好ましい。
そして、アルミナを主成分とするセラミックスを用いる場合には、その相対密度が95%以上であることが好ましい。
さらに、金属メッキ層は、Ni、Moのいずれかを用いて形成することが好ましい。また、前記保護層が、DLC膜、SiC膜、AlN膜のいずれかのセラミックス膜であることが好ましい。
このように、本発明のインクジェット記録ヘッドによれば、インク供給穴の少なくともインクに曝される表面に、いずれも高熱伝導率の膜厚50〜150μmの金属メッキ層、膜厚0.5〜5μmの保護層を積層し、しかも金属メッキ層よりも保護層の熱伝導率を大きくしたので、インク供給穴のインクに蓄熱した熱の流れを、効率よく保護層、金属メッキ層を通して支持部材へ逃がすことができる。これにより、発熱抵抗体で発生した熱がインク室およびインク供給穴に蓄熱してインク温度が上昇することを防止でき、連続印字時間を長くし、印字サイクルを短時間化することができる。
更に、インクの温度が上昇を防止することで、インク粘性変化を抑え、印字画質の鮮度を保つことができる。
また、支持部材を、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化ケイ素のいずれかである線膨張係数が小さく剛性が高いセラミックスを用いて形成することにより、熱が加わったとしてもインクジェット記録ヘッドの変形を小さく、精度よく製作できる。そして、これらのセラミックスは、熱伝導率が高く、保護層と金属メッキ層を通して伝わってきたインクの熱を大気中へ速やかに放熱することができる。
さらに、金属メッキ層に、支持部材に用いる材料の熱伝導率よりも高い熱伝導率のNi、Moのいずれかを用いることにより、金属メッキ層に蓄熱した熱を支持部材へ効率良く逃がすことができる。同様に、保護層に、金属メッキ層に用いる材料の熱伝導率よりも高い熱伝導率のDLC膜、SiC膜、AlN膜のいずれかのセラミックス膜を用いることにより、保護層に蓄熱した熱を金属メッキ層へ効率良く逃がすことができる。
更に、保護層として、DLC膜、SiC膜、AlN膜のいずれかであるセラミック膜にて形成したことにより、支持部材を形成するセラミックス粒子の脱粒(パーティクル)を押さえ、インクが強アルカリ性の場合でも金属成分がインクに溶出することがなく、溶出した粒子によるインク吐出孔の孔詰まりによる印字品質の低下を防止できる。
そして、本発明のインクジェット記録ヘッドをインクジェットプリンタに用いることで、冷却のために途中で印字を休止することのない高速印字のプリンタを提供することができる。
図1は本発明のインクジェット記録ヘッドの一例を示す図で、(a)はその斜視図、(b)は一部を破断した斜視図である。また、図2(a)〜(c)は本発明のインクジェット記録ヘッドの一例を示す分解斜視図である。さらに、図3は図1(a)のX−X線断面図、(b)は図1(a)のY−Y線断面図であり、図4は、支持部材に形成した金属メッキ層および保護層の構成を示した図である。
このインクジェット記録ヘッド1は、ヘッド本体2と支持部材10とから構成されている。
ヘッド本体2は、複数のインク室4を有し、各インク室4内にインクを加圧するための発熱抵抗体5を備えた流路部材3と、流路部材3上に配置され、各インク室4にまで連通するインク吐出孔8を備えたノズル板9とからなる。また、支持部材10は、ヘッド本体2を支持し、かつヘッド本体2の流路部材3に形成したインク室4と連通するインク供給穴11が形成されている。
ヘッド本体2を形成する流路部材3は、例えばシリコン基板に複数本の段付き溝6を並設してなり、段付き溝6の段差部7に複数個の発熱抵抗体5を所定間隔で並設されており、各発熱抵抗体5と対向する位置にインク吐出孔8が位置するように流路部材3上にノズル板9を配置する。なお、インク吐出孔8の径は、印字する画素数が300dpiであれば約30μm程度で良いが、高画質の印字に用いるためにはインク吐出孔8は11〜25μmとすることが望ましい。
また、支持部材10は、平面が長方形状の直方体であり、その幅方向に形成されたインク供給穴11が長手方向に複数穿設されており、このインク供給穴11からヘッド本体2の各インク室4と連通するように構成している。各インク供給穴11は、ヘッド本体2側に開口するとともに中央に向かって深くなる傾斜底面13を備えた長穴12と、ヘッド本体2と反対側に開口し、上記長穴12と連通する小径穴14とからなる。
この小径穴14は不図示のインクタンクからインクが供給可能に構成されており、インク供給穴11の表面は供給されたインクに曝されることとなる。
そして、このインクジェット記録ヘッド1を用いて記録紙に印刷するには、インク供給穴11よりインク室4にインクを供給した状態で、発熱抵抗体5を発熱させてインク室4内に気泡を発生させることによりインク室4内のインクを加圧し、インク吐出孔8よりインク滴を吐出させるようになっている。
ここで、本発明のインクジェット記録ヘッド1は、支持部材10の少なくともインク供給穴11の少なくともインクに曝される表面に、膜厚50〜150μmの金属メッキ層15と、金属メッキ層15よりも熱伝導率が高い膜厚0.5〜5μmの保護層16とが積層されていることが重要である。
ここで、金属メッキ層15の材料としては、表1に示すように、Cu、Al、Ag、Au、Ni、Mg、Moなどが挙げられる。特にNi、Moは、線膨張係数が12×10-6(/℃)以下で、セラミックスと比較的近似しているのでセラミックスとの密着性が良く、経済性の点から好ましい。
Figure 0004384474
また、保護層16のセラミックス膜としては、表2に示すように、DLC膜(ダイヤモンドライクカーボン)、SiC膜、AlN膜などが挙げられる。特に、DLC膜は、熱伝導率が高く、内部応力の低いので最も好ましい。
Figure 0004384474
ここで、金属メッキ層15の膜厚を50μm以上としたのは、印字するインク吐出孔のノズル密度が300dpi以上のインクジェット記録ヘッド1の場合、膜厚が50μm以下では、放熱効果が低くインク温度が上昇を続け、印字を休止せざる得ない状況になるめである。特に、インクジェット記録ヘッド1の印字走行をA4サイズ1枚分、休止することなく印字できるためには、膜厚を100μmよりも厚く形成することが望ましい。また、金属メッキ層15の膜厚を150μm以下としたのは、150μmより厚いと、インク室内の気泡の発生が不安定になるとともに、金属メッキ層15の内部ひずみにより、支持部材10との密着性が低下するためである。
金属メッキ層15の上に保護層16を形成するのは、金属メッキ層15には強アルカリ性のインクに対する耐食性が不十分であり、インクと液接させることができないためである。
この保護層16の膜厚が0.5μmより小さいと、金属メッキ層を保護する機能が果たせなくなり、膜厚が5μmより大きいと、金属メッキ層との熱膨張係数の差により膜剥がれが生じやすくなるからである。
そして、インク液と直接接する保護層16の熱伝導率が金属メッキ層15の熱伝導率より高いことにより、熱の伝搬を層間の境界で断熱することなく、支持部材10のセラミックスに速やかに放熱することができる。そして、発熱抵抗体5で発生した熱をインク供給孔内のインク液体を介して、支持部材10に熱を効率よく放熱することができ流路部材3内のインクの温度上昇を抑えることができる。
また、本発明のインクジェット記録ヘッド1は、支持部材10を形成するセラミックスが、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化ケイ素のいずれかであることが好ましい。
特に、安価で実用しやすい材料であるアルミナを主成分とするセラミックスを用いる場合には、その相対密度が95%以上、最適には98%〜99.9%とすることが好ましい。セラミックスの相対密度は材料の気孔状態と関連し、相対密度が高くなると気孔量が減少して熱伝導率が高くなる。これらのセラミックスは、表3に示すように、熱伝導率が大きく、線膨張係数10(×10−6/℃)以下で流路部材3と近似し、しかもヤング率300GPa以上の剛性が大きい材料であるので、インクジェット記録ヘッド1の支持部材10に使用するには好適な材料である。
Figure 0004384474
特にアルミナは、インク供給孔11の形状をプレス成形により、複雑な形状(インク供給穴11の傾斜底面13の形状)を低コストで製作できるうえ、金属メッキ層15との形成において、下地処理(Mo−Mnペースト印刷によるメタライズ法)により金属メッキ層15と強固に密着することもできる。さらに、支持部材10の平面に比べて、密着強度の弱いインク供給穴12の小径穴14の側面、傾斜底面13に金属メッキ層15の膜剥がれを起こすことがなく、長時間の使用にも耐えられる膜を形成するのに、最適な材料である。
次に、本発明のヘッド本体2の支持部材10を製造する方法について説明する。
まず、本発明に係る支持部材10のセラミック焼結体を製造する。アルミナの場合、アルミナ原料粉末およびシリカ、マグネシア等の焼結助剤を適量調合し、混合した原料を湿式粉砕し、成形助剤となるバインダーを添加混合してスラリーを作成し、スプレードライヤーにてスラリーを霧状に噴霧乾燥させることにより、均一の粉末顆粒を得る。この粉末顆粒を粉末プレス成形にて形状を形成し、酸化雰囲気にて1500〜1800℃の焼成温度にて焼成を行い、アルミナ焼結体を得る。
窒化アルミニウムの場合、窒化アルミニウム原料粉末および酸化イットリウム、酸化エルビウム、酸化セリウム等の希土類酸化物からなる焼結助剤を適量調合し、混合した原料を湿式粉砕し、成形助剤となるバインダーを添加混合してスラリーを作成し、スプレードライヤーにてスラリーを霧状に噴霧乾燥させることにより、均一の粉末下流を得る。この粉末顆粒を粉末プレス成形にて形状を形成し、不活性ガスもしくは窒化ガス雰囲気にて1600〜2100℃の焼成温度にて焼成を行い、窒化アルミニウム焼結体を得る。
炭化珪素の場合、炭化ケイ素原料粉末およびアルミナ、イットリア、酸化セリウム等の焼結助剤を含有する原料粉末、もしくは、炭化ケイ素原料粉末およびホウ素と炭素を焼結助剤として含有する原料粉末を用い、これを成形後、不活性雰囲気下で2000〜2100℃で焼成して炭化ケイ素焼結体を得る。
また、セラミック焼結体を熱間静水圧プレス(HIP)処理することで、相対密度が98%以上まで高めることができる。
次に焼成後に支持部材10のヘッド本体2と合わせる面およびインクタンクと合わせる面を研削し、その平面度を2.0μm以内に維持した支持部材10を製作する。
そして、超音波洗浄にて油分汚れや研削液、研削屑を除去した後、インク供給孔11の傾斜底面13を含む支持部材10の表面全体にMo−Mnの下地膜を形成するため、スクリーン印刷にてMo−Mnペーストを塗布し、水素または水素と窒素の雰囲気中で、1400℃の高温焼成を行い密着強度の強い膜を10μm程度で形成した。表面全体にマンガンアルミナスピネル化合物を形成しモリブデン金属と強く結びついた下地膜を形成した後、電界メッキ法にて、金属メッキ層15を形成する。電界メッキ部は、99.5wt%程度の金属結晶膜となるので、金属の本来持っている熱伝導率を維持できる。
次に保護層16としてセラミック膜を成膜する。この成膜方法としては、真空蒸着法もしくは低温プラズマCVD法にて形成する。
例えば、プラズマCVD法により成膜するには、チャンバー内に配設するカソード(陰極)電極盤に支持部材10を配置し、成膜したいセラミック膜にあわせて原料ガスおよびキャリアーガスをチャンバー内へ供給する。そして、アノード(陽極)電極盤と前期カソード(陰極)電極盤との間に電圧を印加することにより、カソード(陰極)電極盤より引き出された電子を上記原料ガスと衝突させてプラズマを発生させ、該プラズマ中の成膜成分を電界に沿った形で100〜800℃の反応温度で支持部材10の表面に堆積させることができる。なお、膜厚については成膜時間を調整することにより調整することができるが、膜厚が薄すぎるとインクとの耐食性が機能しないし、逆に、膜厚が厚すぎると膜厚にバラツキを生じることから、保護層16のセラミック膜の膜厚は0.5〜5μmの範囲で被膜することが好ましい。
以上、本発明の実施するための最良の形態について示したが、本発明は上述した形態だけに限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で改良したものや変更したものに適用できることは言うまでもない。
(実施例1)
ここで、インクジェット記録ヘッド1に備える支持部材10を相対密度98%のアルミナにて形成し、インク供給穴11の表面に、膜厚100μmの金属メッキ層15をCuにて形成し、金属メッキ層15上に膜厚1μmのDLC膜からなる保護層16を形成し、ヘッド本体2をテフロン(R)系の接着剤で接合し、インクジェット記録ヘッド1を作製した。このインクジェット記録ヘッド1にインクを供給し、発熱抵抗体に通電して50Wの熱エネルギー出力を連続して与えた時の、流路部材のインク室中央部のインク温度変化を測定した。
比較例として、保護層16の材質をDLC膜の替わりに熱伝導率が1.4(W/m・K)のSiO2膜を形成したもの(比較例1)、保護層16および金属メッキ層15を形成しないもの(比較例2)、について作製し、同時に評価した。
図6に、実施例1および比較例1・2のインク温度変化の測定結果をグラフに示す。
この結果より、実施例1の保護層にDLC膜を形成したことで、インクの温度上昇を大幅に抑えることが確認できた。
(実施例2)
次ぎに、支持部材10を相対密度98%のアルミナにて形成し、インク供給穴11の表面に、金属メッキ層の材質としてCu、Ni、Al、Auを用い、それぞれ、膜厚を20μm、50μm、100μm、150μmのサンプルを作成し、その上に、保護層としてDLC膜を1μm形成し、ヘッド本体2をテフロン(R)系の接着剤で接合したインクジェット記録ヘッド1作製した。
そして、発熱抵抗体の出力を5Wに設定して熱エネルギーを連続して与え、流路部材のインク室中央部のインク温度を測定した。測定は流路部材を形成しているシリコン基板にダイオードセンサーを内蔵しインク液温度が80℃になると実験をストップすることにし、ストップするまでの時間を比較した。
Figure 0004384474
金属メッキ層の膜厚が50μmより小さいと、6秒以内でインク液温度が80℃となった。また、同様の条件において金属メッキ層および保護層のないアルミナを用いた支持部材での評価結果では、2秒でインク液温度が80℃になっていた。
この実験結果より、金属メッキ層の膜厚が50μmより小さいと、放熱効果が少し改善されるが、高速化のためには不十分であり、100μm程度あれば連続運転が可能となることが分かる。
本発明のインクジェット記録ヘッドの一例を示す図で、(a)は、その斜視図(b)は一部破断した斜視図である。 本発明のインクジェット記録ヘッドの一例を示す分解斜視図である。 (a)は図1(a)のX−X線断面図、(b)は図1(a)のY−Y線断面図である。 本発明の金属メッキ層および保護層の構成を示した図である。 従来のインクジェット記録ヘッドの一例を示断面図である。 実施例1および比較例1・2のインク温度変化の測定結果を示す図である。
符号の説明
1:インクジェット記録ヘッド
2:ヘッド本体
3:流路部材
4:インク室
5:発熱抵抗体
6:段付き溝
7:段差部
8:インク吐出孔
9:ノズル板
10:支持部材
11:インク供給穴
12:長孔
13:傾斜底面
14:小径孔
15:金属メッキ層
16:保護層

Claims (6)

  1. 複数のインク室を有し、熱エネルギーを利用して上記各インク室内のインクを加圧する加圧機構を備えた流路部材と、該流路部材の表面に配置され上記各インク室と連通するインク吐出孔を備えたノズル板とからなるヘッド本体と、該ヘッド本体を支持し、かつ上記流路部材のインク室と連通するインク供給穴を備えたセラミック製の支持部材とからなるインクジェット記録ヘッドにおいて、上記インク供給穴の少なくともインクに曝される表面に、膜厚50〜150μmの金属メッキ層と、該金属メッキ層よりも熱伝導率が高い膜厚0.5〜5μmの保護層とが積層されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記支持部材を形成するセラミックスが、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化ケイ素のいずれかを主成分とするセラミックスである請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記支持部材を形成するセラミックスが、相対密度95%以上のアルミナを主成分とするセラミックスである請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 前記金属メッキ層が、Ni、Moのいずれかを用いて形成した請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 前記保護層が、DLC膜、SiC膜、AlN膜のいずれかのセラミックス膜を用いて形成した請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドを用いたインクジェットプリンタ。
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